JP2016192377A - イオン伝導性ポリマー電解質 - Google Patents
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Abstract
Description
以上のような事情の下、非水系二次電池の分野における上記の要求を満たすために、高いイオン伝導度を示すとともに高度の安全性を有する非水系電解液の開発が求められている。
一方、ポリマー電解質のポリマー自体にイオン伝導性を付与することにより、高イオン伝導性を達成する手法も提案されている。例えば特許文献3には、アミン官能基を有するポリエーテルが、2つのエポキシ官能基を有する硬化性化合物によって架橋されて成る架橋物を含む架橋ポリマー固体電解質が、機械的耐性が高く且つ室温でイオン伝導性を示すことが開示されている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものである。従って本発明は、自動車等の車両、及び住宅用蓄電システムへも適用可能なイオン伝導度を有し、且つ耐漏洩性に優れたイオン伝導性ポリマー電解質を提供することを目的とする。
[2] 前記リチウム塩がリチウムビス(オキサラト)ボレートを含有するものである、[1]に記載のイオン伝導性ポリマー電解質。
[4] 前記ポリアクリロニトリル中のアクリロニトリル成分の含有量が50〜100質量%である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のイオン伝導性ポリマー電解質。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載のイオン伝導性ポリマー電解質を具備することを特徴とする、非水系二次電池。
本発明のポリマー電解質は、非水系二次電池の電解質として好適である。
非水系二次電池100は、2枚のアルミニウムラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体110の領域120内に、正極150と負極160とを、セパレータ170を介して積層して構成した積層電極体を収納して成る。この積層電極体中に、ポリマー電解質(図示しない)を収容している。アルミニウムラミネートフィルム外装体110は、その外周部において、上下のアルミニウムラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。領域120は、外装体120の一部であって、正極150、負極160、及びセパレータ170から成る積層体を収納するために、膨らんだ空間である。
正極150及び負極160は、外部回路と接続するためにアルミニウム製タブ130及びニッケル製タブ140に、それぞれ電気的に接続されている。なお、図2においては、図面が煩雑になることを避けるために、アルミニウムラミネートフィルム外装体110を構成している各層、並びに正極150及び負極160の各層を区別して示していない。非水系二次電池100において、電解質を除く各部材としては、従来のリチウムイオン二次電池に備えられるものを用いることができ、例えば後述のものであってもよい。セパレータ170は、短絡防止の観点から存在することが望ましいが、これがない実施態様であっても、本発明の優れた効果を発現することは可能である。
非水系二次電池100において、領域120内に圧力をかけてもよい。
本実施形態に関わるポリマーは、ニトリル基を有するポリマーである。
該ポリマーの分子量に制限はなく、適用する非水系二次電池に要求される物性に応じて、適宜に設定されることができる。例えばリチウムイオン二次電池であれば、高い耐熱性、高い薬品耐性、及び電気化学的な安定性を示し、且つ下記に記載のアセトニトリルを溶媒とする電解液を吸収し、膨潤可能であれば特に限定されない。例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として、10,000〜5,000,000の範囲を例示することができ、好ましくは10,000〜1,000,000である。
ここで使用されるその他のモノマーとしては、例えば、スチレン、ブタジエン、プロピレン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、酢酸ビニル等を挙げることができる。
上記ポリマー中には、アクリロニトリル成分を50〜100質量%含有することが好ましく、70〜100質量%含有することが好ましい。該ポリマー中のアクリロニトリル成分含有量がこの範囲に調整されることによって、下記非水系電解液の耐漏洩性が高く保たれ、且つ高いイオン伝導性を有することができる。
上記のポリマーは、例えば公知のラジカル重合法、アニオン重合法等によって製造することができる。
本実施形態における非水系電解液は、アセトニトリル40〜100体積%を含有する非水系溶媒と、リチウム塩と、を含有する電解液であれば特に限定されない。非水系溶媒とリチウム塩とを含有する公知の非水系電解液であってもよい。本実施形態における非水系電解液は、水分を含まないことが好ましいが、本発明の課題解決を阻害しない範囲であれば、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、非水系電解液の全量に対して、0〜100ppmであってもよい。
本実施形態に関わる非水系電解液の溶媒はアセトニトリルを含有する。該非水系電解液におけるアセトニトリルの含有量は、非水系溶媒の全量に対して、40〜100体積%であり、70〜100体積%であることが好ましく、90〜100体積%であることが更に好ましい。非水系溶媒中のアセトニトリルの含有量が上記の範囲内にあることによって、非水系二次電池としての基本的な機能を損なうことなく、アセトニトリルの優れた性能をより十分に発揮することができ、サイクル性能、低温環境下における高出力性能、及びその他の電池特性のすべてを、一層良好なものとすることができる。アセトニトリルと混合して用いられる他の非水系溶媒としては、特に制限はない。例えば、非プロトン性溶媒が挙げられ、非プロトン性極性溶媒が好ましい。
本実施形態における非水系電解液に含有されるリチウム塩としては、非水系二次電池の電解液に用いられているリチウム塩であればよい。無機リチウム塩であっても有機リチウム塩であっても特に制限はなく、いずれのものが含まれていてもよい。しかしながら、アセトニトリルの還元分解を抑制する観点から、有機リチウム塩を含有することが好ましい。ここで、「無機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含まず、アセトニトリルに可溶なリチウム塩をいい、「有機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含み、アセトニトリルに可溶なリチウム塩をいう。
リチウム塩は、本実施形態の非水系電解液中に0.1〜3mol/Lの濃度で含有されることが好ましく、0.5〜2mol/Lの濃度で含有されることがより好ましく、0.8〜1.6mol/Lの濃度で含有されることが更に好ましい。リチウム塩の濃度がこの範囲内にあることによって、電解液の導電率がより高い状態に保たれると同時に、非水系二次電池の充放電効率もより高い状態に保たれる。
LiC(SO2R2)(SO2R3)(SO2R4) (1a)
LiN(SO2OR5)(SO2OR6) (1b)
LiN(SO2R7)(SO2OR8) (1c)
{式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。}のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられる。
リチウム塩としては、無機リチウム塩を上記有機リチウム塩とともに使用してもよい。この無機リチウム塩としては、通常の非水系電解質として用いられているものであれば特に限定されず、いずれのものであってもよい。そのような無機リチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、LiN(SO2F)2、Li2B12FbH12−b〔bは0〜3の整数〕等の、炭素原子を含まない多価アニオンと結合されたリチウム塩が挙げられる。
本実施形態の非水系電解液は、上記の非水系溶媒及びリチウム塩のみからなっていてもよいし、これら以外の添加剤を含有していてもよい。
本実施形態における添加剤としては、本発明による課題解決を阻害しないものであれば特に制限はなく、リチウム塩を溶解する溶媒としての役割を担う物質(すなわち上記の非水系溶媒)と実質的に重複してもよい。添加剤は、本実施形態の非水系電解液及び非水系二次電池の性能向上に寄与する物質であることが好ましい。しかしながら該添加剤は、電気化学的な反応には直接関与しない物質をも包含する。添加剤は、1成分を単独で又は2成分以上を組み合わせて用いることができる。
添加剤としては、例えば、電極を保護する添加剤を挙げることができる。
正極は、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。本実施形態における好ましい正極は、正極活物質を含有し、場合により導電助剤及びバインダーを更に含有する。
正極が正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。そのような材料としては、例えば、下記一般式(2a)及び(2b):
LixMO2 (2a)
LiyM2O4 (2b)
{式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。}のそれぞれで表されるリチウム含有化合物、及びその他のリチウム含有化合物が挙げられる。
その他のリチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであればよい。このようなその他のリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムを有する金属カルコゲン化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物、及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物(例えばLitMuSiO4、Mは上記式(2a)と同義であり、tは0〜1の数、uは0〜2の数を示す。)が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、その他のリチウム含有化合物としては、特に、
リチウムと、
コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属元素と
を含む複合酸化物、並びにリン酸化合物が好ましい。
LivMIO2 (3a)
LiwMIIPO4 (3b)
{式中、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は、電池の充放電状態によって異なり、vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。}で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(3a)で表される化合物は層状構造を有し、上記一般式(3b)で表される化合物はオリビン構造を有する。これらの化合物は、構造を安定化させる等の目的から、Al、Mg、又はその他の遷移金属元素により遷移金属元素の一部を置換したもの、これらの金属元素を結晶粒界に含ませたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したもの、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものであってもよい。
このようなその他の正極活物質としては、例えば、トンネル構造及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物;イオウ;導電性高分子等が挙げられる。トンネル構造及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物としては、例えば、MnO2、FeO2、FeS2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2、MoS2、及びNbSe2に代表されるリチウム以外の金属の酸化物、硫化物、セレン化物等が例示される。
導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリピロールに代表される導電性高分子が例示される。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.05μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。正極活物質の数平均粒子径は、湿式の粒子径測定装置(例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計、動的光散乱式粒度分布計等)により測定することができる。或いは、透過型電子顕微鏡を用いて観察した画像から粒子100個をランダムに抽出し、画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)で解析し、その相加平均を算出することによっても得られる。この場合、同じ試料に対して、測定方法間で数平均粒子径が異なる場合は、標準試料を対象として作成した検量線を用いてもよい。
バインダーとしては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。バインダーの含有割合は、正極活物質100質量部に対して、6質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜4質量部である。
次いで、この正極合剤含有スラリーを正極集電体上に塗布し、乾燥して正極活物質層を形成する。
乾燥後に得られた正極活物質層をロールプレス等により圧縮することにより、正極合剤層(正極)が形成される。圧縮後の正極合剤の厚さは、10〜300μmであることが好ましく、20〜280μmであることがより好ましく、30〜250μmであることが更に好ましい。
負極は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。本実施形態における好ましい負極は、負極活物質を含有し、場合により導電助剤及びバインダーを更に含有する。
負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料、及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては、例えば、金属リチウム、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、及びカーボンブラックに代表される炭素材料;リチウムとの合金を形成可能な元素を含む材料等が挙げられる。上記コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス、及び石油コークスが挙げられる。有機高分子化合物の焼成体は、フェノール樹脂、フラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。炭素材料には、炭素以外に、O、B、P、N、S、Si、SiC、SiO、SiO2、B4C等の、異種元素又は異種化合物を含んでもよい。異種元素又は異種化合物の含有量としては、0〜10質量%が好ましい。
本明細書において、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含まれる。また、合金が、その全体として金属の性質を有するものであれば、非金属元素を有していてもよい。合金の組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、若しくは金属間化合物、又はこれらのうちの2種以上が共存することができる。
スズの合金としては、スズ以外の第2の構成元素として、例えば、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、及びクロム(Cr)からなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、ケイ素以外の第2の構成元素として、例えば、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、及びクロムからなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタンの化合物、スズの化合物、及びケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を有するものが挙げられる。この場合、チタン、スズ、又はケイ素に加えて、上述の第2の構成元素を有していてもよい。
金属酸化物としては、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物(リチウムチタン含有複合酸化物)、タングステン酸化物(例えばWO3)、アモルファススズ酸化物(例えばSnB0.4P0.6O3.1)、スズ珪素酸化物(例えばSnSiO3)、及び酸化珪素(SiO)が挙げられる。これらの中でも、チタン酸化物及びリチウムチタン酸化物が好ましい。
充放電前(合成時)からLiを含むチタン酸化物としては、例えば、LicTiO2(0<c≦1.1)等が挙げられる。
本実施形態における非水系二次電池は、電池電圧を高められるという観点から、負極が、負極活物質として、リチウムイオンを0.4V vs.Li/Li+よりも卑な電位で吸蔵する材料を含有することが好ましい。そのような材料としては、例えば、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、及びカーボンブラックに代表される炭素材料の他、金属リチウム、金属酸化物、金属窒化物、リチウム合金、スズ合金、シリコン合金、金属間化合物、有機化合物、無機化合物、金属錯体、有機高分子化合物等が挙げられる。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。負極活物質の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。
バインダーとしては、例えば、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。バインダーの含有割合は、負極活物質100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜6質量部である。
負極集電体としては、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。負極集電体は、その表面にカーボンコートが施された態様、メッシュ状に加工された態様であってもよい。負極集電体の厚みは5〜40μmであることが好ましく、6〜35μmであることがより好ましく、7〜30μmであることが更に好ましい。
本実施形態の非水系二次電池は、正負極の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極と負極との間にセパレータを備えることが好ましい。セパレータとしては、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様であってもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータとしては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。
合成樹脂製微多孔膜としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、或いは、これらのポリオレフィンの双方を共に含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が好適に用いられる。不織布としては、例えば、セラミック製、ポリオレフィン製、ポリエステル製、ポリアミド製、液晶ポリエステル製、アラミド製等の、耐熱樹脂製の多孔膜が用いられる。
セパレータは、1種の微多孔膜を単層又は複数積層したものであってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。
本実施形態における非水系二次電池の電池外装の構成は特に限定されないが、例えば、電池缶及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることができる。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムからなる金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂/金属フィルム/樹脂の3層構成からなるラミネートフィルムを熱溶融樹脂側を内側に向けた状態で2枚重ねて端部をヒートシールにて封止したものを用いることができる。
ラミネートフィルム外装体を用いる場合、正極集電体及び負極集電体にそれぞれ正極端子(又は正極端子と接続するリードタブ)及び負極端子(又は負極端子と接続するリードタブ)を接続し、両端子(又はリードタブ)の端部が外装体の外部に引き出された状態でラミネートフィルム外装体を封止してもよい。
<7.電池の作製方法>
本実施形態の非水系二次電池は、上述のポリマー電解質を具備することを特徴とする。
先ず、正極、負極、及びポリマー電解質、並びに必要に応じてセパレータからなる積層体を形成する。
例えば、正極と負極とを、その間にポリマー電解質及びセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形する態様;
該積層体を折り曲げる、或いは該積層体の複数を積層する等の処置によって、複数組の正極と負極との間にそれぞれポリマー電解質及びセパレータが介在する多層積層体に成形する態様等が可能である。
次いで、電池ケース(電池外装)内に上記の積層体を収容して封印することによって、本実施形態における非水系二次電池を作製することができる。
或いは、正極、負極、及び電解液含浸前のポリマー、並びに必要に応じてセパレータを用い、上述のように折り曲げ又は積層によって積層体を形成して電池ケース内に収容した後に、電解液を注液してポリマー電解質をセル内で形成することにより、非水系二次電池を作製することもできる。
本実施形態の非水系二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、ラミネート形等が好適に採用される。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
(1)電池特性評価
(1−1)ポリマー電解質の調製
溶媒としてアセトニトリルを使用し、リチウム塩としてLiBOBを溶媒1L当たり1モル含み、添加剤としてフルオロエチレンカーボネートを10体積%含む電解液を調製した。
ポリマー電解質のポリマーとしては、ポリアクリロニトリル(SIGMA−ALDRICH製、重量平均分子量=86,200、Mw/Mn=3.81)を使用した。
上記に記載の電解液を上記ポリマーに含浸させることにより、ポリマー電解質を調製した。このポリマー電解質における電解液量は、ポリマー電解質全量の50質量%であった。
(正極の作製)
正極活物質としてリチウムのニッケル、マンガン及びコバルト混合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、数平均粒子径11μm)と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、PVDFとを、混合酸化物:グラファイト炭素粉末:アセチレンブラック粉末:PVDF=100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物に、N−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように加えて更に混合し、スラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体としての厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、80℃において30分加熱して溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し、正極集電体上に正極活物質層を形成した。圧延後のものを50mm×30mmの矩形状に打ち抜いくことにより、正極を得た。
該正極における正極活物質層の塗布量は116g/m2、空孔率は40.5%±2%であった。
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(I)及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(II)と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)及びジエン系ゴム分散液(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、グラファイト炭素粉末(I):グラファイト炭素粉末(II):カルボキシメチルセルロース溶液:ジエン系ゴム分散液=90:10:1.44:1.76の固形分質量比で混合し、水を加えて全体の固形分濃度が45質量%になるように調整して、スラリーを調製した。このスラリーを、負極集電体としての厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し、負極集電体上に負極活物質層を形成した。圧延後のものを50mm×30mmの矩形状に打ち抜くことにより、負極を得た。
該負極における負極活物質層の塗布量は58g/m2、空孔率は39.4±2%であった。
アルミニウム層と樹脂層とを積層したラミネートフィルム(絞り加工なし、厚さ120μm、68mm×48mm)2枚を、アルミニウム層側を外側にして重ね、三辺をシールしてラミネートセル外装を作製した。セパレータとして、ポリエチレン製微多孔膜(膜厚20μm、53mm×33mm)を用意した。上述のようにして作製した正極と負極とを、(1−1)で作製したポリマー電解質及び上記セパレータを介して重ね合わせ、正極−ポリマー電解質−セパレータ−ポリマー電解質−負極の順に積層された積層体を得た。この積層体をラミネートセル外装内に配置することにより、1C=22.5mAとなる単層ラミネート型電池を得た。ここで、1Cとは満充電状態の電池を定電流放電して1時間で放電終了となる電流値を表す。
上記の単層ラミネートセルを用いて、4.5mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電を継続し、合計8時間の充電を行った。その後、−10℃において定電流で3Vまで放電したときの放電容量を測定した。次に、上記放電容量測定後の単層ラミネートセルを上記と同様の条件で充電した後、0℃において定電流で3Vまで放電したときの放電容量を測定した。これらの測定に際しての電流は7.5mAに設定した。
25℃における放電容量を100%と規定して、60%以上の放電容量を示した場合を○(良好)、60%未満の放電容量を示した場合を×(不良)として、各測定温度における放電特性を調べた。結果を表1に示す。
上記手順で作製した単層ラミネートセルを用いて、1.8mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電を継続し、合計8時間の充電を行った。その後、7.5mAの定電流で3Vに到達するまで放電した。上記の単層ラミネートセルを上記の充電条件と同様に充電後、22.5mA及び45mAの定電流で3Vに到達するまでそれぞれ放電した。放電電流が7.5mAの際の放電容量を100%と規定して、85%以上の放電容量を示した場合を○(良好)、85%未満の放電容量を示した場合を×(不良)として、各電流値における放電負荷特性を調べた。結果を表2に示す。
上記手順で作製した単層ラミネートセルにつき、4.5mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電を継続し、合計8時間の充電を行った。その後、7.5mAの定電流で放電して3Vの定電圧で5時間放電を行い、放電状態とした。この単層ラミネートセルの長辺(図3中、「切り取り箇所」として示した部分)を切り取り、電極積層体部に1MPaの圧力を1分間かけた後の電解液漏液有無を目視で確認した。電解液の漏液がなければ○(良好)、電解液が漏液すれば×(不良)として、耐漏液性を評価した。結果を表3に示す。
上記実施例1の「(1−1)ポリマー電解質の調製」において、電解液として以下のように調整したものを使用した他は、実施例1と同様にしてポリマー電解質を得た。
(電解液の調製)
溶媒として33体積%のエチレンカーボネートと67体積%のエチルメチルカーボネートとから成る混合溶媒を使用し、無機リチウム塩としてLiPF6を溶媒1L当たり1モル含む電解液を調製した。
(単層セルの作製及び評価)
上記で調製したポリマー電解質を用いて実施例1と同様にして単層セルを作製し、各種の測定を実施した。結果を表1及び表2に示す。
上記実施例1を本比較例1と比較した結果から、
アセトニトリルを含む電解液を、ニトリル基を有するポリマーに膨潤させた実施例1の場合には、
アセトニトリルを含まない電解液を、ニトリル基を有するポリマーに膨潤させた比較例1の場合と比較して
室温における放電負荷特性、及び低温における出力性の双方が顕著に向上することが確認された。
本比較例においては、実施例1において、ポリマー電解質を電解液に置き換えた単層セルを作製し、各種の評価を行った。電解液としては、実施例1においてポリマーに含浸させたのと同じものを使用した。
正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせた積層体を、ラミネートセル外装内に配置した後、該セル外装内に電解液を0.5cc注入することにより、1C=22.5mAとなる単層ラミネート型電池を得た。この単層ラミネートセルを用いて各種測定を実施した。結果を表3に示す。
上記実施例1を本比較例2と比較した結果から、
アセトニトリルを含む電解液を、ニトリル基を有するポリマーに膨潤させた実施例1の場合には、
アセトニトリルを含む電解液をポリマーに膨潤させなかった比較例2の場合と比較して、
電極積層体に圧力をかけた過酷な条件であっても、電解液の耐漏洩性が顕著に向上することが確認された。
Claims (5)
- アセトニトリル40〜100体積%を含有する非水系溶媒と、リチウム塩と、を含有する非水系電解液が、ニトリル基を有するポリマーに含浸されて成ることを特徴とする、イオン伝導性ポリマー電解質。
- 前記リチウム塩がリチウムビス(オキサラト)ボレートを含有するものである、請求項1に記載のイオン伝導性ポリマー電解質。
- 前記ポリマーがポリアクリロニトリルを含有するものである、請求項1又は2に記載のイオン伝導性ポリマー電解質。
- 前記ポリアクリロニトリル中のアクリロニトリル成分の含有量が50〜100質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン伝導性ポリマー電解質。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン伝導性ポリマー電解質を具備することを特徴とする、非水系二次電池。
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