JP6720565B2 - 絶縁電線およびケーブル - Google Patents
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導体と、
前記導体の外周に配置され、内層材料からなる内層および外層材料からなる外層を有する絶縁層を備え、
前記内層材料は、
ゴム成分にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトゴム成分を含み、
前記外層材料は、
塩素化ポリエチレン(a)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフト塩素化ポリエチレン(A)と、
ポリエチレン(b)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリエチレン(B)と、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(c)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)と、を含み、
前記絶縁層は、前記内層および前記外層が一体的にシラン架橋されるように構成されている、絶縁電線が提供される。
導体と、
前記導体の外周に配置される絶縁層と、
前記絶縁層の外周に配置され、内層材料からなる内層および外層材料からなる外層を有するシースと、を備え、
前記内層材料は、
ゴム成分にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトゴム成分を含み、
前記外層材料は、
塩素化ポリエチレン(a)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフト塩素化ポリエチレン(A)と、
ポリエチレン(b)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリエチレン(B)と、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(c)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)と、を含み、
前記シースは、前記内層および前記外層が一体的にシラン架橋されるように構成されている、ケーブルが提供される。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るケーブルの断面の概略図である。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1に示すように、本実施形態のケーブル1は、導体11と、絶縁層12と、シース13とを備えて構成されており、シース13は、内層14および外層15を有している。
導体11としては、低酸素銅や無酸素銅等からなる銅線、銅合金線、アルミニウムや銀等からなる金属線、又は金属線を撚り合わせた撚り線を用いることができる。導体11の外径は、ケーブル1の用途に応じて適宜変更することができる。
導体11の外周を被覆するように、電気絶縁性の絶縁層12が設けられている。絶縁層12は、従来公知の樹脂組成物、例えばエチレンプロピレンゴムを含む樹脂組成物で形成されている。絶縁層12の厚さは、ケーブル1の用途に応じて適宜変更することができる。
絶縁層12の外周を被覆するように、電気絶縁性のシース13が設けられている。本実施形態では、シース13において変形を抑制しつつ、高い耐油性および耐寒性を得るために、シース13を、導体11側に位置する内層14と表面側に位置する外層15とを積層させて構成している。上述したように、外層15は、塩素化ポリエチレン、ポリエチレンおよびエチレン−酢酸ビニル(EVA)を含む成分をシラン架橋させて形成され、内層14は、ゴム成分をシラン架橋させて形成され、内層14および外層15が一体的にシラン架橋されている。以下、内層14および外層15それぞれについて詳述する。
内層14は、内層材料を絶縁層12の外周に押し出してシラン架橋させることで形成されており、内層材料のシラン架橋物からなる。
不飽和結合性基としては、塩素系ポリマにシラン化合物をグラフト重合できるようなものであれば限定されず、例えば、ビニル基、メタクリル基およびアクリル基などが挙げられる。これらの中でもメタクリル基が好ましい。メタクリル基を有するシラン化合物(メタクリルシラン)は、塩素系ポリマとの相溶性がよく、塩素系ポリマ中に架橋構造を均一に導入することができる。
加水分解性のシラン基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、フェノキシ基などの加水分解可能な構造を有するものが挙げられる。これらの加水分解可能な構造を有するシラン基として、例えばハロシリル基、アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、フェノキシシリル基などが挙げられる。
外層15は、外層材料を内層14の外周に押し出してシラン架橋させることで形成されており、外層材料のシラン架橋物からなる。
塩素化ポリエチレン(a)は、例えば、線状ポリエチレン(低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなど)を水に懸濁分散させた水性懸濁液に塩素ガスを吹き込むことにより得られるものである。塩素化ポリエチレン(a)の塩素化度は、例えば25%以上45%以下であると好ましく、30%以上40%以下であるとより好ましい。このような塩素化ポリエチレン(a)によれば、シラン化合物を好適にグラフト重合させることができ、架橋させたときに架橋度を所望の範囲に調整しやすい。
なお、塩素化ポリエチレン(a)にグラフト重合させるシラン化合物としては、上述したものを用いることができ、メタクリル基を有するシラン化合物(メタクリルシラン)が好ましい。また、過酸化物としては、上述したものを用いることができる。
ポリエチレン(b)としては、シラン化合物をグラフト重合できるものであれば、特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を用いることができる。外層材料の未架橋状態での耐変形性をより向上させる観点からは、ポリエチレン(b)としては、密度が高いものを用いるとよい。その理由は、ポリエチレン(b)は、密度が高くなるほど結晶成分が多くなり、硬度が高くなるからである。具体的には、密度が0.90g/ml以上であることが好ましい。一方、密度が高すぎると、外層材料の硬度が過度に高くなるので、シース13の可とう性が損なわれるおそれがある。そのため、密度の上限値は、0.95g/ml以下であることが好ましい。
なお、ポリエチレン(b)にグラフト重合させるシラン化合物としては、上述したものを用いることができ、メタクリル基を有するシラン化合物(メタクリルシラン)が好ましい。また、過酸化物としては、上述したものを用いることができる。
EVA(c)としては、シラングラフト塩素化ポリエチレン(A)およびシラングラフトポリエチレン(B)の両者に対する相溶性、シラン化合物のグラフト重合反応性やべたつき等の取扱い性を考慮すると、酢酸ビニル成分が5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
なお、EVA(c)にグラフト重合させるシラン化合物としては、上述したものを用いることができ、メタクリル基を有するシラン化合物(メタクリルシラン)が好ましい。また、過酸化物としては、上述したものを用いることができる。
本実施形態のケーブル1の製造方法は、導体11の外周上に絶縁層12を形成する絶縁層形成工程と、絶縁層12の外周上に内層材料および外層材料を積層させて押し出す押出工程と、内層材料および外層材料を水分に曝して同時にシラン架橋させる架橋工程と、を有する。
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
具体的には、後述の実施例に示すように、外層15の脆化開始温度を−40℃以下とすることができ、耐寒性を高くすることができる。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
・塩素化ポリエチレン(121℃でのムーニー粘度(ML1+4):55):杭州科利化工株式会社製「CM352L」
・クロロプレンゴム(非加硫変性タイプ、100℃でのムーニー粘度(ML1+4):48):昭和電工株式会社製「ショウプレンW」
・低密度ポリエチレン(密度d:0.922g/ml、MFR:2.3g/10min):プライムポリマ−株式会社製「エボリューSP2030」
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル(VA)含量:28質量%、密度d:0.950g/ml、MFR:6g/10min):三井デュポンポリケミカル株式会社製「エバウレックスEV260」
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業株式会社製「KBM−503」
・ビニルトリメトキシシラン:信越化学工業株式会社製「KBM−1003」
・3−アミノプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業株式会社製「KBM−903」
・ジクミルパーオキサイド:日本油脂株式会社製「DCP」
・安定剤(ハイドロタルサイト):協和化学工業株式会社製「マグセラー1」
・安定剤(エポキシ化大豆油):日本油脂株式会社製「ニューサイザー510R」
・安定剤(酸化マグネシウム):協和化学工業株式会社「キョーワマグ30」
・滑剤(ポリエチレンワックス):三井化学株式会社製「ハイワックスNL200」
・可塑剤(ナフテン系プロセスオイル):出光興産株式会社製「NP−24」
・カーボン(FEFカーボンブラック):旭カーボン株式会社製「旭60G」
・難燃剤(三酸化アンチモン):住友金属鉱山株式会社製「三酸化アンチモン」
・酸化防止剤(4,4´−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)):大内新興化学工業株式会社製「ノクラック300R」
・酸化防止剤(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物):大内新興化学工業株式会社製「ノクラック224」
・シラノール縮合触媒(ジオクチル錫ジネオデカノエート):日東化学株式会社製「ネオスタンU−830」
まず、表1に示すように、粉末状の塩素化ポリエチレン100質量部に対して、過酸化物を0.5質量部と、安定剤(ハイドロタルサイト)を6質量部と、安定剤(エポキシ化大豆油)を6質量部と、滑剤(ポリエチレンワックス)を3質量部と、を添加し、8インチロール機を用いて混練した。このとき、過酸化物を熱分解させずにポリマ中に分散させるために、ロールの表面温度を100℃とし、混練時間を、安定剤等を添加し終えてから5分とした。その後、混練して得られたシートを5mm角の形状にペレタイズし、塩素化ポリエチレンを含むペレットを得た。ペレット同士の粘着を防止するため、ペレットにタルク1質量部をまぶした。
具体的には、まず、得られたペレットにシラン化合物としてのメタクリルシランを、塩素化ポリエチレン100質量部に対してメタクリルシランが5質量部となるように、含浸させた。その後、メタクリルシランを含浸させたペレットを単軸押出機にて加熱しながら混練し、塩素化ポリエチレンにメタクリルシランをグラフト重合させることで、シラングラフト塩素化ポリエチレンを生成した。そして、単軸押出機からシラングラフト塩素化ポリエチレンをストランドとして押し出し、長さ150cmの水槽に導入して水冷した後、ペレタイズした。
なお、グラフト処理では、スクリュ径40mmの単軸押出機を用いた。また、スクリュ直径Dとスクリュ長さLとの比率L/Dを25とした。また、設定温度は、シリンダのホッパー側を80℃、シリンダのヘッド側を200℃、ヘッドを200℃とした。また、スクリュの回転数を20rpm(押出量約120g/分)、スクリュの形状をフルフライト形状とした。また、ダイスとして、穴径直径5mm、穴数3つのダイスを用いた。また、圧縮比は2.0とした。
表1に示すように、シラン化合物の種類をメタクリルシランからビニルシランに変更し、塩素化ポリエチレンに対して材料(A1)と同様にグラフト処理を施すことにより、ビニルシランがグラフト重合されたシラングラフト塩素化ポリエチレンを含む材料(A2)を調製した。
表1に示すように、ポリマの種類を低密度ポリエチレンに変更し、これに対して材料(A1)と同様にグラフト処理を施すことにより、シラングラフトポリエチレンを含む材料(B)を調製した。
表1に示すように、ポリマの種類をエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)に変更し、これに対して材料(A1)と同様にグラフト処理を施すことにより、シラングラフトEVAを含む材料(C)を調製した。
表1に示すように、ポリマの種類をクロロプレンゴムに変更し、これに対して材料(A1)と同様にグラフト処理を施すことにより、シラングラフトクロロプレンゴムを含む材料(D)を調製した。
続いて、上記材料(A1)〜材料(D)とは別に、シラノール縮合触媒を含む触媒マスターバッチを調製した。
具体的には、粉末状の塩素化ポリエチレン100質量部に対して、ハイドロタルサイトを6質量部と、エポキシ化大豆油を6質量部と、ポリエチレンワックスを3質量部と、さらに、シラノール縮合触媒としてのジオクチル錫ジネオデカノエートを2質量部と、を添加し、8インチロール機を用いて混練した。このとき、ロールの表面温度を100℃とし、シラノール縮合触媒を添加してから3分間混練した。その後、混練物からなるシートを5mm角の形状にペレタイズし、触媒マスターバッチを調製した。
(ケーブルの作製)
下記表2に示すように、材料(A1)〜材料(D)と触媒マスターバッチとを混合し、内層材料および外層材料を調製した。
内層材料は、メタクリルシランのシラングラフト塩素化ポリエチレンを含む材料(A1)に触媒マスターバッチを添加してドライブレンドすることにより調製した。
外層材料は、メタクリルシランのシラングラフト塩素化ポリエチレンを含む材料(A1)と、シラングラフトポリエチレンを含む材料(B)と、シラングラフトEVAを含む材料(C)とを60:39:1で混合し、これに触媒マスターバッチを添加してドライブレンドすることにより調製した。
なお、触媒マスターバッチの添加量は、内層材料および外層材料のそれぞれに対して20分の1の質量分とした。
具体的には、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)からなる絶縁層が導体の表面に形成されたEPゴム絶縁体コア(導体断面積8mm2、ゴム絶縁体厚さ1mm、外径3.7mm)の外周に内層材料を厚さが1.5mmとなるように押出被覆した後、外層材料を厚さが0.5mmとなるように押出被覆した。その後、温度60℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中に24時間保管して、内層材料および外層材料をシラン架橋させることにより、内層および外層を有するシースを備えるケーブルを作製した。
なお、内層材料は、スクリュ径75mm、比率L/D20の単軸押出機を用いて、外層材料は、スクリュ径40mm、比率L/D20の単軸押出機を用いて、それぞれ押し出した。
また、内層材料の押出条件は以下のようにした。シリンダ内の温度をネック側に向かって100℃−110℃−115℃−120℃−130℃とし、ネックの温度を130℃、クロスヘッドの温度を130℃、ダイスの温度を130℃とした。スクリュの回転数を15rpm、スクリュの形状をフルフライト形状とした。ケーブルの引取速度を10m/minとした。
また、外層材料の押出条件は以下のようにした。シリンダ内の温度をネック側に向かって100℃−110℃−115℃−120℃−130℃、ネックの温度を130℃、ノズルの温度を130℃とした。スクリュの回転数を25rpm、スクリュの形状をフルフライト形状とした。ケーブルの引取速度を10m/minとした。
作製したケーブルを、以下の方法により評価した。
本実施例では、架橋処理前の外層材料の変形度合いを評価するため、架橋処理前であって未架橋状態での硬度を測定した。具体的には、JIS Aタイプの硬度計を用いて、架橋処理前の外層材料の硬度を測定し、その値が80以上であれば耐変形性に優れ、架橋処理前に巻き取ったとしても変形する可能性が低いものと判断して合格「○」、80未満であれば変形する可能性が高いものとして不合格「×」とした。
架橋処理後のケーブルからシースを剥離し、剥離したシースを6号ダンベルで打ち抜いて試験サンプルを作製し、IRM902号試験油に100℃、24時間の条件で浸漬させた。浸漬前後の試験サンプルについて引張試験を行い、下記式に示すように、破断引張強さの浸漬後の残率を算出した。この残率が65%以上であれば、十分な耐油性を有しているものとして「◎」、60%以上65%未満であれば「○」、60%未満であれば「×」とした。
(破断引張強さの浸漬後残率)=(浸漬後の試験サンプルの引張強さ/浸漬前の試験サンプルの引張強さ)×100
シースの耐寒性を評価するため、シースの脆化温度を測定した。本実施例では、架橋処理後のシースをJISC3005(耐寒)に準拠して試験片を作製の上、打撃試験を実施した(温度は整数(1℃)刻みで変量)。本実施例では、試験片を3つ準備して、2つ以上で破壊が発生し始めるときの温度を脆化温度として、脆化温度が−40℃以下であるものを合格「○」、−40℃を超える温度であるものを不合格「×」とした。
評価結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1では、外層材料の架橋処理前の硬度が84と高く、架橋処理前にケーブルをドラム状に巻き取ったとしても、ケーブル表面(外層)に潰れ等の変形が生じる可能性が低いことが確認された。また、架橋処理後のシースの、耐油試験後の引張強さ残率が69%と高く、耐油性に優れることが確認された。また、シースの脆化温度が−44℃であり、十分な耐寒性を有することが確認された。
実施例2,3では、外層材料に含まれる、シラングラフト塩素化ポリエチレン、シラングラフトポリエチレンおよびシラングラフトEVAの混合比率を、表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に外層材料を調製し、ケーブルを作製した。
実施例2,3によると、外層材料においてシラングラフトEVAの割合を増やすことにより、脆化温度を低くすることができ、耐寒性を向上できることが確認された。
実施例4,5では、内層材料として用いる材料を、材料(A2)もしくは材料(D)に変更した以外は、実施例1と同様にケーブルを作製した。
実施例4,5によると、内層材料に用いる材料を変更しても、実施例1と同様に、外層の変形を抑制しつつ、耐油性および耐寒性を高い水準で両立できることが確認された。
比較例1では、外層材料に材料C(シラングラフトEVA)を配合しない以外は、実施例1と同様にケーブルを作製した。
表2に示すように、比較例1では、外層材料の未架橋状態での硬度を高くして外層での変形を抑制するとともに、耐油性を高く維持できることが確認された。しかし、脆化温度が高く、耐寒性が不十分であることが確認された。これは、シラングラフトEVAを配合せず、シラングラフト塩素化ポリエチレンとシラングラフトポリエチレンとの密着性を高くできないためと考えられる。
比較例2,3では、外層材料に含まれる、シラングラフト塩素化ポリエチレン、シラングラフトポリエチレンおよびシラングラフトEVAの混合比率を、表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に外層材料を調製し、ケーブルを作製した。
比較例2では、シラングラフトEVAの割合を過度に小さくしたためか、シラングラフトEVAの配合による効果を得られず、脆化温度が高くなってしまうことが確認された。
一方、比較例3では、シラングラフトEVAの割合を過度に高くしたために、シラングラフトポリエチレンの割合が低くなり、未架橋状態での硬度が低くなってしまうことが確認された。そればかりか、シラングラフトEVAの増量により、耐油性までが低下してしまうことが確認された。
比較例4,5では、表2に示すように、内層材料として用いる材料を変更するとともに、外層材料に材料C(シラングラフトEVA)を配合しない以外は、実施例1と同様にケーブルを作製した。
比較例4,5では、シラングラフトEVAを配合しないために、比較例1と同様に脆化温度が高く、耐寒性が不十分であることが確認された。
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、
導体と、
前記導体の外周に配置され、内層材料からなる内層および外層材料からなる外層を有する絶縁層を備え、
前記内層材料は、
ゴム成分にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトゴム成分を含み、
前記外層材料は、
塩素化ポリエチレン(a)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフト塩素化ポリエチレン(A)と、
ポリエチレン(b)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリエチレン(B)と、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(c)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)と、を含み、
前記絶縁層は、前記内層および前記外層が一体的にシラン架橋されるように構成されている、絶縁電線が提供される。
付記1の絶縁電線において、好ましくは、
前記外層材料は、前記シラングラフト塩素化ポリエチレン(A)を60質量%と、前記シラングラフトポリエチレン(B)を35質量%以上39質量%以下と、前記シラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)を1質量%以上5質量%以下とを、合計が100質量%となるように含有する。
付記1又は2の絶縁電線において、好ましくは、
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(c)は、酢酸ビニル含量が5質量%以上50質量%以下である。
付記1〜3のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記塩素化ポリエチレン(a)は、塩素過度が25質量%以上45質量%以下である。
付記1〜4のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記ポリエチレン(b)は、密度が0.90g/ml以上0.95g/ml以下である。
付記1〜5のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記シラン化合物は、メタクリル基を有する。
付記1〜6のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記絶縁層は、脆化開始温度が−40℃以下となるように構成されている。
付記1〜7のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記内層材料に含まれる前記ゴム成分が、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴムおよびクロロスルホン化ポリエチレンの少なくとも1つである。
本発明の他の態様によれば、
導体と、
前記導体の外周に配置される絶縁層と、
前記絶縁層の外周に配置され、内層材料からなる内層および外層材料からなる外層を有するシースと、を備え、
前記内層材料は、
ゴム成分にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトゴム成分を含み、
前記外層材料は、
塩素化ポリエチレン(a)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフト塩素化ポリエチレン(A)と、
ポリエチレン(b)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリエチレン(B)と、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(c)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)と、を含み、
前記シースは、前記内層および前記外層が一体的にシラン架橋されるように構成されている、ケーブルが提供される。
11 導体
12 絶縁層
13 シース
14 内層
15 外層
Claims (8)
- 導体と、
前記導体の外周に配置され、内層材料からなる内層および外層材料からなる外層を有する絶縁層を備え、
前記内層材料は、
ゴム成分にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトゴム成分を含み、
前記外層材料は、
塩素化ポリエチレン(a)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフト塩素化ポリエチレン(A)と、
ポリエチレン(b)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリエチレン(B)と、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(c)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)と、を含み、
前記シラングラフト塩素化ポリエチレン(A)、前記シラングラフトポリエチレン(B)及び前記シラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)の合計100質量%中、前記シラングラフトポリエチレン(B)の含有量が35質量%以上39質量%以下、前記シラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)の含有量が1質量%以上5質量%以下であり、
前記絶縁層は、前記内層および前記外層が一体的にシラン架橋されるように構成されている、絶縁電線。 - 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(c)は、酢酸ビニル含量が5質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の絶縁電線。
- 前記塩素化ポリエチレン(a)は、塩素過度が25質量%以上45質量%以下である、請求項1又は2に記載の絶縁電線。
- 前記ポリエチレン(b)は、密度が0.90g/ml以上0.95g/ml以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁電線。
- 前記シラン化合物は、メタクリル基を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁電線。
- 前記絶縁層は、脆化開始温度が−40℃以下となるように構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の絶縁電線。
- 前記内層材料に含まれる前記ゴム成分が、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴムおよびクロロスルホン化ポリエチレンの少なくとも1つである、請求項1〜6のいずれかに記載の絶縁電線。
- 導体と、
前記導体の外周に配置される絶縁層と、
前記絶縁層の外周に配置され、内層材料からなる内層および外層材料からなる外層を有するシースと、を備え、
前記内層材料は、
ゴム成分にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトゴム成分を含み、
前記外層材料は、
塩素化ポリエチレン(a)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフト塩素化ポリエチレン(A)と、
ポリエチレン(b)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトポリエチレン(B)と、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(c)にシラン化合物がグラフト重合されたシラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)と、を含み、
前記シラングラフト塩素化ポリエチレン(A)、前記シラングラフトポリエチレン(B)及び前記シラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)の合計100質量%中、前記シラングラフトポリエチレン(B)の含有量が35質量%以上39質量%以下、前記シラングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)の含有量が1質量%以上5質量%以下であり、
前記シースは、前記内層および前記外層が一体的にシラン架橋されるように構成されている、ケーブル。
Priority Applications (1)
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