JP2013201362A - 基板処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のトレイ、処理ヘッド、及び、複数のリニアアシストユニットを備え、複数のトレイには、基板が保持され得る基板処理システム。
【解決手段】複数のリニアアシストユニットU1、U2、U3は、基板が処理ヘッド14により処理されるよう複数のトレイ12を処理室内において搬送方向に搬送する。複数のリニアアシストユニットU1、U2、U3の各々は、搬送方向に配列されたリニアモータの固定子を有し搬送方向に延在するリニアガイド、及び、前記リニアガイドに沿って移動する可動体を含んでいる。複数のリニアアシストユニットU1、U2、U3のリニアガイドは、搬送方向に交差する方向に配列されている。複数のリニアアシストユニットU1、U2、U3の可動体の各々は、複数のトレイ12のうち処理室に収容されたトレイ12に選択的に結合可能であり、且つ、当該トレイ12との結合を解除可能な結合部を有している。
【選択図】図2

Description

本発明の種々の側面及び実施形態は、基板処理システムに関するものであり、特に、処理ヘッドに対して基板を搬送することにより、基板を処理するシステムに関するものである。
基板処理システムの一種として、有機材料の成膜のための基板処理システムがある。有機材料成膜用の基板処理システムには、クラスタ型の基板処理システムとインライン方式の基板処理システムが存在している。クラスタ型の基板処理システムは、複数の処理チャンバを備え、各処理チャンバに基板を搬送して、当該処理チャンバ内において基板を固定して処理するものである。したがって、クラスタ型の基板処理システムは、スループットに限界が生じ得る。
インライン方式の基板処理システムは、処理室内において基板を搬送しつつ当該基板を処理するものである。したがって、インライン方式の基板処理システムは、スループットの点でクラスタ型の基板処理システムより優れている。また、基板の大型化に伴い、インライン方式の基板処理システムの必要性が高まりつつある。
特許文献1には、このようなインライン方式の基板処理システムが記載されている。特許文献1に記載されているように、インライン方式の基板処理システムでは、一般的に、基板の搬送にローラコンベアが用いられている。ローラコンベアは、基板の搬送方向に配列された複数のローラを有しており、これら複数のローラはロータリモータといった回転駆動用の電気モータによって回転駆動される。
特開2008−231446号公報
特許文献1に記載された基板処理システムでは、ローラから別のローラにトレイが移動する際に、当該トレイに微小なスリップが生じることがある。これにより、基板の搬送速度にバラツキが発生することがある。
したがって、本技術分野においては、よりバラツキの少ない速度で基板を搬送可能であり、且つ、基板処理のスループットを向上することが可能な基板処理システムが求められている。
本発明の一側面に係る基板処理システムは、複数のトレイ、処理ヘッド、及び、複数のリニアアシストユニットを備えている。複数のトレイには、基板が支持され得る。処理ヘッドは、処理室内において基板を処理するために設けられている。複数のリニアアシストユニットは、基板が処理ヘッドにより処理されるよう複数のトレイを処理室内において搬送方向に搬送する。複数のリニアアシストユニットの各々は、搬送方向に配列されたリニアモータの固定子を有し搬送方向に延在するリニアガイド、及び、前記リニアガイドに沿って移動する可動体を含んでいる。複数のリニアアシストユニットのリニアガイドは、搬送方向に交差する方向に配列されている。複数のリニアアシストユニットの可動体の各々は、複数のトレイのうち処理室に収容されたトレイに選択的に結合可能であり、且つ、当該トレイとの結合を解除可能な結合部を有している。一実施形態においては、基板処理システムは、処理室を減圧する排気装置を更に備えていてもよい。
本発明の一側面に係る基板処理システムは、リニアモータを用いたリニアアシストユニットによりトレイを搬送することができる。したがって、搬送中のトレイの速度バラツキが低減され得る。また、この基板処理システムによれば、処理ヘッドにより基板が処理されている間、当該基板が載置されているトレイを実質的に定速で搬送することができる。したがって、基板処理の均一性が向上され得る。また、複数の可動体を異なるトレイに結合させることにより、複数のトレイを順次且つ連続的に搬送することができる。その結果、基板処理のスループットを向上することができる。
一実施形態においては、基板処理システムは、複数のリニアアシストユニットを制御する制御部を更に備えていてもよい。制御部は、(a)処理ヘッドによって基板を処理する処理区間よりも搬送方向において処理室内の上流側の第1の区間において、複数のリニアアシストユニットの可動体のうち少なくとも一つの可動体の結合部を、複数のトレイのうち処理室内に収容されたトレイに結合させ、(b)当該少なくとも一つの可動体を搬送方向に移動させ、(c)処理区間よりも搬送方向において処理室内の下流側の第2の区間において当該少なくとも一つの可動体の結合部とトレイとの結合を解除し、(d)可動体を第1の区間に移動させ得る。この実施形態によれば、処理室内に順次収容されるトレイを複数の可動体により自動的且つ連続的に搬送することが可能となる。また、トレイとの結合を解除して第1の区間に戻された可動体を別のトレイの搬送に再利用することが可能である。
一実施形態においては、制御部は、少なくとも一つの可動体の結合部をトレイに結合させた後、第1の区間において、当該少なくとも一つの可動体を加速して移動させてもよい。この実施形態によれば、処理区間までのトレイの移動時間を短縮することができ、基板処理のスループットを更に向上することができる。
一実施形態においては、制御部は、可動体を第2の区間から第1の区間に移動させるときに、可動体が処理区間を搬送方向に移動する速度よりも速い速度で、当該可動体を移動させてもよい。この実施形態によれば、トレイの搬送を終えた可動体を、第1の区間に短時間で戻して、別のトレイの搬送に利用することができる。これにより、リニアアシストユニットの個数を少なくすることができる。
一実施形態においては、複数のトレイのうち二以上のトレイが同時に処理室内に収容され、複数のリニアアシストユニットのうち異なるリニアアシストユニットの可動体の結合部が当該二以上のトレイにそれぞれ結合してもよい。この実施形態によれば、二以上のトレイが同時に処理室内に収容されるので、処理ヘッドによって基板が処理されていない期間を短くすることができ、基板処理のスループットを更に向上することができる。
以上説明したように、本発明の種々の側面及び実施形態によれば、スリップ等がなく、よりバラツキの少ない速度で基板を安定して搬送可能であり、基板処理のスループットを向上することが可能な基板処理システムが提供される。
一実施形態に係る基板処理システムの外観を示す斜視図である。 一実施形態に係る基板処理システムの内部構成を示す斜視図である。 図2に示す基板処理システムの一部を拡大して示す斜視図である。 図2のIV−IV線矢視断面図である。 図2のV−V線矢視断面図である。 第1の区間の搬送方向の中間におけるトレイとリニアアシストユニットの可動体の結合動作を説明するための図である。 第2の区間の搬送方向の中間におけるトレイとリニアアシストユニットの可動体の結合の解除動作を説明するための図である。 一実施形態に係る制御部を示す図である。 可動体の位置を測定するための位置測定装置の一例を示す図である。 一実施形態に係る制御部による可動体とトレイの結合状態の制御及び可動体の速度の制御を示すタイミングチャートである。
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
図1は、一実施形態に係る基板処理システムの外観を示す斜視図である。図2は、一実施形態に係る基板処理システムの内部構成を示す斜視図である。図3は、図2に示す基板処理システムの一部を拡大して示す斜視図である。図1、図2及び図3に示す基板処理システム10は、複数のトレイ12、処理ヘッド14、及び、複数のリニアアシストユニットU1〜U3を備えている。
一実施形態においては、基板処理システム10は、減圧環境下で有機材料を基板Sbに蒸着する基板処理システムとして構成されて得る。この実施形態では、基板処理システム10は、基板処理用の処理室Sを画成する筐体16及び当該処理室を減圧する真空ポンプ18を更に備え得る。
筐体16は、一対の側壁16s、上壁16t、及び、底壁(下壁)16bを含んでいる。一対の側壁16sは、幅方向(Y方向)から処理室Sを画成しており、X方向に延在している。上壁16tは、上側から処理室Sを画成しており、X方向に延在している。また、底壁16bは、下側から処理室Sを画成しており、X方向に延在している。また、基板処理システム10は、処理室Sと当該処理室Sの上流側の別のチャンバとの間に、ゲートバルブGV1を備え、処理室Sと当該処理室Sの下流側の別のチャンバとの間にゲートバルブGV2を備え得る。
処理室Sは、X方向、即ち、搬送方向において中間に位置する処理区間Sp、処理区間Spの上流側に位置する第1の区間S1、及び、処理区間Spの下流側に位置する第2の区間S2を含んでいる。図2に示すように、筐体16の一対の側壁16sのうち一方の側壁には、処理区間Spに面するように、処理ヘッド14が取り付けられている。
処理ヘッド14は、第1の区間S1から処理区間Spに搬送された基板Sbを当該処理区間Spにおいて処理する。処理ヘッド14は、一実施形態においては、有機材料の蒸気を基板Sbに吹き付けて、基板Sbの主表面に有機材料の膜を堆積させる。基板Sbは、トレイ12に支持されて、処理室S内を搬送方向(即ち、X方向)に搬送される。
トレイ12は、処理ヘッド14に対面する一つの側面を有している。一実施形態においては、基板Sbは、当該側面においてトレイ12に支持される。即ち、図2に示すように、基板Sbは、その主表面の法線方向が重力方向に対して直交又は交差するように(即ち、縦向き、又は若干の傾斜をもって縦向きに)、トレイ12に支持される。また、基板Sbの表面にはマスクが装着され、当該マスクもトレイ12によって支持される。トレイ12は、基板SbをX方向に搬送するよう、移動する。
基板処理システム10は、トレイ12を移動させるための機構として、図2及び図3に示すように、複数のローラR10及びR12、並びに、補助ローラR14を備え得る。複数のローラR10は、一対の側壁16sの下部側内面16s1において、Y方向に延びる軸線中心に回転可能に軸支されている。複数のローラR10は、第1の区間S1のX方向の中間から第2の区間S2のX方向の中間にわたって設けられている。また、複数のローラR12は、ローラR10に対して処理室S内の上流側及び下流側において、一対の側壁16sの下部側内面16s1に取り付けられている。即ち、複数のローラR12は、第1の区間S1のX方向の中間よりも上流側、及び、第2の区間S2のX方向の中間よりも下流側に設けられている。これらローラR10及びR12は、X方向に配列されている。ローラR10及びR12は、トレイ12の底面に当接して、当該トレイ12を搬送方向(即ち、X方向)に案内するように構成されている。
一対の側壁16sの内面16s1は、当該一対の側壁16sの上部側内面16s2よりも、処理室Sの内側に突出している。これにより、内面16s1と内面16s2との間には、上方に向いた段差面16s3が提供されている。段差面16s3には、Z方向、即ちX方向及びY方向に直交する鉛直方向に延びる軸線中心に回転可能なように、補助ローラR14が軸支されている。補助ローラR14は、内面16s1よりも幅方向に内側に突出している。補助ローラR14は、トレイ12の側面に当接して、当該トレイ12をX方向に案内する。
ローラR10、ローラR12、及び補助ローラR14のうち、ローラR12のみがロータリモータといった回転駆動機構に結合されている。即ち、ローラR12は、回転駆動機構によって回転駆動されることにより、トレイ12を第1の区間S1の入り口から当該第1の区間S1のX方向の中間まで搬送し、トレイ12を第2の区間S2のX方向の中間から当該第2の区間S2の出口まで搬送する。ローラR10及び補助ローラR14は、ロータリモータといった回転駆動機構には連結されておらず、トレイ12の移動に伴って回転するだけであり、トレイ12を案内する機能のみを有している。ローラR10が設けられた領域、即ち、第1の区間S1のX方向の中間から第2の区間S2のX方向の中間の間においては、トレイ12はリニアアシストユニットU1〜U3の何れかによって搬送される。
以下、図2及び図3に加えて、図4及び図5を参照する。図4は、図2のIV−IV線矢視断面図であり、図5は、図2のV−V線矢視断面図である。リニアアシストユニットU1〜U3はそれぞれ、リニアガイドLG1〜LG3、及び、可動体M1〜M3を含んでいる。リニアガイドLG1〜LG3は、底壁16bの内面上に設けられており、X方向に延在している。リニアガイドLG1、LG2、及びLG3は、Y方向に配列されている。リニアガイドLG1〜LG3の各々には、複数の固定子Fが設けられている。これら固定子Fは、電磁石から構成され得るものである。複数の固定子Fは、リニアガイドLG1〜LG3内においてX方向に配列されている。
可動体M1〜M3には、マグネットが内蔵されている。可動体M1〜M3はそれぞれ、複数の固定子Fに与える電流の制御に基づくリニアモータ駆動により、リニアガイドLG1〜LG3に沿ってX方向又はその逆方向(−X方向)に移動する。可動体M1〜M3はそれぞれ、結合部を有しており、可動体M1〜M3の結合部は、第1の区間S1のX方向の中間においてトレイ12に選択的に結合することができ、また、第2の区間S2のX方向の中間において、トレイ12に対する結合を解除することができる。
一実施形態においては、図4及び図5に示すように、可動体M1〜M3はそれぞれ、結合部として、ピン20を有している。図4に示すように、ピン20は、第1の区間S1のX方向の中間においてトレイ12の底面に設けられた孔に嵌め込まれることにより、当該トレイ12に結合される。これにより、可動体とトレイ12とがピン20を介して結合される。また、図5に示すように、ピン20は、第2の区間S2のX方向の中間においてトレイ12の底面に設けられた孔から抜き取られることにより、トレイ12に対する結合を解除する。これにより、可動体とトレイ12とのピン20を介した結合が解除される。
以下、図4及び図5と共に、図6及び図7を参照する。図6は、第1の区間の搬送方向の中間におけるトレイとリニアアシストユニットの可動体の結合動作を説明するための図である。また、図7は、第2の区間の搬送方向の中間におけるトレイとリニアアシストユニットの可動体の結合の解除動作を説明するための図である。図6及び図7には、第1の区間の搬送方向における中間及び第2の区間の搬送方向における中間それぞれにおけるピン、可動体、及びトレイを拡大した縦断面が示されている。可動体M1〜M3の結合部及び当該結合部の駆動機構は同じ構造を有するので、以下では、可動体M1及び当該可動体M1用の駆動機構についてのみ説明する。
可動体M1には、Y方向に延びる孔Mh1が形成されている。孔Mh1の上側部分は、例えば、円形平面形状の孔に形成されており、孔Mh1の下側部分は、矩形平面形状の孔に形成されている。孔Mh1の上側部分の直径は、孔Mh1の下側部分の幅よりも小さくなっている。また、可動体M1には、孔Mh1の下側部分に連続する二つの横穴Mh2が形成されている。孔Mh1内には、ピン20が挿入されている。
ピン20は、上側から順に、上端部20a、フランジ部20b、中間部20c、ラッチ部20d、及び、下端部20eを含んでいる。上端部20a、中間部20c、及び下端部20eは、円柱形状に形成されており、可動体M1の孔Mh1の直径と同様の直径を有している。フランジ部20bは、上端部20a及び中間部20cの直径よりも大きな直径を有している。ラッチ部20dは、二つの横穴Mh2が形成されている方向に突き出た二つの突出部20pを有している。二つの突出部20pの先端面は、下方に向かうにつれてピン20の中心軸線から離れる斜面となっている。また、下端部20eの底面は、円錐形状の凹面に形成されている。
二つの横穴Mh2には、これら横穴Mh2の奥端面にその基端を支持されたバネ24が収容されている。バネ24は、例えばスプリングバネである。バネ24の先端には、ラッチブロック26が装着されている。ラッチブロック26は、バネ24によってピン20の中心軸線に向かう方向に付勢されている。これらラッチブロック26の先端面は、下方に向かうにつれてピン20の中心軸線から離れる斜面として構成されている。ラッチブロック26の斜面はラッチ部20dの斜面と平行になるように形成されている。
図6の(a)に示すように、トレイ12の底面には、ピン20の上端部20aが嵌め込まれる孔12hが形成されている。トレイ12と可動体M1が結合していない状態では、ピン20の上端部20aは、トレイ12の孔12hに嵌め込まれておらず、フランジ部20bが可動体M1の上面に当接している。また、この状態では、ピン20のラッチ部20dの突出部20p斜面がラッチブロック26先端の斜面に当接している。
ピン20が上方へ駆動されると、図6の(b)に示すように、ピン20の上端部20aはトレイ12の孔12hに嵌め込まれる。このとき、バネ24がラッチブロック26をピン20の中心軸線に向かう方向に付勢するので、ラッチ部20dの突出部20pの下面をラッチブロック26が下方から支持することとなる。これにより、ピン20がトレイ12に結合することにより、ピン20を介して可動体M1とトレイ12とが結合される。
図6の(a)に示すように、ピン20を駆動する駆動機構30が、第1の区間S1のX方向の中間に設けられている。駆動機構30は、駆動部30a及び駆動ピン30bを含んでいる。駆動部30aは、処理室Sの外部において底壁16bに取り付けられている。駆動部30a、駆動ピン30bを上下動させる。駆動部30aとしては、例えば、空気圧シリンダ又は油圧シリンダ等が例示される。
駆動ピン30bは、略円柱形状を有しており、その上端は円錐形状に形成されている。駆動ピン30bは、底壁16b及びリニアガイドLG1の幅方向中央を突き抜けて処理室S内まで延びている。駆動ピン30bが駆動部30aによって上方へ駆動されると、図6の(b)に示すように、駆動ピン30bの先端面がピン20の下端部20eの底面(凹面)に当接し、当該駆動ピン30bがピン20を上方へ押し上げる。これにより、ピン20の上端部20aがトレイ12の孔12h内に嵌め込まれ、ピン20を介して可動体M1とトレイ12とが結合する。このとき、ラッチブロック26がラッチ部20dの下面に当接しているので、ピン20の下方への移動が防止される。
図7に示すように、第2の区間S2のX方向の中間には、ピン20とトレイ12との結合を解除するための駆動機構32が設けられている。駆動機構32は、駆動部32a、駆動ピン32b、及びガイド32cを含んでいる。駆動ピン32bは、駆動ピン30bと略同形状のピンである。ガイド32cは駆動ピン32bの側面に沿って延在している。ガイド32cの外側面(図7では、Y方向の側面)間の幅は、ラッチ部20dの二つの突出部20pの下端縁の幅と略同一である。これら駆動ピン32b及びガイド32cは、駆動部32aによって上下に駆動される。駆動部32aは、駆動部30aと同様に、例えば、空気圧シリンダ又は油圧シリンダであり得る。
可動体M1のピン20とトレイ12との結合の解除は、第2の区間S2のX方向の中間において、駆動機構32を用いて行われる。可動体M1のピン20とトレイ12との結合を解除するために、まず、図7の(a)に示すように、駆動ピン32b及びガイド32cが駆動部32aによって上方に駆動される。これにより、駆動ピン32bの先端面がピン20の下端部20eの底面に当接し、また、ガイド32cがピン20のラッチ部20dの突出部20p下面に当接すると共にラッチブロック26を横穴Mh2の奥端の方向に押し込む。
そして、図7の(b)に示すように、駆動ピン32b及びガイド32cが駆動部32aによって下方に駆動されると、ガイド32cと共にラッチ部20dが下方に移動するので、ラッチブロック26が干渉することなく、ピン20が下方に移動する。これにより、ピン20の上端部20aはトレイ12の孔12hから抜き出され、ピン20を介した可動体M1とトレイ12との結合が解除される。
以上説明した基板処理システム10では、可動体M1〜M3は、リニアモータ駆動によりX方向に移動するので、処理区間Spにおいて実質的に定速で基板Sbをスリップ等がなく安定して搬送することができる。したがって、基板Sbの処理の均一性が向上され得る。また、複数の可動体M1〜M3を選択的に異なるトレイ12に結合させることが可能である。したがって、複数のトレイ12を順次且つ連続的に処理室S内において搬送することができる。その結果、基板処理のスループットが向上され得る。
次に、基板処理システム10の動作を自動制御する制御部について説明する。図8に示す制御部34は、例えば、プログラム可能なプロセッサ、メモリ、及び、信号の入出力部を含むコンピュータ、又は専用ハードウェア等から構成され得る。制御部34は、駆動ピン30bの上下動を制御するための制御信号を駆動部30aに送出する。また、制御部34は、駆動ピン32b及びガイド32cの上下動を制御するための制御信号を駆動部32aに送出する。制御部34は、駆動部30a及び駆動部32aへの制御信号の送出を、可動体M1〜M3の位置に基づいて制御する。
図9は、可動体の位置を測定するための位置測定装置の一例を示す図である。図9に示す位置測定装置40は、レーザ光を用いて可動体M1〜M3の位置を測定することができる。位置測定装置40は、一実施形態では、三つの光送受信器40a、及び、三つのボックス40bを有している。三つのボックス40bは、リニアガイドLG1〜LG3のそれぞれのX方向の上流側端部に設けられている。ボックス40bの内部には、ミラー40cが内蔵されている。ミラー40cは、Z方向に進行するレーザ光の光路をX方向に変換し、また、−X方向に進行するレーザ光の光路を−Z方向に変更する。可動体M1〜M3のボックス40b側の端面にはミラーMrが取り付けられている。ミラーMrとミラー40cとは、ボックス40bの内部及び筐体16の外部とを処理室Sから分離する光学窓40dを介して光学的に結合されている。
三つの光送受信器40aは、三つのボックス40bの下方において底壁16bの下面に取り付けられている。光送受信器40aと対応のボックス40bとの間において底壁16bには、レーザ光を通過させるための孔が形成されている。光送受信器40aは、レーザダイオード、フォトダイオードといった光受信器、及び、これらレーザダイオード及び光受信器に電気的に接続された電気回路を有している。レーザダイオード及び光受信器はミラー40cに光学的に結合されている。光送受信器40aの電気回路は、制御部34からのタイミング信号を受けて、レーザダイオードに駆動電流を与える。これにより、レーザダイオードからレーザ光がZ方向に出射される。レーザ光はミラー40cによって反射されて、可動体のミラーMrに向かう。ミラーMrに向けられたレーザ光は、当該ミラーMrによって反射され、−X方向に進行する。そして、レーザ光は、ミラー40cによる光路変換を受けることにより、光送受信器40aの光受信器によって受光される。光受信器によってレーザ光が受光されると、光送受信器40aの電気回路は、当該レーザ光の受光タイミングを示す信号を制御部34に送出する。制御部34は、レーザ光の出射タイミングと受光タイミングとに基づいて、可動体のX方向の位置を算出することができる。
制御部34は、算出した可動体のX方向の位置に基づいて、駆動部30a又は駆動部32aに制御信号を送出することにより、駆動機構30の上方において可動体の結合部をトレイ12に結合させ、駆動機構32の上方において可動体の結合部とトレイ12との結合を解除することができる。
以下、制御部34による制御シーケンスを、図10を参照して説明する。図10は、一実施形態に係る制御部による可動体とトレイの結合状態の制御及び可動体の速度の制御を示すタイミングチャートである。図10において、結合部1〜3はそれぞれ、可動体M1〜M3のピン20を表している。また、図10において、「結合」とは、可動体のピンがトレイに結合していることを示しており、「解除」とは、可動体のピンとトレイとの結合が解除されていることを示している。以下の説明では、可動体M1〜M3が、処理室S内に順に搬送されてきた複数のトレイ12を、順に移動させることを想定する。しかしながら、可動体の移動開始順序は任意であり得る。
図10に示すように、初期的には、可動体M1〜M3は全て停止している。一つのトレイ12がローラR12によって、第1の区間S1のX方向の中間、即ち、駆動機構30の上方まで搬送されてくると、制御部34は、可動体M1に対応して設けられた駆動機構30に制御信号を与えて、可動体M1のピン20を当該トレイ12に結合させる。次いで、制御部34は、リニアガイドLG1のリニアモータ駆動回路に制御信号を与えて固定子Fへの電流の供給を制御することにより、可動体M1をX方向に移動させる。一実施形態においては、第1の区間S1においては、可動体M1は加速されてもよい。このように可動体を第1の区間S1において加速することにより、処理区間S1までのトレイの移動時間を短縮することが可能である。
制御部34は、位置測定装置40からの信号に基づき可動体M1が処理区間Spに移動したことを特定すると、リニアガイドLG1のリニアモータ駆動回路に制御信号を与えて固定子Fへの電流の供給を制御することにより、処理区間Spにおける可動体M1のX方向の速度を実質的に定速とする。
制御部34は、位置測定装置40からの信号に基づき可動体M1が処理区間Spから第2の区間S2に移動したことを特定すると、リニアガイドLG1のリニアモータ駆動回路に制御信号を与えて固定子Fへの電流の供給を制御することにより、第2の区間S2におおいて可動体M1の速度を減速させる。
制御部34は、位置測定装置40からの信号に基づき可動体M1が駆動機構32の上方、即ち、第2の区間S2のX方向の中間まで移動したことを特定すると、リニアガイドLG1のリニアモータ駆動回路に制御信号を与えて固定子Fへの電流の供給を制御することにより、可動体M1のX方向への移動を停止させる。そして、制御部34は、可動体M1に対応して設けられた駆動機構32に制御信号を与えて、可動体M1のピン20とトレイ12との結合を解除させる。
可動体M1のピン20とトレイ12との結合を解除させた後、制御部34は、リニアガイドLG1のリニアモータ駆動回路に制御信号を与えて固定子Fへの電流の供給を制御することにより、可動体M1を−X方向に移動させる。そして、位置測定装置40からの信号に基づき可動体M1が駆動機構30の上方、即ち、第1の区間S1のX方向の中間まで移動したことを特定すると、制御部34は、リニアガイドLG1のリニアモータ駆動回路に制御信号を与えて固定子Fへの電流の供給を制御することにより、可動体M1の−X方向への移動を停止させる。一実施形態においては、可動体の−X方向の移動は、処理区間Spにおける可動体のX方向の移動よりも高速であってもよい。この速度制御により、トレイ12のX方向への移動のための使用が終了した可動体を、短時間で第1の区間S1まで戻して、別のトレイの移動に利用することができる。
かかる可動体M1の制御と同様の制御が、可動体M2に対しても、当該可動体M1の制御の位相よりも遅れた位相で行われる。即ち、図10に示すように、可動体M1がトレイ12を処理室S内においてX方向に搬送している間、別のトレイ12がローラR12によって第1の区間S1まで搬送され、制御部34は、可動体M2のピン20が当該別のトレイ12に結合するよう可動体M2用の駆動部30aに制御信号を送出する。制御部34は、先行するトレイ12が可動体M1の移動によって処理区間Spを通り過ぎた直後に、可動体M2に結合されたトレイ12が処理区間Spに搬送されるよう、可動体M2の速度を制御する。その後、制御部34は、第2の区間S2まで可動体M2を移動させ、当該第2の区間S2において駆動部32aにより可動体M2とトレイ12との結合を解除させ、可動体M2を第1の区間S1まで戻すよう、制御を実行する。
また、可動体M1の制御と同様の制御が、可動体M3に対しても、当該可動体M1の制御の位相及び可動体M2の制御の位相よりも遅れた位相で行われる。即ち、図10に示すように、可動体M2がトレイ12を処理室S内においてX方向に搬送している間、更に別のトレイ12がローラR12によって第1の区間S1まで搬送される。制御部34は、可動体M3のピン20が当該更に別のトレイ12に結合するよう可動体M3用の駆動部30aに制御信号を送出する。制御部34は、先行するトレイ12が可動体M2の移動によって処理区間Spを通り過ぎた直後に、可動体M3に結合されたトレイ12が処理区間Spに搬送されるよう、可動体M3の速度を制御する。その後、制御部34は、第2の区間S2まで可動体M3を移動させ、当該第2の区間S2において駆動部32aにより可動体M3とトレイ12との結合を解除させ、可動体M3を第1の区間S1まで戻すよう、制御を実行する。
以上説明した制御によれば、処理室S内に順次搬送されてくる複数のトレイ12に可動体M1〜M3が選択的に結合して、これらトレイ12を順次X方向に搬送する。この基板処理システム10では、複数のトレイ12が処理室S内に同時に収容され、一つのトレイ12に支持された基板Sbの処理ヘッド14による処理が終了した直後に、次のトレイ12が処理区間Spに搬送される。したがって、処理ヘッド14が利用されていない時間を低減することができ、その結果、スループットが向上される。また、処理ヘッド14が有機材料の蒸気を噴射するものである場合には、基板に堆積されない有機材料の量を低減させることができる。
なお、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述した実施形態の基板処理システムは、三つのリニアアシストユニットを備えているが、基板処理システムには、少なくとも二つのリニアアシストユニットが備えられていればよく、四つ以上のリニアアシストユニットが備えられていてもよい。また、上述した実施形態では、一つのトレイ12に一つの可動体が結合されているが、一つのトレイに対して一以上の可動体が同時に結合されてもよい。また、上述の実施形態では、結合部としてピン20が用いられているが、結合部はトレイに対する結合及び結合の解除が可能なものであれば、ピン20に限られるものではない。例えば、トレイ12を把持し、且つ把持を解除する結合部が用いられてもよい。
さらに、処理ヘッド14は、有機材料の成膜用途の処理ヘッドのみに限定されるものではない。例えば、処理ヘッド14として、基板Sbの加熱用又は、エッチング、アッシング用の処理ヘッドが採用されてもよい。また、上述した実施形態では、トレイ12は、基板Sbを縦向きに支持しているが、基板Sbはその主表面が下方に向くようにトレイ12に支持されてもよく、あるいは、基板Sbはその主表面が下方に向くようにトレイ12に支持されてもよい。即ち、基板処理システムは、フェースダウン又はフェースアップ方式のキバ処理システムであってもよい。また、上述した実施形態では、レーザ光を用いて可動体の位置を測定しているが、リニアガイドに沿って設けられたリニアスケールと可動体に取り付けられたエンコーダを用いて、可動体の位置を測定する構成が採用されてもよい。
10…基板処理システム、12…トレイ、14…処理ヘッド、16…筐体、16s…側壁、16t…上壁、16b…底壁、18…真空ポンプ、20…ピン(結合部)、24…バネ、26…ラッチブロック、30…駆動機構、32…駆動機構、U1〜U3…リニアアシストユニット、LG1,LG2,LG3…リニアガイド、F…固定子、M1,M2,M3…可動体、R10,R12…ローラ、R14…補助ローラ、S…処理室、Sp…処理区間、S1…第1の区間、S2…第2の区間、Sb…基板。

Claims (6)

  1. 基板を支持するための複数のトレイと、
    処理室内において基板を処理するための処理ヘッドと、
    基板が前記処理ヘッドにより処理されるよう前記複数のトレイを前記処理室内において搬送方向に搬送する複数のリニアアシストユニットと、
    を備え、
    前記複数のリニアアシストユニットの各々は、前記搬送方向に配列されたリニアモータの固定子を有し該搬送方向に延在するリニアガイド、及び、前記リニアガイドに沿って移動する可動体を含み、
    前記複数のリニアアシストユニットのリニアガイドは、前記搬送方向に交差する方向に配列されており、
    前記複数のリニアアシストユニットの可動体の各々は、前記複数のトレイのうち前記処理室内に収容されたトレイに選択的に結合可能であり且つ該トレイとの結合を解除可能な結合部を有する、
    基板処理システム。
  2. 前記複数のリニアアシストユニットを制御する制御部を更に備え、
    前記制御部は、前記処理ヘッドによって基板を処理する処理区間よりも前記搬送方向において前記処理室内の上流側の第1の区間において、前記複数のリニアアシストユニットの可動体のうち少なくとも一つの可動体の結合部を前記複数のトレイのうち前記処理室内に収容されたトレイに結合させ、該少なくとも一つの可動体を前記搬送方向に移動させ、前記処理区間よりも前記搬送方向において前記処理室内の下流側の第2の区間において該少なくとも一つの可動体の結合部と前記トレイとの結合を解除し、該少なくとも一つの可動体を前記第1の区間に移動させる、
    請求項1に記載の基板処理システム。
  3. 前記制御部は、前記可動体を第2の区間から第1の区間に移動させるときに、前記可動体が前記処理区間を前記搬送方向に移動する速度よりも速い速度で、前記可動体を移動させる、請求項2に記載の基板処理システム。
  4. 前記制御部は、前記少なくとも一つの可動体の結合部を前記トレイに結合させた後、前記第1の区間において、該少なくとも一つの可動体を加速して移動させる、請求項2又は3に記載の基板処理システム。
  5. 前記複数のトレイのうち二以上のトレイが同時に前記処理室内に収容され、
    前記複数のリニアアシストユニットのうち異なるリニアアシストユニットの可動体の結合部が前記二以上のトレイにそれぞれ結合する、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の基板処理システム。
  6. 前記処理室を減圧する排気装置を更に備える、請求項1〜5の何れか一項に記載の基板処理システム。
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