JP5517404B2 - 光選択透過フィルター - Google Patents

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Description

本発明は、光選択透過フィルターに関する。より詳しくは、レンズユニット等の光学用途やオプトデバイス用途に有用であり、その他、表示デバイス用途、機械部品、電気・電子部品等として用いることができる光選択透過フィルターに関する。
光選択透過フィルターは、例えば、機械部品、電気・電子部品、自動車部品等として有用であり、特に光学部材として好適に用いられるものである。例えば、カメラモジュールにおいては、光学ノイズとなる赤外線(特に波長>800nm)を遮断し、反対波より吸収波の方が小さくなるように、赤外線を遮断(カット)するフィルターが用いられている。現在は、ガラスに金属等を蒸着させ無機多層膜とし、各波長の屈折率を制御した赤外線遮断ガラスが用いられている。近年、光学部材等においては、例えば、デジタルカメラモジュールが携帯電話に搭載されるなど小型化が進み、光学部材の小型化が一層求められている。それにともなって、デジタルカメラモジュール等に用いられる赤外線をカットするフィルターや、レンズ等を有するレンズユニットの小型化が望まれるところである。
近赤外線カットフィルターに関し、特定のガラス転移温度と線膨張係数とを有する熱可塑性樹脂製の透明基板の一方の面に、屈折率の異なる誘電体層を交互に積層した誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を有し、前記透明基板の他方の面に等価屈折率膜、反射防止膜、ハードコート膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の機能膜を有する近赤外線カットフィルターが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ノルボルネン系樹脂製基板と近赤外線反射膜とを有する近赤外線カットフィルターが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、赤外線を反射又は遮断する膜を蒸着形成する場合は、蒸着時には数百℃以上の温度がかかるため、基板材料の耐熱性が必要となる。そのために、基板材料の耐熱性を充分なものとし、種々の赤外線を遮断する材料を様々な方法により形成できるようにする工夫の余地があった。
レンズユニットに関し、物体側から像面側に向かって順に、物体側に凸面を向けた主たる正のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の第2レンズと、補正レンズとして機能する第3レンズとを配設し、かつ、第1及び第2レンズの物体側の面(第1面)の中心曲率半径とレンズ系全体の焦点距離とが特定の条件をみたす撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、光軸上に配設されて特定機能を果たす平板材でなる光学部材であって、上記平板材の一面又は両面を、当該光学部材が組み込まれる光学系の収差を補正する非球面形状に設定した光学部材が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、これらのレンズ、光学部材に関する技術においては、現在光学分野で開発が進められている高機能化、高付加価値化を実現するのに充分なものではなかった。レンズや光学系の収差を補正するフィルター以外の構成要素を小型化し、レンズユニットを小型化する等、光学機器をより高い付加価値のものとするための工夫の余地があった。
特開2006−30944号公報(第1−2頁) 特開2005−338395号公報(第1−2頁) 特開2005−309210号公報(第1−2頁) 特開2006−18253号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、光を選択的に遮断し、可視光等の特定波長の透過率が高く、しかも充分に薄く、更に充分に薄くても耐熱性に優れた光選択透過フィルター、及び、該光選択透過フィルターを有するレンズユニットを提供することを目的とするものである。
本発明者は、光の透過率を選択的に低減する光選択透過フィルターについて種々検討したところ、光選択透過フィルターを薄くして、焦点距離を短くし、光路を短縮することができ、光選択透過フィルターを用いたカメラモジュール等の光学部材において有用であることを見いだした。また、光選択透過フィルターの基材を特定の構成とすることにより、薄膜化と耐半田リフロー(耐熱)性を両立できる光選択透過フィルターとなることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、光選択透過フィルターを備えるレンズユニットを小型化することができ、このような光学用途やオプトデバイス用途や、その他、表示デバイス用途、機械部品、電気・電子部品等の様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、光の透過率を選択的に低減する光選択透過フィルターであって、上記フィルターは、厚みが200μm未満であり、かつ基材が耐リフロー性機能フィルムを含んで構成されたものである光選択透過フィルターである。
本発明はまた、光選択透過フィルターとレンズとを備えるレンズユニットでもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の光選択透過フィルターは、光の透過率を選択的に低減し、厚みが200μm未満である。特に光学部材に好適に用いることができるものである。
〔光選択透過フィルターの構成〕
上記光選択透過フィルターは、厚みが200μm未満である。光選択透過フィルターの厚みとしては、該光選択透過フィルターの最大厚みが200μm未満であることをいう。上記光選択透過フィルターの厚みとしてより好ましくは、薄膜化要求に対応し得る点で、100μm以下であり、更に好ましくは、90μm以下であり、特に好ましくは、75μm以下であり、最も好ましくは、50μm以下である。また、耐リフロー性、特に260℃の温度における耐熱性に優れる点で、上記光選択透過フィルターの厚みとして好ましくは、1μm以上であり、より好ましくは、10μm以上であり、更に好ましくは、30μm以上である。光選択透過フィルターの厚みの範囲としては、1〜90μmであることが好ましく、より好ましくは、10〜90μmであり、更に好ましくは、30〜90μmであり、特に好ましくは、30〜75μmであり、最も好ましくは、30〜60μmである。
上記光選択透過フィルターの厚みを200μm未満とすることにより、光選択透過フィルターを、小型化、軽量化することができ、種々の用途に好適に用いることができる。特に、光学部材等の光学用途において好適に用いることができる。光学用途においては、他の光学部材と同様に光選択透過フィルターも小型化、軽量化が強く求められており、従来用いられてきた厚みが200μm以上のフィルターでは、これらの要求を満たすことはできなかった。本発明の光選択透過フィルターは、厚みを200μm未満とすることで、薄膜化を達成でき、特にレンズユニットに用いた場合に、レンズユニットの低背化を実現することができる。言い換えると200μm未満の薄い光選択透過フィルターを光学部材として用いた場合に、光路を短縮することができ、該光学部材を小さくすることができる。具体的には、カメラモジュールにおいては、レンズと光選択透過フィルターとシーモスセンサーとを有することとなる。図1及び図2に、カメラモジュールの一例を、模式的に示した。なお、これらの図は、エレクトロニックジャーナル第81回テクニカルセミナー(Electronic Journal 第81回 Technical Seminar)資料を参照した。図1に示すように、光選択透過フィルターは、所望の波長の光(カメラモジュールにおいては、例えば、700nm以上の波長の光)をカットし、シーモスセンサーの誤作動を防ぐ役割がある。カメラモジュールに光選択透過フィルターを入れると、焦点距離が伸びるため、バックフォーカスが伸張し、モジュールが大きくなる。光選択透過フィルターの厚みがtで屈折率nが1.5程度の場合、図2に示すように、バックフォーカスが約t/3伸張し、モジュールが大きくなるが、光選択透過フィルターを薄くして、焦点距離を短くし、モジュールを小さくすることができる。それにより、例えば、1/10インチの光学サイズの光路長としては、光選択透過フィルターなしの場合の120%以下とすることが好ましい。より好ましくは、110%以下であり、更に好ましくは、105%以下である。
上記光選択透過フィルターは、基材が耐リフロー性機能フィルムを含んで構成されたものである。これによれば、光選択透過フィルターを耐リフロー性に優れるものとすることができ、光選択透過フィルターの厚みが薄くても耐熱性に優れたものとすることができる。また、上記光選択透過フィルターは、耐リフロー性機能フィルムで構成されたものであることが好ましい。すなわち、上記構成の光選択透過フィルターにおいては、基材(基材フィルム)が耐リフロー性機能フィルムであることが好ましい。光選択透過フィルターが耐リフロー性機能フィルムで構成された耐リフロー性に優れるものとすることにより、該光選択透過フィルターを実装する際の耐熱性を充分なものとすることができ、リフローブルカメラモジュール等として好適に用いることができる。また、基材に低屈折率材料及び高屈折率材料(例えば、無機酸化物等)を蒸着することで、基材と積層させて光選択透過層を形成する場合には、蒸着による耐熱性が必要となり、この点からも、耐リフロー性を有するものであることが好ましい。なお、耐リフロー性機能フィルムとは、ハンダ付け工程の加熱に耐えるフィルムであることをいい、カメラモジュール次世代仕様として有望視されているReflowable仕様のフィルムである。このように、光選択透過フィルターが充分な耐熱性を有することにより、自動実装化が可能となり、実装コストが充分に低減され、各種用途に好適に用いることができる。耐熱性と光の選択透過性に優れる観点から、上記光選択透過フィルターは、基材及び光選択透過層からなり、上記基材は、耐リフロー性機能フィルムからなることが好ましい。
上記光選択透過フィルターは、耐熱性を有するものであることが好ましい。具体的には、250℃・3min、又は、200℃・5hrで形状を保持するものであることが好ましい。より好ましくは、250℃・3min、かつ200℃・5hrで形状を保持するものである。更に好ましくは、260℃・3min、又は、200℃・5hrで形状を保持するものであり、特に好ましくは、260℃・3min、かつ200℃・5hrで形状を保持するものである。耐リフロー性を有することにより、光選択透過フィルターを種々の用途に好適に用いることができ、特にカメラモジュール等の光学用途に好適である。
上記耐リフロー性機能フィルムとは、250℃・3min、又は、200℃・5hrで形状を保持するフィルムをいう。より好ましくは、250℃・3min、かつ200℃・5hrで形状を保持するものである。更に好ましくは、260℃・3min、又は、200℃・5hrで形状を保持するものであり、特に好ましくは、260℃・3min、かつ200℃・5hrで形状を保持するものである。耐リフロー性がない場合は、上記条件で保持した場合に、フィルムが溶解し形状を保てず、蒸着することができなかったり、形状が変化して実装することができなくなるおそれがある。本発明において耐リフロー性を有するとは、熱を加える前後での形状・寸法変化が、元の形状・寸法の20%以下であることをいう。形状・寸法変化として好ましくは、5%以下であり、更に好ましくは、1%以下である。
なお、250℃・3minで形状を保持しているとは、実装時の耐リフロー性が充分であることを示し、200℃・5hrで形状を保持しているとは、光選択透過フィルターの基材上に機能性材料層を積層させる蒸着時の耐リフロー性が充分であることを示す。また、260℃・3minで形状を保持する場合には、実装時の耐リフロー性がより向上されていることを示す。
上記光選択透過フィルターは、光の透過率を選択的に低減するものである。低減させる光としては、10nm〜100μmの間のものであればよく、用いる用途により選択することができる。例えば、赤外線透過率を低減させる光選択透過フィルターを得る場合は、780nm〜10μmの赤外光を低減させ、それ以外の光を透過するものであればよい。また、紫外線透過率を低減させる光選択透過フィルターを得る場合は、380nm以下の紫外光を低減させ、それ以外の光を透過するものであればよい。
上記選択的に低減させる波長の透過率としては、10%以下が好ましい。より好ましくは、5%以下であり、更に好ましくは、3%以下であり、最も好ましくは、実質的に0%である。光選択透過フィルターを透過させる波長の透過率としては、70%以上が好ましい。より好ましくは、75%以上であり、更に好ましくは、80%以上であり、特に好ましくは、85%以上であり、最も好ましくは、90%以上である。
上記光選択透過フィルターは、選択的に低減させる波長以外の波長(すなわち、光選択透過フィルターを透過する波長)の透過率が一定であることが好ましい。特に、カメラモジュールや、撮像レンズのレンズユニットにおける光ノイズを遮断するためのフィルター等の光学用途に用いる場合、可視光380〜780nmの透過率が可視光の全波長域において一定であることが好ましい。上記用途においては、可視光のうち、波長400〜600nmで、一定であることが特に好ましい。透過する光の強さが波長に依存せず一定であると、特定の波長の光に強弱が生じず、透過光が着色しないこととなる。したがって光選択透過フィルターを透過した光が着色せず、上記用途に好適に用いることができることとなる。
上記透過率としては高い方が好ましい。具体的には、85%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上である。透過率が低いと、光選択透過フィルターを通過する光の強度が充分確保されず、上記用途に好適に用いることができないおそれがある。
上記光選択透過フィルターとして、より好ましくは、可視光のうち、波長400〜600nmで、全波長の透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上である。なお、反射又は吸収により所望の波長を遮断することが好ましい。
上記光選択透過フィルターは、このような機能を有し、厚みが200μm未満であり、かつ基材が耐リフロー性機能フィルムを含んで構成されたものである限り、その構成、形態等は特に限定されないが、機能性材料層(光選択透過層、反射防止層、等価屈折率膜、ハードコート層、光学補償層等)を基材の上に形成する形態が好ましい。機能性材料層とは、機能性材料で構成された層である。機能性材料層及び機能性材料については後に詳述する。所望の光を選択的に透過し、それ以外の光をカットする機能を有する光選択透過層としては、低減する光の波長に応じて、構成等を適宜選択することができるが、耐熱性に優れる点からは、光選択透過層が、無機層からなることが好ましい。例えば、基材の上(入射光の入射する側)に低屈折率材料及び高屈折率材料を40〜60層(6μm)程度積層させた構造の多層膜(多層蒸着層、多層蒸着膜、誘電体多層膜とも言う。)であることが好ましい。特に、所望の光を充分に低減させたい場合、多層構造とすることが好ましい。多層構造とすることで、選択的に低減する波長の透過率を、当該全波長領域において容易に10%以下にすることができることとなる。言い換えると、透過させたい波長領域の透過率は高く、低減させたい波長領域の透過率は低いシャープな光選択透過フィルターとすることができる。具体的には、光選択透過フィルターが780nm〜10μmの赤外光を低減する赤外カットフィルターである場合、780nmを境に透過率が急変することとなる。例えば、780nm未満の光は透過率70%以上で透過し、780nm以上では透過率10%以下しか透過しない。このように、透過率がシャープに変わることで、例えば、カメラモジュールに用いる場合、シーモスセンサーに届く光から赤外光を選択的に除去できる等の利点がある。
上記多層膜を光選択透過層として有する光選択透過フィルターにおいては、低屈折率材料と高屈折率材料とを交互に積層させて、光選択透過層を形成し、低減させたい波長(例えば、赤外領域や紫外領域等)の光を選択的に反射させるとともに、入射光と反射光の位相を半波長ずれるようにして、光の透過率を選択的に低減させることとなる。また、上記光選択透過層は、誘電体層Aと、誘電体層Aが有する屈折率よりも高い屈折率を有する誘電体層Bとを交互に積層した誘電体多層膜からなる光選択透過層(例えば、赤外線反射膜、紫外線反射膜又は紫外線・赤外線反射膜等。)であってもよい。このような誘電体多層膜を少なくとも透明基板(基材)の一方の面に有することにより、所望の波長の光を選択的に反射する能力に優れた光選択透過フィルターとすることができる。このように、光選択透過フィルターは、誘電体多層膜からなる光選択透過層を有することが好ましい。なお、光選択透過層は、単層構造であっても多層構造であってもよく、基材の片面又は両面にあってもよい。光選択透過層については、後に詳述する。
〔基材〕
上記光選択透過フィルターを構成する基材の材料としては、耐リフロー性機能フィルムを含むものであれば特に限定されず、有機材料、無機材料、有機・無機複合材料のいずれであってもよく、これらは1種又は2種以上を用いてもよい。上記有機材料は、取り扱いやすく、無機材料(例えば、ガラス)は、透明性・熱膨張率に優れ(透明性が高く、熱膨張率が小さい)、有機・無機複合材料は、両者の特徴を備えたものが好適である。これらの材料は、いずれも好適に用いることができるが、耐リフロー性を有する材料であることが好ましい。具体的には、上記耐リフロー性機能フィルムが、下記(a)〜(c)から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。好ましい耐リフロー性樹脂フィルムの(a)としては、(1)フッ素化芳香族ポリマー、(2)多環芳香族ポリマー、(3)ポリイミド樹脂、(4)含フッ素高分子化合物及び(5)エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む耐リフロー性樹脂フィルムであることが好ましい。無機材料として好ましくは、(b)ガラスフィルムである。また、有機・無機複合材料の(c)としては、(a)と(b)との積層フィルムが特に好ましい。
このように、上記光選択透過フィルターは、基材として、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、含フッ素高分子化合物、エポキシ樹脂及びガラスフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む光選択透過フィルターもまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記(a)の(1)〜(5)として特に好ましくは、
(1)フッ素化芳香族ポリマーとしては、下記式(1−1)、(1−2):
Figure 0005517404
(上記一般式(1−1)中、Rは炭素数1〜150の芳香族環を有する2価の有機鎖を表す。また、Zは2価の鎖又は直接結合を表す。x及びyは0以上の整数であり、x+y=1〜8を満たし、同一又は異なって芳香族環に結合しているフッ素原子の数を表す。nは、重合度を表し、2〜5000の範囲内が好ましく、5〜500の範囲内がさらに好ましい。
上記一般式(1−2)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基又は炭素数6〜20のアリールチオ基を表す。Rは、炭素数1〜150の芳香族環を有する2価の有機鎖を表す。zは、芳香族環に結合しているフッ素原子の数であり、1又は2である。nは、重合度を表し、2〜5000の範囲内が好ましく、5〜500の範囲内がさらに好ましい。)で表されるポリエーテルケトン、特にフッ素化ポリエーテルケトン(FPEK)、
(2)多環芳香族ポリマーとしては、下記式(2):
Figure 0005517404
(式中、nは、繰り返し数を表し2〜1000の整数である。)で表されるポリエチレンナフタレート(PEN)。具体的には、帝人デュポンフィルム社(テオネックスQ83)、厚さ25μm又は75μm、融点269℃、
(3)ポリイミド樹脂としては、下記式(3):
Figure 0005517404
(式中、nは0〜4の整数、pは0又は1であり、n+pは1〜5の整数である。)で表されるポリイミド樹脂、具体的には、三菱ガス化学社製、ネオプリムL−3430、厚さ50μm又は100μm、
(4)含フッ素高分子化合物としては、下記式(4):
Figure 0005517404
で表される4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物(6FPA)と2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFBD)とを反応させて重合体溶液を得て、その後加熱して得られるフッ素化ポリイミド樹脂(F−PI)、(膜厚50μm);
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ダイキン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、50μm、ニチアス社製 ナフロンPFAシート,T/♯9000−PFA、(特に、ダイキン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、50μmが好ましい)等のPFAフィルム、
(5)エポキシ樹脂としては、熱硬化性エポキシ樹脂組成物、光硬化性エポキシ樹脂組成物が好ましい。具体的には、大阪ガスケミカル社製フルオレンエポキシ(オンコートEX−1)、ジャパンエポキシレジン社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828EL)、ジャパンエポキシレジン社製水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコートYX8000)、ダイセル工業社製脂環式液状エポキシ樹脂(セロキサイド2021)が好ましい。
エポキシ樹脂は、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。具体的には、ジャパンエポキシレジン社製YED−216D、ジャパンエポキシレジン社製YL−7217、ジャパンエポキシレジン社製YL−7170、ダイセル工業社製EHPE−3150、ダイセル工業社製セロキサイド2081が好ましい。
(b)のガラスフィルムとしては、SCHOTT社製ガラスコード:D263、30μmである。
(c)の積層フィルムとしては、上述した(a)の(1)〜(5)と(b)とを積層してなる積層フィルムの場合、(b)と積層する特に好ましい(a)としては、(1)、(5)、又は、(1)と(5)との複合樹脂である。
光選択透過フィルターを構成する材料の(1)〜(5)及び(b)の詳細については、後に説明する。
上記基材の材料としては、1種又は2種以上を好適に用いることができる。2種以上を用いる場合は、混合したり、積層したりして用いることができる。中でも、2種以上を積層させて基材が多層構造を有する形態とすると、用いる材料の複数の特性が発揮されて、基材として好適に用いることができる。有機材料を無機材料の一方又は両方に積層させた基材を用いると、機能性材料層を基材の上に更に積層させる場合に、基材の変形が生じず、光学部材として好適に用いることができる。具体的には、ガラスフィルムの片面又は両面に有機樹脂を形成する形態が好ましい。より好ましくは、両面に有機樹脂を形成させる形態である。積層する有機樹脂としては、上述した(1)〜(5)を用いることが好ましい。また、光選択透過フィルターの薄型化及び曲げ強度の向上の点からは、ガラスフィルムの厚みは100μm以下であることが好ましく、すなわち、上記基材は、厚みが100μm以下のガラスフィルムと耐リフロー性樹脂フィルムとの積層フィルムであることが好ましい。また、割れを防ぐという観点では、機能性材料層をのせた後に有機物を積層させてもよい。
上記基材の厚みとしては、光選択透過フィルターの形状に応じて適宜選択することができ、通常は、フィルム状である。
上述した基材は、通常用いられる方法によりフィルムを得ることができる。例えば、(1)〜(5)の樹脂材料は、溶剤キャスト法、溶融成形法等により成膜することができる。(b)については、注型、塗布等することで得ることができる。
上記基材としては、上述した材料であればいずれも好適に用いることができるが、光選択透過フィルターを200μm未満、より好ましくは100μm以下に薄膜化が必要なカメラモジュール等の用途においては、無機材料を用いる場合は、有機材料及び/又は有機・無機複合材料と共に用いる形態が好ましい。カメラモジュール等の光学用途に光選択透過フィルターを用いる場合は、光選択透過フィルターが充分に薄く光選択透過性に優れるだけでなく、強度や柔軟性に優れることが求められる。光選択透過フィルターを構成する基材も同様に、強度や柔軟性に優れることが必要である。無機材料、例えば、ガラスを単独で基材として用いた光選択透過フィルターは、光学用途としては強度や柔軟性が充分ではない場合がある。したがって、光選択透過フィルターを薄型化して、光焦点距離を充分に短くするとともに、強度や柔軟性を優れたものとするために、無機材料を基材に用いる場合は、無機材料をその他の材料と共に用いる形態が好ましい。無機材料をその他の材料と共に用いることで、搬送中に破損したり、成形時や機器への組入時、多層化や機能性の付与を行うための後工程中に割れ等が生じず、作業性に優れた基材とすることができる。例えば、ガラスを150μm以下まで薄膜化したものと有機材料とを共に用いることで、ガラス単独の場合に比べて強度、柔軟性、作業性が充分に優れたものとなり、光学用途に好適に用いることができる光選択透過フィルターとすることができる。
〔密着性に優れる基材〕
上記基材としては、隣接する層(例えば、光選択透過層)との密着性に優れる観点からは、上記(a)の(1)〜(5)、(b)及び(c)の中でも、(1)フッ素化芳香族ポリマー、(2)多環芳香族ポリマー、(3)ポリイミド樹脂、及び、(5)エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。具体的には、FPEK(フッ素化芳香族ポリマー)、PEN(多環芳香族ポリマー)、ポリイミド(ポリイミド樹脂)、エポキシ樹脂(エポキシ樹脂)が好ましい。より好ましくは、PENである。
上記基材として上述のような樹脂フィルムを用いると、機能性材料層として、例えば、無機層を蒸着して形成する場合、蒸着した無機層と基材との密着性に優れる蒸着フィルムとすることができる。このように、機能性材料層と基材とを有する光選択透過フィルターであって、該基材は、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、及び、エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むものである光選択透過フィルターもまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、機能性材料層は、後述するものから適宜選択して用いることができる。
上記光選択透過フィルターの特に好ましい形態としては、光選択透過層と基材(樹脂フィルム)とからなる積層フィルムであり、該樹脂フィルムは、エポキシ樹脂、FPEK、ポリイミド及びPENから選ばれる少なくとも一種を含むことである。これによれば、光選択透過層と樹脂フィルムとの密着性に優れる光選択透過フィルターとすることができる。また、樹脂フィルムとしては、PENを用いることがより好ましく、これにより、光選択透過層との密着性をより向上させることができる。光選択透過層を構成する材料としては、誘電体多層膜を用いることが好ましく、シリカやチタニア等を用いることがより好ましい。また、密着性の観点からは、光選択透過層としてシリカやチタニアを用い、かつ樹脂フィルムとしてPENを用いることが更に好ましい。上記光選択透過層の厚さは、150nm以上であることが好ましく、より好ましくは1.5μm以上である。
上記基材は、耐熱性を有するものであることが好ましい。基材の耐熱温度としては10%分解温度が200℃以上であることが好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上が更に好ましく、350℃以上が最も好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)は、80℃以上であることが好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上が更に好ましく、250℃以上が最も好ましい。
上記耐熱性の樹脂フィルムとしては、基材全体として上記耐熱性を有するものであればよく、基材の構造や構成する材料は特に限定されない。基材の構造としては、上述した単層構造及び多層構造のいずれも好適に用いることができる。また、基材を構成する材料は、上述の中から適宜選択して用いることが好ましい。また、耐熱性の樹脂フィルムに含まれる該有機材料は耐熱性を有するものあることが好ましい。
〔基材が有機材料である形態〕
上記基材としては、加工性、成形性、柔軟性、経済性、強度(割れにくさ)等の観点から、有機材料からなるものが好ましい。具体的には、上記(a)の(1)〜(5)、(b)及び(c)の中で、(1)〜(5)等の樹脂材料から構成される樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムを用いると、ガラス等の無機材料にはできない複雑な加工を安価に行うことができる。
〔基材の加熱処理〕
上記基材は、加熱処理を行った樹脂フィルムであることが好ましい。すなわち、上記光選択透過フィルターは、加熱処理を行った樹脂フィルムを含むことが好ましい。加熱処理した樹脂フィルムは、優れた耐熱性を有し、熱による変形がおこりにくい光選択透過フィルターを得ることができる。加熱処理とは、熱プレス、熱ロール、延伸処理等を行うことである。光選択透過フィルターは、種々の用途に用いる場合に、加熱されることがあり、例えば、レンズユニット等の光学用途においては、通常ハンダ付けにより装着(実装)される。加熱処理した樹脂フィルムを基材として用いると、装着される際の熱変形が充分に抑制され、カールすることがなく好ましい。言い換えると、このような光選択透過フィルターは、加熱処理した樹脂フィルムに機能性材料層を形成することにより熱変形の問題を解消することができる。また、加熱処理により、樹脂フィルムの機械的強度向上、耐熱性向上、密着性向上等の効果がある。
加熱処理条件としては、処理温度が樹脂フィルムのTg付近以上の温度であることが好ましい。より好ましくは、Tg以上の温度である。また、処理温度の温度範囲としては、Tg付近以上でありTg付近+150℃以下である温度範囲が好ましい。より好ましくは、Tg以上でありTg付近+150℃以下である温度範囲である。なお、「Tg付近」とは、ガラス転移温度に対して15℃以内の範囲にある温度のことである。このように、光を選択的に透過する光選択透過フィルターであって、該光選択透過フィルターは、加熱処理した基材に機能性材料層を形成した光選択透過フィルターもまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記加熱処理した樹脂フィルムが基材である光選択透過フィルターにおいては、光選択透過層を基材の少なくとも一方に設けることが好ましい。上記光選択透過層は、後述するものの中から用途、透過率を低減させる波長に応じて、適宜選択することができる。例えば、赤外線及び/又は紫外線を低減させる場合は、無機材料から構成されることが好ましい。
上記光選択透過層が無機材料から構成される無機層である場合、無機層は気相法により形成されることが好ましい。上記気相法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等が好ましい。中でも、真空蒸着法がより好ましい。上記無機層は、多層膜であることが好ましい。このように、上記光選択透過層が無機材料から構成される場合、多層蒸着膜であることが好ましい。また、結晶性膜が非晶性膜より好ましい。光選択透過層としてより好ましい形態としては、結晶性の無機層から構成される多層蒸着膜である。
上記光選択透過フィルターの特に好ましい形態としては、樹脂フィルムを必須とする基材の少なくとも片面に光選択透過層が形成された積層フィルムであって、該基材は、光選択透過層を形成する前に加熱処理されて形成されたものである。これによれば、基材の耐熱性を向上させることができ、光選択透過層形成後の樹脂フィルムが熱変形(カール)することを抑制することができる。また、加熱処理により、樹脂フィルムの機械的強度向上、耐熱性向上、密着性向上等の効果がある。上記光選択透過フィルターをレンズユニットに用いる場合には、耐リフロー性樹脂フィルムを用いることがより好ましい。これによれば、より耐熱性を高めることができる。耐リフロー性樹脂フィルムとしては、上述したものが好ましい。
上記光選択透過フィルターは、上記条件で加熱処理した基材に、気相法により機能性材料層を形成して得るものであることが好ましい。すなわち、加熱処理した基材に機能性材料層を形成するものである光選択透過フィルターの製造方法であって、該基材は、Tg付近以上の温度で加熱処理されたものであり、該機能性材料層は、気相法により形成される光選択透過フィルターの製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂フィルムからなる基材の少なくとも片面に機能性材料層を形成してなる光選択透過フィルターの製造方法は、樹脂フィルムからなる基材に機能性材料層を形成する工程の前に、該樹脂フィルムを加熱処理する工程を含むことが好ましい。更に、上記光選択透過フィルターの製造方法は、樹脂フィルムをTg付近以上で加熱処理した後、機能性材料層を気相法により形成する工程を含むことが好ましい。加熱処理の温度、気相法としては、上述のとおりである。また、光選択透過フィルターの光選択透過性を向上させる観点からは、上記機能性材料層が光選択透過層であることが好ましい。
〔光選択透過フィルターの作製方法〕
上記基材への機能性材料層の形成方法としては、基材上に機能性材料層が密着し、光選択透過フィルターとして用いることができる限り特に限定されない。例えば、基材上に光選択透過層を形成する場合、基材フィルムを蒸着装置等の中に設置し、その基材の上に(片面又は両面)光選択透過層を蒸着により形成して密着させる。その後、基材及び光選択透過層からなる部分(基材上に光選択透過層が形成された部分)を、適宜必要なサイズに切り出し、光選択透過フィルターとする。経済性の観点からは、基材上の光選択透過層の面積が大きい(基材と光選択透過層との面積が近い)ほど、多数個の光選択透過フィルターを切り出せるため好ましい。光選択透過層の光選択透過性の均一化を図る観点からは、基材上の光選択透過層の面積が小さいほど、光選択透過層の膜厚や平滑性にむらが生じないため好ましい。基材のサイズと、その上に形成する光選択透過層の面積や形状は、上記の観点から適宜設定することが好ましい。
光選択透過フィルターの切り出し方法は、レーザーカット、打ち抜き法、ダイシングカットなどを用いることができる。量産の観点からは、打ち抜き法がより好ましい。
基材が有機材料である場合、どのような切り出し方法を用いても、基材の欠け、われ等が生じないため好ましい。更に、基材が無機材料からなる場合では切り出しが困難な、円形、多角形等の形状にも対応できる。上述したことから、有機材料からなる基材に光選択透過層を蒸着し、打ち抜き法により、光選択透過フィルターを得ることが最も好ましい。すなわち、所望の波長の光を選択的に低減する光選択透過フィルターを製造する方法であって、該製造方法は、有機材料からなる基材に光選択透過層を蒸着により形成する工程と、蒸着を行った基材を打ち抜き法により切り出す工程とを含む光選択透過フィルターの製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
〔機能性材料層の形成方法〕
光選択透過フィルターは、基材に機能性材料層を積層するときに、機能性材料層積層部位(機能性材料層形成部ともいう。)の周囲に機能性材料層が積層されていない縁(機能性材料層非形成部ともいう。)を有することが好ましい。このように、基材と機能性材料層とを必須とする光選択透過フィルターであって、該フィルターは、機能性材料を積層する時に、機能性材料層積部位の周囲に機能性材料層が積層されていない縁を有する光選択透過フィルターもまた、本発明の好ましい形態の一つである。例えば、基材の端まで、機能性材料を積層して縁を設けない場合、基材の端に積層された機能性材料が、積層時又は積層後に剥がれが生じるおそれがある。また、基材に固定のための穴などを作製する場合にも、穴の周囲から剥がれが生じるおそれがある。これは、基材の端や穴の周囲等、基材の上面(平滑な表面)以外の側面等に機能性材料が積層することにより、密着性が低下し、剥がれの起点になる可能性がある。基材の端又は穴の周囲に沿って、機能性材料層非形成部を形成することにより、機能性材料層の剥がれを抑制することができる。
上記光選択透過フィルターの特に好ましい形態としては、基材の少なくとも片面に光選択透過層が形成された積層フィルムであり、かつ光選択透過層を積層するときに、基材の表面に光選択透過層の非形成部(縁)を有してなるものである。すなわち、該フィルターは、光選択透過積層時に、光選択透過層積層部位の周囲に光選択透過層が積層されていない縁が形成されていることが好ましい。
機能性材料層が積層されていない縁(機能性材料層非形成部ともいう。)を設けるためには、スクリーン、蒸着用テープ等の機能性材料層の付着を防ぐものを用いることが好ましい。すなわち、機能性材料層積層部位の周囲をスクリーン及び/又は蒸着用テープでシールドした後に機能性材料の積層を行うことが好ましい。このように、基材と機能性材料層(例えば、光選択透過層等)とを必須とする光選択透過フィルターの製造方法であって、該製造方法は、スクリーン又は蒸着用テープを用いて機能性材料層非形成部を形成する光選択透過フィルターの製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。機能性材料層の材料や形成方法等は後述のものを好適に用いることができる。形成方法としては、中でも、真空蒸着法、スパッタリング法が好ましい。
上記光選択透過フィルターは、両面が機能性材料で積層された構造を持つことが好ましい。例えば、基材の両面が機能性材料で積層された構造を持つことが好ましい。光選択透過フィルターの両面を機能性材料で積層させた機能性材料層を形成することにより、より充実した機能を有する光選択透過フィルターとすることができる。このように、フィルターの両面に機能を持つ光選択透過フィルターもまた、本発明の好ましい形態の一つである。また、蒸着により機能性材料を積層させる場合には、両面に材料を蒸着させることになることから、蒸着時及び/又は実装時のカールを抑制することができ、種々の用途により好適な光選択透過フィルターとすることができる。
上記機能性材料層としては、光選択透過フィルターに付与する機能によって適宜選択することができ、光選択透過層、強靱性を有する層、光選択透過フィルターにかかる応力等を吸収するバッファー層(中間層、緩和層)、補強層、親水層、撥水層、反射防止層、位相差層、屈折率調節層、粘着層、導電層、絶縁層、光学補償層等から適宜選択することができる。また、光選択透過層に加えて、更に機能性材料層を形成する場合には、基材と光選択透過層の中間の熱膨張率を有する層を更に積層してもよい。
上記光選択透過フィルターにおいて、基材の両面には、それぞれ異なった機能性材料を積層させてもよく、同じ機能性材料を積層させてもよい。上記の中でも好ましくは、(1)両面が光選択透過層である形態、(2)片側が光選択透過層でもう一方が反射防止層である形態、(3)片側が光選択透過層でもう一方が反射防止層/光選択透過層である形態である。これらの中でも、(1)の形態が好ましい。なお、上記機能性材料層は、それぞれの機能が最も発揮できる形態に積層されることが好ましい。本発明においては、光選択透過層を適宜選択することにより所望の波長の透過率を低減させることができる。例えば、赤外光を低減する場合、上記(1)〜(3)の形態の中でも光選択透過層が、赤外カット層となる。
〔耐熱性に優れた形態〕
上記光選択透過フィルターは、耐リフロー性機能フィルム(例えば、耐リフロー性樹脂フィルム)の両面に、機能性材料層を積層してなる光選択透過フィルターであることが好ましい。基材を耐リフロー性機能フィルムとし、基材の両表面に機能性材料層を積層させた光選択透過フィルターとすることで、より耐熱性を向上させることができる。また、機能性材料層が光選択透過層である場合、該光選択透過層は、光の透過率を選択的に低減するものであればよく、単層であってもよいし、多層膜であってもよく特に限定されない。
上記機能性材料層の形成温度は120℃以下であることが好ましい。より好ましくは、100℃以下であり、更に好ましくは90℃以下である。これによれば、基材(耐リフロー性機能フィルム)へのダメージを少なくすることができる。基材となる耐リフロー性機能フィルムとしては、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、含フッ素高分子化合物及びエポキシ樹脂を用いることが好ましい。これによれば、より高い耐熱性を有する光選択透過フィルターとすることができる。また、上記耐リフロー性機能フィルムの両面に、機能性材料層を積層してなる光選択透過フィルターの製造方法は、機能性材料層を120℃以下の温度で形成する工程を含むことが好ましい。より好ましくは、100℃以下の温度であり、更に好ましくは90℃以下の温度である。
〔光選択透過フィルターの好適な形態〕
本発明の光選択透過フィルターは、上述の構成であることが好ましく、選択的に透過率を低減させる波長としては、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、赤外線の透過率を選択的に低減する形態、紫外線の透過率を選択的に低減する形態、赤外線及び紫外線の両方の透過率を選択的に低減する形態が好ましい。具体的には、赤外カットフィルター、紫外カットフィルター、紫外線・赤外線カットフィルターである。
上記赤外カットフィルター(赤外線カットフィルター、IRカットフィルターともいう。)は、吸収又は反射により赤外線を選択的に低減する(遮断する)機能を有するフィルターである。赤外カットフィルターは、赤外線領域である780nm〜10μmの波長を有する光のうち、いずれかの波長(範囲)の光を選択的に低減する機能を有するフィルターであればよい。選択的に低減する波長の範囲としては、780nm〜2.5μm、780〜1000nm、800nm〜1μm、又は、1〜1.5μmであることが好適である。これらの範囲の波長の少なくとも一つを選択的に低減するフィルターもまた、本発明の赤外カットフィルターに含まれる。選択的に低減する波長の範囲としては、近赤外線領域である780nm〜2.5μmであることがより好ましい。
上記選択的に低減する波長の透過率、それ以外の波長の透過率としては、上述と同様であることが好ましい。すなわち、赤外カットフィルターは、780〜1000nmの赤外線の透過率を選択的に5%以下に低減するものが好ましい。その他の波長域の透過率は、75%以上であることが好ましいが、フィルターの用途に応じて特定の波長域の透過率のみが高いものであってもよい。例えば、上記赤外カットフィルターをカメラモジュールとして用いる場合には、赤外光の透過率が5%以下であり、可視光(380〜780nm)の透過率が85%以上であることが好適である。より好ましくは90%以上である。また、可視光の中でも400〜600nmの波長域の光の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好適である。また、可視光の中でも400〜700nmの波長域の透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。なお、本発明の赤外カットフィルターにおいては、その他(赤外線領域以外)の波長の透過率としては、より好ましくは、85%以上であり、更に好ましくは、90%以上である。すなわち、上記光選択透過フィルターは、波長が400〜600nmにおける光の透過率が85%以上であり、かつ800〜1000nmにおける透過率が5%以下の赤外カットフィルターであることが好ましい。
上記紫外カットフィルターは、紫外線を遮断する機能を有するフィルターである。選択的に低減する波長の範囲としては、350nm以下であることが好ましい。より好ましくは、380nm以下である。
上記選択的に低減する波長の透過率、それ以外の波長の透過率としては、上述と同様であることが好ましい。具体的には、350nm以下である紫外線の透過率が5%以下であることが好ましい。より好ましくは、波長が380nm以下の紫外線透過率が5%以下である。
上記紫外線・赤外線カットフィルターは、紫外線及び赤外線の両方を遮断する機能を有するフィルターである。選択的に低減する波長の範囲、該波長の透過率、それ以外の波長の透過率としては、上述と同様であることが好ましい。
上記紫外線・赤外線カットフィルターは、赤外線、紫外線以外の光の透過率は、高いほど好ましい。具体的には、可視光(380nm〜780nm)透過率が70%以上であることが好ましい。更に、紫外線・赤外線カットフィルターを透過した光に着色させない(特定の可視光を選択的に吸収しない)観点から、可視光の各波長域における透過率がほぼ一定であることが好ましい。特に、波長400〜600nmにおける各波長での光透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは、90%以上である。紫外線・赤外線カットフィルターの赤外線を遮断する機能としては、反射又は吸収により赤外線を遮断することが好ましく、より好ましくは赤外線を主に反射することである。また、赤外線のうち、少なくとも800〜1000nmの波長の光を遮断することが更に好ましい。
上記紫外線・赤外線カットフィルターは、撮像レンズ用における光ノイズを遮断するためのフィルターとして、特に好適に用いることができる。撮像レンズ用等における光ノイズ遮断を目的とする光選択透過フィルターとしては、可視光領域の400〜600nmにおける各波長での光透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは、90%以上である。また、紫外線領域の350nm以下の紫外線の透過率が5%未満であることが好ましい。特に380nm以下の紫外線の透過率が5%未満であることが好ましい。また、上記光選択透過フィルターが、波長が400〜600nmにおける光の透過率が85%以上であり、かつ800〜1000nmにおける透過率が5%以下であり、更に波長が300〜380nmにおける光の透過率が5%以下の紫外線・赤外線カットフィルターであることが特に好ましい。赤外線領域では、800nm〜1μmの波長の光を遮断することが好ましい。具体的には、800nm〜1μmにおける透過率が5%以下であることが好ましい。より好ましくは800nm〜1.5μmにおける透過率が5%以下であり、更に好ましくは800nm〜2.5μmにおける透過率が5%以下である。
〔レンズユニット〕
本発明はまた、上記光選択透過フィルターとレンズとを備えるレンズユニットでもある。上述した光選択透過フィルターを用いることにより、光路長が短くなり、レンズユニットを小さく、ユニットの厚みを薄くすることができ、カメラモジュール等の種々の用途において好適に用いることができる。レンズユニットの長さとしては、光選択透過フィルターがない場合を100とすると、120以下であることが好ましい。より好ましくは、110以下であり、更に好ましくは、105以下である。
上記レンズユニットにおいて、レンズは、耐リフロー性を有するもの(リフローレンズ)であることが好ましい。また、光選択透過フィルターは上述したいずれであってもよいが、耐リフロー性を有するものであることが好ましい。このように、レンズユニットを構成する光選択透過フィルター及びレンズが、耐リフロー性を有するものである形態は、本発明の好ましい形態の一つである。光選択透過フィルター及びレンズの両方が、充分な耐熱性を有することにより、自動実装化が可能となり、実装コストが充分に低減され、カメラモジュール等の光学用途に好適に用いることができる。
上記レンズは、アッベ数が45以上であることが好ましい。アッベ数を45以上とすることにより、光の分散が小さくなり、解像度があがり、光学特性に優れたものとすることができる。45未満であると、例えば、にじみがみられるおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず、レンズユニットに好適な材料とはならないおそれがある。上記アッベ数として、より好ましくは、50以上であり、上記レンズユニットは、アッベ数が50以上のレンズを一つ以上有することが好ましい。上記アッベ数として、更に好ましくは、55以上であり、特に好ましくは、58以上であり、最も好ましくは、60以上である。
上記レンズユニットにおいて、レンズは1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。1枚である場合、レンズのアッベ数としては、45以上であることが好ましい。2枚以上である場合、少なくとも1枚のレンズのアッベ数が45以上であればよく、その他のレンズはアッベ数45未満であってもよい。アッベ数が45以上のレンズとアッベ数が45未満のレンズとを組み合わせる場合において、アッベ数が50以上のレンズとアッベ数が40以下のレンズとを組み合わせる形態がより好ましい。アッベ数が50以上のレンズとアッベ数が40以下のレンズとを組み合わせることにより、解像度が向上し、レンズユニットに求められる特性を満足するという利点がある。
上記レンズは、厚みが1mm未満であることが好ましい。レンズの厚み(像を写す領域の最大厚み)を1mm未満とすることにより、厚みが200μm未満の光選択透過フィルターを用いることとあいまって、光路長を短くすることができ、レンズユニットをより小さくすることができる。レンズの厚みとしてより好ましくは、800μm未満であり、更に好ましくは、500μm未満である。また、光選択透過フィルターの厚みが100μm以下の光選択透過フィルターを用いることがより好ましい。
上記レンズを構成する材料としては、耐熱材質であり、耐リフロー性を有するものであることが好ましい。具体的には、有機材料、無機材料、有機・無機複合材料のいずれであってもよく、これらは1種又は2種以上を用いてもよい。有機材料としては、有機樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。すなわち、上記レンズが、硬化された熱硬化性樹脂を含むレンズユニットであることが好ましい。無機材料としては、ガラス等が好ましい。有機・無機複合材料としては、有機無機複合樹脂組成物が好ましい。これらの中でもより好ましくは、有機無機複合樹脂組成物である。
上記有機無機複合樹脂組成物としては、有機樹脂と無機微粒子又はメタロキサンポリマーとを含むものであることが好適である。有機樹脂としては、アッベ数が45以上のものである形態、熱硬化性樹脂である形態、脂環式エポキシ化合物を必須として含む形態、分子量が700以上のものである形態が好ましい。無機微粒子としては、金属酸化微粒子である形態、湿式法により得られたものである形態、平均粒径が400nm以下のものである形態、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11のものである形態が好ましい。有機無機複合樹脂組成物としては、不飽和結合が10質量%以下である形態、可とう性成分を含む形態が好ましい。メタロキサンポリマーとしては、好適には、オルガノシロキサンポリマーが好ましい。オルガノシロキサンポリマーとしては、例えば、かご状構造又はラダー状構造等のポリシルセスキオキサン;ジフェニルシロキサン単位、ジアルキルシロキサン単位、アルキルフェニルシロキサン単位等の繰り返しの基本単位とする鎖状ポリシロキサン等が挙げられる。
上記レンズユニットとしては、上記光選択透過フィルターと2枚以上のレンズとを備え、該レンズは、厚みが1mm未満の耐リフロー性レンズであり、アッベ数50以上のレンズを一つ以上有することが好ましい。また、上記レンズユニットの厚みとしては、50mm以下であることが好ましい。このような厚みとすることにより、カメラモジュール等の種々の光学部材に好適に用いることができる。レンズユニットの厚みとしてより好ましくは、30mm以下であり、更に好ましくは、10mm以下である。
上記レンズユニットの小型化の観点からは、シーモスセンサーとレンズとの距離も重要である。シーモスセンサーとレンズとの距離とは、レンズの最も外側の表面とシーモスセンサーとの距離であり、光選択透過フィルターがシーモスセンサー側に装着されている場合は、該光選択透過フィルターとシーモスセンサーとの距離となる。
上記レンズユニットにおいては、例えば、図1のように光選択透過フィルターがシーモスセンサー側に配置される形態であることが好適であるが、光選択透過フィルターはレンズの間に配置されていてもよい。また、所望の波長の光を充分に遮断する点からは、レンズの上部と下部との両方に配置される形態、すなわち、光の進行方向に沿って、光選択透過フィルター、1枚又は2枚以上のレンズ、光選択透過フィルター、シーモスセンサーの順に配置される形態も好適である。
上記レンズユニットにおいては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、上記以外の構成を備えていてもよい。
〔基材の材料〕
以下、本発明の光選択透過フィルターの基材として好適に用いることができる、上記(a)としての、(1)フッ素化芳香族ポリマー、(2)多環芳香族ポリマー、(3)ポリイミド樹脂、(4)含フッ素高分子化合物及び(5)エポキシ樹脂、無機材料としての(b)ガラスフィルム、(c)の有機無機複合樹脂としての(b)と(c)との積層フィルムについて、説明する。これらは、単独で用いてもよいし、積層させてもよい。また、透明性を維持するように混合体として用いてもよい。この場合、液状にして混合してもよい。
(1)フッ素化芳香族ポリマー
上記フッ素化芳香族ポリマーとしては、少なくとも1つ以上のフッ素基を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合の群より選ばれた少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位により構成された重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、フッ素原子を有するポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドエーテル、ポリアミド、ポリエーテルニトリル、ポリエステル等が挙げられる。
本発明の組成物は、これらのフッ素化芳香族ポリマーの1種を含有するものであってもよく、2種以上を含有するものであってもよい。
本発明のフッ素化芳香族ポリマーとしては、上記したものの中でも、少なくとも1つ以上のフッ素基を有する芳香族環と、エーテル結合を含む繰り返し単位を必須部位として有する重合体であることが好ましく、下記一般式(1−1)又は(1−2)で表される繰り返し単位を含むフッ素原子を有するポリアリールエーテルであることがより好ましい。なお、一般式(1−1)又は(1−2)で表される繰り返し単位は、同一でも異なっていてもよく、ブロック状、ランダム状等の何れの形態であってもよい。
Figure 0005517404
上記一般式(1−1)中、Rは炭素数1〜150の芳香族環を有する2価の有機鎖を表す。また、Zは2価の鎖又は直接結合を表す。x及びyは0以上の整数であり、x+y=1〜8を満たし、同一又は異なって芳香族環に結合しているフッ素原子の数を表す。nは、重合度を表わし、2〜5000の範囲内が好ましく、5〜500の範囲内がさらに好ましい。
上記一般式(1−2)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基又は炭素数6〜20のアリールチオ基を表す。Rは、炭素数1〜150の芳香族環を有する2価の有機鎖を表す。zは、芳香族環に結合しているフッ素原子の数であり、1又は2である。nは、重合度を表わし、2〜5000の範囲内が好ましく、5〜500の範囲内がさらに好ましい。
上記一般式(1−1)において、x+yは2〜8の範囲内が好ましく、4〜8の範囲内がさらに好ましい。また、エーテル構造部分(−O−R−O−)が芳香族環に結合している位置については、Zに対してパラ位に結合していることが好ましい。
上記一般式(1−1)及び(1−2)において、R及びRは2価の有機鎖であるが、下記の構造式群(5)で表されるいずれか一つ、又は、その組み合わせの有機鎖であることが好ましい。
Figure 0005517404
(式中、Y〜Yは、同一又は異なって水素基又は置換基を表し、該置換基は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアミノ基、アリールチオ基を表す。)
上記R及びRのより好ましい、具体例としては、下記の構造式群(6)で表される有機鎖が挙げられる。
Figure 0005517404
上記一般式(1−1)において、Zは、2価の鎖又は直接結合していることを表す。該2価の鎖としては、例えば、下記構造式群(7)(構造式(7−1)〜(7−13))で表される鎖であることが好ましい。
Figure 0005517404
(式中、Xは、炭素数1〜50の2価の有機鎖である。)
上記Xは、例えば、構造式群(6)で表される有機鎖が挙げられ、その中でもジフェニルエーテル鎖、ビスフェノールA鎖、ビスフェノールF鎖、フルオレン鎖が好ましい。
上記一般式(1−2)中のRにおいて、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基等が好適である。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、フルフリルオキシ基、アリルオキシ基等が好適である。
上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基等が好適である。
上記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、iso−プロピルチオ基等が好適である。
上記アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o−、m−又はp−トリル基、2,3−又は2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、ピレニル基等が好適である。
上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル類(例えば、メチルエステル、エチルエステル、メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、フルフリルエステル及びフェニルエステル等)由来の基、ナフトキシ基、o−、m−又はp−メチルフェノキシ基、o−、m−又はp−フェニルフェノキシ基、フェニルエチニルフェノキシ基、クレソチン酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールアミノ基としては、アニリノ基、o−、m−又はp−トルイジノ基、1,2−又は1,3−キシリジノ基、o−、m−又はp−メトキシアニリノ基、アントラニル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールチオ基としては、フェニルチオ基、フェニルメタンチオ基、o−、m−又はp−トリルチオ基、チオサリチル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記Rとしては、これらのうち、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基が好ましい。ただし、Rには、2重結合若しくは3重結合が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
上記一般式(1−2)中のRにおける置換基としては、上述のような炭素数1〜12のアルキル基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;シアノ基、ニトロ基、カルボキシエステル基等が好適である。また、これら置換基の水素がハロゲン化されていてもよいし、されていなくてもよい。これらの中でも、好ましくは、ハロゲン原子、水素がハロゲン化されていてもよいし、されていなくてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びカルボキシエステル基である。
(2)多環芳香族ポリマー
主骨格として、ナフタレン環、フルオレン環等の2つ以上の連結した芳香環をモノマーユニットに有する化合物であることが好ましい。
上記多環芳香族ポリマーとしては、2つ以上の芳香環が、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合の群より選ばれた少なくとも1つの結合により連結されているものである。具体的には、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリエチレンナフタレート)であることが好適である。このようなポリエチレンナフタレートとしては、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーが好適であるが、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の一部(30モル%未満)を2,7−、1,5−、1,7−その他のナフタレンジカルボン酸の異性体或はテレフタル酸或はイソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の他の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環属族ジカルボン酸;アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等のオキシ酸等の他の二官能性カルボン酸で置き換えてもよい。
更に、エチレングリコール成分の一部を例えばトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の他の多官能化合物の1種以上で置換して30モル%未満の範囲で共重合させたコポリマーであってもよい。
(3)ポリイミド樹脂
上記ポリイミド樹脂としては、透明性を有し、イミド結合を有する化合物であれば限定されないが、下記式(3):
Figure 0005517404
(式中、nは0〜4の整数、pは0又は1であり、n+pは1〜5の整数である。)で表される繰り返し単位を含むポリイミド樹脂であることが好ましい。
(4)含フッ素高分子化合物
上記含フッ素高分子化合物としては、分子中に少なくとも2つのシクロヘキシル環と2つのフルオロアルキル基を含有する含フッ素脂環式ジアミン又は含フッ素芳香族ジアミンを少なくとも単量体の一部に使用した含フッ素高分子化合物であることが好ましい。
具体的には、下記式(8−1)〜(8−4):
Figure 0005517404
(式中、Rは直鎖、分岐、脂環、芳香環、ヘテロ環から選ばれた一種以上の2価の基であり、部分的にフッ素、酸素、窒素を含有しても良い)で表される繰り返し単位を含む含フッ素脂環式ポリアミド構造又は含フッ素芳香族ポリアミド構造を有する含フッ素高分子化合物、下記式(9−1)〜(9−4):
Figure 0005517404
(式中、Rは直鎖、分岐、脂環、芳香環、ヘテロ環から選ばれた一種以上の4価の基であり、部分的にフッ素、酸素、窒素を含有しても良く、Rは水素、炭素数1〜20の直鎖、分岐状のアルキル基であって、部分的にフッ素、酸素、窒素、不飽和結合、環状構造を含んでも良い。)で表される繰り返し単位を含む含フッ素脂環式ポリアミド酸、含フッ素芳香族ポリアミド酸、又は、これらのエステル体である含フッ素高分子化合物、下記式(10−1)〜(10−4):
Figure 0005517404
(式中、Rは直鎖、分岐、脂環、芳香環、ヘテロ環から選ばれた一種以上の4価の基であり、部分的にフッ素、酸素、窒素を含有しても良い)で表される繰り返し単位を含む含フッ素脂環式ポリイミド又は含フッ素芳香族ポリイミドである含フッ素高分子化合物が好ましい。
上記式(10−3)において更に好ましくは、Rが、下記式(11):
Figure 0005517404
で表される形態である。
また含フッ素高分子化合物の例として、テトラフルオロエチレンを含むものも好ましい。特に、透明性の観点からは、上述したテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ダイキン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、50μm、ニチアス社製 ナフロンPFAシート,T/♯9000−PFA、(特に、ダイキン社製ネオフロンTMフィルムPFA、50μmが好ましい)等のPFAフィルムが好ましい。
(5)エポキシ樹脂
上記エポキシ樹脂としては、熱硬化性エポキシ樹脂組成物、光硬化性エポキシ樹脂組成物が好ましい。エポキシ樹脂は、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。可とう性成分を含むことにより、成形時や基板、型等からはずすときに割れない、形が崩れない、剥がれやすい、柔軟性がある等の一体感のある樹脂組成物とすることができる。上記可とう性成分としては、(1)有機樹脂成分とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)有機樹脂成分の1種が可とう性成分である形態のいずれも好適に適用することができる。
具体的には、−〔−(CH−O−〕−で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。)が好ましい。例えば、ジャパンエポキシレジン社製のYED−216D、ジャパンエポキシレジン社製YL−7217(オキシアルキレン鎖がオキシブチレンである、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上);高分子量エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、EHPE−3150);脂環式液状エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、セロキサイド2081);液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端の側鎖や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分は、硬化性の官能基を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは「エポキシ基(グリシジル基)等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応させる基)」をいう。
(b)ガラスフィルム
耐曲げ強度に優れる点から、ガラスフィルムは、厚みが100μm以下であることが好ましい。より好ましくは、50μm以下である。具体的には、シリカを主成分とする形態であればよく、透明性が80%(照射光波長500nm)で確保できれば、その他の成分の割合及び種類等は限定されない。ガラスフィルムとしては、SCHOTT社製、D263が好ましい。
(c) 上述した(a)の(1)〜(5)と(b)との積層フィルム
(b)と積層する特に好ましい(a)としては、(1)、(5)又は(1)と(5)との複合樹脂である。好ましい形態としては、ガラスフィルムの両面に(a)の(1)〜(5)を含む樹脂膜を積層させる形態が挙げられ、特に好ましくは(1)、(5)又は(1)と(5)との複合樹脂をガラスフィルムの両面に積層させた形態である。
〔光選択透過層〕
以下、本発明の光選択透過層について、説明する。
上記光選択透過層としては、各波長の屈折率を制御できる無機多層膜、所望の波長の光を反射する機能を有する透明導電膜、所望の波長の光を吸収する機能を有する分散膜等を好適に用いることができる。無機多層膜としては、基材やその他の機能性材料層の上に、真空蒸着法、スパッタリング法等により、低屈折率材料及び高屈折率材料を交互に積層させた屈折率制御多層膜が好ましい。透明導電膜としては、インジウム−スズ系酸化物(ITO)等の赤外線を反射する膜としての透明導電膜が好ましい。赤外線吸収性の分散膜としては、ITO等の無機ナノ粒子や、有機色素を無機、有機バインダー(基材)に分散させた膜等が好ましい。無機多層膜、透明導電膜、無機ナノ粒子を無機バインダーに分散させた膜等の無機材料からなる無機層が耐熱性に優れる点で好ましい。中でも、無機多層膜が好ましい。
上記無機多層膜としては、誘電体層Aと、誘電体層Aが有する屈折率よりも高い屈折率を有する誘電体層Bとを交互に積層した誘電体多層膜が好適である。
〈誘電体層A〉
上記誘電体層Aを構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を通常用いることができ、好ましくは、屈折率の範囲が1.2〜1.6の材料が選択される。
上記材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウムなどが好適である。
〈誘電体層B〉
誘電体層Bを構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、好ましくは、屈折率の範囲が1.7〜2.5の材料が選択される。
上記材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウムを主成分とし酸化チタン、酸化錫、酸化セリウムなどを少量含有させたものなどが好適である。
〈積層方法〉
上記誘電体層Aと誘電体層Bとを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はないが、例えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法などにより、誘電体層Aと誘電体層Bとを交互に積層することにより誘電体多層膜を形成することができる。上記多層膜の形成方法としては、上記方法等により好適に形成することができるが、蒸着によって光選択透過フィルターが変形しカールしたり、割れが生じたりする可能性を小さくするために、以下の方法を用いることができる。具体的には、離型処理したガラス等の仮の基材に蒸着層を形成し、光選択透過フィルターの基材となる真の基材に、該蒸着層を転写して多層膜を形成する多層膜の転写方法が好適である。この場合、光選択透過フィルターの基材とする真の基材には、接着層を形成しておくことが好ましい。
また基材が有機材料、具体的には、樹脂組成物である場合には、未硬化、半硬化状態の基材(樹脂組成物)に、上記誘電体層等を蒸着した後、基材を硬化する方法が好適である。このような方法を用いると、多層蒸着後の冷却時に、基材が流動的となり、液状に近い状態となるために、樹脂組成物と誘電体層等との熱膨張係数差が問題にならず、光選択透過フィルターの変形(カール)を抑制することができる。
上記誘電体層A及び誘電体層Bの各層の厚みは、通常、遮断しようとする光の波長λ(nm)の0.1λ〜0.5λの厚みである。厚みが上記範囲外になると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と大きく異なって反射・屈折の光学的特性の関係が崩れてしまい、特定波長の遮断・透過をするコントロールができなくなるおそれがある。
上記誘電体多層膜の積層数は、透明基板の一方の面にのみ上記誘電体多層膜を有する場合は、通常10〜80層の範囲で、好ましくは25〜50層の範囲である。一方、透明基板の両面に上記誘電体層膜を有する場合は、上記誘電体層の積層数は、基板両面の積層数全体として、通常10〜80層の範囲であり、好ましくは25〜50層の範囲である。
本発明の光選択透過フィルターは、光の透過率を選択的に低減するものである。このような光選択透過フィルターにおいて、所望の波長の光をカットする機能は、上述したように、多層膜を形成する形態であることが好適であるが、その他の形態を有していてもよい。例えば、赤外線の透過率を低減させる赤外カットフィルターにおいては、(1)可視光を透過し近赤外線を遮蔽する金属酸化物からなる薄膜を基材表面に形成する形態や、(2)赤外吸収機能を有する(例えば、赤外吸収色素を含有する)塗布膜を形成する形態、(3)基材に赤外線をカットする機能を持つ材料(原料)を用いる形態等が好適である。その他の波長を選択的に低減する場合でも同様であり、このような形態を用いることで、多層膜(多層蒸着層)の積層数を低減できたり省略したりすることができ、光選択透過フィルターの膜厚を薄くできる。例えば、上記(1)の形態においては、単層構造の薄膜とすることができる。したがって、光路を短縮することができ、カメラモジュール等の光学部材において有用なものとすることができる。基材として有機材料、具体的には、樹脂組成物を用いる場合は、多層膜を形成する際の基材のカールを抑制でき、低コスト化にも効果がある。基材として無機材料、具体的には、ガラスを用いる場合は、多層蒸着層(多層膜)の厚みが薄くなるために基材の割れを抑制できる。
上記(1)可視光を透過し近赤外線を遮蔽する金属酸化物からなる薄膜を基材表面に形成する形態としては、酸化インジウム系、酸化スズ系、酸化亜鉛系、酸化タングステン系などからなる赤外反射及び吸収機能の少なくとも一方を有する薄膜が好ましい。特に、SnやTi等の4価の金属元素又はフッ素を0.1〜20原子%(/インジウム)の割合で固溶してなるIn系酸化物;Sb、P等の5価の金属元素又はフッ素を0.1〜20原子%(/スズ)の割合で固溶してなるSnO系酸化物;B、Al、In等の3価金属元素又は4価金属元素又はフッ素を0.1〜20原子%(/亜鉛)の割合で固溶してなるZnO系酸化物;WOで示される酸化タングステン系;In、Znを金属成分とする複合酸化物(In−Zn系、In−Mg系、In−Sn系、Sn−Zn系等)等の可視光を透過し近赤外線を遮蔽する金属酸化物からなる薄膜を基材表面に形成する方法が好ましい。このような薄膜は、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することが好適である。
上記(2)赤外吸収機能を有する塗布膜を形成する形態としては、上記酸化物からなる超微粒子を含む塗布膜、金属フタロシアニン等の赤外吸収色素を含有する塗布膜を形成する方法が好ましい。このような塗布膜は、超微粒子や赤外吸収色素を有し、有機バインダーや無機バインダーをバインダーとして用いた塗料を成膜する方法が好適である。
上記(3)基材に赤外線をカットする機能を持つ材料(原料)を用いる形態としては、基材が有機材料(例えば、樹脂組成物)である場合は、樹脂組成物に上記酸化物や色素を練り込んでフィルム状に成型する方法が好適である。また基材が無機材料(例えば、ガラス)である場合には、Fe等の金属元素を固溶することにより得られる赤外線吸収ガラスを用いることが好適である。
本発明の光選択透過フィルターとしては、所望の光の透過率を選択的に低減させるという機能以外の種々の機能を有することが好ましい。例えば、光選択透過フィルターとして好ましい形態の一つである赤外カットフィルターの場合、赤外カットフィルターは、紫外線を遮蔽する機能等の赤外カット以外の各種機能を有する形態や、強靱性、強度等の赤外カットフィルターの物性を向上させる機能を有する形態が好適である。
上記赤外カットフィルターが紫外線を遮蔽する機能を有する形態としては、(a)酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の可視光を透過し、紫外線を遮蔽する金属酸化物からなる薄膜を基材表面に形成する方法、(b)上記酸化物からなる超微粒子を含む塗布膜、有機系紫外線吸収剤を含有する塗布膜を形成する方法、(c)紫外線を遮蔽する機能を持つ材料(原料)を用いる方法により紫外線を遮蔽する機能を付与することが好適である。
上記(a)における薄膜形成方法、(b)における成膜方法としては、それぞれ、上記(1)における薄膜形成方法、(2)における薄膜形成方法と同様であることが好ましい。(c)としては、基材が有機材料(例えば、樹脂組成物)である場合は、樹脂に上記酸化物や色素を練り込んだ樹脂組成物をフィルム状に成型する方法が好適である。また、基材が無機材料(例えば、ガラス)である場合には、Ag、Bi、Co、Fe、Ni、Ti、Ce等の金属元素を固溶することにより得られる赤外線吸収ガラスを用いることが好適である。
本発明の光選択透過フィルターとしては、紫外カットフィルターが挙げられる。上記紫外カットフィルターが紫外線を遮蔽する機能を有する形態としては、酸化チタン系、酸化亜鉛系、酸化セリウム系、酸化鉄系などの紫外線吸収機能を有する材料からなる薄膜が好ましい。中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムにCu、Ag、Mn、Bi、Co、Fe、Niからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を0.1〜20原子%の割合で固溶してなる酸化物が好ましい。
本発明の光選択透過フィルターとしては、紫外線・赤外線カットフィルターが挙げられる。上記紫外カットフィルターが紫外線を遮蔽する機能を有する形態としては、上述した誘電体層(A)と(B)の積層構造が好ましい。また、酸化インジウム系、酸化スズ系、酸化亜鉛系、酸化タングステン系などの赤外線カット機能を有する酸化物層と、酸化チタン系、酸化亜鉛系、酸化セリウム系、酸化鉄系などの紫外線カット機能に優れる層を積層する形態も好ましく用いることができる。
〔光選択透過フィルターの好ましい構成〕
本発明に係る光選択透過フィルターは、上記基材の少なくとも一方の面に、上記誘電体多層膜からなる光選択透過層を有し、上記基材の他方の面には他の機能性材料層を有することが好ましい。
また、本発明に係る光選択透過フィルターは、上記基材の両面に上記誘電体多層膜からなる光選択透過層を有するものであってもよい。
このような特徴を有することにより、本発明に係る光選択透過フィルターは、反りや誘電多層膜の割れが少なくなる。また、光選択透過フィルターの曲げ強度を向上させ、反りを少なくする観点からは、光選択透過フィルターは、厚みが1〜10μmである光選択透過層を有することが好ましい。
〈膜形成方法〉
上述した機能性材料層を上記基材に有するようにするためには、例えば、上述のCVD法、スパッタリング法、真空蒸着法により、直接上記基材上に機能性材料層を形成したり、上述の方法により得られた機能性材料層を基材上に接着剤で張り合わせることにより得ることができる。また、原料物質を含有する液状組成物を基材に塗布、乾燥して製膜することによっても得ることができる。
上記機能性材料層が原料物質を含有する液状組成物から得られる場合には、例えば、この液状組成物を透明基板上に直接塗布し、乾燥することによって得ることもできる。
上記透明基板の一方の面に上記機能性材料層を有する場合は、その機能性材料層は1種であってもよいが、複数種の機能性材料層を積層してもよい。複数種の機能性材料層を積層する場合には、例えば、上述した膜形成方法によって、複数種の機能性材料層を積層することができる。
上記方法により本発明に係る光選択透過フィルターを作製することにより、反りや誘電多層膜の割れの少ない光選択透過フィルターを得ることができる。このようにして得られた光選択透過フィルターは、波長633nmのレーザー光を照射した際に、レーザー光の照射中心から直径60mmの領域内に発生するニュートンリングの最大本数が通常は8本以下、好ましくは5本以下とすることができ、表面平滑性及び均一性に優れる。そのため、特に固体撮像素子の視感度補正に好適に用いることができる。
〔光選択透過フィルターの用途〕
本発明の光選択透過フィルターとしては、赤外カットフィルター、紫外カットフィルター、紫外線・赤外線カットフィルター等が挙げられる。本発明に係る赤外カットフィルターは、優れた赤外線カット能を有し、割れにくい。したがって自動車や建物などのガラスなどに装着される熱線カットフィルターなどとして有用であるのみならず、特に、デジタルスチルカメラや携帯電話用カメラなどのCCDやCMOSなどの固体撮像素子の視感度補正に有用である。本発明に係る紫外カットフィルターは、優れた紫外線カット能を有し、割れにくい。したがって、紫外線保護フィルター、視感度補正用等として有用である。本発明に係る紫外線・赤外線カットフィルターは、優れた赤外線及び紫外線カット能を有し、割れにくく、撮像レンズ用における光ノイズを遮断するためのフィルターとして有用である。
本発明の光選択透過フィルターは、上述の構成よりなり、光を選択的に遮断し、可視光等の特定波長の透過率が高く、しかも充分に薄く、耐熱性に優れた光選択透過フィルターであり、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品、電気・電子部品等の様々な用途に好適に用いられるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
1.基材
(1)FPEKフィルムの作成
<FPEKの合成>
温度計、冷却管、ガス導入管、及び、攪拌機を備えた反応器に、BPDE(4,4′−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル) 16.74部、HF(9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン) 10.5部、炭酸カリウム 4.34部、DMAc(ジメチルアセトアミド) 90部を仕込んだ。この混合物を80℃に加温し、8時間反応した。反応終了後、反応溶液をブレンダーで激しく攪拌しながら、1%酢酸水溶液中に注加した。析出した反応物を濾別し、蒸留水及びメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、フッ素化芳香族ポリマーを得た。反応式を下記に示す。フッ素化芳香族ポリマーは、下記反応式で得られた繰り返し単位を含むフッ素化芳香族ポリマーである。
Figure 0005517404
上記ポリマーのガラス転移点温度(Tg)は242℃、数平均分子量(Mn)が70770、表面抵抗値は1.0×1018Ω/cm以上であった。
<基材の形成>
溶剤キャスト法により50μmのフィルム(以下、FPEKフィルムと言う。)を得た。なお、製膜について、溶剤キャスト法を用いた際の溶媒は、酢酸エチルとトルエンの混合溶媒を用いた。
(2)ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)
(2−1)帝人デュポンフィルム社(テオネックスQ83)、厚さ25μm、融点269℃ (PENフィルム)を用いた。
(2−2)帝人デュポンフィルム社(テオネックスQ83)、厚さ75μm、融点269℃ (PENフィルム)を用いた。
(3)ポリイミドフィルム
(3−1)三菱ガス化学社製、ネオプリムL−3430 厚さ50μmを用いた。
(3−2)三菱ガス化学社製、ネオプリムL−3430 厚さ100μmを用いた。
(4)含フッ素高分子化合物フィルム
(4−1)フッ素化ポリイミドフィルムの作成
<ポリアミド酸溶液の合成>
50ml容器の三ツ口フラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル4.18g(13.1ミリモル)(略称:TFBD)、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物5.81g(13.1ミリモル)(略称:6FPA)、及び、N,N−ジメチルアセトアミド40gを仕込んだ。この混合液を、窒素雰囲気中で、室温で2日間、撹拌することによって、ポリアミド酸溶液を得た。
<基材の形成>
上記ポリアミド酸溶液を、シリコン基板(直径4ich、厚さ525μm)上にスピンコート法で塗布した(300rpmで60sec)。その後、窒素雰囲気中で、70℃で2時間、300℃で1時間加熱した。冷却後、基板から剥離し、約50μm厚のフッ素化ポリイミドフィルム(F−PIフィルムという。)を得た。
(4−2)PFAフィルム
ダイキン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、厚み50μmを用いた。
(5)エポキシ樹脂
ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテル(商品名:エピコートYL7217、ジャパンエポキシレジン社製)19部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828EL、ジャパンエポキシレジン社製)55部、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコートYX8000、ジャパンエポキシレジン社製)22部、六フッ化リン系アリールスルホニウム塩(商品名:UVI−6992、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製)4部を自公転式遠心混合装置(製品名:あわとり練太郎(登録商標)、シンキー社製)を用いて混合した。
〈基材の形成〉
上記エポキシ樹脂組成物を、キャスト法により50μm厚で成膜した後、高圧水銀ランプを光源とする露光機(製品名:MA−60F、ミカサ社製)を用いて、照度10mW/cmで15分間、すなわち露光エネルギー9J/cmの紫外線照射を行って、光硬化することでエポキシ樹脂フィルムを得た。
(6)ガラスフィルム
SCHOTT社製ガラスコード:D263、厚み30μmを用いた。
(7)ガラス/FPEKフィルムの作成
(7−1)ガラス/FPEKフィルム
フッ素化ポリエーテルケトン(FPEK)1.57gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.45gに添加して均一に撹拌した。スピンコート法を用いて、ガラスフィルム(30μm)上に5μm膜を成膜した後、150℃で乾燥した。
(7−2)FPEK/ガラス/FPEKフィルム
FPEKを両面にコートする場合には、(7−1)において片面をコートした後ガラス面に(7−1)と同じ操作を行った。
(8)ガラス/フルオレンエポキシ・FPEKフィルムの作成
(8−1)ガラス/フルオレンエポキシ・FPEKフィルム
FPEK1.0g、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1020)0.5gをプロピレグリコールモノメチルエーテルアセテート10gに添加して、均一に撹拌した。
その後、40℃以下にして、カチオン系開始剤(三新化学工業社、サンエイドSI−60L)を0.016g(固形分:32%)を均一に撹拌した。
製膜は、上記(7−1)と同様に、スピンコート操作により行った。
(8−2)フルオレンエポキシ・FPEK/ガラス/フルオレンエポキシ・FPEKフィルム
フルオレンエポキシ・FPEKを両面にコートする場合には、(8−1)において片面をコートした後ガラス面に(8−1)と同じ操作を行った。
(9)PET T60フィルム
東レ社製 ルミラー、タイプ:T60(PET T60フィルムと言う。)を用いた。
(10)アートンフィルム
JSR社製 アートンF 厚み190μmを用いた。
2.基材の物性評価
上記基材(1)〜(10)について、屈折率測定、アッベ数測定、照射光波長500nmの透過率(%)測定、260℃耐熱評価及び曲げ試験を行った結果を表1に示す。
すべての基材において500nm透過率が80%以上であり、良好な透明性を示した。曲げ試験では、(6)のガラスフィルムはR=10mmで割れが生じたのに対し、有機材料を積層した(7−1)〜(8−2)では、耐曲げ角度が10mm未満へと改善され、ガラスフィルムに柔軟性が付与されたことが明らかとなった。260℃耐熱評価では、(9)のPETフィルム及び(10)のアートンフィルムが溶け落ちたのに対し、他の耐リフロー性機能フィルムからなる基材は高い耐熱性を示した。
上記基材(1)〜(10)について、以下の方法により屈折率測定、アッベ数測定、照射光波長500nmの透過率(%)測定、260℃耐熱評価及び曲げ試験を行った。
(屈折率測定、アッベ数測定)
DR−M2(アタゴ社製)を用いて20℃で測定を行った。
(透過率測定)
Shimadzu UV−3100(島津製作所製)を用いて500nmにおける透過率を測定した。厚みは上述のとおりである。
(260℃耐熱評価)
上記基材(1)〜(10)について、以下の方法により耐熱性を評価した。
基材を2cm×1cmの形状とし、フィルムの上端(1cmの辺を上端とする。)を固定し、260℃、3minオーブンにて加熱を行った。
加熱後の基材の状態を表1に示す。
(曲げ試験)
上記基材(1)〜(10)について、基材の強度を曲げ試験により評価した。プラスチック製円錐型を用いて、図3に示すように、該円錐型に基材(1)〜(10)を沿わせて、基材に割れが生じる径(直径R)を求めた。基材の幅は10mmとした。厚みは上述のとおりである。また、基材と円錐型の接触部分は、半円領域のみとした。
R=30mmからスタートして、0.2mm/sで直径を縮めた。試験は25℃で行った。
なお、基材(7−1)及び(8−1)については、ガラスを内にして、すなわち、ガラス面を円錐型に沿わせて評価を行い、径を求めた。結果を表1に示す。曲げ試験では、(6)のガラスフィルムは、R=10mmであり、測定、搬送、洗浄、加工工程で、樹脂フィルムに比べれば慎重に取り扱う必要があるといえる。(1)〜(5)、(9)及び(10)のフィルムはR<1mmであり、柔軟性に優れ、取り扱い性の面で有利である。
Figure 0005517404
3.光選択透過フィルターの作成
<光選択透過層の形成>
一辺が60mmの基材の両面に、蒸着基板温度180℃で赤外線を反射する多層膜〔シリカ(SiO2:膜厚120〜190nm)層とチタニア(TiO2:膜厚70〜120nm
)層とが交互に積層されてなるもの、積層数は片面25層ずつ両面に蒸着:計50層〕を蒸着により形成し、光選択透過フィルター(光学フィルター)を製造した。
4.光選択透過フィルターの評価
<透過率の測定>
この光学フィルターの分光透過率曲線を測定した。基材としてFPEKを用いた場合の結果を図4に示す。
図4のグラフの横軸は波長、縦軸は透過率を示すが、このグラフから明らかなように、波長400〜600nmの可視域における透過率は約85%以上、また波長750〜1000nmの近赤外域における透過率は5%以下であり、光選択透過フィルターとして優れた性能を示した。
(分光透過率測定)
Shimadzu UV−3100(島津製作所製)を用いて300〜1000nmにおける透過率を測定した。
上記基材(2)〜(8−2)及び(10)も同様にして、光選択透過層を形成し、光選択透過フィルターを得た。これらの光選択透過フィルターの400〜600nm及び750〜1000nmの透過率の測定結果を表2に示す。
Figure 0005517404
(260℃耐熱評価)
上記基材(1)〜(8−2)及び(10)を用いて作製した光選択透過フィルターについて、以下の方法により耐熱性を評価した。
基材を2cm×1cmの形状とし、フィルムの上端(1cmの辺を上端とする。)を固定し、260℃、3minオーブンにて加熱を行った。
加熱後の光選択透過フィルターの状態を表2に示す。
(曲げ試験)
上記基材(1)〜(8−2)及び(10)を用いて作製した光選択透過フィルターについて、強度を曲げ試験により評価した。プラスチック製円錐型を用いて、図3に示すように、該円錐型に基材(1)〜(8−2)及び(10)を沿わせて、光選択透過フィルターに割れが生じる径(直径R)を求めた。光選択透過フィルターの幅は10mmとした。また、光選択透過フィルターと円錐型の接触部分は、半円領域のみとした。
R=30mmからスタートして、0.2mm/sで直径を縮めた。試験は25℃で行った。
光選択透過フィルターの厚み、及び、曲げ試験の結果を表2に示す。
上述した実施例及び比較例では、FPEKフィルム、PENフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素化ポリイミドフィルム、PFAフィルム、エポキシ樹脂及びガラスフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む基材を用いて光選択透過フィルターを調製しているが、厚みが200μm未満である限り、光の透過率を選択的に低減することができるようなものであれば、光路を短縮し、光学部材を小さくする機構は同様である。したがって、赤外線の透過率を選択的に低減し、厚みが200μm未満であれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。また、基材を耐リフロー性のフィルムとすることにより、フィルターの厚みが200μm未満であっても、耐熱性に優れるフィルターとなる。更に、例えば、(2−1)及び(2−2)の260℃耐熱評価による結果で示されるように、フィルターの厚みが30μm以上であることが、260℃耐熱性に優れる点で好ましい。そして、少なくとも、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、含フッ素高分子化合物、エポキシ樹脂及びガラスフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む基材を用いて光選択透過フィルターを調製する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。また、基材にガラスが含まれる場合であっても、フィルターの厚みを200μm以下とすることで、耐熱性は問題なく、耐曲げ強度が発現してくる。そして、ガラスフィルムに耐リフロー性樹脂を積層した基材とすることで、耐熱性に優れながら、フィルターの耐曲げ強度を向上させたものとすることができる。
図1は、カメラモジュールの構成を示す断面模式図である。 図2は、光選択透過フィルターの有無によるバックフォーカスの伸張を示す模式図である。 図3は、本発明の基材の曲げ試験を模式的に示した図である。 図4は、光選択透過フィルターの分光透過率曲線を示す図である。
符号の説明
1:レンズ
2:光選択透過フィルター
3:センサー

Claims (5)

  1. 光の透過率を選択的に低減する光選択透過フィルターであって、
    該フィルターは、厚みが30μm以上、75μm以下であり、基材及び光選択透過層からなり、該光選択透過層として誘電体多層膜からなる光選択透過層を有し、該光選択透過層が蒸着により基材上に形成されたものであり、かつ基材が耐リフロー性機能フィルムからなり、
    該フィルターは、波長が400〜600nmにおける光の透過率が85%以上であり、かつ波長が800〜1000nmにおける光の透過率が5%以下、波長が300〜380nmにおける光の透過率が5%以下の紫外線・赤外線カットフィルターであり、
    該耐リフロー性機能フィルムは、フッ素化芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも一種を含んでなる耐リフロー性樹脂フィルムであることを特徴とする光選択透過フィルター。
  2. 前記光選択透過フィルターは、厚みが1〜10μmである光選択透過層を有することを特徴とする請求項に記載の光選択透過フィルター。
  3. 前記光選択透過フィルターは、基材上の光選択透過層形成部の周囲に、光選択透過層が形成されていない縁を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光選択透過フィルター。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の光選択透過フィルターとレンズとを備えることを特徴とするレンズユニット。
  5. 前記レンズは、硬化された熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項に記載のレンズユニット。
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