WO2022163746A1 - 水素還元反応によるハイドロフルオロカーボンの製造方法 - Google Patents

水素還元反応によるハイドロフルオロカーボンの製造方法 Download PDF

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Abstract

クロロフルオロカーボンの転化率に優れ、副生成物の生成量が少ないHFCを製造する方法の提供。 本発明のハイドロフルオロカーボンの製造方法は、触媒の存在下、クロロフルオロカーボン(1A)と水素を反応させて、クロロフルオロカーボン(1A)の1個または2個の塩素原子が水素原子に置換されたハイドロフルオロカーボン(2A)を製造する方法であって、クロロフルオロカーボン(1A)と水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボン(1A)に対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を用いて反応させる。

Description

水素還元反応によるハイドロフルオロカーボンの製造方法
 本発明は、水素還元反応によるハイドロフルオロカーボンの製造方法に関する。
 ハイドロフルオロカーボン(以下、HFCともいう。)は、新しい洗浄剤、冷媒、発泡剤およびエアゾール、またはそれらの合成原料として用いられるものである。例えば、HFCは、ハイドロフルオロオレフィン(以下、HFOともいう。)の合成原料として用いられることがある。具体的には、例えば、特許文献1には、1-クロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(以下、244caともいう。)が、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(以下、1233ydともいう。)を製造するための合成原料として用いられることが記載されている。また、特許文献2には1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(以下、244ccともいう。)が、2,2,3,3-テトラフルオロプロペン(以下、1234yfともいう。)を製造するための合成原料として用いられることが記載されている。
国際公開第2018/131394号 特許第5348240号
 HFCは、クロロフルオロカーボン(以下、CFCともいう。)を水素還元反応させることで得ることができる。しかし、従来のHFCの製造方法においては、水素還元反応の制御が困難で、所望のHFCを得ることができなかった。
 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、CFCの転化率に優れ、副生成物の生成量が少ないHFCを製造する方法を提供することを課題とする。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
[1] 触媒の存在下、下記式(1A)で表されるクロロフルオロカーボン(1A)と水素を反応させて、上記クロロフルオロカーボン(1A)の1個または2個の塩素原子が水素原子に置換されたハイドロフルオロカーボン(2A)を製造する方法であって、
 クロロフルオロカーボン(1A)と水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボン(1A)に対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を用いて反応させることを特徴とする、ハイドロフルオロカーボンの製造方法。
  CF-R-CX    (1A)
 (式中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のX中の0または1個がフッ素原子であり、少なくとも1個が塩素原子であり、Rは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
[2] 上記Rがジフルオロメチレン基である、[1]に記載の製造方法。
[3] 上記クロロフルオロカーボン(1A)が、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンおよび3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 製造される上記ハイドロフルオロカーボン(2A)が、上記クロロフルオロカーボン(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたハイドロフルオロカーボンを主成分とする、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 上記触媒が、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、レニウム、モリブデンおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属触媒である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 上記クロロフルオロカーボン(1A)と水素を気相で反応させる、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 反応温度が、150~350℃である、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 下記式(1B)で表されるクロロフルオロカーボン(1B)と水素を反応させて、塩素原子の数が0または1であるハイドロフルオロカーボン(2B)を製造する方法であって、
 クロロフルオロカーボンの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程を少なくとも2回繰り返す多段工程を有し、
 上記多段工程中の少なくとも1つの単工程が、反応開始前のクロロフルオロカーボンと水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボンに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を触媒の存在下に反応させる単工程(Y)であることを特徴とする、塩素原子の数が0または1であるハイドロフルオロカーボンの製造方法。
  CF-R-CX    (1B)
 (式中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のX中の0または1個がフッ素原子であり、2~4個が塩素原子であり、Rは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
[9] 上記Rがジフルオロメチレン基である、[8]に記載の製造方法。
[10] 上記クロロフルオロカーボン(1B)が、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパンおよび3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[8]または[9]に記載の製造方法。
[11] ハイドロフルオロカーボン(2B)が、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパンおよび1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[8]~[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 上記単工程(Y)における主生成物が、クロロフルオロカーボンの1個の塩素原子が水素原子に置換された化合物である、[8]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 上記単工程(Y)において、気相で水素を反応させる、[8]~[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14] 上記単工程(Y)において、反応温度150~350℃で水素を反応させる、[8]~[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15] 連続する2つの単工程において、
 少なくとも後段の単工程が上記単工程(Y)であり、
 前段の単工程で得られた反応混合物中の塩化水素の少なくとも一部を除去して、前段の単工程で得られたハイドロフルオロカーボンであるクロロフルオロカーボンから、反応開始前のクロロフルオロカーボンと水素を含む反応性混合物であってクロロフルオロカーボンに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである反応性混合物を調整し、かかる反応性混合物を用いて後段の上記単工程(Y)を実施する、[8]~[14]のいずれかに記載の製造方法。
 本発明によれば、CFCの転化率に優れ、副生成物の生成量が少ないHFCを製造する方法を提供できる。
 本発明のHFCの製造方法の1つ(以下、単に「本発明の第1の製造方法」ともいう。)は、触媒の存在下、下記式(1A)で表されるCFC(1A)と水素を反応させて、CFC(1A)の1個または2個の塩素原子が水素原子に置換されたHFC(2A)を製造する方法であって、CFC(1A)と水素と塩化水素とを含み、CFC(1A)に対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を用いて反応させることを特徴とする製造方法である。
  CF-R-CX    (1A)
 (式中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のX中の0または1個がフッ素原子であり、少なくとも1個が塩素原子であり、Rは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
 本発明の第1の製造方法における原料であるCFC(1A)は、1~4個の塩素原子を有することより、生成物であるHFC(2A)は、0~3個の塩素原子を有する。生成物であるHFC(2A)は0~3個の塩素原子を有する化合物の2種以上からなっていてもよく、通常は主生成物のHFC(2A)と相対的に少量の副生成物のHFC(2A)の少なくとも1種とからなる。たとえば、後述のように、1,1,1,3-テトラクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(以下、214cbともいう。)から1,1,3-トリクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(以下、224caともいう。)と1,1,3-トリクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(以下、224ccともいう。)が生成する場合がある。
 本発明のHFCの製造方法の他の1つ(以下、単に「本発明の第2の製造方法」ともいう。)は、下記式(1B)で表されるCFC(1B)と水素を反応させて、塩素原子の数が0または1であるHFC(2B)を製造する方法であって、
 CFCの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程を少なくとも2回繰り返す多段工程を有し、
 前記多段工程中の少なくとも1つの単工程が、反応開始前のCFCと水素と塩化水素とを含み、CFCに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を触媒の存在下に反応させる単工程(Y)であることを特徴とする、塩素原子の数が0または1であるHFCの製造方法である。
  CF-R-CX    (1B)
 (式中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のX中の0または1個がフッ素原子であり、2~4個が塩素原子であり、Rは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
 本発明の第2の製造方法における出発原料であるCFC(1B)の塩素原子の数が2~4でありかつ最終生成物HFC(2B)の塩素原子の数が0または1であることより、塩素原子の1個を水素原子に置換する単工程の場合は少なくとも2つの単工程からなる多段工程を必要とする。多段工程中の単工程の少なくとも1つは単工程(Y)であり、複数の単工程の2以上が単工程(Y)であることが好ましく、すべての単工程が単工程(Y)であることがより好ましい。
 [CFCおよびHFC]
 式(1A)で表されるCFC(1A)および式(1B)で表されるCFC(1B)におけるRはフルオロアルキレン基であり、少なくとも1個のフッ素原子を有するアルキレン基である。フルオロアルキレン基としては、直鎖状のフルオロアルキレン基であることが好ましい。Rの炭素原子数は、1~3であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。Rのフッ素原子数は、炭素原子数と同数以上であることが好ましく、炭素原子数の1.8~2.0倍の数であることがより好ましく、炭素原子数の2倍の数であること(すなわち、フルオロアルキレン基がパーフルオロアルキレン基であること)が特に好まししい。Rは、ジフルオロメチレン基であることが最も好ましい。
 以下、Rがジフルオロメチレン基である場合を例に、本発明を説明する。
 式(1A)で表されるCFC(1A)における4個のXにおいて、その1個がフッ素原子である場合、CF-側のXがフッ素原子である場合と-CX 側の3個のXのうちの1個がフッ素原子である場合がある。
 4個のXのどれもがフッ素原子でない場合、4個のXにおける塩素原子の数は1~4個であり、水素原子に数は0~3個である。4個のXのどれか1つがフッ素原子である場合、塩素原子の数は1~3個であり、水素原子に数は0~2個である。
 CFC(1A)から製造されるHFC(2A)は、CFC(1A)に対応する、その塩素原子の1または2個が水素原子に置換された化合物である。
 式(1B)で表されるCFC(1B)における4個のXにおいて、その1個がフッ素原子である場合、CF-側のXがフッ素原子である場合と-CX 側の3個のXのうちの1個がフッ素原子である場合がある。
 4個のXのどれもがフッ素原子でない場合、4個のXにおける塩素原子の数は2~4個であり、水素原子の数は0~2個である。4個のXのどれか1つがフッ素原子である場合、塩素原子の数は2個または3個であり、水素原子に数は0または1個である。
 CFC(1B)から製造されるHFC(2B)は、CFC(1B)に対応する、塩素原子を1個有するかまたは塩素原子を有しない化合物である。
 Rがジフルオロメチレン基である場合、式(1A)で表されるCFCおよび式(1B)で表されるCFC、ならびにそれらの塩素原子を1個ずつ水素原子に置換することにより生成する化合物およびその製造フローを下記に示す。
 ただし、下記化学式において、炭素原子(C)は結合線の交点で示す。矢印は生成する化合物を示す。
 また、化合物の下に記載の数字及びアルファベットからなる記号は、本明細書において使用した化合物の略称である。たとえば、「254cb」は1,1,2,2-テトラフルオロプロパンを、「215ca」は1,1,3-トリクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパンを、「245ca」は1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパンを、「215cb」は1,1,1-トリクロロ-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパンを、「245cb」は1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンを、いう。 
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 [本発明の第1の製造方法]
 本発明の第1の製造方法において、原料であるCFC(1A)は1つの化合物のみからなっていてもよく、CFC(1A)の2種以上の化合物からなる混合物であってもよい。 原料であるCFC(1A)の1つの化合物から2種のHFC(2A)が生成することがあり(たとえば、214cbから224caと244ccが生成する)、通常、CFC(1A)の反応性や反応条件により、一方が主生成物となり、他方が副生成物となる。
 また、原料であるCFC(1A)は2種以上の化合物の混合物である場合、生成するHFC(2A)も通常2種以上の化合物の混合物となる。たとえば、CFC(1A)の2種の混合物からそれぞれ対応する2種のHFC(2A)が生成する。また、CFC(1A)の1つの化合物から2種以上のHFC(2A)が生成することがあることより、CFC(1A)が2種以上の化合物の混合物である場合、生成するHFC(2A)は3種以上のHFC(2A)の混合物となることもある。
 一方、異なる2種のCFC(1A)それぞれから同一のHFC(2A)が生成する場合もある(たとえば、244ccと244caのそれぞれから254cbが生成する)ことより、そのような2種のCFC(1A)の混合物を原料として、1種のHFC(2A)を主成分とする生成物が生じる場合もある。
 本発明の第1の製造方法において、CFC(1A)に対する水素のモル比等の反応条件により、2個以上の塩素原子を有するCFC(1A)の2個の塩素原子が水素原子2個に置換されることがある。場合により3個以上の塩素原子が水素原子に置換されることもあるが、この塩素原子3個以上の置換は少ないことが好ましい。塩素原子3個以上の置換が少ないほうが生成物に含まれる副生成物が少なくなり、CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFC(1A)の選択率が高くなる。
 本発明の第1の製造方法としては、得られるHFC(2A)がCFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを主成分となる製造方法であることが好ましい。この場合であっても、通常、副生成物としてCFC(1A)の2個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCも生成する。CFC(1A)の2個以上の塩素原子が水素原子に置換されたHFCの生成を抑制するために、CFC(1A)に対する塩化水素濃度の最適化やCFC(1A)に対する水素のモル比等の反応条件の最適化を図ることが好ましいが、CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFC(2A)のみの製造に特化しようとすると生成率の低下等の悪影響を招くおそれがあり、CFC(1A)の2個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを副生成物として含む、CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを製造することが好ましい。
 本発明の第1の製造方法における出発原料化合物であるCFC(1A)は、前記製造フローに記載された矢印の元側に記載された塩素原子を有する化合物であり、本発明の第1の製造方法における製造される化合物であるHFC(2A)は、前記製造フローに記載された矢印の先側に記載された水素原子を有する化合物である。
 出発原料化合物であるCFC(1A)は、前記製造フローに記載されたその化合物に向かう矢印の元側に記載された化合物から製造されたCFCが好ましい。ただし、出発原料化合物であるCFC(1A)は、前記製造フローに記載されたその化合物に向かう矢印の元側に記載された化合物から製造されたCFCに限られるものではない。また、前記製造フローに記載されたその化合物に向かう矢印の元側に記載されたCFCから製造された化合物であっても、本発明の第1の製造方法で製造されたCFCに限られるものではない。 
 本発明の第1の製造方法における出発原料化合物であるCFC(1A)としては、214cb、224ca、224cc、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(以下、234ccともいう。)、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(以下、234cbともいう。)、244cc、244ca、215ca、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(以下、225cbともいう。)、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(以下、225ccともいう。)、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(以下、235ccともいう。)、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(以下、235caともいう。)、215cb、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(以下、225caともいう。)および3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(以下、235cbともいう。)が好ましく、224ca、224cc、234cc、234cb、244cc、244ca、225cb、225cc、235cc、235ca、225caおよび235cbがより好ましく、234cc、234cb、244cc、244ca、225cb、225cc、235cc、235ca、225caおよび235cbがさらに好ましい。また、これらCFCの少なくとも1種を含むCFC混合物をCFC(1A)として用いることも好ましい。たとえば、225cbと225ccとを含むCFC混合物や225cbと235caとを含むCFC混合物をCFC(1A)として使用することができる。
 CFC(1A)が複数の化合物を含む場合、214cb、224ca、224cc、234cc、234cb、244ccおよび244caとの組み合わせ、215ca、225cb、225cc、235ccおよび235caとの組み合わせ、215cb、225caおよび235cbとの組み合わせが好ましく、234cc、234cb、244ccおよび244caとの組み合わせ、225cb、225cc、235ccおよび235caとの組み合わせ、225caと235cbとの組み合わせがより好ましい。
 本発明の第1の製造方法によって製造された化合物であるHFC(2A)としては、前記のように2種以上のHFCを含んでいてもよい。たとえば、CFC(1A)である214cbから得られるHFC(2A)としては、224caと244ccとを含んでいてもよく、さらに234ccや234cbを含んでいてもよい。この場合、得られるHFC(2A)としては、224caと244ccのいずれかを主成分とするものが好ましい。 
 本発明の第1の製造方法に適用される反応性混合物(CFC(1A)と水素と塩化水素を含む混合物)は、これら3者以外の化合物を含んでいてもよい。CFC(1A)としては、2種以上のCFC(1A)が含まれていてもよい。他の化合物としては、CFC(1A)の製造原料やCFC(1A)を製造する際にCFC(1A)以外に生成する副生成物等の不純物が挙げられる。なお、原料CFC(1A)中に上記不純物が含まれる場合、蒸留、抽出蒸留、共沸蒸留、膜分離、二層分離、吸着等の既知の手段により不純物を除去したCFC(1A)を用いてもよい。ただし、副生成物としての塩化水素を含むCFC(1A)の場合は、その含有量が多すぎない限り、原料CFC(1A)中に残存していてもよい。塩化水素以外の不純物としては、第1の製造方法において不活性な化合物であることが好ましい。不活性な化合物としては、塩素原子を有しないHFCが挙げられる。
 反応性混合物中において、CFC(1A)は主成分として含まれることが好ましい。反応性混合物におけるCFC(1A)と他の化合物(ただし、水素と塩化水素と希釈剤を除く)の全質量に対して、CFC(1A)の含有量は50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。上限としては、100質量%が挙げられる。
 なお、上記希釈剤とは、気相反応における不活性なガス(以下、希釈ガスともいう。)や液相反応における不活性な液状媒体を意味し、前記塩素原子を有しないHFC等の非反応性フッ素化合物であってもよい。
 (水素)
 反応性混合物における水素(H)の量は、CFC(1A)に含まれる塩素原子の1モルに対して0.5~10.0モルが好ましく、0.8~8.0モルがより好ましく、1.0~5.0モルが特に好ましい。水素の量が0.5モル未満であるとHFC(2A)の生成率が低くなり、10.0モルを超えるとCFC(1A)中の塩素原子の3個以上が水素原子に置換されたHFC等の副生成物の生成量が多くなる。
 前記のように、HFC(2A)としては、CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCが好ましい。CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを主生成物とするためには、反応性混合物における水素(H)の量は、CFC(1A)に含まれる塩素原子の1モルに対して0.5~5.0モルが好ましく、0.8~3.0モルがより好ましく、1.0~2.0モルが特に好ましい。
 (触媒)
 本発明の第1の製造方法に用いる触媒は、CFC(1A)と水素との反応を促進する作用を有する触媒であれば特に限定されない。触媒としては、ジルコニウム等の第4族元素、モリブデン等の第6族元素、レニウム等の第7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウム等の第8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウム等の第9族元素、パラジウム、ニッケル、白金等の第10族元素、金等の第11族元素等の金属が挙げられる。
 触媒は、上記金属の1種であってよく、2種以上であってもよい。2種以上の金属で構成される触媒は、2種以上の金属の混合物であってよく、2種以上の金属の合金であってもよい。
 なかでも、触媒としては、CFC(1A)の転化率およびHFC(2A)の選択率を向上させる点から、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、レニウム、モリブデン、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
 触媒としては、HFC(2A)の選択率をさらに向上させる点で、パラジウムおよび白金が特に好ましい。
 また、触媒は、反応性を向上させるために、担体に担持させて用いることが好ましい。担体としては、触媒を十分に担持できる担体であれば特に制限されない。担体は、2種以上を併用してもよい。
 担体としては、アルミナ、活性炭、ジルコニアおよびシリカから選ばれる担体が好ましい。担体としては、CFC(1A)の転化率およびHFC(2A)の選択率を向上させる点から、アルミナおよび活性炭が好ましく、活性炭がさらに好ましい。
 活性炭としては、木材、木炭、果実殻、ヤシ殻等の植物原料や、泥炭、亜炭、石炭等の鉱物原料等から得られる活性炭が挙げられる。水素化触媒を担持させる単体としては、触媒耐久性の点から、植物原料から得られる活性炭が好ましく、ヤシ殻活性炭が特に好ましい。活性炭の形状としては、どのような形状であってもよく、長さ2~10mm程度の成形炭、4~50メッシュ程度の破砕炭、粒状炭等が挙げられる。
 触媒を担持した担体(以下、触媒担持体ともいう。)の具体例としては、パラジウムを担持したアルミナ、パラジウムを担持した活性炭、白金を担持させた活性炭等が、触媒活性を長時間維持できる点で、好ましい。
 触媒を担体に担持させて用いる場合、担体に対する触媒の担持量は、担体に対し、0.1.0~10.0質量%が好ましく、0.5~3.0質量%より好ましく、1.0~3.0質量%がさらに好ましく、1.5~2.5質量%が最も好ましい。触媒の担持量が下限値以上であれば、原料と水素の反応率およびCFC(1A)の転化率を向上させることができる。触媒の担持量が上限値以下であれば、反応熱による触媒の過剰な温度上昇を抑制しやすく、副生成物の生成を低減しやすい。
 (塩化水素)
 反応性混合物中の塩化水素は、CFC(1A)を製造する過程で生じた塩化水素がCFC(1A)とともに反応性混合物導入されていてもよく、CFC(1A)とは別に反応性混合物に導入されていてもよい。CFC(1A)に含まれている塩化水素が過剰の場合、アルカリ洗浄等の公知の方法により塩化水素の一部を除去したCFC(1A)を用いることができる。
 反応性混合物において、CFC(1A)に対する塩化水素濃度は100~10000質量ppmである。この塩化水素濃度としては、150~5000質量ppmであることが好ましく、200~2000質量ppmであることがより好ましい。上記上限値以下であれば、塩化水素が触媒の活性点に吸着せず、CFC(1A)の転化率が向上する。上記下限値以上であれば、CFC(1A)の塩素原子が水素原子に置換されすぎることを防ぎ、所望のHFC(2A)を高純度に得ることができる。
 (製造方法)
 本発明の第1の製造方法では、反応器を用いて、触媒の存在下、CFC(1A)と水素を接触させる。例えば、CFC(1A)と水素の反応は、触媒が設けられた反応の場に、CFC(1A)と水素を供給することで行われる。触媒が設けられた反応の場は、通常、触媒が収容された反応器内である。以下、触媒を収容した反応器内にCFC(1A)と水素を供給して反応させる方法について説明するが、これに限定されない。
 本発明の第1の製造方法は、気相反応および液相反応のいずれでも行うことができ、反応時間を短くすることができ、副生成物の生成を抑制できる点から気相反応で行うことが好ましい。気相反応で行うとは、触媒の存在下、CFC(1A)と水素とを接触させて、HFC(2A)を得る手順が挙げられる。
 液相反応の具体的な手順としては、触媒の存在する反応器内で、液体状態のCFC(1A)と気体状態の水素とを撹拌等の手段を用いて接触させて、HFC(2A)を得る手順が挙げられる。
 気相反応の具体的な手順としては、ガス状態に加熱された原料であるCFC(1A)と水素と塩化水素とを反応器内に供給し、反応器に充填された触媒と、ガス状態のCFC(1A)と水素とを接触させて、HFC(2A)を得る手順が挙げられる。
 流量の調整、副生成物の抑制、触媒の失活の抑制等に有効である点から、上記反応に不活性なガス(希釈ガス)を反応器に供給してもよい。希釈ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。希釈ガスは2種以上を併用してもよい。
 反応器内への希釈ガスの供給量は、触媒の最高温度を低く維持しやすく、副生成物の生成を低減する点、および触媒の劣化を抑制し、触媒の活性を長時間維持できる点から、CFC(1A)の1.0モルに対して、0.1モル以上が好ましく、0.5モル以上がより好ましい。また、希釈ガスの供給量は、該希釈ガスの回収率の点から、CFC(1A)の1モルに対して、10.0モル以下が好ましく、5.0モル以下がより好ましく、3.0モル以下がさらに好ましい。
 本発明の第1の製造方法における反応温度(反応器内の温度)は、HFC(2A)をより効率的に製造できる点から、150℃以上が好ましく、150~350℃がより好ましく、160~300℃がさらに好ましく、180~270℃が特に好ましい。反応温度が下限値以上であれば、CFC(1A)の転化率が良好である。また、反応温度が上限値以下であれば、副生成物が生成を抑え、触媒の劣化を抑制できる。
 反応器内の温度は、反応器に供給される原料の温度および圧力を調整することにより制御できる。必要に応じて、電気ヒータやマイクロウェーブ発生機等により反応器内を補助的に加熱できる。
 反応器内でのCFC(1A)と水素の接触時間(反応時間)は4~120秒程度が好ましく、8~100秒程度がより好ましい。接触時間が前記下限値以上であれば、CFC(1A)の転化率が良好である。また、反応温度が前記上限値以下であれば、副生成物が生成を抑えることができる。接触時間は、CFC(1A)および水素の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
 反応圧力は、常圧でも加圧下でも可能であるが、工業的な実施のしやすさの点から、常圧で反応を行うことが好ましい。
 反応器としては、形状および構造は特に限定されず、CFC(1A)と水素とを導入して反応させることができるものであればよい。このようなものとしては、ガラス製反応器、SUS製反応器、ガラスライニング反応器、樹脂ライニング反応器等が挙げられる。反応器は、通常、反応器内の温度を調整する温度調整部を備える。温度調整部としては、CFC(1A)と水素との反応温度を調整することができるものであればよい。このようなものとしては、オイルバス等が挙げられる。なお、温度調整部は、反応器に一体的に設けられていてもよい。
 このような反応器内に触媒(好ましくは触媒担持体)が収容されて、反応の場として触媒層が形成される。触媒担持体は、固定床型または流動床型のいずれかの形式で収容されていてもよい。また、固定床型である場合、水平固定床型または垂直固定床型のいずれであってもよいが、多成分より構成される混合ガスにおいて、比重差により場所によって各成分の濃度分布が生じることを防ぎやすいことから、垂直固定床型であることが好ましい。
 垂直固定床型の反応器に触媒を充填する際には、反応器上部から触媒を投入する。この際、反応器上部から投入した触媒が反応器底面に到達したときの衝撃で、触媒が破損しないようにする必要がある。具体的には、垂直固定床型反応器の底面から投入口までの垂直方向の長さをh[m]、重力加速度をg[m/s]、反応器上部から投入し、底面に到達するまでの触媒の落下速度の最高値をv[m/s]とする時、vが下記式の関係を満たすようにする。
  0<v≦(2×g×h)0.5
 反応器に供給されたCFC(1A)と水素は、あらかじめ混合されている場合はそのまま、またその供給が別々である場合は、通常、反応器入口付近で混合されて、反応器の入口側から出口方向に触媒層を通過するように流通する。
 本発明の製造方法は、バッチ式で行ってもよく、連続式で行ってもよい。バッチ式で行う場合、CFC(1A)と水素の一方の所定量を被供給物として反応器内に収容し、他方を反応器内の被供給物に徐々に添加することにより行うことができる。例えば、CFC(1A)を被供給物としてその所定量を反応器内に収容し、水素に徐々に添加することにより行うことができる。
 連続式で行う場合、所定のモル比でCFC(1A)と水素を所定の供給速度で連続的に反応器内へ供給し、これらを反応器内において所定の時間、接触させて行うことができる。いずれか一方を先に、他方を後に供給してもよいし、両方同時に供給してもよい。CFC(1A)と水素のいずれか一方を先に供給する場合は、先に供給された成分を反応器内で滞留させ、該反応器に、他方の成分を供給することで、CFC(1A)および水素と、触媒とを所定の時間接触させればよい。また、反応器内にCFC(1A)および水素を同時に供給する場合、反応器へのCFC(1A)および水素の供給は別々の供給管から行ってもよく、あらかじめ混合して1つの供給管から行ってもよい。また、CFC(1A)の供給初期にはCFC(1A)と触媒の吸着熱が発生するため、CFC(1A)を先に供給し、吸着熱が収まった後に水素を添加するほうが、反応温度の制御の点で好ましい。本発明の製造方法を連続式で行う場合、CFC(1A)と水素の反応器への供給速度は、各化合物の供給流量によって調節される。
 反応器の出口から排出される生成ガスには目的物質であるCFC(1A)の1つまたは2つの塩素原子が水素原子に置換されたHFC(以下、HFC(2A)ともいう。)の他に、未反応原料であるCFC(1A)と水素、種々の副生成物および塩化水素が含まれる。副生成物は、例えば、目的物質以外のHFC等が挙げられる。
 CFC(1A)としては、214cb、224ca、224cc、234cc、234cb、244cc、244ca、215ca、225cc、225cb、235cc、235ca、215cb、225ca、235cbが挙げられる。
 CFC(1A)としては、224ca、224cc、234cc、234cb、244cc、244ca、225cb、225cc、235cc、235ca、225caおよび235cbが好ましく、234cc、234cb、244cc、244ca、225cb、225cc、235cc、235ca、225caおよび235cbがより好ましい。
 CFC(1A)が複数の化合物を含む場合、214cb、224ca、224cc、234cc、234cb、244ccおよび244caとの組み合わせ、215ca、225cb、225cc、235ccおよび235caとの組み合わせ、215cb、225caおよび235cbとの組み合わせが好ましく、234cc、234cb、244ccおよび244caとの組み合わせ、225cb、225cc、235ccおよび235caとの組み合わせ、225caと235cbとの組み合わせがより好ましい。
 本発明の第1の製造方法において、生成ガスは、塩化水素の含有量を低減するためにアルカリ洗浄された後、脱水処理が施される。
 塩化水素が低減された後の出口ガス中に存在する所望のHFC(2A)以外の成分は、蒸留等によって望まれる程度に除去できる。分離した未反応のCFC(1A)は、再び反応器に戻すことで、HFC(2A)の製造原料としてリサイクルすることができる。このように未反応原料をリサイクルすることで、CFC(1A)と水素の反応におけるHFC(2A)の転化率が低い場合であっても、全体としてHFC(2A)の生産性を高くできる。
 また、蒸留等によって除去した水素についても、再び反応器に戻すことで、製造原料としてリサイクルすることができる。
 塩化水素が低減された後の出口ガスが水分を含んでおり、そこから蒸留精製により所望のHFC(2A)を回収する際、所望のHFC(2A)より低沸点の成分が水と共沸または擬共沸組成を形成する場合には、水を低沸点成分に同伴させて留出させることで、所望のHFC(2A)を、水を除いた状態で回収することができる。所望のHFC(2A)より低沸点の成分としては、HFC(2A)が254cbの場合、具体的に1-フルオロプロパン(HFC-281fa。以下、281faともいう。)、2-フルオロプロパン(HFC-281ea。以下、281eaともいう。)、フルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、フルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン等が挙げられ、HFC(2A)が245caの場合、具体的に244cc、254cb、フルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、フルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン等が挙げられ、HFC(2A)が245cbの場合、具体的にフルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、フルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン等が挙げられる。
 本発明の第1の製造方法での反応終了後に触媒を反応器から抜き出す際には、触媒が空気と接触して燃焼することを防ぐ処置をとることが好ましい。具体的には、反応の終了後に、150℃以上の温度にて十分に水素パージを行った後に、100℃以下の温度で反応器に水を投入し、触媒を含水させた状態で抜き出す。
 なお、本発明の第2の製造方法において、多段工程の連続する2工程がいずれも単工程(Y)であって、かつ前段の単工程(Y)が上記本発明の第1の製造方法からなる工程である場合、上記生成ガスのアルカリ洗浄や出口ガスの蒸留等による精製は必須の処理ではない。
 本発明の第1の製造方法を液相で行う場合には、CFC(1A)と水素の反応は、溶媒を用いて行ってもよく、無溶媒で行ってもよい。CFC(1A)と水素の反応を、溶媒を用いて行う場合、溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸、酢酸エチル、ピリジン等を用いることができる。無溶媒で行う場合、加圧してCFC(1A)を液化させて行うことができる。本発明の製造方法を液相で行う場合の反応温度は、室温(25℃程度)~150℃程度が好ましく、反応圧力は常圧~5MPa程度が好ましい。反応時間は、通常1~72時間程度が好ましい。本発明の製造方法を、液相で、かつバッチ式で行う場合の反応時間は1~9時間が好ましい。
 [本発明の第2の製造方法]
 本発明の第2の製造方法は、CFC(1B)と水素を反応させて、塩素原子の数が0または1であるHFC(2B)を製造する方法であって、CFCの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程を少なくとも2回繰り返す多段工程を有し、多段工程中の少なくとも1つの単工程が単工程(Y)であることを特徴とする。
 単工程(Y)は、反応開始前のCFCと水素と塩化水素とを含み、CFCに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を触媒の存在下に反応させる単工程である。
 本発明の第2の製造方法において、最初の単工程の出発原料は本発明の第2の製造方法の出発原料であるCFC(1B)であり、最後の単工程の生成物は本発明の第2の製造方法の製造目的物であるHFC(2B)である。CFC(1B)は2個以上の塩素原子を有し、HFC(2B)は塩素原子を有さないかまたは塩素原子を1個有する。
 本発明の第2の製造方法における多段工程の各単工程において、その単工程の出発原料はCFCと称し、その単工程の生成物はHFCと称する。したがって、連続する2つの単工程において、前段の単工程における生成物HFCは、後段の単工程における出発原料CFCとなる。ただし、最初の単工程におけるCFCは上記のようにCFC(1B)であり、最後の単工程におけるHFCは上記のようにHFC(2B)である。
 本発明の第2の製造方法における多段工程は、単工程(Y)の連続する2工程以上からなることが好ましく、多段工程におけるすべての単工程が単工程(Y)からなることがより好ましい。
 単工程(Y)は、前記本発明の第1の製造方法からなる工程であり、単工程(Y)の出発原料CFCは前記CFC(1A)に対応し、単工程(Y)の生成物HFCは前記HFC(2A)に対応する。ただし、単工程(Y)が最後の単工程ではない場合、単工程(Y)は、反応後の後処理(たとえば、アルカリ洗浄や蒸留等の精製)を行うことなく、副生成物を含む生成物HFCを次の単工程の出発原料CFCとして使用することもできる。
 連続する2つの単工程(Y)において、前段の単工程(Y)の反応後の後処理も上記と同様である。ただし、通常は、後段の単工程(Y)における塩化水素濃度を調整するために、前段の単工程(Y)の反応後の後処理(特にアルカリ洗浄等の塩化水素低減のための処理)を行って、前段の単工程(Y)の生成物HFCを後段の単工程(Y)の出発原料CFCとして使用することが好ましい。
 多段工程が単工程(Y)以外の単工程を含む場合、その単工程はCFCの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程であって、CFCに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmではないこと以外は単工程(Y)と同様の単工程であることが好ましい。塩化水素濃度が100~10000質量ppmではないとは、塩化水素濃度が100質量ppm未満であるか、塩化水素濃度が10000質量ppmを超える濃度であることを意味する。
 単工程(Y)以外の単工程が連続する2つの単工程の前段の単工程であり、後段の単工程が単工程(Y)である場合、この前段の単工程においても塩化水素が生成することより、前段の単工程の反応生成物におけるHFC(後段の単工程(Y)におけるCFCとなる化合物)に対する塩化水素濃度が10000質量ppmを超える濃度となることが少なくない。よって、この場合も、後段の単工程(Y)における塩化水素濃度を調整するために、前段の単工程の反応後の後処理を行って、前段の単工程の生成物HFCを後段の単工程(Y)の出発原料CFCとして使用することが好ましい。
 よって、上記のように、本発明の第2の製造方法においては、連続する2つの単工程の少なくとも後段の単工程(Y)である場合、前段の単工程(単工程(Y)であるか、または単工程(Y)以外の単工程である)で得られた反応混合物中の塩化水素の少なくとも一部を除去して、前段の単工程で得られたHFCであるCFCから、反応開始前のCFCと水素を含む反応性混合物であってCFCに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである反応性混合物を調整し、後段の単工程(Y)を実施することが好ましい。
 CFC(1B)としては、214cb、224ca、224cc、234cc、234cb、215ca、225cc、225cb、215cb、225caが挙げられる。
 CFC(1B)としては、234cc、234cb、225cb、225ccおよび225caが好ましい。
 CFC(1B)が複数の化合物を含む場合、214cb、224ca、224cc、234ccおよび234cbとの組み合わせ、215ca、225cbおよび225ccとの組み合わせ、215cbと225caとの組み合わせが好ましく、234ccと234cbとの組み合わせ、225cbと225ccとの組み合わせがより好ましい。
 HFC(2B)としては、254cb、245caおよび245cbが挙げられる。
 ただし、本発明の第2の製造方法が塩素原子を1個有するHFC(2B)を製造することを目的とする場合は、その原料CFC(1B)は塩素原子を3個以上有するCFC(1B)である。例えば、244ccや244caを製造することを目的とする場合は、その原料CFC(1B)は214cb、224caまたは224ccであり、それらの2種以上を含む混合物であってもよい。
 CFC(1B)が水素原子を含むCFC(例えば、224ca、224cc、234cc、234cb等)である場合、そのCFC(1B)は前記本発明の第1の製造方法によって製造されたCFCに限られるものではない。例えば、CFC(1B)が224ccである場合、その224ccは214cbから製造された224ccでなくてもよく、その224ccが214cbから製造されたものであっても本発明の第1の製造方法によって製造された224ccでなくてもよい。
 単工程(Y)においては、得られるHFCが原料CFCの1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを主成分となることが好ましい。この場合であっても、通常、副生成物としてCFCの2個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCも生成する。CFCの2個以上の塩素原子が水素原子に置換されたHFCの生成を抑制するために、CFCに対する塩化水素濃度の最適化やCFCに対する水素のモル比等の反応条件の最適化を図ることが好ましい。
 単工程(Y)における原料CFCや生成HFCが複数の化合物の混合物である場合、単工程(Y)における塩素原子減少数、すなわち原料CFCの1分子当たり平均の塩素原子数と生成HCFの1分子当たり平均の塩素原子数との差は、0.8~1.6が好ましく、0.9~1.4がより好ましく、1.0~1.2が特に好ましい。
 単工程(Y)が多段工程の最初の単工程以外の単工程である場合、原料CFCは、前段の単工程で生成した主成分HFC(塩素原子を含むHFC)と未反応CFCや副生HFC(塩素原子を含むHFC)とを含む混合物であってもよく、未反応CFCや副生HFCを除去した後の主成分HFCであってもよい。上記混合物である場合は、原料CFCの1分子当たり平均の塩素原子数とは、前段単工程で生成した主成分HFC以外の未反応CFCや副生HFCを含む混合物の平均塩素原子数を意味する。
 本発明の第2の製造方法における単工程(Y)は前記本発明の第1の製造方法と同じであるので、以下、単工程(Y)の詳細な説明を省略する。
 [実験準備]
 (234cc、244cc、244caの製造)
 まず、500mLステンレス製オートクレーブに、無水塩化アルミニウム(25g)、CHCl(500g)および224ca(100g)を入れて撹拌しながら減圧脱気した後、テトラフルオロエチレン(TFE)をオートクレーブ内が0.05MPaとなるまで供給し、オートクレーブ内を80℃に昇温した。その後、オートクレーブ内の圧力を0.8MPaで維持しながら、TFEをさらに供給した。オートクレーブに供給されたTFEは総量で0.17kgであった。
 さらに1時間撹拌した後、室温まで冷却して、反応液をガスクロマトグラフィで分析したところ、CHClの転化率は33%であり、224caの選択率は84%であった。反応後の液を濾別し得られた粗液に、モレキュラーシーブ5Aを102g加え一晩撹拌して、脱水した。撹拌後の粗液を濾別し得られた粗生成物を蒸留精製することにより224ca(230g)を製造した。
 上記した方法で得られた224caを原料として、下記の方法で234ccを得た。
 まず、電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316製、直径25mm、長さ30cm)に2.0質量%の割合でパラジウムを担持した活性炭ペレット(15g)を充填し、窒素(N)ガス(500NmL/min)を流しながら130℃まで昇温した。反応器を大気圧(1気圧)に維持しながら、反応器通過後の粗ガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、窒素の供給を停止し、水素(180mL/min)を供給しながら反応管を200℃に加熱した後、224ca(0.44g/min)を供給した。
 反応管からの粗ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して酸分と水分とを除去した後、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析したところ、224caの転化率は98%であり、234ccが選択率24%、244ccが選択率70%、244caが選択率5%で得られた。合計1000gの224caを上記で反応させて、596gの粗生成物を得た。
 得られた粗生成物を25段精留塔で常圧精留して、234cc(74g)、244cc(216g)、244ca(15g)を得た。
 (235cc、235caの製造)
 まず、電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316製、直径25mm、長さ30cm)に2.0質量%の割合でパラジウムを担持した活性炭ペレット(15g)を充填し、窒素(N)ガス(500NmL/min)を流しながら130℃まで昇温した。反応器を大気圧(1気圧)に維持しながら、反応器通過後の粗ガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、窒素の供給を停止し、水素(180mL/min)を供給しながら反応管を190℃に加熱した後、225cb(AGC社製、0.44g/min)を供給した。
 反応管からの粗ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して酸分と水分とを除去した後、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析したところ、225cbの転化率は60%であり、235ccが選択率70%、235caが選択率20%で得られた。合計1000gの225cbを上記で反応させて、730gの粗生成物を得た。
 得られた粗生成物を25段精留塔で常圧精留して、235cc(201g)、235ca(80g)を得た。
 (235cbの製造)
 まず、電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316製、直径25mm、長さ30cm)に2.0質量%の割合でパラジウムを担持した活性炭ペレット(15g)を充填し、窒素(N)ガス(500NmL/min)を流しながら130℃まで昇温した。反応器を大気圧(1気圧)に維持しながら、反応器通過後の粗ガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、窒素の供給を停止し、水素(180mL/min)を供給しながら反応管を190℃に加熱した後、225ca(AGC社製、0.44g/min)を供給した。
 反応管からの粗ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して酸分と水分とを除去した後、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析したところ、225caの転化率は75%であり、235cbが選択率60%で得られた。合計1000gの225caを上記で反応させて、751gの粗生成物を得た。
 得られた粗生成物を25段精留塔で常圧精留して、235cb(250g)を得た。
 [例1]
 塩浴炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応器(インコネル(登録商標)600製、直径26mm、長さ60cmの反応管)に、活性炭(破砕炭)の100質量%に対して2.0質量%の割合でパラジウムを担持させたパラジウム触媒担持体を充填し、高さ40cmの触媒層を形成した。塩浴炉によって反応器を200℃に加熱した後、原料化合物である234ccおよび水素および塩化水素を供給し、234ccと水素(H)の単位時間あたりのモル流量の比(234cc/H)が1/2となり、かつ塩化水素(HCl)と234ccの単位時間あたりのモル流量の比(HCl/234cc)が各条件で定めた比となるように20秒間触媒と接触させて生成ガスを得た。生成ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析した。また、原料化合物を244cc、244caに変えて、同一の実験も行った。
 生成ガスの分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて行った。カラムには、DB-1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。GC分析結果から、下記式で転化率、選択率、生成率を算出した。 原料化合物の転化率(%)={(反応器に供給した原料化合物の量(モル)-生成ガスに含まれる原料化合物の量(モル))/反応器に供給した原料化合物の量(モル)}×100
 生成化合物の選択率(%)={生成ガスに含まれる生成化合物の量(モル)/反応で消費された原料化合物の量(モル)}×100
 生成化合物の生成率(%)=(原料化合物の転化率×生成化合物の選択率)×100
 原料化合物の転化率、生成した各化合物の選択率を、反応条件(塩浴炉の温度(反応温度)、原料中HCl濃度)と併せて表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1の結果から、本発明のHFCの製造方法は、CFC(1A)の転化率に優れることがわかる。また、表中の「その他選択率」から、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
 [例2~3]
 表2、3中に示すように原料化合物と反応条件を変更した以外は、例1と同様にして反応を行った。原料化合物の転化率、生成した各化合物の選択率を、反応条件(塩浴炉の温度(反応温度)、原料中のHCl濃度)と併せて表2、3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表2および3の結果から、本発明のHFCの製造方法は、CFC(1A)の転化率に優れることがわかる。また、表中の「その他選択率」から、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
 [例4~5]
 原料化合物を、表4中に記載した234ccと244ccと244caの混合物と変更した事以外は、例1と同様にして反応を行った。各原料中HCl濃度での、反応生成物の化合物組成を表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 ここで、234ccはCFC(1A)であり、254cbは234cc、244cc、244caから生成するHFC(1B)である。244cc、244caは234ccから生成するHFC(1B)であり、254cbを生成するためのCFC(1A)でもある。
 表4の結果から、複数の化合物を原料として用いた場合も、本発明のHFCの製造方法は、CFC(1A)の転化率に優れることがわかる。また、表中の生成物組成のその他から、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
 [例6~7]
 原料化合物を、表5中に記載した225cbと235ccと235caの混合物と変更した事以外は、例1と同様にして反応を行った。各原料中HCl濃度での、反応生成物の化合物組成を表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 ここで、225cbはCFC(1A)であり、245caは225cb、235cc、235caから生成するHFC(1B)である。235cc、235caは225cbから生成するHFC(1B)であり、245caを生成するためのCFC(1A)でもある。
 表5の結果から、複数の化合物を原料として用いた場合も、本発明のHFCの製造方法は、CFC(1A)の転化率に優れることがわかる。また、表中の生成物組成のその他から、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
 [例8~9]
 原料化合物を、表6中に記載した225caと235cbの混合物と変更した事以外は、例1と同様にして反応を行った。各原料中HCl濃度での、反応生成物の化合物組成を表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 ここで、225caはCFC(1A)であり、245cbは225ca、235cbから生成するHFC(1B)である。235cbは225caから生成するHFC(1B)であり、245cbを生成するためのCFC(1A)でもある。
 表6の結果から、複数の化合物を原料として用いた場合も、本発明のHFCの製造方法は、CFC(1A)の転化率に優れることがわかる。また、表中の生成物組成のその他から、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
 [例10、11]
 原料化合物を、234ccとして例1と同様にして反応を行った。これを1回目の反応とする。捕集した粗生成物中の塩化水素濃度を、イオンクロマトグラフ法(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Dionex ICS-5000+ハイブリッド HPIC)により測定したのち、その粗生成物を原料化合物とし、反応温度を220℃として、1回目の反応と同様にして2回目の反応を行った。1回目、2回目それぞれの反応生成物の組成を、表7中の例10に示す。また、1回目の反応時に、アルカリ洗浄塔を使用しない事以外は例10と同様の操作を行う実験も実施した。その結果を表7中の例11に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 表7の結果から、本発明の製造方法は、CFC(1B)の転化率に優れることがわかる。また、HFC(2B)である254cbが選択的に得られ、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
 [例12、13]
原料化合物を、225cbとして例10、11と同様にして反応を行った。その結果を表8中の例12、13に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 表8の結果から、本発明の製造方法は、CFC(1B)の転化率に優れることがわかる。また、HFC(2B)である245caが選択的に得られ、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
 なお、2021年1月29日に出願された日本特許出願2021-013304号の明細書、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (15)

  1.  触媒の存在下、下記式(1A)で表されるクロロフルオロカーボン(1A)と水素を反応させて、前記クロロフルオロカーボン(1A)の1個または2個の塩素原子が水素原子に置換されたハイドロフルオロカーボン(2A)を製造する方法であって、
     クロロフルオロカーボン(1A)と水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボン(1A)に対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を用いて反応させることを特徴とする、ハイドロフルオロカーボンの製造方法。
      CF-R-CX    (1A)
     (式中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のX中の0または1個がフッ素原子であり、少なくとも1個が塩素原子であり、Rは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
  2.  前記Rがジフルオロメチレン基である、請求項1に記載の製造方法。
  3.  前記クロロフルオロカーボン(1A)が、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンおよび3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4.  製造される前記ハイドロフルオロカーボン(2A)が、前記クロロフルオロカーボン(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたハイドロフルオロカーボンを主成分とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5.  前記触媒が、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、レニウム、モリブデンおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属触媒である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6.  前記クロロフルオロカーボン(1A)と水素を気相で反応させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7.  反応温度が、150~350℃である、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8.  下記式(1B)で表されるクロロフルオロカーボン(1B)と水素を反応させて、塩素原子の数が0または1であるハイドロフルオロカーボン(2B)を製造する方法であって、
     クロロフルオロカーボンの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程を少なくとも2回繰り返す多段工程を有し、
     前記多段工程中の少なくとも1つの単工程が、反応開始前のクロロフルオロカーボンと水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボンに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を触媒の存在下に反応させる単工程(Y)であることを特徴とする、塩素原子の数が0または1であるハイドロフルオロカーボンの製造方法。
      CF-R-CX    (1B)
     (式中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のX中の0または1個がフッ素原子であり、2~4個が塩素原子であり、Rは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
  9.  前記Rがジフルオロメチレン基である、請求項8に記載の製造方法。
  10.  前記クロロフルオロカーボン(1B)が、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパンおよび3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8または9に記載の製造方法。
  11.  ハイドロフルオロカーボン(2B)が、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパンおよび1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8~10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12.  前記単工程(Y)における主生成物が、クロロフルオロカーボンの1個の塩素原子が水素原子に置換された化合物である、請求項8~11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13.  前記単工程(Y)において、気相で水素を反応させる、請求項8~12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14.  前記単工程(Y)において、反応温度150~350℃で水素を反応させる、請求項8~13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15.  連続する2つの単工程において、
     少なくとも後段の単工程が前記単工程(Y)であり、
     前段の単工程で得られた反応混合物中の塩化水素の少なくとも一部を除去して、前段の単工程で得られたハイドロフルオロカーボンであるクロロフルオロカーボンから、反応開始前のクロロフルオロカーボンと水素を含む反応性混合物であってクロロフルオロカーボンに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである反応性混合物を調整し、かかる反応性混合物を用いて後段の前記単工程(Y)を実施する、請求項8~14のいずれか一項に記載の製造方法。
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