JP2013203682A - ヒトbZIPJUNのロイシンジッパー領域と結合するペプチド - Google Patents

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Abstract

【課題】がん化と深くかかわるヒト bZIP JUN、およびJUNと相同のJUNB, JUNDのbZIP領域と結合する30残基以下の短いペプチドの提供。
【解決手段】JUNの35残基長のbZIP領域中、N末端側の28残基長部分とロイシンジッパー構造を形成して会合することを想定し、JUNの当該領域と疎水結合、水素結合、塩橋が最大で、かつ自身がαヘリックス構造を安定化させるように調整したペプチド配列anti-JUN28を設計した。
【選択図】図1

Description

本発明はヒト bZIPのJUNのロイシンジッパー領域中の28残基長部分の配列と同一の配列をもつ28残基長のペプチドとロイシンジッパー構造を形成して会合する28残基長のペプチドに関する。
生物は遺伝子配列に基づいてタンパク質を合成し、それを生体中で必要なさまざまな化学反応に利用している。そのタンパク質の機能の中で最も重要なものは、他の物質(タンパク質も含む)を認識する機能である。このタンパク質の分子認識機構は、遺伝子の発現、すなわち遺伝子の読み出しとタンパク質の合成の制御にも用いられている。それを担うのが、一群の転写因子と呼ばれるタンパク質である。この中でもっともよく研究されているのが、塩基性ロイシンジッパー転写因子である(以下英語名である basic leucine zipper transcription factor にちなんで、bZIPと略記する)。ヒトについては、現在までに100種類以上のbZIPが知られている。bZIPは、ロイシンジッパー領域とDNA結合領域、および機能領域をもつ。二つのbZIPのロイシンジッパー領域は、ロイシンジッパー構造で結合(あるいは会合)し、それぞれのDNA結合領域の組み合わせに応じて、特定のDNA領域に結合する。その結果、それぞれの機能領域のもつ機能に従って、結合したDNA領域近傍の遺伝子の発現を制御する。bZIPの結合の組み合わせは、それほど特異的ではなく、JUNとFOSという二種類のbZIPの場合、JUNとFOSが対を作る場合もあれば、JUN同士で対を作ることもある。そのほかFOSは、JUNと類似するJUNB、JUNDと対を作ることもある。この組み合わせに応じて、結合するDNA領域が異なり、さまざまな遺伝子発現を制御しているのである。
bZIPのほとんどは、そのロイシンジッパー構造の形成にかかわるロイシンジッパー領域のアミノ酸配列において、7残基ごとにロイシン残基が現れることを特徴としている。二つのbZIPそれぞれのロイシンジッパー領域がロイシンジッパー構造を形成して対を作るときには、その両者のロイシンジッパー領域がαヘリックス構造を形成し、かつ双方のロイシン残基の側鎖が疎水結合することにより、αヘリックス二つがたがいに高次の二重らせん構造を構成して会合する。この会合しロイシンジッパー構造を形成しているとき、これを構成する二つのペプチドのN末端側からC末端側への向きは、同じ向きである。すなわち、C末端側同士、N末端側同士が結合する並行な会合である。ただし、反並行な会合もあり得る。また、7残基ごとに現れるとされるロイシン残基がつねにロイシンであるわけではなく、稀にイソロイシンやアラニンなど他の疎水性側鎖を有するアミノ酸である場合や、さらに、大変稀には、親水的な側鎖をもつアミノ酸である場合もあり得る。bZIPの温度変化に対する会合、解離の仕組み、およびその熱力学特性については、さまざまな研究がなされてきたが、その中でも、酵母由来のGCN4と呼ばれる二種類のペプチドに関する研究が多数存在する。非特許文献1では、GCN4を改変した30残基長の二種類のペプチドが提示された。
bZIPは、細胞内の状態を制御している2千種類以上あるとされる転写因子の一部である。したがって、がん細胞は、本来の細胞分裂の制御機構が暴走した状態である、という通説に従えば、転写因子による制御の乱れが細胞のがん化にかかわることが想定される。実際に上述のJUN, FOSは、がん化に深く関係しているとされ、多くのがん細胞ではこの二つのbZIPが大量に発現していることが知られている。JUNは、本来は本来細胞分裂と深くかかわる転写因子であり、受精卵が胚を形成するまでの細胞分裂や、組織が損傷をうけて修復する際の細胞分裂にかかわっている。よって細胞分裂をしていない通常細胞ではJUNの発現量は非常に少ない。がん細胞は細胞分裂が暴走した状態であるので、細胞分裂にかかわるJUNが大量に発現していることと整合する。このような中で、ぞれぞれのbZIPとロイシンジッパー構造を形成して特異的に結合しうるペプチドを開発する意義が二つ生まれる。まず一つめの意義は、がん診断である。たとえばJUNと特異的に結合するペプチドをプローブとして利用し、生体組織から取り出された溶液中のJUNの濃度を測定することにより、その生体組織ががん化しているかどうかを判断する根拠となりえる。また、治療法の異なる種類のがんがあり、それぞれのがんが異なるbZIPの大量発現を伴っているならば、多種のbZIPそれぞれに結合するペプチドを作り、それらにより多種のbZIPのそれぞれの濃度を測定することにより、がんの種類の特定が可能になる。二つめの意義は、がん治療である。非特許文献2で提唱されているように、がん化した細胞において大量発現したbZIPが特定されれば、そのbZIPは必ずやそれ自身、あるいはそのほかの大量発現しているbZIPと対を作り遺伝子発現制御を暴走させていると想定されるので、この大量発現しているbZIPと対をつくり得るペプチドを投与し、この大量発現しているbZIPとこの投与されたペプチドを結合させると、この対は、DNA結合能力がないため、転写因子として働かず、よって大量発現しているbZIPの機能を無力化できる。すなわち、がん化した細胞の正常化がはかられるのである。JUNのように大量発現とがん化が関連していることが知られているものについては、がん診断で利用するそのbZIPに結合するペプチドと、治療目的で投与する同じbZIPに結合するペプチドは結合するロイシンジッパー領域については同じ、あるいは同様の配列でよい。よって、いずれの目的に対しても、特定のbZIPと一定の特異性をもって結合するペプチドは有用である。
Marti D.N., Jelesarov I., Bosshard H.R..,(2004) Interhelical Ion Pairing in Coiled Coils: Solution Structure of a Heterodimeric Leucine Zipper and Determination of pKa Values of Glu Side Chains. Biochemistry 39,pp12804-12818 Grigoryan G., Reink A.W., Keating A.E.,(2009) Design of protein-interaction specificity gives selective bZIP-binding peptides. Nature 456, pp859-865
本発明は、ヒトbZIPのJUNの35残基長のロイシンジッパー領域中のN末端側の28残基長の配列と同一の配列をもつ28残基長のペプチドと0℃においてロイシンジッパー構造を構成して会合する28残基長のペプチドであって、双方のペプチドがほぼ同様の濃度で合計濃度が500mg/lのとき、0℃において50%以上会合し、40℃においてはほぼ全体が解離していることを特徴とすし、かつ、JUNと相同のJUNB, JUNDとの結合能を有する28残基長のペプチドを提供すること目的とする。
本発明者が、この〈非特許先行文献1〉で提示されたGCN4を改変した30残基長の二種類のペプチドについて再実験を行ったところ、濃度125mg/l、pH 7.4(7.5mM リン酸バッファーによる), イオン強度100mM(NaClによる),の条件で、会合、解離の遷移中央温度は、65℃であった。これらGCN4を改変した30残基長のペプチドは、双方ともに、7残基ごとに現れるロイシン残基を4残基持っている。よってロイシンジッパー構造を形成する正味の領域は、(7×4=)28残基である。さらに配列を詳しくみると、比較的類似した7残基長の部分配列が4回繰り返す構造になっている。二種類のペプチドA,Bのうち、全体で負電荷をもペプチドAは、7残基長の-EVAQLEQ- をもとに、これに1ヶ所ないし2ヶ所改変した配列が4回繰り返す28残基長の配列を有している。また、全体で正電荷をもつペプチドBは、7残基長の-KVAQLKQ-をもとに、これに1ヶ所ないし3ヶ所改変した配列が4回繰り返す28残基長の配列を有している。とくに、リジン残基(K)は、同様に側鎖が正電荷をもつアルギニン残基(R)に置換されているところが多い。そこで、ロイシンジッパーのロイシンを5番目の残基とするこの7残基長の部分配列を、ひとつのユニットとして考えることができることが判明した。すなわち、GCN4を改変した30残基長のペプチドA、Bは、それぞれ4ユニットからなる、(7×4=)28残基長の配列を基本としている。この二種類のペプチドA,Bについては、〈非特許先行文献1〉が開示するように、核磁気共鳴法によって、水溶液中でロイシンジッパー構造を形成して会合していることが判明している。これによれば、ペプチドAの第1のユニットと、ペプチドBの第1のユニットがそれぞれ会合し、以下、第2のユニット同士、第3のユニット同士、第4のユニット同士が会合して、ロイシンジッパー構造を形成していることが判明した。それぞれのユニットの会合においては、まずもっとも主要な結合は、双方のユニット5番目のロイシンの側鎖間の疎水結合である。続いて、Aの各ユニットの1番目のグルタミン酸残基(E)の負の電荷をもつ側鎖がBの各ユニットの6番目のリジン、あるいはアルギニン残基の正の電荷をもつ側鎖と静電的な相互作用により結合し、同じく、Aの各ユニットの6番目のグルタミン酸の側鎖と、Bの各ユニットの1番目のリジンあるいはアルギニン残基の側鎖と静電的な相互作用により結合している。また、各ユニットの会合において、2番目の残基であるバリン(V)の側鎖が他方のバリンの側鎖と、疎水的な相互作用により結合し、また双方のN末端側から3番目のユニットの2番目のアスパラギンの側鎖は、他方のユニットのアスパラギン(N)と水素結合をしている。
本発明者は、前記GCN4の改変型の調査で明らかになったロイシンジッパー構造の詳細に基づき、ヒトbZIPのJUNの35残基長のロイシンジッパー領域中N末端側の28残基長の領域に着目し、この領域とロイシンジッパー構造を構成して最も強く結合し得る28残基長のロイシンジッパー領域のアミノ酸配列を開発し、この配列をもつペプチド anti-JUNが実験によって前記JUNの28残基長の領域を切り出したペプチドJUN28とロイシンジッパー構造を形成して会合することを実証した。
すなわち第1の発明は、JUN28を、第1から第4のそれぞれ7残基長のユニットに分けて、それぞれのユニットの特徴として、第1のユニットはロイシンジッパー構造を作るときに、ユニット内の2番目のイソロイシンと5番目のロイシンが疎水結合にかかわり、それ以外に、ユニット内の1番目の塩基性残基アルギニン、ユニット内6番目の酸性残基グルタミン酸が結合相手のユニットの6番目の酸性残基と1番目の塩基性残基と、静電相互作用による塩橋により結合している可能性が高いことを見出し、第2のユニットは、2番目バリン、5番目ロイシンが疎水結合にかかわっている以外に1番目塩基性のリジン、6番目塩基性のリジンがそれぞれ結合相手のユニットの1番目の酸性残基、6番目の酸性残基と塩橋を作り結合している可能性が高いことを見出し、第3のユニットは同様に2番目のアスパラギンが相手側ユニットのアスパラギンと水素結合し、5番目のロイシンが相手側のロイシンと疎水結合し、それ以外に、1番目のグルタミンが相手側の6番目の親水性残基と水素結合している可能性が高いことを見出し、第4のユニットは、2番目のアラニンが疎水結合に、また5番目のロイシンが他のユニット同様疎水結合にかかわり、1番目の親水性残基スレオニンが相手側の親水性残基と水素結合し、6番目の塩基性残基アルギニンが相手側の1番目の酸性残基と塩橋を作って結合している可能性が高いことを見出し、さらに、JUN28の配列中にαヘリックスを不安定化させるスレオニン、セリン、アスパラギンが多数含まれることを考慮にいれて、4ユニット28残基長のanti-JUNとして、第1のユニットの配列が-KVEKLEA-、第2のユニットの配列がαヘリックス安定化要素であるアラニンを一つ多く含む-EVEALEA-、第3のユニットの配列が第2のユニット同様の理由でアラニンを一つ多く含む、-KNEALKA-、第4のユニットの配列が、-EVEKLEAである配列番号1に記載のアミノ酸配列を提供したことである(請求項1)。
これにより、ヒトbZIPのJUNのロイシンジッパー領域中の28残基長部分(配列番号2)を切り出した28残基長のペプチドJUN28と0℃、二種類のペプチドの合計濃度が500mg/lの条件においてそれぞれのペプチドの半数以上が会合する配列番号1に記載の配列をもつペプチドが得られた。
ついで第1のペプチドのN末端側をアセチル化、C末端側をアミド化し、N末端の正電荷、およびC末端の負電荷を取り除き、第1のペプチドがJUNと並行に会合するのを阻害しないようにした(請求項2)。
本発明をヒトbZIPの、JUN, JUNB, JUND の濃度測定用に利用するに当たって、濃度測定用基板上に結合を阻害しない程度の長さの鎖状分子を第1のペプチドのN末端あるいはC末端側に結合させ、さらにその鎖状分子の第1のペプチドと結合していない側の末端を、基板との結合能を有する結合基を持つように修飾し、これをもってペプチドが基板に結合し固定されるように改変した高分子材料を提供する(請求項3)。
本発明は、ヒトbZIPのロイシンジッパー領域中のN末端側28残基長の部分とロイシンジッパー構造を作って会合する能力をもつ28残基長のペプチドを提供したことである。よって、本発明の配列番号1に記載の配列を含むペプチドを修飾したものを基板に固定することにより、ヒトの生体組織から取り出された溶液中のbZIP JUNと有意に結合させ、その濃度を測定する装置に利用できる。すなわち背景技術で述べた第1の意義に関連して、JUNは、がん化した細胞中で大量発現していることが知られているため、がん診断に利用できる。また、背景技術で述べた第2の意義に関連して、JUNが大量発生して細胞分裂が暴走しているがん化した細胞に本発明の配列番号1に記載の配列を含むペプチドを修飾した誘導体を投与することにより、JUNの転写因子としての機能を無効化することが期待できる。
また、本発明の第1のペプチドは、JUNのみならず、JUNと相同のJUNB, JUNDとの結合もJUNとの結合よりは弱いものの可能である。
本発明におけるアミノ酸間の相互作用の推定図 (a)〜(c) 実施例の結果を示すグラフ
以下、本発明の高分子材料について、実施の形態及び実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の第1のペプチドanti-JUNは、図1の配列番号1に記載の28残基長の配列をもち、N末端の正電荷を除去するために、アセチル化修飾を行い、C末端の負電荷を除去するためにアミド化修飾を行ったものである。
またJUN28のペプチドは、図1の配列番号2に記載の28残基長の配列をもち、第1のペプチド同様N末端をアセチル化修飾し、C末端をアミド化修飾したものである。
またFOS28のペプチドはの配列番号3に記載の28残基長の配列をもち、第1のペプチド同様N末端をアセチル化修飾し、C末端をアミド化修飾したものである。
図1では、さらに、anti-JUNと、JUN28がロイシンジッパー構造を形成して会合していることを想定した場合、どのアミノ酸残基とどのアミノ酸残基が両者の会合にかかわっているかを矢印を用いて示しており、またanti-JUNとFOS28が会合していることを想定した場合、どのアミノ酸残基とどのアミノ酸残基が両者の会合にかかわっているかを矢印を用いて示している。また、anti-JUNが自身と会合していることを装置した場合、どのアミノ酸残基とどのアミノ酸残基が両者の会合にかかわっているかを矢印で示している。
anti-JUNの配列には、自身との会合、すなわちホモダイマー形成ができるだけおきないように、第1のユニット同士を除き、第2のユニットは酸性、第3のユニットは塩基性、第4のユニットは酸性にし、互いに静電的に反発するようにした。しかしながら、0℃の低温においては、anti-JUNのホモダイマー形成は若干生じていることが確認された。しかしこのレベルのホモダイマー形成は、JUN28との会合を阻害するものではない。
本発明の第1のペプチドanti-JUNが、ヒトbZIPのJUNのロイシンジッパー領域中の28残基長の部分配列を切り出したペプチドJUN28と会合、解離を可逆的に行うことは、水溶液が、7.5mMのリン酸バッファによりpHが7.4に調整され、NaClによりイオン強度が100mMに調整されたものである場合に実験により実証された。この溶液条件はヒトの生理的な条件に近いものを選んだ。
(実施例)
1.実験法
1−1.ペプチド合成および溶液の調整
各種ペプチドの合成およびN末端、C末端の修飾は、シグマアルドリッチジャパン株式会社ライフサイエンス事業部に依頼し、凍結乾燥された純度95%以上のものを得た。
各種ペプチドは、まず純水中に溶解させて4g/lの濃度(純度による調整を行う)の溶液を調整し、これをリン酸バッファー、NaCl溶液と混合し、最終的にペプチドの濃度が1g/lで、pHが7.4、リン酸バッファーの濃度が7.5mM、NaClによるイオン強度が100mMになるように調整した。
1−2.円二色性(CD)分光測定
測定対象のペプチドの組み合わせにそって、二種のペプチドの1g/lの溶液それぞれから500μlずつ取り出したものを混合し、これを、7.5mMリン酸バッファー、NaCl 100mMの溶液で2倍に希釈し、二種のペプチドの濃度合計が500mg/lで7.5mMリン酸バッファー、pH 7.4, イオン強度 100mM (NaCl)の溶液を得た。これから400μlをCD分光器用角型石英セルに入れ、円二色性(CD)分光測定を行った。
1−3.円二色性(CD)分光測定結果からの各種熱力学特性の計算法
円二色性(CD)分光測定で、波長222nm の値であるθ(222)を、溶液中のペプチドやタンパク質のαヘリックスの含有度を測定するために用いる。ロイシンジッパー構造を形成しているときには、二種類のペプチドは会合していると同時に両者がαヘリックス構造を形成している。解離している状態では、ロイシンジッパー構造が変性していることにより、二種類のペプチドの双方はαヘリックス構造をほとんど形成せず、他のランダムコイル構造や、部分的にβストランド構造に変性する。円二色性(CD)測定で波長222nm におけるCD値である θ(222)の値は、αヘリックス構造である場合は、大きな負値になり、ランダムコイル構造では、ほぼ0であり、また、βストランド構造では、αヘリックス構造に比べて半分程度の絶対値をもつ負値になる。よって、低温において二種のペプチドが会合してロイシンジッパー構造を形成しているときのθ(222)は絶対値の大きな負値であり、解離すると、αヘリックス構造の他の構造への変性により絶対値の小さな負値に変化する。よって、温度依存性のあるθ(222)の値を会合してロイシンジッパー構造を形成している状態と解離している状態の二状態のみからなる変性を仮定して解析することができる。
GCN4を改変した30残基長の二種類のペプチドについてのこれまでの実験結果から、二種類のペプチドの合計濃度が500mg/lの場合、θ(222)の値が60mdeg となる温度が状態遷移中央温度であることが判明している。本発明における実験データの解析では、若干のホモダイマー形成があることから、精密なデータ解析はできないため、この目安となるθ(222)が60mdegとなるところをもって状態遷移中央温度と仮定した。
2.実験結果
図2(a)は第1のペプチドanti-JUNの濃度が500mg/lの溶液と、ヒトbZIPのJUNのロイシンジッパー領域中の28残基を切り出した配列と同一の配列をもつペプチドJUN28の濃度が500mg/lの溶液を等量混合した溶液において、anti-JUNと、JUN28が0℃において会合してロイシンジッパー構造を形成し、40℃程度において完全に解離している際の円二色性(CD)分光測定での波長222nmにおける値θ(222)の温度変化を表す。図2(b)は第1のペプチドanti-JUNの濃度が500mg/lの溶液と、ヒトbZIPのFOSのロイシンジッパー領域中の28残基を切り出した配列と同一の配列をもつペプチドFOS28の濃度が500mg/lの溶液を等量混合した溶液において、anti-JUNと、JUN28が0℃においてわずかに会合してロイシンジッパー構造を形成し、40℃程度において完全に解離している際の円二色性(CD)分光測定での波長222nmにおける値θ(222)の温度変化を表す。図2(c)に、第1のペプチドanti-JUNのみの500mg/lの濃度の溶液で、このペプチド分子のごく一部がホモダイマーを形成し、それが高温で解離する状況の円二色性(CD)分光測定での波長222nmにおける値θ(222)の温度変化を表す。
図2(c)に示されるように、本発明の第1のペプチドanti-JUNは、0℃近辺においては、ごくわずかにホモダイマーを形成するが、(a)にしめされるように、JUN28との会合のほうがより強くおこり、その状態遷移中央温度は約10℃であり、また、(b)に示されるように、FOSとの会合は、ホモダイマー形成以上に起こりにくいことも判明した。よって、本発明の第1のペプチドanti-JUNは、JUN28と一定の特異性をもって結合することが実証された。
本発明の第1のペプチドは、ヒトbZIPのJUNと結合する可能性がたかく、まずヒトの生体組織中から取り出された溶液中のJUNの濃度測定に利用することが想定される。また、がん化した細胞にこのペプチドの誘導体を投与することによって、細胞の正常化を目指した治療目的で利用することもできる。

Claims (3)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第1のペプチド。
  2. 第1のペプチドのN末端及びC末端が電荷を持たないように修飾された請求項1に記載の第1のペプチド。
  3. 第1のペプチドのN末端側、あるいはC末端側に鎖状分子を結合させ、その鎖状分子の第1のペプチドと結合していない側の末端を基板材料と結合する能力を有する結合基をもつように修飾し、第1のペプチドが基板と結合するように改変した請求項1に記載のペプチドを含む高分子材料。
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