JP2013194268A - プレス時の金型耐摩耗性に優れた銅合金材およびその製造方法 - Google Patents

プレス時の金型耐摩耗性に優れた銅合金材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】引張強度、導電性、耐応力緩和特性、プレス金型の耐摩耗性に優れ、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等に好適である銅合金材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】Crを0.1〜1.2mass%、Mg,Ti,Zr,Zn,Fe,Sn,Ag,及びSiから選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、0.01μm以上0.1μm未満の直径サイズの第2相を第2相A、0.1〜5μmの直径サイズの第2相を第2相Bとしたときに、第2相Aの密度が1×10個/mm2を越え、第2相Bの密度が1×10個/mm2を越えて存在している銅合金材。
【選択図】なし

Description

本発明は銅合金材料およびその製造方法に関し、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのコネクタや端子材のほか、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に適用される銅合金材およびその製造方法に関する。
EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのコネクタや端子材、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケットなどの用途に使用される銅合金材料に要求される特性項目としては、例えば導電率や耐応力緩和特性が挙げられる。近年、各システムの高電圧化や使用環境の高温化が進行しており、通電ロスの減少や高温環境下での端子の信頼性向上が求められている。従って、導電率や耐応力緩和特性の要求レベルが同時に高まっている。
一方で、このような銅合金材料は、プレス性も求められている。端子製造時のプレス過程では、プレス回数が増すと金型が徐々に磨耗していき、最終的には打ち抜き材の寸法が維持できなくなるため金型交換が必要となる。従って、製品となる端子等の生産性を上げるためには、プレス性の良い銅合金材料を提供することによって、交換までの金型打ち抜き回数を十分に確保しなければならない。
Cu−Cr系合金は中程度の強度と高導電を有していることで知られている。特許文献1,2では、耐熱性の改善を、Ti,P,Fe,Co,Ni添加や、Al,Mg添加にて試みている。また、Cu−Cr系合金は従来プレス性が悪く、そのプレス性はPbやSeを添加することで改善されることが知られている(特許文献3,4)。また、特許文献5にあるように、化合物サイズを制御することにより、Cu−Cr系合金の特性を改善できることが知られている。
特許第4132451号公報 特開昭61−99642号公報 特開平8−13066号公報 特開平11−323463号公報 特開昭59−193233号公報
EVのバッテリー、ジャンクションボックス、充電口やPVのモジュールのような大電流が通電される端子は板の厚みがあり、金型磨耗はこれまでの薄板条よりも頻繁に起きるために改善の要求が強まっている。これまでCu−Cr系合金においてプレス性改善されたものには、上記のようにPbやSeを添加元素として加えており、環境面においての配慮は不十分である。
上記のような課題に鑑み、本発明の目的は、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに適した優れた強度、導電性、耐応力緩和特性を有しており、更にPbやSeを加えずプレス時の金型耐摩耗性に優れた銅合金材料およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、検討を重ね、電気・電子部品用途に適した銅合金材について研究を行い、製品が有する組織において、0.01μm以上0.1μm未満の直径サイズの第2相Aの密度が1×10個/mm2を越え、0.1〜5μmの直径サイズの第2相Bの密度が1×10個/mm2を越えて存在しているCu−Cr系合金材において、強度、導電性、耐応力緩和特性に優れ、更にプレス性を改善させることを見出した。
すなわち、上記課題は以下の発明により解決された。
(1)Crを0.1〜1.2mass%、Mg,Ti,Zr,Zn,Fe,Sn,Ag,及びSiから選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、0.01μm以上0.1μm未満の直径サイズの第2相を第2相A、0.1〜5μmの直径サイズの第2相を第2相Bとしたときに、第2相Aの密度が1×10個/mm2を越え、第2相Bの密度が1×10個/mm2を越えて存在していることを特徴とする銅合金材。
(2)前記第2相Bのアスペクト比について、長径を短径で割った平均値が10〜50となる(1)に記載の銅合金材。
(3)(1)または(2)に記載の銅合金材の製造方法であって、
前記銅合金材を与える合金組成の銅合金に、鋳造[工程1]、均質化熱処理工程[工程2]、熱間加工工程[工程3]、冷間加工後、必要に応じ熱処理と冷間加工とを繰り返す加工工程[工程4]、時効熱処理工程[工程5]、最終冷間圧延工程[工程6]、歪取焼鈍工程[工程7]を施すにあたり、
前記均質化熱処理[工程2]を900〜1000℃で0.5〜8時間行う銅合金材の製造方法。
(4)鋳造後からの総圧延率を90〜99.95%とする(3)に記載の製造方法。
本発明のCu−Cr系を中心とした銅合金材料は、特に耐応力緩和特性に優れ、中程度の強度と高導電性を有し、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等に好適である。しかもプレス時の金型磨耗量を抑制する効果に優れており、プレス加工での生産性が高い。
本発明の銅合金材料の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。ここで、「銅合金材」とは、(加工前であって所定の合金組成を有する)銅合金素材が所定の形状(例えば、板、条、箔、棒、線など)に加工されたものを意味する。なお、実施形態として板材、条材について以下に説明する。
なお、本発明の銅合金材は、その特性を組織中の化合物分布状態、およびその形状を規定している。しかし、これは銅合金材としてそのような特性を有しておれば良いのであって、銅合金材の形状は板材や条材に限定されるものではない。
また、本発明において第2相とは、銅母相(第1相)に対して、添加元素が析出、晶出等した相である。添加元素が固溶状態以外に変態している状態であれば第2相と呼ぶことができる。すなわち、第2相は添加元素(Cr,Ti,Zr,Fe,Siなど)が反応してできる化合物や単体であり、金属間化合物に限定されない。例えば、具体的にはCr系化合物であればCrTi,CrZr,CrSiなどである。当然、晶出・析出したCr単体も第2相に含まれる。
この第2相の形成は、合金製造の、合金組成の調整、均質化熱処理工程、熱間圧延工程、各熱処理工程(あるいはこれらの1つ又は2つ以上の組み合わせ)などで、析出促進される温度域である300℃以上で数時間熱処理することで行うことができる。
以下に述べる第2相Aと第2相Bは、そのサイズが異なっていれば種類は同じでも異なっていてもよい。
(添加元素:Cr)
本発明は、強度と導電性を確保するため、Cu−Cr系合金材を対象とする。ここでCrは析出により2つの寄与をする。
1つは従来通りの析出硬化であり、0.01μm以上0.1μm未満の直径サイズの第2相(以下第2相Aという)が寄与する。またこのサイズのCr系化合物は耐応力緩和特性にも寄与するため、少なすぎると耐熱性が大きく下がる場合がある。
なお、本発明における直径サイズとは、電子顕微鏡(SEM,TEM)の電子像や透過像から、粒子の重心を通り、最も直径が大きくなる長径と、最も直径が小さくなる短径を測定して各粒子の長径/短径(アスペクト比)を算出した後、その平均値を求めた値をいう。
もう1つはプレス時の金型磨耗量を抑制する効果(プレス性)であり、0.1〜5μmサイズの化合物(以下化合物Bという)が寄与する。化合物についてはいずれもCrを成分として含有しており、その他の添加元素及びCuが含まれていても良い。ここで先行技術文献でも示している特許文献5には、同様のCu−Cr系合金を成分とし、その組織について、0.10〜50μm径の化合物が100〜100000個/mm存在した発明を示している。後に実施例で示すが、特許文献5のプロセスにて製造した合金は、同文献中の化合物密度を有しておらず、また、別プロセスにて化合物数が上記範囲内にあるよう制御すると、本発明が示す強度、導電性、耐熱性(耐応力緩和特性)、並びにプレス性は同時に成立しない。本発明においては、特許文献5に対しより小さいサイズの第2相Aを規定していることが特に重要であり、これが発明に対し有効に寄与しているところが、特許文献5と大きく異なっている。
第2相のサイズが0.01μm未満であると強度、プレス性の双方に寄与しない。0.01μm以上0.1μm未満であると強度には寄与するが、プレス性には寄与しない。0.1〜5μmであるとプレス性には寄与するが、強度には寄与しない。5μmを越えると、強度、プレス性の双方に寄与せず、かつその第2相が存在することで製造プロセス中の割れを引き起したりする可能性があり、靭性、疲労などの特性劣化をもたらすこともある。また、規定外の第2相が出来ることで所定の必要なサイズの第2相が出来なくなってしまい、材料強化、もしくはプレス性改善が望めなくなってしまう。
A,B両第2相の数は、ある一定の析出量において、一方が多いと他方が少なくなる関係にある。両サイズの第2相が一定量存在していることが、双方の特性を十分に満たすために必要で、第2相Aの密度が1×10個/mm2を越え、第2相Bの密度が1×10個/mm2を越えて存在する。好ましくはAについては3×10〜5×1012個/mm、Bについては1×10個/mmを越え5×10個/mm以下の密度で存在することで、製造性を従来のCu−Cr系合金と同等に保ちながら、特性面において、強度とプレス性の双方の特性改善が成された合金材となる。
本発明では、Cr含有量は0.1〜1.2mass%の範囲にある。含有量が多いほど、有効サイズの第2相が増え、強度とプレス時の金型磨耗を改善する効果は大きくなる。含有量が少ないとその第2相の総量は有効量以下となり十分な特性改善には至らない。一方含有量が多すぎると5μm以上の第2相が生成したり、有効サイズであってもその総量が規定の範囲以上に増加したりして、共に製造プロセス中の割れを引き起こす可能性があり、靭性、疲労などの特性劣化をもたらすこともある。
(添加元素:Mg,Ti,Zr,Zn,Fe,Sn,Ag,Si)
これらの元素は、それぞれ次の役割を果たす。
Mg,Snは固溶、Ti,Siの一部は固溶し、またZr,Ti,Siは第2相を形成し耐応力緩和特性を改善し、強化にも寄与する。固溶元素に関しては、同時に添加すると単独添加時よりも耐応力緩和に対しより大きな効果を示すものもあり、特にSn,Mg同時添加した場合それぞれを単独で添加するより有効である。
また、これら上記の元素は固溶状態時に粒界の移動を妨げるドラッグ効果をもたらすことができ、これは本規定内の平均結晶粒の成長に対し有効である。そのため、急激な粒粗大化を抑制することができ、変動係数の制御に対し有効に寄与することができる。
いずれも添加量が少ないと効果を得られず、添加量が多いと第2相を形成する場合は溶解、鋳造、熱間圧延時の製造性に対し著しく悪影響を与え、固溶状態にある場合は導電率を減少させる。
銅合金材中の含有量がCrに関しては0.1〜0.8mass%、その他添加元素に関しては合計で0.005〜0.5mass%である。Crおよびその他第2相を形成する元素については、その含有量および工程条件中の熱処理条件等を制御することで、強度に寄与する第2相、プレス性改善に寄与する第2相を制御する。また、固溶状態にある元素によるドラッグ効果にて、結晶粒径とその変動係数を制御することで、耐応力緩和特性向上に寄与することが出来る。
(製造方法)
次に、本発明の銅合金材料の製造方法(化合物Aと化合物Bの制御方法)について説明する。ここでは、析出型銅合金の板材(条材)を例に挙げて説明するが、析出を利用する固溶型合金材に展開することが可能である。本発明の板材(条材)の厚さは特に制限はないが、好ましくは0.05〜5mmである。
本発明合金は、鋳造[工程1]後、均質化熱処理[工程2]として900℃〜1000℃、0.5〜8時間の加熱を行う。この熱処理によって、鋳造で生成された晶出物、析出物のサイズや密度の一次的な制御を行い、後の工程によって第2相AおよびBのサイズと密度を満足できるようにしている。従来、この均質化熱処理では極力固溶状態とする高温熱処理が行われてきたが、本願では課題解決のために低い温度域で均質化熱処理を行っている。
なお、強度に寄与しないため従来では添加されることがないような、例えば0.5mass%超のCr添加量においては、第2相Bに相当する第2相は1000℃超でも十分な密度で残存する。よって、強化を目的とした固溶を促進させるために1000℃超の処理を施すことも可能である。処理温度の上限としては、材料強度が極端に落ち、熱処理中、もしくはその後の熱間圧延にて鋳塊形状が大きく部分変形してしまう約1050℃が目安となる。
均質化熱処理が終わった後は、一般的な熱間圧延を施し[工程3]、冷間圧延と、必要に応じ熱処理と冷間圧延とを繰り返す工程をとる[工程4]。その後、時効熱処理工程[工程5]、最終冷間圧延工程[工程6]、歪取焼鈍工程[工程7]を施す。このとき、鋳造終了時から、製品板厚に至るまでの圧延率が全体で90〜99.95%であると、プレス時に剪断面よりも金型磨耗への影響が小さい破断面の面積率が高くなることから、一層プレス性の改善に至る。また、適切な歪を導入することで析出密度をより大きくすることができることから、強化を望める。その状態にてCr系の0.1〜5μmの共晶化合物および粗大析出物は、粒子の重心を通り、最も直径が大きくなる長径を、最も直径が小さくなる短径で割った値(アスペクト比)の平均が10〜50にあることが好ましい。アスペクト比の測定方法は上記直径サイズの測定で述べた。
この圧延率が90%より低いと、プレス性が劣化したり、強度が低下したりすることがある。圧延率が99.95%より高いと、材料が破壊される可能性が格段と高くなることがある。
Cu−Cr系のような析出型合金の従来工程では、最終の再結晶溶体化処理、もしくは時効熱処理までに固溶状態を維持する工程条件が一般的であり、鋳造時の晶出物は再固溶させるのが常である。
本発明の銅合金材料の製造方法としては鋳造、均質化熱処理、熱間加工、冷間加工、その後必要に応じて熱処理と冷間圧延を繰返し行う。鋳造後の均質化熱処理では、従来製法はより良好な固溶状態にするために、高温の熱処理を行い、鋳造時に形成された第2相を固溶させるか、最低限の加熱を行い、速やかに熱延を行うのが一般であるが、本発明では晶出物を過度に固溶させず、かつ後の時効にて強度に有効に寄与する第2相を生成するためにある程度の固溶をさせることが出来る、900〜1000℃、0.5〜8時間の熱処理が必要となる。Cr添加量が0.5mass%以上の場合は、熱処理条件がより高くても晶出物や粗大な化合物は残存するために、第2相Bが規定の範囲内で残存することを条件に、1000〜1050℃の熱処理にて固溶処理を行っても良い。
後の冷間圧延と熱処理の組合せは任意であるが、固溶している残りのCrについて、第2相Aを発明範囲内にある密度で析出させるプロセス(時効熱処理工程)が必要である。例えば300〜600℃、数分〜数時間程度の熱処理にて析出させて、規定の範囲内の化合物密度とする。時効熱処理工程において、通常は2時間程度の熱処理を施すのが一般的であるが、2時間よりも長時間の熱処理を、より低温にて施すことによって強化することも可能である。特に、粗大化合物を有している本発明材については、その微細析出量が限られているために有効な手段である。
最終冷間圧延工程の加工率は、直前の工程での板圧(時効熱処理後の板圧)に対して0〜30%取ることが望ましい。なお、この圧延工程は、総圧延率(初期板圧からの圧延率)が90〜99.95%になるように行われる。最終冷間圧延工程の圧延率は、0%に近ければ、全体の歪量を極力低減させることで、導電率を高い状態に維持したり、耐応力緩和特性をより良好な状態にしたりすることができる。一方圧延率が30%に近ければ、より強化をすることができる。導電性、耐応力緩和特性をある程度犠牲にしても良い場合において、30%以上の圧延を行い、より一層の強化をすることも可能である。
歪取り焼鈍は、例えば走間炉で行う場合は400〜800℃で5秒〜180秒程度、バッチ炉で行う場合は、250〜500℃で10分〜180分程度行うのが好ましい。
上述のように製造した本発明の銅合金材は、同組成の従来合金の耐応力緩和特性を上回る特性を有しており、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等に要求される特性を満足することができる。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1、比較例1>
原料を溶解後、120mmw×30〜200mmt×180mmLのサイズのブックモールドに鋳造し、以下発明例と比較例で次のような条件でサンプル試作した。
(発明例)
均質化熱処理を900〜1000℃で0.5〜8時間行った後、熱間圧延を施し、更に冷間圧延を90〜99.95%施し、時効熱処理を450℃、2時間施した。その後、最終冷間圧延を総圧延率が99.95%以上とならない範囲で、直前の板圧に対して0〜30%施した後、歪取り焼鈍を300℃、30分程度施し最終特性を評価した。均質化熱処理〜時効処理前の冷間圧延までの各条件が規定の範囲内にあるようにして発明例とした。また、時効工程を工夫し強度とプレス性についてより高いバランスを有した発明例として、時効処理を350℃、10時間施した例を加えた。
上記処理でCr系化合物、Cr単体、CrZr、CrTiなどの第2相が生成した。
(比較例)
均質化熱処理を800〜1080℃で0.1〜15時間行った後、熱間圧延を施し、更に冷間圧延を50〜99.99%施し、時効熱処理を450℃、2時間施し、その後冷間圧延を30%施した後、歪取り焼鈍を300℃、30分程度施し最終特性を評価した。均質化熱処理〜時効処理前の冷間圧延までの各条件のひとつ以上が規定の範囲外にあるようにして比較例とした。
なお、各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
この供試材について下記の特性調査を行った。ここで、供試材の厚さは断りが無い場合は0.1〜1.0mmtとした。
a.化合物測定、およびそのアスペクト比測定:
電子顕微鏡により母相に析出、晶出した第2相を観察しその数を確認した。0.01μm以上0.1μm未満の化合物Aついては、析出物密度が確定し、更に最も歪量が少ない時効熱処理直後のサンプルについて、硝酸20%のメタノール溶液にて電解研磨を行い観察用サンプルとし、TEMにて×10000〜×100000の倍率で観察および測定を行った。0.1〜5μmの化合物Bについては、製品について圧延方向に対して垂直断面を湿式研磨およびバフ研磨を施した後、クロム酸:水=1:1の割合で混合した液にて数秒間研磨面を腐食した後、×500〜×5000の倍率で観察及び測定を行った。共に総数100〜200個程度の化合物を観察した総面積で割り、更に1mm当りの密度に換算した。
アスペクト比については、先のSEMにて観察された第2相において、粒子の重心を通り、最も直径が大きくなる長径と、最も直径が小さくなる短径を測定して各粒子の長径/短径を算出した後、その平均値を求めた。
以下、引張強度、導電性、耐応力緩和特性の特性評価を行った。
b.引張強度 [TS]:
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を示した。
c.導電率 [EC]:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
d.応力緩和率 [SR]:
日本伸銅協会 JCA/B T309:2004「銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法」に準じ、以下に示すように、150℃で1000時間保持の条件で測定した。片持ちはり法(片持ちはりブロック式ジグ使用)により耐力の80%の初期応力を負荷した。
e.プレス時の金型磨耗性(プレス性):
プレス10万回毎にその破断面を観察し、10μm以上のダレやバリが出ている場合、その金型の磨耗が進行し製品信頼性を満たす形状維持が出来ず、金型の交換が必要であるとした。100万回ごとにサンプリングし、その断面のバリ、ダレを測定することで有効なプレス回数を判断した。サンプル断面を湿式研磨およびバフ研磨を施した後、光学顕微鏡で観察実測により評価し、1000万回以上のプレス後に発生したのであれば耐磨耗性は良好、900万回以下であれば不良とみなした。なお、各サンプル厚を0.3mmtと統一し、鋳造ブックモールドの厚みを変えたり、鋳塊の面削などを行ったりするなどして試験板厚が変化しないようサンプル作製を行った。
TS>500MPa、EC>75%IACS、SR<25%であり、かつプレス性が上記の良好条件を満たすとき、端子特性として耐熱性、バネ特性、導電性に優れ、かつ金型についてコストパフォーマンスに優れた銅合金材となる。
Figure 2013194268
Figure 2013194268
表1−1は成分が範囲内の発明例(合金No.1〜21)、表1−2は成分が範囲外の比較例(合金No.22〜47)について示す。
Figure 2013194268
Figure 2013194268
表2−1は成分が範囲内、表2−2は成分が範囲外で、製造条件が発明の範囲内にある一例にて試作した結果を示す。成分、製造条件が範囲内にあると必要な特性、およびプレス性は全て満たされ、成分が範囲外であると、製造条件が範囲内であっても強度、導電性、耐応力緩和特性、プレス性いずれか1つ以上の特性が満たされていないか、もしくは製造難となっている。
Figure 2013194268
Figure 2013194268
表3−1は成分が範囲内、表3−2は成分が範囲外で、製造条件が発明の範囲外にある一例にて試作した結果を示す。成分が範囲内外に関わらず、製造条件が範囲外にあれば特性は満たさないか、製造難となっている。特に、均質化熱処理条件において、熱処理が範囲より低温もしくは短時間となると強度及び耐応力緩和特性に劣り、熱処理が範囲より高温もしくは長時間となると、プレス性が劣っている。No.2−10〜18、20、21、38〜43、47については均質化熱処理条件が範囲より高温で行われている例である。同様の温度域で処理されたNo.1−8が発明例であるのに対し、これらが特性の劣る比較例となっているのは、Cr添加量が大きく異なるためである。すなわち、高温熱処理でBに相当する第2相が範囲内量で残存したか否かによるものである。
Figure 2013194268
表4には、成分比率が発明範囲内にある合金No.3、9、15について、更に熱処理条件を変えたり、表2〜3で一定であった圧延工程条件を変えたりして試作した結果を示す。条件が異なっても範囲内であれば特性は全て満たされ、範囲外であれば強度、導電性、耐応力緩和特性、プレス性いずれか1つ以上の特性が満たされていないか、もしくは製造難となっている。No.3−35、36は時効条件を低温、長時間に変更した場合であり、強度とプレス性のバランスを高めた発明例となっている。
以上のように本発明の合金材は、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等に好適である。

Claims (4)

  1. Crを0.1〜1.2mass%、Mg,Ti,Zr,Zn,Fe,Sn,Ag、及びSiから選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、0.01μm以上0.1μm未満の直径サイズの第2相を第2相A、0.1〜5μmの直径サイズの第2相を第2相Bとしたときに、第2相Aの密度が1×10個/mm2を越え、第2相Bの密度が1×10個/mm2を越えて存在していることを特徴とする銅合金材。
  2. 前記第2相Bのアスペクト比について、長径を短径で割った平均値が10〜50となる請求項1に記載の銅合金材。
  3. 請求項1または2に記載の銅合金材の製造方法であって、
    前記銅合金材を与える合金組成の銅合金に、鋳造[工程1]、均質化熱処理工程[工程2]、熱間加工工程[工程3]、冷間加工後、必要に応じ熱処理と冷間加工とを繰り返す加工工程[工程4]、時効熱処理工程[工程5]、最終冷間圧延工程[工程6]、歪取焼鈍工程[工程7]を施すにあたり、
    前記均質化熱処理[工程2]を900〜1000℃で0.5〜8時間行う銅合金材の製造方法。
  4. 鋳造後からの総圧延率を90〜99.95%とする請求項3に記載の製造方法。
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