JP6530968B2 - 近赤外線カットフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス基板と、ガラス基板上に設けられた下地層と、下地層の上方に設けられた樹脂層とを備えた近赤外線カットフィルターに関するものである。
近年、表示素子や撮像素子等の光学デバイス他、種々の分野において、多機能化を図るため、ガラス等からなる基板上に様々な層を形成した積層構造の材料が広く用いられるようになっている。基板上に形成される層としては、例えば、タッチパネル等に用いられるITO(スズドープ酸化インジウム)透明導電層、基板表面での光の反射を低減させる反射防止層、撮像素子における光学ノイズを低減させる(近)赤外線カット層等が挙げられる。
撮像素子は、固体撮像素子又はイメージセンサチップとも称され、被写体の光を電気信号に変換して出力する電子部品であり、例えば、携帯電話用カメラ、デジタルカメラ、車載用カメラ、監視カメラ、表示素子(LED等)等に使用されている。このような撮像素子は、通常、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の検出素子(センサー)及びレンズを備えた構成からなるが、高性能化を図るため、画像処理等の妨げとなる光学ノイズの低減が求められている。
撮像素子における光学ノイズの低減は、従来、銅イオンをドープさせたブルーガラス等の吸収ガラスや、光学ノイズを低減させる光吸収機能又は反射機能を樹脂成分にもたせた樹脂フィルター等を用いて行ってきた。しかし、吸収ガラスは耐熱性に非常に優れるものの、クラック(割れ)やチッピング(欠け)が生じやすく、加工性が充分ではない。他方、樹脂フィルターはクラックやチッピングの発生を抑制できるうえ、加工性にも優れるが、その一方で、ガラスに比べると耐熱性は充分ではなく、線膨張による反りが発生しやすい。そこで近年では、ガラス等の基板上に光吸収機能や反射機能を有する層を形成した、積層構造を有する光学フィルターの開発が進められている。
前記積層構造を有する光学フィルターとしては、例えば、特許文献1において、ガラス基板と、酸化ケイ素を主体とする下地層と、近赤外線吸収層とを有するフィルターが開示されている。
特開2014−52431号公報
しかし、このようなフィルターでは、ガラス基板と近赤外線吸収層との密着性は十分ではなく、十分な耐久性を備えているとも言い難い。
本発明は前記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガラス基板に積層された積層体がガラス基板から容易に剥離しないように形成された近赤外線カットフィルターを提供することにある。
前記課題を解決し得た本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた下地層と、前記下地層の上方に設けられた樹脂層とを備えており、前記下地層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物から形成されたものであり、前記樹脂層は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方を含有することを特徴とする。
前記樹脂層は、フタロシアニン系色素及びオキソカーボン系色素の少なくとも一方を含有し、含有されている前記色素は600〜900nmの波長域に吸収極大を有することが好ましい。
前記ポリイミド樹脂は、下記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂であることが好ましい。

(一般式(1)中、X’およびY’は、それぞれ独立に、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基、または、単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を含有し、炭素原子数が2〜39である置換基を有してもよい連結基を示す。)
前記ポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(2)で表されるポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。

(一般式(2)中、X”は三価の有機基を示し、Y”は下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される二価の有機基を示す。)

(一般式(3)中、R及びR3は、水素原子又は非イオン性で不活性な置換基を示し、
2はCH、CO、SO又はOを示す。)

(一般式(4)中、R1は一般式(3)に同じである。)
前記シランカップリング剤が第一級アミノ基を有することが好ましい。
また、本発明は前記近赤外線カットフィルターの前記樹脂層をコーティングによって形成するための組成物も包含しており、前記組成物は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方を含有することを特徴とする。
なお、本明細書中、「吸収極大」とは、波長と吸光度との関係を、X軸を波長とし、Y軸を吸光度とする二次元グラフで表した場合に、吸光度が増加から減少に転じる頂点を意味する。
本発明によれば、前記下地層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含有し、前記樹脂層は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方を含有することによって、非常に耐剥離性に優れた近赤外線カットフィルターとなる。また、基材としてガラス基板を用いることで、近赤外線カットフィルターの変形が少なくなる。さらに、ガラス基板を下地層及び樹脂層と組み合わせることによって、耐熱性が高く、かつ、残留溶媒が低減された高性能の近赤外線カットフィルターとなる。
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板と、ガラス基板上に設けられた下地層と、下地層の上方に設けられた樹脂層とを備えており、下地層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物から形成されたものであり、樹脂層は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方(以下、ポリ(アミド)イミド樹脂という)を含有するものである。以下、本発明の近赤外線カットフィルターについて詳細に説明する。
(ガラス基板)
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板上に下地層及び樹脂層が形成されたものである。基板をガラスとすることで、ガラス基板と下地層との密着性が優れたものとなり、下地層及び樹脂層(以下、積層体という)のクラックやチッピング、反りの発生をより抑制でき、かつ、耐熱性にも優れた近赤外線カットフィルターとなる。
ガラス基板は、ガラスを形成する材料中に遷移金属イオンを含有させて得られるものであってもよい。遷移金属イオンとしては、光吸収能を有するものとして通常使用されるものを1種又は2種以上用いればよく、例えば、Ag+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等が挙げられる。
前記以外にも、ホウケイ酸ガラスは、加工が容易で、光学面における傷や異物等の発生が抑えられるため好ましい。ホウケイ酸ガラスとしては、市販品を用いることもでき、例えば、SCHOTT社製D263Teco等を用いることができる。また、アルカリ成分を含まない無アルカリガラスは、接着性、耐候性等が高い点で有利である。そして、ソーダライムガラスは、低コストでかつ入手が容易であることに加えて、ガラス基板の表面が強化されているため、特に好ましい。
ガラス基板の大きさは、近赤外線カットフィルターとして使用される大きさや使用する装置等に合わせて適宜調整される。ガラス基板の厚みは、装置の小型化、薄型化、および取り扱い時の破損を抑制する点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましい。また、軽量化および強度の点から、0.4mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。
(下地層)
下地層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物(以下、下地層用組成物という)から形成されたものであり、下地層は、ガラス基板の片面のみに有していてもよいし、両面に有していてもよい。また、下地層は、単層構造又は多層構造のいずれであってもよい。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は反応性基としてアミノ基を有する。このようなアミノ基含有シランカップリング剤を、下地層用組成物に含有させることで、ガラス基板との密着性を向上させる効果や撥水作用により下地層中への水分の浸入を抑制する効果があり、その結果、耐熱性や耐湿熱性に優れる近赤外線カットフィルターを得ることができる。具体的には、半田リフロー工程、湿熱環境における使用において、剥がれ等を抑制することが可能となる。
また、アミノ基以外の反応性基として、例えば、アルコキシ基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラン基(オキシラン環)、メルカプト基、イソシアナート基等を有することが好ましく、中でもアルコキシ基を有することがより好ましい。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等が挙げられる。シランカップリング剤は第一級アミノ基及び第二級アミノ基の少なくとも一方を有するものが好ましく、第一級アミノ基を有するものがより好ましい。特に第一級アミノ基を有するシランカップリング剤を含む下地層用組成物を用いると、ガラス基板との接着性が非常に良好となるため好ましい。アミノ基含有シランカップリング剤は、メトキシ基及びエトキシ基の少なくとも一方を有することがさらに好ましく、その中でも鎖状(好ましくは環構造を有しない直鎖状)であれば特に好ましい。特に、3−アミノプロピルトリメトキシシランや3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランは入手し易い上に、ガラス基板に対して高い接着性を発現する下地層となるため好ましい。アミノ基含有シランカップリング剤は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
アミノ基含有シランカップリング剤として具体的には、例えば、信越シリコーン社製KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、東レダウコーニング社製Z−6020(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン)等が好適に用いられる。
下地層用組成物におけるアミノ基含有シランカップリング剤の含有量は下地層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、0.00001〜10質量%が好ましく、0.00005〜5質量%がより好ましく、0.0001〜3質量%が特に好ましい。前記含有量とすることで、ガラス基板との密着性に優れ、耐熱性が高い下地層を得ることができる。
<下地層用組成物の調製方法>
下地層用組成物の調製方法は特に限定されず、アミノ基含有シランカップリング剤に液媒体及び触媒を加えて、通常の方法で混合することにより得ることができる。液媒体は、水、アルコール等であればよく、1種又は2種以上を使用することができるが、好ましくは、水及び/又はエタノールである。液媒体を加えることによって、アミノ基含有シランカップリング剤においてアルコキシ基が加水分解してシラノール基が生成し、このシラノール基がガラス基板表面にある水酸基との水素結合を介してガラス基板表面に移行する。そして、シラノール基の脱水縮合反応を経てガラス基板表面と強固な共有結合を生成することによって、ガラス基板と下地層との密着性が向上する。下地層用組成物における液媒体の含有量は、下地層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、97〜99.9質量%が好ましく、98〜99.5質量%がより好ましい。
また、触媒は、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解反応時に触媒として作用するものであればよく、有機酸または無機酸のいずれであってもよい。無機酸の例としては、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、有機酸の例としては、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、及びn−酪酸等、カルボン酸基を有する化合物;有機スルホン酸、及び有機スルホン酸のエステル化物(有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステル)等、硫黄含有酸基を有する化合物;が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、触媒として、ギ酸を用いるのが好ましい。触媒の含有量は、下地層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、0.0001〜3質量%が好ましく、0.001〜1質量%がより好ましい。
<下地層の形成方法>
下地層の形成方法としては、公知の方法を用いることができるが、下地層用組成物(アンダーコート液)をガラス基板上に塗布して加熱乾燥することにより形成する方法が好適である。具体的には、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の通常使用される方法が挙げられる。これらの中では、スピンコート法が、基板上のコート層の偏差を小さくする観点で好ましい。スピンコート法により塗膜を形成する場合、室温(25℃)付近で、下地層用組成物を塗布した基材を500〜4000rpmで10〜60秒間程度回転させながら、溶媒を乾燥させることが好ましい。また、下地層用組成物を塗布した基材(ガラス基板)を加熱することにより、溶媒を乾燥除去し、及び、シランカップリング剤と基材とを化学反応させておくことが好ましい。
下地層の形成方法としては、前記のいずれの方法を用いてもよいが、下地層中の残留溶媒量は可能な限り少ない方が好ましい。具体的には、3質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶媒量が3質量%を超える場合、経時的に下地層が変形したり特性が変化したりして所望の機能が発揮できなくなることがある。本発明では、基材としてガラス基板を用いているため、基材としてフィルムを用いた場合と比べて下地層用組成物が乾燥しやすく、残留溶媒が少なくなりやすい。
(樹脂層)
樹脂層は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方を含有する。すなわち、樹脂層形成用組成物(以下、樹脂層用組成物という)には、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方が含有されている。
樹脂層は、下地層の上にある(樹脂層と下地層とが接している)のが好ましいが、下地層の上方(反ガラス基板側)に形成されていてもよく、下地層と樹脂層との間に後述する他の層が積層されていてもよい。樹脂層は、ガラス基板の片面側のみに有していてもよいし、両面側に有していてもよい。また、樹脂層は、単層構造又は多層構造のいずれであってもよい。
<ポリ(アミド)イミド樹脂>
ポリ(アミド)イミド樹脂は、狭義のポリイミド樹脂(イミド結合を含み、脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合を含まない樹脂)、及び、ポリアミドイミド樹脂(イミド結合と、脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合とを含む樹脂)のいずれをも包含する。
本発明で用いるポリ(アミド)イミド樹脂は、溶媒可溶性であるポリ(アミド)イミド樹脂である。本明細書において、溶媒可溶性樹脂とは、樹脂であって溶媒可溶性であるものをいう。なお、溶媒可溶性樹脂には、樹脂の前駆体が含まれるものとする。また、樹脂層自体は溶媒可溶性であっても不溶性であってもよい。
樹脂層用組成物に溶媒可溶性樹脂を含有させるとフィルターの耐光性が向上しやすい。溶媒可溶性樹脂は、そのモノマーや前駆体から調製し、重合や反応を完結させており、更に精製を行う場合もあり、こうして得られた溶媒可溶性樹脂には、色素の劣化、分解を促進させる未反応物、反応性末端、イオン性基、触媒、酸・塩基性基等がほとんどないと考えられる。従って、樹脂層用組成物中に色素が分散または溶解されている場合、色素の近赤外線吸収性能が低下しにくくなると思われる。そして、フィルターの耐光性向上の観点から、溶媒可溶性樹脂であるポリイミド樹脂を用いるのが好ましい。
前記溶媒可溶性樹脂としては、有機溶媒に可溶であれば特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド100質量部に対し、1質量部以上溶解する樹脂であることが好ましく、5質量部以上溶解する樹脂であることがより好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及び/又はそれらの前駆体等が挙げられ、例えば、下記一般式(1)および/または一般式(2)で表される化合物である。

(一般式(1)中、X’およびY’は、それぞれ独立に、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基、または、単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を含有し、炭素原子数が2〜39である置換基を有してもよい連結基を示す。)

(一般式(2)中、X”は三価の有機基を示し、Y”は下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される二価の有機基を示す。)
なお、一般式(2)において、X”は芳香族基または単環式の脂肪族基であることが好ましい。

(一般式(3)中、R及びR3は、水素原子又は非イオン性で不活性な置換基を示し、R2はCH、CO、SO又はOを示す。)

(一般式(4)中、R1は一般式(3)に同じである。)
これらの溶媒可溶性樹脂は、架橋反応(硬化反応)することが可能な反応性基(例えば、エポキシ基、オキセタン環、エチレンスルフィド基等の開環重合性基や、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等のラジカル硬化性基及び/又は付加硬化性基)を有するものであってもよい。
樹脂層用組成物に溶媒可溶性樹脂が含有されている場合、溶媒可溶性樹脂そのものが樹脂層を構成してもよく、溶媒可溶性樹脂が架橋反応等により変化したものが樹脂層を構成してもよい。
なお、狭義のポリイミド樹脂におけるイミド結合は、通常、アミド結合とそれに隣接するカルボキシル基とを有する結合鎖を備えたポリアミック酸において、アミド結合とカルボキシル基との脱水反応によって形成される。しかし、前記ポリアミック酸から脱水反応によりイミド結合を生成させた後に、アミド結合及びカルボキシル基が分子内に若干量残存してもよい。
ポリ(アミド)イミド樹脂は、多価カルボン酸化合物と、多価アミン化合物及び/又は多価イソシアネート化合物との反応により得られる原料を、イミド化反応して得ることができる。ポリ(アミド)イミド樹脂はまた、透明性を有することが好ましい。透明性向上のためには、芳香環が少ないほうが好ましい。中でも、芳香環を脂環又は脂肪鎖等で置き換えた構造を有することが更に好ましい。ポリ(アミド)イミド樹脂100質量%中、芳香環が65質量%以下であることが好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
ポリイミド樹脂としては、イミド結合を有する化合物であれば特に限定されないが、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する化合物(ポリマー)であることが好ましい。

(一般式(5)中、Rは炭素数2〜39の二価の有機基を示す。)
前記一般式(5)におけるRは、炭素数2〜39の二価の脂肪族、脂環族、芳香族、又は、それらの組合せからなる有機基であることが好ましい。前記Rで表される有機基は窒素原子に直接結合していてもよいし、結合基として、−O−、−SO−、−CO−、−CH−、−C(CH−、−Si(CH−、−CO−、−S−等を有していてもよい。前記一般式(5)で表される繰り返し単位は、同一でも異なっていてもよく、一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリマーは、ブロック状、ランダム状等のいずれの形態であってもよい。
ポリアミドイミド樹脂としては、好ましくはポリイミドのポリマー主鎖中にアミド基を有する化合物(例えばコポリマー)であり、例えば、一般式(6)や一般式(7)で表される部分構造を基本的な繰り返し単位とするポリマーである。

(一般式(6)中、Rは前記一般式(3)または前記一般式(4)で表される二価の有機基を示す。)

(一般式(7)中、Rは前記一般式(3)または前記一般式(4)で表される二価の有機基を示す。)
ポリアミドイミド樹脂としては、特開2011−213849号公報に開示のポリアミドイミド樹脂等を用いることができる。また、ポリアミドイミド樹脂としては、市販品を用いることもでき、例えば、東洋紡社製バイロマックス(登録商標)シリーズが挙げられる。
樹脂層用組成物におけるポリ(アミド)イミド樹脂の含有量は、樹脂層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは2〜20質量%であり、さらに好ましくは3〜10質量%である。
<近赤外線吸収色素>
樹脂層用組成物において、近赤外線吸収色素として、600〜900nmの波長域に吸収極大を有する色素(以下、特定色素とも称す)を含むことが好ましい。このような特定色素を含むことで、特に600nm〜1000nmの領域における光(透過光)を低減でき、これに起因する光学ノイズを除去することが可能となる。これによって、可視光透過率が高く、かつ近赤外領域の遮断性能に優れるという、光学ノイズ低減のために好適な性能が得られることになる。特定色素は、より好ましくは600〜800nmの波長域に吸収極大を有する色素であり、さらに好ましくは650〜750nmの波長域に吸収極大を有する色素である。
特定色素は、600〜900nmの波長域に吸収極大を複数有していてもよい。600〜900nmの波長域における吸収極大のうち、最も短波長側の吸収極大が650〜750nmの波長域にあることが好ましい。特定色素はまた、400nm以上600nm未満の波長域に吸収極大を持たないものであることが好ましい。
樹脂層用組成物において、近赤外線吸収色素は、樹脂層用組成物中に分散又は溶解されていることが好ましく、近赤外線吸収色素は樹脂層用組成物中に溶解して含有されていることがより好ましい。すなわち、近赤外線吸収色素が樹脂層用組成物に含まれる樹脂成分(バインダー樹脂)や溶媒に溶解するものであることが好ましい。このような近赤外線吸収色素と共に溶媒可溶性であるポリ(アミド)イミド樹脂を用いることにより、色素を高濃度で均一に分散した樹脂層を形成することができる。近赤外線吸収色素は、1種又は2種以上を使用することができる。
近赤外線吸収色素は、分子内にπ電子結合を有する色素が好ましい。分子内にπ電子結合を有する色素としては、芳香環を含む化合物であることが好適である。より好ましくは、1分子内に2個以上の芳香環を含む化合物である。そして、前記分子内にπ電子結合を有する色素が、上述した波長域に吸収極大を有するものであること、すなわち特定色素であることが特に好ましい。
前記分子内にπ電子結合を有する色素としては、例えば、フタロシアニン系化合物、オキソカーボン系化合物、ポルフィリン系化合物、シアニン系化合物、クアテリレン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ニッケル錯体系化合物、アゾ系化合物、ジインモニウム系化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。耐熱性、耐候性、透過性、及び本発明で用いられるポリ(アミド)イミド樹脂との相溶性の観点から、特に、フタロシアニン系化合物及び/又はオキソカーボン系化合物が好適である。このような色素としては、例えば、国際公開第2013/054864号、特開2014−59550号公報等に開示の色素や後述の式(9)で示されるスクアリリウム系色素、式(10)で示されるクロコニウム系色素などが挙げられる。
<フタロシアニン系化合物>
前記フタロシアニン系化合物としては、金属フタロシアニン錯体が好適であり、例えば、銅、亜鉛、インジウム、コバルト、バナジウム、鉄、ニッケル、錫、銀、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、鉛等の金属元素を中心金属とする金属フタロシアニン錯体が挙げられる。これらの金属元素の中でも、溶解性又は分散性(例えば、樹脂成分への溶解性又は分散性)、可視光透過性、耐光性がより優れることから、銅、バナジウム、及び亜鉛のいずれか1以上を中心金属とするフタロシアニン系化合物が好ましく、銅及び亜鉛のいずれか1以上を中心金属とするフタロシアニン系化合物がより好ましい。特に銅を中心金属とするフタロシアニン錯体は、どのような樹脂成分に分散させても光による劣化がなく、非常に優れた耐光性を有する。また、亜鉛を中心金属とするフタロシアニン錯体は、樹脂成分に対する溶解性に優れ、光選択透過性がより高い近赤外線カットフィルターが得られ易い。
前記フタロシアニン系化合物の中でも特に好ましくは、下記一般式(8)で表される化合物である。このような化合物を含む樹脂層用組成物を用いると、クラックやチッピング、反りの発生がより抑制され、かつ高温蒸着にもより充分に耐えうる近赤外線カットフィルターを得ることが可能になる。また、このような近赤外線カットフィルターを撮像素子用途に適用した場合に、フレアやゴーストの発生を充分に抑制できるうえ、反射膜と組み合わせた場合に課題となりうる入射角依存性を充分に低減することもできる。更に、このような近赤外線カットフィルターに、例えば反射膜や干渉膜を備えた場合、人間の目の感度に近い光選択透過性を発揮することも可能になる。そして、前記フタロシアニン系化合物の合成後は、公知の方法に従って、晶析、濾過、洗浄、乾燥等を行ってもよい。

(一般式中Mは、金属原子、金属酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。Ra1〜Ra4、Rb1b4、Rc1〜Rc4及びRd1〜Rd4は、同一又は異なる基であり、水素原子(H)、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)、又は、置換基を有していてもよいORi基を表す。ORi基は、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、又はクロロフェノキシ基(例えば、後述の化学式(15)の置換基Eや化学式(17)の置換基I)を表す。)
一般式(8)で表される化合物として、好ましい形態としては、例えば、中国特許出願公開第103923438号明細書に記載されているフタロシアニンが挙げられる。
前記オキソカーボン系化合物は、炭素と酸素とのみから構成される環状のオキソカーボン基を1個又は2個以上含む化合物であり、本発明では、近赤外線吸収色素として使用されているオキソカーボン系色素(好ましくは有機化合物)を用いることが好適である。オキソカーボン系化合物の詳細については後述する。
樹脂層用組成物はまた、2種以上の色素を含むものであってもよい。中でも、当該2種以上の色素が、吸収特性の異なる特定色素α及び特定色素βを含み、特定色素αと特定色素βの少なくとも一方はフタロシアニン系色素又はオキソカーボン系色素であり、かつ、特定色素αと樹脂成分(バインダー樹脂)とからなる樹脂層の吸収スペクトルを測定した際に、600〜650nm及び680〜750nmの波長域にそれぞれ吸収極大を示すものであり、特定色素βは、特定色素βと樹脂成分とからなる樹脂層の吸収スペクトルを測定した際に、650〜680nmの波長域に吸収極大を示すものであることが好適である。これにより、本発明の近赤外線カットフィルターを撮像素子用途に適用した場合に、充分な光吸収幅を確保でき、かつフレアやゴーストの発生を充分に抑制できるうえ、反射膜と組み合わせた場合に課題となりうる入射角依存性を充分に低減することができる。また、近赤外線カットフィルターに、例えば反射膜や干渉膜を備えた場合、人間の目の感度に近い光選択透過性を発揮することも可能になる。また、特定色素αがフタロシアニン系色素又はオキソカーボン系色素であることが好ましく、特定色素α及び特定色素βが共にフタロシアニン系色素又はオキソカーボン系色素であることがより好ましく、特定色素α及び特定色素βは、上述した一般式(8)で表されるフタロシアニン系化合物、後述の一般式(9)で表されるスクアリリウム系化合物、又は後述の一般式(10)で表されるクロコニウム系化合物であることがさらに好ましい。
なお、波長850nm付近の近赤外線吸収性能を補うため、前記特定色素以外のフタロシアニン系化合物、ジチオール系化合物、前記特定色素以外のオキソカーボン系化合物等を併用して用いることもできる。
樹脂層用組成物における特定色素の含有量は、樹脂層用組成物(固形分に相当する樹脂)100質量%に対して、好ましくは0.05〜30質量%であり、より好ましくは0.05〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
樹脂層用組成物は、特定色素以外の色素を含んでいてもよい。例えば、600〜900nmの波長域以外の近赤外線、赤外線、紫外線、可視光の各帯域において特定の波長に特性吸収を有する色素を使用目的に応じて適宜選択すればよく、光学材料の各種用途に適用することができる。例えば、耐光性を向上させるためにベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収色素を併せて用いてもよい。
特定色素以外の色素の含有量は、色素の総量100質量%に対し、50質量%以下であることが好適である。より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。言い換えれば、色素の総量100質量%に対し、特定色素が50質量%以上であることが好適であり、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
樹脂層用組成物(固形分に相当する樹脂)100質量%に対して、色素の総量が、0.05質量%以上、35質量%以下であることが好ましい。これにより、可視光透過率がより高く、かつ近赤外領域の遮断性能により優れる硬化物(樹脂層)を得ることが可能になる。色素の総量の下限としてより好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、最も好ましくは1質量%以上である。また、上限としてより好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
<オキソカーボン系化合物>
前記オキソカーボン系化合物は、スクアリリウム系化合物及びクロコニウム系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
スクアリリウム系化合物としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(9)で表される化合物が挙げられる。
(式(9)中、Re1及びRe2の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい複素環または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。)
クロコニウム系化合物としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(10)で表される化合物が挙げられる。
(式(10)中、Re3及びRe4の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい複素環または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。)
複素環としては、芳香族複素環、脂環式複素環が挙げられる。
芳香族複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環等が挙げられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環等が挙げられる。
また、脂環式複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環等が挙げられ、より具体的にはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環等が挙げられる。
芳香族環としては、炭素数6〜14のものが挙げられ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。
複素環または芳香族環の置換基としては、同一または異なって1〜5個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、スルホンアミド基、アルキル基、アラルキル基、シアノ基、ハロゲン原子、−R’=R”−Ar(R’およびR”は同一であって、NまたはCHを表し、Arは、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、ハロゲン基で置換されていてもよいアルキル基、シアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基で置換されていてもよいアリール基を表す)等が挙げられる。アルキル基またはアルコキシ基の置換基としては、同一または異なって1〜3個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
中でも、置換基を有していてもよい5員あるいは6員の複素環または置換基を有していてもよい5員あるいは6員の芳香族環が好ましい。
前記オキソカーボン系化合物は、上記式(9)の構造を有するスクアリリウム系化合物及び上記式(10)の構造を有するクロコニウム系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましく、上記式(9)の構造を有するスクアリリウム系化合物を含むことがより好ましく、上記式(9)の構造を有するスクアリリウム系化合物からなることがさらに好ましい。
<スクアリリウム系化合物(スクアリリウム系色素)>
スクアリリウム系化合物としては、上記式(9)中のRe1、Re2はそれぞれ独立して、下記式(11)で示される特定の構造単位又は下記式(12)で示される特定の構造単位であることが特に好ましい。Re1及びRe2は同じであってもよいし異なっていてもよい。
(式(11)中、環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(9)中の4員環との結合部位を表す。)
(式(12)中、Rf1、Rf2、Rf4、Rf5はそれぞれ独立して有機基、極性官能基、又は水素原子であり、Rf3は窒素原子を含む有機基又は極性官能基であり、Rf1及びRf5は少なくとも一方が、窒素原子又は酸素原子を含む有機基又は極性官能基である。
なお*は式(9)中の4員環との結合部位を表す。)
以下、式(11)及び式(12)について詳細を説明する。
式(11)中、*は式(9)で示されるスクアリリウム骨格との結合部位を表しており、スクアリリウム骨格に結合する炭素原子(上記式(11)中、矢印で示す炭素原子)が炭化水素環(環A)を形成している点に特徴を有する。
式(11)中、環Aは、構成員数が4〜9員である不飽和炭化水素環である。環Aは、スクアリリウム骨格に結合する炭素原子(上記式(11)中、矢印で示す炭素原子)とピロール環を構成する炭素原子との間に少なくとも1個の二重結合を有する不飽和炭化水素環であればよく、当該二重結合以外にも不飽和結合(好ましくは二重結合)を有するものであってもよいが、好ましくは環Aが有する二重結合は1個であるのがよい。環Aは、好ましくは5〜8員環であり、より好ましくは6〜8員環である。
環Aの構造としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロノネン、シクロノナジエン、シクロノナトリエン、シクロノナテトラエン等のシクロアルケン構造が挙げられる。中でも、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のシクロアルカンモノエンが好ましい。
式(11)中、例えば、nは、0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)である。nは、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜3の整数であり、さらに好ましくは0〜2の整数である。nが1以上である場合、環Aを構成する炭素原子に結合する水素原子はYで置換されることになる。
式(11)中、X及びYは有機基又は極性官能基である。X及びYの例である有機基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオオキシ基(アルキルチオ基)、アルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオオキシ基(アリールチオ基)、アリールオキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アミド基(−NHCOR)、スルホンアミド基(−NHSO2R)、カルボキシ基(カルボン酸基)、シアノ基などが挙げられる。また極性官能基としては、ハロゲノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基(スルホン酸基)等が挙げられる。
Xの例である有機基又は極性官能基としては、アルキル基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基が好ましく、より好ましくはアルキル基又はアリール基がよい。この場合、アルキル基の炭素数は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であれば1〜6が好ましく、より好ましくは1〜4であり、脂環式のアルキル基であれば4〜7が好ましく、より好ましくは5〜6である。アリール基の炭素数は6〜10が好ましく、より好ましくは6〜8である。具体的には、Xの例である有機基又は極性官能基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が好ましく挙げられる。
Yの例である有機基又は極性官能基としては、上記の中でも、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノ基、フェニル基、アルコキシカルボニル基(エステル基)、アミド基、スルホンアミド基、水酸基が好ましく、より好ましくはアルキル基又は水酸基である。この場合、アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1〜2である。具体的には、Yの例である有機基又は極性官能基としては、メチル基、エチル基、水酸基等が好ましく挙げられる。
前記nが2以上であり、Yが複数存在する場合には、各Yは同じであってもよいし異なっていてもよい。また前記nが2以上である場合、複数のYは各々別の炭素原子に結合していてもよいし、2個のYが1個の炭素原子に結合していてもよい。
式(11)中、環Bは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。環Bとしては、例えば、下記式(A−1)〜(A−12)の構造を有する環、及びこれら環の水素原子の1つ以上が任意の置換基で置換された環が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環(A−1)、ナフタレン環(A−2、A−3)、又はこれらに下記置換基が置換した環が好ましく、ベンゼン環(A−1)又はベンゼン環(A−1)に下記置換基が置換した環がより好ましい。ここで置換基としては、X及びYの例である有機基又は極性官能基として上述した基が挙げられるが、それらの中でも特に、アルキル基(特に好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状アルキル基)、アリール基、アルコキシ基;アルキルチオ基(特に好ましくは炭素数1〜2)、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、などの電子供与性基、ハロゲノ基(特に好ましくは、クロロ基、ブロモ基等)、アルコキシカルボニル基(エステル基)、カルボキシ基(カルボン酸基)、スルホ基(スルホン酸基)、ニトロ基等の電子吸引性基が好ましく、特に電子吸引性基が好ましい。環Bの置換基の数は1つでもよいし2つ以上でもよい。
なお、上記式(A−1)〜(A−12)は、環Bをピロール環の一部を含んで表したものであり、例えば式(A−1)は、下図中aの矢印で示されるピロール環のβ位の炭素原子と、下式中bの矢印で示されるピロール環のα位の炭素原子とを含んで表記されている。
なお、スクアリリウム骨格を有する式(9)中の特定の構造単位であるRe1とRe2は、同一構造であっても異なっていてもよい。
特に好ましいスクアリリウム系化合物は、式(9)のスクアリリウム骨格を有すると共に、前記式(11)の構造単位において、環Aがシクロヘキセン、シクロヘプテン、又はシクロオクテンであり、Xが炭素数1〜4のアルキル基であり、環Bがベンゼン環(A−1)又はナフタレン環(A−2、A−3)である化合物である。この特に好ましいオキソカーボン系化合物において、環Bが置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基、トリハロゲノメチル基、フェニル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲノ基が好ましい。
本発明に用いられる好適なスクアリリウム系化合物の一つである上記式(11)で示される特定の構造単位を有するスクアリリウム系化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記式(13):
(式(13)中、環A、環B、X、Y及びnは式(11)に同じ)で表されるピロール環含有化合物を中間原料とし、これをスクアリン酸と反応させることにより製造することができる。
中間原料として用いるピロール環含有化合物は、公知の合成手法を適宜採用することによって合成できる。例えば、以下の論文に記載の合成法によってピロール環含有化合物を合成することができる。
SAJJADIFAR ET AL: 'New 3H-Indole Synthesis by Fischer’s Method. Part I.' Molecules 2010, no. 15, April 2010, pages 2491-2498
また、上記式(11)で示される特定の構造単位を有するスクアリリウム系化合物は、ピロール環含有化合物とスクアリン酸とを反応させる公知の合成手法を適宜採用することによって合成できる。例えば、Serguei Miltsov等の論文(「New Cyanine Dyes:Norindosquarocyanines」、Tetrahedron Letters、Volume 40、Issue 21、1999年5月21日発行、p.4067−4068)に記載の合成法によってスクアリリウム系化合物を合成することができる。
得られたスクアリリウム系化合物は、必要に応じて、濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、昇華精製、再結晶、晶析など公知の精製手段によって適宜精製することができる。
また、式(12)中、*は式(9)で示されるスクアリリウム骨格との結合部位を表しており、スクアリリウム骨格に結合する炭素原子(上記式(12)中、矢印で示す炭素原子)が芳香族環を形成している点に特徴を有する。
式(12)中、Rf1及びRf5は少なくとも一方が、窒素原子又は酸素原子を含む有機基又は極性官能基である。好ましくは、Rf1及びRf5は一方が−NHRg1又はヒドロキシル基であり、他方は、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、−NRg2g3、または−NRg4である。Rg1〜Rg3は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、−S(=O)2−Rg5、または−C(=O)−Rg6(Rg5、Rg6は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基)である。Rg4は、構成員数が3〜9員のシクロアルキル基又は、シクロアルキル基中の一部の−CH2−が、−O−、−S−、−Se−、−S(=O)2−、−C(=O)−、または−NRg7−(Rg7は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基)で置換された構成員数が3〜9員のシクロアルキル基である。Rf1、Rf5は、共に−NHRg1及びヒドロキシル基のいずれか一方であることが好ましい。
式(12)中、Rf2、Rf4は、それぞれ独立して、有機基、極性官能基、又は水素原子である。Rf2及びRf4の例である有機基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオオキシ基(アルキルチオ基)、アルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオオキシ基(アリールチオ基)、アリールオキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アミド基(−NHCOR)、スルホンアミド基(−NHSO2R)、カルボキシ基(カルボン酸基)、シアノ基などが挙げられる。また極性官能基としては、ハロゲノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基(スルホン酸基)等が挙げられる。
式(12)中、Rf3は窒素原子を含む有機基又は極性官能基であり、Rf3はNRg8g9またはNRg10であることが好ましい。Rg8、Rg9は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または−C(=O)−Rg11(Rg11は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基)である。Rg10は、構成員数が3〜9員のシクロアルキル基又は、シクロアルキル基中の一部の−CH2−が、−O−、−S−、−Se−、−S(=O)2−、−C(=O)−、−CHRg12−または−CRg13g14−(Rg12〜Rg14はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基)で置換された構成員数が3〜9員のシクロアルキル基である。Rf3がNRg10であるとき、Rf3は、Rf2又はRf4と結合して環を形成していてもよい。
なお、式(12)では、置換基を有するベンゼン環を有するスクアリリウム系化合物の構造を示しているが、ナフタレン環などの多環芳香族炭化水素を有するスクアリリウム系化合物であってもよい。多環芳香族炭化水素を有するスクアリリウム系化合物は比較的大きい波長域(800nm付近)に吸収極大を有する色素とすることができる。
本発明に用いられる好適なスクアリリウム系化合物の一つである上記式(12)で示される特定の構造単位を有するスクアリリウム系化合物の製造方法は、特に限定されず、公知の合成手法を適宜採用することによって合成できる。
<クロコニウム系化合物(クロコニウム系色素)>
クロコニウム系化合物としては、上記式(10)中、Re3、Re4はそれぞれ独立して下記式(11)で示される構造単位であることがより好ましい。Re3及びRe4は同じであってもよいし異なっていてもよい。
(式(11)中、
環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(10)中の5員環との結合部位を表す。)
<溶媒>
樹脂層用組成物は、塗工性を高める観点から溶媒を含んでいるのが好ましい。溶媒は特に限定されないが、モノアルコール類;グリコール類;環状エーテル類;グリコールモノエーテル類;グリコールエーテル類;グリコールモノエーテルのエステル類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等);アルキルエステル類;ケトン類;芳香族炭化水素類;ハロゲン化芳香族炭化水素類;脂肪族炭化水素類;アミド類;等が好ましい。フタロシアニン系化合物を含有する樹脂層用組成物に対しては、上述した中でもPGMEA(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノンが特に好ましい。また、オキソカーボン系化合物は、双極子モーメントが小さい溶媒中で高い耐久性を有するので、オキソカーボン系化合物を含有する樹脂層用組成物に対しては、双極子モーメントが4D以下である溶媒が好ましく、双極子モーメントが3.5D以下である溶媒がより好ましく、3D以下である溶媒が特に好ましい。このような溶媒の具体例として、例えば、シクロペンタノン、o−ジクロロベンゼン、PGMEA、エチルシクロヘキサン、キシレン、トリメチルベンゼン、リモネン等が好ましい。上述した中でも、シクロペンタノン、o−ジクロロベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルシクロヘキサン、キシレン、リモネンが特に好ましい。
これらの溶媒は1種で使用されてもよく、2種以上の混合溶媒として使用されてもよい。また、溶媒中の水分含有量は5質量%以下であることが好ましい。
樹脂層用組成物における溶媒の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは100〜4000質量部であり、より好ましくは300〜3000質量部であり、さらに好ましくは500〜2000質量部である。
<樹脂層用組成物の調製方法>
樹脂層用組成物の調製方法は特に限定されず、前記含有成分を通常の方法で混合することにより得ることができる。含有成分を混合する際には、必要に応じて、各成分又は混合物を加熱して、均一組成になるように混合することもできる。加熱温度としては、好ましくは20〜140℃、より好ましくは40〜120℃である。
混合方法としては、各種の混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。分散工程及び混合工程は、特に限定されず、通常の手法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含むものであってもよい。
樹脂層用組成物の調製の際、各成分の添加混合する順序は適宜選択できる。ポリ(アミド)イミド樹脂に色素を添加混合した後、さらに溶媒を添加混合してもよく、溶媒にポリ(アミド)イミド樹脂及び色素を添加し、混合してもよい。
<樹脂層の形成方法>
樹脂層の形成方法としては、樹脂層用組成物を下地層が形成されたガラス基板上に塗布して加熱乾燥することにより形成する方法が好適である。樹脂層はコーティングにより形成されることが好ましく、具体的には、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の方法が挙げられ、基板上のコート層の偏差を小さくする観点からはスピンコート法がより好ましい。スピンコート法により塗膜を形成する場合、室温(25℃)付近で、樹脂層用組成物を塗布した基材を500〜4000rpmで10〜60秒間程度回転させながら、溶媒を(半)乾燥させることが好ましいが、溶媒の(半)乾燥は回転時以外に行われていてもよい。ここでの(半)乾燥とは、完全に溶媒が除去されていてもよく、残留溶媒が微量含まれていてもよい。
(近赤外線カットフィルター)
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板、下地層、及び樹脂層以外に、外気側に蛍光灯等の映り込みを低減する反射防止性及び/又は防眩性を有する層や傷付き防止性能を有する層、その他の機能を有する透明基材、ガラス、フィルター等を積層してもよい。また、本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板、下地層、及び樹脂層以外に、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂以外の樹脂を含有する層(以下、一般層という)を単層又は複数層備えてもよく、一般層は、下地層より上方であればいずれの位置に設けられていてもよい。例えば、一般層は、下地層と樹脂層との間に設けられていてもよく、樹脂層の上に設けられていてもよく、樹脂層が多層構造である場合には一般層が樹脂層に挟まれるように設けられていてもよいが、一般層が樹脂層の上に設けられているのが好ましい。
本発明ではさらに近赤外線反射膜が積層されていることが好ましい。近赤外線反射膜は、近赤外線を反射する能力を有する膜である。このような近赤外線反射膜としては、アルミニウム蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムを主成分とし酸化錫を少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜等を用いることができる。近赤外線反射膜はガラス基板の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合には、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合には、高い強度を有し、ソリの生じにくい近赤外線カットフィルターを得ることができる。さらに、このような近赤外線反射膜を積層することによって、より確実に近赤外線をカットすることのできるフィルターを得ることができる。
前記近赤外線反射膜の中では、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を用いるのが好ましい。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.7〜2.5の材料が選択される。高屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化錫、酸化ビスマス等の酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;前記酸化物や前記窒化物の混合物やそれらにアルミニウムや銅等の金属や炭素を含有ドープしたもの(例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO))等が挙げられる。低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.2〜1.6の材料が選択される。低屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が挙げられる。
(その他)
下地層用組成物及び樹脂層用組成物は、目的に応じて、適切な添加剤を含有してもよい。例えば、前記各組成物の総量(固形分)100質量%に対して、0.00001質量%以上、10質量%以下の範囲で含有してもよい。添加剤の具体例としては、硬化剤、レベリング剤、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強材、可塑剤、潤滑剤、防食剤、防錆剤、乳化剤、鋳型脱型剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、すべり付与剤、密着性付与剤、防汚剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、光増感剤、表面改良剤、(近)赤外線カット剤、シランカップリング剤以外の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤等が挙げられる。
また、下地層用組成物及び樹脂層用組成物は、任意の適切な有機微粒子又は無機微粒子を含有してもよい。典型的には、これらの有機微粒子又は無機微粒子は、目的に応じた機能(屈折率、導電性等)を付与するために用いられる。
樹脂層の高屈折率化や導電性付与に有用な微粒子の具体例として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。樹脂層の低屈折率化に有用な微粒子の具体例として、フッ化マグネシウム、シリカ、中空シリカ等が挙げられる。防眩性付与に有用な微粒子の具体例としては、前記の微粒子に加え、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン等の無機粒子;シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びこれらの共重合樹脂等の有機微粒子;等が挙げられる。これらの微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上が組み合わされてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。
以下では、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を示すものとする。
まず、実施例で用いた評価方法について、以下説明する。
(PCT(Pressure Cooker Test)試験)
供試材(樹脂層積層基板)について、供試材に設けられた樹脂層にカッター(エヌティー社製A−300)で切り込みを入れ、縦列、横列にそれぞれ2mm間隔で10本のクロスカット線を設けることによって4mm2の四角を81マス作製し、評価用サンプル基板を作製した。次に、この評価用サンプル基板を、120℃、2気圧、湿度100%の高圧高温高湿槽(パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−E(平山製作所社製)、動作モード1)に、15時間または50時間入れた。続いて、室温にて、空気が入らないようにテープ(3M(スリーエム)社製スコッチ(登録商標)透明粘着テープ透明美色(登録商標))を貼り付け、10秒間放置した。その後、基板からのテープの剥離を1秒以内に行い、下記基準で評価した。なお、いずれのマスにおいても剥離力が一定となるようにテープの剥離を行った。
○:作製した81マスの四角のうち、1マスも剥がれが発生しなかった。
△:作製した81マスの四角のうち、1〜9マスに剥がれが発生した。
×:作製した81マスの四角のうち、10〜81マスに剥がれが発生した。
(ポリイミド樹脂A)
1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸(アルドリッチ製、純度95%)5部と無水酢酸(和光純薬製)44部とを、フラスコに仕込み、攪拌しながら反応器内を窒素ガスで置換した。窒素ガス雰囲気下で溶媒の還流温度まで昇温し、10分間溶媒を還流させた。その後、攪拌しながら室温まで冷却し、結晶を析出させた。析出した結晶を固液分離し、乾燥して目的物(1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物)の結晶を得た。続いて、温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク、冷却管を備えたフラスコに、窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和光純薬製)0.89部と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン7.6部を仕込んで溶解させた後、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物1部を室温にて固体のまま1時間かけて分割投入し、室温下2時間撹拌した。共沸脱水剤としてキシレンを2.6部添加して180℃で3時間反応を行い、ディーンスタークで還流して共沸する生成水を分離した。190℃に昇温しながらキシレンを留去した後、冷却しポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。このN−メチル−2−ピロリドン溶液をγ−ブチロラクトンでさらに希釈し、固形分3%のポリイミド樹脂溶液とした。このポリイミド樹脂溶液1部に対して、メタノール50部で再沈し、固液分離した。固液分離したポリイミド樹脂をγ−ブチロラクトンで溶解し、再び固形分3%のポリイミド樹脂溶液とし、前記と同様にメタノール50部で再沈し、固液分離した。再沈して得られた樹脂を乾燥してポリイミド樹脂Aを得た。
(ポリアミドイミド樹脂B)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えたガラス容器に、4,4−オキシジアニリン27.63g(0.138mol)を仕込み、ジメチルアセトアミド(DMAc)300g、トリエチルアミン13.96g(0.138mol)を加え、一定時間攪拌して均一溶液を作製した。この均一溶液を、氷冷しながら、40℃を超えないように無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライド30.00g(0.138mol)をゆっくり添加した。添加終了後、氷冷をやめ、室温にて2時間反応させた後、アニリン0.21g(0.002mol)を添加し、さらに30分攪拌し、粘度19psのポリアミド溶液を作製した。このようにして作製したポリアミド溶液に、無水酢酸26mL、ピリジン12mLを添加し、55℃にて2時間攪拌し、イミド化を行った。得られた反応溶液を、水/メタノール混合溶液に添加し、得られた粉末を水洗、乾燥することによりポリアミドイミド樹脂Bを得た。
(フタロシアニンD)
<中間体Cの作製工程>
1000mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル54g(0.27mol)、フッ化カリウム34.5g(0.59mol)、及びアセトン126gを仕込み、更に滴下ロートに3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチルエステル127g(0.55mol)及びアセトン216gを仕込んだ。具体的には、反応容器を氷冷下、攪拌しながら、滴下ロートより3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチルエステル溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、中間体Cを108.7g(収率64.8%)を得た。この中間体Cの作製工程の反応を、下記化学式(14)に簡略化して示す。
<フタロシアニンDの作製工程>
200mlの四つ口フラスコに、前記中間体C20.0g(0.032mol)、ヨウ化亜鉛(II)2.57g(0.0081mol)、及びベンゾニトリル30.0gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた後、メチルセロソルブ52.7gを加えて反応液を作製した。この反応液をメタノールと水の混合溶液に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウェットケーキを得た。得られたケーキを再度、メタノールと水との混合溶液で撹拌洗浄し、吸引ろ過し、その後、真空乾燥機を用いて90℃で24時間乾燥し、目的物であるフタロシアニンDを17.78g(収率86.7%)得た。このフタロシアニンDの作製工程の反応を、下記化学式(15)に簡略化して示す。
フタロシアニンDは、前記構造中、主骨格中に「*」で示す部分(合計8個)のそれぞれに、化学式(15)に示す置換基Eが置換した構造からなる。
(フタロシアニンG)
<中間体Fの作製工程>
1000mlの三つ口反応容器に3−ニトロフタロニトリル100g(0.58mol)、炭酸カリウム159.7g(1.16mol)、2,6−ジクロロフェノール104.6g(0.64mol)、及びアセトニトリル400gを仕込んだ。60℃で一晩攪拌し反応させた後に、反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトニトリルを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、中間体Fを100.9g(収率60.2%)を得た。
この中間体Fの作製工程の反応を、下記化学式(16)に簡略化して示す。
<フタロシアニンGの作製工程>
300mlの四つ口フラスコに、前記中間体F60.0g(0.21mol)、塩化銅(I)5.65g(0.057mol)、及びジエチレングリコールモノメチルエーテル140.0gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた後、メチルセロソルブ100.0gを加えて反応液を作製した。この反応液をメタノールと水の混合溶液に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウェットケーキを得た。得られたケーキを再度、メタノールと水との混合溶液で撹拌洗浄し、吸引ろ過し、その後、真空乾燥機を用いて90℃で24時間乾燥し、目的物であるフタロシアニンGを51.48g(収率80.4%)得た。このフタロシアニンGの作製工程の反応を、下記化学式(17)に簡略化して示す。
フタロシアニンGは、前記構造中、主骨格中に「*」で示す部分(合計8個)のうち4個に右側の上に示す置換基Iが、残り4個に右側の下に示す置換基(すなわち水素原子)が、それぞれ置換又は結合した構造からなる。また、フタロシアニンGは630nm及び701nmに吸収極大を有しており、吸光度が最も大きい波長(吸収最大波長)は701nmである。
実施例において使用したスクアリリウム系化合物01〜09の構造式を以下に示す。スクアリリウム系化合物01〜06は、明細書中に挙げた論文に記載された合成方法で作製した。スクアリリウム系化合物07及び08は、以下に記載の方法で作製した。また、スクアリリウム化合物09としては、米国特許第5,543,086号明細書のFormula 17に開示されていたスクアリリウム化合物を用いた。
(スクアリリウム化合物07の作製方法)
1)中間原料07−1(1−(3−ニトロフェニル)ピペリジン)の作製工程
200mLの二口フラスコに、3−フルオロニトロベンゼン7.06g(0.050mol)及びピペリジン12.77g(0.150mol)を加え、窒素流通下(5mL/min)、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら還流条件にて12時間反応させた。反応終了後、溶液を室温まで冷却した後、反応液をイオン交換水に加えて酢酸エチルで抽出操作を行った。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮液をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)によって精製処理を行い、目的物である中間原料07−1(1−(3−ニトロフェニル)ピペリジン)10.15g(3−フルオロニトロベンゼンに対する収率:98.4mol%)得た。
2)中間原料07−2(1−(3−アミノフェニル)ピペリジン)の作製工程
200mLの二口フラスコに、10.11g(0.049mol)の中間原料07−1及び40.91g(0.181mol)の塩化すず2水和物からなる原料組成物と、溶媒として濃塩酸204gとを加え、窒素流通下(5mL/min)、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら内温100℃にて30分間反応させた。反応終了後、溶液を室温まで冷却した後、ろ過によって得られた白色結晶を得た。得られた結晶を20質量%水酸化ナトリウム水溶液に加えて中和した後、酢酸エチルを加えて抽出操作を行った。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮液をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)によって精製処理を行い、目的物である中間原料07−2(1−(3−アミノフェニル)ピペリジン)7.9g(中間原料07−1に対する収率:91.0mol%)を得た。
3)中間原料07−3(4−メチル−N−(3−(ピペリジン−1−イル)フェニル)ベンゼンスルホンアミド)の作製工程
200mLの二口フラスコに、1.55g(0.009mol)の中間原料07−2、1.97g(0.010mol)のトシルクロリド、及び1.74g(0.017mol)のトリエチルアミンからなる原料組成物と、溶媒としてクロロホルム40gとを加え、窒素流通下(5mL/min)、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら室温条件にて12時間反応させた。反応終了後、反応液をイオン交換水に加えて酢酸エチルで抽出操作を行った。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮液をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)によって精製処理を行い、目的物である中間原料07−3(4−メチル−N−(3−(ピペリジン−1−イル)フェニル)ベンゼンスルホンアミド)2.6g(中間原料07−2に対する収率:98.1mol%)を得た。
4)スクアリリウム化合物07の作製工程
300mLの三口フラスコに、2.31g(0.008mol)の中間原料07−3、0.43g(0.004mol)のスクアリン酸からなる原料組成物と、溶媒として1−ブタノール23g及びトルエン23gとを加え、窒素流通下(5mL/min)、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、かつディーンスターク装置を用いて溶出してくる水を取り除きながら、還流条件にて3時間反応させた。反応終了後、反応液をエバポレーターで濃縮して溶媒を溜去後、メタノール50gを追加して晶析を行った。析出した結晶をろ過により取得し、ケーキをメタノールでリンスしてウェットケーキを得た。得られた洗浄ケーキを真空乾燥機を用いて60℃で12時間乾燥し、目的物であるスクアリリウム化合物07を0.82g(スクアリン酸に対する収率:29.5mol%)を得た。
スクアリリウム化合物07の作製工程における反応を、以下に簡略化して示す。
(スクアリリウム化合物08の作製方法)
1)中間原料08−1(1−(3−ニトロフェニル)モルホリン)の作製工程
原料組成物として、モルホリン13.07g(0.150mol)を用いたこと以外は、中間原料07−1の作製工程と同様の手法により、中間原料08−1(1−(3−ニトロフェニル)モルホリン)を8.25g(3−フルオロニトロベンゼンに対する収率:79.2mol%)得た。
2)中間原料08−2(1−(3−アミノフェニル)モルホリン)の作製工程
原料組成物として、中間原料08−1を8.25g(0.040mol)用いたこと以外は、中間原料07−2の作製工程と同様の手法により、中間原料08−2(1−(3−アミノフェニル)モルホリン)を2.28g(中間原料08−1に対する収率:32.3mol%)得た。
3)中間原料08−3(2,2,2−トリフルオロ−N−(3−モルホリノフェニル)アセトアミド)の作製工程
原料組成物として、中間原料08−2を1.38g(0.008mol)、トリフルオロ酢酸無水物を3.19g(0.015mol)用いたこと以外は、中間原料07−3の作製工程と同様の手法により、中間原料08−3(2,2,2−トリフルオロ−N−(3−モルホリノフェニル)アセトアミド)を2.0g(中間原料08−2に対する収率:96.0mol%)得た。
4)スクアリリウム化合物08の作製工程
原料組成物として、中間原料08−3を2.0g(0.007mol)用いたこと以外は、スクアリリウム化合物07の作製工程と同様の手法により、スクアリリウム化合物08を0.64g(スクアリン酸に対する収率:23.7mol%)得た。
(下地層用組成物(アンダーコート液))
<アンダーコート液の作製>
表1に記載の組成の割合で、シランカップリング剤、エタノール、水、及びギ酸水溶液を所定量混合、溶解した混合液P〜Sを作製した。次に混合液P〜S1部をそれぞれ99部のエタノールで希釈溶解してアンダーコート液No.1〜4を作製した。アンダーコート液No.1〜4は表2のとおりである。なお、シランカップリング剤として、以下の4つを用いている。
信越シリコーン社製KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6020(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6040(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6043(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)
(実施例1)
<アンダーコート液の塗布>
ガラス基板(SCHOTT社製D263Teco、60mm×60mm×0.3mm)上に前記アンダーコート液を1cc垂らした後、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、3秒間かけて2200回転(rpm)にし、20秒間その回転数で保持し、その後3秒間かけて0回転(rpm)になるようにして下地層を成膜した。下地層成膜後のガラス基板を精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で10分間乾燥し、下地層を備えたガラス基板(以下、下地層積層基板という)を得た。
<樹脂層用組成物溶液の塗布>
ポリイミド樹脂A100部、γ−ブチロラクトン(GBL)1900部の溶液に、吸収最大波長670nmであるフタロシアニンDを8部混合、溶解して樹脂層用組成物溶液を作製した。この樹脂層用組成物溶液を下地層積層基板の下地層上(下地層の反基板側)に0.6cc垂らした後、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、0.2秒間かけて1000回転(rpm)にし、10秒間その回転数で保持し、その後0.2秒間かけて0回転(rpm)になるようにして樹脂層を成膜した。樹脂層を成膜したガラス基板を、精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で3分間初期乾燥した後に200℃で30分間追加乾燥し、下地層及び樹脂層を備えたガラス基板(以下、樹脂層積層基板という)を得た。乾燥後の樹脂層の膜厚は1μmであった。なお、乾燥後の樹脂層の膜厚は、樹脂層積層基板の厚さ及び下地層積層ガラス基板の厚さをマイクロメーターを用いて測定し、両者の差を乾燥後の樹脂層の膜厚とした。また、分光光度計(島津製作所社製UV−3100)を用いて、樹脂層積層基板の吸収スペクトル(透過スペクトル)を測定し、吸収極大となる波長を最大吸収波長とした。
(実施例2〜12、比較例1〜10)
実施例1において、アンダーコート液の種類、樹脂の種類・量、色素の種類・量、溶媒の種類・量、初期乾燥の温度、及び追加乾燥の温度・時間を表3、表4に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、樹脂として、前記ポリイミド樹脂A、前記ポリアミドイミド樹脂B以外に以下の2つも用いている。
ソルベイスペシャルティポリマーズ社製UDEL(登録商標)P−1700 NT11(ポリサルホン樹脂)
JSR社製アートン(登録商標)樹脂(環状オレフィン樹脂)
得られた樹脂層積層基板を用いて、PCT試験を行った。樹脂層積層基板の構成、PCT試験の結果を以下の表3、表4にまとめた。
(参考例1)
本発明で得られた知見を基に、アンダーコートしていないガラス基板(SCHOTT社製D263Teco)上に、実施例1で作製された樹脂層用組成物溶液にさらにシランカップリング剤(信越シリコーン社製KBM−903)を添加したシランカップリング剤含有組成物溶液を0.6cc垂らした後、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、0.2秒間かけて1000回転(rpm)にし、10秒間その回転数で保持し、その後0.2秒間かけて0回転(rpm)になるようにして樹脂層を成膜した。前記シランカップリング剤含有組成物溶液は、具体的には、ポリイミド樹脂A100部、γ−ブチロラクトン(GBL)1900部の溶液に、吸収最大波長670nmであるフタロシアニンDを8部混合し、さらにシランカップリング剤(信越シリコーン社製KBM−903)を3部添加して作製されたものである。
樹脂層を成膜したガラス基板を、精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で3分間初期乾燥した後に200℃で30分間追加乾燥し、樹脂層を備えたガラス基板を得た。得られた試験サンプルのPCT試験を行った結果、密着性は良好であった。樹脂層積層基板の構成、PCT試験の結果を以下の表5にまとめた。
よって、近赤外線吸収色素、アミノ基含有シランカップリング剤、及び溶剤可溶性樹脂であるポリ(アミド)イミド樹脂を全て1つの組成物溶液に含有し、その組成物溶液から形成された樹脂層を備えた(アンダーコートを行っていない)近赤外線カットフィルターの有用性も確認できた。
本発明の近赤外線カットフィルターは、耐剥離性に優れるため、表示素子や撮像素子等の光学デバイス他種々の分野において用いることが可能である。例えば、携帯電話用カメラ、デジタルカメラ、車載用カメラ、監視カメラ、表示素子(LED等)等の電子部品に用いることができる。

Claims (5)

  1. ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた下地層と、前記下地層の上方に設けられた樹脂層とを備えた近赤外線カットフィルターであって、
    前記下地層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物から形成されたものであり、
    前記樹脂層は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一方を含有し、
    前記樹脂層は、さらにフタロシアニン系色素及びオキソカーボン系色素の少なくとも一方を含有し、含有されている前記色素は600〜900nmの波長域に吸収極大を有する
    ことを特徴とする近赤外線カットフィルター。
  2. 前記ポリイミド樹脂は、下記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂である請求項に記載の近赤外線カットフィルター。
    (一般式(1)中、X’およびY’は、それぞれ独立に、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基、または、単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を含有し、炭素原子数が2〜39である置換基を有してもよい連結基を示す。)
  3. 前記ポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(2)で表されるポリアミドイミド樹脂である請求項に記載の近赤外線カットフィルター。
    (一般式(2)中、X”は三価の有機基を示し、Y”は下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される二価の有機基を示す。)
    (一般式(3)中、R1及びR3は、水素原子又は非イオン性で不活性な置換基を示し、R2はCH2、CO、SO2又はOを示す。)
    (一般式(4)中、R1は一般式(3)に同じである。)
  4. 前記シランカップリング剤が第一級アミノ基を有する請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  5. 前記樹脂層において、樹脂100質量%に対する色素の総量が0.05質量%以上35質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
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