以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に外観を示すように、媒体取引装置としての現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関等の顧客)との間で入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行うようになっている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、顧客との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客によって入金される紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙により、紙葉状に形成されている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を占める下部ユニット10Lとにより構成されている。
上部ユニット10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部11、顧客との間で紙幣を授受する入出金部12、紙幣を各部へ搬送する搬送部13、紙幣を鑑別する鑑別部14及び紙幣を一時的に収納する一時保留部15が設けられている。
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
入出金部12は、上部ユニット10U内における前上部に位置している。この入出金部12は、顧客から受け取った紙幣及び顧客へ引き渡す紙幣を収容する収容器12Aを内部に有しており、その上方をシャッタ12Bにより開閉し得るようになっている。収容器12A内には、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で収容される。この入出金部12は、収容器12A内の紙幣を1枚ずつに分離して搬送部13に引き渡し、また搬送部13から受け取った紙幣を収容器12A内へ放出して集積させる。
搬送部13は、上部ユニット10U内における下端部分に位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部13内には、紙幣を案内する搬送ガイドや多数の回転するローラ等が適宜配置されており、紙幣の短辺を進行方向に沿わせて、主に前後方向へ搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。
搬送部13は、図3に拡大図を示すように、大きく分けて、中央付近に配置された一時保留切替部20と、当該一時保留切替部20の前側及び後側にそれぞれ配置された前搬送部21及び後搬送部22により構成されている。一時保留切替部20は、紙幣制御部11の制御に基づき、前搬送部21、後搬送部22及び一時保留部15の間で紙幣を搬送するよう、紙幣の搬送経路を切り替える。
前搬送部21内には、前方から順に、リジェクト切替部24、鑑別部14及び切替部25が直列に配置されており、前後方向に沿った概ね直線状の前搬送路21Yが形成されている。後搬送部22内には、後方から順に、切替部27、28及び29がほぼ直列に配置されており、前後方向に沿った概ね直線状の後搬送路22Yが形成されている。各切替部は、紙幣制御部11の制御に基づき、紙幣の搬送経路を適宜切り替える。また前搬送部21及び後搬送部22は、それぞれ搬送路中に数枚程度の紙幣を貯留し得るようになっている。
鑑別部14は、前搬送部21内に組み込まれており、紙幣の搬送経路上で入出金部12と一時保留切替部20との間に位置している。この鑑別部14は、内部に厚みセンサ、イメージセンサ及び磁気センサといった複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を認識し、その認識結果を紙幣制御部11へ送出する。
一時保留部15(図2)は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることにより当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープと共に紙幣を引き剥がすことにより該紙幣を繰り出す。
下部ユニット10Lは、その全ての周側面が頑強な金庫筐体10Sにより覆われている。この金庫筐体10Sの内部には、後側から前側へ向けて、5個の紙幣収納庫16並びにリジェクト庫17が設けられている。
因みに下部ユニット10Lには、紙幣収納庫16及びリジェクト庫17を上方向から装填するためのスロットが複数形成された装填部(図示せず)が設けられており、この装填部が所定のスライドレール(図示せず)を介して金庫筐体10Sに取り付けられている。このため下部ユニット10Lでは、装填部を前後方向へスライドさせて金庫筐体10Sの外部に引き出した状態で、この装填部に対し紙幣収納庫16及びリジェクト庫17を着脱させることができる。
各紙幣収納庫16は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。また各紙幣収納庫16は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫16は、搬送部13から紙幣を受け取ると、これを内部に集積して収納する。また紙幣収納庫16は、紙幣制御部11から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に引き渡す(詳しくは後述する)。
リジェクト庫17は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫17は、鑑別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)が搬送部13により搬送されてくると、当該紙幣を内部に収納する。
[1−2.紙幣入出金機における入金処理及び出金処理]
次に、現金自動預払機1により顧客との間で入金取引及び出金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での入金処理及び出金処理について、それぞれ説明する。
[1−2−1.入金処理]
紙幣入出金機10(図2)は、入金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、まず入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、次に紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行うようになっている。
具体的に紙幣制御部11は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始し、顧客に入出金部12の収容器12Aへ紙幣を投入させ、これを1枚ずつに分離して取り込み、搬送部13へ順次引き渡す。搬送部13は、入出金部12から受け取った紙幣を前搬送部21により後方へ順次搬送しながら、鑑別部14により各紙幣を順次鑑別させ、一時保留切替部20へ順次引き渡す。このとき鑑別部14は、得られた鑑別結果を紙幣制御部11へ送出する。
紙幣制御部11は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部11は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる入金受入紙幣であると判断し、正常な紙幣として認識できない場合は、一度顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であると判断する。さらに紙幣制御部11は、入金受入紙幣について、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫16を、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫17を、それぞれ最終的な搬送先として決定する。
続いて紙幣制御部11は、前搬送部21から一時保留切替部20へ引き渡される紙幣の判断結果に応じて、入金受入紙幣であれば一時保留部15へ搬送して収納させ、入金リジェクト紙幣であれば後搬送部22内へ進行させて後搬送路22Y内に貯留させる。やがて紙幣制御部11は、入出金部12の収容器12Aから全ての紙幣を取り込み終えると、後搬送部22の後搬送路22Y内に入金リジェクト紙幣が貯留されていれば、これを顧客に返却する。これにより紙幣制御部11は、紙幣を前搬送部21経由で入出金部12へ搬送して顧客に返却し、紙幣の状態を確認させ、必要に応じて再投入させる。一方、紙幣制御部11は、後搬送部22の後搬送路22Y内に入金リジェクト紙幣が貯留されていなければ、入金計数処理を完了する。
このとき紙幣制御部11は、入出金部12から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6(図1)に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金取引を継続するか否かを選択させる。ここで紙幣制御部11は、顧客により入金取引の中止が指示された場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送して顧客に返却する。
一方、紙幣制御部11は、顧客により入金取引の継続が指示された場合、入金収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部11は、まず一時保留部15において操出処理を開始し、収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、一時保留切替部20へ引き渡す。このとき紙幣制御部11は、入金計数処理において決定された紙幣毎の搬送先に応じて、一時保留切替部20や各切替部における紙幣の搬送経路を適宜切り替えることにより、各紙幣をそれぞれの搬送先へ搬送して収納させる。これにより紙幣制御部11は、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫16に収納でき、また再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクト庫17に収納できる。
[1−2−2.出金処理]
また紙幣入出金機10(図2)は、出金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、顧客に指定された出金額に応じて紙幣を出金する出金処理を行うようになっている。紙幣制御部11は、顧客から操作表示部6(図1)を介して出金額を含む所定の操作入力を受け付け、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。続いて紙幣制御部11は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫16内に収納されている紙幣を順次繰り出し、搬送部13に順次引き渡す。
搬送部13は、前搬送部21内を前方へ向けて進行する紙幣の走行状態を鑑別部14により鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部11へ送出する。紙幣制御部11は、紙幣の走行状態に応じてリジェクト切替部24を切り替え、当該走行状態に問題が無ければ入出金部12へ進行させ、例えば重送のように搬送状態に問題があればリジェクト庫17へ進行させて、それぞれ紙幣を収納させる。やがて紙幣制御部11は、出金額に応じた全ての紙幣を入出金部12へ搬送し終えると、シャッタ12B等を開放して顧客に取り出させる。
[1−3.紙幣収納庫の基本構成]
次に、紙幣収納庫16の基本的な構成について説明する。図4(A)及び(B)に左側面図及び平面図を示すように、紙幣収納庫16は、全体として直方体状に形成されており、その上面及びその近傍が上カバー部31により覆われると共に、該上カバー部31よりも下側の部分であって前面近傍以外の部分が下カバー部32により覆われている。さらに下カバー部32の前側には、扉33Aが設けられている。すなわち紙幣収納庫16は、上カバー部31、下カバー部32及び扉33Aにより、その周囲が覆われている。
第1カバー部としての上カバー部31は、中空の直方体における下面側を開放したような形状となっている。また上カバー部31の上面における後寄りには、左右方向に細長い長方形状でなり、内部の空間と外部とを連通させる孔部31Hが形成されている。説明の都合上、以下ではこの孔部31Hを通過開口部とも呼ぶ。
さらに上カバー部31の下面における前右端近傍には、軸体35が設けられている。この軸体35は、上下方向に沿った仮想的な直線である仮想直線C1を中心軸とする細長い円柱状の突起として形成されており、上カバー部31の下面から下方へ向けて立設されている。因みに上カバー部31は、下カバー部32に対し、直接又は所定の取付部品(図示せず)を介して、数本のねじ(図示せず)等によって取り付けられている。
第2カバー部としての下カバー部32は、中空の直方体における前側面のうち下端近傍以外の部分と上側面とを開放したような形状となっている。このため紙幣収納庫16では、下カバー部32に上カバー部31が取り付けられた状態において、その前側に比較的大きく開放された開口部30が形成される。因みに下カバー部32における左右方向及び前後方向の長さは、上カバー部31とほぼ同等となっている。一方、下カバー部32における上下方向の長さは、上カバー部31よりも十分に長くなっている。
また下カバー部32は、左側面及び右側面のうち前端近傍の部分が、下端近傍を除いて僅かに後方へえぐられている。これにより下カバー部32は、その前側において、下端近傍のみが他の部分よりも前方へ突出したような形状となっている。以下では、この前方へ突出したような形状の部分を前突出部32Pと呼ぶ。
さらに下カバー部32の前突出部32Pにおける上面の右端近傍には、軸孔38が形成されている。軸孔38は、仮想直線C1を中心軸とする細長い丸孔となっている。すなわち軸孔38は、上カバー部31における軸体35のほぼ真下に位置している。また軸孔38の直径は、軸体35の直径よりも僅かに大きくなっている。
因みに下カバー部32は、上述したように、その下端近傍における前後方向の長さが、上カバー部31における前後方向の長さとほぼ同等となっている。このため下カバー部32は、下端近傍以外の部分における前後方向の長さが、上カバー部31における前後方向の長さよりも短くなっている。これに伴い、下カバー部32における左側面及び右側面の前端は、軸体35及び軸孔38よりもやや後方に位置している。
扉33Aは、前後方向に薄い中空の直方体における後面を開放したような形状となっている。扉33Aにおける左右方向の長さは、下カバー部32よりも僅かに短くなっている。また扉33Aにおける上下方向の長さは、下カバー部32における前突出部32Pを除いた部分、すなわち後方へえぐられた部分における上下方向の長さよりも僅かに短くなっている。さらに扉33Aにおける前後方向の長さは、下カバー部32の前突出部32Pにおける前後方向の長さよりも十分に長くなっている。
扉33Aの上面における後右端近傍には、下カバー部32の軸孔38と同様の形状でなる軸孔36が形成されている。また扉33Aの下面における後右端近傍には、上カバー部31の軸体35と同様の形状でなる軸体37が下方へ向けて立設されている。この軸体37の中心軸は、軸孔36の中心軸の真下に位置している。
さらに扉33Aは、軸体37を下カバー部32の軸孔38に挿通させると共に、軸孔36に上カバー部31の軸体35が挿通されている。このため扉33Aは、上カバー部31及び下カバー部32に対して、軸体35及び軸孔38の中心軸である仮想直線C1を中心として、図4(B)の矢印R1方向(すなわち反時計回り)又は矢印R2方向(すなわち時計回り)に回動することができる。
説明の都合上、以下では軸体35及び軸孔36を組み合わせて上回動部41と呼び、軸体37及び軸孔38を組み合わせて下回動部42と呼ぶ。さらに、上回動部41のうち上カバー部31側に設けられている軸体35を第1回動支持部とも呼び、軸孔36を第1被支持部とも呼び、下回動部42のうち下カバー部32側に設けられている軸孔38を第2回動支持部とも呼び、軸体37を第2被支持部とも呼ぶ。そうすると扉33Aは、上カバー部31の第1回動支持部と、下カバー部32の第2回動支持部とにより、第1被支持部及び第2被支持部を介して、回動可能に支持されていることになる。
扉33Aは、図4(B)に実線で示したように、その後面を下カバー部32の前面に近接させた状態において、開口部30を閉塞して、該下カバー部32の内部を外部から遮蔽することができる。以下、これを閉塞状態と呼ぶ。また扉33Aは、図4(B)に破線で示したように、閉塞状態から矢印R1方向へ回動されてその後面を下カバー部32の前面から引き離した状態において、開口部30を開放して、該下カバー部32の内部を外部と連通させることができる。以下、これを開放状態と呼ぶ。
因みに扉33Aの前面における左端近傍又は左側面には、図示しない錠が設けられており、図示しない鍵が用いられることにより、施錠又は解錠されるようになっている。この錠には、所定の係合体が設けられており、閉塞状態において施錠されたときに、下カバー部32に設けられた被係合体(図示せず)と係合し、解錠されたときに、この被係合体との係合を解消するようになっている。
さらに紙幣収納庫16における上カバー部31及び下カバー部32の内部には、収納機構部45及び分離放出部46が設けられている。収納機構部45は、下カバー部32内における下側から約2/3乃至3/4の範囲を占めている。この収納機構部45は、紙幣を集積した状態で載置する板状のステージや、このステージを上下方向へ移動させるためのステージ移動機構、或いは各方向に関して紙幣を収納する空間の大きさを規制するガイド等(何れも図示せず)により構成されている。さらに収納機構部45は、主に後側の約1/3の範囲に種々の部品が組み込まれており、後内側面45Rよりも前側の約2/3の範囲であって、且つ左右の両端近傍を除いた部分に空間が形成されている。
一方、扉33Aは、上述したように中空の直方体状であり、その内部に形成された前内側面33AFよりも後側に、空間が形成されている。このため紙幣収納庫16は、扉33Aが閉塞状態であるときに、後内側面45R及び前内側面33AFの間に直方体状の空間(以下これを収納空間50Aと呼ぶ)を形成する。この収納空間50Aは、後述するように、紙幣を収納するための空間となる。
分離放出部46は、下カバー部32の内部における上側から約1/3乃至1/4の範囲と、上カバー部31の内部とに渡る部分、すなわち収納機構部45の上側に隣接する箇所に位置している。換言すれば、上カバー部31及び下カバー部32の境界線を表す仮想的な直線L1は、分離放出部46の下端よりも上側に位置している。
また分離放出部46には、上カバー部31の孔部31H内に受渡部46Dが設けられている。この受渡部46Dは、搬送部13(図2及び図3)との間で、上カバー部31の孔部31Hを介して紙幣を案内することにより、該紙幣を円滑に受け渡し得るようになっている。また分離放出部46の下面は、収納空間50Aにおける上側の範囲を規制している。
この分離放出部46には、紙幣を搬送する搬送機構や、複数のローラ等(図示せず)が適宜組み込まれている。分離放出部46は、紙幣制御部11(図2)の制御に従い、放出動作及び分離動作を行い得るようになっている。例えば分離放出部46は、放出動作を行う場合、搬送部13(図2)から受渡部46Dを介して受け取り、この紙幣を下方へ搬送して収納空間50A内へ放出して、該紙幣の紙面を上下に向けた姿勢で収納機構部45のステージ(図示せず)上に集積させる。また分離放出部46は、分離動作を行う場合、収納機構部45によりステージ(図示せず)上に集積されている紙幣が下方から押し付けられた状態で、この紙幣を1枚ずつに分離し、上方へ搬送して受渡部46Dから搬送部13(図2)へ引き渡す。
また分離放出部46には、搬送される紙幣を検出し、或いは各種ローラ等の回転を検出するための種々のセンサが適宜組み込まれている。分離放出部46は、各センサによる検出結果を基に所定の検出信号を生成し、これを紙幣制御部11へ送信する。これに応じて紙幣制御部11は、紙幣収納庫16の分離放出部46における各部の動作の状態を把握することができる。
[1−4.紙幣収納庫の構成変更]
上述したように紙幣収納庫16は、下カバー部32に対して上カバー部31が数本のねじ(図示せず)等によって取り付けられている。このため紙幣収納庫16は、このねじが取り外されることにより、図5に示すように、該下カバー部32から該上カバー部31を容易に分離することができる。このとき紙幣収納庫16では、上カバー部31の軸体35が扉33Aの軸孔36から引き抜かれるため、下カバー部32の軸孔38から該扉33Aの軸体37を引き抜くことにより、該下カバー部32から扉33Aを容易に取り外すことができる。
また紙幣収納庫16には、図5に示すように、扉33Aと互換性を有する構成の扉33Bが用意されている。この扉33Bは、扉33Aと比較して、前後方向の長さが約1/2〜1/3程度に短くなっている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
このため紙幣収納庫16は、扉33Aに代えて扉33Bを用いて組み立てることができる。例えば紙幣収納庫16は、下カバー部32から上カバー部31及び扉33Aが取り外された状態で(図5)、該下カバー部32の軸孔38に扉33Bの軸体37が挿入され、上カバー部31の軸体35が扉33Bの軸孔36に挿入された状態で、該上カバー部31が該下カバー部32に取り付けられる。
このように組み立てられた紙幣収納庫16は、図4(A)と対応する図6に示すように、扉33Bの前面が、上カバー部31の前面や下カバー部32における前突出部32Pの前面とほぼ連続した平面を形成している。
説明の都合上、以下では、扉33Aを有する紙幣収納庫16(図4(A))を紙幣収納庫16Aとも呼び、また扉33Bを有する紙幣収納庫16(図6)を紙幣収納庫16Bとも呼ぶ。さらに以下では、紙幣収納庫16Bにおいて、扉33Bの前内側面33BF及び収納機構部45の後内側面45Rの間に形成される空間を収納空間50Bと呼ぶ。
ここで、紙幣収納庫16A及び16Bを比較するべく、図7に示すように、扉33Aを実線により表すと共に、扉33Bを破線により重ねて表す。この図7から分かるように、紙幣収納庫16(16A又は16B)では、扉33Bにおける前内側面33BFの位置が、扉33Aにおける前内側面33AFの位置よりも後側に位置する。
この結果、紙幣収納庫16では、紙幣収納庫16Aにおける収納空間50Aの前後長LAよりも、紙幣収納庫16Bにおける収納空間50Bの前後長LBの方が、十分に短くなっている。これを換言すれば、紙幣収納庫16(16A又は16B)では、扉33(33A又は33B)を交換することにより、収納空間50(50A又は50B)の大きさ、具体的には前後長(LA又はLB)を変更することができる。
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣収納庫16は、上カバー部31及び下カバー部32の間に扉33(33A又は33B)を挟んだ構成とし、該下カバー部32から該上カバー部31を取り外すことにより、扉33を交換し得るようにした。
ここで、図4(A)及び(B)と対応する図8(A)及び(B)に示すように、仮想的な紙幣収納庫76を想定する。この仮想的な紙幣収納庫76は、第1の実施の形態による紙幣収納庫16の上カバー部31及び下カバー部32に代えて、前側の前カバー部81A及び後側の後カバー部82を有している。後カバー部82には、紙幣収納庫16と同様の収納機構部45及び分離放出部46がそれぞれ取り付けられている。
前カバー部81Aの前面には、開口部30と対応する開口部80が形成されている。また前カバー部81Aには、前左端近傍における上端近傍及び下端近傍に、それぞれ軸受85が取り付けられ、この2個の軸受85により細長い円柱状の軸体86を回動可能に支持している。軸体86は、扉33と対応する扉83が挿通されている。すなわち扉83は、軸体86及び軸受85を介して前カバー部81Aに対して回動でき、これにより開口部80を閉塞又は開放することができる。
この仮想的な紙幣収納庫76は、所定のねじ(図示せず)を取り外すことにより、図9に示すように、後カバー部82に対して前カバー部81Aを分離することができる。また紙幣収納庫76には、図10に示すように、前カバー部81Aよりも前後方向の長さが短い前カバー部81Bも用意されている。すなわち紙幣収納庫76は、前カバー部81(81A又は81B)を交換することにより、内部に形成される収納空間の大きさ、具体的には前後方向の長さを変更することができる。
しかしながら仮想的な紙幣収納庫76では、前カバー部81(81A又は81B)を交換する場合であっても、他の部品、すなわち2個の軸受85、軸体86及び扉83を、有効利用等の観点から、交換せずにそのまま使用する。このため仮想的な紙幣収納庫76では、例えば前カバー部81Aから前カバー部81Bに交換する場合、前カバー部81Aから2個の軸受85、軸体86及び扉83を取り外した上で、これらを前カバー部81Bに取り付ける、といった繁雑な作業が必要となってしまう。
これに対して本実施の形態による紙幣収納庫16(図4〜図6)では、上カバー部31及び下カバー部32を仮想的な直線L1に沿って上下に分割し得るように構成し、且つ上カバー部31に軸体35を設け、下カバー部32に軸孔38を設け、扉33(33A及び33B)に軸孔36及び軸体37を設けた。
このため紙幣収納庫16では、下カバー部32に対して上カバー部31を取り外すだけで、扉33の軸孔36から軸体35を引き抜くことができ、該下カバー部32から該扉33(例えば扉33A)を直ちに取り外すことができる。続いて紙幣収納庫16では、他の扉33(例えば扉33B)の軸体37を下カバー部32の軸孔38に挿通させた上で、軸体35を軸孔36に挿通させながら上カバー部31を下カバー部32に取り付けるだけで、扉33を組み替える作業を完了できる。
この結果、紙幣収納庫16では、収納空間50(50A又は50B)の大きさ、具体的には前後方向の長さを極めて容易に変更することができる(図7)。例えば紙幣収納庫16は、製造段階において出荷先が変更されて仕様も変更され、収納すべき紙幣の大きさ、特に短辺の長さが大きく変化する場合、この扉33(33A又は33B)を交換するだけで、それぞれの紙幣に対応することができる。
これに伴い、例えば短辺が比較的短い紙幣が使用される国や地域では、前後方向の長さが短い紙幣収納庫16B(図6)に合わせて設計された、前後方向の長さを抑えた紙幣入出金機10や現金自動預払機1を導入することができ、金融機関の店舗等において設置や保守作業に必要な面積をより小さく抑えることが可能となる。
これを他の観点から見れば、紙幣収納庫16では、上回動部41の一部分である軸体35を上カバー部31の下面に設け、残りの部分である軸孔36を扉33の上面に設けた。また紙幣収納庫16では、下回動部42の一部分である軸体37を扉33の下面に設け、残りの部分を下カバー部32における前突出部32Pの上面に設けた(図4、図5)。
これにより紙幣収納庫16では、下カバー部32から上カバー部31を取り外すだけで、上カバー部31及び下カバー部32の分離を完了できると共に、上回動部41を分解できる。引き続き紙幣収納庫16では、下カバー部32から扉33を上方へ引き抜くだけで、下カバー部32及び扉33の分離を完了できると共に、下回動部42も分解できる。
一方、各部が分離された状態の紙幣収納庫16(図5)では、扉33の軸体37を下カバー部32の軸孔38に挿入させるだけで、下回動部42を組み立てると共に、下カバー部32に対し扉33を適切な位置に合わせることができる。続いて紙幣収納庫16では、上カバー部31を下カバー部32に取り付けて軸体35を扉33の軸孔36に挿入させるだけで、上回動部41を組み立てると共に、扉33の組立作業を完了することができる。
このため本実施の形態による紙幣収納庫16では、仮想的な紙幣収納庫76(図8等)のように、後カバー部82から取り外した前カバー部81からさらに軸受85、軸体86及び扉83を取り外し、新たな前カバー部81に取り付ける、といった繁雑な作業を行う必要がない。
そのうえ紙幣収納庫16では、上カバー部31及び下カバー部32の境界線(すなわち仮想的な直線L1)を、分離放出部46の下端よりも上側に位置させた(図4(A))。このため紙幣収納庫16では、仮に上カバー部31及び下カバー部32の間に隙間が生じたとしても、この隙間と収納空間50との間に分離放出部46が位置することになるため、外部からこの隙間を介して収納空間50内の紙幣を取り出す等の不正行為を未然に防止できる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣収納庫16は、上カバー部31及び下カバー部32の間に扉33(33A又は33B)を挟んだ構成とし、上カバー部31に軸体35を設け、下カバー部32に軸孔38を設け、扉33に軸孔36及び軸体37を設けた。紙幣収納庫16では、下カバー部32に対して上カバー部31を取り外すだけで、該下カバー部32から該扉33を直ちに取り外すことができ、他の扉33を挟んだ状態で上カバー部31を下カバー部32に取り付けるだけで、該扉33を組み替える作業を完了できる。これにより紙幣収納庫16では、収納すべき紙幣が変更されて短辺の長さが変化した場合、扉33を交換するだけで収納空間50における前後方向の長さを容易に変更できる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110(図2)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11及び紙幣収納庫16に代わる紙幣制御部111及び紙幣収納庫116を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部111は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部111は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣収納庫116は、図4(A)と対応する図11に示すように、第1の実施の形態による紙幣収納庫16と比較して、下カバー部32に代わる下カバー部132を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。下カバー部132は、第1の実施の形態による下カバー部32と比較して、分離放出部46の支持手法が相違している。
下カバー部132は、作業者等の作業により、分離放出部46を上方から装着し、又は上方へ取り外し得るようになっている。すなわち紙幣収納庫116では、下カバー部132に対して上カバー部31が取り外されると、第1の実施の形態と同様に扉33を取り外し得ると共に、分離放出部46も取り外し得る状態となる。
この下カバー部132には、分離放出部46に代えて、分離機能のみを有する分離部46P、又は放出機能のみを有する放出部46Qを装着することができる。例えば紙幣収納庫116は、第1の実施の形態と同様に分離放出部46が装着された場合、外部から紙幣を取り込んで収納し得ると共に、収納している紙幣を繰り出すこともできる入出金庫として動作する。
一方、紙幣収納庫116は、分離放出部46に代えて分離部46Pが装着された場合、収納している紙幣を繰り出し得る一方で、外部から紙幣を取り込まない出金専用庫として動作する。また紙幣収納庫116は、分離放出部46に代えて放出部46Qが装着された場合、外部から紙幣を取り込んで収納し得る一方で、収納している紙幣を繰り出さない入金専用庫として動作する。
このように紙幣収納庫116は、収納機構部45の上側に装着するモジュール(すなわち分離放出部46、分離部46P又は放出部46Q)を交換することにより、入出金庫、出金専用庫又は入金専用庫の何れとして動作するかを変更することができる。
このため紙幣制御部111は、電源投入時等のように運用を開始する前の段階で、各紙幣収納庫116が入出金庫、出金専用庫又は入金専用庫の何れであるかを検出し、その種類に応じた処理を行うようになっている。
具体的に紙幣制御部111は、何れか1個の紙幣収納庫116を選択し、まず該紙幣収納庫116に対して紙幣を放出するため機構(ローラ等)を動作させる指示を供給する。これに応じて紙幣収納庫116は、この指示に従った動作を行うと共に、各種センサによる検出結果を基に検出信号を生成して紙幣制御部111へ供給する。これに応じて紙幣制御部111は、この検出信号を基に、紙幣収納庫116が紙幣の放出機能を有しているか否かを把握する。
次に紙幣制御部111は、該紙幣収納庫116に対して紙幣を分離するため機構(ローラ等)を動作させる指示を供給する。これに応じて紙幣収納庫116は、この指示に従った動作を行うと共に、各種センサによる検出結果を基に検出信号を生成して紙幣制御部111へ供給する。これに応じて紙幣制御部111は、この検出信号を基に、紙幣収納庫116が紙幣の分離機能を有しているか否かを把握する。
紙幣制御部111は、このようにして紙幣収納庫116における放出機能及び分離機能の有無を把握し、これを基に該紙幣収納庫116が入出金庫、入金専用庫及び出金専用庫の何れであれかを検出する。さらに紙幣制御部111は、各紙幣収納庫116についても同様に入出金庫、入金専用庫及び出金専用庫の何れであれかを検出した上で、それぞれの機能に応じた処理を割り当てる。
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣収納庫116は、第1の実施の形態による紙幣収納庫16と同様、上カバー部31及び下カバー部132の間に扉33を挟んだ構成とし、該下カバー部132から該上カバー部31を取り外すことにより、扉33を交換し得るようにした。
これに加えて紙幣収納庫116は、上カバー部31を取り外した状態において、下カバー部132に対して分離放出部46の装着又は取り外しを容易に行い得るようにした(図12)。すなわち紙幣収納庫116では、下カバー部132から上カバー部31を取り外すだけで、例えば収納機構部45のような他の部品を取り外すことなく、分離放出部46を上方へ引き抜くようにして取り外すことができ、また該分離放出部46等のモジュールを上方から容易に装着することもできる。
このため紙幣収納庫116では、下カバー部132に対して上カバー部31を取り外すだけで、他の部品の取り外し等の作業を必要とせずに、扉33を交換し得ると共に、分離放出部46についても他のモジュールである分離部46P又は放出部46Qに交換し得る。これにより紙幣収納庫116では、例えば仕様の変更等に応じて分離機能が不要となった場合に、下カバー部132から上カバー部31を取り外し、分離放出部46を放出部46Qに交換して、再び上カバー部31を取り付ける、といった極めて容易な作業が行われるだけで、対処を完了できる。
また紙幣入出金機110の紙幣制御部111は、電源投入時等のタイミングに、各紙幣収納庫116における分離機能及び放出機能の有無を確認するため、保守作業者等に対して、紙幣収納庫116の構成を変更したことに伴う各種設定の変更作業等を行わせる必要が無い。
その他の点においても、紙幣収納庫116は、第1の実施の形態による紙幣収納庫16と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣収納庫116は、上カバー部31及び下カバー部132の間に扉33を挟んだ構成とし、さらに該下カバー部132に対して分離放出部46を容易に着脱させ得るようにした。紙幣収納庫116では、下カバー部132に対して上カバー部31を取り外すだけで、該下カバー部132から該扉33を直ちに取り外すことができ、さらに分離放出部46を容易に分離部46P又は放出部46Qに交換できる。これにより紙幣収納庫116では、収納すべき紙幣が変更されて短辺の長さが変化した場合、扉33を交換するだけで収納空間50における前後方向の長さを容易に変更でき、さらに分離放出部46等のモジュールを交換することにより、分離機能及び放出機能のうち必要な機能のみに容易に変更できる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、上カバー部31及び下カバー部32の境界線を、ほぼ水平である仮想的な直線L1(図4(A))に沿った直線状とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば所定形状の境界線により分割された軸体35の近傍部分のみを上カバー部31とする等、種々の形状でなる境界線により上カバー部31及び下カバー部32を分割しても良い。或いは、これと反対に、軸孔38の近傍部分のみを下カバー部32とし、これ以外の部分を上カバー部31としても良い。この場合、上カバー部31から下カバー部32を取り外すことにより、扉33を交換することができる。さらには、3個以上に分割されたカバー部により紙幣収納庫16の周囲を覆うようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。例えば第2の実施の形態では、軸体35の近傍部分と受渡部46Dの近傍部分とを別部品とする場合に、扉33の交換時には軸体35の近傍部分を取り外し、分離放出部46等のモジュールを交換する場合には受渡部46Dの近傍も取り外すようにすることが考えられる。
また上述した第1の実施の形態においては、上回動部41及び下回動部42において、上側に位置する部材に軸体35及び37を設け、下側に位置する部材に軸孔36及び38を設ける場合について述べた(図4及び図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば扉33の上下に軸体をそれぞれ設け、上カバー部31及び下カバー部32にそれぞれ軸孔を設ける等、軸体及び軸孔を適宜入れ替えた構成としても良い。さらには、一方を軸体として他方を軸孔とする組合せに限らず、例えば一方を円錐形状とし他方をすり鉢形状とした組合せ等、他の種々の組合せにより上回動部41及び下回動部42をそれぞれ構成しても良い。要は、上カバー部31側の部材及び扉33側の部材の組合せ、並びに該扉33側の部材及び下カバー部32側の部材の組合せにより、該上カバー部31及び下カバー部32に対して扉33を回動可能に支持でき、且つ該下カバー部32から該上カバー部31を取り外すだけで扉33を取り外すことができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、下カバー部32を前側面のうち下端近傍以外の部分と上側面とを開放した形状として、開口部30(図4(A))の上辺部分を上カバー部31により構成し、他の各辺を下カバー部32により構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば下カバー部32の一部を前側面のうち上端近傍に設けることにより、開口部30を形成する全ての辺を下カバー部32により構成しても良い。この場合、開口部30の上辺部分が下カバー部32と一体に形成されるため、その強度を高めることができ、収納空間50内に収納された紙幣を不正に取り出そうとする不正行為をより確実に防止できる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、扉33として前後方向に長い扉33Aと、これよりも前後方向に短い扉33Bの2種類を用意する場合について述べた(図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、前後方向の長さが互いに相違する3種類以上の扉33を用意し、収納すべき紙幣における短辺の長さに合わせてこれらを適宜交換しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、前後方向の長さが異なる2種類の扉33(33A及び33B)を用意し、該扉33を交換することにより収納空間50の大きさを変更する場合について述べた(図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば扉33の前内側面33AF(図4(A))等における上寄りに、分離放出部46から放出された紙幣の衝撃を吸収するビルストッパを設ける場合に、扉自体の大きさを共通としながら該ビルストッパの大きさや形状が相違する複数種類の扉33を用意する等、様々な機能や形状等が相違する様々な扉33を用意し、これらを適宜交換するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、下カバー部132に対し分離放出部46を上方へ引き抜き、また該分離放出部46を上方から装着させる場合について述べた(図11及び図12)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば下カバー部132に対し分離放出部46を前方へ引き抜き、また該分離放出部46を前方から装着させる等、他の方向から着脱させるようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、下カバー部132に装着可能なモジュールとして分離放出部46、分離部46P及び放出部46Qの3種類を用意する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばこれらの3種類に加えて、高機能なモータが組み込まれることにより高速の分離動作や放出動作が可能であり、製造コストも上昇するような高機能分離放出部を設ける等、他の種々のモジュールを用意し、適宜交換するようにしても良い。要は、仕様に合わせて必要な機能を有するモジュールに交換できれば良い。またこの場合、紙幣収納庫116に実装されているモジュールの種類を各種センサの検出結果や種々の情報等によって紙幣制御部111が把握できることが望ましい。
さらに上述した第2の実施の形態においては、紙幣収納庫116においてモータ等を動作させ、得られた検出結果を基に、紙幣制御部111が放出機能及び分離機能の有無をそれぞれ把握する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫の各モジュール(分離放出部46等)にフラッシュメモリ等の記憶部を設けると共に放出機能や分離機能の有無を表す機能情報を記憶させておき、該モジュールから送信される該機能情報を基に、紙幣制御部111が各紙幣収納庫116における各機能の有無を把握しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、顧客との間で媒体としての紙幣に関する取引処理を行う現金自動預払機1の紙幣入出金機10に装着される紙幣収納庫16に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券等、或いは入場券や乗車券のような種々の紙葉状の媒体を取引対象として取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、第1カバー部としての上カバー部31と、第2カバー部としての下カバー部32と、開口部としての開口部30と、第1回動支持部としての軸体35と、第2回動支持部としての軸孔38と、扉としての扉33とによって媒体収納庫としての紙幣収納庫16を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1カバー部と、第2カバー部と、開口部と、第1回動支持部と、第2回動支持部と、扉とによって媒体収納庫を構成しても良い。