JP6705723B2 - 光選択吸収樹脂膜の形成方法 - Google Patents
光選択吸収樹脂膜の形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6705723B2 JP6705723B2 JP2016174547A JP2016174547A JP6705723B2 JP 6705723 B2 JP6705723 B2 JP 6705723B2 JP 2016174547 A JP2016174547 A JP 2016174547A JP 2016174547 A JP2016174547 A JP 2016174547A JP 6705723 B2 JP6705723 B2 JP 6705723B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- substrate
- group
- film
- resin film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
かかる光学フィルターについて、フィルターとしての透過率、高温高湿下での透過率の信頼性、フィルターの接着性が評価されている。
前記樹脂溶液の滴下終了後に回転を開始することが好ましい。また、前記樹脂溶液には、シランカップリング剤が含有されていることが好ましい。
前記スピンコート工程は、前記基板の前記光選択吸収樹脂膜が形成される側の面の上方に、液滴が付着できる天板が設けられた状態で行われることが好ましい。また前記基板の前記光選択吸収樹脂膜が形成される側の面の反対側に、前記基板よりも大きいサイズの液滴付着防止板が設けられ、前記基板と前記液滴付着防止板との間の距離が1mm未満であることが好ましい。
前記樹脂溶液の粘度は0.1〜100mPa・sであることが好ましい。
前記樹脂溶液は、スピンコート工程後、流動性を有しない状態となっていることが好ましい。
本発明の形成方法で用いる基板とは、光選択吸収樹脂膜が積層される平坦面を有する基板であり、光学フィルムにおける光選択吸収樹脂膜の支持体となる基板の他、イメージセンサ等の光学部材において、光選択吸収樹脂膜を積層できる平坦面を備えた被コート部材も含む概念である。
スピンコートとは、樹脂膜の材料となる樹脂溶液を、基板上に滴下した後、高速回転させることにより、遠心力で樹脂溶液を基板上に流延拡散させるとともに、溶媒を蒸発揮散させて薄膜を形成する成膜方法である。
スピンコートに際して、まず、樹脂膜の材料となる樹脂溶液が、基板上に、所定量滴下される。
滴下速度は、特に限定しないが、溶媒の蒸発速度との関係から、0.1〜5g/sec程度で滴下することが好ましい。
滴下量は、基板サイズ、形成しようとする樹脂膜の厚み、樹脂溶液の固形分濃度、樹脂組成などに応じて、適宜設定される。
(2−1)回転数及び回転時間
スピンコートにおける均一膜を形成する際の回転数(最高回転数)は、1000〜8000rpmが好ましく、より好ましくは1500〜3000rpm、更に好ましくは1800〜2500rpmの範囲で、回転時間、樹脂溶液の組成、スピンコーターの条件等との関係で適宜設定される。
また、高速回転により、遠心力及び気流が発生し、溶媒が蒸発揮散しやすい環境となる。かかる点からも、周縁からの樹脂溶液の流出を抑制できる。
回転開始から上記最高回転数に到達するまでの時間(加速時間)は、2秒未満、好ましくは1秒未満、より好ましくは0.5秒未満、さらに好ましくは0.3秒未満、特に好ましくは0.2秒未満、最も好ましくは0.1秒以下である。短時間で急速に最高回転数に到達させることにより、溶媒の蒸発が早いにもかかわらず、樹脂溶液を、基板の周縁にまで流延拡散する。円形基板の場合、中心から周縁までの距離が一定であるため、基材全体に均一に樹脂溶液が広がることができたが、角形の基板の場合、理由は明らかではないが、角形基板の隅角部(四角形基板の場合いは4隅部)に樹脂溶液がたまりやすい傾向にある。この点、本発明では、急速に最高回転数まで加速させることで、基板の隅部に樹脂溶液が溜まることを抑制している。
最高回転数を所定時間継続した後、次いで、回転を停止する。回転の停止させる時間(減速時間)は、2秒以下、好ましくは1秒以下、より好ましくは0.5秒以下である。遠心力による樹脂溶液の塗工状態のムラをなくすためには、最高回転数までの加速時間と同様に、停止状態への移行を短時間で行うことが好ましい。
尚、回転を停止させる方法については、形成された樹脂膜の均一性を損なうに方法でなければよく、特に限定しない。
本発明の形成方法は、以上のようなスピンコート工程を、溶媒を蒸発揮散できる開放系で行うところにも特徴がある。
本発明の方法では、開放系での塗布、高速回転で短時間の回転という条件を組み合わせることで、樹脂溶液が流出する条件下であるにもかかわらず、流出による樹脂の無駄を減らし、中心部の樹脂量が減少しすぎることを防止し、且つ中心からの距離が違う辺中央部も隅部の膜厚の偏差を抑制できる。さらに乾燥が早いので、生産効率の要求を満足することが可能となる。
以上のようなスピンコートを行う装置としては、特に限定せず、通常用いられているスピンコーター、市販品などを用いることができる。好ましくは開放タイプのスピンコーターである。
図1中、3は角形基板1に滴下された樹脂溶液を示し、角形基板1は、回転軸4により回転する回転テーブル5上に載置されている。
さらに、図1に示すように、基板1の樹脂膜が形成される面の反対側に、基板1の裏面(樹脂膜が形成される面と反対側の面)への液滴付着を防止するための液滴付着防止板6を設けてもよい。液滴付着防止板6は、角形基板1との間の距離を小さくすることで、角形基板1の裏面への液滴の付着を防止することができる。角形基板1と液滴付着防止板6との間の距離(d)は1mm以下とすることが好ましい。
本発明の形成方法で形成される光選択吸収樹脂膜は、基板上に滴下する樹脂溶液の硬化膜である。材料となる樹脂溶液は、樹脂膜構成要素となる樹脂(又は化合物)及び光選択吸収剤を含む樹脂組成物を、溶媒で溶解したものである。以下、樹脂組成物及び溶媒について詳述する。
(1−1)ベース樹脂
光選択吸収樹脂膜を形成する樹脂脂組成物に用いられるベース樹脂は、光学用として透明性の高い光選択吸収樹脂膜を提供することができ、且つ回転塗布後、回転停止した状態で流動性がない状態となることができる樹脂である。
ここで、3員環のエーテルであるオキシラン環を含む基を「エポキシ基」とも称す。「エポキシ基」には、狭義のエポキシ基の他、グリシジル基のようにオキシラン環が炭素に結合している基や、グリシジルエーテル基及びグリシジルエステル基のようにエーテル結合又はエステル結合を含む基、エポキシシクロヘキサン環等が含まれるものとする。
かかる点から、スピンコート工程により流動性が失われるほどにまで溶媒を蒸発させることができる熱硬化タイプの樹脂組成物が好ましく用いられる。
カチオン硬化性の熱硬化タイプの樹脂としては、特にエポキシ樹脂が好ましく用いられる。エポキシ樹脂の構成モノマーとなるエポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物が好ましく挙げられる。耐熱性及び強度の観点から、(水添)芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
光選択吸収剤としては、分子内にπ電子結合を有する色素が好ましい。分子内にπ電子結合を有する色素としては、芳香環を含む化合物であることが好適である。より好ましくは1分子内に2個以上の芳香環を含む化合物である。なお、光学フィルターとしては、上記分子内にπ電子結合を有する色素が600〜900nmの波長域に吸収極大を有すること、すなわち特定色素であることが好ましい。赤外線又は近赤外線カットフィルターの場合、600〜900nmの波長域に吸収極大を有することが好ましい。
SAJJADIFAR ET AL: ‘New 3H-Indole Synthesis by Fischer's Method. Part I.' Molecules 2010, No. 15, April 2010, pages 2491-2498
Serguei Miltsov ET AL; ‘New Cyanine Dyes:Norindosquarocyanines', Tetrahedron Letters, Volume 40, Issue 21, May 1999, pages 4067-4068
本発明で用いる樹脂組成物が硬化性樹脂組成物の場合、硬化性樹脂の硬化反応を促進する硬化剤を含有することが好ましい。硬化剤は、硬化性樹脂の種類により適宜選択される。
上記窒素原子を有する化合物として好ましくは、アミン類(モノアミン、ポリアミン)、アンモニア等が挙げられる。より好ましくは、ヒンダードアミン構造を有するアミン、低沸点のアミン、アンモニアである。記リン原子を有する化合物として好ましくは、ホスフィン類である。具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリトルイルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記硫黄原子を有する化合物として好ましくは、チオール類及びスルフィド類である。チオール類としては、具体的には、メチルチオール、エチルチオール、プロピルチオール、ヘキシルチオール、デカンチオール、フェニルチオール等が挙げられる。スルフィド類の具体例としては、ジフェニルスルフィド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、メチルフェニルスルフィド、メトキシメチルフェニルスルフィド等が挙げられる。
光選択吸収樹脂膜の材料となる樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。オキシラン環含有化合物とオキソカーボン系化合物とを組み合わせた樹脂組成物を用いた場合、樹脂組成物の光選択的透過性と耐湿熱性とが共に優れた硬化物を製造し難いが、シランカップリング剤を含有することにより、選択的透過性と耐湿熱性とが共に優れた硬化物とすることができ、さらに接着性(特にガラス基板への密着性)を向上させることができる。
本発明で用いる樹脂組成物は、さらにメルカプト基含有化合物を含むことが好ましい。オキソカーボン系化合物と硬化触媒とを組み合わせた樹脂組成物を用いた場合、樹脂組成物の選択的透過性が十分に優れた硬化物を製造し難いが、オキソカーボン系化合物と硬化触媒とを組み合わせた樹脂組成物にメルカプト基含有化合物を含有することで、選択的透過性が十分に優れた硬化物とすることができ、さらに接着性(特にガラス基板への密着性)を向上させることができる。すなわち、可視光線透過率向上剤として用いることができる。また、樹脂組成物にメルカプト基含有化合物を含有することで、可視光領域に吸収を有する着色成分の生成が抑制されていると考えられる。
HS−R−Si(OR’)n(R”)3-n
Rはアルキル基であり、好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基である。R’は、アルキル基、アセチル基、又はメトキシアルキル基であり、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。R”はアルキル基であり、好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。nは1以上3以下であり、好ましくは3である。メルカプト基含有シランカップリング剤の具体例としては、シランカップリング剤で例示したメルカプト基含有シランカップリング剤が挙げられる。
樹脂組成物には、さらに表面調整剤を含有してもよい。表面調整剤を含有することにより、形成される樹脂膜のへこみやストライエーションといった欠陥を抑制することができ、樹脂膜表面の均質性を向上することができる。
本発明で用いられる樹脂組成物は、上記成分の他、本発明の作用効果を損なわない限りにおいて、カチオン硬化触媒以外の硬化触媒・硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合を有さない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤、有機充填剤、シランカップリング剤以外のカップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
以上のような樹脂組成物を溶解するための溶媒は、上記ベース樹脂、光選択吸収剤を溶解できる有機溶媒であり、1種類の有機溶媒であってもよいし、2種類以上の有機溶媒の混合物であってもよい。
蒸気圧が0.1kPa未満あるいは沸点50℃以上では、回転停止までの間に溶媒が十分に蒸発せず、形成した樹脂膜がなおも流動性を有する状態を保持していることになる。回転停止後も流動性を有する状態にあると、次に行う後硬化工程に移行するまでの間、別途、乾燥工程を行う必要があり、生産効率の点から好ましくない。また、回転停止後の流動により樹脂膜の均質性が変化するおそれもある。
スピンコート後、樹脂膜を固化させる。固化工程は、樹脂組成物の種類、特にベース樹脂の種類に応じて、適宜選択される。
固化工程は、ベース樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には冷却工程となり、光硬化性樹脂を用いた場合には光照射工程となり、熱硬化性樹脂を用いた場合には加熱硬化工程となる。
乾燥工程としては、溶媒が蒸発できる温度での放置、加熱が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物を用いている場合、加熱硬化工程で、溶媒を完全に蒸発させることができるので、乾燥工程は特段行わなくてもよい。
加熱硬化条件は、使用する樹脂組成物の組成に応じて、適宜設定される。
エポキシ樹脂と硬化剤の組合せの場合、80〜300℃で、好ましくは100〜250℃で、30分〜2時間程度保持して、完全硬化及び溶媒を完全に蒸発させる。
作成した樹脂膜積層基板を複数枚一括して加熱硬化を行うことが、生産効率の点で好ましい。基板を垂直に立てた状態で、オーブン内に静置しておくことが好ましい。形成された塗膜上にチリ、ホコリ等の不純物、異物が付着することを防止するという観点からも、垂直に立てた状態で加熱硬化行うことは好ましい。
加熱硬化工程を垂直に立てた状態で行うという点からも、オーブンに入れる前の状態で、樹脂膜は乾燥、すなわち流動性のない状態となっておくことが好ましい。
これにより、加熱硬化工程における光選択吸収剤の変性を防止できる。
以上のようにして形成される光選択吸収樹脂膜の厚みは、光学フィルターの種類、使用する樹脂組成物の組成、色素、基板等により異なるが、通常0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
そして、形成された光選択吸収樹脂膜は膜厚均質性に優れている。具体的には、最大膜厚と最小膜厚の割合は、全膜厚に対して±10%未満であり、好ましくは6%未満である。
以上のようにして形成された光選択吸収樹脂膜は、基材の種類に応じて、光学フィルターの光選択吸収樹脂膜として、あるいは光学部材の光選択吸収コートとして利用することができる。
特に、赤外線カットフィルター、紫外線カットフィルター、近赤外線カットフィルターが好適であり、好ましくは近赤外線又は赤外線カットフィルターである。
76mm×76mmのガラス基板の縦辺、横辺それぞれを7.6mm間隔で分割し、100マスに分割した。各マスについて、UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)を用いて、各マスの透過率スペクトルを測定し、600nm〜700nmにおける透過率が50%となるときの波長を求めた。
使用した光選択吸収剤に基づき、50%透過率波長が645nm付近となるように成膜した。樹脂膜積層基板全体(100マス)の50%透過率波長の平均値、及び100マスの50%透過率波長のばらつき範囲、及び偏差(50%透過率の最大値と最小値の差)を求めた。
なお、各マスの透過率の測定は、各マスの中心の直径2mmの円形領域内での透過率を測定した。
(1)カチオン硬化触媒
(1−1)TPB含有粉末(ルイス酸)
WO1997/031924号公報に記載された合成法にしたがって、TPB(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)含有量7%の安藤パラケミ―社製アイソパー(登録商標)E溶液255gを調製した。
このアイソパーE溶液に、水を60℃で滴下すると、滴下途中から白色結晶が析出した。反応液を室温まで冷却した後、得られたスラリーを吸引濾過し、n−ヘプタタンで洗浄した。得られたケーキを60℃で減圧乾燥した後、白色結晶であるTPB・水錯体(TPB含有粉末)18.7gを得た。この錯体は、水分量9.2%(カールフィッシャー水分計)であり、TPB含有率は90.8%であった。
乾燥後の錯体について、19F−NMR分析及びGC分析を実施したが、TPB以外にピークは検出されなかった。尚、19F−NMR分析の結果は以下の通りである。
δ=−135.6(6F,m)
δ=−156.5(3F,dd)
δ=−163.5(6F,d)
上記TPB含有粉末(ルイス酸)と、ルイス塩基としてのアンモニアの組合せを、以下のように混合して、カチオン硬化触媒とした。
TPB含有粉末2g(TPB純分:1.816g(3.547mol)、水0.184g(10.211mmol)に対し、トルエン1.1gを添加し、室温で10分間混合した。
得られたTPBのトルエン溶液に、2mol/Lのアンモニア・エタノール溶液2.6g添加し、室温で60分間混合した。得られた均一溶液をカチオン硬化触媒として用いた。
近赤外線吸収剤として、下記(3)式の構造を有するスクアリリウム化合物を用いた。このスクアリリウム化合物の吸収最大波長は730nmである。
上記スクアリリウム化合物は、ピロール環含有化合物とスクアリン酸とを反応させる公知の合成方(例えば、すでに述べた論文に記載の方法)によって合成することができる。
シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング社のofs-6040(従来のZ−6040である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)4部、2−プロパノール(和光純薬製)5.2部、純水(和光純薬製)0.6部、及びギ酸0.2部を、25℃で90分間混合し、シランカップリング剤の均一溶液を得た。
ベース樹脂として、オキシラン化合物であるダイセル社製の脂環式エポキシ樹脂(EHPE3150)を用いた。ベース樹脂100部を、トルエン(和光純薬工業社製)150部、o-キシレン75部と、80℃で混合した。
この樹脂溶液に、上記で合成したスクアリリウム化合物9部、表面調整剤としてビッグケミー社製のBYK−306(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)0.4部、透過率向上剤としてSC有機化学社製のPEMP(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート),下記式参照)10部を添加し、25℃にて、60分間混合し、均一溶液を得た。この溶液に、上記で調製したカチオン硬化触媒2.5部を添加した後、25℃にて5分間混合した。さらに、上記で調製したシランカップリング剤溶液10部を、25℃で30分間混合した。得られた均一溶液を、細孔径0.1μmPTFEフィルター(GE Helthcare社製、Whatman6784-2501)で濾過して異物を除去した。
実施例1:
塗布装置として、スピンコータ(ミカサ株式会社のMS−A200)を用いた。
上記で調製した樹脂溶液を、76mm×76mmのガラス基板上に、1g滴下した後、0.1秒間で1800rpmまで加速し、1800rpmを1秒間維持した後、0.1秒間で停止させて、回転塗布した。
また、上記評価方法に基づいて、100マスの50%透過率波長の平均値、50%透過率波長の偏差を算出した。
スピンコート条件を、以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に成膜し、同様に乾燥硬化させて、光選択吸収樹脂膜が形成された樹脂積層基板を作成し、100マスそれぞれの透過率スペクトルを得、各マスの50%透過率波長を求めた。
スピンコート条件
0.5秒間で1300rpmまで加速し、1300rpmを20秒間維持した後、0.1秒間で0rpmに戻した。
実施例1で得られた光選択吸収樹脂膜積層体の樹脂膜が形成されている側の反対側の面に、酸化チタン25層/シリカ26層の交互蒸着膜(赤外線反射膜)を形成し、樹脂膜上に酸化チタン2層/シリカ3層の交互蒸着膜(可視光反射防止膜)を形成した。これにより、撮像装置用の良好な赤外線反射吸収型の赤外線カットフィルターが得られた。
2 天板
3 樹脂溶液
6 液滴付着防止板
Claims (15)
- 角形の基板上に光選択吸収機能を有する樹脂膜(光選択吸収樹脂膜)を、該樹脂膜の材料である樹脂溶液を滴下するスピンコート法により形成する方法であって、
前記樹脂溶液の滴下終了後に加速して最高回転数に到達するまでの加速時間が2秒未満で、且つ前記最高回転数の継続時間が0.5秒以上で5秒未満である光選択吸収樹脂膜の形成方法。 - 前記樹脂溶液の滴下終了後に回転を開始する請求項1に記載の形成方法。
- 前記樹脂溶液には、シランカップリング剤が含有されている請求項1又は2に記載の形成方法。
- 前記回転数が1500rpm以上であって、且つ前記加速時間が0.2秒未満で、前記継続時間が3秒未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記スピンコート工程は、前記樹脂溶液の溶媒が揮散できる開放系で行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記スピンコート工程は、前記基板の前記樹脂膜が形成される側の面の上方に、液滴が付着できる天板が設けられた状態で行われる請求項5に記載の形成方法。
- 前記スピンコート工程は、前記基板の前記樹脂膜が形成される側の面の反対側に、前記基板よりも大きいサイズの液滴付着防止板が設けられていて、
前記基板と前記液滴付着防止板との間の距離は、1mm未満である請求項5又は6に記載の形成方法。 - 前記樹脂溶液は、20℃以上における蒸気圧が1kPa以上の有機溶媒を10%以上95%以下含む樹脂溶液である請求項1〜7のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記樹脂溶液は、カチオン硬化性樹脂組成物を、前記溶媒で溶解した溶液である請求項1〜8のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記樹脂溶液は、光選択吸収剤を含有している請求項1〜9のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記樹脂溶液の粘度は0.1〜100mPa・sである請求項1〜10のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記基板は、少なくとも一辺が30mm〜120mmの角形である請求項1〜11のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記樹脂溶液は、スピンコート工程後、流動性を有しない状態となっている請求項1〜12のいずれか1項に記載の形成方法。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の形成方法を含むカットフィルターの製造方法。
- 角形基板上に、該角形基板に接して光選択吸収樹脂膜が積層された赤外線又は近赤外線カットフィルターであって、
前記光選択吸収樹脂膜は、エポキシ樹脂をカチオン硬化系触媒で硬化した硬化体であり、光選択吸収剤としてオキソカーボン系化合物を含んでいて、
前記光選択吸収樹脂膜の透過率波長の偏差は、600〜700nmの可視光波長域の光の透過率が50%となる波長として10nm以下である赤外線又は近赤外線カットフィルター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016174547A JP6705723B2 (ja) | 2016-09-07 | 2016-09-07 | 光選択吸収樹脂膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016174547A JP6705723B2 (ja) | 2016-09-07 | 2016-09-07 | 光選択吸収樹脂膜の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018040931A JP2018040931A (ja) | 2018-03-15 |
JP6705723B2 true JP6705723B2 (ja) | 2020-06-03 |
Family
ID=61625748
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016174547A Active JP6705723B2 (ja) | 2016-09-07 | 2016-09-07 | 光選択吸収樹脂膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6705723B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7231430B2 (ja) * | 2019-02-14 | 2023-03-01 | 株式会社日本触媒 | 樹脂組成物、インクおよび光学フィルター |
JP2020177147A (ja) * | 2019-04-18 | 2020-10-29 | Jsr株式会社 | 赤外線カットフィルム、光学フィルタ、生体認証装置及び撮像装置 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004064071A (ja) * | 2003-06-27 | 2004-02-26 | Hitachi Ltd | 半導体集積回路装置の製造方法 |
JP2008302278A (ja) * | 2007-06-06 | 2008-12-18 | Sony Disc & Digital Solutions Inc | スピンコート方法 |
JP5454111B2 (ja) * | 2009-12-07 | 2014-03-26 | 旭硝子株式会社 | 近赤外線カットフィルタおよび撮像装置・表示装置 |
JP5965639B2 (ja) * | 2011-12-27 | 2016-08-10 | 富士フイルム株式会社 | 赤外線カットフィルタの製造方法、該製造方法に用いられる赤外線吸収性液状組成物、及びカメラモジュールの製造方法 |
JP6183048B2 (ja) * | 2012-08-27 | 2017-08-23 | 旭硝子株式会社 | 光学フィルタおよび固体撮像装置 |
JP2016027400A (ja) * | 2014-07-04 | 2016-02-18 | 株式会社日本触媒 | 積層用樹脂組成物及びその用途 |
JP6530968B2 (ja) * | 2014-09-29 | 2019-06-12 | 株式会社日本触媒 | 近赤外線カットフィルター |
JP2016081056A (ja) * | 2014-10-20 | 2016-05-16 | 株式会社日本触媒 | 光選択透過フィルター及び撮像素子 |
JP6449752B2 (ja) * | 2014-12-01 | 2019-01-09 | 東京エレクトロン株式会社 | 現像処理方法、コンピュータ記憶媒体及び現像処理装置 |
WO2016098810A1 (ja) * | 2014-12-19 | 2016-06-23 | 旭硝子株式会社 | 光学フィルタ及びこれを用いた装置 |
JP6484053B2 (ja) * | 2015-02-12 | 2019-03-13 | 株式会社日本触媒 | 近赤外線カットフィルター |
-
2016
- 2016-09-07 JP JP2016174547A patent/JP6705723B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018040931A (ja) | 2018-03-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102054979B1 (ko) | 광경화성 코팅 조성물, 저굴절층 및 반사 방지 필름 | |
TWI633341B (zh) | 固體攝影元件用光學濾波器及其用途 | |
JP6681876B2 (ja) | 反射防止性を組み入れたoledディスプレイのための封止構造 | |
JP6183255B2 (ja) | 近赤外線カットフィルタ | |
JP6642313B2 (ja) | 新規シアニン化合物、光学フィルターおよび光学フィルターを用いた装置 | |
KR102086054B1 (ko) | 광경화성 코팅 조성물, 저굴절층 및 반사 방지 필름 | |
JP6705723B2 (ja) | 光選択吸収樹脂膜の形成方法 | |
JP2016027400A (ja) | 積層用樹脂組成物及びその用途 | |
JP2018533754A (ja) | 反射防止フィルム | |
TW201508346A (zh) | 近紅外線截止濾波器的製造方法及固體攝像元件 | |
JP6829033B2 (ja) | 光学フィルター | |
JP6788444B2 (ja) | 樹脂組成物および光学フィルター | |
US20210301136A1 (en) | Novel polysiloxane compositions and uses thereof | |
JP6771880B2 (ja) | 樹脂組成物及び積層体 | |
JP6342645B2 (ja) | 積層用樹脂組成物及びその用途 | |
TW201840683A (zh) | 近紅外線截止濾波器、近紅外線截止濾波器的製造方法、固體攝像元件、照相機模組及圖像顯示裝置 | |
JP6530968B2 (ja) | 近赤外線カットフィルター | |
JP6723762B2 (ja) | 樹脂組成物 | |
CN1867629A (zh) | 保护膜用树脂组合物 | |
JP2016081056A (ja) | 光選択透過フィルター及び撮像素子 | |
JP2017067871A (ja) | 樹脂成形体 | |
JP6484053B2 (ja) | 近赤外線カットフィルター | |
JP2018097064A (ja) | 光学フィルターおよびその製造方法 | |
WO2015016142A1 (ja) | 銅化合物含有膜の製造方法、膜形成用組成物の増粘を抑制する方法、膜形成用組成物を製造するためのキットおよび固体撮像素子 | |
JP2017151176A (ja) | 光選択透過フィルター |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190606 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200210 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200221 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200406 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200507 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200514 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6705723 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |