JP5284636B2 - 積層フィルム、積層体、光選択透過フィルター及びその積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、赤外線を反射又は遮断する膜を蒸着形成する場合は、蒸着時には数百℃以上の温度がかかるため、基板材料の耐熱性が必要となる。そのために、基板材料の耐熱性を充分なものとし、種々の赤外線を遮断する材料を様々な方法により形成できるようにする工夫の余地があった。
以下に本発明を詳述する。
〔積層フィルムの構成〕
上記積層フィルムは、基材の少なくとも片面に機能膜を有する。これによれば、積層フィルムの少なくとも片面に機能性材料が積層された機能膜を有するため、より充実した機能が付与されたものとなり、種々の用途により好適な積層フィルムとすることができる。
上記基材は、複数の機能膜形成部を有し、かつ該複数の機能膜形成部の間に機能膜非形成部が存在することが好ましい。また、該機能膜は、複数の領域に分かれて、碁盤目状に配置されていることが好ましい。これによれば、機能膜が形成された複数の領域の間に機能膜の非形成部を有することとなるため、樹脂フィルムから構成される基材と機能膜とが剥離することをより抑制することができる。また、機能膜の形成時に所望の面積に分けて形成しているため、例えば、一つの積層フィルムを分割して使用するような場合、分割を行う領域ごとに機能膜を形成することによって、分割の際に生じるおそれのある剥離をより抑制することができる。また、この場合、上記機能膜形成部は、碁盤目状に配置されていることが好ましい。なお、機能膜が、碁盤目状に形成されているとは、機能膜が形成された複数の領域を、縦横に並べて配置している状態をいう。また、機能膜形成部の形状は、正方形に限られることはなく、例えば、円状、多角形状でもよく特に限定されるものではない。
なお、250℃・3minで形状を保持しているとは、実装時の耐リフロー性が充分であることを示し、200℃・5hrで形状を保持しているとは、積層フィルムを構成する基材に機能膜を積層させるときの耐リフロー性が充分であることを示す。
(1)フッ素化芳香族ポリマーとしては、下記式(1−1)、(1−2):
上記一般式(1−2)中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基又は炭素数6〜20のアリールチオ基を表す。R3は、炭素数1〜150の芳香族環を有する2価の有機鎖を表す。zは、芳香族環に結合しているフッ素原子の数であり、1又は2である。n1は、重合度を表し、2〜5000の範囲内が好ましく、5〜500の範囲内がさらに好ましい。)で表されるポリエーテルケトン、特にフッ素化ポリエーテルケトン(FPEK)、
(2)多環芳香族ポリマーとしては、下記式(2):
(3)ポリイミド樹脂としては、下記式(3):
(4)含フッ素高分子化合物としては、下記式(4):
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ダイキン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、50μm、ニチアス社製 ナフロンPFAシート,T/♯9000−PFA、(特に、ダイキン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、50μmが好ましい)等のPFAフィルム、
(5)エポキシ樹脂としては、熱硬化性エポキシ樹脂組成物、光硬化性エポキシ樹脂組成物が好ましい。具体的には、大阪ガスケミカル社製フルオレンエポキシ(オンコートEX−1)、ジャパンエポキシレジン社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828EL)、ジャパンエポキシレジン社製水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコートYX8000)、ダイセル工業社製脂環式液状エポキシ樹脂(セロキサイド2021)が好ましい。
エポキシ樹脂は、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。具体的には、ジャパンエポキシレジン社製YED−216D、ジャパンエポキシレジン社製YL−7217、ジャパンエポキシレジン社製YL−7170、ダイセル工業社製EHPE−3150、ダイセル工業社製セロキサイド2081が好ましい。
積層フィルムを構成する材料の(1)〜(5)の詳細については、後に説明する。
上記基材は、機能膜が形成される前に加熱処理された樹脂フィルムであることが好ましい。すなわち、基材は、加熱処理された樹脂フィルムであることが好ましく、上記積層フィルムは、加熱処理を行った樹脂フィルムを含むことが好ましい。加熱処理されて形成された基材は優れた耐熱性を有し、熱による変形がおこりにくいため、耐剥離性が向上した積層フィルムを得ることができる。加熱処理とは、熱プレス、熱ロール、延伸処理等を行うことである。積層フィルムは、種々の用途に用いる場合に、加熱されることがあり、例えば、レンズユニット等の光学用途においては、通常ハンダ付けにより装着(実装)される。加熱処理した樹脂フィルムを基材として用いると、装着される際の熱変形が充分に抑制され、カールすることがなく好ましい。言い換えると、このような積層フィルムは、加熱処理された樹脂フィルムに機能膜を形成した後の熱変形、並びに、変形に基づく剥離の問題を解消することができる。また、加熱処理により、基材の機械的強度向上、耐熱性向上、密着性向上等の効果がある。基材として用いる、加熱処理された樹脂フィルムは、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、含フッ素高分子化合物及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
加熱処理条件としては、処理温度が樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)付近以上の温度であることが好ましい。より好ましくは、Tg以上の温度である。すなわち、上記加熱処理は、樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度で加熱する処理であることが好ましい。また、処理温度の温度範囲としては、Tg付近以上でありTg付近+150℃以下である温度範囲が好ましい。より好ましくは、Tg以上でありTg付近+150℃以下である温度範囲である。なお、「Tg付近」とは、ガラス転移温度に対して15℃以内の範囲にある温度のことである。
上記機能膜が無機材料から構成される無機層である場合、無機層は気相成膜法により形成されることが好ましい。気相成膜法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等が挙げられる。上記気相成膜法として、好ましくは、真空蒸着法、スパッタリング法である。中でも、真空蒸着法がより好ましい。上記無機層が光選択透過層である場合、該無機層は、多層膜であることが好ましい。このように、上記光選択透過層が無機材料から構成される場合、多層蒸着膜であることが好ましい。また、結晶性膜が非晶性膜より好ましい。光選択透過層としてより好ましい形態としては、結晶性の無機層から構成される多層蒸着膜である。
上記機能膜が積層されていない縁(機能膜非形成部ともいう。)を設けるためには、スクリーン、蒸着用テープ等の機能膜の付着を防ぐものを用いることが好ましい。すなわち、機能膜積層部位の周囲をスクリーン及び/又は蒸着用テープでシールド(被覆)した後に機能性材料の積層を行うことが好ましい。このように、基材と機能膜(例えば、光選択透過層等)とを必須とする積層フィルムの製造方法であって、該製造方法は、スクリーン又は蒸着用テープを用いて機能膜非形成部を形成する積層フィルムの製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。機能膜の材料や形成方法等は上述したものを好適に用いることができる。形成方法としては、中でも、真空蒸着法、スパッタリング法が好ましい。すなわち、基材の少なくとも片面に機能膜を有する積層フィルムであって、上記製造方法は、基材上にスクリーン又は蒸着用テープを配置し、真空蒸着法又はスパッタリング法により機能膜を形成する工程を含む積層フィルムの製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。また、上記機能膜は、気相成膜法により形成されたものであることが好ましい。例えば、一辺が1〜200mmの正方形の基材を並べて配置することが好ましく、より好ましくは1〜50mmである。
上記樹脂フィルムからなる基材の少なくとも片面に機能膜を形成してなる積層フィルムの製造方法は、樹脂フィルムからなる基材に機能膜を形成する工程の前に、該樹脂フィルムを加熱処理する工程を含むことが好ましい。更に、上記積層フィルムの製造方法は、樹脂フィルムをTg付近以上で加熱処理した後、機能膜を気相成膜法により形成する工程を含むことが好ましい。加熱処理の温度、気相成膜法としては、上述のとおりである。また、積層フィルムを光選択透過フィルターとする場合には、上記機能膜が光を選択的に低減する光選択透過層であることが好ましい。
上記積層体の形成方法としては、基材を蒸着装置等の中に設置し、その基材の上(片面又は両面)に機能膜を蒸着により形成して密着させる。これにより、機能膜非形成部を有する積層フィルムを得る。その後、基材及び機能膜からなる部分(基材上に光選択透過層が形成された部分)を含んだ適宜必要なサイズに切り出し、積層体とする。経済性の観点からは、基材上の積層体の面積が大きい(基材と機能膜との面積が近い)ほど、多数個の積層体を切り出せるため好ましい。積層体の面内における特性を均一化する観点からは、基材上の機能膜の面積が小さいほど、機能膜の膜厚や平滑性にむらが生じないため好ましい。基材のサイズと、その上に形成する機能膜の面積や形状は、上記の観点から適宜設定することが好ましい。積層体の切り出し方法は、レーザーカット、打ち抜き法、ダイシングカットなどを用いることができる。量産の観点からは、打ち抜き法がより好ましい。また、基材が有機材料からなる樹脂フィルムである場合、どのような切り出し方法を用いても、基材の欠け、われ等が生じないため好ましい。更に、基材が無機材料からなる場合では切り出しが困難な、円形、多角形等の形状にも対応できる。上述したことから、有機材料からなる基材に光選択透過層を蒸着し、打ち抜き法により、積層体を得ることが最も好ましい。すなわち、積層体を製造する方法であって、該製造方法は、有機材料からなる基材に機能膜を蒸着により形成する工程と、蒸着を行った基材を打ち抜き法により切り出す工程とを含む積層体の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記では、機能膜の形成方法を蒸着法による場合について説明したが、他の成膜法の場合についても同様に適用できる。また、上記では機能膜が形成された部分から、機能膜形成部を切り出して積層体を作製する方法を示したが、基材表面上に機能膜非形成物を介して機能膜が複数個形成されてなる場合に機能膜非形成部を切り出す場合についても同様に適用し得る。
以下、本発明の積層フィルムの基材として好適に用いることができる、(1)フッ素化芳香族ポリマー、(2)多環芳香族ポリマー、(3)ポリイミド樹脂、(4)含フッ素高分子化合物及び(5)エポキシ樹脂について説明する。これらは、単独で用いてもよいし、積層させてもよい。また、透明性を維持するように混合体として用いてもよい。この場合、液状にして混合してもよい。
(1)フッ素化芳香族ポリマー
上記フッ素化芳香族ポリマーとしては、少なくとも1つ以上のフッ素基を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合の群より選ばれた少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位により構成された重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、フッ素原子を有するポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドエーテル、ポリアミド、ポリエーテルニトリル、ポリエステル等が挙げられる。
本発明の組成物は、これらのフッ素化芳香族ポリマーの1種を含有するものであってもよく、2種以上を含有するものであってもよい。
上記一般式(1−2)中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基又は炭素数6〜20のアリールチオ基を表す。R3は、炭素数1〜150の芳香族環を有する2価の有機鎖を表す。zは、芳香族環に結合しているフッ素原子の数であり、1又は2である。n1は、重合度を表わし、2〜5000の範囲内が好ましく、5〜500の範囲内がさらに好ましい。
上記R1及びR3のより好ましい、具体例としては、下記の構造式群(6)で表される有機鎖が挙げられる。
上記Xは、例えば、構造式群(6)で表される有機鎖が挙げられ、その中でもジフェニルエーテル鎖、ビスフェノールA鎖、ビスフェノールF鎖、フルオレン鎖が好ましい。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、フルフリルオキシ基、アリルオキシ基等が好適である。
上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基等が好適である。
上記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、iso−プロピルチオ基等が好適である。
上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル類(例えば、メチルエステル、エチルエステル、メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、フルフリルエステル及びフェニルエステル等)由来の基、ナフトキシ基、o−、m−又はp−メチルフェノキシ基、o−、m−又はp−フェニルフェノキシ基、フェニルエチニルフェノキシ基、クレソチン酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールアミノ基としては、アニリノ基、o−、m−又はp−トルイジノ基、1,2−又は1,3−キシリジノ基、o−、m−又はp−メトキシアニリノ基、アントラニル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールチオ基としては、フェニルチオ基、フェニルメタンチオ基、o−、m−又はp−トリルチオ基、チオサリチル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記R2としては、これらのうち、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基が好ましい。ただし、R2には、2重結合若しくは3重結合が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
主骨格として、ナフタレン環、フルオレン環等の2つ以上の連結した芳香環をモノマーユニットに有する化合物であることが好ましい。
上記多環芳香族ポリマーとしては、2つ以上の芳香環が、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合の群より選ばれた少なくとも1つの結合により連結されているものである。具体的には、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリエチレンナフタレート)であることが好適である。このようなポリエチレンナフタレートとしては、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーが好適であるが、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の一部(30モル%未満)を2,7−、1,5−、1,7−その他のナフタレンジカルボン酸の異性体或はテレフタル酸或はイソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の他の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環属族ジカルボン酸;アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等のオキシ酸等の他の二官能性カルボン酸で置き換えてもよい。
上記ポリイミド樹脂としては、透明性を有し、イミド結合を有する化合物であれば限定されないが、下記式(3):
上記含フッ素高分子化合物としては、分子中に少なくとも2つのシクロヘキシル環と2つのフルオロアルキル基を含有する含フッ素脂環式ジアミン又は含フッ素芳香族ジアミンを少なくとも単量体の一部に使用した含フッ素高分子化合物であることが好ましい。
具体的には、下記式(8−1)〜(8−4):
上記式(10−3)において更に好ましくは、Rが、下記式(11):
上記エポキシ樹脂としては、熱硬化性エポキシ樹脂組成物、光硬化性エポキシ樹脂組成物が好ましい。エポキシ樹脂は、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。可とう性成分を含むことにより、成形時や基板、型等からはずすときに割れない、形が崩れない、剥がれやすい、柔軟性がある等の一体感のある樹脂組成物とすることができる。上記可とう性成分としては、(1)有機樹脂成分とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)有機樹脂成分の1種が可とう性成分である形態のいずれも好適に適用することができる。
具体的には、−〔−(CH2)n−O−〕m−で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。)が好ましい。例えば、ジャパンエポキシレジン社製のYED−216D、ジャパンエポキシレジン社製YL−7217(オキシアルキレン鎖がオキシブチレンである、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上);高分子量エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、EHPE−3150);脂環式液状エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、セロキサイド2081);液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端の側鎖や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分は、硬化性の官能基を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは「エポキシ基(グリシジル基)等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応させる基)」をいう。
〔機能膜〕
本発明に係る積層フィルムには、光選択透過層、等価屈折率膜、反射防止膜、ハードコート膜から選ばれる少なくとも一種の機能膜が基材の少なくとも片面に配置される場合もある。なお、光選択透過層については、後に詳述する。
本発明に用いられる等価屈折率膜とは、上記透明基板(基材)とほぼ同一の等価屈折率を有する膜である。これら等価屈折率膜としては、例えば、シリカ層/アルミナ層/シリカ層の三層からなるアルミナ層を中心とした対称三層膜を挙げることができる。なお、上記対称三層膜を等価屈折率膜として用いる場合には、各層の膜厚を調整することで屈折率を透明基板とほぼ同一とすることができる。
本発明に用いられる反射防止膜とは、本発明に係る光選択透過フィルターに入射した光の反射を防止することにより透過率を向上させ、効率よく入射光を利用する機能を有する膜をいう。反射防止膜として用いることができる材料としては、例えば酸化ジルコニウム、アルミナ、フッ化マグネシウムなどが挙げられる。反射防止膜は、例えば、これら材料のいずれか一つの材料からなる一層、又は、これら材料からなる複数の層を組合わせた多層膜などが挙げられる。
本発明に用いられるハードコート膜とは、高硬度の膜であって、本発明に係る光選択透過フィルターの耐傷付き性を向上させる機能を有する膜をいう。
上記ハードコート膜に用いることができる材料としては、例えば、有機系材料としてシリコーン系ハードコート材、アクリレート系ハードコート材、オキセタン系ハードコート材などを挙げることができる。また、無機系材料として水系シリケートハードコート材、水系アルミナハードコート材などを挙げることができる。また、上記材料などを組み合わせた等、有機無機ハイブリッド系ハードコート材なども挙げることができる。
上述した機能膜を上記基材に有するようにするためには、例えば、上述のCVD法、スパッタリング法、真空蒸着法により、直接上記基材上に機能膜を形成したり、上述の方法により得られた機能膜を基材上に接着剤で張り合わせることにより得ることができる。また、原料物質を含有する液状組成物を基材に塗布、乾燥して製膜することによっても得ることができる。
上記積層体は、光選択透過フィルターとして好適に用いることができる。以下、積層体が光選択透過フィルターである場合について説明する。
上記選択的に低減させる波長の透過率としては、10%以下が好ましい。より好ましくは、5% 以下であり、更に好ましくは、3%以下であり、最も好ましくは、実質的に0%である。積層フィルムを透過させる波長の透過率としては、70%以上が好ましい。より好ましくは、75%以上であり、更に好ましくは、80%以上であり、特に好ましくは、85%以上であり、最も好ましくは、90%以上である。
上記透過率としては高い方が好ましい。具体的には、85%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上である。透過率が低いと、光選択透過フィルターを通過する光の強度が充分確保されず、上記用途に好適に用いることができないおそれがある。
上記光選択透過フィルターとして、より好ましくは、可視光のうち、波長400〜600nmで、全波長の透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上である。なお、反射又は吸収により所望の波長を遮断することが好ましい。
上記光選択透過フィルターは、上述の構成であることが好ましく、選択的に透過率を低減させる波長としては、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、赤外線の透過率を選択的に低減する形態、紫外線の透過率を選択的に低減する形態、赤外線及び紫外線の両方の透過率を選択的に低減する形態が好ましい。具体的には、赤外カットフィルター、紫外カットフィルター、紫外線・赤外線カットフィルターである。
上記選択的に低減する波長の透過率、それ以外の波長の透過率としては、350nm以下である紫外線の透過率が5%以下であることが好ましい。より好ましくは、波長が380nm以下の紫外線透過率が5%以下である。
上記紫外線・赤外線カットフィルターは、赤外線、紫外線以外の光の透過率は、高いほど好ましい。具体的には、可視光(380nm〜780nm)透過率が70%以上であることが好ましい。更に、紫外線・赤外線カットフィルターを透過した光に着色させない(特定の可視光を選択的に吸収しない)観点から、可視光の各波長域における透過率がほぼ一定であることが好ましい。特に、波長400〜600nmにおける各波長での光透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは、90%以上である。紫外線・赤外線カットフィルターの赤外線を遮断する機能としては、反射又は吸収により赤外線を遮断することが好ましく、より好ましくは赤外線を主に反射することである。また、赤外線のうち、少なくとも800〜1000nmの波長の光を遮断することが更に好ましい。
まず、積層フィルムを光選択透過フィルターとして用いる場合に、機能膜として用いることが好ましい光選択透過層について説明する。
上記光選択透過層としては、各波長の屈折率を制御できる無機多層膜、所望の波長の光を反射する機能を有する透明導電膜、所望の波長の光を吸収する機能を有する分散膜等を好適に用いることができる。無機多層膜としては、基材やその他の機能膜の上に、真空蒸着法、スパッタリング法等により形成してなる誘電体多層膜が好ましい。透明導電膜としては、インジウム−スズ系酸化物(ITO)等の赤外線を反射する膜としての透明導電膜が好ましい。赤外線吸収性の分散膜としては、ITO等のナノ粒子や、有機色素を無機、有機バインダー(基材)に分散させた膜等が好ましい。
〈誘電体層A〉
上記誘電体層Aを構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を通常用いることができ、好ましくは、屈折率の範囲が1.2〜1.6の材料が選択される。
上記材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウムなどが好適である。
誘電体層Bを構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、好ましくは、屈折率の範囲が1.7〜2.5の材料が選択される。
上記材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウムを主成分とし酸化チタン、酸化錫、酸化セリウムなどを少量含有させたものなどが好適である。
上記誘電体層Aと誘電体層Bとを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はないが、例えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法などにより、誘電体層Aと誘電体層Bとを交互に積層することにより誘電体多層膜を形成することができる。
上記(2)赤外吸収材料を含有する塗布膜を形成する形態としては、上記酸化物からなる超微粒子を含む塗布膜、金属フタロシアニン等の赤外吸収色素を含有する塗布膜を形成する方法が好ましい。このような塗布膜は、超微粒子や赤外吸収色素を有し、有機バインダーや無機バインダーをバインダーとして用いた塗料を成膜する方法が好適である。
上記(3)基材に赤外線をカットする機能を持つ材料(原料)を用いる形態としては、基材を構成する有機材料(例えば、樹脂組成物)に上記酸化物や色素を練り込んでフィルム状に成型する方法が好適である。
上記赤外カットフィルターが紫外線を遮蔽する機能を有する形態としては、(a)酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の可視光を透過し、紫外線を遮蔽する金属酸化物からなる薄膜を基材表面に形成する方法、(b)上記酸化物からなる超微粒子を含む塗布膜、有機系紫外線吸収剤を含有する塗布膜を形成する方法、(c)紫外線を遮蔽する機能を持つ材料(原料)を用いる方法により紫外線を遮蔽する機能を付与することが好適である。
上記(a)における薄膜形成方法、(b)における成膜方法としては、それぞれ、上記(1)における薄膜形成方法、(2)における薄膜形成方法と同様であることが好ましい。(c)としては、基材を構成する有機材料に上記酸化物や色素を練り込んだ樹脂組成物をフィルム状に成型する方法が好適である。
上記光選択透過フィルターの物性を向上させる機能を有するものとしては、(I)強靱性を有する形態、(II)高い形状保持機能を有する形態、(III)高い応力緩和能力を有する形態、(IV)高い強度を有する形態、(V)低い表面抵抗を有する形態、(VI)易洗浄性を有する形態、(VII)結露防止能力を有する形態等が好適である。
上記繊維状物質は基材の面内方向に配向していることが好ましい。繊維状物質は、樹脂質、無機質、有機無機複合いずれでもよい。
上記架橋度の低い無機層としては、テトラアルコキシシラン等の金属アルコキシドの加水分解縮合物が好適である。これらは、ガラス等の無機材料からなるものに比べて、縮合していない金属水酸基や金属アルコキシル基が多く、また、微粒子状の1次粒子からなる3次元ネットワーク構造からなる多孔膜であるため、種々の応力を緩和する能力が高く、応力緩和層として好適に用いることができる。
上記有機無機複合膜としては、アルキルトリメトキシシラン等の有機ケイ素化合物の加水分解縮合物や該縮合物と有機ポリマー骨格を有する材料が好適である。このような材料からなる膜は、圧縮強度が高くかつゴム状弾性に優れるため、種々の応力を緩和する能力が高く好ましい。また、金属酸化物等の無機物のナノ粒子が有機ポリマー中に分散含有されてなる複合体膜も同様の理由で好ましい。
具体的には、銀等の金属を蒸着等により形成することができる。このような金属薄膜は、多層蒸着層形成面、多層蒸着層形成面とは反対の面に形成することが好ましい。多層蒸着層形成工程における応力緩和層としては、前者がより好ましい。
上記(A)の方法としては、有機バインダー、無機バインダーをバインダーとした塗装を成膜する形態が好適であり、SnやTi等の4価の金属元素又はフッ素を固溶してなるIn2O3系酸化物;Sb、P等の5価の金属元素又はフッ素を固溶してなるSnO2系酸化物;B、Al、In等の3価金属元素又は4価金属元素又はフッ素を固溶してなるZnO系酸化物;In、Znを金属成分とする複合酸化物等の透明導電性材料からなる超微粒子、有機系帯電防止剤を形成することが好ましい。
上記(C)の薄膜を基材表面に形成する方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法が好適である。
上記熱伝導性の低い材料により層(機能膜)を形成する方法としては、基材より熱伝導性が低い材料を用いて該機能膜を形成すればよく、例えば、樹脂膜を形成する方法が好適である。このような薄膜としては、無機薄膜露出面へ成膜することが好ましい。上記撥水処理する方法としては、基材上にフッ素系樹脂等の樹脂膜を形成する方法等が好適である。
上記(V)〜(VII)の機能を有する光選択透過フィルターは、特にレンズ用途をはじめ光学材料として用いる場合に効果がある。
上記(I)〜(VII)の機能を有する光選択透過フィルターは、基材として上述した種々の材料を好適に用いることができるが、上記(I)、(II)、(V)及び(VI)の形態は、基材が有機材料の場合に好適である。
本発明に係る光選択透過フィルターは、上記基材の少なくとも一方の面に、上記誘電体多層膜からなる光選択透過層を有し、上記基材の他方の面には他の機能膜を有することが好ましい。また、本発明に係る光選択透過フィルターは、上記基材の両面に上記誘電体多層膜からなる光選択透過層を有するものであってもよい。このような特徴を有することにより、本発明に係る光選択透過フィルターは、反りや誘電体多層膜の割れが少なくなる。
上記光選択透過フィルターとしては、赤外カットフィルター、紫外カットフィルター、紫外線・赤外線カットフィルター等が挙げられる。本発明に係る赤外カットフィルターは、優れた赤外線カット能を有し、割れにくい。したがって自動車や建物などのガラスなどに装着される熱線カットフィルターなどとして有用であるのみならず、特に、デジタルスチルカメラや携帯電話用カメラなどのCCDやCMOSなどの固体撮像素子の視感度補正に有用である。本発明に係る紫外カットフィルターは、優れた紫外線カット能を有し、割れにくい。したがって、紫外線保護フィルター、視感度補正用等として有用である。本発明に係る紫外線・赤外線カットフィルターは、優れた赤外線及び紫外線カット能を有し、割れにくく、撮像レンズ用における光ノイズを遮断するためのフィルターとして有用である。
上記光選択透過フィルターは、レンズユニットに備えられることが好ましい。すなわち、上記積層フィルムは、光を選択的に適言する光選択透過フィルターであり、該光選択透過フィルターとレンズとを備えるレンズユニットである形態も本発明の好ましい形態の一つである。レンズユニットは、上述した光選択透過フィルターを用いることにより、耐熱性を向上させることができる。また、光選択透過フィルターの厚みが200μm未満と薄い場合には、光路長が短くなり、レンズユニットを小さく、ユニットの厚みを薄くすることができ、カメラモジュール等の種々の用途において好適に用いることができる。レンズユニットの長さとしては、光選択透過フィルターがない場合を100とすると、120以下であることが好ましい。より好ましくは、110以下であり、更に好ましくは、105以下である。
上記レンズユニットにおいて、レンズは、耐リフロー性を有するもの(リフローレンズ)であることが好ましい。また、光選択透過フィルターは上述したいずれであってもよいが、耐リフロー性を有するものであることが好ましい。このように、レンズユニットを構成する光選択透過フィルター及びレンズが、耐リフロー性を有するものである形態は、本発明の好ましい形態の一つである。光選択透過フィルター及びレンズの両方が、充分な耐熱性を有することにより、自動実装化が可能となり、実装コストが充分に低減され、カメラモジュール等の光学用途に好適に用いることができる。
上記レンズユニットにおいて、レンズは1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。1枚である場合、レンズのアッベ数としては、45以上であることが好ましい。2枚以上である場合、少なくとも1枚のレンズのアッベ数が45以上であればよく、その他のレンズはアッベ数45未満であってもよい。アッベ数が45以上のレンズとアッベ数が45未満のレンズとを組み合わせる場合において、アッベ数が50以上のレンズとアッベ数が40以下のレンズとを組み合わせる形態がより好ましい。アッベ数が50以上のレンズとアッベ数が40以下のレンズとを組み合わせることにより、解像度が向上し、レンズユニットに求められる特性を満足するという利点がある。
上記レンズを構成する材料としては、耐熱材質であり、耐リフロー性を有するものであることが好ましい。具体的には、有機材料、無機材料、有機・無機複合材料のいずれであってもよく、これらは1種又は2種以上を用いてもよい。有機材料としては、有機樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。無機材料としては、ガラス等が好ましい。有機・無機複合材料としては、有機無機複合樹脂組成物が好ましい。これらの中でもより好ましくは、有機無機複合樹脂組成物である。
上記レンズユニットの小型化の観点からは、シーモスセンサーとレンズとの距離も重要である。シーモスセンサーとレンズとの距離とは、レンズの最も外側の表面とシーモスセンサーとの距離であり、光選択透過フィルターがシーモスセンサー側に装着されている場合は、該光選択透過フィルターとシーモスセンサーとの距離となる。
上記レンズユニットにおいては、例えば、図1のように光選択透過フィルターがシーモスセンサー側に配置される形態であることが好適であるが、光選択透過フィルターはレンズの間に配置されていてもよい。また、所望の波長の光を充分に遮断する点からは、レンズの上部と下部との両方に配置される形態、すなわち、光の進行方向に沿って、光選択透過フィルター、1枚又は2枚以上のレンズ、光選択透過フィルター、シーモスセンサーの順に配置される形態も好適である。
上記レンズユニットにおいては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、上記以外の構成を備えていてもよい。
(1)FPEKフィルムの作成
<FPEKの合成>
温度計、冷却管、ガス導入管、及び、攪拌機を備えた反応器に、BPDE(4,4′−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル) 16.74部、HF(9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン) 10.5部、炭酸カリウム 4.34部、DMAc(ジメチルアセトアミド) 90部を仕込んだ。この混合物を80℃に加温し、8時間反応した。反応終了後、反応溶液をブレンダーで激しく攪拌しながら、1%酢酸水溶液中に注加した。析出した反応物を濾別し、蒸留水及びメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、フッ素化芳香族ポリマーを得た。反応式を下記に示す。フッ素化芳香族ポリマーは、下記反応式で得られた繰り返し単位を含むフッ素化芳香族ポリマーである。
<基材の形成>
溶剤キャスト法により50μmのフィルム(以下、FPEKフィルムと言う。)を得た。なお、製膜について、溶剤キャスト法を用いた際の溶媒は、酢酸エチルとトルエンの混合溶媒を用いた。
(2−1)帝人デュポンフィルム社(テオネックスQ83)、厚さ25μm、融点269℃ (PENフィルム)を用いた。
(2−2)帝人デュポンフィルム社(テオネックスQ83)、厚さ75μm、融点269℃ (PENフィルム)を用いた。
(3)ポリイミドフィルム
(3−1)三菱ガス化学社製、ネオプリムL−3430 厚さ50μmを用いた。
(3−2)三菱ガス化学社製、ネオプリムL−3430 厚さ100μmを用いた。
(4−1)フッ素化ポリイミドフィルムの作成
<ポリアミド酸溶液の合成>
50ml容器の三ツ口フラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル4.18g(13.1ミリモル)(略称:TFBD)、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物5.81g(13.1ミリモル)(略称:6FPA)、及び、N,N−ジメチルアセトアミド40gを仕込んだ。この混合液を、窒素雰囲気中で、室温で2日間、撹拌することによって、ポリアミド酸溶液を得た。
<基材の形成>
上記ポリアミド酸溶液を、シリコン基板(直径4ich、厚さ525μm)上にスピンコート法で塗布した(300rpmで60sec)。その後、窒素雰囲気中で、70℃で2時間、300℃で1時間加熱した。冷却後、基板から剥離し、約50μm厚のフッ素化ポリイミドフィルム(F−PIフィルムという。)を得た。
(4−2)PFAフィルム
ダイキン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、厚み50μmを用いた。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテル(商品名:エピコートYL7217、ジャパンエポキシレジン社製)19部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828EL、ジャパンエポキシレジン社製)55部、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコートYX8000、ジャパンエポキシレジン社製)22部、六フッ化リン系アリールスルホニウム塩(商品名:UVI−6992、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製)4部を自公転式遠心混合装置(製品名:あわとり練太郎(登録商標)、シンキー社製)を用いて混合した。
〈基材の形成〉
上記エポキシ樹脂組成物を、キャスト法により50μm厚で成膜した後、高圧水銀ランプを光源とする露光機(製品名:MA−60F、ミカサ社製)を用いて、照度10mW/cm2で15分間、すなわち露光エネルギー9J/cm2の紫外線照射を行って、光硬化することでエポキシ樹脂フィルムを得た。
SCHOTT社製ガラスコード:D263、厚み30μmを用いた。
東レ社製 ルミラー、タイプ:T60(PET T60フィルムと言う。)を用いた。
JSR社製 アートンF 厚み190μmを用いた。
上記基材(1)〜(8)について、屈折率測定、アッベ数測定、照射光波長500nmの透過率(%)測定、260℃耐熱評価及び曲げ試験を行った結果を表1に示す。各測定は、下記の方法により行った。
(屈折率測定、アッベ数測定)
DR−M2(アタゴ社製)を用いて20℃で測定を行った。
(透過率測定)
Shimadzu UV−3100(島津製作所製)を用いて500nmにおける透過率を測定した。厚みは上述のとおりである。
(260℃耐熱評価)
基材を2cm×1cmの形状とし、フィルムの上端(1cmの辺を上端とする。)を固定し、260℃、3minオーブンにて加熱を行った。基材の状態は、260℃耐熱性評価試験の前、後の基材の状態変化を目視観察することにより観察した。
加熱後の基材の状態を下記表1に示す。
(曲げ試験)
プラスチック製円錐型を用いて、図3に示すように、該円錐型に基材フィルムを沿わせて、基材に割れが生じる径(直径R)を求めた。基材フィルムの幅は10mmとした。厚みは上述のとおりである。また、基材と円錐型の接触部は、半円領域のみとした。R=30mmからスタートして、0.2mm/sで直径を縮めた。試験は25℃で行った。
表1に示す結果から、260℃耐熱評価において、(7)のPET及び(8)のアートンフィルムがとけ落ちたのに対し、(1)〜(6)の基材では殆ど変化なく、耐リフロー製を有し、リフロー工程に耐えることが明らかとなった。曲げ試験では、(6)のガラスフィルムは、R=10mmであり、非常に脆く割れやすいため、測定、搬送、線状、加工工程での取り扱い性が悪いといえる。(1)〜(5)、(7)及び(8)のフィルムはR<1mmであり、柔軟性に優れ、取り扱い性の面で有利である。
基材フィルム上に光選択透過層を形成した。基材フィルムとしては上述した(1)〜(5)を用いた。図4は、光選択透過層の蒸着部分(形成部)と非蒸着部分(非形成部)を示す平面模式図である。図4に示すように、基材フィルムの周囲(縁)に蒸着用テープを貼り付けることによって、基材フィルムの中央部にのみ光選択透過層の蒸着を行った。基材フィルムは、一辺が60mmの正方形状である。このとき、シールを行った縁の幅は5mmである。光選択透過層の蒸着条件と得られた光選択透過フィルターについて表2及び表3に示す。
基材(1)〜(5)を含んで構成される光選択透過フィルターの透過率、密着性、260℃耐熱性の評価結果について表4に示す。蒸着は、基材(1)〜(5)の両面に行い、蒸着用テープの形状は第一配置形態、蒸着温度は90℃で実施した。以下に、透過率、密着性及び260℃耐熱性の評価方法について示す。
(透過率測定)
Shimadzu UV−3100(島津製作所製)を用いて400〜600nm、及び、750〜1000nmにおける透過率を測定した。厚みは表4記載のとおりである。
(密着性評価)
カッターを用い、光選択透過フィルターの蒸着部位1cm角の中に1mm間隔で切り込みをいれ、それと垂直方向にも1mm間隔で切り込みをいれ、100個のクロスカットマスを形成する。その後、セロハンテープを光選択透過フィルターのクロスカットマスを形成した面にゴムヘラを用い、空気が入らないように充分に貼り付け、はがすことで、100個のクロスカットマスの中でセロハンテープにつかずに残った個数を数える。セロハンテープには、セロテープ(登録商標)(商品名:CT405AP−24、ニチバン社製)を用いた。
(260℃耐熱評価)
基材を2cm×1cmの形状とし、フィルムの上端(1cmの辺を上端とする。)を固定し、260℃、3分間オーブンにて加熱を行った。260℃耐熱性評価試験の前、後の基材の状態変化を目視により観察した。
密着性の評価を行った結果、いずれの光選択透過フィルターにおいても100マス中100マスがフィルム状に残り、光選択透過フィルターの密着性として、問題のないことが明らかとなった。
260℃耐熱評価において、(1)、(2−2)、(3−1)、(3−2)、(4−1)及び(5)の基材では変化なく、また、(4−2)ではしわが入ったものの溶け落ちることはなく、耐リフロー性を有し、リフロー工程に耐えることが明らかとなった。
2:光選択透過フィルター
3:センサー
4a、4b、4c:機能膜形成部
5a、5b、5c:機能膜非形成部
6c:穴
Claims (10)
- 基材の両面に機能膜を有する積層フィルムを細断して得られる光選択透過フィルターであって、
該光選択透過フィルターは、赤外線カットフィルターであり、
該基材は、機能膜形成部の周囲に機能膜非形成部を有する耐リフロー性樹脂フィルムであって、
該耐リフロー性樹脂フィルムは、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、含フッ素高分子化合物及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含み、
該機能膜は、光選択透過層であり、無機材料からなる無機膜であることを特徴とする光選択透過フィルター。 - 前記耐リフロー性樹脂フィルムは、250℃・3min、又は、200℃・5hrの熱を加えた場合の形状・寸法変化が、元の形状・寸法の20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光選択透過フィルター。
- 前記基材は、複数の機能膜形成部を有し、かつ該複数の機能膜形成部の間に機能膜非形成部が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の光選択透過フィルター。
- 前記機能膜形成部は、碁盤目状に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の光選択透過フィルター。
- 前記機能膜形成部は、基材の片面における配置が、他方の面における配置と実質的に同じであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
- 前記機能膜は、膜厚が1μm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
- 前記機能膜は、気相成膜法により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光選択透過フィルターが有する積層フィルムを製造する方法であって、
該製造方法は、基材上にスクリーン又は蒸着用テープを配置し、真空蒸着法又はスパッタリング法により機能膜を形成する工程を含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。 - 前記光選択透過フィルターは、機能膜非形成部を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
- 前記光選択透過フィルターは、機能膜非形成部を有しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
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