JPWO2004021501A1 - 非水電解質及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

本発明によれば、非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解される電解質を含有する非水電解質であって、前記非水溶媒は、クロロトルエン(CT)及びオルトフルオロトルエン(o−FT)よりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンと、γ−ブチロラクトン(GBL)と、環状カーボネートとを含み、前記非水溶媒中の前記GBL、前記ハロゲン化トルエン及び前記環状カーボネートの割合をそれぞれx(重量%)、y(重量%)、z(重量%)とした際に前記x、前記y及び前記zはそれぞれ40≦x≦80、0.1≦y≦15、19.9≦z≦59.9、x+y+z≦100を満たし、前記電解質は、LiBF4を前記電解質の総重量に対する比率で50重量%以上含有する非水電解質が提供される。

Description

本発明は、非水電解質と、この非水電解質を備える非水電解質二次電池に関するものである。
近年、移動体通信機、ノートブック型パソコン、パームトップ型パソコン、一体型ビデオカメラ、ポータブルCD(MD)プレーヤー、コードレス電話等の電子機器の小形化、軽量化を図る上で、これらの電子機器の電源として、特に小型で大容量の電池が求められている。
これら電子機器の電源として普及している電池としては、アルカリマンガン電池のような一次電池や、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池等の二次電池が挙げられる。その中でも、正極にリチウム複合酸化物を用い、かつ負極にリチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素質材料を用いた非水電解質二次電池が、小型軽量で単電池電圧が高く、高エネルギー密度を得られることから注目されている。
近年は、上述したような正極と負極を含む電極群を収納するための容器として、アルミ等の金属箔と樹脂を貼り合わせたラミネートフィルムを袋状あるいはカップ状等に成型したものが用いられ、これにより、非水電解質二次電池の更なる軽量化と小型化が可能となった。
このラミネートフィルムからなる容器を用いた非水電解質二次電池では、用いられる非水電解質が次の条件を満たすことが望ましい。まず第一に、容器の柔軟性が高いため、電池内部で分解反応等によりガスが発生すると、容器が大きく変形する恐れがあり、非水電解質としては、充電状態、即ち正極の電位が高い状態でも電気化学的な分解反応が起こらないものである必要がある。第二に、ラミネートフィルムからなる容器を用いた場合、遮断弁や安全弁等の機構を設けることが困難であるため、非水電解質としては、過充電等の異常な使用状況においても発熱反応を起こしにくいことが望まれる。
このようなことから、分解によるガス発生反応を起こしにくく、また過充電等の状況においても発熱反応も起こしにくいγ−ブチロラクトン(GBL)に、高い伝導性を有し沸点も高いエチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネートを混合したものを非水溶媒として用い、かっ電解質としては発熱反応を起こしにくい四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)を用いることが検討されている。例えば、特開平11−31525号公開公報は、正極にリチウム遷移金属酸化物、負極に黒鉛系材料を用い、電解液がリチウム塩を溶解した有機電解液であるリチウムニ次電池に関するものであり、有機電解液の溶媒としてγ−ブチロラクトンを主成分とし、かつ副成分として少なくともエチレンカーボネートを含む組成を有するものを使用することが記載されている。
しかしながら、このような構成を有する二次電池は、充電器の故障等による異常な過充電時の安全性が充分なものではない。即ち、過充電により正極電位が金属リチウムに対する電位で4.7V以上になると、正極でGBLの分解反応が生じ、この反応に伴う発熱反応が徐々に進行する。過充電が進行して正極電位(金属リチウムに対する電位)が5.0Vを超えると、分解反応が急激に進行し、この反応に伴う発熱のために二次電池の温度が上昇し、この温度上昇により分解反応がさらに促進される、いわゆる熱暴走状態に陥り、甚だしい場合には発火する危険性がある。
ところで、特開平7−302614号公開公報は、レドックスシャトルによる過充電防止技術に関するものであり、段落(0053)の実施例3の表5には、酸化還元電位が4.8〜4.9V程度のベンゼン誘導体が記載されている。
これらベンゼン誘導体は、レドックスシャトル反応により過充電電流が消費されるためにGBLの分解反応を抑制できるものの、電池の機能を停止させるものではなく、分解反応に伴う発熱反応が継続して生じるため、熱暴走に至る危険性がある。
また、特開平9−50822号公開公報は、ベンゼン類化合物の酸化反応に伴う発熱反応を利用して過充電時の電流遮断を速やかに行なうことを目的とした発明である。この公開公報の実施例には、発熱開始電圧が4.45V〜4.75Vの範囲内にあるベンゼン類化合物が記載され、発熱開始電圧の低いものほど過充電時の電流遮断時間が短く、安全性が高いことが示されている。
しかしながら、上記のベンゼン類化合物の酸化反応による発熱は、GBLの分解反応による発熱が始まる前にほとんど終了してしまうため、GBLを用いる場合には電流遮断を速やかに行なうことができない。
一方、特開2000−156243号公開公報には、非水電解液中に、非水電解液電池の満充電時の正極電位よりも貴な電池電位に可逆性酸化還元電位を有する有機化合物を添加することにより、過充電状態の際に生じる溶媒の酸化分解反応を前記有機化合物によって促進し、この化学反応による発熱を利用して過充電電流を遮断することが記載されている。
しかしながら、前記有機化合物によりGBLの分解反応を促進した際に得られる発熱量は、過充電電流を遮断するには十分でないために電流遮断が速やかに行なわれず、GBLの分解反応により熱暴走にいたる危険性が高い。
また、特開平11−329496号公開公報には、フッ素原子および芳香族環を有するフッ素含有芳香族化合物として、段落0026に記載されているようなフッ化ベンゼン、フッ素原子とフッ素置換アルキル基を有するもの、フッ素原子とカルボニル基を含むもの、エーテル類のフッ化物、芳香族アミン類のフッ化物、フッ素原子とシアノ基を有するもの、フッ素含有リン酸エステルが挙げられており、これらフッ素含有芳香族化合物が物理的に安全で、熱分解されにくく、難燃性で電気化学的な酸化・還元を受けにくいという性質を有している(段落0028に記載)ことから、フッ素含有芳香族化合物を含む非水溶媒と電解質からなる非水電解液を用いることによって、正極と非水電解液との反応速度を抑えて発熱反応を抑制することが記載されている。
前記フッ素含有芳香族化合物を使用すると、過充電時の発熱量が少なくなる反面、セパレータによる電流遮断機構の作動が遅れるため、過充電電流の流れている時間が長くなり、熱暴走に至る危険性がある。
さらに、特開2001−256996号公開公報には、エチレンカーボネート20〜60体積%と、ジアルキルカーボネート20〜70体積%と、フッ素化されたトルエン化合物5〜30体積%とを含む有機溶媒を備えた有機電解液を用いることにより、高温で長時間放置する際の電池の内圧上昇を抑えることが記載されている。
前記有機電解液に含まれるエチレンカーボネートとジアルキルカーボネートそれぞれの酸化分解電位は、フッ素化トルエン化合物の酸化分解電位よりも貴な電位にあるため、前記有機電解液を備えた二次電池が過充電されると、フッ素化トルエン化合物のみが先に酸化分解される。この酸化分解に伴う発熱量は、セパレータの電流遮断機構を作動させるのには不十分であるため、電流遮断機構が作動せずに継続して過充電電流が流れつづけ、やがて熱暴走に至る危険性がある。
本発明は、高温放置特性と過充電時の安全性の双方に優れる非水電解質と、高温放置特性と過充電時の安全性の双方を満足する非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明に係る非水電解質は、非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解される電解質を含有する非水電解質であって、
前記非水溶媒は、クロロトルエン(CT)及びオルトフルオロトルエン(o−FT)よりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンと、γ−ブチロラクトン(GBL)と、環状カーボネートとを含み、前記非水溶媒中の前記GBL、前記ハロゲン化トルエン及び前記環状カーボネートの割合をそれぞれx(重量%)、y(重量%)、z(重量%)とした際に前記x、前記y及び前記zはそれぞれ40≦x≦80、0.1≦y≦15、19.9≦z≦59.9、x+y+z≦100を満たし、
前記電解質は、LiBFを前記電解質の総重量に対する比率で50重量%以上含有することを特徴とするものである。
本発明に係る非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解される電解質を含有する非水電解質とを具備する非水電解質二次電池であって、
前記非水溶媒は、クロロトルエン(CT)及びオルトフルオロトルエン(o−FT)よりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンと、γ−ブチロラクトン(GBL)と、環状カーボネートとを含み、前記非水溶媒中の前記GBL、前記ハロゲン化トルエン及び前記環状カーボネートの割合をそれぞれx(重量%)、y(重量%)、z(重量%)とした際に前記x、前記y及び前記zはそれぞれ40≦x≦80、0.1≦y≦15、19.9≦z≦59.9、x+y+z≦100を満たし、
前記電解質は、LiBFを前記電解質の総重量に対する比率で50重量%以上含有することを特徴とするものである。
図1は、本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である薄型非水電解質二次電池を示す斜視図。
図2は、図1の薄型非水電解質二次電池をII−II線に沿って切断した部分断面図。
本発明に係る非水電解質二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に介在するセパレータと、非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解される電解質を含有する非水電解質とを具備する。前記非水溶媒は、塩化トルエン{クロロトルエン(CT)}及びオルトフッ化トルエン{オルトフルオロトルエン(o−FT)}よりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンと、γ−ブチロラクトン(GBL)と、環状カーボネートとを含み、前記非水溶媒中の前記GBL、前記ハロゲン化トルエン及び前記環状カーボネートの割合をそれぞれx(重量%)、y(重量%)、z(重量%)とした際に前記x、前記y及び前記zはそれぞれ40≦x≦80、0.1≦y≦15、19.9≦z≦59.9、x+y+z≦100を満たす。また、前記電解質中のLiBFの含有量は、50重量%以上である。なお、重量比率(重量%)x、重量比率(重量%)y及び重量比率(重量%)zの合計量のより好ましい範囲は、60≦x+y+z≦100で、さらに好ましい範囲は90≦x+y+z≦100である。
このような二次電池によれば、これを内蔵する携帯機器の充電器の故障等により過充電状態となって正極の電位が上昇した際に、セパレータのシャットダウンを確実に生じさせることができるため、過充電状態を安全に終了させることができる。すなわち、過充電状態において、GBLと正極との反応による発熱反応と同時期にハロゲン化トルエンの酸化による発熱反応を生じさせることによって、電池温度をセパレータのシャットダウン温度まで速やかに上昇させることができるため、過充電電流を早期に遮断することができる。また、前述した組成を有する非水電解質は、過充電時の正極との反応性が比較的低いため、電流遮断後、正極と非水電解質との反応が速やかに終了する。従って、非水電解質二次電池が熱暴走に至るのを回避することができる。
また、本発明に係る二次電池によれば、二次電池を放電状態で高温環境下に保管した際の容量低下を少なくすることができ、優れた高温放置特性を得ることができる。
以下、前記正極、負極、セパレータ、非水電解質について説明する。
1)正極
この正極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質を含む正極層とを含む。
前記正極層は、正極活物質、結着剤及び導電剤を含む。
前記正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバルト酸化物(例えば、LiCoO)、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8Co0.2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn、LiMnO2)を用いると、高電圧が得られるために好ましい。なお、正極活物質としては、1種類の酸化物を単独で使用しても、あるいは2種類以上の酸化物を混合して使用しても良い。
前記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエーテルサルフォン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
前記正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
前記正極は、例えば、正極活物質に導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。
2)負極
前記負極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持される負極層とを含む。
前記負極層は、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質及び結着剤を含む。
前記負極活物質としては、例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、熱分解気相炭素質物、樹脂焼成体などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料;熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ系炭素、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が容量や充放電サイクル特性が高くなり好ましい)に500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料;二硫化チタン、二硫化モリブデン、セレン化ニオブ等のカルコゲン化合物;アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、リチウム、リチウム合金等の軽金属;等を挙げることができる。中でも、(002)面の面間隔d002が0.34nm以下である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このような黒鉛質材料を負極活物質として含む負極を備えた非水電解質二次電池は、電池容量および大電流放電特性を大幅に向上することができる。前記面間隔d002は、0.337nm以下であることが更に好ましい。
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。
前記負極活物質及び前記結着剤の配合割合は、炭素質物90〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
前記負極は、例えば、負極活物質と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製される。
3)セパレータ
このセパレータとしては、微多孔性の膜、織布、不織布、これらのうち同一材または異種材の積層物等を用いることができる。中でも、微多孔性の膜は、過充電等による発熱で電極群の温度が異常に上昇すると、セパレータを構成する樹脂が塑性変形し微細な孔が塞がる、いわゆるシャットダウン現象を生じ、リチウムイオンの流れが遮断され、それ以上の発熱を防止し、過充電状態を安全に終了させることができるので好ましい。セパレータを形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合ポリマー、エチレン−ブテン共重合ポリマー等を挙げることができる。セパレータの形成材料としては、前述した種類の中から選ばれる1種類または2種類以上を用いることができる。
前記セパレータは、透気度が200〜600秒/100cmであることが好ましい。透気度は、100cmの空気がセパレータを透過するのに要した時間(秒)を意味し、JIS(日本工業規格)のP8117に規定する紙及び板紙の透気度試験方法により測定することができる。透気度を前記範囲に規定する理由を説明する。透気度が200秒/100cm未満の場合はセパレータの孔が大きく且つ粗い状態であるので、上記のようなシャットダウン現象が速やかに起こらずに熱暴走に至る恐れがある。一方、透気度が600秒/100cmを超えると、セパレータの孔が極めて小さいために非水電解質がセパレータの孔に完全に保持されない部分が生じることから、ハロゲン化トルエンの酸化発熱によるシャットダウン現象が部分的にしか生じない可能性がある、つまりリチウムイオンの流れを完全に遮断することができない恐れがある。また透気度が600秒/100cmを超える場合、通常の充放電を行う際のイオンの移動抵抗が大きくなるため、電池の内部抵抗が大きくなる可能性もある。透気度の範囲は250〜500秒/100cmにすることがより好ましく、さらに好ましい範囲は300〜450秒/100cmである。
前記セパレータがシャットダウン現象を生じる温度、いわゆるシャットダウン温度は、100℃〜160℃の範囲にあることが好ましい。このシャットダウン温度は、セパレータを加熱し、透気度の値が10万秒/100cm以上になるセパレータ温度として測定できる。シャットダウン温度を前記範囲に規定する理由を説明する。シャットダウン温度が160℃を超える場合は、過充電状態においてセパレータのシャットダウンが速やかに起こらずに熱暴走に至る可能性が高くなる。一方、シャットダウン温度が100℃未満の場合は、非水電解液二次電池の通常の使用状態において、例えば炎天下の自動車内などの高温状態に置かれたときにセパレータの透気度が上昇し、電池の大電流放電特性が低下するなどの問題を生じる可能性がある。セパレータのシャットダウン温度は110℃〜150℃にすることがより好ましい。さらに好ましい範囲は、130℃〜140℃である。
前記セパレータが溶融して破膜を生じる温度、いわゆる溶融温度は、160℃以上でかつ前記シャットダウン温度よりも15℃以上高いことが望ましい。溶融温度が160℃未満であったり、或いはシャットダウン温度との差が15℃未満である場合は、電池温度の上昇により一旦シャットダウン現象を生じても、その後にセパレータが溶融して破膜し、正極と負極とが直接接触する、いわゆる短絡状態に至る危険性がある。短絡状態に至った場合、短絡した箇所の電気抵抗が極めて小さいために短絡した箇所で大電流が流れ続け、ジュール熱を生じることにより短絡した箇所の温度が局所的に上がり、更に周囲のセパレータが溶融したり、或いは熱暴走を生じる可能性がある。
前記セパレータは、多孔度が30〜60%の範囲であることが好ましい。多孔度のより好ましい範囲は、35〜50%である。
前記セパレータの厚さは、30μm以下にすることが好ましく、さらに好ましい範囲は25μm以下である。また、厚さの下限値は5μmにすることが好ましく、さらに好ましい下限値は8μmである。
セパレータの幅は、正極と負極の幅に比べて広くすることが望ましい。このような構成にすることにより、正極と負極がセパレータを介さずに直接接触するのを防ぐことができる。
上記正極、負極、セパレータを組合せて電極群を形成する。この電極群は、例えば、(i)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて偏平形状または渦巻き状に捲回するか、(ii)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮するか、(iii)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて1回以上折り曲げるか、あるいは(iv)正極と負極とをその間にセパレータを介在させながら積層する方法により作製される。
電極群には、プレスを施さなくても良いが、正極、負極及びセパレータの一体化強度を高めるためにプレスを施しても良い。また、プレス時に加熱を施すことも可能である。
電極群には、正極、負極及びセパレータの一体化強度を高めるために、接着性高分子を含有させることができる。前記接着性を有する高分子は、非水電解質を保持した状態で高い接着性を維持できるものであることが望ましい。さらに、かかる高分子は、リチウムイオン伝導性が高いとなお好ましい。具体的には、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。
4)非水電解質
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解される電解質(例えば、リチウム塩)とを含むものである。この非水電解質の形態は、液体状(非水電解液)やゲル状にすることができる。
まず、非水溶媒について説明する。
a.γ−ブチロラクトン(GBL)
GBLは、充電状態、すなわち、正極の電位が高い状態での正極との反応性が環状カーボネートに比較して低いため、過充電状態における非水溶媒の分解反応とこれに伴う発熱反応が比較的起こり難く、セパレータによる過充電電流遮断後、非水電解質の分解反応を速やかに終息させることができる。GBLの非水溶媒全重量に対する比率(x)は、40重量%〜80重量%の範囲内にすることが望ましい。これは次のような理由によるものである。GBLの比率(x)を40重量%未満にすると、GBLよりも正極との反応性の高い溶媒(例えば、エチレンカーボネート(EC))の比率が大きくなり、過充電状態における非水溶媒の分解反応と発熱反応が生じ易くなり、電池の温度が上昇して更に非水溶媒の分解反応が促進される、いわゆる熱暴走状態に陥る危険性が大きくなる。一方、GBLの比率(x)が80重量%を超えると、特に高温時における負極表面とGBLとの反応性が高くなるため、放電状態で高温環境下に貯蔵した後の容量回復率が低くなるか、あるいは充放電サイクル寿命が短くなる可能性がある。
GBLのより好ましい比率(x)は、50重量%〜80重量%で、さらに好ましい比率(x)は、55重量%〜75重量%である。
b.環状カーボネート
環状カーボネートは、GBLの利点、すなわち、凝固点が低くてリチウムイオン伝導性が高く、かつ安全性に優れるという利点を損なうことなく、負極活物質中に吸蔵されたリチウムイオンとGBLとの反応を抑えることができる。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等を挙げることができる。特にECは、リチウムイオンとGBLとの反応を抑える効果が大きいので好ましい。なお、環状カーボネートの種類は、1種類でも良いし、2種類以上にすることも可能である。
環状カーボネートの非水溶媒全重量に対する比率は、19.9〜59.9重量%の範囲内にすることが望ましい。これは次のような理由によるものである。環状カーボネートの非水溶媒全体積に対する比率を19.9重量%未満にすると、特に高温環境下でのリチウムイオンとGBLとの反応を抑えられなくなる恐れがある。また、環状カーボネート(特にEC)は、充電状態の正極との反応性がGBLよりも高いため、環状カーボネートの比率が59.9重量%を超えると、過充電の際に非水溶媒の分解反応が生じ易く、セパレータによる電流遮断後も分解反応が継続して生じて熱暴走に至る危険性が高くなる。また、環状カーボネートは凝固点が高いため、環状カーボネートの比率が59.9重量%を超えると、低温放電特性が著しく低下する恐れがある。また、環状カーボネートの比率が59.9重量%を超えると、非水電解質の粘度が高くなってイオン伝導度が低下するため、大電流放電特性が低下する恐れがある。環状カーボネートの比率のより好ましい範囲は25〜50重量%の範囲内で、さらに好ましい比率は、25〜45重量%の範囲内である。
c.ハロゲン化トルエン
このハロゲン化トルエンは、塩化トルエン{クロロトルエン(CT)}及びオルトフッ化トルエン{オルトフルオロトルエン(o−FT)}よりなる群から選択される少なくとも1種類から構成される。
40重量%〜80重量%のGBLと19.9〜59.9重量%の環状カーボネートとを含む非水溶媒においては、過充電により正極電位が金属リチウムに対する電位で4.7V以上に達すると、正極においてGBLの分解反応とこの分解反応に伴う発熱反応が徐々に生じ始め、過充電が更に進行して正極電位が金属リチウムに対する電位で5.0Vを超えるとこれらの反応が急激に進行する。このとき、電池温度の上昇によって、セパレータが前記のようなシャットダウン現象を生じれば、リチウムイオンの流れが遮断され、過充電状態を安全に終息させることができる。ただし、このシャットダウン現象が完全に生じるためには、セパレータの正極及び負極と接している全ての面積において一様に、かつ短時間のうちに、セパレータを構成する樹脂が塑性変形を起こす温度(シャットダウン温度)まで上昇しなければならない。セパレータの温度がシャットダウン温度に達するまでの時間は、流れる電流が大きいほど短く、流れる電流が小さいほど時間は長くなる。また、このシャットダウン温度に達するまでの時間は、二次電池から熱が外部に逃げる、いわゆる放熱の効率が大きいほど長く、放熱の効率が小さいほど短くなる。この放熱の効率は、二次電池を構成する部材の材質や形状によって異なる。
本願発明では、GBLと環状カーボネートを所定の割合で含む非水溶媒中に、塩化トルエン{クロロトルエン(CT)}及びオルトフッ化トルエン{オルトフルオロトルエン(o−FT)}よりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンを添加する。オルトフッ化トルエン{オルトフルオロトルエン(o−FT)}の酸化電位(金属リチウ広に対する電位)は4.9Vで、オルト塩化トルエン{オルトクロロトルエン(o−CT)}とパラ塩化トルエン{パラクロロトルエン(p−CT)}とメタ塩化トルエン{メタクロロトルエン(m−CT)}の酸化電位(金属リチウムに対する電位)は、いずれも4.8である。
これらハロゲン化トルエンの酸化反応に伴う発熱反応は、正極とGBLの反応による発熱反応と同時期に生じ、かつその酸化反応による発熱量が大きいため、短時間のうちに大きな発熱量を得てセパレータの温度をシャットダウン温度に到達させることができ、過充電の際に確実にシャットダウン現象を生じさせることが可能である。また、これらハロゲン化トルエンは、正極電位が4.7V未満の際には、正極、負極、および非水電解質(特にGBL)のいずれとも反応することがないため、二次電池の充放電特性が損なわれることがない。さらに、本願発明のように非水電解質の組成を規定すると、過充電電流遮断後、非水電解質の分解反応を速やかに停止させることができる。これらの結果、二次電池の充放電特性を損なうことなく、熱暴走を抑えることが可能になる。
更に、ハロゲン化トルエンとして、オルト塩化トルエン{オルトクロロトルエン(o−CT)}、パラ塩化トルエン{パラクロロトルエン(p−CT)}及びオルトフッ化トルエン{オルトフルオロトルエン(o−FT)}よりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンを用いると、過充電時の安全性をさらに向上することができるため、好ましい。これらハロゲン化トルエンは、酸化反応が生じるタイミングが最適で、かつ十分な発熱量が得られるだけでなく、酸化反応によりハロゲン化トルエンの重合体が生成し、生成した重合体がセパレータに固着して孔を塞ぎ、セパレータの電流遮蔽効果をより高めることができるからである。特に、優れた高温放置特性を得る観点から、オルトフッ化トルエン{オルトフルオロトルエン(o−FT)}を用いるのがより好ましい。
なお、4.7V未満の電位(対金属リチウム)で酸化反応を生じる物質を非水溶媒に添加した場合、GBLの反応による発熱が生じる前に、添加した物質の反応が終了してしまい、従って短時間のうちにセパレータの温度をシャットダウン温度に達することができない。一方、5.0Vを超える電位(対金属リチウム)で酸化反応を生じる物質を非水溶媒に添加した場合、添加した物質が酸化反応を生じる前に正極とGBLの反応による発熱が生じている。従って添加した物質が酸化反応を生じるときは二次電池の温度が既に上昇しており、その状態で酸化反応による発熱が生じるとかえって熱暴走を促進する危険性がある。
ハロゲン化トルエンの非水溶媒全重量に対する比率(y)は、0.1〜15重量%の範囲内にすることが望ましい。これは次のような理由によるものである。ハロゲン化トルエンの比率(y)を0.1重量%未満にすると、ハロゲン化トルエンの酸化反応による発熱量が少なくなり、セパレータをシャットダウンさせる効果が小さくなる。逆に、ハロゲン化トルエンの比率(y)が15重量%を超えると、ハロゲン化トルエンの酸化反応による発熱量が大きくなりすぎ、二次電池の温度が急激に上昇して熱暴走に至る危険性が大きくなる。また、ハロゲン化トルエンの比率(y)が15重量%を超えると、高温放置特性が低下する。
ハロゲン化トルエンのより好ましい比率(y)は、0.5〜10重量%の範囲で、さらに好ましい比率(y)は、1〜8重量%の範囲である。
d.副成分
非水溶媒中には、GBL、環状カーボネートおよびハロゲン化トルエン以外の他の溶媒を、副成分として含有させることができる。
前記非水溶媒には、セパレータとの濡れ性を良くするために、トリオクチルフォスフェート(TOP)のような界面活性剤を含有させることが望ましい。界面活性剤の添加量は、3%以下が好ましく、さらには0.1〜1%の範囲内にすることが好ましい。
副成分としては、例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−バレロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−メチルフラン、フラン、チオフェン、カテコールカーボネート、エチレンサルファイト、12−クラウン−4、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。副成分の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
中でも、ビニレンカーボネート(VC)を含む副成分は、負極表面に緻密な保護皮膜を生成するため、負極活物質中に吸蔵されたリチウムイオンとGBLとの反応性をさらに低くすることが可能になり、放置放電特性を改善することができる。非水溶媒中の副成分の重量比率は、10重量%以下の範囲内にすることが望ましい。これは、副成分の重量比率を10重量%よりも多くすると、負極表面の保護皮膜のリチウムイオン透過性が低下して低温放電特性が大幅に損なわれる可能性があるからである。副成分の重量比率のより好ましい範囲は0.01〜5重量%であり、更に好ましい範囲は0.1〜3重量%である。
e.電解質
前記非水溶媒に溶解される電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CFSO)、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CSO)などのリチウム塩を挙げることができる。使用する電解質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
中でも、LiBFは、二次電池の温度が上昇したときの正極との反応性が低いことから、電流遮断後、非水電解質の分解反応を速やかに終結させることができるため、好ましい。また、LiN(CFSOおよびLiN(CSOのうち少なくとも一方からなるリチウム塩と、LiBFからなるリチウム塩とを含有する混合塩か、あるいはLiBF及びLiPFを含有する混合塩を用いると、高温でのサイクル寿命をより向上することができる。
前記電解質の総重量に対するLiBFの重量比率は、50重量%以上にすることが望ましい。これは、LiBFの重量比率を50重量%未満にすると、LiBFよりも正極との反応性の高い電解質(例えばLiPF)の比率が大きくなり、過充電状態における発熱反応が生じ易く、熱暴走状態に陥る危険性が大きくなるためである。
LiBFのより好ましい比率は、70重量%以上で、さらに好ましい比率は、80重量%以上である。
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.5モル/Lとすることが望ましい。さらに好ましい範囲は、1〜2.5モル/Lである。
前記非水電解質の量は、電池単位容量100mAh当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。非水電解質量のより好ましい範囲は、0.25〜0.55g/100mAhである。
本発明に係る非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を図1〜図2を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を示す斜視図、図2は図1の薄型リチウムイオン二次電池を短辺方向に沿って切断した部分断面図である。
図1に示すように、矩形のカップ状をなす容器本体1内には、電極群2が収納されている。電極群2は、正極3と、負極4と、正極3と負極4の間に配置されるセパレータ5を含む積層物が偏平形状に捲回された構造を有する。非水電解質は、電極群2に保持されている。容器本体1の縁の一部は幅広になっており、蓋板6として機能する。容器本体1と蓋板6は、それぞれ、ラミネートフィルムから構成される。このラミネートフィルムは、外部保護層7と、熱可塑性樹脂を含有する内部保護層8と、外部保護層7と内部保護層8の間に配置される金属層9とを含む。容器本体1には蓋体6が内部保護層8の熱可塑性樹脂を用いてヒートシールによって固定され、それにより容器内に電極群2が密封される。正極3には正極タブ10が接続され、負極4には負極タブ11が接続され、それぞれ容器の外部に引き出されて、正極端子及び負極端子の役割を果たす。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
<正極の作製>
まず、リチウムコバルト酸化物(LiCoO;但し、Xは0<X≦1である)粉末90重量%に、アセチレンブラック5重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%のジメチルフォルムアミド(DMF)溶液とを加えて混合し、スラリーを調製した。前記スラリーを厚さが15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスすることにより、正極層が集電体の両面に担持された構造の正極を作製した。なお、正極層の厚さは、片面当り60μmであった。
<負極の作製>
炭素質材料として3000℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(粉末X線回折により求められる(002)面の面間隔(d002)が0.336nm)の粉末を95重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%のジメチルフォルムアミド(DMF)溶液とを混合し、スラリーを調製した。前記スラリーを厚さが12μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、負極層が集電体に担持された構造の負極を作製した。なお、負極層の厚さは、片面当り55μmであった。
なお、炭素質物の(002)面の面間隔d002は、粉末X線回折スペクトルから半値幅中点法によりそれぞれ求めた。この際、ローレンツ散乱等の散乱補正は、行わなかった。
<セパレータ>
厚さが25μm、多孔度45%で、シャットダウン温度が135℃で、透気度が300秒/100cmで、溶融温度が170℃の微多孔性ポリエチレン膜からなるセパレータを用意した。
<電極群の作製>
前記正極の集電体に帯状アルミニウム箔(厚さ100μm)からなる正極リードを超音波溶接し、前記負極の集電体に帯状ニッケル箔(厚さ100μm)からなる負極リードを超音波溶接した後、前記正極及び前記負極をその間に前記セパレータを介して渦巻き状に捲回し、電極群を作製した。この電極群を加熱しながらプレス機で加圧することにより、偏平状に成形した。
アルミニウム箔の両面をポリエチレンで覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを、プレス機により矩形のカップ状に成形し、得られた容器内に前記電極群を収納した。
次いで、容器内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより電極群及びラミネートフィルムに含まれる水分を除去した。
<液状非水電解質の調製>
エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(GBL)およびオルト塩化トルエン{オルトクロロトルエン(o−CT);対金属リチウムでの酸化電位4.8V}を重量比率(EC:GBL:o−CT)が35:60:5になるように混合して非水溶媒を調製した。得られた非水溶媒に四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)をその濃度が1.5モル/Lになるように溶解させて、液状非水電解質を調製した。
容器内の電極群に前記液状非水電解質を電池容量1Ah当たりの量が4.8gとなるように注入し、ヒートシールにより封止した後、前述した図1、2に示す構造を有し、厚さが3.6mm、幅が35mm、高さが62mmで、公称容量が0.65Ahの非水電解質二次電池を組み立てた。
この非水電解質二次電池に対し、初充放電工程として以下の処置を施した。まず、室温で0.2Cで4.2Vまで定電流・定電圧充電を15時間行った。その後、室温で0.2Cで3.0Vまで放電し、非水電解質二次電池を製造した。
ここで、1Cとは公称容量(Ah)を1時間で放電するために必要な電流値である。よって、0.2Cは、公称容量(Ah)を5時間で放電するために必要な電流値である。
実施例2〜4
非水溶媒中のハロゲン化トルエンの種類を下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。なお下記表1中、p−CTはパラ塩化トルエン(パラクロロトルエン;対金属リチウムでの酸化電位4.8V)、o−FTはオルトフッ化トルエン(オルトフルオロトルエン;対金属リチウムでの酸化電位4.9V)、m−CTはメタ塩化トルエン(メタクロロトルエン;対金属リチウムでの酸化電位4.8V)を示す。
実施例5〜7
EC、GBL、o−CTの重量比率を下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
ECの代わりにプロピレンカーボネート(PC)を用いること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、オルト塩化トルエン{オルトクロロトルエン(o−CT)}を重量比率(EC:GBL:o−CT)が35:60:5になるように混合して非水溶媒を調製した。得られた非水溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を等しい重量で混合し、その合計の濃度が1.5モル/Lになるように溶解させて、液状非水電解質を調製した。
かかる液状非水電解質を用いること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
実施例10〜11
下記表1に示す組成を有する非水溶媒を用いること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例1)
非水溶媒にハロゲン化トルエンを添加しないこと以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例2)
非水溶媒に、o−CTの代わりにビフェニル(BP;金属リチウムに対する酸化電位4.5V)を添加すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例3〜5)
EC、GBL、o−CTの重量比率を下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例6)
エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、オルト塩化トルエン{オルトクロロトルエン(o−CT)}を重量比率(EC:GBL:o−CT)が35:60:5になるように混合して非水溶媒を調製した。得られた非水溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を重量比(LiBF:LiPF)が40:60になるように混合し、その合計の濃度が1.5モル/Lになるように溶解させて、液状非水電解質を調製した。
かかる液状非水電解質を用いること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例7)
非水溶媒に、o−CTの代わりに2,4−ジクロロトルエン(金属リチウムに対する酸化電位4.5V)を添加すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例8)
非水溶媒に、o−CTの代わりに特開平7−302614に記載の2,4−ジメチルアニソール(金属リチウムに対する酸化電位4.35V)を添加すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例9)
非水溶媒に、o−CTの代わりに特開平9−50822に記載の2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルアニソール(金属リチウムに対する酸化電位4.75V)を添加すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例10)
非水溶媒に、o−CTの代わりにp−フルオロトルエン(金属リチウムに対する酸化電位4.9V)を添加すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例11)
EC、GBL、o−CTの重量比率を10:85:5に変更すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
(比較例12)
下記表2に示す組成を有する非水溶媒を用いること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。なお、表2におけるEMCは、エチルメチルカーボネートを示す。
得られた実施例1〜11および比較例1〜12の非水電解質二次電池の各10個ずつについて、過充電試験を行った。過充電試験の方法は、電流値3Cで充電を続け、その際に異常な発熱や発火を生じた非水電解質二次電池の数を記録するものである。異常な発熱や発火を生じた電池個数の全体に占める割合(%)を下記表1〜表2に示す。
また、実施例1〜11および比較例1〜12の非水電解質二次電池について、放電電流IC、放電終止電圧3.0Vの条件で放電させた後、温度65℃の環境中に1ヶ月保管し、保管後の容量維持率(保管前の放電容量を100%とする)を求め、その結果を下記表1〜2に併記する。
Figure 2004021501
Figure 2004021501
表1〜2から明らかなように、GBLの重量比率(重量%)xが40≦x≦80、環状カーボネートの重量比率(重量%)zが19.9≦z≦59.9並びにハロゲン化トルエンの重量比率(重量%)yが0.1≦y≦15である非水溶媒を用い、かつ電解質の総重量に占めるLiBFの重量比率が50重量%以上である実施例1〜11の二次電池は、過充電試験を行った10個のうち異常な発熱を生じたのはせいぜい2個(20%以下)で、過充電状態を安全に終了させる効果が大きいと言える。特に、ハロゲン化トルエンとしてo−CT、p−CT、o−FTを添加した実施例1〜3の二次電池は、ハロゲン化トルエンとしてm−CTを添加した実施例4の二次電池に比べて、同じ添加量で更に過充電状態を安全に終了させる効果が大きいと言える。
実施例1〜11の二次電池は、放電状態で65℃の高温環境下に保管した際の容量維持率が80%以上であり、高温放置特性に優れていることが理解できる。ハロゲン化トルエンの種類の違いによる高温放置時の容量維持率の影響については、o−FT(実施例3)>o−CT(実施例1)>p−CT(実施例2)の順に容量維持率が高くなっていることがわかる。また、実施例1〜11のうち最も容量維持率の高いのは、EC、GBL、o−FTおよびVCを含む非水溶媒を用いる実施例10の二次電池であった。
これに対し、ECとGBLからなり、ハロゲン化トルエンが無添加の非水溶媒を用いる比較例1の非水電解質二次電池は、10個全てが異常な発熱を生じ、例えばこの二次電池を電源として用いた携帯機器は、万が一充電装置の故障等のために連続して大電流で充電が行われた場合に、機器が過熱し、最悪の場合は発火する可能性が大きいために不適当であることが明らかである。ECとGBLとBPからなる非水溶媒を用いる比較例2の二次電池も同様である。また、ECとGBLと特開2000−156243号公開公報に記載のジクロロトルエンからなる非水溶媒を用いる比較例7の二次電池では、過充電試験を行った10個のうち5個が異常な発熱を生じ、そのうえ高温放置時の容量維持率が低かった。
非水溶媒にo−CTを0.01%添加した比較例3の二次電池では、過充電試験を行った10個のうち5個が異常な発熱を生じており、過充電の場合にも安全に充電を終了させる効果は不充分であると言える。非水溶媒にo−CTを20%添加した比較例4の二次電池では、高温放置時の容量維持率が低いばかりか、過充電試験を行った10個のうち4個が異常な発熱を生じている。これは、o−CTの添加量が多いため、o−CT自身の酸化反応による発熱量が多く、電池の温度が上昇してしまったためと考えられる。
非水溶媒の総重量に占めるGBLの重量比が30%である比較例5の二次電池では、過充電試験を行った10個のうち4個が異常な発熱を生じている。これは、GBLの量が少ないため、過充電状態においてGBLが酸化して正極上に抵抗被膜を生成する効果が小さく、過充電状態での正極と液状非水電解質との反応による発熱が生じやすいため、電池の温度が上昇してしまったと考えられる。
非水溶媒に溶解する電解質の総重量に占めるLiBF4とLiPFの重量比が40:60である比較例6の二次電池では、過充電試験を行った10個のうち4個が異常な発熱を生じている。これは、LiPFが高温状態での安定性に欠け、LiPF自身が反応して発熱しやすいため、電池の温度が上昇してしまったためと考えられる。
非水溶媒の総重量に占めるECとGBLの重量比がそれぞれ10%、85%である比較例11の二次電池では、保管後の放電容量は保管前の放電容量の10%に低下していた。これは、非水溶媒中のGBLの割合が多いため、高温状態で負極表面とGBLとの反応が進行しやすく、65℃で保管している間に負極が劣化したためと考えられる。
EMCのようなジアルキルカーボネートとECとハロゲン化トルエンからなる非水溶媒を備えた比較例12の二次電池は、放電状態で高温にて放置した際の容量低下が少ないものの、過充電試験時の異常発熱発生率が100%と劣っていた。これは、過充電時、ハロゲン化トルエンの酸化分解がカーボネート類よりも先に生じ、この発熱量ではセパレータのシャットダウン機構が作動せず、熱暴走に到ったためである。
(ハロゲン化トルエンの検出方法)
また、実施例1〜3の二次電池について、前記初充放電工程後、5時間以上回路を開放して十分に電位を落ち着かせた後、Ar濃度が99.9%以上、かつ露点が−50℃以下のグローブボックス内で分解し、電極群を取り出した。前記電極群を遠沈管につめ、ジメチルスルホキシド(DMSO)−dを加えて密封し、前記グローブボックスより取り出し、遠心分離を行った。その後、前記グローブボックス内で、前記遠沈管から前記電解液と前記DMSO−d6の混合溶液を採取した。前記混合溶媒を5mmφのNMR用試料管に0.5ml程度入れ、NMR測定を行った。前記NMR測定に用いた装置は日本電子株式会社製JNM−LA400WBであり、観測核はH、観測周波数は400MHz、ジメチルスルホキシド(DMSO)−d中に僅かに含まれる残余プロトン信号を内部基準として利用した(2.5ppm)。測定温度は25℃とした。HNMRスペクトルではECに対応するピークが4.5ppm付近に観測され、GBLに対応するピークが2.1ppm付近、2.4ppm付近、4.2ppm付近に観察された。更に、実施例1の二次電池では、o−CTに対応するピークが、2.3ppm付近及び7.2〜7.4ppm付近に観察された。実施例2の二次電池では、p−CTに対応するピークが2.2ppm付近及び7.1〜7.3ppm付近に観察された。実施例3の二次電池では、o−FTに対応するピークが2.2ppm付近及び7.1〜7.3ppm付近に観察された。これらの結果から、初充放電工程後の実施例1〜3の二次電池に存在する非水溶媒中にo−CT、P−CT、o−FTがそれぞれ含まれていることを確認できた。
また、観測周波数を100MHzとし、ジメチルスルホキシド(DMSO)−d(39.5ppm)を内部基準物質として13CNMR測定を行ったところ、ECに対応するピークが66ppm付近及び156ppm付近に観察され、GBLに対応するピークが22ppm、27ppm、68ppm、178ppm付近に観察された。更に、実施例1の二次電池では、o−CTに対応するピークが19ppm付近、127ppm付近、128ppm付近、129ppm付近、131ppm付近、133ppm付近、及び136ppm付近で観察された。実施例2の二次電池では、p−CTに対応するピークが20ppm付近、128ppm付近、131ppm付近、133ppm付近、及び137ppmの範囲で観察された。実施例3の二次電池では、o−FTに対応するピークが14ppm付近、115ppm付近、124ppm付近、128ppm付近、132ppm付近、160ppm付近、及び162ppm付近で観測された。この結果からも、初充放電工程後の実施例1〜3の二次電池に存在する非水溶媒中にo−CT、p−CT、o−FTがそれぞれ含まれていることを確認できた。
さらに、HNMRスペクトルにおいて、ECのNMR積分強度に対するo−CTのNMR積分強度の比を求め、それをECとo−CTの比率が既知の電解液の積分強度比の値と比較することにより、非水溶媒全体に対するo−CTの割合を求めることができた。
また、実施例10の二次電池について、前記実施例1〜3の二次電池で説明したのと同様にしてHNMR測定を行ったところ、ECに対応するピークが4.5ppm付近、VCに対応するピークが7.7ppm付近に観測され、GBLに対応するピークが2.1ppm付近と2.4ppm付近と4.2ppm付近とに観察された。更に、o−FTに対応するピークが、2.2ppm付近及び7.1〜7.3ppm付近に観察された。これらの結果から、初充放電工程後の実施例10の二次電池に存在する非水溶媒中にVCとo−FTとが含まれていることを確認できた。
一方、実施例10の二次電池についての13CNMR測定では、ECに対応するピークが66ppm付近及び156ppm付近、VCに対応するピークが133ppm付近に観察され、GBLに対応するピークが22ppm、27ppm、68ppm、178ppm付近に観察された。更に、o−CTに対応するピークが14ppm付近と、115ppm付近と、124ppm付近と、128ppm付近と、132ppm付近と、160ppm付近と、162ppm付近とで観察された。この結果からも、初充放電工程後の実施例10の二次電池に存在する非水溶媒中にVCとo−FTとが含まれていることを確認できた。
さらに、HNMRスペクトルにおいて、ECのNMR積分強度に対するGBL、VC、及びo−FTのNMR積分強度の比をそれぞれ求め、それをECとGBLとVCとo−FTの比率が既知の液状非水電解質についての積分強度比(ECのNMR積分強度に対するGBL、VC及びo−FTそれぞれのNMR積分強度の比)の値と比較することにより、非水溶媒を構成する4成分(GBL、EC、VC、o−FT)の組成比を求めることができ、この組成比から非水溶媒総重量に対するo−FTの割合を求めることができた。
なお、本発明は、上記の実施例に止まるものではなく、他の種類の正極・負極・セパレータ・容器の組合わせにおいても同様に適用可能である。また、上記の実施例のようなラミネートフィルムから容器を形成した非水電解質二次電池以外にも、円筒形や角形の容器を有する二次電池においても本発明は適用可能である。
以上詳述したように本発明によれば、高温放置特性と過充電時の安全性の双方に優れる非水電解質と、高温放置特性と過充電時の安全性の双方を満足する非水電解質二次電池とを提供することができる。

Claims (16)

  1. 非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解される電解質を含有する非水電解質であって、
    前記非水溶媒は、クロロトルエン(CT)及びオルトフルオロトルエン(o−FT)よりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンと、y−ブチロラクトン(GBL)と、環状カーボネートとを含み、前記非水溶媒中の前記GBL、前記ハロゲン化トルエン及び前記環状カーボネートの割合をそれぞれx(重量%)、y(重量%)、z(重量%)とした際に前記x、前記y及び前記zはそれぞれ40≦x≦80、0.1≦y≦15、19.9≦z≦59.9、x+y+z≦100を満たし、
    前記電解質は、LiBFを前記電解質の総重量に対する比率で50重量%以上含有する。
  2. 前記クロロトルエン(CT)は、オルトクロロトルエン(o−CT)及びパラクロロトルエン(p−CT)よりなる群から選択される少なくとも1種類である請求項1記載の非水電解質。
  3. 前記GBLの割合xは、55≦x≦75を満たす請求項1記載の非水電解質。
  4. 前記ハロゲン化トルエンの割合yは、1≦y≦8を満たす請求項1記載の非水電解質。
  5. 前記環状カーボネートの割合zは、25≦z≦45を満たす請求項1記載の非水電解質。
  6. 前記非水溶媒は、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、y−バレロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−メチルフラン、フラン、チオフェン、カテコールカーボネート、エチレンサルファイト、12−クラウン−4及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種類の溶媒をさらに含有する請求項1記載の非水電解質。
  7. 前記電解質の総重量に対するLiBFの重量比率は80重量%以上である請求項1記載の非水電解質。
  8. 正極と、負極と、非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解される電解質を含有する非水電解質とを具備する非水電解質二次電池であって、
    前記非水溶媒は、クロロトルエン(CT)及びオルトフルオロトルエン(o−FT)よりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンと、γ−ブチロラクトン(GBL)と、環状カーボネートとを含み、前記非水溶媒中の前記GBL、前記ハロゲン化トルエン及び前記環状カーボネートの割合をそれぞれx(重量%)、y(重量%)、z(重量%)とした際に前記x、前記y及び前記zはそれぞれ40≦x≦80、0.1≦y≦15、19.9≦z≦59.9、x+y+z≦100を満たし、
    前記電解質は、LiBFを前記電解質の総重量に対する比率で50重量%以上含有する。
  9. 前記クロロトルエン(CT)は、オルトクロロトルエン(o−CT)及びパラクロロトルエン(p−CT)よりなる群から選択される少なくとも1種類である請求項8記載の非水電解質二次電池。
  10. 前記GBLの割合xは、55≦x≦75を満たす請求項8記載の非水電解質二次電池。
  11. 前記ハロゲン化トルエンの割合yは、1≦y≦8を満たす請求項8記載の非水電解質二次電池。
  12. 前記環状カーボネートの割合zは、25≦z≦45を満たす請求項8記載の非水電解質二次電池。
  13. 前記非水溶媒は、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−バレロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−メチルフラン、フラン、チオフェン、カテコールカーボネート、エチレンサルファイト、12−クラウン−4及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種類の溶媒をさらに含有する請求項8記載の非水電解質二次電池。
  14. 前記電解質の総重量に対するLiBFの重量比率は80重量%以上である請求項8記載の非水電解質二次電池。
  15. シャットダウン温度が100℃〜160℃の範囲であるセパレータをさらに備える請求項8記載の非水電解質二次電池。
  16. 前記セパレータの透気度は、200秒/100cm3〜600秒/100cmの範囲である請求項15記載の非水電解質二次電池。
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