JP6056561B2 - 近赤外線カットフィルターおよびその用途 - Google Patents

近赤外線カットフィルターおよびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP6056561B2
JP6056561B2 JP2013046685A JP2013046685A JP6056561B2 JP 6056561 B2 JP6056561 B2 JP 6056561B2 JP 2013046685 A JP2013046685 A JP 2013046685A JP 2013046685 A JP2013046685 A JP 2013046685A JP 6056561 B2 JP6056561 B2 JP 6056561B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
resin
hydrocarbon group
substituent
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013046685A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013218312A (ja
Inventor
勝也 長屋
勝也 長屋
寛之 岸田
寛之 岸田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2013046685A priority Critical patent/JP6056561B2/ja
Publication of JP2013218312A publication Critical patent/JP2013218312A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6056561B2 publication Critical patent/JP6056561B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Optical Filters (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、近赤外線カットフィルターおよびその用途に関する。詳しくは、特定の溶剤可溶型の色素化合物を含む近赤外線カットフィルター、該近赤外線カットフィルターを用いた固体撮像装置およびカメラモジュール、ならびに該近赤外線カットフィルターに好適に用いることができる樹脂組成物に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などの固体撮像装置にはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されているが、これら固体撮像素子は、その受光部において人間の目では感知できない近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードが使用されている。これらの固体撮像素子では、人間の目で見て自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長領域を選択的に透過する近赤外線カットフィルターを用いることが多い。
このような近赤外線カットフィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されており、たとえば、透明樹脂中に近赤外線に吸収をもつ染料や顔料を含有させたものが使用されている。
特開昭51−135886号公報(特許文献1)、特開昭61−80106号公報(特許文献2)、特開昭62−903号公報(特許文献3)などには、近赤外線に吸収のある顔料を添加する方法が提案されている。しかしながら、これらの顔料は、溶解性に乏しく、樹脂との相溶性が悪いため、均一性に問題が残ったままである。
特開平3−227366号公報(特許文献4)には、六塩化タングステンなどを含有させる方法も提案されている。しかしながら、この方法は、光安定性が悪いという問題を有している。
特公昭43−25335号公報(特許文献5)に記載されているように、一般の赤外線吸収剤は耐熱性が十分でないものが多く、フィルター成型時の温度では使用できない問題がある。
さらに、特開平6−200113号公報(特許文献6)などには、有機系色素であるにもかかわらず耐熱性および耐候性に優れるフタロシアニン系色素を使用することが提案されている。しかしながら、通常のフタロシアニン系色素は、色素の会合が強いことから、溶媒への溶解性が悪く、顔料としての利用が多い。
特許2664630号公報(特許文献7)および特許3959143号公報(特許文献8)には、フタロシアニン系色素の上記のような課題を解決する為に、フタロシアニン系色素に特定の官能基を導入することで樹脂への相溶性を改善する方法が提案されている。しかしながら、これらにおいても樹脂への相溶性を改善するだけであり、フタロシアニン系色素の会合を抑制するには至っていない。
樹脂中において、フタロシアニン系色素同士が会合すると、吸収強度や可視光透過率の低下、吸収帯域のブロードニングが生じてしまい、高い可視光透過率と目的とする波長域の効率的な光線カット性能との両立が難しいという問題があった。
特開昭51−135886号公報 特開昭61−80106号公報 特開昭62−903号公報 特開平3−227366号公報 特公昭43−25335号公報 特開平6−200113号公報 特許2664630号公報 特許3959143号公報
本発明の目的は、従来のフタロシアニン系色素を用いた近赤外線カットフィルターでは達成が困難であった、急峻な吸収特性と高い可視光透過率とを両立可能な近赤外線カットフィルターおよび該近赤外線カットフィルターを用いた装置を提供することにある。また、本発明は、前記近赤外線カットフィルターに好適に用いられる樹脂組成物を提供することも目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有するフタロシアニン化合物は樹脂中での色素の会合が抑制され、近赤外線吸収色素として用いることで、吸収特性や可視光透過率に優れた近赤外線カットフィルターが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本願発明の態様の例を、以下に示す。
[1]色素として、下記式(I)〜(VIII)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する近赤外線カットフィルター。
Figure 0006056561
Figure 0006056561
式(I)〜(VIII)中、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、または3価もしくは4価の金属原子を含む置換金属原子を表し、
複数あるRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−O−L1、−S−L2、−SS−L2、−CO−L3、−SO2−L4、−N=N−L5、−L6−A、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基または炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を表し、
前記アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基Lを有してもよく、
1は、
水素原子、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基を有するケイ素原子、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基を有するケイ素原子、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有するケイ素原子、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を有するケイ素原子
を表し、
2は、
水素原子、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
3は、
水素原子、
水酸基、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
4は、
水酸基、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
5は、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
6は、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
Aは、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、カルボキシル基、スルホ基またはリン酸基を表し、L6に複数結合してもよい。
[2]Mが、周期表4族〜12族、且つ、第4周期〜第5周期に属する、2価の遷移金属、3価もしくは4価の金属ハロゲン化物または4価の金属酸化物であることを特徴とする項[1]に記載の近赤外線カットフィルター。
[3]RgおよびRhが、置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基であることを特徴とする項[1]または[2]に記載の近赤外線カットフィルター。
[4]色素としてさらに、前記式(I)〜(VIII)で表されるフタロシアニン化合物以外のフタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、シアニン系化合物、スクアリリウム系化合物およびクロコニウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
[5]前記色素と、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂とを含有する樹脂製基板を含み、かつ、該樹脂製基板における色素全体の含有量が、該樹脂製基板における樹脂の含有量100重量部に対して0.01〜5.0重量部であることを特徴とする項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
[6]前記近赤外線カットフィルターの両面に、屈折率1.7以上2.5以下の高屈折率材料層と屈折率1.2以上1.6以下の低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を有することを特徴とする項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
[7]前記近赤外線カットフィルターが固体撮像装置用であることを特徴とする項[1]〜[6]のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
[8]項[1]〜[7]のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを具備する固体撮像装置。
[9]項[1]〜[8]のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを具備するカメラモジュール。
[10]上記式(I)〜(VIII)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂とを含有する樹脂組成物。
本発明によれば、急峻な吸収特性を有し、且つ、可視光透過率特性に優れた近赤外線カットフィルターを提供することができる。
図1(a)は、従来のカメラモジュールの一例を示す断面概略図である。図1(b)は、本発明の近赤外線カットフィルター6'を用いた場合のカメラモジュールの一例を示す断面概略図である。 図2は、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率を測定する方法を示す概略図である。 図3は、近赤外線カットフィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率を測定する方法を示す概念図である。 図4は、色素吸収の急峻さを評価するための、吸収極大波長(L)と、吸収極大の吸光度を1.0とした際、吸光度が0.3となる波長(M)とを示した、樹脂中での色素吸光度スペクトルの一例である。 図5は、(1)実施例1および(2)比較例2で得られた樹脂製基板におけるフタロシアニン化合物の吸光度スペクトル(吸収極大の吸光度を1.0に規格化したもの)である。
以下、本発明について具体的に説明する。
[近赤外線カットフィルター]
本発明に係る近赤外線カットフィルターは、色素として、後述する式(I)〜(VIII)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。また、本発明の近赤外線カットフィルターは、前記色素および後述する樹脂を含有する樹脂製基板からなることが好ましい。なお、本発明の近赤外線カットフィルターは、前記樹脂製基板の少なくとも片面に近赤外線反射膜を有していてもよい。
〔樹脂製基板〕
前記樹脂製基板は、吸収極大が波長600〜800nmの範囲にあることが望ましい。基板の吸収極大波長がこのような範囲にあれば、該基板は、近赤外線を選択的に効率よくカットすることができる。
このような樹脂製基板を近赤外線カットフィルターに用いた場合には、波長560〜800nmの範囲において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Xa)と、近赤外線カットフィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Xb)との差の絶対値が小さくなり、吸収波長の入射角依存性が小さく、視野角の広い近赤外線カットフィルターを得ることができる。(Xa)と(Xb)の差の絶対値は、好ましくは20nm未満、より好ましくは15nm未満、特に好ましくは10nm未満である。
樹脂中における吸収の急峻さについては、樹脂中での色素吸光度スペクトルにおける吸収極大波長(L)と、吸収極大の吸光度を1.0(透過率約10%)に規格化した際、吸光度が0.3(透過率約50%)となる波長(M)の差から規定することができる。すなわち、|L−M|の値が小さい時ほど吸収パターンが急峻であるといえ、|L−M|の値は、好ましくは40nm以下、より好ましくは35nm以下、特に好ましくは30nm以下である。|L−M|の値がこの範囲にあると、近赤外領域において十分に急峻な吸収パターンを達成することができ、良好なカメラ画像を得ることができる。
カメラモジュールなどの用途によっては、波長400〜700nmのいわゆる可視光領域において、フタロシアニン系色素を含有した樹脂製基板の厚みを100μmとした時の該基板の平均透過率が50%以上、好ましくは65%以上であることが必要な場合もある。
前記樹脂製基板の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、該基板が前記のような入射角依存改良性を有するように調整することが好ましく、より好ましくは30〜250μm、さらに好ましくは40〜200μm、特に好ましくは50〜150μmである。
樹脂製基板の厚みが前記範囲にあると、該基板を用いた近赤外線カットフィルターを小型化および軽量化することができ、固体撮像装置等の様々な用途に好適に用いることができる。特に、前記樹脂性基板をカメラモジュール等レンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化を実現することができるため好ましい。
<色素>
(A)式(I)〜(VIII)で表されるフタロシアニン化合物
本発明では、前記色素として、下記式(I)〜(VIII)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「フタロシアニン化合物(A)」ともいう。)が用いられる。
Figure 0006056561
Figure 0006056561
式(I)〜(VIII)中、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、または3価もしくは4価の金属原子を含む置換金属原子を表し、
複数あるRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−O−L1、−S−L2、−SS−L2、−CO−L3、−SO2−L4、−N=N−L5、−L6−A、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基または炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を表し、
前記アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基(以下「置換基L」ともいう。)を有してもよく、
1は、
水素原子、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基を有するケイ素原子、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基を有するケイ素原子、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有するケイ素原子、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を有するケイ素原子
を表し、
2は、
水素原子、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
3は、
水素原子、
水酸基、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
4は、
水酸基、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
5は、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
6は、
置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
を表し、
Aは、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、カルボキシル基、スルホ基またはリン酸基を表し、L6に複数結合してもよい。
また、前記RgおよびRhは、色素間の会合をより効率的に抑制することができることから、置換基Lを有してもよいアミノ基、置換基Lを有してもよいアミド基、置換基Lを有してもよいイミド基、置換基Lを有してもよいシアノ基、置換基Lを有してもよいシリル基、−O−L1、−S−L2、−SS−L2、−CO−L3、−SO2−L4、−N=N−L5、−L6−A、置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基または置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基であることが好ましく、これらの中でも、置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が特に好ましい。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ベンジル基、2−シクロへキシルエチル基、1−デシル−ドデシル基などのアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、2−ベンザル−エチル基、などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基、などのアルキニル基が挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基としては、シクロブタン基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、2,3,4,5,6−ペンタメチルシクロヘキシル基、シクロヘプタン基、シクロオクタン基、ノルボルナン基、2−メチルノルボルナン基、アダマンタン基、2−メチルアダマンタン基などのシクロアルカン基が挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−フェニル−フェニル基、ペンタメチルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、アセナフチル基、フェナレニル基、テトラメチルナフチル基、インダニル基、ビフェニリル基、などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基としては、1H−ピロル−2イル基、ピリジル基、ジアゾール基、チエニル基、オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基、1−メチル−1H−ピロル−2イル基、1−メチルイミダゾル−5イル基、1−メチル−ベンゾイミダゾール−6イル基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよいアミノ基としては、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよいアミド基としては、アミド基、メチルアミド基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、ジイソプロピルアミド基、ジブチルアミド基、α−ラクタム基、β−ラクタム基、γ−ラクタム基、δ−ラクタム基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよいイミド基としては、イミド基、メチルイミド基、エチルイミド基、ジメチルイミド基、プロピルイミド基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよいシアノ基としては、シアノ基、メチルシアノ基、エチルシアノ基、p−フェニルシアノ基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、置換基Lを有してもよいシリル基としては、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、−O−L1としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、4−クミルフェノキシ基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、−S−L2としては、チオール基、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基、イソブチルスルフィド基、sec-ブチルスルフィド基、tert-ブチルスルフィド基、フェニルスルフィド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルスルフィド基、2,6−ジフェニルフェニルスルフィド基、4−クミルフェニルスルフィド基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、−SS−L2としては、ジスルフィド基、メチルジスルフィド基、エチルジスルフィド基、プロピルジスルフィド基、ブチルジスルフィド基、イソブチルジスルフィド基、sec-ブチルジスルフィド基、tert-ブチルジスルフィド基、フェニルジスルフィド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルジスルフィド基、2,6−ジフェニルフェニルジスルフィド基、4−クミルフェニルジスルフィド基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、−CO−L3としては、アルデヒド基、カルボキシル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、ヘキサドデシルカルボニル基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、−SO2−L4としては、スルホ基、メシル基、エチルスルホニル基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、−N=N−L5としては、メチルアゾ基、フェニルアゾ基、p−メチルフェニルアゾ基、p−ジメチルアミノフェニルアゾ基などが挙げられる。
前記Ra〜Rhにおいて、−L6−Aとしては、トリフルオロメチル基、エチルアルコール基、p−ニトロフェニル基、ドデシルアミノ基、p−アミドフェニル基、ドデシルリン酸基、メチルイミド基、シアノプロピル基、トリメチルシリル−ヘキシル基、メチルカルボキシル基、エチルスルホ基、ブチルリン酸基などが挙げられる
前記Mにおいて、1価の金属原子としては、Li、Na、K、Rb、Csなどが挙げられる。
前記Mにおいて、2価の金属原子としては、Be、Mg、Ca、Ba、Ti、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Zn、Cd、Hg、Sn、Pbなどが挙げられる。
前記Mにおいて、3価の金属原子を含む置換金属原子としては、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−Cl、In−Br、In−I、Tl−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Fe−Cl、Ru−Cl、Mn−OHなどが挙げられる。
前記Mにおいて、4価の金属原子を含む置換金属原子としては、TiF2、TiCl2、TiBr2、TiI2、ZrCl2、HfCl2、CrCl2、SiF2、SiCl2、SiBr2、SiI2、GeF2、GeCl2、GeBr2、GeI2、SnF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、Zr(OH)2、Hf(OH)2、Mn(OH)2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、GeR2、SnR2、Ti(OR)2、Cr(OR)2、Si(OR)2、Ge(OR)2、Sn(OR)2(Rは脂肪族基または芳香族基を表す。)、TiO、VO、MnOなどが挙げられる
前記Mとしては、周期表4族〜12族、且つ、第4周期〜第5周期に属する、2価の遷移金属、3価もしくは4価の金属ハロゲン化物または4価の金属酸化物であることが好ましく、その中でも、特に高い可視光透過率を達成することができることから、Cu,Ni,Co,Zn,TiOおよびVOが特に好ましい。
前記フタロシアニン化合物(A)の具体例として、前記式(I)〜(VIII)で表される基本骨格を有する、下記表1〜2に記載の化合物(a−1)〜(a−40)などを挙げることができる。
Figure 0006056561
Figure 0006056561
<その他の色素>
前記樹脂製基板は、色素としてさらに、前記フタロシアニン化合物(A)以外のフタロシアニン系化合物(B)、ナフタロシアニン系化合物(C)、ジイモニウム系化合物(D)、シアニン系化合物(E)、スクアリリウム系化合物(F)およびクロコニウム系化合物(G)からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物(以下「他の色素化合物」ともいう。)を含有することが好ましい。前記フタロシアニン化合物(A)と他の色素化合物とを併用することにより、目的とする波長領域での急峻な吸収特性と、より長波長領域における吸収特性とを同時に得ることができ、撮像素子用途として使用した場合、より高画質なカメラ画像を得ることができる。
(B)前記フタロシアニン化合物(A)以外のフタロシアニン系化合物
前記フタロシアニン化合物(A)以外のフタロシアニン系化合物(B)としては、前記フタロシアニン化合物(A)と異なる構造であれば特に構造は限定されないが、例えば、下記式(B−I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006056561
式(B−I)中、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、または3価もしくは4価の金属原子を含む置換金属原子を表し、
複数あるRa、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基Lを有してもよいアミノ基、置換基Lを有してもよいアミド基、置換基Lを有してもよいイミド基、置換基Lを有してもよいシリル基、−O−L1、−S−L2、−SS−L2、−CO−L3、−SO2−L4、−N=N−L5、−L6−A、置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、置換基Lを有してもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、または置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を表す(ただし、前記フタロシアニン化合物(A)の構造となる組み合わせは除く)。
(C)ナフタロシアニン系化合物
前記ナフタロシアニン系化合物(C)としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(C−I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006056561
式(C−I)中、Mは、前記式(B−I)中のMと同義であり、Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfは、前記式(B−I)中のRa、Rb、RcおよびRdと同義である。
前記フタロシアニン系化合物(A)、(B)およびナフタロシアニン系化合物(C)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば、特許第4081149号公報や「フタロシアニン −化学と機能―」(アイピーシー、1997年)に記載されている方法で合成することができる。
(D)ジイモニウム系化合物
前記ジイモニウム系化合物(D)としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(D−I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006056561
式(D−I)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、前記式(B−I)中のRa、Rb、RcおよびRdと同義であり、
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、硝酸塩イオン、ベンゼンスルホキシル基塩イオン、p−トルエンスルホキシル基塩イオン、テトラフルオロホウ酸塩イオン、テトラフェニルホウ酸塩イオン、ヘキサフルオロ燐酸塩イオン、ベンゼンスルフィン酸塩イオン、一水素二リン酸塩イオン、二水素一リン酸塩イオン、酢酸塩イオン、トリフルオロ酢酸塩イオン、プロピオン酢酸塩イオン、安息香酸塩イオン、シュウ酸塩イオン、コハク酸塩イオン、マロン酸塩イオン、オレイン酸塩イオン、ステアリン酸塩イオン、クロロスルホキシル基塩イオン、トリフルオロメタンスルホキシル基塩イオン、タングステン酸塩イオン、モリブデン酸塩イオン、チタン酸塩イオン、ジルコン酸塩イオンなどの1価の陰イオンを表す。
(E)シアニン系化合物
前記シアニン系化合物(E)としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(E−I)〜(E−VI) で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006056561
式(E−I)〜(E−VI)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、RhおよびRiは、前記式(B−I)中のRa、Rb、RcおよびRdと同義であり、
複数あるDは、独立に炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、
a〜ZdおよびYa〜Ydは、前記式(B−I)中のRa、Rb、RcおよびRdと同義である他、隣接した二つから選ばれるZ同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を一つないし複数個含んでもよい5乃至6員環の環状構造;
隣接した二つから選ばれるZ同士もしくはY同士が相互に結合して形成される芳香族炭化水素基;
隣接した二つから選ばれるZ同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を一つないし複数個含む複素芳香族炭化水素基を表し、
前記環状構造、芳香族炭化水素基および複素芳香族炭化水素基は、炭素数1〜9の炭化水素基またはハロゲン原子を有してもよい。
前記シアニン系化合物(E)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば特開2009−108267号公報に記載されている方法で合成することができる。
(F)スクアリリウム系化合物
前記スクアリリウム系化合物(F)としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(F−I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006056561
式(F−I)中、XおよびYは、同一でも異なっていてもよく、下記式(f-a)〜(f-r)で表される基からなる群より選ばれる官能基を表す。
Figure 0006056561
式(f-a)〜(f-r)中、Ra〜Rnは、前記式(B−I)中のRa、Rb、RcおよびRdと同義である。
前記スクアリリウム系化合物(F)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば、特開昭60−228448号公報、特開平1−146846号公報、特開平1−228960号公報、特開平5−206282号公報に記載されている方法で合成することができる。
(G)クロコニウム系化合物
前記クロコニウム系化合物(G)としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(G−I)または(G−II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006056561
式(G−I)および(G−II)中、Ra〜Rnは、前記式(B−I)中のRa、Rb、RcおよびRdと同義である。
前記クロコニウム系化合物(G)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば、特開2007−31644号公報や特開2007−169315号公報に記載されている方法で合成することができる。
<色素の含有量>
前記樹脂製基板において、色素全体の含有量は、樹脂製基板中に含有される樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜5.0重量部、より好ましくは0.02〜3.5重量部、特に好ましくは0.03〜3.0重量部である。色素全体の含有量が前記範囲内にあると、良好な近赤外線吸収特性と高い可視光透過率を両立させることができる。
また、前記樹脂製基板における前記フタロシアニン化合物(A)の含有量は、色素全体を100重量部とした場合、好ましくは0.005〜3重量部、より好ましくは0.02〜1重量部、特に好ましくは0.05〜0.8重量部である。前記フタロシアニン化合物(A)の含有量が前記範囲にあると、近赤外線吸収特性と高い可視光透過率に加え、急峻な吸収特性が得られる。
<樹脂>
前記樹脂製基板に用いられる樹脂は、透明樹脂が好ましい。このような樹脂としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルムへの成形性を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうるフィルムとするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂が挙げられる。また、樹脂のガラス転移温度が140℃以上であると、誘電体多層膜をより高温で蒸着形成し得るフィルムが得られるため、特に好ましい。
また、前記樹脂としては、厚さ0.1mmでの全光線透過率(JIS K7105)が、好ましくは75〜95%であり、さらに好ましくは78〜95%であり、特に好ましくは80〜95%である樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲であれば、得られる基板は、光学フィルムとして良好な透明性を示す。
前記樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を挙げることができる。
1)環状オレフィン系樹脂
前記環状オレフィン系樹脂としては、特に制限されないが、例えば、下記式(X0)で表される単量体および下記式(Y0)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体を重合することで得られる樹脂、または必要に応じてさらに前記で得られた樹脂を水素添加することで得られる樹脂を用いることができる。
Figure 0006056561
式(X0)中、Rx1〜Rx4は、それぞれ独立に下記(i')〜(viii')より選ばれる原子または基を表し、kx、mxおよびpxは、それぞれ独立に、0または正の整数を表す。
(i')水素原子
(ii')ハロゲン原子
(iii')トリアルキルシリル基
(iv')酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v')置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi')極性基(但し(iv')を除く)
(vii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す
(viii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表すか、Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。
Figure 0006056561
式(Y0)中、Ry1およびRy2は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表すか、下記(ix')を表し、kyおよびpyは、それぞれ独立に、0または正の整数を表す。
(ix')Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表す。
前記(ii')のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
前記(iii')のトリアルキルシリル基としては、炭素数1〜12のトリアルキルシリル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のトリアルキルシリル基である。このようなトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基およびトリイソプロピルシリル基等が挙げられる。
前記(iv')における酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基としては、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−OCO−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホニル基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)およびシロキサン結合(−OSi(R)2−(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基))等が挙げられる。なお、前記(iv')の置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基は、これらの連結基を複数含む基であってもよい。これらの中でも、赤外線反射膜との接着性や密着性に優れるといった点、および化合物(I)の分散性や溶解性の点から、カルボニルオキシ基(*−COO−)およびシロキサン結合(−OSi(R)2−)が好ましい。ただし、*が式(X0)の環に結合するものとする。
前記(V’)の炭化水素基としては、置換または非置換の炭素数1〜15の炭化水素基が好ましく、たとえば、メチル基、エチル基およびプロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ビフェニル基、フェニルエチル基等の芳香族炭化水素基;ビニル基、アリル基およびプロペニル基等のアルケニル基;などが挙げられる。これらの基の中でも、メチル基およびエチル基が耐熱安定性の点で好ましい。なお、置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記(vi')の極性基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基およびエトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基およびベンゾイルオキシ基等のカルボニルオキシ基;シアノ基;アミノ基;アシル基;スルホ基;カルボキシル基などが挙げられる。
前記(vii’)のアルキリデン基としては、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
前記(viii’)の単環もしくは多環の炭化水素環または複素環、および前記(viii’)の単環もしくは多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロへキシレン、シクロへプチレン、シクロブテニレン、シクロペンテニレン、シクロヘキセニレン、シクロヘキセニレン、フェニレン、ナフチレン等が挙げられる。
x、mx、px、kyおよびpyは、それぞれ独立に、0〜3の整数が好ましい。また、kx+mx+pxが、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは1である。ky+pyは、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは0〜2の整数である。mxが0であり、kx+pxが1である環状オレフィン系単量体を用いると、ガラス転移温度が高く、かつ機械的強度にも優れた樹脂が得られるため好ましい。
前記式(X0)または(Y0)で表される環状オレフィン系単量体としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
・ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)
・5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−t−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ペンチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ヘプチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−(4−ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−フェニルカルボニルオキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−メチル−5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−フルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5,6−ジクロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5,6−ジブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・5−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
・トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン
・7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7,8,9−トリメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・8−メチル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン
・8−フェニル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン
・7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−ブロモ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7,8,9−トリクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−クロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−ジクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−トリクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−ヒドロキシ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−シアノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−アミノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・ペンタシクロ[7.4.0.12,5.18,11.07,12]ペンタデカ−3−エン
・8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−(4−ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−フェニルカルボニルオキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−メチル−8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,8−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,9−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−フルオロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−クロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−ブロモ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,8−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,9−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,8,9,9−テトラクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−ヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−メチル−8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−アミノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
なお、これら環状オレフィン系単量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる環状オレフィン系単量体の種類および量は、得られる樹脂に求められる特性により適宜選択される。
これらのうち、その分子内に酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種の原子を少なくとも1個含む構造(以下「極性構造」という。)を有する化合物を用いると、フタロシアニン化合物(A)の溶解性に優れ、また、他素材(近赤外線反射膜等)との接着性や密着性に優れるなどの利点がある。特に、前記式(X0)中、Rx1およびRx3が、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基、好ましくは水素原子またはメチル基であり、かつ、Rx2またはRx4のいずれか一つが極性構造を有する基であって他が水素原子または炭素数1〜3炭化水素基である化合物を重合した樹脂は、吸水(湿)性が低く好ましい。また、Ry1またはRy2のいずれか一つが極性構造を有する基であって他が水素原子または炭素数1〜3炭化水素基である化合物を重合した樹脂は、吸水(湿)性が低く好ましい。さらに、前記極性構造を有する基が下記式(Z0)で表わされる基である環状オレフィン系単量体は、得られる樹脂の耐熱性と吸水(湿)性とのバランスがとりやすいため、好ましく用いられる。
−(CH2zCOOR …(Z0
式(Z0)中、Rは置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基を表し、zは0または1〜10の整数を表す。
前記式(Z0)において、zの値が小さい基ほど得られる水素添加物のガラス転移温度が高くなり耐熱性に優れるので、zが0または1〜3の整数であることが好ましく、更に、zが0である単量体はその合成が容易である点で好ましい。また、前記式(Z0)におけるRは、炭素数が多いほど得られる重合体の水素添加物の吸水(湿)性が低下する傾向にあるが、ガラス転移温度が低下する傾向もあるので、耐熱性を保持する観点から、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、特に炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましい。
なお、前記式(X0)において、前記式(Z0)で表される基が結合した炭素原子に、炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基が結合していると、耐熱性と吸水(湿)性のバランスの良い化合物となる傾向にあるため好ましい。さらに、前記式(X0)において、mxが0であり、かつ、kx+pxが1である化合物は、反応性が高く、高収率で重合体が得られること、また、耐熱性が高い重合体水素添加物が得られること、さらに工業的に入手しやすいことから好適に用いられる。
前記環状オレフィン系樹脂は、前記環状オレフィン系単量体と該単量体と共重合可能な単量体とを本発明の効果を損なわない範囲で共重合させた重合体であってもよい。
これら共重合可能な単量体として、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの環状オレフィンや1,4−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカトリエンなどの非共役環状ポリエンを挙げることができる。これらの共重合可能な単量体は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
前記環状オレフィン系単量体の重合方法については、単量体の重合が可能である限り特に制限されるものではないが、例えば、開環重合または付加重合によって重合することができる。
前記開環重合反応により得られる重合体は、その分子中にオレフィン性不飽和結合を有している。また、前記付加重合反応においても、重合体がその分子中にオレフィン性不飽和結合を有する場合がある。このように、重合体分子中にオレフィン性不飽和結合が存在すると、係るオレフィン性不飽和結合が経時着色やゲル化等劣化の原因となる場合があるので、このオレフィン性不飽和結合を飽和結合に変換する水素添加反応を行うことが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわちオレフィン性不飽和結合を有する重合体の溶液に公知の水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行うことができる。
水素添加重合体の水素添加率は、500MHz、1H−NMRで測定されるオレフィン性不飽和結合に水素が付加した割合が通常50%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性に優れたものとなり、長期にわたって安定した特性を維持できる樹脂製基板となるため好ましい。
2)芳香族ポリエーテル系樹脂
前記芳香族ポリエーテル系樹脂としては、特に制限されないが、例えば、下記式(1)で表わされる構造単位(以下「構造単位(1)」ともいう。)および下記式(2)で表わされる構造単位(以下「構造単位(2)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(以下「構造単位(1−2)」ともいう。)を有する樹脂(以下「樹脂(1)」ともいう。)であることが好ましい。このような樹脂から得られる基板は、優れた耐熱性および力学的強度に優れ、さらに、透明性および表面平滑性等に優れる。
Figure 0006056561
前記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0または1である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、ならびに酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
前記炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖の炭化水素基がより好ましい。
前記直鎖または分岐鎖の炭化水素基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基およびn−ヘプチル基等が挙げられる。
前記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3または4の脂環式炭化水素基がより好ましい。
炭素数3〜12の脂環式炭化水素基の好適な具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロへキシル基等のシクロアルキル基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基およびシクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基が挙げられる。当該脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上のいずれの炭素でもよい。
前記炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。当該芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香族環上のいずれの炭素でもよい。
酸素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子および酸素原子からなる有機基が挙げられ、中でも、エーテル結合、カルボニル基またはエステル結合と炭化水素基とからなる総炭素数1〜12の有機基等を好ましく挙げることができる。
エーテル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基および炭素数1〜12のアルコキシアルキル基などを挙げることができる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基およびメトキシメチル基等が挙げられる。
また、カルボニル基を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数2〜12のアシル基等を挙げることができる。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基およびベンゾイル基等が挙げられる。
エステル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数2〜12のアシルオキシ基等が挙げられる。具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基およびベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子および窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、シアノ基、イミダゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基およびベンズトリアゾール基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子、酸素原子、および、窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンズオキサゾール基およびベンズオキサジアゾール基等が挙げられる。
前記式(1)におけるR1〜R4としては、樹脂(1)の吸水(湿)性の点から炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
Figure 0006056561
前記式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、mは、0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。gおよびhは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記式(1)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様の有機基等を挙げることができる。
前記樹脂(1)は、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)とのモル比(但し、両者(構造単位(1)+構造単位(2))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から、構造単位(1):構造単位(2)=50:50〜100:0であることが好ましく、構造単位(1):構造単位(2)=70:30〜100:0であることがより好ましく、構造単位(1):構造単位(2)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、力学的特性とは、樹脂の引張強度、破断伸びおよび引張弾性率等の性質のことをいう。
また、前記樹脂(1)は、さらに、下記式(3)で表わされる構造単位および下記式(4)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(以下「構造単位(3−4)」ともいう。)を有してもよい。前記樹脂(1)がこのような構造単位(3−4)を有すると、該樹脂(1)を含む基板の力学的特性が向上するため好ましい。
Figure 0006056561
前記式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、nは、0または1を示す。eおよびfは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記式(1)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様の有機基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の2価の有機基としては、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基、ならびに酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基およびヘプタメチレン基等が挙げられる。
炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基およびシクロへキシレン基等のシクロアルキレン基;シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基およびシクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基などが挙げられる。
炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基およびビフェニレン基等が挙げられる。
炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基、炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基としては、ジフロオロメチレン基、ジクロロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、テトラクロロエチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、ヘキサクロロトリメチレン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基およびヘキサクロロイソプロピリデン基等が挙げられる。
炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基としては、前記炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、前記炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子および炭素原子と、酸素原子および/または窒素原子とからなる有機基が挙げられ、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合またはアミド結合と炭化水素基とを有する総炭素数1〜12の2価の有機基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基としては、具体的には、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
前記式(3)におけるZとしては、単結合、−O−、−SO2−、>C=Oまたは炭素数1〜12の2価の有機基が好ましく、樹脂(1)の吸水(湿)性の点から炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基または炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基がより好ましい。
Figure 0006056561
前記式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。なお、mが0の時、R7はシアノ基ではない。
前記樹脂(1)は、前記構造単位(1−2)と前記構造単位(3−4)とのモル比(但し、両者((1−2)+(3−4))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から(1−2):(3−4)=50:50〜100:0であることが好ましく、(1−2):(3−4)=70:30〜100:0であることがより好ましく、(1−2):(3−4)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。
前記樹脂(1)は、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から前記構造単位(1−2)および前記構造単位(3−4)を全構造単位中70モル%以上含むことが好ましく、全構造単位中95モル%以上含むことがより好ましい。
前記樹脂(1)は、例えば、下記式(5)で表わされる化合物(以下「化合物(5)」ともいう。)および下記式(7)で表わされる化合物(以下「化合物(7)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を含む成分(以下「(a)成分」ともいう。)と、下記式(6)で表わされる化合物を含む成分(以下「(b)成分」ともいう。)とを反応させることにより得ることができる。
Figure 0006056561
前記式(5)中、Xは独立してハロゲン原子を示し、フッ素原子が好ましい。
Figure 0006056561
前記式(7)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、Xは前記式(5)中のXと同義である。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。
Figure 0006056561
前記式(6)中、RAは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基、メタンスルホニル基またはトリフルオロメチルスルホニル基を示し、この中でも水素原子が好ましい。なお、式(6)中、R1〜R4およびa〜dは、前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義である。
前記化合物(5)としては、具体的には、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(DFBN)、2,5−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,5−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリルおよびこれらの反応性誘導体を挙げることができる。特に、反応性および経済性等の観点から、2,6−ジフルオロベンゾニトリルおよび2,6−ジクロロベンゾニトリルが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
前記式(6)で表わされる化合物(以下「化合物(6)」ともいう。)としては、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンおよびこれらの反応性誘導体等が挙げられる。これらの中でも、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
前記化合物(7)としては、具体的には、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン(DFDS)、2,4'−ジフルオロベンゾフェノン、2,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、2,2'−ジフルオロベンゾフェノン、2,2'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、2,4'−ジクロロベンゾフェノン、2,4'−ジクロロジフェニルスルホン、2,2'−ジクロロベンゾフェノン、2,2'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジクロロベンゾフェノンおよび3,3'−ジニトロ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン等を挙げることができる。これらの中でも、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホンが好ましい。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
化合物(5)および化合物(7)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物は、(a)成分100モル%中に、80モル%〜100モル%含まれていることが好ましく、90モル%〜100モル%含まれていることがより好ましい。
化合物(6)は、(b)成分100モル%中に、50モル%〜100モル%含まれていることが好ましく、80モル%〜100モル%含まれていることがより好ましく、90モル%〜100モル%含まれていることがさらに好ましい。また、(b)成分は、必要に応じて下記式(8)で表わされる化合物を含むことが好ましい。
Figure 0006056561
前記式(8)中、R5、R6、Z、n、eおよびfは、前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義であり、RAは、前記式(6)中のRAと同義である。
前記式(8)で表わされる化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、2−フェニルヒドロキノン、4,4'−ビフェノール、3,3'−ビフェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3'−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1'−ビ−2−ナフトール、1,1'−ビ−4−ナフトール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンおよびこれらの反応性誘導体等が挙げられる。これらの中でも、レゾルシノール、4,4'−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンが好ましく、反応性および力学的特性の観点から、4,4'−ビフェノールが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
前記樹脂(1)は、より具体的には、(b)成分を有機溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させて、(b)成分(化合物(6)および/または化合物(8)等)のアルカリ金属塩を得た後に、得られたアルカリ金属塩と、(a)成分とを反応させることにより、合成することができる。なお、(b)成分とアルカリ金属化合物との反応を(a)成分の存在下で行うことで、(b)成分のアルカリ金属塩と(a)成分とを反応させることもできる。
反応に使用するアルカリ金属化合物としては、リチウム、カリウムおよびナトリウム等のアルカリ金属;水素化リチウム、水素化カリウムおよび水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属;水酸化リチウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ金属;炭酸リチウム、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
アルカリ金属化合物は、前記(b)成分中の全ての−O−RAに対し、アルカリ金属化合物中の金属原子の量が通常1〜3倍当量、好ましくは1.1〜2倍当量、さらに好ましくは1.2〜1.5倍当量となる量で使用される。
また、反応に使用する有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチルラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)およびトリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)などを使用することができる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホンおよびジメチルスルホキシド等の誘電率の高い極性有機溶媒が特に好適に用いられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、前記反応の際には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールなどの水と共沸する溶媒をさらに用いることもできる。
(a)成分と(b)成分の使用割合は、(a)成分と(b)成分との合計を100モル%とした場合に、(a)成分が、好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは50モル%以上52モル%以下、さらに好ましくは50モル%を超えて52モル%以下であり、(b)成分が、好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは48モル%以上50モル%以下であり、さらに好ましくは48モル%以上50モル%未満である。
また、反応温度は、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは80℃〜200℃の範囲である。反応時間は、好ましくは15分〜100時間、より好ましくは1時間〜24時間の範囲である。
前記樹脂(1)は、示差走査熱量測定(DSC、昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が好ましくは230〜350℃、より好ましくは240〜330℃、さらに好ましくは250〜300℃である。
前記樹脂(1)のガラス転移温度は、例えばRigaku社製8230型DSC測定装置(昇温速度20℃/分)やエスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)(昇温速度20℃/分)などを用いて測定される。
前記樹脂(1)は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα−M、展開溶剤:テトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう。))で測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは15,000〜400,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。
前記樹脂(1)は、熱重量分析法(TGA)で測定した熱分解温度が、好ましくは450℃以上、より好ましくは475℃以上、さらに好ましくは490℃以上である。
3)ポリイミド系樹脂
前記ポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、たとえば特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
4)フルオレンポリカーボネート系樹脂
前記フルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよく、たとえば特開2008−163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
5)フルオレンポリエステル系樹脂
前記フルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよく、たとえば特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
6)フッ素化芳香族ポリマー系樹脂
前記フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、少なくとも1つのフッ素を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであればよく、たとえば特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
7)市販品
本発明に用いることができる透明樹脂の市販品としては、以下の市販品等を挙げることができる。環状オレフィン系樹脂の市販品としては、たとえば、JSR株式会社製アートン、日本ゼオン株式会社製ゼオノア、三井化学株式会社製APEL、ポリプラスチックス株式会社製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品として、住友化学株式会社製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品として三菱ガス化学株式会社製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品として帝人株式会社製ピュアエースなどを挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品として三菱ガス化学株式会社製ユピゼータEP−5000などを挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品として大阪ガスケミカル株式会社製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品として株式会社日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。 シルセスキオキサン系UV硬化樹脂 の市販品として新日鐵化学株式会社製シルプラスなどを挙げることができる。
<その他成分>
前記樹脂製基板は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、近紫外線吸収剤、近赤外線を吸収する染料や顔料、および金属錯体系化合物等の添加剤を含有してもよい。また、後述するキャスト成形により樹脂製基板を製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで樹脂製基板の製造を容易にすることができる。これらその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、およびテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビスーブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記近紫外線吸収剤の市販品としては、例えばオリエント化学工業株式会社製BONASORB UA−3701、BONASORB UA−3911、BONASORB UA−3912などが挙げられる。
前記近赤外線を吸収する染料や顔料としては、上述した色素以外のものであり、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、例えばポルフィリン系化合物などが挙げられる。
なお、これら添加剤は、樹脂製基板を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を製造する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、樹脂100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜2.0重量部である。
<樹脂製基板の製造方法>
前記樹脂製基板は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングする方法により製造することができる。
(A)溶融成形
前記樹脂製基板は、樹脂と近赤外吸収色素とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と近赤外吸収色素とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、近赤外吸収色素、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などにより製造することができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。
(B)キャスト成形
前記樹脂製基板は、近赤外吸収色素、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物を適当な基材の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤と、近赤外吸収色素と、樹脂とを含む樹脂組成物を適当な基材の上にキャスティングする方法;または、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤と、色素化合物と、樹脂とを含む硬化性組成物を適当な基材の上にキャスティングして硬化および乾燥させる方法などにより製造することもできる。
前記基材としては、例えば、ガラス板、スチールベルト、スチールドラムおよび透明樹脂(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)が挙げられる。
前記樹脂製基板は、基材から剥離することにより得ることができ、また、本発明の効果を損なわない限り、基材から剥離せずに基材と塗膜との積層体を前記樹脂製基板としてもよい。
さらに、ガラス板、石英または透明プラスチック製等の光学部品に、前記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、または、前記硬化性組成物をコーティングして硬化および乾燥させる方法などにより、光学部品上に直接樹脂製基板を形成することもできる。
前記方法で得られた樹脂製基板中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、樹脂製基板中の樹脂100重量部に対して、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる樹脂製基板が得られる。
〔近赤外線反射膜〕
本発明に用いることができる近赤外線反射膜は、近赤外線を反射する能力を有する膜である。このような近赤外線反射膜としては、アルミ蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムを主成分とし酸化錫を少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜、または高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜などが挙げられる。このような近赤外線反射膜を有すると、近赤外線をさらに効果的にカットすることができる。
本発明では、近赤外線反射膜は樹脂製基板の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、ソリの生じにくい近赤外線カットフィルターを得ることができる。
前記近赤外線反射膜の中では、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜がより好ましい。
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.7〜2.5である材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、または、酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウムなどを少量(例えば、主成分に対し0〜10%)含有させたものなどが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.2〜1.6である材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、前記樹脂製基板上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法などにより、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
これら高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚みは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚みが好ましい。厚みがこの範囲あると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚みとがほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
また、誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、5〜60層、好ましくは6〜50層であることが望ましい。
さらに、誘電体多層膜を形成した際に基板にソリが生じてしまう場合には、これを解消するために、基板両面に誘電体多層膜を形成したり、基板の誘電体多層膜を形成した面に紫外線等の電磁波を照射したりする方法等をとることができる。なお、電磁波を照射する場合、誘電体多層膜の形成中に照射してもよいし、形成後別途照射してもよい。
〔その他の機能膜〕
本発明の近赤外線カットフィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、樹脂製基板と誘電体多層膜等の近赤外線反射膜との間、樹脂製基板の近赤外線反射膜が設けられた面と反対側の面、または近赤外線反射膜の樹脂製基板が設けられた面と反対側の面に、樹脂製基板や近赤外線反射膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を適宜設けることができる。
本発明の近赤外線カットフィルターは、前記機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の近赤外線カットフィルターが前記機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては、特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを樹脂製基板または近赤外線反射膜上に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で樹脂製基板または赤外線反射膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
前記ウレタン系もしくはウレタンアクリレート系硬化性組成物に含まれる成分としては、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴウレタン(メタ)アクリレート類を挙げることができる。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらにポリウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーや、ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーを配合してもよい。
前記ビニル化合物類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ系もしくはエポキシアクリレート系硬化性組成物に含まれる成分としては、特に限定されないが、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、ポリエポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーを配合してもよい。
前記コーティング剤(コーティング剤などを含む硬化性組成物)の市販品としては、東洋インキ製造株式会社製LCH、LAS;荒川化学工業株式会社製ビームセット;ダイセル・サイテック株式会社製EBECRYL、UVACURE;JSR株式会社製オプスターなどが挙げられる。
また、前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100重量%とした場合、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性が優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知のものを使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1μm〜20μm、さらに好ましくは0.5μm〜10μm、特に好ましくは0.7μm〜5μmである。
また、樹脂製基板と機能膜および/または近赤外線反射膜との密着性や、機能膜と近赤外線反射膜との密着性を上げる目的で、樹脂製基板や機能膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
〔近赤外線カットフィルターの特性等〕
本発明の近赤外線カットフィルターは、透過率特性に優れ、使用する際に制約を受けない。また、前記フタロシアニン化合物(A)は、会合による吸収強度や可視光透過率の低下を引き起こすことなく、且つ、急峻な吸収をもつことから、入射角依存性が少なく、高い可視光透過率と赤外線カット性能とを併せ持つ近赤外線カットフィルターを得ることができる。
〔近赤外線カットフィルターの用途〕
本発明の近赤外線カットフィルターは、視野角が広く、優れた近赤外線カット能等を有する。したがって、カメラモジュールのCCDやCMOSなどの固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。さらに、自動車や建物などのガラス等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
[固体撮像装置]
本発明の固体撮像装置は、本発明の近赤外線カットフィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSなどといった固体撮像素子を備えたイメージセンサーであり、具体的にはデジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラなどの用途に用いることができる。
[カメラモジュール]
本発明のカメラモジュールは、本発明の近赤外線カットフィルターを具備する。ここで、本発明の近赤外線カットフィルターをカメラモジュールに用いる場合について具体的に説明する。図1に、カメラモジュールの断面概略図を示す。
図1(a)は、従来のカメラモジュールの構造の断面概略図であり、図1(b)は、本発明の近赤外線カットフィルター6'を用いた場合の、とり得ることができるカメラモジュールの構造の一つを表す断面概略図である。なお、図1(b)では、本発明の近赤外線カットフィルター6'をレンズ5の上部に用いているが、本発明の近赤外線カットフィルター6'は、図1(a)に示すようにレンズ5とセンサー7の間に用いることもできる。
従来のカメラモジュールでは、近赤外線カットフィルター6に対してほぼ垂直に光が入射する必要があった。そのため、近赤外線カットフィルター6は、レンズ5とセンサー7の間に配置する必要があった。
ここで、センサー7は、高感度であり、5μm程度のちりやほこりが触れるだけで正確に作動しなくなるおそれがあるため、センサー7の上部に用いるフィルター6は、ちりやほこりの出ないものであり、異物を含まないものである必要があった。また、前記センサー7の特性から、フィルター6とセンサー7の間には、所定の間隔を設ける必要があり、このことがカメラモジュールの低背化を妨げる一因となっていた。
これに対し、本発明の近赤外線カットフィルター6'の場合、近赤外線カットフィルター6'の垂直方向から入射する光と、近赤外線カットフィルター6'の垂直方向に対して30°から入射する光の透過波長に大きな差はない(吸収(透過)波長の入射角依存性が小さい)ため、近赤外線カットフィルター6'は、レンズ5とセンサー7の間に配置する必要がなく、レンズの上部に配置することもできる。
このため、本発明の近赤外線カットフィルター6'をカメラモジュールに用いる場合には、該カメラモジュールの取り扱い性が容易になり、また、近赤外線カットフィルター6'とセンサー7の間に所定の間隔を設ける必要がないため、カメラモジュールの低背化が可能となる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、前記フタロシアニン化合物(A)と、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂とを含有する。本発明の樹脂組成物は高い可視光透過率を有し、キャスト製膜することで任意の厚みのフィルムやシートを製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り「重量部」を意味する。また、各物性値の測定方法および物性の評価方法は以下のとおりである。
<分子量>
樹脂の分子量は、各樹脂の溶剤への溶解性等を考慮し、下記の(a)または(b)の方法にて測定を行った。
(a)ウオターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型、カラム:東ソー社製Hタイプカラム、展開溶剤:o−ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(b)東ソー社製GPC装置(HLC−8220型、カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
吸収極大、各波長域における透過率、および|Xa−Xb|は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
ここで、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率は、図2のようにフィルターに対し垂直に透過した光を測定した。また、近赤外線カットフィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率は、図3のようにフィルターの垂直方向に対して30°の角度で透過した光を測定した。
なお、この透過率は、(Xb)を測定する場合を除き、光が基板およびフィルターに対して垂直に入射する条件で、該分光光度計を使用して測定したものである。(Xb)を測定する場合には、光がフィルターの垂直方向に対して30°の角度で入射する条件で該分光光度計を使用して測定したものである。
<色素吸収の急峻さの評価>
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて、樹脂中での色素吸収の急峻さを評価した。色素吸収の急峻さは、図4に示すように、樹脂中での色素吸光度スペクトルにおいて、吸収極大波長(L)と、吸収極大の吸光度を1.0とした際、吸光度が0.3となる波長(M)との差|L−M|の値から規定した。
[合成例]
下記のフタロシアニン化合物の合成例において、中間体化合物であるフタロニトリル化合物類、例えば4−ペンタフェニルフェニルフタロニトリルなどは、Inorganic Chemistry, 2821, 42, 2003 に記載の方法を参照することにより、合成することができる。
<フタロシアニン化合物合成例1>
ナス型フラスコに、4−ペンタフェニルフェニルフタロニトリル 300mg(5.13×10-4mol)、尿素62mg(1.03×10-3mol)およびN,N’−ジメチルプロピレン尿素1.5 mLを加え、脱気した後、窒素気流下にて60℃で15分撹拌した。次いで、酢酸銅一水和物 26mg(1.30×10-4mol)を加え、再び脱気し、200℃で10時間撹拌還流した。その後、60℃まで冷却し、メタノール1.5mLを加え10分撹拌した後、目的物を濾取した。これをメタノールで洗浄し、ジクロロメタンに溶解させた後、減圧濃縮した。アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン, Rf=1.0)で精製を行い、減圧乾燥して下記式(a−1)で表されるフタロシアニン化合物(a−1)145mgを得た。この反応における収率は47%であった。
Figure 0006056561
<フタロシアニン化合物合成例2>
ナス型フラスコに、4−ペンタフェニルフェニルフタロニトリル 200mg(3.42×10-4mol)、尿素41mg(6.83×10-3mol)、N,N’−ジメチルプロピレン尿素1.0 mLを加え、脱気した後、窒素気流下にて60℃で15分撹拌した。次いで、バナジル(IV)アセチルアセトナート23mg(8.67×10-5mol)を加え、再び脱気し、200℃で10時間撹拌還流した。その後、60℃まで冷却し、メタノール1.0mLを加え10分撹拌した後、目的物を濾取した。これをメタノールで洗浄し、ジクロロメタンに溶解させた後、減圧濃縮した。アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン, Rf=1.0)で精製を行い、減圧乾燥して下記式(a−2)で表されるフタロシアニン化合物(a−2)101mgを得た。この反応における収率は50%であった。
Figure 0006056561
<フタロシアニン化合物合成例3>
下記式(a−28)で表されるフタロシアニン化合物(a−28)を、下記に示すスキームに従って合成した。
Figure 0006056561
Figure 0006056561
(i) 3,4−ジブロモ−2−メチルアニリン(1)の合成
ナスフラスコに、ジクロロメタン35mLに溶解させた3−ブロモ−2−メチルアニリン2.27g(12.2mmol)を加え、次にジクロロメタン30mLに溶解させたテトラブチルアンモニウムトリブロミド5.88g(12.2mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、減圧濃縮を行い、2MのNaOHを加えた。さらに1時間撹拌した後、ジエチルエーテルで抽出し、水で3回分液を行った。得られた反応物を、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧濃縮した。その後、シクロヘキサンで再結晶を行い、1晩減圧乾燥して3,4−ジブロモ−2−メチルアニリン2.33gを得た。この反応における収率は72.1%であった。
(ii) 1,2−ジブロモ−3−メチル−4−ヨードベンゼン(2)の合成
ナスフラスコに、蒸留水60mLおよび3,4−ジブロモ−2−メチルアニリン2.33g(8.79mmol)を加え、ナスフラスコを冷やしながらテトラフルオロホウ酸3mL(21.9mmol)を加えて30分間撹拌した。次いで、蒸留水10mLに溶解させた亜硝酸ナトリウム0.73g(10.6mmol)加えて30分間撹拌した。その後、蒸留水30mLに溶解させたヨウ化カリウム2.92g(17.6mmol)を少しずつ滴下して1時間撹拌した。吸引濾過により生成物を回収し、クロロホルムで抽出した後、チオ硫酸ナトリウムで3回分液し、その後、水で1回分液を行った。これを硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮した。次いで、シリカゲルカラム(n−ヘキサン)により精製を行い、さらに減圧濃縮した。その後、メタノールで再結晶を行い、1,2−ジブロモ−3−メチル−4−ヨードベンゼン2.17gを得た。この反応における収率は65.8%であった。
(iii) 4−[2−エトキシカルボニルフェニル]−1,2−ジブロモ−3−メチルベンゼン(3)の合成
窒素気流下にて、1,2−ジブロモ−3−メチル−4−ヨードベンゼン0.817g(2.17mmol)および2−エトキシカルボニルフェニルボロン酸ピナコールエステル0.500g(1.81mmol)を、THF8mL、トルエン10mLおよび2Nの炭酸カリウム水溶液6mLの混合溶液に溶解させ30分間撹拌した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム33.5mg(0.029mmol)を加え70℃で2日間撹拌しながら還流を行った。室温に戻した後、ジエチルエーテルで抽出し、水で分液を行った。得られた反応物を、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(ジクロロエタン→ヘキサン)および分取液体クロマトグラフィー(クロロホルム)により精製し、これを減圧濃縮して4−[2−エトキシカルボニルフェニル]−1,2−ジブロモ−3−メチルベンゼン0.36gを得た。この反応における収率は50.3%であった。
(iv) 2,3−ジブロモ−9−フルオレノン(4)の合成
4−[2−エトキシカルボニルフェニル]−1,2−ジブロモ−3−メチルベンゼン1.0g(2.51mmol)に濃硫酸を30mL加え、室温で一晩撹拌した。その後、この溶液を氷に注ぎ、沈殿ができるまで放置した。ジクロロメタンで抽出し、水で分液を行った。得られた反応物を、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(ジクロロメタン)および分取液体クロマトグラフィーで精製して、2,3−ジブロモ−9−フルオレノン0.90gを得た。この反応はほぼ定量的に進行した。
(v) 2,3−ジブロモ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−フルオレノール(5)の合成
十分に洗浄および乾燥させたガラス器具を窒素置換し、該ガラス器具内で粉末マグネシウムを一晩撹拌した。ここへ脱水ジエチルエーテルを加えた後、1−ブロモ−4−ヘキシルベンゼン1.00mLをゆっくり滴下し、30分間室温で撹拌した。さらに加熱しながら1時間撹拌を行うことで、黄色のグリニャール試薬を得た。次いで、脱水ジエチルエーテル5mLを加えた後、2,3−ジブロモ−9−フルオレノン0.45gをゆっくり加え一晩還流した。その後、室温に戻してからジエチルエーテルで抽出し、水で3回分液を行った。得られた反応物を硫酸マグネシウムで脱水した後、溶媒を減圧除去した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン→ジクロロエタン)および分取液体クロマトグラフィーで精製し、さらに減圧濃縮を行うことにより、2,3−ジブロモ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−フルオレノール0.43gを得た。この反応における収率は65.8%であった。
(vi) 2,3−ジブロモ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−p−トリルフルオレン(6)の合成
2,3−ジブロモ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−フルオレノール0.27g(0.84mmol)に脱水トルエン10mLを加えて撹拌し、50℃で溶解させた後、トリフルオロメタンスルホン酸0.10mLをゆっくり滴下して10分間撹拌した。その後、氷を加えた飽和炭酸水素ナトリウム水に溶液を注ぎ、ジエチルエーテルで抽出し、水で3回分液を行った。得られた反応物を硫酸マグネシウムで脱水した後、溶媒を減圧除去した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:ジクロロエタン=2:1、重量比)および分取液体クロマトグラフィーにて精製し、さらに減圧濃縮を行うことにより、2,3−ジブロモ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−p−トリルフルオレン0.21gを得た。この反応における収率は67.7%であった。
(vii) 2,3−ジシアノ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−p−トリルフルオレン(7)の合成
ナスフラスコに、2,3−ジブロモ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−p−トリルフルオレン0.21g(0.36mmol)およびN−メチル−2−ピロリジノン10mLを加え、窒素気流下で撹拌した。次いで、シアン化銅0.26g(2.85mmol)を加え、180℃で24時間還流した。その後、室温に戻し、30%アンモニア水を30mL加え、12時間撹拌した。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで脱水後、溶媒を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:ジクロロエタン=1:1、重量比)および分取液体クロマトグラフィーにて精製し、さらに減圧濃縮を行うことにより、2,3−ジシアノ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−p−トリルフルオレン150mgを得た。この反応における収率は78.1%であった。
(viii) フタロシアニン化合物(a−28)の合成
ナスフラスコに、2,3−ジシアノ−4−メチル−9−(4−ヘキシルフェニル)−9'−p−トリルフルオレン110mgおよび酢酸亜鉛25.1mgを加え、窒素置換を行った。次いで、ジメチルアミノエタノール1.5mLを加え、徐々に温度を上げ180℃で4時間撹拌した。反応終了後、メタノールを加えてフタロシアニン化合物を析出させた。溶媒を減圧濃縮した後、アルミナゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)および分取液体クロマトグラフィーにて精製し、さらに減圧濃縮を行うことにより、目的とするフタロシアニン化合物(a−28)30mgを得た。この反応における収率は26.4%であった。
<樹脂合成例1>
下記式(f)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「DNM」ともいう。)100部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)300部とを、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 0006056561
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が32,000であり、重量平均分子量(Mw)が137,000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃であった。
<樹脂合成例2>
3Lの4つ口フラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、ディーンスターク管および冷却管を取り付けた。
次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をディーンスターク管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。
室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(以下「樹脂B」という。)を得た(収率95%)。得られた樹脂Bは、数平均分子量(Mn)が75,000であり、重量平均分子量(Mw)が188,000であり、ガラス転移温度(Tg)が285℃であった。
<樹脂合成例3>
温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク管および冷却管を備えた500mLの5つ口フラスコに、窒素気流下、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル10.0重量部(0.05モル)を、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン85重量部に溶解させた後、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物11.2重量部(0.05モル)を室温にて固体のまま1時間かけて分割投入し、室温下2時間撹拌した。
次に、共沸脱水溶媒としてキシレン30.0重量部を添加して180℃に昇温した後、3時間反応を行い、ディーンスターク管でキシレンを還流させて、共沸してくる生成水を分離した。3時間後、水の留出が終わったことを確認し、1時間かけて190℃に昇温しながらキシレンを留去させ、29.0重量部を回収した。その後、内温が60℃になるまで空冷してポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液(以下「ポリイミド溶液C」という。)105.4重量部を得た。
[実施例1]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.10重量部および塩化メチレンを加え、樹脂濃度が20重量%の溶液(ex1)を調製した。次いで、得られた溶液(ex1)を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板(以下単に「基板」ともいう。)を得た。
この基板の分光透過率を測定し、吸収極大波長、可視光波長領域における透過率、および|L−M|を求めた。結果を表1および図5に示す。
続いて、得られた基板の片面に、蒸着温度100℃で、近赤外線を反射する多層蒸着膜〔シリカ(SiO2:膜厚83〜199nm)層とチタニア(TiO2:膜厚101〜125nm)層とが交互に積層されてなるもの,積層数20〕を形成し、さらに基板のもう一方の面に、蒸着温度100℃で近赤外線を反射する多層蒸着膜〔シリカ(SiO2:膜厚77〜189nm)層とチタニア(TiO2:膜厚84〜118nm)層とが交互に積層されてなるもの,積層数26〕を形成し、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを得た。
この近赤外線カットフィルターの分光透過率を測定し、赤外波長領域における光学特性および|Xa−Xb|を求めた。波長430〜580nmにおける透過率の平均値は90%、波長800〜1000nmにおける透過率の平均値は1%以下であった。結果を表3に示す。
[実施例2]
実施例1で得られた、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板の片面に、蒸着温度100℃で、近赤外線を反射する多層蒸着膜〔シリカ(SiO2:膜厚120〜190nm)層とチタニア(TiO2:膜厚70〜120nm)層とが交互に積層されてなるもの,積層数40〕を形成し、厚さ0.104mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例3]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、フタロシアニン化合物合成例2で得られたフタロシアニン化合物(a−2)0.10重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例4]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、フタロシアニン化合物合成例3で得られたフタロシアニン化合物(a−3)0.08重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例5]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.05重量部、下記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物0.05重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006056561
[実施例6]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.06重量部、下記式(f−1)で表されるスクアリリウム系化合物0.03重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006056561
[実施例7]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.05重量部、下記式(c−1)で表されるナフタロシアニン系化合物0.05重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006056561
[実施例8]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.06重量部、下記式(e−1)で表されるシアニン系化合物0.03重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006056561
[実施例9]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.06重量部、下記式(d−1)で表されるジイモニウム系化合物0.10重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006056561
[実施例10]
容器に、樹脂合成例2で得られた樹脂B100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.05重量部、前記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物0.05重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例11]
容器に、樹脂合成例2で得られた樹脂B100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.06重量部、前記式(f−1)で表されるスクアリリウム系化合物0.03重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例12]
容器に、樹脂合成例3で得られたポリイミド溶液C100重量部を加え、さらに、ポリイミド溶液Cの固形分100重量部に対して、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)および前記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物をそれぞれ0.05重量部ずつ加え、樹脂濃度が18重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、60℃で4時間、80℃で4時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下120℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例13]
容器に、日本ゼオン株式会社製の環状オレフィン系樹脂「ゼオノア 1420R」100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.05重量部、前記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物0.05重量部、およびシクロヘキサンとキシレンの7:3(重量比)混合溶液を加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、60℃で8時間、80℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で24時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例14]
容器に、三井化学株式会社製の環状オレフィン系樹脂「APEL #6015」100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.05重量部、前記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物0.05重量部、およびシクロヘキサンと塩化メチレンの99:1(重量比)混合溶液を加えることで、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、40℃で4時間、60℃で4時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例15]
容器に、帝人株式会社製のポリカーボネート樹脂「ピュアエース」100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られたフタロシアニン化合物(a−1)0.05重量部、前記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物0.05重量部および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[実施例16]
容器に、住友ベークライト株式会社製のポリエーテルサルホン「FS−1300」100重量部、フタロシアニン化合物合成例1で得られた0.05重量部、前記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物0.05重量部およびN−メチル−2−ピロリドンを加えて、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、60℃で4時間、80℃で4時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下120℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[比較例1]
実施例1において、溶液(ex1)の代わりに、樹脂合成例1で得られた樹脂Aを塩化メチレンに溶解して得た樹脂濃度が20重量%の溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
[比較例2]
実施例1において、フタロシアニン化合物(a−1)0.10重量部の代わりに、下記式(b-2)で表されるフタロシアニン系化合物0.10重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。さらに、実施例1と同様にして、この基板から厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3、及び、図4に示す。
Figure 0006056561
[比較例3]
実施例1において、フタロシアニン化合物(a−1)0.10重量部の代わりに、前記式(e−1)で表されるシアニン系化合物0.10重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmの近赤外線カットフィルターを製造して評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006056561
本発明の近赤外線カットフィルターは、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー等に好適に用いることができる。さらに、自動車や建物などのガラス等に装着される熱線カットフィルターなどとしても好適に用いることができる。
1:カメラモジュール
2:レンズ鏡筒
3:フレキシブル基板
4:中空パッケージ
5:レンズ
6:近赤外線カットフィルター
6':本発明の近赤外線カットフィルター
7:CCDまたはCMOSイメージセンサー
8:近赤外線カットフィルター
9:分光光度計

Claims (9)

  1. 色素として、下記式(I)〜(VIII)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する近赤外線カットフィルター。
    Figure 0006056561
    Figure 0006056561
    [式(I)〜(VIII)中、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、または3価もしくは4価の金属原子を含む置換金属原子を表し、
    複数あるRa、Rb、Rc、Rd、Re およびR f 、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−O−L1、−S−L2、−SS−L2、−CO−L3、−SO2−L4、−N=N−L5、−L6−A、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基または炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を表し、
    前記アミノ基、アミド基、イミド基、シリル基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基は、置換基Lを有してもよく、
    該置換基Lは、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基であり
    複数あるR g およびR h は、それぞれ独立に置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基であり、
    1は、
    水素原子、
    置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基を有するケイ素原子、
    置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基を有するケイ素原子、
    置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有するケイ素原子、または
    置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を有するケイ素原子
    を表し、
    2は、
    水素原子、
    置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
    置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
    を表し、
    3は、
    水素原子、
    水酸基、
    置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
    置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
    を表し、
    4は、
    水酸基、
    置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
    置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
    を表し、
    5は、
    置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
    置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
    を表し、
    6は、
    置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数4〜14の脂環式炭化水素基、
    置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、または
    置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基
    を表し、
    Aは、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、カルボキシル基、スルホ基またはリン酸基を表し、L6に複数結合してもよい。]
  2. Mが、周期表4族〜12族、且つ、第4周期〜第5周期に属する、2価の遷移金属、3価もしくは4価の金属ハロゲン化物または4価の金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線カットフィルター。
  3. 色素としてさらに、前記式(I)〜(VIII)で表されるフタロシアニン化合物以外のフタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、シアニン系化合物、スクアリリウム系化合物およびクロコニウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  4. 前記色素と、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂とを含有する樹脂製基板を含み、かつ、該樹脂製基板における色素全体の含有量が、該樹脂製基板における樹脂の含有量100重量部に対して0.01〜5.0重量部であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  5. 前記近赤外線カットフィルターの両面に、屈折率1.7以上2.5以下の高屈折率材料層と屈折率1.2以上1.6以下の低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  6. 前記近赤外線カットフィルターが固体撮像装置用であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを具備する固体撮像装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを具備するカメラモジュール。
  9. 下記式(I)〜(VIII)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂とを含有する樹脂組成物。
    Figure 0006056561
    Figure 0006056561
    [式(I)〜(VIII)中、M、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、請求項1に記載の式(I)〜(VIII)中のM、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhと同義である。]
JP2013046685A 2012-03-12 2013-03-08 近赤外線カットフィルターおよびその用途 Active JP6056561B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013046685A JP6056561B2 (ja) 2012-03-12 2013-03-08 近赤外線カットフィルターおよびその用途

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012053966 2012-03-12
JP2012053966 2012-03-12
JP2013046685A JP6056561B2 (ja) 2012-03-12 2013-03-08 近赤外線カットフィルターおよびその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013218312A JP2013218312A (ja) 2013-10-24
JP6056561B2 true JP6056561B2 (ja) 2017-01-11

Family

ID=49590406

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013046685A Active JP6056561B2 (ja) 2012-03-12 2013-03-08 近赤外線カットフィルターおよびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6056561B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11333809B2 (en) 2017-09-12 2022-05-17 Samsung Electronics Co., Ltd. Composition for near-infrared light-absorbing films, near-infrared light-absorbing layers, camera modules, and electronic devices
JP7445724B2 (ja) 2019-12-05 2024-03-07 信越化学工業株式会社 低誘電材料用ガラスクロス、プリプレグ、及びプリント配線基板
US11993718B2 (en) 2018-02-05 2024-05-28 AGC Inc. Optical filter and imaging device

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6317067B2 (ja) * 2012-03-22 2018-04-25 株式会社日本触媒 光選択透過フィルター、樹脂シート及び固体撮像素子
JP6174426B2 (ja) * 2012-09-04 2017-08-02 株式会社日本触媒 光選択透過フィルター形成用樹脂組成物及びその用途
CN104884537A (zh) * 2012-12-28 2015-09-02 富士胶片株式会社 硬化性树脂组合物、红外线截止滤波器及使用其的固体摄影元件
JP6196109B2 (ja) * 2013-09-20 2017-09-13 株式会社日本触媒 撮像素子用硬化性樹脂組成物及びその用途
JP6359279B2 (ja) * 2014-01-30 2018-07-18 山本化成株式会社 フタロシアニン化合物を含有して成るフィルタ
JP6324758B2 (ja) * 2014-03-03 2018-05-16 山本化成株式会社 フタロシアニン化合物を含有して成るフィルタ
JP6388782B2 (ja) * 2014-04-09 2018-09-12 山本化成株式会社 フタロシアニン化合物を含有して成るフィルタ
JP6535979B2 (ja) 2014-04-16 2019-07-03 ソニー株式会社 撮像素子及び撮像装置
JP6426373B2 (ja) * 2014-06-11 2018-11-21 株式会社日本触媒 光選択透過フィルター、樹脂シート及び固体撮像素子
JP6530968B2 (ja) * 2014-09-29 2019-06-12 株式会社日本触媒 近赤外線カットフィルター
JP6631243B2 (ja) * 2015-01-30 2020-01-15 Jsr株式会社 固体撮像装置及び光学フィルタ
JP6817934B2 (ja) * 2015-05-29 2021-01-20 富士フイルム株式会社 近赤外線吸収性色素多量体、組成物、膜、光学フィルタ、パターン形成方法および装置
US11015061B2 (en) 2017-04-07 2021-05-25 Yamamoto Chemicals, Inc. Phthalocyanine-based compound and uses of same
KR102476708B1 (ko) 2017-11-01 2022-12-09 삼성전자주식회사 광학 필터, 및 이를 포함하는 카메라 모듈 및 전자 장치
JP7383537B2 (ja) * 2020-03-18 2023-11-20 住化ポリカーボネート株式会社 波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物
CN113582847B (zh) * 2021-07-16 2023-09-12 湖北工业大学 一种改进桑德迈尔反应制备碘代苯甲酸(酯)的方法
TW202330805A (zh) * 2022-01-19 2023-08-01 白金科技股份有限公司 有機金屬錯合物塗佈液及近紅外線吸收膜

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0730300B2 (ja) * 1988-04-01 1995-04-05 三井東圧化学株式会社 アルキルフタロシアニン近赤外線吸収剤及びそれを用いた表示・記録材料
JP2007111940A (ja) * 2005-10-19 2007-05-10 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 近赤外線吸収材料
JP2008051985A (ja) * 2006-08-24 2008-03-06 Nidec Copal Corp 近赤外線吸収フィルタ
JP2008083191A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Mitsubishi Polyester Film Copp 光学フィルター用ポリエステルフィルムロール
JP5296355B2 (ja) * 2007-09-11 2013-09-25 株式会社日本触媒 アリール基含有フタロシアニン化合物、その製造方法、及び、配合物
JP2009216672A (ja) * 2008-03-13 2009-09-24 Shinshu Univ センサー用材料およびそれを用いたセンサー

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11333809B2 (en) 2017-09-12 2022-05-17 Samsung Electronics Co., Ltd. Composition for near-infrared light-absorbing films, near-infrared light-absorbing layers, camera modules, and electronic devices
US11993718B2 (en) 2018-02-05 2024-05-28 AGC Inc. Optical filter and imaging device
JP7445724B2 (ja) 2019-12-05 2024-03-07 信越化学工業株式会社 低誘電材料用ガラスクロス、プリプレグ、及びプリント配線基板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013218312A (ja) 2013-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6056561B2 (ja) 近赤外線カットフィルターおよびその用途
JP5810604B2 (ja) 近赤外線カットフィルターおよび近赤外線カットフィルターを用いた装置
JP6252611B2 (ja) 近赤外線カットフィルターおよび近赤外線カットフィルターを用いた装置
JP6508247B2 (ja) 光学フィルターならびに該光学フィルターを用いた固体撮像装置およびカメラモジュール
TWI557445B (zh) 光學濾波器、固體攝像裝置及照相機模組
TWI696003B (zh) 光學濾波器及使用光學濾波器的裝置
JP6256335B2 (ja) 固体撮像素子用光学フィルターおよびその用途
JP5489669B2 (ja) 近赤外線カットフィルターおよび近赤外線カットフィルターを用いた装置
TW201743439A (zh) 光學濾波器及光學感測裝置
JPWO2018043564A1 (ja) 光学フィルターおよび光学フィルターを用いた装置
JP6398980B2 (ja) 光学フィルターおよび光学フィルターを用いた装置
TW201506461A (zh) 濾光器及使用前述濾光器的裝置
JP2015040895A (ja) 光学フィルターおよび光学フィルターを用いた装置
TW201506462A (zh) 濾光器及使用前述濾光器的裝置
TW201704358A (zh) 花青化合物、濾光片、使用濾光片的裝置及樹脂組成物
JP6788444B2 (ja) 樹脂組成物および光学フィルター

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150716

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160912

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6056561

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250