JPWO2016088686A1 - 二次電池、電動車両、蓄電システム - Google Patents

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Abstract

この二次電池は、電池要素と、当該電池要素を非水電解質とともに収容する外装体とを備え、前記非水電解液はレドックスシャトル剤を含有している。ここで、電池の表面積をS(m2)、過充電時の電池温度をT(℃)、外部温度をT0(℃)、レドックスシャトル剤が追従可能な最大電流をI(A)、レドックスシャトル剤が反応している時のセル電圧をV(V)、空気の熱伝達率をh(W/K・m2)、電池の熱容量をC(J/K)、過充電時間をt(min)としたときに、下記式で、電池温度Tが前記セパレータのシャットダウン温度Tsに達するまでの時間t1が5<t1<30(min)となるように、各パラメータが設定されている:T=T0+IV/hS{1−exp(−hS/C・t)}。

Description

本発明は、二次電池に関し、特に、レドックスシャトル剤を用いる電池において安全性をより向上させた二次電池等に関する。
リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高い、自己放電が小さい、長期信頼性に優れる等の利点により、ノート型パソコンや携帯電話などの電池としてすでに実用化されている。しかし、近年では電子機器の高機能化や電気自動車への利用が進み、よりエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池の開発が求められている。
エネルギー密度が高いセルを実現するためには、例えばNCA(リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物)やLNO(リチウムニッケル酸化物)などの正極を用いることが有効である。しかしながら、これらの正極は過充電や高温時等に酸素放出を伴い熱暴走を起こす可能性がある。過充電時の安全性を担保する技術の一つとして、従来、レドックスシャトル剤を用いるものが提案されている。
レドックスシャトル剤を利用した過充電防止のメカニズムは概略次のとおりである。すなわち、セルの通常使用電圧より高電圧で反応するレドックスシャトル剤を電解液に添加しておくことで、過充電時にセル電圧が上昇した際、レドックスシャトル剤が電流を消費することとなり、これにより活物質が過充電状態になることが防止されるというものである。こうしたレドックスシャトル剤による過充電防止機構を利用した二次電池としては、一例で特許文献1のようなものが挙げられる。
特開2000−277147号公報
ところで、レドックスシャトル剤が消費可能な電流レートには上限があり、それを越える電流密度で過充電が行われた場合には安全性を担保することができない可能性もある。この点に関し、本発明者らは、レドックスシャトル剤が追従できないような過充電レートにおいて、セパレータのシャットダウンを利用することで更なる安全性を担保しうる点に着目した。すなわち、電池のエネルギー密度、熱容量、表面積が電池の放熱性能に大きく影響することに着目し、過充電時における、経過時間と電池温度上昇の関係を十分に考慮しつつ、効率的にレドックスシャトル剤の作動およびセパレータのシャットダウンを行わせるようにすることが、安全性の更なる向上の点で重要であることを見出した。
そこで本発明の目的は、レドックスシャトル剤を用いる二次電池において安全性をより向上させた二次電池、電動車両、蓄電システムを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一形態に係る二次電池は、
正極、負極、およびセパレータを有する電池要素と、
当該電池要素を非水電解質とともに収容する外装体と、を備え、
前記非水電解液はレドックスシャトル剤を含有し、
電池の表面積をS(m)、
過充電時の電池温度をT(℃)、
外部温度をT(℃)、
レドックスシャトル剤が追従可能な最大電流をI(A)、
レドックスシャトル剤が反応している時のセル電圧をV(V)、
空気の熱伝達率をh(W/K・m)、
電池の熱容量をC(J/K)、
過充電時間をt(min)、としたときに、
下記式で、電池温度Tが前記セパレータのシャットダウン温度Tsに達するまでの時間tが5<t<30(min)となるように、各パラメータが設定されていることを特徴とする。
(用語の説明)
「フィルム外装電池」とは、電池要素を電解液とともにフィルム外装体に収容した電池のことをいい、一般的には、全体として偏平な形状をしている。例えば電動車両用の電池では、容量が大きいこと、内部抵抗が低いこと、放熱性が高いこと等が要求されるところ、フィルム外装電池はこれらの点で有利である。1つのフィルム外装電池を「電池セル」または単に「セル」を称することもある。
「フィルム外装体」とは、可撓性を有するフィルムで構成され電池要素を収容する外装体のことをいい、2枚のフィルムを対向配置して互いに溶着することにより電池要素を密閉するものであってもよいし、1枚のフィルムを折り返して対向した面どうしを溶着することにより電池要素を密閉するものであってもよい。
「レドックスシャトル剤」とは、正極電位がレドックスシャトル剤の反応電位を越えると反応が開始し、正極電位がレドックスシャトル剤の反応電位より高くなることを抑制する化合物である。
本発明によれば、レドックスシャトル剤を用いる二次電池において安全性をより向上させた二次電池等を提供できる。
本発明の一形態のフィルム外装電気デバイス(二次電池)の斜視図である。 図1の電池の断面の一部を示す断面図である。 過充電時のフィルム外装電池の温度上昇特性のカーブの一例である。 本実施形態の電池の遮断機能を示すフローチャートである。 蓄電システムの模式図である。 電動車両の模式図である。 他の形態の電池の構成例を模式的に示す断面図である。 さらに他の形態に係る電池の構成例を模式的に示す断面図である。 別の形態の電池の構成例を模式的に示す断面図である。
1.フィルム外装電池の基本的な構成
本発明の一形態に係るフィルム外装電池50は、図1、図2に示すように、電池要素20と、それを非水電解質とともに収容するフィルム外装体10と、電池要素20に接続されるとともにフィルム外装体10の外部に引き出された正極タブ21および負極タブ25(以下、これらを単に「電極タブ」ともいう)とを備えている。
電池要素20は、それぞれ電極材料が両面に塗布された金属箔からなる複数の正極と複数の負極とがセパレータを間に挟んで交互に積層されたものである。電池要素20の全体的な外形は、特に限定されるものではないが、この例では偏平な略直方体である。
詳細な図示は省略するが、正極および負極はそれぞれ外周の一部に部分的に突出した延長部を有している。正極の延長部と負極の延長部とは、正極および負極を積層したときに互いに干渉しないように位置をずらして互い違いに配置されている。すべての負極の延長部は一つに集められて負極タブと接続され、同様に、正極に関しても、すべての正極の延長部が一つに集められて正極タブと接続される。電極タブと延長部との接続は溶接によって行なわれてもよい。なお、このように延長部どうし積層方向に1つに集められた部分は「集電部」などとも呼ばれる。集電部に接続される電極タブ21、25としては種々の材質を採用しうるが、一例として、正極タブ21がアルミニウムまたはアルミニウム合金で、負極タブ25が銅またはニッケルである。負極タブ25の材質が銅の場合、表面にニッケルめっきが施されてもよい。
電池要素の各要素に関しては、具体的には以下のようなものを採用してもよい。
<セパレータ>
セパレータとしては、有機材料からなるウェブおよびシート、例えば、セルロースなどの織布、不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリイミド、多孔性ポリフッ化ビニリデン膜等の多孔性ポリマー膜、またはイオン伝導性ポリマー電解質膜等を用いることができる。これらは単独または組み合わせで使用することができる。
セパレータとしては、その温度が120℃〜170℃となったときにイオンの移動を遮断するシャットダウン機構を有するものであることが好ましい。一例として、シャットダウン温度が130℃程度のポリエチレンや、シャットダウン温度が160℃程度のポリプロピレンからなる多孔質ポリマー膜が使用できる。
また、セパレータと、それ以外のセパレータを組み合わせて使用することができる。それ以外のセパレータとして、セラミックやガラスなどの無機材料からなるセパレータを使用することもできる。
無機セパレータとしては、アルミナ、アルミナ−シリカ、チタン酸カリウム等のセラミック短繊維からなる不織布セパレータ;織物、不織布、紙または多孔質のフィルムからなる基材と耐熱性含窒素芳香族重合体およびセラミック粉末を含む層とからなるセパレータ;表面の一部に耐熱層が設けられており、この耐熱層が、セラミック粉末を含有する多孔質薄膜層、耐熱性樹脂の多孔質薄膜層、またはセラミック粉末と耐熱性樹脂の複合体からなる多孔質薄膜層セパレータ;セラミック物質の1次粒子の一部が焼結もしくは溶解再結晶結合されてなる2次粒子がバインダーによって結合されてなる多孔膜の層を備えるセパレータ;セラミックス物質とバインダーが結合して形成される多孔性膜を含み、セラミックス物質として、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、チタン酸化物(TiO)、シリコン(Si)の窒化物、アルミニウム(Al)の水酸化物、ジルコニウム(Zr)のアルコキシド化物、またはチタン(Ti)のケトン化合物を用いたセパレータ;および、ポリマー基材と、このポリマー基材に形成されたAl、MgO、TiO、Al(OH)、Mg(OH)、Ti(OH)のセラミック含有コーティング層を含むセパレータなどが挙げられる。また、ポリオレフィン多孔質膜から成る基材層内に耐熱化性セラミックス粒子を分散させたセパレータも使用することができる。
<負極>
負極は、金属箔で形成される負極集電体と、負極集電体の両面に塗工された負極活物質とを有する。負極活物質は負極用結着材によって負極集電体を覆うように結着される。負極集電体は、負極端子と接続する延長部を有して形成され、この延長部には負極活物質は塗工されない。
本実施形態における負極活物質は、特に制限されるものではなく、例えば、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料、リチウムと合金可能な金属、およびリチウムイオンを吸蔵、放出し得る金属酸化物等が挙げられる。
炭素材料としては、例えば、炭素、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い炭素は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
金属や金属酸化物を含有する負極は、エネルギー密度を向上でき、電池の単位重量あたり、あるいは単位体積あたりの容量を増やすことができる点で好ましい。
金属としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、負極活物質として酸化スズ若しくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンは、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素およびイオウの中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。
また、負極活物質は、単独の材料を用いずに、複数の材料を混合して用いることもできる。例えば、黒鉛と非晶質炭素のように、同種の材料同士を混合しても良いし、黒鉛とシリコンのように、異種の材料を混合しても構わない。
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸等を用いることができる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜25質量部が好ましい。
負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
<正極>
正極は、金属箔で形成される正極集電体と、正極集電体の両面に塗工された正極活物質とを有する。正極活物質は正極用結着剤によって正極集電体を覆うように結着される。正極集電体は、正極端子と接続する延長部を有して形成され、この延長部には正極活物質は塗工されない。
正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物を含むことが好ましい。高容量の化合物としては、リチウム酸ニッケル(LiNiO)またはリチウム酸ニッケルのNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(A)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1−x) (A)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(A)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0≦α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0≦α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(A)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0≦α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
また、式(A)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1〜1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(A)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
また、ラジカル材料等を正極活物質として用いることも可能である。
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものと用いることができる。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2〜15質量部が好ましい。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、又はそれらの合金を用いることができる。正極集電体の形状としては、例えば、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。正極集電体としては、アルミニウム箔を好適に用いることができる。
正極活物質の塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
<電解液>
本実施形態で用いる電解液は、リチウム塩(支持塩)と、この支持塩を溶解する非水溶媒を含む非水電解液を用いることができる。
非水溶媒としては、炭酸エステル(鎖状又は環状カーボネート)、カルボン酸エステル(鎖状又は環状カルボン酸エステル)、リン酸エステル等の非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
炭酸エステル溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体が挙げられる。
カルボン酸エステル溶媒としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の炭酸エステル(環状または鎖状カーボネート類)が好ましい。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
また、非水電解液に含有できる溶媒としては、その他にも、例えば、エチレンサルファイト(ES)、プロパンサルトン(PS)、ブタンスルトン(BS)、Dioxathiolane−2,2−dioxide(DD)、スルホレン、3−メチルスルホレン、スルホラン(SL)、無水コハク酸(SUCAH)、無水プロピオン酸、無水酢酸、無水マレイン酸、ジアリルカーボネート(DAC)、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、フラン、2,5−ジメチルフラン、ジフェニルジサルファイド(DPS)、ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン、クロロエチレンカーボネート、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、フェニルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、テトラヒドロピラン(THP)、1,4−ジオキサン(DIOX)、1,3−ジオキソラン(DOL)、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルジフルオロアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、メチルフォルメイト、エチルフォルメイト、エチルブチレート、イソプロピルブチレート、メチルイソブチレート、メチルシアノアセテート、ビニルアセテート、ジフェニルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、アジポニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、イソブチロニトリル、ビフェニル、チオフェン、メチルエチルケトン、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、カーボネート電解液、グライム、エーテル、アセトニトリル、プロピオンニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)イオン液体、ホスファゼン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、又は、これらの化合物の一部の水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。
本実施形態における支持塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等の通常のリチウムイオン電池に使用可能なリチウム塩を用いることができる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
非水溶媒は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
<レドックスシャトル剤>
レドックスシャトル剤としては、非水電解質中に均一に溶解もしくは分散し得る化合物であって、正極活物質の通常使用する最大の(SOC100%の)電位よりも高い酸化電位を有する化合物を用いることができる。
レドックスシャトル剤は正極活物質の使用する最大の電位に応じて適宜選択することが好ましい。レドックスシャトル剤の酸化電位は、正極の最大電位より0.1〜2V高いことが好ましく、0.2〜1V高いことが更に好ましい。
レドックスシャトル剤の酸化電位が上記の範囲内にある場合、二次電池を通常の電圧で動作させている時にはレドックスシャトル剤の反応を抑制することができ、かつ過充電などの異常時には速やかにレドックスシャトル剤が反応し、二次電池の動作を停止させることができる。
レドックスシャトル剤としては、芳香族化合物、複素環錯体、フェロセン等のメタロセン錯体、Ce化合物、ラジカル化合物などが挙げられる。また、レドックスシャトル剤は一種のみを単独で用いることもでき、または二種以上を組み合わせて用いることもできる。
具体的な化合物としては、例えば、3,4−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、1−メトキシ−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼン、2,3,5,6−テトラフルオロアニソール、4−(トリフルオロメトキシ)アニソール、3,4−ジメトキシベンゾニトリル、1,2,3,4−テトラクロロ−5,6−ジメトキシベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロ−3,6−ジメトキシベンゼン4−フルオロ−1,2−ジメトキシベンゼン、4−ブロモ−1,2−ジメトキシベンゼン、2−ブロモ−1,4−ジメチルベンゼン、1−ブロモ−3−フルオロ−4−メトキシベンゼン、2−ブロモ−1,3−ジフルオロ−5−メトキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−1,2−ジメトキシベンゼン、2,5−ジフルオロ−1,4−ジメトキシベンゼン、1,2,3,4−テトラクロロ−5,5−ジメトキシシクロペンタジエン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、1,2,3−トリメトキシベンゼン、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジメトキシベンゼン、4−tert−ブチル−1,2−ジメトキシベンゼン、1,4−ジテトラブチル−2,5−トリフルオロメトキシベンゼン、1,2−ジテトラブチル−4,5−トリフルオロメトキシベンゼン、等の1つ以上の電子吸引性もしくは電子供与性の置換基を有する単素環式化合物;4−クロロ−1,2−メチレンジオキシベンゼン、4−ブロモ−1,2−メチレンジオキシベンゼン、3,4−メチレンジオキシベンゾニトリル、4−ニトロ−1,2−メチレンジオキシベンゼン、2−クロロ−5−メトキシピラジン等の複素環式化合物;ニトロキシルラジカル化合物等のラジカル化合物;硝酸セリウム等のセリウム化合物;フェロセン錯体等のメタロセン錯体;等のうち、1種または2種以上を混合して用いることができる。
なかでも、1つ以上のアルコキシ基を有する芳香族化合物(メトキシベンゼン類やジメトキベンゼン類)を好ましく用いることができる。これらの化合物は、酸化反応により生じる酸化体の化学的安定性が優れているため、副反応等で電池性能が低下することを抑制し得る。また、ハロゲン原子を有する化合物をより好ましく用いることができる。このような化合物は、酸化電位が高く、より酸化還元電位の高い正極、すなわちより高エネルギー密度の二次電池に適用することができる。
2.過充電時間と電池温度上昇の関係
フィルム外装電池では、過充電時の電池の温度上昇特性は、例えば図3のようなカーブで表わすことができる。図3において、横軸は過充電開始からの経過時間(min)であり、縦軸は電池温度(℃)である。なお、本発明自体はフィルム外装電池に限らず他のタイプの二次電池にも適用し得るものである。
ここで、上述したようにセパレータのシャットダウン温度は例えば120℃〜170℃程度であるところ、シャットダウンまでの時間t(すなわち電池温度がセパレータのシャットダウン温度に到達するまでの時間)が長すぎると、正極の熱暴走が起きてしまう可能性がある。したがって、この時間tとしては、時間t≦30(min)であることが好ましい。
一方、シャットダウンまでの時間tが短すぎると、電池の通常使用時(通常の充放電時)にもシャットダウン機構が作動してしまう可能性がある。したがって、この時間tとしては、5(min)≦時間tであることが好ましい。
フィルム外装電池は偏平な形状を有しており、その表面積が、電池の温度上昇特性を定める1つの重要なパラメータとなる。表面積が大きければ電池の放熱性が高いということになり、温度上昇のカーブは比較的緩やかになり、表面積が小さければ放熱性が低いということになり、温度上昇のカーブは比較的急なものとなるためである。
フィルム外装電池の表面積をはじめとする各パラメータを所定の範囲に設定して電池の放熱性を適宜コントロールすることで、所望のタイミングでセパレータのシャットダウンを引き起こさせることができるものとなる。
本実施形態では、フィルム外装電池の温度上昇を近似する次のような式に基づき、電池セルの放熱性と、セパレータがシャットダウンするまでの時間等の関係を規定する。
ここで、
T(℃):電池温度
(℃):外部温度
I(A):レドックスシャトル剤が追従可能な最大電流
V(V):レドックスシャトル剤が反応している時のセル電圧
h(W/K・m):空気の熱伝達率
S(m):電池の表面積
C(J/K):電池の熱容量
t:過充電時間
である。
なお、「電池温度」とは、ここでは外装体の表面温度である。例えば、これは、外装体表面に熱電対を貼り付けて測定できる温度である。
「外部温度」とは、過充電試験を行う環境(例えば恒温槽内)の温度のことをいう。
「レドックスシャトル剤が追従可能な最大電流(I)」は、次のような電流のことをいう。すなわち、セルに所定の電流を流したとき、電圧が所定の値に収束した場合、レドックスシャトル剤が電流をすべて消費していると考えることができる。したがって、この試験を電流値を変化させながら行っていき、電圧が一定値に収束しなくなる(継続的に増加する)電流値が、シャトル剤の追従可能な最大電流ということになる。
「レドックスシャトル剤が反応している時のセル電圧(V)」とは、次のような電圧のことをいう。すなわち、上記のようにレドックスシャトル剤が電流に追従できている間はセル電圧が所定の値に収束することとなるが、このときの電圧が「レドックスシャトル剤が反応している時のセル電圧(V)」である。
「空気の熱伝達率(h)」は、流体(ここでは空気)の熱伝導率(物質固有の値)と流速によって決まる、熱の伝わりやすさを表す値である。
「電池の表面積(S)」とは、電池と空気の接触面積のことをいう。
「電池の熱容量(C)」とは、次のように求められる熱容量のことをいう。すなわち、断熱された容器に水を入れておき、そこに、温めた電池(例えば45℃)を入れ、温度を一定値に収束させる。この時の温度変化と、容器中の水の熱容量から、電池の熱容量を算出することができる。水の熱容量をC1、水の温度をT1、電池の熱容量をC、温めた電池の温度をT2、収束した先の温度をT3とすると、
C=C1×(T3−T1)/(T2−T3)と算出できる。
「過充電時間」とは、セル電圧が上記の電圧Vに到達してからの時間のことをいう。
上記式において、電池温度Tが前記セパレータのシャットダウン温度Tsに達するまでの時間tが、5≦t≦30(min)となるように、電池の表面積S等のパラメータが設定されていることが好ましい。幾つかのシミュレーション例については、後述するものとする。
上記のように構成されたフィルム外装電池によれば、過充電状態で電池の電圧がレドックスシャトル剤の反応が開始する電圧に達すると、レドックスシャトル剤が作動し始めて所定量のエネルギーの消費が開始される(図4も参照)。
そしてさらに過充電状態が続き、電池温度Tが前記セパレータのシャットダウン温度Tsに達すると、セパレータのシャットダウンが起こる。この際、本実施形態の電池によれば、セパレータのシャットダウンまでの時間tが5〜30(min)の範囲とされているので、通常使用に支障をきたさず、かつ、電池の熱暴走も防止可能な安全なフィルム外装電池を提供することができる。
<シミュレーション例>
上記式を利用して、幾つかのシミュレーションについて検討した。以下の例では、いずれも、レドックスシャトル剤が追従可能な最大電流(I)=15A、レドックスシャトル剤が反応している時のセル電圧(V)=4.5Vとした。空気の熱伝達率(h)は25℃恒温槽内の場合でh=18.46(W/m・K)とした。
(1.第1の例)
この例では、電池表面積(S)=0.018(m)、電池熱容量(C)=300(J/K)とした。これは、160Wh/kg程度のラミネートセルを想定したものである。
上記式の計算の結果、
セパレータのシャットダウン温度が130℃の場合、t1≒11.47(min)
セパレータのシャットダウン温度が160℃の場合、t1≒16.58(min)
となる。
この例では、セパレータがシャットダウンするまでの時間t1は、5〜30(min)の範囲内となっており、特に、時間t1が長すぎて正極の熱暴走につながるようなおそれもない結果となっている。したがって、この例のようなパラメータ範囲によれば、安全に試験を終了することができることとなる。
(2.第2の例)
この例では、電池表面積(S)=0.0078(m)、電池熱容量(C)=300(J/K)とした。これは、160Wh/kg程度の円筒セル(一例)を想定したものである。なお、このように、本発明の技術思想は、電池容量に対して表面積が所定の範囲内にある限り、必ずしも積層型のフィルム外装電池に限らず円筒型のセル等にも適用し得る点に留意されたい。
上記式の計算の結果、
セパレータのシャットダウン温度が130℃の場合、t1≒8.83(min)
セパレータのシャットダウン温度が160℃の場合、t1≒11.82(min)
となる。
この例でも、セパレータがシャットダウンするまでの時間t1は、5〜30(min)の範囲内となっており、安全に試験を終了することができることとなる。
(3.第3の例)
この例では、電池表面積(S)=0.0067(m)、電池熱容量(C)=150(J/K)とした。これは、250Wh/kg程度の円筒セルを想定したものである。
上記式の計算の結果、
セパレータのシャットダウン温度が130℃の場合、t1≒4.33(min)
セパレータのシャットダウン温度が160℃の場合、t1≒5.77(min)
となる。
この例では、シャットダウン温度が130℃のセパレータではt1<5(min)であることから通常充放電時にシャットダウン機構が動作してしまう懸念がある。シャットダウン温度が160℃のセパレータでは、安全に試験を終了することができる。
(4.第4の例)
この例では、電池表面積(S)=0.054(m)、電池熱容量(C)=300(J/K)とした。これは、160Wh/kg程度のラミネートセルで、セル厚みを減らして面積を増やした場合を想定したものである。
上記式の計算の結果、セル温度は92℃程度で収束してしまい、シャットダウン温度に達しないため、安全に試験を終了することができない。
(5.第5の例)
この例では、電池表面積(S)=0.028(m)、電池熱容量(C)=300(J/K)とした。これは、160Wh/kg程度のラミネートセルを想定したものである。
上記式の計算の結果、
セパレータのシャットダウン温度が130℃の場合、t1≒14.46(min)
セパレータのシャットダウン温度が160℃の場合、t1≒35.9(min)
となる。
この例では、シャットダウン温度が130℃のセパレータでは、シャットダウン機構が動作して試験が安全に終了する。しかし、シャットダウン温度が160℃のセパレータでは、t1>30分となることから、セパレータのシャットダウンより先に、正極の熱暴走が開始してしまう恐れがある。
<その他の発明について>
図5は、本発明の一形態に係る電池を利用した蓄電システムの模式図である。蓄電システム1は、その規模の大小は何ら限定されるものではないが、少なくとも1つの二次電池(例えばフィルム外装電池50)を有する電源部1Aと、その充放電の監視・制御などを行う制御装置1Bとを備えている。このような蓄電システム1としては、例えばバックアップ電源であってもよく、大型施設用、事業所用、家庭用など種々のものとすることができる。
図6は、本発明の一形態に係る電池を利用した電動車両の模式図である。電動車両2は、少なくとも1つの二次電池(例えばフィルム外装電池50)を有する電源部2Aと、その充放電の監視・制御などを行う制御装置2Bとを備えている。
<電池等の具体的構成の他の例について>
本発明を適用可能な電池としては、上述したものの他にも、例えば次のようなものであってもよい。図7の電池では、正極は、正極活物質を含有する層101が正極集電体103上に成膜されたものとして構成されている。負極は、負極活物質を含有する層102が負極集電体104上に成膜されたものとして構成されている。これらの正極と負極は、多孔質セパレータ105を介して対向配置されている。多孔質セパレータ105は、層102に対して略平行に配置されている。二次電池は、これら正極および負極が対向配置された電極素子(「電池要素」とも記載する)と、電解液とが外装材106および107に内包されている。正極集電体103には正極タブ109が接続され、負極集電体104には負極タブ108が接続され、これらのタブは容器の外に引き出されている。
図8に示すように、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された構成であってもよい。正極活物質層101及び負極活物質層102は、それぞれ、集電体の両面に設けられていてもよい。
図9の例では、電池要素20は、複数の正極30と複数の負極40とがセパレータ25を間に挟んで交互に積層されたものとなっている。正極30は、金属箔31の両面に電極材料32が塗布されており、負極40も、同様に、金属箔41の両面に電極材料42が塗布されている。なお、本発明の一形態は、必ずしも積層型の電池に限らず捲回型などの電池にも適用しうる。
詳細な図示は省略するが、正極および負極の金属箔は、それぞれ、外周の一部に延長部を有している。負極金属箔の延長部は一つに集められて負極タブ52と接続され、正極金属箔の延長部は一つに集められて正極タブ51と接続される。フィルム外装体10は、この例では、2枚のフィルム10−1、10−2で構成されている。フィルム10−1、10−2どうしは電池要素20の周辺部で互いに熱融着されて密閉される。フィルムの構成に関し、図9では、一方のフィルム10−1にカップ部が形成されるとともに他方のフィルム10−2にはカップ部が形成されていない例が示されているが、この他にも、両方のフィルムにカップ部を形成する構成(不図示)や、両方ともカップ部を形成しない構成(不図示)なども採用しうる。
(付記)
本明細書は、下記の発明を開示する:
1.正極、負極、およびセパレータを有する電池要素と、
当該電池要素を非水電解質とともに収容する外装体と、を備え、
前記非水電解液はレドックスシャトル剤を含有し、
電池の表面積をS(m)、
過充電時の電池温度をT(℃)、
外部温度をT(℃)、
レドックスシャトル剤が追従可能な最大電流をI(A)、
レドックスシャトル剤が反応している時のセル電圧をV(V)、
空気の熱伝達率をh(W/K・m)、
電池の熱容量をC(J/K)、
過充電時間をt(min)、としたときに、
下記式で、電池温度Tが前記セパレータのシャットダウン温度Tsに達するまでの時間tが5<t<30(min)となるように、各パラメータが設定されていることを特徴とする、二次電池。
2.レドックスシャトル剤の反応電位が、セルの通常使用電圧に対して0.1V〜2.0Vだけ高い電位である。
3.セパレータのシャットダウン温度Tsが120℃〜170℃の範囲内である。
本発明の一形態に係る二次電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野に利用可能である。一例として、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源として利用でき;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両の電源として利用でき;電車や衛星や潜水艦などの移動用輸送用媒体の電源として利用でき;電力を貯める蓄電システムとして利用できる。
1 蓄電システム(蓄電設備)
2 電動車両
10 フィルム外装体
11、12 フィルム
15 熱融着部
20 電池要素
21、25、51、52 電極タブ
30 正極
31 金属箔
32 電極材料
40 負極
41 金属箔
42 電極材料
103 正極集電体
104 負極集電体
105 セパレータ

Claims (5)

  1. 正極、負極、およびセパレータを有する電池要素と、
    当該電池要素を非水電解質とともに収容する外装体と、を備え、
    前記非水電解液はレドックスシャトル剤を含有し、
    電池の表面積をS(m)、
    過充電時の電池温度をT(℃)、
    外部温度をT(℃)、
    レドックスシャトル剤が追従可能な最大電流をI(A)、
    レドックスシャトル剤が反応している時のセル電圧をV(V)、
    空気の熱伝達率をh(W/K・m)、
    電池の熱容量をC(J/K)、
    過充電時間をt(min)、としたときに、
    下記式で、電池温度Tが前記セパレータのシャットダウン温度Tsに達するまでの時間tが5<t<30(min)となるように、各パラメータが設定されていることを特徴とする、
    二次電池。
  2. レドックスシャトル剤の反応電位が、セルの通常使用電圧に対して0.1V〜2.0Vだけ高い電位である、請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記セパレータのシャットダウン温度Tsが120℃〜170℃の範囲内である、請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池を備えた電動車両。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池を備えた蓄電システム。
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