JP2015224354A - 銅合金材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】EV、HEVを中心とした車載部品及び周辺インフラや太陽光発電システム等のコネクタ、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に適した高い導電性、耐応力緩和特性、強度を兼ね備えた銅合金材及びその製造方法を提供する。【解決手段】Crを0.10〜0.50質量%と、Mgを0.01〜0.50質量%含み、Zr、Tiのうち少なくとも一種を合計で0.00〜0.20質量%含有する第1添加元素群、およびZn、Fe、Sn、Ag、Si、Niのうち少なくとも一種を合計で0.00〜0.50質量%含有する第2添加元素群からなる群から選ばれる一種を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金材であって、材料表面への初期負荷応力を0.2%耐力の80%として、150℃中で1000時間放置した時の応力緩和率が30%以下であり、引張強度と0.2%耐力の差が15MPa以下であることを特徴とする銅合金材。【選択図】なし

Description

本発明は、EV(Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)を中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのコネクタのほか、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に好適な銅合金材及びその製造方法に関する。
EV、HEVを中心とした車載部品及び周辺インフラや太陽光発電システム等のコネクタ、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等の用途においては、銅合金材が一般的に使用されている。近年、回路電源の高電圧化や電子機器寸法の小型化による、回路の高電流密度化が進行しており、通電時の抵抗発熱及びそれに伴うばね接点部における回路接続信頼性の低下が懸念されている。この問題を解決するに当たり、銅合金材には、抵抗発熱を抑制するための高い導電性、発熱した際にばねのへたりを抑制し回路接続信頼性を維持するための耐応力緩和特性が要求される。またばね接点の接圧を担保するために、強度は高い方が好ましい。
中程度の強度と高い導電性を有する合金系として、銅−クロム(Cu−Cr)系銅合金、銅−ジルコニウム(Cu−Zr)系銅合金、銅−希薄チタン(Cu−希薄Ti)系銅合金等が挙げられる。Cu−Cr系銅合金は、元素添加により、耐応力緩和特性を改善することができる。例えば特許文献1では、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、銀(Ag)、シリコン(Si)を添加することで、耐応力緩和特性を改善している。Cu−Zr系銅合金やCu−希薄Ti系銅合金は耐応力緩和特性が良好であることが、特許文献2で示されている。
また耐応力緩和特性を改善するためには、最終加工工程の後に所定の熱処理工程を実施することが有効である。特許文献2において、歪取焼鈍を実施しない場合、耐応力緩和特性が低下することが示されている。
このように、従来、適切な合金系を選択し、製造工程を適宜に工夫することで、高い導電性と耐応力緩和特性を兼ね備えた銅合金材を得ていた。
特許第5307305号公報 特許第5380621号公報
ところで、近年の急速な、EV、HEVの技術開発、性能向上に伴い、これらの車を中心とした車載部品及び周辺インフラや太陽光発電システム等のコネクタ、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等において、回路ひいてはシステムの接続信頼性を維持することが必須である。そのため、ばね接点の初期接圧を大きくし、かつ通電時の抵抗発熱等により熱が付加された際にも、大きな接圧を維持する必要が高まっている。このような要求から銅合金材には、高い導電性と優れた耐応力緩和特性に加え、より高い強度が要求される。
特許文献1では、Cu−Cr系銅合金に元素添加することで、高い導電率(EC:Electrical Conductivity)と引張強度(TS:Tensile Strength)、耐応力緩和特性を兼ね備えている。ばね接点の接圧は0.2%耐力(YS:Yield Stress)によって決まるため、材料にはTSだけでなく、YSも高いことが望まれる。耐応力緩和特性を改善するためには最終加工工程後の熱処理工程が必要であり、その際TSとYSの低下が起こり、TSに比べYSの方が強度低下量は大きくなる。従来は、耐応力緩和特性を改善するために十分な熱処理を行うと、TSを高く維持できたとしてもYSが低下してしまい、また一方で熱処理が不十分だと耐応力緩和特性の改善が不十分になるという問題があった。
また特許文献2に記載されたCu−Zr系銅合金、Cu−希薄Ti系銅合金は、高い導電性と耐応力緩和特性を兼ね備えているものの、比較的強度の低い合金系である。そのため、通常、最終圧延の総加工率を50%より大きくすることで強度を高めているのが実情である。しかし、この方法では、材料の強度は高められる。しかし、曲げ加工性や導電性が低下するという問題がある。また総加工率が50%以下では、0.2%耐力が380MPa未満の低い値となって、十分な接点接圧が得られない可能性がある。
上記の事情に鑑み、本発明の課題は、近年の技術進歩が著しいEV、HEVを中心とした車載部品及び周辺インフラや太陽光発電システム等に用いるコネクタ、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に適した、高い導電性、耐応力緩和特性、強度を兼ね備えた銅合金材及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記のEV、HEVを中心とした車載部品及び周辺インフラや太陽光発電システム等のコネクタ、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に適した銅合金材について研究を行った。Crを0.10〜0.50質量%とMgを0.10〜0.50質量%、さらにZr、Tiのうち少なくとも一種類を合計で0.01〜0.20質量%、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、Sn、Ag、Si、ニッケル(Ni)のうち少なくとも一種類を合計で0.01〜0.50質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金材の、最終加工工程後の熱処理工程において、熱処理条件(昇温速度、到達温度、熱処理時間、冷却速度など)を適切な範囲に制御することで、熱処理によるYSの低下を抑制できることを見出した。これにより、熱処理後のTSとYSの差が小さくなり、先行例と同等のTSと耐応力緩和特性を持ちながら、高いYSを兼ね備えた銅合金材を得られ、高い導電性、耐応力緩和特性、強度を兼ね備えた材料が得られる。
本発明の上記の課題は、下記の手段によって達成される。
(1)Crを0.10〜0.50質量%と、Mgを0.01〜0.50質量%含み、Zr、Tiのうち少なくとも一種を合計で0.00〜0.20質量%含有する第1添加元素群、およびZn、Fe、Sn、Ag、Si、Niのうち少なくとも一種を合計で0.00〜0.50質量%含有する第2添加元素群からなる群から選ばれる一種を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金材であって、
材料表面への初期負荷応力を0.2%耐力の80%とし、150℃中で1000時間放置後の応力緩和率が30%以下であり、
引張強度と0.2%耐力の差が15MPa以下である銅合金材。
(2)Zr、Tiのうち少なくとも一種を合計で0.01〜0.20質量%含有する第1添加元素群、およびZn、Fe、Sn、Ag、Si、Niのうち少なくとも一種を合計で0.01〜0.50質量%含有する第2添加元素群からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する、(1)に記載の銅合金材。
(3)引張強度と0.2%耐力の差が10MPa以下で(1)または(2)に記載の銅合金材。
(4)導電率が60%IACS以上である(1)〜(3)のいずれか1に記載の銅合金材。
(5)(1)〜(4)のいずれか1に記載の銅合金材を製造する銅合金材の製造方法であって、
(a)前記銅合金材を与える組成から成る銅合金を溶解鋳造、
(b)850〜1050℃で0.5〜12時間の均質加熱処理、
(c)700〜1000℃での熱間加工および冷却、
(d)冷間加工、
(e)350〜650℃で10分〜24時間の熱処理後、冷却速度2℃/分以下で300℃まで冷却、
(f)加工率10〜50%の仕上げ冷間加工、
(g)昇温速度が50℃/秒以上で、冷却速度が50℃/秒以上であり、300〜550℃で2〜60秒の歪取り焼鈍、
をこの順で有する銅合金材の製造方法。
(6)(1)〜(4)のいずれか1に記載の銅合金材からなる電気電子部品。
本発明の銅合金材は、高い導電性、耐応力緩和特性、強度を兼ね備えており、ばね接点に用いた際、初期に高い接圧を担保できる。また通電時の発熱量が小さく、かつ発熱したとしてもばねのへたりが小さいために接圧を維持できる。このため、EV、HEVを中心とした車載部品及び周辺インフラや太陽光発電システム等のコネクタ、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に好適である。
本発明の銅合金材の好ましい実施の形態について、詳細に説明する。ここで、「銅合金材」とは、(加工前であって所定の合金組成を有する)銅合金素材が所定の形状(例えば、板、条、箔など)に加工されたものを意味する。以下では実施形態として板材、条材について説明するが、その形状はこれに限定されるものではない。
本発明の銅合金材は、材料表面への初期負荷応力を0.2%耐力の80%として、150℃中で1000時間放置した時の応力緩和率(SRR:Stress Relaxation Ratio)が30%以下である。また、本発明の銅合金材は、好ましくは引張強度(TS)と0.2%耐力(YS)の差が15MPa以下である。
本発明の銅合金材の応力緩和率は、上記のように30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。応力緩和率が大きすぎると、通電時の抵抗発熱等で端子に熱負荷がかかる際、端子接圧を維持できないために好ましくない。また、本発明の銅合金材の引張強度(TS)は、400MPa以上が好ましく、450MPa以上がより好ましく、500MPa以上がさらに好ましい。さらに上記TSとYSの差は上記のように15MPa以下が好ましく、10MPa以下がさらに好ましい。TSとYSの差が15MPaを超えると、YSが低くなり、端子接圧を担保できなくなるという観点から好ましくない。本発明の銅合金材の構成を、以下にさらに詳細に説明する。
(合金成分)
<Cr>
Crは、銅合金母相中に析出させることで、導電性を損なうことなく、強度、耐応力緩和特性を向上させることができる。本発明において、Crは0.10〜0.50質量%、好ましくは0.15〜0.40質量%、さらに好ましくは0.20〜0.35質量%含まれる。Cr量が0.10質量%未満になると、銅母相中のCrまたはCrを含む化合物の量が少なくなるため、所望の強度、耐応力緩和特性が得られない。また0.50質量%より大きくなると、導電性の低下、銅母相中における粗大な化合物の発生による強度の低下、加工性への悪影響といった問題が生じる。
<Mg>
Mgは、上記の含有量で銅母相中に固溶元素として作用することで、強度、耐応力緩和特性を向上させることができる。本発明において、Mgを0.01〜0.50質量%、好ましくは0.05〜0.40質量%、さらに好ましくは0.10〜0.30質量%含有させても良い。含有量が0.01質量%未満では特性改善効果が十分に得られず、0.50質量%より大きくなると、導電性の低下、加工性への悪影響といった問題が生じる。Mgは、銅母相中に固溶元素として作用することで耐応力緩和特性を向上させるため、PのようにMgと化合物を形成し析出させる元素を同時に添加することは、好ましくない。
<Ti、Zr>
本発明において、任意添加成分として添加できる、第1添加元素のTi、Zrは、銅母相中に析出させることで、強度、耐応力緩和特性を向上させることができる。本発明のこの態様において、Ti、Zrのうち少なくとも1種類を合計で0.01〜0.20質量%、好ましくは0.05〜0.15質量%、さらに好ましくは0.10〜0.15質量%含有させても良い。含有量が0.01質量%未満ではその添加の効果が十分でなく、0.20質量%より大きくなると、導電性の低下、加工性への悪影響といった問題が生じる。
<Zn、Fe、Sn、Ag、Si、Ni>
本発明の好ましい態様として、任意添加成分として、第2添加元素のZn、Fe、Sn、Ag、Si、Niを添加することで、強度、耐応力緩和特性、プレス性、めっき性といった材料特性を向上させることができる。この場合、Zn、Fe、Sn、Ag、Siのうち少なくとも一種類を合計で0.01〜0.50質量%、好ましくは0.05〜0.40質量%、さらに好ましくは0.10〜0.30質量%含有させても良い。含有量が0.01質量%未満では、第2添加元素の添加の効果が十分でなく、0.50質量%より多すぎると、導電性の低下、加工性への悪影響、原料費の増加といった問題が生じることがある。
(製造方法)
次に、本発明の銅合金材の製造方法の好ましい一例について説明する。本発明の銅合金材は、通常、溶解鋳造、均質化熱処理、熱間加工、冷間加工、熱処理、仕上げ加工、歪取り焼鈍を順に行なうことで製造される。さらに熱間加工後、冷間加工前に面削を行ってもよい。この製造方法は、従来と同程度の工程数でありながら、それぞれの工程条件を適切に調整することで、材料特性の向上を実現する。本発明の製造方法においては、最終的に仕上げ加工と歪取り焼鈍を実施することが重要であり、その前工程である冷間加工や熱処理は、複数回実施しても良い。また熱処理工程の前に溶体化熱処理を実施することで、熱間加工で銅母相中に析出した化合物を固溶させ、最終的に得られる材料において、添加成分の効果を得易くすることができる。
<溶解鋳造>
銅合金素材を溶解炉により溶解鋳造を実施し、冷却して所定の成分を持つ鋳塊を得る。溶解鋳造は、公知の方法で行うことができる。
<均質化熱処理>
均質化熱処理は、鋳塊に含まれる化合物を銅母相中に固溶させ、鋳塊の成分を均質化するために実施する。これにより、添加した成分の効果が十分に得られるようになり、また材料中の特性のばらつきを小さくすることができる。本発明においては、好ましくは850〜1050℃の温度で0.5〜12時間、より好ましくは900〜1050℃、さらに好ましくは950〜1050℃での均質化熱処理を行う。
<熱間加工>
均質化熱処理した直後の鋳塊を熱間加工(好ましくは700〜1000℃熱間圧延など)して板厚を薄くし、その後冷却する。冷却は、例えば水冷で行う。冷却速度が遅すぎると冷却中に添加元素の一部が析出し、目標とする最終特性が得られないことになる。
<面削>
熱間加工後の材料表面に形成された酸化皮膜を面削により取り除く。面削工程は任意で行ってよい。面削は、公知の方法で行うことができる。
<冷間加工>
面削後の材料を、冷間加工(冷間圧延など)して板厚を薄くする。
<熱処理>
冷間加工後の材料に対して、好ましくは350〜650℃で、10分〜24時間、より好ましくは400〜600℃で1〜10時間の時効析出熱処理を行なう。この熱処理により、銅母相中に微細な析出物が析出し、強度、導電性、耐応力緩和特性が向上する。低温で短時間処理する場合、析出量が少なく、また析出する化合物の粒子径が微細すぎるため、強度、導電性、耐応力緩和特性の向上は望めない。また高温で長時間処理する場合、析出する化合物が粗大化し、導電性は向上するものの、強度、耐応力緩和特性の向上は望めない。また、時効熱処理後の300℃までの冷却速度は、好ましくは2℃/分以下とする。300℃までの冷却速度をこの範囲とすることで、強度、導電性、耐応力緩和特性をより向上させることができる。
<仕上げ冷間加工>
熱処理後の材料に、好ましくは10〜50%、より好ましくは10〜40%の加工率で、仕上げ冷間加工(冷間圧延など)を行なう。仕上げ加工により、強度が向上し、またTSとYSの差が小さくなる。しかし、導電性、耐応力緩和特性は低下する。仕上げ加工率が10%より小さい場合、十分な強度の向上は望めず、またTSとYSの差が大きくなる。総加工率が50%より大きい場合、導電性、耐応力緩和特性、曲げ加工性が著しく低下し、後の歪取り焼鈍工程で、これらの特性の回復と強度の維持を両立することが困難となる。
<歪取り焼鈍>
仕上げ加工後の材料に歪取り焼鈍を行なうことで、強度が低下し、TSとYSの差が大きくなる。しかし導電性、耐応力緩和特性、曲げ加工性が改善される。本発明では、300〜550℃の温度で、2〜60秒の歪取り焼鈍を行う。温度は、350〜500℃の範囲であることがより好ましい。時間は、3〜20sの範囲であることがより好ましい。この際、昇温速度と冷却速度は50℃/s以上であることが好ましく、100℃/s以上であることがより好ましい。低温で短時間処理した場合、強度、導電性、耐応力緩和特性、曲げ加工性の変化はほとんど起こらない。また高温で長時間処理すると、強度が著しく低下し、TSとYSの差も大きくなる。昇温速度と冷却速度が規定の範囲を満たさない場合、TS、EC、SRRで狙いの値が得られたとしても、TSとYSの差が大きくなる。
本発明の銅合金材は、高い導電性、耐応力緩和特性、強度を兼ね備えており、EV、HEVを中心とした車載部品及び周辺インフラや太陽光発電システム等のコネクタ、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に好適である。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
原料の銅合金素材を溶解鋳造して鋳塊を作製し、これを均質化熱処理した直後に熱間加工を行ない、水冷した。水冷後、面削により材料の酸化皮膜を除去してから冷間加工を行い、350〜650℃で10分〜24時間熱処理し、300℃までの冷却速度を2℃/分として冷却した。冷却後、仕上げ圧延、歪取り焼鈍を続けて行なうことで、銅合金材を得た。各工程の条件を規定の範囲内に収めることで、目標とする材料組織を有する発明例の試料を得た。また比較例として、鋳塊成分、製造方法の異なる材料を作製した。
なお、各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を行った。
このようにして製造した供試材について、下記の評価を実施した。
(TS、TSとYSの差)
(引張強度:TS)
引張方向が圧延方向と平行になるように切り出した、試験片を、JIS Z2241に準拠して引張試験を行い、引張強度を求めた。試験は3回実施し、その平均値を試験結果として示した。
(0.2%耐力:YS)
引張方向が圧延方向と平行になるように切り出した試験片を、JIS Z2241に準拠して引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。試験は3回実施し、その平均値を試験結果として示した。
(導電率:EC)
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で、四端子法により比抵抗を計測し、導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
(応力緩和率:SRR)
日本伸銅協会 JCBA T309:2004「銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法」に準じ、片持ちはり法(片持ちはりブロック式ジグ使用)により、材料表面への初期負荷応力を0.2%耐力の80%とし、150℃で1000時間保持の条件で測定した。試験片は幅10mmの短冊形とし、圧延平行方向と試験片の長さ方向を一致させた。応力緩和率の算出方法は、特許第5307305号に記載された算出方法による。すなわち、熱処理前、試験台に片持ちで保持した試験片に、耐力の80%の初期応力を付与した時の試験片の先端の位置は、基準位置から距離δの高さにある。これを150℃の恒温槽に1000時間保持(初期応力を付与した状態で上記試験片を熱処理)し、負荷を除いた後の試験片の先端の位置は、上記基準位置から距離Hの高さにある。また応力を負荷しなかった場合の試験片に対して上記の熱処理を行った場合の試験片の先端の位置は、上記基準位置から距離Hの高さにある。これらの関係から、応力緩和率(%)は(H−H)/(δ―H)×100と算出した。
Figure 2015224354
表1に、作製した鋳塊の合金成分をまとめた。合金No.1〜14は本発明の範囲内であり、合金No.15〜24は本発明の範囲外である。
Figure 2015224354
表2は、製造方法が本発明の範囲内であり、成分も本発明の範囲内である発明例と、成分が本発明の範囲外である比較例について示す。発明例は、いずれもTS≧400MPa、EC≧60%IACS、SRR≦30%で、かつTSとYSの差が15MPa以下となり、高い導電性、耐応力緩和特性、強度を兼ね備えた銅合金材である。これに対し、合金成分の添加量が本発明で規定する範囲を満たさない比較例では、強度、導電性、耐応力緩和特性、及び加工性のいずれかがが劣る結果となった。
Figure 2015224354
表3は、成分が本発明の範囲内であり、製造方法も本発明の範囲内である発明例と、製造方法が本発明の範囲外である比較例について示す。発明例は、いずれもTS≧400MPa、EC≧60%IACS、SRR≦30%で、かつTSとYSの差が15MPa以下となり、高い導電性、耐応力緩和特性、強度を兼ね備えた銅合金材である。これに対し、製造条件が本発明の範囲外である比較例は、強度、導電性、耐応力緩和特性のいずれかが劣る結果となった。
本発明の範囲内の銅合金材は、高い導電性、耐応力緩和特性、強度を兼ね備えることが出来るため、EV、HEVを中心とした車載部品及び周辺インフラや太陽光発電システム等のコネクタ、その他リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等に好適である。

Claims (6)

  1. Crを0.10〜0.50質量%と、Mgを0.01〜0.50質量%含み、Zr、Tiのうち少なくとも一種を合計で0.00〜0.20質量%含有する第1添加元素群、およびZn、Fe、Sn、Ag、Si、Niのうち少なくとも一種を合計で0.00〜0.50質量%含有する第2添加元素群からなる群から選ばれる一種を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金材であって、
    材料表面への初期負荷応力を0.2%耐力の80%として、150℃中で1000時間放置した時の応力緩和率が30%以下であり、
    引張強度と0.2%耐力の差が15MPa以下であることを特徴とする銅合金材。
  2. Zr、Tiのうち少なくとも一種を合計で0.01〜0.20質量%含有する第1添加元素群、およびZn、Fe、Sn、Ag、Si、Niのうち少なくとも一種を合計で0.01〜0.50質量%含有する第2添加元素群からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の銅合金材。
  3. 引張強度と0.2%耐力の差が10MPa以下である、請求項1または2に記載の銅合金材。
  4. 導電率が60%IACS以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の銅合金材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金材を製造する銅合金材の製造方法であって、
    (a)前記銅合金材を与える組成から成る銅合金を溶解鋳造、
    (b)850〜1050℃で0.5〜12時間の均質加熱処理、
    (c)700〜1000℃での熱間加工および冷却、
    (d)冷間加工、
    (e)350〜650℃で10分〜24時間の熱処理後、冷却速度2℃/分以下で300℃まで冷却、
    (f)加工率10〜50%の仕上げ冷間加工、
    (g)昇温速度が50℃/秒以上で、冷却速度が50℃/秒以上であり、300〜550℃で2〜60秒の歪取り焼鈍、
    をこの順で有することを特徴とする、銅合金材の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金材からなる電気電子部品。
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