JP2013180336A - プレス成形装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下型10及び上型20のしわ押さえ面には、ワークWのプレス成形時に当該ワークWの流入を抑制するための段状のビード13・23が形成され、ビード13・23は、下型10及び上型20のしわ押さえ面に対して略垂直に形成される縦壁面13a・23aと、当該縦壁面13a・23aから下型10及び上型20の外側に向けて形成される底面13b・23bと、を有し、縦壁面13a・23aは、絞りプロファイルに沿って形成され、プレス方向から見て、波状に形成される形状を有することを特徴とするプレス成形装置1である。
【選択図】図3
Description
張り出し成形とは、ワークを拘束しつつ、当該ワークを成形する方法であり、自動車のドアアウタ、フードアウタ等を作製する際に用いられる。
絞り成形とは、ワークをプレス方向に流入させつつ、当該ワークを成形する方法であり、自動車のドアインナ、サイドアウタ等を作製する際に用いられる。
しかしながら、ワークの拘束には、大きな力が必要とされるため、前記凸状のビードと凹状のビード収容部との間のクリアランスを厳密に管理する必要があり、当該クリアランスの調整に多大な時間を要する点で不利である。
当該技術によって、ビードのクリアランスを厳密に管理することなく、ワークに対する拘束力の増大を実現させている。
しかしながら、このような台形状のビードによってワークを拘束する場合、当該ワークの拘束部分の面積を多く確保する必要があるため、材料歩留りが悪化する点で不利である。
プレス成形装置1は、板状のワークWに対して、張り出し成形を行う装置である。
なお、説明の便宜上、図1における右方向をプレス成形装置1の外側とし、図1における左方向をプレス成形装置1の内側とする。つまり、ワークWの端部側をプレス成形装置1の外側とし、ワークWの中央部側をプレス成形装置1の内側とする。
また、図1における上下方向をプレス成形装置1の上下方向とする。プレス成形装置1の上下方向は、プレス方向に一致する。
クッションリング12の上面には、ワークWの外側端部を拘束するためのしわ押さえ面が形成されており、当該しわ押さえ面が下型10のしわ押さえ面として機能する。クッションリング12のしわ押さえ面には、ワークWのプレス成形時に当該ワークWの流入(プレス成形装置1の内側への移動)を抑制するためのビード13が形成されている。
ビード13の構成については後述する。
上型20の下面の中央部には、上方に窪んだ凹状の成形面が形成されている。上型20の成形面は、ポンチ11の成形面に対向し、ポンチ11の成形面の形状に合わせて形成されている。
上型20の下面の外側端部、つまり上型20における成形面の外側には、ワークWの外側端部を拘束するためのしわ押さえ面が形成されている。上型20のしわ押さえ面は、クッションリング12のしわ押さえ面に対向し、クッションリング12のしわ押さえ面の形状に合わせて形成されている。上型20のしわ押さえ面には、ワークWのプレス成形時に当該ワークWの流入を抑制するためのビード23が形成されている。
ビード23の構成については後述する。
ビード13は、縦壁面13aと、底面13bとを有する。
ここで、縦壁面13aがクッションリング12のしわ押さえ面に対して「略垂直」な状態とは、縦壁面13aがクッションリング12のしわ押さえ面に対して完全に垂直な状態と、縦壁面13aの上端部がその下端部よりも内側に位置するように、縦壁面13aがクッションリング12のしわ押さえ面に対して若干傾斜している状態とを含む。
本実施形態においては、縦壁面13aは、上端部が下端部よりも内側に位置するように、クッションリング12のしわ押さえ面に対して若干傾斜している。
本実施形態においては、縦壁面13aは、平面視で、概ね正弦曲線状に形成されている。
詳細には、底面13bは、縦壁面13aの下端部からクッションリング12の外側端面にかけて、クッションリング12のしわ押さえ面に対して平行に形成されている。
ビード23は、縦壁面23aと、底面23bとを有する。
縦壁面23aは、ビード13の縦壁面13aと同様の波形状を有する(不図示)。
詳細には、底面23bは、縦壁面23aの下端部から上型20の外側端面にかけて、上型20のしわ押さえ面に対して平行に形成されている。
この時、ワークWの外側端部は、クッションリング12のしわ押さえ面に形成されたビード13、及び上型20のしわ押さえ面に形成されたビード23に沿った形状に成形される。
これにより、ワークWのプレス成形時に内側に流入しようとするワークWにおいて、ビード13の縦壁面13a及びビード23の縦壁面23aに沿って成形された部分が、縦壁面13a・23aによってその移動を阻害される。
したがって、ワークWのプレス成形時に、当該ワークWの流入がビード13・23によって抑制されることとなる。
そのため、図4に示すように、ワークWのプレス成形時に、ワークWの波状部分には、ワークWの流入方向とは反対方向の力が働く。
詳細には、ワークWにおけるプレス成形装置1の内側に対して凸形状を成す部分(図4における左側部分)には、プレス成形装置1の絞りプロファイルに対して平行となる方向(図4における左右方向)に引張応力が生じ、ワークWにおけるプレス成形装置1の内側に対して凹形状を成す部分(図4における右側部分)には、プレス成形装置1の絞りプロファイルに対して平行となる方向に圧縮応力が生じ、ワークWの波状部分における接線方向に、ワークWの流入方向とは反対方向の成分を含む応力が働く(図4における白塗り矢印参照)。
これにより、ワークWがビード13・23を通過する際の抵抗が増加し、ワークWのプレス成形時に当該ワークWの流入を抑制することが可能となる。
したがって、ビード13とビード23との間のクリアランスを厳密に管理することなく、ワークWを良好に拘束させることができる。
図5(a)に示すように、台形ビードは、クッションリングのしわ押さえ面に対して略垂直に形成された二つの縦壁面と、当該二つの縦壁面に連続する底面を有する。
図5(b)に示すように、台形ビードの各縦壁面は、ビード13の縦壁面13a及びビード23の縦壁面23aと略同様の波形状を有する。
この場合、内側(図5(b)における上側)に位置する、台形ビードの稜線(しわ押さえ面と縦壁面との境界線)において、内側に対して凸形状を成す部分(以下、「稜線凸部」と記す)の曲率半径は、R+D/2となり、内側に対して凹形状を成す部分(以下、「稜線凹部」と記す)の曲率半径は、R−D/2となる。
このように、稜線凸部の曲率半径と稜線凹部の曲率半径との間に差が生じるため、稜線凸部と稜線凹部との間で、ワークに対する拘束力に差が生じ、曲率半径の大きい稜線凸部においてワークが流入するおそれがある。
また、台形ビードの縦壁面の曲率半径を小さくするほど、ワークに対する拘束力が増加するが、一般的に、底面と二つの縦壁面との境界線間の距離は、10mm程度であり、上型とクッションリングとによってワークを拘束する際に当該ワークが破断しないような台形ビードの形状を考慮すると、台形ビードの縦壁面の曲率半径を20mm未満とすることが困難である。
更に、本発明に係るビードの曲率半径を1mm程度にまで小さくすることが可能となり、ワークに対する拘束力を増加させることができる。
また、本発明に係るビードは、従来の台形ビードと比較して、ワークの拘束部分の面積を小さくすることができる点で有利である。
詳細には、従来の台形ビードによってワークを拘束しようとする場合には、台形ビードを跨ぐようにしてワークを配置する必要があるが、本発明に係るビードによってワークを拘束しようとする場合には、ビードの外側端面が縦壁面よりも若干外側に位置する程度にワークを配置すれば良いため、ワークの拘束部分の面積を小さくすることができるのである。
これにより、良好な材料歩留りを実現することができる。
第一のパラメータとして、金型のしわ押さえ面と、ビードの底面との最短距離を「高さ」とした。「高さ」の値を大きくする程、ワークに対する拘束力が増加するが、材料歩留りの悪化等を招くおそれがある。そのため、「高さ」の値を、「断面アール」(後述の第三のパラメータ)×2+1mm以上に設定することが好ましく、具体的には、「高さ」の値を、2mm〜6mmに設定することが好ましい。
第二のパラメータとして、プレス方向に対するビードの縦壁面の傾斜角度を「角度」とした。「角度」の値を小さくする程、ワークに対する拘束力が増加する。そのため、「角度」の値を、0°〜15°に設定することが好ましい。しかしながら、ビードの縦壁面が波状であるため、縦壁面において「角度」の値がマイナスになる部分が生じる可能性がある。そのため、「角度」の値を、5°に設定することがより好ましい。
第三のパラメータとして、稜線の丸み(詳細には、クッションリング12のしわ押さえ面とビード13の縦壁面13aとが成す境界部分の曲率半径、及びード23の縦壁面23aとビード23の底面23bとが成す境界部分の曲率半径)を「断面アール」とした。「断面アール」の値を小さくする程、ワークに対する拘束力が増加する。しかしながら、「断面アール」の値を、0.5mm以下に設定すると、ワークのメッキが剥がれる等の問題が生じることに加えて、ビードの加工も困難となる。そのため、「断面アール」の値を、0.5mm〜1.5mmに設定することが好ましい。
第四のパラメータとして、二つの縦壁面同士の最短距離を「縦壁クリアランス」とした。「縦壁クリアランス」の値を小さくする程、ワークに対する拘束力が増加する。しかしながら、「縦壁クリアランス」の値を小さくし過ぎると、ビードの製作精度の影響を受け易くなり、ビードの造り込みが困難となる。そのため、「縦壁クリアランス」の値を、0.1mm〜0.3mmに設定することが好ましい。
更に、本発明に係るビードの縦壁面が成す波形状におけるパラメータを定義した。
第五のパラメータとして、波形状の振幅を「振幅」とした。「振幅」の値を大きくする程、ワークに対する拘束力が増加するが、材料歩留りの悪化等を招くおそれがある。一方で、「振幅」の値を、1mm以下に設定すると、「縦壁クリアランス」の影響を強く受けるようになることに加えて、ビードの加工も困難となる。そのため、「振幅」の値を、1mm〜6mmに設定することが好ましい。
第六のパラメータとして、波形状の曲率半径を「平面アール」とした。「平面アール」の値を小さくする程、ワークに対する拘束力が増加するが、ビードによってブランクが破断するおそれがある。しかしながら、「平面アール」のワークに対する拘束力への影響は大きく、材料歩留りの悪化を招くことおそれがないため、「平面アール」の値を小さくすることが望ましい。そのため、ビードを加工する際の困難性を考慮して、「平面アール」の値を、1mm〜30mmに設定することが好ましい。
また、従来の台形ビードのパラメータを本発明に係るビードと同様に定義した。
詳細には、図7に示すように、テストピースによってワークの長手方向における一端部を所定の押圧力で拘束し、ワークが破断するまで、ワークを長手方向における他端部に向けて(図7における黒塗り矢印参照)引き抜く試験を行った。
なお、引き抜き試験の対象のワークとして、自動車のドアアウタ及びフードアウタ等に一般的に採用される、引張強度340MPaのベークハード鋼を用いた。当該ワークの寸法を、600mm×40mm×0.7mmとした。
ここで、「ギャップ」は、ワークのプレス加工時における金型の撓みを考慮した場合に、ワークを拘束できるか否かの評価項目である。詳細には、ワークのプレス加工時における金型の撓みとして考えられる最大量を0.3mmとし、これをテストピースとワークとのスキ量に設定して引き抜き試験を行った。
「下限圧」は、テストピースによってワークを拘束する際の押圧力を20kgf/mmとした場合に、ワークを拘束できるか否かの評価項目である。この押圧力の値は、従来の台形ビードによってワークを拘束可能な押圧力の下限値である。
「割れ」は、テストピースによってワークを拘束した際に、ワークが破断するか否かの評価項目である。
なお、「ギャップ」及び「下限圧」の項目について、ワークの流入量(引き抜き方向への移動距離)が1mm未満である場合、かつ、ワークの破断箇所がビードに接触している部分ではない場合には、ワークを良好に拘束できたものとして、表1に○を記入し、ワークの流入量が1mm以上である場合、又は、ワークの破断箇所がビードに接触している部分である場合には、ワークを拘束できなかったものとして、表1に×を記入し、ワークの流入量が1mm未満であって、ワークの破断箇所がビードに接触している部分ではないものの、ワークの流入量が比較的大きい等、望ましい結果ではなかった場合には、表1に△を記入した。
また、「割れ」の項目について、テストピースによってワークを拘束した際に、ワークが破断しなかった場合には、表1に○を記入した。
また、本実験において評価される項目ではないが、材料歩留りの評価項目である「歩留り」についても表1に記入した。「歩留り」の項目について、従来の台形ビードに対しては、表1に×を記入し、従来の台形ビードよりも材料歩留りが大幅に改善しているビードに対しては、表1に○を記入し、従来の台形ビードよりも材料歩留りが若干改善しているビードに対しては、表1に△を記入した。
これは、実験例1においては、比較例1及び比較例2と同一の平面アールを適用しており、本発明に係るビードが従来の台形ビードよりも縦壁面が少ない分、比較例1及び比較例2と同一の平面アールでは、ワークに対する拘束力が不足したためと考えられる。
特に、平面アールを10mmに設定しても、テストピースによってワークを拘束した際に、ワークが破断せず、ワークを良好に拘束することができた。
これは、実験例3においては、高さが3mmと実験例2よりも低く、ワークに対する拘束力が不足したためと考えられる。
これは、実験例4においては、振幅が4mmと実験例2よりも大きく、ワークにおいて拘束される面積が大きくなったためである。
特に、高さを実験例3と同一の低い値(3mm)としても、ワークを良好に拘束することができた。
これは、平面アールを実験例3よりも小さくし、ワークに対する拘束力が増加したためである。
特に、平面アールを2mmという極めて小さい値にしても、テストピースによってワークを拘束した際に、ワークが破断せず、ワークを極めて高い拘束力で良好に拘束することができた。
更に、平面アールを小さい値に設定することで、従来の台形ビードよりも縦壁面が少ない、本発明に係るビードであっても、ワークを良好に拘束できることが明らかとなった。
なお、パラメータ値によっては、本発明に係るビードにおいても、望ましい結果とならなかったが、上記のような実験の結果に基づいて、適切なパラメータ値を設定すればよい。
10 下型
11 ポンチ
12 クッションリング
13 ビード
13a 縦壁面
13b 底面
20 上型
23 ビード
23a 縦壁面
23b 底面
Claims (2)
- 一対の金型を具備し、
各金型のしわ押さえ面でワークを拘束しつつ、当該ワークにプレス成形を施すプレス成形装置であって、
各金型のしわ押さえ面には、前記ワークのプレス成形時に当該ワークの流入を抑制するための段状のビードが形成され、
各ビードは、各金型のしわ押さえ面に対して略垂直に形成される縦壁面と、当該縦壁面から各金型の外側に向けて形成される底面と、を有し、
各ビードの縦壁面は、前記一対の金型の絞りプロファイルに沿って形成され、プレス方向から見て、波状に形成される形状を有する、
ことを特徴とするプレス成形装置。 - 各ビードの縦壁面は、プレス方向から見て、同一の断面形状がプレス方向に連続する形状を有し、正弦曲線状に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形装置。
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