JP7415815B2 - 光学フィルタ - Google Patents

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本発明は、可視波長領域の光を透過し、近赤外波長領域の光を遮断する光学フィルタに関する。
固体撮像素子を用いた撮像装置には、色調を良好に再現し鮮明な画像を得るため、可視域の光(以下「可視光」ともいう)を透過し近赤外域の光(以下「近赤外光」ともいう)を遮断する光学フィルタが用いられる。該光学フィルタとしては、ガラス基材上に、近赤外光吸収色素と樹脂を含む吸収層と、近赤外光を遮断する誘電体多層膜とを設けた近赤外光カットフィルタが知られている。また、近年、撮像装置の小型化や軽量化に伴い、ガラス基材を用いない近赤外光カットフィルタが求められるようになり、近赤外光吸収剤を含む透明樹脂フィルムと誘電体多層膜で構成される近赤外光カットフィルタも知られている。
上記の近赤外光カットフィルタにおいて、基材と誘電体多層膜との密着性を高めるために、密着層を設けることが知られている。
特許文献1には、基材と誘電体多層膜の間にアクリル系樹脂等の透明樹脂層を備える光学フィルタが記載されている。
特開2019-53157号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光学フィルタでは基材と誘電体多層膜との密着性は十分ではなかった。
本発明は、可視光の高い透過性および、近赤外光、特に長波長域における近赤外光の高い遮蔽性を有するとともに、基材と誘電体多層膜の密着性に優れた光学フィルタの提供を目的とする。
本発明の一態様に係る光学フィルタは、下記に存する。
基材と、前記基材の両方の主面側に積層された密着層と、前記基材の両方の主面側に最外層として積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、
前記基材は、ジクロロメタン中で680~1200nmに最大吸収波長を有する色素(A)を含む透明性基材であり、
前記密着層は、カチオン重合性樹脂と、下記分光特性(1)を示しジクロロメタン中で680~800nmに最大吸収波長を有する色素(1)および下記分光特性(2)を示しジクロロメタン中で900~1200nmに最大吸収波長を有する色素(2)の少なくとも一方とを含み、
前記誘電体多層膜の少なくとも一方は近赤外線反射層である、光学フィルタ。
分光特性(1):
密着層で測定される波長400~1200nmの分光透過率曲線における最大吸収波長λmaxにおける内部透過率を10%となるように濃度調整したときに、
Absλ420/Absλmaxが0.070%以下かつ
Absλ600/Absλmaxが0.060%以下である。
(ただしAbsλ420:波長420nmにおける吸収率、Absλmax:密着層の最大吸収波長における吸収率、Absλ600:波長600nmにおける吸収率である。)
分光特性(2):
密着層で測定される波長400~1200nmの分光透過率曲線における最大吸収波長λmaxにおける内部透過率を10%となるように濃度調整したときに、
Absλ800/Absλmaxが0.30%以上かつ
Absλ1200/Absλmaxが0.50%以上である。
(ただしAbsλ800:波長800nmにおける吸収率、Absλmax:密着層の最大吸収波長における吸収率、Absλ1200:波長1200nmにおける吸収率である。)
本発明によれば、可視光の高い透過性および、近赤外光、特に長波長域における近赤外光の高い遮蔽性を有するとともに、基材と誘電体多層膜の密着性に優れた光学フィルタが提供できる。
図1は一実施形態の光学フィルタの一例を概略的に示す断面図である。 図2は一実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。 図3は一実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。 図4は例6-1の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本明細書において、近赤外線吸収色素を「NIR色素」、紫外線吸収色素を「UV色素」と略記することもある。
本明細書において、式(I)で示される化合物を化合物(I)という。他の式で表される化合物も同様である。化合物(I)からなる色素を色素(I)ともいい、他の色素についても同様である。また、式(I)で表される基を基(I)とも記し、他の式で表される基も同様である。
本明細書において、内部透過率とは、実測透過率/(100-反射率)の式で示される、実測透過率から界面反射の影響を引いて得られる透過率である。
本明細書において、基材の透過率、色素が樹脂に含有される場合を含む樹脂層の透過率の分光は、「透過率」と記載されている場合も全て「内部透過率」である。一方、色素をジクロロメタン等の溶媒に溶解して測定される透過率、誘電体多層膜を有する光学フィルタの透過率は、実測透過率である。
本明細書において、特定の波長域について、透過率が例えば90%以上とは、その全波長領域において透過率が90%を下回らない、すなわちその波長領域において最小透過率が90%以上であることをいう。同様に、特定の波長域について、透過率が例えば1%以下とは、その全波長領域において透過率が1%を超えない、すなわちその波長領域において最大透過率が1%以下であることをいう。内部透過率においても同様である。特定の波長域における平均透過率および平均内部透過率は、該波長域の1nm毎の透過率および内部透過率の相加平均である。
本明細書において、数値範囲を表す「~」では、上下限を含む。
<光学フィルタ>
本発明の一実施形態の光学フィルタ(以下、「本フィルタ」ともいう)は、基材と、当該基材の両方の主面側に積層された密着層と、当該基材の両方の主面側に最外層として積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、基材は、ジクロロメタン中で680~1200nmに最大吸収波長を有する色素(A)を含む透明性基材であり、密着層は、カチオン重合性樹脂と、後述する特定の分光特性(1)を示しジクロロメタン中で680~800nmに最大吸収波長を有する色素(1)および後述する特定の分光特性(2)を示しジクロロメタン中で900~1200nmに最大吸収波長を有する色素(2)の少なくとも一方とを含み、誘電体多層膜の少なくとも一方は近赤外線反射層であることを特徴とする。
図面を用いて本フィルタの構成例について説明する。図1~3は、一実施形態の光学フィルタの一例を概略的に示す断面図である。
図1に示す光学フィルタ1は、基材10の両方の主面側に密着層20および誘電体多層膜30をその順に有する例である。なお、「基材の主面側に特定の層を有する」とは、基材の主面に接触して該層が備わる場合に限らず、基材と該層との間に、別の機能層が備わる場合も含む。
図2に示す光学フィルタ1は、基材10が、基材基体11と、基材基体11の一方の主面側に積層された樹脂層12とを有する例である。図2に示す光学フィルタ1は、樹脂層12の上と、基材基体11の樹脂層12が積層されていない主面側に、密着層20および誘電体多層膜30をそれぞれその順に有する。
図3に示す光学フィルタは、基材10が、基材基体11と、基材基体11の両方の主面側に積層された樹脂層12とを有する例である。図3に示す光学フィルタ1は、それぞれの樹脂層12の上に、密着層20および誘電体多層膜30をその順に有する。
<密着層>
本フィルタは、基材と誘電体多層膜との間に密着層を備えることで、両者の密着性を高められる。
本フィルタにおいて、密着層は、カチオン重合性樹脂を含む。カチオン重合性樹脂を含むことで、基材と誘電体多層膜との密着性を高められる。これは、エポキシ基等のカチオン硬化性官能基は、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等のラジカル硬化性官能基よりも重合時の収縮が小さいことから樹脂硬化前後における体積変化が少ないためと考えられる。
密着層におけるカチオン重合性樹脂としては、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル等が挙げられ、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂が好ましい。これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
密着層におけるカチオン重合性樹脂としては、単官能性基または二官能性基の割合が樹脂全体において好ましくは50モル%以上、より好ましくは75モル%以上である。多官能性基の割合が大きいほどカチオン重合性樹脂の収縮率が増加し、誘電体多層膜との密着性が低下するおそれがある。単官能性基または二官能性基の割合が上記範囲であれば、耐熱性や耐光性等の信頼性の高い密着層が得られる。
また、本フィルタは、特定の波長領域に最大吸収波長を有する色素を含む。ここで後述するように本フィルタにおいて基材も特定の波長領域に最大吸収波長を有する色素を含む。密着層は厚く積層することが困難であるため、密着層のみで吸収能を高めることは困難である。本フィルタでは基材と密着層のいずれにも色素を含むことで全体として複数の吸収層を有することとなり、光学フィルタの吸収能が高められる。
密着層に含まれる色素は、下記分光特性(1)を示しジクロロメタン中で680~800nmに最大吸収波長を有する色素(1)および下記分光特性(2)を示しジクロロメタン中で900~1200nmに最大吸収波長を有する色素(2)の少なくとも一方である。
分光特性(1):
密着層で測定される波長400~1200nmの分光透過率曲線における最大吸収波長λmaxにおける内部透過率を10%となるように濃度調整したときに、
Absλ420/Absλmaxが0.070%以下かつ
Absλ600/Absλmaxが0.060%以下である。
(ただしAbsλ420:波長420nmにおける吸収率、Absλmax:密着層の最大吸収波長における吸収率、Absλ600:波長600nmにおける吸収率である。)
分光特性(1)を満たすことで420~600nmの可視光領域の透過性に優れた色素であることを意味する。すなわち色素(1)は680~800nmの近赤外光領域の吸収性と420~600nmの可視光領域の透過性を併せ持つ色素である。
分光特性(1)において好ましくはAbsλ420/Absλmaxは0.065%以下、Absλ600/Absλmaxは0.055%以下であり、より好ましくはAbsλ420/Absλmaxは0.060%以下、Absλ600/Absλmaxは0.050%以下である。
分光特性(2):
密着層で測定される波長400~1200nmの分光透過率曲線における最大吸収波長λmaxにおける内部透過率を10%となるように濃度調整したときに、
Absλ800/Absλmaxが0.30%以上かつ
Absλ1200/Absλmaxが0.50%以上である。
(ただしAbsλ800:波長800nmにおける吸収率、Absλmax:密着層の最大吸収波長における吸収率、Absλ1200:波長1200nmにおける吸収率である。)
分光特性(2)を満たすことで800~1200nmの長波長領域における分光形状がブロードであり、広帯域吸収性に優れた色素であることを意味する。すなわち色素(2)は900~1200nmの長波長領域の吸収性を有しかつ広帯域吸収性に優れた色素である。
分光特性(2)において好ましくはAbsλ800/Absλmaxは0.32%以上であり、Absλ1200/Absλmaxは0.55%以上であり、より好ましくはAbsλ800/Absλmaxは0.35%以上であり、Absλ1200/Absλmaxは0.60%以上である。
色素(1)としては、耐熱性および耐光性の観点からスクアリリウム色素が好ましく、インドール構造のスクアリリウム色素がより好ましい。
色素(2)としては、耐熱性および耐光性の観点からジインモニウム色素が好ましい。
スクアリリウム色素としては、下記式(I)または式(II)に示す化合物が好ましい。
Figure 0007415815000001
ただし、式(I)中の記号は以下のとおりである。
24およびR26は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、-NR2728(R27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、-C(=O)-R29(R29は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基もしくは炭素数6~11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基)、-NHR30、または、-SO-R30(R30は、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~25の炭化水素基)を示す。)、または、下記式(S)で示される基(R41、R42は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。)を示す。
Figure 0007415815000002
21とR22、R22とR25、およびR21とR23は、互いに連結して窒素原子と共に員数が5または6のそれぞれ複素環A、複素環B、および複素環Cを形成してもよい。
複素環Aが形成される場合のR21とR22は、これらが結合した2価の基-Q-として、水素原子が炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基または置換基を有していてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基で置換されてもよいアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を示す。
複素環Bが形成される場合のR22とR25、および複素環Cが形成される場合のR21とR23は、これらが結合したそれぞれ2価の基-X-Y-および-X-Y-(窒素に結合する側がXおよびX)として、XおよびXがそれぞれ下記式(1x)または(2x)で示される基であり、YおよびYがそれぞれ下記式(1y)~(5y)から選ばれるいずれかで示される基である。XおよびXが、それぞれ下記式(2x)で示される基の場合、YおよびYはそれぞれ単結合であってもよく、その場合、炭素原子間に酸素原子を有してもよい。
Figure 0007415815000003
式(1x)中、4個のZは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または-NR3839(R38およびR39は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を示す)を示す。R31~R36はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を、R37は炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を示す。
27、R28、R29、R31~R37、複素環を形成していない場合のR21~R23、およびR25は、これらのうちの他のいずれかと互いに結合して5員環または6員環を形成してもよい。R31とR36、R31とR37は直接結合してもよい。
複素環を形成していない場合の、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基もしくはアリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6~11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。複素環を形成していない場合の、R23およびR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
Figure 0007415815000004
ただし、式(II)中の記号は以下のとおりである。
環Zは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を環中に0~3個有する5員環または6員環であり、環Zが有する水素原子は置換されていてもよい。水素原子が置換される場合、置換基としては、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基が挙げられる。
とR、RとR、およびRと環Zを構成する炭素原子またはヘテロ原子は、互いに連結して窒素原子とともにそれぞれヘテロ環A1、ヘテロ環B1およびヘテロ環C1を形成していてもよく、ヘテロ環を形成していない場合、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよく、置換基を有してもよい炭化水素基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
化合物(I)としては、例えば、樹脂層の可視光透過率を高くできる観点から式(I-1)で示される化合物が好ましい。
Figure 0007415815000005
式(I-1)中の記号は、式(I)における同記号の各規定と同じであり、好ましい態様も同様である。
化合物(I-1)において、Xとしては、基(2x)が好ましく、Yとしては、単結合または基(1y)が好ましい。この場合、R31~R36としては、水素原子または炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。なお、-Y-X-として、具体的には、式(11-1)~(12-3)で示される2価の有機基が挙げられる。
-C(CH-CH(CH)- …(11-1)
-C(CH-CH- …(11-2)
-C(CH-CH(C)- …(11-3)
-C(CH-C(CH)(nC)- …(11-4)
-C(CH-CH-CH- …(12-1)
-C(CH-CH-CH(CH)- …(12-2)
-C(CH-CH(CH)-CH- …(12-3)
また、化合物(I-1)において、R21は、溶解性、耐熱性、さらに分光透過率曲線における可視域と近赤外域の境界付近の変化の急峻性の観点から、独立して、式(4-1)または式(4-2)で示される基がより好ましい。
Figure 0007415815000006
式(4-1)および式(4-2)中、R71~R75は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~4のアルキル基を示す。
化合物(I-1)において、R24は-NR2728が好ましい。
-NR2728としては、密着層を形成する際に用いる樹脂や溶媒(以下、「ホスト溶媒」ともいう)への溶解性の観点から、-NH-C(=O)-R29が好ましい。スクアリリウム骨格の酸素原子と、R24における水素原子とが水素結合を形成することで、化合物の安定性が高まり、耐熱性に優れた色素が得られる。
化合物(I-1)において、R24が-NH-C(=O)-R29の化合物を式(I-11)に示す。
Figure 0007415815000007
化合物(I-11)における、R23およびR26は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましく、いずれも水素原子がより好ましい。
化合物(I-11)において、R29としては、置換基を有していてもよく炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、または置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基が好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフロロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基等が挙げられる。
29としては、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、炭素数6~11のアリール基、または、置換基を有していてもよく炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基が好ましい。
29としては、フッ素原子で置換されてもよい直鎖状、分岐鎖状、環状の炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~6のフロロアルキル基および/または炭素数1~6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基、および炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18の、末端に炭素数1~6のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基および/または、炭素数1~6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基を有するアルアリール基から選ばれる基が好ましい。
29としては、独立して1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい、少なくとも1以上の分岐を有する炭素数5~25の炭化水素基である基も好ましく使用できる。このようなR29としては、例えば、下記式(1a)、(1b)、(2a)~(2e)、(3a)~(3e)で示される基が挙げられる。
Figure 0007415815000008
Figure 0007415815000009
化合物(I-11)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
Figure 0007415815000010
化合物(I-1)において、R24は、可視光の透過率、特に波長430~550nmの光の透過率を高める観点からは、-NH-SO-R30が好ましい。化合物(I-1)において、R24が-NH-SO-R30の化合物を式(I-12)に示す。
Figure 0007415815000011
化合物(I-12)における、R23およびR26は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましく、いずれも水素原子がより好ましい。
化合物(I-12)において、R30は耐光性の点から、独立して、直鎖状、分岐鎖状、または環状の、炭素数1~12のアルキル基もしくはアルコキシ基、または不飽和の環構造を有する炭素数6~16の炭化水素基が好ましい。不飽和の環構造としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、フラン、ベンゾフラン等が挙げられる。R30は、独立して、直鎖状、分岐鎖状、または環状の、炭素数1~12のアルキル基もしくはアルコキシ基がより好ましい。なお、R30を示す各基において、水素原子の一部または全部がハロゲン原子、特にはフッ素原子に置換されていてもよい。なお、水素原子のフッ素原子への置換は、色素(I-12)を含有する樹脂層と、例えば、透明基板との密着性が低下しない程度とする。
不飽和の環構造を有するR30として具体的には、下記式(P1)~(P8)で示される基が挙げられる。
Figure 0007415815000012
化合物(I-12)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
Figure 0007415815000013
化合物(II)としては、例えば、式(II-1)~(II-3)のいずれかで示される化合物が挙げられる。
Figure 0007415815000014
ただし、式(II-1)、式(II-2)中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基を示し、R~Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。
ただし、式(II-3)中、R、R、およびR~R12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルキル基を示す。
化合物(II-1)および化合物(II-2)におけるRおよびRは、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数7~15のアルキル基がより好ましく、RとRの少なくとも一方が、炭素数7~15の分岐鎖を有するアルキル基がさらに好ましく、RとRの両方が炭素数8~15の分岐鎖を有するアルキル基が特に好ましい。
は、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。Rは、可視域と近赤外域の境界付近の変化の急峻性の観点から、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子がとくに好ましい。化合物(II-1)におけるRおよび化合物(II-2)におけるRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~5のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。
化合物(II-1)および化合物(II-2)としては、より具体的に、それぞれ以下の表3および表4に示す化合物が挙げられる。表3および表4において、-C17、-C、-C13は、直鎖のオクチル基、ブチル基、ヘキシル基をそれぞれ示す。
Figure 0007415815000015
Figure 0007415815000016
化合物(II-3)におけるRは、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。
は、可視光透過性、合成容易性の観点から、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。RおよびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~5のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。
~R12は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~5のアルキル基が好ましい。-CR10-CR1112-として、上記基(11-1)~(11-3)または、以下の式(11-5)で示される2価の有機基が挙げられる。
-C(CH)(CH-CH(CH)-CH(CH)-…(11-5)
化合物(II-3)としては、より具体的に、以下の表に示す化合物が挙げられる。
Figure 0007415815000017
化合物(I)および化合物(II)は、それぞれ公知の方法で製造できる。化合物(I)について、化合物(I-11)は、例えば、米国特許第5,543,086号明細書に記載された方法で製造できる。化合物(I-12)は、例えば、米国特許出願公開第2014/0061505号明細書、国際公開第2014/088063号に記載された方法で製造可能である。化合物(II)については、国際公開第2017/135359号に記載された方法で製造可能である。
ジインモニウム色素としては、下記式(III)に示す化合物が好ましい。
Figure 0007415815000018
ただし、式(III)中の記号は以下のとおりである。
51およびR52は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル、リン酸基、炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を有してもよく置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基、または、置換されていてもよい、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~14のアルアリール基、もしくは員数が3~14のヘテロ環基である。R51およびR52において、同一の窒素原子に結合する2つの基は互いに結合して、前記窒素原子とともに員数3~8のヘテロ環を形成していてもよく、該環に結合する水素原子は、炭素数1~12のアルキル基に置換されていてもよい。
51およびR52において、置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基、置換されていてもよい、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~14のアルアリール基、もしくは員数が3~14のヘテロ環基における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、炭素数1~6のアシルオキシ基が挙げられる。
環を形成していない場合のR51およびR52は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましい。アルキル基もしくはアルコキシ基の炭素数は1~8が好ましい。
51およびR52としては、炭素数4~6の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。炭素数4以上とすることにより、有機溶媒に対する溶解性が良好になり、炭素数6以下とすることにより耐熱性が向上する。耐熱性が向上する理由としては、色素の融点が上昇するからと考えられる。
同一の窒素原子に結合する2つの基が互いに結合した場合の2価の基、すなわち、R51とR52が、それぞれ結合した場合の2価の基としては、-(CHn3-(n3は2~7の整数)で示されるアルキレン基であるのが好ましく、該アルキレン基の水素原子は、炭素数1~12のアルキル基に置換されていてもよい。
53は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、または、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12のアルキル基もしくはアルコキシ基である。
53は、製造の簡便性の観点から水素原子が好ましい。
nは1~4の整数である。
51、R52が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子または炭素数1~10のアルコキシ基が挙げられる。
式(III)において、Xは電荷を中和するためのアニオンであり、Cl、Br、I、F、ClO 、BF 、PF 、SbF 、CFSO 、CHSO 、N[SO 、または、C[SO である。なかでもI、BF4-、SbF 、PF 、ClO 、N[SOCF またはC[SOCF が好ましい
化合物(III)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、ジインモニウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
Figure 0007415815000019
化合物(III)は、公知の方法で製造でき、例えば、特開2009-137894号公報、特開2000-229931号公報に記載された方法で製造可能である。
色素(I)~色素(III)は、1種を用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
密着層における色素(1)の含有量は、密着層の厚みによるが、可視域透過率と溶解性の観点から、カチオン重合性樹脂100質量部に対して0.1~6.0質量部が好ましく、0.3~3.0質量部がより好ましい。
密着層における色素(2)の含有量は、密着層の厚みによるが、可視域透過率と溶解性の観点から、カチオン重合性樹脂100質量部に対して3.0~30質量部が好ましく、3.5~20質量部がより好ましい。
密着層は、色素(1)および色素(2)以外に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の色素を含有してもよく、その他の色素としては例えばUV色素が挙げられる。
UV色素としては、波長350~1100nmの分光透過率曲線において、最大吸収波長が350~450nmの波長領域にある化合物が好ましい。UV色素を含むことでUV側の斜入射特性を改善できる。
UV色素は、具体例に、オキサゾール系、メロシアニン系、シアニン系、ナフタルイミド系、オキサジアゾール系、オキサジン系、オキサゾリジン系、ナフタル酸系、スチリル系、アントラセン系、環状カルボニル系、トリアゾール系等の色素が挙げられる。この中でも、オキサゾール系、メロシアニン系の色素が好ましい。また、UV色素は、密着層に1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
密着層におけるUV色素の含有量は、溶解性の観点から、カチオン重合性樹脂100質量部に対して0.05~20質量部が好ましく、0.1~20質量部がより好ましい。
密着層はさらに、本発明の効果を損なわない範囲で密着性付与剤、色調補正色素、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤等の任意成分を含有してもよい。
密着層は、色素(1)または色素(2)と、カチオン重合性樹脂と、カチオン開始剤と、さらに各種任意成分を、溶媒に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材に塗工し乾燥させ、さらに硬化させて形成できる。上記基材は、本フィルタに含まれる基材でもよいし、密着層を形成する際にのみ使用する剥離性の基材でもよい。カチオン開始剤は公知のものを使用できる。また、溶媒は、安定に分散できる分散媒または溶解できる溶媒であればよい。
また、塗工液は、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじき等の改善のため界面活性剤を含んでもよい。さらに、塗工液の塗工には、例えば、浸漬コーティング法、キャストコーティング法、ダイコート法またはスピンコート法等を使用できる。上記塗工液を基材上に塗工後、乾燥させる。
乾燥後の塗工膜をさらに熱硬化、光硬化等の硬化処理を行うことにより密着層が形成される。硬化条件としては、紫外線硬化が好ましい。
密着層が色素(1)を含む場合、密着層の厚みは好ましくは0.3μm~15μm、より好ましくは0.5μm~5.0μmである。
密着層が色素(2)を含む場合、密着層の厚みは好ましくは3.5μm~35μm、より好ましくは5μm~30μmである。
上記厚みであれば誘電体多層膜との密着性が十分であり、本フィルタが高い可視光透過性を有する。
密着層は硬化収縮率が6%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。硬化収縮率が小さい密着層であることで、基材と誘電体多層膜との密着性が高められる。
<基材>
本フィルタにおける基材は、ジクロロメタン中で680~1200nmに最大吸収波長を有する色素(A)を含む透明性基材である。本フィルタは、上記のように密着層にも色素を含む。本フィルタでは基材と密着層のいずれにも色素を含むことで全体として複数の吸収層を有することとなり、光学フィルタの吸収能が高められる。
色素(A)としては、ジクロロメタン中で680~800nmに最大吸収波長を有する色素(A1)、ジクロロメタン中で900~1200nmに最大吸収波長を有する色素(A2)が好ましい。基材は色素(A1)および色素(A2)のいずれか一方を含有しても、両方を含有してもよい。
上記密着層が色素(1)、すなわちジクロロメタン中で680~800nmに最大吸収波長を有する色素を含む場合、基材は色素(A2)を含むことが好ましい。
上記密着層が色素(2)、すなわちジクロロメタン中で900~1200nmに最大吸収波長を有する色素を含む場合、基材は色素(A1)を含むことが好ましい。
最大吸収波長領域の異なる色素を密着層と基材にそれぞれ含有することで、光学フィルタ全体として斜入射特性がなく、かつ広帯域吸収となりかつゴースト・フレア等の光漏れのない光学フィルタとなる。
色素(A1)としては、上記した密着層における色素(1)が好ましい。
色素(A2)としては、上記した密着層における色素(2)が好ましい。
本フィルタにおける基材は、単層構造であっても、複層構造であってもよい。また基材の材質としては400~700nmの可視光を透過する透明性材料であれば有機材料でも無機材料でもよく、特に制限されない。
基材が単層構造の場合、透明性を有する樹脂と色素(A)を含む樹脂基材であることが好ましい。
基材が複層構造の場合、基材基体の少なくとも一方の主面に色素(A)を含有する樹脂層を積層した構造であることが好ましい。このとき基材基体は透明性を有する樹脂や透明性を有する無機材料からなることが好ましい。
透明性を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
透明性を有する無機材料としては、ガラスや結晶材料が好ましい。
基材に使用できるガラスとしては、フツリン酸塩系ガラスやリン酸塩系ガラス等に銅イオンを含む吸収型のガラス(近赤外線吸収ガラス)、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられる。ガラスとしては、目的に応じて吸収ガラスが好ましく、赤外光を吸収する観点ではリン酸系ガラス、沸リン酸系ガラスが好ましい。赤色光(600~700nm)を多く取り込みたい際は、アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラスが好ましい。なお、「リン酸塩系ガラス」は、ガラスの骨格の一部がSiOで構成されるケイリン酸塩ガラスも含む。
ガラスとしては、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス板主面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(例えば、Liイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(例えば、Liイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換して得られる化学強化ガラスを使用してもよい。
基材に使用できる結晶材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイア等の複屈折性結晶が挙げられる。
基材としては、光学特性、機械特性等の長期にわたる信頼性に係る形状安定性の観点、フィルタ製造時のハンドリング性等から、無機材料が好ましく、特にガラス、サファイアが好ましい。
色素(A)を含有する樹脂層に用いる樹脂としては、ガラス転移点、可視透明性の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド(アミド)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、及びシクロオレフィン樹脂等が挙げられ、中でも、基材との高い密着性が実現できる観点から、ポリイミド樹脂が好ましい。これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、樹脂としては、波長400~900nmの光、すなわち可視光を透過することが好ましい。
基材が、透明性樹脂と色素(A)を含む単層構造の樹脂基材である場合、例えば、以下の方法で製造できる。樹脂基材は、透明性樹脂、または透明性樹脂と任意成分の混合物を溶融押出してフィルム状に成形して製造できる。また、透明性樹脂および必要に応じて任意成分を溶媒に溶解させ、塗工液を調製し、これを樹脂基材作製用の剥離性の基材に所望の厚さに塗工し乾燥させ、さらに、必要に応じて硬化させた後、樹脂基材を基材から剥離して、製造できる。
塗工液に用いる溶媒は、透明性樹脂を安定に分散できる分散媒または溶解できる溶媒であればよい。塗工液は、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじき等の改善のため界面活性剤を含んでもよい。さらに、塗工液の塗工には、例えば、浸漬コーティング法、キャストコーティング法、ダイコート法またはスピンコート法等を使用できる。
基材が、基材基体と、基材基体の少なくとも一方の主面に積層した色素(A)を含有する樹脂層とを有する複層構造である場合、樹脂層の厚さは、0.1~100μmが好ましい。樹脂層が複数層からなる場合、各層の合計の厚さは、0.1~100μmが好ましい。
樹脂層は、色素(A)と、樹脂または樹脂の原料成分と、必要に応じて配合される各成分とを、溶媒に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材に塗工し乾燥させ、さらに必要に応じて硬化させて形成できる。上記基材は、本フィルタに含まれる基材基体でもよいし、樹脂層を形成する際にのみ使用する剥離性の基材でもよい。また、溶媒は、安定に分散できる分散媒または溶解できる溶媒であればよい。
また、塗工液は、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじき等の改善のため界面活性剤を含んでもよい。さらに、塗工液の塗工には、例えば、浸漬コーティング法、キャストコーティング法、またはスピンコート法等を使用できる。上記塗工液を基材上に塗工後、乾燥させることにより樹脂層が形成される。また、塗工液が透明樹脂の原料成分を含有する場合、さらに熱硬化、光硬化等の硬化処理を行う。
また、樹脂層は、押出成形によりフィルム状に製造可能でもあり、このフィルムを他の部材に積層し熱圧着等により一体化させてもよい。例えば、このフィルムを基材基体上に貼着してもよい。
樹脂層は、光学フィルタの中に1層有してもよく、2層以上有してもよい。2層以上有する場合、各層は同じ構成であっても異なってもよい。
基材における色素(A)の含有量は、可視域透過率と溶解性の観点から好ましくは0.01~20質量部、より好ましくは0.03~15質量部である。
基材の形状は特に限定されず、ブロック状、板状、フィルム状でもよい。
また基材の厚さは、例えば、0.03~5mmが好ましく、薄型化の観点からは、0.03~0.5mmがより好ましい。
<誘電体多層膜>
本フィルタにおいて、誘電体多層膜は、基材の両方の主面側に密着層を介して最外層として積層される。密着層が含有するカチオン重合性樹脂の特性により、密着層上の誘電体多層膜の剥離が十分に抑制されている。
本フィルタにおいて、誘電体多層膜の少なくとも一方は近赤外線反射層(以下、NIR反射層とも記載する。)として設計される。誘電体多層膜の他方はNIR反射層、近赤外域以外の反射域を有する反射層、または反射防止層として設計されることが好ましい。
NIR反射層は、近赤外域の光を遮蔽するように設計された誘電体多層膜である。NIR反射層としては、例えば、可視光を透過し、吸収層の遮光域以外の近赤外域の光を主に反射する波長選択性を有する。なお、NIR反射層の反射領域は、吸収層の近赤外域における遮光領域を含んでもよい。NIR反射層は、NIR反射特性に限らず、近赤外域以外の波長域の光、例えば、近紫外域をさらに遮断する仕様に適宜設計してよい。
NIR反射層は、例えば、低屈折率の誘電体膜(低屈折率膜)と高屈折率の誘電体膜(高屈折率膜)とを交互に積層した誘電体多層膜から構成される。高屈折率膜は、好ましくは、屈折率が1.6以上であり、より好ましくは2.2~2.5である。高屈折率膜の材料としては、例えばTa、TiO、Nbが挙げられる。これらのうち、成膜性、屈折率等における再現性、安定性等の点から、TiOが好ましい。
一方、低屈折率膜は、好ましくは、屈折率が1.6未満であり、より好ましくは1.45以上1.55未満である。低屈折率膜の材料としては、例えばSiO、SiO等が挙げられる。成膜性における再現性、安定性、経済性等の点から、SiOが好ましい。
さらに、NIR反射層は、透過域と遮光域の境界波長領域で透過率が急峻に変化することが好ましい。この目的のためには、反射層を構成する誘電体多層膜の合計積層数は、15層以上が好ましく、25層以上がより好ましく、30層以上がさらに好ましい。ただし、合計積層数が多くなると、反り等が発生したり、膜厚が増加したりするため、合計積層数は100層以下が好ましく、75層以下がより好ましく、60層以下がより一層好ましい。また、反射層の膜厚は、全体として2~10μmが好ましい。
誘電体多層膜の合計積層数や膜厚が上記範囲内であれば、NIR反射層は小型化の要件を満たし、高い生産性を維持しながら入射角依存性を抑制できる。また、誘電体多層膜の形成には、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空成膜プロセスや、スプレー法、ディップ法等の湿式成膜プロセス等を使用できる。
NIR反射層は、1層(1群の誘電体多層膜)で所定の光学特性を与えたり、2層で所定の光学特性を与えたりしてもよい。2層以上有する場合、各反射層は同じ構成でも異なる構成でもよい。反射層を2層以上有する場合、通常、反射帯域の異なる複数の反射層で構成される。2層の反射層を設ける場合、一方を、近赤外域のうち短波長帯の光を遮蔽する近赤外反射層とし、他方を、該近赤外域の長波長帯および近紫外域の両領域の光を遮蔽する近赤外・近紫外反射層としてもよい。
反射防止層としては、誘電体多層膜や中間屈折率媒体、屈折率が漸次的に変化するモスアイ構造などが挙げられる。中でも光学的効率、生産性の観点から誘電体多層膜が好ましい。反射防止層は、反射層と同様に誘電体膜を交互に積層して得られる。
本フィルタは、他の構成要素として、例えば、特定の波長域の光の透過と吸収を制御する無機微粒子等による吸収を与える構成要素(層)などを備えてもよい。無機微粒子の具体例としては、ITO(Indium Tin Oxides)、ATO(Antimony-doped Tin Oxides)、タングステン酸セシウム、ホウ化ランタン等が挙げられる。ITO微粒子、タングステン酸セシウム微粒子は、可視光の透過率が高く、かつ1200nmを超える赤外波長領域の広範囲に光吸収性を有するため、かかる赤外光の遮蔽性を必要とする場合に使用できる。
本フィルタは、可視光の高い透過性および、近赤外光、特に長波長域における近赤外光の高い遮蔽性を有するとともに、基材と誘電体多層膜の密着性に優れる光学フィルタである。
本フィルタは、以下の光学特性(I-1)~(I-5)をすべて満足することが好ましい。
(I-1)入射角0度における波長420~600nmの光の平均透過率が好ましくは85%以上、より好ましくは86%以上である。
(I-2)入射角0度における波長800~1200nmの光の平均透過率が好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.15%以下である。
(I-3)入射角30度における波長420~600nmの光の平均透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは83%以上である。
(I-4)入射角30度における波長800~1200nmの光の平均透過率が好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下である。
(I-5)波長615~725nmの範囲において、「入射角0度の光の透過率と入射角30度の光の透過率の差の総和/(725-615)」が好ましくは10%以下、より好ましくは9.0%以下である。
光学特性(I-1)および(I-2)を満たすことで、本フィルタは、可視光の高い透過性および、近赤外光、特に長波長域における近赤外光の高い遮蔽性を有する。
光学特性(I-3)および(I-4)を満たすことで、本フィルタは、斜入射光の場合であっても、可視光の高い透過性および、近赤外光、特に長波長域における近赤外光の高い遮蔽性を有する。
光学特性(I-5)は、入射角0度と入射角30度との分光透過率曲線の形状変化が小さいことを意味する。これにより本フィルタは、斜入射光においても光漏れがない分光特性に優れた光学フィルタである。
本フィルタは、例えば、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に使用した場合に、色再現性に優れるとともに、該色再現性の耐熱性に優れる撮像装置を提供できる。また、好ましい態様の本フィルタにおいて、誘電体多層膜の剥離が抑制されることで耐久性に優れた撮像装置を提供できる。本フィルタを用いた撮像装置は、固体撮像素子と、撮像レンズと、本フィルタとを備える。本フィルタは、例えば、撮像レンズと固体撮像素子との間に配置されたり、撮像装置の固体撮像素子、撮像レンズ等に粘着剤層を介して直接貼着されたりして使用できる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
各光学特性の測定には、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ社製、U-4100形)を用いた。
各例で用いた樹脂は下記のとおりである。
エポキシ樹脂(1):三菱化学(株)社製、YX8000
エポキシ樹脂(2):ダイセル化学(株)社製、EHPE3150
オキセタン樹脂:東亞合成(株)社製、OXT-221
エンチオール樹脂:デンカ(株)社製、OP-1030K
アクリル樹脂(1):新中村化学(株)社製、A-DCP
アクリル樹脂(2):三菱レーヨン(株)社製、BR-50
シクロオレフィン樹脂:JSR(株)社製、ARTON
ポリイミド樹脂:三菱ガス化学(株)社製、C3G30
スクアリリウム色素(1):特許第6248945号公報を参考に合成した。
スクアリリウム色素(2):特許第6630161号公報を参考に合成した。
シアニン色素(1):特許第6202230号公報を参考に合成した。
シアニン色素(2):Few Chemicals社製、S0734を用いた。
ジインモニウム色素(1):特開2009-137894号公報、特開2000-229931号公報を参考に合成した。
ジインモニウム色素(2):特開2009-137894号公報、特開2000-229931号公報を参考に合成した。
Figure 0007415815000020
Figure 0007415815000021
Figure 0007415815000022
開始剤各種は下記を用いた。
カチオン開始剤(1):BASF社製、Irgacure290
カチオン開始剤(2):国際公開第1997/031924号に記載された合成法に従って、TBP触媒を合成した。
ラジカル開始剤:チバスペシャリティケミカルズ社製、IRUGACURE184
<樹脂組成物1の製造>
シクロヘキサノン(3.00g)に対してスクアリリウム色素(1)(0.074g)を溶解させ室温にて30分攪拌した後、エポキシ樹脂(1)(2.95g)とカチオン開始剤(1)(0.060g)を添加し、室温にて1.5時間攪拌して、樹脂組成物1を得た。
<樹脂組成物2の製造>
シクロヘキサノン(3.01g)に対してスクアリリウム色素(1)(0.076g)を溶解させ室温にて30分攪拌した後、オキセタン樹脂(2.94g)とカチオン開始剤(1)(0.060g)を添加し、室温にて1.5時間攪拌して、樹脂組成物2を得た。
<樹脂組成物3の製造>
シクロヘキサノン(3.00g)に対してスクアリリウム色素(1)(0.078g)を溶解させ室温にて30分攪拌した後、エンチオール樹脂(2.95g)とラジカル開始剤(0.06g)を添加し室温にて1.5時間攪拌して、樹脂組成物3を得た。
<樹脂組成物4の製造>
シクロヘキサノン(3.01g)に対してスクアリリウム色素(1)(0.12g)を溶解させ室温にて30分攪拌した後、アクリル樹脂(1)(2.95g)とラジカル開始剤(0.06g)を添加し室温にて1.5時間攪拌して、樹脂組成物4を得た。
<樹脂組成物5の製造>
ジクロロメタン(2.98g)に対してシアニン色素(1)(0.078g)を溶解させ室温にて30分攪拌した後、エポキシ樹脂(1)(2.96g)とカチオン開始剤(1)(0.06g)を添加し室温にて1.5時間攪拌して、樹脂組成物5を得た。
<樹脂組成物6の製造>
ジクロロメタン(3.03g)に対してシアニン色素(1)(0.075g)を溶解させ室温にて30分攪拌した後、エンチオール樹脂(3.01g)とラジカル開始剤(0.06g)を添加し室温にて1.5時間攪拌して、樹脂組成物6を得た。
<樹脂組成物7の製造>
ジクロロメタン(3.02g)に対してシアニン色素(1)(0.075g)を溶解させ室温にて30分攪拌した後、アクリル樹脂(1)(3.02g)とラジカル開始剤(0.06g)を添加し室温にて1.5時間攪拌して、樹脂組成物7を得た。
<樹脂組成物8の製造>
シクロヘキサノン(3.00g)に対してジインモニウム色素(1)(0.15g)を溶解させ室温にて30分攪拌した後、エポキシ樹脂(1)(2.95g)とカチオン開始剤(0.06g)を添加し室温にて1.5時間攪拌して、解け残り成分を0.2μmのメッシュにて濾過し、樹脂組成物8を得た。
<樹脂組成物9の製造>
シクロヘキサノンとγブチロラクトンを1:1の比率で混合させた溶媒に固形分濃度8.5重量%となるようにポリイミド樹脂を溶解させた樹脂溶液(2.00g)にシアニン色素(2)(0.085g)を溶解させ50℃で2時間攪拌して、樹脂組成物9を得た。
<樹脂組成物10の製造>
シクロヘキサノンとγブチロラクトンを1:1の比率で混合させた溶媒に固形分濃度8.5重量%となるようにポリイミド樹脂を溶解させた樹脂溶液(2.02g)にジインモニウム色素(2)(0.014g)を溶解させ50℃で2時間攪拌して、樹脂組成物10を得た。
<樹脂組成物11の製造>
シクロヘキサノンとN-メチルピロリドンを1:1の比率で混合させた溶媒に固形分濃度20重量%となるようにアクリル樹脂(2)を溶解させた樹脂溶液(2.11g)にジインモニウム色素(2)(0.040g)を溶解させ50℃で2時間攪拌して、樹脂組成物11を得た。
<樹脂組成物12の製造>
シクロヘキサノンに固形分濃度15重量%となるようにシクロオレフィン樹脂を溶解させた樹脂溶液(2.02g)にジインモニウム色素(2)(0.030g)を溶解させ50℃で2時間攪拌して、樹脂組成物12を得た。
<樹脂組成物13の製造>
トルエンに固形分濃度29重量%となるようにエポキシ樹脂(2)を溶解させた樹脂溶液(2.07g)にスクアリリウム色素(2)(0.046g)を溶解させ50℃で2時間攪拌した後、カチオン開始剤(2)(0.014g)を添加し、50℃で10分攪拌して、樹脂組成物13を得た。
<薄膜1の製造>
樹脂組成物1を0.21mmのD263ガラス上にスピンコートした後、80℃で10分間仮焼成し、波長365nm、4500mJで硬化させ、150℃で2時間焼成し、厚み0.5umの薄膜1を形成した。
<薄膜2~13の製造>
樹脂組成物の種類、仮焼成条件、硬化条件、焼成条件を下記表に示したとおりにそれぞれ変更した以外は薄膜1と同様に、薄膜2~13を形成した。
Figure 0007415815000023
<各色素のジクロロメタン中の分光特性>
各色素をそれぞれジクロロメタンに均一に溶解した。得られた各溶液について、分光光度計を用い、最大吸収波長を測定した。結果を下記表に示す。
Figure 0007415815000024
<例1-1~1-5:密着層の分光特性>
薄膜1~4、薄膜13からそれぞれ構成される密着層について、分光光度計を用い、下記表に示す分光特性を測定した。
例1-1および例1-2が実施例であり、例1-3~例1-5が比較例である。
Figure 0007415815000025
上記結果より、特定の分光特性を満たすスクアリリウム色素(1)とカチオン重合性樹脂を含む例1-1および例1-2の密着層は、いずれも可視域の広範囲にわたり透過性に優れることが分かる。
一方、特定の分光特性を満たさないスクアリリウム色素(2)を含む例1-5の密着層や、カチオン重合性樹脂を用いなかった例1-3および例1-4の密着層は、例1-1に比べ可視域透過率が低下した。
<例2-1~2-4:密着層の分光特性>
薄膜8、9、11、12からそれぞれ構成される密着層について、分光光度計を用い、下記表に示す分光特性を測定した。
例2-1が実施例であり、例2-2~例2-4が比較例である。
Figure 0007415815000026
上記結果より、特定の分光特性を満たすジインモニウム色素(1)とカチオン重合性樹脂を含む例2-1の密着層は、近赤外光の広範囲にわたり遮蔽性に優れることが分かる。
一方、シアニン色素を用いた例2-2の密着層や、カチオン重合性樹脂を用いなかった例2-3および例2-4の密着層は、例2-1に比べ800nm~1200nmの広帯域吸収能が低下した。
<例3-1~3-4:硬化収縮率>
薄膜1~4で用いた樹脂の硬化収縮率を測定した。ここで、密着層に色素を含む場合、樹脂本来の硬化収縮率よりも低い値となることが知られている。したがって、樹脂の硬化収縮率は樹脂と色素を含む密着層の最大硬化収縮率とみなすことが可能である。
薄膜1~4で用いた各樹脂に対して、樹脂組成物1~4の各製造例に示したカチオン開始剤またはラジカル開始剤を2質量部添加し、樹脂組成物を得た。各樹脂組成物から、薄膜1~4の製造例に示した硬化条件により硬化物を作成した。得られた各硬化物の固体比重を測定し、また、室温における樹脂組成物の液体比重を測定した。次式より硬化収縮率を算出した。結果を下記表に示す。
硬化収縮率=(1-液体比重/固体比重)*100
例3-1および例3-2が実施例であり、例3-3および例3-4が比較例である。
Figure 0007415815000027
上記結果より、二官能性基のエポキシ樹脂またはオキセタン樹脂を用いた例3-1および例3-2は、硬化収縮率が低かった。
一方、三官能性基の樹脂のみを用いた例3-3や、カチオン重合性樹脂を用いなかった例3-4は、例3-1や例3-2に比べ、硬化収縮率が高い結果となった。
<例4-1~4-4:密着層の密着性評価>
D263ガラスを誘電体多層膜に見立て、0.21mmのD263ガラス基板上に薄膜1~4からそれぞれ構成される密着層を形成し、密着性を評価した。
例4-1および例4-2が実施例であり、例4-3および例4-4が比較例である。
各光学フィルムについて、(1)の条件で、100マス(10mm×10mm)碁盤目テープ剥離試験を行い、100マス中、剥離が生じたマスの数を計測し、密着性を評価した。
条件(1):3.9N/cmのテープで剥離
密着性評価基準は下記のとおりである。
A:0個
B:1~9個
C:10~30個
D:31~50個
E:51~100個
結果を下記表に示す。
Figure 0007415815000028
上記結果より、カチオン重合性樹脂であるエポキシ樹脂またはオキセタン樹脂を用いた例4-1や例4-2の密着層は剥離が発生しなかった。例3-1や例3-2に示したように硬化収縮率が低い樹脂を用いることで、ガラス基板との密着性が良好であることが分かる。
一方、カチオン重合性樹脂を用いず、例3-3や例3-4に示したように硬化収縮率が高い樹脂を用いた例4-3や例4-4の密着層は、剥離が発生し密着性が低いことが分かる。
<例5-1~5-8:耐光性評価および耐熱性評価>
0.21mmのD263ガラス基板上に薄膜1~8からそれぞれ構成される密着層を形成し、下記条件により耐光性評価および耐熱性評価を行った。
例5-1、例5-2、例5-8が実施例であり、例5-3~例5-7が比較例である。
[耐光性評価]
密着層を太陽光に2時間暴露し、色素残存率を測定した。色素残存率が70%以上であれば耐光性に優れるとした。
[耐熱性評価]
ホットプレート上にガラス面を下にして、160℃で3時間加熱し、色素残存率を測定した。色素残存率が80%以上であれば耐熱性に優れるとした。
色素残存率=最大吸収波長における暴露前または加熱前の質量吸光係数に対する、暴露後または加熱後の質量吸光係数の百分率
結果を下記表に示す。
Figure 0007415815000029
上記結果より、カチオン重合性樹脂であるエポキシ樹脂またはオキセタン樹脂を用いた例5-1、例5-2、例5-8の密着層は色素残存率が高く、耐光性および耐熱性に優れた密着層であることが分かる。カチオン重合性樹脂以外の樹脂またシアニン色素を用いた例5-3~例5-7の密着層はいずれも色素残存率が低い結果となった。
<例6-1:光学フィルタの分光特性>
ポリイミド樹脂をシクロヘキサノンに希釈させ、ジインモニウム色素(2)を樹脂に対して10wt%溶解させた。得られた調合液を厚さ78μmのポリカーボネート基板にスピンコートして、膜厚0.53μmの熱可塑性樹脂含有層を形成した。基板の他方の主面にも同様に形成した。
熱可塑性樹脂含有層上に、スクアリリウム色素(1)とオキセタン樹脂を含む上述の樹脂組成物2をスピンコートした後、50℃で10分間、および80℃で10分間仮焼成し、波長365nm、4500mJで硬化させ、150℃で2時間焼成し、厚み1.3μmの密着層を形成した。他方の熱可塑性樹脂含有層上にも同様に形成した。
一方の密着層上に、SiOとTiOから構成される誘電体多層膜を蒸着により形成することで近赤外線反射層を形成した。
他方の密着層上に、SiOとTiOから構成される誘電体多層膜を蒸着により形成することで反射防止層を形成した。
以上より、例6-1の光学フィルタを作製した。
例6-1は実施例である。
得られた光学フィルタについて、分光光度計を用い、下記表に示す分光特性を測定した。
また、図4に分光透過率曲線を示す。なお、実線は入射角0度の分光透過率曲線であり、破線は入射角30度の分光透過率曲線である。
Figure 0007415815000030
表中の略号の意味は下記のとおりである。
AVE420-600(0):入射角0度における波長420~600nmの光の平均透過率(%)
AVE800-1200(0):入射角0度における波長800~1200nmの光の平均透過率(%)
AVE420-600(30):入射角30度における波長420~600nmの光の平均透過率(%)
AVE800-1200(30):入射角30度における波長800~1200nmの光の平均透過率(%)
IR-Area615-725:波長615~725nmの範囲において、入射角0度の光の透過率と入射角30度の光の透過率の差の総和/(725-615)(%)
上記結果より、例6-1の光学フィルタは、TAVE420-600(0)が高いことから可視光の高い透過性を有し、TAVE420-600(30)が高いことから斜入射光の場合であっても同様である。またTAVE800-1200(0)が低いことから近赤外光、特に長波長域における近赤外光の高い遮蔽性を有し、TAVE800-1200(30)が低いことから斜入射光の場合であっても同様である。さらにIR-Area615-725が小さいことから斜入射光であっても分光形状変化が小さく、斜入射光においても光漏れがない分光特性に優れた光学フィルタであることが分かる。
本発明の光学フィルタは、可視光の透過性を良好に維持しながら、近赤外光の遮蔽性に優れ、さらに、基材と誘電体多層膜の密着性に優れる。近年、高性能化が進む、例えば、輸送機用のカメラやセンサ等の情報取得装置の用途に有用である。
1 光学フィルタ
10 基材
11 基材基体
12 樹脂層
20 密着層
30 誘電体多層膜

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材の両方の主面側に積層された密着層と、前記基材の両方の主面側に最外層として積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、
    前記基材は、ジクロロメタン中で680~1200nmに最大吸収波長を有する色素(A)を含む透明性基材であり、
    前記密着層は、カチオン重合性樹脂と、下記分光特性(1)を示しジクロロメタン中で680~800nmに最大吸収波長を有する色素(1)および下記分光特性(2)を示しジクロロメタン中で900~1200nmに最大吸収波長を有する色素(2)の少なくとも一方とを含み、
    前記誘電体多層膜の少なくとも一方は近赤外線反射層である、光学フィルタ。
    分光特性(1):
    密着層で測定される波長400~1200nmの分光透過率曲線における最大吸収波長λmaxにおける内部透過率を10%となるように濃度調整したときに、
    Absλ420/Absλmaxが0.070%以下かつ
    Absλ600/Absλmaxが0.060%以下である。
    (ただしAbsλ420:波長420nmにおける吸収率、Absλmax:密着層の最大吸収波長における吸収率、Absλ600:波長600nmにおける吸収率である。)
    分光特性(2):
    密着層で測定される波長400~1200nmの分光透過率曲線における最大吸収波長λmaxにおける内部透過率を10%となるように濃度調整したときに、
    Absλ800/Absλmaxが0.30%以上かつ
    Absλ1200/Absλmaxが0.50%以上である。
    (ただしAbsλ800:波長800nmにおける吸収率、Absλmax:密着層の最大吸収波長における吸収率、Absλ1200:波長1200nmにおける吸収率である。)
  2. 前記密着層が前記色素(1)を含有する場合、
    前記基材は、ジクロロメタン中で900~1200nmに最大吸収波長を有する色素(A2)を含み、
    前記密着層が前記色素(2)を含有する場合、
    前記基材は、ジクロロメタン中で680~800nmに最大吸収波長を有する色素(A1)を含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記基材は熱可塑性樹脂層を含む、請求項1または2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記基材は樹脂基材であり、前記密着層の硬化収縮率が6%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記密着層はエポキシ樹脂およびオキセタン樹脂の少なくとも一方を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  6. 前記密着層は、単官能性基または二官能性基の割合が樹脂全体の50モル%以上であるエポキシ樹脂およびオキセタン樹脂の少なくとも一方を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  7. 前記密着層における前記色素(1)がスクアリリウム色素であり、前記色素(2)がジインモニウム色素である、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  8. 前記スクアリリウム色素は下記式(I)または式(II)に示す化合物であり、前記ジインモニウム色素は下記式(III)に示す化合物である、請求項7に記載の光学フィルタ。
    Figure 0007415815000031
    ただし、式(I)中の記号は以下のとおりである。
    24およびR26は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、-NR2728(R27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、-C(=O)-R29(R29は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基もしくは炭素数6~11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基)、-NHR30、または、-SO-R30(R30は、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~25の炭化水素基)を示す。)、または、下記式(S)で示される基(R41、R42は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。)を示す。
    Figure 0007415815000032
    21とR22、R22とR25、およびR21とR23は、互いに連結して窒素原子と共に員数が5または6のそれぞれ複素環A、複素環B、および複素環Cを形成してもよい。
    複素環Aが形成される場合のR21とR22は、これらが結合した2価の基-Q-として、水素原子が炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基または置換基を有していてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基で置換されてもよいアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を示す。
    複素環Bが形成される場合のR22とR25、および複素環Cが形成される場合のR21とR23は、これらが結合したそれぞれ2価の基-X-Y-および-X-Y-(窒素に結合する側がXおよびX)として、XおよびXがそれぞれ下記式(1x)または(2x)で示される基であり、YおよびYがそれぞれ下記式(1y)~(5y)から選ばれるいずれかで示される基である。XおよびXが、それぞれ下記式(2x)で示される基の場合、YおよびYはそれぞれ単結合であってもよく、その場合、炭素原子間に酸素原子を有してもよい。
    Figure 0007415815000033
    式(1x)中、4個のZは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または-NR3839(R38およびR39は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を示す)を示す。R31~R36はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を、R37は炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を示す。
    27、R28、R29、R31~R37、複素環を形成していない場合のR21~R23、およびR25は、これらのうちの他のいずれかと互いに結合して5員環または6員環を形成してもよい。R31とR36、R31とR37は直接結合してもよい。
    複素環を形成していない場合の、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基もしくはアリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6~11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。複素環を形成していない場合の、R23およびR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
    Figure 0007415815000034
    ただし、式(II)中の記号は以下のとおりである。
    環Zは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を環中に0~3個有する5員環または6員環であり、環Zが有する水素原子は置換されていてもよい。
    とR、RとR、およびRと環Zを構成する炭素原子またはヘテロ原子は、互いに連結して窒素原子とともにそれぞれヘテロ環A1、ヘテロ環B1およびヘテロ環C1を形成していてもよく、ヘテロ環を形成していない場合、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよく、置換基を有してもよい炭化水素基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
    Figure 0007415815000035
    ただし、式(III)中の記号は以下のとおりである。
    51およびR52は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル、リン酸基、炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を有してもよく置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基、または、置換されていてもよい、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~14のアルアリール基、もしくは員数が3~14のヘテロ環基である。R51およびR52において、同一の窒素原子に結合する2つの基は互いに結合して、前記窒素原子とともに員数3~8のヘテロ環を形成していてもよく、該環に結合する水素原子は、炭素数1~12のアルキル基に置換されていてもよい。
    53は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、または、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12のアルキル基もしくはアルコキシ基である。
    Xは、Cl、Br、I、F、ClO 、BF 、PF 、SbF 、CFSO 、CHSO 、N[SO 、または、C[SO である。
    nは1~4の整数である。
  9. 下記光学特性(I-1)~(I-5)をすべて満たす、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
    (I-1)入射角0度における波長420~600nmの光の平均透過率が85%以上
    (I-2)入射角0度における波長800~1200nmの光の平均透過率が0.2%以下
    (I-3)入射角30度における波長420~600nmの光の平均透過率が80%以上
    (I-4)入射角30度における波長800~1200nmの光の平均透過率が2%以下
    (I-5)波長615~725nmの範囲において、
    入射角0度の光の透過率と入射角30度の光の透過率の差の総和/(725-615)が10%以下
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