以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて詳細に説明する。
<1.第1の実施の形態>
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、顧客との間で現金に関する取引を行うようになされている。
筐体2は、その前面2A側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面2Aの上部から上面に渡る箇所に、接客部3が設けられている。
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、硬貨入出金口11、紙幣入出金口12、通帳挿入口13、カード挿入口14及び表示操作部15が設けられている。
硬貨入出金口11及び紙幣入出金口12は、顧客が入金する硬貨及び紙幣がそれぞれ投入されると共に、顧客へ出金する硬貨及び紙幣がそれぞれ排出される部分である。また硬貨入出金口11及び紙幣入出金口12は、それぞれに設けられたシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
通帳挿入口13は、取引で使用される通帳が挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分である。この通帳挿入口13の奥部には、取引内容等を通帳に記録する通帳処理部(図示せず)が設けられている。
カード挿入口14は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード挿入口14の奥部には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
表示操作部15は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額などを入力するタッチパネルとが一体化されている。
図2は、図1の現金自動預払機1を矢印A方向から見た側面図であり、当該現金自動預払機1の内部構成のうち主に紙幣の処理に関する部分を示している。同図に示したように、現金自動預払機1の内部には、上側に接客部3、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部4及び入金紙幣を一時的に保留する一時保留部5等が設けられており、下側に金種別のカセットでなる紙幣貯蔵部6等が設けられている。図中太線で示す搬送路7は、各部の間で紙幣を短辺方向に沿って搬送する。
搬送路7は、複数のベルト搬送部21(21a、21b……)及びローラ搬送部20(20a、20b……)により構成される。なお、現金自動預払機1には多数のベルト搬送部21及びローラ搬送部20が存在するが、図2の図中においてはその一部についてのみ符号を付している。
ベルト搬送部21は、互いに対向配置された一対のローラ間に掛け回され当該ローラ間を周回するテープが2組設けられ、この2組のテープにより紙幣を両面側から挟持して搬送する。
ローラ搬送部20は、隣り合うベルト搬送部21の間に主に設けられ(例えばベルト搬送部21aと21bの間に設けられたローラ搬送部20b)、後述するピンチローラ及び搬送ローラにより紙幣を挟持して搬送する。
この現金自動預払機1は、制御部8により全体を統括制御するようになされている。制御部8は、顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、表示操作部15を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金口12のシャッタを開いて紙幣を投入させる。
続いて制御部8は、投入された紙幣を搬送路7を介して鑑別部4へ搬送して鑑別させ、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部5へ搬送して一時的に保留する一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を紙幣入出金口12へ搬送して顧客に返却する。
その後制御部8は、表示操作部15を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部5に保留している紙幣を再び鑑別部4へ搬送して金種を再鑑別させて、鑑別された金種に応じて紙幣貯蔵部6の各カセットへ搬送し収納させるようになされている。
一方制御部8は、顧客に対し紙幣を出金する出金取引を行う場合、鑑別部4から搬送した紙幣を搬送路7を介して紙幣入出金口12へ搬送して顧客に受け渡す。
[1−2.ローラ搬送部の構成]
図3及び図4に、第1の実施の形態によるローラ搬送部20を示す。図23との対応部分に同一符号を付した図3の図中左側が現金自動預払機1の前面側(以下、単に前側とも呼ぶ)であり、図中右側が現金自動預払機1の後面側(以下、単に後側とも呼ぶ)である。
なお図3においては、フレーム22(後述する)は図示せず省略する。また図4においては、上側搬送ガイド60及び下側搬送ガイド62(後述する)は図示せず省略する。
ローラ搬送部20の下部分には、フレーム22に左右方向に沿って取り付けられた円柱形状の搬送ローラ回転軸32を軸として、搬送ローラ34(34R及び34L)が、図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在に、紙幣BLの長辺方向の長さよりも短い間隔を空けて左右に並び2つ設けられている。
それぞれの搬送ローラ34の上部には、当該搬送ローラ34と対向してピンチローラ36(36R及び36L)が設けられている。ピンチローラ36は、左右方向に延びるピンチローラ軸38(38R及び38L)と、当該ピンチローラ軸38を軸として図3の図中時計方向及び反時計方向に回転自在に構成された軸受40(40R及び40L)とから構成されている。
ここで、ピンチローラ軸38の外径の最大許容寸法は、軸受40の内径の最小許容寸法よりも小さく構成されており、ピンチローラ軸38と軸受40とは、いわゆる隙間嵌めとなっている。
ピンチローラ36Rのピンチローラ軸38Rは、図24との対応部分に同一符号を付した図5に示すピンチローラ36Rのように横断面D字形状であり、軸受40Rよりも右側に、左右方向に延びる円柱形状の上下方向の中間位置よりも上方において前後左右方向に沿って削られた平面が形成されている。
またピンチローラ36Lにおけるピンチローラ軸38Lは、軸受40Lよりも左側において、ピンチローラ軸38Rと同様に左右方向に延びる円柱形状の上下方向の中間位置よりも上方において前後左右方向に沿って削られた平坦面42が形成されている。
このためピンチローラ軸38は、前後左右方向に広がる平面である平坦面42が上面に形成されていると共に、円柱形状の外周面の一部である円弧面44が当該平坦面42の下部に形成されている。ここで、平坦面42と円弧面44との境目の稜線を境界部45とする。なお、以降のピンチローラの斜視図においては、ローラ搬送部において左右に1つずつ配されたピンチローラをまとめて1つの図に記載する。
図3及び図4に示すように、ピンチローラ36R及び36Lそれぞれの左右両側には、上側が開放された開口となる軸摺動部50が形成された横側面コ字形状のピンチローラレール52(52R及び52L)がフレーム22に固定されて設けられている。
軸摺動部50は、互いに対向し上下方向に平行に延びる平面である前摺動面51f及び後摺動面51bを有し、当該前摺動面51fと後摺動面51bとの間の前後方向の幅である開口幅は、ピンチローラ軸38における前後方向の幅よりもやや大きく構成されている。以下では前摺動面51fと後摺動面51bとをまとめて摺動面51とも呼ぶ。
これによりピンチローラレール52は、ピンチローラ軸38の前端部を前摺動面51fに、後端部を後摺動面51bにそれぞれ沿わせながら、当該ピンチローラ軸38を軸摺動部50において軸可動方向(上下方向)に摺動させる。
フレーム22に固定されたボス54(54R及び54L)の上端付近には、上側から見てコ字形状の板バネでなるピンチローラスプリング56(56R及び56L)が、下方向に付勢されつつネジ58(58R及び58L)により螺合されている。
ピンチローラスプリング56Rは、上側から見て前端から後端にかけてピンチローラレール52Rの左右方向外側に向かって二股に分岐する。同様にピンチローラスプリング56Lは、上側から見て前端から後端にかけてピンチローラレール52Lの左右方向外側に向かって二股に分岐する。
このためピンチローラスプリング56は、その後端部分において、板バネ形状の平坦な面であるバネ平坦面57をピンチローラ軸38の平坦面42に当接することにより当該ピンチローラ軸38に対し下方向に付勢するスプリング付勢力FSPを加える。
これによりピンチローラスプリング56は、ピンチローラ軸38に支持された軸受40に対し、スプリング付勢力FSPを加えることとなる。このスプリング付勢力FSPの方向は、軸摺動部50の前摺動面51f及び後摺動面51bの面方向に沿った上下方向、すなわち軸可動方向と同一となる。
ピンチローラスプリング56は、ピンチローラ軸38に支持された軸受40の外周面を搬送ローラ34の外周面に押し付ける。
このようにピンチローラ36の軸受40は、搬送ローラ34に押し付けられているため、当該搬送ローラ34の回転に合わせて共に回転(連れ回り)する。
ピンチローラ36の下端部付近には、板状の上側搬送ガイド60が前後左右に面方向に延設されている。
上側搬送ガイド60においてピンチローラ36の軸受40と対向する位置には、開口(図示せず)が穿設されることにより、当該軸受40の下端部を上側搬送ガイド60の下側に突出させる。
一方、搬送ローラ34の上端部付近には、板状の下側搬送ガイド62が上側搬送ガイド60と平行に延設されている。
下側搬送ガイド62において搬送ローラ34と対向する位置には、開口(図示せず)が穿設されることにより、当該搬送ローラ34の上端部を下側搬送ガイド62の上側に突出させる。
ローラ搬送部20においては、このような上側搬送ガイド60と下側搬送ガイド62との隙間の空間で、ベルト搬送部21から搬送された紙幣BLが前方から後方へ、又は後方から前方へ搬送される紙幣搬送路64(図2の搬送路7における一部分)を形成している。
すなわちローラ搬送部20は、例えば図中後側から搬送されてきた紙幣BLを上側搬送ガイド60及び下側搬送ガイド62により折れ曲がり等を防ぎながら、回転するピンチローラ36及び搬送ローラ34により挟持して図中前側へ搬送する。
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、現金自動預払機1におけるローラ搬送部20は、紙幣BLが例えば後方から搬送されてくると、ローラ搬送部20を右方向から見て図3の図中反時計回りに回転する搬送ローラ34と、ピンチローラスプリング56により当該搬送ローラ34方向に押し付けられ、当該搬送ローラ34の回転に連れ回されて図中時計回りに回転するピンチローラ36の軸受40とにより、当該紙幣BLを上下方向から挟持し、前方へ搬送する。
このとき、フレーム22に固定されている搬送ローラ回転軸32を軸として回転する搬送ローラ34は、上下方向には移動しない。一方ピンチローラ36は、ピンチローラ軸38がピンチローラレール52に沿って摺動可能であるため、紙幣BLの厚みの分だけ、下向きのスプリング付勢力FSPに逆らって上向きに移動する。
この間ピンチローラ36の軸受40がスプリング付勢力FSPにより搬送ローラ34に押し付けられて連れ回りしているため、ピンチローラ軸38には、摩擦により軸受40における図中時計回りの回転力が加わる。このためピンチローラ軸38は、軸受40と共に回転しようとする。
これに対しローラ搬送部20においては、板バネでなるピンチローラスプリング56のバネ平坦面57が、ピンチローラ軸38の平坦面42を下方向に付勢するようにした。
このようにローラ搬送部20は、バネ平坦面57でピンチローラ軸38の平坦面42を搬送ローラ34に向かって押し付けることで、互いに大きな面積で当接させることができる。
このためピンチローラ軸38が回転しようとすると、平坦面42がピンチローラスプリング56のバネ平坦面57に対し上方向の力を加えるが、このとき当該ピンチローラスプリング56は下方向にピンチローラ軸38を付勢しているため、ピンチローラ軸38は回転しない。
これによりローラ搬送部20は、ピンチローラ36のピンチローラ軸38が軸受40と共に回転してしまうことを防止することができる。
このためローラ搬送部20は、ピンチローラ軸38が回転しながら軸摺動部50を摺動することを防ぎ、ピンチローラレール52に不要な力を加えてしまうことを防ぐことができる。
さらにローラ搬送部20は、ピンチローラ軸38が軸受40内部で回転することにより当該軸受40の内周面を削ってしまうことを防止できる。
またローラ搬送部20は、紙幣BLを搬送ローラ34に押し付ける目的でピンチローラ36を搬送ローラ34方向へ付勢するために従来から加えていたスプリング付勢力FSPを利用して、ピンチローラスプリング56のバネ平坦面57によりピンチローラ軸38の平坦面42を押さえ付けるようにした。
このためローラ搬送部20は、ピンチローラ軸38の回転を抑制するために別途部品を追加することなく、簡易な構成でピンチローラ軸38の回転を防ぐことができる。
またピンチローラ軸38は、平坦面42をピンチローラスプリング56側に常に向けているため、摺動面51に対しては、円弧面44が接触することとなる。
このためピンチローラ軸38は、軸摺動部50を摺動する際、丸く滑らかな曲面である円弧面44を摺動面51に接触させることができる。
これによりローラ搬送部20は、摺動面51が受けるストレスを抑え、長期間安定した搬送性能を得ることができる。
ここで、本実施の形態によるピンチローラ軸38は、円柱形状の上下方向の中間位置よりも上部分において平坦面42を形成するようにした。
これに対し例えば、ピンチローラ軸38の上下方向の中間位置から下半分のみを円弧面44として残し、上半分を平坦面42とすると、平坦面42の面積は最も大きくなるため、平坦面42とピンチローラスプリング56とが当接する面積も最も大きくなる。この場合、ピンチローラ軸38の回転が最も抑制される状態にはなると考えられる。
しかしながらその場合、平坦面42と円弧面44との境目であるエッジ形状の境界部45が摺動面51と接触し、摩擦が生じてしまうこととなる。
この場合、ピンチローラ軸38が軸摺動部50と摺動を繰り返すたびに摺動面51を削るなどのストレスを与えてしまうため、ピンチローラレール52における長期間の安定した搬送性能を得られない可能性がある。
このためローラ搬送部20においては、ピンチローラ軸38の上下方向の中央部分よりもやや上部に平坦面42を形成することにより、ピンチローラ軸38とピンチローラレール52との安定的な摺動性を確保しながらも、可能な限り平坦面42の面積を大きくし、ピンチローラ軸38の回転を防止している。
またローラ搬送部20においては、ピンチローラ軸38の回転が防止され、従来のローラ搬送部2020(図23)のようにピンチローラ軸2038の上端部がピンチローラスプリング56を擦ってしまうことを防ぐことができるため、当該ピンチローラスプリング56及びピンチローラ軸38を高寿命化させることができる。
ところで、軸受40において従来のように転がり軸受を使用する場合、ピンチローラ軸と軸受とが互いにスリップしたりガタついたりしないように、軸受の内径の最大許容寸法よりもピンチローラ軸の外径の最小許容寸法が大きい締り嵌めや、軸受の内径の最大許容寸法よりもピンチローラ軸の外径の最小許容寸法が小さく且つ軸受の内径の最小許容寸法よりもピンチローラ軸の外径の最大許容寸法が大きい中間嵌めが採用されていた。
しかしながら本実施の形態において締り嵌め又は中間嵌めを採用すると、軸受40の回転力のほとんどがそのままピンチローラ軸38に伝達されてしまう。
これに対しピンチローラ36においては、ピンチローラ軸38と軸受40とを隙間嵌めとした。これによりピンチローラ36は、軸受40の回転力をピンチローラ軸38に伝達しにくくすることができ、当該ピンチローラ軸38の回転を抑制することができる。
以上の構成によれば、媒体取引装置としての現金自動預払機1における媒体搬送装置としてのローラ搬送部20は、回転可能に設けられ、外周面が紙幣BLに当接し当該紙幣BLを搬送する搬送ローラ34と、搬送ローラ34の回転軸と平行に延設され、上下方向の中間位置よりも上方において前後左右方向に沿って削られた軸回転抑止部としての平坦面42を有する横断面D字形状のピンチローラ軸38と、前摺動面51fと後摺動面51bとに囲まれた軸摺動部50においてピンチローラ軸38を軸可動方向に摺動させるピンチローラレール52と、ピンチローラ軸38をバネ平坦面57において搬送ローラ34に向かって付勢するピンチローラスプリング56と、ピンチローラ軸38の外周面を囲うように搬送ローラ34に対向して設けられ、搬送ローラ34の回転に応じて回転し、外周面が紙幣BLに当接し搬送ローラ34に押し付ける軸受40とを設けるようにした。
これにより現金自動預払機1は、ピンチローラスプリング56のバネ平坦面57でピンチローラ軸38の平坦面42を搬送ローラ34に向かって押し付けることで、互いに大きな面積で当接させることができ、軸受40からピンチローラ軸38に回転力が伝達した際、ピンチローラ軸38の回転を防ぐことができる。
<2.第2の実施の形態>
[2−1.ローラ搬送部の構成]
図1及び図2に示す第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比べて、ローラ搬送部120がローラ搬送部20と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また、第2の実施の形態によるローラ搬送部120は、図3との対応部分に同一符号を付した図6に示すように、ピンチローラ136のピンチローラ軸138とピンチローラレール152とが、第1の実施の形態によるピンチローラ36のピンチローラ軸38とピンチローラレール52と異なっている。
ピンチローラ136のピンチローラ軸138は、図5との対応部分に同一符号を付した図7に示すように、横断面I字形状であり、左右方向に延びた円柱形状の前後方向の中間位置よりも前方において上下左右方向に沿って削られた平面である前平坦面142fと、当該前平坦面142fと平行に形成され、円柱形状の前後方向の中間位置よりも後方において上下左右方向に沿って削られた平面である後平坦面142bとが形成されている。以下では前平坦面142fと後平坦面142bとをまとめて平坦面142とも呼ぶ。
このようにピンチローラ軸138は、その前面及び後面において上下左右方向に広がる平面である前平坦面142f及び後平坦面142bが形成され、上面及び下面において、当該前平坦面142f及び後平坦面142bに挟まれ、円柱形状の外周面の一部である円弧面144が形成されている。
ピンチローラレール152(図6)の開口幅は、第1の実施の形態によるピンチローラレール52(図3)の開口幅よりもやや小さく、且つピンチローラ軸138における前平坦面142fから後平坦面142bまでの距離よりもやや大きく構成されている。
これによりピンチローラレール152は、ピンチローラ軸138の前平坦面142fを前摺動面151fに、後平坦面142bを後摺動面151bにそれぞれ沿わせながら、当該ピンチローラ軸138を軸摺動部150において軸可動方向に摺動させる。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLが紙幣搬送路64を搬送されてくると、ピンチローラ軸138に軸受40から回転力が伝達されるため、ピンチローラ軸138が軸受40と共に回転しようとする。
これに対しローラ搬送部120においては、ピンチローラレール152における平坦面である前摺動面151f及び後摺動面151bにより、ピンチローラ軸138の前平坦面142f及び後平坦面142bを前後方向から挟み込むようにした。
これによりローラ搬送部120は、ピンチローラレール152の前摺動面151f及び後摺動面151bと、ピンチローラ軸138の前平坦面142f及び後平坦面142bとをそれぞれ互いに大きな面積で当接させることができる。
これによりローラ搬送部120は、ローラ搬送部20(図3)のようにピンチローラ軸38における1つの平坦面42のみで回転を抑制する場合と比較して、ピンチローラ軸138が軸受40と共に回転してしまうことをより一層防止できる。
このためローラ搬送部120は、ピンチローラ軸138が回転しながら軸摺動部150を摺動することを防ぎ、ピンチローラレール152に不要な力を加えてしまうことを防止できる。
以上の構成によれば、媒体取引装置としての現金自動預払機101における媒体搬送装置としてのローラ搬送部120は、回転可能に設けられ、外周面が紙幣BLに当接し当該紙幣BLを搬送する搬送ローラ34と、搬送ローラ34の回転軸と平行に延設され、円柱形状の前後方向の中間位置よりも前方において上下左右方向に沿って削られた平面である軸回転抑止部としての前平坦面142fと、当該前平坦面142fと平行に形成され、円柱形状の前後方向の中間位置よりも後方において上下左右方向に沿って削られた平面である軸回転抑止部としての後平坦面142bとを有する横断面I字形状のピンチローラ軸138と、前摺動面151fと後摺動面151bとに囲まれた軸摺動部50においてピンチローラ軸138を軸可動方向に摺動させるピンチローラレール152と、ピンチローラ軸138を搬送ローラ34に向かって付勢するピンチローラスプリング56と、ピンチローラ軸138の外周面を囲うように搬送ローラ34に対向して設けられ、搬送ローラ34の回転に応じて回転し、外周面が紙幣BLに当接し搬送ローラ34に押し付ける軸受40とを設けるようにした。
これにより現金自動預払機101は、ピンチローラレール152の摺動面151によりピンチローラ軸138の平坦面142を前後方向から挟みこむことで、互いに大きな面積で当接させることができ、軸受40からピンチローラ軸138に回転力が伝達した際、ピンチローラ軸138の回転を防ぐことができる。
<3.第3の実施の形態>
[3−1.ローラ搬送部の構成]
図1及び図2に示す第3の実施の形態による現金自動預払機201は、第2の実施の形態による現金自動預払機101と比べて、ローラ搬送部220がローラ搬送部120と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また、第3の実施の形態によるローラ搬送部220は、図6と、図7との対応部分に同一符号を付した図8とに示すように、ピンチローラ236のピンチローラ軸238が、第2の実施の形態によるピンチローラ136のピンチローラ軸138と異なっている。
ピンチローラ236のピンチローラ軸238は、図8に示すように横断面I字形状であり、ピンチローラ軸238における前平坦面242f及び後平坦面242bと円弧面244との境目である境界部245において、曲面形状でなる面取部246が形成されている。
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLが紙幣搬送路64を搬送されてくると、ピンチローラ軸238に軸受40から回転力が伝達されるため、ピンチローラ軸238が軸受40と共に回転しようとする。
これに対しローラ搬送部220においては、ピンチローラレール152における平坦面である前摺動面151f及び後摺動面151bにより、ピンチローラ軸238の前平坦面242f及び後平坦面242bを前後方向から挟み込むようにした。
これによりローラ搬送部220は、ピンチローラレール152の前摺動面151f及び後摺動面151bとピンチローラ軸238の前平坦面242f及び後平坦面242bとをそれぞれ互いに大きな面積で当接させることができる。
これによりローラ搬送部220は、ピンチローラ236においてピンチローラ軸238が軸受40と共に回転してしまうことを防止することができる。
またピンチローラ軸238は、前平坦面242f及び後平坦面242bと円弧面244との境目の境界部245において曲面形状でなる面取部246を形成するようにした。
ここで、第2の実施の形態によるピンチローラ軸138(図7)は、境界部145がエッジ形状となっていたため、ピンチローラ軸138が軸摺動部150を摺動する際に、境界部145が前摺動面151f又は後摺動面151bに引っかかったり、食いついたりしてしまう可能性がある。この場合、ピンチローラ軸138が滑らかに軸可動方向に移動せず、動きが悪くなってしまう。
これに対しピンチローラ軸238においては、曲面形状でなる面取部246が、前摺動面151f及び後摺動面151bに対し食いつくことなく摺動するため、ピンチローラ軸238は滑らかに軸可動方向に移動することができる。
これによりローラ搬送部220は、ピンチローラレール152及びピンチローラ軸238を高寿命化させ、長期間安定した搬送性能を保つことができる。
ここで、面取部246の曲面の曲率を小さくして面取り量を多くし、境界部245の形状を滑らかにするほど、当該境界部245が前摺動面151f又は後摺動面151bに食いつきにくくなるとも考えられるが、その分、前平坦面242f及び後平坦面242bの面積は小さくなっていく。
その場合、前平坦面242f及び後平坦面242bと前摺動面151f及び後摺動面151bとが当接する面積もまた小さくなっていくため、ピンチローラレール152がピンチローラ軸238の回転を押さえ難くなっていく。
このことを考慮し、ローラ搬送部220においては、ピンチローラ軸238の回転を防ぎつつ、且つピンチローラ軸238が軸摺動部150を滑らかに摺動するように、面取部246の面取り量及び曲率を設定している。
以上の構成によれば、媒体取引装置としての現金自動預払機201における媒体搬送装置としてのローラ搬送部220は、ピンチローラ軸238の前平坦面242f及び後平坦面242bと円弧面244との境目の境界部245において曲面形状でなる面取部246を形成するようにした。
これにより現金自動預払機201は、ピンチローラレール152の摺動面151によりピンチローラ軸238の平坦面242を前後方向から挟みこむことで、互いに大きな面積で当接させることができ、ピンチローラ軸238の回転を防ぐと共に、ピンチローラレール152に対しピンチローラ軸238を滑らかに軸可動方向に摺動させることができる。
<4.第4の実施の形態>
[4−1.ローラ搬送部の構成]
図1及び図2に示す第4の実施の形態による現金自動預払機301は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比べて、ローラ搬送部320がローラ搬送部20と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また、第4の実施の形態によるローラ搬送部320は、図3との対応部分に同一符号を付した図9に示すように、ピンチローラ336のピンチローラ軸338とピンチローラレール352とが、第1の実施の形態によるピンチローラ36のピンチローラ軸38とピンチローラレール52と異なっている。
ピンチローラ軸338は、図5との対応部分に同一符号を付した図10に示すように、ピンチローラ軸38(図5)を右方向から見て90度反時計回りに回転させた構成となっている。
すなわちピンチローラ軸338は横断面D字形状であり、左右方向に延びた円柱形状の前後方向の中間位置よりも前部分において上下左右方向に沿って削られた平坦面342が形成されている。
このようにピンチローラ軸338は、上下左右方向に広がる平面である平坦面342が前面に形成されていると共に、円柱形状の外周面の一部である円弧面344が当該平坦面342の後部に形成されている。
ピンチローラレール352の開口幅は、第1の実施の形態によるピンチローラレール52よりもやや小さく、且つ第2の実施の形態によるピンチローラレール152よりもやや大きく構成されている。またピンチローラレール352の開口幅は、ピンチローラ軸338における後端部から平坦面342までの距離よりもやや大きく構成されている。
これによりピンチローラレール352は、ピンチローラ軸338の平坦面342を前摺動面351fに、後端部を後摺動面351bにそれぞれ沿わせながら、当該ピンチローラ軸338を軸摺動部350において軸可動方向に摺動させる。
[4−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLが紙幣搬送路64を搬送されてくると、ピンチローラ軸338に軸受40から回転力が伝達されるため、ピンチローラ軸338が軸受40と共に回転しようとする。
これに対しローラ搬送部320は、ピンチローラ軸338においてピンチローラレール352の前摺動面351fに対向する位置に平坦面342を形成するようにした。
これによりローラ搬送部320は、平坦な面であるピンチローラレール352の前摺動面351fとピンチローラ軸338の平坦面342とを互いに大きな面積で当接させることができ、ピンチローラ軸338が軸受40と共に回転してしまうことを抑止することができる。
<5.第5の実施の形態>
[5−1.ローラ搬送部の構成]
図1及び図2に示す第5の実施の形態による現金自動預払機401は、第3の実施の形態による現金自動預払機201と比べて、ローラ搬送部420がローラ搬送部220と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また、第5の実施の形態によるローラ搬送部420は、図6との対応部分に同一符号を付した図11に示すように、ボス454及びピンチローラスプリング456が、第3の実施の形態によるボス54及びピンチローラスプリング56と異なっている。
ローラ搬送部420は、当該ローラ搬送部420の周囲に配置された現金自動預払機401の部品との干渉を避けるために、ボス454の高さがボス54(図6)よりも低く設定されている。
ボス454の上端付近に前端がネジ58により螺合されたピンチローラスプリング456は、後ろ方向に延び、途中で上方向に屈折して、後端がピンチローラ軸238の上端よりやや前位置に当接する。
これによりピンチローラスプリング456は、ピンチローラ軸238に対し、下方向の付勢力と共に後ろ方向の付勢力を加えることとなる。
このためスプリング付勢力FSPは、ローラ搬送部420を右方向から見た際に右下方向へ加わり、軸摺動部150の前摺動面151f及び後摺動面151bの面方向(軸可動方向)に沿っておらず、当該軸可動方向に対し傾くこととなる。
[5−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLが紙幣搬送路64を搬送されてくると、ピンチローラ軸238に軸受40から回転力が伝達されるため、ピンチローラ軸238が軸受40と共に回転しようとする。
これに対しローラ搬送部420においては、ピンチローラレール152における平坦面である前摺動面151f及び後摺動面151bにより、ピンチローラ軸238の前平坦面242f及び後平坦面242bを前後方向から挟み込むようにした。
これによりローラ搬送部420は、ピンチローラ236においてピンチローラ軸238が軸受40と共に回転してしまうことを防止することができる。
またローラ搬送部420においては、ピンチローラスプリング456が、ピンチローラ軸238を後ろ方向に押し付けるよう付勢している。
このため第3の実施の形態によるローラ搬送部220(図6)と比べて、ピンチローラ軸238が軸摺動部150を摺動する際における、ピンチローラ軸238の後平坦面242bと、ピンチローラレール152における後摺動面151bとの摩擦が大きくなる。
これに対しピンチローラ軸238においては、曲面形状でなる面取部246が、後摺動面151bに対し食いつくことなく摺動するため、ピンチローラ軸238は滑らかに軸可動方向に移動することができる。
このように第5の実施の形態によるローラ搬送部420は、周囲の部品との干渉を避けるために、ピンチローラスプリング456がピンチローラ軸238をピンチローラレール152の後摺動面151bに押し付けるよう付勢する。これに対しローラ搬送部420は、ピンチローラ軸238の境界部245を曲面形状としたため、ピンチローラ軸238の後平坦面242bをピンチローラレール152の後摺動面151bに食いつかせることなく、滑らかに摺動させることができる。
<6.第6の実施の形態>
[6−1.ローラ搬送部の構成]
図1及び図2に示す第6の実施の形態による現金自動預払機501は、第5の実施の形態による現金自動預払機401と比べて、ローラ搬送部520がローラ搬送部420と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また、第6の実施の形態によるローラ搬送部520は、図11との対応部分に同一符号を付した図12に示すように、ピンチローラ336のピンチローラ軸338とピンチローラレール352とが、第5の実施の形態によるピンチローラ236のピンチローラ軸238とピンチローラレール252と異なっている。
ピンチローラ軸338は、図10に示したものと同様に横断面D字形状であり、左右方向に延びた円柱形状の前後方向の中間位置よりも前部分において上下左右方向に沿って削られた平坦面342が形成されている。
ボス454の上端付近に前端がネジ58により螺合されたピンチローラスプリング456は、後ろ方向に延び、途中で上方向に屈折して、後端がピンチローラ軸338の上端よりやや前位置に当接する。
これによりピンチローラスプリング456は、ピンチローラ軸338に対し、下方向の付勢力と共に後ろ方向の付勢力を加えることとなる。
このためスプリング付勢力FSPは、ローラ搬送部520を右方向から見た際に右下方向へ加わり、軸摺動部350の前摺動面351f及び後摺動面351bの面方向(軸可動方向)に沿っておらず、当該軸可動方向に対し傾くこととなる。
[6−2.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣BLが紙幣搬送路64を搬送されてくると、ピンチローラ軸338には軸受40から回転力が伝達されるため、ピンチローラ軸338が軸受40と共に回転しようとする。
これに対しローラ搬送部520においては、ピンチローラ軸338においてピンチローラレール352の前摺動面351fに対向する位置に平坦面342を形成するようにした。
これによりローラ搬送部520は、平坦な面である前摺動面351fとピンチローラ軸338の平坦面342とを互いに大きな面積で当接させることができ、ピンチローラ軸338が軸受40と共に回転してしまうことを抑止することができる。
またローラ搬送部520においては、ピンチローラスプリング456が、ピンチローラ軸338を後ろ方向に押し付けるよう付勢している。
このため第4の実施の形態によるローラ搬送部320(図9)と比べて、ピンチローラ軸338が軸摺動部50を摺動する際における、ピンチローラ軸338の円弧面344の後端部と、ピンチローラレール352の後摺動面351bとの摩擦が大きくなる。
これに対しピンチローラ軸338においては、曲面形状でなる円弧面344が後摺動面351bと摺動するため、円弧面344が後摺動面351bに食いつくことなく摺動する。これによりピンチローラ軸338は、滑らかに軸可動方向に移動することができる。
このように第6の実施の形態によるローラ搬送部520は、周囲の部品との干渉を避けるために、ピンチローラスプリング456がピンチローラ軸338をピンチローラレール352の後摺動面351bに押し付けるよう付勢する。これに対しローラ搬送部520は、ピンチローラ軸338の背面を曲面形状でなる円弧面344としたため、当該円弧面344をピンチローラレール352の後摺動面351bに食いつかせることなく、滑らかに摺動させることができる。
また、第5の実施の形態によるピンチローラ軸238と比べて、ピンチローラ軸338を製造する際の平面加工を1平面分省略できるため、製造工程を簡略化することができる。
さらにピンチローラ軸338においては、スプリング付勢力FSPの水平成分が後方に加わるため、ピンチローラ軸338が軸摺動部350を摺動する際、ピンチローラ軸338の平坦面342と、ピンチローラレール352における前摺動面351fとの摩擦は、ローラ搬送部320(図9)の場合と比べて小さくなる。
このため、ピンチローラ軸338においては、境界部345がエッジ形状となっていたとしても、当該境界部345がピンチローラレール352の前摺動面351fに食いつきにくい。これによりローラ搬送部520においては、ピンチローラ軸338を製造する際の面取り加工を省略することができる。
<7.第7の実施の形態>
[7−1.ローラ搬送部の構成]
図1及び図2に示す第7の実施の形態による現金自動預払機601は、第6の実施の形態による現金自動預払機501と比べて、ローラ搬送部620がローラ搬送部520と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また、図12との対応部分に同一符号を付した図13に示すように、第7の実施の形態によるローラ搬送部620は、第6の実施の形態によるピンチローラスプリング456に代えてピンチローラスプリング656が設けられている。さらにローラ搬送部620は、ローラ搬送部520に対し、搬送ローラ634、ピンチローラ636及びピンチローラレール652が追加されている。
このようにローラ搬送部620においては、フレーム22に固定されたボス454を中心として、搬送ローラ34、ピンチローラ336及びピンチローラレール352と、搬送ローラ634、ピンチローラ636及びピンチローラレール652とが前後対称(紙面上での左右対称)に配置されている。
ボス454には、板バネでなるピンチローラスプリング656における前後方向の中央部分である固定部666が、ネジ58により螺合されている。
固定部666からは、板バネの一部分である前腕部667が前方向へ、後腕部668が後ろ方向へそれぞれ延びている。前腕部667は途中で上方向に屈折して、前端がピンチローラ軸638の上端よりやや後位置に当接する。後腕部668は途中で上方向に屈折して、後端がピンチローラ軸338の上端よりやや前位置に当接する。
これによりピンチローラスプリング656の前腕部667は、ピンチローラ軸638に対し、下方向の付勢力と共に前方向の付勢力を加える一方、後腕部668は、ピンチローラ軸338に対し、下方向の付勢力と共に後ろ方向の付勢力を加える。
このようにローラ搬送部620においては、1本のピンチローラスプリング656により、2つのピンチローラ336及び636を付勢し、搬送される紙幣BLの前部分と後ろ部分とを、それぞれ前方に配されたピンチローラ636及び搬送ローラ634と、後方に配されたピンチローラ336及び搬送ローラ34とにより挟持する。
これによりローラ搬送部620は、ボス、ピンチローラスプリング及びネジの個数を増加させることなく、紙幣BLの搬送方向である前後方向に並んで設けられたピンチローラを付勢することができ、ローラ搬送部620全体を小型化することができる。
<8.他の実施の形態>
なお上述した第1の実施の形態においては、板バネでなるピンチローラスプリング56によりピンチローラ軸38の平坦面42を付勢する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば図3との対応部分に同一符号を付した図14に示すローラ搬送部720のように、前後方向に並べてフレーム22に固定されたボス754f及び754bにネジ758f及び758bで螺合された押付板83により、軸摺動部50に嵌め込まれた圧縮コイルでなるピンチローラスプリング756を自然長から縮める状態で押し付けることにより、ピンチローラスプリング756が自然状態に戻る復元力を利用してピンチローラ軸38の平坦面42を下方向に付勢するようにしても良い。
この場合、ローラ搬送部20(図3)と比較して、ピンチローラスプリング756により、ピンチローラ軸38に対してより強力なスプリング付勢力FSPを加えることができ、ピンチローラ軸38の回転をさらに防止することができる。
また、ピンチローラスプリングとしては、ローラ搬送部の使用条件に適合する種々の形状のものであって良く、要はピンチローラを所定方向に付勢できれば良い。
またピンチローラ軸は、横断面を例えば四角形等にしても良く、要は軸摺動部を軸可動方向に摺動しつつ、ピンチローラ軸に回転力が加わった際は、ピンチローラ軸に設けられた少なくとも1つの平面を、ピンチローラスプリングやピンチローラレールに設けられた他の平面に当接させることにより回転防止し得る種々の形状であれば良い。
また上述した第7の実施の形態においては、板バネでなるピンチローラスプリング656によりピンチローラ軸338及び638(図13)を付勢する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、図13との対応部分に同一符号を付した図15に示すローラ搬送部820のように、ローラ搬送部620における板バネでなるピンチローラスプリング656に代えて、トーションスプリングでなるピンチローラスプリング856を設けても良い。
ピンチローラスプリング856は、1本の金属棒の前後方向の中央部分である巻装部80が、フレーム22に固定され左右方向に延びるスプリング軸82に巻装されている。
巻装部80からは、トーションスプリングの一部分である前腕部867が前方向へ、後腕部868が後ろ方向へそれぞれ延びている。
ピンチローラスプリング856は、前腕部867の前端部及び後腕部868の後端部が自然状態よりも上方向に位置する状態で、ピンチローラ軸638の上端よりやや後位置と、ピンチローラ軸338の上端よりやや前位置とにそれぞれ当接し、巻装部80がスプリング軸82に固定されている。
このためピンチローラスプリング856においては、自然状態に戻ろうとする反発力により、前腕部867はピンチローラ軸638に対し下方向の付勢力と共に前方向の付勢力を加える一方、後腕部868はピンチローラ軸338に対し下方向の付勢力と共に後ろ方向の付勢力を加える。
このようにローラ搬送部820においても、1本のピンチローラスプリング856により、2つのピンチローラ336及び636を付勢することができる。
なおローラ搬送部620及び820においては、1本のピンチローラスプリング656及び856により、前方に位置するピンチローラ636に対し下方向及び前方向の付勢力を加えると共に、後方に位置するピンチローラ336に対し下方向及び後ろ方向の付勢力を加えるようにした。
本発明はこれに限らず、1本のピンチローラスプリングにより、前方に位置するピンチローラに対し下方向のみの付勢力を加えると共に、後方に位置するピンチローラに対し下方向のみの付勢力を加えるようにしても良い。
また、ローラ搬送部620(図13)のボス454の上下方向の長さを長くし、前腕部667がピンチローラ軸638と当接する位置及び後腕部668がピンチローラ軸338と当接する位置よりも固定部666の方が上方に位置するようにしても良い。
この場合、前腕部667及び後腕部668は固定部666から下方向に向かって屈折し、ピンチローラ軸638及び338と当接する。
このため前腕部667はピンチローラ軸638に対し下方向の付勢力と共に後ろ方向の付勢力を加えると共に、後腕部668はピンチローラ軸338に対し下方向の付勢力と共に前方向の付勢力を加えることとなる。
この場合、ピンチローラ軸638における円弧面を後部に設け、ピンチローラ軸338における円弧面を前部に設けるようにすることが望ましい。
これによりピンチローラ軸338及び638は、円弧面がピンチローラレール352及び652に押し付けられるため、当該ピンチローラレール352及び652に引っかかることなく摺動することができる。
さらに上述した第5の実施の形態においては、ピンチローラレール152における前摺動面151f及び後摺動面151bの面方向を、紙幣BLの面方向に対し垂直に設ける場合について述べた。
本発明はこれに限らず、図11との対応部分に同一符号を付した図16に示すローラ搬送部920のように、ピンチローラレール952における前摺動面951f及び後摺動面951bの面方向を、紙幣BLの面方向に対する垂直方向から傾けても良い。
この場合、ピンチローラ軸938を前摺動面951f及び後摺動面951bの面方向と合わせるように傾けることにより、軸可動方向をスプリング付勢力FSPの方向と合わせることができるため、ピンチローラ軸938が軸摺動部950を摺動する際に、ピンチローラ軸938における境界部145がピンチローラレール952の前摺動面951f及び後摺動面951bに食いつかないようにし、余計なストレスを与えないようにすることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、前後方向に延びる板バネでなるピンチローラスプリング56によりピンチローラ軸38を下方向に付勢する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、図3との対応部分に同一符号を付した図17に示すローラ搬送部1020のように、横側面コ字形状の板バネでなるピンチローラスプリング1056を用いても良い。
このピンチローラスプリング1056は、ボス54の上端付近に前端がネジ58により下方向に付勢されつつ螺合され、後ろ方向に上腕部84が延び、ピンチローラ軸38よりも後方において下方向に屈折し、ピンチローラ軸38よりも下方において前方向に屈折し、下腕部86がピンチローラ軸38よりも前方まで延びる。
このためピンチローラスプリング1056は、ピンチローラ軸38の下方において前後方向に延設された下腕部86の上面が、ピンチローラ軸38の下端部に当接する。
第1の実施の形態によるローラ搬送部20においては、仮に紙幣BLにジャムが発生して、ピンチローラ軸38に想定外の外力が加わることにより、当該ピンチローラ軸38がバネ平坦面57から離れて回転した場合、平坦面42がピンチローラスプリング56から外れてしまうため、ピンチローラスプリング56がピンチローラ軸38の回転を抑止できなくなる可能性があった。
これに対しローラ搬送部1020においては、ピンチローラスプリング1056の下腕部86がピンチローラ軸38の下端部に当接しているため、ピンチローラ軸38が下方向に移動し平坦面42がバネ平坦面57から離れてしまうことを防止することができる。これによりローラ搬送部1020は、バネ平坦面57により常にピンチローラ軸38を下方向に付勢することができ、ピンチローラ軸38の回転を防止することができる。
さらに、図23との対応部分に同一符号を付した図18に示すローラ搬送部1120のように、鉤部96が設けられたピンチローラスプリング1156により、ピンチローラ軸2038の回転を防止してもよい。
ローラ搬送部1120においては、ピンチローラ軸2038は、従来のローラ搬送部2020と同様に、円柱形状に構成されている。
ピンチローラスプリング1156は、ボス1154の上端付近に前端がネジ58により下方向に付勢されつつ螺合され、後ろ方向に延びている。ピンチローラスプリング1156の後端には、下方に開口を設けるよう横側面コ字形状に屈折された鉤部96が形成されている。
ピンチローラスプリング1156は、鉤部96における下方向に開口した部分をピンチローラ軸2038に押し当てられると、弾性力により開口部の後端が後方へやや広がることにより、ピンチローラ軸2038を鉤部96の内部へ導く。鉤部96は、ピンチローラ軸2038を前方、後方、上方及び下方から把持する。
これによりピンチローラスプリング1156は、ピンチローラ軸2038が円柱形状に形成されていても、当該ピンチローラ軸2038の回転を防止することができる。
さらに、図4及び図3との対応部分に同一符号を付した図19及び図20に示すローラ搬送部1220のように、ピンチローラ軸1238の貫通孔88にガイドポスト90を挿通させることにより、ピンチローラ軸1238の回転を防止してもよい。
ローラ搬送部1220においては、横断面が円形状でなる1本のピンチローラ軸1238が、左右方向に並んで設けられた2つの軸受1240R及び1240Lの回転軸となるよう左右方向に延設されている。
ピンチローラ軸1238の左右方向中央部には、上下方向に貫通する円柱形状に貫通孔88が穿設されている。
貫通孔88には、当該貫通孔88の内径よりもやや小さい外径でなり、フレームに固定され上下方向に延設された円筒形状のガイドポスト90が挿通する。
なお図20においては、搬送ローラ34R及び34L、ピンチローラ1236R及び1236L、軸受1240R及び1240L、ピンチローラ軸1238、貫通孔88及びガイドポスト90以外は図示せず省略する。
ピンチローラ軸1238は、貫通孔88の内周面がガイドポスト90の外周面に摺動しながら軸可動方向(上下方向)に移動することにより、軸受1240R及び1240Lを上下方向に移動させる。このためローラ搬送部1220においては、ピンチローラレールが不要となる。
ここで、ピンチローラ軸1238に軸受1240R及び1240Lから回転力が伝達されると、貫通孔88の内周面がガイドポスト90の外周面に当接するため、ピンチローラ軸1238の回転が妨げられる。
このようにローラ搬送部1220は、ピンチローラ軸1238の貫通孔88にガイドポスト90を挿通させることにより、ピンチローラ軸1238を軸可動方向に移動させつつ、回転を防止することができる。
さらに、図20との対応部分に同一符号を付した図21に示すローラ搬送部1320のように、ピンチローラ軸1338の右側面に形成された切欠溝92にガイド板94を遊嵌させることにより、ピンチローラ軸1338の回転を防止してもよい。
ローラ搬送部1320においては、ローラ搬送部1220(図19及び図20)と同様に、横断面が円形状でなる1本のピンチローラ軸1338が、左右方向に並んで設けられた2つの軸受1340R及び1340Lの回転軸となるよう左右方向に延設されている。
ピンチローラ軸1338の右端部の右側面には、上下方向に沿って直線状の切欠溝92が刻設されている。
切欠溝92には、当該切欠溝92の前後方向の長さよりもやや小さい厚みでなり、フレームに固定され上下方向に延びる板状のガイド板94が遊嵌する。
なお図21においては、搬送ローラ34R及び34L、ピンチローラ1336R及び1336L、軸受1340R及び1340L、ピンチローラ軸1338、切欠溝92及びガイド板94以外は図示せず省略する。
ピンチローラ軸1338は、切欠溝92の前方内側面及び後方内側面がガイド板94の前側面及び後側面に摺動しながら軸可動方向(上下方向)に移動することにより、軸受1340R及び1340Lを上下方向に移動させる。このためローラ搬送部1320においては、ピンチローラレールが不要となる。
ここで、ピンチローラ軸1338に軸受1340R及び1340Lから回転力が伝達されると、切欠溝92の前方内側面及び後方内側面がガイド板94の前側面及び後側面に当接するため、ピンチローラ軸1338の回転が妨げられる。
このようにローラ搬送部1320は、ピンチローラ軸1338の右側面に上下方向に刻設された切欠溝92に、上下方向に延びるガイド板94を遊嵌させることにより、ピンチローラ軸1338を軸可動方向に移動させつつ、回転を防止することができる。
さらに、図11との対応部分に同一符号を付した図22に示すローラ搬送部1420のように、複数ヶ所が屈折したピンチローラスプリング1456を用いても良い。
このピンチローラスプリング1456は、ボス454の上端付近に前端がネジ58により下方向に付勢されつつ螺合され、後ろ方向に延びて途中で上方向に屈折し、ピンチローラ軸238よりも上方において前後方向に沿うようにさらに屈折する。
このようにピンチローラスプリング1456は、軸可動方向に対し垂直に延びた後端部分がピンチローラ軸238の上端に当接するため、当該ピンチローラ軸238に対し後ろ方向の付勢力をほとんど加えることなく、下方向の付勢力を加えることとなる。
これによりピンチローラ軸238は、後ろ方向への付勢力をほとんど受けることなく、軸摺動部150を軸可動方向に沿って滑らかに摺動することができる。
さらに、ピンチローラスプリング1456とピンチローラ軸238とが当接する箇所を互いに平滑にしたり、注油したりすれば、当該当接する箇所の摩擦によりピンチローラスプリング1456からピンチローラ軸238に加わる後ろ方向の付勢力をさらに低下させることができる。
さらに上述した実施の形態においては、横断面I字形状でなるピンチローラ軸138の境界部145に丸みを形成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば横断面D字形状でなるピンチローラ軸38(図5)の境界部45や、他の種々の形状でなるピンチローラ軸における境界部に丸みを設けても良い。
また、境界部を曲面形状に丸面取りするだけでなく、例えば平面形状に面取りしても良い。この場合であっても、境界部のエッジの角度を緩やかにできるため、摺動面とピンチローラ軸との摩擦を抑えることができる。
さらに上述した第5の実施の形態においては、ピンチローラ軸238の全ての境界部245を曲面形状としたが、スプリング付勢力FSPの水平方向成分により特に摺動面との摩擦が大きくなる、後方に位置する境界部についてのみ、曲面形状としても良い。この場合、ピンチローラ軸を製造する際の面取り加工の一部を省略することができる。
さらに上述した実施の形態においては、ピンチローラスプリングにおけるバネの弾性力を利用してピンチローラを付勢する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えばゴム、マグネット等、種々の機構によりピンチローラを付勢して良い。
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動預払機のローラ搬送部において紙幣を搬送する際に本発明を適用する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば紙状の媒体を搬送する種々の装置において媒体を搬送する際に適用して良い。
さらに上述した実施の形態においては、媒体として紙幣について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体であれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、搬送ローラとしての搬送ローラ34と、軸としてのピンチローラ軸38と、軸受としての軸受40と、軸回転抑止部としての平坦面42とによって媒体搬送装置としてのローラ搬送部20を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送ローラと、軸と、軸受と、軸回転抑止部とによって媒体搬送装置を構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、受付部としての接客部3と、搬送部としての搬送路7と、搬送ローラとしての搬送ローラ34と、軸としてのピンチローラ軸38と、軸受としての軸受40と、軸回転抑止部としての平坦面42とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる受付部と、搬送部と、搬送ローラと、軸と、軸受と、軸回転抑止部とによって媒体取引装置を構成するようにしても良い。