JP2015115090A - 電線・ケーブル - Google Patents

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Naoko Tanaka
菜穂子 田中
道朝 藤田
Michitomo Fujita
道朝 藤田
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Abstract

【課題】押出作業性が良好で、かつ加硫後のゴム物性の低下などもないクロロプレンゴム組成物からなる被覆を備えた電線・ケーブルを提供する。
【解決手段】クロロプレンゴム組成物の架橋体からなる被覆を備えた電線・ケーブルであって、クロロプレンゴム組成物が、クロロプレンゴム100質量部に対して、メタクリル酸塩0.8〜2.2質量部、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド1.0〜3.0質量部を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロロプレンゴム組成物からなる被覆を備えた電線・ケーブルに関する。
クロロプレンゴムは、機械的強度が大きいうえ、耐油性、耐熱性に優れ、また耐候性、耐オゾン性などの特性も良好であることから、これをベースゴムとした組成物が、電線・ケーブルの外被材料として広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。通常、このクロロプレンゴム組成物には、カーボンブラックやシリカなどの無機充填剤が配合される。カーボンブラックは主として加硫ゴムの機械的特性、耐候性などを向上させ、シリカは機械的特性に加え、耐水性などを向上させる。
しかしながら、このようなカーボンブラックなどの無機充填剤の配合によりゴムの物性が向上する反面、ムーニー粘度が上昇し、流動性が低下するため、従来のクロロプレンゴム組成物は、押出加工時の作業性(以下、押出作業性ともいう)が低いという課題を有していた。
流動性を改善するためには、例えば、プロセスオイルなどの軟化剤を多量に配合したり、組成物の製造工程において、混練時間を長くして、ムーニー粘度を低下させることが考えられる。しかしながら、軟化剤の多量配合は加硫ゴムの物性の低下や軟化剤のゴム表面への移行析出を招くおそれがある。一方、混練時間の増加は、熱履歴の増加によってスコーチ安定性や耐熱性を低下させるおそれがある。
特開2013−23518号公報
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、押出作業性が良好で、しかも軟化剤を多用したり混練時間を増加させたりした場合のような、加硫後のゴム物性の低下、軟化剤の表面への移行析出、スコーチ安定性および耐熱性の低下などの不都合が生ずることのないクロロプレンゴム組成物からなる被覆を備えた電線・ケーブルを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様の電線・ケーブルは、クロロプレンゴム組成物の架橋体からなる被覆を備えた電線・ケーブルであって、前記クロロプレンゴム組成物が、クロロプレンゴム100質量部に対して、メタクリル酸塩0.8〜2.2質量部、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド1.0〜3.0質量部を含有するものである。
本発明の第2の態様は、第1の態様の電線・ケーブルにおいて、前記クロロプレンゴム組成物が、クロロプレンゴム100質量部に対して、メタクリル酸塩1.0〜2.0質量部、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド1.2〜2.5質量部を含有するものである。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様の電線・ケーブルにおいて、前記メタクリル酸塩が、メタクリル酸亜鉛およびメタクリル酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であるものである。
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様のいずれかの態様の電線・ケーブルにおいて、前記クロロプレンゴム組成物が、クロロプレンゴム100質量部に対して、無機充填剤28〜38質量部を含有するものである。
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様のいずれかの態様の電線・ケーブルにおいて、JIS K 6300−1に準拠して、温度100℃で測定される前記クロロプレンゴム組成物のムーニー粘度が、50〜70であるものである。
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様のいずれかの態様の電線・ケーブルにおいて、JIS K 6300−1に準拠して、温度125℃で測定される前記クロロプレンゴム組成物のスコーチタイムtが、10分以上であるものである。
本発明によれば、押出作業性が良好で、しかも軟化剤を多用したり混練時間を増加させたりした場合のような、加硫後のゴム物性の低下、軟化剤の表面への移行析出、スコーチ安定性および耐熱性の低下などの不都合が生ずることのないクロロプレンゴム組成物からなる被覆を備えた電線・ケーブルが提供される。
本発明の電線・ケーブルの一実施形態を示す横断面図である。 本発明の電線・ケーブルの他の実施形態を示す横断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明において使用されるクロロプレンゴム組成物について説明する。
本発明に係るクロロプレンゴム組成物においては、ゴム成分として、主鎖中に二重結合を有し、その一方の炭素原子に塩素原子が結合したポリマーであるクロロプレンゴム(CR)が使用される。クロロプレンゴムは、その分子量などに制限されることなく、市販の各種グレードのものが使用可能であるが、加工性などの観点からは、JIS K 6300−1に準拠して測定されるムーニー粘度ML1+4(100℃)が35〜60のものを使用することが好ましく、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が40〜55のものがより好ましい。クロロプレンゴムとして好適な市販品を例示すると、例えば、昭和電工(株)製のショウプレンW(ムーニー粘度ML1+4(100℃)42〜51)、ショウプレンWB(ムーニー粘度ML1+4(100℃)42〜51)、東ソー(株)製のスカイプレンB−30(ムーニー粘度ML1+4(100℃)49)などが挙げられる。
本発明においては、クロロプレンゴム以外の各種合成ゴムを、本発明の効果を阻害しない範囲で、クロロプレンゴムと併用することができる。このような合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴムの他、エチレンプロピレンゴム(EP)などのオレフィン系ゴム、臭素化ブチルゴムなどのハロゲン化ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンなどが挙げられる。
クロロプレンゴムは、前述したように、機械的強度、耐油性、耐熱性に優れ、またオゾンに対する反応性が低いなど、ケーブルの被覆材料として優れた特性を有しており、これらの特性を維持する観点から、他の合成ゴムを併用する場合には、少なくともクロロプレンゴムがゴム成分全体の50質量%以上配合されるようにすることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明においては、上記クロロプレンゴムの架橋剤としてメタクリル酸塩を使用するとともに、架橋促進剤としてテトラメチルチウラムモノスルフィドを使用する。このような特定の架橋剤と架橋促進剤を組み合わせることにより、押出加工時の作業性の指標の一つであるムーニー粘度の上昇を抑え、押出作業性を向上させることができる。また、ムーニー粘度の上昇が抑えられることによって、後述するような各種添加剤の分散性を向上させることができ、架橋後のゴムの物理的特性および耐熱性を高めることができる。
架橋剤として用いるメタクリル酸塩の具体例としては、例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸ネオジウム、などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。メタクリル酸塩としては、なかでもメタクリル酸亜鉛、メタクリル酸カルシウムが、本発明の目的のためには好ましい。このメタクリル酸塩の配合量は、クロロプレンゴム100質量部に対し、0.8〜2.2質量部の範囲であり、好ましくは1.0〜2.0質量部、より好ましくは1.2〜1.8質量部、より一層好ましくは1.4〜1.6質量部である。メタクリル塩の配合量が、クロロプレンゴム100質量部に対し0.8質量部未満では、組成物のムーニー粘度の上昇を抑える効果が小さいうえに、架橋が不十分となって架橋後のゴム物性が低下するおそれがある。また、メタクリル酸塩の配合量が、クロロプレンゴム100質量部に対し、2.2質量部を超えると、効果はさほど変わらず、逆にブルームなどの問題を生ずるおそれがある。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、クロロプレンゴムの架橋剤として一般に知られているものを、上記メタクリル酸塩と併用することができる。このような架橋剤の例としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛などの金属酸化物が挙げられる。また、硫黄や硫黄系架橋剤なども、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて配合することができる。さらに、アクリル酸塩(例えば、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウムなど)などの、上記メタクリル酸塩以外の重合性金属塩モノマーも、クロロプレンゴムの架橋剤として機能し得ることから、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。
架橋促進剤として用いるテトラメチルチウラムモノスルフィドは、チウラム系架橋促進剤として知られる下記式で示される化合物である。市販品を例示すると、例えばノクセラーTS(大内新興化学工業(株)製 商品名)などが挙げられる。
Figure 2015115090
このテトラメチルチウラムモノスルフィドの配合量は、クロロプレンゴム100質量部に対し、1.0〜3.0質量部の範囲であり、好ましくは1.2〜2.5質量部、より好ましくは1.5〜2.3質量部、より一層好ましくは1.8〜2.1質量部である。テトラメチルチウラムモノスルフィドの配合量が、クロロプレンゴム100質量部に対し1.0質量部未満では、組成物のムーニー粘度の上昇を抑える効果が小さい。また、テトラメチルチウラムモノスルフィドの配合量が、クロロプレンゴム100質量部に対し、3.0質量部を超えると、効果はさほど変わらず、逆にブルームなどの問題を生ずるおそれがある。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、テトラメチルチウラムモノスルフィド以外の架橋促進剤を少なくとも1種併用することができる。併用する架橋促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系;N−tert−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−オキシエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドなどのスルフェンアミド系;トリメチルチオウレア、エチレンチオウレア(2−メルカプトイミダゾリン)、N,N’−ジエチルチオウレア、N,N’−ジブチルチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレアなどのチオウレア系;ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピぺリジン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸塩系;ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール系、1,3−ジ−o−トリルグアニジンなどのグアニジン系架橋促進剤などが挙げられる。
本発明に係るクロロプレンゴム組成物においては、加硫後のゴム特性、特に機械的特性、耐候性、耐熱性、耐水性などを高めるため、通常、無機充填剤が配合される。
無機充填剤としては、例えば、カーボンブラック、クレー、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミなどが例示される。無機充填剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。無機充填剤は、上記ゴム成分100質量部に対して、通常、28〜38質量部、好ましくは30〜35質量部の範囲で使用される。28質量部未満では添加による効果が得られず、逆に38質量部を超えると、本発明の効果が十分に得られないだけでなく、機械的強度なども低下するおそれがある。
なお、空港における飛行機の進入路、滑走路、誘導路などの透過設備に使用するケーブルのような、特に耐候性、可とう性などが要求される用途に使用する電線・ケーブルにおいては、カーボンブラックの使用が好ましい。カーボンブラックの好ましい市販品を例示すると、例えば、旭カーボン(株)製の旭#55(ヨウ素吸着量25mg/g、DBP吸油量87ml/100g)、新日化カーボン(株)製のHTC#80(ヨウ素吸着量36mg/g、DBP吸油量91ml/100g)、同HTC#100(ヨウ素吸着量40mg/g、DBP吸油量106ml/100g)、東海カーボン社製のシースト116(ヨウ素吸着量53mg/g、DBP吸油量133ml/100g)、同シースト116HM(ヨウ素吸着量58mg/g、DBP吸油量158ml/100g)(以上、いずれも商品名)などが挙げられる。カーボンブラックは、上記ゴム成分100質量部に対して、10〜40質量部の範囲の使用が好ましく、15〜35質量部の範囲がより好ましい。
本発明に係るクロロプレンゴム組成物には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合される、軟化剤、滑剤、老化防止剤、架橋助剤などを配合することができる。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、パラフィンワックスなどが挙げられる。軟化剤は、ゴム成分100質量部に対して、通常、2〜20質量部の範囲で使用される。2質量部未満では添加による効果が十分に得られず、20質量部を超えるとブルームなどの問題を生ずるおそれがある。
滑剤としては、例えば、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系などが挙げられる。滑剤は、ゴム成分100質量部に対して、通常、1〜5質量部の範囲で使用される。1質量部未満では添加による効果が十分に得られず、5質量部を超えると効果は変わらないばかりかブルームなどの問題を生ずるおそれがある。
老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシポロピル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミンなどのフェニレンジアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンなどのジフェニルアミン系老化防止剤;2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾールなどのイミダゾール系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体などのアミンケトン系老化防止剤;2,6−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのモノフェノール系老化防止剤;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)などのビスフェノール系老化防止剤;2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンなどのポリフェノール系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素などのチオウレア系老化防止剤、チオジプロピオン酸ジラウリルなどの有機チオ酸系老化防止剤などが挙げられる。老化防止剤は、ゴム成分100質量部に対して、通常、1〜20質量部の範囲で使用される。1質量部未満では添加による効果が十分に得られず、20質量部を超えると効果は変わらないばかりかブルームなどの問題を生ずるおそれがある。
本発明で使用されるクロロプレンゴム組成物は、上記したようなゴム成分、架橋剤、および架橋促進剤、並びに、必要に応じて配合される上述した各種成分を、バンバリーミキサー、タンブラー、加圧ニーダー、混練押出機、ミキシングローラなどの通常の混練機を用いて均一に混合することにより容易に調製することができる。
本発明で使用されるクロロプレンゴム組成物は、以下の特性を満足するものであることが好ましい。
(1)JIS K 6300−1のムーニー粘度試験に準拠し、測定温度100℃で、L型ロータを用いて測定されるムーニー粘度が、50〜70である。より好ましくは55〜63であり、より一層好ましくは59〜61である。
(2)JIS K 6300−1のムーニースコーチ試験に準拠し、測定温度125℃で、L型ロータを用いて測定されるスコーチタイムtが、10分以上である。
本発明の電線・ケーブルは、上記クロロプレンゴム組成物を、導体上に直接もしくは他の被覆を介して押出被覆し、加熱架橋することにより製造される。導体の材質や外径、撚り合せの有無などは特に限定されるものではなく、用途によって適宜選択される。また、クロロプレンゴム組成物を架橋させる際の温度条件は、通常、140〜190℃である。
図1は、本発明の一実施形態に係る電線・ケーブルを示す横断面図である。
図1に示すように、本実施形態の電線・ケーブル10は、1本乃至複数本のすずめっき軟銅線などからなる導体11を有している。この導体11上には、常法により架橋ポリエチレンからなる絶縁体12が設けられている。そして、この絶縁体12上には、さらに、前述したクロロプレンゴム組成物を押出被覆した後、加熱架橋することによってシース13が形成されている。
本実施形態の電線・ケーブル10においては、メタクリル酸塩およびテトラメチルチウラムモノスルフィドという特定の架橋剤および架橋促進剤を組み合わせて使用したクロロプレンゴム組成物の架橋体からなるシース13を備えている。このシース13を構成するクロロプレンゴム組成物は、押出被覆時の作業性に優れているうえ、スコーチ安定性や耐熱性が良好で、架橋後のゴム物性に優れ、さらに添加剤が表面へ移行析出することもない。したがって、効率の良い被覆が可能で、かつ機械的特性、耐油性、耐熱性、耐候性、耐オゾン性などに優れたシースを備えることができる。
図2は、本発明の他の実施形態に係る電線・ケーブルを示す横断面図である。
本実施形態の電線・ケーブル20は、導体11上に架橋ポリエチレンからなる絶縁体12を被覆した絶縁心線21を2本、介在14とともに撚り合せ、その外周に、押え巻きテープ15を介して、シース13を被覆した構造を有する。そして、シース13は、前述したクロロプレンゴム組成物を押出被覆した後、加熱架橋することによって形成されている。
本実施形態の電線・ケーブル20においても、第1の実施形態の電線・ケーブル10と同様、前述したクロロプレンゴム組成物からなるシース13を備えるので、効率の良い被覆が可能で、かつ機械的特性、耐油性、耐熱性、耐候性、耐オゾン性などに優れたシースを備えることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。以下の実施例では、図1および図2に示した電線・ケーブルのシース13の特性を、シース13を模擬した同一組成のゴムシートの架橋体についての特性で評価しているが、この評価方法は、当業界で慣用されているケーブルシースの特性についての評価方法である。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた成分は以下の通りである。
(a)ゴム
クロロプレンゴム:東ソー(株)製 商品名 スカイプレンB−30
(ムーニー粘度ML1+4(100℃)49)
(b)充填剤
カーボンブラック:旭カーボン(株)製 商品名 旭#55
(ヨウ素吸着量25mg/g、DBP吸油量87ml/100g)
(c)架橋剤
メタクリル酸塩(A):浅田化学工業(株)製 商品名 メタクリル酸亜鉛
メタクリル酸塩(B):浅田化学工業(株)製 商品名 メタクリル酸カルシウム
硫黄:細井化学工業(株)製 商品名 硫黄#200
(d)架橋促進剤
テトラメチルチウラムモノスルフィド:
大内新興化学工業(株)製 商品名 ノクセラーTS
テトラメチルチウラムジスルフィド:
大内新興化学工業(株)製 商品名 ノクセラーTT
エチレンチオウレア:
川口化学工業(株)製 商品名 アクセル22S
ジ−2−ベンゾチアゾリルスルフィド:
大内新興化学工業(株)製 商品名 ノクセラーDM−P
(e)老化防止剤
オクチル化ジフェニルアミン:
大内新興化学工業(株)製 商品名 ノクラックAD−F
N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン:
大内新興化学工業(株)製 商品名 ノクラック6C
(f)軟化剤
プロセスオイル:富士興産(株)製 商品名 フッコールプロセスP−300
パラフィン:谷口石油(株)製 商品名 パラペレ130
(g)滑剤
ワセリン:工業用白ワセリンNo.7
実施例1〜11、比較例1〜6
上記各成分を用い、表1に示す配合組成のゴム組成物を調製した。すなわち、各成分を表1に示す組成比となるように配合し、ミキシングロールを用いて均一に混練してゴム組成物を調製した。
上記のゴム組成物について、下記に示す方法でムーニー粘度およびスコーチタイムを測定した。
[ムーニー粘度]
JIS K 6300−1のムーニー粘度試験に準拠し、測定温度100℃で、L型ロータを用いて測定した。
[スコーチタイムt
JIS K 6300−1のムーニースコーチ試験に準拠し、測定温度125℃で、L型ロータを用いて測定した。
また、上記ゴム組成物を、プレスによりシート状に押出し、150℃で60分間加熱架橋して厚さ2mmのゴムシートを作製し、下記に示す方法で各種特性を評価した。
[引張強さ、伸び]
上記ゴムシートからJIS K 6251に規定する3号形ダンベル試験片を打ち抜き、この試験片について、JIS K 6251に規定の引張試験(標線間隔20mm、引張速度200mm/分)を行い、破断時の引張強さおよび伸びを測定した。
[熱老化性]
上記ゴムシートからJIS K 6251に規定する3号型ダンベル試験片を打ち抜き、この試験片を70℃で96時間熱老化させた後、JIS K 6251に規定の引張試験(標線間隔20mm、引張速度200mm/分)を行い、破断時の引張強さおよび伸びを測定し、熱老化前の引張強さおよび伸びからの残存率を求めた。
[作業性]
上記ゴム組成物をシート状に押出した際の作業性を下記の基準で評価した。
◎:非常に円滑に押し出すことができ、形状に歪みも全く認められない
○:円滑に押し出すことができ、形状に歪みも認められない
△:円滑に押し出すことができるが、形状に歪が認められる
×:円滑に押出すことができず、形状にも歪が認められる
これらの結果を、表1および表2に併せ示す。
Figure 2015115090
Figure 2015115090
表1および表2から明らかなように、クロロプレンゴム100質量部に対し、メタクリル酸塩0.8〜2.2質量部、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド1.0〜3.0質量部を使用することにより、ムーニー粘度、スコーチタイム、加硫後のゴム特性(引張強さ、伸び、熱老化特性)、作業性において良好な結果が得られた(実施例1〜11)。
また、クロロプレンゴム100質量部に対し、メタクリル酸塩1.0〜2.0質量部、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド1.2〜2.5質量部を使用することにより、
ムーニー粘度、引張強さ、伸び、作業性においてさらに良好な結果が得られた(実施例5〜7)。

Claims (6)

  1. クロロプレンゴム組成物の架橋体からなる被覆を備えた電線・ケーブルであって、
    前記クロロプレンゴム組成物は、クロロプレンゴム100質量部に対して、メタクリル酸塩0.8〜2.2質量部、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド1.0〜3.0質量部を含有することを特徴とする電線・ケーブル。
  2. 前記クロロプレンゴム組成物が、クロロプレンゴム100質量部に対して、メタクリル酸塩1.0〜2.0質量部、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド1.2〜2.5質量部を含有することを特徴とする請求項1記載の電線・ケーブル。
  3. 前記メタクリル酸塩が、メタクリル酸亜鉛およびメタクリル酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の電線・ケーブル。
  4. 前記クロロプレンゴム組成物が、クロロプレンゴム100質量部に対して、無機充填剤
    28〜38質量部を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電線・ケーブル。
  5. JIS K 6300−1に準拠して、温度100℃で測定される前記クロロプレンゴム組成物のムーニー粘度が、50〜70であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の電線・ケーブル。
  6. JIS K 6300−1に準拠して、温度125℃で測定される前記クロロプレンゴム組成物のスコーチタイムtが、10分以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の電線・ケーブル。
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