JP2013190553A - 光選択透過フィルター、紫光吸収シート及び固体撮像素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紫光吸収シートを含む光選択透過フィルターであって、該紫光吸収シートは、紫光吸収化合物及び樹脂成分を含む樹脂層を有し、該紫光吸収化合物は、500nmにおける透過率(T500)と、400nmにおける透過率(T400)との差(T500−T400)が20%以上であり、かつ、T500が80%以上である化合物である光選択透過フィルター。
【選択図】なし
Description
本発明はまた、上記光選択透過フィルターに用いられる紫光吸収シートでもある。
本発明は更に、上記光選択透過フィルター、レンズユニット部、及び、センサー部を少なくとも有する固体撮像素子でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下において段落に分けて記載される本発明の好ましい形態の2つ又は3つ以上を組み合わせたものも本発明の好ましい形態である。
本発明の光選択透過フィルターは、1又は2以上の紫光吸収シートを含む。
上記光選択透過フィルターにおける紫光吸収シートは、紫光吸収化合物及び樹脂成分を含む樹脂層(吸収層とも称す)を有する樹脂シート(フィルム形状を含む)である。このような紫光吸収シートを反射膜と組み合わせることで、視野角依存性(入射角依存性とも称す)が充分に低減され、かつ人間の視感度に近い透過吸収特性を有する光選択透過フィルターを与えることができる。また、反射膜として好適な光学多層膜と組み合わせると、光学多層膜の層数を減らすことができ、該多層膜における応力を緩和できるため、多層膜のクラックや割れを充分に防止することもできる。このような本発明の光選択透過フィルターに用いられる紫光吸収シートもまた、本発明の1つである。
紫光吸収シートの紫光の長波長側の吸収端波長とは、紫光吸収シートについて、後述するようにして分光透過率曲線を得た後、当該曲線において、500nmにおける透過率T500を通り横軸(波長)に平行な直線と、波長400nmにおける透過率T400を通る接線との交点に対応する波長を意味する。
なお、紫光吸収シートを構成する樹脂層や、支持体等の他の層は、各々、一層又は二層以上であってもよい。
なお、上記紫光吸収シートが支持体を含む場合、該支持体の厚みは120μm以下であることが好ましい。
上記紫光吸収シートにおいて、樹脂層は、紫光吸収化合物及び樹脂成分を含むものであるが、紫光吸収化合物が樹脂層中に分散又は溶解されてなることが好ましい。すなわち、紫光吸収化合物と樹脂成分とを含む樹脂組成物中に、紫光吸収化合物が分散又は溶解された形態の樹脂組成物により、樹脂層が形成されることが好適である。このような形態の樹脂組成物では、樹脂成分として、後述する溶剤可溶性樹脂、溶剤可溶性樹脂原料及び/又は液状樹脂原料を用いることが好適である。
なお、紫光吸収化合物及び樹脂成分としては、各々、1種又は2種以上を使用することができる。
また別法として、樹脂成分と紫光吸収化合物とを含む樹脂組成物(ただし、紫光吸収化合物を含まない場合の樹脂組成物の硬化物の400nm及び500nmでの透過率が80%以上であるもの)から透明樹脂シートを作製し、当該透明樹脂シートの透過率を分光光度計(例えば、Shimadzu UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定して、得られた分光透過率曲線から得たT400及びT500を、それぞれ紫光吸収化合物のT400及びT500としてもよい。この場合、透明樹脂シートの厚みは1〜200μmであることが好ましく、また、紫光吸収化合物の濃度は、樹脂組成物100質量%に対し、0.001〜20質量%とすることが好ましい。
紫光吸収化合物の紫光の長波長側の吸収端波長は、上述したように紫光吸収化合物の分光透過率曲線を得た後、当該曲線において、500nmにおける透過率T500を通り横軸(波長)に平行な直線と、波長400nmにおける透過率T400を通る接線との交点に対応する波長を意味する。
上記紫光吸収化合物はまた、透過色が非黄色系であることが好適である。
ここで、吸収極大波長が340〜350nmにある紫外線吸収剤としては、例えば、2−(5−メチルー2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(340nm)、2−〔ヒドロキシー3,5−ビス(α、α―ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(346nm)、2−(2’−ヒドロキシー5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(340nm)、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物(343nm)等が挙げられ、市販品としては、TINUVIN P、TINUVIN 234、TINUVIN 329、TINUVIN 213、TINUVIN 571(いずれもBASF社製)等が挙げられる。また、吸収極大波長が350nm以上にある紫外線吸収剤としては、2−3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(353nm)等が挙げられ、市販品としては、TINUVIN 326(BASF社製)等が挙げられる。
比表面積径d(nm)は、粒子粉末のB.E.T.法によリ測定される比表面積値S(m2/g)と、真比重ρとより、下記式で算出される。
d=6000/(ρ・S)
なお、上記樹脂層自体は、溶剤可溶性であっても不溶性であってもよい。
なお、「樹脂原料」には、樹脂の前駆体や該前駆体の原料、更に、樹脂を形成するための単量体(硬化性モノマー等)が含まれるものとする。
上記樹脂成分として溶剤可溶性樹脂を用いる場合、該溶剤可溶性樹脂がそのまま、上記樹脂層を構成する樹脂成分となっていてもよいし、該溶剤可溶性樹脂が架橋反応等により変化したものが、上記樹脂層を構成する樹脂成分となっていてもよい。
なお、架橋可能な反応性基の量や成膜時の架橋反応をどの程度進めるかは特に限定されるものではないが、樹脂の溶剤可溶性が維持できる程度であることが好ましい。
なお、一般式(1−1)又は(1−2)で表される繰り返し単位は、同一でも異なっていてもよく、ブロック状、ランダム状等の何れの形態であってもよい。
上記一般式(1−2)中、R2は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基又は炭素数6〜20のアリールチオ基を表す。R3は、炭素数1〜150の芳香族環を有する2価の有機鎖を表す。zは、芳香族環に結合しているフッ素原子の数であり、1又は2である。n1は、重合度を表し、2〜5000の範囲内が好ましく、5〜500の範囲内がより好ましい。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、フルフリルオキシ基、アリルオキシ基等が好適である。
上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基等が好適である。
上記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、iso−プロピルチオ基等が好適である。
上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル類(例えば、メチルエステル、エチルエステル、メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、フルフリルエステル及びフェニルエステル等)由来の基、ナフトキシ基、o−、m−又はp−メチルフェノキシ基、o−、m−又はp−フェニルフェノキシ基、フェニルエチニルフェノキシ基、クレソチン酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールアミノ基としては、アニリノ基、o−、m−又はp−トルイジノ基、1,2−又は1,3−キシリジノ基、o−、m−又はp−メトキシアニリノ基、アントラニル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールチオ基としては、フェニルチオ基、フェニルメタンチオ基、o−、m−又はp−トリルチオ基、チオサリチル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
なお、ポリイミド樹脂におけるイミド結合は、通常、アミド結合とそれに隣接するカルボキシル基とを有する結合鎖(本発明では、該結合鎖をアミック酸ともいう。通常は、アミド結合が結合した炭素原子に隣接する炭素原子にカルボキシル基が結合した構造である。)におけるアミド結合とカルボキシル基との脱水反応による形成される。
ポリアミック酸から脱水反応によりポリイミド樹脂を生成させる際、分子内に若干量のアミック酸は残存し得る。したがって、本発明で「ポリイミド樹脂」という場合は、イミド結合を含み、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合は含まないが、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得るアミド結合は含まないか若干量含んでいてもよい。
上記ポリ(アミド)イミド樹脂はまた、透明性を有することが好ましい。透明性向上のためには、芳香環が少ないほうが好ましい。中でも、芳香環を脂環又は脂肪鎖等で置き換えた構造を有することが好適である。より好ましくは、全重量100%中の芳香環の重量が65%以下、更に好ましくは45%以下、特に好ましくは30%以下である。
上記一般式(5)におけるR4としては、2価の有機基が好ましく、中でも、炭素数2〜39の2価の有機基が好ましい。また、当該有機基は1種又は2種以上の炭化水素骨格を含むものが好ましい。炭化水素骨格としては、脂肪族鎖状炭化水素、脂肪族環状炭化水素又は芳香族炭化水素であることが好ましい。当該有機基はまた、複素環骨格を有するものであってもよい。
なお、上記一般式(5)で表される繰り返し単位におけるそれぞれのR4としては、同一であっても異なるものであってもよい。
なお、一般式(5)におけるシクロヘキシル環における水素原子の一部又は全部が置換されていてもよいが、無置換(全て水素原子である形態)であるものが好ましい。
上記一般式(5)で表される繰り返し単位は、同一でも異なっていてもよく、ブロック状、ランダム状等の何れの形態であってもよい。
なお、本明細書中、エポキシ基とは、3員環のエーテルであるオキシラン環を含むものであり、狭義のエポキシ基の他、グリシジル基(グリシジルエーテル基及びグリシジルエステル基を含む)を含むものを意味する。
上記可撓性成分としては、上記エポキシ化合物とは異なる化合物であってもよいし、上記エポキシ化合物の少なくとも1種が可撓性成分であってもよい。
アクリル樹脂とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物((メタ)アクリロイル基含有化合物又は(メタ)アクリル系化合物とも称す。)を含む硬化性組成物の硬化物であり、スチレン樹脂とは、スチレンやジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー(スチレン系化合物とも称す。)を含む硬化性組成物の硬化物であり、アクリル−スチレン樹脂とは、(メタ)アクリロイル基含有化合物及びスチレン系モノマーを含む硬化性組成物の硬化物である。上記ビニル重合体樹脂の中でも、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂が好ましい。
上記アクリル−スチレン樹脂原料としては、上記アクリル樹脂原料の好適な形態において更にスチレン系モノマーを用いた組成物が好ましい。
上記紫光吸収シートは、上述したように支持体を更に有することが好適であるが、支持体としては、フィルム形状のもの(支持体フィルム)が好ましい。
上記支持体フィルムとしては、透明性に優れる樹脂を用いることが好適である。具体的には、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、シクロオレフィン樹脂等を用いることができる。これらの中でも、反射層を蒸着形成する際の耐熱性に優れる点で、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂及び/又はアクリル樹脂が好ましい。より好ましくは、ポリ(アミド)イミド樹脂を少なくとも用いることである。
本発明の光選択透過フィルターはまた、反射膜(反射層とも称す)を含むことが好適である。これにより、光選択透過性により優れ、光遮断特性の入射角依存性が充分に低減され、かつ充分な薄膜化を実現することが可能な光選択透過フィルターとなり得る。このように、上記光選択透過フィルターが更に反射膜を含む形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
上記誘電体層Aを構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を通常用いることができ、好ましくは、屈折率の範囲が1.2〜1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が好適である。
また上記紫光吸収シートが有機材料、具体的には樹脂組成物により形成される場合には、未硬化又は半硬化状態の紫光吸収シート(樹脂組成物)に誘電体層等を蒸着した後、紫光吸収シートを硬化する方法が好適である。このような方法を用いると、多層蒸着後の冷却時に基材が流動的となり、液状に近い状態となるために、樹脂組成物と誘電体層等との熱膨張係数差が問題にならず、光選択透過フィルターの変形(カール)をより充分に抑制することができる。
上記線膨張係数が低い樹脂層又は支持体フィルムとして具体的には、例えば、ポリ(アミド)イミド樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、有機無機ハイブリッド樹脂等が好適であり、上記樹脂層又は支持体フィルムが、これらからなる群より選択される少なくとも1種により形成されるものである形態は、本発明の好適な形態の1つである。また、樹脂を延伸する;無機微粒子等を分散させる;ガラスクロスを用いる;架橋密度を上げる;コンポジット化する;結晶化させる;等によっても線膨張係数を低下させることができる。
また、上記反射膜の厚みは、0.5〜10μmであることが好ましい。より好ましくは、2〜8μmである。反射膜が上記紫光吸収シートの両面に形成される形態においては、両面の反射膜の合計の厚みが上記範囲内にあることが好ましい。
このように本発明の光選択透過フィルターが他の機能を有する形態においては、上記紫光吸収シートの一方の表面に反射膜を形成し、他方の表面に他の機能を付与するための機能性材料層を形成することが好ましい。機能性材料層は、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法により、直接、上記紫光吸収シート上に形成したり、離型処理された仮の基材上に形成された機能性材料層を上記紫光吸収シートに接着剤で張り合わせたりすることにより得ることができる。また、原料物質を含有する液状組成物を上記紫光吸収シートに塗布、乾燥して、製膜することによっても得ることができる。
図7に示すように、光選択透過フィルターは、所望の波長の光(カメラモジュールにおいては、例えば、700nm以上の波長の光)をカットし、シーモスセンサーの誤作動を防ぐ役割がある。カメラモジュールに光選択透過フィルターを入れると、焦点距離が伸びるため、バックフォーカスが伸張し、モジュールが大きくなる。光選択透過フィルターの厚みがtで屈折率nが1.5程度の場合、図8に示すように、バックフォーカスが約t/3伸張し、モジュールが大きくなるが、光選択透過フィルターを薄くして、焦点距離を短くし、モジュールを小さくすることができる。それにより、例えば、1/10インチの光学サイズの光路長としては、光選択透過フィルターなしの場合の120%以下とすることが好ましい。より好ましくは110%以下、更に好ましくは105%以下である。
紫外線カットフィルターは、紫外線を遮断する機能を有するフィルターである。選択的に低減する波長の範囲としては、200〜350nmであることが好ましい。
赤外・紫外線カットフィルターは、紫外線及び赤外線の両方を遮断する機能を有するフィルターである。選択的に低減する波長の範囲は、上述と同様であることが好ましい。
透過率は、分光光度計(Shimadzu UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
なお、光遮断特性の入射角依存性は、吸収層の吸収により充分に低減されている必要があり、入射角の変化に対して透過率スペクトルが変化しないこと、又は、その変化の程度が小さいことが好ましい。具体的には、入射角0°を20°に変えても(より好ましくは25°に変えても)、透過率80%以上の領域において、透過率のスペクトルが変化しないことが好ましく、より好ましくは、透過率70%以上の領域において透過率のスペクトルが変化しないことであり、更に好ましくは、透過率60%以上の領域において透過率のスペクトルが変化しないことである。最も好ましくは、いずれの透過率領域においてもスペクトルが変化しないことである。
なお、レンズユニット部については、WO2008/081892号公報に記載の形態が好ましく採用できる。
なお、下記合成例における数平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ−N 4.6*150を2本、溶離液:テトラヒドロフラン、標準サンプル:TSKポリスチレンスタンダード)により測定した。
<FPEK(フッ素化ポリエーテルケトン)の合成>
温度計、冷却管、ガス導入管、及び、攪拌機を備えた反応器に、BPDE(4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル)16.74部、HF(9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン)10.5部、炭酸カリウム4.34部、DMAc(ジメチルアセトアミド)90部を仕込んだ。この混合物を80℃に加温し、8時間反応した。反応終了後、反応溶液をブレンダーで激しく攪拌しながら、1%酢酸水溶液中に注加した。析出した反応物を濾別し、蒸留水及びメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、フッ素化芳香族ポリマー(FPEK)を得た。
上記ポリマーのガラス転移点温度(Tg)は242℃、数平均分子量(Mn)が70770、表面抵抗値は1.0×1018Ω/cm2以上であった。
合成例1で得たFPEK10部に、TX−EX−609K(開発品名、フタロシアニン系色素、吸収極大波長650nm、日本触媒社製)を0.3部、メチルイソブチルケトン(MIBK)を70部加え均一に溶解させ、色素含有樹脂組成物(1)を得た。
合成例1で得たFPEK10部に、1H−Benzindolium,3−butyl−2−[5−(3−butyl−1,3−dihydro−1,1−dimethyl−2H−benzindol−2−ylidene)−1,3−pentadien−1−yl]−1,1−dimethyl−tetrafluoroborate(1−)(HBFB、シアニン系色素、吸収極大波長680nm)を0.08部、MIBKを70部加え均一に溶解させ、色素含有樹脂組成物(2)を得た。
支持体フィルムとしてのネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)上に、調製例1で得られた色素含有樹脂組成物(1)を30μm厚で塗布し、150℃で60分間乾燥して、樹脂シート(1)53μmを得た。
支持体フィルムとしてのネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)からなる樹脂シート(2)を準備した。
支持体フィルムとしてのネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)上に調製例2で得られた色素含有樹脂組成物(2)を30μm厚で塗布し、150℃で60分間乾燥して、樹脂シート(3)53μmを得た。
各製造例で得られた樹脂シート(1)〜(3)を幅60mm、長さ100mmの長方形にカッティングした樹脂シートを各々準備した。
この樹脂シートの両面に、蒸着基板温度150℃で、赤外線を反射する多層膜〔シリカ(SiO2:膜厚120〜190nm)層とチタニア(TiO2:膜厚70〜120nm )層とが交互に積層されてなるもの、積層数は片面20層ずつ両面に蒸着:計40層〕を蒸着により形成し、光選択透過フィルター(光学フィルター)を製造した。
各実施例で用いた樹脂シートは以下のとおりである。
実施例1:樹脂シート(1)
比較例1:樹脂シート(2)
比較例2:樹脂シート(3)
Shimadzu UV−3100(島津製作所社製)を用いて200〜1100nmにおける透過率を測定した。透過率は、図9に示すように、入射光に対して垂直になるように光選択透過フィルターを設置した場合(このようにして測定された透過率スペクトルを0°スペクトルともいう。光選択透過フィルターの厚み方向から光が入射するようにして測定される。)と、入射光に対して25°光選択透過フィルターを傾けて設置した場合(このようにして測定された透過率スペクトルを25°スペクトルともいう。光選択透過フィルターの厚み方向に対して25°傾いた方向から光が入射するようにして測定される。)の夫々について測定した。
得られた透過率スペクトル(分光透過率曲線)を図2、4及び6に示す。なお、これらの図中、グラフの横軸は波長(nm)、縦軸は透過率(%)を示す。
また図2、4及び6より、各光選択透過フィルターのλ50(0)、λ50(25)、λ75(0)及びλ75(25)での透過率を求めた後、透過率50%となる波長での入射角依存性(λ50(0)とλ50(25)との差の絶対値)、及び、透過率75%となる波長での入射角依存性(λ75(0)とλ75(25)との差の絶対値)を評価した。結果を表2に示す。
なお、λ50(0)とは、入射角0度における透過率が50%となる波長を、λ50(25)とは、入射角25度における透過率が50%となる波長を、λ75(0)とは、入射角0度における透過率が75%となる波長を、λ75(25)とは、入射角25度における透過率が75%となる波長を、各々意味する。
製造例1で得た樹脂シート(1)は、本発明の紫光吸収シートに相当するが、この樹脂シート(1)を用いた実施例1の光選択透過フィルターは、図2より、特に紫外領域から可視領域にかけて0°と25°とのスペクトルに差が非常に小さく、光遮断特性の入射角依存性が低減されたこと、及び、紫外及び近赤外領域を選択的に遮断でき、かつ可視領域では高い透過率を示すことが分かる。一方、色素を何も含まない樹脂シートを用いた比較例1の光選択透過フィルターは、図4より、光遮断特性の入射角依存性が大きいことが分かる。また、色素を含むものの、該色素が本発明の紫光吸収化合物ではない化合物を用いて得た比較例2の光選択透過フィルターは、図6より、特に紫外領域での光遮断特性の入射角依存性が大きいことが分かる。
2:光選択透過フィルター
3:センサー
4:光源
5:光選択透過フィルター
6:受光部
Claims (4)
- 紫光吸収シートを含む光選択透過フィルターであって、
該紫光吸収シートは、紫光吸収化合物及び樹脂成分を含む樹脂層を有し、
該紫光吸収化合物は、500nmにおける透過率(T500)と、400nmにおける透過率(T400)との差(T500−T400)が20%以上であり、かつ、T500が80%以上である化合物である
ことを特徴とする光選択透過フィルター。 - 前記光選択透過フィルターは、更に、反射膜を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光選択透過フィルター。 - 請求項1又は2に記載の光選択透過フィルターに用いられる
ことを特徴とする紫光吸収シート。 - 請求項1又は2に記載の光選択透過フィルター、レンズユニット部、及び、センサー部を少なくとも有する
ことを特徴とする固体撮像素子。
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