明 細 書
非水電解質及び非水電解質二次電池
技術分野
本発明は、 非水電解質と 、 こ の非水電解質を備える非水電 解質二次電池に関する ものである。
背景技術
近年、 移動体通信機、 ノ ー トブッ ク型パ ソ コ ン、 パーム ト ップ型パソ コ ン、 一体型ビデオカメ ラ、 ポータブル C D ( M D ) プレーヤー、 コー ドレス電話等の電子機器の小形化、 軽 量化を図る上で、 これらの電子機器の電源と して、 特に小型 で大容量の電池が求め られている。
これら電子機器の電源と して普及している電池と しては、 アル力 リ マンガン電池のよ う な一次電池や、 ニッケル力 ドミ ゥム電池、 鉛蓄電池等の二次電池が挙げられる。 その中でも、 正極にリ チウム複合酸化物を用い、 かつ負極に リ チウムィォ ンを吸蔵 · 放出でき る炭素質材料を用いた非水電解質二次電 池が、 小型軽量で単電池電圧が高く 、 高エネルギー密度を得 られるこ と カゝら注目 されている。
近年は、 上述 したよ う な正極と負極を含む電極群を収納す るための容器と して、 アルミ等の金属箔と樹脂を貼り合わせ たラ ミネ一 ト フイ ルムを袋状あるいは力 ップ状等に成型した ものが用い られ、 これによ り 、 非水電解質二次電池の更なる 軽量化と小型化が可能と なった。
こ のラ ミ ネ一 ト フ イ ルムからなる容器を用いた非水電解質 二次電池では、 用いられる非水電解質が次の条件を満たすこ
と が望ま しい。 まず第一に、 容器の柔軟性が高いため、 電池 内部で分解反応等によ り ガスが発生する と、 容器が大き く 変 形する恐れがあ り 、 非水電解質と しては、 充電状態、 即ち正 極の電位が高い状態でも電気化学的な分解反応が起こ らない ものである必要がある。 第二に、 ラ ミネー ト フ ィ ルム力、らな る容器を用いた場合、 遮断弁や安全弁等の機構を設ける こ と が困難であるため、 非水電解質と しては、 過充電等の異常な 使用状況においても発熱反応を起こ しにく いこ と が望まれる。
このよ う なこ と力 ら、 分解によ るガス発生反応を起こ しに く く 、 また過充電等の状況においても発熱反応も起こ しにく い γ —プチ口 ラタ ト ン ( G B L ) に、 高い伝導性を有し沸点 も高いエチレンカーボネー ト ( E C ) 等の環状カーボネー ト を混合したものを非水溶媒と して用い、 かつ電解質と しては 発熱反応を起こ しに く い四フ ッ化ホウ酸リ チウム ( L i B F 4 ) を用いる こ と が検討されている。 例えば、 特開平 1 1 一 3 1 5 2 5 号公開公報は、 正極に リ チウム遷移金属酸化物、 負極に黒鉛系材料を用い、 電解液が リ チウム塩を溶解した有 機電解液である リ チウム二次電池に関する も のであ り 、 有機 電解液の溶媒と して γ —ブチロ ラ タ ト ンを主成分と し、 かつ 副成分と して少なく と もエチ レ ンカーボネー ト を含む組成を 有する ものを使用する こ と が記載されている。
しかしながら、 このよ う な構成を有する二次電池は、 充電 器の故障等による異常な過充電時の安全性が充分なも のでは ない。 即ち、 過充電によ り 正極電位が金属 リ チウムに対する 電位で 4 . 7 V以上になる と、 正極で G B Lの分解反応が生
じ、 こ の反応に伴う発熱反応が徐々 に進行する。 過充電が進 行して正極電位 (金属 リ チ ウムに対する電位) が 5 . O Vを 超える と 、 分解反応が急激に進行し、 この反応に伴う発熱の ために二次電池の温度が上昇し、 この温度上昇によ り 分解反 応がさ らに促進される、 いわゆる熱暴走状態に陥 り 、 甚だし い場合には発火する危険性がある。
と こ ろで、 特開平 7 — 3 0 2 6 1 4号公開公報は、 レ ドッ タ ス シャ トルによる過充電防止技術に関する ものであ り 、 段 落 ( 0 0 5 3 ) の実施例 3 の表 5 には、 酸化還元電位が 4 . 8 〜 4 . 9 V程度のベンゼン誘導体が記載されている。
これらベンゼン誘導体は、 レ ドッ ク スシャ トル反応に よ り 過充電電流が消費されるために G B Lの分解反応を抑制でき る ものの、 電池の機能を停止させる ものではなく 、 分解反応 に伴 う発熱反応が継続して生じるため、 熱暴走に至る危険性 力 Sある。
また、 特開平 9 — 5 0 8 2 2号公開公報は、 ベンゼン類化 合物の酸化反応に伴う発熱反応を利用 して過充電時の電流遮 断を速やかに行な う こ と を 目的と した発明である。 この公開 公報の実施例には、 発熱開始電圧が 4 . 4 5 V〜 4 . 7 5 V の範囲内にあるベンゼン類化合物が記載され、 発熱開始電圧 の低いものほど過充電時の電流遮断時間が短く 、 安全性が高 いこ とが示されている。
しかしなが ら、 上記のベンゼン類化合物の酸化反応による 発熱は、 G B Lの分解反応によ る発熱が始まる前にほと んど 終了 して しま う ため、 G B Lを用いる場合には電流遮断を速
やかに行な う こ と ができない。
一方、 特開 2 0 0 0 — 1 5 6 2 4 3 号公開公報には、 非水 電解液中に、 非水電解液電池の満充電時の正極電位よ り も貴 な電池電位に可逆性酸化還元電位を有する有機化合物を添加 する こ と によ り 、 過充電状態の際に生 じる溶媒の酸化分解反 応を前記有機化合物によって促進し、 この化学反応によ る発 熱を利用 して過充電電流を遮断する こ と が記載されている。
しかしながら、 前記有機化合物によ り G B Lの分解反応を 促進 した際に得られる発熱量は、 過充電電流を遮断する には 十分でないために電流遮断が速やかに行なわれず、 G B の 分解反応によ り 熱暴走にいたる危険性が高い。
また、 特開平 1 1 _ 3 2 9 4 9 6 号公開公報には、 フ ッ素 原子および芳香族環を有する フ ッ素含有芳香族化合物と して、 段落 0 0 2 6 に記載されている よ う なフ ッ化ベンゼン、 フ ッ 素原子と フ ッ素置換アルキル基を有する もの、 フ ッ素原子と カルボ二ル基を含むもの、 エーテル類のフ ッ化物、 芳香族ァ ミ ン類のフ ッ化物、 フ ッ素原子と シァ ノ基を有する もの、 フ ッ素含有リ ン酸エステルが挙げられてお り 、 これらフ ッ素含 有芳香族化合物が物理的に安全で、 熱分解されにく く 、 難燃 性で電気化学的な酸化 · 還元を受けに く いと い う性質を有し ている (段落 0 0 2 8 に記载〉 こ とから、 フ ッ素含有芳香族 化合物を含む非水溶媒と電解質からなる非水電解液を用いる こ と によって、 正極と非水電解液と の反応速度を抑えて発熱 反応を抑制する こ と が記載されている。
前記フ ッ素含有芳香族化合物を使用する と、 過充電時の発
熱量が少な く なる反面、 セパ レータ によ る電流遮断機構の作 動が遅れるため、 過充電電流の流れている時間が長く な り 、 熱暴走に至る危険性がある。
さ らに、 特開 2 0 0 1 — 2 5 6 9 9 6 号公開公報には、 ェ チ レ ンカーボネー ト 2 0 — 6 0体積0 /0 と、 ジアルキルカーボ ネー ト 2 0 〜 7 0 体積0 /0と、 フ ッ素化された ト ルエン化合物 5 〜 3 0 体積。/。 と を含む有機溶媒を備えた有機電解液を用い る こ と に よ り 、 高温で長時間放置する際の電池の内圧上昇を 抑える こ と が記載されている。
前記有機電解液に含まれるエチ レ ンカーボネー ト と ジアル キルカーボネー トそれぞれの酸化分解電位は、 フ ッ素化 トル ェ ン化合物の酸化分解電位よ り も貴な電位にあるため、 前記 有機電解液を備えた二次電池が過充電される と、 フ ッ素化 ト ルェ ン化合物のみが先に酸化分解される。 こ の酸化分解に伴 う発熱量は、 セパ レータの電流遮断機構を作動させるのには 不十分であるため、 電流遮断機構が作動せずに継続して過充 電電流が流れつづけ、 やがて熱暴走に至る危険性がある。 発明の開示
本発明は、 高温放置特性と過充電時の安全性の双方に優れ る非水電解質と 、 高温放置特性と過充電時の安全性の双方を 満足する非水電解質二次電池を提供する こ と を 目的とする。
本発明に係る非水電解質は、 非水溶媒及び前記非水溶媒に 溶解される電解質を含有する非水電解質であって、
前記非水溶媒は、 ク ロ 口 トルエ ン ( C T ) 及ぴオル ト フル ォロ ト ルエ ン ( o — F T ) よ り なる群から選択される少な く
と も 1 種類のノ、 ロ ゲ ンィ匕 トノレェン と 、 γ —ブチ ロ ラ タ ト ン
( G B L ) と、 環状カーボネー ト と を含み、 前記非水溶媒中 の前記 G B L、 前記ハロゲン化 ト ルエ ン及び前記環状カーボ ネー ト の割合をそれぞれ X (重量% ) 、 y (重量% ) 、 z
(重量% ) と した際に前記 X、 前記 y及ぴ前記 z はそれぞれ 4 0 ≤ ≤ 8 0 s 0 . 1 ≤ y ≤ 1 5 , 1 9 . 9 ≤ ζ ≤ 5 9 . 9 、 x + y + z l O O を満た し、
前記電解質は、 L i B F 4 を前記電解質の総重量に対する 比率で 5 0重量%以上含有する こ と を特徴とする ものである。
本発明に係る非水電解質二次電池は、 正極と、 負極と 、 非 水溶媒及び前記非水溶媒に溶解される電解質を含有する非水 電解質と を具備する非水電解質二次電池であって、
前記非水溶媒は、 ク ロ 口 トルエ ン ( C T ) 及びオル ト フル ォロ トルエ ン ( o — F T ) よ り なる群カゝら選択される少なく と も 1 種類のハロ ゲン化 トルエン と 、 γ —プチロ ラ ク ト ン
( G B L ) と、 環状カーボネー ト と を含み、 前記非水溶媒中 の前記 G B L、 前記ハロゲン化 ト ルエ ン及び前記環状カーボ ネー ト の割合をそれぞれ X (重量。/。) 、 y (重量% ) 、 z
(重量% ) と した際に前記 X、 前記 y及び前記 z はそれぞれ 4 0 ≤ X ≤ 8 0 0 . 1 ≤ y ≤ 1 5 N 1 9 . 9 ≤ z ≤ 5 9 . 9 、 x + y + z ≤ 1 0 0 を満た し、
前記電解質は、 L i B F 4 を前記電解質の総重量に対する 比率で 5 0重量%以上含有する こ と を特徴とする ものである。 図面の簡単な説明 .
図 1 は、 本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である
薄型非水電解質二次電池を示す斜視図。
図 2 は、 図 1 の薄型非水電解質二次電池を II一 II線に沿つ て切断した部分断面図。
発明を実施するための最良の形態
本発明に係る非水電解質二次電池は、 正極と、 負極と、 前 記正極と前記負極の間に介在するセパ レータ と、 非水溶媒及 び前記非水溶媒に溶解される電解質を含有する非水電解質と を具備する。 前記非水溶媒は、 塩化 ト ルエ ン {ク ロ ロ トルェ ン ( C T ) } 及びォノレ ト フ ッ化 トノレェ ン {ォノレ ト フノレォロ ト ルェ ン ( o — F T ) } よ り なる群から選択される少な く とも 1 種類のハロゲン化 トノレェンと、 γ _ブチロ ラタ ト ン ( G B L ) と、 環状カーボネー ト と を含み、 前記非水溶媒中の前記 G B L、 前記ハロゲン化 トルエン及び前記環状カーボネー ト の割合をそれぞれ X (重量% ) 、 y (重量% ) 、 z (重 量% ) と した際に前記 X、 前記 y及び前記 z はそれぞれ 4 0 ≤ X ≤ 8 0 , 0 . 1 ≤ y ≤ 1 5 N 1 9 . 9 ≤ z ≤ 5 9 . 9 、 x + y + z ≤ 1 0 0 を満たす。 また、 前記電解質中の L i B F 4 の含有量は、 5 0 重量%以上である。 なお、 重量比率
(重量% ) X 、 重量比率 (重量% ) y 及び重量比率 (重 量0 /0 ) z の合計量のよ り 好ま しい範囲は、 6 0 ≤ x + y + z ≤ 1 0 0 で、 さ らに好ま しい範囲は 9 0 ≤ x + y + z ≤ l 0 0 である。
このよ う な二次電池によれば、 これを内蔵する携帯機器の 充電器の故障等によ り 過充電状態となって正極の電位が上昇 した際に、 セパレータのシャ ツ ト ダウンを確実に生じさせる
こ と ができ るため、 過充電状態を安全に終了 させる こ と がで き る。 すなわち、 過充電状態において、 G B L と正極と の反 応による発熱反応と 同時期にハロゲン化 ト ルエ ンの酸化によ る発熱反応を生じさせる こ と によって、 電池温度をセパ レー タの シャ ッ トダウン温度まで速やかに上昇させる こ とができ るため、 過充電電流を早期に遮断する こ とができ る。 また、 前述した組成を有する非水電解質は、 過充電時の正極と の反 応性が比較的低いため、 電流遮断後、 正極と非水電解質との 反応が速やかに終了する。 従って、 非水電解質二次電池が熱 暴走に至るのを回避する こ とができ る。 .
また、 本発明に係る二次電池によれば、 二次電池を放電状 態で高温環境下に保管 した際の容量低下を少な く する こ とが でき、 優れた高温放置特性を得る こ と ができ る。
以下、 前記正極、 負極、 セパ レータ、 非水電解質について 説明する。
1 ) 正極
こ の正極は、 集電体と、 集電体の片面も しく は両面に担持 され、 活物質を含む正極層 と を含む。
前記正極層は、 正極活物質、 結着剤及び導電剤を含む。 前記正極活物質と しては、 種々 の酸化物、 例えば二酸化マ ンガ ン、 リ チウムマ ンガン複合酸化物、 リ チウム含有ニ ッケ ル酸化物、 リ チウム含有コ バル ト酸化物、 リ チウム含有ニッ ケルコ バル ト酸化物、 リ チウム含有鉄酸化物、 リ チウムを含 むバナジウム酸化物や、 二硫化チタ ン、 二硫化モ リ ブデンな どのカノレコゲン化合物などを挙げる こ とができ る。 中でも、
リ チ ウ ム含有コバル ト酸化物 (例えば、 L i C o 〇 2 ) 、 リ チ ウ ム含有ニ ッケルコ バル ト酸化物 (例えば、 L i N i 0.8 C o 0 2 O 2 ) 、 リ チウムマ ンガ ン複合酸化物 (例えば、 L i M n 2 〇 4 、 L i M n O 2 ) を用いる と 、 高電圧が得 られるために好ま しい。 なお、 正極活物質と しては、 1 種類 の酸化物を単独で使用 しても、 あるいは 2種類以上の酸化物 を混合して使用 しても良い。
前記導電剤と しては、 例えばアセチ レ ンブラ ッ ク 、 カーボ ンブラ ッ ク、 黒鉛等を挙げる こ と ができ る。
前記結着剤と しては、 例えば、 ポリ テ ト ラ フルォロェチレ ン ( P T F E ) 、 ポリ フ ッ化ビニ リ デン ( P V d F ) 、 ポリ エーテノレサノレフ ォ ン、 エチ レ ン一プロ ピ レ ン一 ジェ ン共重合 体 ( E P D M) 、 ス チ レ ン一ブタジエンゴム ( S B R ) 等を 用いる こ と ができる。
前記正極活物質、 導電剤および結着剤の配合割合は、 正極 活物質 8 0 〜 9 5重量%、 導電剤 3 〜 2 0重量%、 結着剤 2 〜 7重量。 /0 の範囲にする こ とが好ま しい。
前記集電体と しては、 多孔質構造の導電性基板か、 あるい は無孔の導電性基板を用いる こ とができる。 これ ら導電性基 板は、 例えば、 アルミ ニウム、 ス テ ン レス 、 またはニッケル から形成する こ とができ る。
前記正極は、 例えば、 正極活物質に導電剤および結着剤を 適当な溶媒に懸濁し、 こ の懸濁物を集電体に塗布、 乾燥して 薄板状にする こ と によ り 作製される。
2 ) 負極
前記負極は、 集電体と、 集電体の片面も しく は両面に担持 される負極層と を含む。
前記負極層は、 リ チウムイオンを吸蔵 ' 放出する負極活物 質及び結着剤を含む。
前記負極活物質と しては、 例えば、 黒鉛、 コ ータ ス 、 炭素 繊維、 球状炭素、 熱分解気相炭素質物、 樹脂焼成体な どの黒 鉛質材料も しく は炭素質材料 ; 熱硬化性樹脂、 等方性ピッ チ、 メ ソ フ ェーズピ ッ チ系炭素、 メ ソ フ ェ ーズピ ッ チ系炭素 繊維、 メ ソフェーズ小球体など (特に、 メ ソフェーズピッチ 系炭素繊維が容量ゃ充放電サイ ク ル特性が高 く な り 好ま し い) に 5 0 0 〜 3 0 0 0 °Cで熱処理を施すこ と によ り 得られ る黒鉛質材料または炭素質材料 ; 二硫化チタ ン、 二硫化モ リ ブデン、 セ レ ン化ニオブ等のカ ノレコゲン化合物 ; ァ ノレ ミ 二ゥム、 アルミ ニウム合金、 マグネシウム合金、 リ チウム、 リ チウム合金等の軽金属 ; 等を挙げる こ と ができ る。 中で も、 ( 0 0 2 ) 面の面間隔 d 力 S O . 3 4 n m以下である 黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ま しい。 こ の よ う な黒鉛質材料を負極活物質と して含む負極を備えた非水電 解質二次電池は、 電池容量おょぴ大電流放電特性を大幅に向 上する こ と ができ る。 前記面間隔 d 002 は、 0 . 3 3 7 η m以下である こ とが更に好ま しい。
前記結着剤と しては、 例えば、 ポリ テ ト ラ フルォロェチレ ン ( P T F E ) 、 ポリ フ ッ化ビニ リ デン ( P V d F ) 、 ェチ レ ン一プ ロ ピ レ ン— ジェ ン共重合体 ( E P D M) 、 ス チ レン — ブタ ジエ ン ゴム ( S B R ) 、 カ ノレポキシメ チノレセノレ ロ ース
( C M C ) 等を用いる こ と ができ る。
前記負極活物質及び前記結着剤の配合割合は、 炭素質物 9 0〜 9 8 重量%、 結着剤 2〜 2 0重量%の範囲である こ と が 好ま しい。
前記集電体と しては、 多孔質構造の導電性基板か、 あるい は無孔の導電性基板を用いる こ と ができ る。 これら導電性基 板は、 例えば、 銅、 ス テ ン レス 、 またはニ ッケルから形成す るこ と ができ る。
前記負極は、 例えば、 負極活物質と結着剤と を溶媒の存在 下で混練し、 得られた懸濁物を集電体に塗布し、 乾燥した後、 所望の圧力で 1 回プ レス も しく は 2〜 5 回多段階プレスする こ と によ り 作製される。
3 ) セ ノ レータ
このセパレータ と しては、 微多孔性の膜、 織布、 不織布、 これらの う ち同一材または異種材の積層物等を用いる こ と が でき る。 中でも、 微多孔性の膜は、 過充電等によ る発熱で電 極群の温度が異常に上昇する と、 セパ レータ を構成する樹脂 が塑性変形し微細な孔が塞がる、 いわゆるシャ ツ トダウ ン現 象を生じ、 リ チウムイオンの流れが遮断され、 それ以上の発 熱を防止 し、 過充電状態を安全に終了させる こ と ができ るの で好ま しい。 セパ レータを形成する材料と しては、 ポリ ェチ レ ン、 ポ リ プロ ピ レ ン、 エチ レ ン一プロ ピ レ ン共重合ポ リ マ 一、 エチレンーブテ ン共重合ポ リ マー等を挙げる こ とができ る。 セパ レータの形成材料と しては、 前述 した種類の中から 選ばれる 1 種類または 2種類以上を用いる こ と ができ る。
前記セパ レータ は、 透気度が 2 0 0 〜 6 0 0秒 / 1 0 0 c m 3 であ る こ と が好ま しい。 透気度は、 1 0 0 c m3 の空気 がセパ レータ を透過するのに要 した時間 (秒) を意味 し、 J
I S ( 日 本工業規格) の P 8 1 1 7 に規定する紙及び板紙の 透気度試験方法に よ り 測定する こ と ができ る。 透気度を前記 範囲に規定する理由 を説明する。 透気度が 2 0 0 秒 / 1 0 0 c m 3未満の場合はセパ レータ の孔が大き く 且つ粗い状態で ある ので、 上記の よ う なシャ ツ ト ダウ ン現象が速やかに起こ らずに熱暴走に至る恐れがある。 一方、 透気度が 6 0 0 秒/ 1 0 0 c m 3 を超える と 、 セパ レータ の孔が極めて小さ いた めに非水電解質がセパ レータの孔に完全に保持されない部分 が生 じる こ と 力ゝ ら、 ハ ロ ゲン化 ト ルエ ンの酸化発熱によ る シ ャ ッ ト ダウ ン現象が部分的に しか生 じない可能性がある、 つ ま り リ チ ウムイ オンの流れを完全に遮断する こ と ができ ない 恐れがある。 また透気度が 6 0 0 秒 Z l 0 0 c m 3 を超える 場合、 通常の充放電を行 う 際のイ オンの移動抵抗が大き く な るため、 電池の内部抵抗が大き く なる可能性も ある。 透気度 の範囲は 2 5 0 〜 5 0 0 秒 / 1 0 0 c m 3 にする こ と 力 よ り 好ま し く 、 さ ら に好ま しい範囲は 3 0 0 〜 4 5 0秒 / 1 0
0 c m3 である。
前記セパ レータ がシャ ツ ト ダウ ン現象を生 じる温度、 いわ ゆるシャ ツ ト ダウ ン温度は、 1 0 0 °C〜 1 6 0 °Cの範囲にあ る こ と が好ま しい。 このシャ ッ ト ダウ ン温度は、 セパレータ を加熱 し、 透気度の値が 1 0 万秒 Z l 0 0 c m3 以上になる セパ レータ温度 と して測定でき る。 シャ ツ ト ダウ ン温度を前
記範囲に規定する理由を説明する。 シャ ッ ト ダウン温度が 1 6 0 °Cを超える場合は、 過充電状態においてセパ レータのシ ャ ッ トダウ ンが速やかに起こ らずに熱暴走に至る可能性が高 く なる。 一方、 シャ ッ トダウン温度が 1 0 0 °c未満の場合は、 非水電解液二次電池の通常の使用状態において、 例えば炎天 下の自動車内な どの高温状態に置かれたと き にセパレータの 透気度が上昇し、 電池の大電流放電特性が低下するなどの問 題を生じる可能性がある。 セパ レータのシャ ツ トダウン温度 は 1 1 0 °C 〜 1 5 0 °Cにする こ と 力 Sよ り 好ま しい。 さ らに好 ま しい範囲は、 1 3 0 °C 〜 1 4 0 °Cである。
前記セパ レータが溶融して破膜を生じる温度、 いわゆる溶 融温度は、 1 6 0 °C以上でかつ前記シャ ツ ト ダウン温度よ り も 1 5 °C以上高いこ と が望ま しい。 溶融温度が 1 6 0 °C未満 であった り 、 或いはシャ ツ トダウン温度との差が 1 5 °C未満 である場合は、 電池温度の上昇によ り 一旦シャ ツ トダウン現 象を生じても、 その後にセパ レータが溶融して破膜し、 正極 と負極と が直接接触する、 いわゆる短絡状態に至る危険性が ある。 短絡状態に至った場合、 短絡 した箇所の電気抵抗が極 めて小さいために短絡した箇所で大電流が流れ続け、 ジユ ー ル熱を生じる こ と によ り 短絡した箇所の温度が局所的に上が り 、 更に周囲のセパレータが溶融した り 、 或いは熱暴走を生 じる可能性がある。
前記セパ レータは、 多孔度が 3 0 〜 6 0 %の範囲である こ とが好ま しい。 多孔度のよ り好ま しい範囲は、 3 5 〜 5 0 % である。
前記セパ レータ の厚さ は、 3 0 μ πι以下にする こ と が好ま し く 、 さ ら に好ま しい範囲は 2 以下である。 また、 厚 さ の下限値は 5 mにする こ と が好ま し く 、 さ ら に好ま しレヽ 下限値は 8 μ mであ る。
セパ レータ の幅は、 正極 と負極の幅に比べて広 く する こ と が望ま しい。 このよ う な構成にする こ と に よ り 、 正極と負極 がセパ レータ を介さずに直接接触する のを防ぐこ と ができ る。 上記正極、 負極、 セパ レータ を組合せて電極群を形成する。 こ の電極群は、 例えば、 ( i 〉 正極及び負極をその間にセパ レータ を介在させて偏平形状または渦巻き状に捲回する力、、 ( ii) 正極及び負極をその間にセパ レータ を介在させて渦卷 き状に捲回 した後、 径方向に圧縮する か、 (iii) 正極及び負 極をその間にセパ レータ を介在させて 1 回以上折 り 曲げるカヽ あるいは ( iv) 正極と負極と をその間にセパ レータ を介在さ せなが ら積層する方法によ り 作製される。
電極群には、 プ レス を施さ な く ても 良いが、 正極、 負極及 びセパ レータの一体化強度を高めるためにプ レス を施 しても 良い。 また、 プ レス時に加熱を施すこ と も可能である。
電極群には、 正極、 負極及びセパ レータ の一体化強度を高 める ために、 接着性高分子を含有させる こ と ができ る。 前記 接着性を有する高分子は、 非水電解質を保持 した状態で高い 接着性を維持でき る も のである こ と が望ま しい。 さ ら に、 力 かる高分子は、 リ チ ウ ムイ オン伝導性が高い と なお好ま しい。 具体的には、 ポ リ アタ リ ロ ニ ト リ ノレ ( P A N ) 、 ポ リ アタ リ レー ト ( P MMA ) 、 ポ リ フ ッ化ビ - リ デン ( P V d F ) 、
ポ リ 塩化ビュル ( P V C ) 、 ま たはポ リ エチ レンオキサイ ド ( P E O ) 等を挙げる こ と ができ る。
4 ) 非水電解質
非水電解質は、 非水溶媒と、 この非水溶媒に溶解される電 解質 (例えば、 リ チウム塩) と を含むものである。 この非水 電解質の形態は、 液体状 (非水電解液) やゲル状にする こ と ができ る。
まず、 非水溶媒について説明する。
a . γ —プチ口 ラ タ ト ン ( G B L )
G B Lは、 充電状態、 すなわち、 正極の電位が高い状態で の正極との反応性が環状カーボネー ト に比較して低いため、 過充電状態における非水溶媒の分解反応と これに伴う発熱反 応が比較的起こ り難く 、 セパレータによる過充電電流遮断後、 非水電解質の分解反応を速やかに終息させる こ と ができ る。 G B Lの非水溶媒全重量に対する比率 ( X ) は、 4 0重量% 〜 8 0重量%の範囲内にする こ とが望ま しい。 これは次のよ う な理由 によ る も のであ る。 G B L の比率 ( X ) を 4 0 重 量%未満にする と、 G B L よ り も正極と の反応性の高い溶媒 (例えば、 エチ レンカーボネー ト ( E C ) ) の比率が大き く な り 、 過充電状態における非水溶媒の分解反応と発熱反応が 生じ易く な り 、 電池の温度が上昇して更に非水溶媒の分解反 応が促進される、 いわゆる熱暴走状態に陥る危険性が大き く なる。 一方、 G B Lの比率 ( X ) が 8 0重量%を超える と、 特に高温時における負極表面と G B L と の反応性が高く なる ため、 放電状態で高温環境下に貯蔵した後の容量回復率が低
く なるか、 あるいは充放電サイ ク ル寿命が短 く な る可能性が める
G B Lのよ り 好ま しい比率 ( X ) は、 5 0 重量。/。〜 8 0 重 量%で、 さ らに好ま しい比率 ( X ) は、 5 5 重量%〜 7 5 重 量%である。
b . 環状カーボネー ト
環状カーボネー ト は、 G B L の利点、 すなわち、 凝固点が 低く て リ チウムイ オン伝導性が高 く 、 かつ安全性に優れる と い う 利点を損な う こ と な く 、 負極活物質中に吸蔵された リ チ ゥ ムイ オンと G B L と の反応を抑える こ と ができ る。 環状力 ーボネー ト と して は、 例 えば、 エ チ レ ンカ ーボネー ト ( E C ) 、 プロ ピ レ ンカーボネー ト ( P C ) 等を挙げる こ と がで き る。 特に E C は、 リ チウ ムイ オンと G B L と の反応を抑え る効果が大きいので好ま しい。 なお、 環状カーボネー ト の種 類は、 1 種類でも 良い し、 2種類以上にする こ と も可能であ る。
環状カーボネー ト の非水溶媒全重量に対する比率は、 1 9 . 9 - 5 9 . 9 重量%の範囲内にする こ と が望ま しい。 これは 次のよ う な理由 によ る ものである。 環状カーボネー ト の非水 溶媒全体積に対する比率を 1 9 . 9 重量%未満にする と 、 特 に高温環境下での リ チ ウムイ オン と G B L と の反応を抑え ら れな く なる恐れが あ る。 ま た、 環状カ ーボネー ト (特に E C ) は、 充電状態の正極と の反応性が G B L よ り も高いため、 環状カーボネー ト の比率が 5 9 . 9重量%を超える と 、 過充 電の際に非水溶媒の分解反応が生 じ易 く 、 セパ レータ に よ る
電流遮断後も分解反応が継続して生じて熱暴走に至る危険性 が高 く なる。 また、 環状カーボネー トは凝固点が高いため、 環状カーボネー ト の比率が 5 9 . 9重量%を超える と、 低温 放電特性が著しく 低下する恐れがある。 また、 環状カーボネ ー ト の比率が 5 9 . 9 重量%を超える と、 非水電解質の粘度 が高 く なつてイオン伝導度が低下するため、 大電流放電特性 が低下する恐れがある。 環状カーボネー トの比率のよ り 好ま しい範囲は 2 5 〜 5 0重量%の範囲内で、 さ らに好ま しい比 率は、 2 5 — 4 5重量0 /0の範囲内である。
c . ノヽ ロ ゲンィ匕 トノレエン
こ のハ ロ ゲン化 ト ノレエ ンは、 塩化 ト ノレェ ン { ク ロ ロ ト ノレエ ン ( C T ) } 及びォノレ ト フ ッ化 トノレェ ン ( オル ト フルォロ ト ルェ ン ( o _ F T ) } よ り なる群から選択される少なく と も 1 種類から構成される。
4 0重量0/。〜 8 0 重量%の G B L と 1 9 . 9 〜 5 9 . 9重 量%の環状カーボネー ト と を含む非水溶媒においては、 過充 電によ り 正極電位が金属 リ チウムに対する電位で 4 . 7 V以 上に達する と、 正極において G B Lの分解反応と こ の分解反 応に伴う発熱反応が徐々 に生じ始め、 過充電が更に進行して 正極電位が金属 リ チウムに対する電位で 5 . O Vを超える と これ ら の反応が急激に進行する。 こ の と き、 電池温度の上昇 によ って、 セパ レータが前記のよ う なシャ ツ トダウン現象を 生じれば、 リ チウムイ オンの流れが遮断され、 過充電状態を 安全に終息させるこ と ができ る。 ただし、 こ のシャ ッ ト ダウ ン現象が完全に生じるためには、 セパ レータ の正極及び負極
と接 している全ての面積において一様に、 かつ短時間の う ち に、 セパレータ を構成する樹脂が塑性変形を起こす温度 (シ ャ ッ ト ダウ ン温度) まで上昇 しなければならない。 セパレ一 タの温度がシャ ッ ト ダウ ン温度に達するまでの時間は、 流れ る電流が大きいほど短く 、 流れる電流が小さいほど時間は長 く なる。 また、 こ のシャ ッ トダウン温度に達するまでの時間 は、 二次電池から熱が外部に逃げる、 いわゆる放熱の効率が 大きいほ ど長く 、 放熱の効率が小さいほど短く なる。 こ の放 熱の効率は、 二次電池を構成する部材の材質や形状によ って 異なる。
本願発明では、 G B L と環状カーボネー ト を所定の割合で 含む非水溶媒中に、 塩化 ト ルエ ン { ク ロ ロ ト ルエ ン ( C T ) } 及びオル トフ ッ化 トノレェン {ォノレ ト フノレォロ トノレェン ( o — F T ) } よ り なる群から選択される少なく と も 1 種類 の ハ ロ ゲ ンィ匕 ト ノレエンを添力 øする。 ォノレ ト フ ツ イヒ ト ノレェン
{オル ト フルォロ ト ルエ ン ( o — F T ) } の酸化電位 (金属 リ チウムに対する電位) は 4 . 9 Vで、 オル ト塩化 ト ルエ ン { オル ト ク ロ 口 トルエ ン ( o — C T ) } と ノヽ0ラ塩化 ト ルエ ン { ノヽ。ラ ク ロ 口 ト ルエ ン ( p — C T ) } と メ タ塩化 トルエン {メ タ ク ロ ロ ト ルエ ン ( m— C T ) } の酸化電位 (金属 リ チ ゥムに対する電位) は、 いずれも 4 . 8 Vである。
これらハロゲン化 ト ルエ ンの酸化反応に伴 う発熱反応は、 正極と G B Lの反応による発熱反応と 同時期に生じ、 かつそ の酸化反応による発熱量が大きいため、 短時間の う ちに大き な発熱量を得てセパレータの温度をシャ ッ トダウ ン温度に到
麵應蘭
19 達させる こ と ができ、 過充電の際に確実にシャ ツ ト ダウ ン現 象を生 じ させる こ と が可能である。 また、 これらノヽ ロ ゲン化 ト ルエ ンは、 正極電位が 4 . 7 V未満の際には、 正極、 負極、 および非水電解質 (特に G B L ) のいずれと も反応する こ と がないため、 二次電池の充放電特性が損なわれる こ と がない。 さ ら に、 本願発明のよ う に非水電解質の組成を規定する と 、 過充電電流遮断後、 非水電解質の分解反応を速やかに停止さ せる こ と ができ る。 これら の結果、 二次電池の充放電特性を 損な う こ と な く 、 熱暴走を抑える こ と が可能になる。
更に、 ノヽ ロ ゲ ンィ匕 ト ノレェ ン と して、 オル ト塩ィ匕 ト ルエ ン {オル ト ク ロ 口 トルエ ン ( o — C T ) } 、 パ ラ塩化 ト ルエン {パ ラ ク ロ ロ ト ルエン ( - C T ) } 及びオル ト フ ツイ匕 ト ル ェン {オル ト フルォロ ト ルエン ( o — F T ) } よ り な る 群力、 ら選択される少なく と も 1 種類のハ ロ ゲン化 トルエ ンを用い る と 、 過充電時の安全性を さ ら に向上する こ と ができ る ため、 好ま しい。 これらハ ロ ゲン化 ト ルエ ンは、 酸化反応が生 じる タイ ミ ングが最適で、 かつ十分な発熱量が得られるだけでな く 、 酸化反応によ り ハロ ゲン化 ト ルエ ンの重合体が生成 し、 生成 した重合体がセパ レータ に固着して孔を塞ぎ、 セパ レー タの電流遮蔽効果をよ り 高める こ と ができ るからである。 特 に、 優れた高温放置特性を得る観点から、 オル ト フ ッ化 トル ェン (オノレ ト フルォ ロ ト ルエン ( o — F T ) } を用い る のが よ り 好ま しい。
なお、 4 . 7 V未満の電位 (対金属 リ チウム) で酸化反応 を生 じる物質を非水溶媒に添加 した場合、 G B L の反応によ
る発熱が生 じる前に、 添加 した物質の反応が終了 して しまい、 従っ て短時間の う ちにセパ レータ の温度をシャ ッ ト ダウ ン温 度に達する こ と ができ ない。 一方、 5 . 0 V を超え る 電位 (対金属 リ チ ウ ム) で酸化反応を生 じる物質を非水溶媒に添 加 した場合、 添加 した物質が酸化反応を生 じる前に正極と G B L の反応に よ る発熱が生 じている。 従って添加 した物質が 酸化反応を生 じる と き は二次電池の温度が既に上昇 してお り 、 その状態で酸化反応によ る発熱が生 じる と かえつて熱暴走を 促進する危険性がある。
ハロ ゲン化 ト ルエ ンの非水溶媒全重量に対する比率 ( y ) は、 0 . 1 〜 1 5 重量0 /0の範囲内にする こ と が望ま しい。 こ れは次の よ う な理由によ る ものである。 ノ、ロ ゲン化 ト ルエ ン の比率 ( y ) を 0 . 1 重量 0 /0未満にする と 、 ハロ ゲン化 トル ェ ンの酸化反応によ る発熱量が少な く な り 、 セパ レ一タ をシ ャ ッ ト ダウ ンさせる効果が小さ く なる。 逆に、 ノヽ ロ ゲン化 ト ルェンの比率 ( y ) 力 1 5 重量 0 /0を超える と 、 ハロ ゲン化 ト ルェンの酸化反応によ る発熱量が大き く な り すぎ、 二次電池 の温度が急激に上昇して熱暴走に至る危険性が大き く なる。 また、 ハ ロ ゲン化 ト ルエ ンの比率 ( y ) が 1 5 重量。 /。を超え る と 、 高温放置特性が低下する。
ノヽロ ゲン化 ト ルエ ンの よ り 好ま しい比率 ( y ) は、 0 . 5
〜 1 0 重量%の範囲で、 さ ら に好ま しい比率 ( y ) は、 1 ~ 8 重量。 /0の範囲である。
d . 副成分
非水溶媒中には、 G B L 、 環状カーボネー トお よびハロゲ
ン化 ト ルエ ン以外の他の溶媒を、 副成分と して含有させる こ と ができ る。
前記非水溶媒には、 セパ レータ と の濡れ性を良 く する ため に、 ト リ オク チノレ フ ォ ス フ ェー ト ( T O P ) のよ う な界面活 性剤を含有させる こ と が望ま しい。 界面活性剤の添加量は、
3 %以下が好ま しく 、 さ ら には 0 . 1 〜 1 °/0の範囲内にする こ と が好ま しい。
副成分 と しては、 例えば、 ビニ レンカーボネー ト、 ビュル エチ レ ンカ ーボネー ト 、 フ エ ェ /レエチ レ ンカ ーボネー ト 、 ジ ェチノレカ ーボネ ー ト 、 ジメ チノレカーボネ ー ト 、 ェチノレメ チノレ カ ーボネ ー ト 、 γ —ノ レ 口 ラ タ ト ン、 プロ ピオン酸メ チル、 プロ ピオ ン酸ェチノレ、 2 —メ チノレ フ ラ ン、 フ ラ ン、 チォフ エ ン、 力 テ コ ーノレカ ーボネー ト 、 エチ レ ンサノレフ ァ イ ト 、 1 2 一 ク ラ ウ ン一 4 、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ールジメ チルエ ーテ ノレ等を挙げる こ と ができ る。 副成分の種類は、 1 種類または 2種類以上にする こ と ができ る。
中でも 、 ビニ レンカーボネー ト ( V C ) を含む副成分は、 負極表面に緻密な保護皮膜を生成するため、 負極活物質中に 吸蔵された リ チ ウムイ オン と G B L と の反応性を さ ら に低く する こ と が可能にな り 、 放置放電特性を改善する こ と ができ る。 非水溶媒中の副成分の重量比率は、 1 0 重量%以下の範 囲内にする こ と が望ま しい。 これは、 副成分の重量比率を 1 0 重量% よ り も多く する と 、 負極表面の保護皮膜の リ チウム イ オン透過性が低下 して低温放電特性が大幅に損なわれる可 能性がある からである。 副成分の重量比率の よ り 好ま しい範
囲は 0 . 0 1 〜 5 重量%であ り 、 更に好ま しい範囲は 0 . 1 〜 3 重量%である。
e . 電解質
前記非水溶媒に溶解される電解質と しては、 例えば、 過塩 素酸 リ チ ウ ム ( L i C 1 04 ) 、 六フ ッ化 リ ン酸 リ チ ウ ム
( L i P F 6 ) 、 四 フ ッ化ホ ウ酸 リ チ ウ ム ( L i B F 4 ) 、 六フ ツイ匕砒素 リ チ ウ ム ( L i A s F 6 ) 、 ト リ フ ルォロ メ タ ス ノレホ ン酸 リ チ ウ ム ( L i C F 3 S O 3 ) 、 ビス ト リ フ ノレオ ロ メ チノレス ゾレホ ニノレ イ ミ ド リ チ ウ ム ( L i N ( C F 3 S Oつ ) 2 ) 、 ビ ス ペ ンタ フノレォロ ェチノレ ス ノレ ホ ニ ノレ イ ミ ド リ チウ ム ( L i N ( C 2 F 5 S O 2) 2) な どの リ チ ウム塩を 挙げる こ と ができ る。 使用する電解質の種類は、 1 種類また は 2 種類以上にする こ と ができ る。
中でも 、 L i B F 4 は、 二次電池の温度が上昇 した と きの 正極と の反応性が低いこ と から、 電流遮断後、 非水電解質の 分解反応を速やかに終結させる こ と ができ るため、 好ま しい。 ま た、 L i N ( C F 3 S O 2) 2 お よ び L i N ( C 2 F 5 S O 2) 2 の う ち少な く と も一方か ら な る リ チ ウム塩と 、 L i B F 4 から なる リ チウム塩と を含有する混合塩か、 あるいは L i B F 4 及び L i P F 6 を含有する混合塩を用いる と 、 高温 でのサイ ク ル寿命を よ り 向上する こ と ができ る。
前記電解質の総重量に対する L i B F 4 の重量比率は、 5 0 重量%以上にする こ と が望ま しい。 これは、 L i B F 4 の 重量比率を 5 0 重量。 /0未満にする と 、 L i B F 4 よ り も正極 と の反応性の高い電解質 (例えば L i P F 6) の比率が大き
く な り 、 過充電状態における発熱反応が生 じ易 く 、 熱暴走状 態に陥る危険性が大き く なるためである。
L i B F 4 のよ り 好ま しい比率は、 7 0 重量%以上で、 さ らに好ま しい比率は、 8 0 重量%以上である。
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、 0 . 5 〜 2 . 5 モル/ L とする こ とが望ま しい。 さ らに好ま しい範囲は、 1 ~ 2 . 5 モル Z Lである。
前記非水電解質の量は、 電池単位容量 1 0 0 m A h 当た り 0 . 2〜 0 . 6 g にする こ とが好ま しい。 非水電解質量のよ り 好ま しい範囲は、 0. 2 5 〜 0 . 5 5 g Z l O O m A hで あ ·ο。
本発明に係る非水電解質二次電池の一例である薄型リ チウ ムイ オン二次電池を図 1 〜図 2 を参照 して詳細に説明する。
図 1 は、 本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である 薄型リ チウムイ オン二次電池を示す斜視図、 図 2 は図 1 の薄 型リ チウムイ オン二次電池を短辺方向に沿って切断した部分 断面図である。
図 1 に示すよ う に、 矩形のカ ップ状をなす容器本体 1 内に は、 電極群 2 が収納されている。 電極群 2 は、 正極 3 と、 負 極 4 と、 正極 3 と負極 4の間に配置されるセパ レータ 5 を含 む積層物が偏平形状に捲回された構造を有する。 非水電解質 は、 電極群 2 に保持されている。 容器本体 1 の縁の一部は幅 広になってお り 、 蓋板 6 と して機能する。 容器本体 1 と蓋板 6 は、 それぞれ、 ラ ミ ネー ト フ イ ノレム 力 ら構成される。 この ラ ミ ネー ト フ ィ ルムは、 外部保護層 7 と、 熱可塑性樹脂を含
有する内部保護層 8 と、 外部保護層 7 と 内部保護層 8 の間に 配置される金属層 9 と を含む。 容器本体 1 には蓋体 6 が内部 保護層 8 の熱可塑性樹脂を用いて ヒ ー トシールに よ っ て固定 され、 それによ り 容器内に電極群 2 が密封される。 正極 3 に は正極タブ 1 0 が接続され、 負極 4 には負極タブ 1 1 が接続 され、 それぞれ容器の外部に引 き 出されて、 正極端子及び負 極端子の役割を果たす。
以下、 本発明の実施例を図面を参照 して詳細に説明する。
(実施例 1 )
ぐ正極の作製 >
まず、 リ チウムコ バル ト酸化物 ( L i xC o 〇 2 ; 伹し、 X は 0 < X ≤ 1 である) 粉末 9 0重量0 /0に、 アセチ レンブラ ッ ク 5 重量 0 /0 と、 ポリ フ ッ化ビニ リ デン ( P V d F ) 5重量% のジメ チルフ オノレムア ミ ド ( D M F ) 溶液と を加えて混合し、 ス ラ リ ーを調製した。 前記ス ラ リ ーを厚さが 1 5 z mのアル ミ ニゥム箔からなる集電体の両面に塗布 した後、 乾燥し、 プ レスする こ と によ り 、 正極層が集電体の両面に担持された構 造の正極を作製した。 なお、 正極層の厚さ は、 片面当 り 6 0 mであつ 7こ。
ぐ負極の作製 >
炭素質材料と して 3 0 0 0 °Cで熱処理したメ ソフ ーズピ ツチ系炭素繊維 (粉末 X線回折によ り 求め られる ( 0 0 2 ) 面の面間隔 ( d 002 ) 力 S 0 . 3 3 6 n m ) の粉末を 9 5 重 量0 /0 と、 ポ リ フ ッ化ビエリ デン ( P V d F ) 5重量0 /0のジメ チルフ オノレムア ミ ド ( D M F ) 溶液と を混合し、 ス ラ リ ーを
調製 した。 前記ス ラ リ ーを厚さが 1 2 μ πιの銅箔からなる集 電体の両面に塗布 し、 乾燥し、 プレスする こ とによ り 、 負極 層が集電体に担持された構造の負極を作製した。 なお、 負極 層の厚さ は、 片面当 り 5 5 μ πιであった。
なお、 炭素質物の ( 0 0 2 ) 面の面間隔 d 002 は、 粉末 X 線回折スぺク トルから半値幅中点法によ り それぞれ求めた。 こ の際、 ロー レ ンツ散乱等の散乱補正は、 行わなかった。
く セハ " レータ >
厚さ力 S 2 5 μ m、 多孔度 4 5 %で、 シャ ッ トダウン温度が
1 3 5 °Cで、 透気度が 3 0 0秒 Z 1 0 0 c m 3 で、 溶融温度 が 1 7 0 °Cの微多孔性ポリ エチレン膜からなるセパレータを 用意した。
<電極群の作製〉
前記正極の集電体に帯状アルミ ニ ウ ム箔 (厚さ 1 0 0 μ m ) からなる正極リ ー ドを超音波溶接し、 前記負極の集電体 に帯状ニ ッケル箔 (厚さ Ι Ο Ο μ πι ) からなる負極リ ー ドを 超音波溶接した後、 前記正極及び前記負極をその間に前記セ パ レータ を介 して渦巻き状に捲回 し、 電極群を作製した。 こ の電極群を加熱しなが らプ レス機で加圧する こ と によ り 、 偏 平状に成形した。
アルミ ニ ウム箔の両面をポリ エチレンで覆った厚さ 1 0 0 μ mの ラ ミ ネ一 ト フイ ノレムを、 プ レス機によ り矩形のカ ップ 状に成形 し、 得られた容器内に前記電極群を収納 した。
次いで、 容器内の電極群に 8 0 °Cで真空乾燥を 1 2 時間施 すこ と によ り 電極群及びラ ミ ネ一 ト フイ ルム に含まれる水分
を除去 した。
く液状非水電解質の調製〉
エチ レンカーボネー ト ( E C ) 、 γ —ブチロ ラ タ ト ン ( G B L ) お よ びオノレ ト塩化 ト ノレェ ン {ォノレ ト ク ロ ロ ト ノレエ ン ( o - C Τ ) ; 対金属 リ チウムでの酸化電位 4 . 8 V } を重 量比率 ( E C : G B L : o — C T ) 力 S 3 5 : 6 0 : 5 になる よ う に混合 して非水溶媒を調製 した。 得られた非水溶媒に四 フ ッ化ホ ウ酸 リ チウム ( L i B F 4 ) をその濃度が 1 . 5 モル/ L になる よ う に溶解させて、 液状非水電解質を調製し た。
容器内の電極群に前記液状非水電解質を電池容量 l A h 当 た り の量力 S 4 . 8 g と なる よ う に注入し、 ヒー ト シールによ り封止した後、 前述した図 1 、 2 に示す構造を有し、 厚さが 3 . 6 m m、 幅カ 3 5 mm、 高さ力 6 2 m mで、 公称容量が 0 . 6 5 A hの非水電解質二次電池を組み立てた。
この非水電解質二次電池に対し、 初充放電工程と して以下 の処置を施 した。 まず、 室温で 0 . 2 Cで 4 . 2 Vまで定電 流 ' 定電圧充電を 1 5 時間行った。 その後、 室温で 0 . 2 C で 3 . O Vまで放電し、 非水電解質二次電池を製造した。
こ こで、 1 C と は公称容量 ( A h ) を 1 時間で放電するた めに必要な電流値である。 よ って、 0 . 2 C は、 公称容量 ( A h ) を 5 時間で放電するために必要な電流値である。
(実施例 2〜 4 )
非水溶媒中のハロ ゲン化 トルエンの種類を下記表 1 に示す よ う に変更する こ と以外は、 前述 した実施例 1 と 同様に して
非水電解質二次電池を製造した。 なお下記表 1 中、 p — C T はパラ塩化 トノレェ ン (パラ ク 口 口 ト ルエ ン ; 対金属リ チウム での酸化電位 4 . 8 V ) 、 o — F Tはォノレ ト フ ッ化 トノレェ ン (ォノレ ト フノレォロ トルエン ; 対金属 リ チウムでの酸化電位 4 . 9 V ) 、 m _ C T はメ タ 塩化 ト ノレェ ン (メ タ ク ロ ロ ト ノレェ ン ; 対金属 リ チ ウムでの酸化電位 4 . 8 V ) を示す。
(実施例 5 〜 7 )
E C、 G B L、 o — C Tの重量比率を下記表 1 に示すよ う に変更する こ と以外は、 前述した実施例 1 と 同様にして非水 電解質二次電池を製造した。
(実施例 8 )
E Cの代わ り にプロ ピレンカーボネー ト ( P C ) を用いる こ と以外は、 前述した実施例 1 と 同様に して非水電解質二次 電池を製造した。
(実施例 9 )
エチ レンカーボネー ト ( E C ) 、 γ —ブチロ ラ ク ト ン ( G B L ) 、 オル ト塩化 トルエン {ォノレ ト ク ロ ロ トルエン ( ο — C T ) } を重量比率 ( E C : G B L : o — C T ) 力 3 5 : 6 0 : 5 になる よ う に混合して非水溶媒を調製した。 得られた 非水溶媒に、 四 フ ッ化ホ ウ酸 リ チ ウム ( L i B F 4 ) と 六 フ ッ化 リ ン酸 リ チウム ( L i P F 6) を等 しい重量で混合し、 その合計の濃度が 1 . 5 モル Z L になる よ う に溶解させて、 液状非水電解質を調製した。
かかる液状非水電解質を用いる こ と以外は、 前述した実施 例 1 と 同様に して非水電解質二次電池を製造した。
(実施例 1 0 〜 1 1 )
下記表 1 に示す組成を有する非水溶媒を用いる こ と以外は、 前述 した実施例 1 と 同様に して非水電解質二次電池を製造し た。
(比較例 1 )
非水溶媒にハ ロ ゲン化 ト ルエ ンを添加 しないこ と以外は、 前述 した実施例 1 と 同様に して非水電解質二次電池を製造し た。
(比較例 2 )
非水溶媒に、 o _ C Tの代わ り にビフ エ エル ( B P ; 金属 リ チウムに対する酸化電位 4 . 5 V ) を添加する こ と以外は、 前述 した実施例 1 と 同様に して非水電解質二次電池を製造し た。
(比較例 3 〜 5 )
E C、 G B L、 o — C Tの重量比率を下記表 1 に示すよ う に変更する こ と以外は、 前述した実施例 1 と 同様に して非水 電解質二次電池を製造した。
(比較例 6 )
エチレンカーボネー ト ( E C ) 、 γ —プチ口 ラ タ ト ン ( G B L ) 、 オノレ ト塩化 トノレェン {ォノレ ト ク ロ ロ トルエン ( ο — C T ) } を重量比率 ( E C : G B L : o — C T ) 力 3 5 : 6 0 : 5 になる よ う に混合して非水溶媒を調製した。 得られた 非水溶媒に、 四 フ ッ化ホ ウ酸 リ チ ウム ( L i B F 4 ) と 六 フ ツイ匕リ ン酸リ チウム ( L i P F 6) を重量比 ( L i B F 4 : L i P F 6) 力 S 4 0 : 6 0 になる よ う に混合し、 その合計の
2003/011106
29 濃度が 1 . 5 モル/ Lになる よ う に溶解させて、 液状非水電 解質を調製 した。
かかる液状非水電解質を用いる こ と 以外は、 前述 した実施 例 1 と 同様に して非水電解質二次電池を製造した。
(比較例 7 )
非水溶媒に、 o — C T の代わ り に 2, 4 ージク ロ ロ トルェ ン (金属 リ チウムに対する酸化電位 4 . 5 V ) を添加する こ と以外は、 前述した実施例 1 と 同様に して非水電解質二次電 池を製造した。
(比較例 8 )
非水溶媒に、 o — C T の代わ り に特開平 7 _ 3 0 2 6 1 4 に記載の 2 , 4 —ジメ チルァニソール (金属 リ チウムに対す る酸化電位 4 . 3 5 V ) を添加する こ と以外は、 前述した実 施例 1 と 同様に して非水電解質二次電池を製造した。
(比較例 9 )
非水溶媒に、 o — C T の代わり に特開平 9 一 5 0 8 2 2 に 記載の 2, 3, 5, 6 —テ ト ラ フルオロ ー 4 —メ チルァニソ ール (金属 リ チウムに対する酸化電位 4 . 7 5 V ) を添加す る こ と以外は、 前述した実施例 1 と同様に して非水電解質二 次電池を製造した。
(比較例 1 0 )
非水溶媒に、 o — C T の代わ り に p — フ ルォロ トノレェ ン (金属リ チウムに対する酸化電位 4 . 9 V ) を添加する こ と 以外は、 前述した実施例 1 と同様に して非水電解質二次電池 を製造した。
(比較例 1 1 )
E C、 G B L、 o — C T の重量比率を 1 0 : 8 5 : 5 に変 更する こ と以外は、 前述 した実施例 1 と 同様に して非水電解 質二次電池を製造した。
(比較例 1 2 )
下記表 2 に示す組成を有する非水溶媒を用いる こ と以外は、 前述 した実施例 1 と 同様に して非水電解質二次電池を製造し た。 なお、 表 2 における E M Cは、 ェチルメ チルカーボネー ト を示す。
得られた実施例 1 ~ 1 1 および比較例 1 ~ 1 2 の非水電解 質二次電池の各 1 0個ずつについて、 過充電試験を行った。 過充電試験の方法は、 電流値 3 Cで充電を続け、 その際に異 常な発熱や発火を生じた非水電解質二次電池の数を記録する ものであ る。 異常な発熱や発火を生じた電池個数の全体に占 める割合 (% ) を下記表 1 〜表 2 に示す。
また、 実施例 1 〜 1 1 および比較例 1 〜 1 2 の非水電解質 二次電池について、 放電電流 1 C、 放電終止電圧 3 . 0 Vの 条件で放電させた後、 温度 6 5 °Cの環境中に 1 ヶ月保管 し、 保管後の容量維持率 (保管前の放電容量を 1 ◦ 0 %とする) を求め、 その結果を下記表 1 〜 2 に併記する。
表 1
溶媒の種 |§ 混合比 電解質の種類と構成比 過充 ®i¾験結果 放電状態 (%は重量0 /oを示す) 6 5。C保管後
(%は重量%を示す) (異常発熱発生率;%) 容量維持率(%) 実施例 1 35%EC, 60%GBL, 5%o - CT 100%LiBF4 0 8 8 実施例 2 35 EC, 60%GBL, 5%p-CT 100%LiBF4 0 8 6 実施例 3 35%EC, 60%GBL, 5%o-FT 100%LiBF4 0 9 2 実施例 4 35%EC, 60%GBL, 5%m-CT 100%LiBF4 1 0 8 6 実施例 5 36. 9%ECr 63%GBL, 0 . 1%o— CT 100%LiBF4 2 0 9 2 実施例 6 32%EC, 53%GBL/ 15%o - CT 100%LiBF4 1 0 8 2 実施例 7 55%EC, 40%GBL, 5%o-CT 100%LiBF4 1 0 9 3 実施例 8 35 PC, 60%GBL, 5%o-CT 100%LiBF4 1 0 8 8 実施例 9 35%EC, 60%GBL, 5%o-CT 50%LiBF4 , 50%LiPF6 2 0 9 1 実施例 10 35%EC, 59%GBL, 5%o - FT, 1%VC 100%LiBF4 0 9 9 実施例 11 20%EC, 75%GBL, 5%o-CT 100%LiBF4 0 8 0
表 2
、溶媒の稀穎 混合比 雷解晳の と構成比 過充 結果 放電状態
6 5 C保管後 (%は重量 ° /。を示す) (%は重量%を示す) (異常発難生率; o/0) 容量維持率 (o/o) 比較例 1 37%EC, 63%GBL 100%LiBF4 100 9 2 比較例 2 35%EC, 60%GBL, 5 BP 100%LiBF4 100 9 2 比較例 3 36.99 EC, 63%GBL, 0.01%o- CT 100%LiBF4 50 9 2 比較例 4 30 EC, 50%GBL, 20%o - CT 100%LiBF4 40 64 比較例 5 65%EC, 30%GBL, 5%o-CT 100%LiBF4 40 94 較例 6 35%EC, 60%GBL, 5%o-CT 40%LiBF4/ 60%LiPF6 40 9 3 比較例 7 35%EC, 60%GBL, 5%2, 4—シ、、クロ口トルエン 100%LiBF4 50 74 比較例 8 35 EC, 60%GBL, 5%2, 4 シ、、メチルァ二ソール 100%LiBF4 100 9 2
35%EC, 60%GBL,
比較例 100%LiBF4 60 9 1
5%2,3, 5, 6—テトラフル才 4ーメチルァ二ソール
比較例 10 35%EC, 60%GBL, 5% p フルォロトルエン 100%LiBF4 40 9 1 比較例 11 10%EC, 85%GBL, 5% o - CT 100%LiBF4 0 1 0 比較例 12 35%EC, 60 EMC, 5%o-CT 100%LiBF4 100 9 5
表 1 〜 2 力 ら 明 ら 力 な よ う に 、 G B L の重量比率 (重 量 0/。) X が 4 0 ≤ x ≤ 8 0 、 環状カーボネー ト の重量比率 (重量0 /0 ) z 力 S 1 9 . 9 ≤ z ≤ 5 9 . 9並びにノヽロゲン化 ト ルェンの重量比率 (重量0 /o ) y 力 0 . 1 ≤ y ≤ 1 5 である非 水溶媒を用い、 かつ電解質の総重量に占める L i B F 4 の重 量比率が 5 0重量。 /。以上である実施例 1 〜 1 1 の二次電池は、 過充電試験を行った 1 0個の う ち異常な発熱を生 じたのはせ ぃぜぃ 2個 ( 2 0 %以下) で、 過充電状態を安全に終了 させ る効果が大きいと言える。 特に、 ハロゲン化 トルエンと して o — C T、 p — C T、 o — F Tを添加 した実施例 1 〜 3 の二 次電池は、 ハロ ゲン化 トルエン と して m— C Tを添加 した実 施例 4 の二次電池に比べて、 同 じ添加量で更に過充電状態を 安全に終了 させる効果が大きいと言える。
実施例 1 〜 1 1 の二次電池は、 放電状態で 6 5 °Cの高温環 境下に保管 した際の容量維持率が 8 0 %以上であ り 、 高温放 置特性に優れている こ と が理解でき る。 ハロゲン化 トルエン の種類の違いによる高温放置時の容量維持率の影響について は、 o — F T (実施例 3 ) > o - C T (実施例 1 ) > p — C T (実施例 2 ) の順に容量維持率が高 く なつている こ と がわ かる。 また、 実施例 1 〜 1 1 の う ち最も容量維持率の高いの は、 E C、 G B L、 o — F Tおよび V Cを含む非水溶媒を用 いる実施例 1 0 の二次電池であった。
これに対し、 E C と G B L力 らな り 、 ハロ ゲン化 トルエン が無添加の非水溶媒を用いる比較例 1 の非水電解質二次電池 は、 1 0個全てが異常な発熱を生じ、 例えばこの二次電池を
電源と して用いた携帯機器は、 万が一充電装置の故障等のた めに連続して大電流で充電が行われた場合に、 機器が過熱し、 最悪の場合は発火する可能性が大きいために不適当である こ と が明 らかである。 E C と G B L と B P力 らなる非水溶媒を 用いる比較例 2 の二次電池も同様である。 また、 E C と G B L と特開 2 0 0 0 — 1 5 6 2 4 3 号公開公報に記載のジク ロ 口 ト ルエ ンからなる非水溶媒を用いる比較例 7 の二次電池で は、 過充電試験を行った 1 0個の う ち 5個が異常な発熱を生 じ、 その う え高温放置時の容量維持率が低かった。
非水溶媒に o — C Tを 0 . 0 1 %添加した比較例 3 の二次 電池では、 過充電試験を行った 1 0個の う ち 5個が異常な発 熱を生じており 、 過充電の場合にも安全に充電を終了させる 効果は不充分である と言える。 非水溶媒に o — C Tを 2 0 % 添加 した比較例 4 の二次電池では、 高温放置時の容量維持率 が低いばかり か、 過充電試験を行った 1 0個の う ち 4個が異 常な発熱を生じている。 これは、 o — C Tの添加量が多いた め、 o — C T 自身の酸化反応による発熱量が多く 、 電池の温 度が上昇してしまったため と考え られる。
非水溶媒の総重量に占める G B Lの重量比が 3 0 %である 比較例 5 の二次電池では、 過充電試験を行った 1 0個の う ち 4個が異常な発熱を生じている。 これは、 G B Lの量が少な いため、 過充電状態において G B Lが酸化 して正極上に抵抗 被膜を生成する効果が小さ く 、 過充電状態での正極と液状非 水電解質と の反応によ る発熱が生じやすいため、 電池の温度 が上昇して しまった と考え られる。
非水溶媒に溶解する電解質の総重量に占める L i B F 4 と L i P F 6 の重量比が 4 0 : 6 0 である比較例 6 の二次電池 では、 過充電試験を行った 1 0個の う ち 4個が異常な発熱を 生 じている。 これは、 L i P F 6 が高温状態での安定性に欠 け、 L i P F 6 自身が反応 して発熱しやすいため、 電池の温 度が上昇して しま ったため と考え られる。
非水溶媒の総重量に占める E C と G B Lの重量比がそれぞ れ 1 0 %、 8 5 %である比較例 1 1 の二次電池では、 保管後 の放電容量は保管前の放電容量の 1 0 %に低下していた。 こ れは、 非水溶媒中の G B Lの割合が多いため、 高温状態で負 極表面と G B L と の反応が進行しやすく 、 6 5 °Cで保管 して いる間に負極が劣化 したため と考えられる。
E M Cのよ う なジァノレキノレカーボネ ー ト と E C とハロ ゲン 化 ト ルエ ンからなる非水溶媒を備えた比較例 1 2 の二次電池 は、 放電状態で高温にて放置した際の容量低下が少ないもの の、 過充電試験時の異常発熱発生率が 1 0 0 %と劣っていた。 これは、 過充電時、 ハロゲン化 ト ルエ ンの酸化分解がカーボ ネー ト類よ り も先に生 じ、 こ の発熱量ではセパ レータの シャ ッ ト ダウン機構が作動せず、 熱暴走に到ったためである。
(ハロゲン化 ト ルエ ンの検出方法)
また、 実施例 1 〜 3 の二次電池について、 前記初充放電工 程後、 5 時間以上回路を開放して十分に電位を落ち着かせた 後、 A r 濃度が 9 9 . 9 %以上、 かつ露点が一 5 0 °C以下の グローブボック ス内で分解し、 電極群を取 り 出 した。 前記電 極群を遠沈管につめ、 ジメ チルスルホキシ ド ( D M S O ) —
d 6 を加えて密封し、 前記グローブボッ ク ス よ り 取り 出 し、 遠心分離を行った。 その後、 前記グローブボ ック ス内で、 前 記遠沈管から前記電解液と前記 D M S O — d 6 の混合溶液を 採取した。 前記混合溶媒を 5 m m (i) の N M R用試料管に 0 . 5 m 1 程度入れ、 N M R測定を行った。 前記 N M R測定に用 いた装置は 日本電子株式会社製 J N M— L A 4 0 O W B であ り 、 観測核は 1 H、 観測周波数は 4 0 0 M H Z 、 ジメ チルス ルホキシ ド ( D M S 〇) - d 6 中に僅かに含まれる残余プロ ト ン信号を内部基準と して利用 した ( 2 . 5 p p m ) 。 測定 温度は 2 5 °C と した。 1 H N M Rスぺク ト ルでは E C に対応 する ピークが 4 . 5 p p m付近に観測され、 G B Lに対応す る ピー ク が 2 . l p p m付近、 2 . 4 p p m付近、 4 . 2 p p m付近に観察された。 更に、 実施例 1 の二次電池では、 o 一 C Tに対応する ピークが、 2 . 3 p p m付近及び 7 . 2 〜 7 . 4 p p m付近に観察された。 実施例 2 の二次電池では、 p — C Tに対応する ピーク が 2 . 2 p p m付近及び 7 . 1 〜 7 . 3 p p m付近に観察された。 実施例 3 の二次電池では、 o — F Tに対応する ピーク 力 S 2 . 2 p p m付近及び 7 . 1 〜 7 . 3 p p m付近に観察された。 これらの結果から、 初充放 電工程後の実施例 1 〜 3 の二次電池に存在する非水溶媒中に o — C T、 p — C T、 o — F Tがそれぞれ含まれている こ と を確認できた。
また、 観測周波数を 1 0 0 M H z と し、 ジメ チルスルホキ シ ド ( D M S O ) - d 6 ( 3 9 . 5 p p m ) を内部基準物質 と して 13 C N M R測定を行った と こ ろ、 E C に対応する ピ
一タ カ S 6 6 p p m付近及び 1 5 6 p p m付近に観察され、 G B L に対応する ピーク 力 S 2 2 p p m、 2 7 p p m、 6 8 p p m、 1 7 8 p p m付近に観察された。 更に、 実施例 1 の二次 電池では、 o — C T に対応する ピーク 力 S 1 9 p p m付近、 1 2 7 p p m付近、 1 2 8 p p m付近、 1 2 9 p p m付近、 1 3 1 p p m付近、 1 3 3 p p m付近、 及び 1 3 6 p p m付近 で観察された。 実施例 2 の二次電池では、 p — C Tに対応す る ピーク 力 S 2 0 p p m付近、 1 2 8 p p m付近、 1 3 1 p p m付近、 1 3 3 p p m付近、 及ぴ 1 3 7 p p mの範囲で観察 された。 実施例 3 の二次電池では、 o _ F T に対応する ピー タ カ S l 4 p p m付近、 1 1 5 p p m付近、 1 2 4 p p m付近、 1 2 8 ρ ρ m付近、 1 3 2 p p m付近、 1 6 0 p p m付近、 及び 1 6 2 p p m付近で観測された。 この結果か ら も、 初充 放電工程後の実施例 1〜 3 の二次電池に存在する非水溶媒中 に o — C T、 p — C T、 o — F Tがそれぞれ含まれている こ と を確認でき た。
さ らに、 i H N M R スぺク トルにおいて、 E C の N M R積 分強度に対する o — C Tの NM R積分強度の比を求め、 それ を E C と o — C Tの比率が既知の電解液の積分強度比の値と 比較する こ と に よ り 、 非水溶媒全体に対する o — C Tの割合 を求める こ と ができ た。
また、 実施例 1 0 の二次電池について、 前記実施例 1〜 3 の二次電池で説明 したの と 同様に して 1 H N M R測定を行つ た と ころ、 E C に対応する ピーク が 4 . 5 p p m付近、 V C に対応する ピーク 力 S 7 · 7 p p m付近に観測され、 G B L に
対応する ピーク 力 s 2 . l p p m付近と 2 . 4 p p m付近 と 4 . 2 p p m付近と に観察された。 更に、 o — F Tに対応する ピ ーク が、 2 . 2 p p m付近及び 7 . 1 〜 7 . 3 p p m付近に 観察された。 これ ら の結果から、 初充放電工程後の実施例 1 0 の二次電池に存在する非水溶媒中に V C と o — F T と が含 まれてい る こ と を確認できた。
一方、 実施例 1 0 の二次電池について の 13 C N M R測定 では、 E C に対応する ピーク 力 S 6 6 p p m付近及び 1 5 6 p p m付近、 V C に対応する ピーク が 1 3 3 p p m付近に観察 され、 G B L に対応する ピーク 力 2 2 p p m、 2 7 p p m、 6 8 p p m 1 7 8 p p m付近に観察された。 更に、 o — C Tに対応する ピーク 力 S l 4 p p m付近と 、 1 1 5 p p m付近 と 、 1 2 4 p p m付近と 、 1 2 8 p p m付近と 、 1 3 2 p p m付近と 、 1 6 0 p p m付近と 、 1 6 2 p p m付近と で観察 された。 この結果か ら も、 初充放電工程後の実施例 1 0 の二 次電池に存在する非水溶媒中に V C と o — F T と が含まれて いる こ と を確認でき た。
さ ら に、 iH N M R ス ぺク ト ノレにおいて、 E C の N M R積 分強度に対する G B L、 V C、 及び o — F Tの N M R積分強 度の比をそれぞれ求め、 それを E C と G B L と V C と o — F Tの比率が既知の液状非水電解質についての積分強度比 ( E Cの N M R積分強度に対する G B L、 V C及び o — F Tそれ ぞれの N M R積分強度の比) の値と 比較する こ と によ り 、 非 水溶媒を構成する 4 成分 ( G B L、 E C、 V C、 o — F T ) の組成比を求め る こ と ができ、 こ の組成比か ら非水溶媒総重
量に対する o — F Tの割合を求める こ と ができた。
なお、 本発明は、 上記の実施例に止まる も のではな く 、 他 の種類の正極 ■ 負極 · セパレータ · 容器の組合わせにおいて も同様に適用可能である。 また、 上記の実施例のよ う なラ ミ ネー ト フ イ ルムから容器を形成した非水電解質二次電池以外 にも、 円筒形や角形の容器を有する二次電池においても本発 明は適用可能である。
産業上の利用可能性
以上詳述 したよ う に本発明によれば、 高温放置特性と過充 電時の安全性の双方に優れる非水電解質と、 高温放置特性と 過充電時の安全性の双方を満足する非水電解質二次電池と を 提供する こ とができ る。