JP2013232326A - 非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2013232326A
JP2013232326A JP2012103526A JP2012103526A JP2013232326A JP 2013232326 A JP2013232326 A JP 2013232326A JP 2012103526 A JP2012103526 A JP 2012103526A JP 2012103526 A JP2012103526 A JP 2012103526A JP 2013232326 A JP2013232326 A JP 2013232326A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
secondary battery
positive electrode
aqueous
negative electrode
lithium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012103526A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5977573B2 (ja
Inventor
Naoki Matsuoka
直樹 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2012103526A priority Critical patent/JP5977573B2/ja
Publication of JP2013232326A publication Critical patent/JP2013232326A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5977573B2 publication Critical patent/JP5977573B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】高い電流密度で充電した際にも過充電が抑制される非水系二次電池の提供。
【解決手段】本発明の非水系二次電池は、電解質塩と非水系溶媒とを含有する電解液と、正極と、負極とを含む非水系二次電池であって、前記電解液は、可逆性酸化還元電位を有するレドックスシャトル剤を含有し、かつ、前記電解液の25℃におけるイオン伝導度が10mS/cm以上である非水系二次電池である。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水系二次電池に関する。
非水系電解液を含む非水系二次電池としては、軽量、高エネルギー密度、及び長寿命との特徴を有するリチウムイオン二次電池が、ノートブックコンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の携帯用電子機器電源として広範囲に用いられている。また、低環境負荷社会への移行に伴い、非水系二次電池は、ハイブリッド型電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、以下「HEV」と略記する。)及びプラグインHEV(Plug−in Hybrid Electric Vehicle、以下「PHEV」と略記する。)の電源分野、さらには住宅用蓄電システム等の電力貯蔵分野においても注目されている。
自動車等の車両及び住宅用蓄電システムに非水系二次電池を搭載する場合、サイクル性能及び長期信頼性等の観点から、電池の構成材料には、化学的、電気化学的な安定性、強度、耐腐食性等に優れた材料が求められる。さらに、非水系二次電池は高出力性能も必要物性として求められる。
ところで、リチウムイオン二次電池用の非水系電解液に対する要求特性の1つとして、過充電抑制が挙げられる。リチウムイオン二次電池における過充電抑制機構としては、化学反応による方法と電子回路による方法とが提案され、実用的には後者が主に採用されている。しかしながら、電子回路による方法では、多セル化が進むにつれてコスト高になるばかりか、商品設計上、種々の制約が生ずることになる。
そこで、化学反応により過充電を抑制する技術の開発が進められており、中でも非水系電解液においては、過充電電位に相当する酸化還元電位を有する酸化還元試薬を電解液に添加する方法が検討されている。この方法よると、酸化還元試薬の可逆反応性が良い場合には、正負極間を往復して過充電電流を消費する抑制機構が成立する。
このような酸化還元試薬は、レドックスシャトル剤と呼ばれている。電解液にレドックスシャトル剤を含有させることによってリチウムイオン二次電池の安全装置を簡略化できれば、電子回路による過充電抑制機構を有する電池系よりも低コストな電池系が実現し、さらには該電子回路自体による余計な電力消費も抑えられるため、非常に有用である。
例えば、特許文献1では、3V級のリチウムイオン二次電池に対して、フェロセン類がレドックスシャトル剤として機能することが報告されている。また、特許文献2及び3では、4V級以上のリチウムイオン二次電池に対して、ベンゼン環にメトキシ基が導入された構造の芳香族化合物がレドックスシャトル剤として機能することが報告されている。さらに、特許文献4では、少なくとも1個の第三級アルキル基及び少なくとも1個のハロゲン化アルコキシ基で置換された芳香族化合物が、充放電を繰り返しても4V級以上のレドックスシャトル剤として機能することが報告されている。
特開平1−206571号公報 特開平7−302614号公報 特開平9−17447号公報 特表2011−512014号公報
しかしながら、レドックスシャトル剤の機能は拡散が律速となるところ、従来の非水系電解液では電極層内での拡散が実用レベルに至らず、極めて低い電流密度で非水系二次電池を充電するという非現実的な条件でない限り、過充電抑制効果が得られ難いという、レドックスシャトル剤共通の問題があった。
本発明は、上記事情にかんがみてなされたものであり、高い電流密度で充電した際にも過充電が抑制される非水系二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、電解質塩と非水系溶媒とを含有する電解液の25℃におけるイオン伝導度が10mS/cm以上である場合に、高い電流密度で充電した際にも過充電が抑制される非水系二次電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]電解質塩と非水系溶媒とを含有する電解液と、正極と、負極とを含む非水系二次電池であって、前記電解液は、可逆性酸化還元電位を有するレドックスシャトル剤を含有し、かつ、前記電解液の25℃におけるイオン伝導度が10mS/cm以上である非水系二次電池。
[2]前記電解液の25℃におけるイオン伝導度が50mS/cm以下である、[1]に記載の非水系二次電池。
[3]前記レドックスシャトル剤の分子量が100〜500である、[1]又は[2]に記載の非水系二次電池。
[4]前記レドックスシャトル剤が、下記一般式(1)で表される化合物を含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
Figure 2013232326
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で表される置換基は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフッ素置換アルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は炭素数1〜4のフッ素置換アルコキシ基であり、これらの置換基のうち2つ以上は、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のフッ素置換アルコキシ基である。)
[5]前記非水系溶媒はニトリル系溶媒を含む、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
[6]前記ニトリル系溶媒はアセトニトリルを含む、[5]に記載の非水系二次電池。
本発明によると、高い電流密度で充電した際にも過充電が抑制される非水系二次電池を提供することができる。
本実施形態の非水系二次電池の一例を概略的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて記載される数値範囲は、その前後に記載される数値を含むものである。
本実施形態の非水系電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、可逆性酸化還元電位を有するレドックスシャトル剤を含有し、かつ、上記電解液の25℃におけるイオン伝導度が10mS/cm以上である。また、本実施形態の非水系二次電池は、正極及び負極と共に上記非水系電解液を備える二次電池であり、例えば、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な負極材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極とを備えるリチウムイオン二次電池が挙げられる。
本実施形態の非水系二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池であってもよく、より具体的には、図1に概略的に断面図を示すリチウムイオン二次電池であってもよい。図1に示されるリチウムイオン二次電池100は、セパレータ110と、そのセパレータ110を両側から挟む正極120と負極130と、さらにそれら(セパレータ110、正極120及び負極130)の積層体を挟む正極集電体140(正極120の外側に配置)と、負極集電体150(負極130の外側に配置)と、それらを収容する電池外装160とを備える。正極120とセパレータ110と負極130とを積層した積層体は、本実施形態に係る電解液に含浸されている。これらの各部材としては、正極を除いて、従来のリチウムイオン二次電池に備えられるものを用いることができ、例えば後述のものであってもよい。
<1.非水系電解液>
本実施形態に係る非水系電解液は、電解質塩と非水系溶媒とレドックスシャトル剤とを含有し、25℃におけるイオン伝導度が10mS/cm以上であれば特に限定されず、レドックスシャトル剤は公知のものであってもよい。高い電流密度で充電した際にも過充電が抑制されることから、25℃におけるイオン伝導度は、20mS/cm以上であることが好ましく、25mS/cm以上であることがより好ましい。電解液の25℃におけるイオン伝導度が10mS/cm以上であると、電極層内でのリチウムイオン伝導が充分に行われることで、大電流での充放電及び過充電抑制が可能となる。また、25℃におけるイオン伝導度の上限は特に限定されず、イオン伝導度は50mS/cm以下であってもよく、49mS/cm以下であってもよく、48mS/cm以下であってもよい。ここで、電解液のイオン伝導度は、例えば、非水系溶媒の粘度及び/又は極性を調整することにより、制御することができ、より具体的には、低粘度の非水系溶媒と高極性の非水系溶媒とを混合することにより、電解液のイオン伝導度を高く制御することができる。また、低粘度で、かつ高極性を有する非水系溶媒を用いることによって、電解液のイオン伝導度を高く制御することも可能である。なお、電解液のイオン伝導度は、後述の実施例における「(1)電解液のイオン伝導度測定」に記載された方法に準拠して測定することができる。
本実施形態の非水系電解液は、水分を含まないことが好ましいが、本発明の課題解決を阻害しない範囲であれば、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、非水系電解液の全量に対して、0〜100ppmであってもよい。
<1−1.レドックスシャトル剤>
レドックスシャトル剤としては、可逆性酸化還元電位を有する化合物であって、該酸化還元電位の値が、設定すべき過充電電位の近傍にあれば特に制限はない。ここで「可逆性酸化還元電位を有する」とは、電極においてその化合物の分解や重合等の不可逆反応が起き難く、当該化合物が、その酸化体と還元体との間で繰り返し相互に行き来する反応が起こることをいう。ここで「設定すべき過充電電位」は、正極活物質の種類によって異なり、非水系電解液の分解等の非可逆反応が起こらない範囲で各電池製造業者によって定められる。例えば、正極にLiCoO2、負極にグラファイトを使用したリチウムイオン二次電池の場合は4.2〜4.4V程度、正極にLi2Mn24、負極にグラファイトを使用したリチウムイオン二次電池の場合は4.0〜4.2V程度、正極にLiFePO4、負極にグラファイトを使用したリチウムイオン二次電池の場合は3.6〜3.8V程度に設定されることが多い。また、「近傍」とは設定すべき過充電電位に対して、±0.05Vであることが好ましい。
レドックスシャトル剤の分子量は、非水系電解液中における拡散性の観点から、100〜500であることが好ましく、120〜450であることがより好ましく、140〜400であることが特に好ましい。
レドックスシャトル剤として、具体的には、例えば、下記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2013232326
ここで、式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6(以下、「R1〜R6」と表記する。)で表される置換基は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフッ素置換アルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は炭素数1〜4のフッ素置換アルコキシ基であり、これらの置換基のうち2つ以上は、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のフッ素置換アルコキシ基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子がある。また、アリール基としては、例えばフェニル基が挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びtert−ブチル基が挙げられる。炭素数1〜4のフッ素置換アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基及びtert−ブトキシ基が挙げられる。炭素数1〜4のフッ素置換アルコキシ基としては、例えば、モノフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基及び2,2,3,3,−テトラフルオロプロポキシ基が挙げられる。置換基は、これらの置換基のいずれの組み合わせであってもよい。
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、R1〜R6で表される置換基のうち2つがtert−ブチル基又はトリフルオロメチル基であり、かつ、2つが炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のフッ素置換アルコキシ基である化合物は、tert−ブチル基又はトリフルオロメチル基の立体効果によってπ電子が保護されており、さらに、アルコキシ基又はフッ素置換アルコキシ基の酸素原子が非共有電子対を有することから、酸化還元状態においてもπ共役平面が開環せず、長期安定性にも優れているという特徴がある。そのような化合物の具体例を以下に例示する。
Figure 2013232326
上記具体例の化合物は、常法により製造することもでき、例えば、下記一般式(2)、(3)及び(4)で表される3通りの反応ルートのいずれか1通りにより製造することができる。なお、式(2)、(3)及び(4)中、1つの化合物中に複数存在するR7は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素置換アルキル基を示し、1つの化合物中に複数存在するR8は、それぞれ独立に、tert−ブチル基又はトリフルオロメチル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びtert−ブチル基が例示され、炭素数1〜4のフッ素置換アルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、及び2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基が例示される。
[反応ルート1]
Figure 2013232326
[反応ルート2]
Figure 2013232326
[反応ルート3]
Figure 2013232326
まず、上記一般式(2)で表される反応ルート1の製造方法について説明する。
反応ルート1では、2,5−ビス(tert−ブチル)ヒドロキノン又は2,5−ビストリフルオロメチルヒドロキノンとN,N−ジメチルホルムアミドとを混合した後、それらの混合物にNaHを添加し、その後、ヨウ化物R7Iを添加する。反応液をジクロロメタン等の有機溶媒及び塩水により分液した後、水洗を経て有機溶媒を回収し、脱水剤を添加して乾燥させる。脱水剤は特に制限はないが、無水硫酸ナトリウム又は無水硫酸マグネシウムであることが好ましい。溶媒を除去後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的の化合物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒としては特に制限はないが、例えば、クロロホルム:n−ヘキサン=1:4(体積比)とした展開溶媒が挙げられる。
次に、上記一般式(3)で表される反応ルート2の製造方法について説明する。
反応ルート2では、窒素雰囲気下において、2,5−ビス(tert−ブチル)ヒドロキノン又は2,5−ビストリフルオロメチルヒドロキノン、炭酸カリウム、トリ−n−ブチルアミン及びアセトンを混合した後、それらの混合物に、パーフルオロブチルスルホン酸エステルC49SO37、例えば2,2,2−トリフルオロエチルパーフルオロブチルスルホネートを滴下する。このときの反応温度について特に制限はないが、40〜70℃であることが好ましく、50〜65℃であることがより好ましく、57〜63℃であることが更に好ましい。その後、水を添加して反応を停止させ、減圧濃縮にてアセトンを除去する。冷却後、吸引ろ過し、乾燥して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的の化合物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒として特に制限はないが、例えば、クロロホルム:n−ヘキサン=1:10(体積比)とした展開溶媒等が挙げられる。
次に、上記一般式(4)で表される反応ルート3の製造方法について説明する。
反応ルート3では、メタノールとオルト過ヨウ素酸とを混合した後、ヨウ素を添加して攪拌する。さらに、1,4−ジアルコキシベンゼン又は1,4−ジ(フッ素置換アルコキシ)ベンゼンを添加して攪拌する。このときの反応温度については特に制限はないが、50〜80℃であることが好ましく、60〜75℃であることがより好ましく、67〜73℃であることが更に好ましい。反応終了後、得られた溶液をNa225と水とを混合したものに注ぎ入れ、析出物を吸引ろ過し、乾燥して得られた粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、中間生成物である2,5−ジヨード化物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒としては特に制限はないが、例えば、ジクロロメタンが挙げられる。
次に、窒素雰囲気下、上記の中間生成物とトリフルオロ酢酸ナトリウムとヨウ化銅とN,N−ジメチルアセトアミドとを混合して還流を行う。還流温度について特に制限はないが、130〜160℃であることが好ましく、140〜155℃であることがより好ましく、147〜153℃であることが更に好ましい。得られた溶液を冷却してろ過した後、ジクロロメタン等の有機溶媒と水とで分液した後、水洗を経て有機溶媒を回収し、脱水剤を添加して乾燥させる。脱水剤は特に制限はないが、無水硫酸ナトリウム又は無水硫酸マグネシウムであることが好ましい。溶媒を除去後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的の化合物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒としては特に制限はないが、例えば、ジクロロメタンが挙げられる。
本実施形態の非水系電解液におけるレドックスシャトル剤の含有量は、その非水系電解液の全量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。含有量が0.1質量%以上であれば、酸化還元反応の循環作用による過充電防止効果がより有効に得られ、含有量が20質量%以下であれば、イオン伝導度の低下が少なく入出力特性や電池寿命等の電池特性への影響がより少なくなる。
<1−2.非水系溶媒>
非水系溶媒としては、他の成分と組み合わせて所定のイオン伝導度が得られるものである限りにおいて特に制限はなく、例えば、メタノール及びエタノール等のアルコール類、、並びに、非プロトン性溶媒が挙げられ、これらの中では、非プロトン性極性溶媒が好ましい。
そのような非水系溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロエチレンカーボネートに代表される環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンに代表されるラクトン;スルホラン、ジメチルスルホキシドに代表される硫黄化合物;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサンに代表される環状エーテル;メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートに代表される鎖状カーボネート;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリル等のモノニトリル;メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリルに代表されるアルコキシ基置換ニトリル;メチルプロピオネートに代表される鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンに代表される鎖状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が挙げられる。また、これらのフッ素化物に代表されるハロゲン化物も挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
非水系溶媒としては、低粘度で高誘電率を有するものが好ましく、中でも、非水系溶媒が粘度と誘電率とのバランスに優れたニトリル系溶媒を含むことが好ましい。特に、アセトニトリルは突出した性能を有する溶媒であるので、ニトリル系溶媒がアセトニトリルを含むと、より好ましい。アセトニトリルは低い粘度を有するにもかかわらず高い極性を有しており、その含有量を調製することにより、25℃における10mS/cm以上という、電解液の高いイオン伝導度を達成できる。このような非水系溶媒を含む電解液を用いることにより、その特性に基づき、大電流放電、急速充電を可能とする非水系二次電池を提供することができる。ニトリル基を含有する化合物は電気化学的に還元分解されやすいために、ニトリル系溶媒を使用する場合、別の溶媒と混合すること、及び、電極への保護皮膜形成のための添加剤を添加することが好ましい。
また、非水系二次電池の充放電に寄与する電解質塩の電離度を高めるために、非水系溶媒は環状の非プロトン性極性溶媒を1種類以上含むことが好ましく、環状カーボネートを1種類以上含むことがより好ましい。
また、電解質塩の溶解性、伝導度及び電離度という機能を全て良好にするために、2種以上の非水系溶媒の混合溶媒であることが好ましい。この混合溶媒の成分となる非水系溶媒としては上記と同様のものを例示でき、混合溶媒の例としては環状カーボネートとアセトニトリルとの混合溶媒が挙げられる。
本実施形態における非水系溶媒がアセトニトリルを含む場合、アセトニトリルの含有量については、他の成分と組み合わせて所定のイオン伝導度が得られるものである限りにおいて特に制限はないが、非水系溶媒の全体量に対して、5〜80体積%であることが好ましく、5〜75体積%であることがより好ましく、5〜70体積%であることが更に好ましい。アセトニトリルの含有量が5体積%以上である場合、イオン伝導度が増大し高出力特性を発現できる傾向にあり、80体積%以下である場合、揮発に起因する問題を抑制し、かつ特殊な方法を用いずに負極での還元分解反応を和らげることができる傾向にある。非水系溶媒中のアセトニトリルの含有量が上記範囲内にあることによって、アセトニトリルの優れた性能を維持しながら、サイクル性能長期特性及びその他の電池特性の全てを一層良好なものとすることができる。
<1−3.電解質塩>
電解質塩としては、非水系二次電池の電解液に用いられているものであれば、他の成分と組み合わせて所定のイオン伝導度が得られるものである限りにおいて特に制限はなく、いずれのものであってもよい。電解質塩は、本実施形態の非水系電解液中に0.1〜3mol/Lの濃度で含有されることが好ましく、0.5〜2mol/Lの濃度で含有されることがより好ましい。電解質塩の濃度がこの範囲内にあることによって、電解液の導電率がより高い状態に保たれると同時に、非水系二次電池の充放電効率もより高い状態に保たれる。
本実施形態における電解質塩について特に制限はないが、無機リチウム塩であることが好ましい。ここで、「無機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含まず、アセトニトリルに可溶なリチウム塩をいい、後述の「有機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含み、アセトニトリルに可溶なリチウム塩をいうものとする。無機リチウム塩は、通常の非水系電解質として用いられているものであれば特に限定されず、いずれのものであってもよい。そのような無機リチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、Li212b12-b〔bは0〜3の整数〕、炭素原子を含まない多価アニオンと結合されたリチウム塩等が挙げられる。
これらの無機リチウム塩は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。中でも、無機リチウム塩としてフッ素原子を有する無機リチウム塩を用いると、正極集電体である金属箔の表面に不働態皮膜を形成するため、内部抵抗の増加を抑制する観点から好ましい。また、無機リチウム塩として、リン原子を有する無機リチウム塩を用いると、遊離のフッ素原子を放出しやすくなることからより好ましく、LiPF6が特に好ましい。
本実施形態の非水系電解液における、無機リチウム塩の含有量は、その非水系電解液の全量に対して0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜25質量%であることが更に好ましい。
本実施形態における電解質塩は、無機リチウム塩に加えて有機リチウム塩が更に含有されていてもよい。なお、有機リチウム塩をイオン伝導性の高い無機リチウム塩と併用する場合、下記式(5):
0≦X<1 ・・・・・(5)
で表される条件を満足することが好ましい。ここで、上記式(5)中、Xは、非水系電解液に含まれる無機リチウム塩に対する有機リチウム塩のモル比を示す。非水系電解液に含まれる有機リチウム塩の無機リチウム塩に対するモル比がこの範囲にあることによって、無機リチウム塩の高いイオン伝導性能を優先的に機能させることができる。
本実施形態の非水系電解液における、有機リチウム塩の含有量は、その非水系電解液の全量に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、0.2〜20質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることが更に好ましい。有機リチウム塩の含有量がこの範囲にあることによって、電解液の機能と溶解性とのバランスを確保することができる。
有機リチウム塩の具体例としては、例えば、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252等のLiN(SO2m2m+12〔mは1〜8の整数〕で表される有機リチウム塩;LiPF5(CF3)等のLiPFn(Cp2p+16-n〔nは1〜5の整数、pは1〜8の整数〕で表される有機リチウム塩;LiBF3(CF3)等のLiBFq(Cs2s+14-q〔qは1〜3の整数、sは1〜8の整数〕で表される有機リチウム塩;LiB(C242で表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB);ハロゲン化された有機酸を配位子とするボレートのリチウム塩;LiBF2(C24)で表されるリチウムオキサラトジフルオロボレート(LiODFB);LiB(C3422で表されるリチウムビス(マロネート)ボレート(LiBMB);LiPF4(C24)で表されるリチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェート等の有機リチウム塩が挙げられる。
また、下記一般式(6a)、(6b)及び(6c)で表される有機リチウム塩を用いることもできる。
LiC(SO29)(SO210)(SO211) (6a)
LiN(SO2OR12)(SO2OR13) (6b)
LiN(SO214)(SO2OR15) (6c)
ここで、式中、R9、R10、R11、R12、R13、R14、及びR15は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
これらの有機リチウム塩は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられるが、構造上安定であることからホウ素原子を有する有機リチウム塩が好ましい。また、有機配位子を有する有機リチウム塩は、有機配位子が電気化学的な反応に関与してSolid Electrolyte Interface(SEI)と呼ばれる保護皮膜を電極表面に形成するため、正極を含めた内部抵抗の増加を抑制する観点から好ましい。そのような有機リチウム塩としては、具体的には、LiBOB、ハロゲン化された有機酸を配位子とするボレートのリチウム塩、LiODFB及びLiBMBが好ましく、LiBOB及びLiODFBが特に好ましい。
本実施形態の非水系電解液は、リチウムイオン以外の有機カチオン種とアニオン種とで形成される塩からなるイオン性化合物を更に含有してもよい。該イオン性化合物を本実施形態の非水系電解液に含有させると、電池の内部抵抗増加を更に抑制する効果がある。
イオン性化合物のカチオンとしては、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、ジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム等の四級アンモニウムカチオン;1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム等のイミダゾリウムカチオン;1−エチルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウム等のピリジニウムカチオン;1−メチル−1−プロピルピペリジニウム、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム等のピペリジニウムカチオン;1−エチル−1−メチルピロリジニウム、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム等のピロリジニウムカチオン;ジエチルメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム等のスルホニウムカチオン;四級ホスホニウムカチオンが挙げられる。これらのカチオンの中でも、電気化学的安定性の観点から、窒素原子を有するカチオンが好ましく、ピリジニウムカチオンがより好ましい。
イオン性化合物のアニオンとしては、上記カチオンの対イオンとして通常採用されるものであってもよく、例えば、BF4 -、PF6 -、N(SO2CF32 -、N(SO2252 -、SO3CF3 -が挙げられる。これらのアニオンの中でも、イオンの解離性や内部抵抗の増加抑制に優れるPF6 -が好ましい。
<1−4.添加剤>
本実施形態の非水系電解液には、電極を保護する添加剤が含有されていてもよい。本実施形態における添加剤としては、本発明による課題解決を阻害しないものであれば特に制限はなく、電解質塩を溶解する溶媒としての役割を担う物質、すなわち上記の非水系溶媒と実質的に重複してもよい。また、添加剤は、本実施形態の非水系電解液及び非水系二次電池の性能向上に寄与する物質であることが好ましいが、電気化学的な反応には直接関与しない物質をも包含し、1成分を単独で又は2成分以上を組み合わせて用いる。
添加剤の具体例としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、シス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、トランス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4,5,5−テトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4,5−トリフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンに代表されるフルオロエチレンカーボネート;ビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートに代表される不飽和結合含有環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンに代表されるラクトン;1,2−ジオキサンに代表される環状エーテル;メチルホルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルホルメート、エチルアセテート、エチルプロピオネート、エチルブチレート、n−プロピルホルメート、n−プロピルアセテート、n−プロピルプロピオネート、n−プロピルブチレート、イソプロピルホルメート、イソプロピルアセテート、イソプロピルプロピオネート、イソプロピルブチレート、n−ブチルホルメート、n−ブチルアセテート、n−ブチルプロピオネート、n−ブチルブチレート、イソブチルホルメート、イソブチルアセテート、イソブチルプロピオネート、イソブチルブチレート、sec−ブチルホルメート、sec−ブチルアセテート、sec−ブチルプロピオネート、sec−ブチルブチレート、tert−ブチルホルメート、tert−ブチルアセテート、tert−ブチルプロピオネート、tert−ブチルブチレート、メチルピバレート、n−ブチルピバレート、n−ヘキシルピバレート、n−オクチルピバレート、ジメチルオキサレート、エチルメチルオキサレート、ジエチルオキサレート、ジフェニルオキサレート、マロン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステルに代表されるカルボン酸エステル;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドに代表されるアミド;エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ペンテンサルファイト、スルホラン、3−メチルスルホラン、3−スルホレン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロパンジオール硫酸エステル、テトラメチレンスルホキシド、チオフェン1−オキシドに代表される環状硫黄化合物;モノフルオロベンゼン、ビフェニル、フッ素化ビフェニルに代表される芳香族化合物;ニトロメタンに代表されるニトロ化合物;シッフ塩基;シッフ塩基錯体;オキサラト錯体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の非水系電解液における添加剤の含有量について特に制限はないが、本実施形態の非水系電解液の全量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。本実施形態において、添加剤は高いサイクル性能の発現に寄与するが、一方で低温環境下における高出力性能への寄与は確認されていない。添加剤が多いほど本実施形態に係る電解液の劣化が抑えられるが、添加剤が少ないほど低温環境下における高出力特性が向上することになる。したがって、添加剤の含有量が上記の範囲内にあることによって、非水系二次電池としての基本的な機能を損なうことなく非水系電解液の高イオン伝導度に基づく優れた性能をより十分に発揮することができる。このような組成で電解液を作製することで、電解液のサイクル性能、低温環境下における高出力性能及びその他の電池特性の全てを一層良好なものとすることができる。
<1−5.ジニトリル化合物>
本実施形態の非水系電解液は、ジニトリル化合物、すなわち分子内にニトリル基を2つ有する化合物を更に含有してもよい。ジニトリル化合物は、電池缶や電極等、金属部分の腐食を低減する効果がある。その要因は、ジニトリル化合物を用いることにより、腐食の低減された金属部分の表面に腐食を抑制する保護皮膜が形成されるためと考えられる。ただし、作用効果を奏するメカニズムはこれに限定されない。
ジニトリル化合物は、本発明による課題解決を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、メチレン鎖を有するものが好ましく、そのメチレン鎖が1〜12であることがより好ましく、直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。ジニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,11−ジシアノウンデカン、1,12−ジシアノドデカン等の直鎖状ジニトリル化合物;テトラメチルスクシノニトリル、2−メチルグルタロニトリル、2,4−ジメチルグルタロニトリル、2,2,4,4−テトラメチルグルタロニトリル、1,4−ジシアノペンタン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジカルボニトリル、2,6−ジシアノヘプタン、2,7−ジシアノオクタン、2,8−ジシアノノナン、1,6−ジシアノデカン等の分枝状ジニトリル化合物;1,2−ジシアノベンゼン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン等の芳香族系ジニトリル化合物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の非水系電解液におけるジニトリル化合物の含有量は特に限定されないが、電解質塩を除いた非水系電解液に含まれる成分の全量に対して、0.01〜1mol/Lであることが好ましく、0.02〜0.5mol/Lであることがより好ましく、0.05〜0.3mol/Lであることが更に好ましい。ジニトリル化合物の含有量が上記の範囲内にあることによって、非水系二次電池としての基本的な機能を損なうことなくサイクル性能を一層良好なものとすることができる。
なお、ジニトリル化合物は、メチレン鎖が偶数個の場合に双極子モーメントが低い傾向にあるが、驚くべきことに奇数個の場合よりも高い添加効果が実験的に認められた。したがって、ジニトリル化合物は、下記一般式(7)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含むことが好ましい。
NC−(CR17182a−CN ・・・・・(7)
ここで、式(7)中、R17及びR18は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、aは1〜6の整数を示す。アルキル基は、炭素数1〜10のものであると好ましい。
<2.正極及び正極集電体>
正極は、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。そのような材料としては、例えば、下記一般式(8a)及び(8b)で表されるリチウム含有化合物、並びにトンネル構造及び層状構造の金属酸化物及び金属カルコゲン化物が挙げられる。なお、カルコゲン化物とは、硫化物、セレン化物、及びテルル化物をいう。
LixMO2 (8a)
Liy24 (8b)
ここで、式中、Mは少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の金属元素を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。
リチウム含有化合物としては、例えば、LiCoO2に代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO2、LiMn24、Li2Mn24に代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiO2に代表されるリチウムニッケル酸化物;LizMO2(MはNi、Mn、及びCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含み、Ni、Mn、Co、Al、及びMgからなる群より選ばれる2種以上の金属元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す)で表されるリチウム含有複合金属酸化物があげられる。
リチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであればよく、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸金属化合物、及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物(例えばLituSiO4、Mは上記式(8a)と同義であり、tは0〜1の数、uは0〜2の数を示す。)が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、特に、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる、少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の金属元素とを含む複合酸化物、並びにリン酸金属化合物が好ましい。
より具体的には、かかるリチウム含有化合物として、リチウムを有する金属酸化物またはリチウムを有する金属カルコゲン化物、及びリチウムを有するリン酸金属化合物が好ましく、例えば、それぞれ下記一般式(9a)、(9b)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、リチウムを有する金属酸化物及びリチウムを有する金属カルコゲン化物がより好ましい。
LivI2 (9a)
LiwIIPO4 (9b)
ここで、式中、Dは酸素またはカルコゲン元素、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。
上記一般式(9a)で表される化合物は一般に層状構造を有し、上記一般式(9b)で表される化合物は一般にオリビン構造を有する。これらの化合物において、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属元素の一部をAl、Mg、その他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたりしたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したものも挙げられる。更に、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものも挙げられる。
また、トンネル構造及び層状構造の、金属酸化物または金属カルコゲン化物としては、例えば、MnO2、FeO2、FeS2、V25、V613、TiO2、TiS2、MoS2及びNbSe2に代表されるリチウム以外の金属の酸化物、硫化物、セレン化物が例示される。
他の正極活物質としては、イオウ、並びにポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリピロールに代表される導電性高分子も例示される。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.05μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。正極活物質の数平均粒子径は湿式の粒子径測定装置(例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計、動的光散乱式粒度分布計)により測定することができる。あるいは、透過型電子顕微鏡にて観察した粒子100個をランダムに抽出し、画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)で解析し、その相加平均を算出することでも得られる。この場合、同じ試料に対して、測定方法間で数平均粒子径が異なる場合は、標準試料を対象として作成した検量線を用いてもよい。
正極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有スラリーを調製する。ここで、正極合剤含有スラリー中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。次いで、この正極合剤含有スラリーを正極集電体に塗布し、乾燥して正極活物質層を形成する。乾燥後に得られた正極活物質層をロールプレス等により圧縮することで正極合剤層が形成される。圧縮後の正極合剤厚さは10〜300μmであることが好ましく、20〜280μmであることがより好ましく、30〜250μmであることが更に好ましい。
導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは10nm〜10μm、より好ましくは20nm〜1μmであり、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム及びフッ素ゴムが挙げられる。また、溶剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いてよいが、例えば、N―メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水が挙げられる。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。また、カーボンコートが施されていたりメッシュ状に加工されていてもよい。正極集電体の厚みは5〜40μmであることが好ましく、7〜35μmであることがより好ましく、9〜30μmであることが更に好ましい。
<3.負極及び負極集電体>
負極は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては金属リチウムの他、例えば、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックに代表される炭素材料が挙げられる。これらのうち、コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体は、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。炭素材料には、炭素以外にも、O、B、P、N、S、Si、SiC、SiO、SiO2、B4C等の異種元素または異種化合物を含んでもよい。異種元素または異種化合物の含有量としては、0〜10質量%が好ましい。
更に、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料としては、リチウムと合金を形成可能な元素を含む材料も挙げられる。この材料は金属又は半金属の単体であっても合金であっても化合物であってもよく、また、これらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。
なお、本明細書において、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含める。また、合金が、その全体として金属の性質を有するものであれば非金属元素を有していてもよい。その合金の組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存する。
リチウムと合金を形成可能な金属元素及び半金属元素としては、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましく、特に好ましいのはリチウムを吸蔵及び放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるチタン、ケイ素及びスズである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)からなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムからなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタンの化合物、スズの化合物及びケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を有するものが挙げられ、チタン、スズ又はケイ素に加えて、上述の第2の構成元素を有していてもよい。
負極は、負極活物質として、0.4〜3V vs.Li/Li+の範囲でリチウムイオンを吸蔵することが可能な金属化合物を含有してもよい。このような金属化合物としては、例えば、金属酸化物、金属硫化物及び金属窒化物が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物(リチウムチタン含有複合酸化物)、タングステン酸化物(例えばWO3)、アモルファススズ酸化物(例えばSnB0.40.63.1)、スズ珪素酸化物(例えばSnSiO3)及び酸化珪素(SiO)が挙げられる。これらの中でも、チタン酸化物及びリチウムチタン酸化物が好ましい。
リチウムチタン酸化物としては、例えば、スピネル構造のチタン酸リチウム{例えばLi4+aTi512(aは充放電反応により−1≦a≦3の範囲で変化し得る)}、ラムスデライト構造のチタン酸リチウム{例えばLi2+bTi37(bは充放電反応により−1≦b≦3の範囲で変化し得る)}が挙げられる。
チタン酸化物としては、充放電前からLiを含むもの又は含まないもののいずれをも用いることができる。充放電前すなわち合成時にLiを含まないチタン酸化物としては、例えば、酸化チタン(例えばTiO2、H2Ti1225)、TiとP、V、Sn、Cu、Ni及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有するチタン複合酸化物が挙げられる。TiO2としては、アナターゼ型で熱処理温度が300〜500℃の低結晶性のものが好ましい。チタン複合酸化物としては、例えば、TiO2−P25、TiO2−V25、TiO2−P25−SnO2、TiO2−P25−MeO(MeはCu、Ni及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素)が挙げられる。チタン複合酸化物は、結晶性が低く、結晶相とアモルファス相とが共存した、又はアモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。このようなミクロ構造であることにより、サイクル性能を大幅に向上することができる。
充放電前からLiを含むもの、すなわち合成時からリチウムを含むチタン酸化物としては、例えば、LicTiO2(cは0≦c≦1.1)が挙げられる。
金属硫化物としては、例えば、硫化チタン(例えばTiS2)、硫化モリブデン(例えばMoS2)及び硫化鉄(例えば、FeS、FeS2、LigFeS2(gは0≦g≦1))が挙げられる。金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物(例えば、LidCoeN、0<d<4、0<e<0.5)が挙げられる。
本実施形態の非水系二次電池は、電池電圧を高められるという観点から、負極が、負極活物質として、リチウムイオンを0.4V vs.Li/Li+よりも卑な電位で吸蔵する材料を含有することが好ましい。そのような材料としては、例えば、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド及びカーボンブラックに代表される炭素材料の他、金属リチウム、金属酸化物、金属窒化物、リチウム合金、スズ合金、シリコン合金、金属間化合物、有機化合物、無機化合物、金属錯体、有機高分子化合物が挙げられる。
負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。負極活物質の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。
負極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤含有スラリーを調製する。ここで、負極合剤含有スラリー中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。次いで、この負極合剤含有スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥して負極活物質層を形成する。乾燥後に得られた負極活物質層をロールプレス等により圧縮することで負極合剤層が形成される。圧縮後の負極合剤厚さは10〜300μmであることが好ましく、20〜280μmであることがより好ましく、30〜250μmであることが更に好ましい。
導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは10nm〜10μm、より好ましくは20nm〜1μmであり、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。また、バインダーとしては、例えば、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム及びフッ素ゴムが挙げられる。また、溶剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いてよいが、例えば、N―メチルー2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水等が挙げられる。
負極集電体としては、例えば、銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。また、カーボンコートが施されていたりメッシュ状に加工されていてもよい。負極集電体の厚みは5〜40μmであることが好ましく、6〜35μmであることがより好ましく、7〜30μmであることが更に好ましい。
<4.セパレータ>
本実施形態の非水系二次電池は、正負極の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極と負極との間にセパレータを備えると好ましい。セパレータとしては、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様であってもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータとしては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。合成樹脂製微多孔膜としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、あるいは、これらのポリオレフィンを共に含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が好適に用いられる。不織布としては、セラミック製、ポリオレフィン製、ポリエステル製、ポリアミド製、液晶ポリエステル製、アラミド製など、耐熱樹脂製の多孔膜が用いられる。
セパレータは、1種の微多孔膜を単層又は複数積層したものであってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。
<5.電池外装>
本実施形態の非水系二次電池における電池外装は特に限定されないが、電池缶及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることもできる。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムからなる金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂/金属フィルム/樹脂の3層構成からなるラミネートフィルムを熱溶融樹脂側を内側に向けた状態で2枚重ねて端部をヒートシールにて封止したものを用いることができる。なお、ラミネートフィルム外装体を用いる場合、正極集電体及び負極集電体にそれぞれ正極端子(又は正極端子と接続するリードタブ)及び負極端子(又は負極端子と接続するリードタブ)を接続し、両端子(又はリードタブ)の端部が外装体の外部に引き出された状態でラミネートフィルム外装体を封止してもよい。
<6.電池の作製方法>
本実施形態の非水系二次電池は、上述の非水系電解液、正極と正極集電体とからなる正極体、負極と負極集電体とからなる負極体、及び必要に応じてセパレータを用いて、公知の方法により作製される。例えば、長尺の正極体と負極体とを、その間に長尺のセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形することができる。また、それらを一定の面積と形状とを有する複数枚のシートに切断して、交互に積層した複数の正極体シートと負極体シートとの間にセパレータシートが介在する積層構造の積層体に成形することができる。また、長尺のセパレータをつづら折にして、つづら折になったセパレータ同士の間に交互に正極体シートと負極体シートとを挿入して積層構造の積層体に成形することができる。
次いで、電池ケース(電池外装)内にその積層体を収容して、本実施形態に係る電解液を電池ケース内部に注液し、上記積層体を電解液に浸漬して封印することによって、本実施形態の非水系二次電池を作製することができる。
あるいは、非水系電解液を基材に含浸させることによって、ゲル状態の電解質膜を予め作製しておき、シート状の正極体、負極体、該電解質膜、及び必要に応じてセパレータを用いて、上述のように積層構造の積層体を形成した後、電池ケース内に収容して非水系二次電池を作製することもできる。
本実施形態の非水系二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、及びラミネート形などが好適に採用される。
本実施形態の非水系二次電池は、初回充電により電池として機能し得るが、初回充電の際に非水系電解液の一部が分解することにより安定化する。本実施形態における初回充電の方法について特に制限はないが、初回充電が0.001〜0.3Cで行われることが好ましく、0.002〜0.25Cで行われることがより好ましく、0.003〜0.2Cで行われることが特に好ましい。また、初回充電が定電圧充電を途中に経由して行われることも好ましい結果を与える。なお、定格容量を1時間で放電する定電流が1Cである。リチウム塩が電気化学的な反応に関与する電圧範囲を長く設定することによって、SEIが電極表面に形成され、正極を含めた内部抵抗の増加を抑制する効果がある。また、反応生成物が負極のみに強固に固定化されることなく、何らかの形で正極やセパレータ等、負極以外の部材にも良好な効果を与えるため、電解液に溶解したリチウム塩の電気化学的な反応を考慮して初回充電を行うことは非常に有効である。
本実施形態の非水系二次電池は、複数個を直列あるいは並列につないで電池パックとして使用することもできる。なお、電池パックの充放電状態を管理する観点から、1個あたりの使用電圧範囲は2〜5Vであることが好ましく、2.5〜5Vであることがより好ましく、2.75V〜5Vであることが特に好ましい。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、非水系二次電池の各種特性は下記のようにして測定、評価された。
(1)測定
(1−1)非水系電解液のイオン伝導度測定
非水系電解液をポリプロピレン製容器内で調製し、東亜ディーケーケー(株)製のイオン伝導度計「CM−30R」(商品名)に接続した東亜ディーケーケー(株)製のイオン伝導度測定用セル「CT−57101B」(商品名)を、非水系電解液が収容された上記容器に挿入し、25℃での非水系電解液のイオン伝導度を測定した。
(1−2)レドックスシャトル剤の酸化還元電位測定
アセトニトリルにレドックスシャトル剤を0.005mol/L、支持電解質として過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムを0.1mol/L溶解させ、測定直前まで窒素バブリングした。作用極としてグラッシーカーボン、参照電極としてAg/Ag+、対極としてPt wireを上記溶液に浸し、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス株式会社製、製品名「ALS610−2B」)に上記3本の電極を接続して、open circuit potential−timeで得られた値を初期電位とした。その後、電位掃引速度を0.1V/秒、掃引上限電位を1V、掃引下限電位を0Vに設定して、連続的に電位を変化させながら電極応答を取り出すサイクリックボルタンメトリー測定を行った。酸化電流が最大となる電位と還元電流が最大となる電位との平均値を酸化還元電位とした。なお、測定電位はフェロセン標準溶液の測定結果を用いてフェロセン基準に補正し、さらにリチウム基準(vs. Li/Li+)に換算した。
(2)電極作製
電極はそれぞれ以下のようにして作製した。
(2−1)正極体(P1)の作製
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウムとニッケル、マンガン及びコバルトとの複合酸化物(Ni/Mn/Co=1/1/1(元素比))と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物に溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して正極と正極集電体からなる正極体(P1)を得た。なお、正極体(P1)において得られた電極の乾燥後の合材について、塗工層の目付け量が120g/m2、密度が2.4g/cm3になるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
(2−2)正極体(P2)の作製
正極活物質としてLiFePO4と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、80:5:5:10の質量比で混合した。得られた混合物に溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分35質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して正極と正極集電体からなる正極体(P2)を得た。なお、正極体(P2)において得られた電極の乾燥後の合材について、塗工層の目付け量が144g/m2、密度が2.5g/cm3になるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
(2−3)負極体(N)の作製
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を、負極集電体となる厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して負極と負極集電体からなる負極体(N)を得た。なお、負極体(N)において得られた電極における真空乾燥後の合材について、塗工層の目付量が50g/m2±3%、密度が1.3g/cm3±3%になるように調整した。
(3)評価用電池作製
上述の方法により得られた電極と電解液とを組み合わせることにより、各種電池を作製した。具体的な作製方法を以下に示す。
上述のようにして得られた正極体(P1)又は正極体(P2)を直径16mmの円盤状に打ち抜いたものと、上述のようにして得られた負極体(N)を直径16mmの円盤状に打ち抜いたものとをポリエチレンからなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせて積層体を得た。その積層体をSUS製の円盤型電池ケースに挿入した。次いで、その電池ケース内に電解液を0.5mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉して25℃で24時間保持し、積層体に電解液を十分馴染ませて1C=3mAとなる小型非水系二次電池を得た。ここで、1Cとは満充電状態の電池を定電流で放電して1時間で放電終了となる電流値を意味する。正極体(P1)と負極体(N)を用いた場合には4.2Vの満充電状態から定電流で3.0Vまで放電して1時間で放電終了となる電流値を意味し、正極体(P2)と負極体(N)を用いた場合には3.6Vの満充電状態から定電流で2.5Vまで放電して1時間で放電終了となる電流値を意味する。
(4)評価
上述のようにして得られた評価用電池について、まず、下記(4−1)又は(4−2)の手順に従って、初回充放電処理を行った。次に、下記(4−3)に従って、それぞれの電池を評価した。なお、充放電はアスカ電子(株)製の充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製の恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。
(4−1)小型非水系二次電池の初回充放電処理(条件1)
正極体(P1)を用いた非水系二次電池においては、1/3Cに相当する定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で合計8時間充電を行った。その後、1/3Cに相当する定電流で3.0Vまで放電した。このときの電池の周囲温度は25℃に設定した。
(4−2)小型非水系二次電池の初回充放電処理(条件2)
正極体(P2)を用いた非水系二次電池においては、1/3Cに相当する定電流で充電して3.6Vに到達した後、3.6Vの定電圧で合計8時間充電を行った。その後、1/3Cに相当する定電流で2.5Vまで放電した。このときの電池の周囲温度は25℃に設定した。
(4−3)小型非水系二次電池の過充電評価(条件1)
正極体(P1)を用いた非水系二次電池においては、上記(4−1)に記載の方法で初回充放電処理を行った電池を用い、0.2Cに相当する定電流で計10時間充電(うち5時間分が過充電に該当)を行った。その後、1Cに相当する定電流で3.0Vまで放電した。次に、0.5Cに相当する定電流で計4時間充電(うち2時間分が過充電に該当)を行った。その後、1Cに相当する定電流で3.0Vまで放電した。最後に、1Cに相当する定電流で計2時間充電(うち1時間分が過充電に該当)を行った。その後、1Cに相当する定電流で3.0Vまで放電した。各回の過充電時の電圧上限値はそれぞれ4.5Vに設定し、所定の時間が経過する前に4.5Vに到達してしまった場合にはその回の過充電を終えて放電に移行するようにした。過充電時の電圧がレドックスシャトル剤の作動電圧で安定した場合をA、電圧が上昇しながらも所定の時間内には4.5Vに到達しなかった場合をB、所定の時間が経過する前に4.5Vに到達した場合をCと判定した。
(4−4)小型非水系二次電池の過充電評価(条件2)
正極体(P2)を用いた非水系二次電池においては、上記(4−2)に記載の方法で初回充放電処理を行った電池を用い、0.2Cに相当する定電流で計10時間充電(うち5時間分が過充電に該当)を行った。その後、1Cに相当する定電流で2.5Vまで放電した。次に、0.5Cに相当する定電流で計4時間充電(うち2時間分が過充電に該当)を行った。その後、1Cに相当する定電流で2.5Vまで放電した。最後に、1Cに相当する定電流で計2時間充電(うち1時間分が過充電に該当)を行った。その後、1Cに相当する定電流で2.5Vまで放電した。各回の過充電時の電圧上限値はそれぞれ5.0Vに設定し、所定の時間が経過する前に5.0Vに到達してしまった場合にはその回の過充電を終えて放電に移行するようにした。過充電時の電圧がレドックスシャトル剤の作動電圧で安定した場合をA、電圧が上昇しながらも所定の時間内には5.0Vに到達しなかった場合をB、所定の時間が経過する前に5.0Vに到達した場合をCと判定した。
[実施例1]
窒素雰囲気下において、200mL三口ナスフラスコに1.78gの2,5−ビス(tert−ブチル)ヒドロキノン、2.53gの炭酸カリウム、150μLのトリ−tert−ブチルアミン、25mLのアセトンを入れ、その後、4.27mLの2,2,2−トリフルオロエチルパーフルオロブチルスルホネートを2時間かけて滴下し、60℃にて24時間攪拌した。その後、40mLの水を加えて反応を停止させ、減圧濃縮にてアセトンを除去した。冷却後、吸引ろ過し、乾燥して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:n−ヘキサン=1:10(体積比))で精製し白色固体の目的物0.652g(収率21.1%)を得た。質量スペクトル、1H−NMRにて1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼンの生成を確認した。なお、同定結果は下記のとおりであった。
1H NMR(CDCl3,TMS,300MHz):δ(ppm)=1.367(s,18H,Ht-Bu),4.343(q,4H,J=8.1Hz,HCH2),6.738(s,2H,HPh
また、酸化還元電位を上記(1−2)に記載の方法で測定した結果、4.3Vだった。
アセトニトリルとビニレンカーボネートとエチレンサルファイトとを体積比で90.8:7.2:2.0になるように混合し、その混合液に、LiPF6を1mol/Lになるよう添加した。この混合液100質量部に対して1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼンを3質量部添加して非水系電解液1を作製した。得られた非水系電解液1のイオン伝導度を上記(1−1)に記載の方法で測定した結果は40mS/cmであった。
次に、非水系電解液1と正極体(P1)と負極体(N)とを用いて上記(3)に記載の方法で評価用電池を作製し、上記(4−1)に記載の方法で初回充放電処理を行った。その後、上記(4−3)に記載の方法で過充電評価を行った。結果を表1に示す。0.2C過充電時の電圧は4.2Vで安定した。0.5C過充電時の電圧は時間の経過と共に徐々に上昇したが、4.5Vには至らなかった。
[比較例1]
エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを体積比で1:2になるように混合し、その混合液に、LiPF6を1mol/Lになるよう添加した。この混合液100質量部に対してビニレンカーボネートを5質量部、1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼンを3質量部添加して非水系電解液2を作製した。得られた非水系電解液2のイオン伝導度を上記(1−1)に記載の方法で測定した結果は9mS/cmであった。
次に、非水系電解液2と正極体(P1)と負極体(N)とを用いて上記(3)に記載の方法で評価用電池を作製し、上記(4−1)に記載の方法で初回充放電処理を行った。その後、上記(4−3)に記載の方法で過充電評価を行った。結果を表1に示す。0.2C過充電時の電圧は4.2Vで安定したが、それ以外の過充電条件では、所定の時間が経過する前に電圧が4.5Vに到達してしまった。
[実施例2]
100mL二口ナスフラスコに1.11gの2,5−ビス(tert−ブチル)ヒドロキノンと25mLのN,N−ジメチルホルムアミドとを入れて混合した後、440mgのNaHを添加し、その後、3.68gのCH3Iを20分間かけて添加し、2時間攪拌した。反応液をジクロロメタン及び塩水により分液した後、水洗を経て有機溶媒を回収し、無水硫酸ナトリウムを添加して乾燥させた。減圧濃縮及び真空乾燥にて溶媒を除去後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:n−ヘキサン=1:4(体積比))で精製して白色固体の目的物1.25g(収率74.4%)を得た。質量スペクトル、1H−NMRにて1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビスメトキシベンゼンの生成を確認した。なお、同定結果は下記のとおりであった。
1H NMR(CDCl3,TMS,300MHz):δ(ppm)=1.363(s,18H,Ht-Bu),3.808(s,6H,HMe),6.829(s,2H,HPh
また、酸化還元電位を上記(1−2)に記載の方法で測定した結果、3.8Vだった。
アセトニトリルとビニレンカーボネートとエチレンサルファイトとを体積比で90.8:7.2:2になるように混合し、その混合液に、LiPF6を1mol/Lになるよう添加した。この混合液100質量部に対して1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビスメトキシベンゼンを2質量部添加して非水系電解液3を作製した。得られた非水系電解液3のイオン伝導度を上記(1−1)に記載の方法で測定した結果は41mS/cmであった。
次に、非水系電解液3と正極体(P2)と負極体(N)とを用いて上記(3)に記載の方法で評価用電池を作製し、上記(4−2)に記載の方法で初回充放電処理を行った。その後、上記(4−4)に記載の方法で過充電評価を行った。結果を表1に示す。全ての過充電条件において、電圧は3.8Vで安定した。
[比較例2]
エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを体積比で1:2になるように混合し、その混合液に、LiPF6を1mol/Lになるよう添加した。この混合液100質量部に対してビニレンカーボネートを5質量部、1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビスメトキシベンゼンを2質量部添加して非水系電解液4を作製した。得られた非水系電解液4のイオン伝導度を上記(1)に記載の方法で測定した結果は9mS/cmであった。
次に、非水系電解液4と正極体(P2)と負極体(N)とを用いて上記(3)に記載の方法で評価用電池を作製し、上記(4−2)に記載の方法で初回充放電処理を行った。その後、上記(4−4)に記載の方法で過充電評価を行った。結果を表1に示す。0.2C過充電時の電圧は3.8Vで安定したが、それ以外の過充電条件では、所定の時間が経過する前に電圧が5.0Vに到達してしまった。
[実施例3]
アセトニトリルとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとビニレンカーボネートとを体積比で15:20:50:10になるように混合し、その混合液に、LiBOBを0.5mol/Lになるよう添加した。この混合液100質量部に対して1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビスメトキシベンゼンを2質量部添加して非水系電解液5を作製した。得られた非水系電解液5のイオン伝導度を上記(1−2)に記載の方法で測定した結果は16mS/cmであった。
次に、非水系電解液5と正極体(P2)と負極体(N)とを用いて上記(3)に記載の方法で評価用電池を作製し、上記(4−2)に記載の方法で初回充放電処理を行った。その後、上記(4−4)に記載の方法で過充電評価を行った。結果を表1に示す。0.2C過充電時の電圧は3.8Vで安定した。0.5C過充電時の電圧は時間の経過と共に徐々に上昇したが、5.0Vには至らなかった。
Figure 2013232326
本発明の非水系二次電池は、例えば、携帯電話、携帯オーディオ、パソコン、ICタグなどの携帯機器に加え、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車などの自動車用充電池、さらには住宅用蓄電システムとしての利用も期待される。
100…リチウムイオン二次電池、110…セパレータ、120…正極、130…負極、140…正極集電体、150…負極集電体、160…電池外装。

Claims (6)

  1. 電解質塩と非水系溶媒とを含有する電解液と、正極と、負極とを含む非水系二次電池であって、前記電解液は、可逆性酸化還元電位を有するレドックスシャトル剤を含有し、かつ、前記電解液の25℃におけるイオン伝導度が10mS/cm以上である非水系二次電池。
  2. 前記電解液の25℃におけるイオン伝導度が50mS/cm以下である、請求項1に記載の非水系二次電池。
  3. 前記レドックスシャトル剤の分子量が100〜500である、請求項1又は2に記載の非水系二次電池。
  4. 前記レドックスシャトル剤が、下記一般式(1)で表される化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系二次電池。
    Figure 2013232326
    (式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で表される置換基は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフッ素置換アルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は炭素数1〜4のフッ素置換アルコキシ基であり、それらの置換基のうち2つ以上は、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のフッ素置換アルコキシ基である。)
  5. 前記非水系溶媒はニトリル系溶媒を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系二次電池。
  6. 前記ニトリル系溶媒はアセトニトリルを含む、請求項5に記載の非水系二次電池。
JP2012103526A 2012-04-27 2012-04-27 非水系二次電池 Active JP5977573B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012103526A JP5977573B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 非水系二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012103526A JP5977573B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 非水系二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013232326A true JP2013232326A (ja) 2013-11-14
JP5977573B2 JP5977573B2 (ja) 2016-08-24

Family

ID=49678599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012103526A Active JP5977573B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 非水系二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5977573B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015103408A (ja) * 2013-11-26 2015-06-04 日立マクセル株式会社 リチウム二次電池
WO2016088686A1 (ja) * 2014-12-05 2016-06-09 日本電気株式会社 二次電池、電動車両、蓄電システム
JP2018505512A (ja) * 2015-09-28 2018-02-22 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトWacker Chemie AG リチウムイオン電池用電解質成分としてのニトリルおよびアミン
JP2018523270A (ja) * 2015-06-22 2018-08-16 ソウルブレイン シーオー., エルティーディー. リチウム二次電池用電解質及びこれを含むリチウム二次電池
CN110383564A (zh) * 2017-03-17 2019-10-25 旭化成株式会社 非水系电解液、非水系二次电池、电池包和混合动力系统
WO2021241762A1 (ja) 2020-05-29 2021-12-02 旭化成株式会社 非水系電解液、セルパック、及びセルパックの製造方法
JP2022108831A (ja) * 2021-01-14 2022-07-27 株式会社豊田中央研究所 非水系二次電池の不活性化剤及び非水系二次電池の不活性化方法
EP3998657A4 (en) * 2019-09-13 2022-11-02 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha ANHYDROUS ELECTROLYTE SOLUTION AND SECONDARY BATTERY WITH ANHYDROUS ELECTROLYTE
US11532839B2 (en) 2017-03-17 2022-12-20 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Non-aqueous secondary battery
WO2024082291A1 (zh) * 2022-10-21 2024-04-25 宁德时代新能源科技股份有限公司 锂离子电池和用电装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000251932A (ja) * 1999-02-24 2000-09-14 Sony Corp 非水電解質二次電池
JP2002141109A (ja) * 2000-11-02 2002-05-17 Sanyo Electric Co Ltd 非水系電解液
JP2003217652A (ja) * 2002-01-18 2003-07-31 Mitsubishi Chemicals Corp 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池
JP2005521257A (ja) * 2002-03-21 2005-07-14 エプコス アクチエンゲゼルシャフト 電解液およびその使用
JP2007531970A (ja) * 2004-04-01 2007-11-08 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 再充電可能なリチウム−イオンバッテリーの過放電保護のためのレドックスシャトル
JP2009514149A (ja) * 2005-10-24 2009-04-02 エルジー・ケム・リミテッド レドックスシャトル剤の寿命減少抑制剤、これを含む非水電解液及び二次電池
JP2011512014A (ja) * 2008-02-12 2011-04-14 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 高電圧用カソードのためのレドックスシャトル

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000251932A (ja) * 1999-02-24 2000-09-14 Sony Corp 非水電解質二次電池
JP2002141109A (ja) * 2000-11-02 2002-05-17 Sanyo Electric Co Ltd 非水系電解液
JP2003217652A (ja) * 2002-01-18 2003-07-31 Mitsubishi Chemicals Corp 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池
JP2005521257A (ja) * 2002-03-21 2005-07-14 エプコス アクチエンゲゼルシャフト 電解液およびその使用
JP2007531970A (ja) * 2004-04-01 2007-11-08 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 再充電可能なリチウム−イオンバッテリーの過放電保護のためのレドックスシャトル
JP2009514149A (ja) * 2005-10-24 2009-04-02 エルジー・ケム・リミテッド レドックスシャトル剤の寿命減少抑制剤、これを含む非水電解液及び二次電池
JP2011512014A (ja) * 2008-02-12 2011-04-14 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 高電圧用カソードのためのレドックスシャトル

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015079893A1 (ja) * 2013-11-26 2015-06-04 日立マクセル株式会社 リチウム二次電池
JP2015103408A (ja) * 2013-11-26 2015-06-04 日立マクセル株式会社 リチウム二次電池
WO2016088686A1 (ja) * 2014-12-05 2016-06-09 日本電気株式会社 二次電池、電動車両、蓄電システム
JPWO2016088686A1 (ja) * 2014-12-05 2017-09-14 日本電気株式会社 二次電池、電動車両、蓄電システム
JP2018523270A (ja) * 2015-06-22 2018-08-16 ソウルブレイン シーオー., エルティーディー. リチウム二次電池用電解質及びこれを含むリチウム二次電池
US10720665B2 (en) 2015-06-22 2020-07-21 Soulbrain Co., Ltd. Lithium secondary battery including a perfluoro nitrile compound
JP2018505512A (ja) * 2015-09-28 2018-02-22 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトWacker Chemie AG リチウムイオン電池用電解質成分としてのニトリルおよびアミン
CN110383564B (zh) * 2017-03-17 2022-09-20 旭化成株式会社 非水系电解液、非水系二次电池、电池包和混合动力系统
CN110383564A (zh) * 2017-03-17 2019-10-25 旭化成株式会社 非水系电解液、非水系二次电池、电池包和混合动力系统
US11532839B2 (en) 2017-03-17 2022-12-20 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Non-aqueous secondary battery
US11515567B2 (en) 2017-03-17 2022-11-29 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Non-aqueous electrolyte solution, non-aqueous secondary battery, cell pack, and hybrid power system
EP3998657A4 (en) * 2019-09-13 2022-11-02 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha ANHYDROUS ELECTROLYTE SOLUTION AND SECONDARY BATTERY WITH ANHYDROUS ELECTROLYTE
US11843092B2 (en) 2019-09-13 2023-12-12 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Nonaqueous electrolyte solution and nonaqueous electrolyte secondary battery
CN114287077A (zh) * 2020-05-29 2022-04-05 旭化成株式会社 非水系电解液、电池包和电池包的制造方法
EP3998664A4 (en) * 2020-05-29 2022-10-12 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha NON-AQUEOUS ELECTROLYTIC SOLUTION, CELL BLOCK AND METHOD FOR MAKING CELL BLOCK
KR20220035219A (ko) 2020-05-29 2022-03-21 아사히 가세이 가부시키가이샤 비수계 전해액, 셀 팩 및 셀 팩의 제조 방법
JP7016460B1 (ja) * 2020-05-29 2022-02-04 旭化成株式会社 非水系電解液、セルパック、及びセルパックの製造方法
WO2021241762A1 (ja) 2020-05-29 2021-12-02 旭化成株式会社 非水系電解液、セルパック、及びセルパックの製造方法
JP2022108831A (ja) * 2021-01-14 2022-07-27 株式会社豊田中央研究所 非水系二次電池の不活性化剤及び非水系二次電池の不活性化方法
JP7447830B2 (ja) 2021-01-14 2024-03-12 株式会社豊田中央研究所 非水系二次電池の不活性化剤及び非水系二次電池の不活性化方法
WO2024082291A1 (zh) * 2022-10-21 2024-04-25 宁德时代新能源科技股份有限公司 锂离子电池和用电装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5977573B2 (ja) 2016-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5977573B2 (ja) 非水系二次電池
JP6120772B2 (ja) 非水系二次電池
JP6258584B2 (ja) 非水系電解液及び非水系二次電池
CN107431247B (zh) 非水系电解液和非水系二次电池
JP7019062B2 (ja) 非水系電解液及び非水系二次電池
JP6868969B2 (ja) 非水系二次電池とそれに用いられる非水系電解液
JP6767151B2 (ja) 非水系電解液及び非水系二次電池
JP6796445B2 (ja) 非水系二次電池
JP2015065050A (ja) 非水系電解液及び非水系二次電池
JP2015072863A (ja) 非水電解液、リチウムイオン二次電池用電解液、及びリチウムイオン二次電池
JP5931572B2 (ja) 非水系二次電池用レドックスシャトル剤、非水系二次電池用電解液及び非水系二次電池
JP6564336B2 (ja) 非水系電解液及び非水系二次電池
JP2021111586A (ja) 非水系電解液及び非水系二次電池
JP4855331B2 (ja) リチウムイオン二次電池
WO2022203072A1 (ja) 非水系電解液及び非水系二次電池
JP2016192377A (ja) イオン伝導性ポリマー電解質
EP3605698A1 (en) New components for electrolyte compositions
JP2020114784A (ja) ホウ酸リチウム組成物、リチウム二次電池用添加剤、ホウ酸リチウム組成物の製造方法、リチウム二次電池用非水電解液、リチウム二次電池
EP3605699A1 (en) New components for electrolyte compositions
JP6562690B2 (ja) イオン伝導性ゲル電解質
JP2015065049A (ja) 非水系電解液及び非水系二次電池
JP2018060692A (ja) 非水系二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150414

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160421

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160617

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160722

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5977573

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350