WO2016098810A1 - 光学フィルタ及びこれを用いた装置 - Google Patents

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Abstract

 光学フィルタは、緑色色素、及び黒色色素を含有し、下記(i)及び(ii)の要件を満足する構造体1を具備する。また、装置は、そのような光学フィルタを備える。 (i)波長400~730nmの光の平均透過率が2%以下である。 (ii)波長800~1000nmの間に、平均透過率が80%以上となる連続する50nmの波長域を有する。

Description

光学フィルタ及びこれを用いた装置
 本発明は、赤外波長域の光を選択的に透過する光学フィルタ、及びこれを用いた赤外線カメラ、赤外線センサ等の装置に関する。
 近年、CCD、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を用いた撮像装置においては、色調を良好に再現し、かつ鮮明な画像を得るために、近赤外波長域の光を遮蔽するフィルタ(近赤外線カットフィルタ)が用いられている。
 一方で、近赤外線カットフィルタとは異なり、可視波長域の光(以下、可視光ともいう)を遮断し、赤外波長域の光(以下、赤外光ともいう)を透過して、赤外光の感度を高めるフィルタ(赤外光透過フィルタ)も、赤外線カメラや赤外線センサ等を中心に用いられており、赤外光透過性/可視光遮断性に優れる赤外光透過フィルタ、またそれを用いた赤外線カメラ、赤外線センサ等の要求も高まっている。
 赤外光透過フィルタとしては、例えば、特許文献1に、4つの顔料(赤/黄/青/紫顔料)を用いた、波長825~1300nmの光の平均透過率が99%以上のものが開示されている。その一方で、波長400~700nmの光の平均透過率は6%前後と決して低くない。
 特許文献2には、ペリレン系化合物と2種の着色剤(青色または緑色着色剤と黄色または赤色着色剤)を併用した赤外光透過型の光学フィルタ、及びそれを用いた光センサが開示されている。
 しかし、この光学フィルタも、波長700nmの光の透過率が4~7%程度であり、可視光に対する遮断性が不十分であり、高い感度の光センサは得られない。
 このように、従来の赤外光透過フィルタは、特に可視光の遮断性が十分ではなく、しかも分光透過率曲線において、可視波長域から赤外波長域にかけての透過率の変化の勾配(立ち上がり)が緩い。このため、不要な波長域の光量を十分に抑制できずにノイズとなり、高感度の赤外線カメラ、赤外線センサを実現できなかった。
国際公開第2014/084147号 特開2014-130332号公報
 本発明は、可視光の遮断性及び赤外光の透過性に優れ、可視波長域から赤外波長域にかけての波長域で透過率が急峻に変化する、優れた赤外光選択透過性を有する光学フィルタ、及びそのような光学フィルタを用いた高感度の装置の提供を目的とする。
 本発明の一態様に係る光学フィルタは、緑色色素、及び黒色色素を含有し、下記(i)及び(ii)の要件を満足する構造体を具備することを特徴とする。
(i)波長400~730nmの光の平均透過率が2%以下である。
(ii)波長800~1000nmの間に、平均透過率が80%以上となる連続する50nmの波長域を有する。
 また、本発明の他の態様に係る装置は、上記光学フィルタを備えたことを特徴とする。
 本発明によれば、可視光の遮断性及び赤外光の透過性に優れ、可視波長域から赤外波長域にかけての波長域で透過率が急峻に変化する、優れた赤外光選択透過性を有する光学フィルタを提供できる。また、本発明によれば、そのような光学フィルタを備えた高感度の装置を提供できる。
第1の実施形態の光学フィルタの一例を示す断面図である。 第1の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第1の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第1の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第1の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第1の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第1の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第2の実施形態の光学フィルタの一例を示す断面図である。 第2の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第2の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第2の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第2の実施形態の光学フィルタの他の例を示す断面図である。 第3の実施形態の撮像装置を示す断面図である。 一実施例における赤外光反射層の分光透過率曲線を示す図である。 一実施例における赤外光反射層の分光透過率曲線を示す図である。 一実施例の光学フィルタの構成を示す断面図である。 実施例及び比較例の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。 一実施例の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。 一実施例の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。 実施例の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。 実施例の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。 実施例の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。
 以下、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
 図1は、本発明の第1の実施形態による光学フィルタの構成を概略的に示す断面図である。本実施形態の光学フィルタは、可視光を遮断し、赤外光を選択的に透過させることが要求される用途、例えば、赤外線カメラ等の撮像装置、赤外線センサ、携帯電話やPC等に搭載される赤外線通信装置、テレビ、オーディオ、エアコン等の家電製品の赤外線リモコン装置、赤外光を用いた静脈認証や虹彩認証等の生体認証装置、モーションセンサ、3次元距離画像カメラ等の用途に有用な光学フィルタである。
 図1に示すように、本実施形態の光学フィルタは、透明樹脂と、この透明樹脂中に分散または溶解された緑色色素、及び黒色色素を含む構造体1を有する。
 光学フィルタは、構造体1の片側(一方の主面)または両側(両主面)に、少なくとも赤外波長域の光、具体的には700nm以上の波長の光を透過する赤外光透過性基材を有してもよい。
 また、光学フィルタは、構造体1、または赤外光透過性基材を備えた構造体1の片側または両側に、無機膜または有機膜からなる反射防止層、パッシベーション機能を有する保護層、耐擦傷性を有する保護層、粘着層等のうち少なくとも1つの層を含む機能層を有してもよい。構造体1の主面を覆って反射防止層または赤外光透過性基材が設けられている場合には、通常、これらの反射防止層または赤外光透過性基材はパッシベーション機能を併せ有するため、保護層は設けなくてもよい場合が多い。なお、構造体1の主面を覆う場合、保護層は、構造体1のうち、光が入射する主面のみを保護するよう形成されてもよく、図示しないが、主面のみならず側面も覆うように保護するよう形成されてもよい。
 図2~7に、第1の実施形態による光学フィルタの他の構成例を示す。ただし、光学フィルタの構成はこれらの例に限定されない。
 図2は、構造体1の一方の主面に赤外光透過性基材2を備える構成例である。
 ここで、「構造体1の一方の主面に、赤外光透過性基材2等の他の層を備える(または有する)」とは、構造体1に接触して他の層が備わる場合に限らず、構造体1と他の層との間に、他の機能層が備わっている場合も含むものと解釈し、以下の構成も同様である。
 図3は、構造体1の両主面に赤外光透過性基材2を備える構成例である。
 図4は、図3の光学フィルタにおいて、一方の赤外光透過性基材2を、接着剤層3を介して構造体1の一主面に備える構成例である。なお、図4の光学フィルタには不図示であるが、構造体1の両主面に接着剤層3を介して赤外光透過性基材2を備えてもよい。
 図3及び図4に示す構成の光学フィルタにおいて、2つの赤外光透過性基材2を構成する材料や厚さ等は同一でも異なってもよい。
 図5は、構造体1の一方の主面に機能層4を備える構成例である。
 図6は、構造体1の両主面に機能層4を備える構成例である。2層の機能層4は同一でも異なってもよい。
 図7は、構造体1の一方の主面に赤外光透過性基材2を備え、他方の主面に機能層4を備える構成例である。
 以下、第1の実施形態による光学フィルタを構成する構造体、赤外光透過性基材、反射防止層、保護層等について説明する。
(構造体)
 構造体は、透明樹脂と、この透明樹脂中に分散または溶解された緑色色素、及び黒色色素を含む。
 構造体の形状、厚さ等は、装置内の配置スペースや要求される光学特性等に応じて適宜定められる。一般には、形状は、板状またはフィルム状であり、その厚さは0.1μm~100μmである。厚さが0.1μm未満では、所望の光学特性を十分に発現できないおそれがある。また、厚さが100μm超では平坦性が低下し、透過率に面内のバラツキが生じるおそれがある。光学特性と平坦性を十分に両立させるためには、厚さは0.3μm~50μmが好ましい。
 構造体は、下記(i)及び(ii)の要件を満足する光学特性を有している。なお、本明細書において、特に断らない限り、「透過率」または「平均透過率」は、「入射角0°の分光透過率曲線における透過率または平均透過率、すなわち、その主面に対し垂直に入射する光の分光透過率曲線における透過率または平均透過率」をいう。
 (i)波長400~730nmの光の平均透過率が2%以下である。
 平均透過率は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下である。
 (ii)波長800~1000nmの間に、平均透過率が80%以上となる連続する50nmの波長域を有する。
 該平均透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
 構造体は、さらに、下記(iii)~(vi)の要件の少なくとも1つを満たしていることが好ましい。
 (iii)波長730~860nmの間に、透過率が10%から80%に遷移する遷移波長域を有し、この遷移波長域における透過率の変化量が0.75%/nm以上である。
 遷移波長域における透過率の変化量は、好ましくは1.00%/nm以上であり、より好ましくは1.25%nm以上であり、さらに好ましくは1.50%/nm以上、より一層好ましくは2.00%/nm以上である。なお、ここでいう「変化量」は、透過率が10%から80%に遷移するときの勾配(%/nm)の平均値に相当する。
 上記遷移波長域における透過率の変化量は、次式で求められる値である。
 D(%/nm)=[Tλ1(%)-Tλ2(%)]/[λ1(nm)-λ2(nm)]
(式中、Dは遷移波長域における透過率の変化量、λ1及びλ2はそれぞれ遷移波長域における長波長側端及び短波長側端の波長、Tλ1は分光透過率曲線の波長λ1における透過率であり、Tλ2は分光透過率曲線の波長λ2における透過率である)
 すなわち、上記式において、Tλ1(%)=80(%)であり、Tλ2(%)=10%であるので、
 D(%/nm)=70(%)/[λ1(nm)-λ2(nm)]
と表現できる。
 (iv)波長400~730nmの光の透過率が10%以下である。
 透過率は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下、より一層好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。
 (v)波長900~1100nmの光の平均透過率が80%以上である。
 平均透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
 (vi)波長900~1100nmの光の透過率が80%以上である。
 透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
 構造体は、また下記(vii)の要件を満たしていることが好ましい。
 (vii)波長850~950nmにおいて、入射光の光量に対する散乱光の光量の平均値(Save)が1%以下である。
 該散乱光の光量の平均値(Save)は、好ましくは0.5%以下である。
 ここで、上記の入射光の光量に対する散乱光の光量の平均値(Save)は、波長850~950nmで発光する光源を用いて構造体に光を入射したときの入射光量をIin、全透過光量をIt、散乱光量をIdとしたとき、次式で求められる値である。
 Save(%)=(散乱光透過率Td/全透過率Tt)×100
(式中、Td=(Id/Iin)×100
    Tt=(It/Iin)×100)
 なお、本実施形態の光学フィルタ及び、第2の実施形態の光学フィルタにおいても、特に、構造体の取り得る光学特性に基づき、(i)及び(ii)の要件を満足することが望まれる。また、本実施形態の光学フィルタにおいて、(i)及び(ii)の要件に加え、(iii)~(vi)の要件の少なくとも1つを満足することが好ましく、(iii)~(vi)の要件すべてを満足することがより好ましい。さらに、本実施形態の光学フィルタにおいて、(vii)の要件を満たす光学特性を備えることが好ましい。
<緑色色素>
 緑色色素としては、例えば、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、シアニン系色素が挙げられる。これらの色素の中から、用途等に応じて1種以上を適宜選択して使用できる。緑色色素は、後述するように、透明樹脂中に分子が凝集して存在する顔料でもよいが、透明樹脂中に分子が溶解して存在する緑色染料が、散乱光発生の懸念が少ないことから好ましい。
a.スクアリリウム系色素
 スクアリリウム系色素は、透明樹脂中に分散して得られる樹脂膜を使用して測定される波長400~1000nmの光の吸収スペクトルにおいて、波長600~800nm内に吸収極大波長を有するものが好ましい。また、その吸収極大波長が発現する吸収ピークの赤外光側の傾きが急峻であることが好ましい。
 このような吸収特性を有するスクアリリウム系色素を使用することにより、前述の要件に加えて、さらに下記要件も少なくとも1つを満たす構造体、さらには該構造体を含む光学フィルタが得られる。
・波長800~900nmの光の平均透過率が80%である。該平均透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
・波長730~800nmの間に、透過率が10%から80%に遷移する遷移波長域を有し、前記遷移波長域の光の透過率の変化量が0.75%/nm以上である。該変化量は、好ましくは1.00%/nm以上であり、より好ましくは1.25%nm以上であり、さらに好ましくは1.50%/nm以上であり、より一層好ましくは2.00%/nm以上である。
・波長800~900nmの光の透過率が80%以上である。該透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
 スクアリリウム系色素としては、一般式(A1)で示されるスクアリリウム系色素が特に好ましい。なお、本明細書において、特に断らない限り、式(A1)で表される色素を色素(A1)と記す。他の式で表される色素も同様に記す。また、式(1)で表される基を基(1)と記す。他の式で表される基も同様に記す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 式(A1)中の記号は以下のとおりである。
 Xは、独立して1つ以上の水素原子が炭素数1~12のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい、式(1)または式(2)で示される2価の有機基である。
 -(CHn1-  …(1)
 式(1)中n1は、2または3である。 
 -(CHn2-O-(CHn3-  …(2)
 式(2)中、n2とn3はそれぞれ独立して0~2の整数であり、n2+n3は1または2である。
 Rは、独立して飽和環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~12の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素数3~12の飽和環状炭化水素基、炭素数6~12のアリール基または炭素数7~13のアルアリール基を示す。
 R及びRは、独立して水素原子、または、炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
 Rは、独立して1つ以上の水素原子が水酸基、カルボキシ基、スルホン基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよく、分岐を有してもよい炭素数1~25の炭化水素基である。
 上述において、飽和もしくは不飽和の環構造とは、炭化水素環及び環構成原子として酸素原子を有するヘテロ環をいう。さらに、環を構成する炭素原子に炭素数1~10のアルキル基が結合した構造もその範疇に含むものとする。
 また、アリール基は芳香族化合物が有する芳香環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル、フラン環、チオフェン環、ピロール環等を構成する炭素原子を介して結合する基をいう。アルアリール基は、1以上のアリール基で置換された、飽和環構造を含んでもよい直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和炭化水素基または飽和環状炭化水素基をいう。
 式(2)において、酸素原子の位置は、特に制限されない。すなわち、窒素原子と酸素原子が結合してもよく、ベンゼン環に酸素原子が直接結合してもよい。また、炭素原子に挟まれるように酸素原子が位置してもよい。
 なお、色素(A1)中、左右のXは同一であっても異なってもよいが、生産性の観点から同一が好ましい。またR~Rについても、スクアリリウム骨格を挟んで左右で同一であっても異なってもよいが、生産性の観点から同一が好ましい。
 スクアリリウム系色素は、色素(A1)の中でも、式(A11)及び(A12)で表される色素(A11)及び色素(A12)がより好ましい。式(A11)及び(A12)中、R~Rは色素(A1)におけるR~Rと同じ意味である。また、Meはメチル基を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 色素(A1)中、Rは、耐熱性と信頼性向上の観点から、独立して分岐を有してもよい炭素数1~12のアルキル基またはアルコキシ基が好ましく、分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基またはアルコキシ基がより好ましい。透明樹脂への溶解性を高めるため、分岐を有する炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましい。
 また、色素(A1)中、R及びRは、独立して、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましい。R及びRは、いずれも水素原子がより好ましい。
 色素(A1)中のRは、式(4)で示される炭素数5~25の分枝状の炭化水素基が好ましい。
-CH3-m13    …(4)
 ただし、式(4)中、mは1、2または3であり、R13は、それぞれ独立して、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでもよい直鎖状または分枝状の炭化水素基(ただし、mが1のときは分枝状である。)を示し、かつm個のR13の炭素数の合計は4~24である。透明樹脂への溶解性の観点から、mは2または3が好ましい。
 R13が有してもよい飽和環構造としては、炭素数4~14の環状エーテル、シクロアルカン、アダマンタン環、ジアダマンタン環等が挙げられる。また、不飽和環構造としてはベンゼン、トルエン、キシレン、フラン、ベンゾフラン等が挙げられる。環構造を有する場合、R13の炭素数は環の炭素数を含む数で示される。
 また、Rは、有機溶媒及び透明樹脂への溶解性の観点から独立して置換基を有しない炭素数6~20の分枝状の炭化水素基が好ましい。Rの炭素数はより好ましくは6~17であり、さらに好ましくは6~14である。
 色素(A1)中のRとしては、基(4)のうちでも、m=1の基として下記式(1a)、(1b)で示される基が、m=2の基として下記式(2a)~(2e)で示される基が、m=3の基として式(3a)~(3e)で示される基が好ましい。これらの中でも、溶解性の観点から基(1b)、(2a)~(2e)、(3b)が特に好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 スクアリリウム系色素は色素(A11)がより好ましく、色素(A11)の中でも、表1に示す構成の色素(A11-1)~(A11-19)が、溶解性、色素の耐熱性等の観点から特に好ましい。表1中、「-」は水素原子を意味する。n-Cは直鎖のプロピル基を示し、i-Cは1-メチルエチル基を示す。表1におけるRの具体的な構造は、式(1a)、(1b)、(2a)~(2e)、(3a)~(3e)に対応する。表1には対応する色素略号も示した。なお、色素(A11-1)~(A11-19)において、左右に1個ずつ計2個存在するRは左右で同じであり、R~Rについても同様である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
b.フタロシアニン系色素
 フタロシアニン系色素は、透明樹脂中に分散して得られる樹脂膜を使用して測定される波長400~1000nmの光の吸収スペクトルにおいて、波長700~900nm内に吸収極大波長を有するものが好ましい。また、その吸収極大波長が発現する吸収ピークの赤外光側の傾きが急峻であることが好ましい。
 このような吸収特性を有するフタロシアニン系色素を使用することにより、下記要件も少なくとも1つを満たす構造体、さらには該構造体を含む光学フィルタが得られる。
・波長860~1000nmの光の平均透過率が80%以上である。該平均透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
・波長760~860nmの間に、透過率が10%から80%に遷移する遷移波長域を有し、前記遷移波長域の光の透過率の変化量が0.75%/nm以上である。該変化量は、好ましくは1.00%/nm以上であり、より好ましくは1.25%nm以上であり、さらに好ましくは1.50%/nm以上であり、より一層好ましくは2.00%/nm以上である。
・波長860~1000nmの光の透過率が80%以上である。該透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
 フタロシアニン系色素としては、式(B1)または(B2)で示されるフタロシアニン系色素が特に好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 式(B1)及び(B2)中、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、または3価もしくは4価の金属原子を含む置換金属原子を示す。波長700~900nmにおける吸収係数と耐光性の観点から、Mは、Cu、Ni、Co、Zn、Pd、VO、TiOが好ましい。
 また、式(B1)及び(B2)中、R及びRは、それぞれ独立して、1つ以上の水素原子が水酸基、カルボキシル基、フッ素原子、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~25の炭化水素基、あるいは式(B-a)、式(B-b)または式(B-c)で示される基である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 式(B-a)、式(B-b)及び式(B-c)中、Yは酸素原子または硫黄原子であり、Rは、1つ以上の水素原子が水酸基、カルボキシル基、フッ素原子、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~25の炭化水素基である。
 樹脂や溶媒に対する溶解性の観点から、R及びRは基(B-a)、(B-b)が好ましい。
c.シアニン系色素
 シアニン系色素としては、式(C1)または(C2)で示されるシアニン系色素が特に好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 式(C1)及び(C2)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、カルボキシル基、メチル基、長鎖もしくは分岐アルキル基またはアラルキル基を示す。アルキル基やアラルキル基は、オキシエチレン鎖を含んでもよい。
 R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、カルボキシル基、メチル基、長鎖もしくは分岐アルキル基、アラルキル基、アミノ基、ニトロ基、長鎖アルキルアミン、アミド基またはイミド基を示す。式(C1)及び(C2)は、2置換の化合物を示しているが、3置換以上であってもよい。
 Zは、ヨウ素原子、-NO、-PFまたは-N(SOCFを示す。
 nは、1~4の整数である。
 上記色素以外にも、緑色色素として、スクアリリウム金属錯体系色素、インドアニリンキレート色素、インドナフトールキレート色素、アゾキレート色素、ジチオール錯体、ジチオレン錯体等の金属錯体系色素、キサンテン系色素、ジピロメテン系色素、アントラキノン系色素、ジケトピロロピロール系色素、イモニウム色素、ジイモニウム色素、クロコニウム色素等を使用できる。
 緑色色素は、透明樹脂中に分子が溶解して存在する染料でもよく、透明樹脂中に分子が凝集して存在する顔料でもよい。緑色色素として顔料を用いる場合、分散剤も使用できる。分散剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の分散剤を使用できる。
<黒色色素>
 黒色色素は、1種単独で黒色を呈する色素(狭義の黒色色素)のみならず、2種以上を混合して黒色を呈する混合物でもよい。混合物は、狭義の黒色色素と他の色の色素の混合物でもよい。なお、混合系黒色色素の場合、前述した緑色色素を除く。
 黒色色素は、透明樹脂中に分子が凝集して存在する顔料でもよいが、透明樹脂中に分子が溶解して存在する黒色染料が、散乱光発生の懸念が少ないことから好ましい。
 具体的には、黒色染料を構成する染料として、アゾ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、メチン系、キノリン系、アジン系等の染料を例示できる。
 アゾ系染料の具体例としては、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー16、C.I.ソルベントイエロー21、C.I.ソルベントイエロー61、C.I.ソルベントイエロー81、C.I.ソルベントレッド1、C.I.ソルベントレッド2、C.I.ソルベントレッド8、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド23、C.I.ソルベントレッド24、C.I.ソルベントレッド27、C.I.ソルベントレッド31、C.I.ソルベントレッド83、C.I.ソルベントレッド84、C.I.ソルベントレッド121、C.I.ソルベントレッド132、C.I.ソルベントバイオレット21、C.I.ソルベントブラック3、C.I.ソルベントブラック4、C.I.ソルベントブラック21、C.I.ソルベントブラック23、C.I.ソルベントブラック27、C.I.ソルベントブラック28、C.I.ソルベントブラック31、C.I.ソルベントオレンジ7、C.I.ソルベントオレンジ9、C.I.ソルベントオレンジ37、C.I.ソルベントオレンジ40、C.I.ソルベントオレンジ45等が挙げられる。
 アントラキノン系染料の具体例としては、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ソルベントレッド111、C.I.ソルベントレッド149、C.I.ソルベントレッド150、C.I.ソルベントレッド151、C.I.ソルベントレッド168、C.I.ソルベントレッド191、C.I.ソルベントレッド207、C.I.ソルベントブルー35、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー78、C.I.ソルベントブルー83、C.I.ソルベントブルー87、C.I.ソルベントブルー94、C.I.ソルベントブルー97、C.I.ソルベントグリーン3、C.I.ソルベントグリーン20、C.I.ソルベントグリーン28、C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ソルベントバイオレット14、C.I.ソルベントバイオレット36等が挙げられる。
 ペリノン系染料の具体例としては、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ソルベントオレンジ78、C.I.ソルベントオレンジ90、C.I.ソルベントバイオレット29、C.I.ソルベントレッド135、C.I.ソルベントレッド162、C.I.ソルベントオレンジ179等が挙げられる。
 ペリレン系染料の具体例としては、C.I.ソルベントグリーン5、C.I.ソルベントオレンジ55、C.I.バットレッド15、C.I.バットオレンジ7等が挙げられる。
 メチン系染料の具体例としては、C.I.ソルベントオレンジ80、C.I.ソルベントイエロー93等が挙げられる。
 キノリン系染料の具体例としては、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー157等が挙げられる。
 アジン系染料の具体例としては、C.I.ソルベントブラック5、C.I.ソルベントブラック7等が挙げられる。
 上記黒色染料の中でも、吸収係数が大きく溶解性の高いアゾ系染料の使用が好ましい。また環境保全性の点からは分子中にハロゲン元素を含有しないものが好ましい。
 黒色色素は、透明樹脂中に分子が溶解して存在する染料でもよく、透明樹脂中に分子が凝集して存在する顔料でもよい。黒色色素として顔料を用いる場合、所望により分散剤も使用できる。分散剤は、緑色色素を透明樹脂中に均一に分散させるために使用でき、具体的に、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の分散剤が挙げられる。
 構造体中における上記緑色色素、及び黒色色素の含有量は、総量として、通常、透明樹脂100質量部に対して、0.1~50質量部の範囲が好ましい。0.1質量部以上とすることで所望の光学特性が得られ、50質量部以下とすることで、光学特性の低下や、前述した散乱光を抑制できる。これらの観点から、0.5~40質量部の範囲がより好ましく、1~3質量部がより好ましい。
 また、緑色色素と黒色色素の割合は、色素の種類等にもよるが、通常、質量基準で、黒色色素/緑色色素が1~10となる範囲である。この混合比であれば、要件(i)及び(ii)を満たすことができる。
<透明樹脂>
 構造体を構成する透明樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、0~380℃であることが好ましい。Tgの下限は、40℃以上がより好ましく、60℃以上がより一層好ましく、70℃以上がさらに好ましく、100℃以上が特に好ましい。また、Tgの上限は、370℃以下がより好ましく、360℃以下がより一層好ましい。透明樹脂のTgが0~380℃の範囲であれば、本光学フィルタの製造プロセスや使用中において、熱による劣化や変形を抑制できる。
 透明樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エン・チオール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、または環状オレフィン樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等が好ましい。また、耐熱性が求められる用途では、Tgが高いポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。透明樹脂は、原料成分の分子構造を調整する等により、屈折率を調整できる。具体的には、原料成分のポリマーの主鎖や側鎖に特定の構造を付与する方法が挙げられる。ポリマー内に付与する構造は特に限定されないが、例えば、フルオレン骨格が挙げられる。透明樹脂は複数の異なる樹脂を組み合わせたポリマーアロイであってもよい。
 透明樹脂は、予め高分子量化されている樹脂でも、低分子量体を塗布し、熱または紫外線等のエネルギー線により重合(高分子量化)し硬化させる樹脂でもよい。なお、熱やエネルギー線を用いた硬化反応による色素へのダメージを軽減し、耐久性に優れた光学フィルタを得る観点からは、予め高分子量化されている樹脂の使用が好ましい。
 透明樹脂として、市販品を用いてもよい。市販品としては、アクリル樹脂として、オグソール(登録商標)EA-F5003(大阪ガスケミカル(株)製、商品名)、ポリメチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、BR50(三菱レイヨン(株)製、商品名)等が挙げられる。
 また、ポリエステル樹脂として、OKPH4HT、OKPH4、B-OKP2、OKP-850(以上、いずれも大阪ガスケミカル(株)製、商品名)、バイロン(登録商標)103(東洋紡(株)製、商品名)、ポリカーボネート樹脂として、LeXan(登録商標)ML9103(sabic社製、商品名)、EP5000(三菱ガス化学(株)社製、商品名)、SP3810(帝人化成(株)製、商品名)、SP1516(帝人化成(株)製、商品名)、TS2020(帝人化成(株)製、商品名)、xylex(登録商標)7507(sabic社製、商品名)等が挙げられる。
 さらに、環状オレフィン樹脂として、ARTON(登録商標)(JSR(株)製、商品名、Tg:165℃)、ZEONEX(登録商標)(日本ゼオン(株)製、商品名、Tg:138℃)等が挙げられる。
<その他の添加剤>
 構造体には、緑色系色素及び黒色色素の他にさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、この種の構造体が通常含有する各種任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、色調補正色素、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、透明ナノ粒子等が挙げられる。
 酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、アミン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、赤外光透過性の観点からヒンダードフェノール系化合物が好ましい。ヒンダードフェノール系化合物は、フェノール性水酸基に対して2位及び6位の両方に置換基を有する化合物である。置換基としては、メチル基またはt-ブチル基が好ましい。ヒンダードフェノール系化合物は、モノフェノール類、ビスフェノール類、ポリフェノール類のいずれであってもよい。
 光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物を使用できる。ヒンダードアミン系化合物としては、2,2’,6,6’-テトラアルキルピぺリジン誘導体が好ましい。窒素原子上の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。また、2位及び6位の置換基がアルキル基またはフェニル基が好ましい。
 また、屈折率を調整したり、構造体の硬度を上げたりする目的で、赤外波長域で透明な無機酸化物材料のナノ粒子を含んでもよい。このような材料としては、Al、SiO、GeO、Y、La、CeO、TiO、ZrO、Nb、Ta等が挙げられる。
 さらに、構造体を形成する際に用いる塗工液に添加する成分である、シランカップリング剤、熱もしくは光重合開始剤、重合触媒に由来する成分等を含有してもよい。シランカップリング剤は、構造体と他の構成部材との密着性を高める効果を有する。
 シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-(メタクリロプロピル)トリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
 上記任意成分はいずれも1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
<構造体の形成方法>
 構造体は、例えば、緑色色素であるスクアリリウム系色素と、黒色色素と、透明樹脂または透明樹脂の原料成分と、必要に応じて配合される各成分とを、溶媒に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材上に塗工し乾燥させ、さらに必要に応じて硬化させることにより形成できる。黒色色素として黒色染料を用いた場合には、黒色染料はスクアリリウム系色素とともに、透明樹脂及び塗工液に用いる溶媒の双方に溶解性が良好であるため、膜の均一性を確保でき、好ましい。
 上記基材は、本実施形態の光学フィルタの構成部材として適用可能な基材でもよいし、構造体を成形する際にのみ用いる基材、例えば剥離性の基材でもよい。
 そのまま光学フィルタの構成部材となる基材としては、赤外光透過性基材が挙げられる。基材として構成部材となる基材を使用する場合、この基材には、構造体が形成される面にシランカップリング剤により予め表面処理を施して構造体と基材との密着性を高めてもよい。シランカップリング剤には、前述したシランカップリング剤を使用できる。
 また、剥離性の基材は、剥離性を有するものであれば、形状、材料は特に限定されない。具体的には、ガラス板や、離型処理されたプラスチックフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等からなるフィルム、ステンレス鋼板等が使用できる。
 剥離性の基材を用いた構造体は、例えば、以下の方法で形成できる。
 まず、剥離性の基材上に、後述する塗工方法により構造体や必要に応じて機能層等を積層する。次に、後述する粘着層や市販の微粘着フィルム等を用いることにより、剥離性の基材から構造体を転写する。最後に、転写した構造体を別の部品に貼りつけることで、図1、図5、図6に示す光学フィルタが得られる。
 このような方法で構造体を形成することで、本発明における光学フィルタは、赤外光透過性基材を含まず、薄型化を達成できる。この場合、光学フィルタの全体の厚さは、保護層等の機能層の有無に関わらず、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。
 塗工液の調製に使用する溶媒は、緑色色素、黒色色素、透明樹脂または透明樹脂の原料成分、必要に応じて配合される各成分を、安定に分散できる分散媒または溶解できる溶媒であれば、特に限定されない。なお、本明細書において「溶媒」の用語は、分散媒及び溶媒の両方を含む概念で用いられる。溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチレンエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族、またはn-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、テトラフルオロプロピルアルコール、ペンタフルオロプロピルアルコール等のフッ素系溶剤、水等が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で、または2種以上を混合して使用できる。
 溶媒の量は、透明樹脂または透明樹脂の原料成分100質量部に対して、10~5,000質量部が好ましく、30~2,000質量部がより好ましい。なお、塗工液中の不揮発成分(固形分)の含有量は、塗工液100質量部中に2~50質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましい。
 塗工液には、界面活性剤も含有できる。界面活性剤を含有させることにより、外観、特に、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじきを改善できる。界面活性剤は、特に限定されず、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の公知のものを任意に使用できる。
 塗工液の調製には、マグネチックスターラ、自転・公転式ミキサー、ビーズミル、遊星ミル、超音波ホモジナイザ等の攪拌装置を使用できる。撹拌は連続的に行ってもよく断続的に行ってもよい。
 塗工液の塗工には、例えば、浸漬コーティング法、キャストコーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、インクジェット法、またはコンマコーター法等のコーティング法を使用できる。その他、バーコーター法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等も使用できる。
 上記塗工液を前述した基材上に塗工した後、乾燥させることにより構造体が形成される。乾燥には、熱乾燥、熱風乾燥等の公知の方法を使用できる。塗工液が透明樹脂の原料成分を含有する場合には、さらに硬化処理を行う。反応が熱硬化の場合は乾燥と硬化を同時に実施できるが、光硬化の場合は、乾燥と別に硬化工程を設ける。剥離性の基材上に形成された構造体は剥離して本フィルタの製造に用いる。
 なお、構造体は、透明樹脂の種類によっては、押出成形によりフィルム状に製造でき、このように製造した複数のフィルムを積層し熱圧着等により一体化させてもよい。
(赤外光透過性基材)
 赤外光透過性基材は、赤外光を透過するものであれば、構成する材料は特に制限されず、ガラスや結晶等の無機材料や、樹脂等の有機材料が挙げられる。本光学フィルタは、特に赤外光に対する散乱光ができるだけ少ないことが求められることから、用いる基板についても散乱光の少ないものが好ましい。
 赤外光透過性基材に使用できる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
 赤外光透過性基材に使用できるガラスとしては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、イオン交換によって得られる強化ガラス等が挙げられる。
 強化ガラスはタッチパネル画面を保護する目的で、スマートフォンやタブレット端末のカバーガラスに用いられている。カバーガラスは、その外周部にはスクリーン印刷等で黒色や白色等の加飾印刷がなされている場合がある。その場合、予め加飾印刷が施される部分以外に開口部を設けておき、該開口部に上記塗工方法により塗工液を直接塗工できる。このように、塗工液を直接塗工することで、高い生産性が得られる。
 赤外光透過性基材に使用できる結晶材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイヤ等の複屈折性結晶が挙げられる。
 赤外光透過性基材の厚さは、特に限定されないが、軽量化、薄肉化を図る観点から、0.01~1mmが好ましく、0.05~0.3mmがより好ましい。
 なお、構造体を剥離性の基材を用いて形成する等、構造体を単体として製造した場合、構造体と赤外光透過性基材との積層は、例えば接着剤を使用できる。接着剤は、赤外光を透過するものであれば特に制限されないが、赤外光透過性基材と同様、散乱光を増大させないものが好ましい。接着剤の厚さは0.5~50μmが好ましく、1~10μmがより好ましい。厚さが0.5μm未満では十分な接着力が得られないおそれがあり、50μmを超えると光学フィルタ全体が厚くなり、また透過率が低下するおそれがある。
(機能層)
 機能層としては、反射防止層、パッシベーション機能を有する保護層、耐擦傷性を有する保護層、他の光学部品と接着させるための粘着層等のうち少なくとも1つを含む層が挙げられる。
 反射防止層は、透過率を向上させ、効率良く入射光を利用する機能を有するもので、周知の材料及び方法により形成できる。具体的には、反射防止層は、スパッタリング法、真空蒸着法、プラズマCVD法等により形成したシリカ、チタニア、五酸化タンタル、フッ化マグネシウム、ジルコニア、アルミナ等の1層以上の膜や、ゾルゲル法、塗布法等により形成した1層以上の膜から構成される。ゾルゲル法を用いる材料としては、シリケート系材料が挙げられる。塗布法を用いる材料としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素化アクリル系樹脂、シクロオレフィン樹脂、フッ素化シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。また、シリカ微粒子や中空シリカ微粒子を加えることで、低屈折率化の実現や耐擦傷性を向上できる。なお、反射防止層の厚さは、通常、100~2000nmである。
 保護層は、構造体、またはその他の構成要素が最表面に位置したときに、それらの表面が剥き出しになることで、所望の特性が低下するのを防止する機能を有する層である。特に、構造体は色素を含有し、色素は酸素や空気に触れるとその分子構造等が変化して特性が損なわれるおそれがあるため、構造体が最表面にあるときは、保護層を設けるとよい。さらに、色素は酸素や空気だけでなく、光によって分子構造等が変化し、所望の特性が損なわれるおそれがある。光による分子構造の変化は、酸素や空気による変化と複合的に起こるため、保護層を設けることで光による特性の変化も抑制できる。なお、保護層は、構造体、またはその他の構成要素に、光が入射する主面のみを保護するように形成されてもよく、さらには、図示しないが、保護層が、主面のみならず側面も覆うように保護するように形成されてもよい。
 保護層は、無機膜または有機膜から構成される。保護層の厚さは、通常、0.2~20μmである。
 無機膜としては、スパッタリング法、真空蒸着法、プラズマCVD法等により形成したシリカ、チタニア、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、フッ化マグネシウム、ジルコニア、アルミナ等の1層以上の膜が挙げられる。
 また、有機膜としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等のエネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂及びエネルギー線硬化性樹脂を使用する場合、それらの重合性前駆体化合物を含む組成物を、例えば構造体の露出している主面に滴下し、その上に離型処理を施したガラス板を載せ、エネルギー線を照射する等して硬化させればよい。硬化後、ガラス板を離型すると、平滑で均一な厚さの有機膜を形成できる。平坦度は、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは10nm以下である。高い平坦度を達成することで、ヘイズや収差を小さくできる。なお、ここでいう「平坦度」は、算術平均粗さRaのことを指す。有機膜からなる保護層には、前述した構造体に添加可能なその他の添加剤として挙げた成分を適宜添加できる。特に、赤外波長域で透明な無機酸化物材料のナノ粒子を用いることで、保護層の耐擦傷性を向上きる。
 有機膜は、その屈折率が、構造体の屈折率と略一致するとよく、両者の屈折率差は、0.2以下であればよく、0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましい。なお、ここでいう屈折率とは、波長589nmの光における屈折率をいう。これらの屈折率差を小さくすることで干渉縞を低減でき、意匠性に優れる高品質な光学フィルタが得られる。
 粘着層は、他の光学部品と一体化させるための手段として、光学フィルタの、外気と触れる最表面に配置される層であり、以下、「最表面粘着層」ともいう。最表面粘着層を備える面は特に限定されず、光学フィルタのいずれの最表面にも配置できる。例えば、図2に示すような構造体1の一方の主面に赤外光透過性基材2を備える光学フィルタの場合、構造体1側および赤外光透過性基材2側のいずれか一方の最表面、もしくは両最表面に配置できる。また、光学フィルタが他の機能層や後述するような赤外光反射層を備える場合、最表面粘着層はそれらの層に積層して配置もできるが、機能層が反射防止膜や赤外光反射層の場合、所望の反射特性を得るために、最表面粘着層は、反射防止膜や赤外光反射層が配置されていない側への配置が好ましい。
 最表面粘着層の屈折率は、それを配置する面の材料の屈折率と略等しいことが好ましい。例えば、両者の屈折率差は好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下である。2つの層の屈折率差を小さくすることで、界面反射を抑制でき、ノイズを低減できる。なお、ここでいう屈折率とは、波長589nmにおける屈折率をいう。
 最表面粘着層には、例えば、アクリル系やウレタン系の赤外光透過率が高い粘着テープを使用できる。その粘着力は、接着対象の光学部品に応じて適宜設定できるが、通常0.1N/10mm以上、好ましくは1N/10mm以上、より好ましくは3N/10mm以上である。また、最表面粘着層の厚さは5~50μmが好ましく、10~25μmがより好ましい。厚さが5μm未満では十分な粘着力が得られないおそれがあり、50μmを超えると、光学フィルタ全体が厚くなり、また透過率が低下するおそれがある。最表面粘着層の形成に好適な粘着テープの市販品の例としては、スリーエムジャパン(株)から販売されている高透明性接着剤転写テープ(OCAテープ)8171CL、8146-1等が挙げられる。
 最表面粘着層としては液状接着剤も使用できる。液状接着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系接着剤等が挙げられる。最表面粘着層が液状接着剤で構成される場合、光学フィルタを他の光学部品と接着した後、加熱、または紫外線等のエネルギー線を照射することにより、液状接着剤を硬化できる。
 本実施形態の光学フィルタは、緑色色素と黒色色素を含有する構造体を備えるので、可視光の遮断性及び赤外光の透過性に優れ、可視波長域から赤外波長域にかけての波長域で透過率が急峻に変化する、優れた赤外光選択透過性を具備できる。
 具体的には、波長400~730nmの光の平均透過率が2%以下、波長800~1000nmの間に、平均透過率が80%以上となる連続する50nmの波長域を有する分光透過率特性を具備できる。このように、平均透過率が80%以上となる連続する50nmの波長域を有することで、例えば、本実施形態の光学フィルタを用いて赤外波長域での送受信を行う場合において、一定の帯域で十分な感度を保つことができる。また、波長400~730nmの光の透過率が10%以下、波長900~1100nmの光の平均透過率が80%以上、あるいは波長900~1100nmの光の透過率が80%以上という分光透過率特性を具備できる。
(第2の実施形態)
 図8は、本発明の第2の実施形態による光学フィルタの構成を概略的に示す断面図である。本実施形態の光学フィルタは、可視光を遮断し、かつ所定波長以上の赤外光も遮断して、特定の波長域の赤外光のみを選択的に透過させることが要求される用途、例えば、赤外線レーザを用いて位置や距離等を測定する赤外線センサ等の用途に有用な光学フィルタである。本実施形態の説明にあたり、重複する説明を避けるため、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
 図8に示すように、第2の実施形態による光学フィルタは、構造体1の一方の主面に赤外光透過性基材2及び誘電体多層膜からなる赤外光反射層5をこの順で備えた構造を有する。また、図8の光学フィルタについて、構造体1の表面に、不図示の反射防止層等の機能層4を備えてもよい。
 本実施形態の光学フィルタは、赤外光透過性基材2を構造体1の両主面に有してもよく、赤外光透過性基材2及び赤外光反射層5を構造体1の両主面に有してもよい。
 図9~12に、第2の実施形態による光学フィルタの他の構成例を示す。ただし、光学フィルタの構成はこれらの例に限定されない。
 図9は、構造体1の一方の主面に赤外光透過性基材2を備え、他方の主面に赤外光透過性基材2及び赤外光反射層5を備える構成例である。
 図10は、構造体1の一方の主面に赤外光透過性基材2及び赤外光反射層5を備え、他方の主面に赤外光透過性基材2及び機能層4を備える構成例である。
 図11及び図12は、図9の光学フィルタにおいて、2つの赤外光透過性基材2のうちの一方を、接着剤層3を介して構造体1の一主面に備える構成例である。なお、図11、12の光学フィルタには不図示であるが、例えば、構造体1の両主面に接着剤層3を介して赤外光透過性基材2を備えてもよい。
 図9~12に示す構成の光学フィルタにおいて、2つの赤外光透過性基材2を構成する材料や厚さ等は同一でも異なってもよい。
 以下、第2の実施形態による光学フィルタを構成する赤外光反射層について説明する。なお、本光学フィルタを構成する構造体、赤外光透過性基材、機能層等については第1の実施形態で説明したものと同様であり、説明を省略する。
(赤外光反射層)
 赤外光反射層は、低屈折率の誘電体膜(低屈折率膜)と高屈折率の誘電体膜(高屈折率膜)とを交互に積層した誘電体多層膜から構成される。ここで、低屈折率と高屈折率とは、隣接する層の屈折率に対して低い屈折率と高い屈折率を有することを意味する。
 高屈折率膜は、好ましくは、屈折率が1.6以上であり、より好ましくは2.2~2.5である。高屈折率膜材料は、例えばTa、TiO、Nbが挙げられる。このうち、成膜性、屈折率等における再現性、安定性等の点から、TiOが好ましい。
 一方、低屈折率膜は、好ましくは、屈折率1.6未満であり、より好ましくは1.35以上1.55未満であり、より一層好ましくは1.40~1.50である。低屈折率膜材料は、例えばSiO、SiO等が挙げられる。成膜性における再現性、安定性、経済性等の点から、SiOが好ましい。
 赤外光反射層は、光の干渉を利用して特定の波長域の光の透過と遮蔽を制御する機能を発現し、その透過・遮蔽特性には入射角依存性がある。一般的には、反射により遮蔽する光の波長は、垂直に入射する光(入射角0°)より、斜めに入射する光の方が短波長になる。
 本実施形態において、赤外光反射層を含む光学フィルタは、例えば、入射角0°の分光透過率曲線における、波長800~900nmの光の平均透過率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。また、入射角0°の分光透過率曲線において、波長900~1100nmの間に透過率が5%以下に遷移する波長を有し、波長900nmより長波長側の透過率は、5%以下が好ましい。波長900nmより長波長側の透過率は3%以下がより好ましく、1%以下がより好ましい。なお、赤外光反射層を2層以上有する場合、それら複数の層を含んで上記透過率特性を有するようにしてもよい。赤外光反射層については、上記の光学特性を有することで、本実施形態の光学フィルタの光学特性を実現してもよい。このような赤外光反射層を含む光学フィルタは、種々の緑色色素を含有する構造体と併せて適用できる。
 また、赤外光反射層を含む光学フィルタは、例えば、入射角0°の分光透過率曲線における波長900~1000nmの光の平均透過率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。また、入射角0°の分光透過率曲線において、波長1000~1100nmの間に透過率が5%以下に遷移する波長を有し、波長1000nmより長波長側の透過率は、5%以下が好ましい。波長1000nmより長波長側の透過率は3%以下がより好ましく、1%以下がより好ましい。なお、この場合も、赤外光反射層を2層以上有する場合、それら複数の層を含んで上記透過率特性を有するようにしてもよい。赤外光反射層については、上記の光学特性を有することで、本実施形態の光学フィルタの光学特性を実現してもよい。このような赤外光反射層を含む光学フィルタは、種々の緑色色素を含有する構造体と併せて適用できる。
 また、赤外光反射層を含む光学フィルタは、例えば、入射角0°の分光透過率曲線において、波長800~1000nmの間に、平均透過率が80%以上となる連続する15nm以上の波長域を有することが好ましい。さらに、そのような平均透過率が80%以上となる波長域から波長1100nmの間に、入射角0°の分光透過率曲線の透過率が5%以下に遷移する波長を有することが好ましく、より好ましくは3%以下であり、より一層好ましくは1%以下である。なお、この場合も、赤外光反射層を2層以上有する場合、それら複数の層を含んで上記透過率特性を有するようにしてもよい。赤外光反射層については、上記の光学特性を有することで、本実施形態の光学フィルタの光学特性を実現してもよい。このような赤外光反射層を含む光学フィルタは、種々の緑色色素を含有する構造体と併せて適用できる。
 また、誘電体多層膜は、透過光波長と遮光波長の境界波長域で透過率が急峻に変化することが好ましい。このためには、誘電体多層膜は、低屈折率膜と高屈折率膜との合計積層数として15層以上が好ましく、25層以上がより好ましく、30層以上がさらに好ましい。ただし、合計積層数が多くなると、誘電体多層膜の反り等が発生し、また、膜厚が増加するため、100層以下が好ましく、75層以下がより好ましく、60層以下がより一層好ましい。低屈折率膜と高屈折率膜の積層順が交互であれば、最初の層が低屈折率膜でも高屈折率膜でもよい。
 誘電体多層膜の膜厚としては、上記好ましい積層数を満たした上で、光学フィルタの薄型化の観点からは、薄い方が好ましく、例えば、2~10μmが好ましい。
 誘電体多層膜の形成にあたっては、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空成膜プロセスや、スプレー法、ディップ法等の湿式成膜プロセス等を使用できる。
 本実施形態の光学フィルタは、緑色色素と黒色色素を含有する構造体、及び赤外線反射層を備えるので、バンドパスの分光特性が得られる。本実施の形態の光学フィルタに用いる緑色色素の種類は、上述した緑色色素の中から任意に選択できるので、該設計に応じた赤外光透過波長域が得られる。
 具体的には、緑色色素としてスクアリリウム系色素(色素(A11-14))を用いた場合、波長400~730nmの光の平均透過率が2%以下、波長800~900nmの光の平均透過率が80%以上、波長900~1100nmの間に透過率が5%以下に遷移する波長を有し、波長900nmより長波長側の透過率が、例えば1%以下という分光透過率特性を具備できる。また、波長400~730nmの光の透過率が10%以下、あるいは波長800~900nmの光の透過率が80%以上という分光透過率特性を具備できる。
 このようなバンドパスフィルタは、例えば、波長800~900nmの赤外光の透過感度を高め、かつ900nmよりも長波長側の光のノイズを遮断するように、特定の赤外光透過感度を高品質に高める光学フィルタとしての適用が期待できる。
 なお、本実施形態の光学フィルタにおいて、赤外光反射層を構成する誘電体多層膜を、赤外光とともに、紫外波長寄りの可視域(例えば、400~500nm)の光も反射する誘電体多層膜としてもよい。あるいは、赤外光反射層に代え、紫外波長寄りの可視光を反射する誘電体多層膜からなる反射層を備える構成としてもよい。この構成により、黒色色素として混合物色素を使用する場合、使用する色素の数を低減できる。また、エネルギーの高い短波長を反射するので、色素の劣化を防ぐ効果も期待できる。
(第3の実施形態)
 図13は、本発明の第3の実施形態による撮像装置を概略的に示す断面図である。
 本実施形態の撮像装置10は、固体撮像素子11と、本発明の光学フィルタ12と、撮像レンズ13と、これらを収容する筺体14とを有する。固体撮像素子11と、撮像レンズ13は、光軸xに沿って配置されている。固体撮像素子11は、撮像レンズ13を通過した光を電気信号に変換する、CCDやCMOS等が使用される。
 撮像装置10において、撮像レンズ13を通って入射した光は、さらに光学フィルタ12を通って固体撮像素子11に受光され、この受光した光を固体撮像素子11が電気信号に変換し、画像信号として出力される。光学フィルタ12として、可視光を十分に遮断し所要の赤外光を十分に透過する赤外光透過性に優れた光学フィルタを備えるため、撮像装置10は高い感度を有しており、品質の良い撮影画像が得られる。
 また、光学フィルタ12は吸収波長に角度依存がないため広角でも可視光を十分に遮断できるため品質の良い画像となる。
 なお、図13に示す撮像装置10では、光学フィルタ12は撮像レンズ13と固体撮像素子11の間に配置されているが、固体撮像素子11の前面であれば、その配置位置は特に限定されない。また、撮像装置10では、撮像レンズ13は1個のレンズのみで構成されているが、複数のレンズの組み合わせでもよい。
 さらに、光学フィルタ12が最表面粘着層を有する場合、光学フィルタ12は、最表面粘着層を介してカバーガラス等の他の光学部品に直接接着させて配置できる。光学フィルタ12が他の光学部品と直接接着できることで、光学フィルタ12が空気と接する界面を低減できるため、撮像装置全体の光利用効率を向上できる。
 次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例及び比較例における光学フィルタや赤外光反射層等の分光透過率曲線は、分光光度計((株)日立製作所製 型名 U4100)を用いて測定した。
(実施例1)
 ポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製 商品名「OKP850」)4.488g、黒色色素として、アゾ系色素(1)(C.I.ソルベントオレンジ7)0.473g、黒色色素として、アゾ系色素(2)(C.I.ソルベントブラック3)0.591g、緑色色素として、スクアリリウム系色素(色素(A11-14))0.213g、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製 商品名「KBM403」)0.394g、紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製 商品名「TINUVIN(登録商標)405」)0.039g、光安定剤(BASFジャパン(株)製 商品名「TINUVIN(登録商標)123」)及び酸化防止剤((株)ADEKA製 商品名「アデカスタブ(登録商標) AO50」)0.016gをシクロヘキサノン8.5g及びN-メチル-2-ピロリドン8.5gの混合溶媒に溶解して溶液を調製した。
 この溶液を、76mm×76mm×0.145mmのガラス(松波硝子工業(株)製 商品名「D263Teco」)板の一方の面にスピンコータ(ミカサ(株)製 スピンコータMS-A200)を用いて塗布し、150℃で1時間加熱して、厚さ3.5μmの構造体を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例2)
 76mm×76mm×0.145mmのガラス(D263Teco)板の一方の面に、真空蒸着法により、SiO層とTiO層とを交互に積層して厚さ340nmの反射防止膜(7層)を形成した。
 次いで、この反射防止膜を形成したガラス板の他方の面に、実施例1と同様にして厚さ3.5μmの構造体を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例3)
 実施例1と同様にして、実施例2と同じガラス板の一方の面に厚さ3.5μmの構造体を形成した後、その構造体表面に、真空蒸着法により、SiO層とTiO層とを交互に積層して厚さ340nmのパッシベーション機能を併せ有する反射防止膜(7層)を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例4)
 実施例1と同様にして、実施例2と同じガラス板の一方の面に厚さ3.5μmの構造体を形成した後、その構造体表面に、ジシクロペンタニルアクリレート6質量部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート4質量部及び光重合開始剤(1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン)0.5質量部を混合して調製した紫外線硬化性アクリル樹脂組成物を滴下し、離型処理を施したガラス基材を被せた。この塗布層に100mW/cmの照度で紫外線を照射して硬化させ、続いてガラスを離型し、厚さ2μmの保護層を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例5)
 緑色色素として、スクアリリウム系色素に代えて、フタロシアニン系色素(山田化学工業(株)製 商品名「FDN-001」)0.66gを加えた以外は実施例1と同様に調製した溶液を用いて、実施例2と同じガラス板の一方の面に、実施例1と同様にして、厚さ4.0μmの構造体を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例6)
 実施例2と同じガラス板の一方の面に、真空蒸着法により、SiO層とTiO層とを交互に積層して、厚さ約6μmの誘電体多層膜からなる赤外光反射層を形成した。図14に、光反射膜を形成したガラス板のシミュレーションによる分光透過率曲線(光入射角度0°)を示す。
 次いで、上記赤外光反射層を形成したガラス板の他方の面に、実施例1と同様にして厚さ3.5μmの構造体を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例7)
 実施例1で使用したガラス板の一方の面に、真空蒸着法により、SiO層とTiO層とを交互に積層して、厚さ約7μmの誘電体多層膜からなる赤外光反射層を形成した。図15は、赤外光反射層付きガラス板のシミュレーションによる分光透過率曲線(光入射角度0°)である。
 次いで、上記赤外光反射層付きガラス板の他方の面に、実施例5と同様にして厚さ4.0μmの構造体を形成し、光学フィルタを得た。
(比較例)
 スクアリリウム系色素(色素(A11-14))を未配合とした以外は実施例1と同様に調製した溶液を用いて、実施例2と同じガラス板の一方の面に、実施例1と同様にして、厚さ3.5μmの構造体を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例8)
 緑色色素として、スクアリリウム系色素に代えて、フタロシアニン系色素(山田化学工業(株)製 商品名「FDR-005」)0.66gを加えた以外は実施例1と同様に調製した溶液を用いて、実施例1で使用したガラス板および構造体を備えた光学フィルタを得た。
(実施例9)
 緑色色素として、スクアリリウム系色素に代えて、シアニン系色素(Few chemicals社製 商品名「S0830」)0.66gを加えた以外は実施例1と同様に調製した溶液を用いて、実施例1で使用したガラス板および構造体を備えた光学フィルタを得た。
(実施例10)
 ポリエステル樹脂に代えて、ポリイミド樹脂(三菱ガス化学(株)製 商品名「C3450」)を用いた以外は実施例1と同様に調製した溶液を用いて、実施例1で使用したガラス板および構造体を備えた光学フィルタを得た。
(実施例11)
 ポリエステル樹脂に代えて、アクリル樹脂(ダイセルエボニック(株)製 商品名「TT50」)を用いた以外は実施例1と同様に調製した溶液を用いて、実施例1で使用したガラス板および構造体を備えた光学フィルタを得た。
(実施例12)
 ポリエステル樹脂(OKP850)4.488g、黒色色素として、アゾ系色素(1)(C.I.ソルベントオレンジ7)0.473g、黒色色素として、アゾ系色素(2)(C.I.ソルベントブラック3)0.591g、緑色色素として、スクアリリウム系色素(色素(A11-14))0.213g、シランカップリング剤(KBM403)0.394g、紫外線吸収剤(TINUVIN(登録商標)405)0.039g、光安定剤(TINUVIN(登録商標)123)及び酸化防止剤(アデカスタブ(登録商標)AO50」)0.016gをシクロペンタノン8.5g及びメチルエチルケトン8.5gの混合溶媒に溶解して溶液を調製した。
 この溶液を、コロナ処理した250mm幅のポリイミドロールフィルム(三菱ガス化学(株)製 商品名「ネオプリム(登録商標)L―3450」;厚さ50μm)の一方の面にダイコーターを用いて塗布し、加熱乾燥させて、厚さ3.5μmの構造体を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例13)
 赤外光透過性基材として、ポリイミドロールフィルムに代えて、シクロオレフィン系コポリマーフィルム(グンゼ(株)製 商品名「F1-EX」)を用いた以外は実施例11と同様にして光学フィルタを得た。
(実施例14)
 実施例12で得られた光学フィルタの構造体側外表面にコロナ処理を施した後、アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ(株)製 商品名「ACMO(登録商標)」)60質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名「KAYARAD(登録商標)-DPHA」)40質量部及び光重合開始剤2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF社製 商品名「Irgacure(登録商標)907」)5質量部からなる組成物をダイコーターで塗布し、この塗布層に200mW/cmの照度で紫外線を照射して硬化させ、厚さ3μmの保護層を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例15)
 実施例14で得られた光学フィルタの赤外光透過性基材側外表面に実施例2と同様の反射防止膜を形成し、光学フィルタを得た。
(実施例16)
 本例は、赤外光透過性基材としてカバーガラスを用いた光学フィルタの例である。まず剥離性基材としてロールフィルム(日本ゼオン(株)製 商品名「ゼオノア(登録商標)ZF16」;厚さ100μm)を用意し、該基材の一方の面に実施例5と同様に調製した塗工液をダイコーターで塗布し、加熱乾燥させて、厚さ3.5μmの構造体を形成した。次に、該構造体の表面に、実施例14と同様の材料および製法で、厚さ3μmの保護層を形成した。次に、該保護層上に微粘着フィルム(日栄化工(株)製 商品名「PET75-H109(20)」を貼り合わせ、上記剥離性基材を剥離した。次に、剥離性基材が備えられていた側の構造体の表面に、OCAテープ(3M社製 商品名「3M(商標)OCAテープ8171CL」;厚さ25μm)を貼り合わせた。この後、強化ガラス(旭硝子社製 商品名「Dragontrail(登録商標)」;厚さ0.5mm)からなるカバーガラスに上記OCAテープを貼り合わせ、上記微粘着フィルムを剥離して、光学フィルタを得た。構造体、保護層、OCAテープの厚さの合計は、31.5μmであった。
(実施例17)
 本例は、周辺部に加飾印刷がなされたカバーガラス上に構造体を備える光学フィルタの例である。まず、直径2.5mmの円形状の開口部を有し、該開口部の周辺に、黒色顔料としてカーボンブラックを含む黒枠が印刷されたカバーガラスを用意し、その開口部に3-アミノプロピルトリエトキシシランによる表面処理を施した。次いで、表面処理した開口部に、実施例5と同様に調製した塗工液をキャストコーティングし、加熱乾燥させて、厚さ6.5μmの構造体を形成し、光学フィルタを得た。図16に本実施例で得られた光学フィルタを示す。図16において、1は構造体、21はカバーガラス、22は黒枠を示す。黒枠22に含まれるカーボンブラックは波長800~1000nmの光を透過せず、構造体21は同波長域の光を透過するため、カバーガラス21上に波長800~1000nmの光を透過する特定の領域を設けることができる。
 各実施例及び比較例で得られた光学フィルタの分光透過率曲線を得た。結果を図17(実施例1~5、比較例)、図18(実施例6)、図19(実施例7)、図20(実施例8~11)、図21(実施例12~15)及び図22(実施例16、17)に示す。なお、実施例15については、入射角0°及び40°の分光透過率曲線、その他の例はいずれも入射角0°の分光透過率曲線を得た。
 図17から明らかなように、アゾ系色素及びスクアリリウム系色素を用いた実施例1~4では、波長400~730nmの光の透過率が略0%、波長800~900nmの光の平均透過率が80%以上で、かつ波長730~800nmの間で透過率が急峻に変化していた(実施例1の、透過率が10%から80%に遷移する波長域(756~787nm)での透過率の変位量Dは2.25%/nmであった)。
 これに対し、スクアリリウム系色素を用いなかった比較例では、透過率は、約670nmまでの波長域の光で約0%、約850nm以上の波長域の光で約90%以上、これらの間(約670~約850nm)で緩やかに変化していた(比較例の、透過率が10%から80%に遷移する波長域(710~779nm)での透過率の変位量Dは1.02%/nmであった)。このことから、波長730~800nmの間で透過率を急峻に変化させるためには、スクアリリウム系色素が好ましく用いられることが示唆される。
 また、アゾ系色素及びフタロシアニン系色素を用いた実施例5では、波長400~760nmの光の透過率が略0%、波長860~1000nmの光の平均透過率が80%以上で、かつ波長760~860nmの間で透過率が急峻に変化していた(実施例6の、透過率が10%から80%に遷移する波長域(798~842nm)での透過率の変位量Dは1.58%/nmであった)。このことから、波長760~860nmの間で透過率を急峻に変化させるためには、フタロシアニン系色素が好ましく用いられることが示唆される。
 さらに、図18より、アゾ系色素及びスクアリリウム系色素とともに、誘電体多層膜からなる赤外光反射層を設けた実施例6では、波長400~730nmの光の透過率が略0%、波長800~900nmの光の平均透過率が80%以上、波長800~900nmの光の透過率が80%以上で、かつ波長730~800nmの間で透過率が急峻に変化していたことに加え、波長900~950nmの間で透過率が急峻に低下し、波長950nm以上の光の透過率は略0%であり、波長800nm~900nmの赤外光の透過感度が高く、かつ900nmよりも長波長側の赤外光のノイズを遮断するバンドパスフィルタとして有用なものであった。
 図19より、アゾ系色素及びフタロシアニン系色素とともに、誘電体多層膜からなる赤外光反射層を設けた実施例7では、波長400~730nmの光の透過率が略0%、波長900~1000nmの光の平均透過率が80%以上、波長900~1000nmの光の透過率が80%以上で、かつ波長800~860nmの間で透過率が急峻に変化していたことに加え、波長1000~1050nmの間で透過率が急峻に低下し、波長1050nm以上の光の透過率は略0%であり、波長900~1000nmの赤外光の透過感度が高く、かつ1000nmよりも長波長側の赤外光のノイズを遮断するバンドパスフィルタとして有用なものであった。
 図20より、アゾ系色素にフタロシアニン系色素やシアニン系色素を併用しても、また、透明樹脂にアクリル樹脂やポリイミド樹脂を用いても、波長400~730nmの光の平均透過率が略0%で、波長800~1000nmの間に平均透過率が80%以上となる連続する50nm波長域を有していた。なお、実施例8~11における、透過率が10%から80%に遷移する波長域の光の透過率の変位量Dはそれぞれ、1.32%/nm、1.53%/nm、1.25%/nm、1.89%/nmであった。
 図21より、赤外光透過性基材として、樹脂フィルムを用いても、波長400~730nmの光の平均透過率が略0%で、波長800~1000nmの間に平均透過率が80%以上となる連続する50nm波長域を有していた。
 図22より、剥離性基材上から構造体を赤外光透過性基材または別の部品(ここでは、カバーガラスを使用)に転写した場合においても、また、カバーガラスの開口部に構造体を形成した場合においても、波長400~730nmの光の平均透過率が略0%で、波長800~1000nmの間に平均透過率が80%以上となる連続する50nm波長域を有していた。
 中でも特に、実施例15の光学フィルタは、分光透過率曲線の角度依存性が低く、角度依存性の影響を受ける用途(例えば、赤外線カメラ等)に好適である。
 なお、実施例12~14、実施例15(0°)および実施例15(40°)における、透過率が10%から80%に遷移する波長域での透過率の変位量Dはそれぞれ、1.69%/nm、1.87%/nm、1.80%/nm、1.96%/nm、1.91%/nmであった。
 次に、実施例3、4、13、14、15で得られた各光学フィルタの構造体側の表面を、小津産業(株)製ワイパー(商品名「ベンコット(登録商標)(EA-8)」)で覆った500gの分銅で25往復擦り、傷の有無を顕微鏡で確認したところ、傷は全く確認されなかった。
 また、実施例3、4、13、14、15で得られた光学フィルタにIEC60068-2-5に規定の耐候性試験(80時間暴露)を行ったところ、全てのサンプルで、暴露前後の850nmにおける透過率変化が5%以内であった。
 本発明の光学フィルタは、可視光の遮断性及び赤外光の透過性に優れ、可視波長域から赤外波長域にかけての波長域で透過率が急峻に変化する、優れた赤外光選択透過性を有することから、赤外線カメラ、赤外線センサを内蔵した光学システム、赤外線センサ、赤外線通信装置、赤外線リモコン装置等の光学フィルタとして好適に利用できる。
 1…構造体、2…赤外光透過性基材、4…機能層、5…赤外光反射層、10…撮像装置、11…固体撮像素子、12…光学フィルタ、13…撮像レンズ、22…カバーガラス。

Claims (25)

  1.  緑色色素、及び黒色色素を含有し、下記(i)及び(ii)の要件を満足する構造体を具備することを特徴とする光学フィルタ。
    (i)波長400~730nmの光の平均透過率が2%以下である
    (ii)波長800~1000nmの間に、平均透過率が80%以上となる連続する50nmの波長域を有する
  2.  前記構造体は、波長730~860nmの間に、透過率が10%から80%に遷移する遷移波長域を有し、前記遷移波長域における透過率の変化量が0.75%/nm以上である請求項1に記載の光学フィルタ。
  3.  前記構造体は、波長400~730nmの光の透過率が10%以下である請求項1または2に記載の光学フィルタ。
  4.  前記構造体は透明樹脂を含み、該透明樹脂中に前記緑色色素及び黒色色素が分散または溶解している請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5.  前記緑色色素が、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、及びシアニン系色素から選ばれる少なくとも1種である請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  6.  前記緑色色素がスクアリリウム系色素を含むとともに、前記構造体は波長800~900nmの光の平均透過率が80%以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  7.  前記構造体は、波長730~800nmの間に、透過率が10%から80%に遷移する遷移波長域を有し、前記遷移波長域における透過率の変化量が0.75%/nm以上である請求項6に記載の光学フィルタ。
  8.  前記構造体は、波長800~900nmの光の透過率が80%以上である請求項6または7に記載の光学フィルタ。
  9.  前記スクアリリウム系色素は、式(A1)で表されるスクアリリウム系色素から選ばれる少なくとも1種である請求項5~8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
     (式(A1)中、
     Xは、独立して1つ以上の水素原子が炭素数1~12のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい、式(1)または式(2)で示される2価の有機基であり、
     -(CHn1-  …(1)
     (式(1)中、n1は、2または3である。)
     -(CHn2-O-(CHn3-  …(2)
     (式(2)中、n2とn3はそれぞれ独立して0~2の整数であり、n2+n3は1または2である。)
     Rは、独立して飽和環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~12の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素数3~12の飽和環状炭化水素基、炭素数6~12のアリール基または炭素数7~13のアルアリール基であり、
     R及びRは、独立して水素原子、または、炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基であり、
     Rは、独立して1つ以上の水素原子が水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~25の炭化水素基である。)
  10.  前記スクアリリウム系色素は、透明樹脂中に分散して得られる樹脂膜を使用して測定される波長400~1000nmの光の吸収スペクトルにおいて、波長600~800nm内に吸収極大波長を有するスクアリリウム系色素である請求項5~9のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  11.  前記緑色色素がフタロシアニン系色素を含むとともに、前記構造体は波長860~1000nmの光の平均透過率が80%以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  12.  前記構造体は、波長760~860nmの間に、透過率が10%から80%に遷移する遷移波長域を有し、前記遷移波長域における透過率の変化量が0.75%/nm以上である請求項11に記載の光学フィルタ。
  13.  前記構造体は、波長860~1000nmにおける透過率が80%以上である請求項11または12に記載の光学フィルタ。
  14.  前記フタロシアニン系色素は、式(B1)または(B2)で表されるフタロシアニン系色素から選ばれる少なくとも1種である請求項11~13のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
     (式(B1)及び(B2)中、
     Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、または3価もしくは4価の金属原子を含む置換金属原子であり、
     R及びRは、それぞれ独立して、1つ以上の水素原子が水酸基、カルボキシル基、フッ素原子、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~25の炭化水素基、あるいは、式(B-a)、式(B-b)または式(B-c)で示される基である。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
     (式(B-a)、式(B-b)及び式(B-c)中、Yは酸素原子または硫黄原子であり、Rは、1つ以上の水素原子が水酸基、カルボキシル基、フッ素原子、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~25の炭化水素基である。))
  15.  前記黒色色素は、アゾ系染料を含む請求項1~14のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  16.  前記構造体の片側もしくは両側に赤外光透過性基材を備える請求項1~15のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  17.  前記赤外光透過性基材は、開口部を有するカバーガラスを含む請求項16に記載の光学フィルタ。
  18.  前記構造体の片側もしくは両側に赤外光反射層を備え、
     前記赤外光反射層は、入射角0°の分光透過率曲線において、波長800~900nmの光の平均透過率が80%以上であり、波長900~1100nmの間に透過率が5%以下となる波長を有する請求項1~17のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  19.  前記構造体の片側もしくは両側に赤外光反射層を備え、
     前記赤外光反射層は、入射角0°の分光透過率曲線において、波長900~1000nmの光の平均透過率が80%以上であり、波長1000~1100nmの間に透過率が5%以下となる波長を有する請求項1~17のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  20.  前記構造体の片側もしくは両側に保護層を有する請求項1~19のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  21.  前記保護層は、無機膜からなる請求項20に記載の光学フィルタ。
  22.  前記保護層は、有機膜からなる請求項20に記載の光学フィルタ。
  23.  外気と触れる最表面に、赤外光透過性を示す粘着層を有する請求項1~22のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  24.  全体の厚さが50μm以下である請求項1~23のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  25.  請求項1乃至24のいずれか1項記載の光学フィルタを備えたことを特徴とする装置。
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