JP6174426B2 - 光選択透過フィルター形成用樹脂組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
本発明は更に、上記光選択透過フィルターに用いられる樹脂シートでもある。
本発明はそして、上記記載の光選択透過フィルター、レンズユニット部、及び、センサー部を少なくとも有する固体撮像素子でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下において段落に分けて記載される本発明の好ましい形態の2つ又は3つ以上を組み合わせたものも本発明の好ましい形態である。
本発明の光選択透過フィルター形成用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物とも称す)は、光選択透過フィルターの形成に用いられる樹脂組成物であり、色素及び樹脂成分を含むものであるが、色素と樹脂成分とを含む樹脂組成物中に色素が分散又は溶解された形態であることが好適である。
なお、色素は2種以上用いることが適当であるが、樹脂成分は1種又は2種以上を使用することができ、また、上記樹脂組成物は、必要に応じて更にその他の成分を1種又は2種以上含むものであってもよい。
上記色素は、吸収特性の異なる色素A及び色素Bを少なくとも含むものである。
上記色素Aは、下記の吸収特性(1)〜(3)を満たすフタロシアニン系色素であるが、このような色素Aと他の色素Bとを併用することで、充分な吸収帯幅を確保でき、光選択透過性に優れる光選択透過フィルターを与えることができるうえ、得られる光選択透過フィルターが耐久性にも優れるものとなる。
(1)650〜800nmの波長域に2つの吸収極大波長(λA1、λA2)を有し、そのうち長波長側に最大吸収波長λA2を有する。
(2)色素Aの最大吸収波長(すなわち、最も透過率が低いピークの波長)λA2は、色素Bの最大吸収波長λBよりも長波長側にある。
(3)上記2つの吸収極大波長(λA1、λA2)での吸光度の比(AA2/AA1)は、色素Aと樹脂成分とからなり、かつ該色素Aの含有割合が3質量%である組成物の吸光度を測定した場合に、2以上を満たす。
いずれの場合も溶媒分散法を用いることが好ましい。溶媒分散法とは、色素を溶媒(例えば、クロロホルム、ジメチルアセトアミド)に溶解させて得た溶液を、1cm厚の透明石英セルに充填し、分光光度計(例えば、Shimadzu UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定することができる。測定モードを吸光度とすれば色素の吸収スペクトルが、測定モードを透過率とすれば色素の透過率スペクトルが得られる。測定時の色素の濃度は特に限定されないが、例えば、溶媒と色素との総量100質量%に対し、色素を0.000001〜0.01質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.00001〜0.001質量%とすることである。
なお、上記吸光度(AA1、AA2)を測定する際の樹脂成分は、ポリイミド樹脂を用いることが好適である。
「樹脂成分に分散又は溶解含有させた膜」とは、特定色素と樹脂成分とからなる膜であって、2つの吸収極大波長(λA1、λA2)での吸光度が評価できる条件(λA1、λA2における吸光度が分光光度計の測定限界を超えずに、吸光度を測定できる条件)を満足するよう、特定色素の含有割合及び膜の厚みが選択された膜であればよい。
樹脂膜評価法において、評価用の膜は、特定色素の含有割合が0.01〜15質量%の範囲、膜の厚みが0.1〜10μmの範囲から選択されることが好ましく、膜における特定色素の含有割合が3質量%、膜の厚みが3μmであることがより好ましい。
評価用の膜は、特定色素と樹脂成分とを含み(必要に応じて溶媒を含んでもよい)、透明な基材(ガラス、透明樹脂フィルム)に成膜(塗布、必要に応じて乾燥)することにより得ることができる。このようにして得られた膜付き基材の吸光度を測定することにより、当該色素の吸光度AA1、AA2、AA2/AA1を求めることができる。
なお、評価用の樹脂成分としては特に限定されないが、後述する本発明の樹脂成分として使用し得る樹脂成分の少なくとも1種を用いた膜において、上述した(AA2/AA1)比を満足する特定色素であれば、本発明の樹脂組成物に好適に用いることができる。評価用の樹脂成分としては、後述する溶剤可溶性樹脂であることが好ましい。評価用の樹脂成分として好ましい樹脂成分はまた、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂からなる群から選択される1種であることが好ましい。中でも、フッ素化芳香族ポリマー又はポリ(アミド)イミド樹脂がより好ましく、更に好ましくはポリ(アミド)イミド樹脂であり、特に好ましくはポリイミド樹脂である。
吸光度は、例えば、島津製作所製:UV−1800(測定機械)を用いて測定することができる。
なお、アルコキシカルボニル基(−COOR)及びアルキル基(−R)を構成するRは、炭素数1〜4のアルキル基であることが好適である。アルコキシカルボニル基として好ましくは、メトキシカルボニル基又はメトキシエトキシカルボニル基であり、アルキル基として好ましくは、メチル基又はジメチル基である。
なお、1個のORi基が2個以上の置換基を有する場合、当該置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、ORi基における置換基の位置は特に限定されるものではない。
ここで、ORi基が結合する炭素は、フタロシアニン骨格の4個の芳香環におけるα位炭素(Cα:フタロシアニン環の1,4,8,11,15,18,22,25位の炭素を表す。)でもよいし、β位炭素(Cβ:フタロシアニン環の2,3,9,10,16,17,23,24位の炭素を表す。)でもよいが、少なくともα位炭素であることが好適である。中でも、α位炭素(Cα)のうち平均2個以上の炭素にORi基が結合した形態が好ましく、より好ましくは、各芳香環に1個以上のα位炭素(Cα)にORi基が結合した形態である。また、β位炭素(Cβ)のうち平均4個以上の炭素に水素原子又はフッ素原子が結合した形態であることも好適である。より好ましくは、β位炭素(Cβ)のうち平均6個以上の炭素に水素原子又はフッ素原子が結合した形態であり、更に好ましくは、β位炭素(Cβ)の全ての炭素に水素原子又はフッ素原子が結合した形態である。このような形態とすることで、上述した吸収特性(1)〜(3)をより充分に満たすフタロシアニン系色素となるため、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記反応はまた、大気雰囲気中で行ってもよいが、金属化合物の種類により、不活性ガス又は、酸素含有ガス雰囲気(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、又は、酸素/窒素混合ガス等の流通下)で行われることが好ましい。
上記環化反応後は、従来公知の方法に従って、晶析、濾過、洗浄、及び/又は、乾燥を行ってもよい。
式(ii−b)中、R4は、同一又は異なって、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、−COOR5、又は、フッ素原子を表す。R5は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。n1は、0〜5の整数である。
式(ii−b’)中、R4’は、同一又は異なって、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、−COOR5’、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリール基、又は、ハロゲン原子を表す。R5’は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。n1’は、0〜5の整数である。
式(iii−c)及び(iii−d)中、R8は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は、−(R6O)m2R7で表わされる基を表す。R5、p、R6、m2及びR7は、上記式(iii−a)及び(iii−b)における各記号と、それぞれ同様の定義である。
式(iii−e)、(iii−f)及び(iii−g)中、X1は、酸素原子又は硫黄原子を表す。Arは、1以上のR9で置換されてもよいフェニル基又はナフチル基を表す。R9は、同一又は異なって、シアノ基、ニトロ基、COOY1、OY1、ハロゲン原子、アリール基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表す。Y1は、炭素数1〜12のアルキル基を表す。R10は、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表す。R11は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R12は、同一又は異なって、炭素数1〜8のアルコキシ基、又は、炭素数1〜8のアルキル基を表す。
ここで、上記350〜400nmの波長域に吸収能を有する化合物を含む形態としては、上記色素A及び/又は色素Bが、更に350〜400nmの波長域に吸収能を有する化合物である形態であってもよいし、また、別途、350〜400nmの波長域に吸収能を有する化合物を併用する形態であってもよい。後者の350〜400nmの波長域に吸収能を有する化合物としては、例えば、TINUVIN P、TINUVIN 234、TINUVIN 329、TINUVIN 213、TINUVIN 571、TINUVIN 326(BASF社製)等の紫外線吸収化合物の1種又は2種以上を使用することができる。
上記樹脂組成物において、樹脂成分としては、色素を充分に溶解又は分散できる樹脂成分であることが好ましい。すなわち、上記色素は、樹脂組成物中に均一に分散又は溶解されてなることが好ましい。このような樹脂成分を適切に選択することにより、透過させたい波長域(例えば、可視領域)における高透過率と、遮断したい波長域(例えば、赤外領域)における高吸収性とを両立することが可能となる。
なお、光選択透過フィルターが有する、上記樹脂組成物により形成される樹脂層自体は、溶剤可溶性であっても不溶性であってもよい。
なお、「樹脂原料」には、樹脂の前駆体や該前駆体の原料、更に、樹脂を形成するための単量体(硬化性モノマー等)が含まれるものとする。
なお、架橋可能な反応性基の量や成膜時の架橋反応をどの程度進めるかは特に限定されるものではないが、樹脂の溶剤可溶性が維持できる程度であることが好ましい。
なお、一般式(1−1)又は(1−2)で表される繰り返し単位は、同一でも異なっていてもよく、ブロック状、ランダム状等の何れの形態であってもよい。
上記一般式(1−2)中、R14は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基又は炭素数6〜20のアリールチオ基を表す。R15は、炭素数1〜150の芳香族環を有する2価の有機鎖を表す。zは、芳香族環に結合しているフッ素原子の数であり、1又は2である。n3は、重合度を表し、2〜5000の範囲内が好ましく、5〜500の範囲内がより好ましい。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、フルフリルオキシ基、アリルオキシ基等が好適である。
上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基等が好適である。
上記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、iso−プロピルチオ基等が好適である。
上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル類(例えば、メチルエステル、エチルエステル、メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、フルフリルエステル及びフェニルエステル等)由来の基、ナフトキシ基、o−、m−又はp−メチルフェノキシ基、o−、m−又はp−フェニルフェノキシ基、フェニルエチニルフェノキシ基、クレソチン酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールアミノ基としては、アニリノ基、o−、m−又はp−トルイジノ基、1,2−又は1,3−キシリジノ基、o−、m−又はp−メトキシアニリノ基、アントラニル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールチオ基としては、フェニルチオ基、フェニルメタンチオ基、o−、m−又はp−トリルチオ基、チオサリチル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
なお、ポリイミド樹脂におけるイミド結合は、通常、アミド結合とそれに隣接するカルボキシル基とを有する結合鎖(本発明では、該結合鎖をアミック酸ともいう。通常は、アミド結合が結合した炭素原子に隣接する炭素原子にカルボキシル基が結合した構造である。)におけるアミド結合とカルボキシル基との脱水反応により形成される。
ポリアミック酸から脱水反応によりポリイミド樹脂を生成させる際、分子内に若干量のアミック酸は残存し得る。したがって、本発明で「ポリイミド樹脂」という場合は、イミド結合を含み、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合は含まないが、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得るアミド結合は含まないか若干量含んでいてもよい。
上記ポリ(アミド)イミド樹脂はまた、透明性を有することが好ましい。透明性向上のためには、芳香環が少ないほうが好ましい。中でも、芳香環を脂環又は脂肪鎖等で置き換えた構造を有することが好適である。より好ましくは、全重量100%中の芳香環の重量が65%以下、更に好ましくは45%以下、特に好ましくは30%以下である。
上記一般式(5)におけるR16としては、2価の有機基が好ましく、中でも、炭素数2〜39の2価の有機基が好ましい。また、当該有機基は1種又は2種以上の炭化水素骨格を含むものが好ましい。炭化水素骨格としては、脂肪族鎖状炭化水素、脂肪族環状炭化水素又は芳香族炭化水素であることが好ましい。当該有機基はまた、複素環骨格を有するものであってもよい。
なお、上記一般式(5)で表される繰り返し単位におけるそれぞれのR16としては、同一であっても異なるものであってもよい。
なお、一般式(5)におけるシクロヘキシル環における水素原子の一部又は全部が置換されていてもよいが、無置換(全て水素原子である形態)であるものが好ましい。
上記一般式(5)で表される繰り返し単位は、同一でも異なっていてもよく、ブロック状、ランダム状等の何れの形態であってもよい。
なお、本明細書中、エポキシ基とは、3員環のエーテルであるオキシラン環を含むものであり、狭義のエポキシ基の他、グリシジル基(グリシジルエーテル基及びグリシジルエステル基を含む)を含むものを意味する。
上記可撓性成分としては、上記エポキシ化合物とは異なる化合物であってもよいし、上記エポキシ化合物の少なくとも1種が可撓性成分であってもよい。
アクリル樹脂とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物((メタ)アクリロイル基含有化合物又は(メタ)アクリル系化合物とも称す。)を含む硬化性組成物の硬化物であり、スチレン樹脂とは、スチレンやジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー(スチレン系化合物とも称す。)を含む硬化性組成物の硬化物であり、アクリル−スチレン樹脂とは、(メタ)アクリロイル基含有化合物及びスチレン系モノマーを含む硬化性組成物の硬化物である。上記ビニル重合体樹脂の中でも、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂が好ましい。
上記アクリル−スチレン樹脂原料としては、上記アクリル樹脂原料の好適な形態において更にスチレン系モノマーを用いた組成物が好ましい。
上記樹脂組成物は、上述したように色素及び樹脂成分を含むものであるが、更に必要に応じて、その他の成分を含むものであってもよい。その他の成分としては、上述した他の色素等が挙げられるが、その他の成分として、金属酸化物等の無機成分を含む場合、その含有量は、可視光に対する透明性に優れる観点から、樹脂組成物100質量%中に50質量%未満であることが好適である。より好ましくは20質量%未満、更に好ましくは5質量%未満、特に好ましくは1質量%未満である。最も好ましくは、上記樹脂層を形成する樹脂組成物が、無機成分を実質的に含まないことである。
上記樹脂組成物は、上述したフタロシアニン系色素及び樹脂成分を必須とし、必要に応じてその他の成分を含んでもよいが、その調製方法は特に限定されるものではない。これらの成分を通常の手法で混合することにより得ることができる。例えば、色素に、樹脂成分及び必要に応じて溶媒成分を添加し、混合・溶解することにより得ることができる。
本発明はまた、樹脂シートを含む光選択透過フィルターであって、該樹脂シートは、上述した本発明の光選択透過フィルター形成用樹脂組成物から形成される樹脂層を含む光選択透過フィルターでもある。
なお、樹脂シート及び樹脂層は、それぞれ1又は2以上含んでいてもよい。
上記光選択透過フィルターにおける樹脂シートは、上記光選択透過フィルター形成用樹脂組成物から形成される樹脂層を有する樹脂シート(フィルム形状を含む)である。このような樹脂シートは、シャープな透過吸収特性を有し、例えば反射膜と組み合わせることで、視野角依存性(入射角依存性とも称す)が充分に低減される光選択透過フィルターを与えることができるうえ、耐光性や耐熱性にも優れるものである。また、樹脂シートを反射膜として好適な光学多層膜と組み合わせると、光学多層膜の層数を減らすことができ、該多層膜における応力を緩和できるため、多層膜のクラックや割れを充分に防止することもできる。このような本発明の光選択透過フィルターに用いられる樹脂シートもまた、本発明の1つである。
なお、樹脂シートを構成する樹脂層や、支持体等の他の層は、各々、一層又は二層以上であってもよい。
なお、上記樹脂シートが支持体を含む場合、該支持体の厚みは120μm以下であることが好ましい。
これらの吸収極大波長は、通常の手法で吸収スペクトルを測定することで求めることができるが、別法として、透過率スペクトルから求めることもできる。
なお、上記樹脂シート及び光選択透過フィルターについても、可視光領域におけるヘイズ及び可視光500nmにおける透過率が、夫々上述した範囲にあることが好ましい。
透過率は、分光光度計(例えば、Shimadzu UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定することができる。透過率の測定に供する樹脂層及び樹脂シートの厚みは、1〜200μmとすることが好ましい。
上記支持体フィルムとしては、透明性に優れる樹脂を用いることが好適である。具体的には、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、シクロオレフィン樹脂等を用いることができる。これらの中でも、反射層を蒸着形成する際の耐熱性に優れる点で、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂及び/又はアクリル樹脂が好ましい。より好ましくは、ポリ(アミド)イミド樹脂を少なくとも用いることである。
上記光選択透過フィルターはまた、反射膜(反射層とも称す)を含むことが好適である。これにより、光選択透過性により優れ、光遮断特性の入射角依存性が充分に低減され、かつ充分な薄膜化を実現することが可能な光選択透過フィルターとなり得る。このように、上記光選択透過フィルターが更に反射膜を含む形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
上記誘電体層Aを構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を通常用いることができ、好ましくは、屈折率の範囲が1.2〜1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が好適である。
また、上記反射膜の厚みは、0.5〜10μmであることが好ましい。より好ましくは、2〜8μmである。反射膜が上記樹脂シートの両面に形成される形態においては、両面の反射膜の合計の厚みが上記範囲内にあることが好ましい。
このように本発明の光選択透過フィルターが他の機能を有する形態においては、上記樹脂シートの一方の表面に反射膜を形成し、他方の表面に他の機能を付与するための機能性材料層を形成することが好ましい。機能性材料層は、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法により、直接、上記樹脂シート上に形成したり、離型処理された仮の基材上に形成された機能性材料層を上記樹脂シートに接着剤で張り合わせたりすることにより得ることができる。また、原料物質を含有する液状組成物を上記樹脂シートに塗布、乾燥して、製膜することによっても得ることができる。
図1に示すように、光選択透過フィルターは、所望の波長の光(カメラモジュールにおいては、例えば、700nm以上の波長の光)をカットし、シーモスセンサーの誤作動を防ぐ役割がある。カメラモジュールに光選択透過フィルターを入れると、焦点距離が伸びるため、バックフォーカスが伸張し、モジュールが大きくなる。光選択透過フィルターの厚みがtで屈折率nが1.5程度の場合、図2に示すように、バックフォーカスが約t/3伸張し、モジュールが大きくなるが、光選択透過フィルターを薄くして、焦点距離を短くし、モジュールを小さくすることができる。それにより、例えば、1/10インチの光学サイズの光路長としては、光選択透過フィルターなしの場合の120%以下とすることが好ましい。より好ましくは110%以下、更に好ましくは105%以下である。
紫外線カットフィルターは、紫外線を遮断する機能を有するフィルターである。選択的に低減する波長の範囲としては、200〜350nmであることが好ましい。
赤外・紫外線カットフィルターは、紫外線及び赤外線の両方を遮断する機能を有するフィルターである。選択的に低減する波長の範囲は、上述と同様であることが好ましい。
透過率は、分光光度計(Shimadzu UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
なお、光遮断特性の入射角依存性は、吸収層の吸収により充分に低減されている必要があり、入射角の変化に対して透過率スペクトルが変化しないこと、又は、その変化の程度が小さいことが好ましい。具体的には、入射角0°を20°に変えても(より好ましくは25°に変えても)、透過率80%以上の領域において、透過率のスペクトルが変化しないことが好ましく、より好ましくは、透過率70%以上の領域において透過率のスペクトルが変化しないことであり、更に好ましくは、透過率60%以上の領域において透過率のスペクトルが変化しないことである。最も好ましくは、いずれの透過率領域においてもスペクトルが変化しないことである。
固体撮像素子は、通常、レンズユニット(撮像レンズ)部、光選択透過フィルター、及び、CCDやCMOS等のセンサー部を備えるが、本発明の光選択透過フィルターを用いた固体撮像素子は、通常、レンズユニット(撮像レンズ)部と、CCDやCMOS等のセンサー部との間に配置される。このように本発明の光選択透過フィルター、レンズユニット部、及び、センサー部を少なくとも有する固体撮像素子もまた、本発明の1つである。通常、反射型の光選択透過フィルターを用いた固体撮像素子では、入射角依存性に起因する影響(入射角による色むらの発生等)を抑制するために、多数のレンズを使用してレンズユニット部を構成するが、本発明の固体撮像素子では、上述した光選択透過フィルターを用いることによって、入射角依存性に起因する影響が充分に排除されるため、レンズユニット部を構成するレンズの枚数を少なくすることができ、薄型化・軽量化がより実現されることになる。
なお、レンズユニット部については、国際公開第2008/081892号パンフレットに記載の形態が好ましく採用できる。
3−(2−メトキシカルボニルフェノキシ)フタロニトリルの合成
200mlの四つ口セパラブルフラスコに3−ニトロフタロニトリル6.9g(0.040mol)、サリチル酸メチル6.8g(0.044mol)、炭酸カリウム11.06g(0.080mol)、及びアセトニトリル27.8gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2−メトキシカルボニルフェノキシ)フタロニトリル10.3g(収率92.8%)を得た。
3−(4−メトキシエチルカルボニルフェノキシ)フタロニトリルの合成
200mlの四つ口セパラブルフラスコに3−ニトロフタロニトリル13.85g(0.080mol)、4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチル 16.65g(0.084mol)、炭酸カリウム13.27g(0.096mol)、及びアセトニトリル55.4gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(4−メトキシエチルカルボニルフェノキシ)フタロニトリル19.55g(収率75.8%)を得た。
3−(2−クロロフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコに3−ニトロフタロニトリル17.3g(0.10mol)、2−クロロフェノール13.6g(0.105mol)、炭酸カリウム16.6g(0.12mol)、及びアセトニトリル69.3gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2−クロロフェノキシ)フタロニトリル27.8g(収率91.7%)を得た
3−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコに3−ニトロフタロニトリル15.0g(0.087mol)、2,6−ジクロロフェノール15.7g(0.095mol)、炭酸カリウム23.9g(0.17mol)、及びアセトニトリル60.0gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリル17.5g(収率69.9%)を得た。
3−(2,6−ジメチルフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコに3−ニトロフタロニトリル15.0g(0.087mol)、2,6−ジメチルフェノール11.2g(0.091mol)、炭酸カリウム23.9g(0.17mol)、及びアセトニトリル60.0gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)フタロニトリル17.5g(収率69.9%)を得た。
3−(4−シアノフェノキシ)フタロニトリルの合成
200mlの四つ口セパラブルフラスコに3−ニトロフタロニトリル13.8g(0.08mol)、4−シアノフェノール10.1g(0.084mol)、炭酸カリウム13.3g(0.096mol)、及びアセトニトリル55.4gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(4−シアノフェノキシ)フタロニトリル19.3g(収率98.2%)を得た。
4−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコに4−ニトロフタロニトリル15.0g(0.087mol)、2,6−ジクロロフェノール15.7g(0.095mol)、炭酸カリウム23.9g(0.17mol)、及びアセトニトリル60.0gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリル22.8g(収率91.1%)を得た。
3−(2−メチルフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコに3−ニトロフタロニトリル15.0g(0.087mol)、2−メチルフェノール9.98g(0.091mol)、炭酸カリウム23.9g(0.17mol)、及びアセトニトリル60.0gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2−メチルフェノキシ)フタロニトリル18.6g(収率91.6%)を得た。
4−(2−クロロフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコに4−ニトロフタロニトリル17.3g(0.10mol)、2−クロロフェノール13.6g(0.105mol)、炭酸カリウム16.6g(0.12mol)、及びアセトニトリル69.3gを仕込み、60℃で一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4−(2−クロロフェノキシ)フタロニトリル21.5g(収率84.4%)を得た。
4,5−ビス(3−クロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル10.0g(0.050mol)、フッ化カリウム6.97g(0.12mol)及びアセトン30gを仕込み、更に滴下ロートに3−クロロフェノール13.04g(0.101mol)及びアセトン13.04gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより3−クロロフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(3−クロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル 9.64g(収率46.2%)を得た。
4,5−ビス(4−クロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル30.0g(0.15mol)、フッ化カリウム20.9g(0.36mol)、及びアセトン90gを仕込み、更に滴下ロートに4−クロロフェノール39.7g(0.31mol)及びアセトン66.2gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−クロロフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(4−クロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル39.60g(収率63.3%)を得た。
4,5−ビス(2,3−ジクロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル30g(0.150mol)、フッ化カリウム20.91g(0.36mol)、及びアセトン90gを仕込み、更に滴下ロートに2,3−ジクロロフェノール49.62g(0.303mol)及びアセトン49.62gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより2,3−ジクロロフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(2,3−ジクロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル53.07g(収率72.8%)を得た。
4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル50g(0.25mol)、フッ化カリウム34.8g(0.60mol)、及びアセトン50gを仕込み、更に滴下ロートに2,5−ジクロロフェノール82.3g(0.50mol)及びアセトン82.3gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより2,5−ジクロロフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル88.8g(収率72.7%)を得た。
4,5−ビス(3−シアノフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル12.0g(0.050mol)、フッ化カリウム8.37g(0.144mol)、及びアセトン30gを仕込み、更に滴下ロートに3−シアノフェノール14.5g(0.122mol)及びアセトン14.5gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−シアノフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(3−シアノフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル18.81g(収率78.7%)を得た。
4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル100.0g(0.50mol)、フッ化カリウム58.7g(1.0mol)、及びアセトン100.0gを仕込み、更に滴下ロートに4−シアノフェノール120.3g(1.0mol)及びアセトン120.3gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−シアノフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル145.7g(収率73.2%)を得た。
4,5−ビス(3−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
200mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル10.0g(0.050mol)、フッ化カリウム6.97g(0.120mol)、及びアセトン30gを仕込み、更に滴下ロートに3−ヒドロキシ安息香酸メチル15.66g(0.103mol)及びアセトン15.66gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより3−ヒドロキシ安息香酸メチルのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(3−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル15.56g(収率67.0%)を得た。
4,5−ビス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル30.0g(0.150mol)、フッ化カリウム19.2g(0.33mol)、及びアセトン50.0gを仕込み、更に滴下ロートに4−ヒドロキシ安息香酸メチル46.53g(0.31mol)及びアセトン74.5gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−ヒドロキシ安息香酸メチルのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル30.7g(収率42.8%)を得た。
4,5−ビス(4−ニトロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル15.72g(0.078mol)、フッ化カリウム10.94g(0.188mol)、及びアセトン45.0gを仕込み、更に滴下ロートに4−ニトロフェノール 22.16g(0.159mol)及びアセトン30.0gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−ニトロフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(4−ニトロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル28.28g(収率82.2%)を得た。
4,5−ビス(4−ブロモフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル17.00g(0.03mol)、フッ化カリウム4.92g(0.08mol)、及びアセトン60.0gを仕込み、更に滴下ロートに4−ブロモフェノール 12.23g(0.07mol)及びアセトン30.0gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−ブロモフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(4−ブロモフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル9.56g(収率54.0%)を得た。
4,5−ビス(4−フルオロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル112.80g(0.06mol)、フッ化カリウム8.99g(0.15mol)、及びアセトン60.0gを仕込み、更に滴下ロートに4−フルオロフェノール 22.16g(0.159mol)及びアセトン30.0gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−フルオロフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(4−フルオロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル15.71g(収率63.9%)を得た。
4,5−ビス(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル30.0g(0.150mol)、フッ化カリウム20.91g(0.360mol)、及びアセトン45.0gを仕込み、更に滴下ロートに3−トリフルオロメチルフェノール 49.34g(0.304mol)及びアセトン30.0gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより3−トリフルオロメチルフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル38.50g(収率58.6%)を得た。
4−(2−メチルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル50g(0.25mol)、フッ化カリウム14.8g(0.255mol)、及びアセトン150gを仕込み、更に滴下ロートに2−メチルフェノール27.3g(0.25mol)及びアセトン63.7gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより2−メチルフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4−(2−メチルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル48.5g(収率67.1%)を得た。
4−(2−メチルフェノキシ)−5−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコに合成例22で得られた4−(2−メチルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル36.0g(0.0.125mol)、フッ化カリウム10.87g(0.187mol)、及びアセトン70.2gを仕込み、更に滴下ロートに4−ヒドロキシ安息香酸メチル16.3g(0.132mol)及びアセトン30gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−ヒドロキシ安息香酸メチルのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4−(2−メチルフェノキシ)−5−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル28.5g(収率58.2%)を得た。
4−(2−クロロフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル50g(0.250mol)、フッ化カリウム17.4g(0.30mol)、及びアセトン50gを仕込み、更に滴下ロートに2−クロロフェノール33.2g(0.257mol)及びアセトン33.2gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより2−クロロフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4−(2−クロロフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル50.1g(収率65.0%)を得た。
4−(2−クロロフェノキシ)−5−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6―ジフルオロフタロニトリルの合成
200mlの四つ口セパラブルフラスコに合成例24で得られた4−(2−クロロフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル36.0g(0.0.125mol)、フッ化カリウム10.87g(0.187mol)、及びアセトン70.2gを仕込み、更に滴下ロートに4−ヒドロキシ安息香酸メチル16.3g(0.132mol)及びアセトン30gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−ヒドロキシ安息香酸メチルのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4−(2−クロロフェノキシ)−5−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル28.5g(収率58.2%)を得た。
4−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル50g(0.25mol)、フッ化カリウム15.9g(0.275mol)、及びアセトン150gを仕込み、更に滴下ロートに4−ヒドロキシ安息香酸メチル39.9g(0.26mol)及びアセトン40gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−ヒドロキシ安息香酸メチルのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル30.0g(収率35.8%)を得た。
4,5−ビス(4−メトキシフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリルの合成
500mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル30.0g(0.15mol)、フッ化カリウム18.3g(0.315mol)、及びアセトン70.0gを仕込み、更に滴下ロートに4−メトキシフェノール37.6g(0.30mol)及びアセトン37.6gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより4−メトキシフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(4−メトキシフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル39.15g(収率63.9%)
を得た。
4−(2,6−ジメチルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリルの合成
200mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル30g(0.150mol)、フッ化カリウム9.58g(0.165mol)、及びアセトン90gを仕込み、更に滴下ロートに2,6−ジメチルフェノール19.24g(0.157mol)及びアセトン20.0gを仕込んだ。−1℃で攪拌しながら、滴下ロートより2,6−ジメチルフェノールのアセトン溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4−(2,6−ジメチルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル34.4g(収率75.9%)を得た。
試験例1−1
(1)[C,C,C,1−テトラキス(2−メトキシカルボニルフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(A−Pc1と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに、合成例1で得られた3−(2−メトキシカルボニルフェノキシ)フタロニトリル4.17g(0.0150mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.32g(0.0041mol)、ベンゾニトリル16.70gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、反応液をフタロシアニン化合物の理論収量の20倍に相当するメタノール(89g)中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウェットケーキを得た。得られたケーキを再度、フタロシアニン化合物の理論収量の10倍量に相当するメタノール(45g)で撹拌洗浄し、吸引ろ過した。得られたケーキを真空乾燥機を用いて、100℃で24時間乾燥後、目的物(A−Pc1)2.00gを得た(収率45.0%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc1)について、以下の方法により、ポリイミド中の分光特性を測定し、その結果を表1に示した。
ネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)8部にジメチルアセトアミド100部を加え、120℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液6.063gに上記で得られたフタロシアニン化合物(A−Pc1)15mgを加え、混合、溶解して樹脂塗料液を調整した。得られた樹脂塗料液をスピンコーターでガラス板上に塗布し120℃で20分間乾燥させることにより(乾燥後の樹脂膜の厚み:3μm)、試料(ガラス板に樹脂層が形成されたコーティングガラス)を得た。得られた試料、すなわち樹脂シート(吸収シートとも称す)の吸収スペクトルを分光光度計(島津製作所製:UV−1800)で測定した。結果を以下の表1にまとめた。
[C,C,C,1−テトラキス(2−メトキシカルボニルフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]銅(A−Pc2と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例1で得られた3−(2−メトキシカルボニルフェノキシ)フタロニトリル4.00g(0.0144mol)、塩化銅(I)0.39g(0.0040mol)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル9.33gを仕込み、180℃で撹拌しながら10時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc2)2.94gを得た(収率69.5%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc2)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[C,C,C,1−テトラキス(4−メトキシエチルカルボニルフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(A−Pc3と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例2で得られた3−(4−メトキシエチルカルボニルフェノキシ)フタロニトリル8.38g(0.026mol)、ヨウ化亜鉛(II)2.28g(0.0072mol)、ベンゾニトリル19.55gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc3)4.11gを得た(収率46.7%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc3)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[C,C,C,1−テトラキス(2−クロロフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(A−Pc4と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例3で得られた3−(2−クロロフェノキシ)フタロニトリル10.19g(0.040mol)、ヨウ化亜鉛(II)3.51g(0.011mol)、ベンゾニトリル23.8gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc4)2.74gを得た(収率25.3%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc4)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[C,C,C,1−テトラキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(A−Pc5と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例4で得られた3−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリル2.3g(0.0080mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.70g(0.0022mol)、ベンゾニトリル13.1gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc5)0.80gを得た(収率32.8%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc5)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[C,C,C,1−テトラキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]銅(A−Pc6と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例4で得られた3−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリル4.00g(0.0144mol)、塩化銅(I)0.38g(0.0038mol)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル9.33gを仕込み、180℃で撹拌しながら10時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc6)3.22gを得た(収率76.3%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc6)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[C,C,C,1−テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(A−Pc7と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例5で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)フタロニトリル3.72g(0.015mol)、ヨウ化亜鉛(II) 1.32g(0.0041mol)、ベンゾニトリル14.90gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc7)2.59gを得た(収率65.4%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc7)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[C,C,C,1−テトラキス(2,6−メチルフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]銅(A−Pc8と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例5で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)フタロニトリル4.00g(0.0161mol)、塩化銅(I)0.44g(0.0044mol)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル9.33gを仕込み、180℃で撹拌しながら10時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc8)2.87gを得た(収率67.44%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc8)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[C,C,C,1−テトラキス(4−シアノフェノキシ)−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(A−Pc9と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例6で得られた3−(4−シアノフェノキシ)フタロニトリル8.0g(0.0326mol)、ヨウ化亜鉛(II)2.86g(0.0090mol)、ベンゾニトリル18.6gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc9)3.6gを得た(収率47.3%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc9)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[ZnPc−{α−(2,6−Cl2PhO)2H6}{β−(2,6−Cl2PhO)2H6}]亜鉛(A−Pc10と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例4で得られた3−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリル2.5g(0.0086mol)、合成例7で得られた4−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリル2.5g(0.0086mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.1g(0.0048mol)、ベンゾニトリル7.5gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc10)4.2gを得た(3−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリルと4−(2,6−ジクロロフェノキシ)フタロニトリルに対する収率79.2%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc10)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
[ZnPc−{α−(2−CH3PhO)2H6}{β−(2−Cl2PhO)2H6}]亜鉛(A−Pc11と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例8で得られた3−(2−メチルフェノキシ)フタロニトリル2.34g(0.010mol)、合成例9で得られた4−(2−クロロフェノキシ)フタロニトリル2.55g(0.010mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.76g(0.0055mol)、ベンゾニトリル7.5gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(A−Pc11)4.24gを得た(3−(2−メチルフェノキシ)フタロニトリルと4−(2−クロロフェノキシ)フタロニトリルに対する収率81.5%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(A−Pc11)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表1にまとめた。
式(6)中のM、X、Y及びRαは、各色素について表1に示すとおりである。例えば、Pc1について、Rαが「2−メトキシカルボニルフェノキシ 4個、水素 4個」、X及びYが「水素 8個」であるとは、式(6)中のRα(合計8個)のうち4個が2−メトキシカルボニルフェノキシ基、残りのRαが水素原子であり、X及びYの全て(合計8個)が水素原子であることを意味する。
Q1:フタロシアニンの短波長側の吸収
Q2:フタロシアニンの長波長側の吸収
λQ1:フタロシアニンの短波長側の吸収の吸収極大波長
λQ2:フタロシアニンの長波長側の吸収の吸収極大波長
Abs(Q1):λQ1(のMax値)における吸光度
Abs(Q2):λQ2(のMax値)における吸光度
Abs(Q2)/Abs(Q1):Abs(Q1)とAbs(Q2)との比
また、α位置換基とは、フタロシアニン環の1,4,8,11,15,18,22,25位の炭素に結合した置換基を意味し、β位置換基とは、フタロシアニン環の2,3,9,10,16,17,23,24位の炭素に結合した置換基を意味する。
試験例2−1
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(3−クロロフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc1と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例10で得られた4,5−ビス(3−クロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル4.17g(0.010mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル9.73gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc1)4.12gを得た(収率95.1%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc1)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−クロロフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc2と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例11で得られた4,5−ビス(4―クロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル8.34g(0.020mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.76g(0.0055mol)、ベンゾニトリル19.46gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc2)8.09gを得た(収率93.4%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc2)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(2,3−ジクロロフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc3と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例12で得られた4,5−ビス(2,3−ジクロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル4.86g(0.0100mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル11.34gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc3)4.75gを得た(収率94.6%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc3)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc4と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例13で得られた4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル8.26g(0.0170mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.42g(0.0045mol)、ベンゾニトリル33.05gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc4)7.17gを得た(収率84.0%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc4)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド(B−Pc5と称す)の合成
100mlの四ツ口フラスコに合成例13で得られた4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル15.00g(0.0309mol)、塩化バナジウム(III) 1.58g(0.010モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 21.99g及びベンゾニトリル 2.40gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc5)13.61g(収率87.7%)を得た。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc5)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(3−シアノフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc6と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例14で得られた4,5−ビス(3―シアノフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル3.98g(0.010mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル9.29gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc6)3.47gを得た(収率83.7%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc6)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc7と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例15で得られた4,5−ビス(4―シアノフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル8.17g(0.0205mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.72g(0.0054mol)、ベンゾニトリル32.66gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc7)7.04gを得た(収率82.9%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc7)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(3−メトキシカルボニルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc8と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例16で得られた4,5−ビス(3−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル9.29(0.020mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.76g(0.0055mol)、ベンゾニトリル21.67gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc8)7.50gを得た(収率78.1%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc8)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc9と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例17で得られた4,5−ビス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル9.29(0.0200mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.76g(0.0055mol)、ベンゾニトリル21.67gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc9)8.82gを得た(収率91.8%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc9)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−ニトロフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc10と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例18で得られた4,5−ビス(4−ニトロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル4.38g(0.0100mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル10.23gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc10)4.39gを得た(収率96.6%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc10)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−ブロモフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc11と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例19で得られた4,5−ビス(4―ブロモフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル9.45g(0.008mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.70g(0.0022mol)、ベンゾニトリル12.65gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc11)3.81gを得た(収率91.2%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc11)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−フルオロフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc12と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例20で得られた4,5−ビス(4―フルオロフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル3.84g(0.0100mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル9.60gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc12)3.52gを得た(収率88.0%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc12)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc13と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例21で得られた4,5−ビス(3―トリフルオロメチルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル3.84g(0.0100mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル8.97gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc13)3.52gを得た(収率88.0%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc13)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[C,C,C,2―テトラキス(2−メチルフェノキシ)−C,C,C,3−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc14と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例23で得られた4−(2−メチルフェノキシ)−5−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)3,6−ジフルロフタロニトリル8.41g(0.0200mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.76g(0.0055mol)、ベンゾニトリル12.61gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc14)7.43g(収率85.2%)を得た。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc14)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[C,C,C,2―テトラキス(2−クロロフェノキシ)−C,C,C,3−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc15と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに上記で得られた合成例25で得られた4−(2−クロロフェノキシ)−5−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル8.82g(0.0200mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.76g(0.0055mol)、ベンゾニトリル20.57gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc15)8.54g(収率93.5%)を得た。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc15)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[C,C,C,2―テトラキス(2−クロロフェノキシ)−C,C,C,3−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド(B−Pc16と称す)の合成
100mlの四ツ口フラスコに、合成例25で得られた4−(2−クロロフェノキシ)−5−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ジフルオロロフタロニトリル12.00g(0.0272mol)、塩化バナジウム(III)1.39g(0.009モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 17.59g及びベンゾニトリル 1.92gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc16)11.14g(収率89.4%)を得た。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc16)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[C,C,C,2−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−C,C,C,1,3,4,8,11,15,18,22,25−ドデカフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc17と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例26で得られた4−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル3.32g(0.010mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル7.75gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc17)2.67gを得た(収率76.7%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc17)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[C,C,C,2−テトラキス(2―クロロフェノキシ)−C,C,C,1,3,4,8,11,15,18,22,25−ドデカフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc18と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例24で得られた4−(2−クロロフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル3.09g(0.010mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル7.20gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc18)3.01gを得た(収率92.7%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc18)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−メトキシフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド(B−Pc19と称す)の合成
100mlの四ツ口フラスコに合成例27で得られた4,5−ビス(4−メトキシフェノキシ)−3,6−ジフルオロフタロニトリル12.00g(0.0294mol)、塩化バナジウム(III) 1.50g(0.010モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 17.59g及びベンゾニトリル 1.92gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc19)11.54g(収率92.4%)を得た。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc19)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[C,C,C,2−テトラキス(2−メチルフェノキシ)−C,C,C,1,3,4,8,11,15,18,22,25−ドデカフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc20と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例22で得られた4−(2−メチルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル5.76g(0.020mol)、ヨウ化亜鉛(II)1.76g(0.0055mol)、ベンゾニトリル8.64gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc20)7.94gを得た(収率90.9%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc20)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
[C,C,C,2−テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−C,C,C,1,3,4,8,11,15,18,22,25−ドデカフルオロ−29H,31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]亜鉛(B−Pc21と称す)の合成
200mlの四つ口フラスコに合成例28で得られた4−(2,6−ジメチルフェノキシ)−3,5,6−トリフルオロフタロニトリル3.02g(0.010mol)、ヨウ化亜鉛(II)0.88g(0.0028mol)、ベンゾニトリル7.05gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた。反応終了後、試験例1−1と全く同様の操作を行い、目的物(B−Pc21)2.83gを得た(収率88.9%)。
このようにして得られたフタロシアニン化合物(B−Pc21)について、試験例1−1に記載の方法と同様にして、樹脂組成物の調製、吸収シートの製造を行い、その評価結果を表2にまとめた。
試験例2−22
ネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)8部にジメチルアセトアミド100部を加え、120℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液6.063gにシアニン系色素{1H−Benzindolium,3−butyl−2−[5−(3−butyl−1,3−dihydro−1,1−dimethyl−2H−benzindol−2−ylidene)−1,3−pentadien−1−yl]−1,1−dimethyl−tetrafluoroborate(1−)}(Cy−1と称す)15mgを加え、混合、溶解して樹脂塗料液を調整した。得られた樹脂塗料液をスピンコーターでガラス板上に塗布し120℃で20分間乾燥させることにより(乾燥後の樹脂膜の厚み:3μm)、試料(ガラス板に樹脂層が形成されたコーティングガラス)を得た。得られた試料の吸収スペクトルを分光光度計(島津製作所製:UV−1800)で測定し、その結果を表3にまとめた。
ネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)8部にジメチルアセトアミド100部を加え、120℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液6.063gにスクアリリウム系色素{ 2−(8−Hydroxy−1,1,7,7−tetramethyl−1,2,3,5,6,7−hexahydropyrido[3,2,1−ij]quinolin−9−yl)−4−(8−hydroxy−1,1,7,7−tetramethyl−2,3,6,7−tetrahydro−1H−pyrido[3,2,1−ij]quinolinium−9(5H)−ylidene)−3−oxocyclobut−1−enolate}(Sc−1と称す)15mgを加え、混合、溶解して樹脂塗料液を調整した。得られた樹脂塗料液をスピンコーターでガラス板上に塗布し120℃で20分間乾燥させることにより(乾燥後の樹脂膜の厚み:3μm)、試料(ガラス板に樹脂層が形成されたコーティングガラス)を得た。得られた試料の吸収スペクトルを分光光度計(島津製作所製:UV−1800)で測定し、その結果を表3にまとめた。
ネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)8部にジメチルアセトアミド100部を加え、120℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液6.063gに、表4に示す色素(A)及び色素(B)を、表4に記載の重量比で総量が15mgになるように量り取った色素混合物を、混合、溶解して樹脂塗料液(樹脂組成物)を調製した。得られた樹脂塗料液をスピンコーターでガラス基板上に塗布し120℃で20分間乾燥させることにより、ガラス基板表面に樹脂層の形成された吸収シートを製造した。得られた吸収シートの吸収スペクトルを分光光度計(島津製作所製:UV−1800)で測定した。その結果を以下の表4にまとめた。
なお、各実施例において、色素(A)及び色素(B)の代わりに、各実施例で用いた色素(A)のみを15mg用いた点以外は各実施例と同様に樹脂塗料液(樹脂組成物)を調製し、さらに各実施例と同様にして吸収シートを作成し、評価した結果を表4に示した。
表4中、「λmax」とは、最大吸収波長を意味する。
なお、表4に記載の「λmax」や「%T」は、評価対象である吸収シートに由来するものである。
本発明の樹脂シートと反射膜(例えば光学多層膜)とを組み合わせると、シャープな透過吸収特性を有する光選択透過フィルターを与えることができる。その際、反射膜は入射角依存性があるため、入射角が大きい場合は、入射角0度の時に比べて透過率スペクトルが変化(短波長側にシフト)するが、樹脂シートは入射角依存性がないため、シャープな透過吸収特性を維持できる。また、吸収幅(吸収帯幅)が広い(大きい)と、反射膜の設計条件が広がり、IRCF(赤外線カットフィルター)の製造が容易になる。
実施例18
実施例1で得た樹脂塗料液を、支持体フィルムとしてのネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)上に40μm厚で塗布し、150℃で60分間乾燥して、樹脂シート(1)を得た。得られた吸収シートは53μmであった。
この樹脂シート(1)を、幅60mm、長さ100mmの長方形にカッティングした後、この両面に、蒸着基板温度150℃で赤外線を反射する多層膜{シリカ(SiO2:膜厚120〜190nm)層とチタニア(TiO2:膜厚70〜120nm)層とが交互に積層されてなるもの、積層数は片面20層ずつ両面に蒸着:計40層}を蒸着により形成し、光選択透過フィルター(光学フィルター)(1)を製造した。
試験例2−9で得た樹脂塗料液を、支持体フィルムとしてのネオプリムL−3430(三菱ガス化学社製、50μm厚)上に40μm厚で塗布し、150℃で60分間乾燥して、吸収シート(C1)を得た。得られた吸収シートは53μmであった。
この吸収シート(C1)を、幅60mm、長さ100mmの長方形にカッティングした後、この両面に、蒸着基板温度150℃で赤外線を反射する多層膜{シリカ(SiO2:膜厚120〜190nm)層とチタニア(TiO2:膜厚70〜120nm)層とが交互に積層されてなるもの、積層数は片面20層ずつ両面に蒸着:計40層}を蒸着により形成し、光選択透過フィルター(光学フィルター)(C1)を製造した。
具体的には、Shimadzu UV−3100(島津製作所社製)を用いて200〜1100nmにおける透過率を測定した。透過率は、図3に示すように、入射光に対して垂直になるように光選択透過フィルターを設置した場合(このようにして測定された透過率スペクトルを0°スペクトルともいう。光選択透過フィルターの厚み方向から光が入射するようにして測定される。)と、入射光に対して25°光選択透過フィルターを傾けて設置した場合(このようにして測定された透過率スペクトルを25°スペクトルともいう。光選択透過フィルターの厚み方向に対して25°傾いた方向から光が入射するようにして測定される。)の夫々について測定した。
一方、光選択透過フィルター(C1)では、透過率75%の領域でも入射角依存性が発現した。多層膜の膜厚と層数の変更を行い、長波長側の吸収極大波長(λQ2)領域で光遮断したところ、入射角依存性は若干改善されたが、光を透過するべき領域に小さな吸収ピーク(λQ1)が現れ、光選択透過フィルターに適した波形とならなかった。
したがって、本発明の光選択透過フィルターは、光遮断特性の入射角依存性を低減することができることが分かった。
2:光選択透過フィルター
3:センサー
4:光源
5:光選択透過フィルター
6:受光部
Claims (9)
- 2種以上の色素及び樹脂成分を含み、吸収層と反射膜とを有する光選択透過フィルターにおける吸収層の形成に用いられる樹脂組成物であって、
該2種以上の色素は、吸収特性の異なる色素A及び色素Bを少なくとも含み、
該色素Aは、600〜800nmの波長域に2つの吸収極大波長(λA1、λA2)を有するフタロシアニン系色素であって、そのうち長波長側に最大吸収波長λA2を有し、
該最大吸収波長λA2は、色素Bの最大吸収波長λBよりも長波長側にあり、
該2つの吸収極大波長(λA1、λA2)での吸光度の比(AA2/AA1)は、色素Aと樹脂成分とからなり、かつ該色素Aの含有割合が3質量%である組成物の吸光度を測定した場合に、2以上を満たし、
該色素Aは、下記一般式(I)で表される化合物である
ことを特徴とする光選択透過フィルター形成用樹脂組成物。
- 前記R a1 、R d1 、R a2 、R d2 、R a3 、R d3 、R a4 及びR d4 のうち2個以上は、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の光選択透過フィルター形成用樹脂組成物。 - 前記R a1 及び/又はR d1 、R a2 及び/又はR d2 、R a3 及び/又はR d3 、並びに、R a4 及び/又はR d4 は、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の光選択透過フィルター形成用樹脂組成物。 - 前記色素Aは、622〜800nmの波長域に2つの吸収極大波長(λ A1 、λ A2 )を有するフタロシアニン系色素である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光選択透過フィルター形成用樹脂組成物。 - 前記色素Bは、スクアリリウム系色素である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光選択透過フィルター形成用樹脂組成物。 - 樹脂シートと反射膜とを含む光選択透過フィルターであって、
該樹脂シートは、請求項1〜6のいずれかに記載の光選択透過フィルター形成用樹脂組成物から形成される樹脂層を含む
ことを特徴とする光選択透過フィルター。 - 請求項7に記載の光選択透過フィルターに用いられる
ことを特徴とする樹脂シート。 - 請求項7に記載の光選択透過フィルター、レンズユニット部、及び、センサー部を少なくとも有する
ことを特徴とする固体撮像素子。
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