JP2013171711A - 耐オゾン性ケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】スコーチ安定性が良好で、かつ耐オゾン性に優れる組成物からなる被覆を備えた耐オゾン性ケーブルを提供する。
【解決手段】耐オゾン性ケーブルは、クロロプレンゴム100質量部に対し、フェニレンジアミン系老化防止剤1.0〜5.0質量部、ジフェニルアミン系老化防止剤1.0〜5.0質量部、およびイミダゾール系老化防止剤0.1〜3.0質量部を含有する組成物の架橋体からなる被覆を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、厳しい耐オゾン性環境下で使用し得るケーブルに関する。
クロロプレンゴムは、機械的強度が大きいうえ、耐油性、耐熱性に優れ、かつ耐オゾン性も良好であることから、これをベースゴムとした組成物が、ケーブルのシース材料として広く用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、この組成物は耐オゾン性が良好であるとはいえ、その耐オゾン性は、クロロプレンゴムの特殊な分子構造に起因にするものであるため限定的である。すなわち、クロロプレンゴムの耐オゾン性は、その分子中に含まれる塩素原子が、主鎖構造中の二重結合からπ電子を吸収するために、二重結合部分の電子密度が低くなって一重結合に近い状況となり、オゾンと反応し難いことによると考えられている。このため、厳しいオゾン環境下で使用するケーブルのシース材料としては、その特性は決して十分ではなかった。
そこで、例えば、この種の組成物に通常配合されている老化防止剤の使用量を増加させるなどして、耐オゾン性を高めることが検討されている。しかしながら、老化防止剤の使用量を増大させると、ゴムの混練りや押出し加工時にかかる熱でスコーチタイムが短くなり、スコーチ安定性が低下するという問題を生じる。
特開2005−108957号公報 特開2009−9846号公報
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、スコーチ安定性が良好で、かつ耐オゾン性に優れる組成物からなる被覆を備えた耐オゾン性ケーブルを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様の耐オゾン性ケーブルは、クロロプレンゴム100質量部に対し、フェニレンジアミン系老化防止剤1.0〜5.0質量部、ジフェニルアミン系老化防止剤1.0〜5.0質量部、およびイミダゾール系老化防止剤0.1〜3.0質量部を含有する組成物の架橋体からなる被覆を備えるものである。
本発明の第2の態様は、第1の態様の耐オゾン性ケーブルにおいて、前記クロロプレンゴム100質量部に対し、前記フェニレンジアミン系老化防止剤を2.0〜4.0質量部、前記ジフェニルアミン系老化防止剤を2.0〜4.0質量部、前記イミダゾール系老化防止剤を0.5〜2.0質量部を含有するものである。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様の耐オゾン性ケーブルにおいて、前記組成物が、前記フェニレンジアミン系老化防止剤としてN−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンを含み、前記ジフェニルアミン系老化防止剤としてオクチル化ジフェニルアミンを含み、前記イミダゾール系老化防止剤として2−メルカプトベンズイミダゾールを含むものである。
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様のいずれかの態様の耐オゾン性ケーブルにおいて、前記組成物が、前記クロロプレンゴム100質量部に対し、架橋促進剤として、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド0.1〜1.0質量部、およびエチレンチオウレア0.2〜0.9質量部をさらに含有するものである。
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様のいずれかの態様の耐オゾン性ケーブルにおいて、JIS K 6300−1に準拠して、温度125℃で、L型ロータを用いて測定される前記組成物のスコーチタイムtが、8分以上であるものである。
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様のいずれかの態様の耐オゾン性ケーブルにおいて、前記組成物を150℃、60分間の条件で架橋させて作製されたJIS K 6251に規定する3号型ダンベル試験片を、JIS K 6259に規定する静的オゾン劣化試験にしたがって、40℃、オゾン濃度150ppmの雰囲気中に50%の伸びを与えた状態で1時間曝露したとき、前記試験片に亀裂の発生が認められないものである。
本発明によれば、スコーチ安定性が良好で、かつ耐オゾン性に優れる組成物からなる被覆を備えた耐オゾン性ケーブルが提供される。
本発明の耐オゾン性ケーブルの一実施形態を示す横断面図である。 本発明の耐オゾン性ケーブルの他の実施形態を示す横断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明において使用される耐オゾン性ゴム組成物について説明する。
本発明に係る耐オゾン性ゴム組成物においては、ゴム成分として、主鎖中に二重結合を有し、その一方の炭素原子に塩素原子が結合したポリマーであるクロロプレンゴム(CR)が使用される。クロロプレンゴムは、その分子量などに制限されることなく、市販の各種グレードのものが使用可能であるが、加工性などの観点からは、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が35〜60のものを使用することが好ましく、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が40〜55のものがより好ましい。クロロプレンゴムとして好適な市販品を例示すると、例えば、昭和電工(株)製のショウプレンW(ムーニー粘度ML1+4(100℃)42〜51)、ショウプレンWB(ムーニー粘度ML1+4(100℃)42〜51)(以上、商品名)などが挙げられる。
なお、本発明においては、クロロプレンゴム以外の各種合成ゴムを、本発明の効果を阻害しない範囲で、クロロプレンゴムと併用することができる。このような合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴムの他、エチレンプロピレンゴム(EPM)などのオレフィン系ゴム、臭素化ブチルゴムなどのハロゲン化ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンなどが挙げられる。
クロロプレンゴムは、前述したように、機械的強度、耐油性、耐熱性に優れ、またオゾンに対する反応性が低いなど、ケーブルの被覆材料として優れた特性を有しており、これらの特性を維持する観点から、他の合成ゴムを併用する場合には、少なくともクロロプレンゴムがゴム成分全体の50質量%以上配合されるようにすることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましい。
本発明においては、スコーチ安定性を損なわずに、耐オゾン性を高めるために、上記ゴム成分に対し、次の3タイプの老化防止剤、すなわち、フェニレンジアミン系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、およびイミダゾール系老化防止剤を組み合わせて使用する。フェニレンジアミン系老化防止剤は、オゾンによる亀裂防止効果が非常に高く、また、ジフェニルアミン系老化防止剤はクロロプレンゴムとの併用によって非常に高い耐熱性を示すとともに、オゾンによる亀裂防止効果にも優れる。さらに、イミダゾール系老化防止剤は、ゴム成分の過酸化物による分解劣化を防止する効果を有する。これらの各老化防止剤の効果が相加相乗され、あるいは各老化防止剤の効果が相互に補完される結果、スコーチ安定性を損なわずに、本発明のゴム組成物に優れた耐オゾン性を付与することができるものと考えられる。
フェニレンジアミン系老化防止剤としては、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシポロピル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミンなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。フェニレンジアミン系老化防止剤としては、なかでもN−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンの使用が、本発明の効果を高める観点から好ましい。
ジフェニルアミン系老化防止剤としては、オクチル化ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。ジフェニルアミン系老化防止剤としては、なかでもオクチル化ジフェニルアミンの使用が、本発明の効果を高める観点から好ましい。
イミダゾール系老化防止剤としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾールなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。イミダゾール系老化防止剤としては、なかでも2−メルカプトベンズイミダゾールの使用が、本発明の効果を高める観点から好ましい。
本発明においては、クロロプレンゴム100質量部に対し、フェニレンジアミン系老化防止剤を、1.0〜5.0質量部、好ましくは2.0〜4.0質量部の割合で配合する。また、ジフェニルアミン系老化防止剤を、クロロプレンゴム100質量部に対し、1.0〜5.0質量部、好ましくは2.0〜4.0質量部の割合で配合する。さらに、イミダゾール系老化防止剤を、クロロプレンゴム100質量部に対し、0.1〜3.0質量部、好ましくは0.5〜2.0質量部の割合で配合する。フェニレンジアミン系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、およびイミダゾール系老化防止剤のいずれか1つでも配合量が、前記範囲に満たないと、添加による効果、すなわち、スコーチ安定性を損なわずに、耐オゾン性を向上させることができない。一方、フェニレンジアミン系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、およびイミダゾール系老化防止剤の配合量が、前記範囲を超えても効果はさほど変わらず、逆にブルームなどの問題が生ずるおそれがある。
なお、本発明においては、上記以外の各種老化防止剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で使用することができる。このような老化防止剤としては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体などのアミンケトン系老化防止剤;2,6−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのモノフェノール系老化防止剤;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)などのビスフェノール系老化防止剤;2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンなどのポリフェノール系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素などのチオウレア系老化防止剤、チオジプロピオン酸ジラウリルなどの有機チオ酸系老化防止剤などが挙げられる。
本発明においては、スコーチ安定性を損なわずに、耐オゾン性を高めるために、架橋促進剤として、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、およびエチレンチオウレア(2−メルカプトイミダゾリン)を組み合わせて配合することがより好ましい。配合量は、クロロプレンゴム100質量部に対し、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが0.1〜1.0質量部、エチレンチオウレアが0.2〜0.9質量部の範囲が好ましい。ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドは0.2〜0.8質量部の範囲がより好ましく、エチレンチオウレアは0.4〜0.6質量部の範囲がより好ましい。
なお、上記以外の各種架橋促進剤も、本発明の効果を阻害しない範囲であれば使用することができる。このような架橋促進剤としては、例えば、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、1,3−ジ−o−トリルグアニジンなどが挙げられる。
また、架橋剤としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛などの金属酸化物が使用される。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。金属酸化物としては、なかでも酸化亜鉛と酸化マグネシウムの併用が、本発明の効果をより向上させるために好ましい。架橋剤として金属酸化物を使用する場合、その配合量は、クロロプレンゴム100質量部に対し、8.0〜15.0質量部の範囲が好ましい。金属酸化物の配合量が、クロロプレンゴム100質量部に対し8.0質量部未満では、伸びを大きくする効果が不十分である。また、金属酸化物の配合量が、クロロプレンゴム100質量部に対し、15.0質量部を超えると、ブリードなどの問題が生じるようになる。なお、硫黄や硫黄系架橋剤なども、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて配合することができる。
本発明の耐オゾン性ゴム組成物は、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合される、カーボンブラックなどの顔料、充填剤、軟化剤、滑剤、架橋助剤などを配合することができる。
カーボンブラックは、上記ゴム成分100質量部に対して、通常、10〜40質量部、好ましくは15〜35質量部の範囲で使用される。10質量部未満では添加による効果が得られず、逆に40質量部を超えると、本発明の効果が十分に得られなくなるおそれがある。カーボンブラックは、本発明のゴム組成物の機械的強度を増大させる作用も併せ有する。カーボンブラックの好ましい市販品を例示すると、例えば、新日化カーボン(株)製のHTC#80(ヨウ素吸着量36mg/g、DBP吸油量91ml/100g)、同HTC#100(ヨウ素吸着量40mg/g、DBP吸油量106ml/100g)、東海カーボン社製のシースト116(ヨウ素吸着量53mg/g、DBP吸油量133ml/100g)、同シースト116HM(ヨウ素吸着量58mg/g、DBP吸油量158ml/100g)(以上、いずれも商品名)などが挙げられる。
充填剤としては、例えば、クレー、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミなどが例示される。充填剤は、上記ゴム成分100質量部に対して、通常、2〜60質量部、好ましくは5〜50質量部の範囲で使用される。2質量部未満では添加による効果が得られず、逆に60質量部を超えると、本発明の効果が十分に得られないだけでなく、機械的強度なども低下するおそれがある。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、パラフィンなどが挙げられる。軟化剤は、ゴム成分100質量部に対して、通常、10〜50質量部の範囲で使用される。10質量部未満では添加による効果が十分に得られず、50質量部を超えるとブルーム等の問題を生ずるおそれがある。
滑剤としては、例えば、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系などが挙げられる。滑剤は、ゴム成分100質量部に対して、通常、1〜5質量部の範囲で使用される。1質量部未満では添加による効果が十分に得られず、5質量部を超えると効果は変わらないばかりかブルームなどの問題を生ずるおそれがある。
本発明で使用される耐オゾン性ゴム組成物は、上記したようなゴム成分、老化防止剤、架橋剤、および架橋促進剤、並びに、必要に応じて配合される上述した各種成分を、バンバリーミキサー、タンブラー、加圧ニーダー、混練押出機、ミキシングローラなどの通常の混練機を用いて均一に混合することにより容易に調製することができる。
本発明で使用される耐オゾン性ゴム組成物は、以下の特性を満足するものであることが好ましい。
(1)JIS K 6300−1のムーニースコーチ試験に準拠し、測定温度125℃で、L型ロータを用いて測定されるスコーチタイムtが、8分以上である。
(2)組成物を150℃、60分間の条件で架橋させて作製されたJIS K 6251に規定する3号型ダンベル試験片を、JIS K 6259に規定する静的オゾン劣化試験にしたがって、40℃、オゾン濃度150ppmの雰囲気中に50%の伸びを与えた状態で1時間曝露したとき、前記試験片に亀裂の発生が認められない。
本発明の耐オゾン性ケーブルは、上記耐オゾン性ゴム組成物を、導体上に直接もしくは他の被覆を介して押出被覆し、加熱架橋することにより製造される。導体の材質や外径、撚り合せの有無などは特に限定されるものではなく、用途によって適宜選択される。また、耐オゾン性ゴム組成物を架橋させる際の温度条件は、通常、140〜190℃である。
図1は、本発明の一実施形態に係る耐オゾン性ケーブルを示す横断面図である。
図1に示すように、本実施形態の耐オゾン性ケーブル10は、1本乃至複数本のすずめっき軟銅線などからなる導体11を示している。この導体11上には、常法により架橋ポリエチレンからなる絶縁体12が設けられている。そして、この絶縁体12上には、さらに、前述した耐オゾン性ゴム組成物を押出被覆した後、加熱架橋することによってシース13が形成されている。
本実施形態の耐オゾン性ケーブル10においては、クロロプレンゴムに特定の3タイプの老化防止剤を特定の割合で配合した耐オゾン性ゴム組成物の架橋体からなる被覆を備えている。この被覆を構成する耐オゾン性ゴム組成物は、スコーチ安定性が良好なうえに、優れた耐オゾン性を有している。したがって、厳しいオゾン架橋下であっても十分に使用できる電気的、機械的特性を具備することができる。
図2は、本発明の他の実施形態に係る難燃性電線・ケーブルを示す横断面図である。
本実施形態の耐オゾン性ケーブル20は、導体11上に架橋ポリエチレンからなる絶縁体12を被覆した絶縁心線21を3本、介在14とともに撚り合せ、その外周に、押え巻きテープ15を介して、シース13を被覆した構造を有する。そして、シース13は、前述した耐オゾン性ゴム組成物を押出被覆した後、加熱架橋することによって形成されている。
本実施形態の耐オゾン性ケーブル20においても、第1の実施形態の難燃性電線・ケーブル10と同様、前述した耐オゾン性ゴム組成物からなるシース13を備えるので、厳しいオゾン架橋下であっても十分に使用できる電気的、機械的特性を具備することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。以下の実施例では、図1および図2に示した耐オゾン性ケーブルのシース13の特性を、シース13を模擬した同一組成のゴムシートの架橋体についての特性で評価しているが、この評価方法は、当業界で慣用されているケーブルシースの特性についての評価方法である。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた成分は以下の通りである。
(a)ゴム
クロロプレンゴム(A):昭和電工(株)製 商品名 ショウプレンW
(ムーニー粘度[ML1+4,100℃]42〜51)
クロロプレンゴム(B):昭和電工(株)製 商品名 ショウプレンWB
(ムーニー粘度[ML1+4,100℃]42〜51)
天然ゴム:SMRCV60
(b)顔料
カーボンブラック(A):新日化カーボン(株)製 商品名 HTC#80
(ヨウ素吸着量36mg/g、DBP吸油量91ml/100g)
カーボンブラック(B):東海カーボン(株)製 商品名 シースト116
(ヨウ素吸着量53mg/g、DBP吸油量133ml/100g)
(c)充填剤
クレー:丸尾カルシウム(株)製 商品名 OAクレー
(d)老化防止剤
フェニレンジアミン系:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン;
大内新興化学工業(株)製 商品名 ノクラック6C
ジフェニルアミン系:オクチル化ジフェニルアミン;
大内新興化学工業社製 商品名 ノクラックAD−F
イミダゾール系:2−メルカプトベンズイミダゾール
大内新興化学工業(株)製 商品名 ノクラックMB
(e)架橋促進剤
ジ−2−ベンゾチアゾリルスルフィド:
大内新興化学工業(株)製 商品名 ノクセラーDM−P
エチレンチオウレア:川口化学工業(株)製 商品名 アクセル22−S
(f)軟化剤 プロセスオイル:三共油化工業(株)製 商品名 サンキョウSNH−22
パラフィン:谷口石油(株)製 商品名 パラペレ130
(g)滑剤
ワセリン:工業用白ワセリンNo.7
(h)架橋剤
酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製 商品名 キョウワマグ150
酸化亜鉛:酸化亜鉛2種
実施例1〜5、比較例1〜4
上記各成分を用い、表1に示す配合組成のゴム組成物を調製した。すなわち、各成分を表1に示す組成比となるように配合し、ミキシングロールを用いて均一に混練してゴム組成物を調製した。
上記のゴム組成物について、下記に示す方法でスコーチタイムを測定し、スコーチに対する安定性を評価した。
[スコーチタイムt
JIS K 6300−1のムーニースコーチ試験に準拠し、測定温度125℃で、L型ロータを用いて測定した。
また、上記ゴム組成物を、プレスによりシート状に押出し、150℃で60分間加熱架橋して厚さ2mmのゴムシートを作製し、下記に示す方法で各種特性を評価した。
[引張強さ、伸び]
上記ゴムシートからJIS K 6251に規定する3号形ダンベル試験片を打ち抜き、この試験片について、JIS K 6251に規定の引張試験(標線間隔20mm、引張速度200mm/分)を行い、破断時の引張強さおよび伸びを測定した。
[オゾン劣化試験[I]]
上記ゴムシートからJIS K 6251に規定する1号型ダンベル試験片を打ち抜き、この試験片について、下記の曝露条件[I]でJIS K 6259に規定する静的オゾン劣化試験を行い、亀裂および/または破断の発生の有無を確認した。
曝露条件[I]:40℃、オゾン濃度150ppm、3時間、伸び率25%
[オゾン劣化試験[II]]
上記ゴムシートからJIS K 6251に規定する3号型ダンベル試験片を打ち抜き、この試験片について、下記の曝露条件[II]でJIS K 6259に規定する静的オゾン劣化試験を行い、亀裂および/または破断の発生の有無を確認した。
曝露条件[II]:40℃、オゾン濃度150ppm、1時間、伸び率50%
これらの結果を、表1に併せ示す。
Figure 2013171711
表1から明らかなように、実施例に係るゴム組成物は、クロロプレンゴム100質量部に対する配合量を、フェニレンジアミン系老化防止剤1.0〜5.0質量部、ジフェニルアミン系老化防止剤1.0〜5.0質量部、およびイミダゾール系老化防止剤0.1〜3.0質量部とすることによりスコーチタイムt5、引張強さ、伸び、オゾン劣化試験〔I〕、オゾン劣化試験〔II〕において良好な結果が得られた(実施例1〜5)。
また、クロロプレンゴム100質量部に対する配合量を、フェニレンジアミン系老化防止剤2.0〜4.0質量部、ジフェニルアミン系老化防止剤2.0〜4.0質量部、およびイミダゾール系老化防止剤0.5〜2.0質量部とすることにより、引張強さ、伸びにおいて更に良好な結果が得られた(実施例3)。

Claims (6)

  1. クロロプレンゴム100質量部に対し、フェニレンジアミン系老化防止剤1.0〜5.0質量部、ジフェニルアミン系老化防止剤1.0〜5.0質量部、およびイミダゾール系老化防止剤0.1〜3.0質量部を含有する組成物の架橋体からなる被覆を備えることを特徴とする耐オゾン性ケーブル。
  2. 前記クロロプレンゴム100質量部に対し、前記フェニレンジアミン系老化防止剤を2.0〜4.0質量部、前記ジフェニルアミン系老化防止剤を2.0〜4.0質量部、前記イミダゾール系老化防止剤を0.5〜2.0質量部を含有することを特徴とする請求項1記載の耐オゾン性ケーブル。
  3. 前記組成物が、前記フェニレンジアミン系老化防止剤としてN−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンを含み、前記ジフェニルアミン系老化防止剤としてオクチル化ジフェニルアミンを含み、前記イミダゾール系老化防止剤として2−メルカプトベンズイミダゾールを含むことを特徴とする請求項1または2記載の耐オゾン性ケーブル。
  4. 前記組成物が、前記クロロプレンゴム100質量部に対し、架橋促進剤として、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド0.1〜1.0質量部、およびエチレンチオウレア0.2〜0.9質量部をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の耐オゾン性ケーブル。
  5. JIS K 6300−1に準拠して、温度125℃で、L型ロータを用いて測定される前記組成物のスコーチタイムtが、8分以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の耐オゾン性ケーブル。
  6. 前記組成物を150℃、60分間の条件で架橋させて作製されたJIS K 6251に規定する3号型ダンベル試験片を、JIS K 6259に規定する静的オゾン劣化試験にしたがって、40℃、オゾン濃度150ppmの雰囲気中に50%の伸びを与えた状態で1時間曝露したとき、前記試験片に亀裂の発生が認められないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の耐オゾン性ケーブル。
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