JP2013226750A - 透湿防水性布帛および繊維製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マルチフィラメントを含む織物Aの片面に透湿防水層を積層し、さらにその上に、総繊度が25dtex以下のマルチフィラメントを含みかつリップストップ組織を有する織物Bを積層することにより、目付けが110g/m2以下の透湿防水性布帛を得る。
【選択図】なし
Description
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
その際、前記織物Aにはマルチフィラメントが含まれ、かつ、前記織物Bには総繊度が25dtex以下(好ましくは24dtex以下、より好ましくは5〜23dtex)のマルチフィラメントが含まれる。前記織物Aまたは前記織物Bにこれらのマルチフィラメントが含まれない場合は、透湿防水性布帛の軽量性が損なわれるおそれがある。前記織物Aに含まれるマルチフィラメントにおいて総繊度の限定はないが、総繊度が35dtex以下(好ましくは18dtex以下、より好ましくは5〜12dtex)であると透湿防水性布帛がさらに軽量となり好ましい。
また、前記織物Aまたは前記織物Bに含まれる前記マルチフィラメントにおいて、マルチフィラメントの形態としては、長手方向に繊維が連続するものであれば特に限定されず、生糸、撚糸、空気加工糸、仮撚捲縮加工糸、サイドバイサイド型複合繊維の潜在捲縮を発現させた捲縮糸などいずれでもよいが、軽量性を高める上で、仮撚捲縮加工糸であることが好ましい。その際、仮撚捲縮加工糸の捲縮率としては10〜30%であることが好ましい。
また、前記織物Aにおいて、織物組織としては、引裂き強力を高める上で織物組織点が多いほど好ましく、平組織または綾組織またはマット組織またはこれらの組合せ組織が好ましい。
ここで、リップストップ織物とは、細繊度糸条で織物のベースを構成し、太繊度糸条を経および/または緯(好ましくは経および緯の格子である。)に配した織物である。例えば、特開2005−048298号公報の図1、図2に例示される。その際、格子柄の大きさが6mm以下であることが好ましい。また、格子部分に配する太繊度糸条としては、総繊度が40dtex以上の糸条を1本配するか、総繊度が25dtex以下のマルチフィラメントを複数本、引き揃えた引き揃え糸または合撚した合撚糸が好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
なお、上記ポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤などが必要に応じて配合されていてもよい。
このようなポリエーテル−エステル系エラストマーが少なくとも布帛の片側面の一部にコーティングされるか、もしくは、ポリエーテル−エステル系エラストマーからなるフィルムが少なくとも基布の片側面にラミネートされていることが好ましい。
得られたフィルムは、種々の方法、例えば、熱処理、ミシン掛け、あるいは、接着剤の使用により、基布となる布帛とラミネートすることができる。好ましくは、接着剤である。
また、前記透湿防水層の上に、例えば無機微粒子を含む透湿性高分子樹脂が全面にまたは部分的に積層されていてもよい。また、透湿防水層には目止めテープが貼られていてもよい。
本発明の透湿防水性布帛において、織物Aと透湿防水層との間、または透湿防水層と織物Bとの間、または織物Aの表面の上、または織物Bの表面の上にさらに布帛、フィルム、コーテイング層などを積層してもよい。
かかる繊維製品は前記の透湿防水性布帛を用いているので、軽量であるにもかかわらず優れた引裂き強力を有する。
JIS L1096 6.4.1により目付け(g/m2)を測定した。
下記式によりカバーファクターCFを算出した。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
供試フィラメント糸条を、周長が1.125mの検尺機のまわりに巻きつけて、乾繊度が3333dtexのかせを調製した。前記かせを、スケール板の吊り釘に懸垂して、その下部分に6gの初荷重を付加し、さらに600g(588cN)の荷重を付加したときのかせの長さL0を測定した。その後、直ちに、前記かせから荷重を除き、スケール板の吊り釘から外し、このかせを沸騰水中に30分間浸漬して、捲縮を発現させる。沸騰水処理後のかせを沸騰水から取り出し、かせに含まれる水分をろ紙により吸収除去し、室温において24時間風乾した。この風乾されたかせを、スケール板の吊り釘に懸垂し、その下部分に、600g(588cN)の荷重をかけ、1分後にかせの長さL1aを測定し、その後かせから荷重を外し、1分後にかせの長さL2aを測定した。供試フィラメント糸条の捲縮率(CP)を、下記式により算出する。
CP(%)=((L1a−L2a)/L0)×100
JIS1096 D法により、織物の経方向と緯方向について引裂強力を測定した。
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸11dtex/12fil(捲縮率14%)を経糸および緯糸に用いて平組織の織物を織成した後、通常の染色工程にて分散染料により黒色に染色し、シリコーン系樹脂を含む撥水加工をすることにより織物A(目付け32gr/m2、カバーファクターCF1720)を得た。
また、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸22dtex/24fil(捲縮率16%)とポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸22dtex/24fil(捲縮率16%)の2本引き揃え糸を、32:1の配列で経糸および緯糸に用いてリップストップ組織の織物を織成した後、通常の染色工程にて分散染料により黒色に染色し、シリコーン系樹脂を含む撥水加工をすることにより、基布として織物Bとして(目付43gr/m2、カバーファクターCF1489)を得た。かかる織物Bにおいて、リップストップ組織の格子柄の大きさが、経方向に互に隣りあう格子間間隔が4.7mmで、緯方向に互に隣りあう格子間間隔5.4mmであった。
次いで、デュポン(株)製無孔質透湿性透明ポリエステルフィルム(商品名:アクティブレイヤー、厚み10μm)の一方表面に前記織物Aを、他方表面に前記織物Bを、通常のウレタン系接着剤を用いてラミネーションすることにより透湿防水性布帛を得た。
得られた布帛は、目付86g/m2で軽量性に優れており、引裂き強力は経方向10.2N、緯方向9.5Nで十分強いものであった。
次いで、該透湿防水性布帛を、織物Bが肌側に位置するよう用いてスポーツウェアを得て着用したところ、軽量であるにもかかわらず優れた引裂き強力を有するものであった。
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸22dtex/24fil(捲縮率16%)を使用して織物Aを織成すること以外は実施例1と同様に行った。
得られた布帛は、引裂き強力は経方向12.2N、緯方向11.2Nで十分強いものであったが、目付125g/m2であり軽量性に劣るものであった。
実施例1において、織物Bの織組織を平組織としたこと以外は実施例1と同様に行った。
得られた布帛は、織物BのカバーファクターCFが1460であり目付け81g/m2と軽量性に優れていたが、引裂き強力は経方向7.3N、緯方向6.8Nで弱いものであった。
Claims (11)
- 目付けが110g/m2以下の透湿防水性布帛であって、
マルチフィラメントを含む織物Aの片面に透湿防水層が積層され、さらにその上に、総繊度が25dtex以下のマルチフィラメントを含みかつリップストップ組織を有する織物Bが積層されてなることを特徴とする透湿防水性布帛。 - 前記織物Aに含まれる前記マルチフィラメントおよび/または前記織物Bに含まれる前記マルチフィラメントが仮撚捲縮加工糸である、請求項1に記載の透湿防水性布帛。
- 前記織物Aに含まれる前記マルチフィラメントおよび/または前記織物Bに含まれる前記マルチフィラメントがポリエステルからなる、請求項1または2に記載の透湿防水性布帛。
- 前記織物Aが平組織または綾組織またはマット組織またはこれらの組合せ組織を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の透湿防水性布帛。
- 前記織物Bにおいて、リップストップ組織の格子柄の大きさが20mm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の透湿防水性布帛。
- 前記織物Aおよび/または前記織物Bが、下記式により定義されるカバーファクターCFが400〜2500の織物である、請求項1〜5のいずれかに記載の透湿防水性布帛。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。] - 前記織物Aおよび/または前記織物Bにシリコーン樹脂が付与されている、請求項1〜6のいずれかに記載の透湿防水性布帛。
- 前記織物Aおよび/または前記織物Bに撥水加工が施されてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の透湿防水性布帛。
- 前記透湿防水層が、厚さ2〜30μmの透湿防水性ポリエステルフィルムを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の透湿防水性布帛。
- 透湿防水性布帛において、経方向および緯方向の引裂き強力がともに8N以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の透湿防水性布帛。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の透湿防水性布帛を用いてなる、スポーツウェア、アウトドアウェア、レインコート、紳士衣服、婦人衣服、作業衣、防護服、人工皮革、履物、鞄、カーテン、テント、寝袋、防水シート、およびカーシートの群より選ばれるいずれかの繊維製品。
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