JP2008268170A - センサー - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、アセトン、プロピレン、アルコール類など様々な種類の揮発性有機化合物(VOC)、環境汚染物質、においなどを検出できるセンサーを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ターゲット物質を吸着する少なくとも2種以上の高分子膜を有するセンサー素子と、高分子膜に吸着されたターゲット物質の吸着特性を計測する計測手段と、計測された吸着特性を多変数解析して、ターゲット物質を認識する認識手段と、を有することを特徴とするセンサーである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、ターゲット物質を吸着する少なくとも2種以上の高分子膜を有するセンサー素子と、高分子膜に吸着されたターゲット物質の吸着特性を計測する計測手段と、計測された吸着特性を多変数解析して、ターゲット物質を認識する認識手段と、を有することを特徴とするセンサーである。
【選択図】図1
Description
本発明は、揮発性有機化合物などを検出するセンサーに関する。
医療の分野における人間の呼気による早期の診断、予防では、呼気に含まれているアセトンやプロピレン、アルコール類と言った様々な揮発性有機化合物(以下、VOCと記す)が混入しており、これらが体調や運動状態によっても異なっていると指摘されている。このため、様々な種類のVOCを選択的に吸着するセンサーが求められている。
従来から、化学センサーとして、金属酸化物半導体を利用したMOS(Metal Oxide Sensor)型センサーが一般的に利用されている。
MOS型センサーは、半導体化した金属酸化物の比較的小さな微粒子結晶体や焼結体をベースにしたセンサーで、通常はPt等の電極ワイヤを内部に持ったセラミックス構造体であって、300℃程度の高温で利用する。金属酸化物表面での高温における触媒反応によって、アルコール等のガス分子が表面で還元され、電子が空乏化した金属酸化物内に取り込まれて中和される。これによって粒界のポテンシャルバリアーが低下して抵抗が低下する原理を利用するものである。
MOS型センサーは、半導体化した金属酸化物の比較的小さな微粒子結晶体や焼結体をベースにしたセンサーで、通常はPt等の電極ワイヤを内部に持ったセラミックス構造体であって、300℃程度の高温で利用する。金属酸化物表面での高温における触媒反応によって、アルコール等のガス分子が表面で還元され、電子が空乏化した金属酸化物内に取り込まれて中和される。これによって粒界のポテンシャルバリアーが低下して抵抗が低下する原理を利用するものである。
MOS型センサーを匂いの認識装置として用いる場合、ガスクロマトグラフィーのように分子量や質量を直接計測すること、元素の分析装置のように材料の構成分子を特定化することが困難である。なぜならガスセンサーとして実用化されているMOS型センサーは、上述の通り、高温にした金属酸化物の表面での触媒反応でのガスの還元を使って、半導体の導電率の変化を用いているので、ガス種に対する選択性は極めて低い。このため、アルコール等の分極性、アンモニア等の刺激性のガスの吸着には選択性があるが、通常のアルカン等のVOCには感度が小さいという課題があった。これまで、複数のMOS型センサーを用いた匂いセンサーシステムでは、幅広いVOCの検出には不向きであった。
近年、MOS型センサーに代わるセンサーとして、水晶振動子等の周波数検出型質量センサーや表面弾性波素子などの圧電素子の表面に感応膜を形成し、この感応膜に吸着した物質による感応膜の質量変化を周波数変化として取り出す方式のセンサーシステムが注目を集めている。また最近ではシリコン等の材料を半導体加工技術を用いて作製する、MEMS(Micro Mechanical Electrical System)と言われる技術を用いて超小型に作製した周波数検出型質量センサーが、感度や量産性、集積化の点で優れているとされている。
例えば、特許文献1では、圧電振動子の両面または片面に、1,2ポリブタジエン等の二重結合を持つゴム系材料で構成した感応膜を形成したセンサーを設け、センサーから得られる発振周波数、位相特性、振幅特性、時間応答性を検出し、検出された値から統計的な解析手法や神経回路網的な手法を用いて、感応膜に吸着した物質を特定することが記載される。しかしながら、感応膜を形成するベース材料として1,2ポリブタジエンのみを用い、臭素、ヨウ素などを官能基として反応させることにより、吸着特性の異なる感応膜が形成できることを開示しているにすぎず、統計的な手法や神経回路網的な手法についての具体的な開示はない。
例えば、特許文献1では、圧電振動子の両面または片面に、1,2ポリブタジエン等の二重結合を持つゴム系材料で構成した感応膜を形成したセンサーを設け、センサーから得られる発振周波数、位相特性、振幅特性、時間応答性を検出し、検出された値から統計的な解析手法や神経回路網的な手法を用いて、感応膜に吸着した物質を特定することが記載される。しかしながら、感応膜を形成するベース材料として1,2ポリブタジエンのみを用い、臭素、ヨウ素などを官能基として反応させることにより、吸着特性の異なる感応膜が形成できることを開示しているにすぎず、統計的な手法や神経回路網的な手法についての具体的な開示はない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、様々な種類のVOCを検出できるセンサーを提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明者らは、様々な種類の高分子膜と様々な種類のガスについて、それらの組み合わせと吸着特性の関連に着目して鋭意検討を行い、高分子膜ごとにVOC種に対する吸着特性に差異があること、その吸着特性の差異は高分子膜とVOCの組み合わせによってそれぞれ特徴があることを知見した。この知見に基づき、同じVOCを同時に複数の高分子膜に吸着させて、各高分子膜に対する吸着特性を求め、多変数解析することにより、VOCを認識できるセンサーが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、ターゲット物質を吸着する少なくとも2種以上の高分子膜を有するセンサー素子と、高分子膜に吸着されたターゲット物質の吸着特性を計測する計測手段と、計測された吸着特性を多変数解析して、ターゲット物質を認識する認識手段と、を有するセンサーである。
本発明において、吸着特性は、周波数変化、Kファクター、吸着応答特性、脱離特性から選ばれる少なくとも1つ以上であることが好ましい。また、吸着特性は、周波数検出型質量センサーを用いて測定された振動数変化から算出されることが好ましい。
また、本発明においては、多変数解析が、主成分解析であることが好ましい。
さらに、本発明においては、高分子膜が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカプロラクタン、共重合体から選ばれる2種以上であって、共重合体が、モノマー単位としてアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルアクリレートの内2種以上を含有する共重合体であることが好ましい。高分子膜は、異なる共重合体を組み合わせて2種以上としてもよい。モノマー単位としてアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルアクリレートの内2種以上を含有する共重合体としては、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位として含有する共重合体、スチレンとブタジエンをモノマー単位として含有する共重合体、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンをモノマー単位として含有する共重合体、ブタジエンとメチルアクリレートとアクリロニトリルをモノマー単位として含有する共重合体を用いることが好ましい。
本発明において、吸着特性は、周波数変化、Kファクター、吸着応答特性、脱離特性から選ばれる少なくとも1つ以上であることが好ましい。また、吸着特性は、周波数検出型質量センサーを用いて測定された振動数変化から算出されることが好ましい。
また、本発明においては、多変数解析が、主成分解析であることが好ましい。
さらに、本発明においては、高分子膜が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカプロラクタン、共重合体から選ばれる2種以上であって、共重合体が、モノマー単位としてアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルアクリレートの内2種以上を含有する共重合体であることが好ましい。高分子膜は、異なる共重合体を組み合わせて2種以上としてもよい。モノマー単位としてアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルアクリレートの内2種以上を含有する共重合体としては、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位として含有する共重合体、スチレンとブタジエンをモノマー単位として含有する共重合体、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンをモノマー単位として含有する共重合体、ブタジエンとメチルアクリレートとアクリロニトリルをモノマー単位として含有する共重合体を用いることが好ましい。
本発明においては、認識手段が、予め高分子膜に対する特定の有機化合物の吸着特性を計測し、予め計測された吸着特性と、ターゲット物質の吸着特性とを、多変数解析して、ターゲット物質を認識する認識手段であることが好ましい。
また、本発明においては、ターゲット物質を含む測定対象ガスをあらかじめ濃縮し、センサー素子に導入する濃縮手段を有することが好ましい。
さらに、本発明においては、計測手段によって、測定対象ガス中のターゲット物質の濃度を計測することもできる。
また、本発明においては、ターゲット物質を含む測定対象ガスをあらかじめ濃縮し、センサー素子に導入する濃縮手段を有することが好ましい。
さらに、本発明においては、計測手段によって、測定対象ガス中のターゲット物質の濃度を計測することもできる。
以上説明したように、本発明によれば、様々な種類のVOCを検出できるセンサーを得ることができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は本実施の形態を説明するための図であり、図2は本発明にかかるセンサー素子の模式図である。
図1に示すように、本発明のセンサーは、VOCなどのターゲット物質を含むガスを、濃縮(T101)した後、センサー素子で吸着(T102)し、吸着された物質の吸着特性を計測(T103)して、得られた計測結果を多変数解析(T104)し、多変数解析の結果からターゲット物質を認識(T105)する。
図2に示すように、センサー素子10には、基板11の上に高分子膜S1,S2,S3,S4が形成されており、計測部12を介して認識部13と接続されている。計測部12ではT103、認識部13ではT104およびT105の処理を行う。
T101〜T105について、順次説明する。
図1は本実施の形態を説明するための図であり、図2は本発明にかかるセンサー素子の模式図である。
図1に示すように、本発明のセンサーは、VOCなどのターゲット物質を含むガスを、濃縮(T101)した後、センサー素子で吸着(T102)し、吸着された物質の吸着特性を計測(T103)して、得られた計測結果を多変数解析(T104)し、多変数解析の結果からターゲット物質を認識(T105)する。
図2に示すように、センサー素子10には、基板11の上に高分子膜S1,S2,S3,S4が形成されており、計測部12を介して認識部13と接続されている。計測部12ではT103、認識部13ではT104およびT105の処理を行う。
T101〜T105について、順次説明する。
T101では、ターゲット物質を含む測定対象ガスを濃縮する。これは、測定対象ガス中に占めるターゲット物質の濃度が低い場合には感度を高めるために行うことが好ましいが、必ずしも行う必要はない。
濃縮は、ポンプ、圧縮機などによって行うことができる。
本発明においては、濃縮手段の有無にかかわらず、測定対象ガスに含まれるターゲット物質はすべて高分子膜による吸着の対象である。あらかじめ特定のVOCを選別せずにターゲット物質を認識可能なので、様々なVOCに対する選択性が広がる。
また、本発明において、ターゲット物質は、揮発性有機化合物(VOC)であることが多いが、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、NOxやSOxなどの環境汚染物質、揮発性物質、農薬、食品添加物、香料、悪臭を認識することもできる。
濃縮は、ポンプ、圧縮機などによって行うことができる。
本発明においては、濃縮手段の有無にかかわらず、測定対象ガスに含まれるターゲット物質はすべて高分子膜による吸着の対象である。あらかじめ特定のVOCを選別せずにターゲット物質を認識可能なので、様々なVOCに対する選択性が広がる。
また、本発明において、ターゲット物質は、揮発性有機化合物(VOC)であることが多いが、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、NOxやSOxなどの環境汚染物質、揮発性物質、農薬、食品添加物、香料、悪臭を認識することもできる。
T102では、センサー素子の高分子膜でターゲット物質を吸着する。
図2にセンサー素子10の模式図を示す。図2に示すように、センサー素子10は、基板11の上に4種類の高分子膜S1,S2,S3,S4が形成されており、センサー素子10上の高分子膜S1〜S4にターゲット物質が吸着した場合のセンサー素子10の物理的な変化を検出する検出手段(図示せず)に接続されている。高分子膜S1〜S4は、スピンコート、インクジェットなどにより、任意の膜厚に成膜すればよい。センサー素子10の基板11としては、シリコン系材料の表面に金(Au)薄膜を形成した基板を用いることが好ましい。
図2では、4種の高分子膜S1〜S4を有するセンサー素子10について説明したが、本発明では、センサー素子は、2種以上の高分子膜を有すればよい。特定のVOCを検出する場合、そのVOCに対して感度を有する高分子膜を2種類組み合わせることにより検出が十分可能である。高い感度を求められるセンサーや多くのVOC種に対する選択性を求められるセンサーに適用する場合には、高分子膜の種類を多くし、5種以上、さらには10種以上の高分子膜をセンサー素子に形成してもよい。
図2にセンサー素子10の模式図を示す。図2に示すように、センサー素子10は、基板11の上に4種類の高分子膜S1,S2,S3,S4が形成されており、センサー素子10上の高分子膜S1〜S4にターゲット物質が吸着した場合のセンサー素子10の物理的な変化を検出する検出手段(図示せず)に接続されている。高分子膜S1〜S4は、スピンコート、インクジェットなどにより、任意の膜厚に成膜すればよい。センサー素子10の基板11としては、シリコン系材料の表面に金(Au)薄膜を形成した基板を用いることが好ましい。
図2では、4種の高分子膜S1〜S4を有するセンサー素子10について説明したが、本発明では、センサー素子は、2種以上の高分子膜を有すればよい。特定のVOCを検出する場合、そのVOCに対して感度を有する高分子膜を2種類組み合わせることにより検出が十分可能である。高い感度を求められるセンサーや多くのVOC種に対する選択性を求められるセンサーに適用する場合には、高分子膜の種類を多くし、5種以上、さらには10種以上の高分子膜をセンサー素子に形成してもよい。
本発明者等は、検出対象のVOCに合わせて高分子膜を選定する上で、VOCの性質を表現する指標として溶解パラメータが有用であることを見出した。
溶解パラメータの定義については、後述するが、溶解パラメータは分極パラメータ(polar component δp)、溶媒パラメータ(dispersion component δd)、水素結合パラメータ(hydrogen bonding component δh)の3つの指標から成り立っている。これら3つの指標のいずれかによって、大まかにVOCを分類し、かつその指標単位で感度の高い高分子材料を使うことで、広い範囲で様々なVOCを認識することが可能となる。本発明においては、感度の高い指標が互いに異なる高分子膜を2種以上組み合わせることにより、VOC認識の精度が向上し、認識しうるVOCの種類も増加する。
溶解パラメータの3つの指標で高分子、VOCの性質を分類すると、溶媒パラメータδdに感度を持つ高分子は疎水性かつ非極性、分極パラメータδpに感度を持つ高分子は極性、水素結合パラメータδhに感度を持つ高分子は親水性を有する。アルコールなどの親水性のVOCは疎水性の高分子膜に対する感度が低いため、親水性のVOCを認識対象とする場合はδp、δhに感度を持つ高分子膜を用いることが好ましい。
溶解パラメータの定義については、後述するが、溶解パラメータは分極パラメータ(polar component δp)、溶媒パラメータ(dispersion component δd)、水素結合パラメータ(hydrogen bonding component δh)の3つの指標から成り立っている。これら3つの指標のいずれかによって、大まかにVOCを分類し、かつその指標単位で感度の高い高分子材料を使うことで、広い範囲で様々なVOCを認識することが可能となる。本発明においては、感度の高い指標が互いに異なる高分子膜を2種以上組み合わせることにより、VOC認識の精度が向上し、認識しうるVOCの種類も増加する。
溶解パラメータの3つの指標で高分子、VOCの性質を分類すると、溶媒パラメータδdに感度を持つ高分子は疎水性かつ非極性、分極パラメータδpに感度を持つ高分子は極性、水素結合パラメータδhに感度を持つ高分子は親水性を有する。アルコールなどの親水性のVOCは疎水性の高分子膜に対する感度が低いため、親水性のVOCを認識対象とする場合はδp、δhに感度を持つ高分子膜を用いることが好ましい。
高分子膜の材料の中で、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのブタジエン系の高分子は、溶媒パラメータδdに対する高い選択性と、高い感度(Kファクター)を持つ。ポリスチレンは分極パラメータδpに感度を持つ。これらの高分子は、いずれも疎水性のVOCに対して感度を有するが、ガスの拡散しやすさを表す応答性、ガスを選択的に吸着する選択性に対する性能は異なる。ポリスチレンは硬い高分子鎖を持つガラス状の高分子であるのでVOCガスが拡散しにくく(VOCガスとの反応時間が長い)が、拡散はVOC分子の大きさに依存し、拡散選択性が大きい。ポリブタジエンは柔らかい高分子鎖を持つためガスが拡散しやすい(応答時間が早い)が、拡散選択性が低い。
また、ポリアクリロニトリル、ブタジエンに官能基修飾したポリマー、ブタジエンとブタジエンに官能基修飾したモノマーとのブロックコポリマー(ブロック共重合体)は、分極パラメータδpに感度を持つ。ブタジエンに官能基修飾したモノマーとしては、官能基としてシアノ基を修飾したアクリロニトリル、エステル基を持つアクリル酸エステル、水酸基を持つヒドロキシメタクリレート、ベンゼン環を持つスチレン、エーテル基を持つビニルエーテル、アミノ基を持つビニルアミンが好ましい。
ポリビニルアルコールやポリカプロラクタン、官能基としてOH、NH2、SO3Hを有するポリマーは水素結合パラメータδhに感度を持ち、アルコール等の親水性のVOCに対し感度を有する。
また、ポリアクリロニトリル、ブタジエンに官能基修飾したポリマー、ブタジエンとブタジエンに官能基修飾したモノマーとのブロックコポリマー(ブロック共重合体)は、分極パラメータδpに感度を持つ。ブタジエンに官能基修飾したモノマーとしては、官能基としてシアノ基を修飾したアクリロニトリル、エステル基を持つアクリル酸エステル、水酸基を持つヒドロキシメタクリレート、ベンゼン環を持つスチレン、エーテル基を持つビニルエーテル、アミノ基を持つビニルアミンが好ましい。
ポリビニルアルコールやポリカプロラクタン、官能基としてOH、NH2、SO3Hを有するポリマーは水素結合パラメータδhに感度を持ち、アルコール等の親水性のVOCに対し感度を有する。
共重合体は、共重合体を構成するモノマーの選定や比率を変えることによって、所望の溶解パラメータを有する高分子材料を設計することが可能である。本発明では、モノマー単位としてアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルアクリレートの内2種以上を含有する共重合体を用いることが好ましく、中でもアクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位として含有する共重合体、スチレンとブタジエンをモノマー単位として含有する共重合体、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンをモノマー単位として含有する共重合体、ブタジエンとメチルアクリレートとアクリロニトリルをモノマー単位として含有する共重合体を用いることが好ましい。
例えば、一般式[化1]で表されるアクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位として含有する共重合体は、シアノ基の導入により分極パラメータδpが高くなるので、ポリブタジエンに比べ、耐油性、耐熱性、耐ガス性、応答性が向上し、安定性にも優れる。なお、[化1]において、aは0.01〜0.99、bは0.01〜0.99、a+b=1の範囲が好ましい。
例えば、一般式[化1]で表されるアクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位として含有する共重合体は、シアノ基の導入により分極パラメータδpが高くなるので、ポリブタジエンに比べ、耐油性、耐熱性、耐ガス性、応答性が向上し、安定性にも優れる。なお、[化1]において、aは0.01〜0.99、bは0.01〜0.99、a+b=1の範囲が好ましい。
一般式[化2]で表されるポリスチレンとポリブタジエンのブロック共重合体は、ゴム状な高分子であるブタジエンとガラス状の高分子であるスチレンとを組み合わせた共重合体である。なお、[化2]において、cは0.01〜0.99、dは0.01〜0.99、eは0.01〜0.99、c+d+e=1の範囲が好ましい。
一般式[化3]で表されるアクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合体は、シアノ基の導入により分極パラメータδpが高くなるので、ポリスチレン、ポリブタジエンに比べ安定性に優れる。なお、[化3]において、fは0.01〜0.99、gは0.01〜0.99、hは0.01〜0.99、f+g+h=1の範囲が好ましい。
このように異なる性能の高分子を組み合わせて所望の性能を有する共重合体を作製することによりVOCの選択性の幅が広がる。
共重合体は、ブロック共重合体以外にも、不規則共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体を用いることもできる。例えば、一般式[化4]で表されるポリブタジエンにメチルアクリレートとアクリロニトリルの共重合体をグラフト重合した高分子膜は、メチルアクリレートとアクリロニトリルの作用により、親水性のVOCに対し感度を有する。なお、[化4]において、iは0.01〜0.99、jは0.01〜0.99、kは0.01〜0.99、i+j+k=1の範囲が好ましい。
共重合体は、ブロック共重合体以外にも、不規則共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体を用いることもできる。例えば、一般式[化4]で表されるポリブタジエンにメチルアクリレートとアクリロニトリルの共重合体をグラフト重合した高分子膜は、メチルアクリレートとアクリロニトリルの作用により、親水性のVOCに対し感度を有する。なお、[化4]において、iは0.01〜0.99、jは0.01〜0.99、kは0.01〜0.99、i+j+k=1の範囲が好ましい。
本発明のセンサーは、VOCに合わせて高分子膜を選定すればよいから、高分子膜の組み合わせによって、広い範囲で様々なVOCを認識することが可能となる。
T103では、センサー素子で吸着した物質の吸着特性を計測する。
本発明では、吸着特性は、高分子膜とVOC種との吸脱着の特徴を表すものであればよく、周波数変化、Kファクター、吸着応答特性、脱離特性から選ばれる少なくとも1つ以上が好ましい。特に、VOCの濃度、高分子膜の厚さに因らないKファクターと、時間に関する吸着応答特性を組み合わせることによって、精度のよい認識が可能となる。
Kファクター、吸着応答特性の定義については後述するが、センサー素子にターゲット物質が吸着した場合のセンサー素子の物理的な変化を検出手段により検出し、検出手段により得られた検出値を、Kファクター、吸着応答時間の定義に基づいて算出処理すれば、容易にKファクター、吸着応答特性を求めることができる。
検出手段としては、電気的検出、光学的検出、化学的検出、電気化学的検出等の方法が適用できるが、本発明のセンサーに適用する検出手段としては、水晶振動子等の周波数検出型質量センサーを用いることが好ましい。水晶振動子等の周波数検出型質量センサーは、ターゲット物質の吸脱着による質量変化を振動数の変化として検出する。ここでは、最も一般的な水晶振動子の振動数変化として検出する水晶振動子微量天秤(以下、QCMと記す)を例として示す。QCMは、微量成分の検出に高い感度を有する。
本発明では、吸着特性は、高分子膜とVOC種との吸脱着の特徴を表すものであればよく、周波数変化、Kファクター、吸着応答特性、脱離特性から選ばれる少なくとも1つ以上が好ましい。特に、VOCの濃度、高分子膜の厚さに因らないKファクターと、時間に関する吸着応答特性を組み合わせることによって、精度のよい認識が可能となる。
Kファクター、吸着応答特性の定義については後述するが、センサー素子にターゲット物質が吸着した場合のセンサー素子の物理的な変化を検出手段により検出し、検出手段により得られた検出値を、Kファクター、吸着応答時間の定義に基づいて算出処理すれば、容易にKファクター、吸着応答特性を求めることができる。
検出手段としては、電気的検出、光学的検出、化学的検出、電気化学的検出等の方法が適用できるが、本発明のセンサーに適用する検出手段としては、水晶振動子等の周波数検出型質量センサーを用いることが好ましい。水晶振動子等の周波数検出型質量センサーは、ターゲット物質の吸脱着による質量変化を振動数の変化として検出する。ここでは、最も一般的な水晶振動子の振動数変化として検出する水晶振動子微量天秤(以下、QCMと記す)を例として示す。QCMは、微量成分の検出に高い感度を有する。
QCMでは、水晶発振子の表面に物質が吸着すると、以下のSauerbreyの式(数式(1))に従い、吸着した物質の質量に比例して、水晶発振子の基本振動数が変化する。ここで、ΔFは、基本振動数の変化、Δmは重量変化、aは定数である。
Kファクターは、測定対象ガスの質量に占める高分子膜に吸着した物質の質量の割合で表される。Kファクターは、高分子膜とVOCとの組み合わせによって差異があり、同じVOCを複数の高分子膜に吸着させた場合、それぞれの高分子膜に対して、Kファクターは特徴的なパターンを示す。また、VOC種ごとに、高分子膜に対するKファクターのパターンは特徴が異なる。吸着能は周波数変化で観察されるが、周波数の変化は、高分子膜とVOCの組み合わせの他に、VOCの空気中の濃度と、高分子膜の膜厚によっても変わってくる(一般には比例する)ので、本発明では、多変数解析のパラメータとして、VOCの空気中の濃度と、高分子膜の膜厚に依存せず、高分子膜とVOCとの組み合わせによって変化するKファクターを用い、Kファクターの特徴的なパターンを解析し、VOC種を認識することを中心に考える。ここで、吸着特性を計測する際、VOCの空気中の濃度と、高分子膜の膜厚を一定(或いは異なった高分子膜毎に一定の膜厚)にして測定すれば、Kファクターの代わりに周波数変化を吸着特性として使ってもよい。
本発明者らは、同じVOCを複数の高分子膜に吸着させた場合、VOCがそれぞれの高分子膜に対して特徴的なKファクターのパターンを示すのは、溶解パラメータに依存するためと推測している。高分子膜とVOCの溶解パラメータの値が近い組み合わせではKファクターの値が大きくなり、高分子膜とVOCの溶解パラメータの値が大きく異なる組み合わせではKファクターの値が小さくなる傾向にある。
本発明者らは、同じVOCを複数の高分子膜に吸着させた場合、VOCがそれぞれの高分子膜に対して特徴的なKファクターのパターンを示すのは、溶解パラメータに依存するためと推測している。高分子膜とVOCの溶解パラメータの値が近い組み合わせではKファクターの値が大きくなり、高分子膜とVOCの溶解パラメータの値が大きく異なる組み合わせではKファクターの値が小さくなる傾向にある。
吸着応答特性は、吸着開始から一定量が吸着するまでの時間であり、吸着速度が速い場合にはこの時間は短く、吸着速度が遅い場合にはこの時間は長い。同じVOCを複数の高分子膜に吸着させた場合、それぞれの高分子膜に対して求められた吸着応答特性のパターンも多変数解析のパラメータとして用いることができる。
高分子膜がVOCを吸着した後、高分子膜からVOCが脱離する場合も、吸着していたVOCと高分子膜の組み合わせによって、吸着後の脱離パターンが大きく変わる。
図3(a)、(b)、(c)は、脱離パターンの一例を示す図であって、高分子膜からVOCが脱離して吸着前の振動数に戻るまでの時間tに対する振動数Cの変化を模式的に示した。図3(a)、(b)、(c)において、VOCは、VOCの導入により高分子膜へのVOCの吸着開始を表し、Airは空気の導入により高分子膜からVOCが脱離を始める開始点である。
図3(a)、(b)より、空気を導入した後、脱離が終了するまでの時間が異なることがわかる。また図3(c)に示すように、吸着前の振動数より、一時的に振動数が高く変化する脱離パターンもある。これはVOCが高分子膜の一部を溶解して脱離する可能性を示している。
脱離パターンの差異を脱離速度や脱離時間などの脱離特性として捉えることにより、多変数解析のパラメータとして用いることができる。
図3(a)、(b)、(c)は、脱離パターンの一例を示す図であって、高分子膜からVOCが脱離して吸着前の振動数に戻るまでの時間tに対する振動数Cの変化を模式的に示した。図3(a)、(b)、(c)において、VOCは、VOCの導入により高分子膜へのVOCの吸着開始を表し、Airは空気の導入により高分子膜からVOCが脱離を始める開始点である。
図3(a)、(b)より、空気を導入した後、脱離が終了するまでの時間が異なることがわかる。また図3(c)に示すように、吸着前の振動数より、一時的に振動数が高く変化する脱離パターンもある。これはVOCが高分子膜の一部を溶解して脱離する可能性を示している。
脱離パターンの差異を脱離速度や脱離時間などの脱離特性として捉えることにより、多変数解析のパラメータとして用いることができる。
T104では、吸着特性を多変数解析することによってターゲット物質を認識(T105)できる。
ここでは、多変数解析の中でも高い信頼性で安定して使用可能な主成分解析を用いて説明する。
主成分解析とは、ある特性のVOC、例えばアセトンを、図2に示すような複数の高分子膜S1,S2,S3,S4で検出し、吸着特性を計測した場合、その計測結果に係数をかけて加えた線形ベクトルを考え、その分散が最大になる線形ベクトルの係数を求めることによって、主成分の軸を決定するものである。ここで、分散が最大になるとは、線形ベクトルの平均を求めて、各ベクトルと平均との差の二乗和が最大になるような係数を探すことである。これによって、主軸(第一主成分軸)を求め、それに直交する第二主成分軸、更に直交する第三主成分軸を使って、VOCを主成分分析結果のグラフ上でどのような位置に表現されるかを求めることによって、VOCの認識が可能となる。
ここでは、多変数解析の中でも高い信頼性で安定して使用可能な主成分解析を用いて説明する。
主成分解析とは、ある特性のVOC、例えばアセトンを、図2に示すような複数の高分子膜S1,S2,S3,S4で検出し、吸着特性を計測した場合、その計測結果に係数をかけて加えた線形ベクトルを考え、その分散が最大になる線形ベクトルの係数を求めることによって、主成分の軸を決定するものである。ここで、分散が最大になるとは、線形ベクトルの平均を求めて、各ベクトルと平均との差の二乗和が最大になるような係数を探すことである。これによって、主軸(第一主成分軸)を求め、それに直交する第二主成分軸、更に直交する第三主成分軸を使って、VOCを主成分分析結果のグラフ上でどのような位置に表現されるかを求めることによって、VOCの認識が可能となる。
本発明では、予め高分子膜に対する特定の有機化合物の吸着特性を計測し、予め計測された吸着特性と、ターゲット物質の吸着特性とを、主成分解析して、ターゲット物質が主成分分析結果のグラフ上でどのような位置に表現されるかを求めることによって、VOCの認識が可能となる。
ターゲット物質の吸着特性を計測することにより、VOCの種類またはVOCの濃度のいずれか一方が決まっていれば、吸着特性のパターンから、ある程度ターゲット物質を絞り込むことが可能な場合もある。しかし、VOCの種類と、VOCの濃度の両方を推定する場合、吸着特性のパターンだけから、未知のVOCを認識するのは困難である。例えば、2種類のVOCの吸着特性のパターンが類似している場合、それらを分別することはできないからである。このような場合、特定の有機化合物の吸着特性を予め計測して求められた吸着特性、すなわち既知の吸着特性と、ターゲット物質の吸着特性とを主成分解析することにより、吸着特性のパターンを様々な角度から検証し、精度よくターゲット物質を認識することが可能となる。
主成分解析は、インターネット上のフリーソフト「PPCA1(岡本安晴、“心を測る”、主成分分析、[online]、[平成19年8月31日検索]、インターネット<URL:http://www.ikuta.jwu.ac.jp/~yokamoto/openwww/pca/>)」や統計ソフト「三毛猫」などを用いることができる。
「三毛猫」は、小椋將弘「Excelで簡単多変量解析」(講談社、2006年8月発行)の付録統計ソフトである。
ターゲット物質の吸着特性を計測することにより、VOCの種類またはVOCの濃度のいずれか一方が決まっていれば、吸着特性のパターンから、ある程度ターゲット物質を絞り込むことが可能な場合もある。しかし、VOCの種類と、VOCの濃度の両方を推定する場合、吸着特性のパターンだけから、未知のVOCを認識するのは困難である。例えば、2種類のVOCの吸着特性のパターンが類似している場合、それらを分別することはできないからである。このような場合、特定の有機化合物の吸着特性を予め計測して求められた吸着特性、すなわち既知の吸着特性と、ターゲット物質の吸着特性とを主成分解析することにより、吸着特性のパターンを様々な角度から検証し、精度よくターゲット物質を認識することが可能となる。
主成分解析は、インターネット上のフリーソフト「PPCA1(岡本安晴、“心を測る”、主成分分析、[online]、[平成19年8月31日検索]、インターネット<URL:http://www.ikuta.jwu.ac.jp/~yokamoto/openwww/pca/>)」や統計ソフト「三毛猫」などを用いることができる。
「三毛猫」は、小椋將弘「Excelで簡単多変量解析」(講談社、2006年8月発行)の付録統計ソフトである。
また、本発明では、QCM等により高分子膜に吸着したターゲット全体の質量を測定するので、測定対象ガス中に含まれるターゲット物質全体の濃度をキシレン換算、トルエン換算などの換算値として測定することができる。
次に、Kファクターおよび吸着応答特性の定義と溶解パラメータについて説明する。
<Kファクター>
Kファクターは空気中のガスや分子が、高分子等の吸着材料にどの程度溶け込むかを示す指数であって、数式(2)に示すように、吸着した高分子の中の当該分子の重量濃度(単位体積当たりの重量)と、空気中の当該分子の重量濃度(単位体積当たりの重量)との比で表現される。なお、数式(2)において、Cfは膜中のガスのモル濃度(mol/cm3)、Cvはチャンバー中のモル濃度(mol/cm3)、Mcfは膜中のガスの重量濃度(g/cm3)、Mcvは膜中のチャンバーの重量濃度(g/cm3)を表す。
<Kファクター>
Kファクターは空気中のガスや分子が、高分子等の吸着材料にどの程度溶け込むかを示す指数であって、数式(2)に示すように、吸着した高分子の中の当該分子の重量濃度(単位体積当たりの重量)と、空気中の当該分子の重量濃度(単位体積当たりの重量)との比で表現される。なお、数式(2)において、Cfは膜中のガスのモル濃度(mol/cm3)、Cvはチャンバー中のモル濃度(mol/cm3)、Mcfは膜中のガスの重量濃度(g/cm3)、Mcvは膜中のチャンバーの重量濃度(g/cm3)を表す。
ここで、fgをガス吸着時の周波数、ffは高分子膜成膜時の周波数、f0は成膜前の水晶の周波数、M0は水晶の重量、Mftは高分子薄膜の重量、Aは水晶の金表面の面積、tfは高分子膜の膜厚、ρfは高分子膜の密度とすると、周波数と各部分の重量の間には以下の数式(3)の関係が成り立つ。ここで、f0とffの比、M0とMftの比は1に近いので、以下の数式(4)が成り立つ。そして、Kファクターとの関係として数式(5)が導出される。
ここで、吸着特性はガス濃度が十分小さい時は、吸着量は濃度に比例し、また一般的に膜の厚さと吸着量は比例することから、このKファクターは、濃度および、高分子膜の厚さに因らない量となる。
数式(5)を変形すると、数式(6)が得られる。
数式(6)から、ガス吸着による周波数変化は、Kファクターとガス濃度から求めることが可能となる。
尚、このKファクターはナノファイバーやポーラス材料の場合は表面積に比例し、比較的密度が大きな硬い高分子の場合は内部の吸着トラップサイトの数、またゴム系のような分子間の相互作用が弱い材料では、内部へのガス包含量によって決まると推測される。
尚、このKファクターはナノファイバーやポーラス材料の場合は表面積に比例し、比較的密度が大きな硬い高分子の場合は内部の吸着トラップサイトの数、またゴム系のような分子間の相互作用が弱い材料では、内部へのガス包含量によって決まると推測される。
<吸着応答特性>
高分子がガスを吸着する場合は、ナノファイバーやポーラス材料の場合は表面への吸着なので極めて高速に、また比較的密度が大きな硬い高分子の場合は、トラップサイトへのガス拡散によって決定されると考えられる。このため、吸着ガスと高分子の特性やその組み合わせによって、吸着の応答特性が大きく変わると考えられる。
ガス吸着が、単一のエネルギーを持ったバリアを持つ障壁を熱エネルギーで越えるような場合、或いは一次反応で捉えられるような反応性吸着の場合は、単一の時定数を持つこのような数式(7)で表現されるとした。ここでC(t)は測定量の時間依存性、Csは飽和測定量、C0は時間0での値、τは時定数である。数式(7)を変形すると、以下のような数式(8)が得られる。
高分子がガスを吸着する場合は、ナノファイバーやポーラス材料の場合は表面への吸着なので極めて高速に、また比較的密度が大きな硬い高分子の場合は、トラップサイトへのガス拡散によって決定されると考えられる。このため、吸着ガスと高分子の特性やその組み合わせによって、吸着の応答特性が大きく変わると考えられる。
ガス吸着が、単一のエネルギーを持ったバリアを持つ障壁を熱エネルギーで越えるような場合、或いは一次反応で捉えられるような反応性吸着の場合は、単一の時定数を持つこのような数式(7)で表現されるとした。ここでC(t)は測定量の時間依存性、Csは飽和測定量、C0は時間0での値、τは時定数である。数式(7)を変形すると、以下のような数式(8)が得られる。
更に、境界条件として、
t=∞⇒C(t)=Cs
t=0⇒C(t)=C0
t=τ⇒C(t)−Cs=0.367(C0−Cs)
とするなら、C(t)が飽和値の36.7%に達した場合に、時定数τを定義する。すなわち、測定量としては質量検出振動型のセンサーの場合は、周波数であるので、ガス吸着前の周波数をC0、開始からの時間をt、飽和値に達した時点の周波数をCsとし、CsとC0の差の63.7%の時間をτとした。
t=∞⇒C(t)=Cs
t=0⇒C(t)=C0
t=τ⇒C(t)−Cs=0.367(C0−Cs)
とするなら、C(t)が飽和値の36.7%に達した場合に、時定数τを定義する。すなわち、測定量としては質量検出振動型のセンサーの場合は、周波数であるので、ガス吸着前の周波数をC0、開始からの時間をt、飽和値に達した時点の周波数をCsとし、CsとC0の差の63.7%の時間をτとした。
<溶解パラメータ>
VOCの性質を表現する指標として、溶解パラメータが挙げられる。この溶解パラメータは、分極パラメータ(polar component δp)、溶媒パラメータ(dispersion component δd)、水素結合パラメータ(hydrogen bonding component δh)の3つの指標から成り立っている。
本発明では、効果の似ている分極パラメータδpと溶媒パラメータδdを数式(9)によってδvにまとめる。
VOCの性質を表現する指標として、溶解パラメータが挙げられる。この溶解パラメータは、分極パラメータ(polar component δp)、溶媒パラメータ(dispersion component δd)、水素結合パラメータ(hydrogen bonding component δh)の3つの指標から成り立っている。
本発明では、効果の似ている分極パラメータδpと溶媒パラメータδdを数式(9)によってδvにまとめる。
δvとδhとの関係から、大まかにVOCを分類し、かつこの指標単位で感度の高い高分子材料を使うことで、広い範囲で様々なVOCを認識することが可能となる。
表1に、12種類のVOCの溶解パラメータを示す。12種類のVOCはヘキサン、ヘプタン、オクタン、o−キシレン、p−キシレン、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−ブタノール、エタノールである。表2に、4種類のポリマーの溶解パラメータを示す。4種類のポリマーは、ポリスチレン(表中、PSと記す)、ポリイソプレン(表中、PIPと記す)、ポリブタジエン(表中、PBDと記す)、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体(表中、PABと記す。以下、PABと記す場合もある。)である。表1において、δoは、トータルの溶解パラメータであり、δdは溶媒パラメータ、δpは分極パラメータ、δhは水素結合パラメータ、δvは数式(9)によりδpとδhをまとめた値である。
なお、表2に記載のPABは、アクリロニトリルを30%含有する共重合体である。
表1、2から、δvとδhの関係を表すグラフにしたものを図4に示す。図4において、ヘキサンはhx、ヘプタンはhp、オクタンはoc、o−キシレンはox、p−キシレンはpx、トルエンはto、ベンゼンはbe、クロロホルムはch、ジクロロメタンはdi、1,2−ジクロロエタンは12、1−ブタノールは1b、エタノールはet、ポリスチレンはPS、ポリイソプレンはPIP、ポリブタジエンはPBD、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体はPABを表す。
図4を見ると、ポリブタジエン(PBD)とo−キシレン(ox)、p−キシレン(px)、トルエン(to)、ベンゼン(be)の分布が近く、PABとクロロホルム(ch)、ジクロロメタン(di)、1,2−ジクロロエタン(12)との分布が近いことがわかる。
表1に、12種類のVOCの溶解パラメータを示す。12種類のVOCはヘキサン、ヘプタン、オクタン、o−キシレン、p−キシレン、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−ブタノール、エタノールである。表2に、4種類のポリマーの溶解パラメータを示す。4種類のポリマーは、ポリスチレン(表中、PSと記す)、ポリイソプレン(表中、PIPと記す)、ポリブタジエン(表中、PBDと記す)、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体(表中、PABと記す。以下、PABと記す場合もある。)である。表1において、δoは、トータルの溶解パラメータであり、δdは溶媒パラメータ、δpは分極パラメータ、δhは水素結合パラメータ、δvは数式(9)によりδpとδhをまとめた値である。
なお、表2に記載のPABは、アクリロニトリルを30%含有する共重合体である。
表1、2から、δvとδhの関係を表すグラフにしたものを図4に示す。図4において、ヘキサンはhx、ヘプタンはhp、オクタンはoc、o−キシレンはox、p−キシレンはpx、トルエンはto、ベンゼンはbe、クロロホルムはch、ジクロロメタンはdi、1,2−ジクロロエタンは12、1−ブタノールは1b、エタノールはet、ポリスチレンはPS、ポリイソプレンはPIP、ポリブタジエンはPBD、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体はPABを表す。
図4を見ると、ポリブタジエン(PBD)とo−キシレン(ox)、p−キシレン(px)、トルエン(to)、ベンゼン(be)の分布が近く、PABとクロロホルム(ch)、ジクロロメタン(di)、1,2−ジクロロエタン(12)との分布が近いことがわかる。
図5、図6に、ポリスチレン(PS)、ポリブタジエン(PBD)と各VOCとの、δvとδhとKファクターの関係を示す。Kファクターは、後述の実施例1で説明する表3の値である。図5、6を見ると、ほとんどのVOCでは、ポリスチレン、ポリブタジエンの溶媒パラメータの近くに位置するほどKファクターが高く、ポリスチレン、ポリブタジエンから離れるとKファクターが小さくなることが確認できる。本発明者らは、高分子材料とVOCの溶媒パラメータδhとδvの分布が近いほど、高分子材料に対してVOCが吸着しやすく、Kファクターが高いと考えている。
図2に示すセンサー素子10に、ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン(PIP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体(PAB)の4種類の高分子膜を形成し、10種類のVOCに対するKファクターを求めた。結果を表3、図7に示す。なお、10種類のVOCは、オクタン(oc)、o−キシレン(ox)、p−キシレン(px)、トルエン(to)、ベンゼン(be)、クロロホルム(ch)、ジクロロメタン(di)、1,2−ジクロロエタン(12)、1−ブタノール(1b)、エタノール(et)である。
また、4種類の高分子膜に対する9種類のVOCの吸着応答特性τを求めた。結果を表4、図8に示す。9種類のVOCは、エタノールを除き、KファクターのVOCと同一である。
なお、Kファクター、吸着応答特性τ(秒)の計測は、QCMを用いて得られる振動数変化から算出した。
また、4種類の高分子膜に対する9種類のVOCの吸着応答特性τを求めた。結果を表4、図8に示す。9種類のVOCは、エタノールを除き、KファクターのVOCと同一である。
なお、Kファクター、吸着応答特性τ(秒)の計測は、QCMを用いて得られる振動数変化から算出した。
単一の高分子材料を用いたセンサーのKファクター、吸着応答特性だけから、未知のVOCの認識は極めて困難である。なぜなら、未知のVOCを検出する場合は、そのVOCの種類と、ガスの濃度の両方を推定しなくてはならないために、検出した振動数変化だけでは推定が困難である。すなわち、VOCの種類が決まっていれば、数式(8)から逆算して濃度を求めることは可能、かつ濃度が決まっていれば、周波数変化、或いは算出したKファクターからある程度、VOCの種類を推定することも可能になる。しかし、例えば、ポリブタジエン(PBD)の高分子膜は、表3からエタノールのKファクターは269、ジクロロメタンのKファクターは285であって、この推定は困難である。
この場合は、主成分解析によって認識が可能になる。ここではインターネット上のフリーソフト「PPCA1」を用いた。4つの高分子膜におけるKファクターで主成分解析を行った例で、第1主成分と第2主成分の相関を、図9に示す。この場合は、1,2−ジクロロエタン(12)、エタノール(et)、ジクロロメタン(di)が第1象現、クロロホルム(ch)、ベンゼン(be)、1−ブタノール(1b)、トルエン(to)、p−キシレン(px)、o−キシレン(ox)が第2象現、オクタン(oc)が第3象現に位置し、かつそれぞれがある程度離れているために、この図からVOCの認識が行うことができる。
特に、同じアルコールのエタノール(et)と1−ブタノール(1b)は全く離れた場所に表示される。これはポリスチレンとPABで全く逆の大きさの傾向が出ているためと思われる。またオクタン(oc)が独立しているのも、ポリブタジエンとポリイソプレンとPABのセンサ出力の関連が、他のVOCと違っていることにある。また表1の溶解パラメータに対する各VOCの分布であるが、ベンゼン環を有するベンゼン(be)、トルエン(to)、p−キシレン(px)、o−キシレン(ox)が第2象現に、但しベンゼン(be)は第1象現に近い、またδpがとδhが共に5前後の1,2−ジクロロエタン(12)、ジクロロメタン(di)、クロロホルム(ch)では、第1主成分が小さく、1,2−ジクロロエタン(12)、ジクロロメタン(di)は第1象現、クロロホルム(ch)は第1象現と第2象現の境に位置する。
ここで、主成分解析の結果であるが、第1主成分の寄与率が63%、第2主成分の寄与率が30%、第3主成分の寄与率が7%であった。すなわち、分散の大部分は第1主成分で決まることを意味している。
さて、第3主成分の寄与を見るために、図10に第2主成分と第3主成分の相関を、図11に第1主成分と第3主成分の相関を示す。ここで有用なのは、クロロホルム(ch)、ベンゼン(be)、オクタン(oc)が明確に分離できることである。
特に、同じアルコールのエタノール(et)と1−ブタノール(1b)は全く離れた場所に表示される。これはポリスチレンとPABで全く逆の大きさの傾向が出ているためと思われる。またオクタン(oc)が独立しているのも、ポリブタジエンとポリイソプレンとPABのセンサ出力の関連が、他のVOCと違っていることにある。また表1の溶解パラメータに対する各VOCの分布であるが、ベンゼン環を有するベンゼン(be)、トルエン(to)、p−キシレン(px)、o−キシレン(ox)が第2象現に、但しベンゼン(be)は第1象現に近い、またδpがとδhが共に5前後の1,2−ジクロロエタン(12)、ジクロロメタン(di)、クロロホルム(ch)では、第1主成分が小さく、1,2−ジクロロエタン(12)、ジクロロメタン(di)は第1象現、クロロホルム(ch)は第1象現と第2象現の境に位置する。
ここで、主成分解析の結果であるが、第1主成分の寄与率が63%、第2主成分の寄与率が30%、第3主成分の寄与率が7%であった。すなわち、分散の大部分は第1主成分で決まることを意味している。
さて、第3主成分の寄与を見るために、図10に第2主成分と第3主成分の相関を、図11に第1主成分と第3主成分の相関を示す。ここで有用なのは、クロロホルム(ch)、ベンゼン(be)、オクタン(oc)が明確に分離できることである。
続いて、吸着応答特性τを用いた主成分解析の結果を図12に示す。ここでτを用いた主成分解析では、第1主成分の右側の固まってしまって明確に分類できないことがわかった。図8は、4種類の高分子膜毎に、吸着応答特性τに関する各VOCの値をプロットしたものである。図8から、4つの高分子膜に対して同じ傾向を持っていることが判った。すなわち、この4つで一次結合のベクトルを作って、係数を調整しても全て同じ傾向(同じ向き)を向いているので、大きな差が出なかったことを意味する。逆に言うと、吸着応答特性τのような時定数とVOCには明確な相関があって、どの高分子膜でも、オクタン(oc)、ベンゼン(be)、トルエン(to)、p−キシレン(px)、o−キシレン(oc)、1−ブタノール(1b)は、長い時定数を持っている。
図13には、吸着応答特性τの第2主成分と第3主成分の結果を示す。図13では、Kファクターでは見分けができない第1象現のジクロロメタン(di)、第2象現のベンゼン(be)、トルエン(to)が明確に第3主成分で分離されている。これは、Kファクターと、時定数の組み合わせで、更に認識の精度が上がる可能性を示す。
ここで、主成分解析の結果であるが、第1主成分の寄与率が94%、第2主成分の寄与率が5%、第3主成分の寄与率が1%であった。すなわち、分散の大部分は第1主成分で決まることを意味している。
ここで、主成分解析の結果であるが、第1主成分の寄与率が94%、第2主成分の寄与率が5%、第3主成分の寄与率が1%であった。すなわち、分散の大部分は第1主成分で決まることを意味している。
最後に、Kファクターと吸着応答特性τを混合して、主成分解析した結果を示す。図14に第1主成分と第2主成分の相関を、図15に第2主成分と第3主成分の相関を示す。これから、第2主成分の分散を見ることで、トルエン(to)、ジクロロメタン(di)、1,2−ジクロロエタン(12)を容易に分別可能である。
ここで、主成分解析の結果であるが、第1主成分の寄与率が79%、第2主成分の寄与率が16%、第3主成分の寄与率が5%であった。すなわち、分散の大部分は第1主成分で決まることを意味している。
ここで、主成分解析の結果であるが、第1主成分の寄与率が79%、第2主成分の寄与率が16%、第3主成分の寄与率が5%であった。すなわち、分散の大部分は第1主成分で決まることを意味している。
以上のようにして、この4つの高分子膜を並列に水晶振動子型センサーに成膜し、その振動数変化、或いは濃度で換算したKファクターを計測することで、主成分解析法を用いて、VOCの成分と濃度をある程度の精度で、認識することが可能であることがわかった。その理由は、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、アクリルニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体の各VOCに対するKファクターのパターンが違っていることにある。またこれに吸着応答特性などの時定数のデータを加味することで、更に精度良い認識が可能となる。
また、本発明のセンサーは、吸着特性をパラメータとして多変数解析を行うので、複数のVOCが混合している場合であっても、それぞれのVOCを認識することが可能である。さらには、予め吸着特性が入力されていないVOCについても、そのVOCの吸着特性を多変数解析することにより、VOC種をある程度推測することができる。また、この発明では水晶振動子(QCM)を用いて説明したが、MEMS技術を用いた小型振動子を用いた周波数検出型質量センサーを用いてもよい。この場合は、QCMに比較して、集積化や回路との集積が容易である。
また、空気中の濃度や高分子の膜厚に依存しないKファクターを用いて、分子認識を行う手段を提案したが、高分子の膜厚を一定にしたり、予め使う高分子の膜厚を決めてしまう場合は、周波数変化をそのまま用いて解析しても良い。
また、本発明のセンサーは、吸着特性をパラメータとして多変数解析を行うので、複数のVOCが混合している場合であっても、それぞれのVOCを認識することが可能である。さらには、予め吸着特性が入力されていないVOCについても、そのVOCの吸着特性を多変数解析することにより、VOC種をある程度推測することができる。また、この発明では水晶振動子(QCM)を用いて説明したが、MEMS技術を用いた小型振動子を用いた周波数検出型質量センサーを用いてもよい。この場合は、QCMに比較して、集積化や回路との集積が容易である。
また、空気中の濃度や高分子の膜厚に依存しないKファクターを用いて、分子認識を行う手段を提案したが、高分子の膜厚を一定にしたり、予め使う高分子の膜厚を決めてしまう場合は、周波数変化をそのまま用いて解析しても良い。
実施例2では、親水性のVOC(アルコールなど)をも含むVOCの認識について検討を行った結果を示す。
センサー素子に、スチレンとブタジエンをモノマー単位とするブロック共重合体(PSBS、スチレン含有量30wt%)、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンをモノマー単位とする共重合体(PABS、アクリロニトリル含有量25wt%)、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体(PAB、アクリロニトリル含有量37〜39wt%)、ポリブタジエン(PBD)、ポリスチレン(PS)の5種類の高分子膜を形成し、19種類のVOCに対するKファクターを求めた。結果を表5、図16に示す。なお、Kファクターの計測は、QCMを用いて得られる振動数変化から算出した。
センサー素子に、スチレンとブタジエンをモノマー単位とするブロック共重合体(PSBS、スチレン含有量30wt%)、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンをモノマー単位とする共重合体(PABS、アクリロニトリル含有量25wt%)、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体(PAB、アクリロニトリル含有量37〜39wt%)、ポリブタジエン(PBD)、ポリスチレン(PS)の5種類の高分子膜を形成し、19種類のVOCに対するKファクターを求めた。結果を表5、図16に示す。なお、Kファクターの計測は、QCMを用いて得られる振動数変化から算出した。
19種類のVOCは、エタノール(et)、1−プロパノール(1p)、イソプロパノール(is)、1−ブタノール(1b)、1,2−ジクロロエタン(12)、ジクロロメタン(di)、クロロベンゼン(cb)、クロロホルム(ch)、1,1,1−トリクロロエタン(tC)、ベンゼン(be)、トルエン(to)、o−キシレン(ox)、m−キシレン(mx)、p−キシレン(px)、シクロヘキサン(Cy)、オクタン(oc)、ヘプタン(Hp)、ヘキサン(Hx)アセトン(ac)である。これら19種類のVOCの溶解パラメータを表6に示す。表6において、水素結合パラメータδhの値が大きいエタノール(et)、1−プロパノール(1p)、イソプロパノール(is)、1−ブタノール(1b)は親水性である。溶媒パラメータδdの値が大きい1,2−ジクロロエタン(12)、ジクロロメタン(di)、クロロベンゼン(cb)、クロロホルム(ch)、1,1,1−トリクロロエタン(tC)、ベンゼン(be)、トルエン(to)、o−キシレン(ox)、m−キシレン(mx)、p−キシレン(px)は疎水性である。
統計ソフト「三毛猫」を用いて、5つの高分子膜におけるKファクターで主成分解析を行った結果を表7に示した。主成分解析の結果は、表7に示すとおり、第1主成分の寄与率が66%、第2主成分の寄与率が31%で、第1主成分と第2主成分との累積寄与率が97%を占めた。
第1主成分と第2主成分の相関を図17に示す。図17では、アセトン(ac)、1−プロパノール(1p)、クロロホルム(ch)、ベンゼン(be)が第1象現、ジクロロメタン(di)、1,2−ジクロロエタン(12)、クロロベンゼン(cb)、1−ブタノール(1b)が第2象現、トルエン(to)、p−キシレン(px)、m−キシレン(mx)、o−キシレン(ox)が第3象現、エタノール(et)、イソプロパノール(is)、1,1,1−トリクロロエタン(tC)、シクロヘキサン(Cy)、オクタン(oc)、ヘプタン(Hp)、ヘキサン(Hx)が第4象限に位置する。第4象限の1,1,1−トリクロロエタン(tC)、シクロヘキサン(Cy)、ヘプタン(Hp)、ヘキサン(Hx)を除いてはそれぞれがある程度離れているために、この図からVOCの認識が行うことができる。図17に示す主成分解析の結果は、第1主成分がすべてのポリマーのガスに対する総合的な感度の高さを示し、第2主成分はPABS、PSに対する感度が良いガスは+、PAB,PSBS、PBDの感度が良いガスは−に分散していると考えられる。
図17において、溶解パラメータに着目して各VOCの分布を見ると、溶解パラメータの指標が似ているVOCが4つにグループに分かれていることが確認できる。エタノール(et)、1−プロパノール(1p)、イソプロパノール(is)、1−ブタノール(1b)の親水性を有するグループと、疎水性を有する1,2−ジクロロエタン(12)、ジクロロメタン(di)、クロロベンゼン(cb)のグループと、ベンゼン(be)、トルエン(to)、o−キシレン(ox)、m−キシレン(mx)、p−キシレン(px)のグループと、ヘプタン(Hp)、ヘキサン(Hx)、シクロヘキサン(Cy)、1,1,1−トリクロロエタン(tC)、オクタン(oc)のグループである。
第1主成分と第2主成分の相関を図17に示す。図17では、アセトン(ac)、1−プロパノール(1p)、クロロホルム(ch)、ベンゼン(be)が第1象現、ジクロロメタン(di)、1,2−ジクロロエタン(12)、クロロベンゼン(cb)、1−ブタノール(1b)が第2象現、トルエン(to)、p−キシレン(px)、m−キシレン(mx)、o−キシレン(ox)が第3象現、エタノール(et)、イソプロパノール(is)、1,1,1−トリクロロエタン(tC)、シクロヘキサン(Cy)、オクタン(oc)、ヘプタン(Hp)、ヘキサン(Hx)が第4象限に位置する。第4象限の1,1,1−トリクロロエタン(tC)、シクロヘキサン(Cy)、ヘプタン(Hp)、ヘキサン(Hx)を除いてはそれぞれがある程度離れているために、この図からVOCの認識が行うことができる。図17に示す主成分解析の結果は、第1主成分がすべてのポリマーのガスに対する総合的な感度の高さを示し、第2主成分はPABS、PSに対する感度が良いガスは+、PAB,PSBS、PBDの感度が良いガスは−に分散していると考えられる。
図17において、溶解パラメータに着目して各VOCの分布を見ると、溶解パラメータの指標が似ているVOCが4つにグループに分かれていることが確認できる。エタノール(et)、1−プロパノール(1p)、イソプロパノール(is)、1−ブタノール(1b)の親水性を有するグループと、疎水性を有する1,2−ジクロロエタン(12)、ジクロロメタン(di)、クロロベンゼン(cb)のグループと、ベンゼン(be)、トルエン(to)、o−キシレン(ox)、m−キシレン(mx)、p−キシレン(px)のグループと、ヘプタン(Hp)、ヘキサン(Hx)、シクロヘキサン(Cy)、1,1,1−トリクロロエタン(tC)、オクタン(oc)のグループである。
実施例3では、2種のVOCの濃度を変えて周波数変化を測定し、測定した周波数変化を主成分解析して、VOCの認識について検討を行った結果を示す。VOCとしては、親水性のアセトン200〜10000ppm、疎水性のトルエン200〜2000ppmを用いた。周波数変化は、QCMにより測定した。
センサー素子には、スチレンとブタジエンをモノマー単位とするブロック共重合体(PSBS)、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンをモノマー単位とする共重合体(PABS)、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体(PAB)、ポリスチレン(PS)の4種類の高分子膜を形成し、濃度の異なる2種のVOCに対する周波数変化を求めた。周波数変化を表8に示す。
センサー素子には、スチレンとブタジエンをモノマー単位とするブロック共重合体(PSBS)、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンをモノマー単位とする共重合体(PABS)、アクリロニトリルとブタジエンをモノマー単位とする共重合体(PAB)、ポリスチレン(PS)の4種類の高分子膜を形成し、濃度の異なる2種のVOCに対する周波数変化を求めた。周波数変化を表8に示す。
統計ソフト「三毛猫」を用いて、表8に示す4つの高分子膜における周波数変化で主成分解析を行った結果を表9に示した。主成分解析の結果は、表9から分かるとおり、第1主成分の寄与率が66%、第2主成分の寄与率が31%、第1主成分と第2主成分との累積寄与率が97%を占めた。
第1主成分と第2主成分の相関を図18に示す。図18に示す主成分解析の結果は、第1主成分がすべてのポリマーのガスに対する総合的な感度の高さを示し、第2主成分はPABS、PSに対する感度が良いガスは+、PAB,PSBSの感度が良いガスは−に分散していると考えられる。
図18を見ると、アセトン、トルエンそれぞれの濃度に依存して、直線的に分散している。VOCの種類が決まっている場合、周波数変化をそのまま用いて主成分解析しても、VOCの成分と濃度を認識することが可能である。
図18を見ると、アセトン、トルエンそれぞれの濃度に依存して、直線的に分散している。VOCの種類が決まっている場合、周波数変化をそのまま用いて主成分解析しても、VOCの成分と濃度を認識することが可能である。
10…センサー素子、11…基板、12…計測部、13…認識部、S1〜S4…高分子膜
Claims (8)
- ターゲット物質を吸着する少なくとも2種以上の高分子膜を有するセンサー素子と、前記高分子膜に吸着されたターゲット物質の吸着特性を計測する計測手段と、計測された前記吸着特性を多変数解析して、前記ターゲット物質を認識する認識手段と、を有することを特徴とするセンサー。
- 前記吸着特性が、周波数変化、Kファクター、吸着応答特性、脱離特性から選ばれる少なくとも1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のセンサー。
- 前記吸着特性が、周波数検出型質量センサーを用いて測定された振動数変化から算出されることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサー。
- 前記多変数解析が、主成分解析であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセンサー。
- 前記高分子膜が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカプロラクタン、共重合体から選ばれる2種以上であって、前記共重合体が、モノマー単位としてアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルアクリレートの内2種以上を含有する共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセンサー。
- 前記認識手段が、予め前記高分子膜に対する特定の有機化合物の吸着特性を計測し、予め計測された前記吸着特性と、前記ターゲット物質の吸着特性とを、多変数解析して、前記ターゲット物質を認識する認識手段であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセンサー。
- 前記ターゲット物質を含む測定対象ガスをあらかじめ濃縮し、前記センサー素子に導入する濃縮手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセンサー。
- 前記計測手段によって、前記測定対象ガス中の前記ターゲット物質の濃度を計測することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセンサー。
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