JP5942348B2 - 熱硬化性インクジェット用インクおよびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は熱硬化性インクジェット用インクおよびその用途に関し、例えば、電子部品製作において絶縁膜を形成するためのインク、前記インクの塗布方法、前記インクを用いて形成されるポリイミド膜およびその製造方法、ならびに前記ポリイミド膜を有するフィルム基板等、前記フィルム基板等を有する電子部品に関する。
ポリイミドは、耐熱性および電気絶縁性に優れるため、電子通信分野で広く用いられている材料である。ポリイミドを所望のパターン膜として使用する場合、従来はエッチングや感光性ポリイミドを用いてパターンを形成することが一般的であった。しかしながら、パターンの形成にはフォトレジスト、現像液、エッチング液、剥離液などの多種大量の薬液を必要とし、また、煩雑な工程を必要とした。そこで近年、インクジェットにより所望のポリイミドのパターン膜を形成する方法が検討されている。
インクジェット用インクは各種提案されているが、インクジェット用インクとして吐出・印刷するためには、通常、インクの粘度、溶媒の種類・沸点などの様々なパラメータが最適化される。
ポリイミド系のインクジェット用インクは、ポリアミド酸が比較的高分子であるため、インクジェット用インクとして最適な粘度のインクを調製するためには、溶媒の割合を増やしてインク中のポリアミド酸の含有量を少なくする必要がある。しかしながら、これによって、1回のインクジェッティングで得られる塗膜の膜厚が小さくなってしまうという問題がある。
上記問題に対して、例えば、ポリアミド酸の重量平均分子量を10,000〜50,000に制御することによりインクの低粘度化を図り、ポリアミド酸の含有量を大きくすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ポリマー濃度は15〜20質量%程度と依然として小さい。
一方、ポリイミド前駆体溶液の低粘度化および高濃度化の提案がなされている(例えば、特許文献2〜3参照)。しかしながら、これらの文献ではインクジェット印刷については検討されていない。
また、熱架橋剤に関しては、熱架橋剤と前記熱架橋剤に対して反応可能な基を有する重量平均分子量300〜9,000のポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールとを含有するインクジェット用熱硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、前記組成物は熱架橋剤を必須とするため、保存安定性や熱硬化時の残存未反応物などが問題となる。
その他、ポリマーの重量平均分子量が制御されたインクジェット用組成物に関しても、各種提案されている(例えば、特許文献5〜7参照)。しかしながら、何れの文献で使用されているポリマーも、重量平均分子量が非常に幅広い範囲で規定されており、溶解性に問題のある可溶性ポリイミドなどであった。
一方、末端に熱硬化可能な官能基を有するイミド化合物が開示されているが(例えば、特許文献8参照)、これについても、インクジェット用インクとしての使用が想定されておらず、インクジェット用インクとして必要な粘度や溶媒の最適化については何ら検討されていない。
上記の諸問題を解決するために、ポリアミド酸の末端に分子架橋基を反応させ、分子量の制御を行い、低粘度・高濃度のインクジェット用インクが提案されているが(例えば特許文献9参照)、熱的・機械的特性が従来のポリイミドに比べ不充分であった。
特開2005−187596号公報 特開昭59−164328号公報 特開2000−265058号公報 特開2007−314647号公報 特開2000−101206号公報 特開2007−297480号公報 特開2006−124650号公報 特開昭62−029584号公報 特開2009−035700号公報
本発明の課題は、熱的・電気的・機械的特性が良好なポリイミド膜を形成できるとともに、1回のジェッティングで比較的厚い膜厚(例:1μm以上)を有するポリイミド膜を形成できる熱硬化性インクジェット用インクを提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、下記構成の熱硬化性インクジェット用インクを用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を有する。
[1] (A)一般式(1)で表される化合物(以下「化合物(A)」ともいう。)と、(B)一般式(2)で表される化合物(以下「化合物(B)」ともいう。)とを含むインクであり、前記インク中に含まれる、化合物(A)の−COOR2および−COOR3の組の合計モル数をα、化合物(B)の−NH−R5の合計モル数をβとしたときに、αおよびβが式(I):0.75<α/β<1.33を満たす、熱硬化性インクジェット用インク。
Figure 0005942348
[式(1)中、nは1以上の整数であり、n=1のとき、R1は炭素数2〜10の二価の有機基であり、n=2のとき、R1は炭素数4〜40の四価の有機基であり、n=3のとき、R1は炭素数6〜60の六価の有機基であり、n≧4の整数のとき、R1は炭素数2n〜30nの2×n価の有機基であり、R2は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数6〜12の芳香族基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R3は水素またはトリメチルシリルであり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。]
Figure 0005942348
[式(2)中、R4は一般式(3)または(4)で表される基であり、R5は水素または炭素数1〜100の一価の脱離可能な有機基であり、R5’は−NH−R5または−NH−CO−R6−COOH(R6は炭素数2〜98の二価の有機基である)で表される基である。]
Figure 0005942348
[式(3)および(4)中、R7は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R8は炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、mは0〜1000の整数である。]
[2] (B’)一般式(5)〜(9)で表される化合物から選択される少なくとも1種をさらに含むインクである前記[1]項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
Figure 0005942348
[式(5)中、複数あるR6はそれぞれ独立に炭素数2〜98の二価の有機基であり、R7は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R8は炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、nは0〜1000の整数である。]
Figure 0005942348
[式(6)および(7)中、複数あるR6はそれぞれ独立に炭素数2〜98の二価の有機基であり、R7は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R8は炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、nは1〜1000の整数であり、mは0〜1000の整数である。]
Figure 0005942348
[式(8)および(9)中、R6は炭素数2〜98の二価の有機基であり、R9は炭素数2〜100の一価の有機基である。]
[3] 前記式(1)中、nが2であり、R1が炭素数4〜40の四価の有機基であり、前記式(2)中、R5が水素である、前記[1]項または[2]項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
[4] 前記式(1)中のR1がテトラカルボン酸二無水物の残基であり、前記式(3)〜(4)中のR8がテトラカルボン酸二無水物の残基である、前記[3]項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
[5] 溶媒(C)をさらに含む、前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
[6] 溶媒(C)が、乳酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる1種以上を含有する溶媒である、前記[5]項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
[7] エポキシ樹脂をさらに含む、前記[1]〜[6]の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
[8] エポキシ樹脂が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび式(D1)〜(D5)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物である、前記[7]項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
Figure 0005942348
[式(D4)および(D5)中、nは0〜20の整数である。]
[9] 界面活性剤を0.00001質量%以上、1.0質量%以下の範囲でさらに含む、前記[1]〜[8]の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
[10] トリスアルケニル置換ナジイミド化合物およびテトラアルケニル置換ナジイミド化合物から選ばれる少なくとも1種のアルケニル置換ナジイミド化合物をさらに含む、前記[1]〜[9]の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
[11] 顔料をさらに含む、前記[1]〜[10]の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
[12] 前記[1]〜[11]の何れか一項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および前記塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程を有する、インクの塗布方法。
[13] 基板を表面処理する工程、前記表面処理がなされた基板上に、前記[1]〜[11]の何れか一項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および前記塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程を有する、インクの塗布方法。
[14] 前記[12]項または[13]項に記載のインクの塗布方法を用いる、ポリイミド膜の製造方法。
[15] 前記[14]項に記載の製造方法により形成されたポリイミド膜。
[16] 前記[14]項に記載の製造方法により形成されたポリイミド膜を有する、フィルム基板、半導体ウェハまたは電子材料用基板。
[17] 前記[16]項に記載のフィルム基板、半導体ウェハまたは電子材料用基板を有する電子部品。
以下、本明細書中の語句について説明する。
「一価の有機基」としては、例えば、炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいシリル、置換基を有していてもよいアルキルチオ(−SY1;式中、Y1は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ(−SY2;式中、Y2は置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル(−SO23;式中、Y3は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル(−SO24;式中、Y4は置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)が挙げられる。
炭化水素基は、飽和または不飽和の非環式であってもよいし、飽和または不飽和の環式であってもよい。炭化水素が非環式の場合には、直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニル、炭素数4〜20のアルキルジエニル、炭素数6〜18のアリール、炭素数7〜20のアルキルアリール、炭素数7〜20のアリールアルキル、炭素数4〜20のシクロアルキル、炭素数4〜20のシクロアルケニルが挙げられる。
炭素数1〜20のアルキルは、炭素数1〜10のアルキルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキルであることがより好ましい。前記アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニルが挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニルは、炭素数2〜10のアルケニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルケニルであることがより好ましい。前記アルケニルとしては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニルが挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニルは、炭素数2〜10のアルキニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキニルであることがより好ましい。前記アルキニルとしては、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニルが挙げられる。
炭素数4〜20のアルキルジエニルは、炭素数4〜10のアルキルジエニルであることが好ましく、炭素数4〜6のアルキルジエニルであることがより好ましい。前記アルキルジエニルとしては、例えば、1,3−ブタジエニルが挙げられる。
炭素数6〜18のアリールは、炭素数6〜10のアリールであることが好ましい。前記アリールとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルが挙げられる。
炭素数7〜20のアルキルアリールは、炭素数7〜12のアルキルアリールであることが好ましい。前記アルキルアリールとしては、例えば、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチルが挙げられる。
炭素数7〜20のアリールアルキルは、炭素数7〜12のアリールアルキルであることが好ましい。前記アリールアルキルとしては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチルが挙げられる。
炭素数4〜20のシクロアルキルは、炭素数4〜10のシクロアルキルであることが好ましい。前記シクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
炭素数4〜20のシクロアルケニルは、炭素数4〜10のシクロアルケニルであることが好ましい。前記シクロアルケニルとしては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルが挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシとしては、炭素数1〜10のアルコキシであることが好ましく、炭素数2〜6のアルコキシであることがより好ましい。前記アルコキシとしては、例えば、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシが挙げられる。
炭素数6〜20のアリールオキシは、炭素数6〜10のアリールオキシであることが好ましい。前記アリールオキシとしては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシが挙げられる。
「アルキルチオ(−SY1;式中、Y1は置換を有してもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)」および「アルキルスルホニル(−SO23;式中、Y3は置換を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを示す。)」において、Y1およびY3は、炭素数2〜10のアルキルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキルであることがより好ましい。前記アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニルが挙げられる。
「アリールチオ(−SY2;Y2は置換を有してもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)」および「アリールスルホニル(−SO24;式中、Y4は置換を有してもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)」において、Y2およびY4は、炭素数6〜10のアリールであることが好ましい。前記アリールとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルが挙げられる。
「炭素数1〜20の炭化水素基」、「炭素数1〜20のアルコキシ」、「炭素数6〜20のアリールオキシ」、「アミノ」、「シリル」、「アルキルチオ」、「アリールチオ」、「アルキルスルホニル」、「アリールスルホニル」には、置換基が導入されていてもよい。前記置換基としては、例えば、エステル、カルボキシル、アミド、アルキン、トリメチルシリル、アミノ、ホスホニル、チオ、カルボニル、ニトロ、スルホ、イミノ、ハロゲノ、アルコキシが挙げられる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
「置換基を有してもよいアミノ」としては、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノが挙げられる。
「置換基を有していてもよいシリル」としては、例えば、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニルが挙げられる。
以上、一価の有機基の具体例を例示した。本明細書中、二価の有機基の具体例としては、上述の一価の有機基においてさらに価数を1つ増やした基が挙げられる。同様に、本明細書中、四価および六価の有機基の具体例としては、上述の一価の有機基においてさらに価数を3つおよび5つ増やした基が挙げられる。
本明細書中、「炭素数2〜100の二価の有機基」または「炭素数2〜98の二価の有機基」の炭素数は、2〜50が好ましく、2〜40がより好ましい。また、本明細書中、「炭素数2〜100の四価の有機基」の炭素数は、2〜30が好ましい。
架橋性を持つ有機基、すなわち架橋性基を有する有機基における架橋性基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アルコキシシリル、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルケニレン、アクリル、メタクリルが挙げられる。
「ハロゲン」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
以下の「発明を実施するための形態」の説明において、個別に有機基などの説明をしない限り、上述の有機基などの説明を援用する。
本発明によれば、熱的・電気的・機械的特性が良好なポリイミド膜を形成できるとともに、1回のジェッティングで比較的厚い膜厚(例;1μm以上)を有するポリイミド膜を形成できる熱硬化性インクジェット用インクを提供することができる。
以下、本発明の熱硬化性インクジェット用インク、インクの塗布方法、ポリイミド膜の製造方法、ポリイミド膜、フィルム基板、半導体ウェハおよび電子材料用基板、ならびに電子部品について、好適態様も含めて詳細に説明する。
1 熱硬化性インクジェット用インク
本発明の熱硬化性インクジェット用インクは、(A)一般式(1)で表される化合物(以下「化合物(A)」ともいう。)と、(B)一般式(2)で表される化合物(以下「化合物(B)」ともいう。)とを含み、化合物(A)および化合物(B)の含有比率が特定範囲にあることを特徴とする。前記インクは、有色または無色の何れであっても構わない。
1.1 化合物(A)
化合物(A)は、一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0005942348
式(1)中、nは1以上の整数である。
n=1のとき、R1は炭素数2〜10の二価の有機基である。
n=2のとき、R1は炭素数4〜40の四価の有機基であり、焼成によってポリイミドを形成するといった観点から、後述するテトラカルボン酸二無水物の残基であることが好ましい。
n=3のとき、R1は炭素数6〜60の六価の有機基である。
n≧4の整数のとき、R1は炭素数2n〜30nの2×n価の有機基であり、好ましくは炭素数2n〜10nの2×n価の有機基であり、焼成によってポリイミドを形成するといった観点から、後述する酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体の残基であることが好ましい。
焼成によって形成されたポリイミドの耐熱性といった観点から、nは1または2が好ましく、2がより好ましい。
2は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数6〜12の芳香族基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R3は水素またはトリメチルシリルであり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。
アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ノニル、デカニルが挙げられる。アルキルの炭素数は、通常1〜10、好ましくは1〜4である。
芳香族基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニル、置換基を有してもよいナフチルが挙げられる。前記置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシル、ヒドロキシルが挙げられる。芳香族基の炭素数は、通常6〜12、好ましくは6〜10である。
化合物(A)はポリアミド酸およびポリイミドに比べて溶媒(C)への溶解性が高く、本発明のインクにおいて化合物(A)を高濃度化することができる。また、化合物(A)を用いる場合、モノマー型のアミド酸のみを用いる場合に比べて、熱的・機械的性質が高いポリイミド膜が得られる。
化合物(A)(但し、R3=水素)は、例えば、酸無水物基を1つ以上有する化合物(a1)と、アルコール(a2)およびフェノール類(a3)から選択される少なくとも1種とを反応させることにより得ることができる。前記化合物(a1)の酸無水物基数は、化合物(A)のnの値に対応する。
化合物(A)(但し、R3=水素)の市販品としては、例えば、製品名SMA17352、SMA2625(サートマー社製)が挙げられる。
化合物(a1)としては、例えば、酸無水物基を1つ有する化合物(a11)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a12)が挙げられる。前記化合物(a11)および化合物(a12)の具体例および好ましい例としては、本明細書の[発明を実施するための形態]欄で後述する酸無水物基を1つ有する化合物および酸無水物基を2つ以上有する化合物が挙げられる。
化合物(A)(但し、R3=トリメチルシリル)は、例えば、化合物(A)(但し、R3=水素)と、ヘキサメチレンジシラザンとを反応させることにより得ることができる。
アルコール(a2)は、R2−OH(R2は式(1)中のR2の炭素数1〜10のアルキルと同義である)で表される。アルコール(a2)としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ペンタノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノールが挙げられる。これらの中でも、沸点が200℃以下のアルコールである、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ペンタノール、ヘプタノール、ノナノールが好ましい。
フェノール類(a3)は、R2−OH(R2は式(1)中のR2の炭素数6〜12の芳香族基と同義である)で表される。フェノール類(a3)としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、サリチル酸、1−ナフトール、2−ナフトール、カテコールが挙げられる。これらの中でも、沸点が200℃以下のフェノール類である、フェノール、o−クレゾールが好ましい。
〈化合物(A)の合成条件〉
化合物(A)の合成は、例えば、酸無水物基を1つ以上有する化合物(a1)に対してモル比にして過剰量のアルコール(a2)および/または過剰量のフェノール類(a3)中で、当該混合液を攪拌あるいは還流させることで進めることができる。ここで、反応温度は通常0〜100℃、好ましくは20〜90℃であり、反応時間は通常0.1〜100時間であり、好ましくは0.2〜20時間であり、より好ましくは0.5〜15時間であり、反応圧力は例えば常圧下である。その後、過剰に加えたアルコール(a2)および/またはフェノール類(a3)を減圧除去して、化合物(A)を得ることができる。
上記合成において、反応溶媒としては、アルコール(a2)および/またはフェノール類(a3)を用いることができ、必要に応じてその他の反応溶媒を用いてもよい。
その他の反応溶媒としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、アニソール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンが挙げられる。
これらの中でも、アルコール(a2)、フェノール類(a3)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテルから選択される少なくとも1種を用いると、反応後に当該反応溶媒をそのままインクジェット用溶媒として用いても、インクジェットヘッドへのダメージが少ないインクとすることができるので好ましい。
反応溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じて、上記反応溶媒以外の他の溶媒を上記反応溶媒と混合して用いることもできる。
反応溶媒としてアルコール(a2)および/またはフェノール類(a3)を用いる場合、反応を効率よく進めるという観点から、酸無水物基を1つ以上有する化合物(a1)100質量部に対して、当該反応溶媒は200質量部以上用いることが好ましく、1000質量部以上用いることが好ましい。当該反応溶媒の使用量の上限は特に制限されず、例えば酸無水物基を1つ以上有する化合物(a1)100質量部に対して10000質量部程度である。
反応原料の反応系への添加順序は特に限定されない。すなわち、化合物(a1)とアルコール(a2)および/またはフェノール類(a3)とを同時に混合する方法、前記成分を同時にその他の反応溶媒に添加する方法、アルコール(a2)および/またはフェノール類(a3)をその他の反応溶媒中に溶解させた後に化合物(a1)を添加する方法、化合物(a1)をその他の反応溶媒中に溶解させ、さらにアルコール(a2)および/またはフェノール類(a3)を添加する方法など、何れの方法も用いることができる。
〈化合物(A)および化合物(B)の含有量〉
本発明の熱硬化性インクジェット用インク中に含まれる、化合物(A)の−COOR2および−COOR3の組の合計モル数をα、化合物(B)の−NH−R5の合計モル数をβとする。本発明の熱硬化性インクジェット用インクにおいて、化合物(A)および化合物(B)は以下の条件を満たすように含まれる。すなわちα/βは0.75を超えて1.33未満であり、好ましくは0.9以上1.11以下である。ここで、化合物(A)において、前記組の合計モル数は、−COOR2および−COOR3を1組とし、この1組を1つとして数える。また、化合物(B)において、合計モル数は、1分子中に−NH−R5を2つ有する場合、2つとして数える。
α/βが前記範囲にあると、焼成時の未反応の化合物(A)および化合物(B)の量が少なく、焼成後の膜の特性が良好であるといった観点から好ましい。上記各基は、それらが反応してイミド基となり得る。
1.2 化合物(B)
化合物(B)は、一般式(2)で表される化合物である。本発明では、化合物(B)と化合物(A)との脱水反応により、強固なポリイミド膜が形成される。
Figure 0005942348
式(2)中、R4は一般式(3)または(4)で表される基であり、一般式(2)において、一般式(3)で表される基を用いる場合、アミド系溶媒だけでなく、インクジェットヘッドに対するダメージが少ないラクトン系、グリコール系の溶媒が使用できることから好ましい。R5’は−NH−R5または−NH−CO−R6−COOHで表される基である。R5は水素または炭素数1〜100の一価の脱離可能な有機基(以下「脱離基」ともいう。)であり、脱離基があると脱離のための反応が必要となるといった観点から、水素であることが好ましい。R6は炭素数2〜98の二価の有機基であり、架橋性を持つ有機基であることが好ましい。
化合物(B)としては、R6が架橋基を持つ有機基である化合物を合計で、化合物(B’)全体に対して50モル%以上用いることが好ましく、75モル%以上用いることがより好ましい。
脱離基としては、例えば、t−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基が挙げられる。脱離基は、化合物(B)の分子末端の保護基として働く。脱離基の炭素数は、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜15である。
Figure 0005942348
式(3)および(4)中、R7は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。R8は炭素数2〜100の四価の有機基であり、焼成によってポリイミドを形成するといった観点から、後述するテトラカルボン酸二無水物の残基であることが好ましく、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。mは0〜1000の整数であり、好ましくは0〜800の整数であり、より好ましくは0〜650の整数である。
化合物(B)は、R5が脱離基の場合、当該有機基が脱離し、化合物(B)は一級アミンとなり、化合物(A)と脱水反応してポリアミド酸を形成し、したがって強固なポリイミド膜が得られる。
化合物(B)としては、例えば、ジアミン(b1)、ジアミン(b1)のアミノを脱離基で保護してなる化合物、ジアミン(b1)と酸無水物基を1つ有する化合物(b3)との反応物(アミド酸)、ジアミン(b1)と酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)との反応物(ポリアミド酸またはそのイミド化物)、ジアミン(b1)と酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)と酸無水物基を1つ有する化合物(b3)との反応物(ポリアミド酸またはそのイミド化物)、前記反応物のアミノを脱離基で保護してなる化合物が挙げられる。
ジアミン(b1)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)および酸無水物基を1つ有する化合物(b3)の具体例および好ましい例としては、本明細書の[発明を実施するための形態]欄で後述するジアミンおよび酸無水物基を2つ以上有する化合物が挙げられる。
〈化合物(B)の重量平均分子量〉
化合物(B)のうちポリアミド酸およびそのイミド化合物の重量平均分子量(Mw)は、通常900〜7,500、好ましくは900〜3,500、より好ましくは900〜2,500である。Mwが前記下限値以上の化合物(B)は、加熱処理によってポリイミド膜を形成する工程において、蒸発することがなく、化学的・機械的に安定である。Mwが前記上限値以下の化合物(B)は、溶媒(C)に対する溶解性が良好であり、インクを低粘度化することができるので、得られるポリイミド膜の膜厚を大きくすることが可能である。Mwの測定条件は、実施例に記載のとおりである。
〈化合物(B)の合成条件〉
化合物(B)の合成条件の一例について説明する。化合物(B)は、例えば、ジアミン(b1)と酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)とを反応させる方法で得ることができる。また、必要に応じて、酸無水物基を1つ以上有する化合物(b3)を反応させてもよい。また、必要に応じて、分子末端のアミノを脱離基で保護してもよい。
反応温度は通常0〜100℃、好ましくは4〜80℃であり、反応時間は通常0.2〜20時間、好ましくは0.5〜10時間であり、反応圧力は例えば常圧下である。
化合物(B)のうちR4が一般式(4)で表される化合物は、例えば、化合物(B)のうちR4が一般式(3)で表される化合物をイミド化することにより得ることができる。
イミド化は、熱的方法あるいは脱水触媒および脱水剤を用いた化学的方法により、進めることができる。好ましくは、精製処理を行なわないでインクの成分として使用できる熱的方法によりイミド化を進めることである。さらに好ましくは、化合物(B)のうちR4が一般式(3)で表される化合物を反応溶媒中で合成した後、還流してイミド化することである。還流の条件は、使用する反応溶媒により異なるが、好ましくは140〜230℃で1.5〜10時間である。還流温度が140℃以上であるとイミド化が充分に進み強固な膜を得ることができる。還流温度が230℃以下であると比較的沸点の高い溶媒を用いても還流可能である。
化合物(B)を合成する際に用いることのできるジアミン(b1)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)、酸無水物基を1つ有する化合物(b3)は、それぞれ1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
化合物(B)を合成する際に用いることのできる反応溶媒としては、例えば、化合物(A)の合成に用いることのできる上述のその他の反応溶媒が挙げられ、好ましい反応溶媒も同様である。
反応溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じて、上記反応溶媒以外の他の溶媒を上記反応溶媒と混合して用いることもできる。
反応を効率よく進めるという観点から、反応溶媒は、ジアミン(b1)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)および酸無水物基を1つ有する化合物(b3)などの反応原料の合計100質量部に対して、100質量部以上用いることが好ましく、500質量部以上用いることが好ましい。反応溶媒の使用量の上限は特に制限されず、例えば反応原料の合計100質量部に対して1000質量部程度である。
反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、ジアミン(b1)と酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)とを同時に反応溶媒に添加する方法、ジアミン(b1)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)を添加する方法など、何れの方法も用いることができる。その他の反応原料の組合せの場合も前記方法に準じた方法を用いることができる。
また、化合物(A)の存在下に、化合物(B)を合成してもよい。すなわち、ジアミン(b1)と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)と、化合物(A)とを同時に反応溶媒に添加する方法、ジアミン(b1)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)と化合物(A)とを添加する方法、ジアミン(b1)と酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)とを予め反応させてポリアミド酸を合成した後に、化合物(A)を添加する方法など、何れの方法も用いることができる。その他の反応原料の組合せの場合も前記方法に準じた方法を用いることができる。
〈化合物(B)の含有量〉
本発明の熱硬化性インクジェット用インクにおいて、化合物(B)の含有量(後述する化合物(B’)を用いる場合は化合物(B)と化合物(B’)との合計含有量)は、インク全質量に対して、10〜60質量%が好ましく、14〜55質量%がより好ましく、18〜50質量%がさらに好ましい。化合物(B)および必要に応じて使用される化合物(B’)の濃度が前記範囲にあると、1回のインクジェッティングで得られる塗膜の膜厚が最適となり、ジェッティング精度が高い点で好ましい。本発明のインクでは、インクジェット印刷に適した低粘度化と、化合物(B)および必要に応じて使用される化合物(B’)によるインクの高濃度化(固形分濃度20質量%以上)との両立が可能である。
1.3 化合物(B’)
本発明の熱硬化性インクジェット用インクは、上述の化合物(A)および(B)のほか、一般式(5)〜(9)で表される化合物から選択される少なくとも1種(以下「化合物(B’)」ともいう。)をさらに含んでもよい。これらの中でも、一般式(5)で表される化合物は、アミド系溶媒だけでなく、インクジェットヘッドに対するダメージが少ないラクトン系、グリコール系の溶媒が使用できることから好ましい。
化合物(B’)を用いることにより、化合物(A)と化合物(B’)との脱水反応、R6が架橋基を持つ有機基である場合は化合物(B)と化合物(B’)との架橋反応、化合物(B’)同士の架橋反応により、強固なポリイミド膜が形成される。
Figure 0005942348
式(5)中、複数あるR6はそれぞれ独立に炭素数2〜98の二価の有機基であり、架橋性を持つ有機基であることが好ましい。R7は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。R8は炭素数2〜100の四価の有機基であり、焼成によってポリイミドを形成するといった観点から、後述するテトラカルボン酸二無水物の残基であることが好ましく、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。nは0〜1000の整数であり、好ましくは1〜800の整数であり、より好ましくは1〜650の整数である。
一般式(5)で表される化合物としては、例えば、ジアミン(b1)と酸無水物基を1つ有する化合物(b3)との反応物(アミド酸、n=0)、ジアミン(b1)と酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)と酸無水物基を1つ有する化合物(b3)との反応物(ポリアミド酸、n≧1)が挙げられる。
Figure 0005942348
式(6)および(7)中、複数あるR6はそれぞれ独立に炭素数2〜98の二価の有機基であり、架橋性を持つ有機基であることが好ましい。R7は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。R8は炭素数2〜100の四価の有機基であり、焼成によってポリイミドを形成するといった観点から、後述するテトラカルボン酸二無水物の残基であることが好ましく、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。nは1〜1000の整数であり、好ましくは1〜800の整数であり、より好ましくは1〜650の整数である。mは0〜1000の整数であり、好ましくは0〜800の整数であり、より好ましくは0〜650の整数である。
一般式(6)で表される化合物としては、例えば、ジアミン(b1)および酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)の反応物(ポリアミド酸)をイミド化して得られる化合物と、酸無水物基を1つ有する化合物(b3)との反応物(アミド酸)が挙げられる。
一般式(7)で表される化合物としては、例えば、ジアミン(b1)と酸無水物基を1つ有する化合物(b3)との反応物(アミド酸)をイミド化して得られる化合物(m=0)、ジアミン(b1)と酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)と酸無水物基を1つ有する化合物(b3)との反応物(ポリアミド酸)をイミド化して得られる化合物(m≧1)が挙げられる。前者としては、例えば、ビスアルケニル置換ナジイミド(m=0で化合物(b3)がアルケニル置換ナジック酸無水物の場合)、ビスマレイミド(m=0で化合物(b3)がマレイン酸無水物の場合)が挙げられる。アルケニル置換ナジイミドは溶媒(C)に対する溶解性が良好であるために、化合物(B’)として好ましい。
Figure 0005942348
式(8)および(9)中、R6は炭素数2〜98の二価の有機基であり、R9は炭素数2〜100の一価の有機基である。R6およびR9はそれそれ独立に架橋性を持つ有機基であることが好ましい。
一般式(8)で表される化合物としては、例えば、酸無水物基を1つ有する化合物(b3)とモノアミン(b4)との反応物(アミド酸)が挙げられる。一般式(9)で表される化合物としては、例えば、酸無水物基を1つ有する化合物(b3)とモノアミン(b4)との反応物(アミド酸)をイミド化して得られる化合物が挙げられる。後者としては、例えば、モノアルケニル置換ナジイミド(化合物(b3)がアルケニル置換ナジック酸無水物の場合)、モノマレイミド(化合物(b3)がマレイン酸無水物の場合)が挙げられる。アルケニル置換ナジイミドは溶媒(C)に対する溶解性が良好であるために、化合物(B’)として好ましい。
化合物(B’)としては、R6および/またはR9が架橋基を持つ有機基である化合物を合計で、化合物(B’)全体に対して50モル%以上用いることが好ましく、75モル%以上用いることがより好ましい。
ジアミン(b1)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)、酸無水物基を1つ有する化合物(b3)およびモノアミン(b4)の具体例および好ましい例としては、本明細書の[発明を実施するための形態]欄で後述するジアミン、酸無水物基を2つ以上有する化合物、酸無水物基を1つ有する化合物およびモノアミンが挙げられる。
モノアルケニル置換ナジイミドおよびビスアルケニル置換ナジイミドの具体例および好ましい例としては、本明細書の[発明を実施するための形態]欄で後述する化合物が挙げられる。
〈化合物(B’)の重量平均分子量〉
化合物(B’)のうちポリアミド酸およびそのイミド化合物の重量平均分子量(Mw)は、通常900〜7,500、好ましくは900〜3,500、より好ましくは900〜2,500である。Mwが前記下限値以上の化合物(B’)は、加熱処理によってポリイミド膜を形成する工程において、蒸発することがなく、化学的・機械的に安定である。Mwが前記上限値以下の化合物(B’)は、溶媒(C)に対する溶解性が良好であり、インクを低粘度化することができるので、得られるポリイミド膜の膜厚を大きくすることが可能である。Mwの測定条件は、実施例に記載のとおりである。
〈化合物(B’)の合成条件〉
化合物(B’)を合成する際の反応条件(反応温度、イミド化の方法)などは、化合物(B)を合成する際の反応条件と同様にして行うことができる。
化合物(B’)を合成する際に用いることのできるジアミン(b1)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)、酸無水物基を1つ有する化合物(b3)、モノアミン(b4)は、それぞれ1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
化合物(B’)を合成する際に用いることのできる反応溶媒としては、例えば、化合物(A)の合成に用いることのできる上述のその他の反応溶媒が挙げられ、好ましい反応溶媒も同様である。
反応溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じて、上記反応溶媒以外の他の溶媒を上記反応溶媒と混合して用いることもできる。
反応を効率よく進めるという観点から、反応溶媒は、ジアミン(b1)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b2)、酸無水物基を1つ有する化合物(b3)、モノアミン(b4)などの反応原料の合計100質量部に対して、100質量部以上用いることが好ましく、500質量部以上用いることが好ましい。反応溶媒の使用量の上限は特に制限されず、例えば反応原料の合計100質量部に対して1000質量部程度である。
〈化合物(B’)の含有量〉
本発明の熱硬化性インクジェット用インクにおいて、化合物(B’)の含有量は前述した化合物(B)と合わせて、インク全質量に対して、10〜60質量%が好ましく、14〜55質量%がより好ましく、18〜50質量%がさらに好ましい。化合物(B’)の濃度が前記範囲にあると、1回のインクジェッティングで得られる塗膜の膜厚が最適となり、ジェッティング精度が高い点で好ましい。本発明のインクでは、インクジェット印刷に適した低粘度化とインクの高濃度化(固形分濃度20質量%以上)との両立が可能である。
1.4 溶媒(C)
本発明のインクジェット用インクは、例えば、化合物(A)および化合物(B)を溶媒(C)に溶解して得ることができる。したがって、溶媒(C)は、前記成分(A)および(B)を溶解することができる溶媒であれば特に制限されない。また、単独では前記成分(A)および(B)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって前記成分(A)および(B)を溶解することができる混合溶媒となるのであれば、当該溶媒も溶媒(C)として用いることが可能である。
溶媒(C)の沸点は100〜300℃であることが好ましく、150〜250℃であることがより好ましい。沸点が低過ぎると、プリンターヘッドノズル近傍のインク中の溶媒が蒸発してしまう。そのためインクの粘度が変わり吐出できなくなる、あるいはインクの成分が固化・析出してしまうことがある。沸点が高過ぎると、印刷後のインクの乾燥が遅すぎて、印刷パターンが悪化することがある。
溶媒(C)としては、例えば、乳酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、アニソール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−ビニル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−ε−カプロラクタム、カルバミド酸エステルが挙げられる。
これらの溶媒の中でも、例えばインクジェットヘッドの耐久性向上の観点から、乳酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびγ―ブチロラクトンから選択される少なくとも1種が好ましい。
なお、以上例示した溶媒の中で、インクジェットヘッドの耐久性低下やジェッティングの精度低下が問題となる場合、アミド系溶媒の使用を低減することが好ましい。このような場合、アミド系溶媒の含有量は、溶媒(C)全量に対して0〜30質量%とすることが好ましく、0〜20質量%とすることがより好ましい。
上記アミド系溶媒としては、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−ビニル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、カルバミド酸エステルが挙げられる。
溶媒(C)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒(C)は、インクジェット用インク中の固形分濃度が20〜80質量%となる範囲で用いられることが好ましく、より好ましくは20〜50質量%、特に好ましくは25〜30質量%である。
1.5 添加剤
本発明のインクジェット用インクは、目的とする特性によっては添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、エポキシ樹脂、アルケニル置換ナジイミドのうち化合物(B’)に含まれないトリスおよびテトラアルケニル置換ナジイミド、アクリル樹脂、重合性モノマー、界面活性剤、化合物(B)および(B’)以外のポリアミド酸やポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、顔料、帯電防止剤、カップリング剤、硬化剤(例:エポキシ硬化剤、アルケニル置換ナジイミドの硬化剤)、染料、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマーが挙げられる。
1.5.1 エポキシ樹脂
本発明では、オキシラン環またはオキセタン環を1つ以上有する化合物をエポキシ樹脂という。本発明において、エポキシ樹脂としては、オキシラン環を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、トリスフェノールメタン型、テトラフェノールエタン型、ビキシレノール型、ビフェノール型、グリシジルエステル型のエポキシ樹脂;脂環式または複素環式のエポキシ樹脂;アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型またはナフタレン型の構造を有するエポキシ樹脂;N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、式(D1)〜(D5)で表される化合物、オキシラン環を有するモノマーの重合体、オキシラン環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
Figure 0005942348
式(D4)および(D5)中、nは0〜20の整数である。
オキシラン環を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
オキシラン環を有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが挙げられる。
オキシラン環を有するモノマーの重合体、およびオキシラン環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。インクジェット用インクがこれらのエポキシ樹脂を含有すると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性が良好となるため好ましい。
エポキシ樹脂としては、各種の市販品を用いることができる。
エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、
TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学社製)、エポキシ樹脂828、同834、同1001、同1004、同1010(商品名;三菱化学社製)、エピクロン840、同850、同1050、同2055(商品名;DIC社製)、エポトートYD−011、同YD−013、同YD−127、同YD−128(商品名;東都化成社製)、D.E.R.317、同331、同661、同664(商品名;ダウケミカル社製)、アラルダイト6071、同6084、同GY250、同GY260(商品名;BASF社製)、スミ−エポキシESA−011、同ESA−014、同ELA−115、同ELA−128(商品名;住友化学社製)、A.E.R.330、同331、同661、同664(商品名;旭化成社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;
エポキシ樹脂152、同154(商品名;三菱化学社製)、D.E.R.431、同438(商品名;ダウケミカル社製)、エピクロンN−730、同N−770、同N−865(商品名;DIC社製)、エポトートYDCN−701、同YDCN−704(商品名;東都化成社製)、アラルダイトECN1235、同ECN1273、同ECN1299(商品名;BASF社製)、XPY307、EPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306(商品名;日本化薬社製)、スミ−エポキシESCN−195X、同ESCN−220(商品名;住友化学社製)、A.E.R.ECN−235、同ECN−299(商品名;ADEKA社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;
エピクロン830(商品名;DIC社製)、エポキシ樹脂807(商品名;三菱化学社製)、エポトートYDF−170(商品名;東都化成社製)、YDF−175、YDF−2001、YDF−2004、アラルダイトXPY306(商品名;BASF社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エポトートST−2004、同ST−2007、同ST−3000(商品名;東都化成社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;
セロキサイド2021(商品名;ダイセル化学工業社製)、アラルダイトCY175、同CY179、同CY184(商品名;BASF社製)等の脂環式エポキシ樹脂;YL−933(商品名;三菱化学社製)、EPPN−501、EPPN−502(商品名;ダウケミカル社製)等のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;YL−6056、YX−4000、YL−6121(商品名;三菱化学社製)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;
EBPS−200(商品名;日本化薬社製)、EPX−30(商品名;ADEKA社製)、EXA−1514(商品名;DIC社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;157S(商品名;三菱化学社製)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;YL−931(商品名;三菱化学社製)、アラルダイト163(商品名;BASF社製)等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;
ADAMANTATE−X−E−201、ADAMANTATE−X−E−202、ADAMANTATE−X−E−203、ADAMANTATE−X−E−204(商品名;出光興産社製)等のアダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂;
アラルダイトPT810(商品名;BASF社製)、TEPIC(商品名;日産化学工業社製)等の複素環式エポキシ樹脂;HP−4032、EXA−4750、EXA−4700(商品名;DIC社製)等のナフタレン含有エポキシ樹脂;HP−7200、HP−7200H、HP−7200HH(商品名;DIC社製)等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂の中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタン型エポキシ樹脂、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−4,4'−ジアミノジフェニルメタンおよび式(D1)〜(D5)で表されるエポキシ樹脂が好ましく;
N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−4,4'−ジアミノジフェニルメタンおよび式(D1)〜(D5)で表されるエポキシ樹脂が、耐薬品性に優れた硬化膜が得られる点で特に好ましい。
エポキシ樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
エポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の含有量は、インクジェット用インク全質量に対して0.01〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量が前記範囲にあると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
1.5.2 化合物(B’)以外のアルケニル置換ナジイミド
化合物(B’)以外のアルケニル置換ナジイミドは、分子内に少なくとも3つのアルケニル置換ナジイミド構造を有する化合物であり、例えば一般式(F−1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(F−1)中、R10およびR11はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルであり、lは3または4の整数である。
式(F−1)においてl=3のとき、R12は一般式(F−2)または(F−3)で表される基である。
Figure 0005942348
式(F−2)中、Rは水素、フッ素、塩素、−OH、−OCF3、−OCF2H、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF2CF2H、−OCF2CFHCF3または炭素数1〜10のアルキルである。式(F−2)および式(F−3)中、R13、R14およびR15はそれぞれ独立に単結合、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレンまたは炭素数1〜10のアルキレンであり、アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
式(F−1)においてl=3のとき、R12は一般式(F−2−1)、式(F−3−1)または式(F−3−2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005942348
式(F−2−1)中、Rは水素、−OHまたは炭素数1〜10のアルキルである。式(F−3−2)中、R13、R14およびR15はそれぞれ独立に1,2−エチレンまたは1,4−ブチレンである。
式(F−1)においてl=4のとき、R12は一般式(F−4)で表される基である。
Figure 0005942348
式(F−4)中、R16、R17、R18およびR19はそれぞれ独立に単結合、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレンまたは炭素数1〜10のアルキレンであり、アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
式(F−1)においてl=4のとき、R12は一般式(F−4−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005942348
式(F−1)中、R10およびR11はそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであることが好ましい。R12は、l=3の場合、式(F−2−1)で表される基(但し、Rは水素または−OHである)、式(F−3−1)で表される基、式(F−3−2)で表される基(但し、R13〜R15は1,2−エチレンである)であることが好ましく;l=4の場合、式(F−4−1)で表される基であることが好ましい。本発明のインクは、これらのアルケニル置換ナジイミドの少なくとも2種を含有していてもよい。
〈トリスおよびテトラアルケニル置換ナジイミドの合成〉
アルケニル置換ナジイミドは、例えば、トリアミンまたはテトラアミンと一般式(F−1’)で表されるアルケニル置換ナジック酸無水物とを反応させてなるアルケニル置換ナジイミド化合物である。
Figure 0005942348
式(F−1’)中のR10およびR11はそれぞれ式(F−1)中のR10およびR11と同義である。
アルケニル置換ナジイミド化合物は、例えば以下のように合成することができる。
(1)lが3であるトリスアルケニル置換ナジイミド化合物の場合はトリアミン1.0モルに対して、アルケニル置換ナジック酸無水物を3.0〜5.0モル混合し、lが4であるテトラキスアルケニル置換ナジイミド化合物の場合はテトラアミン1.0モルに対して、アルケニル置換ナジック酸無水物を4.0〜6.0モル混合し、(2)続いて、常温で例えば任意の溶媒または2種以上を混合した溶媒に溶解させて溶液とし、0.5〜30時間攪拌保持して反応させる。
上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン、テトラリン、クロロフォルム、トリクレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ヘキサメチレンエーテル、アニソール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシドが挙げられる。
上記溶媒を20〜80℃で減圧乾燥除去して、アミド酸が得られる。前記アミド酸を上記溶媒中にて0.5〜30時間、溶媒の沸点近傍でリフラックス、あるいは、化合物そのものを160〜200℃で加熱して、脱水閉環させた後、溶媒を減圧乾燥させて目的の化合物を得ることができる。目的の化合物であることはNMR、IRにより確認できる。
〈トリスアルケニル置換ナジイミド〉
lが3であるトリスアルケニル置換ナジイミド化合物としては、例えば、トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)エチル}アミン、トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}ヒドロキシメタンが挙げられる。
〈テトラキスアルケニル置換ナジイミド〉
lが4であるテトラキスアルケニル置換ナジイミド化合物としては、例えば、テトラキス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンが挙げられる。
アルケニル置換ナジイミドは、嵩高い構造を有する低分子量のイミドモノマーであるため、ほとんどの有機溶媒に可溶であり、溶液状態で長期間保存しても結晶の析出やゲル化が起こらず安定して使用できる。また、アルケニル置換ナジイミドは、加熱により三次元架橋構造のポリイミドを形成する。前記ポリイミドは、良好な耐熱性、機械的特性、電気的特性、耐薬品性を示す。
1.5.3 アクリル樹脂
アクリル樹脂は、アクリル基および/またはメタクリル基を有するモノマーの単独または共重合体であれば特に限定されない。アクリル樹脂としては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレートまたは三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの単独重合体、あるいはこれらのモノマーの共重合体が挙げられる。アクリル樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、形成される膜を柔軟にできる点から、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましい。
ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N−アクリロイルモルホリン、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]が挙げられる。
二官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−ビス(アクリロイルオキシ)デカン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレートが挙げられる。
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
アクリル樹脂としては、その他のモノマーが共重合されていてもよく、例えば、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビニルトルエン、ポリスチレンマクロモノマーが挙げられる。
本発明の熱硬化性インクジェット用インク中のアクリル樹脂濃度は特に限定されないが、0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。このような濃度範囲であると、本発明の熱硬化性インクジェット用インクから形成された硬化膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
1.5.4 重合性モノマー
重合性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレート、三官能以上の多官能(メタ)アクリレート、その他のモノマーが挙げられ、その具体例は上述のアクリル樹脂の説明において記載したとおりである。
重合性モノマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
重合性モノマーを用いる場合、インクジェット用インク中の重合性モノマーの含有量は、インクジェット用インク全質量に対して0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。重合性モノマーの含有量が前記範囲にあると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
1.5.5 高分子化合物
本発明の熱硬化性インクジェット用インクは、柔軟性と耐熱性付与のため、化合物(B)および(B’)以外の、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドおよびポリエステルから選択される少なくとも1種の高分子化合物を含んでもよい。特に、重量平均分子量が1,000〜10,000である高分子化合物が、溶媒(C)に対する溶解性が優れており、本発明の熱硬化性インクジェット用インクの含有成分として好ましい。溶媒(C)に対する溶解性の観点からは、高分子化合物の重量平均分子量は、より好ましくは1,000〜7,500であり、さらに好ましくは1,000〜5,000であり、特に好ましくは1,000〜2,000である。
重量平均分子量が1,000以上であると、加熱処理によって蒸発することがなく、化学的・機械的に安定である。また重量平均分子量が2,000以下であると、高分子化合物の溶媒に対する溶解性が特に高いので、本発明の熱硬化性インクジェット用インク中の高分子化合物の濃度を高くすることができるため、インクを塗布して得られる塗膜の柔軟性と耐熱性を向上させることができる。
高分子化合物の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。具体的には、高分子化合物をテトラヒドロフラン(THF)等で濃度が約1質量%になるように希釈し、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLを用いて、THFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めることができる。
本発明の熱硬化性インクジェット用インク中の高分子化合物の濃度は、通常0〜20質量%であり、好ましくは0〜10質量%である。このような濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性が付与できることがあり好ましい。
1.5.6 界面活性剤
界面活性剤としては、インクの表面張力の調節、塗布性を向上できる点から、フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が挙げられるが、界面活性効果があり、インクの表面張力を低下させるものであれば、特に限定はない。
アクリル系界面活性剤を含むインクを用いると、パターン性に優れる膜を得ることができる傾向がある。シリコーン系界面活性剤を含むインクを用いると、パターン性に優れる膜を得ることができる傾向がある。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、商品名「R−08」、「F−472SF」、「R−30」、「BL−20」、「R−61」、「R−90」、「F−114」、「F−410」、「F−493」、「F−494」、「F−443」、「F−444」、「F−445」、「F−446」、「F−470」、「F−471」、「F−474」、「F−475」、「F−477」、「F−478」、「F−479」、「F−480SF」、「F−482」、「F−483」、「F−484」、「F−486」、「F−487」、「F−489」、「F−1720」、「F−178K」、「ESM−1」、「MCF−350SF」、「TF−2066」、「F−472SF」、「TF−1366」、「TF−1367」、「F−552」、「F−553」、「F−554」、「TF−1425」、「TF−1437」、「TF−1507」、「F−1535」(DIC(株)製 メガファックシリーズ);商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」、「FTX−208G」、「FTX−218G」、「FTX−240G」、[FTX−212P]、「FTX−220P」、「FTX−228P」、「FTX−218GL」、「FTX−206D」、「FTX−218」、「FTX−220D」、「FTX−230D」、「FTX−240D」、[FTX−750LL]、「FTX−730LS」、「FTX−730LM」、「FTX−730LL」、「FTX−710LL」、「FTX−750FM」、「FTX−730FS」、「FTX−730FM」、「FTX−730FL」、「フタージェント212D」、「フタージェント710FL」、「フタージェント730FM」、「FTX−209F」、「FTX−213F」、「FTX−233F」、「フタージェント222F」、「フタージェント245F」((株)ネオス製 フタージェントシリーズ)が挙げられる。
これらの中でも、商品名「R−08」、「F−472SF」、「R−30」、「F−477」、「F−479」、「TF−1366」、「TF−1367」、「TF−1425」(DIC(株)製 メガファックシリーズ);商品名「DFX−18」、「FTX−208G」、「FTX−218G」、「FTX−240G」、[FTX−212P]、「FTX−220P」、「FTX−228P」、「FTX−218GL」「フタージェント710FL」、「フタージェント730FM」、「FTX−209F」、「フタージェント222F」、「フタージェント245F」((株)ネオス製 フタージェントシリーズ)が好ましい。
アクリル系界面活性剤としては、例えば、商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361N」(ビック・ケミー(株)製)が挙げられる。これらの中でも、商品名「Byk−361N」(ビック・ケミー(株)製)が好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、商品名「FM−3306」、「FM−3311」、「FM−3321」、「FM−3325」、「FM−4411」、「FM−4421」、「FM−4425」、「FM−7711」、「FM−7721」、「FM−7725」、「FM−0411」、「FM−0421」、「FM−0425」、「FM−DA11」、「FM−DA21」、「FM−DA26」、「FM−0711」、「FM−0721」、「FM−0725」、「TM−0701」、「TM−0701T」(チッソ(株)製);商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)が挙げられる。
さらに、シリコーン系界面活性剤としては、例えば、「FM−3306」、「FM−3311」、「FM−3321」および「FM−3325」から選択される化合物と後述する酸無水物基を1つ有する化合物との反応性生物、「FM−3306」、「FM−3311」、「FM−3321」および「FM−3325」から選択される化合物と後述する酸無水物基を2つ以上有する化合物と後述するモノアミンとの反応性生物、「FM−3306」、「FM−3311」、「FM−3321」および「FM−3325」から選択される化合物と後述する酸無水物基を2つ以上有する化合物との反応性生物、後述するテトラカルボン酸二無水物の内、式(1−76)で表される化合物と後述するモノアミンとの反応性生物、後述するテトラカルボン酸二無水物の内、式(1−76)で表される化合物と後述するジアミンと後述するモノアミンとの反応性生物あるいは後述するテトラカルボン酸二無水物の内、式(1−76)で表される化合物と後述するジアミンとの反応性生物であるアミック酸・イミドが挙げられる。
これらの中でも、商品名「FM−3306」、「FM−3311」、「FM−3321」、「FM−3325」、「FM−4411」、「FM−7711」「FM−0411」、「FM−DA11」、「FM−0711」(チッソ(株)製)、「FM−3311」と後述する酸無水物基を1つ有する化合物との反応性生物、あるいは「FM−3311」と後述する酸無水物基を2つ以上有する化合物と後述するモノアミンとの反応性生物であるアミック酸が好ましい。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤を用いる場合、インクジェット用インク中の界面活性剤の含有量は、インクジェット用インク全質量に対して0.00001質量%以上、1.0質量%以下が好ましく、0.001質量%以上、1.0質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上、1.0質量%以下がさらに好ましい。界面活性剤の含有量の上限値は、臨界ミセル濃度未満であることが特に好ましい。
「臨界ミセル濃度」とは、界面活性剤が、インク中でミセルを形成し始める濃度のことである。したがって、臨界ミセル濃度未満では界面活性剤はインク中でミセルを形成しきっておらず、臨界ミセル濃度を超えると界面活性剤はインク中でミセルを形成する。
インク中の界面活性剤の含有濃度が臨界ミセル濃度に達すると、界面活性剤の含有濃度を増加させてインクの表面張力の低下がほとんど起こらなくなる。この現象を利用して、界面活性剤の含有濃度と表面張力との関係から臨界ミセル濃度を決定することができる。
また、インク中の界面活性剤が臨界ミセル濃度未満であることの確認は、インク中にさらに同種の界面活性剤を添加することにより確認することができる。すなわち、インク中に同種の界面活性剤を添加することにより、添加前と比べて表面張力の低下が起これば、添加前のインク中の界面活性剤の含有濃度が臨界ミセル濃度未満であると判断することができる。
臨界ミセル濃度は、上記のようにインクの表面張力を利用して測定する以外に、電気伝導法、粘度法、色素法、光散乱法などによって測定することができる。何れの方法を用いることもできるが、表面張力を利用する方法が最も一般的で簡便なため好ましい。
また、インクにおけるミセル形成の有無は、上述したように、インクに、インクに含有される界面活性剤と同種の界面活性剤を添加して、界面活性剤の添加の前後の表面張力を測定することにより確認することができる。すわなち、同種の界面活性剤を添加して、インク中の界面活性剤の含有濃度を増加させた際に、インクの表面張力が低下した場合、同種の界面活性剤を添加する前のインクは、界面活性剤によるミセルを形成していないと判断できる。当該方法以外に、動的光散乱法、ゼータ電位測定法、小角中性子散乱法、広角X線散乱法、小角X線散乱法、透過型電子顕微鏡によってもインク中のミセル形成の有無を確認することができる。
1.5.7 顔料
顔料としては、有機顔料および無機顔料が挙げられ、カラーインクには高い色純度、耐薬品性、耐熱性が求められることから、色純度、耐薬品性、耐熱性に優れる有機顔料がより好ましい。
有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7などのカラーインデックス番号が付けられている顔料、spilon blue GNHが挙げられる。有機顔料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、チタンブラック、カーボンブラックなどが挙げられる。無機顔料は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
顔料は、市販品を用いてもよい。
顔料を用いる場合、インクジェット用インク中の顔料の含有量は、インクジェット用インク全質量に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜1質量%がさらに好ましい。
1.5.8 帯電防止剤
帯電防止剤は帯電を防止するために使用することができる。帯電防止剤としては、例えば、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物などの金属酸化物;四級アンモニウム塩が挙げられる。
帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、例えば、帯電防止剤を除いたインクジェット用インク100質量部に対して、0.01〜1質量部の範囲で添加して用いることができる
1.5.9 カップリング剤
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる、
シランカップリング剤としては、例えば、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物が挙げられる。好ましいシランカップリング剤としては、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
特に好ましいシランカップリング剤としては、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
カップリング剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
カップリング剤は、例えば、カップリング剤を除いたインクジェット用インク100質量部に対して、0.01〜3質量部の範囲で添加して用いることができる。
1.5.10 エポキシ硬化剤
エポキシ硬化剤としては、例えば、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、エポキシ樹脂とアミンとを反応させて得られるアミンアダクトが挙げられる。さらに具体的には、ジシアンジアミドなどのジシアンジアミド類;アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインなどの有機酸ジヒドラジド、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体;無水フタル酸、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物などの酸無水物、トリメリット酸、ダイマー酸が挙げられる。これらの中でも、透明性が良好な無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
エポキシ硬化剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
エポキシ硬化剤は、例えば、エポキシ硬化剤を除いたインクジェット用インク100質量部に対して、0.2〜10質量部の範囲で添加して用いることができる。
1.5.11 アルケニル置換ナジイミドの硬化剤
アルケニル置換ナジイミドの硬化剤として、例えば、アゾビス系の化合物、酸を発生する化合物が挙げられ、アゾビス系の化合物が好ましい。これらの硬化剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アゾビス系の化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、α,α’−アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。これらの中でも、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)が好ましい。
本発明のインクジェット用インク中に、アルケニル置換ナジイミドとともにアゾビス系の化合物が含有されると、塗膜乾燥時のタック性がなく、ハンドリング性に優れるため好ましい。
1.5.12 染料
染料としては、有機染料および無機染料が挙げられ、カラーインクには高い色純度、耐薬品性、耐熱性が求められることから、色純度、耐薬品性、耐熱性が優れる有機染料がより好ましい。
有機染料としては、例えば、ディスパースブラック9が挙げられる。有機顔料は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無機染料としては、例えば、酸化チタン、チタンブラック、カーボンブラックなどが挙げられる。無機顔料は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
染料は、市販品を用いてもよい。
染料を用いる場合、インクジェット用インク中の顔料の含有量は、インクジェット用インク全質量に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜1質量%がさらに好ましい。
1.6.インクジェット用インクの調製方法
本発明のインクジェット用インクは、化合物(A)と、化合物(B)と、必要に応じて化合物(B’)、溶媒(C)、その他の添加剤などとを均一に混合することによって、調製することができる。
また、本発明のインクジェット用インクは、化合物(A)や化合物(B)の合成時に得られた反応溶液をそのまま、必要に応じて化合物(B’)、溶媒(C)、その他の添加剤などと均一に混合することによって、調製することもできる。
本発明のインクジェット用インクでは、粘度・表面張力・溶媒の沸点などの様々なパラメータをインクジェット印刷用に最適化することができる。前記インクは、良好なインクジェット印刷性(例えば描画性、厚膜形成)を示し、保存安定性にも優れ、また、熱的・電気的・機械的特性が良好で各種基板に対する密着性にも優れたポリイミド膜を形成できる。
1.7 インクジェット用インクの粘度
常温(25℃)でジェッティングを行う場合は、本発明のインクジェット用インクの常温(25℃)における粘度は、1〜50mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜30mPa・sであり、さらに好ましくは8〜20mPa・sである。吐出時の粘度が前記範囲にあると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する。粘度が前記上限値以下であると、インクジェット吐出不良が生じにくい。
インクヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、本発明のインクジェット用インクの加熱温度(好ましくは30〜120℃)における粘度は、1〜50mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜30mPa・sであり、さらに好ましくは8〜20mPa・sである。加熱温度における粘度が前記上限値以下であると、インクジェット吐出不良が生じにくい。
1.8 インクジェット用インクの表面張力
本発明のインクジェット用インクの25℃における表面張力は、通常20〜45mN/m、好ましくは25〜35mN/mである。表面張力が前記範囲にあると、ジェッティングにより良好な液滴が形成でき、かつメニスカスを形成することができる。表面張力が低過ぎると、インクがプリンターヘッドのノズルから吐出された直後に広がってしまい、良好な液滴が形成できなくなることがある。反対に表面張力が高過ぎると、メニスカスを形成できなくなるため、吐出不能になることがある。
2.インクの塗布方法、ポリイミド膜の製造方法
本発明のインクの塗布方法は、本発明のインクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程(塗膜形成工程)、および前記塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程(加熱工程)を有する。ここで、インクを基板に塗布する前に、基板を表面処理する工程(表面処理工程)を設け、前記表面処理がなされた基板上にインクを塗布して塗膜を形成することが好ましい。
また、本発明のポリイミド膜の製造方法は、上記インクの塗布方法を用いる。
2.1 表面処理工程
必要に応じて、基板を表面処理する。表面処理には、例えば、シランカップリング剤処理、UVオゾンアッシング処理、プラズマ処理、アルカリエッチング処理、酸エッチング処理、プライマー処理が用いられる。また、本発明で適用可能な基板は、後述する[フィルム基板、半導体ウェハまたは電子材料用基板]の欄で例示する。
2.2 塗膜形成工程
インクジェット塗布方法としては、インクの吐出方法により各種のタイプがある。吐出方法としては、例えば、圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型、連続噴射型、静電誘導型が挙げられる。
本発明のインクは、含有成分を適正に選択することにより、様々な方法で吐出が可能であり、インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。
本発明のインクジェット用インクを用いて塗布を行う際の好ましい吐出方法は、圧電素子型である。この圧電素子型のヘッドは、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備えた、オンデマンドインクジェット塗布ヘッドであり、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させる。
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが別体となった構成に限らず、それらが分離不能に一体になった構成を用いてもよい。また、インク収容部は、塗布ヘッドに対して、分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
また、塗布ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用させるバネ部とを有した形態などを採用することができる。塗布装置は、シリアル塗布方式を採るもののほか、塗布媒体の全幅に対応した範囲にわたって塗布素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
インクジェット塗布方法によって、本発明のインクジェット用インクを基板上に塗布した後、ホットプレートまたはオーブンなどで乾燥(溶媒を除去)することにより、ポリアミド酸の塗膜を形成することができる。
乾燥条件はインクの含有成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンを用いた場合には5〜15分間、ホットプレートを用いた場合には1〜5分間である。
2.3 加熱工程
加熱処理は例えばホットプレートまたはオーブンなどで行い、これにより、全面または所定のパターン状(例えばライン状)のポリイミド膜が形成される。また、ポリイミド膜の形成には、加熱処理に限定されず、UV処理、イオンビーム、電子線、ガンマ線、赤外線などの処理を用いてもよい。
塗膜形成工程でポリアミド酸の塗膜を形成した後、ポリアミド酸をイミド化するために、通常180〜350℃、好ましくは180〜300℃で加熱処理を行う。加熱時間は、例えば、オーブンを用いた場合には30〜90分間、ホットプレートを用いた場合には5〜90分間である。以上のようにして、ポリイミド膜が形成される。
ポリアミド酸の塗膜がパターン状に形成されている場合には、ポリイミド膜もパターン状に形成される。本明細書では、特に言及のない限り、ポリイミド膜はパターン状のポリイミド膜を含む。
パターン状のポリイミド膜を製造する場合、本発明ではインクジェット印刷により必要な部分のみにインクを描画するため、材料使用量は圧倒的に少なく、また、フォトマスクを使用する必要もない。このため、本発明では、多品種大量生産が可能であり、また、製造に要する工程数が少ない。
3 ポリイミド膜
本発明のポリイミド膜は、上述のポリイミド膜の製造方法により形成される。本発明のポリイミド膜は、熱的・電気的・機械的特性が良好であり、例えば耐熱性および電気絶縁性に優れた絶縁膜であり、各種基板に対する密着性にも優れ、電子部品の信頼性、歩留まりを向上させることができる。
本発明のインクジェット用インクでは、上述のように固形分濃度を高く設定できる。このため、本発明では1回のインクジェッティングで厚みが通常1μm以上、好ましくは1〜5μmの硬化膜を得ることができ、当該膜厚は従来のインクから得られる硬化膜の膜厚よりも大きい。例えば10μm程度の厚い絶縁膜を形成する場合、本発明のインクを用いることにより、従来のインクよりも重ね塗りの回数を減らすことができ、絶縁膜の製造工程を短縮することができる。
4 フィルム基板、半導体ウェハまたは電子材料用基板
本発明のフィルム基板、半導体ウェハまたは電子材料用基板は、上述のポリイミド膜を有する。フィルム基板についていえば、例えば、インクジェット塗布方法などにより予め配線が形成されたポリイミドフィルムなどのフィルム基板上に、本発明のインクをインクジェット塗布方法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布して、その後、当該フィルム基板を乾燥・加熱することによって、ポリイミド膜を有するフィルム基板が得られる。
本発明で適用可能な基板としては、例えば、FR−1、FR−3、FR−4、CEM−3、E668などの各種規格に適合する、ガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、グリーンエポキシ基板、BTレジン基板;銅、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、クロム、ステンレスなどの金属からなる基板(それらの金属の表面を有する基板であってもよい);酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコニウムのケイ酸塩(ジルコン)、酸化マグネシウム(マグネシア)、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、硫化カドニウム、硫化モリブデン、酸化ベリリウム(ベリリア)、酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)、酸化亜鉛、ムライト、フェライト、ステアタイト、ホルステライト、スピネル、スポジュメンなどのセラミックスからなる基板(それらのセラミックスの表面を有する基板であってもよい);PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PCT(ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、熱可塑性エラストマー、液晶ポリマーなどの樹脂からなる基板(それらの樹脂の表面を有する基板であってもよい);シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素などの半導体基板;ガラス基板;酸化スズ、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(酸化アンチモンスズ)などの電極材料が表面に形成された基板;αGEL(アルファゲル)、βGEL(ベータゲル)、θGEL(シータゲル)、γGEL(ガンマゲル)(以上、(株)タイカの登録商標)などのゲルシートが挙げられる。
5 電子部品
本発明の電子部品は、上述のフィルム基板、半導体ウェハまたは電子材料用基板を有する。フィルム基板を有する電子部品についていえば、例えば、インクジェット塗布方法などにより予め配線が形成されたポリイミドフィルムなどのフィルム基板上に、本発明のインクをインクジェット塗布方法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布して、その後、当該フィルム基板を乾燥・加熱することによって、絶縁性を有するポリイミド膜で被覆されたフレキシブルな電子部品が得られる。
6 化合物の例示および好ましい具体例
6.1 酸無水物基を1つ有する化合物
上述の化合物(A)における化合物(a11)、化合物(B),(B’)における化合物(b3)に用いることのできる酸無水物基を1つ有する化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式中、R20は、化合物(A)における化合物(a11)の場合は炭素数2〜10の二価の有機基であり、化合物(B)および(B’)における化合物(b3)の場合は炭素数2〜98の二価の有機基である。R20は架橋性を持つ有機基であることが好ましい。
上記式で表される化合物としては、例えば、フタル酸無水物、3−メチルフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、3−フルオロフタル酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、こはく酸無水物、グルタル酸無水物、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、ブチルこはく酸無水物、n−オクチルこはく酸無水物、ドデシルこはく酸無水物などの架橋性有機基を有さない化合物;
4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、アリルこはく酸無水物、2−ブテン−1−イルこはく酸無水物、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、アリルナジック酸無水物、テトラデセニルこはく酸無水物、オクタデセニルこはく酸無水物、アコニット酸無水物、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、式(α)で表される化合物、式(β)で表される化合物などの架橋性有機基を有する化合物;
が挙げられる。
Figure 0005942348
式(α)で表される化合物は、例えば、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とトリメトキシシランとを反応させて得ることができる。式(β)で表される化合物は、例えば、アリルナジック酸無水物とトリメトキシシランとを反応させて得ることができる。
酸無水物基を1つ有する化合物の中でも、架橋性および得られる塗膜の耐久性が優れるという点から、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドが好ましい。
酸無水物基を1つ有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
6.2 酸無水物基を2つ以上有する化合物
上述の化合物(A)における化合物(a12)、化合物(B),(B’)における化合物(b2)に用いることのできる酸無水物基を2つ以上有する化合物としては、例えば、酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体、テトラカルボン酸二無水物が挙げられ、テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体としては、例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体、オレフィン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体が挙げられる。製品としては、例えば、製品名SMA1000、SMA2000(サートマー社製)が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式中、R21は炭素数2〜100の四価の有機基であり、但し、化合物(A)における化合物(a12)の場合は炭素数4〜40の四価の有機基である。
上記式で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン琥珀酸二無水物および式1−1〜1−77で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
Figure 0005942348
Figure 0005942348
Figure 0005942348
Figure 0005942348
Figure 0005942348
Figure 0005942348
式(1−77)中、Phはフェニル基を表す。
テトラカルボン酸二無水物の中でも、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物および式1−5の化合物が、溶媒(C)への溶解性が高く、高濃度のインクを調整できるので好ましい。
また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされる。このような場合には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
酸無水物基を2つ以上有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
6.3 モノアミン
上述の化合物(B’)におけるモノアミン(b4)に用いることのできるモノアミンとしては、アミノ基を1つ有する化合物であり、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式中、R22は炭素数2〜100の一価の有機基であり、架橋性を持つ有機基であることが好ましい。
上記式で表されるモノアミンとしては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−フルフリルアミン、チラミン、2−(4−アミノフェニル)エチルアミン、trans−4−アミノシクロヘキサノール、モノエタノールアミン、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、n−ブチルアミン、アニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、ペンタフルオロアニリン、トリプトファン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、ヒスチジン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、セリン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、チロシン、12−アミノラウリル酸、O―ホスホリルエタノールアミン、硫化水素2−アミノエチル、2−アミノエタンスルホン酸、4−アミノ桂皮酸、ディスパースブラック9が挙げられる。
これらの中でも、得られるインクのインクジェット吐出性が向上する傾向があることから、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
モノアミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
6.4 ジアミン
上述の化合物(B),(B’)におけるジアミン(b1)に用いることのできるジアミンとしては、アミノ基を2つ有する化合物であり、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式中、R23は炭素数2〜100の二価の有機基である。
上記式で表されるジアミンとしては、例えば、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ダイマージアミンおよび一般式(I)〜(VII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(I)中、A1は、−(CH2m−であり、ここでmは2〜12の整数である。
式(III)、(V)および(VII)中、A2は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2n−、−O−(CH2n−O−または−S−(CH2n−S−であり、ここでnは1〜6の整数である。
式(VI)および(VII)中、2つ存在するA3は、それぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−または炭素数1〜3のアルキレンである。
以上の式(I)〜(VII)において、シクロヘキサン環またはベンゼン環が有する少なくとも一つの水素原子は、−Fまたは−CH3で置き換えられていてもよい。
式(I)で表される化合物としては、例えば、式(I−1)〜(I−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(II)で表される化合物としては、例えば、式(II−1)〜(II−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(III)で表される化合物としては、例えば、式(III−1)〜(III−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(IV)で表される化合物としては、例えば、式(IV−1)〜(IV−5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(V)で表される化合物としては、例えば、式(V−1)〜(V−30)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
式(VI)で表される化合物としては、例えば、式(VI−1)〜(VI−6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(VII)で表される化合物としては、例えば、式(VII−1)〜(VII−11)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(I)〜(VII)で表される化合物の上記具体例の中でも、好ましくは式(IV−1)〜(IV−5)、式(V−1)〜(V−12)、式(V−26)、式(V−27)、式(VI−1)、式(VI−2)、式(VI−6)および式(VII−1)〜(VII−5)で表される化合物であり、より好ましくは式(V−1)〜(V−12)で表される化合物である。
ジアミンの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタンが好ましい。
ジアミンとしては、さらに一般式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(VIII)中、A4は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−N=N−または−(CH2p−であり、ここで、pは1〜6の整数である。R24は、ステロイド骨格を有する基、または、シクロヘキサン環およびベンゼン環とからなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造を有する基である。なお、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは、R24は炭素数1〜30のアルキルであってもよく、前記位置関係がメタ位のときは、R24は炭素数1〜10のアルキル、または−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2もしくは−OCF3で置き換えられていてもよいフェニルであってもよい。
24における上記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。これらのアルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CH3が−CH2F、−CHF2または−CF3で置き換えられていてもよい。
式(VIII)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R24−A4−」のベンゼン環への結合位置を1位としたときに、3位および5位、または2位および5位に結合していることが好ましい。
式(VIII)で表される化合物としては、例えば、式(VIII−1)〜(VIII−11)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
式(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−7)および(VIII−8)中、R25は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることが好ましく、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシであることがさらに好ましい。
式(VIII−3)〜(VIII−6)および(VIII−9)〜(VIII−11)中、R26は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであることがさらに好ましい。
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、式(VIII−12)〜(VIII−17)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(VIII−12)〜(VIII−15)中、R27は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数4〜16のアルキルであることが好ましく、炭素数6〜16のアルキルであることがさらに好ましい。
式(VIII−16)および式(VIII−17)中、R28は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数6〜20のアルキルであることが好ましく、炭素数8〜20のアルキルであることがさらに好ましい。
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、式(VIII−18)〜(VIII−38)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
Figure 0005942348
式(VIII−18)、(VIII−19)、(VIII−22)、(VIII−24)、(VIII−25)、(VIII−28)、(VIII−30)、(VIII−31)、(VIII−36)および(VIII−37)中、R29は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることがさらに好ましい。
式(VIII−20)、(VIII−21)、(VIII−23)、(VIII−26)、(VIII−27)、(VIII−29)、(VIII−32)〜(VIII−35)および(VIII−38)中、R30は水素、−F、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることが好ましい。
式(VIII−33)と(VIII−34)中、A5は炭素数1〜12のアルキレンである。
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、式(VIII−39)〜(VIII−49)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
式(VIII)で表される化合物のうち、式(VIII−1)〜式(VIII−11)で表される化合物が好ましく、式(VIII−2)、式(VIII−4)、式(VIII−5)および式(VIII−6)で表される化合物がさらに好ましい。
本発明において、ジアミンとしては、さらに式(IX)〜(X)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
式(IX)および(X)中、R31は水素または−CH3であり、2つ存在するR32はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20アルケニルであり、2つ存在するA6はそれぞれ独立に単結合、−C(=O)−または−CH2−である。
式(X)中、R33およびR34はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
式(IX)中、ステロイド核のB環に結合した「NH2−Ph−A6−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、ステロイド核の6位の炭素に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6のフェニル環への結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(X)中、2つの「NH2−(R34−)Ph−A6−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、該フェニル環にステロイド核および「NH2−(R34−)Ph−A6−O−」が結合していると考えた場合、ステロイド核と「NH2−(R34−)Ph−A6−O−」との位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(IX)で表される化合物としては、例えば、式(IX−1)〜(IX−4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(X)で表される化合物としては、例えば、式(X−1)〜(X−8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
ジアミンとしては、さらに一般式(XI)および(XII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(XI)中、R35は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、該アルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、2つ存在するA7はそれぞれ独立に−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、A8は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、hは0または1である。
Figure 0005942348
式(XII)中、R36は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素6〜20のアルキルが好ましい。R37は水素または炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素1〜10のアルキルが好ましい。2つ存在するA9はそれぞれ独立に−O−または炭素数1〜6のアルキレンである。
式(XI)中、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A7に対してメタ位またはパラに結合していることが好ましい。また、式(XII)中、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A9に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(XI)で表される化合物としては、例えば、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサンなどの、式(XI−1)〜(XI−9)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(XI−1)〜(XI−3)中、R38は水素または炭素数1〜20のアルキルである。
式(XI−4)〜(XI−9)中、R39は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、水素または炭素数1〜10のアルキルであることが好ましい。
式(XII)で表される化合物としては、例えば、式(XII−1)〜(XII−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(XII−1)〜(XII−3)中、R40は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素数6〜20のアルキルが好ましく、R41は水素または炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも水素または炭素数1〜10のアルキルが好ましい。
さらに、ジアミンとして、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,6−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)ヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン,N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテルも挙げられる。
上述のとおり、ジアミンとしては、例えば、上記式(I)〜(XII)で表される化合物を用いることができるが、これらの化合物以外の、アミノ基を2つ有する化合物も用いることができる。例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、シロキサン結合を有するシロキサン系ジアミン、トリアジン骨格を含むトリアジン系ジアミンなどを単独で、または他のアミノ基を2つ有する化合物として挙げた化合物と混合して用いることができる。
シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、一般式(XIII)で表される化合物が、本発明において好ましく使用され得る。
Figure 0005942348
式(XIII)中、R42およびR43はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R44はメチレンまたは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられていてもよいフェニレンであり、2つのxはそれぞれ独立に1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。複数存在するR42、R43およびR44は、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。
ジアミンは、さらに式(XV−1)〜(XV−16)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
Figure 0005942348
式(XV−15)中、nは2〜15の整数である。具体的な製品としてはイハラケミカル社製、エラストマー1000P(n(平均値)=13.62)、エラストマー650P(n(平均値)=8.76)、エラストマー250P(n(平均値)=3.21)が挙げられる。式(XV−16)中、nは2〜15の整数、mは2〜15の整数である。具体的な製品としてはイハラケミカル社製、ポレアSL−100Aが挙げられる。
本発明において、ジアミンとしては、さらに、下記式(4−2−1)〜(4−2−3)で表されるフルオレン系ジアミンが好ましく挙げられる。
Figure 0005942348
本発明において、ジアミンとしては、さらに、下記式(4−3−1)、(4−3−2)、(4−3−3)および(4−3−4)で表されるトリアジン系ジアミンが好ましく挙げられる。
Figure 0005942348
ジアミンとして、さらに式(11)〜(30)で表される化合物が挙げられる。式(11)〜(18)中、R45およびR46はそれぞれ独立に炭素数3〜20のアルキルである。
Figure 0005942348
ジアミンは、上記例示のジアミンに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のジアミンを用いることができる。
インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされる。そのような場合には、ジアミンとして、3,3'−ジアミノジフェニルスルホンおよび式(XIII)においてy=1〜15の整数である化合物を用いることが特に好ましい。
ジアミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
6.5 モノまたはビスアルケニル置換ナジイミド
化合物(B’)におけるモノまたはビスアルケニル置換ナジイミドは、分子内に1つまたは2つのアルケニル置換ナジイミド構造を有する化合物であり、例えば一般式(B’−1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
式(B’−1)中、R47およびR48はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルであり、lは1または2である。
式(B’−1)中、l=1のとき、R49は水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(Cq2q)Ot(Cr2rO)us2sX}(q、rおよびsはそれぞれ独立に2〜6の整数、tは0または1の整数、uは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R50a−C64−R51(aは0または1の整数であり、R50は炭素数1〜4のアルキレンであり、R51は水素または炭素数1〜4のアルキルである)で表される基、−C64−T−C65{Tは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−S−または−SO2−である}で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
式(B’−1)中、l=2のとき、R49は炭素数2〜20のアルキレン(アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R50a−C64−R52−(aは0または1の整数であり、R50およびR52はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C64−T−C64−、−C64−T−C64−T−C64−もしくは−C64−T’−C64−T−C64−T’−C64−{Tは単結合、炭素数1〜6のアルキレン、−C(CH32−、−C(CF32−、−CO−、−O−、−S−または−SO2−であり、T’は−CH2−または−O−である}で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基、式(B’−2)で表される基、または式(B’−3)で表される基である。
Figure 0005942348
式(B’−2)中、複数あるxはそれぞれ独立に1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。
Figure 0005942348
式(B’−1)中、R47およびR48はそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであることが好ましく、l=1の場合はR49が炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールであることが好ましく、l=2の場合はR49が−(CH2p−(pは6〜12の整数である)で表される基、式(B’−4)で表される基、式(B’−5)で表される基、式(B’−6)で表される基、式(B’−2)で表される基(但し、x=3、y=1である)または式(B’−3)で表される基であることが好ましい。本発明のインクは、これらのアルケニル置換ナジイミドの少なくとも2種を含有していてもよい。
Figure 0005942348
アルケニル置換ナジイミドは、例えば、モノアミンまたはジアミンと一般式(B’−1’)で表されるアルケニル置換ナジック酸無水物とを反応させてなるアルケニル置換ナジイミド化合物である。
Figure 0005942348
式(B’−1’)中のR47およびR48はそれぞれ式(B’−1)中のR47およびR48と同義である。
〈モノアルケニル置換ナジイミド〉
lが1であるモノアルケニル置換ナジイミド化合物としては、例えば、
アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシ−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシ−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシ−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシ−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、N−フェニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2’−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2’−ヒドロキシエチル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2’−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、N−(2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロピル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3’−ヒドロキシ−1’−プロペニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4’−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、N−(4’−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4’−ヒドロキシフェニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4’−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4’−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3’−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3’−ヒドロキシフェニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
モノアルケニル置換ナジイミドは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
好ましいモノアルケニル置換ナジイミドとしては、
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド;
N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド;
N−フェニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド;
が挙げられる。
さらに好ましいモノアルケニル置換ナジイミドとしては、N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド;
N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド;
が挙げられる。
〈ビスアルケニル置換ナジイミド〉
lが2であるビスアルケニル置換ナジイミド化合物としては、例えば、
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、1,2−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、ビス〔2’−{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、ビス〔2’−{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、1,4−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、1,4−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、1,6−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3−ヒドロキシ−ヘキサン、1,12−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3,6−ジヒドロキシ−ドデカン、1,3−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−シクロヘキサン、1,5−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}−3−ヒドロキシ−ペンタン、1,4−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−ベンゼン、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、1,4−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2,5−ジヒドロキシ−ベンゼン、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルメチルシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2,3−ジヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2’−ヒドロキシ−フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェニル}メタン、ビス{3−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−4−ヒドロキシ−フェニル}エーテル、ビス{3−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−フェニル}スルホン、1,1,1−トリ{4'−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)}フェノキシメチルプロパン、N,N',N"−トリ(エチレンメタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)イソシアヌレート、およびこれらのオリゴマーが挙げられる。
また、非対称なアルキレン・フェニレン基を有する下記化合物が挙げられる。
Figure 0005942348
ビスアルケニル置換ナジイミドは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
好ましいビスアルケニル置換ナジイミドとしては、
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド);
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン;
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン;
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン;
が挙げられる。
さらに好ましいビスアルケニル置換ナジイミドとしては、
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド);
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド);
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン;
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン;
が挙げられる。
以下、本発明を実施例、参考例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、参考例および比較例で用いる成分の名称を略号で示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
化合物(A)、化合物(B)または化合物(B’)等の原料
EtOH :エタノール
ODPA :3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
BAPP :2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
DDS :3,3−ジアミノジフェニルスルホン
4−EPA:4−エチニルフタル酸無水物
MA :マレイン酸無水物
CA :シトラコン酸無水物
APSE :3−アミノプロピルトリエトキシシラン
SMA1000:下記式で表される化合物
Figure 0005942348
FM3311:「FM−3311」(チッソ(株)製)
化合物(A)
EtODPA:下記式で表される化合物
Figure 0005942348
反応容器に、EtOH(100.63g)およびODPA(1.09g)を添加して、40℃のウォーターバスにて12時間撹拌した。反応後の反応溶液を減圧濃縮して、EtODPAからなる固形物を得た。
化合物(A)
EtSMA1000:下記式で表される化合物
Figure 0005942348
反応容器に、EtOH(100.21g)およびSMA1000(1.01g)を添加して、40℃のウォーターバスにて72時間撹拌した。反応後の反応溶液を減圧濃縮して、EtSMA1000からなる固形物を得た。
溶媒(C)
EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
GBL:γ−ブチロラクトン
界面活性剤
FM3311/MA:FM−3311とMAとをモル比(FM−3311:MA)=1:2にて固形分20%重量部となるようにEDM中で反応させたアミック酸溶液
重量平均分子量の測定方法
化合物(B)および(B’)のMwは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)で化合物(B)または化合物(B’)の固形分濃度が約1質量%になるように希釈し、GPC装置として、日本分光(株)製、JASCO GULLIVER 1500(インテリジェント示差屈折率計 RI−1530)を用い、東ソー株(株)製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序で接続してなるものを用いて、測定条件は、カラム温度40℃、流速1.0ml/minとする。以上の条件で、得られた希釈液を展開剤として用い、GPC法により測定して、ポリスチレン換算することにより、Mwを求めることができる。
〔インクジェット用インクの調製〕
参考例1]
反応容器に、BAPP(0.80305g、1.96mmol)、ODPA(0.30345g、0.98mmol)およびEtODPA(0.39355g、0.98mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(1.75g)およびGBL(1.75g)を添加して、室温で2時間撹拌した。下記反応式(1)のようにBAPPおよびODPAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物を含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(1)とした。インク(1)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は62.0mPa・sであった。インク(1)の見かけの重量平均分子量は2,383であった。
Figure 0005942348
インク(1)3gにEDM(0.75g)、GBL(0.75g)およびFM3311/MA(0.00675g)を添加して、固形分濃度20質量%のインクジェット用インク(1’)を得た。インク(1’)の粘度は13.7mPa・sであった。
[実施例2]
反応容器に、BAPP(4.7653g、11.6mmol)、ODPA(0.9003g、2.90mmol)、EtODPA(2.3353g、5.81mmol)および4−EPA(0.9991g、5.81mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(10.5g)およびGBL(10.5g)を添加して、室温で2時間撹拌した。下記反応式のようにBAPP、ODPAおよび4−EPAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物と、化合物(B)および(B’)としてBAPP、ODPAおよび4−EPAの反応付加物と、BAPPおよび4−EPAの反応付加物とを含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(2)とした。インク(2)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は32.3mPa・sであった。インク(2)の見かけの重量平均分子量は1,307であった。
Figure 0005942348
インク(2)3gにEDM(0.3g)、GBL(0.3g)およびFM3311/MA(0.0054g)を添加して、固形分濃度25質量%のインクジェット用インク(2’)を得た。インク(2’)の粘度は18.2mPa・sであった。
[実施例3]
反応容器に、BAPP(1.390g、3.39mmol)、ODPA(0.2626g)、EtODPA(0.6812g、1.69mmol)およびMA(0.1660g、1.69mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.75g)およびGBL(3.75g)を添加して、室温で2時間撹拌した。下記反応式のようにBAPP、ODPAおよびMAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物と、化合物(B)および(B’)としてBAPP、ODPAおよびMAの反応付加物と、BAPPおよびMAの反応付加物とを含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液にFM3311/MA(0.015g)を加えてインクジェット用インク(3)とした。インク(3)の固形分濃度は25質量%であり、粘度は12.2mPa・sであり、インク(3)の見かけの重量平均分子量は1,185であった。
Figure 0005942348
[実施例4]
反応容器に、CA(8.069g、71.99mmol)およびAPSE(15.938g、71.99mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(6.001g)を添加し、180℃で3時間還流した(下記反応式参照)。新たな反応容器に、反応後の反応溶液(3.7667g)および参考例1で得られたインクジェット用インク(1)(1.9980g)を仕込み、溶媒としてEDM(1.4552g)、界面活性剤としてFM3311/MA(0.0052g)を添加して、インクジェット用インク(4)を得た。インク(4)の固形分濃度は50質量%であり、粘度は13.8mPa・sであった。
Figure 0005942348
参考例5]
反応容器に、BAPP(1.5424g、3.76mmol)、ODPA(0.5828g、1.88mmol)およびEtSMA1000(0.8748g、0.16mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.5g)およびGBL(3.5g)を添加して、室温で2時間撹拌した。上記反応式(1)のようにBAPPおよびODPAの反応が進み、化合物(A)としてEtSMA1000を、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物を含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(5)とした。インク(5)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は120.0mPa・sであった。
インク(5)3gにEDM(0.75g)、GBL(0.75g)およびFM3311/MA(0.00675g)を添加して、固形分濃度20質量%のインクジェット用インク(5’)を得た。インク(5’)の粘度は18.0mPa・sであった。
参考例6]
反応容器に、BAPP(1.6493g、4. 018mmol)、ODPA(0.6232g、2.008mmol)およびEtODPA(0.7275g、1.809mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.5g)およびGBL(3.5g)を添加して、室温で2時間撹拌した。上記反応式(1)のようにBAPPおよびODPAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物を含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(6)とした。インク(6)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は66.4mPa・sであった。インク(6)の見かけの重量平均分子量は2,120であった。
インク(6)3gにEDM(0.75g)、GBL(0.75g)およびFM3311/MA(0.00675g)を添加して、固形分濃度20質量%のインクジェット用インク(6’)を得た。インク(6’)の粘度は16.5mPa・sであった。
参考例7]
反応容器に、BAPP(1.5610g、3.803mmol)、ODPA(0.5898g、1. 901mmol)およびEtODPA(0.8491g、2.110mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.5g)およびGBL(3.5g)を添加して、室温で2時間撹拌した。上記反応式(1)のようにBAPPおよびODPAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物を含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(7)とした。インク(7)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は56.0mPa・sであった。インク(7)の見かけの重量平均分子量は2,083であった。
インク(7)3gにEDM(0.75g)、GBL(0.75g)およびFM3311/MA(0.00675g)を添加して、固形分濃度20質量%のインクジェット用インク(7’)を得た。インク(7’)の粘度は12.4mPa・sであった。
[比較例1]
反応容器に、ODPA(1.3644g、4.40mmol)、DDS(0.2576g、1.04mmol)およびAPSE(1.3780g、6.22mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.5g)、GBL(3.5g)およびFM3311/MA(0.015g)を添加して、インクジェット用インク(C1)を得た。インク(C1)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は13.0mPa・sであった。
[比較例2]
反応容器に、ODPA(3.8738g、12.49mmol)、BAPP(5.1262g、12.49mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(10.5g)およびGBL(10.5g)添加して、インクジェット用インク(C2)を得た。インク(C2)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は非常に高く、計測不能だった。
[比較例3]
反応容器に、ODPA(1.5495g、4.99mmol)、BAPP(2.0505g、4.99mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(13.2g)およびGBL(13.2g)添加して、インクジェット用インク(C3)を得た。インク(C3)の固形分濃度は12質量%であり、粘度は3855mPa・sであった。
[比較例4]
反応容器に、BAPP(1.7188g、4.187mmol)、ODPA(0.6494g、2. 093mmol)およびEtODPA(0.6317g、1.570mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.5g)およびGBL(3.5g)を添加して、室温で2時間撹拌した。上記反応式(1)のようにBAPPおよびODPAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物を含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(C4)とした。インク(C4)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は67.5mPa・sであった。インク(C4)の見かけの重量平均分子量は2,256であった。
インク(C4)3gにEDM(0.75g)、GBL(0.75g)およびFM3311/MA(0.00675g)を添加して、固形分濃度20質量%のインクジェット用インク(C4’)を得た。インク(C4’)の粘度は18.2mPa・sであった。
[比較例5]
反応容器に、BAPP(1.4781g、3.601mmol)、ODPA(0.5585g、1.800mmol)およびEtODPA(0.9634g、2.394mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.5g)およびGBL(3.5g)を添加して、室温で2時間撹拌した。上記反応式(1)のようにBAPPおよびODPAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物を含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(C5)とした。インク(C5)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は78.0mPa・sであった。インク(C5)の見かけの重量平均分子量は2,048であった。
インク(C5)3gにEDM(0.75g)、GBL(0.75g)およびFM3311/MA(0.00675g)を添加して、固形分濃度20質量%のインクジェット用インク(C5’)を得た。インク(C5’)の粘度は20.1mPa・sであった。
[比較例6]
反応容器に、BAPP(1.8486g、4.503mmol)、ODPA(0.6985g、2.252mmol)およびEtODPA(0.453g、1.126mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.5g)およびGBL(3.5g)を添加して、室温で2時間撹拌した。上記反応式(1)のようにBAPPおよびODPAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物を含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(C6)とした。インク(C6)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は49.8mPa・sであった。インク(C6)の見かけの重量平均分子量は2,389であった。
インク(C6)3gにEDM(0.75g)、GBL(0.75g)およびFM3311/MA(0.00675g)を添加して、固形分濃度20質量%のインクジェット用インク(C6’)を得た。インク(C6’)の粘度は12.4mPa・sであった。
[比較例7]
反応容器に、BAPP(1.2723g、3.099mmol)、ODPA(0.4807g、1.550mmol)およびEtODPA(1.247g、3.099mmol)を仕込み、溶媒としてEDM(3.5g)およびGBL(3.5g)を添加して、室温で2時間撹拌した。上記反応式(1)のようにBAPPおよびODPAの反応が進み、化合物(A)としてEtODPAを、化合物(B)としてBAPPおよびODPAの反応付加物を含む反応溶液を得た。反応後の反応溶液をインクジェット用インク(C7)とした。インク(C7)の固形分濃度は30質量%であり、粘度は37.2mPa・sであった。インク(C7)の見かけの重量平均分子量は2,173であった。
インク(C7)3gにEDM(0.75g)、GBL(0.75g)およびFM3311/MA(0.00675g)を添加して、固形分濃度20質量%のインクジェット用インク(C7’)を得た。インク(C7’)の粘度は11.0mPa・sであった。
〔ポリイミド膜の形成〕
塗布装置として、インクジェット塗布装置DMP−2831(FUJIFILM Dimatix社製)を用いた。塗布条件を1ドット幅でドットピッチ25μmに設定し、インクジェットヘッドのヒーターを30℃に、ピエゾ電圧を20Vに、駆動周波数を5kHzに設定した。以上の条件で、実施例、参考例および比較例で得られたインクを用いて、1.5mm厚のガラス基板上に長さ5cmのライン塗布を常温(25℃)で行った。
参考例1、実施例〜3、参考例5〜7]および[比較例1〜7]では、塗布後の基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、300℃のオーブンで60分間加熱して、ライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜を得た。[実施例4]では、塗布後の基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、180℃のオーブンで60分間加熱して、ポリイミド膜を得た。
得られたインクおよびポリイミド膜の特性は、以下のようにして評価した。なお、特記しない限り、実施例、参考例および比較例で得られたインクジェット用インクを以下では単に「インク」と記載する。
例えば参考例1では、ポリイミド膜のライン幅は60μmであり、エッジの直線性はギザギザしておらず良好であり、ラインの膜厚は1.2μmであった。参考例1の結果と併せて、その他の結果も表1および表2に示す。
(i)粘度
インクの粘度は、25℃にて、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)を用いて測定した。
(ii)重量平均分子量
インクの見かけの重量平均分子量は、以下のようにして測定した。ジメチルホルムアミド(DMF)で固形分濃度が約1質量%になるようにインクを希釈した。GPC装置として、日本分光(株)製、JASCO GULLIVER 1500(インテリジェント示差屈折率計 RI−1530)を用いた。カラムは、東ソー(株)製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序で接続してなるものを用いた。測定条件は、カラム温度40℃、流速1.0ml/minであった。以上の条件で、得られた希釈液を展開剤として用い、GPC法により測定して、ポリスチレン換算することにより、重量平均分子量を求めた。インクの見かけの重量平均分子量は、化合物(B)および(B’)の重量平均分子量の目安となる。
(iii)ポリイミド膜のライン幅およびエッジの直線性
ポリイミド膜のライン幅およびエッジの直線性は、光学顕微鏡を用いて観察した。
(iv)ポリイミド膜のラインの膜厚
ポリイミド膜の膜厚の測定には、触針式段差計XP−200(Ambios Technology社製)を使用した。3箇所の測定結果を平均して、ポリイミド膜のラインの膜厚とした。
(v)体積抵抗率、誘電率および耐電圧(電気的特性)
スピンコート法によりクロム基板上にインクを塗布して、80℃で5分間乾燥させた。さらに基板をオーブンに入れて、[参考例1、実施例〜3、参考例5〜7]および[比較例1〜7]では300℃で30分間、[実施例4]では180℃で60分間加熱して、膜厚およそ2μmのポリイミド膜を形成した。その後、ポリイミド膜上にアルミニウムを蒸着させ、電極を作成した。
誘電率は、プレシジョンLCRメーター E4980A(Agilent Technologies社製)を用いて測定した。体積抵抗率および耐電圧は、ディジタル超絶縁/微少電流計 DSM−8104(日置電機(株)製)を用いて測定した。
(vi)線膨張係数(熱的特性)
アプリケーターを用いてインクを基材(アルミホイル)上に塗布し、ホットプレートを用いて、80℃で5分間乾燥させた。さらに基材をオーブンに入れて、[参考例1、実施例〜3、参考例5〜7]および[比較例1〜7]では300℃で30分間、[実施例4]では180℃で60分間加熱して、基材の片面にポリイミド膜を形成した。なお、得られたポリイミド膜が脆く、試験片を得られなかったものは測定不能とした。基材からポリイミド膜を剥離した後、熱・応力・歪測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、TMA/SS6100)を用いて熱線膨張係数を測定した。
測定条件を下記に示す。
試料長さ:10mm
試料幅:3mm
昇温開始温度:30℃
昇温終了温度:300℃
昇温速度:10℃/min
雰囲気:空気中
線膨張係数の算出:50〜125℃(ファーストスキャン)
(vii)5%重量減温度(熱的特性)
5%重量減温度は、線膨張係数測定用の試料片および示差熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメント社製、SSC5200)を用いて測定した。
測定条件を下記に示す。
昇温開始温度:30℃
昇温終了温度:500℃
昇温速度:10℃/min
雰囲気:空気中
(viii)ポリイミド膜の弾性率および破断強度(機械的特性)
試験に使用するポリイミド膜を、(vi)線膨張係数(熱的特性)と同様の方法で形成した。得られたポリイミド膜が脆く、試験片を得られなかった場合には測定不能とした。ポリイミド膜の弾性率および破断強度の測定には、静的材料試験機EZGraph((株)島津製作所製)を使用した。3回の測定結果を平均して、ポリイミド膜の弾性率および破断強度とした。
(ix)ポリイミド膜の180°ピール強度(機械的特性)
インクジェット装置を用いてアルミ基板上にインクを印刷し、80℃で5分間乾燥させた。さらに基板をオーブンに入れて、[参考例1、実施例〜3、参考例5〜7]および[比較例1〜7]では300℃で30分間、[実施例4]では180℃で60分間加熱して、膜厚およそ2μmのポリイミド膜を形成した。ピール強度の測定には、静的材料試験機EZGraph((株)島津製作所製)を使用した。得られたポリイミド膜からアルミ基板をはがす際にかかった力を測定した。なお、得られたポリイミド膜が脆く、試験片を得られなかったものは測定不能とした。3回の測定結果を平均し、ピール強度を算出した。
以上の実施例、参考例および比較例の評価結果を表1および表2に記す。
Figure 0005942348
Figure 0005942348
本発明のインクジェット用インクから得られたポリイミド膜の活用法として、例えば、フレキシブル配線基板用絶縁膜、半導体素子用絶縁膜、およびそれらを有する電子部品が挙げられる。

Claims (16)

  1. (A)一般式(1)で表される化合物(以下「化合物(A)」ともいう。)と、
    (B)一般式(2)で表される化合物(以下「化合物(B)」ともいう。)と
    (B’)一般式(5)〜(9)で表される化合物から選択される少なくとも1種と
    を含むインクであり、
    前記インク中に含まれる、化合物(A)の−COOR2および−COOR3の組の合計モル数をα、化合物(B)の−NH−R5の合計モル数をβとしたときに、αおよびβが式(I):0.75<α/β<1.33を満たす、
    熱硬化性インクジェット用インク。
    Figure 0005942348
    [式(1)中、nは1以上の整数であり、
    n=1のとき、R1は炭素数2〜10の二価の有機基であり、
    n=2のとき、R1は炭素数4〜40の四価の有機基であり、
    n=3のとき、R1は炭素数6〜60の六価の有機基であり、
    n≧4の整数のとき、R1は炭素数2n〜30nの2×n価の有機基であり、
    2は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数6〜12の芳香族基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R3は水素またはトリメチルシリルであり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 0005942348
    [式(2)中、R4は一般式(3)または(4)で表される基であり、R5は水素または炭素数1〜100の一価の脱離可能な有機基であり、R5’は−NH−R5または−NH−CO−R6−COOH(R6は炭素数2〜98の二価の有機基である)で表される基である。]
    Figure 0005942348
    [式(3)および(4)中、R7は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R8は炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、mは0〜1000の整数である。]
    Figure 0005942348
    [式(5)中、複数あるR 6 はそれぞれ独立に炭素数2〜98の二価の有機基であり、R 7 は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R 8 は炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、nは0〜1000の整数である。]
    Figure 0005942348
    [式(6)および(7)中、複数あるR 6 はそれぞれ独立に炭素数2〜98の二価の有機基であり、R 7 は炭素数2〜100の二価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、R 8 は炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく、nは1〜1000の整数であり、mは0〜1000の整数である。]
    Figure 0005942348
    [式(8)および(9)中、R 6 は炭素数2〜98の二価の有機基であり、R 9 は炭素数2〜100の一価の有機基である。]
  2. 前記式(1)中、nが2であり、R1が炭素数4〜40の四価の有機基であり、
    前記式(2)中、R5が水素である、
    請求項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
  3. 前記式(1)中のR1がテトラカルボン酸二無水物の残基であり、
    前記式(3)〜(4)中のR8がテトラカルボン酸二無水物の残基である、
    請求項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
  4. 溶媒(C)をさらに含む、
    請求項1〜の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
  5. 溶媒(C)が、乳酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる1種以上を含有する溶媒である、請求項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
  6. エポキシ樹脂をさらに含む、
    請求項1〜の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
  7. エポキシ樹脂が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび式(D1)〜(D5)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物である、請求項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
    Figure 0005942348
    [式(D4)および(D5)中、nは0〜20の整数である。]
  8. 界面活性剤を0.00001質量%以上、1.0質量%以下の範囲でさらに含む、
    請求項1〜の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
  9. トリスアルケニル置換ナジイミド化合物およびテトラアルケニル置換ナジイミド化合物から選ばれる少なくとも1種のアルケニル置換ナジイミド化合物をさらに含む、
    請求項1〜の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
  10. 顔料をさらに含む、
    請求項1〜の何れか一項に記載の熱硬化性インクジェット用インク。
  11. 請求項1〜10の何れか一項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および
    前記塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程
    を有する、インクの塗布方法。
  12. 基板を表面処理する工程、
    前記表面処理がなされた基板上に、請求項1〜10の何れか一項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および
    前記塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程
    を有する、インクの塗布方法。
  13. 請求項11または12に記載のインクの塗布方法を用いる、ポリイミド膜の製造方法。
  14. 請求項1〜10の何れか一項に記載のインクジェット用インクを用いて形成されたポリイミド膜。
  15. 請求項14に記載のポリイミド膜を有する、フィルム基板、半導体ウェハまたは電子材料用基板。
  16. 請求項15に記載のフィルム基板、半導体ウェハまたは電子材料用基板を有する電子部品。
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