JP6705723B2 - 光選択吸収樹脂膜の形成方法 - Google Patents

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本発明は、スピンコート法を用いた光選択吸収樹脂膜の形成方法に関し、さらに詳述すると、四角形、五角形等の角形基板上に均質な光選択吸収樹脂膜を効率よく形成する方法に関する。
ビデオカメラ、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話、カメラ付きタブレット端末、車載用カメラ、監視カメラなどに内蔵されているイメージセンサチップ又は固体撮像素子には、入射光の一部だけを選択的に取り出したり、反射させたりするための光学フィルターが用いられている。
かかる光学フィルターとしては、特定の波長の光を吸収できる化合物を、基板自体に含有させた練り込みタイプの他、基板上に、特定の波長の光を取り出したり(パス)、カットできる機能膜を積層した積層タイプがある。
積層タイプに用いられる機能膜としては、シリカや酸化チタンなどの無機物の蒸着膜、色素や顔料を含有させた樹脂薄膜がある。基板上に均質な樹脂薄膜を効率よく形成できる方法としては、スピンコート法が知られている。
特開2013−137337号(特許文献1)には、スピンコート法で、ガラス基板上に、赤外線吸収剤、重合性化合物及び溶媒を含有する赤外線吸収性液状組成物を塗布する、赤外線カットフィルターの製造方法によれば、バーコート法により作成された樹脂膜と比べて、膜厚の均一性が高い樹脂膜が得られ、結果として、入射角依存特性に優れた赤外線カットフィルターが得られることが開示されている。
特許文献1では、膜厚均一性の観点から、スピンコーターの回転数は1000rpmから4000rpmが好ましく、より好ましくは1500rpmから2500rpmであり、スピン塗布のスピン時間は、5〜500秒、好ましくは10〜400秒、さらには15〜300秒であると説明されている(段落0016)。そして、実施例においては、赤外線吸収物質としてセシウム酸化タングステンを使用し、重合性化合物及びメタクリレート系バインダー樹脂を、シクロヘキサノン(組成物A)又はプロピレングリコールモノメチルエーテル(組成物B)で溶解した赤外線吸収性液状組成物、あるいは赤外線吸収性物質としてジインモニウム色素(組成物C)を用いた赤外線吸収性液状組成物を、8インチシリコン基板上に、スピンコート法で塗布した実施例が示されている。表1には、スピンコート法において、回転数が低すぎても(900rpm)、高すぎても(4500rpm)、膜厚分布が劣る傾向にあることが示されている。なお、実施例で採用した回転時間については、記載されていない。
また、特開2016−27400号公報(特許文献2)には、8インチ(約20cm)の丸形ガラス基板上に、液状脂環式エポキシ樹脂(重量平均分子量120)と固形脂環式エポキシ樹脂(重量平均分子量2900)との混合エポキシ樹脂、カチオン硬化剤、並びにフタロシアニンを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA)及びテトラヒドロフランの混合溶媒に溶解した液状樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、成膜したことが開示されている。ここでのスピンコート条件は、最高回転数(2500rpm、2000rpm、1500rpm)までの加速を3秒間かけて行い、最高回転数を所定時間継続した後、3秒かけて0rpmに戻している(実施例)。特許文献2では、得られた光選択吸収樹脂膜について、成膜性、透過率、接着性、耐熱性を評価している。
また、特開2016−81056号公報(特許文献3)には、8インチ丸形のガラス基板上に、液状脂環式エポキシ樹脂(重量平均分子量120)と固形脂環式エポキシ樹脂(重量平均分子量2900)との混合エポキシ樹脂、カチオン硬化剤、並びにフタロシアニンを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA)及びテトラヒドロフランの混合溶媒に溶解した液状樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、成膜したことが開示されている。ここでのスピンコート条件は、3秒かけて回転数2000rpmにまで加速し、2000rpmを20秒間継続した後、3秒間かけて0rpmに戻している(実施例)。特許文献3では、得られた光選択吸収樹脂膜について、平均表面粗さ及び耐候性、透過率を評価している。
ところで、光学フィルターの形状は、円形と角形に大別される。角形の光学フィルターをスピンコート法で作製する場合、角形の基板を用いる方法と、円形状の基板で作製した光学フィルターを、所定の角形にカットして作製する方法とがある。後者の場合、廃棄部分が発生するので、経済的観点から前者の方法が望まれる。また、機能膜として、樹脂薄膜と無機物の蒸着膜を組み合わせた多層膜を採用する場合、蒸着工程との関係で、角形基板が好ましく採用される。
角形の基板を用いてスピンコート法で光選択吸収樹脂膜を形成した技術としては、例えば、特開2014−63144号公報(特許文献4)の実施例で、100×100mmのガラス基板上に、スピンコートにより、フルオレンポリエステル、シランカップリング剤及びNIR色素を、シクロヘキサノンに溶解させた近赤外線吸収層形成用組成物を、800rpmで塗布して、膜厚3μmの近赤外線吸収層を有する光学フィルターを製造したことが開示されている。
かかる光学フィルターについて、フィルターとしての透過率、高温高湿下での透過率の信頼性、フィルターの接着性が評価されている。
また、特開2016−71323号公報(特許文献5)に、60mm×60mmのガラス基板上に、下地層をスピンコートで形成した後、その下地層上に、ポリイミド樹脂及びフタロシアニンをγ−ブチロラクトンで溶解した樹脂溶液を用いて、光選択用樹脂薄膜を形成した実施例が開示されている。ここで開示されているスピンコート条件は、0.2秒間で1000rpmまで加速し、1000rpmを10秒間保持した後、0.2秒間かけて0回転に戻している(段落0155)。得られた近赤外線カットフィルターについて、最大吸収波長が測定され、樹脂薄膜のガラス基板に対する耐剥離性が評価されている。
特開2013−137337号公報 特開2016−27400号公報 特開2016−81056号公報 特開2014−63144号公報 特開2016−71323号公報
特許文献2、3に開示されているような、円形基板上に樹脂薄膜を形成するスピンコート法の条件で、四角形基板上に樹脂薄膜を形成した場合、4隅の膜厚が、中心部付近と比べて分厚くなる傾向にある。赤外線カットフィルターのように、色素を含有させた樹脂薄膜を形成する場合、分厚い部分で色素が濃くなる傾向にあることから、4隅部で可視光線透過性が低下し、結果として光学フィルター性能低下の原因となる。このような問題は、四角形基板を用いたスピンコート法で新たに認識された問題であり、四角形基板における膜厚の均質性が低下する原因は明らかではないが、4隅部分に樹脂溶液が流れて、溜まるためと考えらえる。
上記特許文献4,5では、膜厚分布について特段説明されていないが、四角形基板上に樹脂薄膜を形成する場合、同程度のサイズの円形基板を用いる場合と比べて、回転数を下げることで、形成される膜の均質性を確保するようにしているのが実情である。
しかしながら、回転数を下げた場合、樹脂組成物の拡散流延、溶媒の揮散が遅くなるため、回転時間を長くする必要がある。このことは、円形基板を用いた場合と比べて生産性が低下することになる。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、隅部も含めて膜厚の均質性が高い光選択吸収樹脂膜を、スピンコート法で、角形基板上に形成する方法を提供することにある。
本発明者は、スピンコート法で、角形の基板上に光選択吸収樹脂膜を成膜するにあたり、スピンコートの条件、樹脂組成物の組成、溶媒の種類等を種々検討し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の光選択吸収樹脂膜の形成方法は、角形の基板上に光選択吸収機能を有する樹脂膜(光選択吸収樹脂膜)を、該樹脂膜の材料である樹脂溶液を滴下するスピンコート法により形成する方法であって、前記樹脂溶液の滴下終了後に加速して最高回転数に到達するまでの加速時間が2秒未満で、且つ前記最高回転数の継続時間が0.5秒以上で5秒未満である。
前記樹脂溶液の滴下終了後に回転を開始することが好ましい。また、前記樹脂溶液には、シランカップリング剤が含有されていることが好ましい。
前記最高回転数が1000rpm以上であって、且つ前記加速時間が0.5秒未満で、前記継続時間が3秒未満であることが好ましい。また、前記回転数が1500rpm以上であって、且つ前記加速時間が0.2秒未満で、前記継続時間が3秒未満であることがより好ましい。
前記スピンコート工程は、前記樹脂溶液の溶媒が揮散できる開放系で行われることが好ましい。
前記スピンコート工程は、前記基板の前記光選択吸収樹脂膜が形成される側の面の上方に、液滴が付着できる天板が設けられた状態で行われることが好ましい。また前記基板の前記光選択吸収樹脂膜が形成される側の面の反対側に、前記基板よりも大きいサイズの液滴付着防止板が設けられ、前記基板と前記液滴付着防止板との間の距離が1mm未満であることが好ましい。
前記樹脂溶液は、20℃以上における蒸気圧が1kPa以上の有機溶媒を10%以上含む樹脂溶液であることが好ましい。前記樹脂溶液中の固形分率は5〜50質量%であることが好ましい。
前記樹脂溶液は、カチオン硬化性樹脂組成物を、前記溶媒で溶解した溶液であることが好ましく、光選択吸収剤を含有していることが好ましい。
前記樹脂溶液の粘度は0.1〜100mPa・sであることが好ましい。
前記基板は、少なくとも一辺が30mm〜120mmの角形であることが好ましい。
前記樹脂溶液は、スピンコート工程後、流動性を有しない状態となっていることが好ましい。
別の見地の本発明は、上記本発明の光選択吸収樹脂膜の形成方法を含むカットフィルターの製造方法である。
さらに本発明の別の見地において、角形基板上に、該角形基板に接して光選択吸収樹脂膜が積層された赤外線又は近赤外線カットフィルターであって、前記光選択吸収樹脂膜は、エポキシ樹脂をカチオン硬化系触媒で硬化した硬化体であり、光選択吸収剤としてオキソカーボン系化合物を含んでいて、前記光選択吸収樹脂膜の透過率波長の偏差は、端部1mmを除き、600〜700nmの可視光波長域の光の透過率が50%となる波長として10nm以下である近赤外線又は赤外線カットフィルターも包含する。
本発明の光選択吸収樹脂膜の形成方法によれば、角形の基板上であっても、短時間で、膜厚の均一性に優れた光選択吸収樹脂膜を形成できるので、特定の光透過率(又は特定波長の光吸収率)の均一性が高い、角形の光学フィルターを効率よく生産することが可能となる。
図1は、本発明の光選択吸収樹脂膜の形成方法の一実施形態を説明するための模式図である。 光選択吸収樹脂膜の透過率スペクトルと膜厚の均質性の関係を説明するための図である。 実施例1で得られた光選択吸収樹脂膜積層体の透過率スペクトルである。 比較例1で得られた光選択吸収樹脂膜積層体の透過率スペクトルである。
本発明の光選択吸収樹脂膜の形成方法は、角形の基板上に光選択吸収機能を有する樹脂膜(光選択吸収樹脂膜)を、スピンコート法により形成する方法であって、最高回転数までの加速時間が2秒未満で、且つ前記最高回転数の継続時間が5秒間未満であることを特徴とする方法である。
〔基板〕
本発明の形成方法で用いる基板とは、光選択吸収樹脂膜が積層される平坦面を有する基板であり、光学フィルムにおける光選択吸収樹脂膜の支持体となる基板の他、イメージセンサ等の光学部材において、光選択吸収樹脂膜を積層できる平坦面を備えた被コート部材も含む概念である。
本発明の形成方法で用いられる基板の材料は特に限定しないが、樹脂膜の支持体として必要十分な強度、耐熱性を有する材料が好ましく、かかる点から、ガラス、金属、セラミック、熱硬化性樹脂製の基板が用いられる。また、基板の形状は、光選択吸収樹脂膜が積層される平坦面を有するもので、かかる平坦面が三角形、四角形、五角形、六角形等の角形である。通常、正方形、長方形といった四角形が好ましく用いられるが、頂点の一部をカットしたことにより形成される五角形も好ましく用いられる。
基板サイズは限定しないが、本発明の方法により基板に光選択吸収樹脂膜を形成して光学フィルターを製造する場合、通常、一辺が30mm〜100mm、好ましくは50〜120mmの四角形基板、より好ましくは60mm×60mm〜100mm×100mmの正方形基板が好ましく用いられる。尚、本発明の形成方法は、これらのサイズの四角形基板に限定せず、少なくとも1辺が30〜120mmの角形の基板に適用できる。
基板の厚みは、基板の種類、目的により異なるが、本発明の樹脂膜の形成方法を利用して光学フィルターを製造する場合、使用する基板の厚みは、薄型、軽量化の観点から、通常、0.05mm〜2mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。
〔スピンコート工程〕
スピンコートとは、樹脂膜の材料となる樹脂溶液を、基板上に滴下した後、高速回転させることにより、遠心力で樹脂溶液を基板上に流延拡散させるとともに、溶媒を蒸発揮散させて薄膜を形成する成膜方法である。
(1)滴下工程
スピンコートに際して、まず、樹脂膜の材料となる樹脂溶液が、基板上に、所定量滴下される。
滴下速度は、特に限定しないが、溶媒の蒸発速度との関係から、0.1〜5g/sec程度で滴下することが好ましい。
滴下量は、基板サイズ、形成しようとする樹脂膜の厚み、樹脂溶液の固形分濃度、樹脂組成などに応じて、適宜設定される。
(2)回転条件
(2−1)回転数及び回転時間
スピンコートにおける均一膜を形成する際の回転数(最高回転数)は、1000〜8000rpmが好ましく、より好ましくは1500〜3000rpm、更に好ましくは1800〜2500rpmの範囲で、回転時間、樹脂溶液の組成、スピンコーターの条件等との関係で適宜設定される。
回転時間(最高回転数の継続時間)は、偏差を低減する観点から、5秒未満であることが好ましい。さらに好ましくは3秒間未満である、また、溶媒を揮発させるために、0.1秒以上とすることが好ましく、より好ましくは0.5秒以上である。従来、光学フィルター用の光選択吸収樹脂膜をスピンコート法で形成する場合、回転時間は、10〜30秒間程度であった。本発明では、従来の角形の基板に樹脂薄膜を形成するスピンコート条件と比べて、回転数が高く、回転時間が短いところに特徴がある。
本発明の形成方法では、高速回転させることで、短時間で基板上の隅部まで樹脂溶液が流延拡散できるようにしている。一方、高速回転では、樹脂溶液が流出しやすく、また樹脂溶液の飛散量も増大する傾向にあるが、本発明では、溶媒の蒸発、樹脂組成物の乾燥固化が従来よりも早くなる組合せを選択することで回転時間を短かくし、飛散する樹脂液量の増大を抑制している。
また、高速回転により、遠心力及び気流が発生し、溶媒が蒸発揮散しやすい環境となる。かかる点からも、周縁からの樹脂溶液の流出を抑制できる。
尚、本明細書でいう「最高回転数」とは、1000〜8000rpmの回転数が連続して変化する場合も含み、最高回転数の範囲内で回転数が変化している場合、前記「回転時間」は、合計時間をいう。一方、最高回転数で5秒未満回転させた後、1000rpm未満にまで回転を減速し、次いで1000rpm以上に再び回転数を増加した場合、減速後の最高回転数での回転時間は、本明細書にいう最高回転数の継続時間に含めない。
(2−2)最高回転数までの加速時間
回転開始から上記最高回転数に到達するまでの時間(加速時間)は、2秒未満、好ましくは1秒未満、より好ましくは0.5秒未満、さらに好ましくは0.3秒未満、特に好ましくは0.2秒未満、最も好ましくは0.1秒以下である。短時間で急速に最高回転数に到達させることにより、溶媒の蒸発が早いにもかかわらず、樹脂溶液を、基板の周縁にまで流延拡散する。円形基板の場合、中心から周縁までの距離が一定であるため、基材全体に均一に樹脂溶液が広がることができたが、角形の基板の場合、理由は明らかではないが、角形基板の隅角部(四角形基板の場合いは4隅部)に樹脂溶液がたまりやすい傾向にある。この点、本発明では、急速に最高回転数まで加速させることで、基板の隅部に樹脂溶液が溜まることを抑制している。
滴下後、回転開始までの時間は、特に限定しないが、滴下直後に開始させることが好ましい。樹脂溶液の局所的な揮発が発生しない時間、具体的には、1分以下、好ましくは10秒以下の間に回転開始することが好ましい。
尚、前記「加速時間」とは、樹脂溶液の基板への塗布後(滴下後)、樹脂膜の材料である樹脂溶液中の溶媒が揮散できる200rpm以上の回転開始時から、1000rpm以上の回転数に到達する時間をいう。したがって、200rpm未満の予備的に行う回転や樹脂溶液の塗布中(又は滴下中)の回転時間は含まれない。
(2−3)回転停止までの減速時間
最高回転数を所定時間継続した後、次いで、回転を停止する。回転の停止させる時間(減速時間)は、2秒以下、好ましくは1秒以下、より好ましくは0.5秒以下である。遠心力による樹脂溶液の塗工状態のムラをなくすためには、最高回転数までの加速時間と同様に、停止状態への移行を短時間で行うことが好ましい。
尚、回転を停止させる方法については、形成された樹脂膜の均一性を損なうに方法でなければよく、特に限定しない。
(2−4)スピンコート環境
本発明の形成方法は、以上のようなスピンコート工程を、溶媒を蒸発揮散できる開放系で行うところにも特徴がある。
開放系で行うことにより、溶媒を効率よく蒸発揮散させることができる。さらに、開放系で、高速回転を行うことで、回転による空気流が生じ、これにより、乾燥効率が高まる。このように、開放系で行うことにより、溶媒揮散による乾燥が早くなるが、回転時間を従来より短くすることと相まって、中心部分が薄くなりすぎることなく、角形の頂点隅部まで樹脂を均一に流延拡散することができ、しかも中心からの距離が異なる辺中央部と頂点部との膜厚の差異が生じないように、換言すると膜厚偏差を抑制できる。
一方、従来の閉鎖系のスピンコート法では、基板から樹脂溶液が流出することが防止され、且つ系内には揮発溶媒が充満され、結果として溶媒の蒸発が抑制されていたので、回転時間が長くても中心部分が流延拡散により薄くなることはない。むしろ回転時間を長くすることで、隅部まで樹脂溶液を隅部まで流延できるので、結果として、中心からの距離の違いによる膜厚の偏差を抑制することが可能である。しかしながら、このような閉鎖系でのスピンコートは、回転時間が長いこと、溶媒の蒸発、樹脂層の乾燥に時間がかかるため、生産性の点で効率が悪いという問題がある。
本発明の方法では、開放系での塗布、高速回転で短時間の回転という条件を組み合わせることで、樹脂溶液が流出する条件下であるにもかかわらず、流出による樹脂の無駄を減らし、中心部の樹脂量が減少しすぎることを防止し、且つ中心からの距離が違う辺中央部も隅部の膜厚の偏差を抑制できる。さらに乾燥が早いので、生産効率の要求を満足することが可能となる。
(2−5)スピンコーター
以上のようなスピンコートを行う装置としては、特に限定せず、通常用いられているスピンコーター、市販品などを用いることができる。好ましくは開放タイプのスピンコーターである。
また、開放タイプのスピンコーターを用いる場合、図1に示すように、角形基板1の塗工面の上方に、飛散捕捉用の天板2を設けることが好ましい。これにより、飛び散った液状組成物が、回転中、及び/又は回転停止により再び、塗膜上に落下することを防止できる。
図1中、3は角形基板1に滴下された樹脂溶液を示し、角形基板1は、回転軸4により回転する回転テーブル5上に載置されている。
さらに、図1に示すように、基板1の樹脂膜が形成される面の反対側に、基板1の裏面(樹脂膜が形成される面と反対側の面)への液滴付着を防止するための液滴付着防止板6を設けてもよい。液滴付着防止板6は、角形基板1との間の距離を小さくすることで、角形基板1の裏面への液滴の付着を防止することができる。角形基板1と液滴付着防止板6との間の距離(d)は1mm以下とすることが好ましい。
尚、図1では、天板2と液滴付着防止板6の双方を備えているが、本発明の形成方法で採用するスピンコーターは、これに限定されず、天板と液滴付着防止板の一方のみを備えるものであってもよい。
〔樹脂溶液〕
本発明の形成方法で形成される光選択吸収樹脂膜は、基板上に滴下する樹脂溶液の硬化膜である。材料となる樹脂溶液は、樹脂膜構成要素となる樹脂(又は化合物)及び光選択吸収剤を含む樹脂組成物を、溶媒で溶解したものである。以下、樹脂組成物及び溶媒について詳述する。
(1)樹脂組成物
(1−1)ベース樹脂
光選択吸収樹脂膜を形成する樹脂脂組成物に用いられるベース樹脂は、光学用として透明性の高い光選択吸収樹脂膜を提供することができ、且つ回転塗布後、回転停止した状態で流動性がない状態となることができる樹脂である。
具体的には、スピンコートによる溶媒の蒸発後、組成物の流動性が失われた状態ないしは固化状態となることができればよく、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の組成物であってもよい。かかる観点から、ガラス転移点が80℃以上の熱可塑性樹脂、熱又は光硬化性樹脂の組成物を用いることが可能であるが、耐熱性の点から、熱又は光硬化性樹脂を用いることが好ましい。
熱又は光によって硬化(重合)する樹脂としては、硬化性の官能基を有する化合物、例えば、オキシラン基(オキシラン環)、オキセタン基(オキセタン環)、エチレンスルフィド基、ジオキソラン基、トリオキソラン基、ビニルエーテル基、スチリル基等のカチオン硬化性基;アクリル基、メタクリル基、ビニル基等のラジカル硬化性基;等の硬化性の官能基を有する化合物が挙げられる、
ここで、3員環のエーテルであるオキシラン環を含む基を「エポキシ基」とも称す。「エポキシ基」には、狭義のエポキシ基の他、グリシジル基のようにオキシラン環が炭素に結合している基や、グリシジルエーテル基及びグリシジルエステル基のようにエーテル結合又はエステル結合を含む基、エポキシシクロヘキサン環等が含まれるものとする。
熱又は光により硬化する硬化性樹脂のうち、特に熱や光等で触媒からカチオン種を発生し、それによるカチオン硬化反応によって硬化するカチオン硬化性樹脂が好ましい。カチオン硬化(重合)は、ラジカル重合に比べ、酸素による硬化阻害が起こりにくく、硬化時の収縮が小さいといった利点がある。
また、回転塗布後に流動性が失われやすいという点から、組成物の溶媒蒸発が進んだ状態(樹脂分率が高くなった状態)で固化できるような高分子量の樹脂、あるいは架橋硬化が一部開始されて流動性が失われるような樹脂組成物が好ましい。
かかる点から、スピンコート工程により流動性が失われるほどにまで溶媒を蒸発させることができる熱硬化タイプの樹脂組成物が好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂としては、多環芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
カチオン硬化性の熱硬化タイプの樹脂としては、特にエポキシ樹脂が好ましく用いられる。エポキシ樹脂の構成モノマーとなるエポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物が好ましく挙げられる。耐熱性及び強度の観点から、(水添)芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
脂環式エポキシ基としては、例えば、エポキシシクロヘキサン基(エポキシシクロヘキサン骨格)、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素を介して付加したエポキシ基(特にオキシラン環)等が挙げられる。また、硬化速度をより高めることができる点で、分子中に脂環式エポキシ基を2個以上有する多官能脂環式エポキシ化合物であってもよい。
具体的には、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のYED−216D、ジャパンエポキシレジン社製YL−7217(オキシアルキレン鎖がオキシブチレンである、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上);高分子量エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、EHPE−3150);脂環式液状エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、セロキサイド2081)、又はこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、溶媒に溶解することができ、且つ溶媒の蒸発により固化しやすいという点から、常温で固体のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。塗布膜が常温で固化しやすくなるように、重量平均分子量1000以上が好ましく、重量平均分子量2000以上がより好ましい。溶媒への相溶性をよくするために、重量平均分子量10万以下が好ましく、更に重量平均分子量1万以下が好ましい。
(1−2)光選択吸収剤
光選択吸収剤としては、分子内にπ電子結合を有する色素が好ましい。分子内にπ電子結合を有する色素としては、芳香環を含む化合物であることが好適である。より好ましくは1分子内に2個以上の芳香環を含む化合物である。なお、光学フィルターとしては、上記分子内にπ電子結合を有する色素が600〜900nmの波長域に吸収極大を有すること、すなわち特定色素であることが好ましい。赤外線又は近赤外線カットフィルターの場合、600〜900nmの波長域に吸収極大を有することが好ましい。
上記分子内にπ結合を有する色素としては、例えば、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、シアニン系色素、ニッケル錯体系色素、銅イオン系色素等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。耐熱性、耐候性の観点からは、双性イオン構造及びカチオン性構造のいずれも有さない色素が好ましく、特にフタロシアニン系色素及びポルフィリン系色素が好適であり、フタロシアニン系色素がより好適である。また、400〜600nmの可視光領域の透過性が高く、600〜1100nmの吸収係数が高く、蒸着後の耐候性が高いという観点では、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素等のオキソカーボン系化合物が好ましい。
オキソカーボン系化合物とは、化学構造中にオキソカーボン骨格を有する化合物であり、具体的には、下記(1)式で示されるスクアリリウム系化合物又は下記(2)式で表されるクロコニウム系化合物が用いられる。
(1)式中のRS1とRS2、(2)式中のRC1とRC2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、下記(1a)又は(2a)で示される構造単位である。
Figure 0006705723

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式(1a)中、環Aは4〜9員、好ましくは6〜8員環の不飽和炭化水素環である。X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。nは0〜6の整数であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。環Bは置換基を有していてもよい脂環式複素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。なお*は式(1)中の4員環又は(2)式中の5員環との結合部位を表す。
環Aの構造としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロノネン、シクロノナジエン、シクロノナトリエン、シクロノナテトラエン等のシクロアルケン構造が挙げられる。中でも、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のシクロアルカンモノエンが好ましい。
環Bを構成する芳香族複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環等が挙げられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環等が挙げられる。
脂環式複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環等が挙げられ、より具体的にはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環等が挙げられる。
環Bを構成する芳香族環又は縮合環としては、炭素数6〜14のものが挙げられ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。
複素環または芳香族環の置換基としては、同一または異なって1〜5個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、スルホンアミド基、アルキル基、アラルキル基、シアノ基、ハロゲン原子、−R’=R”−Ar(R’およびR”は同一であって、NまたはCHを表し、Arは、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、ハロゲン基で置換されていてもよいアルキル基、シアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基で置換されていてもよいアリール基を表す)等が挙げられる。アルキル基またはアルコキシ基の置換基としては、同一または異なって1〜3個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。中でも、置換基を有していてもよい5員あるいは6員の複素環または置換基を有していてもよい5員あるいは6員の芳香族環が好ましい。
(1a)式中、nは、0〜6の整数、好ましくは0〜5の整数、より好ましくは0〜3の整数、さらに好ましくは0〜2の整数である。nが1以上である場合、環Aを構成する炭素原子に結合する水素原子はYで置換されることになる。
X及びYの例である有機基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオオキシ基(アルキルチオ基)、アルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオオキシ基(アリールチオ基)、アリールオキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アリールスルフィニル基、アミド基(−NHCOR)、スルホンアミド基(−NHSO2R)、カルボキシ基(カルボン酸基)、ベンゾチアゾール基、ハロゲノアルキル基、シアノ基等が挙げられる。また極性官能基としては、ハロゲノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基(スルホン酸基)等が挙げられる。
Xの例である有機基又は極性官能基としては、上記の中でも、アルキル基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基が好ましく、より好ましくはアルキル基又はアリール基である。この場合、アルキル基の炭素数は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であれば1〜6が好ましく、より好ましくは1〜4であり、脂環式のアルキル基であれば4〜7が好ましく、より好ましくは5〜6である。アリール基の炭素数は6〜10が好ましく、より好ましくは6〜8である。具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が好ましく挙げられる。
Yの例である有機基又は極性官能基としては、上記の中でも、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノ基、フェニル基、アルコキシカルボニル基(エステル基)、アミド基、スルホンアミド基、水酸基が好ましく、より好ましくはアルキル基又は水酸基である。この場合、アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1〜2である。具体的には、Yの例である有機基又は極性官能基としては、メチル基、エチル基、水酸基等が好ましく挙げられる。前記nが2以上の場合、各Yは同じであってもよいし異なっていてもよい。
式(2a)中、R、R2、R4、R5はそれぞれ独立して有機基、極性官能基、又は水素原子であり、R3は窒素原子を含む有機基又は極性官能基であり、R1及びR5は少なくとも一方が、窒素原子又は酸素原子を含む有機基又は極性官能基である。なお*は(1)式中の4員環又は(2)式中の5員環との結合部位を表す。
特に好ましいスクアリリウム系化合物は、(1)式の構造単位において、環Aがシクロヘキセン、シクロヘプテン、又はシクロオクテンであり、Xが炭素数1〜4のアルキル基であり、環Bがベンゼン環又はナフタレン環である化合物である。特に好ましいスクアリリウム系化合物において、環Bが置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基、トリハロゲノメチル基、フェニル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲノ基が好ましい。
以上のような構成を有するオキソカーボン系化合物は、例えば、以下の論文に記載の合成法により合成することができる。
SAJJADIFAR ET AL: ‘New 3H-Indole Synthesis by Fischer's Method. Part I.' Molecules 2010, No. 15, April 2010, pages 2491-2498
Serguei Miltsov ET AL; ‘New Cyanine Dyes:Norindosquarocyanines', Tetrahedron Letters, Volume 40, Issue 21, May 1999, pages 4067-4068
上記論文の他、ピロール環含有化合物とクロコン酸とを反応させる合成法としては、例えば、特開2002−286931号公報、特開2007−31644号公報、特開2007−31645号公報、特開2007−169315号公報に記載の方法を参照してもよい。
なお、光選択吸収剤としては、上記オキソカーボン系化合物の他、フタロシアニン系色素、シアニン系色素、ポルフィリン系色素、ピロメテン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、スクアリリウム系色素、トリアリールメタン系色素、インジゴ系色素、銅イオン系色素、ジイモニウム系色素等の近赤外吸収性化合物を併用してもよい。


このような光選択吸収剤は、ベース樹脂100質量部あたり、溶媒への溶解性の観点より50質量部以下が好ましく、20質量部以下が更に好ましい。色素の吸収量の観点より、1質量部以上が好ましく、3質量部以上が更に好ましい。
(1−3)硬化剤
本発明で用いる樹脂組成物が硬化性樹脂組成物の場合、硬化性樹脂の硬化反応を促進する硬化剤を含有することが好ましい。硬化剤は、硬化性樹脂の種類により適宜選択される。
硬化性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合、加熱又は光照射によりラジカルを発生し、硬化性(メタ)アクリル系樹脂中の(メタ)アクリロイル基等のビニル基の重合を開始させることができるラジカル重合開始剤を用いることができる。
硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては、酸無水物、アミン類、ホスフィン類フェノール類(フェノール樹脂含む)、チオール類を用いることができる。
酸無水物としては、脂環式カルボン酸無水物が好ましく、更に好ましくは、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸であり、更に好ましくは、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸である。
カチオン硬化性樹脂の場合、カチオン硬化触媒としては、ルイス酸、ルイス塩基の組合せを用いることが好ましい。
上記ルイス酸として具体的には、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPB)、ビス(ペンタフルオロフェニル)フェニルボラン、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン等が好ましい。成形体の耐熱性、耐湿熱性、低吸水性、耐UV照射性等を向上できる点で、TPBがより好ましい。
上記ルイス塩基は、上記ルイス酸に配位することができるもの、すなわち、上記ルイス酸が有するホウ素原子と配位結合を形成できるものであればよく、具体的には、窒素原子、リン原子又は硫黄原子を有する化合物を用いることができる。
上記窒素原子を有する化合物として好ましくは、アミン類(モノアミン、ポリアミン)、アンモニア等が挙げられる。より好ましくは、ヒンダードアミン構造を有するアミン、低沸点のアミン、アンモニアである。記リン原子を有する化合物として好ましくは、ホスフィン類である。具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリトルイルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記硫黄原子を有する化合物として好ましくは、チオール類及びスルフィド類である。チオール類としては、具体的には、メチルチオール、エチルチオール、プロピルチオール、ヘキシルチオール、デカンチオール、フェニルチオール等が挙げられる。スルフィド類の具体例としては、ジフェニルスルフィド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、メチルフェニルスルフィド、メトキシメチルフェニルスルフィド等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、ベース樹脂の種類、硬化剤の種類に応じて適宜選択される。ベース樹脂がエポキシ樹脂で、カチオン硬化剤として、ルイス酸とルイス塩基の組合せを用いる場合、ベース樹脂100質量部あたり、カチオン硬化剤は0.1〜10質量部含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。
(1−4)シランカップリング剤
光選択吸収樹脂膜の材料となる樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。オキシラン環含有化合物とオキソカーボン系化合物とを組み合わせた樹脂組成物を用いた場合、樹脂組成物の光選択的透過性と耐湿熱性とが共に優れた硬化物を製造し難いが、シランカップリング剤を含有することにより、選択的透過性と耐湿熱性とが共に優れた硬化物とすることができ、さらに接着性(特にガラス基板への密着性)を向上させることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、γ−(2,3−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ環含有シランカップリング剤;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の不飽和炭化水素基含有シランカップリング剤などを用いることができる。これらのうち、特に、エポキシ環含有シランカップリング剤が好ましく用いられる。
樹脂組成物におけるシランカップリング剤の含有量は、密着性付与の観点から、ベース樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましい。
(1−5)メルカプト基含有化合物
本発明で用いる樹脂組成物は、さらにメルカプト基含有化合物を含むことが好ましい。オキソカーボン系化合物と硬化触媒とを組み合わせた樹脂組成物を用いた場合、樹脂組成物の選択的透過性が十分に優れた硬化物を製造し難いが、オキソカーボン系化合物と硬化触媒とを組み合わせた樹脂組成物にメルカプト基含有化合物を含有することで、選択的透過性が十分に優れた硬化物とすることができ、さらに接着性(特にガラス基板への密着性)を向上させることができる。すなわち、可視光線透過率向上剤として用いることができる。また、樹脂組成物にメルカプト基含有化合物を含有することで、可視光領域に吸収を有する着色成分の生成が抑制されていると考えられる。
メルカプト基含有化合物としては、化合物中にメルカプト基を1つ以上含有する化合物であればよいが、好ましくは2〜6個、より好ましくは3〜5個含有する化合物である。例えば、β−メルカプトプロピオン酸、2−エチルへキシル−3−メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート、メトキシブチル−3−メツカプトプロピオネート、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−〔(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル〕イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプリピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)などのβ−メルカプトプロピオン酸類を用いることができる。これらのうち、トリス−〔(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル〕イソシアヌレート(TEMPIC)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプリピオネート)(PEMP)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)(DPMP)が好ましく、より好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプリピオネート)(PEMP)である。
また、メルカプト基含有化合物として、下記式で表されるメルカプト基含有シランカップリング剤を用いてもよい。
HS−R−Si(OR’)n(R”)3-n
Rはアルキル基であり、好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基である。R’は、アルキル基、アセチル基、又はメトキシアルキル基であり、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。R”はアルキル基であり、好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。nは1以上3以下であり、好ましくは3である。メルカプト基含有シランカップリング剤の具体例としては、シランカップリング剤で例示したメルカプト基含有シランカップリング剤が挙げられる。
ベース樹脂100質量部にあたりのメルカプト基含有化合物の含有量は、0.1〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。
(1−6)表面調整剤
樹脂組成物には、さらに表面調整剤を含有してもよい。表面調整剤を含有することにより、形成される樹脂膜のへこみやストライエーションといった欠陥を抑制することができ、樹脂膜表面の均質性を向上することができる。
表面調整剤としては、特に限定しないが、シロキサン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アクリル系レベリング剤などが挙げられる。好ましくはシロキサン系界面活性剤又はアクリル系レベリング剤であり、より好ましくはシロキサン系界面活性剤である。
シロキサン系界面活性剤とは、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を有する界面活性剤のことであり、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられるが、樹脂組成物中におけるオキソカーボン系化合物の分散性の観点から、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが含まれていることが好ましい。また、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、親水基がポリアルキレンオキサイド(より好ましくはエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド)、疎水基がジメチルシロキサンで構成される非イオン系の界面活性剤であることが好ましい。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−330、BYK−331、BYK−337、BYK−344(以上、ビックケミー社製)、KF−618、KF−351、KF−352、KF−353、KF−6011、KF−6015(以上、信越化学工業社製)などが挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが挙げられる。
アクリル系レベリング剤としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタリレート等を単独で重合した重合体、または、2種類以上を共重合した共重合体を挙げることができる。
ベース樹脂100質量部にあたりの表面調整剤の含有量は、0.001〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部である。
(1−7)その他の成分
本発明で用いられる樹脂組成物は、上記成分の他、本発明の作用効果を損なわない限りにおいて、カチオン硬化触媒以外の硬化触媒・硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合を有さない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤、有機充填剤、シランカップリング剤以外のカップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
(2)溶媒
以上のような樹脂組成物を溶解するための溶媒は、上記ベース樹脂、光選択吸収剤を溶解できる有機溶媒であり、1種類の有機溶媒であってもよいし、2種類以上の有機溶媒の混合物であってもよい。
樹脂溶液中の溶媒量は、材料の溶解やスピンコート時における均一な塗膜を広げるという観点では、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。同様の理由で、樹脂溶液中の樹脂固形分含有率は、90質量%未満が好ましく、70質量%未満がより好ましく、50質量%未満が特に好ましい。樹脂溶液中の溶媒量は、単時間での製膜や塗布膜厚みの確保という観点では、95質量%未満が好ましく。90質量%未満がより好ましく、80質量%未満が特に好ましい。同様の理由で、樹脂溶液中の樹脂固形分含有率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましい。
使用可能な有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、テトラリン、スチレン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルクロライド、1,1,1−トリクロロエタン、1−クロロブタン、シクロヘキシルクロライド、trans−ジクロロエチレン、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、n−プロパノール、n−ブタノール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、ブトキシエタノール、ジアセトンアルコール、ベンズアルデヒド、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−i−アミルケトン、シクロヘキサン、アセトフェノン、メチラール、フラン、β−β−ジクロロエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル、n−酢酸ブチル、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ジメチルスルオキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独又は2種類以上の混合物として、下記要件を充足する範囲で用いられる。本発明の形成方法は、後述するように、基板上に均一に塗布するために、スピンコート工程の回転時間が従来法と比べて短い。このため、当該時間で、樹脂膜が乾燥できる溶媒であることが望まれる。ここでいう「乾燥」とは、流動しなくなる程度にまで硬化した状態をいい、若干の溶媒は樹脂膜中に残留している場合を含む。
具体的要件としては、以下の溶媒を全溶媒の10質量%以上、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは80%以上含む事が好ましい。20℃における蒸気圧が0.1kPa以上が好ましく、0.5kPa以上がより好ましく、1kPa以上が特に好ましい。また、20℃における蒸気圧の下限は30kPa未満が好ましく、10kPa以下がより好ましく、5kPa以下が特に好ましい。また、沸点50℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上である。また、沸点の下限は250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、150℃以下が特に好ましい。
蒸気圧が0.1kPa未満あるいは沸点50℃以上では、回転停止までの間に溶媒が十分に蒸発せず、形成した樹脂膜がなおも流動性を有する状態を保持していることになる。回転停止後も流動性を有する状態にあると、次に行う後硬化工程に移行するまでの間、別途、乾燥工程を行う必要があり、生産効率の点から好ましくない。また、回転停止後の流動により樹脂膜の均質性が変化するおそれもある。
一方、20℃における蒸気圧30kPa超あるいは沸点50℃未満では、溶媒の蒸発、揮発が早すぎて、滴下中にも蒸発が進んで、回転中に十分な流動性を確保できなくなるおそれがある。この場合、スピンコートにより十分に基板上に拡散流延されず、その結果、膜の均質性が低下したり、回転時の樹脂固形分濃度が高くなりすぎて、薄膜を形成できなくなる等の問題がある。
以上のような条件を充足できる溶媒としては、例えば、単独の有機溶媒としては、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンが挙げられ、2種類以上を組合せた混合溶媒としては、トルエンとキシレンの組合せ、シクロヘキサンとキシレンの組合せなどが挙げられる。
有機溶媒が、光選択吸収樹脂膜中に残留している場合、残留溶媒が光の吸収性に影響を及ぼす場合がある。かかる点からも、製造工程終了時に、溶媒が完全に除去されていることが好ましい。熱硬化型樹脂の溶液の場合、スピンコート工程後に行う加熱硬化工程で溶媒は蒸発できるが、後述するように、加熱工程は基板を垂直に立てた状態で行われる場合が多い。このため、加熱硬化工程に供する時点で、樹脂膜が乾燥状態にあることが好ましい。
〔固化工程〕
スピンコート後、樹脂膜を固化させる。固化工程は、樹脂組成物の種類、特にベース樹脂の種類に応じて、適宜選択される。
固化工程は、ベース樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には冷却工程となり、光硬化性樹脂を用いた場合には光照射工程となり、熱硬化性樹脂を用いた場合には加熱硬化工程となる。
このような固化工程前に、必要に応じて、溶媒を完全に除去するための乾燥工程を行ってもよい。
乾燥工程としては、溶媒が蒸発できる温度での放置、加熱が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物を用いている場合、加熱硬化工程で、溶媒を完全に蒸発させることができるので、乾燥工程は特段行わなくてもよい。
以下、好ましい樹脂組成物であるカチオン硬化性樹脂組成物を用いた場合の固化工程、即ち加熱硬化工程について説明する。
加熱硬化条件は、使用する樹脂組成物の組成に応じて、適宜設定される。
エポキシ樹脂と硬化剤の組合せの場合、80〜300℃で、好ましくは100〜250℃で、30分〜2時間程度保持して、完全硬化及び溶媒を完全に蒸発させる。
加熱硬化工程は、加熱オーブン内に静置しておくことにより行う。
作成した樹脂膜積層基板を複数枚一括して加熱硬化を行うことが、生産効率の点で好ましい。基板を垂直に立てた状態で、オーブン内に静置しておくことが好ましい。形成された塗膜上にチリ、ホコリ等の不純物、異物が付着することを防止するという観点からも、垂直に立てた状態で加熱硬化行うことは好ましい。
加熱硬化工程を垂直に立てた状態で行うという点からも、オーブンに入れる前の状態で、樹脂膜は乾燥、すなわち流動性のない状態となっておくことが好ましい。
また、加熱硬化工程は、窒素等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましく、より好ましくは系内に窒素気流を流入又は不活性ガスでオーブン内のガス置換を行った後、加熱硬化を行うことが好ましい。
これにより、加熱硬化工程における光選択吸収剤の変性を防止できる。
[光選択吸収樹脂膜]
以上のようにして形成される光選択吸収樹脂膜の厚みは、光学フィルターの種類、使用する樹脂組成物の組成、色素、基板等により異なるが、通常0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
そして、形成された光選択吸収樹脂膜は膜厚均質性に優れている。具体的には、最大膜厚と最小膜厚の割合は、全膜厚に対して±10%未満であり、好ましくは6%未満である。
特定波長の光を吸収する光選択吸収剤を含有する光選択吸収膜の透過率スペクトルは、一般に膜厚に依存する。例えば、図2に示すように、赤外線カットフィルターとして、ある膜厚の光選択吸収樹脂層が形成された場合のスペクトルが実線の場合(50%透過率波長T=645nm)、分厚くなると、全体に透過率が下がって、破線のようなスペクトルとなる。結果として、4隅部のような分厚い光選択吸収樹脂膜部分では、可視光波長域(500〜700nm)での50%透過率波長(T2)が短波長側にシフトし、透過色が変化する。なお、薄くなりすぎると、透過色の変化だけでなく、赤外吸収域波長の光のカットが不十分となるおそれがある。
本発明の形成方法で作製される光選択吸収樹脂膜では、角形基板であっても、膜厚の均質性が高いことから、光選択吸収膜における50%透過率波長のばらつき偏差(最大波長と最小波長の差)を、10nm以下、好ましくは8nm以下、より好ましくは5nm以下、さらに好ましくは4nm以下に抑制することができる。具体的には、角形基板を3mm×3mm〜8mm×8mm程度のマスに分割し、各マスの中心2mmの円形領域の透過率スペクトルを得た場合に、基板中心部のマスと隅部のマスの50%透過率波長の差を、10nm以下、好ましくは8nm以下、より好ましくは5nm以下、さらに好ましくは4nm以下に抑制することができる。換言すると、縁部から1mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましく0.3mm以下の領域を除いて、透過率のばらつき、偏差を上記範囲程度に抑制することが可能である。
さらに、本発明の光選択吸収樹脂膜の形成方法によれば、従来よりも高速回転で短時間のスピンコートを特徴とすることから、当該スピンコート法により、樹脂材料の廃棄を増大させることなく、成膜の生産性も高い。
〔用途〕
以上のようにして形成された光選択吸収樹脂膜は、基材の種類に応じて、光学フィルターの光選択吸収樹脂膜として、あるいは光学部材の光選択吸収コートとして利用することができる。
基板として、厚み1mm以下のガラス基板又は透明樹脂基板を用いた場合、光選択吸収樹脂膜を積層することで、光学フィルターを得ることができる。本発明の形成方法を適用して製造できる光学フィルターとしては、基板の種類、光選択吸収剤の種類に応じて、入射光の一部を選択的に取り出す(パス)又はカットする機能を有する種々の光学フィルターを得ることができる。
具体的には、ある特定波長のみを透過する機能を有するバンドパスフィルター;可視スペクトル(400〜700nm)に対して、ある帯域を吸収し、それ以外の帯域を透過する機能を有するカラーフィルター;ある帯域を反射し、それ以外の帯域を透過する機能を有するダイクロックフィルター;可視光領域において、全ての波長の光を平均的に減光させるニュートラル・デンシティフィルター(ND)フィルター;透過を遮断する波長帯と透過波長帯であるパスバンド帯を併せもつロングパスフィルター又はショートパスフィルター;カットフィルターなどが挙げられる。
特に、赤外線カットフィルター、紫外線カットフィルター、近赤外線カットフィルターが好適であり、好ましくは近赤外線又は赤外線カットフィルターである。
本発明の光選択吸収樹脂膜の形成を適用して光学フィルターを製造する場合、光選択吸収樹脂膜を形成した後、光選択樹脂膜上又は基材の光選択樹脂膜が積層されていない側の面に、誘電体無機物の蒸着膜を積層してもよい。当該蒸着膜は、1層に限らず、多層膜であってもよい。蒸着する無機物の種類、層構造、層数により、反射膜、反射防止膜などの機能膜とすることができる。
反射膜(又は反射防止膜)としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を用いるのが好ましい。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.7〜2.5の材料が選択される。高屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化錫、酸化ビスマス等の酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;前記酸化物や前記窒化物の混合物やそれらにアルミニウムや銅等の金属や炭素を含有ドープしたもの(例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO))等が挙げられる。低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.2〜1.6の材料が選択される。低屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が挙げられる。これらの低屈折材料、高屈折材料の種類、層数、膜厚を調整することで、反射膜(又は反射防止膜)とすることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
〔膜厚均質性の評価方法〕
76mm×76mmのガラス基板の縦辺、横辺それぞれを7.6mm間隔で分割し、100マスに分割した。各マスについて、UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)を用いて、各マスの透過率スペクトルを測定し、600nm〜700nmにおける透過率が50%となるときの波長を求めた。
使用した光選択吸収剤に基づき、50%透過率波長が645nm付近となるように成膜した。樹脂膜積層基板全体(100マス)の50%透過率波長の平均値、及び100マスの50%透過率波長のばらつき範囲、及び偏差(50%透過率の最大値と最小値の差)を求めた。
なお、各マスの透過率の測定は、各マスの中心の直径2mmの円形領域内での透過率を測定した。
〔樹脂組成物の調製〕
(1)カチオン硬化触媒
(1−1)TPB含有粉末(ルイス酸)
WO1997/031924号公報に記載された合成法にしたがって、TPB(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)含有量7%の安藤パラケミ―社製アイソパー(登録商標)E溶液255gを調製した。
このアイソパーE溶液に、水を60℃で滴下すると、滴下途中から白色結晶が析出した。反応液を室温まで冷却した後、得られたスラリーを吸引濾過し、n−ヘプタタンで洗浄した。得られたケーキを60℃で減圧乾燥した後、白色結晶であるTPB・水錯体(TPB含有粉末)18.7gを得た。この錯体は、水分量9.2%(カールフィッシャー水分計)であり、TPB含有率は90.8%であった。
乾燥後の錯体について、19F−NMR分析及びGC分析を実施したが、TPB以外にピークは検出されなかった。尚、19F−NMR分析の結果は以下の通りである。
19F−NMR(CDCl3)ppm(標準物質CFCCl3 0ppm)
δ=−135.6(6F,m)
δ=−156.5(3F,dd)
δ=−163.5(6F,d)
(1−2)カチオン硬化触媒の調製
上記TPB含有粉末(ルイス酸)と、ルイス塩基としてのアンモニアの組合せを、以下のように混合して、カチオン硬化触媒とした。
TPB含有粉末2g(TPB純分:1.816g(3.547mol)、水0.184g(10.211mmol)に対し、トルエン1.1gを添加し、室温で10分間混合した。
得られたTPBのトルエン溶液に、2mol/Lのアンモニア・エタノール溶液2.6g添加し、室温で60分間混合した。得られた均一溶液をカチオン硬化触媒として用いた。
(2)近赤外線吸収剤
近赤外線吸収剤として、下記(3)式の構造を有するスクアリリウム化合物を用いた。このスクアリリウム化合物の吸収最大波長は730nmである。
Figure 0006705723

上記スクアリリウム化合物は、ピロール環含有化合物とスクアリン酸とを反応させる公知の合成方(例えば、すでに述べた論文に記載の方法)によって合成することができる。
(3)シランカップリング剤溶液
シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング社のofs-6040(従来のZ−6040である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)4部、2−プロパノール(和光純薬製)5.2部、純水(和光純薬製)0.6部、及びギ酸0.2部を、25℃で90分間混合し、シランカップリング剤の均一溶液を得た。
(4)塗工用樹脂溶液の調製
ベース樹脂として、オキシラン化合物であるダイセル社製の脂環式エポキシ樹脂(EHPE3150)を用いた。ベース樹脂100部を、トルエン(和光純薬工業社製)150部、o-キシレン75部と、80℃で混合した。
この樹脂溶液に、上記で合成したスクアリリウム化合物9部、表面調整剤としてビッグケミー社製のBYK−306(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)0.4部、透過率向上剤としてSC有機化学社製のPEMP(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート),下記式参照)10部を添加し、25℃にて、60分間混合し、均一溶液を得た。この溶液に、上記で調製したカチオン硬化触媒2.5部を添加した後、25℃にて5分間混合した。さらに、上記で調製したシランカップリング剤溶液10部を、25℃で30分間混合した。得られた均一溶液を、細孔径0.1μmPTFEフィルター(GE Helthcare社製、Whatman6784-2501)で濾過して異物を除去した。
Figure 0006705723
〔光学フィルターの製造〕
実施例1:
塗布装置として、スピンコータ(ミカサ株式会社のMS−A200)を用いた。
上記で調製した樹脂溶液を、76mm×76mmのガラス基板上に、1g滴下した後、0.1秒間で1800rpmまで加速し、1800rpmを1秒間維持した後、0.1秒間で停止させて、回転塗布した。
成膜したガラス基板を、イナートオーブン(光洋サーモシステム社のCL0−9CH)に入れ、オーブン内を室温で、30分間窒素置換した後(酸素濃度100ppm未満)、30分で200℃まで昇温し、当該温度を保持した。200℃を30時間保持した後、30分間で150℃まで降温し、光選択吸収樹脂膜積層基板を取り出した。このようにして得られた光選択吸収樹脂膜積層基板における光選択吸収樹脂膜の厚みは、2μmであった。
このようにして得られた光選択吸収樹脂膜積層基板について、UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)を用いて、100マスそれぞれの透過率スペクトルを得た。さらに、各マスの50%透過率波長を求めた。
また、上記評価方法に基づいて、100マスの50%透過率波長の平均値、50%透過率波長の偏差を算出した。
比較例1:
スピンコート条件を、以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に成膜し、同様に乾燥硬化させて、光選択吸収樹脂膜が形成された樹脂積層基板を作成し、100マスそれぞれの透過率スペクトルを得、各マスの50%透過率波長を求めた。
スピンコート条件
0.5秒間で1300rpmまで加速し、1300rpmを20秒間維持した後、0.1秒間で0rpmに戻した。
作成した実施例及び比較例の樹脂積層基板について、50%透過率波長の平均値(nm)、4隅部での50%透過率波長(nm)、透過率波長の偏差(nm)を、まとめて表1に示す。また、各マスで得られた透過率スペクトルのうち、基板中心部のマスのスペクトル、4隅部のうち50%透過率波長が最大値及び最小値を示したマスの透過率スペクトルを図3(実施例1)、図4(比較例1)に示す。
Figure 0006705723
表1及び図3からわかるように、最高回転数までの加速時間及び最高回転数の継続時間を短くした実施例の形成方法では、中心位置と4隅部との50%透過率波長の差は4nmと小さく、角形基板全体に、均質性の高い光選択吸収樹脂膜を形成できたことがわかる。図3においては、基板中心部の透過率スペクトルと4隅部の透過率スペクトルとは、ほぼ一致していた。
一方、高速回転数までの加速時間が0.5秒間で、最高回転数の継続時間が20秒間の比較例の形成方法では、50%透過率の平均値は、646.5nmで、実施例1と同程度であったが、4隅部では627nm、630nmといった630nm未満にまでシフトし、4隅部で膜厚が大きくなっていることが認められた。具体的には、図4に示すように、基板中心部の透過率スペクトル(実線)に対して、50%透過率が最小値を示した隅部の透過率スペクトル(破線)は、全体に透過率が下がっていた。50%透過率波長の偏差は、22nmと大きく、均質性が劣る光選択吸収樹脂膜が形成されたことがわかる。
実施例2
実施例1で得られた光選択吸収樹脂膜積層体の樹脂膜が形成されている側の反対側の面に、酸化チタン25層/シリカ26層の交互蒸着膜(赤外線反射膜)を形成し、樹脂膜上に酸化チタン2層/シリカ3層の交互蒸着膜(可視光反射防止膜)を形成した。これにより、撮像装置用の良好な赤外線反射吸収型の赤外線カットフィルターが得られた。
本発明の光選択吸収樹脂膜の形成方法によれば、角形基板に対しても、膜の均質性、ひいては優れた光選択吸収・透過特性を有する光選択吸収樹脂膜を形成することができる。したがって、本発明の光選択吸収樹脂膜の形成方法を適用することで、角形の光学フィルターを効率よく製造することができる。
1 角形基板
2 天板
3 樹脂溶液
6 液滴付着防止板

Claims (15)

  1. 角形の基板上に光選択吸収機能を有する樹脂膜(光選択吸収樹脂膜)を、該樹脂膜の材料である樹脂溶液を滴下するスピンコート法により形成する方法であって、
    前記樹脂溶液の滴下終了後に加速して最高回転数に到達するまでの加速時間が2秒未満で、且つ前記最高回転数の継続時間が0.5秒以上で5秒未満である光選択吸収樹脂膜の形成方法。
  2. 前記樹脂溶液の滴下終了後に回転を開始する請求項1に記載の形成方法。
  3. 前記樹脂溶液には、シランカップリング剤が含有されている請求項1又は2に記載の形成方法。
  4. 前記回転数が1500rpm以上であって、且つ前記加速時間が0.2秒未満で、前記継続時間が3秒未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の形成方法。
  5. 前記スピンコート工程は、前記樹脂溶液の溶媒が揮散できる開放系で行われる請求項1〜のいずれか1項に記載の形成方法。
  6. 前記スピンコート工程は、前記基板の前記樹脂膜が形成される側の面の上方に、液滴が付着できる天板が設けられた状態で行われる請求項に記載の形成方法。
  7. 前記スピンコート工程は、前記基板の前記樹脂膜が形成される側の面の反対側に、前記基板よりも大きいサイズの液滴付着防止板が設けられていて、
    前記基板と前記液滴付着防止板との間の距離は、1mm未満である請求項5又は6に記載の形成方法。
  8. 前記樹脂溶液は、20℃以上における蒸気圧が1kPa以上の有機溶媒を10%以上95%以下含む樹脂溶液である請求項1〜のいずれか1項に記載の形成方法。
  9. 前記樹脂溶液は、カチオン硬化性樹脂組成物を、前記溶媒で溶解した溶液である請求項1〜8のいずれか1項に記載の形成方法。
  10. 前記樹脂溶液は、光選択吸収剤を含有している請求項1〜9のいずれか1項に記載の形成方法。
  11. 前記樹脂溶液の粘度は0.1〜100mPa・sである請求項1〜10のいずれか1項に記載の形成方法。
  12. 前記基板は、少なくとも一辺が30mm〜120mmの角形である請求項1〜11のいずれか1項に記載の形成方法。
  13. 前記樹脂溶液は、スピンコート工程後、流動性を有しない状態となっている請求項1〜12のいずれか1項に記載の形成方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の形成方法を含むカットフィルターの製造方法。
  15. 角形基板上に、該角形基板に接して光選択吸収樹脂膜が積層された赤外線又は近赤外線カットフィルターであって、
    前記光選択吸収樹脂膜は、エポキシ樹脂をカチオン硬化系触媒で硬化した硬化体であり、光選択吸収剤としてオキソカーボン系化合物を含んでいて、
    前記光選択吸収樹脂膜の透過率波長の偏差は、600〜700nmの可視光波長域の光の透過率が50%となる波長として10nm以下である赤外線又は近赤外線カットフィルター。
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