JP5350673B2 - 導電性ゴム組成物 - Google Patents
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Description
(油展ゴム)
本発明における油展ゴムとは、加硫可能なゴム成分に、油展成分として鉱物オイルやパラフィンや、ナフテン系オイルなどを添加したゴム組成物である。加硫可能なゴム成分としては、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム(三元共重合体であるものも含む)を例示でき、本発明の実施においては、油展スチレン−ブタジエンゴム、あるいは油展エチレン−プロピレンゴム、油展エチレン−プロピレン−ジエンゴムを使用することが特に好ましい。これらゴムは、単独で、または、2種類以上混合して使用することができる。本発明においては、油展ゴムにはカーボンブラックは実質的に配合しないので、得られるゴム組成物は淡黄白色のものとなり、後述する顔料などにより着色を行うことができるゴム組成物が得られる。
本発明に使用する銀粉は、化学還元法により得られた銀粉を更に焼成して調製した銀粉である。好ましくは、銀粉は、比表面積(BET法による)が0.2〜2.0(m2/g) 更に好ましくは1.0〜2.0(m2/g)であり、タップ密度が1.0〜4.0(g/cm3) 更に好ましくは1.0〜2.0(g/cm3)であり、平均粒径(50%D)が3.0〜40(μm)更に好ましくは5.0〜15(μm)であるようなものを使用する。なお、タップ密度の測定は、ISO3953−1977(E) Metallic Powders Determination of tap density に準拠し、平均粒径(50%D)はレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば島津製作所製 SALD−3000J)で行う測定値である。また、銀粉は、表面処理がなされていてもよいが、少なくとも体積抵抗率が9.9×10−3(Ω・cm)以下のものであることが好ましい。
本発明の導電性ゴム組成物には、界面活性剤を配合することが好ましく、特にノニオン系界面活性剤を配合することが好ましい。本発明におけるノニオン系界面活性剤とは、両性界面活性剤(イオン性界面活性剤)と、狭義のノニオン系界面活性剤(イオン性でない界面活性剤)とを含む概念である。本発明に使用できるノニオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド、ポリオキシエチレンココナットアルキルアミン等が例示できる。特に、ポリオキシエチレンココナットアルキルアミンの使用が好ましい。これらの界面活性剤は単独で、または二種以上混合して用いることができ、界面活性剤の使用量はゴム100重量部に対して、0.5〜10重量部程度である。
界面活性剤を配合することにより、導電性ゴム組成物の導電性や伸びを更に改善することができる。
本発明のゴム組成物は、未加硫であっても加硫されていても良い。但し、加硫されている方が引張強さや形状安定性の面で好ましい。加硫剤として、硫黄や有機過酸化物が使用できる。しかし、加硫剤として硫黄を用いる場合には、特に表面処理等を行なっていない銀粉において、銀が硫化されて体積固有抵抗が変化することもあるため、組成物の調整過程において、温度や時間などの条件に配慮する必要がある。架橋剤として使用できる有機過酸化物としては、例えば、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、エチルメチルケトンペルオキシド、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレル、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、α、α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン−3、t−ブチルペルオキシクメンなどの種々の有機過酸化物が例示される。これらの有機過酸化物加硫剤は単独で、または二種以上混合して使用することができ、加硫剤の使用量は、ゴム成分100重量部(油展重量部は含まず)に対して1〜15重量部、より好ましくは2.5〜10重量部程度である。なお、加硫は、例えば、100〜200℃程度で行なうことができる。
導電性ゴム組成物を、未加硫の組成物として用いる場合には、加硫剤や加硫助剤、加硫促進剤を添加しなくて良い。
また、加硫助剤として不飽和二重結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する重合性モノマーを含むものを配合する事も可能である。重合性モノマーとしては、ジビニルベンゼンなどのビニル基を有する化合物;アリル基を有する化合物;アルキル基、アリル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基などの酸性基、グリシジル基、アミド基やアルキルアミノ基を有するアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレートなどの2以上のアクリロイル基を有する多官能性モノマー;これらのアクリレートに対応するメタクリレートなどが例示される。他にも加硫助剤として金属酸化物を用いる事もできる。例えばセレン、テルル、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが例示される。これら加硫助剤の配合量は、ゴム成分100重量部(油展重量部は含まず)に対して1〜20重量部程度である。
更に、加硫剤に拠っては加硫促進剤や加硫促進助剤を用いても良い。例示として
グァニジン系(ジフェニル・グァニジン、ジ・オルトトリル・グァニジン、オルト・トリル・ビグァニド、ジカテコール・ホウ酸のジオルト・トリル・グァニジン塩)、アルデヒド−アミン系(n−ブチルアルデヒド−アニリン縮合品等)アルデヒド−アンモニア系(ヘキサメチレン・テトラミン、アセトアルデヒド・アンモニア)、チアゾール系(2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール)、スルフェンアミド系(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド,N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド,N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド,N−第三ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド,N−第三ブチル−ジ(2−ベンゾチアゾール)スルフェンイミド、)チオ尿素系(チオカルバニリド、エチレン・チオ尿素、ジエチル・チオ尿素、ジブチル・チオ尿素、トリメチル・チオ尿素、ジラリウル・チオ尿素)、チウラム系(テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、活性化テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラブチルチウラム・ジスルフィド、N,N−ジメチル−N,N’―ジフェニルチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・テトラまたはヘキサスルフィド、ジベンジルアミンとモノベンジルアミンの混合品、ベンゾチアジル−2−スルフェンモルホリド、ベンゾチアジル−2−ジシクロヘキシルスルフェンアミド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムスルフィド)ジチオカルバミン酸塩系(ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジル・ジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレン・ジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンフェニル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル・ジチオカルバミン酸テルル、ジメチル・ジチオカルバミン酸銅、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉄、ペンタメチレン・ジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレン・ジチオカルバミン酸ピペコリン)、キサントゲン酸塩系(イソプルピル・キサントゲン酸亜鉛、ブチル・キサントゲン酸亜鉛)等が例示され、添加量としては各薬品の最適添加量を添加すれば良い。これらは、2種以上を組み合わせて用い、加硫速度を調整することも可能である。また、無硫黄加硫や低硫黄加硫配合の場合であっても、加硫促進剤等に含まれる硫黄成分によって、銀が硫化されて体積固有抵抗が変化することもあるので、組成物の調整過程において、温度や時間などの条件に配慮する必要がある。さらに、促進剤の種類によっては着色性や汚染性を有する事がある為、本発明の効果を損なわない様にする事が重要である。
また、本発明の組成物には無機充填剤(シリカ(無水ケイ酸、含水ケイ酸等)、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト等)や可塑剤(プロセス油や植物油、サブ等)や発泡剤(ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルホニル・ヒドラジド等)等を本発明の特長を損なわない範囲で添加することができる。
顔料として、無機顔料(酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトボン、バライト、沈降性リュウサンバリウム、炭酸カルシウム、石膏、沈降性シリカ、チタンブラック、合成鉄黒、亜鉛末、亜酸化鉛、スレート粉、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、銀朱、弁柄、モリブデン赤、光明丹、アンバー、酸化鉄茶、カドミウム黄、亜鉛黄、黄土、黄色酸化鉄、黄鉛、チタン黄、酸化クロム緑、コバルト緑、クロム緑、群青、紺青、コバルト青、アルミ粉、ブロンズ粉など)や、有機顔料(アゾ顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、塩基性染料系レーキ、酸性染料系レーキ、媒染染料系レーキ、建染染料系顔料、フタロシアニン顔料など)や、真珠箔などを、本発明の導電性ゴム組成物に添加して着色することができる。
また、本発明は、他の顔料や着色剤による着色や色の識別に差し支えない範囲で、顔料としてカーボンブラックの配合を妨げるものではない。
(体積抵抗率)
体積抵抗率の測定方法については、JIS K 6271:2001の5に準拠した測定を行なった。ただし、導電性が低いサンプル(体積抵抗率が1015のオーダより大きいもの)については、JIS K 6271:2001の6(二重リング電極法)に準拠した測定を行なった。
切断時伸びの試験方法については、JIS K 6251:2004に準拠した測定を行なった。以下の説明では切断時伸びを単に伸びまたはEBと記載する。
(ロール加工性)
試作したゴム組成物のロール加工性の評価基準は次の通りである。
◎ :極めて良好で量産可能と考えられる 〇:良好で量産可能と考えられる
△:良好とはいえないが量産可能と考えられる ×:加工性が悪く量産が非現実的
ゴム成分100部、油展量120部の油展エチレン−プロピレン−ジエンゴム(油展EPDM)である油展ゴムA220部に、銀粉Aを1500部、界面活性剤を1部配合した導電性ゴム組成物を、2段ロールによる混練とシート分出しの後、プレス架橋工程を経て架橋して実施例1の導電性ゴム組成物を調製した。その他の配合物を含めた配合と得られたゴム組成物の評価結果を表1に示す。得られたゴム組成物は、高い伸び(EB)と高い導電性(低い体積抵抗率)を示した。また、銀粉の配合量が比較的高い配合であるが、ロール加工性についても良好な特性を保持している。また、この実施例では、淡黄白色のゴム組成物が得られ、顔料などを配合すれば着色が可能である。
実施例1と比較して、銀粉の配合量を600部と少なくして、界面活性剤を配合しないゴム組成物を調製し、実施例2とした。本配合においても、高い伸びと導電性を備える導電性ゴム組成物が得られ、ロール加工性も良好であった。
比較例として、銀粉を配合しないもの(比較例1)を調製したが、導電性が得られなかった。また、銀粉を2900部配合したもの(比較例2)を調製したが、ロール加工性が量産に向かないレベルまで悪くなるとともに、ゴム組成物の伸びも大幅に低下した。
表8には、他の油展ゴムを用いた本発明の実施例3、実施例4を示す。実施例3では、油展ゴムとして、油展EPDMである油展ゴムB[三井石油化学株式会社製 商品名三井EPT3072E]140部(EPDM100重量部に油展成分40重量部)に銀粉A1000部を配合し、実施例4では油展スチレン−ブタジエンゴム(油展SBR)である油展ゴムC[JSR株式会社製 1778N](SBR100重量部に油展成分37.5重量部)に銀粉A1000部を配合した。いずれの実施例においても、伸びと導電性に優れ、ロール加工性の悪化も許容範囲内であるような、淡黄白色のゴム組成物が得られた。
Claims (4)
- 油展ゴムと、化学還元焼成法により得られた銀粉とを含有する導電性ゴム組成物であって、油展ゴムのゴム成分100重量部に対し、銀粉が600〜1500重量部添加された事を特長とする導電性ゴム組成物。
- 油展ゴムが、油展スチレン−ブタジエンゴムもしくは油展エチレンプロピレンゴム、またはこれらを混合した油展ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ゴム組成物。
- 界面活性剤を含有することを特徴とする請求項2に記載の導電性ゴム組成物。
- 銀粉が比表面積(BET):0.2〜2.0(m2/g)、かつタップ密度:1.0〜4.0(g/cm3)、かつ平均粒径(50%D)が3.0〜40μmであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の導電性ゴム組成物。
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