以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、第1の実施の形態の現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。尚、ここでは、現金自動取引装置1の筐体2における、利用者が対峙する側を前側とし、その反対側を後側とし、前側に対峙した顧客から見て上下左右をそれぞれ上側、下側、左側及び右側と定義する。
この現金自動取引装置1は、筐体2の前面上部に、顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8等からなり、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う部分である。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分であり、カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統轄制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
[1−2.紙幣入出金機の構成]
ここで、紙幣入出金機10の構成について図2を用いて詳しく説明する。紙幣入出金機10は、箱状の入出金機筐体20を中心に構成されており、制御部21が紙幣入出金機10を統轄制御する。制御部21は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部22から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
紙幣入出金機10内部の上側には、入出金部23、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部24、入金紙幣等を一時的に保留する一時保留部25、及び入出金部23から顧客が取り忘れた取り忘れ紙幣を収納する取り忘れ回収庫26等が設けられている。
入出金部23は、入出金機筐体20内部の前側上部に配され、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離して搬送部27へ繰り出す。搬送部27は、図示しないローラやベルト等により、図中実線で示す搬送路27Rに沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。また搬送部27は、鑑別部24を前後方向に挿通するように紙幣を搬送し、鑑別部24の後側と一時保留部25、紙幣収納庫28、及び取り忘れ回収庫26とをそれぞれ接続している。さらに搬送部27は、鑑別部24の前側と入出金部23及びリジェクト庫29とを接続している。さらに搬送路27Rの分岐点には図中三角形で示すセレクタが設けられ、各セレクタが制御部21の制御に基づいて回動することにより、紙幣の搬送先を切り替えるようになっている。
鑑別部24は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学センサや磁気センサ等を用いて紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を制御部21へ通知する。また鑑別部24は、撮像した紙幣の画像情報から記番号を読み取り識別し、その識別結果を制御部21へ通知する。これに応じて制御部21は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
一時保留部25は、入出金機筐体20内部の前後方向の中央部であって搬送部27の上側に隣接する位置に配され、所謂テープエスクロ方式を採用しており、円筒形状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで紙幣を収納し、またこの周側面からテープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。
取り忘れ回収庫26は、入出金機筐体20内部の後側上部であって搬送部27の上側に隣接する位置に配され、内部に紙幣を収納する空間を有している。この取り忘れ回収庫26は、入出金部23から顧客が取り忘れた取り忘れ紙幣が搬送部27により搬送されてくると、これを内部に収納する。
紙幣入出金機10内部の下側には、再利用すべきでない紙幣を収納するリジェクト庫29と、再利用可能な紙幣を収納する5個の紙幣収納庫28(28A〜28E)とが設けられている。リジェクト庫29は、入出金機筐体20内部の前側下部に配され、内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫29は、鑑別部24及び制御部21により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部27により搬送されてくると、この紙幣を内部に収納する。
入出金機筐体20内部のリジェクト庫29の後方には、前側から後側へ向けて順に5個の紙幣収納庫28(28A〜28E)が設けられている。各紙幣収納庫28は、内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。各紙幣収納庫28は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。各紙幣収納庫28は、鑑別部24及び制御部21により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部27により搬送されてくると、この紙幣を内部に集積して収納する。また各紙幣収納庫28は、制御部21から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつ分離して繰り出し、搬送部27に受け渡す。
現金自動取引装置1は、このような構成であり、鑑別部24による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び制御部21が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う。
すなわち、現金自動取引装置1は、入金取引時、顧客により操作表示部6を介して入金取引が選択され入出金部23に紙幣が投入されると、投入された紙幣を入出金部23から1枚ずつ鑑別部24に搬送する。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部24の鑑別結果及び識別結果に基づき入金可能と判定された入金可能紙幣については一時保留部25に搬送して一時的に収納する。一方で現金自動取引装置1は、入金に適さないと判定された入金リジェクト紙幣については入出金部23へ戻して顧客に返却する。その後顧客により入金金額が確定されると、現金自動取引装置1は、一時保留部25に収納している紙幣のうち収納可能と判定された紙幣については、その金種に応じて各紙幣収納庫28へ搬送して保管する。一方で現金自動取引装置1は、収納に適さないと判定された紙幣については、リジェクト庫29へ搬送する。
一方、出金取引時、現金自動取引装置1は、顧客により操作表示部6を介して出金取引が選択され出金金額が入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各紙幣収納庫28から紙幣を繰り出して鑑別部24に搬送し、鑑別結果及び識別結果を得る。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部24の鑑別結果及び識別結果に基づき出金可能と判定された出金可能紙幣については入出金部23に搬送する。一方で現金自動取引装置1は、出金に適さないと判定された出金リジェクト紙幣についてはリジェクト庫29へ搬送して収納する。そして要求金額分の紙幣が入出金部23へ集積されると、現金自動取引装置1は、シャッタを開ける。これにより入出金部23内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、顧客がこの紙幣を受け取る。その後現金自動取引装置1は、一時保留部25に収納している出金リジェクト紙幣をリジェクト庫29へと搬送して保管する。また、顧客が入出金部23内に集積されている紙幣を取り忘れた場合、現金自動取引装置1は、入出金部23内に集積されている紙幣を取り忘れ紙幣として、取り忘れ回収庫26へと搬送して保管する。
[1−3.鑑別部の内部構成]
次に、鑑別部24の内部構成について図3を用いて詳しく説明する。鑑別部24は、L字型の鑑別搬送部40と、鑑別搬送部40の後方上側に配され鑑別搬送部40に着脱可能な略直方体状の鑑別センサ部41とにより構成されている。
鑑別センサ部41は、前後方向に延びる箱型の鑑別上側フレーム42Aと、鑑別上側フレーム42Aの下方に配され前後方向に延びる箱型の鑑別下側フレーム42Bとを有している。鑑別上側フレーム42A及び鑑別下側フレーム42Bは、鑑別部24内部の各構成部品を支持するフレーム部材である。また、鑑別上側フレーム42Aと鑑別下側フレーム42Bとの間には、紙幣BLを搬送する搬送路43が形成されている。尚、この搬送路43は、搬送路27R全体のうち、鑑別部24内部を通る部分である。
鑑別上側フレーム42Aは、前端部分に設けられた左右方向に延びる回動軸44を中心に後端が上方へ移動するよう回動可能となっている。鑑別上側フレーム42Aは、例えば、搬送路43に詰まった紙幣BLを取り除くための保守作業が行われる際、保守作業者により回動させられると、搬送路43を外部に露出させてアクセスし易い状態となる。
搬送路43は、鑑別センサ搬送路43A、分岐部43B、入出金部側搬送路43C、及びリジェクト庫側搬送路43Dにより構成されている。鑑別センサ搬送路43Aは、鑑別上側フレーム42Aと鑑別下側フレーム42Bとの間に設けられ、鑑別センサ部41の後端に位置し鑑別部24の後方と紙幣BLを受け渡す箇所である搬送路受渡部45Aから、鑑別センサ部41の前端に位置する分岐部43Bまで(すなわち鑑別センサ部41の後端から前端まで)延び、搬送路受渡部45Aと分岐部43Bとの間で紙幣BLを前後方向に走行させる。
分岐部43Bは、鑑別センサ搬送路43Aの前端と入出金部側搬送路43Cの下端とリジェクト庫側搬送路43Dの上端との間に位置していて、鑑別センサ搬送路43Aの前端から鑑別センサ部41の上方と下方とに分岐する。
入出金部側搬送路43Cは、分岐部43Bから、鑑別センサ部41の上端に位置し入出金部23と紙幣BLを受け渡す箇所である入出金部側受渡部45Bまで延び、分岐部43Bと入出金部側受渡部45Bとの間で紙幣BLを上下方向に走行させる。リジェクト庫側搬送路43Dは、分岐部43Bから、鑑別搬送部40の下端に位置しリジェクト庫29と紙幣BLを受け渡す箇所であるリジェクト庫側受渡部45Cまで延び、分岐部43Bとリジェクト庫側受渡部45Cとの間で紙幣BLを上下方向に走行させる。
紙幣入出金機10は、制御部21の制御に基づいて、紙幣BLを搬送路43に沿って入出金部側受渡部45Bから搬送路受渡部45Aへ、又は搬送路受渡部45Aから入出金部側受渡部45Bへ、又は搬送路受渡部45Aからリジェクト庫側受渡部45Cへ走行させながら、紙幣BLの鑑別処理を行う。
また、鑑別部24は、搬送路43の周囲に、紙幣BLの搬送をガイドする搬送下側搬送ガイド50、搬送前側搬送ガイド51、鑑別上側搬送ガイド52、及び鑑別下側搬送ガイド53と、紙幣BLを搬送する駆動ローラ54A、54B、54C、55A、55B、55Cと、従動ローラ56A、56B、56C、57A、57B、57Cと、紙幣BLの搬送方向を切り替える振分機構58と、紙幣BLの厚さ情報を取得する厚さ情報取得部60と、紙幣BLの画像情報を取得する画像情報取得部61と、紙幣BLの磁気情報を取得する磁気情報取得部62とを有している。
鑑別上側搬送ガイド52は、鑑別上側フレーム42Aに設けられていて、前後方向に沿って延び前端が上方に向かってカーブする形状を有している。鑑別下側搬送ガイド53は、鑑別下側フレーム42Bに設けられていて、鑑別上側搬送ガイド52の下方に対向配置され、前後方向に沿って延び前端が下方に向かってカーブする形状を有している。搬送下側搬送ガイド50は、鑑別搬送部40に設けられていて、鑑別下側搬送ガイド53のカーブしている部分の先端と連結し、上下方向に沿って延びている。搬送前側搬送ガイド51は、鑑別搬送部40に設けられていて、鑑別上側搬送ガイド52のカーブしている部分、鑑別下側搬送ガイド53のカーブしている部分、及び搬送下側搬送ガイド50の前方に対向配置され、上下方向に沿って延びている。
上述した鑑別センサ搬送路43Aは、鑑別上側搬送ガイド52の前後方向に延びる部分と、鑑別下側搬送ガイド53の前後方向に延びる部分とによって形成される。また、分岐部43Bは、鑑別上側搬送ガイド52のカーブしている部分と、鑑別下側搬送ガイド53のカーブしている部分と、搬送前側搬送ガイド51とにより形成される。さらに、入出金部側搬送路43Cは、鑑別上側搬送ガイド52のカーブしている部分と、搬送前側搬送ガイド51とにより形成され、リジェクト庫側搬送路43Dは、鑑別下側搬送ガイド53のカーブしている部分と、搬送下側搬送ガイド50と、搬送前側搬送ガイド51とにより形成される。
さらに、搬送前側搬送ガイド51における搬送路43とは反対側(前側)には、搬送前側搬送ガイド51に沿って上から順に、駆動ローラ54A、54B、54Cが左右方向に延びるシャフトを中心に回転可能に取り付けられている。駆動ローラ54A、54B、54Cは、それぞれ左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が搬送前側搬送ガイド51に形成された開口部(図示せず)から搬送路43側に突出するようになっている。さらに、駆動ローラ54Aと駆動ローラ54Bとの間には、紙幣BLの搬送経路を切り替えるための振分機構58が設けられている。
さらに、搬送下側搬送ガイド50における搬送路43とは反対側(後側)には、駆動ローラ54Cと対向する位置に、従動ローラ56Cが左右方向に延びるシャフトを中心に回転可能で且つ前後方向に移動可能に取り付けられている。従動ローラ56Cは、左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が搬送下側搬送ガイド50に形成された開口部(図示せず)から搬送路43側に突出するようになっている。
さらに、鑑別下側搬送ガイド53の前後方向に延びている部分の搬送路43とは反対側(下側)には、鑑別下側搬送ガイド53に沿って後側から順に、厚さ情報取得部60の厚さ基準ローラ70、駆動ローラ55A、55B、55Cが、左右方向に延びるシャフトを中心に回転可能に取り付けられている。さらに、鑑別下側搬送ガイド53のカーブしている部分における搬送路43とは反対側(後側)には、駆動ローラ54Bと対向する位置に、左右方向に延びるシャフトを中心に回転可能で、且つ前後方向に移動可能な従動ローラ56Bが取り付けられている。これら、厚さ基準ローラ70、駆動ローラ55A、55B、55C、及び従動ローラ56Bは、それぞれ左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が鑑別下側搬送ガイド53に形成された開口部(図示せず)から搬送路43側に突出するようになっている。
さらに、鑑別下側搬送ガイド53における搬送路43とは反対側(下側)には、駆動ローラ55Aと駆動ローラ55Bとの間に、画像情報取得部61の反射センサユニット71Dが配置されているとともに、駆動ローラ55Bと駆動ローラ55Cとの間に、磁気情報取得部62の磁気ギャップローラ72が配置されている。磁気ギャップローラ72は、左右方向に延びるシャフトを中心に回転可能で且つ上下方向に移動可能に取り付けらている。また、磁気ギャップローラ72は、左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が鑑別下側搬送ガイド53に形成された開口部(図示せず)から搬送路43側に突出するようになっている。
鑑別上側搬送ガイド52の前後方向に延びている部分における搬送路43とは反対側(上側)には、駆動ローラ55A、55B、55Cのそれぞれと対向する位置に、従動ローラ57A、57B、57Cが、左右方向に延びるシャフトを中心に回転可能で且つ上下方向に移動可能に取り付けられている。さらに、鑑別上側搬送ガイド52のカーブしている部分における搬送路43とは反対側(後側)には、駆動ローラ54Aと対向する位置に、左右方向に延びるシャフトを中心に回転可能で且つ前後方向に移動可能な従動ローラ56Aが取り付けられている。これら、従動ローラ57A、57B、57C、及び従動ローラ56Aは、それぞれ左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が鑑別上側搬送ガイド52に形成された開口部(図示せず)から搬送路43側に突出するようになっている。
さらに、鑑別上側搬送ガイド52における搬送路43の反対側(上側)には、厚さ基準ローラ70と対向する位置に、厚さ情報取得部60の厚さ検知ローラ73が配置され、反射センサユニット71Dと対向する位置に、画像情報取得部61の反射透過センサユニット71Uが配置され、磁気ギャップローラ72と対向する位置に、磁気情報取得部62の磁気センサ74が配置されている。
従動ローラ56A、56B、56C、57A、57B、57Cは、図示しない圧縮ばねなどの付勢部材によって、それぞれ駆動ローラ54A、54B、54C、55A、55B、55Cに押し付けられている。
厚さ情報取得部60は、厚さ基準ローラ70と、厚さ検知ローラ73と、ギャップセンサ75とを有している。厚さ検知ローラ73は、鑑別上側搬送ガイド52に形成された開口部(図示せず)から搬送路43側に突出して、厚さ基準ローラ70に押し付けられているとともに、厚さ基準ローラ70から離れる方向に変位可能となっている。そして、厚さ情報取得部60は、厚さ基準ローラ70と厚さ検知ローラ73との間を紙幣BLが通過する際に、ギャップセンサ75が、厚さ検知ローラ73の変位量をもとに紙幣BLの厚さを検知して、折れ曲がりや異物の貼り付け等の有無を判断するようになっている。
画像情報取得部61は、反射透過センサユニット71Uと反射センサユニット71Dとにより構成されている。反射透過センサユニット71Uと反射センサユニット71Dは、鑑別センサ搬送路43Aを挟んで上下方向に対向配置されている。そして、画像情報取得部61は、反射透過センサユニット71Uと反射センサユニット71Dにより、紙幣BLからの反射光、及び紙幣BLを透過した透過光を検出し、その検出結果をそれぞれ反射画像及び透過画像として制御部21へ送出する。制御部21は、画像情報取得部61から取得した反射画像及び透過画像を用いて紙幣BLの真偽や金種、或いは損傷の程度(正損)等を判定する。
磁気情報取得部62は、磁気センサ74と磁気ギャップローラ72とを有している。磁気センサ74は、下面が検出面となる左右方向に長い直方体形状となっている。磁気ギャップローラ72は、図示しない圧縮ばねなどの付勢部材によって、上方に付勢されている。尚、磁気ギャップローラ72は、例えば、その外周面と鑑別上側搬送ガイド52との間に紙幣BL1枚分程度の間隙が空くようにして付勢されている。また、詳しくは後述するが、磁気センサ74は、鑑別上側搬送ガイド52における搬送路43とは反対側に設けられたセンサ取付部(図中省略)に取り付けられている。
磁気情報取得部62は、磁気センサ74により、鑑別センサ搬送路43Aを搬送される紙幣BLの磁気を検出し、その検出結果を磁気情報として制御部21へ送出する。制御部21は、磁気情報取得部62から取得した磁気情報を用いて紙幣BLの真偽や金種等を判定する。
駆動ローラ54A、54B、54C、55A、55B、55C、厚さ基準ローラ70、及び磁気ギャップローラ72は、それぞれ図示しないアクチュエータから駆動力が伝達されることにより回転する。このとき、従動ローラ56A、56B、56C、57A、57B、57C、及び厚さ検知ローラ73は、それぞれ対向するローラに紙幣BLを押し付けながら、対向するローラの回転に従動して回転する。これにより、紙幣BLが搬送路43に沿って搬送される。
振分機構58は、先端が後方を向くブレードであり、図示しないアクチュエータによって回動することによりブレードの傾斜方向を変化させて紙幣BLの搬送経路を切り替えるようになっている。
ここで、鑑別センサ部41の鑑別上側搬送ガイド52と、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けられた磁気センサ74について、図4及び図5を用いてさらに詳しく説明する。図4は、図3に示す鑑別上側搬送ガイド52を、磁気センサ74と従動ローラ57Bとの間の位置で垂直に切断した場合の断面を後側から見た断面図である。図5は、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けられた磁気センサ74を上側から見た上面図である。尚、図4及び図5は、鑑別上側搬送ガイド52と磁気センサ74以外の部分については適宜省略した図となっている。
図4に示すように、鑑別上側搬送ガイド52は、紙幣BLの搬送方向(前後方向)に延び厚さ方向を上下方向とする板状のガイド板部52Aと、ガイド板部52Aにおける紙幣BLの搬送方向と直交する幅方向(左右方向)の両端から上方に延びる板状の側板部52B、52Cとにより、断面略コの字型の箱型形状を有している。
この鑑別上側搬送ガイド52は、ガイド板部52Aの下面が搬送路43を形成するとともに搬送路43に沿って搬送されるよう紙幣BLをガイドするガイド面80となっている。さらに、鑑別上側搬送ガイド52は、ガイド板部52Aにおける搬送路43とは反対側の上面(つまりガイド面80とは反対側の裏面)の所定箇所に磁気センサ74を取り付けるためのセンサ取付部81が設けられている。
センサ取付部81は、ガイド板部52Aの裏面における幅方向の中央と両端近傍とにそれぞれ1個ずつ突設された計3個のボス部82(82A〜82C)により構成されている。3個のボス部82A〜82Cは、外径が等しい円柱状の部材であり、上端面にネジ穴83が形成されている。また、これら3個のボス部82A〜82Cのうち、中央のボス部82Bは、両端近傍のボス部82A、82Cと比べて、ガイド板部52Aの裏面からの高さが短く形成されている。つまり、ガイド面80から両端近傍のボス部82A、82Cまでの上端面までの長さをa、ガイド面80から中央のボス部82Bの上端面までの長さをbとすると、a>bの関係が成り立っている。
これら鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52A及び側板部52B、52Cと、3個のボス部82A〜82Cは、所定の樹脂材料を用いて一体成形されている。
一方、磁気センサ74は、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aより厚く、ガイド板部52Aにおける幅方向に長い直方体形状のセンサ筐体84を有している。このセンサ筐体84は、幅方向の長さ(つまり幅)が、側板部52B、52C間の間隔よりわずかに短く形成されていて、厚さ方向の両面のうち、少なくとも磁気を検出する側の一面(これを検出面と呼ぶ)84Aが平坦となっている。また、このセンサ筐体84は、3個のボス部82A〜82Cのそれぞれのネジ穴83に対応する3箇所(つまり幅方向の中央と両端近傍)に、それぞれ1個ずつ計3個の貫通穴85A〜85Cが形成されている。またこのセンサ筐体84は、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aより曲げに対する剛性が十分強くなるように、用いる材料や厚さなどが選定されている。
そして、このセンサ筐体84は、検出面84Aを搬送路43側に向け、3個のボス部82A〜82Cのそれぞれのネジ穴83の上に、3個の貫通穴85A〜85Cを対向させた状態で、貫通穴85A〜85Cのそれぞれに挿入されたネジ86の先端部がネジ穴83と螺合することにより、各ネジ86の頭部とボス部82A〜82Cとの間に挟持されるようにして鑑別上側搬送ガイド52に固定されている。このように、磁気センサ74は、ネジ86によって3個のボス部82A〜82Cに締結され固定されている。
ここで、上述したように、センサ筐体84の剛性が鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aの剛性より十分強く、且つセンサ取付部81の3個のボス部82A〜82Cのうち、中央のボス部82Bが両端近傍のボス部82A、82Cより高さが短く形成されていることから、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aは、ほぼ平坦ではあるが、幅方向の中央部がネジ86の軸力により磁気センサ74側に引き上げられて両端部よりわずかに磁気センサ74側に凹んでいる。
ところで、鑑別上側搬送ガイド52は、ガイド板部52Aと側板部52B、52Cとにより断面略コの字型の箱型形状を形成するため、樹脂材料を用いて一体成形された際に、材料の流動性や熱収縮、一体成形部分の異種材料間での熱膨張係数の違いなどによってガイド板部52Aに反りが発生する。
ここで、ガイド板部52Aに反りが発生した状態の鑑別上側搬送ガイド52を図6に示す。図6は、磁気センサ74が取り付けられる前の鑑別上側搬送ガイド52を示す断面図である。
この図6に示すように、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aには、一体成形された際に、幅方向の中央部が側板部52B、52Cが延びる方向(上方)とは反対側に膨らむような反りが発生する。ここで仮に、図7に示すように磁気センサ74取付後もガイド板部52Aが反ったままだとすると、ガイド板部52Aのガイド面80に沿って搬送される紙幣BLも反った状態で搬送されることになる。尚、図7は、センサ取付部については省略している。そして、平坦な状態で搬送されるべき紙幣BLが反った状態で搬送されると、磁気センサ74が紙幣BLから磁気情報を正確に読み取ることができなくなる可能性が出てくる。
具体的に説明すると、磁気センサ74は、平坦な状態で搬送されてくる紙幣BLから磁気情報を正確に読み取ることができるように、検出面84A(下面)が平坦となっている。このため、磁気センサ74の下方を通過する紙幣BLが反っていると、磁気センサ74の検出面84Aから紙幣BLまでの距離が、磁気センサ74における幅方向の中央部と両端部とで異なり、磁気センサ74の距離特性によって検出面84Aの中央部と両端部とで検出精度に差が出てしまう。この結果、磁気センサ74が紙幣BLから磁気情報を正確に読み取ることができなくなる可能性が出てくる。
そこで、本実施の形態の鑑別上側搬送ガイド52は、センサ取付部81に磁気センサ74が取り付けられることによって、成形時にガイド板部52Aに発生した反りが抑制されるようになっている。
すなわち、鑑別上側搬送ガイド52は、ガイド板部52Aにおける幅方向の中央部が側板部52B、52Cとは反対側に膨らむような反りが成形時に発生することを想定して、ガイド板部52Aの裏面における幅方向の中央と両端近傍との3箇所にセンサ取付部81としてのボス部82(82A〜82C)が形成されているとともに、中央のボス部82Bの高さが両端近傍のボス部82A、82Cより短く形成されている。
また、磁気センサ74のセンサ筐体84は、3個のボス部82A〜82Cと対向する検出面84Aが平坦であり、且つ鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aよりも曲げに対する剛性が十分強くなるように、用いる材料や厚さなどが選定されている。
そして、磁気センサ74は、3個のボス部82A〜82Cのそれぞれの上端面に形成されたネジ穴83の上に、センサ筐体84の貫通穴85A〜85Cを対向させた状態で、貫通穴85A〜85Cのそれぞれに挿通されたネジ86がネジ穴83と螺合することにより、検出面84Aに3個のボス部82A〜82Cのそれぞれの上端面が接触した状態でボス部82A〜82Cに締結され、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けられる。
このとき、センサ筐体84の剛性が鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aより十分強く、且つガイド板部52Aの裏面に設けられている中央のボス部82Bの高さが両端近傍のボス部82A、82Cより短いことから、ガイド板部52Aは、側板部52B、52Cとは反対側(つまり搬送路43側)に膨らんでいた中央部がネジ86の軸力により磁気センサ74側に引き上げられ、図4に示すように反りが抑制される。こうすることで、鑑別部24では、磁気センサ74が紙幣BLから磁気情報を正確に読み取ることができる。
尚、磁気センサ74取付後のガイド板部52Aは、ほぼ平坦ではあるが、中央のボス部82Bの高さが両端のボス部82A、82Cより短いため、幅方向の中央部がわずかに磁気センサ74側に凹むように反っている。しかしながら、磁気センサ74取付後の反り具合が磁気センサ74取付前の反り具合と比べて十分小さくなるように、ボス部82A〜82Cの高さが選定されていることにより、ガイド板部52Aの反りは十分抑制されていると言える。
さらに、鑑別上側搬送ガイド52では、ガイド板部52Aが磁気センサ74側に凹む方向に反っている場合には、紙幣BLが反り難く磁気センサ74の読み取りにはほとんど影響しないことがわかっている。
これは、ガイド面80の高さ方向の基準位置が、ガイド面80における幅方向の両端部の高さ方向の位置であり、ガイド面80における幅方向の中央部がこの基準位置よりも搬送路43側にはみ出すようにガイド板部52Aが反っていると(すなわちガイド板部52Aの中央部が搬送路43側に膨らむように沿っていると)、ガイド板部52Aの反りが、搬送路43を通る紙幣BLが反る要因となる一方で、ガイド面80の中央部が、この基準位置から搬送路43側にはみ出していなければ(すなわちガイド板部52Aの中央部が磁気センサ74側に凹むように沿っている場合には)、ガイド板部52Aの反りが、搬送路43を通る紙幣BLが反る要因とはなり難いためである。
よって、鑑別部24では、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aが磁気センサ74側にわずかに凹むように反ってはいるものの、磁気センサ74が紙幣BLから磁気情報を正確に読み取ることができる。
また一方で、ボス部82A〜82Cの高さを全て等しくすることについても検討した。この場合、成形精度にもよると思われるが、搬送路43側に膨らんでいたガイド板部52Aの中央部を磁気センサ74側に十分に引き上げることができず、中央のボス部82Bの高さを両端のボス部82A、82Cより短くした場合と比べて、ガイド板部52Aの反り具合が大きくなってしまった。このような理由から、本実施の形態では、中央のボス部82Bの高さを両端のボス部82A、82Cより短く形成するようになっている。
[1−4.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aの裏面における幅方向の中央と両端近傍との3箇所にセンサ取付部81としてのボス部82(82A〜82C)を形成するとともに、中央のボス部82Bの高さを両端のボス部82A、82Cより短く形成した。
また、センサ取付部81に取り付けられる側のセンサ筐体84については、3つのボス部82A〜82Cと対向する検出面84Aを平坦とし、且つ鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aよりも曲げに対する剛性を強くした。
そして、センサ筐体84の検出面84Aを3個のボス部82A〜82Cのそれぞれの上端面と対向させた状態で、ネジ86により、センサ筐体84をボス部82A〜82Cに締結することで、磁気センサ74を鑑別上側搬送ガイド52の裏面側に取り付けるようにした。これにより、ガイド板部52Aの中央部が搬送路43側に膨らむように反っていた鑑別上側搬送ガイド52は、ガイド板部52Aの中央部がネジ86の軸力により磁気センサ74側に引き上げられてガイド板部52Aの反りが抑制される。こうすることで、第1の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制できる。
また、第1の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52に取り付ける磁気センサ74を利用して、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aの反りを抑制するようにした。このため、第1の実施の形態では、ガイド板部52Aの反りを抑制するための部材を別途用意する必要がなく、部品コストを抑えつつ、ガイド板部52Aの反りを抑制できる。
[2.第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制する方法が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。具体的には、磁気センサ74の取り付けによって鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するのではなく、磁気センサ74の周辺に設けられた従動ローラ57B、57Cのシャフトを保持するシャフト保持部材(詳しくは後述する)の取り付けによって鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようになっている。ゆえに、ここでは、主に、鑑別上側搬送ガイド52と、シャフト保持部材の構成について説明する。
[2−1.鑑別上側搬送ガイド及びシャフト保持部材の構成]
図8及び図9に、鑑別センサ部41の鑑別上側搬送ガイド52と、従動ローラ57Bのシャフト100(100A、100B)を保持するシャフト保持部材101、及び従動ローラ57Cのシャフト102(102A、102B)を保持するシャフト保持部材103の構成を示す。尚、図8は、図3に示す鑑別上側搬送ガイド52を、従動ローラ57Bと反射透過センサユニット71Uとの間の位置で垂直に切断した場合の断面を後側から見た断面図である。図9は、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けられたシャフト保持部材101、103を上側から見た上面図である。また、図8及び図9は、鑑別上側搬送ガイド52とシャフト保持部材101、103以外の部分については適宜省略した図となっている。
図9に示すように、鑑別上側搬送ガイド52は、磁気センサ74の前方(搬送方向の一方)の所定箇所と後方(搬送方向の他方)の所定箇所とにそれぞれシャフト保持部材101、103を取り付けるためのシャフト保持部材取付部104、105が設けられている。尚、シャフト保持部材101及びシャフト保持部材取付部104の構成は、シャフト保持部材103及びシャフト保持部材取付部105の構成と同一のため、ここでは、シャフト保持部材101及びシャフト保持部材取付部104の構成について説明する。
図8に示すように、シャフト保持部材取付部104は、ガイド板部52Aの裏面における幅方向の中央と両端近傍とにそれぞれ1個ずつ突設された計3個のボス部110(110A〜110C)により構成されている。3個のボス部110A〜110Cは、外径が等しい円柱状の部材であり、上端面にネジ穴111が形成されている。また、これら3個のボス部110A〜110Cのうち、中央のボス部110Bは、両端のボス部110A、110Cと比べて、ガイド板部52Aの裏面からの高さが短く形成されている。つまり、ガイド面80から両端近傍のボス部110A、110Cまでの上端面までの長さをc、ガイド面80から中央のボス部110Bの上端面までの長さをdとすると、c>dの関係が成り立っている。
これら鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52A及び側板部52B、52Cと、3個のボス部110A〜110Cは、所定の樹脂材料を用いて一体成形されている。
一方、シャフト保持部材101は、ガイド板部52Aにおける幅方向に長い長方形板状の板金部品112を有している。この板金部品112は、幅方向の長さ(つまり幅)が、側板部52B、52C間の間隔よりわずかに短く形成されていて、厚さ方向の両面のうち、少なくともガイド板部52Aと対向する一面112Aが平坦となっている。また、この板金部品112は、3個のボス部110A〜110Cのそれぞれのネジ穴111に対応する3箇所(つまり幅方向の中央と両端近傍)に、それぞれ1個ずつ計3個の貫通穴113A〜113Cが形成されている。またこの板金部品112は、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aより曲げに対する剛性が十分強くなるように、用いる材料や厚さなどが選定されている。
そして、この板金部品112は、平坦な一面112Aを搬送路43側に向け、3個のボス部110A〜110Cのそれぞれのネジ穴111の上に、貫通穴113A〜113Cを対向させた状態で、貫通穴113A〜113Cのそれぞれに挿入されたネジ114の先端部がネジ穴111と螺合することにより、各ネジ114の頭部とボス部110A〜110Cとの間に挟持されるようにして鑑別上側搬送ガイド52に固定されている。このように、シャフト保持部材101は、ネジ114によってボス部110A〜110Cに締結され固定されている。
さらに、シャフト保持部材101は、板金部品112の一面112Aにおける一端側の貫通穴113Aと中央の貫通穴113Bとの間に、幅方向に間隔を空けて2本の圧縮ばね115の一端が固定されていて、これら2本の圧縮ばね115の他端に、シャフト100Aが固定されている。そして、このシャフト100Aに、回転軸方向に間隔を空けて2個の従動ローラ57Bが回転可能に支持されている。
また、シャフト保持部材101は、板金部品112の一面112Aにおける中央の貫通穴113Bと他端側の貫通穴113Cとの間にも、幅方向に間隔を空けて2本の圧縮ばね115の一端が固定されていて、これら2本の圧縮ばね115の他端に、シャフト100Bが固定されている。そして、このシャフト100Bに、回転軸方向に間隔を空けて2個の従動ローラ57Bが回転可能に支持されている。
このように、シャフト保持部材101は、4個の従動ローラ57Bをシャフト100A、100Bとともに対向する駆動ローラ55B(図3参照)側に付勢するようにして、シャフト100A、100Bを保持している。
ここで、上述したように、シャフト保持部材101の板金部品112の剛性が鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aの剛性より十分強く、且つシャフト保持部材取付部104の3個のボス部110A〜110Cのうち、中央のボス部110Bが両端近傍のボス部110A、110Cより高さが短く形成されていることから、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aは、幅方向の中央部が、ネジ114の軸力により板金部品112側に引き上げられて両端部よりわずかに板金部品112側に凹んでいる。
つまり、板金部品112が鑑別上側搬送ガイド52に取り付けられると、ガイド板部52Aは、側板部52B、52Cとは反対側(つまり搬送路43側)に膨らんでいた中央部がネジ114の軸力により板金部品112側に引き上げられ、反りが抑制される。
また、シャフト保持部材101と同一構成であるシャフト保持部材103側でも、板金部品112が鑑別上側搬送ガイド52に取り付けられると、ガイド板部52Aは、側板部52B、52Cとは反対側(つまり搬送路43側)に膨らんでいた中央部がネジ114の軸力により板金部品112側に引き上げられ、反りが抑制される。
このように、第2の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52に、従動ローラ57B、57Cのシャフト100、102を保持するシャフト保持部材101、103を取り付けることにより、鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようになっている。こうすることで、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、磁気センサ74が紙幣BLから磁気情報を正確に読み取ることができる。
尚、ここでは、磁気センサ74を鑑別上側搬送ガイド52に取り付けるためのセンサ取付部の構成については説明を省略したが、センサ取付部については、磁気センサ74を取り付けることができる構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、図4に示した第1の実施の形態のセンサ取付部81から、中央のボス部82Bを省略した構成としてもよい。
[2−2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aの裏面における幅方向の中央部と両端部との3箇所にシャフト保持部材取付部104としてのボス部110A〜110Cを形成するとともに、中央のボス部110Bの高さを両端近傍のボス部110A、110Cより短く形成した。
また、シャフト保持部材取付部104に取り付けられる側の板金部品112については、3個のボス部110A〜110Cと対向する一面112Aを平坦とし、且つ鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aよりも曲げに対する剛性を強くした。
そして、板金部品112の一面112Aを3個のボス部110A〜110Cのそれぞれの上端面と対向させた状態で、ネジ114により、板金部品112をボス部110A〜110Cに締結することで、シャフト保持部材101を鑑別上側搬送ガイド52の裏面側に取り付けるようにした。これにより、ガイド板部52Aの中央部が搬送路43側に膨らむように反っていた鑑別上側搬送ガイド52は、ガイド板部52Aの中央部がネジ114の軸力により板金部品112側に引き上げられて、ガイド板部52Aの反りが抑制される。こうすることで、第2の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制できる。
また、第2の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けるシャフト保持部材101を利用して、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aの反りを抑制するようにした。このため、第2の実施の形態では、ガイド板部52Aの反りを抑制するための部材を別途用意する必要がなく、部品コストを抑えつつ、ガイド板部52Aの反りを抑制できる。
ところで、上述した第1の実施の形態では、磁気センサ74の取り付けによりガイド板部52Aの反りを抑制するようになっていた。このため、第1の実施の形態では、磁気センサ74に対して、ガイド板部52Aより剛性が強く、且つガイド板部52Aの中央部を引き上げることができる程度の軸力を発生するネジ86を通す貫通穴85Bを中央に設けなくてはならないといった制約があった。
これに対して、第2の実施の形態では、磁気センサ74の取り付けではなく、シャフト保持部材101の取り付けによって鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようにしたことにより、磁気センサ74に対する制約をなくすことができる。これにより、第2の実施の形態では、例えば、一般的に流通している既存の磁気センサ74をそのまま利用したり、様々な形状の磁気センサ74を用いたりすることができる。
[3.他の実施の形態]
[3−1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、磁気センサ74のセンサ筐体84を利用して鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようにした。これに限らず、センサ筐体84と同様の制約を課すことができる部材(つまりガイド板部52Aより剛性が強く中央に貫通穴を形成できる部材)であれば、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けられる他の部材を利用して鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようにしてもよい。例えば、センサ筐体84ではなく、磁気センサ74を構成するセンサ基板(図示せず)をセンサ取付部81に取り付けるようにして、これにより鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようにしてもよい。また、例えば、反射透過センサユニット71Uの筐体を利用して鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようにしてもよい。
また、上述した第2の実施の形態では、シャフト保持部材101の板金部品112を、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けることで鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようにした。これに限らず、例えば、シャフト保持部材101の板金部品112と同様の板金部品を別途、鑑別上側搬送ガイド52の所望位置に取り付けることで鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようにしてもよい。
この場合、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けられる板金部品は、鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するためだけの部材となるが、その反面、鑑別上側搬送ガイド52の所望位置に取り付けることができる。尚、この板金部品を取り付けるための取付部材の構成については、シャフト保持部材取付部104の構成と同一であるため、説明は省略する。
さらに、このような板金部品を、鑑別部24に設けられた鑑別上側搬送ガイド52以外の搬送ガイド(搬送下側搬送ガイド50、搬送前側搬送ガイド51、鑑別下側搬送ガイド53)に取り付けるようにしてもよく、このようにすれば、鑑別上側搬送ガイド52以外の搬送ガイドの反りを抑制することもできる。さらに、このような板金部品を、鑑別部24の外部に設けられた搬送路27Rを形成する搬送ガイドに取り付けるようにしてもよい。
[3−2.他の実施の形態2]
さらに、上述した第1の実施の形態では、ガイド板部52Aの裏面に突設されたセンサ取付部81としての3個のボス部82A〜82Cのうち、中央のボス部82Bの裏面からの高さを、両端のボス部82A、82Cより短くすることで、ガイド板部52Aの反りを抑制するようにした。
ここで、仮にガイド板部52Aの反りを抑制したときに、ガイド板部52Aの中央部が磁気センサ74側ではなく搬送路43側にわずかに膨らんでいる方が良いのであれば、中央のボス部82Bの裏面からの高さを、両端のボス部82A、82Cより長くしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
さらに、上述した第1の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52の成形時に、ガイド板部52Aにおける幅方向の中央部が側板部52B、52Cとは反対側に膨らむような反りが発生するとした。これに対して、例えば、鑑別上側搬送ガイド52の成形時に、ガイド板部52Aにおける幅方向の中央部が側板部52B、52C側に膨らむような反りが発生する場合も考えられる。
この場合、ガイド板部52Aの反りを抑制したときに、ガイド板部52Aの中央部が磁気センサ74側にわずかに凹んでいる方が良いのであれば、中央のボス部82Bの裏面からの高さを、両端のボス部82A、82Cより短くすればよい。一方で、ガイド板部52Aの中央部が搬送路43側にわずかに膨らんでいる方が良いのであれば、中央のボス部82Bの裏面からの高さを、両端のボス部82A、82Cより長くすればよい。
このように、ガイド板部52Aがどのように反っていて、どのように反りを抑制するのかに応じて、中央のボス部82Bの高さと、両端のボス部82A、82Cの高さとを適宜選定するようにすればよい。第2の実施の形態についても同様である。
[3−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した第1の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52のガイド板部52Aの裏面における幅方向の中央と両端近傍とにそれぞれ1個ずつ計3個のボス部82A〜82Cを設けるようにした。ここで、これら3個のボス部82A〜82Cについては、ガイド板部52Aの幅方向に反って一直線上に並ぶように設けられていてもよいし、それぞれの位置が、ガイド板部52Aの裏面における搬送方向にずれるように設けられていてもよい。
例えば、センサ筐体84における幅方向及び搬送方向の中央に貫通穴85Bを設けることができないような場合、貫通穴85Bの位置を、センサ筐体84における幅方向の中央において搬送方向にずらすとともに、これに合わせて中央のボス部82Bの位置を搬送方向にずらすようにしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
さらに、ガイド板部52Aの裏面に設けられるボス部82の数については、少なくともガイド板部52Aの裏面における幅方向の中央と両端近傍とにそれぞれ1個以上設けられていればよく、例えば、両端近傍にそれぞれ1個と中央に2個(幅方向に並べて2個もしくは搬送方向に並べて2個)の計4個設けられていてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
さらに、上述した第1の実施の形態では、3個のボス部82A〜82Cの外径が等しいとしたが、これに限らず、それぞれの外径が異なっていてもよい。例えば、中央のボス部82Bの外径が、両端のボス部82A、82Cの外径より大きく形成されていてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
さらに、上述した第1の実施の形態では、センサ取付部81として円柱状のボス部82を用いたが、これに限らず、平坦な上端面を有する形状であれば、例えば、四角柱状のボス部など、円柱状以外の形状のボス部を用いてもよい。
[3−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した第2の実施の形態では、シャフト保持部材101の板金部品112と、シャフト保持部材103の板金部品112を、鑑別上側搬送ガイド52に取り付けることで鑑別上側搬送ガイド52の反りを抑制するようにした。
ここで、シャフト保持部材101の板金部品112における幅方向の両端部と、シャフト保持部材103の板金部品112における幅方向の両端部とを、搬送方向に延びる板金部品でつなげるようにして、1つの口字状の板金部品としてもよい。
[3−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した第1の実施の形態では、センサ筐体84の形状を、直方体形状としたが、これに限らず、3個のボス部82A〜82Cの上端面と対向する3箇所がそれぞれ平坦な面となっている形状であれば、直方体形状以外の形状であってもよい。
[3−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した第1の実施の形態では、ネジ86によってボス部82にセンサ筐体84を締結して固定するようにした。これに限らず、ボス部82にセンサ筐体84を締結して固定できるものであれば、ネジ86以外の締結部材を用いてもよい。例えば、ネジ86の代わりにナットとボルトを用いてもよい。この場合、センサ筐体84は、ナットとボス部82との間に挟持されるようにして鑑別上側搬送ガイド52に固定される。第2の実施の形態についても同様である。
[3−7.他の実施の形態7]
さらに、上述した各実施の形態では、本発明を、媒体処理装置としての鑑別部24に適用したが、本発明は、これに限らず、媒体の搬送路を形成する搬送ガイドを備える媒体処理装置であれば、鑑別部24とは異なる構成の媒体処理装置にも適用できる。
さらに、上述した各実施の形態では、本発明を、自動取引装置としての現金自動取引装置1に適用したが、これに限らず、搬送ガイドと、搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部とを備える自動取引装置であれば、現金自動取引装置1とは異なる構成の自動取引装置にも適用できる。例えば、紙、切符など、紙幣以外の媒体を扱う自動取引装置であっても、搬送ガイドと搬送部とを備える自動取引装置であれば適用できる。
さらに、上述した第1の実施の形態では、搬送ガイドに取り付けられる被取付部品の具体例として、センサ筐体84を用いたが、これに限らず、搬送ガイドに取り付けられるものであれば、センサ筐体84以外の部品を用いてもよい。例えば、磁気センサ74以外のセンサの筐体を用いるなどしてもよい。さらに、上述した第2の実施の形態では、搬送ガイドに取り付けられる被取付部品の具体例として、従動ローラ57B、57Cのシャフト100、102を保持するシャフト保持部材101、103を用いたが、これに限らず、搬送ガイドに取り付けられるものであれば、シャフト保持部材101、103以外の部品を用いてもよい。例えば、従動ローラ57B、57C以外のローラのシャフトを保持するシャフト保持部材を用いるなどしてもよい。
[3−8.他の実施の形態8]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。