JP2012012644A - 銅合金の製造方法、及び銅合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い導電率、優れた耐応力緩和性を有すると共に、強度が高く、曲げ加工性に優れた銅合金の製造方法、及び銅合金を提供する。
【解決手段】Cuに、0.1〜0.4質量%のCrと、0.01〜0.2質量%のZrと、0.01〜0.3質量%のSnと、0.05〜0.4質量%のMgと、不可避的不純物とを含む銅合金材を鋳造する鋳造工程と、銅合金材に熱間圧延加工を施す熱間圧延工程と、熱間圧延加工を施した銅合金材に700〜900℃の温度の熱処理を施した後、急冷する冷却工程と、冷却工程を経た銅合金材に、80%以上の加工度の冷間圧延加工を施す第1冷間圧延工程と、第1冷間圧延加工が施された銅合金材に390〜450℃の温度で時効処理を施す時効処理工程と、時効処理が施された銅合金材に20〜40%の加工度の冷間圧延加工を施す第2冷間圧延工程と、第2冷間圧延工程を経た銅合金材に400〜600℃で焼鈍を施すことにより銅合金を製造する焼鈍工程とを備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、銅合金の製造方法、及び銅合金に関する。特に、本発明は、電気用部品の銅合金の製造方法、及び銅合金に関する。
リードフレーム、コネクタ、リレー、スイッチ等の電気部品に用いられる材料には、高強度、優れた耐応力緩和特性、高導電性、優れた曲げ加工性等の特性が要求される。高強度は、バネ材として高い接触圧を当該材料に付与するために要求され、優れた耐応力緩和特性は、電気部品を高温下で長期間使用した場合であっても接触圧を維持するために要求される。また、高導電性は、電気部品の通電時におけるジュール熱の発生を抑制すると共に、発生した熱を放散しやすくするために要求され、優れた曲げ加工性は、曲げ加工による割れを電気部品に発生させないために要求される。
近年の電気部品の小型化に伴い、電気部品を構成する材料に流れる電流の電流密度が増大している。電流密度の増大に伴い、従来の材料より高導電性の材料に対する要求が生じている。また、車載向けの電気部品においては更に高温の環境下における使用に耐える材料が必要であることから、耐応力緩和特性に優れた材料に対する要求も高まっている。高温環境下における使用に耐え、耐応力緩和特性に優れた材料として、従来は黄銅やリン青銅等が用いられてきたが、これらの材料は、近年、要求される高導電性、耐応力緩和特性等に応える特性は有していない。
高導電性と優れた耐応力緩和特性とを併せ持つ材料として、Cu−Cr−Zr系合金が提案されている。Cu−Cr−Zr系合金は、析出硬化型合金であるCu−Ni−Si系合金に比べ、析出硬化による強度の上昇が小さいことから、更なる高強度化が要求されている。
例えば、0.05〜0.40%のCrと、0.03〜0.25%のZrと、0.10〜1.80%のFeと、0.10〜0.80%のTiとを含むか、あるいは更に0.05〜2.0%のZnと、総量で0.01〜1%のSn、In、Mn、P、Mg、及びSiの1種以上とを含有すると共に、0.10%≦Ti≦0.60%ではFe/Ti重量比が0.66〜2.6を満足し、0.60%<Ti≦0.80%ではFe/Ti重量比が1.1〜2.6を満足し、残部がCu及び不可避的不純物からなる銅合金の素材に、1)950℃未満の温度での溶体化処理、2)50〜90%の加工度での冷間加工、3)300〜580℃の温度での時効処理、4)16〜83%の加工度での冷間加工、5)350〜700℃の温度での焼鈍処理をこの順に施すことにより銅合金材を製造する電子機器用高力高導電性銅合金材の製造方法が知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−258805号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電子機器用高力高導電性銅合金材の製造方法は高温での溶体化処理を採用しており、斯かる溶体化処理では母相の金属組織の粗大化を引き起こすので、銅合金材が部分的に軟化すること、銅合金材の曲げ加工性が悪化すること、銅合金材の耐応力緩和特性が悪化することが懸念される。耐応力緩和特性、強度、及び曲げ加工性を向上させるためには、Cr、Zrを含む析出物の析出を制御することが必要になる。これらの析出物の析出を制御するためには、溶体化処理、時効処理前の冷間圧延、時効処理等の各加工条件の調整による制御、又は他の添加物による制御が要求される。
したがって、本発明の目的は、高い導電率、優れた耐応力緩和性を有すると共に、強度が高く、曲げ加工性に優れた銅合金の製造方法、及び銅合金を提供することにある。
(1)本発明は、上記課題を解決することを目的として、母相としての銅(Cu)に、0.1質量%以上0.4質量%以下のクロム(Cr)と、0.01質量%以上0.2質量%以下のジルコニウム(Zr)と、0.01質量%以上0.3質量%以下のスズ(Sn)と、0.05質量%以上0.4質量%以下のマグネシウム(Mg)と、不可避的不純物とを含む銅合金材を鋳造する鋳造工程と、銅合金材に熱間圧延加工を施す熱間圧延工程と、熱間圧延加工を施した銅合金材に700℃以上900℃未満の温度の熱処理を施した後、急冷する冷却工程と、冷却工程を経た銅合金材に、80%以上の加工度の冷間圧延加工を施す第1冷間圧延工程と、第1冷間圧延加工が施された銅合金材に、390℃以上450℃以下の温度で時効処理を施す時効処理工程と、時効処理が施された銅合金材に、20%以上40%以下の加工度の冷間圧延加工を施す第2冷間圧延工程と、第2冷間圧延工程を経た銅合金材に、400℃以上600℃未満で焼鈍を施すことにより銅合金を製造する焼鈍工程とを備える銅合金の製造方法が提供される。
(2)また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記(1)に記載の銅合金の製造方法により製造された銅合金材であって、第2冷間圧延工程の圧延方向に対して垂直な断面内から所定の1か所の600nm×400nmの領域を選択した場合に、領域内の母相の結晶粒径が50μm以下であり、領域内に存在するCr又はZrを含む析出物から30個の析出物を選択した場合に、各析出物の長径の算術平均値が20nm以下であり、領域内の900nmの面積の領域を10か所、選択した場合に、各900nmの面積の領域内に存在する長径が20nm以下の析出物の個数の算術平均値が5個以上である銅合金が提供される。
(3)また、上記銅合金において、80%IACS以上の導電率と、550MPa以上の強度とを有し、日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011及び日本伸銅協会技術標準JCBA−T309に準拠した応力緩和試験において、150℃で1500時間保持した後の応力緩和率が20%以下の対応力緩和特性を有することが好ましい。
本発明に係る銅合金の製造方法、及び銅合金によれば、高い導電率、優れた耐応力緩和性を有すると共に、強度が高く、曲げ加工性に優れた銅合金の製造方法、及び銅合金を提供できる。
[実施の形態の要約]
Cu−Cr−Zr系の銅合金の製造方法において、母相としての銅(Cu)に、0.1質量%以上0.4質量%以下のクロム(Cr)と、0.01質量%以上0.2質量%以下のジルコニウム(Zr)と、0.01質量%以上0.3質量%以下のスズ(Sn)と、0.05質量%以上0.4質量%以下のマグネシウム(Mg)と、不可避的不純物とを含む銅合金材を鋳造する鋳造工程と、前記銅合金材に熱間圧延加工を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延加工を施した前記銅合金材に700℃以上900℃未満の温度の熱処理を施した後、急冷する冷却工程と、前記冷却工程を経た前記銅合金材に、80%以上の加工度の冷間圧延加工を施す第1冷間圧延工程と、前記第1冷間圧延加工が施された前記銅合金材に、390℃以上450℃以下の温度で時効処理を施す時効処理工程と、前記時効処理が施された前記銅合金材に、20%以上40%以下の加工度の冷間圧延加工を施す第2冷間圧延工程と、前記第2冷間圧延工程を経た前記銅合金材に、400℃以上600℃未満で焼鈍を施すことにより銅合金を製造する焼鈍工程とを備える銅合金の製造方法が提供される。
[実施の形態]
本発明の実施の形態に係る銅合金は、Cu−Cr−Zr系の銅合金である。本実施の形態に係る銅合金は以下のようにして製造することができる。
まず、母相としての銅(Cu)に、0.1質量%以上0.4質量%以下のクロム(Cr)と、0.01質量%以上0.2質量%以下のジルコニウム(Zr)と、0.01質量%以上0.3質量%以下のスズ(Sn)と、0.05質量%以上0.4質量%以下のマグネシウム(Mg)と、不可避的不純物とを含む銅合金材を鋳造する(鋳造工程)。
Crは、後述する時効処理時に単独で母相中に析出する。これにより、製造される銅合金の強度及び耐熱性が向上する。本実施の形態では、十分な量のCrを母相中へ析出させることを目的として、母相に添加されるCrの量は0.1質量%以上に制御することが好ましい。また、後述する溶体化処理時に、母相に固溶していないCrが粗粒の第2相析出物を形成する場合がある。この第2相析出物が存在すると、製造される銅合金の強度の増加が抑制される。したがって、本実施の形態では、この銅合金の強度が増加しないことに起因する銅合金の加工性の低下を抑制することを目的として、母相に添加されるCrの量は0.4質量%以下に制御されることが好ましい。
Zrは、後述する時効処理時に母相のCuとの間で化合物を形成し、当該化合物は母相中に析出する。この化合物が母相中に析出することにより、製造される銅合金の強度が向上する。本実施の形態では、十分な量のZrを母相中へ析出させることを目的として、母相に添加されるZrの量は0.01質量%以上に制御することが好ましい。また、後述する溶体化処理時に、母相に固溶していないZrが粗粒の第2相析出物を形成する場合がある。この第2相析出物が存在すると、製造される銅合金の強度の増加が抑制される。したがって、本実施の形態では、この銅合金の強度が増加しないことに起因する銅合金の加工性の低下を抑制することを目的として、母相に添加されるZrの量は0.2質量%以下に制御されることが好ましい。
Snは、高温におけるCrの不均一な析出を抑制する機能を有する。斯かる機能により、後述する熱間圧延加工及びその後の冷却時におけるCrの析出が抑制され、母相中に固溶しているCr量を増加させることができる。一方、時効処理時においては、微細なCrを析出させることができるので、銅合金の強度を向上させることができる。また、Snの固溶強化による銅合金の強化作用を発揮させることを目的として、母相に添加されるSnの量は0.01質量%以上に制御されることが好ましい。また、製造される銅合金の導電率の低下の抑制を目的として、母相に添加されるSnの量は0.3質量%以下に制御されることが好ましい。
Mgは、母相を構成するCu原子の原子半径より大きい原子半径を有するので、製造される銅合金の耐応力緩和特性を向上させることができる。また、Mgは、固溶強化による銅合金の強化作用を有する。本実施の形態では、耐応力緩和特性の向上及び強化作用を発揮させることを目的として、母相に添加されるMgの量は0.01質量%以上に制御されることが好ましい。また、製造される銅合金の導電率の低下の抑制を目的として、母相に添加されるMgの量は1.0質量%以下に制御されることが好ましい。
次に、鋳造工程により得られた銅合金材に熱間圧延加工を施す(熱間圧延工程)。熱間圧延工程時における加熱により、鋳造工程で銅合金材から生じた析出物は、一旦、母相中に固溶する。すなわち、熱間圧延工程は、析出物を母相に溶体化させる。ここで、銅合金材に添加されているSnは、銅合金材に固溶しているCrの高温における析出を抑制する。そして、後述する時効処理において生成される析出物の銅合金中における分布状態を、均一、かつ、微細な状態にすることができる。これにより、製造される銅合金の各特性が向上する。
続いて、熱間圧延加工を施した銅合金材に熱処理を施す。更に、熱処理後、熱処理を施した銅合金材を急冷する(冷却工程)。具体的に、冷却工程は、熱処理時の温度から室温まで銅合金材を冷却することにより実施する。一例として、冷却工程は、銅合金材への熱処理を700℃から900℃の熱処理炉内で実施した後、熱処理を施した銅合金材を大気中に移動させることにより実施することができる。この熱処理及び冷却工程により、熱間圧延加工により銅合金材に発生した歪が解消され、製造される銅合金材の曲げ加工性の低下を防止できる。また、この熱処理及び冷却工程により、銅合金材を構成する各結晶の結晶粒径が微細化するので、銅合金材の強度を向上させることもできる。なお、熱処理の温度は700℃以上900℃未満の温度に制御する。斯かる熱処理により、熱間圧延加工により生成した圧延組織がすべて解消され、再結晶によって生成された結晶粒径が50μm以下になるので、製造される銅合金の曲げ加工時の曲げ部の肌荒れを防止できる。
次に、熱処理及び冷却工程を経た銅合金材に冷間圧延加工を施す(第1冷間圧延工程)。当該冷間圧延工程は、80%以上の加工度の冷間圧延加工を銅合金材に施す。第1冷間圧延工程により、銅合金材中には多数の転位が導入される。これにより、銅合金材の強度は、加工硬化により向上する。また、銅合金材に導入された転位は、後述する時効処理における析出物の起点として機能し、銅合金材中に均一に分散した析出を促進させる効果を奏する。
続いて、第1冷間圧延加工が施された銅合金材に時効処理を施す(時効処理工程)。時効処理により銅合金材中のCr、Zr化合物の析出が発生する。これにより、製造される銅合金の導電率及び強度を向上させることができる。また、第1冷間圧延工程において低下した銅合金材の延性を回復させることもできる。なお、Cr、Zr化合物の析出を十分に促進させ、製造される銅合金の導電率及び強度を十分に向上させることを目的として、時効処理は390℃以上の温度で実施することが好ましい。また、過時効による析出物の粗大化による、製造される銅合金の強度の低下を抑制することを目的として、時効処理は450℃以下の温度で実施することが好ましい。
次に、時効処理が施された銅合金材に冷間圧延加工を施し、所定の厚さに制御する(第2冷間圧延工程)。第2冷間圧延工程により、銅合金材の強度が加工硬化で向上する。ここで、銅合金材を十分に加工硬化し、製造される銅合金の強度を向上させることを目的として、加工度は20%以上に制御することが好ましい。また、製造される銅合金の導電率及び延性の低下を抑制し、製造される銅合金の十分な導電率及び十分な曲げ加工性を確保することを目的として、加工度は40%以下に制御することが好ましい。
更に、第2冷間圧延工程を経た銅合金材に歪取焼鈍としての焼鈍を施すことにより銅合金を製造する(焼鈍工程)。焼鈍工程により、銅合金材の歪が除去されると共に延性が回復する。また、製造される銅合金の十分な延性を確保することを目的として、焼鈍の温度は400℃以上に制御することが好ましい。また、析出物の再固溶の発生により製造される銅合金の強度が低下することを防止すべく、焼鈍の温度は600℃未満に制御することが好ましい。
(実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係る銅合金の製造方法によれば、銅合金の製造工程、例えば、冷却工程、第1冷間圧延工程、時効処理工程、第2冷間圧延工程、及び焼鈍工程を最適化することにより、強度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和特性に優れる銅合金を製造することができる。そして、本実施の形態に係る銅合金の製造方法により製造される銅合金は、電気部品の小型化、高載積化に資することができ、例えば、リードフレーム等の電気部品に用いることができる。
無酸素銅を母相にして、表1に示す合金組成の銅合金を溶製し、インゴットに鋳造した。そして、表1に示す所定の条件でインゴットに加工及び熱処理を施し、実施例1〜7に係る銅合金、及び比較例1〜12に係る銅合金を製造した。表1には、実施例1〜7、及び比較例1〜12に係る銅合金のそれぞれについての合金成分と、銅合金の製造条件と、全工程を経て製造された銅合金における析出物の平均粒径、析出物の密度、耐応力緩和特性、導電率、引張強さ、及び曲げ加工性の指標であるMBR/tとを示す。
Figure 2012012644
実施例1〜7、及び比較例1〜12に係る銅合金のそれぞれについて、熱間圧延加工後であって、熱処理直後の銅合金の一部をサンプリングして試験片とした。そして、各試験片について、圧延方向に垂直な断面に研磨及びエッチングを施した。これにより、断面を現出させ、板幅方向の結晶粒の平均値を算出し、平均結晶粒径と規定した。
また、実施例1〜7、及び比較例1〜12に係る銅合金のそれぞれについて引張試験を実施した。引張試験は、JIS Z2201に準拠して、圧延平行方向の引張強さを測定した。また、JIS H 3130に従い、Bad Way(つまり、曲げ軸が圧延方向に同一な方向)のW曲げ試験を実施し、割れが発生しない最小曲げ半径(MBR)の板厚(t)に対する比であるMBR/t値を算出した。更に、日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011及び日本伸銅協会技術標準JCBA−T309に準拠して応力緩和試験を実施し、150℃、1000時間の応力緩和率を耐応力緩和特性として測定した。
実施例1〜7、及び比較例1〜12に係る銅合金のそれぞれに薄膜処理を施し、電子顕微鏡で画像を撮影した。そして、各画像から、30個の析出物の粒径(ただし、長径)の平均値を析出物の平均粒径として算出した。なお、電子顕微鏡で撮影した画像は、銅合金の薄膜の577nm×404nmの領域であり、顕微鏡の倍率は220倍である。また、90nmの領域の10か所での析出物の個数の平均値を、析出物の密度として算出した。
比較例1及び比較例2に係る銅合金は、実施例1〜7とは異なる量のCrを含有し、比較例3及び比較例4に係る銅合金は、実施例1〜7とは異なる量のZrを含有し、比較例5及び比較例6に係る銅合金は、実施例1〜7とは異なる量のSnを含有し、比較例7及び比較例8に係る銅合金は、実施例1〜7とは異なる量のMgを含有している。
また、比較例9に係る銅合金は、熱処理後の平均結晶粒径が実施例1〜7とは異なる粒径であり、比較例10に係る銅合金は、中間圧延加工度が実施例1〜7とは異なる加工度であり、比較例11及び比較例12に係る銅合金は、時効温度が実施例1〜7とは異なる温度であり、比較例13及び比較例14に係る銅合金は、仕上り圧延加工度が実施例1〜7とは異なる加工度であり、比較例15及び比較例16に係る銅合金は、歪取焼鈍温度が実施例1〜7とは異なる温度である。
表1を参照すると、実施例1〜7においては、第2冷間圧延工程の圧延方向に対して垂直な断面内から所定の1か所の600nm×400nmの領域を選択した場合に、領域内の母相の結晶粒径が50μm以下であり、領域内に存在するCr又はZrを含む析出物から30個の析出物を選択した場合に、各析出物の長径の算術平均値が20nm以下であり、領域内の900nmの面積の領域を10か所、選択した場合に、各900nmの面積の領域内に存在する長径が20nm以下の析出物の個数の算術平均値が5個以上である銅合金が得られることが示された。また、実施例1〜7においては、80%IACS以上の導電率と、550MPa以上の強度とを有し、日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011及び日本伸銅協会技術標準JCBA−T309に準拠した応力緩和試験において、150℃で1500時間保持した後の応力緩和率が20%以下の対応力緩和特性を有する銅合金が得られることが示された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。

Claims (3)

  1. 母相としての銅(Cu)に、0.1質量%以上0.4質量%以下のクロム(Cr)と、0.01質量%以上0.2質量%以下のジルコニウム(Zr)と、0.01質量%以上0.3質量%以下のスズ(Sn)と、0.05質量%以上0.4質量%以下のマグネシウム(Mg)と、不可避的不純物とを含む銅合金材を鋳造する鋳造工程と、
    前記銅合金材に熱間圧延加工を施す熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延加工を施した前記銅合金材に700℃以上900℃未満の温度の熱処理を施した後、急冷する冷却工程と、
    前記冷却工程を経た前記銅合金材に、80%以上の加工度の冷間圧延加工を施す第1冷間圧延工程と、
    前記第1冷間圧延加工が施された前記銅合金材に、390℃以上450℃以下の温度で時効処理を施す時効処理工程と、
    前記時効処理が施された前記銅合金材に、20%以上40%以下の加工度の冷間圧延加工を施す第2冷間圧延工程と、
    前記第2冷間圧延工程を経た前記銅合金材に、400℃以上600℃未満で焼鈍を施すことにより銅合金を製造する焼鈍工程と
    を備える銅合金の製造方法。
  2. 請求項1に記載の銅合金の製造方法により製造された銅合金材であって、前記第2冷間圧延工程の圧延方向に対して垂直な断面内から所定の1か所の600nm×400nmの領域を選択した場合に、
    前記領域内の前記母相の結晶粒径が50μm以下であり、
    前記領域内に存在するCr又はZrを含む析出物から30個の析出物を選択した場合に、各析出物の長径の算術平均値が20nm以下であり、
    前記領域内の900nmの面積の領域を10か所、選択した場合に、各900nmの面積の領域内に存在する長径が20nm以下の析出物の個数の算術平均値が5個以上である銅合金。
  3. 80%IACS以上の導電率と、550MPa以上の強度とを有し、日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011及び日本伸銅協会技術標準JCBA−T309に準拠した応力緩和試験において、150℃で1500時間保持した後の応力緩和率が20%以下の対応力緩和特性を有する請求項2に記載の銅合金。
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