JP2016215441A - 積層体布帛 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】織物、丸編、及びトリコットからなる群から選ばれ、合成マルチフィラメントからなる表面層(1層目)、不織布である中間層(2層目)、及び樹脂フィルム層である裏面層(3層目)の少なくとも3層を含む積層体布帛。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらの技術では、引裂強度が優れるものの、耐摩耗性が低く、洗濯後における風合や品位を維持することができない。
具体的には、特許文献1には、「表面層に織物、編物、不織布の一群の中から選ばれる一種を使用し、中層に樹脂フィルムまたは不織布を使用し、裏面層に編物を使用する」と記載されているが、特許文献1に記載された技術では、表面層に不織布を使用すると、引裂は向上するものの、洗濯後の品位が著しく悪くなる。
また、特許文献2には、「表面層1として織物、編物、不織布の群から選ばれる一種を使用し、中層2に樹脂フィルムを使用し、裏面層3に33デシテックス以下の合成繊維マルチフィラメント糸条からなり6.45cm2当たりの編目数が5,500〜12,000個のシングル丸編地を使用し、これらが積層」と記載されているが、特許文献2に記載された技術では、表面層に不織布を使用すると、引裂は向上するものの、洗濯後の品位が著しく悪くなる。
さらに、特許文献3には、不織布を中間層に配し、中間層の上層及び下層に熱可塑性樹脂を主体とする繊維を配した複合化シートと記載されているが、衣料として適する引裂強度は達成されていない。
かかる事項及び前記した従来技術の問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、衣料、特に、スポーツウェアやアウトドアウェア等の薄地軽量布帛において、引裂強度・滑脱抵抗が高く、毛羽立ちや破れが起こりにくく、耐久性に優れ、かつ、風合いにも優れる薄地軽量の布帛を提供することである。
[1]織物、丸編、及びトリコットからなる群から選ばれ、合成マルチフィラメントからなる表面層(1層目)、不織布である中間層(2層目)、及び樹脂フィルム層である裏面層(3層目)の少なくとも3層を含む積層体布帛。
[2]前記裏面層(3層目)である樹脂フィルム層側に、織物、編物、及びトリコットの中から選ばれ、合成マルチフィラメントからなる層を、さらに含む、前記[1]に記載の積層体布帛。
[3]前記表面層が織物であり、該織物を構成する繊維の繊度が5dtex〜35dtexであり、そして該織物の目付が10〜50g/m2である、前記[1]又は[2]に記載の積層体布帛。
[4]前記合成マルチフィラメントが、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体布帛。
[5]前記中間層(2層目)である不織布の目付が、10〜40g/m2である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体布帛。
[6]前記中間層(2層目)である不織布が、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリプロピレン系のいずれかである、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体布帛。
[7]前記裏面層(3層目)である樹脂フィルム層が、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂又はフッ素系樹脂のいずれかからなる、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体布帛。
[8]前記積層体布帛の引裂強度が、経緯とも10N以上であり、かつ、重さが150g/m2以下である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体布帛。
[9]前記積層体布帛の剥離強度が、5N/2.54cm以上である、前記[1]〜[8]いずれかに記載の積層体布帛。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体布帛を用いた衣料。
本実施形態の積層体布帛の表面層に使用する生地は、織物、丸編、及びトリコットからなる群から選ばれるいずれか一種である。
表面層の織物、丸編又はトリコットは、合成繊維マルチフィラメントから構成される。合成繊維の素材は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又はそれらの共重合体であるポリエステル系繊維、あるいはナイロン6、66、610、612又はその共重合体若しくはブレンド物である、ポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維等であることができる。例えば、積層体布帛を、強度、耐久性、軽量性などが重視される登山着に使用する場合は、ポリエステル繊維やポリアミド繊維から構成された織物を使用することが好ましい。
多孔質膜とは、例えば、径0.0004μmの水蒸気は透過し、径100μm以上の水滴は透過しない程度の径の微細孔を多数有し、高い透湿性と防水性を併せ持つ樹脂皮膜である。
また、無孔質膜とは、分子間の結合が弱い非晶質部分に水蒸気が入り込んでいくことにより透湿性が発揮されるものであり、無孔質であるため膜厚を薄くすることができることや高い防水性を有することが特徴である。
以下の実施例等においては以下の測定、評価方法、装置等を使用した。
JIS−L−1096 8.4.2 織物、丸編、トリコット、不織布、積層体の標準状態における単位面積当たりの質量により求めた。単位はg/m2である。
JIS−L−1096 8.15.5 D法(ベンジュラム法)により測定した。単位はNである。
JIS L 1089に記載の方法に準拠して経方向の剥離強度を測定した。なお、剥離強度測定の際には、表地と裏地をチャックで把持し、表地及び裏地間の剥離強度を測定したものである。単位はN/2.54cm(inch)である。
1層目と2層目、及び2層目と3層目の剥離強度を測定し、数値の小さい方を剥離強度とした。
JIS L−1096(高水圧法)に基づいて測定した。なお、表地及び裏地が編地のために、測定時に過剰な膨れが生じ、測定に支障を来すことが多々あるので、それを防止する目的で、経緯共に78dtex/24fナイロン6マルチフィラメント糸を用いた平織物の210本タフタ(経糸密度120本/inch、緯糸密度90本/inch)を積層布帛上に重ねて測定した。単位はmmである。
JIS−L−1096 8.27.1 A法(フラジール法)により測定した。単位はcc/cm2・secである。
洗濯処理JIS L 0217 103法 吊干し乾燥にて洗濯処理後、JIS L 1092 スプレー試験による撥水度を測定する。5段階で測定し撥水性が高いものから順に5、4、3、2、1級となる。
洗濯処理JIS L 0217 103法 吊干し乾燥にて洗濯処理後、JISに規定の摩擦試験機II形(学振形)の摩耗子に面ファスナーのフック側((株)クラレ製 マジックテープ(登録商標))を装着し、試験片台には20℃、65%RH環境下で調湿した試料を装着し、200gの荷重で1000回摩擦し、外観の毛羽立ち具合を下記基準で判定する。なお、試料の大きさは長さ3cm×幅30cmであり、摩耗面積は2cm×20cmである。試験は表面・裏面を経糸方向および緯糸方向にて行ない、悪い方の結果を総合判定結果とした。
1級:毛羽立ちが多数あり、毛羽が線状または面状に観察されるか又は50箇所以上の毛羽立ちが認められる。
2級:10箇所以上50箇所未満の毛羽立ちが認められる。
3級:3箇所以上10箇所未満の毛羽立ちが認められる。
4級:3箇所未満の毛羽立ちが認められる。
5級:毛羽立ちは認められない。
織物の洗濯は、JIS L 1096 8.64.4の織物の寸法変化に記載されているF−2法に準拠して実施した。洗濯10回は洗濯−脱水−乾燥を10回繰り返した場合であり、洗濯20回は20回繰り返した場合である。乾燥方法は吊干しにて行った。
表面層として、総繊度9dtex、フィラメント数5本のナイロン6,6マルチフィラメントを用いてフリクション仮撚りを行い、8dtex、フィラメント数5本、Z撚りの仮撚加工糸を得た。この糸を経糸と緯糸に用いてウォータージェットルームにより、経密度295本/インチ、緯密度195本/インチのリップストップ織物の生機を作製した。この生機に精練、中間セット、染色、続いて仕上げセットを行った。
中間層として、ナイロン6長繊維不織布(目付:20g/m2、又は30g/m2)を準備した。
3層目として、ポリウレタン系樹脂製の親水性樹脂フィルム(膜厚:無孔質樹脂14μm、又は多孔質樹脂23μm)を準備し、ラミネート法により、ポリウレタン系樹脂接着剤を用いて、表面層と中間層、及び中間層と3層目を接着して積層体を得た。
得られた積層体の特性等を、以下の表1に示す。
上記加工前の織物と不織布、不織布とポリウレタン系樹脂製の親水性多孔質樹脂フィルムとの積層は、市販の反応型ホットメルト接着剤を加熱溶融させ、グラビアロールにより点状に塗布した後、織物と不織布、不織布とポリウレタン系樹脂製の親水性多孔質樹脂フィルムを圧着し、湿気硬化させることによって接着加工した。
次に、積層された加工前の織物の表面に撥水処理を行い、3層構造の防水透湿性の複合織物を得た。
表面層として、総繊度18dtex、フィラメント数5本のナイロン6,6マルチフィラメントを用いてフリクション仮撚りを行い、13dtex、フィラメント数5本、Z撚りの仮撚加工糸を得た。この糸を経糸と緯糸に用いてウォータージェットルームにより、経密度250本/インチ、緯密度180本/インチのリップストップ織物の生機を作製した。この生機に実施例1〜4と同様に精練、中間セット、染色、続いて仕上げセットを行った。
また、仕上げセット後、加工前の織物と不織布、不織布とポリウレタン系樹脂製の親水性樹脂フィルムとの積層を実施例1〜4と同様に行った。
得られた積層体の特性等を以下の表1に示す。
表面層として、総繊度22dtex、フィラメント数17本のナイロン6フィラメントの生糸を経糸と緯糸に用いてウォータージェットルームにより、経密度185本/インチ、緯密度155本/インチのリップストップ織物の生機を作製した。この生機に実施例1〜4と同様に精練、中間セット、染色、続いて仕上げセットを行った。
また、仕上げセット後、加工前の織物と不織布、不織布とポリウレタン系樹脂製の親水性樹脂フィルムとの積層を実施例1〜4と同様に行った。
得られた積層体の特性等を以下の表1に示す。
表面層として、総繊度33dtex、フィラメント数26本のナイロン6、6フィラメントの生糸を経糸と緯糸に用いてウォータージェットルームにより、経密度140本/インチ、緯密度140本/インチのリップストップ織物の生機を作製した。この生機に実施例1〜4と同様に精練、中間セット、染色、続いて仕上げセットを行った。
また、仕上げセット後、加工前の織物と不織布、不織布とポリウレタン系樹脂製の親水性樹脂フィルムとの積層を実施例1〜4と同様に行った。
得られた積層体の特性等を以下の表1に示す。
実施例9〜12と同様に生機を作製し、同様に精練、中間セット、染色、続けて仕上げセットを行った。
不織布及びポリウレタン系樹脂製の親水性樹脂フィルムについても、実施例1〜4と同様に準備をしたが、表面層が織物、中間層がポリウレタン系樹脂製の親水性多孔質樹脂フィルム、3層目が不織布となるように接着加工を行った以外は実施例1〜4と同様に積層した。
得られた積層体の特性等を以下の表2に示す。
比較例1〜4の積層体は、不織布が裏面層(3層目)にあるため、裏面の摩耗性が悪かった。
比較例1〜4と同様に生機を作製し、同様に精練、中間セット、染色、続けて仕上げセットを行った。
裏面層として、ポリウレタン系樹脂製の親水性樹脂フィルム(膜厚:無効質14μm、多孔質23μm)を準備し、ラミネート法により、ポリウレタン系接着剤を用いて、表面層と裏面層を接着し、3層目として不織布を積層せずに、積層体を得た。
得られた積層体の特性等を以下の表2に示す。
上記加工前の織物とポリウレタン系樹脂製の親水性多孔質樹脂フィルムとの積層は、市販の反応型ホットメルト接着剤を加熱溶融させ、グラビアロールにより点状に塗布した後、織物とポリウレタン系樹脂製の親水性多孔質樹脂フィルムを圧着し、湿気硬化させることによって接着加工した。
次いで、積層された加工前の織物の表面に撥水処理を行い、2層構造の防水透湿性の複合織物を得た。
比較例5、6の積層体は、中間層として不織布がないため、引裂強度が10N未満であった。
Claims (10)
- 織物、丸編、及びトリコットからなる群から選ばれ、合成マルチフィラメントからなる表面層(1層目)、不織布である中間層(2層目)、及び樹脂フィルム層である裏面層(3層目)の少なくとも3層を含む積層体布帛。
- 前記裏面層(3層目)である樹脂フィルム層側に、織物、編物、及びトリコットの中から選ばれ、合成マルチフィラメントからなる層を、さらに含む、請求項1に記載の積層体布帛。
- 前記表面層が織物であり、該織物を構成する繊維の繊度が5dtex〜35dtexであり、そして該織物の目付が10〜50g/m2である、請求項1又は2に記載の積層体布帛。
- 前記合成マルチフィラメントが、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体布帛。
- 前記中間層(2層目)である不織布の目付が、10〜40g/m2である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体布帛。
- 前記中間層(2層目)である不織布が、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリプロピレン系のいずれかである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体布帛。
- 前記裏面層(3層目)である樹脂フィルム層が、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂又はフッ素系樹脂のいずれかからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体布帛。
- 前記積層体布帛の引裂強度が、経緯とも10N以上であり、かつ、重さが150g/m2以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体布帛。
- 前記積層体布帛の剥離強度が、5N/2.54cm以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体布帛。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体布帛を用いた衣料。
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