JP2009216672A - センサー用材料およびそれを用いたセンサー - Google Patents
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Abstract
【課題】VOCなどの特定のターゲット物質を選択的に捕捉するセンサー用材料を提供し、また、本発明のセンサー用材料にも好適な、高い感度を有するセンサーをも提供する。
【解決手段】水溶性金属フタロシアニン錯体。ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリピリジンから選択される置換基を有し、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素からなる。
【選択図】図1
【解決手段】水溶性金属フタロシアニン錯体。ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリピリジンから選択される置換基を有し、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素からなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、揮発性有機化合物やにおいなどを検出するためのセンサー用材料およびセンサーに関する。
化学センサーの分野では、酸化物半導体を利用したMOS(Metal Oxide Semiconductor)型センサーなどが一般的に利用されている。
MOS型センサーは、半導体化した金属酸化物の比較的小さな微粒子結晶体や焼結体をベースとし、通常はPt等の電極ワイヤを内部に持ったセラミックス構造体からなる。MOS型センサーは、300℃程度の高温で利用する。金属酸化物表面での高温における触媒反応によって、アルコール等のガス分子が表面で還元され、電子が空乏化した金属酸化物内に取り込まれて中和される。これによって粒界のポテンシャルバリアーが低下して抵抗が低下する原理を利用するものである。このMOS型センサーは、アルコールやプロパンガスのセンサーとして利用されているが、アルコール等の分極性、アンモニア等の刺激性のガスの吸着には選択性があるが、通常のアルカン等のガスには感度が小さいという課題があった。さらに、感度が不十分であることや、ガスに対する選択性がないこと、集積化が困難であること、高温でのセンシングが必要などの問題がある。
MOS型センサーは、半導体化した金属酸化物の比較的小さな微粒子結晶体や焼結体をベースとし、通常はPt等の電極ワイヤを内部に持ったセラミックス構造体からなる。MOS型センサーは、300℃程度の高温で利用する。金属酸化物表面での高温における触媒反応によって、アルコール等のガス分子が表面で還元され、電子が空乏化した金属酸化物内に取り込まれて中和される。これによって粒界のポテンシャルバリアーが低下して抵抗が低下する原理を利用するものである。このMOS型センサーは、アルコールやプロパンガスのセンサーとして利用されているが、アルコール等の分極性、アンモニア等の刺激性のガスの吸着には選択性があるが、通常のアルカン等のガスには感度が小さいという課題があった。さらに、感度が不十分であることや、ガスに対する選択性がないこと、集積化が困難であること、高温でのセンシングが必要などの問題がある。
近年、ベンゼン、トルエン、アルカン、アルコール類と言った様々な揮発性有機化合物(以下、VOCと記す)などの化学物質を検出する化学センサーの感度を高める研究や、検出対象となる化学物質に合わせた化学センサーについての研究がなされており、化学センサーの感応材料についてもいろいろな提案がなされている。
例えば、特許文献1には、圧電振動子の表面に二重結合をもつゴム系材料により感応膜を形成したセンサーについて記載がある。特許文献2には、ポリフィリン感応膜を形成し、水素イオン、フッ酸、金属イオン濃度などを測定するイオン濃度測定用イオンセンサーについて記載がある。特許文献3には、水晶振動子上に薄膜状のクラウンエーテル縮合フタロシアニン系化合物を含有する化学ガスセンサ用材料を形成し、NOxやSOxなどのガスを検出することが記載される。
例えば、特許文献1には、圧電振動子の表面に二重結合をもつゴム系材料により感応膜を形成したセンサーについて記載がある。特許文献2には、ポリフィリン感応膜を形成し、水素イオン、フッ酸、金属イオン濃度などを測定するイオン濃度測定用イオンセンサーについて記載がある。特許文献3には、水晶振動子上に薄膜状のクラウンエーテル縮合フタロシアニン系化合物を含有する化学ガスセンサ用材料を形成し、NOxやSOxなどのガスを検出することが記載される。
しかしながら、検出対象となるVOCには様々な種類があるため、感応材料には特定の分子を選択的に認識する選択性が求められるが、そのような感応材料は、見出されていない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、様々な種類のVOCを選択的に認識する選択性を有するセンサー用材料を提供すること、またそれを用いたセンサーを提供することを目的とする。
本発明者らは、金属フタロシアニン錯体の金属元素の選定によってVOCに対する選択性が広がること、金属フタロシアニン錯体の周辺を剛直で嵩高な置換基で修飾することにより、フタロシアニン環のスタッキングを妨げ、ナノスペースを構築することにより、VOCを選択的かつ高感度に捕捉できることを見出した。
すなわち本発明は、一般式[化1]で表される金属フタロシアニン錯体からなるセンサー用材料である。
上記一般式[化1]中、R1、R2、R3、R4は、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリピリジンから選択される置換基を表す。
Mは、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素を表す。
Mは、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素を表す。
R1、R2、R3、R4は、ペンタフェニルベンゼンであることが好ましい。また、Mは、Co、Ni、Cu、Znから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
さらに、本発明センサーは、基板と、基板上に形成された下記一般式[化2]で表される金属フタロシアニン錯体と、からなるセンサー素子と、
(上記一般式[化2]中、R1、R2、R3、R4は、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリピリジンから選択される置換基を表す。
Mは、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素を表す。)
金属フタロシアニン錯体によりターゲット物質を捕捉し、捕捉したターゲット物質によるセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段と、を有することを特徴とする。
Mは、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素を表す。)
金属フタロシアニン錯体によりターゲット物質を捕捉し、捕捉したターゲット物質によるセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段と、を有することを特徴とする。
本発明のセンサーにおいて、検出手段が、捕捉されたターゲット物質による質量変化を振動型質量検出センサーの周波数変化として検出する検出手段であることが好ましい。
また、本発明のセンサーにおいては、センサー素子が、金属フタロシアニン錯体のMとして異なる金属元素を選択した複数のセンサー素子からなり、検出手段が、金属フタロシアニン錯体によって複数のターゲット物質を捕捉して、捕捉した複数のターゲット物質による複数のセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段であるという構成を採用することもできる。
本発明のセンサーは、揮発性有機化合物またはにおいを検出することができる。
また、本発明のセンサーにおいては、センサー素子が、金属フタロシアニン錯体のMとして異なる金属元素を選択した複数のセンサー素子からなり、検出手段が、金属フタロシアニン錯体によって複数のターゲット物質を捕捉して、捕捉した複数のターゲット物質による複数のセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段であるという構成を採用することもできる。
本発明のセンサーは、揮発性有機化合物またはにおいを検出することができる。
以上説明したように、本発明によれば、様々な種類のVOCを選択的に認識する選択性を有するセンサー用材料が得られる。また、本発明のセンサー用材料を用いることにより感度のよいセンサーが得られる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
<金属フタロシアニン錯体>
本発明の金属フタロシアニン錯体は、[化1][化2]の構造からなり、ターゲット物質を選択的に捕捉できるという特徴を有する。この理由について、本発明者は、次の2つの理由によるものと推察している。第1に金属フタロシアニン錯体の周辺を剛直で嵩高な置換基で修飾することにより、フタロシアニン環のスタッキングを妨げ、ナノスペースを構築するため、第2にナノスペースにより中心金属周辺にガス分子(ターゲット物質)が配位しやすくなったため、選択性が向上したと考えている。
<金属フタロシアニン錯体>
本発明の金属フタロシアニン錯体は、[化1][化2]の構造からなり、ターゲット物質を選択的に捕捉できるという特徴を有する。この理由について、本発明者は、次の2つの理由によるものと推察している。第1に金属フタロシアニン錯体の周辺を剛直で嵩高な置換基で修飾することにより、フタロシアニン環のスタッキングを妨げ、ナノスペースを構築するため、第2にナノスペースにより中心金属周辺にガス分子(ターゲット物質)が配位しやすくなったため、選択性が向上したと考えている。
ナノスペースの構築について、図1(A)(B)を用いて説明する。図1(A)は[化3]に示す金属フタロシアニン錯体のフタロシアニン環のスタッキングについて模式的に表す図であり、図1(B)は、[化4]に示す本発明のセンサー用材料、すなわちフタロシアニン環の周辺を剛直で嵩高な置換基で修飾した金属フタロシアニン錯体について模式的に表す図である。図1(A)に示すように金属フタロシアニン錯体1は平面的な構造を有するため、錯体間でスタッキングが起こりやすい。一方、本発明の金属フタロシアニン錯体は、図1(B)に示すように、フタロシアニン環2の周辺を剛直で嵩高な置換基3で修飾することにより、フタロシアニン環2のスタッキングを妨げることができる。また、フタロシアニン環2と剛直で嵩高な置換基3との間にナノスペース4を構築することができ、このナノスペース4に選択的にターゲット物質を捕捉することができると考えられる。
本発明の金属フタロシアニン錯体は、選択的にターゲット物質を捕捉することが可能であるため、化学センサーの分子認識膜として有用である。
なお、本発明において、ターゲット物質は、揮発性有機化合物(VOC)であることが多いが、複数の成分から構成されるにおい、環境汚染物質、農薬、食品添加物、香料などを検出対象とすることも可能である。また、本発明において、ターゲット物質の捕捉とは、金属フタロシアニン錯体へのターゲット物質の物理的、化学的な吸着を意味する。
なお、本発明において、ターゲット物質は、揮発性有機化合物(VOC)であることが多いが、複数の成分から構成されるにおい、環境汚染物質、農薬、食品添加物、香料などを検出対象とすることも可能である。また、本発明において、ターゲット物質の捕捉とは、金属フタロシアニン錯体へのターゲット物質の物理的、化学的な吸着を意味する。
本発明にかかる金属フタロシアニン錯体の置換基について説明する。
R1、R2、R3、R4は、フタロシアニン環の周辺を修飾する置換基であり、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリピリジンから選択される。これらの置換基は、剛直で嵩高な構造を有しているので、フタロシアニン環のスタッキングを防ぐ効果が得られる。
R1、R2、R3、R4は、捕捉したいターゲット物質に合わせてナノスペースを構築するよう、それぞれ独立に置換基を選定することもできるし、すべて同一の置換基とすることもできる。
R1、R2、R3、R4としては、ポリフェニレンが好ましい。ポリフェニレンの剛直な構造は高効率な電子導電性や光伝導性といった物理的性質を本発明の金属フタロシアニン錯体に与える。
ポリフェニレンとしては、ペンタフェニルベンゼンやトリフェニレンが好ましい。ペンタフェニルベンゼンは、ベンゼン系のガス分子に対し、ガス分子の芳香環とオリゴフェニレン部位の間で働くπ−π相互作用により、選択性にも寄与する。
R1、R2、R3、R4は、フタロシアニン環の周辺を修飾する置換基であり、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリピリジンから選択される。これらの置換基は、剛直で嵩高な構造を有しているので、フタロシアニン環のスタッキングを防ぐ効果が得られる。
R1、R2、R3、R4は、捕捉したいターゲット物質に合わせてナノスペースを構築するよう、それぞれ独立に置換基を選定することもできるし、すべて同一の置換基とすることもできる。
R1、R2、R3、R4としては、ポリフェニレンが好ましい。ポリフェニレンの剛直な構造は高効率な電子導電性や光伝導性といった物理的性質を本発明の金属フタロシアニン錯体に与える。
ポリフェニレンとしては、ペンタフェニルベンゼンやトリフェニレンが好ましい。ペンタフェニルベンゼンは、ベンゼン系のガス分子に対し、ガス分子の芳香環とオリゴフェニレン部位の間で働くπ−π相互作用により、選択性にも寄与する。
金属元素Mは、ターゲット物質に対する選択性に寄与する。
Mは、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素であって、フタロシアニンと金属とで錯体を構成する。V=Oは、VとOとの二重結合を表す。Mの中でも、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)が好ましい。これは、金属フタロシアニン錯体によるガス分子への軸配位能は、主に中心金属のd軌道の電子状態が影響しており、(dz2)、(dx−y2)に電子の空きが多いほどガス分子と軸配位しやすいからである。
Mは、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素であって、フタロシアニンと金属とで錯体を構成する。V=Oは、VとOとの二重結合を表す。Mの中でも、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)が好ましい。これは、金属フタロシアニン錯体によるガス分子への軸配位能は、主に中心金属のd軌道の電子状態が影響しており、(dz2)、(dx−y2)に電子の空きが多いほどガス分子と軸配位しやすいからである。
次に、本発明の金属フタロシアニン錯体の合成について説明する。
ポリフェニレンなどの置換基とN,N−ジメチルアミノエタノールを反応容器に入れ、15〜30分間脱気した後、金属塩化物を加え、15〜30分間脱気を行う。その後、反応温度150〜170℃で、反応時間24〜48時間で攪拌還流し、反応を進行させる。得られた反応溶液を減圧濃縮し、例えば、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)等により、単離、精製することにより、金属フタロシアニン錯体を合成することができる。なお、反応は窒素気流下で行うことが好ましい。
ポリフェニレンなどの置換基とN,N−ジメチルアミノエタノールを反応容器に入れ、15〜30分間脱気した後、金属塩化物を加え、15〜30分間脱気を行う。その後、反応温度150〜170℃で、反応時間24〜48時間で攪拌還流し、反応を進行させる。得られた反応溶液を減圧濃縮し、例えば、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)等により、単離、精製することにより、金属フタロシアニン錯体を合成することができる。なお、反応は窒素気流下で行うことが好ましい。
なお、錯体を構成する金属は、金属塩化物として添加することが好ましく、塩化コバルト、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化銅などを用いることが好ましい。
<センサー>
本発明のセンサーは、本発明の金属フタロシアニン錯体を分子認識膜とするセンサー素子と、金属フタロシアニン錯体によりターゲット物質を捕捉し、捕捉したターゲット物質によるセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段と、を有する。
本発明のセンサーは、本発明の金属フタロシアニン錯体を分子認識膜とするセンサー素子と、金属フタロシアニン錯体によりターゲット物質を捕捉し、捕捉したターゲット物質によるセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段と、を有する。
本発明において、センサー素子は、基板と、基板上に形成された本発明のセンサー用材料からなる。
基板としては、金(Au)からなる基板またはSi系材料の表面に金(Au)薄膜を形成した基板が好ましい。金表面を有する基板は、水晶振動子等の振動型質量検出センサーの電極として用いることができる。このような基板としては、例えば、周波数9MHz、水晶素板サイズφ8.7mm、金電極14の径φ5.0mm、AT−cut水晶板の両面にクロム/金(厚さ500オングストローム)の電極を蒸着した水晶振動子((株)多摩デバイス製)を用いることができる。
金属フタロシアニン錯体を成膜する金電極の表面は、エッチング処理やポリッシング処理などの表面処理を行うことが好ましく、これによりQCMセンサーの周波数変化量のばらつきが小さくなる。エッチング処理を行った場合の周波数変化量のばらつきは100〜3000Hz、ポリッシング処理を行った場合の周波数変化量のばらつきは30〜1000Hzであり、ポリッシング処理を行うことがより好ましい。なお、エッチング処理は薬液による化学的処理であって、#4000番程度までの研磨剤にて表面研磨した後、エッチングを行う。ポリッシング処理に比較し、表面がやや粗く、電極金属の接着強度は高まる傾向にある。一方、ポリッシング処理は研磨などの機械的処理であって、#4000番よりも細かい研磨剤にて研磨し水晶素板の表面が鏡面(透明)になるまで研磨を行う。エッチング処理よりも等価直列抵抗が小さくなるが、電極金属の接着強度はやや弱くなる傾向にある。
基板としては、金(Au)からなる基板またはSi系材料の表面に金(Au)薄膜を形成した基板が好ましい。金表面を有する基板は、水晶振動子等の振動型質量検出センサーの電極として用いることができる。このような基板としては、例えば、周波数9MHz、水晶素板サイズφ8.7mm、金電極14の径φ5.0mm、AT−cut水晶板の両面にクロム/金(厚さ500オングストローム)の電極を蒸着した水晶振動子((株)多摩デバイス製)を用いることができる。
金属フタロシアニン錯体を成膜する金電極の表面は、エッチング処理やポリッシング処理などの表面処理を行うことが好ましく、これによりQCMセンサーの周波数変化量のばらつきが小さくなる。エッチング処理を行った場合の周波数変化量のばらつきは100〜3000Hz、ポリッシング処理を行った場合の周波数変化量のばらつきは30〜1000Hzであり、ポリッシング処理を行うことがより好ましい。なお、エッチング処理は薬液による化学的処理であって、#4000番程度までの研磨剤にて表面研磨した後、エッチングを行う。ポリッシング処理に比較し、表面がやや粗く、電極金属の接着強度は高まる傾向にある。一方、ポリッシング処理は研磨などの機械的処理であって、#4000番よりも細かい研磨剤にて研磨し水晶素板の表面が鏡面(透明)になるまで研磨を行う。エッチング処理よりも等価直列抵抗が小さくなるが、電極金属の接着強度はやや弱くなる傾向にある。
基板上の金電極表面に本発明のセンサー用材料からなる膜を形成する。膜の形成は、ポリッシング処理などの表面処理を施した基板の金電極表面に本発明の金属フタロシアニン錯体をキャスト法などの方法で塗布すればよい。
本発明のセンサーは、金属フタロシアニン錯体にターゲット物質が吸着した場合のセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段を有する。検出手段としては、電気的検出、光学的検出、化学的検出、電気化学的検出等の方法が適用できる。本発明にかかるセンサーに適用する検出手段としては、振動型質量検出センサーを用いて、ターゲット物質の吸脱着による質量変化を周波数変化として検出することが好ましい。振動型質量検出センサー上の電極を基板として本発明のセンサー用材料を配設することにより、高感度なセンサーとなる。振動型質量検出センサーとしては水晶振動子を用いたものが好ましい。またMEMS(Micro Mechanical Electrical System)技術を用いた小型振動子を用いた振動型質量検出センサーを用いることもできる。この場合、水晶振動子微量天秤(QCM)に比較して、集積化や回路との集積が容易である。
例えば、水晶振動子微量天秤(QCM)では、水晶発振子の表面に物質が吸着すると、以下のSauerbrey式(1)に従い、吸着した物質の質量に比例して、水晶発振子の基本振動数が変化する。ここで、Δfは、周波数変化(Hz)、F0は共鳴周波数(9MHz)、Δmは重量変化、Aは電極面積、ρqは水晶の密度、μqはAT−cut水晶の剛性率であり、後述の実施例においては、Aが0.1963cm2、ρqが2.648g/cm2、μqが1.67×105cmHzである。
本発明にかかるセンサーの実施の形態の一例として、センサー基板上に、本発明の金属フタロシアニン錯体からなる分子認識膜を有するセンサー素子と、センサー素子の物理的な変化を検出する検出手段と、を備える構成とすることが好ましい。本発明のセンサーには、本発明の金属フタロシアニン錯体からなる分子認識膜を有するセンサー素子を少なくとも1種、好ましくは2種以上配設する。センサー素子は、金属フタロシアニン錯体のR1〜R4、Mの選定により分子認識能が異なる。これは、金属フタロシアニン錯体の選択性によるものである。検出対象があらかじめ決まっている場合には、本発明の金属フタロシアニン錯体を少なくとも1種有することで検出可能であるが、2種以上の金属フタロシアニン錯体を組み合わせることにより、それぞれのセンサー素子における分子認識能の違いから検出の精度を高めることが可能となる。
また本発明にかかるセンサーの他の実施の形態の一例として、センサー基板上に、本発明のセンサー用材料を分子認識膜とするセンサー素子と、センサー素子の物理的な変化を検出する検出手段と、検出結果から吸着特性を求めてターゲット物質を認識する認識手段と、を備える構成とすることが好ましい。複数の成分で構成されるにおいなどを検出対象とする場合には、2種以上のセンサー素子を組み合わせ、それぞれのセンサー素子における分子認識能の違いから、においを構成する成分を検出する。分子認識能の違いから、においを構成する成分を検出するためには、振動型質量検出センサーの周波数変化の波形や、周波数変化量から算出される質量変化量やKファクターなどの吸着特性を求めて、構成成分に特有の特徴をとらえて認識を行う手法が有効である。この場合、本発明のセンサー用材料を用いたセンサー素子とそれ以外のセンサー素子とを組み合わせてもよいし、分子認識能の異なる本発明センサー用材料を用いたセンサー素子を2種以上組み合わせてもよい。
本発明にかかる金属フタロシアニン錯体として、R1〜R4がペンタフェニルベンゼン、MがCo、Ni、Cu、Znから選択される1種の金属元素である[化4]で表される金属フタロシアニン錯体を合成し、これを用いたセンサー素子を作製して、QCMセンサーによりガス吸着を行い周波数変化を計測した。ガス吸着前後の周波数変化量から、質量変化量N、Kファクターを算出して、本発明金属フタロシアニン錯体の選択性、本発明センサーの検出能について評価した。また、比較のため、R1〜R4がターシャルブチル、MがCo、Ni、Cu、Znである[化3]で表される金属フタロシアニン錯体を合成し、同様の実験を行った。
以下、順次、原料の合成(1)、本発明の金属フタロシアニン錯体の合成、比較のための金属フタロシアニン錯体の合成(3)、センサー素子の作製(4)、周波数変化の計測(5)、評価(6)について説明する。
(1)原料の合成
金属フタロシアニン錯体の原料となる3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンの合成は次の方法で行った。
3,4−ジシアノジフェニルアセチレン0.19g(8.19×10−4mol)、テトラフェニルシクロペンタジエノン0.38g(9.83×10−4mol)、ジフェニルエーテル4mlをフラスコに入れ、210℃で20時間攪拌還流した。室温に戻ってから反応溶液をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル→石油エーテル/ジクロロメタン=1)で精製を行い、減圧乾燥して、3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを得た。
なお、3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンの合成は、窒素気流下で行った。
金属フタロシアニン錯体の原料となる3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンの合成は次の方法で行った。
3,4−ジシアノジフェニルアセチレン0.19g(8.19×10−4mol)、テトラフェニルシクロペンタジエノン0.38g(9.83×10−4mol)、ジフェニルエーテル4mlをフラスコに入れ、210℃で20時間攪拌還流した。室温に戻ってから反応溶液をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル→石油エーテル/ジクロロメタン=1)で精製を行い、減圧乾燥して、3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを得た。
なお、3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンの合成は、窒素気流下で行った。
(2)本発明の金属フタロシアニン錯体の合成
R1〜R4がペンタフェニルベンゼン、MがCo、Ni、Cu、Znから選択される1種からなる4種類の金属フタロシアニン錯体を次の本発明例1〜4の方法で合成した。
本発明例1.βテトラキス(2,3,4,5−ペンタフェニルベンゼン)フタロシアネートコバルト(II)の合成(以下、p−CoPcと記す)
3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを原料として、p−CoPcを次のような方法で合成した。3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼン0.15g(2.57×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化コバルト(II)0.017g(1.28×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、p−CoPcを合成した。
なお、p−CoPcの合成は、窒素気流下で行った。
R1〜R4がペンタフェニルベンゼン、MがCo、Ni、Cu、Znから選択される1種からなる4種類の金属フタロシアニン錯体を次の本発明例1〜4の方法で合成した。
本発明例1.βテトラキス(2,3,4,5−ペンタフェニルベンゼン)フタロシアネートコバルト(II)の合成(以下、p−CoPcと記す)
3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを原料として、p−CoPcを次のような方法で合成した。3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼン0.15g(2.57×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化コバルト(II)0.017g(1.28×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、p−CoPcを合成した。
なお、p−CoPcの合成は、窒素気流下で行った。
本発明例2.βテトラキス(2,3,4,5−ペンタフェニルベンゼン)フタロシアネートニッケル(II)の合成(以下、p−NiPcと記す)
3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを原料として、p−NiPcを次のような方法で合成した。3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼン0.15g(2.57×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化ニッケル(II)0.017g(1.28×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、p−NiPcを合成した。
なお、p−NiPcの合成は、窒素気流下で行った。
3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを原料として、p−NiPcを次のような方法で合成した。3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼン0.15g(2.57×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化ニッケル(II)0.017g(1.28×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、p−NiPcを合成した。
なお、p−NiPcの合成は、窒素気流下で行った。
本発明例3.βテトラキス(2,3,4,5−ペンタフェニルベンゼン)フタロシアネート銅(II)の合成(以下、p−CuPcと記す)
3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを原料として、p−CuPcを次のような方法で合成した。3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼン0.15g(2.57×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化銅(II)0.017g(1.28×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、p−CuPcを合成した。
なお、p−CuPcの合成は、窒素気流下で行った。
3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを原料として、p−CuPcを次のような方法で合成した。3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼン0.15g(2.57×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化銅(II)0.017g(1.28×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、p−CuPcを合成した。
なお、p−CuPcの合成は、窒素気流下で行った。
本発明例4.βテトラキス(2,3,4,5−ペンタフェニルベンゼン)フタロシアネート亜鉛(II)の合成(以下、p−ZnPcと記す)
3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを原料として、p−ZnPcを次のような方法で合成した。3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼン0.15g(2.57×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化亜鉛(II)0.017g(1.28×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、p−ZnPcを合成した。
なお、p−ZnPcの合成は、窒素気流下で行った。
3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼンを原料として、p−ZnPcを次のような方法で合成した。3,4−ジシアノヘキサフェニルベンゼン0.15g(2.57×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化亜鉛(II)0.017g(1.28×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、p−ZnPcを合成した。
なお、p−ZnPcの合成は、窒素気流下で行った。
(3)比較のための金属フタロシアニン錯体の合成
R1〜R4がターシャルブチル、MがCo、Ni、Cu、Znから選択される1種からなる4種類の金属フタロシアニン錯体を次の比較例1〜4の方法で合成した。
比較例1.βテトラキス(2,3,4,5−ターシャルブチル)フタロシアネートコバルト(II)の合成(以下、t−CoPcと記す)
4−ターシャルブチルフタロニトリル0.15g(8.14×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化コバルト(II)0.052g(4.07×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、t−CoPcを合成した。
なお、t−CoPcの合成は、窒素気流下で行った。
R1〜R4がターシャルブチル、MがCo、Ni、Cu、Znから選択される1種からなる4種類の金属フタロシアニン錯体を次の比較例1〜4の方法で合成した。
比較例1.βテトラキス(2,3,4,5−ターシャルブチル)フタロシアネートコバルト(II)の合成(以下、t−CoPcと記す)
4−ターシャルブチルフタロニトリル0.15g(8.14×10−4mol)と、N,N―ジメチルアミノエタノール3mlをフラスコに入れ、30分間脱気した後、無水塩化コバルト(II)0.052g(4.07×10−4mol)を加え、再び30分間脱気を行った。その後、170℃で48時間攪拌還流した。反応溶液を減圧濃縮した後、アルミナのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を2回かけて精製を行い、減圧乾燥して、t−CoPcを合成した。
なお、t−CoPcの合成は、窒素気流下で行った。
比較例2.βテトラキス(2,3,4,5−ターシャルブチル)フタロシアネートニッケル(II)の合成(以下、t−NiPcと記す)
無水塩化コバルト(II)0.052g(4.07×10−4mol)に代えて、無水塩化ニッケル(II)0.052g(4.07×10−4mol)を用いた以外は比較例1と同様の方法で、t−NiPcを合成した。
無水塩化コバルト(II)0.052g(4.07×10−4mol)に代えて、無水塩化ニッケル(II)0.052g(4.07×10−4mol)を用いた以外は比較例1と同様の方法で、t−NiPcを合成した。
比較例3.βテトラキス(2,3,4,5−ターシャルブチル)フタロシアネート銅(II)の合成(以下、t−CuPcと記す)
無水塩化コバルト(II)0.052g(4.07×10−4mol)に代えて、無水塩化銅(II)0.052g(4.07×10−4mol)を用いた以外は比較例1と同様の方法で、t−CuPcを合成した。
無水塩化コバルト(II)0.052g(4.07×10−4mol)に代えて、無水塩化銅(II)0.052g(4.07×10−4mol)を用いた以外は比較例1と同様の方法で、t−CuPcを合成した。
比較例4.βテトラキス(2,3,4,5−ターシャルブチル)フタロシアネート亜鉛(II)の合成(以下、t−ZnPcと記す)
無水塩化コバルト(II)0.052g(4.07×10−4mol)に代えて、無水塩化亜鉛(II)0.052g(4.07×10−4mol)を用いた以外は比較例1と同様の方法で、t−ZnPcを合成した。
無水塩化コバルト(II)0.052g(4.07×10−4mol)に代えて、無水塩化亜鉛(II)0.052g(4.07×10−4mol)を用いた以外は比較例1と同様の方法で、t−ZnPcを合成した。
(4)センサー素子の作製
本実施例で用いたセンサー素子の構成を図2(A)(B)を用いて説明する。図2(A)はセンサー素子を構成する基板11の斜視図、図2(B)は分子認識膜12を形成したセンサー素子10の斜視図である。図2(A)に示すように、基板11は、基板11の中央部に金電極14が形成され、金電極14と接続される金電極端子部14aにより、外部からの通電が可能である。基板11は、周波数9MHz、水晶素板サイズφ8.7mm、金電極14の径φ5.0mm、AT−cut水晶板の両面にクロム/金(厚さ500オングストローム)の電極を蒸着した水晶振動子((株)多摩デバイス製)からなり、1ngの物質が電極表面に付着すると周波数が1Hz減少する。図2(B)に示すように、センサー素子10は、図4(A)に示す金電極14上に分子認識膜12が形成された構成である。分子認識膜12として、本発明例1〜4および比較例1〜4の金属フタロシアニン錯体を、塗布量がいずれも10−9molオーダーの均一な薄膜となるようキャスト法で塗布し、その後真空乾燥させて、計8種類のセンサー素子を作製した。
本実施例で用いたセンサー素子の構成を図2(A)(B)を用いて説明する。図2(A)はセンサー素子を構成する基板11の斜視図、図2(B)は分子認識膜12を形成したセンサー素子10の斜視図である。図2(A)に示すように、基板11は、基板11の中央部に金電極14が形成され、金電極14と接続される金電極端子部14aにより、外部からの通電が可能である。基板11は、周波数9MHz、水晶素板サイズφ8.7mm、金電極14の径φ5.0mm、AT−cut水晶板の両面にクロム/金(厚さ500オングストローム)の電極を蒸着した水晶振動子((株)多摩デバイス製)からなり、1ngの物質が電極表面に付着すると周波数が1Hz減少する。図2(B)に示すように、センサー素子10は、図4(A)に示す金電極14上に分子認識膜12が形成された構成である。分子認識膜12として、本発明例1〜4および比較例1〜4の金属フタロシアニン錯体を、塗布量がいずれも10−9molオーダーの均一な薄膜となるようキャスト法で塗布し、その後真空乾燥させて、計8種類のセンサー素子を作製した。
(5)周波数変化の計測
周波数変化の計測は、QCMセンサーを用いて行った。
ここで、QCMセンサーについて図3を用いて説明する。図3は、QCMセンサー21の模式図であって、発振器23と、発振器23上に端子24を介して載置されるセンサー素子10とが、チャンバー22内に設置され、チャンバー22外の周波数検出カウンタ25と接続される。チャンバー22は、ガス導入バルブ27と窒素導入バルブ30と排気バルブ28を備え、チャンバー22内を所望の雰囲気に制御することができる。また、ガス導入バルブ27にはヒーター29を設け、チャンバー22内に導入するガスを必要に応じて加熱することができる。チャンバー22内には、湿度計(図示せず)を設置してもよい。
周波数変化の計測は、QCMセンサーを用いて行った。
ここで、QCMセンサーについて図3を用いて説明する。図3は、QCMセンサー21の模式図であって、発振器23と、発振器23上に端子24を介して載置されるセンサー素子10とが、チャンバー22内に設置され、チャンバー22外の周波数検出カウンタ25と接続される。チャンバー22は、ガス導入バルブ27と窒素導入バルブ30と排気バルブ28を備え、チャンバー22内を所望の雰囲気に制御することができる。また、ガス導入バルブ27にはヒーター29を設け、チャンバー22内に導入するガスを必要に応じて加熱することができる。チャンバー22内には、湿度計(図示せず)を設置してもよい。
チャンバー22内にガス導入バルブ27を通してガスが導入されると、センサー素子10はガスを吸着して質量が変化する。質量変化に伴い周波数が変化するので、この周波数変化を周波数検出カウンタ25によって計測し、周波数検出カウンタ25に接続されるコンピューター26により周波数変化を出力する。周波数検出カウンタ25は、Agilent53131Aユニバーサル周波数カウンタを用いた。
図3においては、センサー素子10が4つ配置された例を示したが、センサー素子10の数は1つ以上あればよく、適宜設定することが可能である。センサー素子10を複数配置する場合には、選択性の異なるセンサー用材料を用いることにより、複数のターゲット物質を同時に検出することが可能となる。
図3においては、センサー素子10が4つ配置された例を示したが、センサー素子10の数は1つ以上あればよく、適宜設定することが可能である。センサー素子10を複数配置する場合には、選択性の異なるセンサー用材料を用いることにより、複数のターゲット物質を同時に検出することが可能となる。
図3に示すQCMセンサー21による周波数変化の計測は、はじめに排気バルブ28を開けてチャンバー22内を真空にした後、排気バルブ28を閉じ、窒素導入バルブ30を開け、装置内を窒素雰囲気にした。窒素導入バルブ30を閉じて周波数が安定した状態をベースラインとした。次に、ガス導入バルブ27を開け、ガスを導入した(図4において、gas inと記す)。ガスの導入は1分間行った。その後、ガス導入バルブ27を閉じ、装置を密封して周波数変化を計測し、ガス導入に伴う周波数変化が一定になったら、排気バルブ28を開けて(図4において、openと記す)装置内のガスを排気し、窒素導入バルブ30を開けて窒素に置換することで周波数をベースラインに戻した。周波数変化は室温で計測した。また、ガスとしては、アセトン、エタノール、ベンゼン、ピリジン、トルエン、クロロベンゼン、p−キシレン、o−キシレンの8種類のVOCを用いた。
図4に、周波数変化を計測したデータの一例として、p−CoPc、t−CoPcの2種のセンサー素子に、アセトン、エタノール、トルエンの3種類のガス(図4においてはアセトンはAc、エタノールはEt、トルエンはToと記す)を4000ppm導入した場合の周波数変化を示す。図4において、周波数の減少は、導入したガスが分子認識膜に吸着していることを示す。いずれのガスを導入した場合も、t−CoPcに比べ、p−CoPcの方が吸着量が多いことがわかる。また、図4より、ガス種によって周波数変化の量やパターンが異なることから、本発明のセンサー用材料がVOCに対して選択性を有することが確認できた。
(6)評価
ガス吸着前後の周波数変化量から、質量変化量NおよびKファクターを算出して、センサー用材料としての選択性を評価した。質量変化量Nは、センサー素子基板の上に形成された膜となる化合物1分子あたりのガス分子の吸着数を表わし、Nが大きいほど膜内に分子を認識するための吸着サイトをより多くもち、膜物質1分子あたりの吸着効率が高いことを意味する。また、Kファクターは、空気中のガスや分子が、高分子等の吸着材料にどの程度溶け込むかを示す指数であって、吸着材料の質量、密度や導入するガスの濃度が異なっていても、その吸着能を一定の値で表わすことができ、検出感度の目安となる。
ガス吸着前後の周波数変化量から、質量変化量NおよびKファクターを算出して、センサー用材料としての選択性を評価した。質量変化量Nは、センサー素子基板の上に形成された膜となる化合物1分子あたりのガス分子の吸着数を表わし、Nが大きいほど膜内に分子を認識するための吸着サイトをより多くもち、膜物質1分子あたりの吸着効率が高いことを意味する。また、Kファクターは、空気中のガスや分子が、高分子等の吸着材料にどの程度溶け込むかを示す指数であって、吸着材料の質量、密度や導入するガスの濃度が異なっていても、その吸着能を一定の値で表わすことができ、検出感度の目安となる。
図5に、本発明例の4種類の金属フタロシアニン錯体を用いた場合の各種ガスに対する質量変化量Nを、図6に比較例の4種類の金属フタロシアニン錯体を用いた場合の各種ガスに対する質量変化量Nを表わす。
図5と図6を比較すると、質量変化量、すなわちガス分子の吸着数が、本発明例の方が大きいことがわかる。これは、本発明の金属フタロシアニン錯体は、オリゴフェニレン部位の立体障害によって錯体間のスタッキングが制御されたために、膜の密度が比較例に比し低くなったことに起因し、ガス分子が軸配位可能なナノスペースを十分に整備した状態で薄膜中に存在しており、それにより高い吸着効率を発現しているためと考えられる。
図5と図6を比較すると、質量変化量、すなわちガス分子の吸着数が、本発明例の方が大きいことがわかる。これは、本発明の金属フタロシアニン錯体は、オリゴフェニレン部位の立体障害によって錯体間のスタッキングが制御されたために、膜の密度が比較例に比し低くなったことに起因し、ガス分子が軸配位可能なナノスペースを十分に整備した状態で薄膜中に存在しており、それにより高い吸着効率を発現しているためと考えられる。
図7に、本発明例の4種類の金属フタロシアニン錯体を用いた場合の各種ガスに対するKファクターを、図8に比較例の4種類の金属フタロシアニン錯体を用いた場合の各種ガスに対するKファクターを表わす。
図7と図8を比較すると、Kファクターが、本発明例の方が大きいこと、すなわち検出感度が高いことが確認できる。
図7と図8を比較すると、Kファクターが、本発明例の方が大きいこと、すなわち検出感度が高いことが確認できる。
図5、図7のアセトン、エタノールに着目すると、p−CoPc、p−NiPc、p−CuPc、p−ZnPcの順にN、Kファクターが減少している。これは中心金属のd軌道による電子的な作用によるものと考えられる。金属フタロシアニン錯体によるガス分子への軸配位能は、主に中心金属のd軌道の電子状態が影響している。
金属フタロシアニン錯体のd軌道において(dxy)、(dyz)、(dzx)は軸と軸の間の方向を向いており、金属とフタロシアニンの配位に使われている。また、(dz2)は軸方向を向いているため、金属と軸配位子との配位に使われる。(dx2−y2)はフタロシアニン配位子の窒素原子に配位しているため、不安定化している。大まかにいうと(dz2)、(dx2−y2)に電子の空きが多いほど、ガス分子と軸配位しやすいことになる。ここで、各金属フタロシアニンの電子配置を以下に示す。
金属フタロシアニン錯体のd軌道において(dxy)、(dyz)、(dzx)は軸と軸の間の方向を向いており、金属とフタロシアニンの配位に使われている。また、(dz2)は軸方向を向いているため、金属と軸配位子との配位に使われる。(dx2−y2)はフタロシアニン配位子の窒素原子に配位しているため、不安定化している。大まかにいうと(dz2)、(dx2−y2)に電子の空きが多いほど、ガス分子と軸配位しやすいことになる。ここで、各金属フタロシアニンの電子配置を以下に示す。
Co(II)Pc:(dxy)2(dyz)2(dzx)2(dz2)1
Ni(II)Pc:(dxy)2(dyz)2(dzx)2(dz2)2
Cu(II)Pc:(dxy)2(dyz)2(dzx)2(dz2)2(dx2−y2)1
Zn(II)Pc:(dxy)2(dyz)2(dzx)2(dz2)2(dx2−y2)2
Ni(II)Pc:(dxy)2(dyz)2(dzx)2(dz2)2
Cu(II)Pc:(dxy)2(dyz)2(dzx)2(dz2)2(dx2−y2)1
Zn(II)Pc:(dxy)2(dyz)2(dzx)2(dz2)2(dx2−y2)2
図5、図7のアセトン、エタノールに着目すると、p−CoPc、p−NiPc、p−CuPc、p−ZnPcの順にN、Kファクターが減少しているのは、元素番号が大きくなるにつれd軌道が徐々に電子で詰まっていくために錯体の軸配位能が減少していくためと考えられる。
次に、p−CoPc、p−NiPc、p−CuPc、p−ZnPcの中では、最も軸配位が起こりにくい閉殻構造の亜鉛においても、本発明の金属フタロシアニン錯体を用いた場合は500以上のKファクターが算出された。また、芳香族系のガスに対しては、Kファクターの変化が必ずしも元素番号の順とは一致していない。これは、錯体の軸配位能に対して、電子的な作用の他に周辺置換基による立体的な効果も働いているためである。特にペンタフェニルベンゼンは剛直で嵩高いため、立体的な効果が大きく影響し、錯体周辺にナノ空間が整備される。さらにベンゼン系ガスにおいては、ガス分子の芳香環とオリゴフェニレン部位の間で働くπ−π相互作用も考慮しなければならない。これらの相乗効果により、p−ZnPcはガス分子を認識していると考えられる。
以上のとおり、本発明のセンサー用材料は、金属フタロシアニン錯体に剛直で嵩高い置換基の導入により、フタロシアニン環同士のスタッキングが阻害され、固体状態でも会合せずに中心金属周辺の空間を保持していることが確認できた。さらにこのナノスペースにより中心金属周辺にガス分子が配位しやすくなったため、選択性が向上した。また、中心金属と配位子間の電子的な作用に加え、中心金属周辺のナノスペースによる立体的な作用により、さらに選択性が向上することを確認できた。このような優れた選択性を有する本発明のセンサー用材料をセンサーに用いることにより、分子認識能を有する感度の高いセンサーを得ることができる。
また、金属フタロシアニン錯体のM、R1〜R4の選定によって、同じガスを検出した場合でも検出結果が異なることから、M、R1〜R4を代えることで選択性が異なるセンサー用材料が得られる。このような選択性の異なるセンサー用材料を組み合わせることで、センサーとしての分子認識能の向上が図れる。さらには、選択性の異なるセンサー用材料を組み合わせることで、複数のターゲットを捕捉して、複数の物質を同時に認識することができるセンサーが得られる。
また、金属フタロシアニン錯体のM、R1〜R4の選定によって、同じガスを検出した場合でも検出結果が異なることから、M、R1〜R4を代えることで選択性が異なるセンサー用材料が得られる。このような選択性の異なるセンサー用材料を組み合わせることで、センサーとしての分子認識能の向上が図れる。さらには、選択性の異なるセンサー用材料を組み合わせることで、複数のターゲットを捕捉して、複数の物質を同時に認識することができるセンサーが得られる。
なお、質量変化量NおよびKファクターは、ガス吸着前後の周波数変化量から以下の通り算出した。質量変化量Nは、数式(2)に示すように、センサー素子基板の上に形成された膜となる化合物1分子あたりのガス分子の吸着数を表わし、Nが大きいほど膜内に分子を認識するための吸着サイトをより多くもち、膜物質1分子あたりの吸着効率が高いことを意味する。数式(2)において、ngasは膜に吸着したガスの物質量(mol)、nfilmは膜の物質量(mol)である。
Kファクターは、空気中のガスや分子が、高分子等の吸着材料にどの程度溶け込むかを示す指数であって、数式(3)に示すように、吸着した高分子の中の当該分子の重量濃度(単位体積当たりの重量)と、空気中の当該分子の重量濃度(単位体積当たりの重量)との比で表現される。Kファクターは、吸着材料の質量、密度や導入するガスの濃度が異なっていても、その吸着能を一定の値で表すことができ、検出感度の目安となる。なお、数式(3)において、KはKファクター、Cfは膜中のガスのモル濃度(mol/cm3)、Cgはチャンバー内に導入されたガスのモル濃度(mol/cm3)、Mcfは膜に吸着されたガスの重量濃度(g/cm3)、Mcvはチャンバー内に導入されたガスの重量濃度(g/cm3)、dHzgasはガス導入により変化した周波数変化(Hz)、dHzfilmは膜作製前後の周波数変化(Hz)、dfilmは膜の密度(g/cm3)、Mgasはガスの分子量(g/mol)、Cgasは1molの大気中におけるガスの質量濃度(ppm)を表す。なお、本実施例5においては、dfilmを1g/cm3と仮定し、Cgasを4000ppmとして計測した。
上記実施の形態では、センサー用材料として、R1〜R4がペンタフェニルベンゼン、MがCo、Ni、Cu、Znの金属フタロシアニン錯体を用いた。しかし、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更して、上記実施の形態で記載した金属フタロシアニン錯体とは選択性の異なるセンサー用材料を得ることが可能である。そのような選択性が異なるセンサー用材料を組み合わせることにより、さまざまな種類のターゲット物質を検出することが可能なセンサーを得ることができる。
1…金属フタロシアニン錯体、2…フタロシアニン環、3…剛直で嵩高な置換基、4…ナノスペース、10…センサー素子、11…基板、12…分子認識膜、14…金電極、14a…金電極端子部、21…QCMセンサー、23…発振器、24…端子、25…周波数検出カウンタ
Claims (7)
- 下記一般式[化1]で表される金属フタロシアニン錯体からなることを特徴とするセンサー用材料。
Mは、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素を表す。 - R1、R2、R3、R4が、ペンタフェニルベンゼンであることを特徴とする請求項1に記載のセンサー用材料。
- Mが、Co、Ni、Cu、Znから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサー用材料。
- 基板と、前記基板上に形成された下記一般式[化2]で表される金属フタロシアニン錯体と、からなるセンサー素子と、
Mは、Co、Zn、Fe、Ni、Cu、Mn、Al、Mo、V=O、Ru、Ga、Os、Rh、Pd、Ptから選択される1種または2種以上の金属元素を表す。)
前記金属フタロシアニン錯体によりターゲット物質を捕捉し、捕捉した前記ターゲット物質による前記センサー素子の物理的な変化を検出する検出手段と、
を有することを特徴とするセンサー。 - 前記検出手段が、捕捉された前記ターゲット物質による質量変化を振動型質量検出センサーの周波数変化として検出する検出手段であることを特徴とする請求項4に記載のセンサー。
- 前記センサー素子が、前記金属フタロシアニン錯体のMとして異なる金属元素を選択した複数のセンサー素子からなり、前記検出手段が、前記金属フタロシアニン錯体によって複数のターゲット物質を捕捉して、捕捉した複数の前記ターゲット物質による複数の前記センサー素子の物理的な変化を検出する検出手段であることを特徴とする請求項4または5に記載のセンサー。
- 前記センサーが、揮発性有機化合物またはにおいを検出するセンサーであることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のセンサー。
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JP2013218312A (ja) * | 2012-03-12 | 2013-10-24 | Jsr Corp | 近赤外線カットフィルターおよびその用途 |
JP2014228484A (ja) * | 2013-05-24 | 2014-12-08 | 富士通株式会社 | 環境測定装置及び環境測定方法 |
WO2023175956A1 (ja) * | 2022-03-18 | 2023-09-21 | I-Pex株式会社 | 物質検出システム |
-
2008
- 2008-03-13 JP JP2008063418A patent/JP2009216672A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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