JP6642578B2 - 光学フィルタおよび撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、可視光と特定の赤外光を透過し、これらの両領域間の光を遮断する光学フィルタ、および該光学フィルタを備えた撮像装置に関する。
近年、固体撮像素子を用いた撮像装置は、監視カメラや車載カメラ等、昼夜を問わず撮像する装置にまでその用途を拡げている。このような装置では、可視光に基づく(カラー)画像と赤外光に基づく(白黒)画像をそれぞれ取得する必要がある。
このため、上記のような可視光を透過させ、該可視光に基づく画像を忠実に再現するための近赤外線カットフィルタ機能に加え、特定の近赤外光(例えば、800〜900nmの光)を選択的に透過させる機能を備えた光学フィルタ、いわゆるデュアルバンドパスフィルタの使用が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、従来のデュアルバンドパスフィルタは、高屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層し、光の干渉によって特定の領域の光を反射する誘電体多層膜からなる反射層により近赤外光の遮断を実現している。誘電体多層膜は光の入射角度によって分光透過率特性が変化する、いわゆる入射角依存性がある。このため、従来のデュアルバンドパスフィルタを用いた撮像装置は、とくに可視光に基づく画像を取得する際、近赤外光の波長に近い可視光で、透過率の入射角依存性のため、画像を忠実に再現できない問題があった。
一方、可視光に基づく画像と赤外光に基づく画像をそれぞれ取得するため、近赤外線カットフィルタを機械的に着脱する装置(例えば、特許文献3参照)や、可視光成分と赤外光成分を同時に検知し、画像処理によって各画像を得る装置(例えば、特許文献4、5参照)等も提案されている。しかし、前者では機械的動作部を必要とするため装置が大型化する等の問題がある。また、後者は、複雑な演算処理を必要とするうえ、カラー画像の色調の再現性も十分ではない。
特許第4705342号公報 特許第5287362号公報 特開昭56−60421号公報 特開2008−91753号公報 特開2012−244533号公報
上記のように、従来のデュアルバンドパスフィルタは、誘電体多層膜により近赤外光の遮断を実現するため、光の入射角に依存して分光透過率特性に変化が生じる。このため、とくに可視光に基づく画像を取得する場合に、近赤外光の波長に近い可視光で、透過率の入射角依存性のために、画像を忠実に再現できない問題があった。
したがって、本発明は、可視光および近赤外光の各光に基づく画像を取得する際、再現性が良好で、かつ鮮明な画像が得られる光学フィルタ、および該光学フィルタを用いた撮像装置の提供を目的とする。
本発明の一態様に係る光学フィルタは、波長350nm〜1200nmの波長領域に入射角0°の光に対する透過率が40%以上となる透過波長帯域を有し、前記透過波長帯域より短波長側および前記透過波長帯域より長波長側の透過率が40%未満となる、反射層と、前記反射層の透過波長帯域内に吸収極大を有する吸収層と、を備え、前記透過波長帯域内に、低透過波長帯域と、前記低透過波長帯域より短波長側で前記低透過波長帯域より、入射角0°の光に対する透過率が高い第1の高透過波長帯域と、前記低透過波長帯域より長波長側で前記低透過波長帯域より、入射角0°の光に対する透過率が高い第2の高透過波長帯域と、を有することを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る撮像装置は、固体撮像素子と、撮像レンズと、上記光学フィルタとを備えた上記光フィルタを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、近赤外光の波長に近い可視光の透過率特性の入射角依存性を抑制でき、かつ所定の近赤外光が高い透過率を達成できる。そして、可視光および近赤外光の各光に基づく画像も、再現性が良好で、かつ鮮明な画像とし得る光学フィルタが得られる。また、そのような光学フィルタを用いた画像特性に優れる撮像装置が得られる。
一実施形態の光学フィルタの一例を概略的に示す断面図である。 一実施形態の光学フィルタの他の例を概略的に示す断面図である。 一実施形態の光学フィルタの他の例を概略的に示す断面図である。 実施例1〜3の光学フィルタに用いた反射層の分光透過率曲線(入射角0°/30°)を示す図である。 実施例1における光学フィルタの分光透過率曲線(入射角0°/30°)を示す図である。 実施例2における光学フィルタの分光透過率曲線(入射角0°/30°)を示す図である。 実施例3における光学フィルタの分光透過率曲線(入射角0°/30°)を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、近赤外線吸収材を「NIR吸収材」、紫外線吸収材を「UV吸収材」と記すこともある。また、とくに明示がなければ、「透過率」は、「入射角0°の分光透過率曲線における透過率」をいい、「平均透過率」は、「入射角0°の分光透過率曲線における平均透過率」をいう。
本発明の一実施形態の光学フィルタ(以下、「本フィルタ」ともいう)は、反射層および吸収層を有する。
反射層と吸収層は、本フィルタの中に各々1層有してもよく、一方を2層以上有してもよく、両方を2層以上有してもよい。2層以上有する場合、各層は同じ構成であっても異なってもよい。具体例として、反射層を2層有する場合、一方の層を、波長950〜1100nmの近赤外光を遮蔽する近赤外反射層とし、他方の反射層を、波長1050nm以降の近赤外光と近紫外光の両方を遮蔽する近赤外・近紫外反射層としてもよい。また、吸収層を2層有する場合、一方の層を後述するNIR吸収材を含む樹脂からなる吸収層とし、他方の層を、後述するUV吸収材を含む樹脂からなる吸収層としてもよい。また、吸収層は、それ自体が基板(樹脂基板)として機能するものでもよい。
本フィルタは、透明基板をさらに有してもよい。この場合、上記吸収層と上記反射層は、透明基板の同一主面上に有してもよく、異なる主面上に有してもよい。本フィルタは、吸収層と反射層を同一主面上に有する場合、これらの積層順はとくに限定されない。
本フィルタは、また他の機能層を有してもよい。他の機能層としては、例えば無機膜または有機膜からなる反射防止層、パッシベーション機能を有する保護層等が挙げられる。とくに、吸収層が最表面の構成をとる場合、吸収層と空気との界面で透過率損失が発生するため、吸収層上に反射防止層を設けるとよい。なお、反射防止層は、通常、パッシベーション機能を併せ持つため、その場合、保護層は必ずしも設けなくてもよい。反射防止層や保護層は、吸収層の最表面だけでなく、吸収層の側面全体も覆う構成とすると、吸収層に対する防湿効果を高めることができる。
以下、本フィルタの構成例を、図面を用いて説明する。
図1Aは、吸収層11および反射層12を備えた光学フィルタ10Aの構成例である。
図1Bは、透明基板13の一方の主面に吸収層11を備え、透明基板13の他方の主面上に反射層12を備えた光学フィルタ10Bの構成例である。
なお、「透明基板13の一方の主面に、吸収層11、反射層12等の他の層を備える」とは、透明基板13に接触して他の層が備わる場合に限らず、透明基板13と他の層との間に、別の機能層が備わっている場合も含むものとし、以下の構成も同様である。
図1Cは、図1Bに示す光学フィルタ10Bの吸収層11の主面上に、反射防止層14を備えた光学フィルタ10Cの構成例である。前述のとおり、吸収層が最表面の構成をとる際、吸収層上で透過率損失が発生するため、吸収層上に反射防止層を設けるとよい。
以下、本フィルタを構成する反射層、吸収層、透明基板、機能層等について説明する。
[反射層]
反射層は、波長350〜1200nmにおいて、入射角0°の光に対する透過率が40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上となる透過波長帯域を有する。また、透過波長帯域の平均透過率は40%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。透過率が高いほど、また平均透過率が高いほど、光の利用効率を高められる。なお、反射層は、入射角0°の光に対する、該透過波長帯域の短波長側および長波長側の透過率が40%未満である。
色再現性に優れ、かつ鮮明な可視光画像、赤外光画像を得る観点から、透過波長帯域は、波長430〜900nmを含み、該波長430〜900nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率は80%以上が好ましい。また、該波長430〜900nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率は85%以上がより好ましく、90%以上がより一層好ましく、95%以上がさらに好ましく、98%以上が特に好ましい。
また、近紫外光の入射を抑制し可視光画像の色再現性を高める観点から、反射層は、波長350〜400nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率が、5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。
本明細書では、特定の波長領域について、例えば「透過率が40%以上」とは、該特定の全波長領域において透過率が40%を下回らないことをいい、同様に、例えば「透過率が2%以下」とは、該特定の全波長領域において透過率が2%を超えないことをいう。
反射層は、低屈折率の誘電体膜(以下「低屈折率膜」とも略記する)と高屈折率の誘電体膜(以下「高屈折率膜」とも略記する)とを交互に積層した誘電体多層膜から構成される。ここで、低屈折率と高屈折率とは、隣接する層の屈折率に対して低い屈折率と高い屈折率を有することを意味する。
高屈折率膜は、好ましくは、屈折率が1.6以上であり、より好ましくは2.2〜2.5である。高屈折率膜の材料としては、Ta、TiO、Nb、ZrO等が挙げられる。これらのうち、成膜性、屈折率等における再現性、安定性等の点から、TiOが好ましい。一方、低屈折率膜は、好ましくは、屈折率1.6未満であり、より好ましくは1.35以上1.55未満であり、より一層好ましくは1.40〜1.50である。低屈折率膜の材料としては、SiO、SiO、MgF等が挙げられる。これらのうち、成膜性における再現性、安定性、経済性等の点から、SiOが好ましい。
なお、本明細書では、とくに断らない限り、屈折率は、20℃における波長589nmの光に対する屈折率をいう。
誘電体多層膜の形成にあたっては、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンビーム法、イオンプレーティング法等の真空成膜プロセスや、スプレー法、ディップ法等の湿式成膜プロセス等を使用できる。
なお、誘電体多層膜からなる反射層は、単層または複数層で所定の光学特性を有してもよい。反射層は、生産性の点から単層が好ましいが、膜応力による光学フィルタに反り等の発生を防止するため、例えば、吸収層を挟んでその両側に設けてもよい。
[吸収層]
吸収層は、上記反射層の透過波長帯域内に吸収極大を有する層である。
色再現性に優れ、かつ鮮明な可視光画像、赤外光画像を得る観点から、上記吸収極大は、波長680〜780nmにあればよく、波長700〜750nmにあれば好ましく、波長700〜720nmにあればより好ましい。
また、吸収層は、近紫外光の入射を抑制して、可視光画像の色再現性を高める観点から、波長350〜420nmにも吸収極大を有するとよい。該吸収極大は、波長390〜420nmにあるとより好ましく、波長400〜410nmにあるとさらに好ましい。

吸収層は、NIR吸収材(A)を透明樹脂(B)中に均一に溶解または分散させた層または基板から構成される。吸収層は、さらにUV吸収材(U)を含むとよい。
本フィルタにおいて、吸収層は、例えば、NIR吸収材(A)を含む層と、UV吸収材(U)を含む層を別の層として複数の吸収層を備えてもよい。
本フィルタにおいて、吸収層の厚さは、0.1〜100μmが好ましい。吸収層が複数層からなる場合、各吸収層の合計の厚さは、0.1〜100μmが好ましい。吸収層の厚さは、使用する装置内の配置スペース等に応じて適宜定められる。厚さが0.1μm未満では、所望の光学特性を十分に発現できないおそれがある。また、厚さが100μm超では層の平坦性が低下し、吸収率に面内バラツキが生じるおそれがある。吸収層の厚さは、0.3〜50μmがより好ましい。また、吸収層上に反射防止層等の他の機能層を備えた場合、その材質によっては、吸収層の厚さが厚すぎると割れ等が生ずるおそれがある。このような観点から、吸収層の厚さは、0.3〜10μmが好ましい。
吸収層は、典型的に、NIR吸収材(A)として近赤外線吸収色素が使用され、必要に応じてUV吸収材(U)として紫外線吸収色素が使用されるが、これらに限定されない。以下、典型的に使用される近赤外線吸収色素および紫外線吸収色素について詳述する。
(近赤外線吸収色素(A))
近赤外線吸収色素(A)(以下、色素(A)ともいう)は、1種または2種以上の組み合わせで、透明樹脂(B)に溶解または分散させた際、吸収層が前述した光学特性を有するものであれば、その種類は制限されない。
色素(A)は、この色素(A)を透明樹脂(B)中に分散して得られる樹脂膜を使用して測定される波長400〜850nmの吸収スペクトルにおいて、波長680〜780nm内に吸収極大波長を有するものが好ましい。吸収極大波長は、波長700〜750nmがより好ましく、波長700〜720nmがさらに好ましい。以降、この吸収特性を有する近赤外線吸収色素を色素(A1)、この吸収スペクトルにおける吸収極大波長を色素(A1)のλmax(NIR)という。なお、色素(A1)の吸収スペクトルは、波長λmax(NIR)に吸収の頂点を有する吸収ピーク(以下、「λmax(NIR)の吸収ピーク」という)を有する。色素(A1)の吸収スペクトルは、波長680〜780nm内にλmax(NIR)を有するとともに、可視光の吸収が少なく、λmax(NIR)の吸収ピークからみて可視波長領域側および近赤外波長領域側の傾きがいずれも急峻であることが好ましい。
色素(A1)は、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、ジイモニウム系化合物、ポリメチン系化合物、フタリド化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、インドフェノール系化合物等が挙げられる。
これらの中で、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物およびフタロシアニン系化合物が好ましく、スクアリリウム系化合物がより好ましい。スクアリリウム系化合物は、可視光の吸収が少なく、λmax(NIR)の吸収ピークが可視波長領域側および近赤外波長領域側でいずれも急峻な傾きを有し、保存安定性および光に対する安定性が高いため好ましい。シアニン系化合物は、可視光の吸収が少なく、λmax(NIR)近傍の長波長側で光吸収率が高いため好ましい。また、シアニン系化合物は低コストで、塩形成することにより長期安定性も確保できる。フタロシアニン系化合物は、耐熱性や耐候性に優れる。
スクアリリウム系化合物は、具体的に下記式(F1)で示されるスクアリリウム系化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本明細書において、式(F1)で示される化合物を化合物(F1)ともいい、他の式で表される色素も同様に記す。また、例えば、式(1n)で表される基を基(1n)と記し、他の式で表される基も同様に記す。
化合物(F1)は、スクアリリウム骨格の左右にベンゼン環が結合し、さらにベンゼン環の4位に窒素原子が結合するとともに該窒素原子を含む飽和複素環が形成された構造を有し、上記色素(A1)としての吸光特性を有する化合物である。化合物(F1)においては、近赤外線吸収層を形成する際に用いる溶媒(ホスト溶媒)や透明樹脂(B)への溶解性を高める等の要求に応じて、以下の範囲でベンゼン環の置換基を適宜調整できる。
Figure 0006642578
ただし、式(F1)中の記号は以下のとおりである。
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、または−NR(RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または−C(=O)−R(Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数6〜11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18のアルアリール基))を示す。
とR、RとR、およびRとR、の少なくとも一組は、互いに連結して窒素原子と共に員数が5または6のそれぞれ複素環A、複素環B、および複素環Cを形成する。
複素環Aが形成される場合のRとRは、これらが結合した2価の基−Q−として、アルキレン基、またはアルキレンオキシ基を示す。このアルキレン基、またはアルキレンオキシ基は、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基で置換されてもよい。
複素環Bが形成される場合のRとR、および複素環Cが形成される場合のRとRは、これらが結合したそれぞれ2価の基−X−Y−および−X−Y−(窒素に結合する側がXおよびX)として、XおよびXがそれぞれ下記式(1x)または(2x)で示される基であり、YおよびYがそれぞれ下記式(1y)〜(5y)から選ばれるいずれかで示される基である。XおよびXが、それぞれ下記式(2x)で示される基の場合、YおよびYはそれぞれ単結合であってもよい。
Figure 0006642578
式(1x)中、4個のZは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または−NR2829(R28およびR29は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す)を示す。R21〜R26はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を、R27は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。
、R、R、R、R、R21〜R27、複素環を形成していない場合のR〜R、およびRは、これらのうちの他のいずれかと互いに結合して5員環または6員環を形成してもよい。R21とR26、R21とR27は直接結合してもよい。
複素環を形成していない場合の、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基もしくはアリル基、または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。複素環を形成していない場合の、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
以下、複素環Aを単に環Aということもある。複素環B、Cも同様である。
化合物(F1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、上記の原子または基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。RおよびRは、いずれか一方が水素原子であって、他方が−NRである組合せが好ましい。
化合物(F1)が、環A〜Cのうち、環Aのみ、環Bと環Cのみ、環A〜Cをそれぞれ有する場合、−NRは、RとRのいずれに導入されてもよい。化合物(F1)が、環Bのみ、環Aと環Bのみをそれぞれ有する場合、−NRは、Rに導入されるのが好ましい。同様に、環Cのみ、環Aと環Cのみをそれぞれ有する場合、−NRは、Rに導入されるのが好ましい。
−NRとしては、ホスト溶媒や透明樹脂(B)への溶解性の観点から、−NH−C(=O)−Rが好ましい。Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、または置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18のアルアリール基が好ましい。置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフロロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシルオキシ基等が挙げられる。
としては、これらのうちでも、フッ素原子で置換されてもよい直鎖状、分岐鎖状、環状の炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜6のフロロアルキル基および/または炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基、および炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18の、末端に炭素数1〜6のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基および/または炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基を有するアルアリール基から選ばれる基が好ましい。
としては、独立して1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい、少なくとも1以上の分岐を有する炭素数5〜25の炭化水素基である基も好ましく使用できる。
化合物(F1)において、RとR、RとR、およびRとRが、それぞれ互いに連結して形成される員数5または6の環A、環B、および環Cは、少なくともこれらのいずれか1個が形成されていればよく、2個または3個が形成されていてもよい。
環を形成していない場合の、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基もしくはアリル基、または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基、および炭素数1〜3のアシルオキシ基が挙げられる。環を形成していない場合の、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。これらのなかでも、R、R、R、Rとしては、ホスト溶媒や透明樹脂(B)への溶解性の観点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、2−プロピル基がとくに好ましい。
また、化合物(F1)において、スクアリリウム骨格の左右に結合するベンゼン環が有する基R〜Rは、左右で異なってもよいが、左右で同一が好ましい。
なお、化合物(F1)は、上記一般式(F1)で示される構造の共鳴構造を有する式(F1−1)で示される化合物(F1−1)を含む。
Figure 0006642578
ただし、式(F1−1)中の記号は、上記式(F1)における規定と同じである。
化合物(F1)として、より具体的には、環Bのみを環構造として有する下記式(F11)で示される化合物、環Aのみを環構造として有する下記式(F12)で示される化合物、環Bおよび環Cの2個を環構造として有する下記式(F13)で示される化合物が挙げられる。なお、下記式(F11)で示される化合物は、化合物(F1)において環Cのみを環構造として有し、Rが−NRである化合物と同じ化合物である。また、下記式(F11)で示される化合物および下記式(F13)で示される化合物は、米国特許第5,543,086号明細書に記載された化合物である。
Figure 0006642578
式(F11)〜(F13)中の記号は、上記式(F1)における規定と同じであり、好ましい態様も同様である。
化合物(F11)においてXは、上記(2x)で示される水素原子が炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基で置換されてもよいエチレン基が好ましい。この場合、置換基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。具体的にXは、−(CH−、−CH−C(CH−、−CH(CH)−C(CH−、−C(CH−C(CH−等が挙げられる。化合物(F11)における−NRは、−NH−C(=O)−CH、−NH−C(=O)−C13、−NH−C(=O)−C、−NH−C(=O)−CH(C)−C、−NH−C(=O)−C(CH−C、−NH−C(=O)−C(CH−C、−NH−C(=O)−C(CH−(CH−O−C(CH等が好ましい。Yは、0〜1の酸素原子または硫黄原子である。
化合物(F11)は、例えば、下記式(F11−1)〜(F11−7)でそれぞれ示される化合物等が挙げられる。これらの中でもホスト溶媒や透明樹脂(B)に対する溶解性が高いことから、化合物(F11−2)〜(F11−7)がより好ましい。
Figure 0006642578
Figure 0006642578
化合物(F12)においてQは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または置換基を有してもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基に置換されてもよい炭素数4または5のアルキレン基、炭素数3または4のアルキレンオキシ基である。アルキレンオキシ基の場合の酸素の位置はNの隣以外が好ましい。なお、Qは、炭素数1〜3のアルキル基、とくにはメチル基に置換されてもよいブチレン基が好ましい。
化合物(F12)において−NRは、−NH−C(=O)−(CH−CH(mは、0〜19)、−NH−C(=O)−Ph−R10(−Ph−はフェニレン基を、R10は、水素原子、水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数1〜3のアルコキシ基をそれぞれ示す。)等が好ましい。
ここで、化合物(F12)は、そのλmax(NIR)が上記波長領域の中でも比較的長波長側にあるので、化合物(F12)を用いれば可視光の透過領域を広域化できる。化合物(F12)は、例えば、下記式(F12−1)〜(F12−3)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0006642578
化合物(F13)においてXおよびXは、独立して上記(2x)で示される水素原子が炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基で置換されてもよいエチレン基が好ましい。この場合、置換基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。具体的にXおよびXは、−(CH−、−CH−C(CH−、−CH(CH)−C(CH−、−C(CH−C(CH−等が挙げられる。YおよびYは、独立して−CH−、−C(CH−、−CH(C)−、−CH((CHCH)−(mは0〜5)等が挙げられる。化合物(F13)において、−NRは、−NH−C(=O)−C2m+1(mは1〜20であり、C2m+1は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。)、−NH−C(=O)−Ph−R10(−Ph−はフェニレン基を、R10は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のパーフロロアルキル基をそれぞれ示す。)等が好ましい。化合物(F13)は、例えば、下記式(F13−1)、式(F13−2)でそれぞれ示される化合物等が挙げられる。
Figure 0006642578
また、下記式(F6)で示されるスクアリリウム系化合物も使用できる。式(F6)は、式(F1)において環A〜Cのいずれも形成されていない化合物(ただし、R〜Rは以下のとおりである。)を示す。
Figure 0006642578
式(F6)中の記号は以下のとおりである。
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基もしくはアリル基、または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、または−NR(RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または−C(=O)−R(Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数6〜11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18のアルアリール基))を示す。化合物(F6)は、例えば、式(F6−1)、式(F6−2)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0006642578
さらに、色素(A1)は、下記式(F7)で示されるスクアリリウム系化合物を使用できる。
Figure 0006642578
上記化合物(F11)〜(F13)等の化合物(F1)や、化合物(F6)、(F7)は、従来公知の方法で製造可能である。化合物(F11−1)等の化合物(F11)は、例えば、米国特許第5,543,086号明細書に記載された方法で製造できる。また、化合物(F12)は、例えば、J.Org.Chem.2005,70(13),5164−5173に記載の方法で製造できる。
スクアリリウム系化合物は、S2098、S2084(商品名、FEWケミカルズ社製)等の市販品が使用できる。また、シアニン系化合物は、具体的には下記式(F5)で示されるシアニン系化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
Figure 0006642578
ただし、式(F5)中の記号は以下のとおりである。
11は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルスルホン基、またはそのアニオン種を示す。R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。
Zは、PF、ClO、R−SO、(R−SO−N(Rは少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基を示す。)、またはBFを示す。R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
nは1〜6の整数を示す。
なお、化合物(F5)におけるR11としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、R12およびR13はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、水素原子が好ましく、nの数は1〜4が好ましい。n個の繰り返し単位を挟んだ左右の構造は異なってもよいが、同一の構造が好ましい。
化合物(F5)としてより具体的には、下記式(F51)、(F52)で示される化合物等が例示される。Zが示すアニオンは上記(F5)におけるZと同様である。
Figure 0006642578
Figure 0006642578
シアニン系化合物は、ADS680HO(商品名、American dye社製)、S0830(商品名、FEW Chemicals社製)、S2137(商品名、FEW Chemicals社製)、ADS760MP(商品名、American Dye source社製)、DLS745B、DLS757A(以上、いずれも商品名、Crystal−Lyn Chemical company製)等の市販品が使用できる。
また、フタロシアニン系化合物は、FB22(商品名、山田化学工業(株)製)、TXEX720(商品名、(株)日本触媒製)、PC142c(商品名、山田化学工業(株)製)等の市販品が使用できる。
表1は、上に例示した色素(A1)として用いられる各化合物のλmax(NIR)を、測定時に使用した透明樹脂(B)の種類とともに示した表である。
Figure 0006642578
なお、上記において透明樹脂(B)として用いた、B−OKP2、OKP−850、バイロン(登録商標)103はポリエステル樹脂、SP3810はポリカーボネート樹脂、EA−F5003はアクリル樹脂であり、詳細は後述のとおりである。
色素(A)は、好ましくは色素(A1)の1種または2種以上を含む。色素(A)は、色素(A1)以外に、必要に応じ、他の近赤外線吸収色素を含んでもよい。その場合も、近赤外線吸収色素を透明樹脂(B)に分散して作製した樹脂膜に対して測定される波長400〜850nmの吸収スペクトルにおいて、波長680〜780nm内に吸収極大を有するよう組み合わせて使用するとよい。さらに、該吸収スペクトルにおいて、可視光の吸収が少なく、λmax(NIR)の吸収ピークからみて可視波長領域側および近赤外波長領域側の傾きがいずれも急峻となるよう、近赤外線吸収色素を組み合わせて使用するとよい。
吸収層中の色素(A)の含有量は、透明樹脂(B)100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。0.1質量部以上では、所望の光吸収能が得られ、30質量部以下では、光吸収能の低下やヘイズ値の上昇等が抑制される。これらの観点から、0.5〜25質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。
(紫外線吸収色素(U))
紫外線吸収色素(U)(以下、色素(U)ともいう)としては、この色素(U)を透明樹脂(B)中に分散して得られる樹脂膜を使用して測定される波長300〜850nmの吸収スペクトルにおいて、波長350〜420nm内に吸収極大を有するとよい。吸収極大は、波長390〜420nmがより好ましく、波長400〜410nmがさらに好ましい。この吸収特性を有する紫外線吸収色素を色素(U1)という。この吸収スペクトルにおける吸収極大波長を、色素(U1)のλmax(UV)という。なお、色素(U1)の吸収スペクトルは、波長λmax(UV)に吸収の頂点を有する吸収ピーク(以下、「λmax(UV)の吸収ピーク」という)を有する。色素(U1)の吸収スペクトルは、波長350〜420nm内にλmax(UV)を有するとともに、可視光の吸収が少なく、λmax(UV)の吸収ピークからみて可視波長領域側の傾きが急峻であるとよい。
色素(U1)は、オキサゾール系化合物、メロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ナフタルイミド系化合物、オキサジアゾール系化合物、オキサジン系化合物、オキサゾリジン系化合物、ナフタル酸系化合物、スチリル系化合物、アントラセン系化合物、環状カルボニル系化合物、トリアゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、クマリン系化合物、イミダゾリン系化合物、イミダゾール系化合物、イミダゾロン系化合物、チアゾール系化合物、カルバゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、ピレン系化合物、ピリジン系化合物、アクリジン系化合物、キノロン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾエート系化合物、環状イミノエステル系化合物、インドール系化合物、ホルムアミジン系化合物、ベンズオキサジノン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機系紫外線吸収材等が挙げられる。
色素(U1)は、上記色素(U1)としての吸光特性を有する複数の化合物から選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色素(U)は、好ましくは色素(U1)の1種または2種以上を含む。色素(U)は、色素(U1)以外に、色素(U1)による効果を損なわない範囲で必要に応じ、他の紫外線吸収色素を含んでもよい。その場合も、紫外線吸収色素を透明樹脂(B)に分散して作製した樹脂膜に対して測定される波長300〜850nmの吸収スペクトルにおいて、波長350〜420nm内に吸収極大を有するように紫外線吸収色素を組み合わせて使用するとよい。さらに、該吸収スペクトルにおいて、可視光の吸収が少なく、λmax(UV)の吸収ピークからみて可視波長領域側の傾きが急峻となるよう、紫外線吸収色素を組み合わせて使用するとよい。
吸収層中における色素(U)の含有量は、透明樹脂(B)100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。0.1質量部以上では、所望の紫外線吸収能が得られ、30質量部以下では、紫外線吸収能の低下やヘイズ値の上昇等が抑制される。含有量は、0.5〜25質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。
(透明樹脂(B))
透明樹脂(B)は、屈折率が、1.45以上であればよく、1.5以上がより好ましく、1.6以上がより好ましい。透明樹脂(B)は、屈折率にとくに上限はないが、入手容易性から1.72程度の屈折率のものが好ましい。透明樹脂(B)は、具体的に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。透明樹脂(B)は、これらの樹脂から1種を単独で、または2種以上を混合して使用できる。
上記の中でも、色素(A)の透明樹脂(B)に対する溶解性の観点から、透明樹脂(B)は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エン・チオール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、および環状オレフィン樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。さらに、透明樹脂(B)は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、および環状オレフィン樹脂から選ばれる1種以上がより好ましい。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等が好ましい。
なお、透明樹脂(B)の屈折率は、例えば、ポリマーの主鎖や側鎖に特定の構造を有するように、原料成分の分子構造を調整することで、上記範囲に調整できる。
透明樹脂(B)は、アクリレートモノマーのオグソール(登録商標)EA−F5003(商品名、大阪ガスケミカル(株)製、屈折率:1.59)を硬化させたアクリル樹脂の市販品が使用できる。また、東京化成工業(株)製のポリメチルメタクリレート(屈折率:1.49)、ポリイソブチルメタクリレート(屈折率:1.48)等のアクリル樹脂の市販品が使用できる。
また、透明樹脂(B)は、大阪ガスケミカル(株)製のOKPH4HT(屈折率:1.64)、OKPH4(屈折率:1.61)、B−OKP2(屈折率:1.63)、OKP850(屈折率:1.64)やバイロン(登録商標)103(東洋紡(株)製、屈折率:1.58)等のポリエステル樹脂の市販品が使用できる。さらに、透明樹脂(B)は、SP3810(帝人化成(株)製、屈折率:1.64)、LeXan(登録商標)ML9103(sabic社製、屈折率1.59)等のポリカーボネート樹脂の市販品が使用できる。さらに、透明樹脂(B)は、ポリカーボネートとポリエステルのポリマーアロイであるパンライト(登録商標)AM−8シリーズ(帝人化成(株)製)やxylex(登録商標)7507(sabic社製)等の市販品が使用できる。
(その他の成分)
吸収層は、上述の色素(A)および色素(U)の他にさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、この種の吸収層が通常含有する各種任意成分を含んでもよい。任意成分としては、例えば、色調補正色素、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤等が挙げられる。
(吸収層の製造方法)
吸収層は、少なくとも色素(A)と、透明樹脂(B)と、必要に応じて配合される各成分とを、溶媒または分散媒に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材上に塗工し乾燥させ、さらに必要に応じて硬化させて形成できる。吸収層は、色素(A)に加えて色素(U)を溶解または分散させてもよく、透明樹脂(B)の原料成分を用いて形成してもよい。基材は、本フィルタの構成部材として適用可能な透明基板でもよく、吸収層を形成時のみ用いる基材、例えば、剥離性の基材でもよい。
なお、塗工液は、界面活性剤を含有できる。界面活性剤を含むことにより、外観、特に、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじきを改善できる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の公知のものを任意に使用できる。
塗工液中の、色素(A)、色素(U)、透明樹脂(B)等の固形分濃度は、塗工液の塗工法にもよるが、一般には10〜60質量%である。固形分濃度が低すぎると、塗工ムラが生じやすく、固形分濃度が高すぎると、塗工外観が不良となりやすい。塗工液の塗工法は、スピンナーコーティング法、インクジェット法等を使用できる。その他、バーコーター法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等も使用できる。
吸収層は、上記塗工液を基材上に塗工後、乾燥させて得られる。乾燥法には、熱乾燥、熱風乾燥等の公知の方法を使用できる。塗工液が透明樹脂の原料成分を含有する場合、さらに硬化処理を行う。硬化処理が熱硬化処理の場合は、乾燥と硬化を同時に実施できるが、光硬化の場合は、乾燥と別に硬化工程を設けるとよい。
塗工液を塗工する剥離性の基材は、フィルム状、板状いずれでもよく、剥離性を有すれば材料は限定されない。具体的に、ガラス板、離型処理されたプラスチックフィルム、ステンレス鋼板等が使用できる。
また、塗工液の塗工にあたり、基材に前処理を実施できる。前処理剤としては、(3−ウレイドプロピル)トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランN-フェニル−3−アミノプロピルメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアネート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を使用できる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
吸収層は、押出成形によりフィルム状に製造できる場合があり、さらに、このように製造した複数のフィルムを積層し熱圧着等により一体化させてもよい。
[透明基板]
透明基板は、可視光の透過性があれば材料はとくに制限されない。例えば、ガラスや結晶材料等の無機材料、樹脂等の有機材料が挙げられる。透明基板の材料は、光学フィルタとしての光学特性、機械特性等の長期信頼性に係る光学的、形状的安定性、製造時のハンドリング性等から無機材料がより好ましく、加工性の観点からガラスが好ましい。また、透明基板の厚さは、30μm〜5mmが好ましく、50μm〜1mmがより好ましい。
透明基板に使用できる樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
透明基板に使用できるガラスは、ソーダライムガラス、白板ガラス等のケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、フツリン酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス等が挙げられる。なお、リン酸塩ガラスは、ガラスの骨格の一部がSiOで構成されるケイリン酸塩ガラスも含む。また、透明基材に使用できる結晶材料は、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイヤ等の複屈折性結晶が挙げられる。透明基板は、上述の反射層、吸収層等と積層して光学フィルタとした場合、後述する光学特性を有するとよい。
[機能層]
機能層は、反射防止層、パッシベーション機能を有する保護層等が挙げられる。
反射防止層は、光利用効率を高める目的の層であり、スパッタリング法、真空蒸着法等、公知の方法で形成できる。反射防止層は、SiO、TiO、Ta、MgF、ZrO、Al等の1層以上の膜や、ゾルゲル法、塗布法等により形成したシリケート系、シリコーン系、フッ化メタクリレート系等の膜から構成される。反射防止層の厚さは、通常0.1〜2μmである。
保護層は、吸収層等が最表面に位置し、それらの表面が露出したときの諸特性の低下を抑制する機能を有する。とくに、色素を含む吸収層は、色素が酸素や空気に触れるとその分子構造等が変化して吸収特性等の特性が損なわれるおそれがある。そのため、吸収層が最表面にあるとき、該吸収層を覆う保護層を備えるとよい。保護層は、無機材料および有機材料のいずれも使用でき、その厚さは、通常、0.2〜20μmである。
保護層を構成する無機材料、有機材料は、上記の反射防止層で挙げた材料を適宜使用できる。なお、保護層が熱硬化性樹脂およびエネルギー線硬化性樹脂である場合、例えば、それらの重合性前駆体化合物を含む組成物を吸収層が露出された主面に滴下し、その上に離型処理を施したガラス板を載せ、エネルギー線照射等で硬化できる。硬化後、ガラス板を離型すると、平滑で均一な厚さの(有機)保護膜が得られる。(有機)保護膜には、前述の吸収層に添加可能なその他の添加剤として挙げた成分を適宜添加できる。また、機能層は、1層に限らず、複数層備えてもよく、必要な機能に応じて適宜配置できる。
[光学フィルタ]
本フィルタは、反射層と吸収層を備え、反射層の透過波長帯域内に、低透過波長帯域を挟んで、2つの高透過波長帯域を有する。すなわち、本フィルタは、低透過波長帯域と、該低透過波長帯域より短波長側で該低透過波長帯域より入射角0°の光に対する透過率が高い第1の高透過波長帯域と、該低透過波長帯域より長波長側で該低透過波長帯域より入射角0°の光に対する透過率が高い第2の高透過波長帯域と、を有する。第1、第2の高透過波長帯域は、入射角0°の光に対する透過率が40%以上であればよく、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。また、低透過波長帯域は、入射角0°の光に対する透過率が40%未満であればよく、20%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
本フィルタは、下記要件(1)を満たすとよい。なお、入射角はいずれも0°である。
(1)上記低透過波長帯域における最小透過率Tmin%と、上記第1の高透過波長帯域における最大透過率Tmax(I)%の比、Tmin%/Tmax(I)%が0.5以下、上記低透過波長帯域における最小透過率Tmin%と、上記第2の高透過波長帯域における最大透過率Tmax(II)%の比、Tmin%/Tmax(II)%が0.5以下である。
上記要件(1)を満たすと、とくに近赤外波長領域に近い可視光で入射角依存性が低減された可視光画像、所望の赤外光画像が得られる。Tmin%/Tmax(I)%は、0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0.02以下がさらに好ましい。また、Tmin%/Tmax(II)%は、0.05以下がより好ましく、0.02以下がさらに好ましい。
また、本フィルタは、下記要件(2)〜(4)を満たすとよい。
(2)低透過波長帯域が、波長680〜720nmを含み、該波長680〜720nmの入射角0°の光に対する平均透過率が20%以下である。
(3)第1の高透過波長帯域が、波長420〜650nmを含み、該波長420〜650nmの入射角0°の光に対する平均透過率が50%以上である。
(4)第2の高透過波長帯域が、波長820〜900nmを含み、該波長820〜900nmの入射角0°の光に対する平均透過率が40%以上である。
要件(2)を満たすことで、可視光画像に影響する近赤外光を遮断し、可視光画像の色再現性を高められる。また、要件(3)を満たすことで、可視光の透過率を十分に確保でき、要件(4)を満たすことで、所定の赤外光の透過率を十分に確保できる。
本フィルタは、波長680〜720nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率は10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。波長680〜720nmの光に対する平均透過率が低いほど、不要な近赤外光を遮断し、可視光画像の色再現性を高められる。また、本フィルタは、波長420〜650nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率は60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。波長420〜650nmの光に対する平均透過率が高いほど、可視光の透過率が高められ、鮮明な可視光画像が得られる。
さらに、本フィルタは、波長820〜900nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率は55%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。波長820〜900nmの光の平均透過率が高いほど、所定の赤外光の透過率が高められ、鮮明な赤外光画像が得られる。
本フィルタは、さらに、下記要件(5)を満たすことがより好ましい。
(5)入射角0°の光に対し、波長350〜420nmにおいて透過率50%となる波長λと、入射角30°の光に対し、波長350〜420nmにおいて透過率50%となる波長λ30と、の波長の差の絶対値|λ−λ30|が15nm以下である。
要件(5)を満たすことで、近紫外波長領域に近い可視光の透過率特性の入射角依存性を抑制でき、可視光画像の色再現性をより高められる。
本フィルタは、上記|λ−λ30|が、10nm以下がより好ましく、5nm以下がさらに好ましい。|λ−λ30|は、波長350〜420nmにおける本フィルタの光の入射角依存性を示す指標であり、この値が小さいほど入射角依存性が低いことを示している。
なお、上記要件(2)〜(4)に加え、第2の高透過波長帯域が、波長750〜900nmを含み、該波長750〜900nmの入射角0°の光に対する平均透過率が40%以上であると、鮮明な近赤外光による画像が得られる。平均透過率は50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。波長750〜900nmの平均透過率が高いほど、より鮮明な近赤外光による画像が得られる。
本フィルタは、監視カメラや車載カメラ等、昼夜を問わず撮像する固体撮像装置においてとくに好適に用いられる。このような固体撮像装置において、本フィルタは、例えば、撮像レンズと固体撮像素子との間に配置される。また、本フィルタは、撮像装置の固体撮像素子、撮像レンズ等に粘着剤層を介して直接貼着しても使用できる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。実施例及び比較例における光学フィルタや反射層等の分光透過率曲線は、分光光度計((株)日立製作所製 型名 U4100)を用いて測定した。
(実施例1)
透明基板として白板ガラスの一方の主面に、真空蒸着法で、SiOとTiOとを交互に積層して、厚さ約3.45μmの反射層(34層)を形成する。この反射層の波長350〜1000nmの分光透過率曲線(入射角0°/30°)を図2に示す。また、ポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製 商品名「B−OKP2」屈折率1.63)をシクロヘキサノンおよびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)の混合溶媒(質量比1:1)に溶解した溶液に、NIR吸収材としてスクアリリウム系化合物(化合物(F11−3);吸収極大波長705nm)を、ポリエステル樹脂100質量部に対し4.0質量部の割合で添加し、室温で撹拌混合して塗工液を得る。この塗工液を、上記反射層を形成したガラス板の、反射層とは反対側の面にスピンコータを用いて塗布し、溶媒を乾燥させ樹脂を焼成硬化させ、厚さ3μmの吸収層を得る。さらに、吸収層の上面に真空蒸着法で、SiOとTiOとを交互に積層し、最外層(空気との界面)にMgF層を設けて、厚さ340nmの反射防止層(7層)を形成し、光学フィルタを得る。
(実施例2)
B−OKP2をシクロヘキサノンおよびNMPの混合溶媒(質量比1:1)に溶解した溶液に、NIR吸収材としてスクアリリウム系化合物(化合物(F11−3)およびシアニン系化合物(Crystal−Lyn Chemical company製 商品名「DLS745B」;吸収極大波長755nm)を、それぞれポリエステル樹脂100質量部に対し、1.0質量部、3.3質量部の割合で添加し、室温で撹拌混合して塗工液を得る。この塗工液を、実施例1と同様に反射層を設けた白板ガラスの、反射層とは反対側の面に塗布し、厚さ3μmの吸収層を得る。次いで、この吸収層の上面に、実施例1と同じ構成の反射防止層を形成し、光学フィルタを得る。
(実施例3)
B−OKP2をシクロヘキサノンおよびNMPの混合溶媒(質量比1:1)に溶解した溶液に、NIR吸収材としてスクアリリウム系化合物(化合物(F11−3)、およびUV吸収材としてオキサゾール系化合物(BASF製 商品名「Uvitex(登録商標)OB」;吸収極大波長380nm)を、それぞれポリエステル樹脂100質量部に対して4質量部、5質量部の割合で添加し、室温で撹拌混合して塗工液を得る。この塗工液を、実施例1と同様に反射層を設けた白板ガラスの、反射層とは反対側の面に形成し、厚さ3μmの吸収層を形成する。次いで、この吸収層の上面に、実施例1と同じ構成の反射防止層を形成し、光学フィルタを得る。
上記各実施例で得られる光学フィルタの分光透過率曲線を図3(実施例1)、図4(実施例2)及び図5(実施例3)に示す。
図3より、実施例1では、入射角0°の分光透過率曲線において、波長420〜650nmにおける平均透過率が70%以上、波長680〜720nmの平均透過率が5%以下、波長820〜900nmにおける平均透過率が70%以上、波長750〜900nmにおける平均透過率が70%以上で、波長730〜760nmの間で透過率が急峻に変化(増加)している。また、該光学フィルタは、可視波長領域と近赤外波長領域との境界の700nm付近で透過から遮断に遷移する領域の透過率特性に、入射角依存性は認められない。したがって、実施例1の光学フィルタは、可視光に基づく鮮明かつ色再現性に優れるカラー画像が得られるとともに、赤外光に基づく鮮明な白黒画像が得られる。
また、図4より、実施例2では、入射角0°の分光透過率曲線において、波長420〜650nmにおける平均透過率が70%以上、波長680〜720nmの平均透過率が5%以下、波長820〜900nmにおける平均透過率が70%以上で、波長810〜840nmの間で透過率が急峻に変化(増加)している。そして、実施例1と同様、実施例2の光学フィルタは、可視波長領域と近赤外波長領域との境界の700nm付近で透過から遮断に遷移する領域の透過率に、入射角依存性は認められない。したがって、実施例2の光学フィルタは、可視光に基づく鮮明かつ色再現性に優れるカラー画像が得られるとともに、赤外光に基づく鮮明な白黒画像が得られる。
さらに、図5より、実施例3では、入射角0°の分光透過率曲線において、波長420〜650nmにおける平均透過率が70%以上、波長680〜720nmの平均透過率が5%以下、波長820〜900nmにおける平均透過率が70%以上、波長750〜900nmにおける平均透過率が70%以上で、波長725〜750nmの間で透過率が急峻に変化(増加)している。そして、実施例1と同様、実施例3の光学フィルタは、可視波長領域と近赤外波長領域の境界の波長700nm付近で透過から遮断に遷移する領域の透過率に、入射角依存性は認められない。また、紫外波長領域と可視波長領域の境界の波長400nm付近で遮断から透過に遷移する領域の透過率にも、入射角依存性は認められない。したがって、実施例3は、可視光に基づく鮮明かつ色再現性に優れるカラー画像、とくに紫外波長側の色再現性が実施例1、2に比べより向上したカラー画像が得られるとともに、赤外光に基づく鮮明な白黒画像が得られる。
本発明の光学フィルタは、赤外波長領域に近い可視光の透過率特性の入射角依存性を抑制でき、かつ所定の赤外波長領域で高い透過率を達成できる。したがって、可視光に基づく(カラー)画像と赤外光に基づく(白黒)画像をそれぞれ取得する撮像装置、例えば、監視カメラや車載カメラ等に用いる光学フィルタとして好適に利用できる。
10A〜10C…光学フィルタ、11…吸収層、12…反射層、13…透明基板、14…反射防止層。

Claims (15)

  1. 波長350nm〜1200nmの波長領域に入射角0°の光に対する透過率が40%以上となる透過波長帯域を有し、前記透過波長帯域より短波長側および前記透過波長帯域より長波長側の透過率が40%未満となる、反射層と、
    前記反射層の透過波長帯域内に吸収極大を有する吸収層と、を備え、
    前記透過波長帯域内に、
    低透過波長帯域と、
    前記低透過波長帯域より短波長側で前記低透過波長帯域より、入射角0°の光に対する透過率が高い第1の高透過波長帯域と、
    前記低透過波長帯域より長波長側で前記低透過波長帯域より、入射角0°の光に対する透過率が高い第2の高透過波長帯域と、
    を有し、
    前記第2の高透過波長帯域は、波長820nm〜900nmを含み、該波長820nm〜900nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率が40%以上であり、
    前記第2の高透過波長帯域は、波長750nm〜900nmを含み、該波長750nm〜900nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率が70%以上であることを特徴とする光学フィルタ。
  2. 前記反射層の透過波長帯域は、波長430nm〜900nmを含み、該波長430nm〜900nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率が80%以上である請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記吸収層は、波長680nm〜780nm内に吸収極大を有する請求項1または2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記吸収層は、波長350nm〜420nm内に吸収極大を有する請求項3に記載の光学フィルタ。
  5. 入射角0°の光に対し、波長350nm〜420nmにおける透過率が50%となる波長λと、入射角30°の光に対し、波長350nm〜420nmにおける透過率が50%となる波長λ30と、を有し、
    |λ−λ30|≦15nmである請求項4に記載の光学フィルタ。
  6. 入射角0°の光に対する前記低透過波長帯域における最小透過率をTmin%、入射角0°の光に対する前記第1の高透過波長帯域における最大透過率をTmax(I)%、入射角0°の光に対する前記第2の高透過波長帯域における最大透過率をTmax(II)%として、
    min%/Tmax(I)%≦0.5、
    min%/Tmax(II)%≦0.5、
    を満たす請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  7. 前記低透過波長帯域は、波長680nm〜720nmを含み、該波長680nm〜720nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率が20%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  8. 前記第1の高透過波長帯域は、波長420nm〜650nmを含み、該波長420nm〜650nmにおける入射角0°の光に対する平均透過率が50%以上である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  9. 前記吸収層上に反射防止膜が設けられている請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  10. 前記吸収層は、近赤外線吸収材を含有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  11. 前記近赤外線吸収材が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む透明樹脂に溶解または分散されている請求項10に記載の光学フィルタ。
  12. 前記吸収層は、2種以上の近赤外線吸収材を含有する請求項10または11に記載の光学フィルタ。
  13. 前記近赤外線吸収材は、スクアリリウム系化合物を含む請求項10乃至12のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  14. 前記吸収層および前記反射層は、ガラス基板の片面または両面に備えられた請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  15. 固体撮像素子と、撮像レンズと、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光学フィルタとを備えたことを特徴とする撮像装置。
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