JP2009097905A - センサおよびその製造方法 - Google Patents

センサおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009097905A
JP2009097905A JP2007267670A JP2007267670A JP2009097905A JP 2009097905 A JP2009097905 A JP 2009097905A JP 2007267670 A JP2007267670 A JP 2007267670A JP 2007267670 A JP2007267670 A JP 2007267670A JP 2009097905 A JP2009097905 A JP 2009097905A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensor
polyaniline film
film
emeraldine
polyaniline
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007267670A
Other languages
English (en)
Inventor
Mutsumi Kimura
睦 木村
Takashi Fujinami
崇 藤浪
Toshihiro Hirai
利博 平井
Midori Takasaki
緑 高崎
Takashi Mihara
孝士 三原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinshu University NUC
Olympus Corp
Original Assignee
Shinshu University NUC
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinshu University NUC, Olympus Corp filed Critical Shinshu University NUC
Priority to JP2007267670A priority Critical patent/JP2009097905A/ja
Publication of JP2009097905A publication Critical patent/JP2009097905A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、アンモニア、酢酸、アルコール、炭化水素など、さまざまなガスを検出できるセンサを提供することを目的とする。また、高い感度を有するセンサの製造方法をも提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、基板上にポリアニリン膜が形成されてなるセンサ素子4と、ポリアニリン膜によりターゲット物質を捕捉し、捕捉したターゲット物質によるセンサ素子4の質量変化を検出する検出手段と、を有するセンサ1である。
【選択図】図1

Description

本発明は、揮発性有機化合物などを検出するセンサおよびその製造方法に関する。
化学センサの分野では、酸化物半導体を利用したMOS(Metal Oxide Sensor)型センサなどが一般的に利用されている。
MOS型センサは、半導体化した金属酸化物の比較的小さな微粒子結晶体や焼結体をベースとし、通常はPt等の電極ワイヤを内部に持ったセラミックス構造体からなる。MOS型センサは、300℃程度の高温で利用する。金属酸化物表面での高温における触媒反応によって、アルコール等のガス分子が表面で還元され、電子が空乏化した金属酸化物内に取り込まれて中和される。これによって粒界のポテンシャルバリアーが低下して抵抗が低下する原理を利用するものである。このMOS型センサは、アルコールやプロパンガスのセンサとして利用されているが、感度が不十分であることや、ガスに対する選択性がないこと、集積化が困難であること、高温でのセンシングが必要などの問題がある。
近年、ガス、におい、揮発性有機化合物(以下、VOCと記す)などの化学物質を検出する化学センサの感度を高める研究や、検出対象となる化学物質に合わせた化学センサについての研究がなされており、導電性高分子を感応膜とし抵抗値変化を測定するガスセンサが開発されている。導電性高分子によるガスセンサは、π結合を持った主鎖にカチオン、またはアニオンが付着することによりソリトンやポーラロンが変化し導電性が大きく変化することを利用したガスセンサであり、酸塩基性ガスに対しては特に強い変化を示す。しかしながら、その他のVOCに対しては反応を示さないことが多く、特に炭化水素などの無極性のVOCは電気抵抗変化に対して影響を与えにくく、導電性高分子によるガスセンサでは検出の対象とすることが困難である。
特許文献1には、ドーパントとして炭酸水素イオンを取り込んだ塩基型ポリアニリンを用いて、電気伝導度変化によって二酸化炭素濃度を検出するガスセンサが記載される。
非特許文献1には、ドーパントとしてFeCl3・6H2O、Cu(ClO4)・6H2Oを取り込んだポリチオフェン誘導体を用いて、QCMによる周波数変化と電気抵抗値変化によって一酸化炭素、エタノールを検出するガスセンサが記載される。
しかしながら、アンモニア、酢酸、炭化水素などのVOCを検出するセンサについては記載がない。
特開2000−321232号公報 「センサズ アンド アクチュエータズ ビー ケミカル(Sensors and Actuators B CHEMICAL)」、(オランダ)、エルゼビア(ELSEVIER)、2005年、111−112、P.193−199
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、アンモニア、酢酸、アルコール、炭化水素など、さまざまなガスを検出できるセンサを提供することを目的とする。さらに、高い感度を有するセンサの製造方法をも提供することを目的とする。
本発明は、基板上にポリアニリン膜が形成されてなるセンサ素子と、ポリアニリン膜によりターゲット物質を捕捉し、捕捉したターゲット物質によるセンサ素子の質量変化を検出する検出手段と、を有するセンサである。
本発明において、ポリアニリン膜を電解重合膜とすることが好ましく、これにより感度の高いセンサとなる。
また、本発明において、ポリアニリン膜は、エメラルディンベースポリアニリン膜またはエメラルディン塩ポリアニリン膜であることが好ましい。エメラルディン塩ポリアニリン膜は、ドーパントとして硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種以上を含有することが好ましい。このようなポリアニリン膜を2種以上組み合わせることにより、さまざまなガスに対する選択性を有するセンサが得られる。
本発明においては、基板が、金からなる、またはSi系材料の表面に金薄膜を形成した基板であることが好ましい。
またさらに、本発明においては、検出手段が、捕捉されたターゲット物質による質量変化を振動型質量検出センサの周波数変化として検出する検出手段であることが好ましい。
本発明者等は、電解重合法によりポリアニリン膜を形成することにより、ポリアニリン膜の表面積が大きくなり高い感度を有するセンサが得られることを見出した。
したがって、本発明のセンサの製造方法は、基板上にエメラルディン塩ポリアニリン膜が形成されてなるセンサ素子と、エメラルディン塩ポリアニリン膜によりターゲット物質を捕捉し、捕捉したターゲット物質によるセンサ素子の質量変化を検出する検出手段と、を有するセンサの製造方法であって、エメラルディン塩ポリアニリン膜が電解重合法により形成されたことを特徴とする。
また本発明のセンサの製造方法は、基板上にエメラルディンベースポリアニリン膜が形成されてなるセンサ素子と、エメラルディンベースポリアニリン膜によりターゲット物質を捕捉し、捕捉したターゲット物質によるセンサ素子の質量変化を検出する検出手段と、を有するセンサの製造方法であって、エメラルディンベースポリアニリン膜が電解重合法により形成されたエメラルディン塩ポリアニリン膜に逆電圧を印加して形成したことを特徴とする。
本発明のセンサは、ポリアニリン膜がドーパントの有無や種類によってガスに対する吸着性が異なることから、アンモニア、酢酸などの酸塩基性ガス、アルコールなどの極性VOC、炭化水素などの無極性VOC、などのさまざまなガス(ターゲット物質)を検出できる。また本発明のセンサの製造方法を用いることにより、高い感度を有するセンサを製造することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
<センサ>
図1は、本実施の形態におけるセンサの構成を説明するための図である。
図1に示すように、センサ1は、振動を発する発振器3と、発振器3上に載置され、質量変化に伴い周波数が変化するセンサ素子4とが、チャンバー内2に設置されている。チャンバー2は、VOCなどのガスを導入するガス導入バルブ7と窒素導入バルブ10と排気バルブ8とを備え、チャンバー2内を所望の雰囲気に制御することができる。ガス導入バルブ7にはヒーター9が設けられ、チャンバー2内に導入するガスを必要に応じて加熱することができる。発振器3は、チャンバー2外の周波数検出カウンタ5と接続され、周波数検出カウンタ5はコンピュータ6と接続される。
チャンバー2内にガス導入バルブ7を通してガスが導入されると、センサ素子4はガスを吸着して質量が変化する。質量変化に伴い周波数が変化するので、この周波数変化を周波数検出カウンタ5によって計測し、周波数検出カウンタ5に接続されるコンピュータ6により周波数変化を出力する。周波数検出カウンタ5は、Agilent53131Aユニバーサル周波数カウンタである。
図2は、センサ素子4の拡大模式図である。
図2に示すように、センサ素子4は、基板11と、基板11の外表面に形成されたポリアニリン膜12とからなり、端子13を備える。基板11としては、周波数9MHz、水晶素板サイズφ8.7mm、金電極径φ5.0mm、AT−Cut水晶板の両面にクロム/金(厚さ500オングストローム)の電極を蒸着した水晶振動子(多摩デバイス製)を用いる。この水晶振動子は、1ngの物質が電極表面に付着すると周波数が1Hz減少する。ポリアニリン膜12は、基板11の中央部に形成された金電極の上に形成する。
本発明においては、ポリアニリン膜として、電解重合膜を形成することが好ましい。電解重合膜は電解重合法により形成された膜であって、膜の表面や内部が粗く表面積が大きいため感度の高いセンサ素子となる。
また本発明においては、ポリアニリン膜として、エメラルディンベースポリアニリン膜またはエメラルディン塩ポリアニリン膜を形成することが好ましい。エメラルディンベースポリアニリン膜とエメラルディン塩ポリアニリン膜との差異は、ドーパントの有無である。アニオンがポリアニリン膜に取り込まれたドープ状態の膜がエメラルディン塩ポリアニリン膜であり、ポリアニリン膜内のドーパントを放出した脱ドープ状態の膜がエメラルディンベースポリアニリン膜である。
エメラルディン塩ポリアニリン膜は、ポリアニリン膜内にドーパントが取り込まれたドープ状態の導電性高分子膜であって、一般式[化1]で表され、Nの位置にドーパントAが配位する。ドーパントAとしては、硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸、ドデシル硫酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸などを用いることができる。
Figure 2009097905
ここで重要なのは、ドーパントの種類によって吸着できるガスの種類が異なることである。
硫酸をドーパントして取り込んだポリアニリン膜は、アンモニアや、酢酸、ギ酸などカルボン酸の吸着に優れる。
ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸ナトリウムなどのスルホ基含有炭化水素をドーパントして取り込んだポリアニリン膜は、アルコールや炭化水素の吸着に優れる。炭化水素は、無極性であるため電気抵抗変化に対しては影響を与えにくいが、本発明では質量変化によって検出を行うため、炭化水素の検出も可能である。
ドーパントとして硫酸を用いた場合では、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸ナトリウムに比べ、炭化水素の吸着量が少ないことから、スルホ基含有炭化水素が吸着サイトとして働いていると考えられる。この理由については、明らかではないが、スルホ基の親水性相互作用、ベンゼン、ナフタレンなどの環式炭化水素基はπ−π相互作用スタッキング、アルキルなどの鎖状炭化水素基は疎水性相互作用など、によるものと考えている。
炭化水素を検出する場合のドーパントとしては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシル硫酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸を用いることが好ましい。
エメラルディンベースポリアニリン膜は、一般式[化2]で表され、ポリアニリン膜内のドーパントを放出した脱ドープ状態の高分子膜である。なお、一般式[化2]において、0<y<1の範囲であればよい。エメラルディンベースポリアニリン膜は、酢酸、ギ酸などカルボン酸の吸着に優れるが、アンモニアや炭化水素の吸着に対しては感度が低い。
Figure 2009097905
以上説明したように、ポリアニリン膜は、ドーパントの有無や種類によって、吸着できるガスの種類が異なる、すなわち、ガスに対する選択性を有する。したがって、検知したいガスの種類に合わせてポリアニリン膜を選択することにより、感度の高いセンサが得られる。また、ポリアニリン膜のガスに対する選択性を利用して、2種以上のポリアリニン膜を組み合わせることにより、さまざまなガスに対する選択性を有するセンサが得られる。
本発明にかかるセンサに適用する検出手段としては、振動型質量検出センサを用いて、ターゲット物質の吸脱着による質量変化を周波数変化として検出することが好ましい。振動型質量検出センサとしては図2に示す水晶振動子を用いたものが好ましい。またMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いた小型振動子を用いた振動型質量検出センサを用いることもできる。この場合、水晶振動子に比較して、集積化や回路との集積が容易である。
水晶振動子微量天秤(QCM)では、水晶発振子の表面に物質が吸着すると、以下のSauerbrey式(1)に従い、吸着した物質の質量に比例して、水晶発振子の基本振動数が変化する。ここで、ΔFは、基本振動数の変化、Δmは重量変化、Kは定数である。
ΔF=−K×Δm・・・(1)
なお、本発明において、ターゲット物質の捕捉とは、ポリアニリン膜、特にエメラルディンベースポリアニリン膜またはエメラルディン塩ポリアニリン膜へのターゲット物質の物理的、化学的な吸着を意味する。
<センサの製造方法>
本発明のセンサを構成するセンサ素子は、基板上にポリアニリン膜を形成した構造を有する。ポリアニリン膜は、化学重合により得られるポリアニリン膜や、市販のエメラルディンベースポリアニリンを基板表面に塗布し、ドーパント液に浸漬することでも得られるが、本発明では電解重合法により形成した電解重合膜とすることが好ましい。
図3に、電解重合法によるポリマーの形成を模式的に示す。
図3に示すように、容器20内に、モノマー23、ドーパント24を含む溶液25を入れ、対となる電極21を配置し、電極21の一方の側に基板11を配置して通電することにより、電極21が重合開始剤の代わりになりモノマー23を刺激し基板11表面にポリマー膜が形成される。ポリマー膜形成の過程において、ポリマー内を電子が通り抜けなければならないため、導電性が必要とされ、そのためにポリマー内にドーパント24が取り込まれ、エメラルディン塩が形成される。また、エメラルディン塩に逆電圧を印加することにより、ドーパント24が抜けてエメラルディンベースが形成される。
電解重合法を用いると、基板11表面に直接ポリマーをつけることができるという利点を有する。また、電解重合法によってポリアニリン膜を成膜すると、膜の表面や内部が粗い状態になり表面積が大きな膜が得られる。ポリアニリン膜の表面積が増えるとターゲット物質の吸着サイトが増えるので、感度の高いセンサとなる。
電解重合法、キャストによって、それぞれ3種類のポリアニリン膜修飾センサ素子を作成し、種々のVOCに対する周波数変化を図1に示すセンサ1で計測した。VOCの種類は、塩基性ガスとしてアンモニア、酸性ガスとして酢酸、ギ酸、アルコールとしてメタノール、エタノール、疎水性ガスとしてn−オクタン、トルエン、親水性ガスとしてアセトンを用いた。
実験に用いたセンサ素子の構成を図4(a)(b)を用いて説明する。図4(a)に、センサ素子を構成する基板11の斜視図を示す。図4(b)に、ポリアニリン膜12を形成したセンサ素子4の斜視図を示す。
図4(a)に示すように、基板11は、基板11の中央部に金電極14が形成され、金電極14と接続される金電極端子部14aにより、外部から通電可能である。基板11は、水晶素板サイズφ8.7mm、金電極14の径φ5.0mmの水晶振動子(多摩デバイス製)からなる。
図4(b)に示すように、センサ素子4は、図4(a)に示す金電極14上にポリアニリン膜12が形成された構成である。
<電解重合法>
電解重合法によるポリアニリン膜12は、次のように形成した。アニリン−硫酸水溶液100ml中で、基板11の金電極14に金電極端子部14aを介して20分間、0.85Vの定電圧を印加して電解重合によりドーパントとして硫酸(SAと記載する場合もある)を含有するエメラルディン塩ポリアニリン膜を形成したセンサ素子No.1を作製した。
また、No.1のエメラルディン塩ポリアニリン膜作成後に5分間、−1.0Vで逆電圧を印加して脱ドーパントを行ったエメラルディンベースポリアニリン膜を形成したセンサ素子No.2を作製した。
アニリン−ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液100ml中でセンサ素子の電極部(直径5mm)に20分間、0.85Vの定電圧を印加して、ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸(DBSAと記載する場合もある)を含有するエメラルディン塩ポリアニリン膜を形成したセンサ素子No.3を作製した。
なお、電解重合によって作製されたNo.1〜3のポリアニリン膜の膜厚は、220nmである。
<キャスト>
キャストによるポリアニリン膜12は次のように形成した。エメラルディンベースポリアニリン(Aldrich製)を溶融し、基板11の金電極14上に塗布し、キャストによるエメラルディンベースポリアニリン膜(以下、non−dopedポリアニリン膜と称する)を形成したセンサ素子No.4を作製した。
また、non−dopedポリアニリン膜を20時間、濃度1.0mol/lの硫酸水溶液に浸漬し、ドーパントとして硫酸を含有するエメラルディン塩ポリアニリン膜を形成したセンサ素子No.5を作製した。
また、non−dopedポリアニリン膜を20時間、濃度1.0mol/lのドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に浸漬し、ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸を含有するエメラルディン塩ポリアニリン膜を形成したセンサ素子No.6を作製した。
なお、キャストによって作製されたNo.4〜6のポリアニリン膜の膜厚は、1.8μmとし、電解重合によるポリアニリン膜より膜厚を約8倍厚くした。キャストの膜厚を電解重合より厚く成膜した理由は、電解重合に比しキャストは感度が低いためである。
<周波数変化の計測>
図1に示すセンサ1を用いた周波数変化の計測方法について説明する。はじめに排気バルブ8を開けてチャンバー2内を真空にした後、排気バルブ8を閉じ、窒素導入バルブ10を開け、装置内を窒素雰囲気にした。窒素導入バルブ10を閉じて周波数が安定した状態をベースラインとした。次に、ガス導入バルブ7を開け、ガスを1000ppm導入した。ガスの導入は5分間行った。その後、ガス導入バルブ7を閉じ、装置を密封して周波数変化を計測し、ガス導入に伴う周波数変化が一定になったら、排気バルブ8を開けて装置内のガスを排気し、窒素導入バルブ10を開けて窒素に置換することで周波数をベースラインに戻した。周波数変化は室温で計測した。
周波数変化を表1に示す。表1から、電解重合の場合、ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸を用いたNo.3は、n−オクタン、トルエンなどの炭化水素に高い感度を有することがわかる。一方、ドーパントとして硫酸を用いたNo.1はアンモニアに高い感度を有することがわかる。またドーパントを除去したエメラルディンベースポリアニリン膜からなるNo.2では、酢酸、ギ酸に高い感度を有することがわかる。
またキャストの場合、電解重合に比し感度が低いので、アンモニアに対する周波数変化のみを計測したが、エメラルディンベースポリアニリン膜からなるNo.4の周波数変化の値は小さいが、ドーパントを含むNo.5、6の周波数変化の値が大きいことから、アンモニアの吸着がドーパントに依存していることがわかる。
Figure 2009097905
実施例1と同様の方法で、電解重合法によって、ドーパントとして、硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸を含有する2種類のポリアニリン膜修飾センサ素子(No.1,No.3)を作製した。
また、アニリン−ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液100ml中で、水晶素板サイズφ8.7mm、金電極径φ5.0mmのセンサ素子(多摩デバイス製)の電極部に20分間、0.85Vの定電圧を印加して電解重合によりドーパントとしてドデシルスルホン酸ナトリウム(SDSと記載する場合もある)を含有するエメラルディン塩ポリアニリン膜修飾センサ素子No.7を作製した。
実施例1と同様の方法で、non−dopedポリアニリン膜修飾センサ素子No.4を作製した。
No.1,3,4,7のセンサ素子を用いて、ガスを2000ppm導入した以外は実施例1と同様の方法で、アセトン、エタノール、トルエン、オクタンに対する周波数変化を計測した。結果を図5に示す。
図5より、トルエンは、non−dopedポリアニリン膜を含めて4種類のポリアニリン膜No.1,3,4,7全てに感度よく吸着していることから、ポリアニリン膜がトルエンに対し高い感度を有することがわかる。ドーパントを含むポリアニリン膜は、ドーパントを含まないポリアニリン膜に比し、アセトン、エタノール、オクタンに対する感度が高いことがわかる。また、オクタンなどのガスに着目すると、No.1,3,4,7のポリアニリン膜に対する周波数変化量が異なることがわかる。このような周波数変化量の差異は、それぞれのポリアニリン膜に固有の値であるから、複数種のポリアニリン膜を組み合わせることにより、さまざまなガスを検出することができる。
検出手段として水晶振動子微量天秤を用いた振動型質量検出センサの原理を示す模式図である。 センサ素子の模式図である。 電解重合法によるポリマーの形成を模式的に示した図である。 (a)センサ素子を構成する基板の斜視図、(b)基板上にポリアニリン膜を形成したセンサ素子の斜視図である。 4種類のセンサ素子の周波数変化について示した図である。
符号の説明
1…センサ、2…チャンバー、3…発振器、4…センサ素子、5…周波数検出カウンタ、6…コンピュータ、7…ガス導入バルブ、11…基板、12…ポリアニリン膜、14…金電極、23…モノマー、24…ドーパント

Claims (8)

  1. 基板上にポリアニリン膜が形成されてなるセンサ素子と、
    前記ポリアニリン膜によりターゲット物質を捕捉し、捕捉した前記ターゲット物質による前記センサ素子の質量変化を検出する検出手段と、
    を有することを特徴とするセンサ。
  2. 前記ポリアニリン膜が、電解重合膜であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
  3. 前記ポリアニリン膜が、エメラルディンベースポリアニリン膜またはエメラルディン塩ポリアニリン膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ。
  4. 前記エメラルディン塩ポリアニリン膜が、ドーパントとして硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載のセンサ。
  5. 前記基板が、金からなる、またはSi系材料の表面に金薄膜を形成したものからなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のセンサ。
  6. 前記検出手段が、捕捉された前記ターゲット物質による質量変化を振動型質量検出センサの周波数変化として検出する検出手段であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のセンサ。
  7. 基板上にエメラルディン塩ポリアニリン膜が形成されてなるセンサ素子と、
    前記エメラルディン塩ポリアニリン膜によりターゲット物質を捕捉し、捕捉した前記ターゲット物質による前記センサ素子の質量変化を検出する検出手段と、
    を有するセンサの製造方法であって、
    前記エメラルディン塩ポリアニリン膜が電解重合法により形成されたことを特徴とするセンサの製造方法。
  8. 基板上にエメラルディンベースポリアニリン膜が形成されてなるセンサ素子と、
    前記エメラルディンベースポリアニリン膜によりターゲット物質を捕捉し、捕捉した前記ターゲット物質による前記センサ素子の質量変化を検出する検出手段と、
    を有するセンサの製造方法であって、
    前記エメラルディンベースポリアニリン膜が電解重合法により形成されたエメラルディン塩ポリアニリン膜に逆電圧を印加して形成したことを特徴とするセンサの製造方法。
JP2007267670A 2007-10-15 2007-10-15 センサおよびその製造方法 Pending JP2009097905A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007267670A JP2009097905A (ja) 2007-10-15 2007-10-15 センサおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007267670A JP2009097905A (ja) 2007-10-15 2007-10-15 センサおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009097905A true JP2009097905A (ja) 2009-05-07

Family

ID=40701055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007267670A Pending JP2009097905A (ja) 2007-10-15 2007-10-15 センサおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009097905A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011065977A (ja) * 2009-08-21 2011-03-31 Univ Of Yamanashi 燃料電池セルおよび燃料電池反応計測装置
CN108225966A (zh) * 2018-01-31 2018-06-29 浙江大学 聚苯胺纳米线修饰的qcm气体传感器及其制备方法与应用
JP2019124700A (ja) * 2015-11-17 2019-07-25 株式会社アロマビット 匂いセンサおよび匂い測定システム
CN111830086A (zh) * 2020-05-07 2020-10-27 西安电子科技大学 基于聚苯胺薄膜表面修饰的气敏传感器的制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05223720A (ja) * 1992-02-17 1993-08-31 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> におい質センシング方法
JPH0727914A (ja) * 1993-05-13 1995-01-31 Nec Corp 耐光性ポリアニリン遮光膜及びそれを用いた液晶表 示素子
JPH09304259A (ja) * 1996-05-09 1997-11-28 Yuasa Corp 水晶式濃度センサー
JP2001240742A (ja) * 2000-02-28 2001-09-04 Mitsubishi Chemicals Corp ポリアニリン類およびその製造方法
WO2007114192A1 (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Kitakyushu Foundation For The Advancement Of Industry, Science And Technology ガス検知素子及びその製造方法
JP2008268170A (ja) * 2007-03-22 2008-11-06 Shinshu Univ センサー

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05223720A (ja) * 1992-02-17 1993-08-31 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> におい質センシング方法
JPH0727914A (ja) * 1993-05-13 1995-01-31 Nec Corp 耐光性ポリアニリン遮光膜及びそれを用いた液晶表 示素子
JPH09304259A (ja) * 1996-05-09 1997-11-28 Yuasa Corp 水晶式濃度センサー
JP2001240742A (ja) * 2000-02-28 2001-09-04 Mitsubishi Chemicals Corp ポリアニリン類およびその製造方法
WO2007114192A1 (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Kitakyushu Foundation For The Advancement Of Industry, Science And Technology ガス検知素子及びその製造方法
JP2008268170A (ja) * 2007-03-22 2008-11-06 Shinshu Univ センサー

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011065977A (ja) * 2009-08-21 2011-03-31 Univ Of Yamanashi 燃料電池セルおよび燃料電池反応計測装置
JP2019124700A (ja) * 2015-11-17 2019-07-25 株式会社アロマビット 匂いセンサおよび匂い測定システム
CN113655092A (zh) * 2015-11-17 2021-11-16 株式会社而摩比特 气味传感器及气味测定系统
CN108225966A (zh) * 2018-01-31 2018-06-29 浙江大学 聚苯胺纳米线修饰的qcm气体传感器及其制备方法与应用
CN111830086A (zh) * 2020-05-07 2020-10-27 西安电子科技大学 基于聚苯胺薄膜表面修饰的气敏传感器的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gong et al. Highly ordered nanoporous alumina films: Effect of pore size and uniformity on sensing performance
Zhou et al. Ultrasensitive and robust organic gas sensors through dual hydrogen bonding
Jimenez-Cadena et al. Gas sensors based on nanostructured materials
Kwon et al. Resistive gas sensors based on precisely size-controlled polypyrrole nanoparticles: Effects of particle size and deposition method
US20160084788A1 (en) Molecularly Imprinted Polymer Sensors and Methods For Manufacturing The Same
Teradal et al. Porous graphene oxide chemi-capacitor vapor sensor array
Erdogan et al. Characterization of polymeric LB thin films for sensor applications
Xie et al. Metal nanocluster—metal organic framework—polymer hybrid nanomaterials for improved hydrogen detection
JP2009097905A (ja) センサおよびその製造方法
US8516880B2 (en) Gas sensing system with quartz crystal substrate
Hong et al. In-plane impedancemetric ammonia sensing of solution-deposited, highly semiconductor-enriched single-wall carbon nanotube submonolayer network gas sensors
Avaz et al. Graphene based nanosensor for aqueous phase detection of nitroaromatics
Tanese et al. Poly (phenyleneethynylene) polymers bearing glucose substituents as promising active layers in enantioselective chemiresistors
Ma et al. Polyvinylpyrrolidone/graphene oxide thin films coated on quartz crystal microbalance electrode for NH 3 detection at room temperature
Karimov et al. Resistive humidity sensor based on vanadium complex films
Chowdhury et al. Au/TiO 2 Nanotube/Ti Chemicapacitive Devices: An Approach for Optimal Gas Sensing
US20170023508A1 (en) Method of making thin film humidity sensors
Dissanayake et al. Conducting absorbent composite for parallel plate chemicapacitive microsensors with improved selectivity
WO2018234185A1 (en) ELECTROCHEMICAL GAS SENSOR
Abbas et al. Dielectric and gas sensing properties of in situ electrochemically polymerized PPy-MgO-WO3 nanocomposite films
ur Rahman et al. Electrical and hysteric properties of organic compound-based humidity sensor and its dualistic interactive approach to H2O molecules
Zor et al. QCM humidity sensors based on organic/inorganic nanocomposites of water soluble-conductive poly (diphenylamine sulfonic acid)
Kim et al. All-soft sensing platform based on liquid metal for liquid-and gas-phase VOC detection
JP2009216672A (ja) センサー用材料およびそれを用いたセンサー
JP4048276B2 (ja) 導電性ポリピロール薄膜及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20100924

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20120301

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120314

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120704