JP2013211433A - フィルム型サーミスタセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面実装が可能であり、さらにフィルム等に非焼成で直接成膜することができるフィルム型サーミスタセンサを提供すること。
【解決手段】 絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム2の表面に形成された薄膜サーミスタ部3と、互いに対向した一対の対向電極部4aを薄膜サーミスタ部の上又は下に配して絶縁性フィルムの表面に形成された一対の表面パターン電極4と、絶縁性フィルムの裏面に一対の表面パターン電極の一部に対向して形成された一対の裏面パターン電極5とを備え、表面パターン電極と裏面パターン電極とが、絶縁性フィルムに貫通状態に形成されたビアホール2aを介して電気的に接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上に表面実装可能な温度センサとして好適なフィルム型サーミスタセンサに関する。
温度センサ等に使用されるサーミスタ材料は、高精度、高感度のために、高いB定数が求められている。従来、このようなサーミスタ材料には、Mn,Co,Fe等の遷移金属酸化物が一般的である(特許文献1及び2参照)。また、これらのサーミスタ材料では、安定なサーミスタ特性を得るために、600℃以上の焼成が必要である。
また、上記のような金属酸化物からなるサーミスタ材料の他に、例えば特許文献3では、一般式:M(但し、MはTa,Nb,Cr,Ti及びZrの少なくとも1種、AはAl,Si及びBの少なくとも1種を示す。0.1≦x≦0.8、0<y≦0.6、0.1≦z≦0.8、x+y+z=1)で示される窒化物からなるサーミスタ用材料が提案されている。また、この特許文献3では、Ta−Al−N系材料で、0.5≦x≦0.8、0.1≦y≦0.5、0.2≦z≦0.7、x+y+z=1としたものだけが実施例として記載されている。このTa−Al−N系材料では、上記元素を含む材料をターゲットとして用い、窒素ガス含有雰囲気中でスパッタリングを行って作製されている。また、必要に応じて、得られた薄膜を350〜600℃で熱処理を行っている。
特開2003−226573号公報 特開2006−324520号公報 特開2004−319737号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
近年、樹脂フィルム上にサーミスタ材料を形成したフィルム型サーミスタセンサの開発が検討されており、フィルムに直接成膜できるサーミスタ材料の開発が望まれている。すなわち、フィルムを用いることで、フレキシブルなサーミスタセンサが得られることが期待される。さらに、0.1mm程度の厚さを持つ非常に薄いサーミスタセンサの開発が望まれているが、従来はアルミナ等のセラミックス材料を用いた基板材料がしばしば用いられ、例えば、厚さ0.1mmへと薄くすると非常に脆く壊れやすい等の問題があったが、フィルムを用いることで非常に薄いサーミスタセンサが得られることが期待される。
従来、薄膜のサーミスタ材料層を形成した温度センサでは、フィルム表面にサーミスタ材料層と電極層とを積層して形成し、温度センサと外部の回路等との電気的接続は、フィルム表面の電極層にはんだ付け等で接続したリード線を介して行っている。しかしながら、この接続構造では、基板上に直接、温度センサを表面実装して電気的接続を行うことができないという不都合があった。
また、樹脂材料で構成されるフィルムは、一般的に耐熱温度が150℃以下と低く、比較的耐熱温度の高い材料として知られるポリイミドでも200℃程度の耐熱性しかないため、サーミスタ材料の形成工程において熱処理が加わる場合は、適用が困難であった。上記従来の酸化物サーミスタ材料では、所望のサーミスタ特性を実現するために600℃以上の焼成が必要であり、フィルムに直接成膜したフィルム型サーミスタセンサを実現できないという問題点があった。そのため、非焼成で直接成膜できるサーミスタ材料の開発が望まれているが、上記特許文献3に記載のサーミスタ材料でも、所望のサーミスタ特性を得るために、必要に応じて、得られた薄膜を350〜600℃で熱処理する必要があった。また、このサーミスタ材料では、Ta−Al−N系材料の実施例において、B定数:500〜3000K程度の材料が得られているが、耐熱性に関する記述がなく、窒化物系材料の熱的信頼性が不明であった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、表面実装が可能であり、さらにフィルムに非焼成で直接成膜することができるフィルム型サーミスタセンサを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るフィルム型サーミスタセンサは、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの表面に形成された薄膜サーミスタ部と、互いに対向した一対の対向電極部を前記薄膜サーミスタ部の上又は下に配して前記絶縁性フィルムの表面に形成された一対の表面パターン電極と、前記絶縁性フィルムの裏面に一対の前記表面パターン電極の一部に対向して形成された一対の裏面パターン電極とを備え、前記表面パターン電極と前記裏面パターン電極とが、前記絶縁性フィルムに貫通状態に形成されたビアホールを介して電気的に接続されていることを特徴とする。
このフィルム型サーミスタセンサでは、表面パターン電極と裏面パターン電極とが、薄膜サーミスタ部が形成された絶縁性フィルムに、貫通状態に形成されたビアホールを介して電気的に接続されているので、回路基板等に直接、表面実装することで、裏面パターン電極又は表面パターン電極が端子部となって電気的接続が可能である。したがって、薄くて表面実装が可能なフィルム型サーミスタセンサにより、温度計測の応答性が早くなると共に、回路基板等に実装されたIC等の下の狭い空間でも実装することが可能になる。これにより、ICの直下でICの温度を直接測定することも可能になる。
また、表裏面に端子部となる表面パターン電極と裏面パターン電極とが形成されているので、表裏の区別なく表面実装することができる。この際、表裏面のどちら側で実装しても、薄い絶縁性フィルムを用いているので、応答性に差が生じ難い。さらに、表面パターン電極と裏面パターン電極とがビアホールを介して接続されているので、アンカー効果によってはんだ実装時に絶縁性フィルムと表面パターン電極又は裏面パターン電極とが剥がれ難くなる。特に、ある程度曲げた状態でも設置可能な薄膜サーミスタ部を用いたフィルム型であるため、半導体技術に用いられるビアホールによる裏面への電気的接続だけでなく、曲げやたわみ状態においても、ビアホールのアンカー効果によって割れや剥がれの発生を抑制することができるというフィルム型センサ特有の効果を得ることができる。
第2の発明に係るフィルム型サーミスタセンサは、第1の発明において、前記ビアホールが、前記表面パターン電極毎に複数配され、少なくとも前記表面パターン電極又は前記裏面パターン電極の角部近傍に形成されていることを特徴とする。
すなわち、このフィルム型サーミスタセンサでは、ビアホールが、表面パターン電極毎に複数配され、少なくとも表面パターン電極又は裏面パターン電極の角部近傍に形成されているので、より高いアンカー効果を得ることができ、特に剥がれが生じ易いパターン電極の角部近傍の接着強度を向上させることができる。
第3の発明に係るフィルム型サーミスタセンサは、第1又は第2の発明において、前記薄膜サーミスタ部上に積層され樹脂で形成された保護膜を備えていることを特徴とする。
すなわち、このフィルム型サーミスタセンサでは、薄膜サーミスタ部上に積層され樹脂で形成された保護膜を備えているので、絶縁性フィルムの表面側を基板に向けて表面実装した場合やICの下に実装した場合でも、薄膜サーミスタ部を保護膜により基板やICに対して絶縁することができる。また、薄膜サーミスタ部が、絶縁性フィルムと保護膜との間に配されて厚み方向の略中心に位置するため、表裏の区別なく実装しても応答性にほとんど差が生じない。
第4の発明に係るフィルム型サーミスタセンサは、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする。
本発明者らは、窒化物材料の中でもAlN系に着目し、鋭意、研究を進めたところ、絶縁体であるAlNは、最適なサーミスタ特性(B定数:1000〜6000K程度)を得ることが難しいため、Alサイトを電気伝導を向上させる特定の金属元素で置換すると共に、特定の結晶構造とすることで、非焼成で良好なB定数と耐熱性とが得られることを見出した。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。
なお、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(Ti+Al))が0.70未満であると、ウルツ鉱型の単相が得られず、NaCl型相との共存相又はNaCl型相のみの相となってしまい、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(Ti+Al))が0.95をこえると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
また、上記「z」(すなわち、N/(Ti+Al+N))が0.4未満であると、金属の窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
さらに、上記「z」(すなわち、N/(Ti+Al+N))が0.5を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の正しい化学量論比は、N/(Ti+Al+N)=0.5であることに起因する。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るフィルム型サーミスタセンサによれば、表面パターン電極と裏面パターン電極とが、薄膜サーミスタ部が形成された絶縁性フィルムに、貫通状態に形成されたビアホールを介して電気的に接続されているので、表裏の区別なく回路基板等に表面実装可能である。
さらに、薄膜サーミスタ部を、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である材料とすることで、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性が得られる。
したがって、本発明のフィルム型サーミスタセンサによれば、薄く柔軟で応答性に優れ、携帯機器内などの回路基板に搭載したIC等の下など、多様な箇所に表面実装可能であると共に、高精度な温度測定が可能になる。
本発明に係るフィルム型サーミスタセンサの第1実施形態において、フィルム型サーミスタセンサを示す断面図、平面図及び裏面図である。 第1実施形態において、サーミスタ用金属窒化物材料の組成範囲を示すTi−Al−N系3元系相図である。 第1実施形態において、薄膜サーミスタ部の形成工程を示す断面図及び平面図である。 第1実施形態において、ビアホール用貫通孔の形成工程を示す断面図及び平面図である。 第1実施形態において、電極層及びビアホールの形成工程を示す断面図、平面図及び裏面図である。 第1実施形態において、ドライフィルムのパターン形成工程を示す断面図、平面図及び裏面図である。 第1実施形態において、パターン電極のパターン形成工程を示す断面図、平面図及び裏面図である。 第1実施形態において、保護膜のパターン形成工程を示す断面図及び平面図である。 第1実施形態において、Cuめっきによるビア埋め工程を示す断面図及び平面図である。 本発明に係るフィルム型サーミスタセンサの第2実施形態において、フィルム型サーミスタセンサを示す断面図、平面図及び裏面図である。 本発明に係るフィルム型サーミスタセンサの実施例において、サーミスタ用金属窒化物材料の膜評価用素子を示す正面図及び平面図である。 本発明に係る実施例及び比較例において、25℃抵抗率とB定数との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施例及び比較例において、Al/(Ti+Al)比とB定数との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、Al/(Ti+Al)=0.84としたc軸配向が強い場合におけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、Al/(Ti+Al)=0.83としたa軸配向が強い場合におけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る比較例において、Al/(Ti+Al)=0.60とした場合におけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、a軸配向の強い実施例とc軸配向の強い実施例とを比較したAl/(Ti+Al)比とB定数との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、c軸配向が強い実施例を示す断面SEM写真である。 本発明に係る実施例において、a軸配向が強い実施例を示す断面SEM写真である。
以下、本発明に係るフィルム型サーミスタセンサにおける第1実施形態を、図1から図9を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
第1実施形態のフィルム型サーミスタセンサ1は、図1に示すように、絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム2の表面に形成された薄膜サーミスタ部3と、互いに対向した一対の対向電極部4aを薄膜サーミスタ部3の上に配して絶縁性フィルム2の表面に形成された一対の表面パターン電極4と、絶縁性フィルム2の裏面に一対の表面パターン電極4の一部に対向して形成された一対の裏面パターン電極5と、薄膜サーミスタ部3上に積層され樹脂で形成された保護膜6とを備えている。
また、上記表面パターン電極4と裏面パターン電極5とは、絶縁性フィルム2に貫通状態に形成されたビアホール2aを介して電気的に接続されている。
上記絶縁性フィルム2は、例えばポリイミド樹脂シートで帯状に形成されている。なお、絶縁性フィルムとしては、他にPET:ポリエチレンテレフタレート,PEN:ポリエチレンナフタレート等でも構わない。
上記薄膜サーミスタ部3は、TiAlNのサーミスタ材料で形成されている。特に、薄膜サーミスタ部3は、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である。
上記表面パターン電極4及び裏面パターン電極5は、Cr又はNiCrの接合層と、該接合層上にCuやAu等で形成された電極層とを有している。
一対の表面パターン電極4は、薄膜サーミスタ部3上に形成され互いに対向状態に配した櫛形パターンの一対の櫛形電極部である上記対向電極部4aと、これら対向電極部4aに接続され絶縁性フィルム2の両端部の表面上に形成された一対の表面端子部4bとを有している。
また、一対の裏面パターン電極5は、一対の表面端子部4bに対向した位置であって絶縁性フィルム2の裏面に略矩形状にパターン形成されている。
上記ビアホール2aは、裏面パターン電極5の中央に形成されている。
上記保護膜6は、例えばポリイミド系樹脂で薄膜サーミスタ部3よりも大きな矩形状にパターン形成されている。
上記薄膜サーミスタ部3は、上述したように、金属窒化物材料であって、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系の結晶系であってウルツ鉱型(空間群P6mc(No.186))の単相である。すなわち、この金属窒化物材料は、図2に示すように、Ti−Al−N系3元系相図における点A,B,C,Dで囲まれる領域内の組成を有し、結晶相がウルツ鉱型である金属窒化物である。
なお、上記点A,B,C,Dの各組成比(x、y、z)(原子%)は、A(15、35、50),B(2.5、47.5、50),C(3、57、40),D(18、42、40)である。
また、この薄膜サーミスタ部3は、膜状に形成され、前記膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶である。さらに、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向していることが好ましい。
なお、膜の表面に対して垂直方向(膜厚方向)にa軸配向(100)が強いかc軸配向(002)が強いかの判断は、X線回折(XRD)を用いて結晶軸の配向性を調べることで、(100)(a軸配向を示すミラー指数)と(002)(c軸配向を示すミラー指数)とのピーク強度比から、「(100)のピーク強度」/「(002)のピーク強度」が1未満であることで決定する。
このフィルム型サーミスタセンサ1の製造方法について、図3から図10を参照して以下に説明する。
本実施形態のフィルム型サーミスタセンサ1の製造方法は、絶縁性フィルム2上に薄膜サーミスタ部3をパターン形成する薄膜サーミスタ部形成工程と、絶縁性フィルム2にビアホール2aとなる一対の貫通孔2bを形成する工程と、これら貫通孔2b内面に金属膜を形成してビアホール2aを形成する工程と、互いに対向した一対の対向電極部4aを薄膜サーミスタ部3上に配して絶縁性フィルム2の表面に一対の表面パターン電極4をパターン形成すると共に裏面に一対の裏面パターン電極5をパターン形成する電極形成工程と、薄膜サーミスタ部3上に保護膜6をパターン形成する工程と、ビアホール2a内を金属で埋める工程とを有している。
より具体的な製造方法の例としては、厚さ25μmで長方形状のポリイミドフィルムの絶縁性フィルム2の表面にTi−Al合金スパッタリングターゲットを用い、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタ法にて、TiAl(x=9、y=43、z=48)のサーミスタ材料層を膜厚200nmで成膜する。そのときのスパッタ条件は、到達真空度5×10−6Pa、スパッタガス圧0.4Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を20%で作製する。
その上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要なサーミスタ材料層を市販のTiエッチャントでウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて0.8×0.8mmの薄膜サーミスタ部3とする。このように、図3に示すように、正方形状の薄膜サーミスタ部3が絶縁性フィルム2表面の中央に形成される。なお、図3の(b)及び図4の(b)において、薄膜サーミスタ部3にはハッチングを施している。
次に、図4に示すように、絶縁性フィルム2の端子部(裏面パターン電極5)を形成する予定の領域の中央に、YAGレーザにて直径φ25μmの貫通孔2bを形成する。さらに、図5に示すように、絶縁性フィルム2の両面にスパッタ法にてCr膜を20nm形成し、さらにCu膜を100nm成膜してCr/Cu膜7を形成する。このとき、貫通孔2bの内面には、表裏面から連続してCr膜とCu膜とが積層状態に成膜されてビアホール2aが形成される。なお、図5の(b)(c)において、Cr/Cu膜7にはハッチングを施している。
次に、図6に示すように、絶縁性フィルム2両面のCu膜の上に、市販のドライフィルム8を110℃の熱圧着で両面に形成する。さらに、露光装置で感光後、市販の現像液で不要部分を除去し、不要な電極部分を市販のCuエッチャント、Crエッチャントの順番でウェットエッチングを行う。なお、図6の(b)(c)において、ドライフィルム8にはハッチングを施している。さらに、ドライフィルム8を市販の剥離液で除去し、図7に示すように、絶縁性フィルム2の表面には、対向電極部4aと表面端子部4bとからなる表面パターン電極4をパターン形成し、絶縁性フィルム2の裏面には、ビアホール2aを通して表面端子部4bに繋がっている裏面パターン電極5をパターン形成する。
次に、薄膜サーミスタ部3を覆うように、ポリイミド系樹脂をスクリーン印刷し、200℃にて焼成し、図8に示すように、厚さ25μmのポリイミド系樹脂保護膜6を形成する。さらに、絶縁性フィルム2両面の端子部となる表面端子部4b及び裏面パターン電極5のCu表面の酸化を酸で除去後、図9に示すように、電界Cuめっきにて直径φ25μmのビアホール2aをCuにて埋める。また、その際、表面端子部4b及び裏面パターン電極5の表面には、Cuめっきが10μm形成される。
次に、無電解めっきにて、表面端子部4b及び裏面パターン電極5のCu上にNiを3μm、さらにその上にSnを5μm形成することで、図1に示すように、表面端子部4b及び裏面パターン電極5の表面層となるNi/Snめっき膜9が形成される。
なお、複数のフィルム型サーミスタセンサ1を同時に作製する場合、絶縁性フィルム2の大判シートに複数の薄膜サーミスタ部3、表面パターン電極4、裏面パターン電極5及び保護膜6等を上述のように形成した後に、大判シートから各フィルム型サーミスタセンサ1に切断する。
このようにして、例えばサイズを2.0×1.2mmとし、厚さを0.07mmとした薄く、端子部が両面にある表面実装型のフィルム型サーミスタセンサ1が得られる。
このように本実施形態のフィルム型サーミスタセンサ1では、表面パターン電極4と裏面パターン電極5とが、薄膜サーミスタ部3が形成された絶縁性フィルム2に、貫通状態に形成されたビアホール2aを介して電気的に接続されているので、回路基板等に直接、表面実装することで、裏面パターン電極5又は表面パターン電極4が端子部となって電気的接続が可能である。したがって、薄くて表面実装が可能なフィルム型サーミスタセンサ1により、温度計測の応答性が早くなると共に、回路基板等に実装されたIC等の下の狭い空間でも実装することが可能になる。これにより、ICの直下でICの温度を直接測定することも可能になる。
特に、ある程度曲げた状態でも設置可能な薄膜サーミスタ部3を用いたフィルム型であるため、半導体技術に用いられるビアホールによる裏面への電気的接続だけでなく、曲げやたわみ状態においても、ビアホール2aのアンカー効果によって割れや剥がれの発生を抑制することができるというフィルム型センサ特有の効果を得ることができる。
また、表裏面に端子部となる表面パターン電極4と裏面パターン電極5とが形成されているので、表裏の区別なく表面実装することができる。この際、表裏面のどちら側で実装しても、薄い絶縁性フィルム2を用いているので、応答性に差が生じ難い。さらに、表面パターン電極4と裏面パターン電極5とがビアホール2aを介して接続されているので、アンカー効果によってはんだ実装時に絶縁性フィルム2と表面パターン電極4又は裏面パターン電極5とが剥がれ難くなる。
さらに、薄膜サーミスタ部3上に積層され樹脂で形成された保護膜6を備えているので、絶縁性フィルム2の表面側を基板に向けて表面実装した場合やICの下に実装した場合でも、薄膜サーミスタ部3を保護膜6により基板やICに対して絶縁することができる。また、薄膜サーミスタ部3が、絶縁性フィルム2と保護膜6との間に配されて厚み方向の略中心に位置するため、表裏の区別なく実装しても応答性にほとんど差が生じない。
また、薄膜サーミスタ部3が、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系の結晶系であってウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。
また、この金属窒化物材料では、膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であるので、膜の結晶性が高く、高い耐熱性が得られる。
さらに、この金属窒化物材料では、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸を強く配向させることで、a軸配向が強い場合に比べて高いB定数が得られる。
なお、本実施形態のサーミスタ材料層(薄膜サーミスタ部3)の製造方法では、Ti−Al合金スパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、上記TiAlNからなる上記金属窒化物材料を非焼成で成膜することができる。
また、反応性スパッタにおけるスパッタガス圧を、0.67Pa未満に設定することで、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向している金属窒化物材料の膜を形成することができる。
したがって、本実施形態のフィルム型サーミスタセンサ1では、絶縁性フィルム2上に上記サーミスタ材料層で薄膜サーミスタ部3が形成されているので、非焼成で形成され高B定数で耐熱性の高い薄膜サーミスタ部3により、樹脂フィルム等の耐熱性の低い絶縁性フィルム2を用いることができると共に、良好なサーミスタ特性を有した薄型でフレキシブルなサーミスタセンサが得られる。
また、従来アルミナ等のセラミックスを用いた基板材料がしばしば用いられ、例えば、厚さ0.1mmへと薄くすると非常に脆く壊れやすい等の問題があったが、本発明においてはフィルムを用いることができるので、例えば、厚さ0.1mm以下の非常に薄いフィルム型サーミスタセンサを得ることができる。
次に、本発明に係るフィルム型サーミスタセンサの第2実施形態について、図10を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、ビアホール2aが一つの表面パターン電極4に対して1つ設けられているのに対し、第2実施形態のフィルム型サーミスタセンサ21では、図10に示すように、ビアホール2aが、表面パターン電極4毎に複数配され、少なくとも表面パターン電極4又は裏面パターン電極5の角部近傍に形成されている点である。
すなわち、第2実施形態では、ビアホール2aが、表面パターン電極4毎に5つずつ設けられており、表面端子部4b及び裏面パターン電極5の中央に1つ形成されていると共に、これらの四隅に1つずつ形成されている。
このように第2実施形態のフィルム型サーミスタセンサ21では、ビアホール2aが、表面パターン電極4毎に複数配され、少なくとも表面パターン電極4又は裏面パターン電極5の角部近傍に形成されているので、より高いアンカー効果を得ることができ、特に剥がれが生じ易いパターン電極の角部近傍の接着強度を向上させることができる。
次に、本発明に係るフィルム型サーミスタセンサについて、上記第1実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を、図11から図19を参照して具体的に説明する。
<表面実装でのたわみ試験評価>
上記第1実施形態に基づいて作製したフィルム型サーミスタセンサのたわみ試験用の実施例を、厚さ0.8mmのガラエポ基板にはんだ実装し、たわみ試験を行った。試験条件は、実装面とは反対面から曲率340mmの治具でたわみ量が1mmになるまで毎秒0.5mmの速さで加圧し、10秒保持した後に戻した。このたわみ試験前後に電気特性変化を測定し、試験後にフィルム型サーミスタセンサを観察した。
なお、たわみ試験用の比較例として0.5mm厚のアルミナフィルムに遷移金属酸化物(MnCoNi系)の薄膜サーミスタ部を形成し、端子部にはんだ用めっきを施し、2.0×1.2×0.07mmの薄膜サーミスタチップを作製した。このたわみ試験用の比較例についても、厚さ0.8mmのガラエポ基板にはんだ実装し、上記実施例と同様に、たわみ試験を行った。
その結果、上記比較例では薄膜サーミスタチップが割れたのに対し、本実施例では割れや剥がれが生じずに外観上も問題なく、抵抗値変化率及びB定数変化率とも0.1%以下であって電気特性も良好であった。
<膜評価用素子の作製>
本発明のサーミスタ材料層(薄膜サーミスタ部3)の評価を行う実施例及び比較例として、図11に示す膜評価用素子121を次のように作製した。
まず、反応性スパッタ法にて、様々な組成比のTi−Al合金ターゲットを用いて、Si基板Sとなる熱酸化膜付きSiウエハ上に、厚さ500nmの表1に示す様々な組成比で形成された金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部3を形成した。その時のスパッタ条件は、到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.1〜1Pa、ターゲット投入電力(出力):100〜500Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を10〜100%と変えて作製した。
次に、上記薄膜サーミスタ部3の上に、スパッタ法でCr膜を20nm形成し、さらにAu膜を200nm形成した。さらに、その上にレジスト液をスピンコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行った。その後、不要な電極部分を市販のAuエッチャント及びCrエッチャントによりウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて所望の櫛形電極部124aを有するパターン電極124を形成した。そして、これをチップ状にダイシングして、B定数評価及び耐熱性試験用の膜評価用素子121とした。
なお、比較としてTiAlの組成比が本発明の範囲外であって結晶系が異なる比較例についても同様に作製して評価を行った。
<膜の評価>
(1)組成分析
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3について、X線光電子分光法(XPS)にて元素分析を行った。このXPSでは、Arスパッタにより、最表面から深さ20nmのスパッタ面において、定量分析を実施した。その結果を表1に示す。なお、以下の表中の組成比は「原子%」で示している。
なお、上記X線光電子分光法(XPS)は、X線源をMgKα(350W)とし、パスエネルギー:58.5eV、測定間隔:0.125eV、試料面に対する光電子取り出し角:45deg、分析エリアを約800μmφの条件下で定量分析を実施した。なお、定量精度について、N/(Ti+Al+N)の定量精度は±2%、Al/(Ti+Al)の定量精度は±1%ある。
(2)比抵抗測定
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3について、4端子法にて25℃での比抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
(3)B定数測定
膜評価用素子121の25℃及び50℃の抵抗値を恒温槽内で測定し、25℃と50℃との抵抗値よりB定数を算出した。その結果を表1に示す。
なお、本発明におけるB定数算出方法は、上述したように25℃と50℃とのそれぞれの抵抗値から以下の式によって求めている。
B定数(K)=ln(R25/R50)/(1/T25−1/T50)
R25(Ω):25℃における抵抗値
R50(Ω):50℃における抵抗値
T25(K):298.15K 25℃を絶対温度表示
T50(K):323.15K 50℃を絶対温度表示
これらの結果からわかるように、TiAlの組成比が図2に示す3元系の三角図において、点A,B,C,Dで囲まれる領域内、すなわち、「0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1」となる領域内の実施例全てで、抵抗率:100Ωcm以上、B定数:1500K以上のサーミスタ特性が達成されている。
上記結果から25℃での抵抗率とB定数との関係を示したグラフを、図12に示す。また、Al/(Ti+Al)比とB定数との関係を示したグラフを、図13に示す。これらのグラフから、Al/(Ti+Al)=0.7〜0.95、かつ、N/(Ti+Al+N)=0.4〜0.5の領域で、結晶系が六方晶のウルツ鉱型の単一相であるものは、25℃における比抵抗値が100Ωcm以上、B定数が1500K以上の高抵抗かつ高B定数の領域が実現できている。なお、図13のデータにおいて、同じAl/(Ti+Al)比に対して、B定数がばらついているのは、結晶中の窒素量が異なるためである。
表1に示す比較例3〜12は、Al/(Ti+Al)<0.7の領域であり、結晶系は立方晶のNaCl型となっている。また、比較例12(Al/(Ti+Al)=0.67)では、NaCl型とウルツ鉱型とが共存している。このように、Al/(Ti+Al)<0.7の領域では、25℃における比抵抗値が100Ωcm未満、B定数が1500K未満であり、低抵抗かつ低B定数の領域であった。
表1に示す比較例1,2は、N/(Ti+Al+N)が40%に満たない領域であり、金属が窒化不足の結晶状態になっている。この比較例1,2は、NaCl型でも、ウルツ鉱型でもない、非常に結晶性の劣る状態であった。また、これら比較例では、B定数及び抵抗値が共に非常に小さく、金属的振舞いに近いことがわかった。
(4)薄膜X線回折(結晶相の同定)
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3を、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により、結晶相を同定した。この薄膜X線回折は、微小角X線回折実験であり、管球をCuとし、入射角を1度とすると共に2θ=20〜130度の範囲で測定した。一部のサンプルについては、入射角を0度とし、2θ=20〜100度の範囲で測定した。
その結果、Al/(Ti+Al)≧0.7の領域においては、ウルツ鉱型相(六方晶、AlNと同じ相)であり、Al/(Ti+Al)<0.65の領域においては、NaCl型相(立方晶、TiNと同じ相)であった。また、0.65< Al/(Ti+Al)<0.7においては、ウルツ鉱型相とNaCl型相との共存する結晶相であった。
このようにTiAlN系においては、高抵抗かつ高B定数の領域は、Al/(Ti+Al)≧0.7のウルツ鉱型相に存在している。なお、本発明の実施例では、不純物相は確認されておらず、ウルツ鉱型の単一相である。
なお、表1に示す比較例1,2は、上述したように結晶相がウルツ鉱型相でもNaCl型相でもなく、本試験においては同定できなかった。また、これらの比較例は、XRDのピーク幅が非常に広いことから、非常に結晶性の劣る材料であった。これは、電気特性により金属的振舞いに近いことから、窒化不足の金属相になっていると考えられる。
次に、本発明の実施例は全てウルツ鉱型相の膜であり、配向性が強いことから、Si基板S上に垂直な方向(膜厚方向)の結晶軸においてa軸配向性が強いか、c軸配向性が強いかであるかについて、XRDを用いて調査した。この際、結晶軸の配向性を調べるために、(100)(a軸配向を示すミラー指数)と(002)(c軸配向を示すミラー指数)とのピーク強度比を測定した。
その結果、スパッタガス圧が0.67Pa未満で成膜された実施例は、(100)よりも(002)の強度が非常に強く、a軸配向性よりc軸配向性が強い膜であった。一方、スパッタガス圧が0.67Pa以上で成膜された実施例は、(002)よりも(100)の強度が非常に強く、c軸配向よりa軸配向が強い材料であった。
なお、同じ成膜条件でポリイミドフィルムに成膜しても、同様にウルツ鉱型相の単一相が形成されていることを確認している。また、同じ成膜条件でポリイミドフィルムに成膜しても、配向性は変わらないことを確認している。
c軸配向が強い実施例のXRDプロファイルの一例を、図14に示す。この実施例は、Al/(Ti+Al)=0.84(ウルツ鉱型、六方晶)であり、入射角を1度として測定した。この結果からわかるように、この実施例では、(100)よりも(002)の強度が非常に強くなっている。
また、a軸配向が強い実施例のXRDプロファイルの一例を、図15に示す。この実施例は、Al/(Ti+Al)=0.83(ウルツ鉱型、六方晶)であり、入射角を1度として測定した。この結果からわかるように、この実施例では、(002)よりも(100)の強度が非常に強くなっている。
さらに、この実施例について、入射角を0度として、対称反射測定を実施した。この場合も、やはり(002)よりも(100)の強度が非常に強く、基板面に対して垂直な方向(膜厚方向)に対して、c軸配向よりもa軸配向が強かった。なお、グラフ中(*)は装置由来のピークであり、サンプル本体のピーク、もしくは、不純物相のピークではないことを確認している(なお、対称反射測定において、そのピークが消失していることからも装置由来のピークであることがわかる。)。
なお、比較例のXRDプロファイルの一例を、図16に示す。この比較例は、Al/(Ti+Al)=0.6(NaCl型、立方晶)であり、入射角を1度として測定した。ウルツ鉱型(空間群P6mc(No.186))として指数付けできるピークは検出されておらず、NaCl型単独相であることを確認した。
次に、ウルツ鉱型材料である本発明の実施例に関して、さらに結晶構造と電気特性との相関を詳細に比較した。
表2及び図17に示すように、Al/(Ti+Al)比がほぼ同じ比率のものに対し、基板面に垂直方向の配向度の強い結晶軸がc軸である材料(実施例5,7,8,9)とa軸である材料(実施例19,20,21)とがある。
これら両者を比較すると、Al/(Ti+Al)比が同じであると、a軸配向が強い材料よりもc軸配向が強い材料の方が、B定数が100K程度大きいことがわかる。また、N量(N/(Ti+Al+N))に着目すると、a軸配向が強い材料よりもc軸配向が強い材料の方が、窒素量がわずかに大きいことがわかる。理想的な化学量論比:N/(Ti+Al+N)=0.5であることから、c軸配向が強い材料のほうが、窒素欠陥量が少なく理想的な材料であることがわかる。
<結晶形態の評価>
次に、薄膜サーミスタ部3の断面における結晶形態を示す一例として、熱酸化膜付きSi基板S上に成膜された実施例(Al/(Ti+Al)=0.84,ウルツ鉱型、六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図18に示す。また、別の実施例(Al/(Ti+Al)=0.83,ウルツ鉱型六方晶、a軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図19に示す。
これら実施例のサンプルは、Si基板Sをへき開破断したものを用いている。また、45°の角度で傾斜観察した写真である。
これらの写真からわかるように、いずれの実施例も高密度な柱状結晶で形成されている。すなわち、c軸配向が強い実施例及びa軸配向が強い実施例の共に基板面に垂直な方向に柱状の結晶が成長している様子が観測されている。なお、柱状結晶の破断は、Si基板Sをへき開破断した際に生じたものである。
<膜の耐熱試験評価>
表3に示す実施例及び比較例において、大気中,125℃,1000hの耐熱試験前後における抵抗値及びB定数を評価した。その結果を表3に示す。なお、比較として従来のTa−Al−N系材料による比較例も同様に評価した。
これらの結果からわかるように、Al濃度及び窒素濃度は異なるものの、Ta−Al−N系である比較例と同じB定数で比較したとき、耐熱試験前後における電気特性変化でみたときの耐熱性は、Ti−Al−N系のほうが優れている。なお、実施例5,8はc軸配向が強い材料であり、実施例21,24はa軸配向が強い材料である。両者を比較すると、c軸配向が強い実施例の方がa軸配向が強い実施例に比べて僅かに耐熱性が向上している。
なお、Ta−Al−N系材料では、Taのイオン半径がTiやAlに比べて非常に大きいため、高濃度Al領域でウルツ鉱型相を作製することができない。TaAlN系がウルツ鉱型相でないがゆえ、ウルツ鉱型相のTi−Al−N系の方が、耐熱性が良好であると考えられる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、上述したように上記TiAlNの薄膜サーミスタ部が好ましいが、他のサーミスタ材料で形成された薄膜サーミスタ部を採用しても構わない。また、薄膜サーミスタ部の上に表面パターン電極(対向電極部)を形成しているが、薄膜サーミスタ部の下に表面パターン電極を形成しても構わない。
1,21…フィルム型サーミスタセンサ、2…絶縁性フィルム、2a…ビアホール、3…薄膜サーミスタ部、4…表面パターン電極、4a…対向電極部、5…裏面パターン電極、6…保護膜

Claims (4)

  1. 絶縁性フィルムと、
    該絶縁性フィルムの表面に形成された薄膜サーミスタ部と、
    互いに対向した一対の対向電極部を前記薄膜サーミスタ部の上又は下に配して前記絶縁性フィルムの表面に形成された一対の表面パターン電極と、
    前記絶縁性フィルムの裏面に一対の前記表面パターン電極の一部に対向して形成された一対の裏面パターン電極とを備え、
    前記表面パターン電極と前記裏面パターン電極とが、前記絶縁性フィルムに貫通状態に形成されたビアホールを介して電気的に接続されていることを特徴とするフィルム型サーミスタセンサ。
  2. 請求項1に記載のフィルム型サーミスタセンサにおいて、
    前記ビアホールが、前記表面パターン電極毎に複数配され、少なくとも前記表面パターン電極又は前記裏面パターン電極の角部近傍に形成されていることを特徴とするフィルム型サーミスタセンサ。
  3. 請求項1又は2に記載のフィルム型サーミスタセンサにおいて、
    前記薄膜サーミスタ部上に積層され樹脂で形成された保護膜を備えていることを特徴とするフィルム型サーミスタセンサ。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム型サーミスタセンサにおいて、
    前記薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とするフィルム型サーミスタセンサ。
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