JP2003002985A - 近赤外線遮蔽フィルム及びそれを用いた積層体 - Google Patents

近赤外線遮蔽フィルム及びそれを用いた積層体

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JP2003002985A
JP2003002985A JP2001187872A JP2001187872A JP2003002985A JP 2003002985 A JP2003002985 A JP 2003002985A JP 2001187872 A JP2001187872 A JP 2001187872A JP 2001187872 A JP2001187872 A JP 2001187872A JP 2003002985 A JP2003002985 A JP 2003002985A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】電磁波シールド薄膜積層フィルムと貼合わせて
発光型パネル方式ディスプレイ、特にプラズマディスプ
レイのパネル前面に好適に使用することのできる近赤外
線遮蔽フィルムおよびそれを用いた積層体を提供する。 【解決手段】 近赤外線吸収剤を含有する二軸配向ポリ
エステルフィルムであって、該近赤外線吸収剤の重量減
少開始温度が少なくとも280℃であり、該フィルムの
ヘーズ値が5%以下で、かつ可視光領域及び近赤外領域
における光学特性が特定の条件を満たす近赤外線遮蔽フ
ィルム、並びに前記フィルムとその少なくとも片面に張
り合せた電磁波シールド性薄膜積層フィルムからなる積
層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は近赤外線遮蔽フィル
ム及びそれを用いた積層体に関する。更に詳しくは、波
長850nm付近以上の波長の近赤外線を遮蔽する特性
に優れた近赤外線遮蔽フィルム、及び該近赤外線遮蔽フ
ィルムに波長950nm付近以下の波長の近赤外線を遮
蔽する特性に優れた電磁波シールド性薄膜積層フィルム
を貼合せた、発光型パネル方式ディスプレイ、特にプラ
ズマディスプレイパネルの前面に使用するのに好適な近
赤外線遮蔽フィルム積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カラーテレビジョンに代表される
映像機器においては、大画面化と映像の高精細化という
市場要求により、従来のCRTを用いた直視型テレビジ
ョンに加えて、プラズマディスプレイパネル等を用いた
発光型パネル方式、液晶ディスプレイパネル等を用いた
非発光型パネル方式、映像プロジェクターが内蔵された
リアプロジェクション方式等のテレビジョンの実用化が
進みつつある。
【0003】ところが、発光型パネル方式ディスプレ
イ、例えばプラズマディスプレイのパネルにおいては、
光源あるいは放電部を構成する各々の画素部分の構造的
要因により、カラー映像の3原色(赤、緑、青色)の波
長帯以外の光線をも放射し、例えば波長が820nm、
880nm、980nm近辺等の近赤外領域に強い放射
が測定される。しかし、この近赤外線の放射は、周辺機
器に誤作動等の問題を生じさせることが危惧される。こ
れは、放射される近赤外線の波長が、例えば、テレビ、
ビデオやクーラーのリモートコントローラー、携帯通
信、パソコン等の近赤外線通信機器等に使用されている
近赤外線の作動波長と重複または合致しているためであ
る。
【0004】そこで、特開平10−156991号公報
には、上述のような近赤外線による周辺機器への誤作動
の防止機能と同時に外光反射防止機能を併せ持ち、映像
機器表示装置の前面パネル用に好適に使用することので
きる外光反射防止性フィルムが提案されている。
【0005】この外光反射防止性フィルムは、近赤外線
による周辺機器への誤作動の防止機能を高価な近赤外線
吸収剤を粘着剤層に含有させることで付与している。し
かし、高価な近赤外吸収剤を粘着剤層に含有させる場
合、該層は溶剤に溶かした状態でロールコータやグラビ
アコータなどで塗設するため、膜厚管理および生産性な
どからロスが多く生じ、コストが非常に高くなるといっ
た難点がある。また、十分な近赤外線吸収性能を達成す
るためには、粘着剤層の厚みを厚くするか、剤の濃度を
高くする必要があろうが、具体例では、粘着剤層の厚み
を40μmと厚くしている。ディスプレイパネルなどの
表面に用いる又は貼合せるフィルム積層体の粘着剤層の
厚みは、例えば厚み斑による色斑の発生を防止する点か
ら、5〜40μmの範囲内とするのが好ましく、これ以
上の厚みにしても粘着剤層としての機能は向上せず、む
しろ、加工や貼合せの工程における取り扱い性を低下さ
せる。前記公報の具体例では、上述したように、粘着剤
層は40μmの厚みでコーティングされているが、この
厚みでは加工工程の取り扱い性が非常に低いと懸念され
る。また、近赤外線吸収剤の濃度をアップする方法は、
粘着剤層の接合力の低下や取扱い性の低下を引起こすこ
とが懸念される。更に、近赤外線吸収剤は無機顔料に比
して耐候性に乏しく、その対策も必要になろう。
【0006】また、特開平10−188822号公報に
は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面から
放射される熱線及び近赤外線をカットする機能を有する
PDP用フイルタが提案されている。
【0007】このPDP用フイルタは、透明フイルム基
材上に、波長25μm以下の熱線をカットする金属反射
層と、該層を保護する透明コート層を設けてフイルタ本
体を構成し、この本体の少なくとも片面に透明粘着剤層
を設け、かつフイルタ構成部材の少なくともひとつが近
赤外線吸収剤を含むものであり、具体例として近赤外線
吸収剤を厚み25μmの粘着剤層に含ませた実施例が示
されている。
【0008】しかし、このフイルタは近赤外線吸収剤を
粘着剤層に含有させる点で、特開平10−156991
号公報に記載のフイルムと同じ問題を孕んでいる。
【0009】そこで、上記のような粘着加工に頼らずと
も近赤吸収機能を付与でき、かつ使用する近赤線吸収剤
をできるだけ少量にした近赤外線遮蔽フィルムが望まれ
る。
【0010】また、特開2000−208983号公報
には、透明フィルムの表面に透明金属薄膜層を設けた透
明導電性フィルムが、近赤外線吸収剤を用いずとも、近
赤外線領域の遮蔽性を有することが示されている。しか
しながら、本発明者の検討によれば、該公報に記載の透
明導電性フィルムは、PDPからの近赤外線を遮蔽する
効果が不十分なものであった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の問題を解消し、取扱い性が高く、安価で、光線透過率
が高く、プラズマディスプレイパネルの表示面から放射
される近赤外線による周辺機器への誤作動の防止機能を
持ち、電磁波シールド薄膜積層フィルムと貼合わせて発
光型パネル方式ディスプレイ、特にプラズマディスプレ
イのパネル前面に好適に使用することのできる近赤外線
遮蔽フィルムおよびそれを用いた積層体を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、本発明
によれば、 1.近赤外線吸収剤を含有する二軸配向ポリエステルフ
ィルムであって、該近赤外線吸収剤の重量減少開始温度
が少なくとも280℃であり、該フィルムのヘーズ値が
5%以下で、かつ可視光領域及び近赤外領域における光
学特性が下記式(1)〜(4)
【0013】
【数4】 0.05≦T(850)≦0.57 ・・・・(1) 0.20≦T(950) ・・・・(2) 0.7≦T(620)/T(540)≦1.3 ・・・・(3) 0.7≦T(450)/T(540)≦1.3 ・・・・(4) (ただし、式中のT(450)、T(540)、T(6
20)、T(850)及びT(950)は、それぞれ波
長450nm、540nm、620nm、850nm及
び950nmにおける透過率である。)を満足すること
を特徴とする近赤外線遮蔽フィルム、並びに 2.前記近赤外線遮蔽フィルムとその少なくとも片面に
貼合せた電磁波シールド性薄膜積層フィルムからなる近
赤外線遮蔽フィルム積層体によって達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における近赤外線遮蔽フィ
ルムは、近赤外線吸収剤を含有する二軸配向ポリエステ
ルフィルムからなるが、該フィルムの波長850nmの
透過率が0.05以上0.57以下である必要がある。
好ましくは、波長850nmの透過率は0.10以上
0.27以下である。同時に、波長950nmの透過率
が0.20以上であり、好ましくは0.20以上0.5
5以下である。波長850nmの透過率が0.57より
大きいと、電磁波シールド性薄膜積層フィルムと貼合せ
た後の透過率を0.20以下にするのが難しく、近赤遮
蔽能が不十分となる。一方、波長850nmの透過率が
0.05未満であったり、波長950nmの透過率が
0.20未満であると、近赤外線吸収剤を必要以上に使
用することになり、コストが上昇するので、電磁波シー
ルド性薄膜積層フィルムと貼合せるメリットがない。
【0015】本発明における近赤外線遮蔽フィルムは、
さらに、ヘーズ値が5%以下で、かつ可視光領域におけ
る光学特性が下記式(3)〜(4)
【0016】
【数5】 0.7≦T(620)/T(540)≦1.3 ・・・・(3) 0.7≦T(450)/T(540)≦1.3 ・・・・(4) (ただし、式中のT(450)、T(540)及びT
(620)は、それぞれ波長450nm、540nm及
び620nmにおける透過率である。)を満足する必要
がある。このヘーズ値は、さらに3%以下、特に2%以
下であることが好ましい。このヘーズ値が5%より大き
いと、映像の色相が白濁し、鮮映性を欠いて認視性が低
下する。また、プラズマディスプレイの発光はRGBが
それぞれ620、540、450nm付近であるから、
T(620)/T(540)やT(450)/T(54
0)が0.7以下であったり、1.3以上であるとRG
Bの発光輝度のバランスがずれてしまい、色相が正しく
表示できない。さらにまた、可視光線(波長400〜6
50nm)の全光線透過率が60%以上、さらには70
%以上であることが好ましい。この全光線透過率が60
%未満であると、画面全体が暗くなり、十分な輝度得る
ために必要以上に消費電力が大きくなる。
【0017】本発明における二軸配向ポリエステルフィ
ルムには、前記したように、近赤外線吸収剤を含有させ
るが、その際、近赤外線吸収剤はポリエステルに溶解さ
せるか、粒径500nm以下の大きさで均一分散させる
ことが好ましい。近赤外線吸収剤の含有量は、二軸配向
ポリエステルフィルムの厚み方向に垂直な面に対して、
0.05〜1.00g/m2、さらには0.08〜0.
50g/m2の範囲であることが好ましい。
【0018】前記近赤外線吸収剤としては、最終製品ま
での熱履歴を考慮し、280℃以上の重量減少開始温度
を有するもの、更に好ましくは330℃以下の温度では
変質や劣化が生じ難いものを用いる。この近赤外線吸収
剤としては、フタロシアニン系近赤外線吸収剤及びニッ
ケル錯体系近赤外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種
の化合物であることが好ましい。フタロシアニン系近赤
外線吸収剤としては、日本触媒(株)製の近赤外線吸収
剤EX814K、EX812K等を例示することがで
き、またニッケル錯体系近赤外線吸収剤としては、大日
本インキ化学工業(株)製の近赤外線吸収剤IR−AD
DITIVE 200等を例示することができる。
【0019】近赤外線吸収剤は一般的に耐候性が無機顔
料などに比べて乏しい。しかし、本発明においては、ポ
リエステルが紫外線吸収能を有し、大部分の紫外線を吸
収することから、近赤外線吸収剤は該ポリエステルによ
って保護された状態で含有されていることになり、耐候
性を懸念することなく近赤外線吸収剤の使用が可能であ
る。もっとも、必要に応じて紫外線吸収剤を併用して、
耐候性をさらに向上させてもよい。
【0020】前記近赤外線吸収剤の添加方法としては、
所定量の近赤外線吸収剤をポリエステルのグリコール成
分と同じグリコール、例えばエチレングリコールに分
散、溶解させポリエステルの製造段階で添加してもよい
が、フィルムの生産性や異物の混入防止および工程の簡
素化といった観点から、別にフィルム添加濃度よりも高
濃度の近赤外線吸収剤を添加したポリエステルのペレッ
ト(マスターペレット)もしくは近赤外線吸収剤自体を
溶融固化したぺレットを作成し、これをフィルム製造工
程で配合添加する方法が好ましい。近赤外線吸収剤を溶
融固化する際には、適宜バインダーを使用してもよい。
添加方法として、特に近赤外線吸収剤を溶融固化したペ
レットについては、フィルム原料のポリエステルペレッ
トと機械的物性が異なるので、小型のフィーダを用いて
製膜工程、特に該ポリエステルペレットの押出機に供給
する方法が好ましい。フィーダによる供給量は、押出機
の容量および添加量によって変化するが、設備上0.2
〜20kg/hが好ましい。さらに近赤外線吸収剤とし
ては、フィルムの生産性の観点から、ポリエステルの溶
融押出し時に該ポリエステルの溶融粘度低下の少ない近
赤外線吸収剤を用いるのが好ましい。また、溶融ポリエ
ステルの粘度低下を抑える目的で、押出機のせん断変形
速度70(1/秒)において滞留時間が20〜4000
秒であるものが好ましい。この値が20秒未満では近赤
外線吸収剤の混練が十分でなくフィルムの透過率に斑が
みられ、一方4000秒超では粘度の低下によるフィル
ム切断を招きやすくなる。
【0021】本発明における二軸配向フィルムを構成す
るポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル
形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導
体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かか
るポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレー
ト)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レート等が例示できる。これらは共重合体あるいはブレ
ンドしたものを包含する。これらの中でも、ポリエステ
ルの重量を基準として、70重量%以上、更には80重
量%以上がエチレンテレフタレートまたはエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートの繰返し単位か
らなるものが好ましく、特に二軸配向フィルムとした際
の加工性や透明性から、エチレンテレフタレートを主た
る繰返し単位とするポリエステルが好ましい。
【0022】前記ポリエチレンテレフタレートの共重合
成分は、二塩基酸成分としてはイソフタル酸、フタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジ
カルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シク
ロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が
例示でき、またジオール成分としては1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコ
ール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールA
の如き芳香族ジオールが例示できる。これらの共重合成
分は単独でも二種以上併用しても良い。これらの共重合
成分のうち、加工性や透明性などの観点から、イソフタ
ル酸が特に好ましい。
【0023】前記共重合成分の割合は、その種類にもよ
るが、結果としてポリマー融点が230℃未満、さらに
は240℃未満にならない割合であることが好ましい。
ポリマー融点が230℃未満では耐熱性や機械的強度が
劣ることがある。このようなコポリエステルとしては、
主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートからなり、
共重合成分がイソフタル酸成分からなる場合、全酸成分
のモル数を基準として、イソフタル酸成分の割合を12
モル%以下にしたものが挙げられる。ここで、ポリエス
テルの融点測定は、DuPont Instrumen
ts 910DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解
ピークを求める方法による。なお、サンプル量は20m
gとする。
【0024】前記ポリエステルは、それ自体公知の方法
によって製造することができる。この方法としては、テ
レフタル酸とエチレングリコール、要すれば共重合成分
(例えばイソフタル酸)をエステル化反応させ、ついで
得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮
合反応させてポリエステルとする方法、またはテレフタ
ル酸ジメチルエステルとエチレングリコール、要すれば
共重合成分(例えばイソフタル酸ジメチルエステル)を
エステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目
的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエステ
ルとする方法を好ましく挙げることができる。勿論、要
すれば、主たる酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン
酸または主たるグリコール成分に1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールを用いることができる。上記の方法(溶
融重合)により得られたポリエステルは、必要に応じて
固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合
度の高いポリマーとすることができる。
【0025】そして、このようにして得られたポリエス
テルは、それ自体公知の溶融製膜方法、すなわち、ポリ
エステルを溶融状態にしてから線状のダイより押出して
未延伸フィルムとし、これを二軸方向に延伸し、熱処理
する方法で二軸配向フィルムとすることができる。通
常、延伸温度としては(Tg(ポリエステルのガラス転
移温度)−10)〜(Tg+70)℃、延伸倍率として
は各延伸方向に2.5〜8倍が採用される。また、熱処
理温度としては180〜250℃、処理時間としては1
〜60秒が好ましい。
【0026】前記二軸配向フィルムを構成するポリエス
テルの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)は
0.52〜1.50であることが好ましく、さらに好ま
しくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.60〜
0.80である。この固有粘度が0.52未満の場合、
製膜性が不良であることがあり、好ましくない。他方、
固有粘度が1.50を超えると、成形加工性が損なわれ
たり、押出機に過負荷をかけたり、さらには樹脂温度の
過上昇によって固有粘度が著しく低下する場合があるの
で好ましくない。
【0027】本発明においては、ポリエステルの製造過
程またはその後のダイより押出すまでの過程で、必要に
応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、
色相改良剤、滑剤、核剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、
酸化防止剤、触媒などの添加剤を加えることができる。
【0028】本発明においては、二軸配向フィルムの走
行性、滑り性等を向上させる点から、ポリエステルにフ
ィルム表面を粗面化する物質(フィラー;滑剤)を含有
させることが好ましい。このフィラーとしては、従来か
らポリエステルフィルムの滑り性付与剤として知られて
いるものが挙げられる。この具体例として、炭酸カルシ
ウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、
酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸
化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒
子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙
げられる。これらの中でも、透明性を保持しながら滑り
性を付与し易いことから、多孔質シリカが好ましい。フ
ィラーの平均粒径は1〜3μm、さらには1.2〜2.
4μmであることが好ましい。また添加量は、フィルム
の透明性と滑り性の観点から、0.01〜0.005重
量%、さらには0.008〜0.006重量%であるこ
とが好ましい。
【0029】本発明における二軸配向ポリエステルフィ
ルムの厚みは、万一PDPが破損した場合にガラスの飛
散を抑制する点から、50μm以上であることが好まし
い。二軸配向フィルムの厚みの上限は、ヘーズ値を5%
以下に保ち易さ及びフィルムの生産性から、250μm
以下が好ましい。
【0030】本発明における二軸配向ポリエステルフィ
ルムは、後述するハードコート層や粘着層との接着性向
上および加工性の向上のために、易滑易接着層を設ける
ことが好ましい。この易滑易接着層は、例えば、水性の
ポリエステル樹脂やアクリル樹脂、またはこれらの混合
物にワックスなどを配合した水性塗液を二軸配向フィル
ムの製造過程中で塗布乾燥することで、設けることがで
きる。
【0031】前記水性ポリエステル樹脂としては、以下
のような多塩基酸成分とポリオール成分から成る水性ポ
リエステル樹脂が挙げられる。この多塩基酸成分として
は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無
水フタル酸、2、6ーナフタレンジカルボン酸、1、4
ーシクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。これ
ら酸成分を2種以上用いて共重合ポリエステル樹脂を合
成する。また、若干量ながら不飽和多塩基酸成分のマレ
イン酸、イタコン酸等及びp−ヒドロキシ安息香酸等の
如きヒドロキシカルボン酸を用いることができる。ま
た、ポリオール成分としては、例えばエチレングリコー
ル、1、4ーブタンジオール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、1、6ーヘキサンジオール、
1、4ーシクロヘキサンジメタノール、キシレングリコ
ール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシ
ド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリ
コール等が挙げられる。また、これらモノマーが挙げら
れるがこれらに限定されるものではない。
【0032】かかる水性ポリエステル樹脂は多塩基酸ま
たはそのエステル形成性誘導体(例えばジメチルエステ
ル、酸無水物等)とポリオールまたはそのエステル形成
性誘導体(例えば低級脂肪酸エステル、環状無水物等)
を用いて、従来から知られている重合法で製造すること
ができる。
【0033】前記水性アクリル樹脂としては、アクリル
樹脂としては以下のようなアクリルモノマーから共重合
できる。このアクリルモノマーとしては、アルキルアク
リレート、アルキルメタクリレート(アルキル基として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2
ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2ーヒド
ロキシエチルアクリレート、2ーヒドロキシエチルメタ
クリレート、2ーヒドロキシプロピルアクリレート、2
ーヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含
有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基
含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンス
ルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アン
モニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基また
はその塩を含有するモノマー;アクリルアミド、メタク
リルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキ
ルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミ
ド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル
基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N
ーアルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリ
ルアミド、N、N−ジアルコキシアクリルアミド、N、
N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基とし
ては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブト
キシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロール
アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N
−フェニルアクリルアミド、 N−フェニルメタクリル
アミド等のアミド基を含有するモノマー;無水マレイン
酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイ
ソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、αー
メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチル
エーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレ
イン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステ
ル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、
プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等の
モノマーが挙げられる。また、これらモノマーを挙げら
れるがこれらに限定されるものではない。
【0034】前記ワックスとしては、例えば、カルナバ
ワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木
ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワック
ス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エ
スパルトワックス、バークワックス等の植物系ワック
ス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラッ
クワックス等の動物系ワックス、モンタンワックス、オ
ゾケライト、セレシンワックスなどの鉱物系ワックス、
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、
ペトロラクタム等の石油系ワックス、フィッシャートロ
プッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエ
チレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプ
ロピレンワックスなどの合成炭化水素系ワックス等であ
る。更に、ハードコートや粘着剤等に対する易接着性と
滑性が良好なことから、カルナバワックス、パラフィン
ワックス、ポリエチレンワックスがより好ましい。更に
は環境問題や取扱のし易さから水分散体がより好まし
い。
【0035】塗布層を形成するポリエステル樹脂は塗布
層中に50〜95重量%含有し、更に好ましくは60〜
90重量%である。塗布層を形成する樹脂は塗布層中に
5〜30重量%含有し、更に好ましくは10〜25重量
%である。ポリエステル樹脂が95重量%を超え、もし
くはアクリル樹脂が5重量%未満になると、接着性が不
十分となる場合がある。アクリル樹脂が30重量%を超
えると、アクリル樹脂はポリエステル樹脂と相溶しない
ため透明性が悪くなる場合がある。また、ワックスは塗
布層中に0.5〜20重量%の範囲で含有することが好
ましい。より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲で
ある。この量が0.5重量%未満であると、フィルム表
面の滑性が得られないことがある。一方、20重量%を
超えると、ポリエステル基材への密着やハードコートや
粘着剤等に対する易接着性が不足する場合がある。
【0036】上記組成物は、塗膜を形成させるために、
水溶液、水分散液或いは乳化液等の水性塗液の形態で使
用されるのが好ましい。塗膜を形成するために、必要に
応じて、前記組成物以外の他の樹脂、例えばオキサゾリ
ン基を有する重合体、メラミン、エポキシ、アジリジン
等の架橋剤、帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線
吸収剤、滑剤(フィラー)などを添加することができ
る。特に、滑剤を添加することで滑性、耐ブロッキング
性が更に良化することができる。
【0037】水性塗液の固形分濃度は、通常20重量%
以下であり、更には1〜10重量%であることが好まし
い。この割合が1重量%未満であると、ポリエステルフ
ィルムへの塗れ性が不足し、一方、20重量%を越える
と塗剤の安定性や塗布外観が悪化することがある。
【0038】水性塗液のポリエステルフィルムへの塗布
は、任意の段階で実施することができるが、ポリエステ
ルフィルムの製造過程で実施するのが好ましく、さらに
は配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗
布するのが好ましい。
【0039】ここで、結晶配向が完了する前のポリエス
テルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを
縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配
向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低
倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向
に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延
伸フィルム)等を含むものである。
【0040】なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に
配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗
液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱
固定とを施すのが好ましい。
【0041】水性塗液をフィルムに塗布する際には、塗
布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面に
コロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理
を施すか、あるいは組成物と共にこれと化学的に不活性
な界面活性剤を併用することが好ましい。
【0042】かかる界面活性剤は、ポリエステルフィル
ムへの水性塗液の濡れを促進するものであり、例えば、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレン―脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、ア
ルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホ
コハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙
げることができる。界面活性剤は、塗膜を形成する組成
物中に、1〜10重量%含まれていることが好ましい。
【0043】塗液の塗布量は、塗膜の厚さが0.02〜
0.3μm、好ましくは0.07〜0.25μmの範囲
となるような量であるのが好ましい。塗膜の厚さが薄過
ぎると、接着力が不足し、逆に厚過ぎると、ブロッキン
グを起こしたり、ヘーズ値が高くなったりする可能性が
ある。
【0044】塗布方法としては、公知の任意の塗工法が
適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート
法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナ
イフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独ま
たは組合せて用いることができる。なお、塗膜は、必要
に応じ、フィルムの片面のみに形成してもよいし、両面
に形成してもよい。
【0045】本発明における近赤外線遮蔽フィルムは、
その片方の面にハードコート層、反対側の面に粘着層を
設けることが好ましい。更には、該ハードコート層の上
に更に反射防止層を設けることが、好ましい。
【0046】前記ハードコート層の材料には、電離放射
線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂など、実用
に耐え得る硬度を発現するものなら特に限定はされない
が、これらのうち、二軸配向ポリエステルフィルムに対
して、膜形成作業が容易で且つ鉛筆硬度を所望の値に容
易に高めやすい電離放射線硬化型樹脂が好ましい。
【0047】前記電離放射線硬化型樹脂としては、アク
リレート系官能基を持つものが好ましく、特にポリエス
テルアクリレートまたはウレタンアクリレートが好まし
い。このポリエステルアクリレートは、ポリエステル系
ポリオールのオリゴマーのアクリレートおよび/または
メタアクリレート(以下、アクリレートとメタアクリレ
ートとを含めて(メタ)アクリレートと称することがあ
る。)から構成される。また、前記ウレタンアクリレー
トは、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物から
なるオリゴマーをアクリレート化したものから構成され
る。なお、アクリレートを構成する単量体としては、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリ
レート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニ
ル(メタ)アクリレートなどが好ましく例示できる。
【0048】前記ハードコート層の硬度をさらに高めた
い場合、多官能モノマーを併用することができる。この
多官能モノマーとしては、例えばトリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メ
タ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリ
レート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートな
どが挙げられる。
【0049】前記ハードコート層の形成に使用するポリ
エステル系オリゴマーとしては、アジピン酸またはセバ
シン酸とグリコール(例えば、エチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレ
ングリコール、ポリブチレングリコールなど)やトリオ
ール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンな
ど)との縮合生成物であるポリアジペートトリオール
や、ポリセバシエートポリオールなどが例示できる。な
お、上記脂肪族ジカルボン酸の一部又は全てを他の有機
酸で置換してもよい。この場合、他の有機酸としては、
イソフタル酸、テレフタル酸または無水フタル酸など
が、ハードコート層に高度の硬度を発現することから、
好ましい。
【0050】前記ハードコート層の形成に使用するポリ
ウレタン系オリゴマーとしては、ポリイソシアネートと
ポリオールとの縮合生成物を例示することができる。こ
のポリイソシアネートとしては、メチレン・ビス(p−
フェニレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソ
シアネート・ヘキサントリオールの付加体、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ト
リレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダ
クト体、1,5−ナフチレンジイソシアネート、チオプ
ロピルジイソシアネート、エチルベンゼン−2,4−ジ
イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート二
量体、水添キシリレンジイソシアネート、トリス(4−
フェニルイソシアネート)チオフォスフエートなどが例
示でき、また、ポリオールとしては、ポリオキシテトラ
メチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオール、
ポリアジペートポリオール、ポリカーボネートポリオー
ルなどのポリエステル系ポリオール、アクリル酸エステ
ル類とヒドロキシエチルメタアクリレートとのコポリマ
ーなどが例示できる。
【0051】なお、ウレタンアクリレートは、弾性や可
撓性に富み、加工性(折り曲げ性)に優れる反面、表面
硬度が不足し難く、2H以上の鉛筆硬度のものが得難
い。これに対して、ポリエステルアクリレートは、ポリ
エステルの構成成分の選択により、極めて高い硬度のハ
ードコート層を形成することができる。そこで、高硬度
と可撓性とを両立しやすいことから、ウレタンアクリレ
ート60〜90重量部にポリエステルアクリレート40
〜10重量部を配合させたハードコート層が好ましい。
【0052】更に、上記の電離放射線硬化型樹脂とし
て、紫外線硬化型樹脂を使用するときは、これらの樹脂
中にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベ
ンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステルまた
はチオキサントン類などを光重合開始剤として、また、
n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチル
ホスフィンなどを光増感剤として混合して使用するのが
好ましい。
【0053】前記ハードコート層を形成するのに使用す
る塗液には、光沢を調整するとともに、(離型性ではな
く)表面の滑りを付与する目的で二次粒径が20μm以
下の不活性微粒子を、樹脂成分100重量部に対して
0.3〜3重量部加えることが好ましい。この量が0.
3重量部未満では滑り性の向上効果が乏しく、他方3重
量部を超えると、得られるハードコート層の鉛筆硬度が
低下することがある。塗液に加える不活性微粒子として
は、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、
硫酸バリウムなどの無機微粒子の他に、ポリカーボネー
ト、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチ
レンナフタレート、メラミン樹脂などの有機ポリマーの
微粒子が例示できる。
【0054】前記ハードコート層を形成する塗工方法と
しては、従来より公知の塗工方法を適宜選択することが
でき、例えば塗液の特性や塗工量に応じて、ロールコー
ト、グラビアコート、バーコート、押出しコートなどを
選択、使用するとよい。ハードコート層の厚みは特に限
定されないが、1〜15μmの範囲が好ましい。塗液の
固形分濃度は30〜70重量%、さらには40〜60重
量%が好ましい。
【0055】本発明における反射防止層は、近赤外線遮
蔽フィルムの前述の光学特性を損なわないものであれば
特に限定はされないが、具体例としては、(1)厚み
0.1μm程度のMgF2などの極薄膜からなる反射防
止層、(2)金属蒸着膜によって形成された反射防止
層、(3)光の屈折率がハードコート層の屈折率よりも
低い材料からなる層をハードコート層の上に設けた反射
防止層、(4)屈折率の高い高屈折率層をハードコート
層の上に設け、該高屈折率層の上に該高屈折率層よりも
屈折率の低い低屈折率層を設けた反射防止層(例えば、
反射防止層におけるハードコート層に接する部位に高屈
折率を有する金属酸化物の超微粒子層を偏在させたも
の)、(5)前記(4)の層構成を繰返し積層した多層
積層形の反射防止層、(6)屈折率の高い高屈折率層の
内側(表示面に貼り合わせた際の表示面側)に該高屈折
率層よりも屈折率の低い中屈折率層を設け、該屈折率の
高い高屈折率層の外側(表示面に貼り合わせた際の表示
面とは異なる側)に中屈折率層よりも屈折率の低い低屈
折率層を設けた反射防止層等が挙げられる。
【0056】これらの中でも、より効果的に反射防止を
行うことができることから、屈折率の異なる複数の層を
交互に積層したもの、例えばゾルゲル法ウェットコート
による2層反射防止層、スパッタリングによる3層反射
防止層、コストと性能の兼ね合いから両者の組合せなど
が好ましく挙げられる。さらには、二軸配向ポリエステ
ルフィルム上のハードコート層を介して、中屈折率層、
高屈折率層、低屈折率層をこの順で層を形成したものが
好ましい。さらには、低屈折率層、中屈折率層および高
屈折率層がSiOxからなり、低屈折率層の屈折率が
1.4よりも大きく、高屈折率層の屈折率が2.2未満
で、低屈折率層が80〜110nmの厚み、高屈折率層
が30〜110nmの厚みおよび中屈折率層が50〜1
00nmの厚みを有し、且つ、それぞれの層の光学的膜
厚D(D=n・d、ただし、n:中屈折率層の屈折率、
d=中屈折率層の厚み)が可視光の波長以下である反射
防止層が好ましい。
【0057】前記反射防止層によって、本発明の近赤外
線遮蔽フィルムはディスプレイの認視性を妨げる外来光
の反射を抑制できる。反射防止層には、これらの他に
も、単層膜で主として黄色光を中心に反射防止するもの
があるが、ディスプレイの反射防止には、多層反射防止
膜の方が適している。
【0058】本発明における近赤外線遮蔽フィルムは、
ハードコート層を形成した側とは反対側の面に、粘着剤
層を積層していることが好ましい。この粘着剤の積層の
場合も二軸配向フィルムとの接着性を向上させるため
に、易滑易接着層を介して積層するのが好ましい。
【0059】前記粘着剤層としては、再剥離性があり、
剥離時に糊残りがないこと、高温、高湿下での強制老化
試験で剥がれや泡の発生がないものが好ましい。このよ
うな特性を有する粘着剤としては、アクリル系、ゴム
系、ポリビニルエーテル系、シリコーン系等から適宜選
択使用できるが、最も好ましいのはアクリル系粘着剤で
ある。
【0060】前記アクリル系粘着剤は、アルキル(メ
タ)アクリル酸エステルと重合性不飽和カルボン酸また
は水酸基含有エチレン性不飽和モノマー、またさらには
共重合性ビニル系モノマーとを有機溶剤中又は水媒体中
で共重合させて得られる。重合法としては、ラジカル重
合による重合方法が好ましく採用される。さらに好まし
くは、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げら
れる。上記共重合体の好ましい分子量は、ゲルパーミュ
エーションクロマトグラフィーによる数平均分子量が
9,500〜950,000、好ましくは50,000
〜500,000、さらに好ましくは95,000〜4
00,000である。この数平均分子量が9,500未
満であると、樹脂組成物層の均一形成が困難となり、一
方950,000を超えると、弾性が高くなり、塗工量
の調整が困難となる等の問題を生じる。
【0061】前記アルキル(メタ)アクリル酸エステル
としては、炭素原子数1〜12のアルキル基を有するも
のが好ましく、より具体的には(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オ
クチル等が挙げられる。さらに具体的に述べると、メタ
クリレート系成分としては、例えばメチルメタアクリレ
ート、エチルメタアクリレート、n−プロピルメタアク
リレート、イソプロピルメタアクリレート、n−ヘキシ
ルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタアクリレート、n−オクチ
ルメタアクリレート、イソオクチルメタアクリレート、
ラウリルメタアクリレート等が挙げられる。アクリレー
ト成分としては、例えばメチルアクリレート、エチルア
クリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、n−オクチルアクリレート、ラウリルアク
リレート等が挙げられる。こられは単独または2種以上
混合して用いることもできる。
【0062】前記粘着剤には架橋剤を配合することもで
きる。配合量は、通常、アクリル系粘着剤100重量部
に対し0.01〜10重量部である。この架橋剤として
は、例えばイソシアネート系化合物、アルミキレート、
アジリジニル系化合物、エポキシ系化合物等が挙げられ
る。かかる粘着剤は、有機溶剤溶液とし、ロールコータ
ー、リバースコーター、コンマコーター、リップコータ
ー、ダイコーター等の塗工機により二軸配向フィルムに
塗布される。基材フィルムの粘着剤層側には剥離処理を
施したフィルムあるいは紙等を積層することにより、取
り扱い上の便宣を図ることができる。
【0063】本発明における近赤外線遮蔽フィルムは、
プラズマディスプレイパネルからの近赤外線放射により
周辺機器に誤作動等の問題を防ぐために、該近赤外線遮
蔽フィルムと電磁波シールド性薄膜積層フィルムとを貼
合せて積層体とし、該積層体をプラズマディスプレイパ
ネルの前面板に使用するのが好ましい。その際、該積層
体の近赤外線波長領域内の、850nmおよび950n
mの透過率をそれぞれ0.01以上、0.20以下にす
ることが必要である。好ましくは0.1以下である。波
長850nmおよび950nmの近赤外線の透過率がそ
れぞれ0.20より大きくなると、プラズマディスプレ
イパネルから放射される近赤外線を十分に遮断できなく
なり、プラズマディスプレイ周辺の機器の誤作動を招く
おそれがある。一方、0.01より小さいと、近赤外線
吸収剤の特性上、可視光線の透過率が低下し、プラズマ
ディスプレイの輝度が低下する。
【0064】前記電磁波シールド性薄膜積層フィルムと
しては、基材となる透明フィルムの少なくとも片面に電
磁波シールド性の透明導電層が設けられているものが好
ましい。この透明導電層を構成する金属物質としては、
SbをドープしたSnO2やSnをドープしたIn23
(ITO)などの広い光学バンドギャップと高い自由電
子密度を有する半導体薄膜、またはAu、Ag、Cu、
Alなどの金属が例示される。これらの中、可視光線の
吸収が殆どないAgが特に好ましい。なお、必要に応じ
て金属物質を2種以上併用してもよい。かかる金属層の
形成方法としては、気相成長法が好ましく、さらにスパ
ッター法、真空蒸着法またはプラズマCVD法が好まし
い。かかる金属層の厚みは、可視光線透過率が70%以
上及び近赤外線遮蔽率が40%以上の範囲を満足するよ
うに設定すべきである。金属層の厚みは5〜1,000
nmの範囲が好ましい。この厚みが5nm未満である
と、表面抵抗が高くなり、十分な電磁波シールド効果が
発揮されず、他方1,000nmを超えると、可視光線
透過率が低下し、透明性が悪くなる。
【0065】前記電磁波シールド性薄膜積層フィルムに
は可視光線の反射を抑制し、透明性を高める為に、透明
で高屈折率である誘電体層を設けることが好ましい。こ
のような誘電体としては、TiO2、ZrO2、Sn
2、In23等が挙げられる。アルキルチタネート又
はアルキルジルコニウムの加水分解により得られる有機
化合物由来のTiO2又はZrO2が加工性に優れるため
さらに好ましい。加えて、誘電体層として酸化インジュ
ウムや酸化錫も単一層又は多層にて適用できる。かかる
誘電体層の形成方法としては、気相成長法が好ましく、
さらにスパッター法、真空蒸着法またはプラズマCVD
法が好ましい。また、誘電体層は、前述の金属層をサン
ドイッチ状に挟む積層構成をとることにより、透明性の
効果が増すのでより好ましい。かかる誘電体層の厚み
は、本発明の構造体の光学特性範囲を満足するように前
述の金属層と併せて設定することが必要である。誘電体
層の厚みは0〜750nmの範囲が好ましい。
【0066】前記基材の透明フィルムとしては、厚みが
25〜250μm、好ましくは25〜175μmの二軸
配向ポリエステルフィルムを好ましく用いることができ
る。この二軸配向フィルムを構成するポリエステルは、
近赤外線遮蔽フィルムを構成する二軸配向フィルムのポ
リエステルと同じものを用いることができる。また、二
軸配向熱処理条件も同じ条件を採用することができる。
【0067】本発明における近赤外線遮蔽フィルムと電
磁波シールド性薄膜積層フィルムとを貼合せて積層体
は、該近赤外線遮蔽フィルムと電磁波シールド性薄膜積
層フィルムの間に電磁波シールドの強化のために金属メ
ッシュなどを積層してもよい。
【0068】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。なお、例中の各特性値は以下の方法により評価
した。
【0069】(1)全光線透過率およびへーズ値 JIS K6714−1958に準じて、日本電色工業
社製のへーズ測定器(NDH−20)を使用して全光線
透過率Tt(%)と散乱光透過率Td(%)とを測定し
た。測定された全光線透過率は次の基準で評価し、評価
2以上が実用上問題ないものであり、評価3が極めて優
れたものである。 3:全光線透過率 60%以上 2:全光線透過率 40%以上60%未満 1:全光線透過率 40%未満
【0070】また、測定された全光線透過率Tt(%)
と散乱光透過率Td(%)とから、以下の式よりヘーズ
(%)を算出した。
【0071】
【数6】ヘーズ(%)=(Td/Tt)×100 得られたへーズ値は、次の基準で評価した。 4:へーズ値≦2.0% へ一ズ値がかなり小さく実用上極めて良好に使用できる 3:2.0%<へーズ値≦3.0% へ一ズ値が小さく実用上良好に使用できる 2:3.0%<へーズ値≦5.0% へーズ値がやや小さく実用上は問題ない 1:5.0%<へーズ値 へーズ値が大きく、実用上問題がある。
【0072】(2)波長400〜1500nmの範囲に
おける光線透過率 (株)島津製作所製 分光光度計MPC3100を用
い、波長400〜1500nmの光線透過率を測定し
た。
【0073】(3)色相ずれ 標準光Aに対する供試フィルムの透過スペクトルからJ
IS規格Z8729に準じてL***表色系における
*、a*およびb*を求め、以下の式より求められるa
bクロマ(C*ab)を算出した。
【0074】
【数7】C*ab=((a*2+(b*21/2 得られたC*abの値より、以下の基準で無彩色との彩
度のずれを評価した。 ◎:C*abが10未満 ○:C*abが10以上20未満 ×:C*abが20以下。
【0075】(4)近赤外線遮蔽フィルムとしての耐摩
耗性 試料フィルムを、スチールウール#000を角型パッド
(面積6.25cm2)に装着し、往復式摩耗試験機に
よる摩耗試験(荷重1kg、50回往復)前後のヘーズ
値の差(△ヘーズ)から以下のように評価した。
【0076】
【数8】Δヘーズ=(摩耗試験後のヘーズ値)−(摩耗
試験前のヘーズ値) ○:Δヘーズが10未満 △:Δヘーズが10以上20未満 ×:Δヘーズが20超。
【0077】(5)接着力 a.対接着剤層 供試サンプルを60℃、80%RHの恒温恒湿槽中に2
4時間保持し、該サンプルの粘着剤層の面をガラス板に
貼合せ、引き剥がし試験により、以下の基準で評価す
る。 ◎:基材フィルムが破断する程度に接着力が強い ○:剥離はするが、実用性はある ×:たやすく剥離し、実用性無し。 b.対ハードコート層 反射防止層を積層していない供試サンプルのハードコー
ト層の面に碁盤目のクロスカツト(1mmのマス目を1
00個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ
(ニチバン社製)を貼付け、180度の剥離角度で急激
に剥がした後、剥離面を観察し、以下の基準で評価し
た。 5:剥離面積が10%未満 ……接着力極めて
良好 4:剥離面積が10%以上20%未満……接着力良好 3:剥離面積が20%以上30%未満……接着力やや良
好 2:剥離面積が30%以上40%未満……接着力不良 1:剥離面積が40%を超えるもの ……接着力極めて
不良。
【0078】(6)近赤外線遮断性能 家庭用テレビのリモートコントローラ受光部に試料フィ
ルムを設置し、2m離れた位置からリモートコントロー
ラでリモートコントロール信号(信号波長950nm及
び850nm)を送って家庭用テレビが反応するかをテ
ストした。PDPディスプレレイから発する近赤外線は
リモートコントローラより発する近赤外線より弱いの
で、このテストにおいて反応が見られなければリモート
コントロール障害の発生防止が可能である。リモートコ
ントローラに反応しないものを「○」、反応するものを
「×」とした。
【0079】[実施例1]日本触媒製近赤外線吸収剤EX
814Kを0.05重量%、日本触媒製近赤外線吸収剤E
X812Kを0.05重量%、平均粒径1.7μmの多孔
質シリカを0.007重量%含有した溶融ポリエチレン
テレフタレート(PET、[η]=0.65)をダイよ
り押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィ
ルムとし、次いで縦方向に90℃の温度で延伸倍率3.
5倍で延伸した。その後、その両面に以下の塗膜用組成
物の濃度8%の水性液をロールコーターで均一に塗布
し、引き続いて95℃で乾燥しながら横方向に120℃
で3.8倍延伸し、230℃で熱固定して、厚さ188
μmの易接着フィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.
15μmであった。得られた近赤外線遮蔽フィルムの評
価結果を表1に示す。
【0080】 [塗膜用組成物] ・酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル酸(6モル%)および5− スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコー ル(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル%)から合成されるT g68℃の共重合ポリエステル 80重量% ・N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド 5重量% ・アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm) 10重量% ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 5重量%
【0081】[実施例2および3]近赤外線吸収剤を表
1のように変更した以外は実施例1と同様な操作を繰り
返した。得られた光学用積層体の評価結果を表1に示
す。
【0082】[実施例4]日本触媒製近赤外線吸収剤EX
814Kを0.05重量%、日本触媒製近赤外線吸収剤E
X812Kを0.05重量%、平均粒径1.7μmの多
孔質シリカを0.007重量%含有した溶融ポリエチレ
ン2,6−ナフタレード(PEN、[η]=0.65)
をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未
延伸フィルムとし、次いで縦方向に130℃の温度で延
伸倍率3.5倍で延伸した。その後、その両面に以下の
塗膜用組成物の濃度8%の水性液をロールコーターで均
一に塗布し、引き続いて145℃で乾燥しながら横方向
に120℃で3.8倍に延伸し、230℃で熱固定し
て、厚さ188μmの易接着フィルムを得た。なお、塗
膜の厚さは0.15μmであった。得られた近赤外線遮
蔽フィルムの評価結果を表1に示す。
【0083】 [塗膜用組成物] ・酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル酸(6モル%)および5− スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコー ル(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル%)から合成されるT g68℃の共重合ポリエステル 80重量% ・N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド 5重量% ・アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm) 10重量% ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 5重量%
【0084】[比較例1]近赤外線吸収剤を用いない以
外は実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた光学
用積層体の評価結果を表1に示す。近赤外線吸収性能は
ない。
【0085】[比較例2、3]近赤外線吸収剤を表1に
示すように変更した以外は実施例1と同様な操作を繰り
返した。得られた光学用積層体の評価結果を表1に示
す。比較例2は近赤吸収性能は問題ないが、全光線透過
率が低い。
【0086】[実施例5]実施例1の近赤外線遮蔽フィ
ルムの片面の塗膜上に、以下の組成からなるUV硬化系
組成物をロールコーターを用いて、硬化後の膜厚が5μ
mとなるように均一に塗布した。
【0087】 [UV硬化組成物] ・ペンタエリスリトールアクリレート 45重量% ・N−メチロールアクリルアミド 40重量% ・N−ビニルピロリドン 10重量% ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5重量% その後、80W/cmの強度を有する高圧水銀灯で30
秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成
した。
【0088】そして、該ハードコート層の上に、低屈折
率層(SiO2、30nm)、高屈折率層(TiO2、3
0nm)、低屈折率層(SiO2、30nm)、高屈折
率層(TiO2、100nm)および低屈折率層(Si
2、100nm)がこの順で積層されてなる反射防止
層をスパッタリングによって形成した。引き続き、以下
に示す方法により作成した粘着剤塗工液a(粘着剤濃度
20重量%)を均一になるよう撹拝した後、厚さ38μ
mの剥離処理を施したPETフィルムに、乾燥後の粘着
剤層の厚さが25μmとなるように塗工し、乾燥した。
該粘着剤層面を上記反射防止処理を施した厚さ188μ
mの透明PETフィルムの未処理面に貼着し、本発明の
近赤外線遮蔽フィルム(フィルム積層体)を得た。
【0089】このようにして得られたフィルム積層体を
片面に粘着剤処理の施された電磁波シールド性薄膜積層
フィルム(帝人商事(株)製、商品名:レフテルXIR
−70)に貼着した。得られた積層体の光学特性および
表示装置の評価結果を表2に示す。
【0090】[粘着剤塗工液aの調製方法]温度計、撹
拝機、還流冷却管、窒素導入管を備えたフラスコ中に下
記の組成の溶液を調製した。
【0091】[アクリル溶液の組成] ・n−ブチルアクリレート 47.0重量%、 ・アクリル酸 3.0重量%、 ・過酸化ベンゾイル 0.2重量%、 ・酢酸エチル 20.0重量%、 ・トルエン 29.8重量% ついで、窒素導入管から窒素を導入してフラスコ内を窒
素雰囲気とした後、65℃に加温して10時間重合反応
を行い、重量平均分子量約120万(数平均分子量約3
0万)、Tg約−49℃のアクリルポリマー溶液を得
た。このアクリルポリマー溶液に固形分が20重量%と
なるように酢酸エチルを加え、マスターバッチ用アクリ
ルポリマー溶液を得た。この溶液の100重量部(固形
分として)に、N,N,N’,N’−テトラグリシジル
−m−キシレンジアミン0.1重量部を加え、粘着剤塗
工液aを得た。
【0092】[実施例6〜8]実施例2〜4で用いたフ
ィルムを使用し、実施例5と同様な操作を繰り返した。
得られた光学用積層体の評価結果を表2に示す。
【0093】[比較例4]実施例1の易接着フィルムを
比較例1のものに変更する以外は、実施例5と同様な操
作を繰り返した。得られた光学用積層体の評価結果を表
2に示す。波長850nmについて、十分な近赤外線遮
断性能を示さなかった。
【0094】[比較例5]実施例1の易接着フィルムを
比較例3のものに変更する以外は、実施例5と同様な操
作を繰り返した。得られた光学用積層体の評価結果を表
2に示す。波長850nmについて、十分な近赤外線遮
断性能を示さなかった。
【0095】[比較例6]比較例1のポリエステルフィ
ルムの片面の塗膜上に、以下の組成からなるUV硬化系
組成物をロールコーターを用いて、硬化後の膜厚が5μ
mとなるように均一に塗布した。
【0096】 [UV硬化組成物] ・ペンタエリスリトールアクリレート 45重量% ・N−メチロールアクリルアミド 40重量% ・N−ビニルピロリドン 10重量% ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5重量% その後、80W/cmの強度を有する高圧水銀灯で30
秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成
した。
【0097】そして、該ハードコート層の上に、低屈折
率層(SiO2、30nm)、高屈折率層(TiO2、3
0nm)、低屈折率層(SiO2、30nm)、高屈折
率層(TiO2、100nm)および低屈折率層(Si
2、100nm)がこの順で積層されてなる反射防止
層をスパッタリングによって形成した。引き続き、以下
に示す方法により作成した前記粘着剤塗工液a(粘着剤
濃度20重量%)を均一になるよう撹拝した後、厚さ3
8μmの剥離処理を施したPETフィルムに、乾燥後の
粘着剤層の厚さが25μmとなるように塗工し、乾燥し
た。該粘着剤層面を上記反射防止処理を施した厚さ18
8μmの透明PETフィルムの未処理面に貼着し、本発
明に使用するフィルム積層体を得た。このようにして得
られたフィルム積層体および表示装置の評価結果を表2
に示す。十分な近赤外線遮断性能を示したが、近赤外線
吸収剤が多く高価になり、さらに粘着層とフィルムとの
接着がわるい。
【0098】[粘着剤塗工液bの調製方法]温度計、撹
拝機、還流冷却管、窒素導入管を備えたフラスコ中に下
記の組成の溶液を調製した。
【0099】 [アクリル溶液の組成] ・n−ブチルアクリレート 47.0重量%、 ・アクリル酸 3.0重量%、 ・過酸化ベンゾイル 0.2重量%、 ・酢酸エチル 20.0重量%、 ・トルエン 29.6重量% ・大日本インキ工業製近赤外線吸収剤IR-Additive200 0.4重量% ついで、窒素導入管から窒素を導入してフラスコ内を窒
素雰囲気とした後、65℃に加温して10時間重合反応
を行い、重量平均分子量約120万(数平均分子量約3
0万)、Tg約−49℃のアクリルポリマー溶液を得
た。このアクリルポリマー溶液に固形分が20重量%と
なるように酢酸エチルを加え、マスターバッチ用アクリ
ルポリマー溶液を得た。この溶液の100重量部(固形
分として)に、N,N,N’、N’−テトラグリシジル
−m−キシレンジアミン0.1重量部を加え、粘着剤塗
工液bを得た。
【0100】[比較例7]粘着剤塗工液bに添加する近
赤外線吸収剤を表2に示すように変更し、粘着剤層厚み
を45μmに変更する以外は比較例2と同様な操作を繰
り返した。得られた光学用積層体の評価結果を表2に示
す。近赤外線遮断性能は十分であるが、近赤外線吸収剤
が多く高価になり、さらに、粘着層と透明基材の接着力
が弱い。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】[表の説明]表中に示すA〜Dの記号は以
下の近赤外線吸収剤を示す。
【0104】A:日本触媒製近赤外線吸収剤EX814K B:日本触媒製近赤外線吸収剤EX812K C:大日本インキ化学工業製近赤外線吸収剤IR−ADDITI
VE 200 D:日本化薬製KAYAS0RB IRG−023
【0105】
【発明の効果】本発明によれば、取扱い性が高く、安価
で、光線透過率が高く、プラズマディスプレイパネルの
表示面から放射される近赤外線による周辺機器への誤作
動の防止機能を持ち、電磁波シールド薄膜積層フィルム
と貼合わせて発光型パネル方式ディスプレイ、特にプラ
ズマディスプレイのパネル前面に好適に使用することの
できる近赤外線遮蔽フィルムおよびそれを用いた積層体
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2で用いた近赤外線フィルムの透
過率を示す図である。
【図2】図2は実施例6で用いた近赤外線フィルム積層
体の透過率を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 G02B 5/22 1/11 1/10 Z 5/22 A Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA19 2K009 AA02 AA15 BB24 CC03 DD04 EE03 4F071 AA43 AA45 AA46 AC18 AE22 AF29 AH12 BB06 BB08 BC01 4F100 AA20A AK25B AK41A AK42A AK42B AK42J AL01B BA02 CA07A CB00B CC00B DE01B EJ37 GB41 JD00A JD08B JD10 JK16B JL11B JN01A 4J002 CF001 CF041 CF051 CF061 CF071 CF081 EZ006 FD206 GP00 GQ00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 近赤外線吸収剤を含有する二軸配向ポリ
    エステルフィルムであって、該近赤外線吸収剤の重量減
    少開始温度が少なくとも280℃であり、該フィルムの
    ヘーズ値が5%以下で、かつ可視光領域及び近赤外領域
    における光学特性が下記式(1)〜(4)を満足するこ
    とを特徴とする近赤外線遮蔽フィルム。 【数1】 0.05≦T(850)≦0.57 ・・・・(1) 0.20≦T(950) ・・・・(2) 0.7≦T(620)/T(540)≦1.3 ・・・・(3) 0.7≦T(450)/T(540)≦1.3 ・・・・(4) (ただし、式中のT(450)、T(540)、T(6
    20)、T(850)及びT(950)は、それぞれ波
    長450nm、540nm、620nm、850nm及
    び950nmにおける透過率である。)
  2. 【請求項2】 近赤外領域における光学特性が下記(1
    -1)〜(2-1)を満足する請求項1に記載の近赤外線遮
    蔽フィルム。 【数2】 0.10≦T(850)≦0.28 ・・・・(1-1) 0.20≦T(950)≦0.55 ・・・・(2-1) (ただし、式中のT(850)及びT(950)は、そ
    れぞれ波長850nm及び950nmにおける透過率で
    ある。)
  3. 【請求項3】 フィルムの可視光線(波長400〜65
    0nm)の全光線透過率が60%以上である請求項1又
    は2に記載の近赤外線遮蔽フィルム。
  4. 【請求項4】 近赤外線吸収剤が、フタロシアニン系近
    赤外線吸収剤及びニッケル錯体系近赤外線吸収剤から選
    ばれる1種以上の化合物である請求項1、2又3に記載
    の近赤外線遮蔽フィルム。
  5. 【請求項5】 近赤外線吸収剤が、二軸配向ポリエステ
    ルフィルムの厚み方向に垂直な面に対して、0.05〜
    1.0g/m2で含有されている請求項1〜4のいずれ
    かに記載の近赤外線遮蔽フィルム。
  6. 【請求項6】 二軸配向ポリエステルフィルムの少なく
    とも片面に易滑易接着層を設けた請求項1に記載の近赤
    外線遮蔽フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の近赤外
    線遮蔽フィルムとその少なくとも片面に貼合せた電磁波
    シールド性薄膜積層フィルムからなる近赤外線遮蔽フィ
    ルム積層体。
  8. 【請求項8】 フィルム積層体のヘーズ値が5%以下
    で、可視光線(波長400〜650nm)の全光線透過
    率が40%以上であり、かつ可視光領域及び近赤外領域
    における光学特性が下記式(5)〜(8)を満足する請
    求項7に記載の近赤外線遮蔽フィルム積層体。 【数3】 0.01≦T(850)≦0.20 ・・・・(5) 0.01≦T(950)≦0.20 ・・・・(6) 0.7≦T(620)/T(540)≦1.3 ・・・・(7) 0.7≦T(450)/T(540)≦1.3 ・・・・(8) (ただし、式中のT(450)、T(540)、T(6
    20)、T(850)及びT(950)は、それぞれ波
    長450nm、540nm、620nm、850nm及
    び950nmにおける透過率である。)
  9. 【請求項9】 発光型パネル方式ディスプレイの前面貼
    合せに用いる請求項7又は8に記載の近赤外線遮蔽フィ
    ルム積層体。
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