以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて詳細に説明する。
<1.第1の実施の形態>
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、顧客との間で現金に関する取引を行うようになされている。
筐体2は、その前面2A側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面2Aの上部から上面に渡る箇所に、接客部3が設けられている。
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、硬貨入出金口11、紙幣入出金口12、通帳挿入口13、カード挿入口14及び表示操作部15が設けられている。
硬貨入出金口11及び紙幣入出金口12は、顧客が入金する硬貨及び紙幣がそれぞれ投入されると共に、顧客へ出金する硬貨及び紙幣がそれぞれ排出される部分である。また硬貨入出金口11及び紙幣入出金口12は、それぞれに設けられたシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
通帳挿入口13は、取引で使用される通帳が挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分である。この通帳挿入口13の奥部には、取引内容等を通帳に記録する通帳処理部(図示せず)が設けられている。
カード挿入口14は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード挿入口14の奥部には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
表示操作部15は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額などを入力するタッチパネルとが一体化されている。
図2は、図1の現金自動預払機1を矢印A方向から見た側面図であり、当該現金自動預払機1の内部構成のうち主に紙幣の処理に関する部分を示している。同図に示したように、現金自動預払機1の内部には、上側に接客部3、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部4及び入金紙幣を一時的に保留する一時保留部5等が設けられており、下側に金種別のカセットでなる紙幣貯蔵部6等が設けられている。図中太線で示す搬送路7は、各部の間で紙幣を短辺方向に沿って搬送する。
この現金自動預払機1は、制御部8により全体を統括制御するようになされている。制御部8は、顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、表示操作部15を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金口12のシャッタを開いて紙幣を投入させる。
続いて制御部8は、投入された紙幣を搬送路7を介して鑑別部4へ搬送して鑑別させ、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部5へ搬送して一時的に保留する一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を紙幣入出金口12へ搬送して顧客に返却する。
その後制御部8は、表示操作部15を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部5に保留している紙幣を再び鑑別部4へ搬送して金種を再鑑別させて、搬送路7の一部である紙幣搬送部20を介し、鑑別された金種に応じて紙幣貯蔵部6の各カセットへ搬送し収納させるようになされている。
一方制御部8は、顧客に対し紙幣を出金する出金取引を行う場合、鑑別部4から搬送した紙幣を搬送路7を介して紙幣入出金口12へ搬送して顧客に受け渡す。
[1−2.紙幣搬送部の構成]
図3、図4及び図5に、第1の実施の形態による紙幣搬送部20を示す。図18との対応部分に同一符号を付した図3の図中右側が現金自動預払機1の前面側(以下、単に前側とも呼ぶ)であり、図中左側が現金自動預払機1の後面側(以下、単に後側とも呼ぶ)である。
紙幣搬送部20の前端付近には、図示しないガイドに左右方向に沿って取り付けられた円柱形状の駆動プーリシャフト22が配設されている。
駆動プーリシャフト22は、ギア等の駆動伝達手段を介してモータ26と駆動連結されており、制御部8の制御により図3の図中時計方向及び反時計方向に回転する。
駆動プーリ24(24R及び24L)は、駆動プーリシャフト22を軸として、図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在に、紙幣BLの長辺方向の長さよりも短い間隔を空けて左右に並び2つ設けられている。
駆動プーリ24は歯車状でなり、外周面(周側面)において円周方向(回転方向)に沿って所定ピッチでプーリ歯山部25a及びプーリ歯谷部25bが交互に、円周方向に直交する幅方向(左右方向)に沿って右端から左端まで形成されている。以下では、プーリ歯山部25a及びプーリ歯谷部25bをまとめてプーリ歯部25とも呼ぶ。
駆動プーリシャフト22の後方における紙幣搬送部20の後端付近には、円柱形状の従動プーリシャフト28が左右方向に沿って、図示しないスライド溝により前後方向に移動可能に設けられている。
従動プーリシャフト28には、当該従動プーリシャフト28を軸として従動プーリ30が、図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在に、紙幣BLの長辺方向の長さよりも短い間隔を空けて左右に並び2つ設けられている。
従動プーリ30は歯車状でなり、外周面において円周方向に沿って駆動プーリ24と同様のピッチ及び高さでなるプーリ歯部が右端から左端まで形成されている。
駆動プーリ24及び従動プーリ30の外周面には、駆動プーリ24のプーリ歯部25及び従動プーリ30のプーリ歯部と噛み合うベルト歯部33が内周面に形成された、ゴムでなる駆動ベルト32が架設される。
駆動ベルト32のベルト歯部33は、当該駆動ベルト32の進行方向(循環方向)に直交する幅方向(左右方向)に沿ってプーリ歯山部25aよりもやや低く突設されたベルト歯山部33aと、当該ベルト歯山部33aよりも低く形成されたベルト歯谷部33bとが、当該駆動ベルト32の進行方向に沿って交互に設けられている。
駆動プーリ24及び従動プーリ30の左右両端には、プーリ歯山部25aよりも、当該駆動プーリ24及び従動プーリ30の中心軸から外周面方向に向かう半径方向の外側に位置する高さにフランジが突設することにより、当該駆動プーリ24及び従動プーリ30から駆動ベルト32が左右方向に移動して外れてしまうことを防止している。
従動プーリシャフト28には、前側にオートテンションスプリング34が取り付けられている。当該オートテンションスプリング34は、制御部8の制御に基づき、駆動プーリシャフト22との距離が広がる方向(後ろ方向)に従動プーリシャフト28を付勢することにより駆動ベルト32を張設し、常に一定の張力(ベルトテンション)を確保する。ここで、張力(ベルトテンション)は、ネジ固定などによる調整機構により一定に保つこととしても良い。
図4に示すように、駆動プーリ24Lよりも左側、駆動プーリ24Rよりも右側及び当該駆動プーリ24Lと駆動プーリ24Rとの間において、駆動プーリ24とほぼ同様の外径である円柱形状のローラボス56(56L、56R及び56C)が、駆動プーリシャフト22を軸として図3の図中時計回り及び反時計回りに回転自在に取り付けられている。
ローラボス56Lと56Rとは、紙幣BLの長辺方向の長さよりも短い間隔を空けて左右に配設されている。ローラボス56の外周面には歯部は形成されておらず、円周方向に沿って平らな形状となっている。
従動ローラ58は、ローラボス56の前側において左右方向に沿って延設し図示しないスライド溝により前後方向に移動可能に設けられた円柱形状の従動ローラシャフト60を軸として、ローラボス56の外周面と当接しつつ図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在に設けられる。
従動ローラシャフト60には、前側にテンションスプリング50が取り付けられる。テンションスプリング50は、スライド溝に沿って従動ローラシャフト60を後ろ方向に付勢することにより、駆動ベルト32を挟むことなく従動ローラ58の外周面をローラボス56の外周面に押し付ける。
このように紙幣搬送部20は、搬送路7(図2)から搬送された紙幣BLを、駆動ベルト32の外周面側における紙幣BLが搬送される紙幣搬送路の外側に配置した従動ローラ58と、当該紙幣搬送路の内側において駆動プーリ24及び駆動ベルト32に対し左右方向に位置をずらして配設したローラボス56とで挟持しつつ搬送する。
図5に示すように、駆動プーリ24の下側には、駆動ベルト32を挟んで左右方向に延設する円柱形状の従動ローラシャフト52が図示しないスライド溝により上下方向に移動可能に設けられる。なお図5において従動ローラ58は図示せず省略する。
従動ローラシャフト52には、当該従動ローラシャフト52を軸として図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在な従動ローラ54が設けられる。
従動ローラシャフト52には、下側にテンションスプリング50が取り付けられる。テンションスプリング50は、スライド溝に沿って従動ローラシャフト52を上方向に付勢することにより、当該従動ローラシャフト52により支持される従動ローラ54を上方向に付勢する。
従動ローラ54は、駆動プーリ24に対し、中心軸が距離Mだけ後方に離隔して配置されている。このように従動ローラ54は、駆動プーリ24に対し中心軸を後方にずらすように配設したことで、駆動プーリ24のプーリ歯部25と駆動ベルト32のベルト歯部33との噛み合いが外れ互いに接触していない位置において、駆動ベルト32を駆動プーリ24側に押し付ける。
これにより従動ローラ54は、駆動ベルト32が駆動プーリ24から外れないよう駆動プーリ24側に向かって押し付けると共に、紙幣BLを駆動ベルト32の外周面に押し付け搬送する。
駆動プーリ24と従動プーリ30との間には、駆動プーリシャフト22及び従動プーリシャフト28よりも下方において、左右方向に延びる円柱形状でなる複数のアイドルプーリシャフト36(36a、36b、36c及び36d)が回転自在且つ移動しないよう図示しないガイドにより固定されている。
それぞれのアイドルプーリシャフト36には、当該アイドルプーリシャフト36を軸として図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在でなり駆動プーリ24及び従動プーリ30とほぼ同様の直径でなるアイドルプーリ38(38a、38b、38c及び38d)が設けられている。
アイドルプーリ38は歯車状になっており、外周面において円周方向に沿って駆動プーリ24と同様のピッチ及び高さのプーリ歯部が右端から左端まで形成されている。
アイドルプーリ38の左右何れか、または左右両端には、駆動プーリ24及び従動プーリ30と同様にアイドルプーリ38のプーリ歯山部よりも半径方向における外側までフランジが突設し、当該アイドルプーリ38から駆動ベルト32が脱落してしまうことを防止している。
アイドルプーリシャフト36が駆動プーリシャフト22及び従動プーリシャフト28よりも下方に配置されているため、アイドルプーリ38の下端部は、駆動プーリ24及び従動プーリ30の下端部よりも下方に位置している。
このためそれぞれのアイドルプーリ38は、ベルトテンションに逆らって駆動ベルト32の下部分を下方向に押し下げるよう押圧する。
それぞれのアイドルプーリ38には、駆動ベルト32を挟んで下側において、アイドルプーリシャフト36よりも後方に、左右方向に延び回転自在且つ動かないようガイドに固定された円柱形状の従動ローラシャフト40が設けられる。
従動ローラシャフト40には、当該従動ローラシャフト40を軸として図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在な従動ローラ42(42a、42b、42c及び42d)が、アイドルプーリ38の外周面と当接せずに、且つ当該従動ローラ42の上端部が、アイドルプーリ38の下端部よりも上側に位置するよう設けられる。
このためそれぞれの従動ローラ42は、前後方向に並ぶアイドルプーリ38同士の間において、ベルトテンションに逆らって駆動ベルト32の下部分を上方向に押し上げるよう押圧する。
このようにアイドルプーリ38が駆動ベルト32の下部分を下方向に押し下げると共に、従動ローラ42が当該駆動ベルト32の下部分を上方向に押し上げるため、当該従動ローラ42は、駆動ベルト32のベルトテンションにより下方向に押圧される。
このように紙幣搬送部20は、駆動ベルト32により紙幣BLを従動ローラ42に押し付け、駆動ベルト32と従動ローラ42とで紙幣BLを挟持しつつ搬送する。
これにより紙幣搬送部20は、紙幣搬送部920(図18)と比べて従動ローラシャフト40を付勢するテンションスプリング50を省略することができ、構成を簡略化することができる。
また従動ローラ42は、アイドルプーリ38に対し中心軸を後ろ方向にずらすようにしたことで、アイドルプーリ38のプーリ歯部と駆動ベルト32のベルト歯部33との噛み合いが外れ互いに接触していない位置において、駆動ベルト32をアイドルプーリ38側に押し付ける。
それぞれの従動ローラ42の後方には、制御部8の制御と図示しないアクチュエータとにより紙幣BLの搬送方向を切り替える振り分けブレード44が回動可能に支持されている。
振り分けブレード44は、搬送された紙幣BLの搬送方向を変更しないよう前方から後方へ通過させる状態又は、前方から下方及び下方から前方へ搬送方向を切り替える状態のいずれかの搬送切替状態へ回動する。
従動プーリシャフト28に対し駆動ベルト32を挟んだ下側の前方には、左右方向に延設した円柱形状の従動ローラシャフト46が図示しないスライド溝により上下方向に移動可能に設けられる。
従動ローラシャフト46には、当該従動ローラシャフト46を軸として図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在な従動ローラ48が、従動プーリ30の外周面と当接しないよう設けられる。
従動ローラシャフト46には、下側にテンションスプリング50が取り付けられる。テンションスプリング50は、スライド溝に沿って従動ローラシャフト46を上方向に付勢し、従動ローラ48により駆動ベルト32を上方向に押圧する。
これにより従動ローラ48は、駆動ベルト32が従動プーリ30から外れないよう従動プーリ30側に向かって押し付けると共に、紙幣BLを駆動ベルト32の外周面に押し付け搬送する。
このように従動ローラ48は、従動プーリ30に対し中心軸を前方向にずらすようにしたことで、従動プーリ30のプーリ歯部と駆動ベルト32のベルト歯部33との噛み合いが外れ互いに接触していない位置において、駆動ベルト32を従動プーリ30側に押し付ける。
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLを紙幣貯蔵部6に搬送する際、駆動プーリ24が時計回りに回転することにより駆動ベルト32が時計回りに巡回作動し、従動プーリ30に時計回りの駆動力が伝達することにより、当該従動プーリ30は時計回りに回転する。
搬送部7から搬送されてきた紙幣BLは、駆動ベルト32の外周面の摩擦力を受けつつローラボス56及び従動ローラ58により挟持され送り出された後、駆動ベルト32及び従動ローラ54により挟持されさらに送り出される。
続いて紙幣搬送部20は、従動ローラ42と駆動ベルト32とにより紙幣BLを挟持し、振り分けブレード44の搬送切替状態に応じて、紙幣搬送部20の下方に位置する紙幣貯蔵部6の各カセットのいずれかに搬送する。
このときモータ26の駆動力が伝達され駆動ベルト32と各プーリ(駆動プーリ24、従動プーリ30及びアイドルプーリ38)とは常に回転している。
紙幣搬送部20においては、従動ローラ58は駆動ベルト32ではなくローラボス56の外周面と接触する。また従動ローラ54は、駆動プーリ24のプーリ歯部25と駆動ベルト32のベルト歯部33とが接触しない位置に配設されている。さらに従動ローラ48は、従動プーリ30のプーリ歯部と駆動ベルト32のベルト歯部33とが接触しない位置に配設されている。さらに従動ローラ42は、アイドルプーリ38のプーリ歯部と駆動ベルト32のベルト歯部33とが接触しない位置に配設されている。
このように、紙幣搬送部20においては、それぞれの従動ローラが対応する各プーリのプーリ歯部と、駆動ベルト32のベルト歯部33とが接触しない位置に配設するようにした。
このため従動ローラ42、48、54及び58は、回転する各プーリのプーリ歯部の凹凸に対し駆動ベルト32のベルト歯部33の凸凹を押し付けることにより発生する振動を軽減することができる。
従来は、現金自動預払機全体を覆う筐体を厚くしたり、振動を軽減する吸震材を現金自動預払機内部の各所に配置したりすることにより、従動ローラの振動による騒音が外部へ漏れることを防いでいた。このため、現金自動預払機における部品点数が増えたり、高価な材料を使用したりしなければならなかった。
これに対し現金自動預払機1においては、吸震材等の部品を追加したり、筐体を厚くしたりする必要がないため、現金自動預払機の構成を複雑化させることなく小型化できると共に、コストアップを抑えることができる。
ところで、ローラボス56を設けることなく、従動ローラ58を駆動ベルト32と同じ左右方向の位置において上下方向のいずれかに移動させ、駆動プーリ24のプーリ歯部25と駆動ベルト32のベルト歯部33とが接触しない位置に配置することも考えられる。
しかしながらその場合、従動ローラ58は、紙幣BLを駆動ベルト32に対し押し付けられなくなってしまう。
このため、駆動プーリ24のように、駆動ベルトが折り返すよう架設された前後端部のプーリから紙幣BLが外れないよう当該紙幣BLに当接する従動プーリは、プーリに対し駆動ベルトの進行方向に離隔して配置するのではなく、プーリに対し駆動ベルトの進行方向に直交する幅方向に離間して配置することが望ましい。
以上の構成によれば、媒体取引装置としての現金自動預払機1における媒体搬送装置としての紙幣搬送部20は、回転可能な円筒状でなり、外周面にプーリ歯部が形成されたプーリと、内周面に形成されたベルト歯部33がプーリのプーリ歯部に噛み合い、プーリの回転に応じて可動する駆動ベルト32と、回転可能な円筒状でなり、駆動ベルト32のベルト歯部33がプーリのプーリ歯部に接触しない位置において、駆動ベルト32の外周面側における紙幣BLが搬送される紙幣搬送路を挟んで当該紙幣BLに当接する従動ローラとを設けるようにした。
これにより現金自動預払機1は、プーリのプーリ歯部と駆動ベルトのベルト歯部とが接触している部分を避けて紙幣に従動ローラを当接させることにより、従動ローラを振動させることなく紙幣を搬送することができる。
<2.第2の実施の形態>
[2−1.紙幣搬送部の構成]
図1及び図2に示す第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比べて、紙幣搬送部120が紙幣搬送部20と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また、第2の実施の形態による紙幣搬送部120は、図3との対応部分に同一符号を付した図6に示すように、アイドルプーリ138(138a、138b、138c及び138d)が駆動プーリ124及び従動プーリ130と同じ上下方向の位置に配設されている。
それぞれのアイドルプーリ138には、駆動ベルト132を挟んだ真下に、左右方向に延びる円柱形状の従動ローラシャフト40が図示しないスライド溝により上下方向に移動可能に設けられる。
従動ローラシャフト40には、当該従動ローラシャフト40を軸として図6の図中時計方向及び反時計方向に回転自在な従動ローラ142(142a、142b、142c及び142d)が、アイドルプーリ138(138a、138b、138c及び138d)それぞれの外周面と当接するよう設けられる。
従動ローラシャフト40は、下側に取り付けられたテンションスプリング50からスライド溝に沿って上方向に付勢されることにより、駆動ベルト132を挟んで従動ローラ142の外周面をアイドルプーリ138の外周面に押圧する。
同様に、駆動プーリ124及び従動プーリ130には、駆動ベルト132を挟んだ真下に、左右方向に延びる円柱形状の従動ローラシャフト52及び46が図示しないスライド溝により上下方向に移動可能に設けられる。
従動ローラシャフト52及び46には、当該従動ローラシャフト52及び46をそれぞれ軸として図中時計方向及び反時計方向に回転自在な従動ローラ154及び148が、駆動プーリ124及び従動プーリ130の外周面とそれぞれ当接するよう設けられる。
従動ローラシャフト52及び46は、下側に取り付けられたテンションスプリング50からスライド溝に沿って上方向に付勢されることにより、駆動ベルト132を挟んで従動ローラ154及び148の外周面を駆動プーリ124及び従動プーリ130の外周面に押し付ける。
図7に、駆動プーリ124付近の拡大図を示す。図7(a)は、駆動プーリ124付近の側面図を、図7(b)は図7(a)におけるA−A断面図を示している。図7においては、従動プーリ154は図示せず省略する。なお、以降の駆動プーリ付近の拡大図についても同様に、駆動プーリの下側に配設された従動プーリは図示せず省略する。
図7及び図8に示すように、駆動ベルト132は、内周面における幅方向の中央部において、ベルト歯山部133a及びベルト歯谷部133bが当該駆動ベルト132の循環方向に沿って平面形状になるようベルト歯谷部133bよりも低く削られたベルト凹部162が形成されている。このため駆動ベルト132の横断面は、凹形状となっている。
駆動プーリ124には、外周面における幅方向の中央部においてベルト凹部162と対向する位置に、駆動プーリ124の回転方向に沿った平面形状でなり、当該ベルト凹部162の幅方向の長さよりもやや短くプーリ歯部125の高さよりも高いプーリフランジ部164が突設されている。因みに駆動プーリ124の左右両端にはフランジは形成されていない。
このため駆動ベルト132が循環作動する際、駆動ベルト132の幅方向両端部のベルト歯部133の内側面(後ろ側面)と駆動プーリ124の幅方向両端部のプーリ歯部125の外側面(前側面)とは接触せずに、駆動ベルト132のベルト凹部162と駆動プーリ124のプーリフランジ部164とが常に接触する。
従動ローラ158には、外周面における幅方向の両端部において駆動ベルト132のベルト歯部133を挟んで駆動プーリ124のプーリ歯部125と対向する位置に、従動ローラ158の円周方向に沿って平面形状となるよう幅方向の中央部よりも低く形成されたローラ凹部166が凹設されている。
このため、従動ローラ158の外周面における幅方向の中央部においては、駆動ベルト132のベルト凹部162を挟んで駆動プーリ124のプーリフランジ部164と対向する位置に、従動ローラ158の円周方向に沿った平面形状でなるローラ凸部168が突設されている。
このため駆動ベルト132が循環作動する際、駆動ベルト132の外周面の幅方向両端部分と従動ローラ158の外周面の幅方向両端部分であるローラ凹部166とは接触せずに、駆動ベルト132において内周面にベルト凹部162が形成されている位置の裏側の外周面と、従動ローラ158におけるローラ凸部168とが常に接触する。
このように従動ローラ158は、駆動ベルト132において内周面にベルト歯部133が形成されている位置と、駆動プーリ124において外周面にプーリ歯部125が形成されている位置とを避け、ローラ凸部168により、ベルト凹部162を駆動プーリ124のプーリフランジ部164に対し押し付ける。
以上は駆動プーリ124及び従動ローラ158について説明したが、従動プーリ130及び従動ローラ148、アイドルプーリ138及び従動ローラ142も同様に構成されている。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLを搬送する際、従動ローラ158は、駆動ベルト132において内周面にベルト歯部133が形成されている位置と、駆動プーリ124において外周面にプーリ歯部125が形成されている位置とを避け、ローラ凸部168により、ベルト凹部162を駆動プーリ124のプーリフランジ部164に対し押し付ける。
紙幣搬送部120は、従動ローラ158のローラ凸部168と駆動ベルト132の外周面の幅方向中央部分とにより紙幣BLを挟持して搬送する。
駆動ベルト132が循環作動する際、駆動ベルト132のベルト歯部133の内側面と駆動プーリ124のプーリ歯部125の外側面とは接触せずに、駆動ベルト132のベルト凹部162と駆動プーリ124のプーリフランジ部164とが常に接触するようにした。
これにより従動ローラ158は、回転する駆動プーリ124のプーリ歯部125の凹凸に対し駆動ベルト132のベルト歯部133の凸凹を押し付けることにより発生する振動を軽減することができる。
また駆動ベルト132が循環作動する際、駆動ベルト132の外周面の幅方向両端部分と従動ローラ158のローラ凹部166とは接触せずに、駆動ベルト132において内周面にベルト凹部162が形成されている位置の裏側の外周面と、従動ローラ158におけるローラ凸部168とが常に接触するようにした。
仮に従動ローラが、従動ローラ58(図4)のように幅方向の右端から左端に亘って平面状に形成されていた場合、従動ローラの幅方向の両端部分は、駆動ベルト132において内周面にベルト歯部133が形成されている位置の裏側の外周面を押圧する。
駆動ベルト132は、ベルト凹部162がベルト歯部133に比べて薄く形成されている。このため従動ローラがベルト凹部162の裏側の外周面とベルト歯部133の裏側の外周面とを押圧すると、駆動ベルト132の左右両端に応力が加わり、当該駆動ベルト132が幅方向の中央部分を支点として左右端部が内周側に沈み込むように撓んで破断してしまう可能性がある。
これに対し紙幣搬送部120においては従動ローラ158にローラ凹部166を形成することにより、駆動ベルト132の左右両端部分を押圧しないようにした。これにより紙幣搬送部120は、駆動ベルト132の左右両端が撓むことを防ぎ、当該駆動ベルト132の破断を防ぐことができる。
また駆動ベルト132には、ベルト凹部162を挟んで、左右両側にベルト歯部133を形成するようにした。
このため駆動ベルト132は、循環方向に沿って2列分ベルト歯部を形成することができる。これにより、循環方向に沿って1列分ベルト歯部を形成する場合(すなわち、駆動ベルト132の左右両端にベルト凹部を形成する場合)と比べて、プーリ歯部125とベルト歯部133との接触面積を広く設けることができるため、より小さいベルト幅で同等の伝達トルクを発生させる事ができる。
さらに紙幣搬送部120においては、駆動プーリ124にはプーリフランジ部164が突設されているため、駆動プーリ124の左右両端にフランジを形成しなくても、駆動ベルト132が駆動プーリ124から幅方向にずれて外れることを防ぐことができる。
以上の構成によれば、駆動ベルト132における進行方向に直交する方向の中央部において、駆動ベルト132の進行方向に沿ってベルト歯部133よりも低く形成されたベルト凹部162を設け、プーリにおける回転方向に直交する方向の中央部において、ベルト凹部162に当接するよう、プーリの回転方向に沿ってプーリ歯部よりも高く形成されたプーリフランジ部を設けるようにした。また従動ローラは、駆動ベルト132を挟んでプーリのプーリ歯部と対向する部分が駆動ベルト132の外周面と当接しないよう形成されたローラ凹部を設けるようにした。
これにより現金自動預払機101は、プーリのプーリ歯部と駆動ベルトのベルト歯部とが接触している部分を避けて紙幣に従動ローラを当接させることにより、従動ローラを振動させることなく紙幣を搬送することができる。
<3.第3の実施の形態>
[3−1.紙幣搬送部の構成]
図1及び図2に示す第3の実施の形態による現金自動預払機201は、第2の実施の形態による現金自動預払機101と比べて、紙幣搬送部220が紙幣搬送部120と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また図6に示す紙幣搬送部220は、駆動プーリ224、従動プーリ230、アイドルプーリ238(238a、238b、238c及び238d)、駆動ベルト232、従動ローラ242(242a、242b、242c及び242d)、248、254及び258が、駆動プーリ124、従動プーリ130、アイドルプーリ138(138a、138b、138c及び138d)、駆動ベルト132、従動ローラ142(142a、142b、142c及び142d)、148、154及び158と異なっている。
図9に、駆動プーリ224付近の拡大図を示す。図9(a)は、駆動プーリ224付近の側面図を、図9(b)は図9(a)におけるA−A断面図を示している。図9においては、従動ローラ254は図示せず省略する。
図9及び図10に示すように、駆動ベルト232は、内周面における幅方向の両端部において、ベルト歯山部233a及びベルト歯谷部233bが当該駆動ベルト232の循環方向に沿って平面形状になるようベルト歯谷部233bよりも低く削られたベルト凹部262が形成されている。このため駆動ベルト232の横断面は、凸形状となっている。
駆動プーリ224には、外周面における幅方向の両端部においてベルト凹部262と対向する位置に、駆動プーリ224の回転方向に沿った平面形状でなり、当該ベルト凹部262の幅方向の長さよりもやや短くプーリ歯部225の高さよりも高いプーリフランジ部264が突設されている。
このため駆動ベルト232が循環作動する際、駆動ベルト232の幅方向中央部のベルト歯部233の内側面(後ろ側面)と駆動プーリ224の幅方向中央部のプーリ歯部225の外側面(前側面)とは接触せずに、駆動ベルト232のベルト凹部262と駆動プーリ224のプーリフランジ部264とが常に接触する。
従動ローラ258には、外周面における幅方向の中央部において駆動ベルト232のベルト歯部233を挟んで駆動プーリ224のプーリ歯部225と対向する位置に、従動ローラ258の円周方向に沿って平面形状となるよう幅方向の両端部よりも低く形成されたローラ凹部266が凹設されている。
このため、従動ローラ258の外周面における幅方向の両端部においては、駆動ベルト232のベルト凹部262を挟んで駆動プーリ224のプーリフランジ部264と対向する位置に、従動ローラ258の円周方向に沿った平面形状でなるローラ凸部268が突設されている。
このため駆動ベルト232が循環作動する際、駆動ベルト232の外周面の幅方向中央部分と従動ローラ258の外周面の幅方向中央部分であるローラ凹部266とは接触せずに、駆動ベルト232において内周面にベルト凹部262が形成されている位置の裏側の外周面と、従動ローラ258におけるローラ凸部268とが常に接触する。
このように従動ローラ258は、駆動ベルト232において内周面にベルト歯部233が形成されている位置と、駆動プーリ224において外周面にプーリ歯部225が形成されている位置とを避け、ローラ凸部268により、ベルト凹部262を駆動プーリ224のプーリフランジ部264に対し押し付ける。
以上は駆動プーリ224及び従動ローラ258について説明したが、従動プーリ230及び従動ローラ248、アイドルプーリ238及び従動ローラ242も同様に構成されている。
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLを搬送する際、従動ローラ258は、駆動ベルト232において内周面にベルト歯部233が形成されている位置と、駆動プーリ224において外周面にプーリ歯部225が形成されている位置とを避け、ローラ凸部268により、ベルト凹部262を駆動プーリ224のプーリフランジ部264に対し押し付ける。
紙幣搬送部220は、従動ローラ258のローラ凸部268と駆動ベルト232の外周面の幅方向両端部分とにより紙幣BLを挟持して搬送する。
駆動ベルト232が循環作動する際、駆動ベルト232のベルト歯部233の内側面と駆動プーリ224のプーリ歯部225の外周面とは接触せずに、駆動ベルト232のベルト凹部262と駆動プーリ224のプーリフランジ部264とが常に接触するようにした。
これにより従動ローラ258は、回転する駆動プーリ224のプーリ歯部225の凹凸に対し駆動ベルト232のベルト歯部233の凸凹を押し付けることにより発生する振動を軽減することができる。
また駆動ベルト232が循環作動する際、駆動ベルト232の外周面の幅方向中央部分と従動ローラ258のローラ凹部266とは接触せずに、駆動ベルト232において内周面にベルト凹部262が形成されている位置の裏側の外周面と、従動ローラ258におけるローラ凸部268とが常に接触するようにした。
このように紙幣搬送部220においては従動ローラ258にローラ凹部266を形成することにより、駆動ベルト232の中央部分を押圧しないようにした。これにより紙幣搬送部220は、駆動ベルト232の中央部分が撓むことを防ぎ、当該駆動ベルト232の破断を防ぐことができる。
さらに紙幣搬送部220においては、駆動プーリ224には外周面における幅方向の両端部においてプーリフランジ部264が突設されているため、駆動ベルト232が駆動プーリ224から幅方向にずれて外れることを防ぐことができる。
以上の構成によれば、駆動ベルト232における進行方向に直交する方向の両端部において、駆動ベルト232の進行方向に沿ってベルト歯部233よりも低く形成されたベルト凹部262を設け、プーリにおける回転方向に直交する方向の両端部において、ベルト凹部262に当接するよう、プーリの回転方向に沿ってプーリ歯部よりも高く形成されたプーリフランジ部を設けるようにした。また従動ローラは、駆動ベルト232を挟んでプーリのプーリ歯部と対向する部分が駆動ベルト232の外周面と当接しないよう形成されたローラ凹部を設けるようにした。
これにより現金自動預払機201は、プーリのプーリ歯部と駆動ベルトのベルト歯部とが接触している部分を避けて紙幣に従動ローラを当接させることにより、従動ローラを振動させることなく紙幣を搬送することができる。
<4.第4の実施の形態>
[4−1.紙幣搬送部の構成]
図1及び図2に示す第4の実施の形態による現金自動預払機301は、第2の実施の形態による現金自動預払機101と比べて、紙幣搬送部320が紙幣搬送部120と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また図6に示す紙幣搬送部320は、駆動プーリ324、従動プーリ330、アイドルプーリ338(338a、338b、338c及び338d)、駆動ベルト332、従動ローラ342(342a、342b、342c及び342d)、348、354及び358が、駆動プーリ124、従動プーリ130、アイドルプーリ138(138a、138b、138c及び138d)、駆動ベルト132、従動ローラ142(142a、142b、142c及び142d)、148、154及び158と異なっている。
図11に、駆動プーリ324付近の拡大図を示す。図11(a)は、駆動プーリ324付近の側面図を、図11(b)は図11(a)におけるA−A断面図を示している。図11においては、従動ローラ354は図示せず省略する。
駆動プーリ324には、外周面における幅方向の両端部に、駆動プーリ324の円周方向に沿って外側面が平面形状でなるプーリフランジ部364が、プーリ歯部325の高さよりも高く突設されている。
当該プーリフランジ部364は、外周面がゴム製でなり、駆動プーリ324のプーリ歯部325に駆動ベルト332のベルト歯部333が噛み合った際、当該駆動ベルト332の外周面よりも半径方向の外側に位置する高さに形成されている。
このため従動ローラ358は、駆動ベルト332の外周面に接触することなく、幅方向の両端部が、駆動プーリ324のプーリフランジ部364に常に接触する。
このとき、従動ローラ358の外周面は駆動ベルト332の外周面に直接接触しなくなるため、従動ローラ358と駆動ベルト332とで紙幣BLを挟持して搬送することはできない。
従動ローラ358は、紙幣BLをプーリフランジ部364に押し付けながら回転する。プーリフランジ部364の外周面は、紙幣BLを搬送するために十分な表面摩擦係数及び面積を持つよう構成されている。
これにより紙幣搬送部320は、従動ローラ358と駆動プーリ324のプーリフランジ部364とで紙幣を挟持して搬送する。
[4−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLを搬送する際、従動ローラ358は、駆動プーリ324の幅方向の両端部において駆動ベルト332の外周面よりも高く立設されたプーリフランジ部364に対し紙幣BLを押し付けながら回転することにより当該紙幣BLを搬送する。
このように紙幣搬送部320においては、凹部を設けるなどの加工をすることなく一般的な歯付きベルトを使用することができるため、駆動ベルトの供給性が良く、安価に製造することができる。
上述した紙幣搬送部20(図4)においては、ローラボス56と従動ローラ58とにより紙幣BLを挟持した。ここで、ローラボス56R及び56Lと、当該ローラボス56に当接する従動ローラ58とは、駆動ベルト32に対しある程度の間隔を空けて左右方向の外側に配置されている。また搬送路7(図2)は、紙幣搬送路20における2本の駆動ベルト32同士の左右方向の距離と同一の距離を空けて配設された、図示しない2本の駆動ベルトにより紙幣BLを搬送する。
このため、紙幣BLが搬送路7から紙幣搬送部20に搬送されて来た場合、当該紙幣BLが挟持される位置が急激に左右方向の外側に移動することとなる。
この場合、紙幣BLに対し左右方向外側に引っ張る力が加わり、当該紙幣BLが裂けてしまう可能性がある。また、紙幣BLが搬送方向に対して傾いている(スキューしている)場合は、紙幣BLの一端を引っ張る方向に力が加わり、紙幣BLのスキュー角度を拡大させることとなる。
これに対し紙幣搬送部320においては、従動ローラ358と、駆動ベルト332に隣接するプーリフランジ部364とにより紙幣BLを挟持するようにした。
このように紙幣搬送部320においては、紙幣BLを挟持する位置が左右方向において急激に変化することがない。これにより紙幣搬送部320は紙幣BLを破損してしまうことを防止できる。
以上の構成によれば、プーリは、外周面におけるプーリの回転方向に直交する方向の両端部において、プーリのプーリ歯部に駆動ベルト332のベルト歯部333が噛み合った際に駆動ベルト332の外周面よりも外側に突設されたプーリフランジ部364を設け、ローラは、プーリのプーリフランジ部と当接するようにした。
これにより現金自動預払機301は、プーリのプーリ歯部と駆動ベルトのベルト歯部とが接触している部分を避けて紙幣に従動ローラを当接させることにより、従動ローラを振動させることなく紙幣を搬送することができる。
<5.第5の実施の形態>
[5−1.紙幣搬送部の構成]
図1及び図2に示す第5の実施の形態による現金自動預払機401は、第2の実施の形態による現金自動預払機101と比べて、紙幣搬送部420が紙幣搬送部120と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また、図6に示す紙幣搬送部420は、駆動プーリ424、従動プーリ430、アイドルプーリ438(438a、438b、438c及び438d)、駆動ベルト432、従動ローラ442(442a、442b、442c及び442c)、448、454及び458が、駆動プーリ124、従動プーリ130、アイドルプーリ138(138a、138b、138c及び138d)、駆動ベルト132、従動ローラ142(142a、142b、142c及び142c)、148、154及び158と異なっている。
図12に、駆動プーリ424付近の拡大図を示す。図12(a)は、駆動プーリ424付近の側面図を、図12(b)は図12(a)を前方向から見た側面図を示している。図12においては、従動ローラ454は図示せず省略する。
図13に示すように、駆動ベルト432は、所謂ハス歯ベルトでなり、幅方向に対し45度の歯傾き角度Θだけ傾いてベルト歯部433が形成されている。駆動プーリ424は、駆動ベルト432のベルト歯部433が噛み合うよう、幅方向に対し駆動ベルト432と同様の歯傾き角度Θだけ傾いてプーリ歯部425が形成されている。
駆動ベルト432は、ベルト歯部425が歯傾き角度Θだけ傾いているため、循環作動する際、左右方向の一方向に向かって移動しようとする。これに対し、駆動プーリ424の左右両端には、プーリ歯部425よりも半径方向の外側までフランジが突設することにより、当該駆動プーリ424から駆動ベルト432が外れてしまうことを防止している。
従動ローラ458は凸部及び凹部を有さず幅方向に沿って平面状でなる円筒形状に形成されている。
[5−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLを搬送する際、従動ローラ458は、幅方向に対し45度の歯傾き角度Θだけ傾いたベルト歯部433が形成された駆動ベルト432を、幅方向に対しベルト歯部433と同じ歯傾き角度Θだけ傾いたプーリ歯部425が形成された駆動プーリ424に対し押し付ける。
従来の紙幣搬送部920(図18、19及び20)においては、ベルト歯部933とプーリ歯部925とは左右方向に沿って形成されている。このため、従動ローラ958が駆動ベルト932に当接し左右方向に沿って押圧するとき、ベルト歯山部933aが存在する位置の外周面を押圧する場合、ベルト歯山部933aをプーリ歯谷部925bに向かって押し込み駆動ベルト932を撓ませてしまう。
一方、ベルト歯谷部933bが存在する位置の外周面を押圧する場合、従動ローラ958は、ベルト歯谷部933bをプーリ歯山部925aに向かって押圧しても駆動ベルト932を撓ませてしまうことはない。
紙幣搬送部420においては、ベルト歯部433とプーリ歯部425とは、左右方向に対し歯傾き角度Θだけ傾いて形成されている。
このため紙幣搬送部420においては、図12(b)に示すように、従動ローラ458が駆動ベルト432を押圧することによりベルト歯谷部433bがプーリ歯山部425aに当接する当接点TPが、左右方向に沿って3箇所現れている。
従動ローラ458がこの当接点TPを外周面から押圧しても、駆動ベルト432は駆動プーリ424方向に向かってほとんど撓まない。
このため紙幣搬送部420においては、駆動プーリ424が回転しても、駆動プーリ424の中心軸と従動ローラ458の中心軸との距離は常に一定となり、従動ローラ458は前後方向に振動しない。
以上の構成において、駆動ベルト432のベルト歯部433は、駆動ベルト432の進行方向に直交する方向に対し歯傾き角度Θだけ傾いて形成され、プーリのプーリ歯部は、ベルト歯部433に対応してプーリの回転方向に直交する方向に対し歯傾き角度Θだけ傾いて形成されるようにした。
これにより現金自動預払機401は、プーリが回転しても、従動ローラが駆動ベルトを押圧する位置においてベルト歯谷部とプーリ歯山部とが当接する箇所を常に設けることにより、従動ローラを振動させることなく紙幣を搬送することができる。
<6.他の実施の形態>
なお上述した第2の実施の形態においては、ローラ凹部166が凹設された従動ローラ158により駆動ベルト132を駆動プーリ124に押し付ける場合について述べた。
本発明はこれに限らず、図7との対応部分に同一符号を付した図14に示すように、ローラ凹部を有さず幅方向に平面状でなる従動ローラ558により、駆動ベルト132を駆動プーリ124に押し付けるようにしても良い。
また上述した第3の実施の形態においては、ローラ凹部266が凹設された従動ローラ258により駆動ベルト232を駆動プーリ224に押し付ける場合について述べた。
本発明はこれに限らず、図9との対応部分に同一符号を付した図15に示すように、ローラ凹部を有さず幅方向に平面状でなる従動ローラ658により、駆動ベルト232を駆動プーリ224に押し付けるようにしても良い。
さらに上述した第5の実施の形態においては、歯傾き角度Θを45度とする場合について述べた。
本発明はこれに限らず、図16に示す所謂リブベルトでなる駆動ベルト732のように歯傾き角度Θを90度とし、駆動ベルト732のベルト歯部733と噛み合う駆動プーリのプーリ歯部の歯傾き角度Θを90度としても良い。
この場合、駆動プーリが回転する際、駆動プーリのプーリ歯山部と駆動ベルト732のベルト歯谷部733bとが、また駆動プーリのプーリ歯谷部と駆動ベルト732のベルト歯山部733aとが常に接触するため、駆動プーリと従動ローラとの位置関係が変化せず、従動ローラの振動を一層防止することができる。
また、駆動プーリのプーリ歯部と駆動ベルト732のベルト歯部733とが互いに喰い込みながら発生させる摩擦力により駆動プーリの回転力が駆動ベルト732に伝達するため、大きな伝達トルクを発生させることができる。
さらに図17に示すように、左右方向の中央部を中心として、互いに同じ歯傾き角度Θを有する歯部が線対称に形成されたベルト歯部833を有する駆動ベルト832を用いても良い。これにより駆動ベルト832には、左方向に移動する力と右方向に移動する力とが発生し互いに打ち消すため、当該駆動ベルト832が駆動プーリから幅方向にずれていき脱落してしまうことを防止できる。
さらに上述した第5の実施の形態においては、駆動プーリ424のプーリ歯山部425aと駆動ベルト432のベルト歯谷部433bとが当接する当接点TPが、左右方向に沿って3点存在する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、当接点TPは左右方向に沿って1点以上存在すれば良い。この場合、歯傾き角Θが大きくなるほど当接点TPは増加し、駆動ベルトが駆動プーリに向かって撓み難くなる。
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動預払機の紙幣搬送部において紙幣を搬送する際に本発明を適用する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば紙状の媒体を搬送する種々の装置において駆動ベルトの外周面と従動ローラとで媒体を挟持して搬送する際に適用して良い。
さらに上述した実施の形態においては、媒体として紙幣について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体であれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、プーリとしての駆動プーリ24、従動プーリ30及びアイドルプーリ38と、駆動ベルトとしての駆動ベルト32と、ローラとしての従動ローラ42、48、54及び58とによって媒体搬送装置としての紙幣搬送部20を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるプーリと、駆動ベルトと、ローラとによって媒体搬送装置を構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、受付部としての接客部3と、搬送部としての搬送路7と、プーリとしての駆動プーリ24と、従動プーリ30及びアイドルプーリ38と、駆動ベルトとしての駆動ベルト32と、ローラとしての従動ローラ42、48、54及び58とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる受付部と、搬送部と、プーリと、駆動ベルトと、ローラとによって媒体取引装置を構成するようにしても良い。