JP6530935B2 - 近赤外線カットフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた樹脂層とを備えた近赤外線カットフィルターに関するものである。
近年、表示素子や撮像素子等の光学デバイス他、種々の分野において、多機能化を図るため、ガラス等からなる基板上に様々な層を形成した積層構造の材料が広く用いられるようになっている。基板上に形成される層としては、例えば、タッチパネル等に用いられるITO(スズドープ酸化インジウム)透明導電層、基板表面での光の反射を低減させる反射防止層、撮像素子における光学ノイズを低減させる(近)赤外線カット層等が挙げられる。
撮像素子は、固体撮像素子又はイメージセンサーチップとも称され、被写体の光を電気信号に変換して出力する電子部品であり、例えば、携帯電話用カメラ、デジタルカメラ、車載用カメラ、監視カメラ、表示素子(LED等)等に使用されている。このような撮像素子は、通常、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の検出素子(センサー)及びレンズを備えた構成からなるが、高性能化を図るため、画像処理等の妨げとなる光学ノイズの低減が求められている。
撮像素子における光学ノイズの低減は、従来、銅イオンをドープさせたブルーガラス等の吸収ガラスや、光学ノイズを低減させる光吸収機能又は反射機能を樹脂成分にもたせた樹脂フィルター等を用いて行われてきた。しかし、吸収ガラスは耐熱性に非常に優れるものの、クラック(割れ)やチッピング(欠け)が生じやすく、加工性が充分ではない。他方、樹脂フィルターはクラックやチッピングの発生を抑制できるうえ、加工性にも優れるが、その一方で、ガラスに比べると耐熱性は充分ではなく、線膨張による反りが発生しやすい。そこで近年では、ガラス等の基板上に光吸収機能や反射機能を有する層を形成した、積層構造を有する光学フィルターの開発が進められている。
上記積層構造の光学フィルター等としては、例えば、ガラス基板上に、近赤外線吸収剤を含有する樹脂層を有する積層板を含み、所定の透過率を示す近赤外線カットフィルター(特許文献1参照)が開示されている。
特開2012−103340号公報
しかし、特許文献1に記載の近赤外線カットフィルターでは、下地層となる硬化層をガラス基板と樹脂層との間に設けた場合には、密着性が十分であるのに対して、下地層となる硬化層をガラス基板と樹脂層との間に設けていない場合には、ガラス基板と樹脂層との密着性は不十分である。
本発明は前記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、下地層を設けなくても、樹脂層とガラス基板との間に十分な密着性を発現させることができる近赤外線カットフィルターを提供することにある。
前記課題を解決し得た本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた樹脂層とを備えた近赤外線カットフィルターであって、前記樹脂層は、シクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びアミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物から形成されることを特徴とする。
前記オキソカーボン系化合物は、下記式(5)の構造を有するスクアリリウム系化合物及び下記式(8)の構造を有するクロコニウム系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましく、前記オキソカーボン系化合物は、下記式(5)の構造を有するスクアリリウム系化合物を含むことがより好ましい。
[式(5)中、Ra1及びRa2の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい複素環または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。]
[式(8)中、Ra3及びRa4の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい複素環または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。]
上記式(5)中のRa1及びRa2はそれぞれ独立して、下記式(6)で示される構造単位であることがより好ましい。Ra1及びRa2は同じであってもよいし異なっていてもよい。
[環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(5)中の4員環との結合部位を表す。]
上記式(8)中のRa3及びRa4はそれぞれ独立して、上記式(6)で示される構造単位であることがより好ましい。Ra3及びRa4は同じであってもよいし異なっていてもよい。
以上のような式(6)で示される特定の構造単位が、式(5)で示されるスクアリリウム骨格又は式(8)で示されるクロコニウム骨格に結合してなるオキソカーボン系化合物は、互変異体が存在する。詳しくは、式(5)で示されるスクアリリウム骨格に結合した場合には、下記式(5)で示される化合物のほか、式(5a)又は(5b)で示される互変異体が存在する。一方、式(8)で示されるクロコニウム骨格に結合した場合には、下記式(8)で示される化合物のほか、式(8a)、(8b)又は(8c)で示される互変異体が存在する。本発明で用いられるオキソカーボン系化合物は、式(5)又は(8)で示される化合物のみならず、それぞれに対応する互変異体をも包含するものとする。
前記シランカップリング剤が、第一級アミノ基を含有するアルコキシシランであることが好ましい。また、前記シランカップリング剤の分子量が230以下であることが好ましい。
前記シクロオレフィン系樹脂は、ノルボルネン系樹脂、変性ノルボルネン系樹脂、及び環状オレフィン系共重合樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましい。
また、本発明には、前記樹脂層をコーティングによって形成するための組成物であって、シクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びアミノ基を有するシランカップリング剤を含有することを特徴とする組成物も包含される。さらに、本発明には、近赤外線カットフィルターを含む撮像素子も包含される。
本発明によれば、前記樹脂層は、シクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びアミノ基を有するシランカップリング剤を含有することによって、非常に耐剥離性に優れた近赤外線カットフィルターとなる。また、下地層を設けることなく十分な耐剥離性を発現させることができるため、下地層を設ける工程を省くことができ、近赤外線カットフィルターの作製効率が向上する。さらに、基材としてガラス基板を用いることで、近赤外線カットフィルターの変形が少なくなる。加えて、ガラス基板を樹脂層に積層させることによって、耐熱性が高く、かつ、残留溶媒が低減された高性能の近赤外線カットフィルターとなる。
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた樹脂層とを備えた近赤外線カットフィルターであって、前記樹脂層は、シクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びアミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物から形成される。以下、本発明の近赤外線カットフィルターについて説明する。
(ガラス基板)
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板上に樹脂層が形成されたものである。基板をガラスとすることで、ガラス基板と樹脂層との密着性が優れたものとなり、樹脂層のクラックやチッピング、反りの発生をより抑制でき、かつ、耐熱性にも優れた近赤外線カットフィルターとなる。
ガラス基板は、ガラスを形成する材料中に遷移金属イオンを含有させて得られるものであってもよい。遷移金属イオンとしては、光吸収能を有するものとして通常使用されるものを1種又は2種以上用いればよく、例えば、Ag+、Fe+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等が挙げられる。
前記以外にも、ホウケイ酸ガラスは、加工が容易で、光学面における傷や異物等の発生が抑えられるため好ましい。ホウケイ酸ガラスとしては、市販品を用いることもでき、例えば、SCHOTT社製D263Teco等を用いることができる。また、アルカリ成分を含まない無アルカリガラスは、接着性、耐候性等が高い点で有利である。そして、ソーダライムガラスは、低コストでかつ入手が容易であることに加えて、ガラス基板の表面が強化されているため、特に好ましい。
ガラス基板の大きさは、近赤外線カットフィルターとして使用される大きさや使用する装置等に合わせて適宜調整される。ガラス基板の厚みは、装置の小型化、薄型化、および取り扱い時の破損を抑制する点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましい。また、軽量化および強度の点から、0.4mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。
(樹脂層)
樹脂層は、シクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びアミノ基を有するシランカップリング剤(以下、アミノ基含有シランカップリング剤という)を含有する。すなわち、樹脂層形成用組成物(以下、樹脂層用組成物という)には、シクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びアミノ基含有シランカップリング剤が含有されている。
樹脂層は、ガラス基板上に形成されている。樹脂層は、ガラス基板の片面側のみに有していてもよいし、両面側に有していてもよい。また、樹脂層は、単層構造又は多層構造のいずれであってもよい。
<シクロオレフィン系樹脂>
本発明で用いるシクロオレフィン系樹脂は、溶媒可溶性であるシクロオレフィン系樹脂(以下、可溶シクロオレフィン系樹脂という)であることが好ましい。シクロオレフィン系樹脂の構造などについては後述する。本明細書において、溶媒可溶性樹脂とは、樹脂であって溶媒可溶性であるものをいう。なお、可溶シクロオレフィン系樹脂には、樹脂の前駆体が含まれるものとする。また、樹脂層自体は溶媒可溶性であっても不溶性であってもよい。
樹脂層用組成物に可溶シクロオレフィン系樹脂を含有させるとフィルターの耐光性が向上しやすい。可溶シクロオレフィン系樹脂は、そのモノマーや前駆体から調製し、重合や反応を完結させており、更に精製を行う場合もあり、こうして得られた可溶シクロオレフィン系樹脂には、色素の劣化、分解を促進させる未反応物、反応性末端、イオン性基、触媒、酸・塩基性基等がほとんどないと考えられる。従って、樹脂層用組成物中に色素が分散されている場合、色素の近赤外線吸収性能が低下しにくくなると思われる。
可溶シクロオレフィン系樹脂としては、有機溶媒に可溶であれば特に限定されないが、例えば、o−ジクロロベンゼン100質量部に対し、5質量部以上溶解する樹脂であることが好ましく、10質量部以上溶解する樹脂であることがより好ましい。
樹脂層用組成物に可溶シクロオレフィン系樹脂が含有されている場合、可溶シクロオレフィン系樹脂そのものが樹脂層を構成してもよく、可溶シクロオレフィン系樹脂が架橋反応等により変化したものが樹脂層を構成してもよい。
樹脂層用組成物における可溶シクロオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは2〜20質量%であり、さらに好ましくは3〜10質量%である。
シクロオレフィン系樹脂とは、重合体を構成するモノマー成分としてシクロオレフィンを含む重合体又は共重合体(以下、(共)重合体という)をいい、モノマー成分が1種又は2種以上のシクロオレフィンのみからなる(共)重合体であってもよいし、モノマー成分としてシクロオレフィンおよび他のモノマーを含む(共)重合体であってもよい。上記他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレンなど炭素数2以上のα−オレフィン、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
シクロオレフィン系樹脂は、主鎖に環状オレフィン骨格を有するポリマーであることが好ましく、その中でも、ホモポリマー又はコポリマーであるシクロオレフィン系樹脂がより好ましい。好ましいシクロオレフィン系樹脂としては、下記構造式(1)又は(2)で示されるシクロオレフィン系樹脂(以下、ノルボルネン系樹脂という)、下記構造式(3)で示されるシクロオレフィン系樹脂(以下、変性ノルボルネン系樹脂という)、下記構造式(4)で示されるシクロオレフィン系樹脂(以下、環状オレフィン系共重合樹脂という)が挙げられる。
(式(1)中、m1は1以上の整数であり、Rb1およびRb2は水素原子またはアルキル基を示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。Rb1およびRb2は、それらが結合して環を形成していてもよい。)
(式(2)中、m2およびn2はいずれかが、あるいはいずれも1以上の整数である。Rc1およびRc2は水素原子又はアルキル基を示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。Rc1およびRc2は、それらが結合して環を形成していてもよい。)
(式(3)中、m3は1以上の整数であり、Rd1〜Rd4は水素原子又はアルキル基を示し、Rd5はアルコキシカルボニル基(好ましくはメトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基)を示し、Rd1〜Rd4はそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。Rd1およびRd2は、それらが結合して環を形成していてもよい。)
(式(4)中、m4およびn4は1以上の整数であり、Re1〜Re4は水素原子又はアルキル基を示し、Re5は水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基(好ましくはメトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基)、Re1〜Re4はそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。Re1およびRe2は、それらが結合して環を形成していてもよい。)
シクロオレフィン系樹脂の中でも、ノルボルネン系樹脂、変性ノルボルネン系樹脂、及び環状オレフィン系共重合樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂が好ましい。これらのシクロオレフィン系樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。より好ましくは、変性ノルボルネン系樹脂又は環状オレフィン系共重合樹脂である。
シクロオレフィン系樹脂としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、ZEONEX(登録商標)(日本ゼオン社製,ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体水素化ポリマー;ノルボルネン系樹脂)、ZEONOR(登録商標)(日本ゼオン社製,ジシクロペンタジエンとテトラシクロペンタドデセンとの開環重合に基づくコポリマー;ノルボルネン系樹脂)、ARTON(登録商標)樹脂(JSR社製,ジシクロペンタジエンおよびメタクリル酸エステルを原料とする極性基を含む環状オレフィン樹脂;変性ノルボルネン系樹脂)、TOPAS(登録商標)(ポリプラスチックス社製,ノルボルネンとエチレンとのコポリマー;環状オレフィン系共重合樹脂)、アペル(登録商標)(三井化学社製,テトラシクロドデセンとエチレンとのコポリマー;環状オレフィン系共重合樹脂)などが挙げられる。
<近赤外線吸収色素>
樹脂層用組成物は近赤外線吸収色素としてオキソカーボン系化合物(好ましくはスクアリリウム系化合物)を含んでいる。耐熱性、透過性、及び本発明で用いられるシクロオレフィン系樹脂との相溶性の観点から、オキソカーボン系化合物を必須とする。オキソカーボン系化合物は、炭素と酸素とのみから構成される環状のオキソカーボン基を1個又は2個以上含む化合物であり、本発明では、近赤外線吸収色素として使用されているオキソカーボン系色素(好ましくは有機化合物)を用いることが好適である。オキソカーボン系化合物の詳細については後述する。
樹脂層用組成物において、オキソカーボン系化合物は、樹脂層用組成物中に分散又は溶解されていることが好ましく、オキソカーボン系化合物は樹脂層用組成物中に溶解して含有されていることがより好ましい。すなわち、オキソカーボン系化合物が樹脂層用組成物に含まれる樹脂成分(バインダー樹脂)や溶媒に溶解するものであることが好ましい。このようなオキソカーボン系化合物と共に溶媒可溶性であるシクロオレフィン系樹脂を用いることにより、色素を高濃度で均一に分散又は溶解した樹脂層を形成することができる。
オキソカーボン系化合物は、600〜900nmの波長域に吸収極大を有する色素(以下、特定色素とも称す)であることが好ましい。近赤外線カットフィルターとして、このような特定色素を含むことで、特に600nm〜1000nmの領域における光(透過光)を低減でき、これに起因する光学ノイズを除去することが可能となる。これによって、可視光透過率が高く、かつ近赤外領域の遮断性能に優れるという、光学ノイズ低減のために好適な性能が得られることになる。特定色素は、より好ましくは600〜800nmの波長域に吸収極大を有する色素であり、さらに好ましくは650〜750nmの波長域に吸収極大を有する色素である。なお、本明細書中、「吸収極大」とは、波長と吸光度との関係を、X軸を波長とし、Y軸を吸光度とする二次元グラフで表した場合に、吸光度が増加から減少に転じる頂点を意味する。
特定色素は、600〜900nmの波長域に吸収極大を複数有していてもよい。600〜900nmの波長域における吸収極大のうち、最も短波長側の吸収極大が650〜750nmの波長域にあることが好ましい。特定色素はまた、400nm以上600nm未満の波長域に吸収極大を持たないものであることが好ましい。
また、近赤外線吸収色素は、1種又は2種以上を使用することができる。すなわち、オキソカーボン系化合物のみでもよく、オキソカーボン系化合物以外の近赤外線吸収色素を含有してもよく、2種以上のオキソカーボン系化合物であってもよい。本発明に用いる近赤外線吸収色素は分子内にπ電子結合を有する色素であることが好ましく、分子内にπ電子結合を有する色素としては、芳香環を含む化合物であることが好適である。より好ましくは、1分子内に2個以上の芳香環を含む化合物である。
オキソカーボン系化合物以外の前記分子内にπ電子結合を有する色素として、例えば、ポルフィリン系化合物、シアニン系化合物、クアテリレン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ニッケル錯体系化合物、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、ジインモニウム系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
樹脂層用組成物における特定色素の含有量は、樹脂層用組成物(固形分に相当する樹脂)100質量%に対して、好ましくは0.05〜30質量%であり、より好ましくは0.05〜10質量%であり、さらに好ましくは0.3〜5質量%である。
樹脂層用組成物は、特定色素以外の色素を含んでいてもよい。例えば、600〜900nmの波長域以外の近赤外線、赤外線、紫外線、可視光の各帯域において特定の波長に特性吸収を有する色素を使用目的に応じて適宜選択すればよく、光学材料の各種用途に適用することができる。例えば、耐光性を向上させるためにベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収色素を併せて用いてもよい。
特定色素以外の色素の含有量は、色素の総量100質量%に対し、50質量%以下であることが好適である。より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。言い換えれば、色素の総量100質量%に対し、特定色素が50質量%以上であることが好適であり、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
樹脂層用組成物(固形分に相当する樹脂)100質量%に対して、色素の総量が、0.05質量%以上、35質量%以下であることが好ましい。これにより、可視光透過率がより高く、かつ近赤外領域の遮断性能により優れる硬化物(樹脂層)を得ることが可能になる。色素の総量の下限としてより好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、最も好ましくは1質量%以上である。また、上限としてより好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
<オキソカーボン系化合物>
前記オキソカーボン系化合物は、スクアリリウム系化合物及びクロコニウム系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
スクアリリウム系化合物としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
[式(5)中、Ra1及びRa2の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい複素環または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。]
クロコニウム系化合物としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(8)で表される化合物が挙げられる。
[式(8)中、Ra3及びRa4の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい複素環または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。]
複素環としては、芳香族複素環、脂環式複素環が挙げられる。
芳香族複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環等が挙げられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環等が挙げられる。
また、脂環式複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環等が挙げられ、より具体的にはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環等が挙げられる。
芳香族環としては、炭素数6〜14のものが挙げられ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。
複素環または芳香族環の置換基としては、同一または異なって1〜5個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、スルホンアミド基、アルキル基、アラルキル基、シアノ基、ハロゲン原子、−R=R’−Ar(RおよびR’は同一であって、NまたはCHを表し、Arは、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、ハロゲン基で置換されていてもよいアルキル基、シアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基で置換されていてもよいアリール基を表す)等が挙げられる。アルキル基またはアルコキシ基の置換基としては、同一または異なって1〜3個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
中でも、置換基を有していてもよい5員あるいは6員の複素環または置換基を有していてもよい5員あるいは6員の芳香族環が好ましい。
前記オキソカーボン系化合物は、上記式(5)の構造を有するスクアリリウム系化合物及び上記式(8)の構造を有するクロコニウム系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましく、上記式(5)の構造を有するスクアリリウム系化合物を含むことがより好ましく、上記式(5)の構造を有するスクアリリウム系化合物からなることがさらに好ましい。
<スクアリリウム系化合物(スクアリリウム系色素)>
スクアリリウム系化合物としては、式(5)中のRa1、Ra2はそれぞれ独立して、下記式(6)で示される特定の構造単位であることが特に好ましい。Ra1及びRa2は同じであってもよいし異なっていてもよい。
式(6)中、*は式(5)で示されるスクアリリウム骨格との結合部位を表しており、スクアリリウム骨格に結合する炭素原子(上記式(6)中、矢印で示す炭素原子)が炭化水素環(環A)を形成している点に特徴を有する。
式(6)中、環Aは、構成員数が4〜9員である不飽和炭化水素環である。環Aは、スクアリリウム骨格に結合する炭素原子(上記式(6)中、矢印で示す炭素原子)とピロール環を構成する炭素原子との間に少なくとも1個の二重結合を有する不飽和炭化水素環であればよく、当該二重結合以外にも不飽和結合(好ましくは二重結合)を有するものであってもよいが、好ましくは環Aが有する二重結合は1個であるのがよい。環Aは、好ましくは5〜8員環であり、より好ましくは6〜8員環である。
環Aの構造としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロノネン、シクロノナジエン、シクロノナトリエン、シクロノナテトラエン等のシクロアルケン構造が挙げられる。中でも、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のシクロアルカンモノエンが好ましい。
式(6)中、例えば、nは、0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)である。nは、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜3の整数であり、さらに好ましくは0〜2の整数である。nが1以上である場合、環Aを構成する炭素原子に結合する水素原子はYで置換されることになる。
式(6)中、X及びYは有機基又は極性官能基である。X及びYの例である有機基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオオキシ基(アルキルチオ基)、アルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオオキシ基(アリールチオ基)、アリールオキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アミド基(−NHCOR)、スルホンアミド基(−NHSO2R)、カルボキシ基(カルボン酸基)、シアノ基などが挙げられる。また極性官能基としては、ハロゲノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基(スルホン酸基)等が挙げられる。
Xの例である有機基又は極性官能基としては、アルキル基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基が好ましく、より好ましくはアルキル基又はアリール基がよい。この場合、アルキル基の炭素数は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であれば1〜6が好ましく、より好ましくは1〜4であり、脂環式のアルキル基であれば4〜7が好ましく、より好ましくは5〜6である。アリール基の炭素数は6〜10が好ましく、より好ましくは6〜8である。具体的には、Xの例である有機基又は極性官能基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が好ましく挙げられる。
Yの例である有機基又は極性官能基としては、上記の中でも、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノ基、フェニル基、アルコキシカルボニル基(エステル基)、アミド基、スルホンアミド基、水酸基が好ましく、より好ましくはアルキル基又は水酸基である。この場合、アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1〜2である。具体的には、Yの例である有機基又は極性官能基としては、メチル基、エチル基、水酸基等が好ましく挙げられる。
前記nが2以上であり、Yが複数存在する場合には、各Yは同じであってもよいし異なっていてもよい。また前記nが2以上である場合、複数のYは各々別の炭素原子に結合していてもよいし、2個のYが1個の炭素原子に結合していてもよい。
式(6)中、環Bは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。環Bとしては、例えば、下記式(A−1)〜(A−12)の構造を有する環、及びこれら環の水素原子の1つ以上が任意の置換基で置換された環が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環(A−1)、ナフタレン環(A−2、A−3)、又はこれらに下記置換基が置換した環が好ましく、ベンゼン環(A−1)又はベンゼン環(A−1)に下記置換基が置換した環がより好ましい。ここで置換基としては、X及びYの例である有機基又は極性官能基として上述した基が挙げられるが、それらの中でも特に、アルキル基(特に好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状アルキル基)、アリール基、アルコキシ基;アルキルチオ基(特に好ましくは炭素数1〜2)、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、などの電子供与性基、ハロゲノ基(特に好ましくは、クロロ基、ブロモ基等)、アルコキシカルボニル基(エステル基)、カルボキシ基(カルボン酸基)、スルホ基(スルホン酸基)、ニトロ基等の電子吸引性基が好ましく、特に電子吸引性基が好ましい。環Bの置換基の数は1つでもよいし2つ以上でもよい。
なお、上記式(A−1)〜(A−12)は、環Bをピロール環の一部を含んで表したものであり、例えば式(A−1)は、下図中aの矢印で示されるピロール環のβ位の炭素原子と、下図中bの矢印で示されるピロール環のα位の炭素原子とを含んで表記されている。
なお、スクアリリウム骨格を有する化合物(5)中の特定の構造単位であるRa1とRa2は、同一構造であっても異なっていてもよい。
特に好ましいスクアリリウム系化合物は、式(5)のスクアリリウム骨格を有すると共に、前記式(6)の構造単位において、環Aがシクロヘキセン、シクロヘプテン、又はシクロオクテンであり、Xが炭素数1〜4のアルキル基であり、環Bがベンゼン環(A−1)又はナフタレン環(A−2、A−3)である化合物である。この特に好ましいオキソカーボン系化合物において、環Bが置換基を有する場合、置換基としては、カルボキシル基、ハロゲノ基が好ましい。
本発明に用いられる好適なスクアリリウム系化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記式(7):
(式(7)中、環A、環B、X、Y及びnは式(6)に同じ)で表されるピロール環含有化合物を中間原料とし、これをスクアリン酸と反応させることにより製造することができる。
中間原料として用いるピロール環含有化合物は、公知の合成手法を適宜採用することによって合成できる。例えば、以下の論文に記載の合成法によってピロール環含有化合物を合成することができる。
SAJJADIFAR ET AL: 'New 3H-Indole Synthesis by Fischer’s Method. Part I.' Molecules 2010, no. 15, April 2010, pages 2491-2498
また、スクアリリウム系化合物は、ピロール環含有化合物とスクアリン酸とを反応させる公知の合成手法を適宜採用することによって合成できる。例えば、以下の論文に記載の合成法によってピロール環含有化合物を合成することができる。
COLLINS ET AL: 'A convenient synthesis of highly substituted 2-pyridones', Tetrahedron Letters, Volume 40, Issue 21, May 1999, pages 4069-4072
得られたスクアリリウム系化合物は、必要に応じて、濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、昇華精製、再結晶、晶析など公知の精製手段によって適宜精製することができる。
<クロコニウム系化合物(クロコニウム系色素)>
クロコニウム系化合物としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(8)で表される化合物が挙げられる。
[式(8)中、Ra3及びRa4の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい複素環または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。]
式(8)中、Ra3、Ra4はそれぞれ独立して下記式(6)で示される構造単位であることがより好ましい。Ra3及びRa4は同じであってもよいし異なっていてもよい。
[式(6)中、
環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(8)中の5員環との結合部位を表す。]
上記クロコニウム系化合物の合成方法は、特に限定されないが、ピロール環含有化合物とクロコン酸とを反応させる公知の合成手法を適宜採用することによって合成できる。例えば、特開2002−286931号公報、特開2007−31644号公報、特開2007−31645号公報、特開2007−169315号公報に記載されている方法で合成することができる。
<スクアリリウム系化合物及びクロコニウム系化合物の互変異体>
以上のような式(6)で示される特定の構造単位が、式(5)で示されるスクアリリウム骨格又は式(8)で示されるクロコニウム骨格に結合してなるオキソカーボン系化合物は、互変異体が存在する。詳しくは、式(5)で示されるスクアリリウム骨格に結合した場合には、下記式(5)で示される化合物のほか、式(5a)又は式(5b)で示される互変異体が存在する。一方、式(8)で示されるクロコニウム骨格に結合した場合には、下記式(8)で示される化合物のほか、式(8a)、(8b)又は(8c)で示される互変異体が存在する。本発明で用いられるオキソカーボン系化合物は、式(5)又は(8)で示される化合物のみならず、それぞれに対応する互変異体をも包含するものとする。
<シランカップリング剤>
本発明で用いるシランカップリング剤は反応性基としてアミノ基を有する。このようなアミノ基含有シランカップリング剤を樹脂層用組成物に含有させることで、ガラス基板との密着性を向上させる効果や撥水作用により樹脂層中への水分の浸入を抑制する効果があり、その結果、耐熱性や耐湿熱性に優れる近赤外線カットフィルターを得ることができる。具体的には、半田リフロー工程、湿熱環境における使用において、剥がれ等を抑制することが可能となる。
また、アミノ基以外の反応性基として、例えば、アルコキシ基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラン基(オキシラン環)、メルカプト基、イソシアナート基等を有するカップリング剤を有することが好ましく、中でもアルコキシ基を有することがより好ましい。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等が挙げられる。シランカップリング剤としては、第一級アミノ基を有するシランカップリング剤を含む樹脂層用組成物を用いると、ガラス基板との接着性が非常に良好となるため好ましい。第一級アミノ基を有するシランカップリング剤の中でも、第一級アミノ基を含有するアルコキシシランが好ましく、第一級アミノ基を含有するトリアルコキシシランがより好ましく、第一級アミノ基を含有するトリメトキシシラン及び第一級アミノ基を含有するトリエトキシシランよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがさらに好ましい。特に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどは入手し易い上に、ガラス基板に対して高い接着性を発現する樹脂層となるため好ましい。また、単位質量あたりの官能基数が多い方が、シランカップリング剤の添加量が少量で済むため、シランカップリング剤の分子量が230以下であることが好ましい。アミノ基含有シランカップリング剤は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、市販品を用いることもでき、例えば、信越シリコーン社製KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、東レ・ダウコーニング社製Z−6011(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、東レ・ダウコーニング社製Z−6020(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン)等が好適に用いられる。
樹脂層用組成物におけるアミノ基含有シランカップリング剤の含有量は樹脂層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、0.00001〜10質量%が好ましく、0.00005〜5質量%がより好ましく、0.0001〜3質量%が特に好ましい。前記含有量とすることで、ガラス基板との密着性に優れ、耐熱性が高い樹脂層を得ることができる。
樹脂層用組成物には、さらに液媒体及び触媒が添加されていることが好ましい。液媒体は、水、アルコール等であればよく、1種又は2種以上を使用することができるが、好ましくは、水及び/又はエタノールである。液媒体を加えることによって、アミノ基含有シランカップリング剤においてアルコキシ基が加水分解してシラノール基が生成し、このシラノール基がガラス基板表面にある水酸基との水素結合を介してガラス基板表面に移行する。そして、シラノール基の脱水縮合反応を経てガラス基板表面と強固な共有結合を生成することによって、ガラス基板と下地層との密着性が向上する。樹脂層用組成物における液媒体の含有量は、樹脂層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、0.0001〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましい。
また、触媒は、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解反応時に触媒として作用するものであればよく、有機酸または無機酸のいずれであってもよい。無機酸の例としては、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、有機酸の例としては、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、及びn−酪酸等、カルボン酸基を有する化合物;有機スルホン酸、及び有機スルホン酸のエステル化物(有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステル)等、硫黄含有酸基を有する化合物;が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、触媒として、ギ酸を用いるのが好ましい。触媒の含有量は、樹脂層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、0.00001〜1質量%が好ましく、0.0001〜0.3質量%がより好ましい。
<溶媒>
樹脂層用組成物は、塗工性を高める観点から溶媒を含んでいるのが好ましい。溶媒は特に限定されないが、モノアルコール類;グリコール類;環状エーテル類;グリコールモノエーテル類;グリコールエーテル類;グリコールモノエーテルのエステル類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等);アルキルエステル類;ケトン類;芳香族炭化水素類;ハロゲン化芳香族炭化水素類;脂肪族炭化水素類;アミド類;等が好ましい。また、オキソカーボン系化合物は、双極子モーメントが小さい溶媒中で高い耐久性を有するので、双極子モーメントが4D以下である溶媒が好ましく、双極子モーメントが3.5D以下である溶媒がより好ましく、3D以下である溶媒が特に好ましい。このような溶媒の具体例として、例えば、o−ジクロロベンゼン、シクロペンタノン、PGMEA、エチルシクロヘキサン、キシレン、トリメチルベンゼン、リモネン等が好ましい。
上述した中でも、o−ジクロロベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルシクロヘキサン、キシレン、リモネンが特に好ましい。これらの溶媒は1種で使用されてもよく、2種以上の混合溶媒として使用されてもよい。また、溶媒中の水分含有量は3質量%以下であることが好ましい。
樹脂層用組成物における溶媒の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは100〜4000質量部であり、より好ましくは300〜3000質量部であり、さらに好ましくは500〜2000質量部である。
<樹脂層用組成物の調製方法>
樹脂層用組成物の調製方法は特に限定されず、前記含有成分を通常の方法で混合することにより得ることができる。含有成分を混合する際には、必要に応じて、各成分又は混合物を加熱して、均一組成になるように混合することもできる。加熱温度としては、好ましくは20〜140℃、より好ましくは40〜120℃である。
混合方法としては、各種の混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。分散工程及び混合工程は、特に限定されず、通常の手法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含むものであってもよい。
樹脂層用組成物の調製の際、各成分の添加混合する順序は適宜選択できる。例えば、溶媒にシクロオレフィン系樹脂を添加混合した後、オキソカーボン系化合物及びシランカップリング剤を添加混合してもよく、溶媒にシクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びシランカップリング剤を同時に添加し、混合してもよい。
<樹脂層の形成方法>
樹脂層の形成方法としては、樹脂層用組成物をガラス基板上に塗布して加熱乾燥することにより形成する方法が好適である。樹脂層はコーティングにより形成されることが好ましく、具体的には、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の方法が挙げられ、基板上のコート層の偏差を小さくする観点からはスピンコート法がより好ましい。スピンコート法により塗膜を形成する場合、室温(25℃)付近で、樹脂層用組成物を塗布した基材を500〜4000rpmで10〜60秒間程度回転させながら、溶媒を(半)乾燥させることが好ましいが、溶媒の(半)乾燥は回転時以外に行われていてもよい。ここでの(半)乾燥とは、完全に溶媒が除去されていてもよく、残留溶媒が微量含まれていてもよい。また、樹脂層用組成物を塗布した基材(ガラス基板)を加熱することにより、溶媒を乾燥除去し、及び、シランカップリング剤と基材とを化学反応させておくことが好ましい。
(近赤外線カットフィルター)
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板及び樹脂層以外に、外気側に蛍光灯等の映り込みを低減する反射防止性及び/又は防眩性を有する層や傷付き防止性能を有する層、その他の機能を有する透明基材、ガラス、フィルター等を積層してもよい。また、本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板及び樹脂層以外に、シクロオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有する層(以下、一般層という)を単層又は複数層備えてもよく、一般層は、樹脂層より上方であればいずれの位置に設けられていてもよい。例えば、一般層は、樹脂層の上に設けられていてもよく、樹脂層が多層構造である場合には一般層が樹脂層に挟まれるように設けられていてもよいが、一般層が樹脂層の上に設けられているのが好ましい。
本発明では近赤外線反射膜を積層することが好ましい。近赤外線反射膜は、近赤外線を反射する能力を有する膜である。このような近赤外線反射膜としては、アルミニウム蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムを主成分とし酸化錫を少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜等を用いることができる。近赤外線反射膜はガラス基板の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合には、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合には、高い強度を有し、ソリの生じにくい近赤外線カットフィルターを得ることができる。さらに、このような近赤外線反射膜を積層することによって、より確実に近赤外線をカットすることのできるフィルターを得ることができる。
前記近赤外線反射膜の中では、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を用いるのが好ましい。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.7〜2.5の材料が選択される。高屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化錫、酸化ビスマス等の酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;前記酸化物や前記窒化物の混合物やそれらにアルミニウムや銅等の金属や炭素を含有ドープしたもの(例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO))等が挙げられる。低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.2〜1.6の材料が選択される。低屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が挙げられる。
(その他)
樹脂層用組成物は、目的に応じて、適切な添加剤を含有してもよい。例えば、前記樹脂層用組成物の総量(固形分)100質量%に対して、0.00001質量%以上、10質量%以下の範囲で含有してもよい。添加剤の具体例としては、硬化剤、レベリング剤、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強材、可塑剤、潤滑剤、防食剤、防錆剤、乳化剤、鋳型脱型剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、すべり付与剤、密着性付与剤、防汚剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、光増感剤、表面改良剤、(近)赤外線カット剤、シランカップリング剤以外の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤等が挙げられる。
また、樹脂層用組成物は、任意の適切な有機微粒子又は無機微粒子を含有してもよい。典型的には、これらの有機微粒子又は無機微粒子は、目的に応じた機能(屈折率、導電性等)を付与するために用いられる。
樹脂層の高屈折率化や導電性付与に有用な微粒子の具体例として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。樹脂層の低屈折率化に有用な微粒子の具体例として、フッ化マグネシウム、シリカ、中空シリカ等が挙げられる。防眩性付与に有用な微粒子の具体例としては、前記の微粒子に加え、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン等の無機粒子;シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びこれらの共重合樹脂等の有機微粒子;等が挙げられる。これらの微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上が組み合わされてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。
以下では、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を示すものとする。
まず、実施例で用いた評価方法について、以下説明する。
(PCT(Pressure Cooker Test)試験)
供試材(樹脂層積層基板)について、供試材の樹脂層にカッター(エヌティー社製A−300)で切り込みを入れ、縦列、横列にそれぞれ2mm間隔で10本のクロスカット線を設けることによって4mm2の四角を81マス作製し、評価用サンプル基板を作製した。次に、この評価用サンプル基板を、120℃、2気圧、湿度100%の高圧高温高湿槽(パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−E(平山製作所社製)、動作モード1)に、15時間または50時間入れた。続いて、室温にて、空気が入らないようにテープ(3M(スリーエム)社製スコッチ(登録商標)透明粘着テープ透明美色(登録商標))を貼り付け、5秒間放置した。その後、基板からのテープの剥離を1秒以内に行い、下記基準で評価した。なお、いずれのマスにおいても剥離力が一定となるようにテープの剥離を行った。
○:作製した81マスのうち、1マスも剥がれが発生しなかった。
△:作製した81マスのうち、1〜9マスに剥がれが発生した。
×:作製した81マスのうち、10〜81マスに剥がれが発生した。
実施例において使用したスクアリリウム系化合物01〜06の構造式を以下に示す。スクアリリウム系化合物01〜06は、ピロール環含有化合物とスクアリン酸とを反応させる公知の合成手法、すなわち明細書中に挙げた論文に記載された合成方法によって作製したものである。
(フタロシアニン系化合物Eの作製方法)
1)中間原料Dの作製工程
1000mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル54g(0.27mol)、フッ化カリウム34.5g(0.59mol)、及びアセトン126gを仕込み、更に滴下ロートに3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチルエステル127g(0.55mol)及びアセトン216gを仕込んだ。具体的には、反応容器を氷冷下、攪拌しながら、滴下ロートより3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチルエステル溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、中間原料Dを108.7g(収率64.8%)を得た。この中間原料Dの作製工程の反応を、下記化学式(9)に簡略化して示す。
2)フタロシアニン系化合物Eの作製工程
200mlの四つ口フラスコに、前記中間原料D20.0g(0.032mol)、ヨウ化亜鉛(II)2.57g(0.0081mol)、及びベンゾニトリル30.0gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた後、メチルセロソルブ52.7gを加えて反応液を作製した。この反応液をメタノールと水の混合溶液に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウェットケーキを得た。得られたケーキを再度、メタノールと水との混合溶液で撹拌洗浄し、吸引ろ過し、その後、真空乾燥機を用いて90℃で24時間乾燥し、目的物であるフタロシアニン系化合物Eを17.78g(収率86.7%)得た。このフタロシアニン系化合物Eの作製工程の反応を、下記化学式(10)に簡略化して示す。
フタロシアニン系化合物Eは、前記構造中、主骨格中に「*」で示す部分(合計8個)のそれぞれに、化学式(10)に示す置換基Fが置換した構造からなる。
(実施例1)
<樹脂層用組成物溶液の塗布>
JSR社製ARTON(登録商標)樹脂(変性ノルボルネン系樹脂)10部をo−ジクロロベンゼン90部に溶解させた溶液に、スクアリリウム系化合物01を0.6部混合、溶解し、さらにシランカップリング剤(信越シリコーン社製KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン))0.3部を添加して樹脂層用組成物溶液を作製した。その樹脂層用組成物溶液をろ過して不溶分等を取り除いた後、ガラス基板上に0.6cc垂らし、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、0.2秒間かけて2000回転(rpm)にし、10秒間その回転数で保持し、その後0.2秒間かけて0回転(rpm)になるようにして樹脂層を成膜した。樹脂層を成膜したガラス基板を、精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で3分間初期乾燥した後に、イナートオーブン(ヤマト科学社製DN610I)を用いて50℃で30分間窒素置換した後、200℃に15分程度で昇温し、200℃で30分間追加乾燥(窒素雰囲気下)し、樹脂層を備えたガラス基板(以下、樹脂層積層基板という)を得た。得られた試験サンプルのPCT試験を行った結果、密着性は良好であった。マイクロメーターを用いて、乾燥後の樹脂層の膜厚を測定したところ、1μmであった。なお、乾燥後の樹脂層の膜厚については、ガラス基板及び樹脂層積層基板の厚さをマイクロメーターを用いて測定し、両者の差を乾燥後の樹脂層の膜厚とした。
(実施例2〜11、比較例1〜7)
実施例1において、樹脂の種類・量、色素の種類・量、シランカップリング剤の種類・量、樹脂層の塗布条件を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、樹脂として、上記ARTON(登録商標)樹脂以外に三井化学社製アペル(登録商標)APL6015T(環状オレフィン系共重合樹脂)、帝人社製パンライト(登録商標)L−1225Y(ポリカーボネート系樹脂)、及び日本ゼオン社製ZEONOR(登録商標)1410R(ノルボルネン系樹脂)も用いている。
シランカップリング剤としては、以下の4種類を用いた。
信越シリコーン社製KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6011(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6020(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6040(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
得られた樹脂層積層基板を用いて、PCT試験を行った。樹脂層積層基板の構成及びPCT試験の結果を以下の表1にまとめた。また、分光光度計(島津製作所社製UV−3100)を用いて、樹脂層積層基板の吸収スペクトル(透過スペクトル)を測定し、吸収極大となる波長を最大吸収波長とした。
本発明の近赤外線カットフィルターは、耐剥離性に優れるため、表示素子や撮像素子等の光学デバイス他種々の分野において用いることが可能である。例えば、携帯電話用カメラ、デジタルカメラ、車載用カメラ、監視カメラ、表示素子(LED等)等の電子部品に用いることができる。

Claims (7)

  1. ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた樹脂層とを備えた近赤外線カットフィルターであって、
    前記樹脂層は、シクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びアミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物から形成される
    ことを特徴とする近赤外線カットフィルター。
  2. 前記オキソカーボン系化合物は、下記式(5)の構造を有するスクアリリウム系化合物を含む近赤外線カットフィルター。

    [式(5)中、Ra1、Ra2はそれぞれ独立して下記式(6)で示される構造単位である。

    環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
    X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
    nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
    環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
    なお*は式(5)中の4員環との結合部位を表す。]
  3. 前記シランカップリング剤が、第一級アミノ基を含有するアルコキシシランである請求項1又は2に記載の近赤外線カットフィルター。
  4. 前記シランカップリング剤の分子量が230以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  5. 前記シクロオレフィン系樹脂は、ノルボルネン系樹脂、変性ノルボルネン系樹脂、及び環状オレフィン系共重合樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターの前記樹脂層をコーティングによって形成するための組成物であって、シクロオレフィン系樹脂、オキソカーボン系化合物、及びアミノ基を有するシランカップリング剤を含有することを特徴とする組成物。
  7. 請求項1〜5に記載のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを含むことを特徴とする撮像素子。
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