JP2004095351A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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山本 文将
Koichi Kawamura
川村 公一
Hiroshi Shimoyamada
下山田 啓
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Abstract

【課題】過充電時の安全性が改善された非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】正極2と負極3とをセパレータ4を介在させて偏平形状に捲回した電極群1と、ハロゲン化芳香族炭化水素を含む非水電解質と、内面がポリエチレン系樹脂で形成されている容器と、前記電極群1に電気的に接続され、先端が前記容器の外部に延出されているリードと、前記容器の内面と前記リードとの間に介在されたポリエチレン系樹脂製保護フィルム11a、11bとを具備する非水電解質二次電池であって、前記電極群1において前記セパレータ4の捲回方向側の端部は前記正極2及び前記負極3の捲回方向側の端部よりも突出しており、前記セパレータ4の捲回方向側の端部と前記保護フィルム11a、11bとの距離は、1mm以下(0mmを含む)であることを特徴とする。
【選択図】  図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信機、ノートブック型パソコン、パームトップ型パソコン、一体型ビデオカメラ、ポーリードルCD(MD)プレーヤー、コードレス電話等の電子機器の小形化、軽量化を図る上で、これらの電子機器の電源として、特に小型で大容量の電池が求められている。
【0003】
これら電子機器の電源として普及している電池としては、アルカリマンガン電池のような一次電池や、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池等の二次電池が挙げられる。その中でも、正極にリチウム複合酸化物を用い、かつ負極にリチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素質材料を用いた非水電解質二次電池が、小型軽量で単電池電圧が高く、高エネルギー密度を得られることから注目されている。
【0004】
例えば、特開2000−185213号公開公報には、ベンゼン環に、少なくとも一つのハロゲンと、ハロゲン以外の置換基が結合し、前記ハロゲン以外の置換基のベンゼン環と結合する原子が炭素、窒素、硫黄からなる群から選ばれた1種である化合物を電解液に添加することにより、非水電解質電池の高率充放電特性と低温放電特性を改善することが記載されている。
【0005】
しかしながら、前記公開公報に記載された非水電解質電池では、急速充電時に過充電状態になると、セパレータの熱収縮により正負極表面が露出し、正極と負極が接して内部短絡を生じるため、異常発熱や発火の危険性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、過充電時の安全性が改善された非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非水電解質二次電池は、正極と負極とをセパレータを介在させて偏平形状に捲回した電極群と、前記電極群に保持され、ハロゲン化芳香族炭化水素を含む非水電解質と、前記電極群が収納され、内面がポリエチレン系樹脂で形成されている容器と、前記電極群に電気的に接続され、先端が前記容器の外部に延出されているリードと、前記容器の内面と前記リードとの間に介在されたポリエチレン系樹脂製保護フィルムとを具備する非水電解質二次電池であって、
前記電極群において前記セパレータの捲回方向側の端部は前記正極及び前記負極の捲回方向側の端部よりも突出しており、前記セパレータの捲回方向側の端部と前記保護フィルムとの距離は、1mm以下(0mmを含む)であることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を図1〜図7を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を示す斜視図、図2は図1の薄型リチウムイオン二次電池の要部の平面図、図3は図1の薄型リチウムイオン二次電池をIII−III線に沿って切断した際に得られる断面図、図4は正極と負極とセパレータの位置関係を説明するための模式的な斜視図で、図5は図1の薄型リチウムイオン二次電池の電極群を示す模式的な斜視図で、図6は図1の薄型リチウムイオン二次電池をVI−VI線に沿って切断した際に得られる断面図、図7は本発明に係わる非水電解質二次電池の別な例である薄型リチウムイオン二次電池を示す要部断面図である。
【0010】
容器内には、電極群1が収納されている。電極群1は、正極2と、負極3と、正極2と負極3の間に配置されるセパレータ4とを含む。正極2は、正極集電体2aと、この集電体2aの両面に担持される正極層2bとを含む。一方、負極3は、負極集電体3aと、この集電体3aの両面に担持される負極層3bとを含む。正極2、負極3及びセパレータ4の短辺方向側の幅は、正極2が最も短く、その次が負極3で、最も大きいのはセパレータ4である。正極2と負極3との間にセパレータ4を介在させると共に、図4に示すようにセパレータ4の長手方向側の端部(捲回方向側の端部)を正極2と負極3の長手方向側の端部(捲回方向側の端部)よりも突出させ、この状態で偏平形状に捲回することにより電極群1が得られる。セパレータ4の負極端部からの突出寸法(片側量)は、0.5mm〜3mmの範囲内にすることが望ましい。この範囲内にすることにより、過充電時の内部短絡発生率をより低くすることができる。なお、セパレータの突出寸法を片側で0.5mmにすると、一方側の端部と他方側の端部との合計突出量は1mmになる。電極群1には、プレスを施さなくても良いが、正極2、負極3及びセパレータ4の一体化強度を高めるためにプレスを施しても良い。また、プレス時に加熱を施すことも可能である。電極群1には、正極2、負極3及びセパレータ4の一体化強度を高めるために、接着性高分子を含有させることができる。前記接着性を有する高分子としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。
【0011】
非水電解質は、電極群1に保持されている。正極2には正極リード5が電気的に接続され、負極3には負極リード6が電気的に接続され、それぞれ容器の外部に引き出されて、正極端子及び負極端子の役割を果たす。
【0012】
容器について説明する。まず、外部保護層7と金属層8とポリエチレン系樹脂層9とが一体化されたシートを、容器内面がポリエチレン系樹脂層9になるようにカップ状にプレス成形等で加工し、得られた収納部10内に電極群1と非水電解質を収容する。この際、正極リード5と負極リード6の先端は、収納部10から外部に延出させる。帯状のポリエチレン系樹脂保護フィルム11aを収納部10の内面と正負極リード5,6との間に正負極リード5,6に跨るように配置する。また、帯状のポリエチレン系樹脂保護フィルム11bで正負極リード5,6を被覆する。シートを二つに折り曲げることにより収納部10を蓋板12で覆う。これにより、収納部10のポリエチレン系樹脂層9と蓋板12のポリエチレン系樹脂層9との間に、正負極リード5,6が保護フィルム11a、11bを介して挟まれる。この状態で4辺(図1における蓋体12の端部と点線で囲まれた領域)にヒートシールを施すことにより、容器の4辺を封止する。
【0013】
図3に示すように、保護フィルム11a、11bは、セパレータ4の捲回方向側の端部とそれぞれ接している。つまり、各保護フィルム11a、11bとセパレータ4の捲回方向側の端部との距離Xは、0mmである。図7に示すように、保護フィルム11a、11bは、それぞれ、セパレータ4の捲回方向側の端部と接せず、離れていても良いが、各保護フィルム11a、11bとセパレータ4の捲回方向側の端部との距離Xは、1mm以下にすることが好ましい。これは、距離Xが1mmを超えると、急速充電による過充電時に内部短絡が多発するため、異常発熱あるいは発火を生じる電池が多くなるからである。距離Xを小さくするほど安全性を防止する効果が高くなるため、0.5mm以下(0mmを含む)にすることがより望ましい。また、本願発明の効果を十分に得るために、電池サイズは、縦が20mm〜200mmで、横が20mm〜200mmで、かつ厚さが1.5mm〜7mmにすることが望ましい。
【0014】
このような非水電解質二次電池によると、急速充電で過充電状態になった際の安全性を向上することができる。これは、以下に説明するメカニズムによるものと推測される。
【0015】
すなわち、非水電解質二次電池が高レートでの充電で過充電状態に陥ると、正極での非水電解質の分解反応により電池温度が上昇し始める。これにより、保護フィルムが軟化してセパレータとの密着性が増すため、熱収縮を生じたセパレータが電極群の内部に入り込み難くなる。その結果、正極と負極とが接して内部短絡を生じるのを抑えることができる。
【0016】
また、過充電が進行して正極の電位が上昇すると、非水溶媒と正極との反応による発熱反応およびハロゲン化芳香族炭化水素の酸化反応による発熱反応が生じるため、電池温度をセパレータのシャットダウン温度まで速やかに上昇させることができ、過充電電流を早期に、かつ確実に遮断することができる。従って、過充電時の異常発熱と発火を低減することができるため、過充電時の安全性を向上することができる。
【0017】
以下、前記正極、負極、セパレータ、非水電解質、容器及び保護フィルムについて説明する。
【0018】
1)正極
この正極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質を含む正極層とを含む。前述した図1〜図7においては、集電体の両面に正極層が担持された正極の例を説明したが、集電体の片面に正極層が担持された正極も使用することができる。
【0019】
前記正極層は、正極活物質、結着剤及び導電剤を含む。
【0020】
前記正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバルト酸化物(例えば、LiCoO2 )、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8 Co0.2 2 )、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn2 4 、LiMnO2 )を用いると、高電圧が得られるために好ましい。なお、正極活物質としては、1種類の酸化物を単独で使用しても、あるいは2種類以上の酸化物を混合して使用しても良い。
【0021】
前記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0022】
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエーテルサルフォン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0023】
前記正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
【0024】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
【0025】
前記正極は、例えば、正極活物質に導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。
【0026】
2)負極
前記負極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持される負極層とを含む。前述した図1〜図7においては、集電体の両面に負極層が担持された負極の例を説明したが、集電体の片面に負極層が担持された負極も使用することができる。
【0027】
前記負極層は、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質及び結着剤を含む。
【0028】
前記負極活物質としては、例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、熱分解気相炭素質物、樹脂焼成体などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料; 熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ系炭素、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が容量や充放電サイクル特性が高くなり好ましい)に500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料; 二硫化チタン、二硫化モリブデン、セレン化ニオブ等のカルコゲン化合物; アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、リチウム、リチウム合金等の軽金属; 等を挙げることができる。中でも、(002)面の面間隔d002が0.34nm以下である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このような黒鉛質材料を負極活物質として含む負極を備えた非水電解質二次電池は、電池容量および大電流放電特性を大幅に向上することができる。前記面間隔d002 は、0.337nm以下であることが更に好ましい。
【0029】
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。
【0030】
前記負極活物質及び前記結着剤の配合割合は、炭素質物90〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0031】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
【0032】
前記負極は、例えば、負極活物質と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製される。
【0033】
3)セパレータ
このセパレータとしては、微多孔性の膜、織布、不織布、これらのうち同一材または異種材の積層物等を用いることができる。中でも、微多孔性の膜は、過充電等による発熱で電極群の温度が異常に上昇すると、セパレータを構成する樹脂が塑性変形し微細な孔が塞がる、いわゆるシャットダウン現象を生じ、リチウムイオンの流れが遮断され、それ以上の発熱を防止し、過充電状態を安全に終了させることができるので好ましい。セパレータを形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合ポリマー、エチレン−ブテン共重合ポリマー等を挙げることができる。セパレータの形成材料としては、前述した種類の中から選ばれる1種類または2種類以上を用いることができる。中でも、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン製セパレータは、ハロゲン化芳香族炭化水素に対する耐食性が高いため、過充電時の安全性をさらに向上することが可能である。
【0034】
前記セパレータは、透気度が200〜600秒/100cm3 であることが好ましい。透気度は、100cmの空気がセパレータを透過するのに要した時間(秒)を意味し、JIS(日本工業規格)P8117に規定する方法により測定することができる。透気度の値は250〜500秒/100cm3 にすることがより好ましく、さらに好ましい値は300〜450秒/100cm3 である。
【0035】
前記セパレータがシャットダウン現象を生じる温度、いわゆるシャットダウン温度は、100〜160℃の範囲にあることが好ましい。このシャットダウン温度は、セパレータを一定温度に加熱した後の透気度を測定し、その透気度の値が10万秒/100cm以上になる温度として測定できる。セパレータのシャットダウン温度は110〜150℃にすることがより好ましい。
【0036】
前記セパレータが溶融して破膜を生じる温度、いわゆる溶融温度は、160℃以上でかつ前記シャットダウン温度よりも15℃以上高いことが望ましい。
【0037】
前記セパレータは、多孔度が30〜60%の範囲であることが好ましい。多孔度のより好ましい範囲は、35〜50%である。
【0038】
前記セパレータの厚さは、30μm以下にすることが好ましく、さらに好ましい範囲は25μm以下である。また、厚さの下限値は5μmにすることが好ましく、さらに好ましい下限値は8μmである。
【0039】
4)非水電解質
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解される電解質(例えば、リチウム塩)とを含むものである。この非水電解質の形態は、液体状(非水電解液)やゲル状にすることができる。
【0040】
まず、非水溶媒について説明する。
【0041】
この非水溶媒は、ハロゲン化芳香族炭化水素を含む。
【0042】
ハロゲン化芳香族炭化水素としては、例えば、金属リチウムに対する電位で4.7V以上、5.0V以下の電位で酸化反応を生じる化合物を挙げることができる。非水溶媒中に添加するハロゲン化芳香族炭化水素の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0043】
γ−ブチロラクトン(GBL)と環状カーボネートとを含む非水溶媒においては、過充電により正極電位が金属リチウムに対する電位で4.7V以上に達すると、正極においてGBLの分解反応とこの分解反応に伴う発熱反応が徐々に生じ始め、過充電が更に進行して正極電位が金属リチウムに対する電位で5.0Vを超えるとこれらの反応が急激に進行する。このとき、電池温度の上昇によって、セパレータがシャットダウン現象を生じれば、リチウムイオンの流れが遮断され、過充電状態を安全に終息させることができる。ただし、このシャットダウン現象が完全に生じるためには、セパレータの正極及び負極と接している全ての面積において一様に、かつ短時間のうちに、セパレータを構成する樹脂が塑性変形を起こす温度(シャットダウン温度)まで上昇しなければならない。セパレータの温度がシャットダウン温度に達するまでの時間は、流れる電流が大きいほど短く、流れる電流が小さいほど時間は長くなる。また、このシャットダウン温度に達するまでの時間は、二次電池から熱が外部に逃げる、いわゆる放熱の効率が大きいほど長く、放熱の効率が小さいほど短くなる。この放熱の効率は、二次電池を構成する部材の材質や形状によって異なる。
【0044】
金属リチウムに対する電位で4.7V以上、5.0V以下の電位で酸化反応を生じるハロゲン化芳香族炭化水素を非水溶媒に添加することによって、正極とGBLの反応による発熱に加えて、この物質の酸化反応に伴う発熱が生じるために、短時間のうちにセパレータの温度がシャットダウン温度に達し、確実にシャットダウン現象を生じることができる。
【0045】
なお、4.7V未満の電位(対金属リチウム)で酸化反応を生じる物質を非水溶媒に添加した場合、GBLの反応による発熱が生じる前に、添加した物質の反応が終了してしまい、従って短時間のうちにセパレータの温度をシャットダウン温度に達することができない恐れがある。一方、5.0Vを超える電位(対金属リチウム)で酸化反応を生じる物質を非水溶媒に添加した場合、添加した物質が酸化反応を生じる前に正極とGBLの反応による発熱が生じている。従って添加した物質が酸化反応を生じるときは二次電池の温度が既に上昇しており、その状態で酸化反応による発熱が生じるとかえって熱暴走を促進する危険性がある。
【0046】
金属リチウムに対する電位で4.7V以上、5.0V以下の電位で酸化反応を生じるハロゲン化芳香族炭化水素としては、酸化電位が5.0Vの塩化ベンゼン(CB)、酸化電位が5.0Vのフッ化ベンゼン(FB)、塩化トルエン(CT)、フッ化トルエン(FT)が好ましい。中でも、酸化電位が4.9Vのオルトフッ化トルエン(o−FT)、酸化電位が4.8Vのオルト塩化トルエン(o−CT)、酸化電位が4.8Vのパラ塩化トルエン(p−CT)が良い。なお、酸化電位は、金属リチウムに対する電位である。
【0047】
オルトフッ化トルエン、オルト塩化トルエン及びパラ塩化トルエンよりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンは、酸化反応に伴う発熱反応が、正極とγ−ブチロラクトン(GBL)の反応による発熱反応と同時期に生じ、かつその酸化反応による発熱量が大きい。よって、ハロゲン化トルエンとGBLとを含む非水溶媒を用いると、短時間のうちに大きな発熱量を得てセパレータの温度をシャットダウン温度に到達させることができ、過充電の際に確実にシャットダウン現象を生じさせることが可能である。また、これらハロゲン化トルエンは、正極電位が4.7V未満の際には、正極、負極、および非水電解質(特にGBL)のいずれとも反応することがないため、二次電池の充放電特性が損なわれることがない。さらに、これらハロゲン化トルエンは、酸化反応によりハロゲン化トルエンの重合体が生成し、生成した重合体がセパレータに固着して孔を塞ぎ、セパレータの電流遮蔽効果をより高めることができる。
【0048】
ハロゲン化芳香族炭化水素の重量比率(非水溶媒の総重量に対する比率)は、0.1〜15重量%の範囲内にすることが望ましい。これは次のような理由によるものである。ハロゲン化芳香族炭化水素の比率を0.1重量%未満にすると、ハロゲン化芳香族炭化水素の酸化反応による発熱量が少なくなり、セパレータをシャットダウンさせる効果が小さくなる恐れがある。逆に、ハロゲン化芳香族炭化水素の比率が15重量%を超えると、ハロゲン化芳香族炭化水素の酸化反応による発熱量が大きくなりすぎ、二次電池の温度が急激に上昇して熱暴走に至る危険性が大きくなる。
【0049】
ハロゲン化芳香族炭化水素のより好ましい比率は、0.5〜10重量%の範囲で、さらに好ましい比率は、1〜8重量%の範囲である。
【0050】
また、ハロゲン化芳香族炭化水素とGBLとを含む非水溶媒には、高温貯蔵時の負極とGBLとの反応を抑制するために、環状カーボネートを含有させることが望ましい。このような非水溶媒は、二次電池の高温貯蔵特性及び充放電サイクル寿命を向上することができる。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等を挙げることができる。特にECは、リチウムイオンとGBLとの反応を抑える効果が大きいので好ましい。なお、環状カーボネートの種類は、1種類でも良いし、2種類以上にすることも可能である。
【0051】
非水溶媒中には、GBL、環状カーボネートおよびハロゲン化芳香族炭化水素以外の他の溶媒を、副成分として含有させることができる。
【0052】
副成分としては、例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−バレロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2―メチルフラン、フラン、チオフェン、カテコールカーボネート、エチレンサルファイト、12−クラウン−4、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。
【0053】
中でも、ビニレンカーボネート(VC)を含む副成分は、負極表面に緻密な保護皮膜を生成するため、負極活物質中に吸蔵されたリチウムイオンとGBLとの反応性をさらに低くすることが可能になり、放置放電特性を改善することができる。非水溶媒中の副成分の重量比率は、10重量%以下の範囲内にすることが望ましい。これは、副成分の重量比率を10重量%よりも多くすると、負極表面の保護皮膜のリチウムイオン透過性が低下して低温放電特性が大幅に損なわれる可能性があるからである。副成分の重量比率のより好ましい範囲は0.01〜5重量%であり、更に好ましい範囲は0.1〜3重量%である。
【0054】
前記非水溶媒には、セパレータとの濡れ性を良くするために、トリオクチルフォスフェート(TOP)のような界面活性剤を含有させることが望ましい。界面活性剤の添加量は、3%以下が好ましく、さらには0.1〜1%の範囲内にすることが好ましい。
【0055】
前記非水溶媒に溶解される電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 )、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CSO)などのリチウム塩を挙げることができる。使用する電解質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0056】
中でも、LiBFは、二次電池の温度が上昇したときの正極との反応性が低いことから、過充電時の安全性をさらに向上することができるため、好ましい。また、(LiN(CFSOおよびLiN(CSOのうち少なくとも一方からなるリチウム塩と、LiBFからなるリチウム塩とを含有する混合塩か、あるいはLiBF及びLiPFを含有する混合塩を用いると、高温でのサイクル寿命をより向上することができる。
【0057】
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.5モル/Lとすることが望ましい。さらに好ましい範囲は、1〜2.5モル/Lである。
【0058】
前記非水電解液の量は、電池単位容量100mAh当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。非水電解液量のより好ましい範囲は、0.25〜0.55g/100mAhである。
【0059】
5)容器
この容器は、内面がポリエチレン系樹脂で形成されている。
【0060】
前記容器には、前述した図1〜図7に示すものの他に、例えば、以下の(a)〜(d)に説明するものを使用することができる。
【0061】
a)ポリエチレン系樹脂層含有シートをヒートシールにより封筒状に成形した容器。
【0062】
b)2枚のポリエチレン系樹脂層含有シートの4辺をヒートシールした容器。
【0063】
c)1枚のポリエチレン系樹脂層含有シートを二つ折りにして3辺をヒートシールした容器。
【0064】
d)ポリエチレン系樹脂層含有シートをプレス成形してカップ状に成形した収納部と、蓋体とを用意し、この収納部に蓋体をヒートシールで固定した容器。
【0065】
ポリエチレン系樹脂層を含むシートとしては、一方の表面を構成する外部保護層と、他方の表面を構成するポリエチレン系樹脂層と、外部保護層とポリエチレン系樹脂層との間に配置される金属層とを含むものが好ましい。なお、このシートは、各層を貼り合わせるために使用する接着剤を含むことを許容する。また、各層は、1種類の材料から形成しても、2種類以上の材料から形成しても良い。
【0066】
ポリエチレン系樹脂層を形成するポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン/ブテン1共重合体等のエチレン/αオレフィン(C〜C)共重合体、架橋ポリエチレン、酸変性ポリエチレン等を挙げることができる。
【0067】
外部保護層は、例えば、ポリアミド樹脂等から形成することができる。
【0068】
金属層は、例えば、アルミニウム合金、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、ニッケル等から形成することができる。
【0069】
ポリエチレン系樹脂層を含むシートの厚さは、0.3mm以下にすることが望ましい。より好ましい範囲は、0.05〜0.3mmである。
【0070】
6)保護フィルム
保護フィルムを使用すると、リードを十分に覆うことができるため、シート中のポリエチレン系樹脂層の厚さを薄くすることができる。また、酸変性ポリエチレンの使用量を少なくすることができるため、製造コストを低減することが可能である。
【0071】
保護フィルムを形成するポリエチレン系樹脂としては、例えば、前述した容器の欄で説明したのと同様な種類のものを挙げることができる。中でも、酸変性ポリエチレンが望ましい。
【0072】
保護フィルムの厚さは、0.03mm〜0.2mmの範囲内にすることが好ましい。この範囲内にすることにより、過充電時の安全性をさらに向上することができる。
【0073】
前述した図1〜図7では、1枚の保護フィルムで正極リードと負極リードの両方を被覆したが、正極リードを第1の保護フィルムで被覆し、かつ負極リードを第2の保護フィルムで被覆することも可能である。
【0074】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0075】
(実施例1)
<正極の作製>
まず、リチウムコバルト酸化物(LiCoO;但し、Xは0<X≦1である)粉末90重量%に、アセチレンブラック5重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%のジメチルフォルムアミド(DMF)溶液とを加えて混合し、スラリーを調製した。前記スラリーを厚さが15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスすることにより、正極層が集電体の両面に担持された構造の正極を作製した。なお、正極層の厚さは、片面当り60μmであった。
【0076】
<負極の作製>
炭素質材料として3000℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(粉末X線回折により求められる(002)面の面間隔(d002 )が0.336nm)の粉末を95重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%のジメチルフォルムアミド(DMF)溶液とを混合し、スラリーを調製した。前記スラリーを厚さが12μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、負極層が集電体に担持された構造の負極を作製した。なお、負極層の厚さは、片面当り55μmであった。
【0077】
なお、炭素質物の(002)面の面間隔d002は、粉末X線回折スペクトルから半値幅中点法によりそれぞれ求めた。この際、ローレンツ散乱等の散乱補正は、行わなかった。
【0078】
<セパレータ>
厚さ25μmの微多孔性ポリエチレン膜からなるセパレータを用意した。
【0079】
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチロラクトン(GBL)とを体積比が1:2になるように混合し、オルトフッ化トルエン(リチウム金属に対する酸化電位が4.9V)を5重量%(非水溶媒総重量に対する比率)になるように混合して非水溶媒を調製した。得られた非水溶媒に四フッ化硼酸リチウム(LiBF)を1.5モル/L溶解させ、液状非水電解質を調製した。
【0080】
<電極群の作製>
前記正極の集電体に厚さ100μmの帯状アルミニウム箔からなる正極リードを超音波溶接し、前記負極の集電体に厚さ100μmの帯状ニッケル箔からなる負極リードを超音波溶接した。次いで、前記正極及び前記負極をその間に前記セパレータを介し、かつ前記セパレータの長手方向側の端部を前記正極と前記負極の長手方向側の端部よりも突出させた状態で渦巻き状に捲回した後、偏平状に成形し、電極群を作製した。なお、セパレータの負極端部からの突出寸法は、片側で1.5mmとした。
【0081】
<外装材の作製>
厚さ25μmの延伸ナイロンフィルムと厚さ40μmのアルミニウム合金箔(JIS H 4160 A8079材)と厚さ30μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(シーラントフィルム)とを、この順序でウレタン系接着材を介して積層接着することにより外装フィルムを作製した。この外装フィルムを、シーラントフィルム側から張り出し加工または深絞り加工をして電極群収納部を形成した後、シーラントフィルムを内側にして180°折り曲げて蓋体を形成し、容器を得た。
【0082】
<非水電解質二次電池の作製>
前記電極群を容器の収納部に配置し、正極リード端子と負極リード端子を容器外部に延出し、蓋体のシーラントフィルムと正負極リード端子との間、並びに収納部のシーラントフィルムと正負極リード端子との間それぞれにマレイン酸変性したポリエチレン樹脂製保護フィルム(厚さ70μm、縦が7mm、横が30mm)を正負極リード端子に跨るように介在させた。この際、保護フィルムをセパレータの長手方向側の端部にそれぞれ接触させた。つまり、セパレータの長手方向側の端部と保護フィルムとの距離を0mmに設定した。次いで、ヒートシールを施した。さらに、このシール部分に直交する長手方向側の一方の端部をヒートシールした。
【0083】
次いで、容器内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施した。ひきつづき、容器内の電極群に前記液状非水電解質を電池容量1Ah当たりの量が4.8gとなるように注入し、残りの長手方向側端部をヒートシールにより封止し、厚さが3.6mm、幅が35mm、高さが62mmで、前述した図1に示す構造を有する薄型非水電解質二次電池を組み立てた。
【0084】
この非水電解質二次電池に対し、初充放電工程として以下の処置を施した。まず、室温で0.2C(104mA)で4.2Vまで定電流・定電圧充電を15時間行った。その後、室温で0.2Cで3.0Vまで放電し、非水電解質二次電池を作製した。
【0085】
ここで、1Cとは公称容量(Ah)を1時間で放電するために必要な電流値である。よって、0.2Cは、公称容量(Ah)を5時間で放電するために必要な電流値である。
【0086】
(実施例2)
セパレータの長手方向側の端部と保護フィルムとの距離Xを0.5mmに設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0087】
(実施例3)
セパレータの長手方向側の端部と保護フィルムとの距離Xを1mmに設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0088】
(実施例4)
オルトフッ化トルエンの代わりにオルト塩化トルエン(リチウム金属に対する酸化電位が4.8V)を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0089】
(実施例5)
オルトフッ化トルエンの代わりにパラ塩化トルエン(リチウム金属に対する酸化電位が4.8V)を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0090】
(比較例1)
セパレータの長手方向側の端部と保護フィルムとの距離Xを1.5mmに設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0091】
(比較例2)
シーラントフィルムと保護フィルムの材質をポリプロピレンに変更すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0092】
(比較例3)
ハロゲン化芳香族炭化水素を添加しないこと以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0093】
得られた実施例1〜5および比較例1〜3の非水電解質二次電池各10個ずつについて、20℃において、3Cで12Vまで定電流・定電圧の過充電試験を行った。その際、異常な発熱や発火を生じた電池個数を記録し、異常発熱・発火発生率(%)を算出し、その結果を下記表1に示す。
【0094】
【表1】
Figure 2004095351
【0095】
表1から明らかなように、セパレータの捲回方向側の端部と保護フィルムとの距離Xが1mm以下である実施例1〜5の二次電池は、高レートでの過充電試験の際、異常発熱・発火を生じた電池個数が少なかった。
【0096】
これに対し、シーラントフィルム及び保護フィルムの材質をポリプロピレンにする比較例2の二次電池では、異常発熱もしくは発火に至った電池個数が多かった。これは、ポリプロピレン製の保護フィルムは、融点がポリエチレン製保護フィルムよりも高くて軟化し難く、ポリエチレン製シーラントフィルムとの融着性に劣るためであると思われる。また、距離Xが1mmを超える比較例1の二次電池では、異常発熱もしくは発火に至った電池個数が多かった。一方、ハロゲン化芳香族炭化水素が無添加の比較例3の二次電池は、全ての電池が異常発熱もしくは発火に至った。
【0097】
(ハロゲン化芳香族化合物の検出方法)
また、実施例1、4、5の二次電池について、前記初充放電工程後、5時間以上回路を開放して十分に電位を落ち着かせた後、Ar濃度が99.9%以上、かつ露点が−50℃以下のグローブボックス内で分解し、電極群を取り出した。前記電極群を遠沈管につめ、ジメチルスルホキシド(DMSO)−dを加えて密封し、前記グローブボックスより取り出し、遠心分離を行った。その後、前記グローブボックス内で、前記遠沈管から前記電解液と前記DMSO−dの混合溶液を採取した。前記混合溶媒を5mmφのNMR用試料管に0.5ml程度入れ、NMR測定を行った。前記NMR測定に用いた装置は日本電子株式会社製JNM−LA400WBであり、観測核はH、観測周波数は400MHz、ジメチルスルホキシド(DMSO)−d中に僅かに含まれる残余プロトン信号を内部基準として利用した(2.5ppm)。測定温度は25℃とした。HNMRスペクトルではECに対応するピークが4.5ppm付近に観測され、GBLに対応するピークが2.1ppm付近、2.4ppm付近、4.2ppm付近に観察された。更に、実施例1の二次電池では、o−FTに対応するピークが2.2ppm付近及び7.1〜7.3ppm付近に観察された。また、実施例4の二次電池では、o−CTに対応するピークが、2.3ppm付近及び7.2〜7.4ppm付近に観察された。一方、実施例5の二次電池では、p−CTに対応するピークが2.2ppm付近及び7.1〜7.3ppm付近に観察された。これらの結果から、初充放電工程後の実施例1、4,5の二次電池に存在する非水溶媒中にo−FT、o−CT、p−CTがそれぞれ含まれていることを確認できた。
【0098】
また、観測周波数を100MHzとし、ジメチルスルホキシド(DMSO)−d(39.5ppm)を内部基準物質として13CNMR測定を行ったところ、ECに対応するピークが66ppm付近及び156ppm付近に観察され、GBLに対応するピークが22ppm、27ppm、68ppm、178ppm付近に観察された。更に、実施例1の二次電池では、o−FTに対応するピークが14ppm付近、115ppm付近、124ppm付近、128ppm付近、132ppm付近、160ppm付近、及び162ppm付近で観測された。実施例4の二次電池では、o−CTに対応するピークが19ppm付近、127ppm付近、128ppm付近、129ppm付近、131ppm付近、133ppm付近、及び136ppm付近で観察された。一方、実施例5の二次電池では、p−CTに対応するピークが20ppm付近、128ppm付近、131ppm付近、133ppm付近、及び137ppmの範囲で観察された。この結果からも、初充放電工程後の実施例1、4,5の二次電池に存在する非水溶媒中にo−FT、o−CT、p−CTがそれぞれ含まれていることを確認できた。
【0099】
さらに、HNMRスペクトルにおいて、ECのNMR積分強度に対するo−FTのNMR積分強度の比を求め、それをECとo−FTの比率が既知の電解液の積分強度比の値と比較することにより、非水溶媒全体に対するo−FTの割合を求めることができた。
【0100】
なお、本発明は、上記の実施例に止まるものではなく、他の種類の正極・負極・セパレータ・容器の組合わせにおいても同様に適用可能である。また、前述した実施例では、正極リードと負極リードの双方を容器外部に延出させた例を説明したが、正極リードまたは負極リードのいずれか一方を容器外部に延出させた二次電池にも同様に適用することができる。
【0101】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、過充電時の安全性が向上された非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を示す斜視図。
【図2】図1の薄型リチウムイオン二次電池の要部の平面図。
【図3】図1の薄型リチウムイオン二次電池をIII−III線に沿って切断した際に得られる断面図。
【図4】正極と負極とセパレータの位置関係を説明するための模式的な斜視図。
【図5】図1の薄型リチウムイオン二次電池の電極群を示す模式的な斜視図。
【図6】図1の薄型リチウムイオン二次電池をVI−VI線に沿って切断した際に得られる断面図。
【図7】本発明に係わる非水電解質二次電池の別な例である薄型リチウムイオン二次電池を示す要部断面図。
【符号の説明】
1…電極群、
2…正極、
2a…正極集電体、
2b…正極層、
3…負極、
3a…負極集電体、
3b…負極層、
4…セパレータ、
5…正極端子、
6…負極端子、
7…外部保護層、
8…金属層、
9…ポリエチレン系樹脂層、
10…収納部、
11a、11b…保護フィルム、
12…蓋体。

Claims (2)

  1. 正極と負極とをセパレータを介在させて偏平形状に捲回した電極群と、前記電極群に保持され、ハロゲン化芳香族炭化水素を含む非水電解質と、前記電極群が収納され、内面がポリエチレン系樹脂で形成されている容器と、前記電極群に電気的に接続され、先端が前記容器の外部に延出されているリードと、前記容器の内面と前記リードとの間に介在されたポリエチレン系樹脂製保護フィルムとを具備する非水電解質二次電池であって、
    前記電極群において前記セパレータの捲回方向側の端部は前記正極及び前記負極の捲回方向側の端部よりも突出しており、前記セパレータの捲回方向側の端部と前記保護フィルムとの距離は、1mm以下(0mmを含む)であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記ハロゲン化芳香族炭化水素は、オルト塩化トルエン、パラ塩化トルエン及びオルトフッ化トルエンよりなる群から選択される少なくとも1種類のハロゲン化トルエンであることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
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JP2016170858A (ja) * 2015-03-11 2016-09-23 株式会社Gsユアサ 非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法

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