JP5407151B2 - インクジェット用インク - Google Patents
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Description
インクジェット用インクは各種提案されているが(例えば、特許文献4〜5参照。)、ポリイミド系のインクジェットインクを調製しようとすると、インク組成物に含まれる溶媒がN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒に限定されてしまうため、インクジェットヘッドの耐久性低下やジェッティングの精度低下を招く。特に、フレキシブル基板を用いた場合は、屈曲性(該フレキシブル基板を垂直に立て、両端を把持し、両端を交互に上下移動させたとき、該フレキシブル基板や基板上の回路が折曲したり、切断したりしないか否かの特性のことであって、摺動特性ともいわれる。)に問題が生じる場合が多いため、屈曲性の良好なポリイミド膜が望まれている。
例えば、ポリアミド酸の重量平均分子量を10,000〜50,000に制御することによりインクの低粘度化を図り、ポリアミド酸の含有量を大きくすることが提案されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、フレキシブル基板を用いた場合の屈曲性については、上記分子量範囲では得られる膜の機械的強度が不十分である。
下記式(2)で表される構成単位を有し、下記式(21)で表される基および下記式(22)で表される基からなる群から選ばれる1以上の分子末端基を有する重量平均分子量1,000〜7,500のポリアミド酸(B)、および
溶媒(C)を含むインクジェット用インク。
ポリアミド酸(B)が、少なくとも、モノアミン(a5)及び酸無水物基を1つ有する化合物(a6)からなる群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)と、ジアミン(a4)とから得られる、
上記[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)として3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン(a4)として4,4'−ジアミノジフェニルスルホンと、モノアミン(a5)として3−アミノプロピルトリエトキシシランとから得られる、重量平均分子量1,000〜3,500のポリアミド酸(B)と、そして、
溶媒(C)としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン及びγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、
を含むインクジェット用インク。
本発明のインクジェット用インクから形成されたポリイミド膜は、例えば、耐熱性、電気絶縁性が高く、電子部品の信頼性、歩留まりを向上させることができる。
本発明のインクジェット用インクは、ポリアミド酸(A)とポリアミド酸(B)と溶媒(C)とを含むインクジェット用インクである。本発明のインクジェット用インクは、無色であっても有色であってもよい。
インクジェット用インクの粘度は特に限定されないが、常温(25℃)でジェッティングを行う場合は、その粘度が1〜50mPa・sであると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する点で好ましい。また、25℃におけるインクジェット用インクの粘度は、より好ましくは5〜30mPa・s、さらに好ましくは8〜20mPa・s(25℃)である。インクヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、加熱温度(好ましくは40〜120℃)におけるインクジェット用インクの粘度は1〜50mPa・sが好ましく、5〜30mPa・sであればさらに好ましく、8〜20mPa・sが特に好ましい。
ここで、インクジェット用インクの粘度は、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELDを用いて、25℃で計測されたものである。
1.1 ポリアミド酸(A)
上記式(1)中のR1は、構成単位ごとにそれぞれ独立して4価の炭素数2〜100の有機基であり、R2は、構成単位ごとにそれぞれ独立して2価の炭素数2〜100の有機基である。4価及び2価共に「炭素数2〜100の有機基」は、好ましくは炭素数3〜70の有機基であり、より好ましくは炭素数4〜50の有機基である。
この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
ポリアミド酸(A)は、たとえば、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させて合成できる。酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)0.9〜1.1モル用いることが好ましく、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)0.95〜1.05モル用いることがさらに好ましい。酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)1モル(等モル)用いることが特に好ましい。
たとえば、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させてポリアミド酸(A)を合成するために用いられる溶媒は、当該ポリアミド酸(A)が合成できれば特に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。これらの中でもγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドは、ポリアミド酸(A)の溶解性が高いので好ましい。これらの反応溶媒は単独でも、2種以上の混合溶媒としても使用できる。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とジアミン(a2)とを同時に反応溶媒に加える、ジアミン(a2)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)を添加する、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)を反応溶媒中に溶解させた後にジアミン(a2)を添加する、等いずれの方法も用いることができる。
インクジェット用インク中のポリアミド酸(A)の濃度は、0.5〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましく、2〜4重量%がさらに好ましい。ポリアミド酸(A)の濃度が、0.5〜20重量%の濃度範囲であると、インクジェット印刷可能な粘度範囲に調整することができる。更に、インクジェット用インクから形成された塗膜の機械的強度が強固であり、耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
重量平均分子量が65,000〜500,000であるポリアミド酸(A)が、均一な膜厚のポリイミド膜が得られ、得られるポリイミド膜の機械的強度が強固で、クラックが発生することなく屈曲性が良好であり、インクジェット用インクとして好ましい。65,000以上の重量平均分子量を有するポリアミド酸(A)は、得られるポリイミド膜の機械的強度が強固で、クラックが発生することなく屈曲性が良好であり、均一な膜厚のポリイミド膜が得られることから、インクジェット用インクとして好ましく用いることができる。一方、500,000以下の重量平均分子量を有するポリアミド酸(A)は、安定したインクジェット印刷が可能である。インクジェット用インクのインクジェット印刷性、及び得られるポリイミド膜の機械的強度をさらに向上させるために、ポリアミド酸(A)の重量平均分子量は65,000〜500,000であり、70,000〜210,000であることが好ましく、80,000〜180,000であることがさらに好ましい。
ポリアミド酸(A)の合成に用いられる酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)の具体例としては、スチレン−マレイン酸無水物共重合体、メタクリル酸メチル−マレイン酸無水物共重合体などの無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体や上記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)はアミノ基を2つ有していれば特に限定されるものではないが、例えば3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタンが挙げられる。また、例えば式(II)〜式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
A1は、−(CH2)m−であり、ここでmは1〜6の整数であり、
式(IV)及び式(VI)〜式(VIII)中、
A1は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−(CH2)m−、−O−(CH2)m−O−、−S−(CH2)m−S−であり、ここでmは1〜6の整数であり、
A2は、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−又は炭素数1〜3のアルキレンであり、
式(III)〜式(VIII)中、
シクロヘキサン環又はベンゼン環に結合している水素は、−F、−CH3と置き換えられていてもよい。
A3は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−又は−(CH2)m−(式中、mは1〜6の整数である)であり、
R6は、ステロイド骨格を有する基、シクロヘキサン環とベンゼン環とからなる群から選ばれる1以上を有する基、又は、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは炭素数2〜30のアルキル、もしくは該位置関係がメタ位のときは炭素数1〜10のアルキル又はフェニルであり、該アルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、−CH3が−CH2F、−CHF2又は−CF3で置き換えられていてもよく、該フェニルの環形成炭素に結合している水素は、−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2又は−OCF3と置き換えられていてもよい。
式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば式(IX-1)〜式(IX-11)で表されるジアミンが挙げられる。
式(XI)で表されるジアミンとしては、例えば式(XI-1)〜式(XI-4)で表されるジアミンが挙げられる。
式(XII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XII-1)〜式(XII-8)で表されるジアミンが挙げられる。
式(XIII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XIII-1)〜式(XIII-9)で表されるジアミンが挙げられる。
式(XIV)で表されるジアミンとしては、例えば式(XIV-1)〜式(XIV-3)で表されるジアミンが挙げられる。
また、ポリアミド酸(A)を合成するために用いることができるジアミン(a2)は、1種単独、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。すなわち、2種以上の組み合わせとしては、上記ジアミン同士、上記ジアミンとそれ以外のジアミン、又は、上記ジアミン以外のジアミン同士を用いることができる。
ベンゼン環のパラ位に2つのアミノ基が結合した芳香族ジアミンの具体例としては、式(V-1)、式(V-3)〜式(V-5)で表される芳香族ジアミンが挙げられる。2つのアニリンの4位が2価の有機基で連結された構造の芳香族ジアミンの具体例としては、式(VI-1)、式(VI-7)、式(VI-10)〜式(VI-13)、式(VI-27)、式(VII-1)〜式(VII-6)、式(VIII-1)〜式(VIII-11)、式(XI-1)、式(XI-2)、式(XII-1)、式(XII-2)、式(XII-5)、式(XII-7)、式(XII-8)、式(XIII-1)〜式(XIII-9)、及び式(XIV-1)〜式(XIIV-3)で表される芳香族ジアミンが挙げられる。特に好ましくは、式(V-1)、式(V-3)〜式(V-5)、式(VI-1)、式(VI-7)、式(VI-10)〜式(VI-13)、及び式(VI-27)で表される芳香族ジアミンが挙げられる。
ポリアミド酸(B)は、たとえば、モノアミン(a5)及び酸無水物基を1つ有する化合物(a6)からなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)と、ジアミン(a4)とを反応させて合成できる。
モノアミン(a5)を用いてポリアミド酸を得る場合(この場合に得られるポリアミド酸を「B1」ともいう)は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)1モルに対して、ジアミン(a4)0.01〜0.5モルおよびモノアミン(a5)1〜1.98モル用いて反応させることが好ましく、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)1モルに対して、ジアミン(a4)0.15〜0.25モルおよびモノアミン(a5)1.5〜1.7モル用いて反応させることがさらに好ましい。
また、酸無水物基を1つ有する化合物(a6)を用いてポリアミド酸を得る場合(この場合に得られるポリアミド酸を「B2」ともいう)は、ジアミン(a4)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)0.01〜0.5モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(a6)1〜1.98モル用いて反応させることが好ましく、ジアミン(a4)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)0.15〜0.25モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(a6)1.5〜1.7モル用いて反応させることがさらに好ましい。
さらに、モノアミン(a5)および酸無水物基を1つ有する化合物(a6)の両方を用いてポリアミド酸を得る場合(この場合に得られるポリアミド酸を「B3」ともいう)は、ポリアミド酸(B3)としては、例えば上記ポリアミド酸(B1)とポリアミド酸(B2)とを混合したものであってもよいし、あるいは上記ポリアミド酸(B1)とポリアミド酸(B2)とを合わせた原料組成となるように、モノアミン(a5)、酸無水物基を1つ有する化合物(a6)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)及びジアミン(a4)の各成分の仕込量を調整して、これらを反応させたものであってもよい。
ポリアミド酸(B)を合成するために用いられる溶媒は、当該化合物が合成できれば特に限定されるものではないが、例えば、上記ポリアミド酸(A)の合成に用いられる溶媒と同様のものが使用できる。具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN,N−ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。
これらの中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びγ−ブチロラクトンを用いると、インクジェットヘッドへのダメージが少ないインクとすることができるので好ましい。
これらの反応溶媒は単独でも、2種以上の混合溶媒としても使用できる。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。例えば、以下の添加順序があげられる。
添加順序の例1:モノアミン(a5)及び酸無水物基を1つ有する化合物(a6)からなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)と、ジアミン(a4)とを同時に反応溶媒に加える。
添加順序の例2:ジアミン(a4)とモノアミン(a5)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)を添加する。
添加順序の例3:ジアミン(a4)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a6)を添加する。
添加順序の例4:ジアミン(a4)とモノアミン(a5)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a6)を添加する。
添加順序の例5:酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a6)を反応溶媒中に溶解させた後にジアミン(a4)を添加する。
添加順序の例6:酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)を反応溶媒中に溶解させた後にジアミン(a4)とモノアミン(a5)を添加する。
添加順序の例7:酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a6)を反応溶媒中に溶解させた後にジアミン(a4)とモノアミン(a5)を添加する。
添加順序の例8:酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)とモノアミン(a5)をあらかじめ反応させた後にジアミン(a4)を添加する。
添加順序の例9:ジアミン(a4)と酸無水物基を1つ有する化合物(a6)をあらかじめ反応させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)を添加する。
添加順序の例10:酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)とモノアミン(a5)をあらかじめ反応させたもの、およびジアミン(a4)と酸無水物基を1つ有する化合物(a6)をあらかじめ反応させたものを混合する。
添加順序の例11:酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)とジアミン(a4)とをあらかじめ反応させて共重合体を合成した後に、その共重合体にモノアミン(a5)及び酸無水物基を1つ有する化合物(a6)からなる化合物の群から選ばれる1以上を添加する。
インクジェット用インク中のポリアミド酸(B)の濃度の合計量は、5〜50重量%が好ましく、10〜45重量%がさらに好ましく、15〜40重量%がさらに好ましい。ポリアミド酸(B)の濃度の合計量が、5〜50重量%の濃度範囲であると、インクジェット印刷可能な粘度範囲に調整することができる。
本発明において、ポリアミド酸(B)の溶媒に対する「溶解性」をさらに向上させるために、その重量平均分子量は1,000〜7,500であることが好ましく、1,000〜4,500であることがより好ましい。ポリアミド酸(B)が、この重量平均分子量の範囲にあると、溶媒に対する溶解性が優れていてインクジェット用インクとして好ましい。
さらに、ポリアミド酸(B)の重量平均分子量が、1,000〜3,500であることが特に好ましい。これは、1,000以上の重量平均分子量を有するポリアミド酸(B)は、加熱処理によってポリイミド膜を形成するステップにおいて蒸発するおそれが少なく、化学的・機械的により安定であり、3,500以下の重量平均分子量を有するポリアミド酸(B)は、溶媒に対する溶解性をさらに向上させることができるので、得られる塗膜の膜厚をさらに大きくすることが可能であり、インクジェット用インクとしてより好ましく用いることができるからである。
なお、ポリアミド酸(B)の重量平均分子量は、ポリアミド酸(A)と同様に、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。
ポリアミド酸(B)は、モノアミン(a5)がアミノシリコン化合物である場合、および/または酸無水物基を1つ有する化合物(a6)がシリコン含有カルボン酸無水物である場合、エポキシ樹脂、フェノール樹脂と併用すると、シランカップリング剤として作用して、金属と反応或いは錯体を形成するため、膜の密着性が高くなり耐半田クラック性が向上することが知られている。
さらに、本発明者らが鋭意検討した結果、ポリアミド酸(B)は、モノアミン(a5)がアミノシリコン化合物である場合、および/または酸無水物基を1つ有する化合物(a6)がシリコン含有カルボン酸無水物である場合、加熱により加水分解、脱水縮合して、イミド結合を有する固体生成物(ポリイミド)となり得る熱硬化性の化合物であることを見出した。
シリコン化合物の三次元架橋により膜が得られるため、従来の線状のポリイミドよりも加工が容易である。また、良好な耐熱性を示し、硬化に際してボイドやクラックの発生が少ないため、成形材料や積層材料のマトリックス樹脂として優れた特性を有している。
ポリアミド酸(B)の合成に用いられる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)は、上述したポリアミド酸(A)の合成に用いられる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と同様のものが使用でき、同様のものが好ましい。
ポリアミド酸(B)の合成に用いられる、ジアミン(a4)は、上述したポリアミド酸(A)の合成に用いられる、ジアミン(a2)と同様のものが使用でき、同様のものが好ましい。
ポリアミド酸(B)の合成に用いられるモノアミン(a5)は、アミンを1つ有していれば特に限定されないが、例えば、上記式(5)で表されるアミノシリコン化合物が挙げられる。このようなアミノシリコン化合物の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシラン及びm−アミノフェニルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。また、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、モノエタノールアミン、n−ブチルアミン、及びアニリン等も挙げることができる。
これらの中でも、得られる膜の耐久性が優れるという点から、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びp−アミノフェニルトリメトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。これらのノモアミンは一種単独で又は二種以上組み合わせても使用できる。
ポリアミド酸(B)合成に用いられる酸無水物基を1つ有する化合物(a6)は、酸無水物基を1つ有していれば特に限定されないが、例えば、上記式(6)で表されるシリコン含有カルボン酸無水物、及び下記式(6’)で表されるシリコン含有カルボン酸無水物が挙げられる。
インクジェット用インクは、例えば、ポリアミド酸(A)とポリアミド酸(B)を溶媒(C)に溶解して得ることができる。したがって、インクジェット用インクに含まれる溶媒は、ポリアミド酸(A)とポリアミド酸(B)を溶解することができる溶媒であれば特に制限されない。また、単独ではポリアミド酸(A)とポリアミド酸(B)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって、インクジェット用インクに含まれる溶媒(C)として用いることが可能である。
インクジェット用インク中の溶媒(C)の濃度の合計量は、30〜94.5重量%が好ましく、35〜90重量%がさらに好ましく、40〜80重量%がさらに好ましい。溶媒(C)の濃度の合計量が、30〜94.5重量%の濃度範囲であると、インクジェット印刷可能な粘度範囲に調整することができる。
インクジェット用インク中の水分量は特に限定されないが、10,000ppm以下が好ましく、5,000ppm以下がさらに好ましい。これらの水分量であると、インクジェット用インクの粘度変化が少なく保存安定性に優れるので好ましい。
目的とする特性によっては、インクジェット用インクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、トリメリット酸などのエポキシ硬化剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、染料などの添加剤を必要により選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
インクジェット用インクは、エポキシ樹脂をさらに含んでもよい。インクジェット用インクに含まれるエポキシ樹脂は、オキシランやオキセタンを有すれば特に限定されないが、オキシランを2つ以上有する化合物が好ましい。
また、オキシランを有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−フェニルマレイミド等を挙げることができる。
これらの中でも、商品名「アラルダイトCY184」、商品名「セロキサイド2021P」、商品名「テクモアVG3101L」、商品名「エピコート828」は、得られるポリイミド膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
インクジェット用インクは、アクリル樹脂をさらに含んでもよい。インクジェット用インクに含まれるアクリル樹脂は、アクリル基やメタクリル基を有すれば特に限定されない。
これらのアクリル樹脂は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
インクジェット用インクの塗布性の向上を望むときには、かかる目的に沿った界面活性剤を添加できる。界面活性剤の具体例としては、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤、商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)等のフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、又は塗布性を向上させるために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
帯電防止剤は、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物などの金属酸化物や四級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、帯電を防止するために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
カップリング剤は、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができる。添加されるカップリング剤はシランカップリング剤が好ましく、具体的には、トリアルコキシシラン化合物又はジアルコキシシラン化合物などを挙げることができる。好ましくは、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が例示できる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
カップリング剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜3重量部添加して用いられることが好ましい。
エポキシ硬化剤は、特に限定されるものではなく、公知のエポキシ硬化剤を用いることができる。具体的には、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物などが挙げられる。さらに具体的には、ジシアンジアミド等のジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等の有機酸ジヒドラジド、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチルイミダゾリル−(1')]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物などの酸無水物などが挙げられる。
中でも透明性が良好なトリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
エポキシ硬化剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.2〜5重量部添加して用いられることが好ましい。
上述するインクジェット用インクを、基板表面にインクジェットにより塗布し、ホットプレート、又はオーブン等で加熱処理して全面又は所定のパターン状(たとえばライン状)のポリイミド膜が形成される。また、ポリイミド膜の形成は、加熱処理に限定されず、UV処理やイオンビーム、電子線、ガンマ線などの処理でもよい。
インクジェット塗布方法には、インクの吐出方法により各種のタイプがある。吐出方法としては、たとえば圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型、連続噴射型、静電誘導型などが挙げられる。上述するインクジェット用インクは、インクに含まれる各成分を適正に選択することにより、様々な方法でジェッティングが可能であり、インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。
インクジェット塗布方法を用いて、基板上に、インクジェット用インクをインクジェットによって塗布した後、ホットプレート、又はオーブン等での加熱により溶媒を気化などさせて除去する、すなわち乾燥することによってポリアミド酸の膜を形成することができる。加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンを用いた場合5〜15分間、ホットプレートを用いた場合1〜5分間でポリアミド酸の膜が形成される。
ポリアミド酸の膜を形成後、ポリアミド酸をイミド化させるために180〜350℃、好ましくは200〜300℃で、オーブンを用いた場合30〜90分間、ホットプレートを用いた場合5〜30分間加熱処理することによってポリイミド膜を得ることができる。ポリアミド酸の膜がパターン状に形成されている場合には、パターン状のポリイミド膜が形成される。本明細書では、特に言及のない限り、ポリイミド膜は、パターン状のポリイミド膜を含むものとする。
本発明のフィルム基板は、例えば、インクジェット等の方法により配線が形成されたポリイミドフィルム等の基板上に、上述するインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって全面又は所定のパターン状(ライン状など)に塗布し、その後、該基板を乾燥し、さらに加熱処理などしてポリイミド膜を形成することにより、得られる。
例えば、予め配線が形成されたポリイミドフィルム等のフィルム基板上に、上述するインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布し、その後、該フィルム基板を乾燥し、さらに加熱することによって、絶縁性を有するポリイミド膜で被覆されたフレキシブルな電子部品が得られる。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
ODPA:3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3',4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
6FDA:2,2-[ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物
TDA :3,3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン琥珀酸
BPDA:3,3'−4,4'-ジフェニルテトラカルボン酸
BDA :1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物
DDE :4,4'−ジアミノジフェニルエーテル
DDM :4,4'−ジアミノジフェニルメタン
DDS :4,4'−ジアミノジフェニルスルホン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
BAPS:ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
S330:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
GBL:γ−ブチロラクトン
BC :エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた500mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下25℃で5hr攪拌したところ、淡黄色透明なポリアミド酸の12%重量溶液を得た。この溶液の粘度は5100mPa・s(25℃)であった。GPCで測定した重量平均分子量は117,000であった。この溶液をポリアミド酸(A−1)溶液とした。
ODPA 1.03g
BAPP 1.37g
GBL 17.60g
表1に示すとおりに原料を仕込むこと以外は合成例1と同じ条件でポリアミド溶液を調製し、ポリアミド酸(A−2)〜(A−9)溶液として使用した。
得られたポリアミド酸(A−2)〜(A−9)溶液の重量平均分子量、および25℃における粘度を合成例1と同じ条件で測定した。これらの測定結果は表1に示すとおりであった。
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた500mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下25℃で5hr攪拌したところ、ポリアミド酸の25重量%溶液を得た。この溶液の粘度は11.7mPa・s(25℃)であった。GPCで測定した重量平均分子量は2,100であった。この溶液をポリアミド酸(B)溶液とした。
ODPA 28.0g
DDS 5.6g
S330 30.0g
EDM 95.4g
GBL 95.4g
合成例1のポリアミド酸(A−1)溶液と合成例10のポリアミド酸(B)溶液およびEDMを、以下に示すとおりに混合し、2hr攪拌し、15.5重量%の溶液を得た。この溶液の粘度は10.3mPa・s(25℃)であった。この溶液をそのままインクジェット用インク(1)として使用した。
ポリアミド酸(A−1)溶液 3.0g
ポリアミド酸(B)溶液 6.0g
EDM 3.0g
ポリアミド酸(A−1) 0.36g
ポリアミド酸(B) 1.50g
溶媒(C) GBL 4.89g
EDM 5.25g
表2に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1と同じ条件でインクジェット用インクを調製し、インクジェット用インク(2)〜(4)として使用した。
得られたインクジェット用インク(2)〜(4)の25℃における粘度を実施例1と同じ条件で測定した。この測定結果は表2に示すとおりであった。
合成例5のポリアミド酸(A−5)溶液と合成例10のポリアミド酸(B)溶液を、以下に示すとおりに仕込み、2hr攪拌し、15.5重量%の溶液を得た。この溶液の粘度は99.8mPa・s(25℃)であった。この溶液をインクジェット用インクとして使用する場合は、粘度が20mPa・s以下となるように希釈し、インクジェット用インク(5)とした。希釈した溶液の粘度は9.9mPa・s、濃度は8.85重量%であった。
ポリアミド酸(A−5)溶液 6.0g
ポリアミド酸(B)溶液 6.0g
ポリアミド酸(A−5) 0.36g
ポリアミド酸(B) 1.50g
溶媒(C) NMP 3.54g
BC 2.10g
GBL 5.25g
EDM 8.25g
表2に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例5と同じ条件でインクジェット用インクを調製し、インクジェット用インク(6)、(7)として使用した。
得られたインクジェット用インク(6)、(7)の25℃における粘度を実施例1と同じ条件で測定した。この測定結果は表2に示すとおりであった。
合成例10のポリアミド酸(B)溶液を、そのままインクジェット用インク(E1)とした。
合成例1のポリアミド酸(A−1)溶液を、以下のように粘度20mPa・s以下となるように希釈し、インクジェット用インク(E2)とした。このインクの粘度は10.8mPa・S、濃度は4.0重量%であった。
ポリアミド酸(A−1)溶液 10g
EDM 5g
ポリアミド酸(A−1) 0.60g
溶媒(C) GBL 4.70g
EDM 9.70g
表2に示すとおりに原料を仕込むこと以外は比較例1と同じ条件でインクジェット用インクを調製し、インクジェット用インク(E3)として使用した。
得られたインクジェット用インク(E3)の25℃における粘度を実施例1と同じ条件で測定した。この測定結果は表2に示すとおりであった。
合成例9のポリアミド酸(A−9)溶液と合成例10のポリアミド酸(B)溶液を、以下に示すとおりに仕込み、2hr攪拌し、15.5重量%の溶液を得た。この溶液の粘度は31.5mPa・s(25℃)であった。この溶液をインクジェット用インクとして使用する場合は、粘度が20mPa・s以下となるように希釈し、インクジェット用インク(E4)とした。希釈した溶液の粘度は13.4mPa・s、濃度は12.4重量%であった。
ポリアミド酸(A−9)溶液 6.0g
ポリアミド酸(B)溶液 6.0g
ポリアミド酸(A−9) 0.36g
ポリアミド酸(B) 1.50g
溶媒(C) NMP 3.54g
BC 2.10g
GBL 2.25g
EDM 5.25g
(1)インクジェット印刷によるライン状ポリイミド膜の形成
実施例1で調製されたインクジェット用インク(1)をインクジェットインクとして使用し、FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP-2831で1.5mm厚のガラスエポキシ樹脂両面銅張り板上に1ドット幅でドットピッチ40、20ミクロンに設定し、長さ5cmのライン塗布を行った。インクジェットヘッドのヒーターの設定を30℃とし、ピエゾ電圧は16V、駆動周波数は5kHzとした。基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、ライン状に形成されたポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜のライン幅、ライン幅の均一性を光学顕微鏡で観察し、膜厚を測定した。膜厚はKLA-Tencor Japan株式会社製の触針式膜厚計αステップ200を使用し、3箇所の測定値の平均値を膜厚とした。得られたポリイミド膜の膜厚およびライン幅はそれぞれ0.7μm、100μmの均一な膜が得られた。
実施例1で合成されたインクジェット用インク(1)を基材(東レデュポン株式会社製カプトン200H(厚さ50μm))上にアプリケーターを用いて、塗布した。ホットプレートを用いて、50℃で30分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、基材の片面に製膜した。基材のTD方向(Transverse direction)が試験試料の長さ方向となるように、幅1.5cm、長さ13cmに裁断し、試験試料を作製した。
試験試料は、耐折性試験機(株式会社東洋精機製作所製、MIT−DA)を用いて、折り曲げ面の曲率半径0.38mm、折り曲げ角135°、張力4.9Nとし、毎分175回の速度で折り曲げをおこない、所定回数でのクラックの有無を観察したところ、折り曲げ回数1000回でクラックの発生は無く、◎評価であった。
屈曲性の結果は、以下のように評価した。
◎:1000回でクラックの発生しない場合
○:500回でクラックは発生しないが1000回でクラックが観察された場合
△:100回でクラックは発生しないが500回でクラックが観察された場合
折り曲げが○以上のインクジェット用インクを屈曲性が良好とした。
(1)インクジェット印刷によるライン状ポリイミド膜の形成
比較例1で調製されたインクジェット用インク(E1)をインクジェット用インクとして使用したこと以外は、実施例8と同じ条件でライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例8と同じ条件で評価を行った。その結果、ポリイミド膜のライン幅は70μmとなり、得られたポリイミド膜のラインの膜厚は1.2μmであり、充分な厚さが得られた。
比較例1で調製されたインクジェット用インク(E1)を使用したこと以外は、実施例8と同じ条件で耐折性試験試料を作製した。
試験試料は、実施例8と同じ条件で折り曲げをおこない、所定回数でのクラックの有無を観察したところ、折り曲げ回数1回でクラックが発生し、×評価であった。
(1)インクジェット印刷によるライン状ポリイミド膜の形成
比較例2で調製されたインクジェット用インク(E2)をインクジェット用インクとして使用したこと以外は、実施例8と同じ条件でライン状の絶縁性ポリイミド膜の形成を行った。その結果、高分子量成分が主成分のインクジェット用インクであったため、高分子鎖の伸長により曳糸性が現れ、インク液滴の形成過程に大きな影響を与え、均一なポリイミド膜を形成することができなかった。
比較例2で調製されたインクジェット用インク(E2)を使用したこと以外は、実施例8と同じ条件で耐折性試験試料を作製した。
試験試料は、実施例8と同じ条件で折り曲げをおこない、所定回数でのクラックの有無を観察したところ、折り曲げ回数1000回でクラックが発生せず、◎評価であった。
実施例2〜5で調製されたインクジェット用インク(2)〜(5)を使用したこと以外は実施例8と同じ条件でライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜を得た。さらに、実施例8と同じ条件で耐折性試験試料を作製し、折り曲げをおこない、所定回数でのクラックの有無を観察した。その結果を表4に示す。
比較例3及び4で調製されたインクジェット用インク(E3)及び(E4)を使用したこと以外は実施例8と同じ条件でライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜を得た。さらに、実施例8と同じ条件で耐折性試験試料を作製し、折り曲げをおこない、所定回数でのクラックの有無を観察した。その結果を表4に示す。
(1)インクジェット印刷によるライン状ポリイミド膜の形成
実施例6で調製されたインクジェット用インク(6)をインクジェット用インクとして使用したこと以外は、実施例8と同じ条件でライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜について、実施例8と同じ条件で評価を行った。その結果、得られたポリイミド膜のラインの膜厚は0.70μmであり、充分な厚さが得られた。
実施例6で調製されたインクジェット用インク(6)を使用したこと以外は、実施例8と同じ条件で耐折性試験試料を作製した。
試験試料は、実施例8と同じ条件で折り曲げをおこない、所定回数でのクラックの有無を観察したところ、折り曲げ回数100回でクラックが発生せず、○評価であった。
実施例7で調製されたインクジェット用インク(7)を使用したこと以外は実施例8と同じ条件でライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜を得た。さらに、実施例8と同じ条件で耐折性試験試料を作製し、折り曲げをおこない、所定回数でのクラックの有無を観察した。その結果を表4に示す。
Claims (17)
- 下記式(1)で表される構成単位を有する重量平均分子量65,000〜500,000のポリアミド酸(A)、
下記式(2)で表される構成単位を有し、下記式(21)で表される基および下記式(22)で表される基からなる群から選ばれる1以上の分子末端基を有する重量平均分子量1,000〜7,500のポリアミド酸(B)、および
溶媒(C)を含むインクジェット用インク。
- ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が70,000〜210,000であり、ポリアミド酸(B)の重量平均分子量が1,000〜5,000である請求項1に記載のインクジェット用インク。
- ポリアミド酸(A)を0.5〜20重量%、ポリアミド酸(B)を5〜50重量%、溶媒(C)を30〜94.5重量%含む、請求項1に記載のインクジェット用インク。
- ポリアミド酸(A)が、少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とから得られ、
ポリアミド酸(B)が、少なくとも、モノアミン(a5)及び酸無水物基を1つ有する化合物(a6)からなる群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)と、ジアミン(a4)とから得られる、
請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インク。 - 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)及び(a3)が、それぞれ独立して、下記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物、及び、酸無水物基を有するモノマーと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる1以上である、請求項4に記載のインクジェット用インク。
- ジアミン(a2)及び(a4)が、それぞれ独立して、下記式(4)で表されるジアミンである、請求項4又は5に記載のインクジェット用インク。
- モノアミン(a5)が、下記式(5)で表されるアミノシリコン化合物である、請求項4〜6のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 酸無水物基を1つ有する化合物(a6)が、下記式(6)で表されるシリコン含有カルボン酸無水物である、請求項4〜7のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 上記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、及びエタンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項5に記載のインクジェット用インク。
- 上記式(4)で表されるジアミンが、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン及び下記式(XV)で表される化合物からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項6に記載のインクジェット用インク。
- 上記式(5)で表されるアミノシリコン化合物が、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる1つ以上である、請求項7に記載のインクジェット用インク。
- 上記式(6)で表されるシリコン含有カルボン酸無水物が、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド及びトリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドからなる群から選ばれる1つ以上である、請求項8に記載のインクジェット用インク。
- 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)として3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン琥珀酸、3,3’−4,4’-ジフェニルテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物及び2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、ジアミン(a2)として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン及び4,4’−ジアミノジフェニルメタンからなる群から選ばれる少なくとも1種とから得られる、重量平均分子量70,000〜210,000のポリアミド酸(A)と、
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a3)として3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン(a4)として4,4’−ジアミノジフェニルスルホンと、モノアミン(a5)として3−アミノプロピルトリエトキシシランとから得られる、重量平均分子量1,000〜3,500のポリアミド酸(B)と、そして、
溶媒(C)としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン及びγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、
を含むインクジェット用インク。 - 請求項1〜13のいずれかに記載されたインクジェット用インクから得られた、ポリイミド膜又はパターン状ポリイミド膜。
- 請求項1〜13のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット方法によって塗布してポリアミド酸膜を形成する工程、及び、該ポリアミド酸膜を処理してポリイミド膜を形成する工程、を経て得られたポリイミド膜又はパターン状ポリイミド膜。
- 請求項14又は15に記載されたポリイミド膜又はパターン状ポリイミド膜を基板上に形成してなるフィルム基板。
- 請求項16に記載されたフィルム基板を有する電子部品。
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