JP2013227405A - インクジェットインク - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出性および保存安定性が良好で、所望のパターンを描画でき、毒性が低いインクジェットインクを提供すること。
【解決手段】特定の式(1a)で表される構成単位を有し、かつ、特定の式(1b)および(1c)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の分子末端基を有する化合物(1)、ならびに特定の式(2)〜(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸誘導体、またはそのイミド化物を含む成分(A)と、溶媒(B)と、溶媒(C)を含み、溶媒(B)がジメチルスルホキシドであり、溶媒(C)がジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびγ−ブチロラクトンより選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、溶媒(B)および溶媒(C)の合計100重量%に対して、溶媒(B)が10〜30重量%で含まれる、インクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有するアミド酸誘導体またはそのイミド化物、および特定の混合溶媒を特定量で含むインクジェットインクに関する。より詳しくは、例えば電子部品製作において絶縁膜層を形成するために用いられるインクジェットインク、該インクジェットインクを用いて形成されるポリイミド膜、該ポリイミド膜を有する電子材料用基板、および、該電子材料用基板を有する電子部品に関する。
電子通信分野では、パターン状の硬化膜が使用されている。従来、このような、パターン状の硬化膜は、感光性の材料等を用いて硬化膜を形成した後にエッチングなどをすることにより形成されていた。しかしながら、この方法によるパターン状の硬化膜の形成にはフォトレジスト、現像液、エッチング液および剥離液などの多種多量の材料や薬液を必要とし、また、煩雑な工程を必要とする。このため、この方法は、生産性に劣る方法であった。
そこで、近年、インクジェット法により所望のパターン状の硬化膜を直接形成する方法が検討されている。このインクジェット法には、インクジェットインクが用いられる。インクジェットインクは各種提案されている(特許文献1および2)。このインクジェットインクは、吐出性・印刷性などの点から、インクの粘度、表面張力および溶媒の沸点などの様々なパラメータを最適化しなくてはならない。
粘度に関しては、一般的には吐出温度(吐出時のインクの温度)において、1〜50mPa・s程度の低粘度であることが求められている。特にピエゾ方式のインクジェット印刷の場合は、吐出圧力が小さいため、粘度が高くなるとインクが吐出不能となることがある。
表面張力に関しては、20〜70mN/mの範囲に調整することが好ましく、20〜40mN/mの範囲に調整することがより好ましい。表面張力が低すぎると、インクが吐出口から吐出された直後に広がってしまい、良好な液滴が形成できなくなることがある。反対に表面張力が高すぎると、メニスカスを形成できなくなるため、吐出不能になることがある。
溶媒の沸点に関しては、100〜300℃の範囲にあることが好ましく、150〜270℃の範囲にあることがより好ましい。沸点が低すぎると、特にインクを加温して吐出する場合に、インク中の溶媒が蒸発してしまう。このためインクの粘度が変化し、インクを吐出できなくなる、またはインクの成分が固化してしまうことがある。反対に沸点が高すぎると、印刷後のインクの乾燥が遅すぎて、所望のパターンの硬化膜が得られない場合がある。
電子通信分野では、耐熱性および電気絶縁性に優れるため、前記硬化膜として、ポリイミド膜が広く用いられている(特許文献3〜5)。
ポリイミド膜形成用のインクジェットインクとしては、ポリイミドを含有するインクや、加熱処理することによりポリイミドとなるポリアミド酸を含有しているインクなど各種提案されている(特許文献6〜13)。
ポリイミド膜形成用のインクジェットインクにおいては、前述したインクジェットインクとしての粘度、表面張力および溶媒の沸点などの必要特性に加えて、得られるポリイミド膜が所定の機能・特性を有していることが重要である。例えば、体積抵抗率、耐電圧、誘電率および誘電損失等の電気的特性、折り曲げ試験、弾性率および引張伸度等の機械的特性、耐酸性、耐アルカリ性および耐めっき性等の化学的安定性、熱分解温度、ガラス転移温度および熱線膨張係数等の熱的特性といった様々な特性が特定の範囲にあることが求められている。さらには、基板との密着性、膜形成時の収縮に伴う耐反り性、およびマイグレーション耐性など二次的な特性も求められている。また、該インクジェットインクには、パターン性や保存安定性も求められている。
ポリイミドは前記電気的、機械的、化学的および熱的特性に優れた膜形成用樹脂として広く電子材料用途に用いられてきたが、ポリイミド膜形成用のインクジェットインクを調製する際には様々な制限があり、前記、求められる特性をバランス良く有するインクジェットインクを調製することは、容易ではなかった。特に、パターン性や保存安定性に優れるインクジェットインクを調製することは容易ではなかった。
パターン性や保存安定性に優れるインクジェットインクを調製するには、用いる溶媒の選定が重要であると考えられる。従来、ポリイミド膜形成用のインクジェットインクでは、溶解させるポリイミドやポリアミド酸の溶解性の点から、用いる溶媒は限定されており、例えば、ポリアミド酸やポリイミドの良溶媒である1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミドが用いられてきた。しかしながら、これらの溶媒は皮膚刺激性、眼刺激性、発癌性などの毒性が比較的高いため、昨今では代替となる溶媒が強く求められている。
一方、ジメチルスルホキシド(DMSO)もポリイミドやポリアミド酸の溶媒としては一般的である(特許文献14および15)。毒性も低いが、融点が18℃と比較的高いことが問題である。特に、熱的に不安定なポリアミド酸を用いる場合は−20〜0℃の冷凍保存が必要であるが、冷凍保存時にDMSOが凍結することがあり工業的使用には耐えられない。
これらの溶媒を用いたポリイミド膜形成用インクジェットインクにおいて、該インクの粘度、表面張力、パターン性および保存安定性、毒性、ならびに得られるポリイミド膜の必要特性を制御することは容易ではなかった。
特開2003−213165号公報 特開2006−131730号公報 特開2000−039714号公報 特開2003−238683号公報 特開2004−094118号公報 特開2009−35700号公報 国際公開第2008/123190号パンフレット 特開2009−144138号公報 国際公開第2008/059986号パンフレット 特開2009−203440号公報 特開2009−221309号公報 特開2009−120811号公報 特開2010−189631号公報 特開昭60−210630号公報 特開昭59−164328号公報
本発明は、吐出性および保存安定性が良好で、所望のパターンを描画でき、毒性が低いインクジェットインクを提供することを課題とする。
また、本発明は、粘度、表面張力および溶媒の沸点などのパラメータを、吐出性・印刷性などに優れるインクとなるよう容易に最適化でき、毒性が低いポリイミド膜形成用インクジェットインクを提供することも課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、インクジェットインクを、特定の構造を有するアミド酸誘導体またはそのイミド化物と、特定の量比からなる特定の混合溶媒を含む組成とすることで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]下記式(1a)で表される構成単位を有し、かつ、下記式(1b)および(1c)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の分子末端基を有する化合物(1)、ならびに下記式(2)〜(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸誘導体、またはそのイミド化物を含む成分(A)と、溶媒(B)と、溶媒(C)を含み、溶媒(B)がジメチルスルホキシドであり、溶媒(C)がジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびγ−ブチロラクトンより選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、溶媒(B)および溶媒(C)の合計100重量%に対して、溶媒(B)が10〜30重量%で含まれる、インクジェットインク。
Figure 2013227405
[式(1a)および(3)中、Xはそれぞれ独立に炭素または炭素数2〜100の有機基であり、式(1a)、(2)および(5)中、Yはそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、式(4)中、Zは炭素数1〜100の有機基であり、式(1b)、(2)および(4)中、X’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、式(1c)、(3)および(5)中、Y’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基である。]
[2]前記化合物(1)が、下記式(1−1)〜(1−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、[1]に記載のインクジェットインク。
Figure 2013227405
[式(1−1)〜(1−3)中、Xはそれぞれ独立に炭素または炭素数2〜100の有機基であり、式(1−1)〜(1−3)中、Yはそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、式(1−1)および(1−2)中、X’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、式(1−2)および(1−3)中、Y’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、式(1−1)〜(1−3)中、kはそれぞれ独立に1〜8の整数である。]
[3]前記式(1b)、(2)、(4)、(1−1)および(1−2)におけるX’が、それぞれ独立に不飽和炭化水素基を有する炭素数2〜100の有機基または下記式(α)で表される有機基であり、
前記式(1c)、(3)、(5)、(1−2)および(1−3)におけるY’が、それぞれ独立に不飽和炭化水素基を有する炭素数2〜100の有機基または下記式(β)で表される有機基である、[1]または[2]のいずれかに記載のインクジェットインク。
Figure 2013227405
[式(α)および(β)中、Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、式(α)中、R’は炭素数1〜20の有機基であり、式(β)中、R”は炭素数1〜20の有機基である。]
[4]さらに、溶媒(B)および溶媒(C)以外の、溶媒(D)を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェットインク。
[5]前記成分(A)が、インクジェットインク100重量%に対して5〜95重量%の量で含まれる、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェットインク。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェットインクを用いて形成されたポリイミド膜。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェットインクを、インクジェット法によって支持体上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜を硬化してポリイミド膜を形成する工程とを含むポリイミド膜の製造方法。
[8][7]に記載の製造方法により形成されたポリイミド膜。
[9]パターン状である[6]または[8]に記載のポリイミド膜。
[10][6]、[8]または[9]に記載のポリイミド膜を有する、電子材料用基板。
[11][10]に記載の電子材料用基板を有する電子部品。
本発明によれば、吐出性および保存安定性が良好で、所望のパターンを描画でき、毒性が低いインクジェットインクを得ることができる。また、本発明によれば、インクジェットインクの粘度、表面張力および溶媒の沸点などのパラメータを、吐出性・印刷性などに優れるインクとなるよう容易に最適化することができる。
また、本発明のインクジェットインクを用いれば、インクジェット法により必要な部分のみに描画することで、パターン状のポリイミド膜を形成することができる。これにより、従来のパターン状のポリイミド膜を形成する際に用いていた、フォトレジストやエッチング液等を使用する必要はなく、また、製造に要する工程数を少なくすることができ、多品種大量のポリイミド膜を容易に生産できる。
1.インクジェットインク
本発明のインクジェットインク(以下「本発明のインク」ともいう。)は、下記アミド酸誘導体またはそのイミド化物を含む成分(A)と、溶媒(B)および溶媒(C)を特定量で含む混合溶媒を含有するインクジェットインクであれば特に限定されない。
本発明のインクは、吐出性・印刷性などの点から、粘度、表面張力および溶媒の沸点などのパラメータを最適化することが好ましい。
なお、本発明のインクは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて溶媒(D)をさらに含み、さらに、必要に応じて他の添加剤を含んでもよい。なお、本発明のインクは、無色、有色のどちらであってもよい。
1.1.成分(A)
成分(A)は、アミド酸誘導体(A1)またはそのイミド化物(A2)を含む。成分(A)は、実質的にアミド酸誘導体(A1)のみからなってもよく、イミド化合物(A2)のみからなってもよく、アミド酸誘導体(A1)およびイミド化物(A2)からなってもよい。成分(A)に含まれるアミド酸誘導体(A1)は、1種であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。また、成分(A)に含まれるイミド化物(A2)は、1種であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
1.1−1.アミド酸誘導体(A1)
前記アミド酸誘導体(A1)は、下記式(1a)で表される構成単位を有し、かつ、下記式(1b)および(1c)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の分子末端基を有する化合物(1)、ならびに、下記式(2)〜(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Figure 2013227405
前記式(1a)および(3)中、Xはそれぞれ独立に炭素または炭素数2〜100の有機基であり、式(1a)、(2)および(5)中、Yはそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、式(4)中、Zは炭素数1〜100の有機基であり、式(1b)、(2)および(4)中、X’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、式(1c)、(3)および(5)中、Y’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基である。
前記式(1a)および(3)中、Xはそれぞれ独立に炭素または炭素数2〜100の有機基である。この炭素数2〜100の有機基としては、例えば、炭素数2〜100の炭化水素基が挙げられ、好ましくは炭素数2〜50の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数2〜40の炭化水素基である。
なお、「前記式(1a)および(3)中、Xはそれぞれ独立に」とは、これらの式のうち、任意の2つの式に存在するXは同一であってもよいし、異なってもよいことを示す。この規則は、他の式においても適用される。
前記式(1a)、(2)および(5)中、Yはそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基である。この炭素数1〜100の有機基としては、例えば、炭素数1〜100の炭化水素基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜50の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜40の炭化水素基である。
前記式(4)中、Zは炭素数1〜100の有機基である。この炭素数1〜100の有機基としては、例えば、炭素数1〜100の炭化水素基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜50の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜40の炭化水素基である。
前記式(1b)、(2)および(4)中、X’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、好ましくは不飽和炭化水素基を有する炭素数2〜100の有機基または下記式(α)で表される有機基である。この炭素数1〜100の有機基としては、例えば、炭素数1〜100の炭化水素基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜50の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜40の炭化水素基である。
本明細書において、不飽和炭化水素基としては、アルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルケニレン、アルキルジエニル、アクリルおよびメタクリルが挙げられる。
Figure 2013227405
前記式(α)中、Rは独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、Rの少なくとも1個はアルコキシであることが好ましい。
前記式(α)中のR’は、炭素数1〜20の有機基であり、この炭素数1〜20の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられる。
前記式(2)で表される化合物は複数のX'を有する。この場合、任意の2つのX'は同一であってもよいし、異なってもよい。この規則は、他の式においても適用される。
前記式(1c)、(3)および(5)中、Y’はそれぞれ独立して炭素数1〜100の有機基であり、好ましくは不飽和炭化水素基を有する炭素数2〜100の有機基または下記式(β)で表される有機基である。この炭素数1〜100の有機基としては、例えば、炭素数1〜100の炭化水素基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜50の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜40の炭化水素基である。
Figure 2013227405
前記式(β)中、Rは、独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、Rの少なくとも1個はアルコキシであることが好ましい。
前記式(β)中のR”は、炭素数1〜20の有機基であり、この炭素数1〜20の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられる。
本明細書中の炭化水素基において、この炭化水素基の任意の−CH2−は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR−(Rは水素、メチル、エチル、エトキシまたはメトキシである。)、−CONH−、−NHCO−、−S−、−S−S−、−SO2−、−SiRR'−(RおよびR'は、それぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルである。)または>P(=O)R(Rは水素、メチル、エチル、ヒドロキシル、エトキシまたはメトキシである。)で置き換えられてもよく、任意の−(CH22−は−CH=CH−、−C≡C−、−N=N−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられていてもよい。
本明細書中の炭化水素基は、飽和または不飽和の非環式炭化水素基であってもよいし、飽和または不飽和の環式炭化水素基であってもよいし、これらの非環式炭化水素基と環式炭化水素基とを両方含む基であってもよい。前記非環式炭化水素基は、直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。
また、環を構成する任意の炭素原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはP(=O)で置き換えられてもよい。具体的には、環を構成する任意の−CH2−は−O−、−N=、−S−または>P(=O)R(Rは水素、メチル、エチル、ヒドロキシル、エトキシまたはメトキシである。)で置き換えられてもよく、任意の−CH=CH−は−N=N−または−CH=N−で置き換えられてもよい。
本発明で用いる「任意の」は、個数のみならず位置も任意であるが、連続する複数の−CH2−や−(CH22−などが同じ基で置き換えられることは好ましくない。環を構成する炭素との結合位置が明確でない置換基は、その結合位置が化学的に問題のない範囲内で自由であることを意味する。
以下、本明細書において、(1a)や(2)などの同じ符号で表される構成単位、基および化合物中のXやYなどの符号の定義は、特に言及しない限り同じである。
なお、以下において、1価の炭化水素基を例示する。本明細書中の2価、3価または4価の炭化水素基としては、以下で例示する炭化水素基において、これらの基から誘導される2価、3価または4価の基等が挙げられる。
前記炭化水素基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルジエニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アリールチオ、およびアリールスルホニルが挙げられる。
前記アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニルが挙げられる。
前記アルケニルとしては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニルが挙げられる。
前記アルキニルとしては、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニルが挙げられる。
前記アルキルジエニルとしては、例えば、1,3−ブタジエニルが挙げられる。
前記アリールとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルが挙げられる。
前記アルキルアリールとしては、例えば、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチルが挙げられる。
前記アリールアルキルとしては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチルが挙げられる。
前記シクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
前記シクロアルケニルとしては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルが挙げられる。
前記アルコキシとしては、例えば、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシが挙げられる。
前記アリールオキシとしては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシが挙げられる。
前記アミノとしては、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノが挙げられる。
前記シリルとしては、例えば、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリルが挙げられる。
前記アルキルチオおよびアルキルスルホニルにおけるアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニルが挙げられる。
前記アリールチオおよびアリールスルホニルにおけるアリールとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルが挙げられる。
なお、化合物(1)は、前記式(1a)で表される構造単位と、前記式(1b)および(1c)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の分子末端基とを有するポリアミド酸誘導体である。
前記分子末端基は、化合物(1)の(主鎖)末端に存在する基である。
前記式(1a)で表される構造単位は、例えば、後述するテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。
また、前記式(1b)で表される分子末端基は、例えば、後述するジカルボン酸無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。
さらに、前記式(1c)で表される分子末端基は、例えば、後述するテトラカルボン酸二無水物とモノアミンを反応させることにより得ることができる。
化合物(1)は、化学的にとり得る化合物であれば特に制限されないが、(I)その主鎖の2つの末端のうち、いずれか一方が、前記式(1b)で表される基または前記式(1c)で表される基である化合物、(II)その主鎖の2つの末端のうち、その両方が、前記式(1b)で表される基または前記式(1c)で表される基である化合物、および(III)その主鎖の2つの末端のうち、その一方が前記式(1b)で表される基であり、残りが前記式(1c)で表される基である化合物が挙げられる。
前記化合物(1)としては、これらの化合物の中でも、下記式(1−1)〜(1−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
Figure 2013227405
前記式(1−1)〜(1−3)中、Xはそれぞれ独立に式(1a)および(3)中のXと同義であり、式(1−1)〜(1−3)中、Yはそれぞれ独立に式(1a)、(2)および(5)中のYと同義であり、式(1−1)および(1−2)中、X’はそれぞれ独立に式(1b)、(2)および(4)中のX’と同義であり、式(1−2)および(1−3)中、Y’はそれぞれ独立に式(1c)、(3)および(5)中のY’と同義である。
前記式(1−1)〜(1−3)中、kはそれぞれ独立に1〜8の整数であり、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。
前記アミド酸誘導体(A1)としては、ジアミンと酸無水物基を2つ以上有する化合物とを用いて得られる化合物が挙げられる。好ましくは、例えば、特開2009−35700号公報に記載されている、下記式(1a)で表される構成単位を有し、かつ、下記式(1b)および下記式(1c)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の分子末端基を有するポリアミド酸が挙げられる。
Figure 2013227405
また、前記アミド酸誘導体(A1)としては、分子内に少なくとも1つのアミド酸構造を有する化合物が挙げられる。好ましくは、例えば、国際公開WO2008/123190号パンフレットに記載されている、下記式(2)または下記式(3)で表される化合物、および特開2009−144138号公報に記載されている、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013227405
1.1−2.イミド化合物(A2)
前記イミド化物(A2)は、前記アミド酸誘導体(A1)のイミド化物である。前記イミド化物(A2)としては、アミド酸誘導体(A1)を完全にイミド化した化合物であってもよく、部分的にイミド化した化合物であってもよい。
前記イミド化物(A2)としては、下記式(2)で表される化合物のイミド化物、および分子内に少なくとも1つのアルケニル置換ナジイミド構造を有するアルケニル置換ナジイミド化合物が挙げられる。
Figure 2013227405
前記アルケニル置換ナジイミド化合物としては、好ましくは、例えば、国際公開WO2008/059986号パンフレットに記載されている、下記式(6)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物、および特開2009−203440号公報に記載されているアルケニル置換ナジイミド化合物が挙げられる。
Figure 2013227405
式(6)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルであり、nは1または2である。
前記式(6)中のnが1のとき、R14は、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(Cq2q)Ot(Cr2rO)us2sX}(ここで、q、rおよびsはそれぞれ独立に2〜6の整数であり、tは0または1の整数であり、uは1〜30の整数であり、Xは水素またはヒドロキシルである。)で表される基、−(R)a−Ph−R15(ここで、aは0または1の整数であり、Rは炭素数1〜4のアルキレンであり、Phはフェニレンであり、R15は水素または炭素数1〜4のアルキルである。)で表される基、−Ph−T−Ph(ここで、Phはフェニルまたはフェニレンであり、Tは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−S−または−SO2−である。)で表される基であり、これらの基中のPhに結合した1〜3個の水素がヒドロキシルで置き換えられていてもよい。
前記式(6)中のnが2のとき、R14は、−Cp2p−(ここで、pは2〜20の整数である。)で表されるアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、−{(Cq2qO)t(Cr2rO)us2s}−(ここで、q、rおよびsはそれぞれ独立に2〜6の整数であり、tは0または1の整数であり、uは1〜30の整数である。)で表される基、炭素数6〜12のアリーレン、−(R15a−Ph−R16−(ここで、Phはフェニレンであり、aは0または1の整数であり、R15およびR16は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレンである。)で表される基、−Ph−T−Ph−(ここで、Phはフェニレンであり、Tは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−O−Ph−C(CH32−Ph−O−、−S−または−SO2−である。)で表される基であり、これらの基中のPhに結合した1〜3個の水素がヒドロキシルで置き換えられていてもよい。
1.1−3.アミド酸誘導体(A1)またはイミド化物(A2)の合成方法
前記アミド酸誘導体(A1)は、好ましくは、下記式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物および下記式(9)で表されるジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸無水物と、下記式(8)で表されるジアミンおよび下記式(10)で表されるモノアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミンとを反応させることにより得ることができる。
この反応は、下記反応溶媒下で行うことが好ましい。
Figure 2013227405
前記式(7)中のXは、それぞれ独立に炭素または炭素数2〜100の有機基であり、前記式(8)中のYは、それぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、前記式(9)中のX’は、それぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、前記式(10)中のY’は、それぞれ独立に炭素数1〜100の有機基である。
1.1−3−1.テトラカルボン酸二無水物
前記式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物(略語:6FDA)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物(略語:BSAA)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物(略語:BPDA−H)が挙げられる。
これらの中でも得られるインクの下記溶媒(溶媒(B)および溶媒(C)を含有し、必要に応じて溶媒(D)を含む溶媒)に対する溶解性などの点から、6FDA、BSAA、BPDA−Hが好ましい。
前記テトラカルボン酸二無水物は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1.1−3−2.ジアミン
前記式(9)で表されるジアミンの具体例としては、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(略語:DDS)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(略語:BAPP)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(略語:HFBAPP)、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル(略語:BAPEE)、イソホロンジアミン(略語:IPDA)および下記式(11)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013227405
前記式(11)中、R8は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R9は独立してメチレンまたはフェニレンであり、該フェニレンの任意の水素はアルキルで置き換えられていてもよく、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。
さらに、本発明のジアミンの具体例としては、ダイマー酸型ジアミンが挙げられる。
ダイマー酸型ジアミンは、例えば、ダイマー酸の還元的アミノ化反応によって得られる。前記反応は、例えば、アンモニアおよび触媒を使用する還元法等、公知の方法(例:特開平9−12712号公報)によって行うことができる。
ダイマー酸とは、不飽和脂肪酸が分子間重合反応等によって二量化して得られる二塩基酸である。合成条件および精製条件にもよるが、通常はダイマー酸の他、モノマー酸やトリマー酸等も少量含まれる。前記反応後には得られた分子内に二重結合が残存するが、本発明では、水素添加反応により、分子内に存在する二重結合が還元されて飽和二塩基酸となったものもダイマー酸に含めるものとする。
ダイマー酸は、例えば、ルイス酸およびブレンステッド酸を触媒として用いて、不飽和脂肪酸の重合を行うことによって得られる。ダイマー酸は、公知の方法(例:特開平9−12712号公報)によって製造することができる。
不飽和脂肪酸としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ホセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸が挙げられる。不飽和脂肪酸の炭素数は、通常4〜24、好ましくは14〜20である。
例えば、リノール酸を用いてダイマー酸を製造する場合、得られる混合物は一般的に炭素数36のダイマー酸を主成分として含むが、炭素数18のモノマー酸および炭素数54のトリマー酸も副成分として少量含むのが一般的であり、原料由来の様々な構造を含む。
ダイマー酸型ジアミンは、例えば、下記式(a)〜(e)で表される構造を有する1種または2種以上の混合物である。ダイマー酸型ジアミン(a1)は水素添加されていてもよく、例えば、下記式(c)または(e)で表される構造を有する。
Figure 2013227405
式(a)〜(e)中、m、n、p、qはそれぞれ独立して0〜15の整数である。
ダイマー酸型ジアミンの市販品としては、例えば、バーサミン551(商品名、コグニスジャパン社製)、プリアミン1074(商品名、クローダジャパン(株)製)が挙げられる。ダイマー酸型ジアミン(a1)は、ダイマー酸の還元的アミノ化反応によって得られたジアミンを水素添加してなる化合物も含み、その市販品としては、例えば、バーサミン552(商品名、コグニスジャパン社製)が挙げられる。
これらの中でも得られるインクの下記溶媒(溶媒(B)および溶媒(C)を含有し、必要に応じて溶媒(D)を含む溶媒)に対する溶解性などの点から、DDS、BAPP、HFBAPP、BAPEE、IPDA、プリアミン1074が好ましい。
前記ジアミンは、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1.1−3−3.ジカルボン酸無水物
前記式(9)で表されるジカルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、3−メチルフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、3−フルオロフタル酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、テトラフルオロフタル酸無水物、こはく酸無水物、ブチルこはく酸無水物、n−オクチルこはく酸無水物、ドデシルこはく酸無水物、テトラプロペニルこはく酸無水物、テトラデセニルこはく酸無水物、オクタデセニルこはく酸無水物、アリルこはく酸無水物、2−ブテン−1−イルこはく酸無水物、2−ドデセン−1−イルこはく酸無水物、マレイン酸無水物(略語:MA)、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,3−シクロへキサンジカルボン酸無水物、p−(トリメトキシシリル)フェニルこはく酸無水物、p−(トリエトキシシリル)フェニルこはく酸無水物、m−(トリメトキシシリル)フェニルこはく酸無水物、m−(トリエトキシシリル)フェニルこはく酸無水物、トリメトキシシリルプロピルこはく酸無水物およびトリエトキシシリルプロピルこはく酸無水物(略語:TESA)が挙げられる。
これらの中では、無水フタル酸、無水トリメリット酸、4−メチルフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、テトラフルオロフタル酸無水物、テトラプロペニルこはく酸無水物、テトラデセニルこはく酸無水物、オクタデセニルこはく酸無水物、2−ドデセン−1−イルこはく酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、MA、TESAおよび1,3−シクロへキサンジカルボン酸無水物が好ましい。
これらの中でも得られるインクの下記溶媒(溶媒(B)および溶媒(C)を含有し、必要に応じて溶媒(D)を含む溶媒)に対する溶解性などの点から、MA、TESAがより好ましい。
前記ジカルボン酸無水物は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1.1−3−4.モノアミン
前記式(10)で表されるモノアミンの具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(略号:APSE)、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、プロパルギルアミン、3−アミノブチン、4−アミノブチン、5−アミノペンチン、4−アミノペンチン、アリルアミン、7−アミノヘプチン、m−アミノスチレン、p−アミノスチレン、m−アミノ−α−メチルスチレン、3−アミノフェニルアセチレンおよび4−アミノフェニルアセチレンが挙げられる。
これらの中では、例えば得られるポリイミド膜の耐久性が優れるという点から、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、APSEおよびp−アミノフェニルトリメトキシシランが好ましく、APSEが特に好ましい。
前記モノアミンは、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1.1−3−5.アミド酸誘導体(A1)の合成方法
前記アミド酸誘導体(A1)の合成法として、例えば、前記特許文献6〜10に記載されている方法が挙げられる。
前記アミド酸誘導体(A1)は、ジアミンおよび/またはモノアミンと、テトラカルボン酸二無水物および/またはジカルボン酸無水物とを、アミノ基と酸無水物基とが反応してアミド酸を形成する穏やかな反応条件で、反応させることで得ることができる。
この穏やかな反応条件とは、例えば、常圧下、温度20〜60℃、反応時間0.2〜20時間で、触媒を使用することなく、反応により酸無水物基が開環して生じたカルボキシル基を活性化させることなく反応させる、という条件である。カルボキシル基の活性化とは、例えば、酸クロリドへの変換である。
このような穏やかな反応条件下では、酸無水物基とアミノ基とが反応して生じたカルボキシル基が、さらにジアミンおよび/またはモノアミンのアミノ基と反応することがないため、遊離のカルボキシル基を有するアミド酸誘導体(A1)が得られる。
1.1−3−6.イミド化物(A2)の合成方法
前記イミド化物(A2)は、前記アミド酸誘導体(A1)をイミド化することにより得ることができる。具体的には、熱的方法、または、脱水触媒もしくは脱水剤を用いた化学的方法によりアミド酸誘導体をイミド化する方法が挙げられる。好ましくは、精製処理を行なわずにインクの成分として使用できるなどの点から熱的方法でイミド化する方法であり、より好ましくは、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、ジカルボン酸無水物およびモノアミン等の原料を反応溶媒中で反応させた後、還流してイミド化する方法である。還流は、使用する反応溶媒により条件が異なるが、140〜230℃で1.5〜10時間の条件で行うことが好ましい。還流温度が前記範囲内であると、イミド化が十分に進むため、得られるイミド化物を含むインクは、強固なポリイミド膜を形成することができる。
1.1−3−7.反応溶媒
前記アミド酸誘導体(A1)またはそのイミド化物(A2)を合成する際に用いられ得る反応溶媒は、特に限定されないが、前記アミド酸誘導体(A1)およびイミド化物(A2)、ならびにこれらを合成する際に用いる原料化合物を容易に溶解できる溶媒が好ましい。
また、前記アミド酸誘導体(A1)やイミド化物(A2)の合成後に得られる溶液は、そのまま、またはさらに必要により下記添加剤を添加して本発明のインクとして用いることが好ましい。このため、前記反応溶媒としては、前記アミド酸誘導体(A1)やイミド化物(A2)の合成後に得られる溶液が、毒性が低く、保存安定性および吐出性に優れ、所望の形状のポリイミド膜を容易に形成できる(以下「パターン性」ともいう。)ような溶媒を用いることが好ましい。
前記反応溶媒としては、下記溶媒(B)および/または溶媒(C)を含む溶媒を用いることが、保存安定性、吐出性およびパターン性に優れ、毒性が低いインクを得ることができるなどの点から好ましい。
反応溶媒は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
反応溶媒は、前記アミド酸誘導体(A1)またはイミド化物(A2)の合成に用いる原料化合物の合計100重量部に対し、100重量部以上使用すると、該合成反応がスムーズに進行するので好ましい。
1.1−4.アミド酸誘導体(A1)またはイミド化物(A2)の重量平均分子量
前記アミド酸誘導体(A1)またはイミド化物(A2)としては、下記溶媒(B)および溶媒(C)に対する溶解性に優れるなどの点から、重量平均分子量が300〜12000である化合物を用いることが好ましい。溶媒(B)および溶媒(C)に対する溶解性の観点から、アミド酸誘導体(A1)およびイミド化物(A2)の重量平均分子量は、より好ましくは400〜9000であり、特に好ましくは450〜7000である。
重量平均分子量が300以上である化合物を用いると、化学的・機械的に安定なポリイミド膜が得られる。また重量平均分子量が12000以下の化合物は、溶媒(B)および溶媒(C)に対する溶解性が特に高いので、本発明のインク中の成分(A)の濃度を高くすることができる。このため、該インクから得られるポリイミド膜の柔軟性および耐熱性を向上させることができる。
アミド酸誘導体(A1)およびイミド化物(A2)の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。
例えば、アミド酸誘導体(A1)またはイミド化物(A2)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とを混合することでアミド酸誘導体(A1)またはイミド化物(A2)の濃度が約1重量%である溶液を調製する。その後、この溶液を用いて、カラムとして、東ソー(株)製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLを、この順で直列に結合したものを用い、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で、DMFを展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めることができる。
1.1−5.成分(A)の含有量
本発明のインク中の成分(A)の含有量は、該インク100重量%に対して、5〜95重量%であることが好ましく、20〜80重量%であることがさらに好ましい。
本発明のインク中の成分(A)の含有量が前記範囲にあると、吐出性に優れるインクを得ることができる。
本発明のインクは、溶媒(B)および溶媒(C)を特定量で含むため、該インク中の成分(A)の含有量を多くすることができる。用途によっては、膜厚の厚いポリイミド膜を形成することが求められるため、この場合には、本発明のインク中の成分(A)の濃度が高いほど、該インクから得られるポリイミド膜の膜厚が厚くなるため好ましい。
また、本発明のインクは、該インク中の成分(A)の含有量が多くなっても、インクジェット塗布装置での吐出が可能である。
本発明のインクによれば、所望の用途に応じて、インク中の成分(A)の含有量を容易に変更することができるため、膜厚の薄いポリイミド膜から膜厚の厚いポリイミド膜までインクジェット塗布装置による1回の吐出で容易に形成することができる。
1.2.溶媒
本発明のインクは、特定の溶媒(B)および溶媒(C)を特定量で含有するインクジェットインクであり、必要に応じて溶媒(D)をさらに含んでもよい。このような溶媒を用いることにより、良好な保存安定性、吐出性およびパターン性を有するインクとなり、インクジェットヘッドの劣化等が起こりにくく、毒性の低いインクが得られる。
本発明における「保存安定性」とはインク使用前後の保管時の安定性であり、常温での安定性、あるいは、熱的に不安定なポリアミド酸を用いる場合は−20〜0℃の低温保存時での安定性を意味している。所定の条件において、インクの粘度、ポリアミド酸やポリイミド成分の析出、溶媒の凍結や蒸発など、インク吐出に影響する変化が無いことを意味している。
1.2−1.溶媒(B)
前記溶媒(B)は、ジメチルスルホキシド(略語:DMSO)である。
前記溶媒(B)は、成分(A)を容易に溶かすことができる。また、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルプロピオンアミドなどの、アミド酸誘導体またはそのイミド化物を溶解させるために用いられてきた従来の溶媒に比べ、毒性が低くインクジェットインクの溶媒として好ましく用いることができる。
成分(A)としてマレイン酸またはその誘導体を原料とする化合物を用いる場合には、該化合物は、前記従来の溶媒に溶けにくい場合が多い。このため、成分(A)として該化合物を用いる場合には、特に、前記溶媒(B)を用いる利点が大きい。
本発明のインクは、溶媒(B)および溶媒(C)の合計100重量%に対して、溶媒(B)を、通常10〜30重量%で含み、好ましくは10〜25重量%、より好ましくは10〜20重量%の量で含有する。溶媒(B)の含有量が前記範囲内にあると、毒性が低く、インクジェットヘッドの劣化等が起こりにくいインクが得られる。また、成分(A)を容易に溶かすことができるため、インクジェットヘッドに成分(A)が詰まったり、インク保存時に成分(A)の析出が起こることもない。
1.2−2.溶媒(C)
前記溶媒(C)は、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(略語:EDM)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(略語:MTM)およびγ−ブチロラクトン(略語:GBL)より選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、前記溶媒(B)と混合することによって、良好な保存安定性、吐出性およびパターン性を有するインクとなる。
前記溶媒(B)と溶媒(C)の混合溶媒は、成分(A)を容易に溶かすことができる。また、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルプロピオンアミドなどの、アミド酸誘導体またはそのイミド化物を溶解させるために用いられてきた従来の溶媒に比べ、毒性が低くインクジェットインクの溶媒として好ましく用いることができる。
本発明のインクは、溶媒(B)、溶媒(C)および溶媒(D)の合計100重量%に対して、溶媒(B)および溶媒(C)の合計量を、好ましくは65〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは75〜100重量%の量で含有する。溶媒(B)および溶媒(C)の合計量が前記範囲内にあると、良好な保存安定性、吐出性およびパターン性を有するインクとなり、インクジェットヘッドの劣化等が起こりにくいインクが得られる。また、成分(A)を容易に溶かすことができるため、インクジェットヘッドに成分(A)が詰まったり、インク保存時に成分(A)の析出が起こることもない。さらに、−20〜5℃の低温保存時においても,インクが凍結して使用不能となることもない。
1.2−3.溶媒(D)
前記溶媒(D)は、前記溶媒(B)および溶媒(C)以外の、溶媒であり、溶媒(B)および溶媒(C)と混合することによって前記成分(A)を溶解できる化合物であれば、特に制限されない。
前記溶媒(D)としては、沸点が、好ましくは150〜300℃、より好ましくは150〜270℃の範囲にある溶媒が好ましい。
さらに溶媒(D)としては、毒性の低いものが好ましい。なお、本発明において毒性とは、急性毒性、変異原性、皮膚刺激性、眼刺激性、発癌性などを包括的に意味している。
前記溶媒(D)の具体例としては、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、δ−ヘキサノラクトン、メチルエチルスルホキシドおよびジエチルスルホキシドが挙げられる。
前記溶媒(D)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
1.3.添加剤
本発明のインクは、目的とする特性によっては、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)、溶媒(B)、溶媒(C)、および必要に応じて配合される溶媒(D)以外の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、高分子化合物、エポキシ化合物、アクリル樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、エポキシ硬化剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、チタンブラック、カーボンブラックおよび染料が挙げられる。これらの添加剤は、目的とする特性によって、適宜、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1.3−1.高分子化合物
前記高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミド酸(アミド酸誘導体(A1)を除く)、可溶性ポリイミド(イミド化物(A2)を除く)、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリオキシエチレンが挙げられる。前記高分子化合物としては、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記高分子化合物としては、前記溶媒(B)および/または溶媒(C)に対する溶解性に優れるなどの点から、重量平均分子量が1,000〜200,000である高分子化合物を用いることが好ましい。溶媒(B)および/または溶媒(C)に対する溶解性の観点から、高分子化合物の重量平均分子量は、より好ましくは1,000〜180,000であり、さらに好ましくは1,000〜160,000であり、特に好ましくは1,000〜150,000である。
重量平均分子量が1,000以上である高分子化合物を用いると、該高分子化合物は、ポリイミド膜を形成する際に行う加熱処理によって蒸発することがなく、化学的・機械的に安定なポリイミド膜が得られる。また重量平均分子量が200,000以下の高分子化合物は、溶媒(B)および/または溶媒(C)に対する溶解性が特に高いので、本発明のインク中の高分子化合物の濃度を高くすることができる。このため、該インクから得られるポリイミド膜の柔軟性および耐熱性を向上させることができる。
高分子化合物の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。測定は、たとえば、前記1.1−4.項アミド酸誘導体(A1)またはイミド化物(A2)に記載の方法にて行うことができる。
本発明のインク中の高分子化合物の濃度は、通常0〜20重量%であり、好ましくは0〜10重量%である。このような濃度範囲であると、絶縁膜としての良好な特性を有するポリイミド膜が得られる傾向にある。
1.3−2.エポキシ化合物
前記エポキシ化合物は、オキシランやオキセタンを有する化合物であれば特に限定されないが、オキシランを2つ以上有する化合物が好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、オキシランを有するモノマーの重合体、およびオキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
オキシランを有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
オキシランを有するモノマーと共重合させる他のモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
オキシランを有するモノマーの重合体およびオキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。本発明のインクがこれらのエポキシ化合物を含有すると、耐熱性に優れるポリイミド膜が得られるため好ましい。
エポキシ化合物の具体例としては、商品名「jER807」、「jER815」、「jER825」、「jER827」、「jER828」、「jER190P」、「jER191P」、「jER1004」、「jER1256」(三菱化学(株))、商品名「アラルダイトCY177」、「アラルダイトCY184」(ハンツマン・ジャパン(株))、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株))、商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株))、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、およびN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが挙げられる。これらの中でもアラルダイトCY184、セロキサイド2021P、テクモアVG3101LまたはjER828を用いると、平坦性が特に良好なポリイミド膜が得られるため好ましい。
エポキシ化合物の具体例として、さらに下記式(I)〜(VI)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(I)、(V)および(VI)で表される化合物が、平坦性が特に良好なポリイミド膜が得られるため好ましい。
Figure 2013227405
前記式(V)中、Rf、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜30の有機基である。この炭素数1〜30の有機基としては、例えば、炭素数1〜30の炭化水素基が挙げられる。
前記式(VI)中、Rcは炭素数2〜100の有機基である。この炭素数2〜100の有機基としては、例えば、炭素数2〜100の炭化水素基、炭素数6〜40の芳香族基を含む基が挙げられる。
前記式(VI)中、Rdは独立に、炭素数1〜30の有機基である。この炭素数1〜30の有機基としては、例えば、炭素数1〜30の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基が挙げられ、環構造または酸素を含んでいてもよい炭素数1〜30の炭化水素基が好ましい。環構造としては、フェニル、シクロヘキシル、ナフチル、シクロヘキセニルおよびトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルなどが挙げられる。
前記式(VI)中、Reは独立に、オキセタン、オキシランまたは1,2−エポキシシクロヘキサンを有する有機基であり、好ましくは下記式(VII)〜(IX)からなる群より選ばれる有機基である。
Figure 2013227405
前記式(VII)中、Riは水素または炭素数1〜3のアルキルである。
前記式(VI)で表される化合物の好ましい例として、下記式(X)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013227405
前記エポキシ化合物は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク中にエポキシ化合物が含まれる場合、該インク中のエポキシ化合物の濃度は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。前記濃度範囲であると、得られるポリイミド膜の耐熱性、耐薬品性および平坦性が良好となる。
1.3−3.アクリル樹脂
前記アクリル樹脂は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基を有する単官能重合性(メタ)アクリレート;ヒドロキシル基を有しない単官能重合性(メタ)アクリレート;二官能(メタ)アクリレート;三官能以上の多官能(メタ)アクリレート;オキセタンまたはエポキシ(オキシラン)を分子内に含む単官能(メタ)アクリレート;オキセタンまたはエポキシ(オキシラン)を分子内に含む多官能(メタ)アクリレート等のモノマーの単独重合体、およびこれらモノマーの共重合体が挙げられる。また、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、ビニルトルエン、N−アクリロイルモルホリン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、ポリスチレンマクロモノマー、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびメサコン酸などの単量体が共重合されていてもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両者または一方を示す。
また、重合性を有する基の数が1つである場合を単官能、2つある場合を二官能と表現する。三官能や多官能の意味も、重合性基の数に基づく表現である。
前記ヒドロキシル基を有する単官能重合性(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では、形成されるポリイミド膜を柔軟にできる点から、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましい。
前記ヒドロキシル基を有しない重合性(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]およびシクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]が挙げられる。
オキセタンまたはエポキシ(オキシラン)を分子内に含む単官能(メタ)アクリレート、オキセタンまたはエポキシ(オキシラン)を分子内に含む多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテルが挙げられる。
前記二官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレートおよびトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、およびウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記アクリル樹脂は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク中にアクリル樹脂が含まれる場合、該インク中のアクリル樹脂の濃度は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。前記濃度範囲であると、耐熱性、耐薬品性および平坦性に優れるポリイミド膜が得られる。
1.3−4.界面活性剤
前記界面活性剤は、本発明のインクの塗布対象物(例えば支持体)への濡れ性、レベリング性または吐出性を向上させるために使用することができる。
界面活性剤としては、本発明のインクの吐出性を向上できる点から、例えば、商品名「BYK−300」、「BYK−306」、「BYK−335」、「BYK−310」、「BYK−341」、「BYK−344」、「BYK−370」(ビック・ケミー(株))等のシリコン系界面活性剤;商品名「BYK−354」、「BYK−358」、「BYK−361」(ビック・ケミー(株))等のアクリル系界面活性剤;商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株))等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
前記界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク中に界面活性剤が含まれる場合、該インク中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜1重量%である。
1.3−5.帯電防止剤
前記帯電防止剤は、本発明のインクの帯電を防止するために使用するものである。前記帯電防止剤としては、特に限定されず、公知の帯電防止剤を用いることができるが、具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩などが挙げられる。
前記帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク中に帯電防止剤が含まれる場合、該インク中の帯電防止剤の濃度は、好ましくは0.01〜1重量%である。
1.3−6.カップリング剤
前記カップリング剤としては、特に限定されず、公知のカップリング剤を用いることができ、シランカップリング剤を用いることが好ましい。シランカップリング剤の例としては、トリアルコキシシラン化合物およびジアルコキシシラン化合物が挙げられる。
トリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物としては、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中では、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシランおよびγ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
前記カップリング剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク中にカップリング剤が含まれる場合、該インク中のカップリング剤の濃度は、好ましくは0.01〜3重量%である。
1.3−7.エポキシ硬化剤
前記エポキシ硬化剤は、特に限定されず、公知のエポキシ硬化剤を用いることができ、具体的には、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾールおよびその誘導体、ジシアンジアミド類、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物などを用いることができる。
なお、多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシル基を2つ以上有する化合物のことをいう。
前記エポキシ硬化剤として、さらに具体的には、ジシアンジアミド等のジシアンジアミド類;アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等の有機酸ジヒドラジド化合物;2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;無水フタル酸、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物等の多価カルボン酸無水物;およびトリメリット酸等の多価カルボン酸などが挙げられる。これらの中では、トリメリット酸および1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
前記エポキシ硬化剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク中にエポキシ硬化剤が含まれる場合、該インク中のエポキシ硬化剤の濃度は、好ましくは0.2〜5重量%である。
1.4.インクの粘度
本発明のインクの、インクジェット塗布装置から吐出するときの温度(吐出温度)における粘度は、好ましくは1〜50mPa・s、より好ましくは5〜20mPa・s、さらに好ましくは8〜15mPa・sである。粘度が前記範囲内であると、吐出精度に優れるインクが得られる。粘度が50mPa・sより低いと、吐出不良が起こりにくい。
また、例えば、所定の温度で7日間保存した後のインクの粘度も前記範囲にあることが好ましい。インク調製時と7日間静置後のインクの粘度の変化は、15%以内にあることが好ましい。15%を超えると、吐出条件の変更が必要となることが多く、吐出不可能になる可能性がある。
インクの粘度は、用いる成分(A)に応じて、溶媒の種類や使用量を適宜選択することで調整することができる。
また常温(25℃)で吐出を行う場合も多いため、本発明のインクの25℃における粘度も、前記吐出温度における好ましい粘度の範囲と同様の範囲にあることが好ましい。
1.5.インクの表面張力
本発明のインクの表面張力は、好ましくは20〜70mN/m、より好ましくは20〜45mN/mである。表面張力が前記範囲内であると、吐出の際に所望の大きさ・形状の液滴を容易に形成でき、吐出性のよいインクが得られるため好ましい。
インクの表面張力は、用いる成分(A)に応じて、溶媒の種類や使用量を適宜選択すること、必要により界面活性剤を使用することで調整することができる。
2.ポリイミド膜
本発明のポリイミド膜は、前記本発明のインクから形成される。
前記ポリイミド膜は、耐熱性および電気絶縁性に優れ、電子部品の信頼性および歩留まりを向上させることができる。
2.1.ポリイミド膜の形成方法(製造方法)
前記ポリイミド膜は、好ましくは、本発明のインクをインクジェット法によって支持体上に塗布して塗膜を形成する工程(以下「塗膜形成工程」ともいう。)と、該塗膜を硬化する工程(以下「硬化工程」ともいう。)とを含む方法により、支持体全面にポリイミド膜を形成することができる。また、同様の方法で、所定のパターン状(たとえばライン状)のポリイミド膜を形成することもできる。本発明のインクをパターン状に吐出すると、パターン状のポリイミド膜を形成できる。本明細書では、特に言及のない限り、ポリイミド膜はパターン状のポリイミド膜を含むものとする。
2.1−1.塗膜形成工程
前記塗膜形成工程は、インクジェット塗布装置を用いたインクジェット法により行うことができる。
前記インクジェット法における吐出方法としては、例えば、圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型、連続噴射型および静電誘導型の吐出方法が挙げられ、好ましくは、圧電素子型の吐出方法である。
本発明のインクは、含まれる各成分を適正に選択することにより、様々な方法で吐出が可能であり、予め定められたパターン状に塗布することができる。
前記インクジェット塗布装置としては、インクジェットヘッドとインク収容部とが別体となった構成に限らず、それらが分離不能に一体になった構成であってもよい。また、インク収容部は、インクジェットヘッドに対して、分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるものでもよく、装置の固定部位に設けられてもよい。後者の場合、インク供給部材、例えば、チューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
また、インクジェットヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収容部に吸収体を配置した形態、または可撓性のインク収容袋と、これに対しその内容積を拡張する方向の力を作用させるバネ部とを有した形態などを採用することができる。
前記塗布装置は、シリアルプリンタであってもよく、塗布媒体の全幅に対応した範囲にわたって塗布素子を整列させてなるラインプリンタであってもよい。
本発明のインクを吐出する際の吐出温度は、用いるインクの粘度により適宜調整すればよいが、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは15〜40℃である。
前記支持体としては、例えば、FR−1、FR−3、FR−4、CEM−3またはE668等のプリント基板の各種規格に適合する、ガラスエポキシ支持体、ガラスコンポジット支持体、紙フェノール支持体、紙エポキシ支持体、グリーンエポキシ支持体およびBTレジン支持体が挙げられる。
さらに、例えば、銅、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、クロムまたはステンレス等の金属からなる支持体(これらの金属からなる層を表面に有する支持体であってもよい);酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコニウムのケイ酸塩(ジルコン)、酸化マグネシウム(マグネシア)、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、硫化カドミウム、硫化モリブデン、酸化ベリリウム(ベリリア)、酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)、酸化亜鉛、ムライト、フェライト、ステアタイト、ホルステライト、スピネルまたはスポジュメン等の無機物からなる支持体(これらの無機物からなる層を表面に有する支持体であってもよい);PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PCT(ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、熱可塑性エラストマーまたは液晶ポリマー等の樹脂からなる支持体(これらの樹脂からなる層を表面に有する支持体であってもよい);シリコン、ゲルマニウムまたはガリウム砒素等からなる半導体支持体(例シリコンウエハー);ガラス支持体;酸化スズ、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)またはATO(酸化アンチモンスズ)等の電極材料(配線)が表面に形成された支持体;αGEL(アルファゲル)、βGEL(ベータゲル)、θGEL(シータゲル)またはγGEL(ガンマゲル)(以上、(株)タイカの登録商標)等のゲルシートが挙げられる。
前記ポリイミド膜は、好ましくは上述したポリイミド樹脂からなる支持体、特にポリイミド樹脂からなるフィルム状の支持体、およびシリコンウエハー上に形成される。
前記塗膜形成工程では、本発明のインクをインクジェット法により支持体上に塗布した後、該インク付支持体をホットプレートまたはオーブン等を用いて加熱することによりインク中の溶媒を気化等させて除去し、乾燥させる工程を含むことが好ましい。この加熱条件は、インクに含まれる各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜150℃で、オーブンを用いる場合は5〜15分、ホットプレートを用いる場合は1〜5分である。
得られる塗膜の厚みは、所望の用途に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは、1〜20μmであり、より好ましくは1〜10μmである。
2.1−2.硬化工程
前記硬化工程では、塗膜形成工程で得られた塗膜を硬化させる。
この硬化工程は、塗膜を加熱処理することで行ってもよいし、前記成分(A)が、実質的にイミド化物(A2)のみからなる場合には、加熱処理に限定されず、紫外線、イオンビーム、電子線またはガンマ線などを照射することで行ってもよい。
前記加熱処理は、耐熱性、耐薬品性、平坦性に優れ、さらには十分な機械的強度を有するポリイミド膜を得るために、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃で、オーブンを用いる場合は30〜90分間、ホットプレートを用いる場合は5〜30分間行う。
このようにして得られたポリイミド膜の厚みは、所望の用途に応じて適宜調整すればよいが、通常2μm以上であり、好ましくは2〜5μmである。本発明のインクは、成分(A)を高濃度で含むことが可能なため、従来のインクより膜厚の厚いポリイミド膜を容易に形成することができる。
このように本発明のインクによれば、1回の吐出で厚いポリイミド膜を得ることができる。このため、例えば10μm程度の厚いポリイミド膜を形成する場合には、従来のインクジェットインクよりも、重ね塗りの回数を減らすことができ、ポリイミド膜の製造工程を短縮することができる。
3.電子材料用基板
本発明の電子材料用基板は、上述のポリイミド膜を有する。本発明の電子材料用基板としては、フィルム基板、半導体ウェハ基板などが挙げられる。
前記フィルム基板としては、例えば、インクジェット法などにより予め配線が形成されたポリイミドフィルムなどのフィルム状の支持体上に、本発明のインクをインクジェット法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布して塗膜を形成し、その後、当該塗膜を乾燥・加熱することによって、得られる基板が挙げられる。
4.電子部品
本発明の電子部品は、上述の基板を有する。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いる、反応原料および溶媒の名称を略号で示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
テトラカルボン酸無水物
・BSAA:4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物
・6FDA:2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物
・BPDA−H:3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物
ジアミン
・BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
・HFBAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン
・DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
・IPDA:イソホロンジアミン
・P−1074:プリアミン1074(商品名、クローダジャパン(株)製)
・BAPEE:ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル
ジカルボン酸無水物
・MA:無水マレイン酸
・TESA:トリエトキシシリルプロピルこはく酸無水物
モノアミン
・APSE:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
溶媒
・DMSO:ジメチルスルホキシド
・EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
・MTM:トリエチレングリコールジメチルエーテル
・GBL:γ−ブチロラクトン
・BC:ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)
実施例および比較例で用いた評価方法を以下に示す。
〔評価方法〕
(1)重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定した。得られたインクとN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とを混合することでポリアミド酸の濃度が約1重量%である溶液を調製した。その後、この溶液を用いて、カラムとして、東ソー(株)製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLを、この順で直列に結合したものを用い、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で、DMFを展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。
(2)粘度(mPa・s)
インクの粘度は、25℃にて、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC EHD)を用いて測定した。
(3)表面張力(mN/m)
インクの表面張力は、DM500(協和界面科学(株)製)で測定した。25℃に設定した恒温槽を用意し、25℃の雰囲気中ペンダントドロップ式にてインクの表面張力を測定した。少なくとも5回測定し、平均値を表面張力として算出した。
(4)低温保存安定性
インクの低温保存安定性を評価した。インクを−20℃の冷凍庫に入れ、7日経過後の状態を観察して、溶媒の凍結および不溶物の生成が確認されず、低温保存してもインクが安定しているものに対して、○と評価した。
(5)成分の析出状態
インクの状態を目視により評価した。不純物などが析出しないインクを○とした。
[実施例1]
100mLの反応容器中に攪拌子を入れて、以下に示すとおりに原料を仕込み、室温で4時間攪拌後、淡黄色なポリアミド酸の25重量%溶液(以下「インクA−1」ともいう。)を得た。
・BPDA−H:0.8243g
・BAPP:3.3140g
・BAPEE:1.7785g
・MA:1.5832g
・DMSO:6.750g
・EDM:15.750g
得られたポリアミド酸の重量平均分子量Mwは3727であり、粘度は8.20mPa・sであり、表面張力は29.3mN/mであった。低温保存の安定性は、溶媒が凍結したり不溶物が生成することなく安定であり、○であった。また、インクは、不純物などが析出せず、成分の析出状態は、○であった。
[実施例2]
100mLの反応容器中に攪拌子を入れて、以下に示すとおりに原料を仕込み、室温で4時間攪拌後、淡黄色なポリアミド酸の22重量%溶液(以下「インクB−1」ともいう。)を得た。
・BSAA:2.5294g
・HFBAPP:1.3437g
・P−1074:2.0916g
・MA:0.6354g
・DMSO:5.850g
・EDM:17.550g
得られたポリアミド酸の重量平均分子量は5182であり、粘度は12.69mPa・sであり、表面張力は28.5mN/mであった。
低温保存の安定性は、溶媒が凍結したり不溶物が生成することなく安定であり、○であった。また、インクは、不純物などが析出せず、成分の析出状態は、○であった。
[実施例3〜6]
表1に示す原料を使用したこと以外は、実施例1と同じ条件でインクを得た。それぞれのインク(A−2〜A−5)の評価結果を表2に示す。
[実施例7〜9]
表1に示す原料を使用したこと以外は、実施例2と同じ条件でインクを得た。それぞれのインク(B−2〜B−4)の評価結果を表2に示す。
[実施例10]
100mLの反応容器中に攪拌子を入れて、以下に示すとおりに原料を仕込み、室温で4時間攪拌後、淡黄色なポリアミド酸の25重量%溶液(以下「インクC−1」ともいう。)を得た。
・6FDA:0.9220g
・IPDA:0.7776g
・P−1074:2.0098g
・TESA:3.7906g
・DMSO:6.750g
・EDM:15.750g
得られたポリアミド酸の粘度は7.65mPa・sであり、表面張力は29.0mN/mであった。
低温保存の安定性は、溶媒が凍結したり不溶物が生成することなく安定であり、○であった。また、インクは、不純物などが析出せず、成分の析出状態は、○であった。
[実施例11〜14]
表1に示す原料を使用したこと以外は、実施例10と同じ条件でインクを得た。それぞれのインク(C−2〜C−5)の評価結果を表2に示す。
[実施例15]
100mLの反応容器中に攪拌子を入れて、以下に示すとおりに原料を仕込み、室温で4時間攪拌後、淡黄色なポリアミド酸の25重量%溶液(以下「インクD−1」ともいう。)を得た。
・6FDA:3.8704g
・DDS:0.4327g
・P−1074:0.6250g
・APSE:2.5719g
・DMSO:6.750g
・EDM:15.750g
得られたポリアミド酸の重量平均分子量は4895であり、粘度は9.41mPa・sであり、表面張力は27.8mN/mであった。
低温保存の安定性は、溶媒が凍結したり不溶物が生成することなく安定であり、○であった。また、インクは、不純物などが析出せず、成分の析出状態は、○であった。
[実施例16〜19]
表1に示す原料を使用したこと以外は、実施例15と同じ条件でインクを得た。それぞれのインク(D−2〜D−5)の評価結果を表2に示す。
[比較例1〜5]
表1に示す原料を使用したこと以外は、実施例1と同じ条件でインクを得た。それぞれのインク(A’−1〜A’−5)の評価結果を表2に示す。なお、インクA’−2およびA’−5では、原料を仕込んだ後、室温16時間攪拌したが、不溶物が生成して均一な溶液は得られなかった。
[比較例6〜9]
表1に示す原料を使用したこと以外は、実施例2と同じ条件でインクを得た。それぞれのインク(B’−1〜B’−4)の評価結果を表2に示す。なお、インクB’−3およびB’−4では、原料を仕込んだ後、室温16時間攪拌したが、不溶物が生成して均一な溶液は得られなかった。
Figure 2013227405
Figure 2013227405
Figure 2013227405
Figure 2013227405
Figure 2013227405
Figure 2013227405
[実施例20]
100mLの反応容器中に攪拌子を入れて、以下に示すとおりに原料を仕込み、室温で4時間攪拌後、淡黄色なポリアミド酸の25重量%溶液(以下「インクE−1」ともいう。)を得た。
・BPDA−H:0.8243g
・BAPP:3.3140g
・BAPEE:1.7785g
・MA:1.5832g
・DMSO:4.50g
・GBL:18.00g
得られたポリアミド酸の重量平均分子量Mwは3608であり、粘度は11.28mPa・sであり、表面張力は44.4mN/mであった。低温保存の安定性は、溶媒が凍結したり不溶物が生成することなく安定であり、○であった。また、インクは、不純物などが析出せず、成分の析出状態は、○であった。
[実施例21〜31]
表3に示す原料を使用したこと以外は、実施例20と同じ条件でインクを得た。それぞれのインク(E−2およびE−3、F−1〜F−3、G−1〜G−3およびH−1〜H−3)の評価結果を表4に示す。
Figure 2013227405
Figure 2013227405
上記の実施例および比較例の結果から明らかなように、実施例のインクは、溶媒が凍結したり不溶物が生成することなく安定であった。
一方、比較例のインクでは、低温保存安定性の評価でインクの一部が凍結したり、あるいは不溶物が生成して均一な溶液は得られないなど問題を有した。
[実施例32]
インクA−1を、FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP-2831を用いて、10pLインクジェットヘッド(FUJIFILM Dimatix社製DMC―11610)、吐出電圧(ピエゾ電圧)20V、ヘッド温度30℃、駆動周波数、10kHzの吐出条件で吐出の様子を確認したところ、16個並列して並んだすべてのノズルからインクが吐出した。ノズルからの吐出の様子は、前記インクジェット塗布装置に内蔵されたカメラで観察した。
次いで、1分間の吐出停止後に再吐出したところ、16ノズルすべてで詰まりなどの発生なく吐出可能であった。さらに、それぞれ5分間、10分間の吐出停止後に再吐出した場合も同様であり、インクジェットインクとして良好な吐出性を示すことを確認した。
前記吐出条件で0.8mm厚のガラス基板上にパターン塗布(長さ5cmのライン、150μm間隔)を行った。なお、塗布回数は2回とした。
インクを塗布後、得られたインク付基板を80℃のホットプレート上に置き、該インクを5分間乾燥させた。その後、乾燥後のインク付基板を230℃のオーブンで30分間加熱して、ライン状のポリイミド膜を得た。
上記の実施例の結果から明らかなように、本発明のインクジェットインクは吐出性に優れ、所望のパターン状のポリイミド膜を容易に形成することができる。
本発明のインクは、例えば、プリント配線基板用絶縁膜および半導体素子用絶縁膜、さらに、電子部品形成用材料として好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 下記式(1a)で表される構成単位を有し、かつ、下記式(1b)および(1c)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の分子末端基を有する化合物(1)、ならびに下記式(2)〜(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸誘導体、またはそのイミド化物を含む成分(A)と、溶媒(B)と、溶媒(C)を含み、
    溶媒(B)がジメチルスルホキシドであり、
    溶媒(C)がジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびγ−ブチロラクトンより選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
    溶媒(B)および溶媒(C)の合計100重量%に対して、溶媒(B)が10〜30重量%で含まれる、インクジェットインク。
    Figure 2013227405
    [式(1a)および(3)中、Xはそれぞれ独立に炭素または炭素数2〜100の有機基であり、
    式(1a)、(2)および(5)中、Yはそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、
    式(4)中、Zは炭素数1〜100の有機基であり、
    式(1b)、(2)および(4)中、X’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、
    式(1c)、(3)および(5)中、Y’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基である。]
  2. 前記化合物(1)が、下記式(1−1)〜(1−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載のインクジェットインク。
    Figure 2013227405
    [式(1−1)〜(1−3)中、Xはそれぞれ独立に炭素または炭素数2〜100の有機基であり、
    式(1−1)〜(1−3)中、Yはそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、
    式(1−1)および(1−2)中、X’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、
    式(1−2)および(1−3)中、Y’はそれぞれ独立に炭素数1〜100の有機基であり、
    式(1−1)〜(1−3)中、kはそれぞれ独立に1〜8の整数である。]
  3. 前記式(1b)、(2)、(4)、(1−1)および(1−2)におけるX’が、それぞれ独立に不飽和炭化水素基を有する炭素数2〜100の有機基または下記式(α)で表される有機基であり、
    前記式(1c)、(3)、(5)、(1−2)および(1−3)におけるY’が、それぞれ独立に不飽和炭化水素基を有する炭素数2〜100の有機基または下記式(β)で表される有機基である、請求項1または2に記載のインクジェットインク。
    Figure 2013227405
    [式(α)および(β)中、Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、式(α)中、R’は炭素数1〜20の有機基であり、式(β)中、R”は炭素数1〜20の有機基である。]
  4. さらに、溶媒(B)および溶媒(C)以外の、溶媒(D)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  5. 前記成分(A)が、インクジェットインク100重量%に対して5〜95重量%の量で含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて形成されたポリイミド膜。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインクを、インクジェット法によって支持体上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜を硬化してポリイミド膜を形成する工程とを含むポリイミド膜の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により形成されたポリイミド膜。
  9. パターン状である請求項6または8に記載のポリイミド膜。
  10. 請求項6、8または9に記載のポリイミド膜を有する、電子材料用基板。
  11. 請求項10に記載の電子材料用基板を有する電子部品。
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