JP2013180964A - 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】HFO−1243zfの生成が抑制し、高純度のHFO−1234yfを製造する方法を提供する。
【解決手段】CFO−1214yaおよび/またはHFO−1224ydを含む原料を、少なくとも一部が液体の状態で、還元触媒により形成された固定床を有する反応器に供給し、該反応器内で水素により還元し、HFO−1234yfを含む生成物を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法に関する。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CHで表される。以下、HFO−1234yfとも記す。)は、分子中に塩素原子を含まず、オゾン層を破壊する温室効果ガスであるクロロフルオロカーボン類(CFC)およびハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC)に代わる新冷媒として、近年使用が期待されている。
なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の化学式と略称を記すが、必要に応じて化合物名に替えてその略称を用いる。
HFO−1234yfを製造する方法としては、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CFCFCHCl:HCFC−225ca)を脱フッ化水素反応させて1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CCl:CFO−1214ya)を生成した後、得られたCFO−1214yaに水素により還元してHFO−1234yfを得る方法が知られている。
そして、CFO−1214yaを還元してHFO−1234yfを得る方法として、特許文献1には、パラジウムをアルミナに担持させた触媒が充填されて200℃に保持された反応器に、CFO−1214yaと、水素と窒素からなるガスとを流通させ、HFO−1234yfを得る方法が記載されている。
しかし、この方法では、過還元体であり、HFO−1234yfと沸点が近いため蒸留による分離が難しい3,3,3−トリフルオロプロペン(CFCH=CH:HFO−1243zf)の副生率が高いという問題がある。
また、クロロフルオロオレフィン類の塩素原子を水素原子に還元して、フルオロオレフィンを得る方法として、以下に示す方法(I)および(II)が知られている。
(I)パラジウムを活性炭に担持させた触媒の存在下、RfCF=CCl(ただし、Rfは炭素数1〜10のフルオロアルキル基を示す。)と水素とをバッチ式で反応させて、RfCF=CHを得る方法(例えば、特許文献2参照。)。
(II)固体触媒が充填された反応器に、クロロフルオロアルケンと水素と窒素とからなるガスを流通させて、フルオロオレフィンを得る方法(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献2に記載された方法においても、目的物であるRfCF=CHの過還元体であるRfCH=CHが副生することがあり、RfがCF−である場合は、目的物であるHFO−1234yfとともに、前記したHFO−1243zfが生成するという問題がある。
同様に、特許文献3に記載された方法においても、目的物とともに過還元体であるクロロフルオロアルカンが副生することがある。なお、特許文献3で開示されるクロロフルオロアルケンは、1位と2位とがそれぞれ有機基で置換された構造のものであり、CFO−1214yaを原料とするHFO−1234yfの製造は記載されていない。
このように、従来の方法ではいずれも、蒸留による分離が難しいHFO−1243zfの生成を十分に抑えることが難しく、高純度のHFO−1234yfを得ることができなかった。
特表2010−510221号公報 特開平2−286635号公報 特表2010−532760号公報
本発明は、上記観点からなされたものであり、CFO−1214yaを水素により還元してHFO−1234yfを製造する方法において、副生物、特にHFO−1234yfと蒸留分離が困難なHFO−1243zfの生成が抑制された、工業的・経済的に有用な連続プロセスを提供することを目的とする。
本発明は、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)および/または1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CHCl:HFO−1224yd)を含む原料を、少なくとも一部が液体の状態で、還元触媒により形成された固定床を有する反応器に供給し、該反応器内で水素により還元し、HFO−1234yfを含む生成物を得ることを特徴とするHFO−1234yfの製造方法を提供する。
本発明のHFO−1234yfの製造方法において、前記還元触媒は、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムから選ばれる少なくとも1種を、活性炭または金属酸化物から選ばれる担体に担持したものであることが好ましい。また、前記還元触媒は、パラジウムをヤシ殻活性炭に担持させたパラジウム担持触媒であることが好ましい。さらに、前記原料が水素により還元される温度は、60〜150℃であることが好ましく、前記反応器内の圧力は、ゲージ圧で1.00MPa以下であることが好ましい。またさらに、前記生成物からCFO−1214yaおよびHCFO−1224ydを分離し、前記原料の一部とすることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、副生物、特にHFO−1234yfとの蒸留分離が困難なHFO−1243zfの生成が抑制され、新冷媒として有用な高純度のHFO−1234yfを、経済的に製造することが可能となる。
本発明の実施例1〜3に使用する反応装置を示す図である。 比較例1および比較例2に使用する反応装置を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、CFO−1214yaおよび/またはHCFO−1224ydを含む少なくとも一部が液状の原料と、水素を含むガスとを、還元触媒により形成された固定床が収容された反応器に導入し、反応器内で、少なくとも一部が液状のCFO−1214yaおよび/またはHCFO−1224ydを水素により還元して、HFO−1234yfを含む生成物を製造する方法を提供する。ここで、「固定床」とは、例えば反応器内に固体物質により固定的に形成された層をいう。
本発明の製造方法は、反応器に導入される原料の少なくとも一部が、液体の状態で水素により還元されることを特徴とする。原料を液体状態で水素によって還元する方法として、本発明においては、固定床還元触媒を用いる方式(以下、固定床還元方式という。)が採られている。液体状態で水素還元する方法としては、懸濁反応を用いる方法もあるが、撹拌による触媒の摩耗とそれに伴う損失、触媒の分離リサイクル工程を必要とする、などの問題がある。本発明における固定床還元方式は、それらの問題がなく、経済的にも反応効率的にも有利な方法である。
原料であるCFO−1214ya(沸点46.4℃)は、固定床を構成する還元触媒の表面において、下記反応式(1)および(2)に示す反応により水素と反応し、HFO−1234yf(沸点−29℃)が生成すると考えられる。また、HFO−1224yd(沸点15〜17℃)は、前記還元触媒の表面において、下記反応式(2)に示す反応により水素と反応し、HFO−1234yfが生成すると考えられる。
2CFCF=CCl(CFO−1214ya) + H
→ 2CFCF=CHCl(HFO−1224yd) + 2HCl ………(1)
2CFCF=CHCl(HFO−1224yd) + H
→ 2CFCF=CH(HFO−1234yf) + 2HCl ………(2)
生成したHFO−1234yf(沸点−29℃)は、下記反応式(3)に示す反応によりさらに水素と反応(過還元)して、HFO−1234yfとの蒸留分離が難しいHFO−1243zfが副生成すると考えられる。
2CFCF=CH(HFO−1234yf) + H
→ 2CFCH=CH(HFO−1243zf) + 2HF ………(3)
本発明の製造方法では、固定床還元方式が採られているので、気相で水素により還元する方法と比べて、HFO−1243zfの生成が少なく、高純度なHFO−1234yfが得られる。その理由として、本発明では、気相状態で水素還元する方法と比較して活性点における触媒表面の発熱が少ないため、過還元体であるHFO−1243zfが生成しにくくなることが考えられる。
また、液体状態で反応器に導入される原料の少なくとも一部は、還元触媒の表面に液体の状態で吸着すると考えられる。その結果、還元触媒の表面における原料濃度が高まり、前記反応式(1)および(2)に示す水素との反応が気液固界面で優先的に進行する一方、生成したHFO−1234yfは還元触媒から気化脱着する結果、前記反応式(3)に示すHFO−1234yfと水素との反応は相対的に抑制されて、HFO−1243zfが生成しにくくなると考えられる。これらの理由で、本発明の製造方法においては、高純度なHFO−1234yfを含む生成物が得られると考えられる。
以下、本発明の製造方法について、さらに詳細に説明する。
(1)原料
本発明のHFO−1234yfの製造方法に用いる原料は、CFO−1214yaとHCFO−1224ydの少なくとも一方を含み、反応器に導入される際に少なくとも一部が液状であり、かつ反応器内で水素により還元される際に、少なくとも一部が液体の状態であることを特徴とする。
原料は、CFO−1214yaのみでも、HCFO−1224ydのみでもよく、CFO−1214yaとHCFO−1224ydとの混合物でもよい。原料が混合物である場合、CFO−1214yaとHCFO−1224ydとの混合比は、特に限定されないが、CFO−1214yaを90〜100質量%、HCFO−1224ydを0〜10質量%含むものが好ましい。なお、本発明の目的を損なわない範囲であれば、原料に後述する化合物が不純物として含有されていてもよい。
(1−1)CFO−1214ya
本発明において、原料であるCFO−1214yaは、例えば、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225ca)を含むジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−225)の異性体混合物を、相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させることにより、前記異性体混合物中のHCFC−225caを選択的に脱フッ化水素させて得ることができる。
[CFO−1214yaの生成反応]
CFCFCHCl(HCFC−225ca)+nHCFC−225X
→CFCF=CCl(CFO−1214ya)+HF+nHCFC−225X
………(4)
(反応式(4)中、HCFC−225Xは、HCFC−225ca以外のHCFC−225異性体の1種または2種以上を表す。nは、原料HCFC−225異性体混合物中のHCFC−225ca1モルに対するHCFC−225Xのモル数を示し、0より大きい数字である。nは好ましくは0.005〜9である。)
HCFC−225の異性体混合物に含まれるHCFC−225ca以外の異性体としては、特に制限されるものではないが、具体的には、1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHClFCFCClF:HCFC−225cb)、2,2−ジクロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHFCClCF:HCFC−225aa)、1,2−ジクロロ−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHClFCClFCF:HCFC−225ba)および2,3−ジクロロ−1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHFCClFCClF:HCFC−225bb)等が挙げられる。HCFC−225の異性体混合物は、これらの1種または2種以上と、HCFC−225caとで構成される。
HCFC−225の異性体混合物中のHCFC−225caの含有割合は、特に制限されるものではないが、反応効率の観点から、10モル%以上であることが好ましい。一方、異性体混合物として得られるHCFC−225の工業製品から、HCFC−225caを分離精製する効率を鑑みると、HCFC−225caの含有割合は99.5モル%以下であることが好ましい。
このようなHCFC−225caを含むHCFC−225の異性体混合物の市販品としては、アサヒクリンAK−225(旭硝子社製、商品名、HCFC−225caを48モル%とHCFC−225cbを52モル%含有。)等が挙げられる。
CFO−1214yaの製造においては、原料であるHCFC−225caを含むHCFC−225の異性体混合物を、相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させることにより、前記反応式(4)に示される脱フッ化水素反応が進行する。
アルカリ水溶液としては、前記脱フッ化水素反応が実行可能な塩基性化合物の水溶液であれば、特に限定されないが、具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等の無機の塩基性化合物や、アミン等の有機の塩基性化合物、アルカリ金属アルコキサイド等の水溶液が挙げられる。経済性の点から、無機の塩基性化合物の水溶液が好ましく、反応活性、選択性の点から、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。
前記脱フッ化水素反応に用いるアルカリ水溶液の濃度は、HCFC−225異性体混合物中のHCFC−225caをより選択的に脱フッ化水素反応させることができる点から、0.5〜40質量%とすることが好ましく、5〜40質量%とすることがさらに好ましく、20〜40質量%とすることが特に好ましい。
また、アルカリ水溶液の量は特に制限されないが、原料中の反応に係る成分であるHCFC−225caに対して、0.5〜1.5モル当量のアルカリ量となるように、より好ましくは1.0〜1.3モル当量のアルカリ量となるように調整することが好ましい。
前記反応式(4)に示される脱フッ化水素反応においては、反応に係る原料とこれに作用する上記アルカリ水溶液は相溶性がないため、両者の接触を効率的に実施するために、水にも非水溶性の有機溶媒にも可溶な相間移動触媒を用いて反応を行う。
前記反応式(4)で示される脱フッ化水素反応に用いる相間移動触媒としては、一般的に用いられる相間移動触媒を挙げることができる。第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩、クラウンエーテル等が挙げられるが、なかでも第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩が好ましい。
相間移動触媒の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−プロピルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。経済性、安全性の観点から、これらのなかでも、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)またはテトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)が好ましい。
前記相間移動触媒の量は、用いる原料中の反応に係る成分、すなわちHCFC−225caの100質量部に対して、0.001〜1質量部となる量が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部である。
前記反応式(4)に示される脱フッ化水素反応は、具体的には、HCFC−225caとHCFC−225ca以外の少なくとも1種のHCFC−225異性体を含むHCFC−225異性体混合物からなる原料と、前記アルカリ水溶液および相間移動触媒を前記した割合で反応器に導入し、これらが十分に接触するように一般的な手段によって撹拌等を行うことで実施される。
反応温度は特に限定されないが、反応活性および目的物の選択性の観点から、0〜80℃が好ましい。なお、反応温度は反応時の反応容器の圧力状態により適宜調節される。例えば、常圧で前記脱フッ化水素反応を実施する場合には、0〜60℃の範囲で実施することが好ましく、HCFC−225異性体混合物中のHCFC−225caをより選択的に脱フッ化水素する観点からは、0〜20℃の範囲で実施することがより好ましい。また、脱フッ化水素反応を加圧反応容器中で実施することも可能であり、その場合は、反応速度の観点からの好ましい条件として、圧力98,000〜20,0000Pa、温度50〜80℃が挙げられる。一方、原料であるHCFC−225異性体混合物に含まれるHCFC−225Xの脱フッ化水素反応により副生する化合物由来の副生成物を抑制する観点からは、0〜20℃の温度領域で反応を実施することが好ましい。
前記反応式(4)に示される反応は、バッチ式、連続流通式のどちらでも可能であり、反応時間は各様式により一般的な方法で適宜調整することができる。また、この反応が実施される反応器の材質としては、通常のもの、例えば、ガラス、鉄、ニッケルあるいはこれらを主成分とする合金等を挙げることができる。
このようなCFO−1214yaの製造方法によれば、反応液は、脱フッ化水素反応の終了後放置することで、自然に有機相と水相とに分離する。この有機相には、HCFC−225caからの反応生成物であるCFO−1214yaの他に、脱フッ化水素反応に供されなかったHCFC−225ca以外のHCFC−225異性体の1種または2種以上が含まれ得る。さらに、反応条件等によっては、HCFC−225ca以外のHCFC−225異性体がわずかに脱フッ化水素反応したCFO−1214yaの異性体等が有機相に含まれる場合がある。この有機相に存在するCFO−1214yaの異性体の量は微量であり、CFO−1214yaを用いたHFO−1234yfの生成反応、および生成後の冷媒としての使用等に影響を与えない程度の量といえる。
ここで、前記有機相中のCFO−1214ya、HCFC−225ca以外のHCFC−225の各種異性体は、それぞれ適当な沸点差を有しており、一般的な蒸留等による分離精製が可能な範囲である。したがって、上記有機相中のCFO−1214yaは、通常の方法で容易に分離精製されて、HFO−1234yfの製造の原料として使用することができる。
(1−2)HCFO−1224yd
本発明において、前記CFO−1214yaとともに原料として使用されるHCFO−1224ydとしては、前記反応式(1)および(2)で示す、CFO−1214yaが水素と反応してHFO−1234yfを生成する反応の中間生成物、より具体的には反応式(1)に示す還元反応の中間生成物を用いることが好ましい。すなわち、CFO−1214yaを原料とする本発明の製造方法により得られる生成物には、目的物であるHFO−1234yfの他に、反応中間体であるHCFO−1224ydが含有されるので、生成物からHFO−1234yfを回収した後の残留物を再蒸留することで、HCFO−1224ydの原料として供給を効率的に行うことができる。また、生成物からHFO−1234yfを回収した後の残留物を再蒸留することで未反応のCFO−1214yaも回収でき、CFO−1214yaの原料として供給も効率的に行うことができる。
また、HCFO−1224ydは、前記反応式(4)で示されるCFO−1214yaの生成反応とともに副生され、有機相に含まれたかたちでCFO−1214yaとともに得られる。そして、HCFO−1224ydは、一般的な蒸留操作ではCFO−1214yaの蒸留画分に含まれるかたちとなり、分離が困難であるので、このようにHCFO−1224ydが含まれるCFO−1214yaの蒸留画分をそのまま原料として使用することで、CFO−1214yaとの混合物のかたちでHCFO−1224ydの供給を行うことができる。
本発明において、前記CFO−1214ya(沸点46.4℃)および/またはHCFO−1224yd(沸点15〜17℃)を含む原料は、室温(20℃)のままでも、加温により気体と液体の混合状態(以下、気液状ともいう。)に調整されていてもよい。反応器の温度制御の観点から、気液状に調整されているのが好ましい。また、反応器に導入させる前の原料は、露点温度以下に調整されているのが好ましい。
(2)還元触媒
本発明において、固定床を構成する還元触媒としては、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムから選ばれる少なくとも1種を担持させた触媒が好ましい。中でも、パラジウム系触媒が好ましく、パラジウムを担体に担持させたパラジウム担持触媒が特に好ましい。パラジウムを担持させる担体としては、活性炭、アルミナ、ジルコニア、シリカなどが好ましく用いられ、活性、耐久性、反応選択性の観点から、活性炭が特に好ましい。すなわち、本発明における還元触媒としては、パラジウムを活性炭に担持させた触媒が好ましい。活性炭としては、木材、木炭、果実殻、ヤシ殻、泥炭、亜炭、石炭等を原料として調製したものを使用し得るが、鉱物質原料よりも植物原料から得られたものが好ましく、特にヤシ殻活性炭が好ましい。担体の形状としては、長さ2〜5mm程度の成形炭、4〜50メッシュ程度の破砕炭、粒状炭等を用いることができるが、4〜20メッシュの破砕炭または成形炭が好ましい。
活性炭に対するパラジウムの担持量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%が特に好ましい。パラジウムの担持量が下限値以上であれば、原料と水素との反応率が向上する。パラジウムの担持量が上限値以下であれば、反応熱による触媒層の過剰な温度上昇を抑制しやすく、副生物の生成を低減しやすい。
また、パラジウムを担体に担持させたパラジウム担持触媒には、パラジウム以外の金属をさらに担持させてもよい。パラジウム以外の金属としては、鉄、ルテニウム、オスミウム等の第8族元素;コバルト、ロジウム、イリジウム等の第9族元素;ニッケル、白金等の第10族元素;および金が挙げられる。これらパラジウム以外の金属は、1種であっても、2種以上であってもよい。前記パラジウム以外の金属の割合は、パラジウム100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましい。なお、前記パラジウムとともにパラジウム以外の金属が担持された複合触媒は、パラジウムが単独で担持された触媒よりも触媒耐久性が高くなるという効果がある。
(3)反応器
本発明において、反応器には前記還元触媒が充填されて、触媒層が形成されている。触媒層における還元触媒の充填密度は、0.5〜1.0g/cmが好ましく、0.6〜0.8g/cmが特に好ましい。還元触媒の充填密度が下限値以上であれば、単位容積あたりの還元触媒の充填量が多く、生産性が向上する。還元触媒の充填密度が上限値以下であれば、触媒層の温度制御が容易である。
反応器としては、固体触媒を充填して触媒層を形成できる公知の反応器であれば特に形状は限定されず、例えば円筒状の縦型反応器が挙げられる。反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
反応器内の温度は、前記した触媒層の最高温度という指標で管理される。反応器内での原料の気化を抑制する、触媒の劣化を抑制する、HFO−1243zfの生成を抑制する等の観点から、反応器内の温度は30℃〜130℃が好ましく、60℃〜100℃が特に好ましい。触媒層の最高温度の測定法としては、挿し込み型の温度計を触媒層の最高温度を示す部分に移動させて測定する方法が挙げられる。また、反応器内の圧力は、取扱性と原料の液体状態を保持する観点から、0.00〜1.00MPaG(ゲージ圧)が好ましい。
(4)水素を含むガス
本発明において、前記反応器に導入される水素を含むガスは、水素のみからなるガスであっても、水素と不活性ガスとを含むガスであってもよい。不活性ガスは、反応に影響を与えないガスであり、窒素、希ガス、塩化水素、フロン類等が挙げられる。
本発明に使用される水素を含むガスが不活性ガスを含む場合には、反応器内の温度制御が容易である、触媒の劣化を抑制しうる等のメリットがある。一方、水素を含むガスが水素のみからなるガスである場合には、容積効率が向上する、反応生成物からの未反応原料の回収および目的とする生成物であるHFO−1234yfの回収が容易である等のメリットがある。なお、本明細書においては、反応器の出口成分として得られる物質の全体を反応生成物と記す。すなわち、本明細書において反応生成物は、反応により生成した生成物や中間生成物の他に、未反応の原料を含むものである。
上記観点から、本発明において水素を含むガスは、水素を50〜100モル%含み残部が不活性ガスであるガスが好ましく、水素のみからなるガスが特に好ましい。なお、水素のみからなるガスとは、工業的に入手可能な高純度水素ガスを意味し、水素を99モル%以上含むガスを意味する。
(5)反応器への導入および反応条件
本発明において、反応はバッチ式、連続流通式のどちらでも可能であるが、製造効率の観点から連続流通式が好ましい。以下、連続流通式における反応器への導入について記載するが、バッチ式においては、連続流通式における各条件をもとに一般的な方法で適宜調整することが好ましい。
反応器に導入し流通させる水素ガスのモル量の上限は、副生物の生成を抑制する観点から、水素ガスとともに反応器に導入し流通させる前記原料に含まれる塩素原子のモル量に対して、2.00倍が好ましく、1.00倍がより好ましく、0.50倍が特に好ましい。また、水素ガスのモル量の下限は、HFO−1234yfの生産性の観点から、0.01倍が好ましく、0.10倍が特に好ましい。すなわち、原料の塩素原子に対する水素ガスのモル比は、0.01〜2.00が好ましく、0.10〜1.00がより好ましく、0.01〜0.50の範囲が特に好ましい。
本発明において、水素を含むガスと原料とをそれぞれ反応器に導入し流通させることにより、原料と水素とは反応器内で所定の時間接触する。この接触時間は、反応器の温度における還元触媒からなる触媒層の容積を、流通させる液状の原料のガス換算量と水素ガスの容積量との和で除した値で定義される。
例えば、反応温度がt℃であり、t℃での触媒層の容積がZリットル、原料の流通量が単位時間当たりAmol/秒、水素ガスの流通量が単位時間当たりBmol/秒である場合、接触時間は、Z/[(A+B)×22.4×(273.15+t)/273.15]秒となる。本発明における原料と水素ガスとの接触時間は、HFO−1234yfの生産性および副生物の抑制の観点から、5〜40秒間が好ましく、10〜30秒間が特に好ましい。
本発明において、水素を含むガスが触媒層を通る速さである線速度は、0.1〜10cm/秒が好ましく、1〜3cm/秒が特に好ましい。線速度が下限値以上であれば、生産性が向上する。線速度が上限値以下であれば、原料と水素との反応率が向上する。
(5)反応生成物
本発明において、反応生成物には、目的とする生成物であるHFO−1234yfの他に、副生物であるHFO−1243zf、未反応の原料でありかつ反応中間体でもあるHCFO−1224yd、およびHClが含まれる。また、HFO−1243zf以外に、1,1,1−トリフルオロプロパン(CFCHCH:HFC−263fb)、1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(CFCHFCH:HFC−254eb)、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(CFCHFCHCl;HCFC−244eb)、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(CFCHFCHCl:HCFC−234ea)等の過還元体が、不純物として含まれる。
前記HClは、反応生成物をアルカリ水溶液に吹き込んで中和することにより、除去することができる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。こうしてHClが除去された反応生成物から、蒸留等の公知の方法を用いることでHFO−1234yfを回収することができる。そして、本発明の製造方法においては、通常の蒸留では分離が困難なHFO−1243zfの生成が抑制されるので、高純度のHFO−1234yfを得ることができる。
本発明の製造方法で得られる反応生成物において、HFO−1243zfの含有モル量はHFO−1234yfに対して1000ppm以下の割合であるのが好ましく、特に750ppm以下であるのが好ましい。
以上説明したように、本発明の製造方法により、HFO−1234yfとの分離が困難なHFO−1243zfの生成が抑制され、高純度なHFO−1234yfの工業的・経済的な製造が可能になる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲であれば、反応生成物から分離した未反応の原料と水素を含むガスとを、再び還元触媒が充填された反応器に流通させて本発明を実施し、HFO−1234yfを含む生成物を得ることも可能である。つまり、本発明の製造方法においては、生産性等の点から、回収成分を原料として再利用することができる。特に、反応生成物には、未反応の原料でありかつCFO−1214yaからHFO−1234yfへの反応の中間体でもあるHCFO−1224ydが含有されているので、前記再利用により原料の使用を低減し、HFO−1234yfを高い生産性で得ることができる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
<CFO−1214yaの製造>
HCFC−225の異性体混合物であるアサヒクリンAK225(旭硝子社製、HCFC−225caを48モル%とHCFC−225cbを52モル%からなる。)を反応原料として用い、以下の方法によりCFO−1214yaを製造した。
0℃に冷却したジムロートおよび撹拌機を設置した内容積1Lのガラス反応器に、相間移動触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)3gと、水酸化カリウム83g(1.485モル)と、水180gと、アサヒクリンAK225の609g(3.0モル)とを仕込んだ後、撹拌しながら徐々に昇温させ、45℃で1時間反応を行った。その後、有機相と水相の2相に分離している反応粗液を分液し、有機相を、釜容積1L、理論段数10段の能力を持つ蒸留塔に仕込み、蒸留を実施した。蒸留の結果、純度99.5%のCFO−1214ya(沸点46℃)の262g(1.43モル)を得た。
<HFO−1234yfの製造>
図1に示す反応装置100を用いて、HFO−1234yfを製造した。
反応装置100は、還元触媒が充填された円筒形状の反応管110(内径21mm、長さ300mm)を有し、反応管110の外側に反応管110の温度を制御するためのジャケット(図示を省略。)を備えている。また、反応管110の内部(下端部より260mm上方の位置)に、反応管110内の温度を測定するための温度計(図示を省略。)が配置されている。反応管110上端の入口部111には、CFO−1214yaを含む原料の供給ライン(以下、原料供給ラインと示す。)112と水素ガスを含むガスの供給ライン(以下、水素ガス供給ラインと示す。)113とが接続されており、CFO−1214yaと水素ガスとが混合された状態で反応管110に導入されるように構成されている。
原料供給ライン112には、原料を部分的に気化させるための90℃の予熱器112aが設置されている。さらに、反応管110下端の出口部114には、100℃に保持された出口ライン115が接続されている。
このような反応装置100において、反応管110に充填する還元触媒として、ヤシ殻活性炭に対して0.50質量%のパラジウムを担持させたパラジウム担持触媒を使用した。そして、この還元触媒72gを、反応管110の出口部114側を底として反応管110内に充填し、高さ30cmの触媒層116(充填密度0.71g/cm)を形成した。
この反応装置100の原料供給ライン112から、前記で製造され気液状とされたCFO−1214yaを438mmol/hrの流量(単位時間当たりの流量。以下、同様である。)で、水素ガス供給ライン113から水素ガスを88mmol/hrの流量で、それぞれ反応管110に供給し、反応管110内を流通させた。そして、CFO−1214yaの塩素原子に対する水素のモル比を0.20に、一部が液状のCFO−1214yaと水素との接触時間を23秒間に、反応管110内の水素の線速度を1.29cm/秒とし、反応管110内の温度を85〜95℃、圧力をゲージ圧で0.50MPaにそれぞれ保持して反応を行った。そして、出口ライン115から反応生成物を採取した。
出口ライン115から採取された反応生成物は、気体状であり、ガスクロマトグラフィで分析した結果、CFO−1214yaの転化率は11.4%であり、CFO−1234yfの選択率は44.9%であった。また、HFO−1234yfとHCFO−1224ydとを合わせた選択率は81.6%であり、他の過還元体(HFO−1243zf、HFC−263fb、およびHFC−254eb。)の選択率は17.4%であった。
さらに、HFO−1234yfの生成量に対するHFO−1243zfの生成量の割合は、336ppmであり、純度の高いHFO−1234yfが得られることがわかった。
[実施例2]
実施例1と同様に製造されたCFO−1214yaを、反応管110に供給した。そして、反応管110内の温度を40〜45℃とし、圧力を0.20MPaGとした以外は実施例1と同様にして反応を行い、出口ライン115から反応生成物を採取した。
出口ライン115から採取された反応生成物は、気体状であり、ガスクロマトグラフィで分析した結果、CFO−1214yaの転化率は9.4%であり、CFO−1234yfの選択率は18.7%であった。また、HFO−1234yfとHCFO−1224ydとを合わせた選択率は46.4%であり、他の過還元体(HFO−1243zf、HFC−263fb、およびHFC−254eb。)の選択率は50.7%であった。
さらに、HFO−1234yfの生成量に対するHFO−1243zfの生成量の割合は、678ppmであり、実施例1に比べて純度が低いものの、十分に高純度のHFO−1234yfが得られることがわかった。
[実施例3]
実施例1と同様に製造されたCFO−1214yaを、図1に示す反応装置100の反応管110に供給した。そして、CFO−1214yaの流量を438mmol/hrとし、水素ガスの流量を175mmol/hrとし、CFO−1214yaに対する水素のモル比を0.40とした以外は実施例1と同様にして反応を行い、出口ライン115から反応生成物を採取した。
出口ライン115から採取された反応生成物は、気体状であり、ガスクロマトグラフィで分析した結果、CFO−1214yaの転化率は20.5%であり、CFO−1234yfの選択率は42.9%であった。また、HFO−1234yfとHCFO−1224ydとを合わせた選択率は74.2%であり、他の過還元体(HFO−1243zf、HFC−263fb、およびHFC−254eb。)の選択率は24.3%であった。
さらに、HFO−1234yfの生成量に対するHFO−1243zfの生成量の割合は、255ppmであり、高純度のHFO−1234yfが得られることがわかった。
[比較例1]
図2に示す反応装置200を使用して、気相反応によりHFO−1234yfを製造した。
反応装置200は、反応管120と、この反応管120を浸漬する塩浴130とを備えている。反応管120は、その入口部121近傍と出口部122近傍にそれぞれ触媒充填部123a、123bを有し、それぞれの触媒充填部123a、123bに、挿し込み型の温度計124a、124bが挿入されるように構成されている。また、反応管120の入口部121には、原料供給ラインおよびガス供給ラインが接続されており、反応管120の出口側122には、出口ラインが接続されている。
このような反応装置200において、反応管120としては、内径2.54cm、長さ100cmのインコネル(登録商標)600製の管を使用した。また、触媒として、ヤシ殻活性炭(灰分0.5%)に対して0.5質量%のパラジウムを担持した触媒(比表面積834m/g)を200g使用した。反応管120の触媒充填部123a、123bに前記触媒を充填し、高さ40cmの触媒層125a、125bを形成した。
次いで、触媒層125a、125bが全て浸漬されるように、反応管120を塩浴130中に浸漬し、触媒層125a、125bを45℃に加熱した。
次に、CFO−1214yaからなる原料ガス(A)と水素ガス(B)および窒素ガス(C)を、(A)の流量を398mmol/hr、(B)の流量を160mmol/hr、(C)の流量を795mmol/hrとし、かつCFO−1214yaの塩素原子に対する水素のモル比を0.40として、反応管120に流通させ、反応生成物(D)を得た。また、触媒層125a、125bに対する原料ガス(A)の接触時間は40秒間、原料ガス(A)の線速度は2cm/秒とし、圧力を0.05MPaGに保持して反応を行った。
なお、水素ガス(B)または窒素ガス(C)は、原料ガス(A)とは別に反応管120に導入した。また、反応中の触媒層125a、125bの最高温度を、触媒層125a、125bにそれぞれ挿入された挿し込み型の温度計124a、124bにより測定したところ、100℃であった。
出口ラインから採取された反応生成物(D)は、気体状であり、ガスクロマトグラフィで分析した結果、CFO−1214yaの転化率は20.0%であり、CFO−1234yfの選択率は63.8%であった。また、HFO−1234yfとHCFO−1224ydとを合わせた選択率は86.1%であり、他の過還元体(HFO−1243zf、HFC−263fb、およびHFC−254eb。)の選択率は13.4%であった。
さらに、HFO−1234yfの生成量に対するHFO−1243zfの生成量の割合は、1368ppmであり、実施例1〜3に比べてHFO−1243zfの生成が多いことがわかった。
[比較例2]
図2に示す反応装置200を使用し、CFO−1214yaからなる原料ガス(A)と水素ガス(B)および窒素ガス(C)の流量を、それぞれ(A)398mmol/hr、(B)239mmol/hr、(C)795mmol/hrとし、かつCFO−1214yaの塩素原子に対する水素のモル比を0.60として、反応管120に流通させた。それ以外は比較例1と同様にして反応を行い、生成ガス(D)を得た。
なお、反応中の触媒層125a、125bの最高温度を、それらの触媒層125a、125bにそれぞれ挿入された挿し込み型の温度計124a、124bにより測定したところ、121℃であった。
出口ラインから採取された生成ガス(D)は、気体状であり、ガスクロマトグラフィで分析した結果、CFO−1214yaの転化率は20.6%であり、CFO−1234yfの選択率は68.4%であった。また、HFO−1234yfとHCFO−1224ydとを合わせた選択率は82.5%であり、他の過還元体(HFO−1243zf、HFC−263fb、およびHFC−254eb。)の選択率は16.8%であった。
さらに、HFO−1234yfの生成量に対するHFO−1243zfの生成量の割合は、6615ppmであり、実施例1〜3に比べてHFO−1243zfの生成が多いことがわかった。
本発明の製造方法によれば、HFO−1234yfとの蒸留分離が困難なHFO−1243zfの生成を抑制し、高純度のHFO−1234yfを製造することができる。そして、本発明の方法で得られるHFO−1234yfは、クロロフルオロカーボン類に代わる新冷媒として有用である。
100…反応装置、110…反応管、112…原料供給ライン、113…水素ガス供給ライン、115…出口ライン、116…触媒層。

Claims (6)

  1. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび/または1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む原料を、少なくとも一部が液体の状態で、還元触媒により形成された固定床を有する反応器に供給し、該反応器内で水素により還元し、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む生成物を得ることを特徴とする2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  2. 前記還元触媒は、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムから選ばれる少なくとも1種を、活性炭または金属酸化物から選ばれる担体に担持したものである請求項1に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  3. 前記還元触媒は、パラジウムをヤシ殻活性炭に担持させたパラジウム担持触媒である請求項2に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  4. 前記原料が水素により還元される温度は、60〜150℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  5. 前記反応器内の圧力は、ゲージ圧で1.00MPa以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  6. 前記生成物から1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを分離し、前記原料の一部とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
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