JP2015058992A - 媒体繰出装置及び媒体取引装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性を向上し得るようにする。
【解決手段】紙幣入出金機10は、紙幣収容部38に収容された紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出機構32と、分離繰出機構32よりも紙幣の繰出方向の下流側に設けられ紙幣に当接し、複数の紙幣同士の摩擦力Fμ3よりも高く設定され紙幣を繰出方向に搬送する搬送力Fμ1を紙幣に加える繰出搬送部51と、紙幣が搬送される繰出搬送路62を挟んで分離搬送機構34と対向して設けられ紙幣に当接し、複数の紙幣同士の摩擦力Fμ3よりも高く且つ搬送力Fμ1よりも低く設定され紙幣の位置を留める抵抗力Fμ2を紙幣に加える摩擦部55とを設ける。
【選択図】図10
【解決手段】紙幣入出金機10は、紙幣収容部38に収容された紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出機構32と、分離繰出機構32よりも紙幣の繰出方向の下流側に設けられ紙幣に当接し、複数の紙幣同士の摩擦力Fμ3よりも高く設定され紙幣を繰出方向に搬送する搬送力Fμ1を紙幣に加える繰出搬送部51と、紙幣が搬送される繰出搬送路62を挟んで分離搬送機構34と対向して設けられ紙幣に当接し、複数の紙幣同士の摩擦力Fμ3よりも高く且つ搬送力Fμ1よりも低く設定され紙幣の位置を留める抵抗力Fμ2を紙幣に加える摩擦部55とを設ける。
【選択図】図10
Description
本発明は、媒体繰出装置及び媒体取引装置に関し、例えば紙幣等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動取引装置(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
従来、金融機関等で使用される現金自動取引装置等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
現金自動取引装置としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、紙幣を搬送する搬送部と、金種ごとに紙幣を格納する収納カセットとを有するものがある。
このような紙幣入出金部には、ピックアップローラ、フィードローラ及びゲートローラにより構成された分離繰出部が設けられ、投入された複数の紙幣からピックアップローラにより1枚ずつ紙幣を繰り出し、繰り出された紙幣の後続の紙幣を留める抵抗力を有するゲートローラに紙幣を接触させつつ先行する紙幣をフィードローラにより搬送させることにより、複数の紙幣から1枚ずつ紙幣を分離して搬送部に繰り出すものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながらこのような現金自動取引装置においては、例えばプラスチック製の紙幣のように紙幣間の摩擦が高い紙幣の場合、先行する紙幣と後続の紙幣とを引き剥がすために必要となる力が大きくなるため、ゲートローラの抵抗力により後続の紙幣を引き止めることできず紙幣を重送したまま繰り出してしまう可能性があり、信頼性を保てないおそれがあった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、信頼性を向上し得る媒体繰出装置及び媒体取引装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の媒体繰出装置においては、媒体収容部に収容された紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出部と、分離繰出部よりも媒体の繰出方向の下流側に設けられ媒体に当接し、複数の媒体同士の摩擦力よりも高く設定され媒体を繰出方向に搬送する搬送力を媒体に加える繰出搬送部と、媒体が搬送される媒体搬送路を挟んで繰出搬送部と対向して設けられ媒体に当接し、複数の媒体同士の摩擦力よりも高く且つ搬送力よりも低く設定され媒体の位置を留める抵抗力を媒体に加える摩擦部とを設けるようにした。
この媒体繰出装置は、分離繰出部において媒体を1枚ずつ分離することに失敗し媒体が重なった状態で繰り出された場合であっても、繰出搬送部及び摩擦部により媒体を1枚ずつ分離し、媒体の重送を解消した状態で繰り出すことができる。
また本発明の媒体取引装置においては、紙葉状の媒体に関する取引を受け付ける接客部と、接客部により受け付けた媒体を収容する媒体収容部と、媒体収容部に収容された紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出部と、分離繰出部よりも媒体の繰出方向の下流側に設けられ媒体に当接し、複数の媒体同士の摩擦力よりも高く設定され媒体を繰出方向に搬送する搬送力を媒体に加える繰出搬送部と、媒体が搬送される媒体搬送路を挟んで繰出搬送部と対向して設けられ媒体に当接し、複数の媒体同士の摩擦力よりも高く且つ搬送力よりも低く設定され媒体の位置を留める抵抗力を媒体に加える摩擦部とを設けるようにした。
この媒体取引装置は、分離繰出部において媒体を1枚ずつ分離することに失敗し媒体が重なった状態で繰り出された場合であっても、繰出搬送部及び摩擦部により媒体を1枚ずつ分離し、媒体の重送を解消した状態で繰り出すことができる。
本発明によれば、分離繰出部において媒体を1枚ずつ分離することに失敗し媒体が重なった状態で繰り出された場合であっても、繰出搬送部及び摩擦部により媒体を1枚ずつ分離し、媒体の重送を解消した状態で繰り出すことができる。かくして本発明は、信頼性を向上し得る媒体繰出装置及び媒体取引装置を実現できる。
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになされている。
[1−1.現金自動取引装置の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになされている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面の上部から上面に渡る部分が斜めに切り落とされたような形状となっており、この部分に接客部3が設けられている。
接客部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙で構成されている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられるようになされている。
レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動取引装置1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
因みに筐体2は、前面を覆う前扉及び後面を覆う後扉(図示せず)がそれぞれ開閉可能に構成されている。すなわち筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、前扉等を閉塞することにより、内部に保有している紙幣や硬貨等を保護する。一方筐体2は、金融機関の職員や作業者等が保守作業や紙幣の補充・回収作業等を行う作業時には、必要に応じて前扉等を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得るようになされている。
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行うようになされている。
また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部(図示せず)を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させるようになされている。
[1−2.紙幣入出金機の構成]
紙幣入出金機10は、図2に模式的な側面図を示すように、紙幣入出金機筐体11の内部に紙幣の入金処理や出金処理に関する種々の機構が設けられている。紙幣入出金機10の各部分は、制御部12(図1)により制御されるようになされている。
紙幣入出金機10は、図2に模式的な側面図を示すように、紙幣入出金機筐体11の内部に紙幣の入金処理や出金処理に関する種々の機構が設けられている。紙幣入出金機10の各部分は、制御部12(図1)により制御されるようになされている。
制御部12は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行し、また主制御部9などの他の制御部と連携することにより、紙幣の入金処理や出金処理等、紙幣に関する種々の処理を制御するようになされている。
また制御部12は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部(図示せず)を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させるようになされている。
例えば顧客が現金自動取引装置1との間で紙幣を入金する入金取引を行う場合、制御部12は、主制御部9等と連携しながら、操作表示部6を介して所定の操作入力を受け付けた後、入出金口5のシャッタを開いて紙幣入出金部13内へ紙幣を投入させる。
紙幣入出金部13は、紙幣が投入されると、入出金口5のシャッタを閉じてから紙幣を1枚ずつ取り出し、搬送部14へ受け渡す。搬送部14は、紙幣を短辺方向に沿って進行させ、鑑別部15へ搬送する。
鑑別部15は、その内部で紙幣を搬送しながら当該紙幣の金種、真偽及び損傷の程度を鑑別しその鑑別結果を制御部12へ通知すると共に、紙幣の重送、連鎖、斜行等の走行状態を検出しその検出結果を制御部12へ通知する。これに応じて制御部12は、取得した鑑別結果及び測定結果に基づいて当該紙幣の搬送先を決定する。
このとき搬送部14は、鑑別部15において正常と鑑別された紙幣(いわゆる正券)を一時保留部16へ搬送する等して一時的に保留させる一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣(いわゆる損券や偽券等)を紙幣入出金部13へ搬送して顧客に返却する。
その後制御部12は、操作表示部6(図1)を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部16に保留している紙幣を鑑別部15へ搬送させてその金種、損傷の程度及び表裏方向等を鑑別させ、その鑑別結果を取得する。
そして制御部12は、紙幣の損傷の程度が大きければ、これを再利用すべきでない紙幣としてリジェクト庫17へ搬送して収納させ、損傷の程度が小さければ、これを再利用すべき紙幣として搬送部14を介して紙幣収納ユニット18へ搬送させる。
紙幣収納ユニット18には、複数の収納カセット19(19a、19b、19c及び19d)が設けられている。この収納カセット19は、それぞれ対応する金種が予め定められている。このため紙幣収納ユニット18は、搬送されてきた紙幣をその金種に応じた収納カセット19に振り分けて収納させる。
また、例えば顧客が現金自動取引装置1との間で紙幣を出金する出金取引を行う場合、制御部12は、主制御部9等と連携しながら、操作表示部6を介して所定の操作入力を受け付けた後、出金すべき金額に応じた紙幣を紙幣収納ユニット18の収納カセット19から繰り出させ、搬送部14により鑑別部15へ搬送して鑑別させる。
そして制御部12は、出金紙幣として不適格と判定された紙幣をリジェクト庫17へ搬送して収納させる一方、出金可能な紙幣を紙幣入出金部13へ搬送し、入出金口5のシャッタを開いてこの紙幣を顧客に取り出させる。
[1−3.紙幣入出金部の構成]
次に図3乃至図6を用いて紙幣入出金部13の構成について説明する。図3に示すように、紙幣入出金部13は主にプール部30、分離繰出機構32、分離搬送機構34及び集積機構36により構成されている。なお図4において集積機構36は図示せず省略する。また図を簡略化するため、図4においては分離搬送機構34の繰出搬送路62を前後方向に延びるよう模式的に図示している。
次に図3乃至図6を用いて紙幣入出金部13の構成について説明する。図3に示すように、紙幣入出金部13は主にプール部30、分離繰出機構32、分離搬送機構34及び集積機構36により構成されている。なお図4において集積機構36は図示せず省略する。また図を簡略化するため、図4においては分離搬送機構34の繰出搬送路62を前後方向に延びるよう模式的に図示している。
プール部30は、側断面が略U字(コ字)形状の部材で形成されており、紙幣入出金部13に入金又は出金する紙幣BLを一時的に蓄積する空間である紙幣収容部38の三側面を形成すると共に紙幣BLの入出を可能にする開口部40を形成している。
このプール部30は、図示しない軸、駆動部及び駆動伝達部により、当該軸を支点として図中時計回り及び反時計回りに回動自在に構成されている。
紙幣収容部38には、板状のビルプレス42が設けられており、図示しないスプリングにより後述するピックアップローラ46に向かって付勢されることにより、紙幣を当該ピックアップローラ46に押し付ける。
顧客との間で紙幣BLの授受を行う場合、プール部30は図3(A)に示すように、紙幣BLの授受を行うよう上下方向に穿設された入出金口5と紙幣収容部38の開口部40とが対向する位置(この位置を顧客ポジションとも呼ぶ)へ回動する。
また、紙幣収容部38へ投入された紙幣BLを1枚ずつ分離して搬送部14へ繰り出す場合、又は異常な紙幣BL若しくは出金する紙幣BLを搬送部14を介して紙幣収容部38に集積する場合、プール部30は図3(B)に示すように、紙幣収容部38の開口部40が集積機構36、分離搬送機構34及び分離繰出機構32に対向する位置(この位置を分離集積ポジションとも呼ぶ)に回動する。
集積機構36は、分離集積ポジションにおける紙幣収容部38の上側後方に設けられている。集積機構36において紙幣収容部38の上部分と対向する位置に設けられた集積ローラ44(44a及び44b)は、図示しない駆動部により図中反時計回り及び時計回りにそれぞれ回転することにより、搬送部14で搬送された紙幣BLを挟持し紙幣収容部38へ送り出す。
一方分離繰出機構32は、ピックアップローラ46、フィードローラ48及びゲートローラ50により構成されており、分離集積ポジションにおける紙幣収容部38の下側後方に設けられている。
図4及び図5に示すように、ピックアップローラ46は、分離集積ポジションにおけるプール部30の底板のやや下方において左右方向に沿ったピッカシャフト45により、左右にそれぞれ2個ずつ所定の間隔を空けて回転可能に支持されている。ピックアップローラ46の外周部分の一部には、紙幣に対する摩擦係数が高い材料であるゴム等により構成された摩擦部材46aが形成されている。
プール部30は、分離集積ポジションにおける底板の一部に図示しない孔部が穿設されており、この孔部からピックアップローラ46の一部を上方へ露出させている。
ピックアップローラ46には、図示しない駆動部により図4中反時計回りに回転することにより、紙幣収容部38に集積された紙幣束のうち最下段の紙幣BLを1枚ずつ分離して繰り出す。
フィードローラ48は、ピックアップローラ46の後方において左右方向に沿ったフィードシャフト47により、左右に所定の間隔を空けて回転可能に支持されている。フィードローラ48の外周部分の一部には、紙幣に対する摩擦係数が高い材料であるゴム等により構成された摩擦部材48aが形成されている。図6に示すようにフィードローラ48の周側面は、周方向に沿った2本の溝部48sが形成されており、残された部分が3本の稜部48bとなっている。
フィードローラ48は、図示しない駆動部により図4中反時計回りに回転することにより、ピックアップローラ46により繰り出された紙幣BLを1枚ずつ搬送部14へ送り出す。
ゲートローラ50は、フィードローラ48の上方において左右方向に沿ったゲートシャフト49により、当該フィードローラ48に対向して、紙幣BLを繰り出す繰出方向には回転しないよう支持されている。ゲートローラ50は、全周がゴム部材により形成され、当該ゴム部材は、紙幣BLに対する摩擦係数がフィードローラ48の摩擦部材48aよりも低く構成されている。ゲートローラ50の周側面は、周方向に沿った1本の溝部50sが形成されており、残された部分が2本の稜部50bとなっている。
ゲートローラ50は、2本の稜部50bをフィードローラ48における2本の溝部48sにそれぞれ対向させると共に、稜部50bの先端を当該溝部48s内に僅かに入り込ませている。これに伴いフィードローラ48における中央の稜部48bは、その先端をゲートローラ50の溝部50sに僅かに入り込ませている。すなわち分離繰出機構32は、フィードローラ48の外周面とゲートローラ50の外周面とを一部オーバーラップさせている。
これによりフィードローラ48とゲートローラ50との間には、左右方向に沿ってフィードローラ48側及びゲートローラ50側に交互に蛇行するような隙間が形成される。以下ではフィードローラ48及びゲートローラ50のうちこの隙間の周辺部分を第1ゲート部52とも呼ぶ。この隙間は、1枚のみの紙幣BLが通過可能であり2枚以上の紙幣BLは通過が困難な寸法に設定されている。
[1−4.分離搬送機構の構成]
図4、図7及び図8に示すように分離搬送機構34は、搬送ローラ54(54F及び54B)及び搬送ベルト56からなる繰出搬送部51と、ガイド58からなる摩擦部55とにより構成されている。
図4、図7及び図8に示すように分離搬送機構34は、搬送ローラ54(54F及び54B)及び搬送ベルト56からなる繰出搬送部51と、ガイド58からなる摩擦部55とにより構成されている。
搬送ローラ54Fは、第1ゲート部52から繰り出された紙幣BLが搬送される繰出搬送路62の下側(図2においては前側)において左右方向に沿った搬送ローラシャフト53Fにより、左右に所定の間隔を空けて能動的に回転可能に支持されている。
搬送ローラ54Bは、搬送ローラ54Fよりも紙幣BLの繰出方向下流側において左右方向に沿った搬送ローラシャフト53Bにより、左右に所定の間隔を空けて回転可能に支持されている。
搬送ベルト56は、搬送ローラ54F及び54Bにより張架され、繰出搬送路62に対しピックアップローラ46及びフィードローラ48側において搬送ローラ54Bの回転駆動によって図4中反時計回り(ベルト回転方向)に沿って回転する。この搬送ベルト56は、全周がゴム部材により形成され、現金自動取引装置1において取り扱われる紙幣BLに対する摩擦係数であるベルト摩擦係数μ1が、当該紙幣BLに対するリブ60b(後述する)の摩擦係数であるリブ摩擦係数μ2と、当該紙幣BL同士の摩擦係数である紙幣摩擦係数μ3よりも高く構成されている。
搬送ベルト56は、ベルト回転方向に回転することにより、第1ゲート部52から繰り出された紙幣BLを搬送部14に向かって搬送する。
繰出搬送路62を挟んで搬送ベルト56と対向する箇所には、平板形状のガイド58が設けられている。このガイド58からは、搬送ローラ54Fと搬送ローラ54Bとの間においてリブ60(60s及び60b(図7))が繰出搬送路62に向かって突出している。またリブ60は、下端面が繰出搬送路62に沿って平行に形成されており、搬送される紙幣BLを案内する。リブ60bは、ゴム部材により形成され、リブ摩擦係数μ2が、紙幣摩擦係数μ3よりも高く、且つベルト摩擦係数μ1よりも低く構成されている。
すなわち、ベルト摩擦係数μ1、リブ摩擦係数μ2及び紙幣摩擦係数μ3は、紙幣摩擦係数μ3<リブ摩擦係数μ2<ベルト摩擦係数μ1の関係に設定されている。
図7に示すように、搬送ベルト56の左右両脇に位置するリブ60bは、リブ60sよりも長く形成されており、搬送ベルト56に向かってリブ60sよりも突出している。
リブ60bは、搬送シャフト53における搬送ベルト56の左右両側と対向すると共に、下端部(先端)を当該搬送ベルト56の外周面よりも僅かに下方まで突出している。これに伴い搬送ベルト56は、その外周面を隣り合うリブ60bに僅かに入り込ませている。すなわち分離搬送機構34は、搬送ベルト56の外周面とリブ60bの下端面とをオーバーラップ量gだけ一部オーバーラップさせている。
これにより搬送ベルト56とリブ60bとの間には、左右方向に沿って搬送ベルト56側及びリブ60b側に交互に蛇行するような隙間が形成される。以下では搬送ベルト56及びリブ60bのうちこの隙間の周辺部分を第2ゲート部61とも呼ぶ。この隙間は、1枚のみの紙幣BLが通過可能であり2枚以上の紙幣BLは通過が困難な寸法に設定されている。
また、側面視においてリブ60bの前端と搬送ベルト56とが交差する箇所から、リブ60bの後端と搬送ベルト56とが交差する箇所までの長さ(すなわち第2ゲート部61の長さ)である搬送領域長さL1は、紙幣BLの繰出方向に沿った長さ以上に設定されている。
[1−5.分離繰出動作]
かかる構成において紙幣入出金部13は、紙幣BLが紙幣収容部38に投入されるとプール部30を分離集積ポジションとし、ビルプレス42によりピックアップローラ46に当該紙幣BLを押し付ける。
かかる構成において紙幣入出金部13は、紙幣BLが紙幣収容部38に投入されるとプール部30を分離集積ポジションとし、ビルプレス42によりピックアップローラ46に当該紙幣BLを押し付ける。
続いて紙幣入出金部13は、ピックアップローラ46及びフィードローラ48を反時計回りに回転させることにより、紙幣束のうち最下段の紙幣BLを繰り出して第1ゲート部52へ移動させる。第1ゲート部52に到達した紙幣BLは、最下段の紙幣である1枚目の紙幣BLがピックアップローラ46の摩擦部材46aとフィードローラ48の摩擦部材48aとの搬送力により分離搬送機構34に繰り出される一方、2枚目以降の紙幣BLは回転しないゲートローラ50の摩擦の抵抗力により第1ゲート部52に留まるため、正常に分離された場合は1枚ずつ分離搬送機構34に紙幣BLが順次繰り出される。
ここで、分離繰出機構32により正常に分離された1枚のみの紙幣BLが分離搬送機構34に搬送された場合、図8に示すように、紙幣BLは左右方向に沿って湾曲した形状に変形する。紙幣BLは、平坦な形状に戻ろうとするため、搬送ベルト56に向かって反力F1を、リブ60bに向かって反力F1(すなわち(反力F1/2)×2)をそれぞれ発生させる。これにより、紙幣BLを繰出方向に向かって搬送する搬送力Fμ1として反力F1×ベルト摩擦係数μ1が、搬送力Fμ1の抵抗となり紙幣BLをその場に留める抵抗力Fμ2として反力F1×リブ摩擦係数μ2がそれぞれ発生する。
このとき、リブ摩擦係数μ2<ベルト摩擦係数μ1と設定されているため、抵抗力Fμ2<搬送力Fμ1となる。これにより紙幣BLは、繰出搬送部51により繰出方向に搬送され搬送部14へ放出される。
一方紙幣BLが分離繰出機構32により正常に分離されず、2枚の紙幣BL1及びBL2が重なって分離搬送機構34に搬送された場合、図9及び図10に示すように、搬送ベルト56側の紙幣BL1を繰出方向に向かって搬送する搬送力Fμ1として反力F1×ベルト摩擦係数μ1が、搬送力Fμ1の抵抗となりリブ60側の紙幣BL2をその場に留める抵抗力Fμ2として反力F1×リブ摩擦係数μ2が、紙幣BL1及びBL2の間の摩擦力Fμ3として反力F1×紙幣摩擦係数μ3がそれぞれ発生する。
このとき、紙幣摩擦係数μ3<リブ摩擦係数μ2<ベルト摩擦係数μ1と設定されているため、摩擦力Fμ3<抵抗力Fμ2<搬送力Fμ1となる。これにより紙幣BL1は分離搬送機構34により繰出方向に搬送されると共に、紙幣BL1及びBL2の間に滑りが発生して、紙幣BL2は第2ゲート部61に留まる。
その後紙幣BL1が繰出搬送路62から搬送部14へ搬送されると、第2ゲート部61に残留した紙幣BL2は、上述した1枚の紙幣BLが分離搬送機構34に搬送された場合と同様に、搬送部14へ搬送される。
このように分離搬送機構34は、2枚重なった紙幣BL1及びBL2を1枚ずつに分離して、紙幣BL1、紙幣BL2の順序で搬送部14へ繰り出す。
[1−6.紙幣の流れ]
[1−6−1.入金処理時の紙幣の流れ]
次に、紙幣入出金機10における入金処理の動作について図11を用いて説明する。
[1−6−1.入金処理時の紙幣の流れ]
次に、紙幣入出金機10における入金処理の動作について図11を用いて説明する。
紙幣入出金機10は、顧客により現金自動取引装置1にキャッシュカード等が挿入され、操作表示部6を介して入金取引が選択されて暗証番号等が入力されると、プール部30を顧客ポジションとして入出金口5のシャッタを開くことにより利用者から紙幣を挿入される。
紙幣入出金機10は、紙幣が挿入されたことを図示しないセンサにより検知すると、入出金口5のシャッタを閉じ、紙幣の大きさ及び挿入状態を図示しないセンサにより検出する。挿入状態が異常であるか、又はサイズが異常な紙幣が存在すると判定した場合、紙幣入出金機10は、当該紙幣を顧客に返却する。一方挿入された紙幣が正常であると判定した場合、紙幣入出金機10は、プール部30を分離集積ポジションに回動させ、紙幣入出金部13から紙幣を1枚ずつ分離して繰り出し鑑別部15に搬送する。
鑑別部15によって紙幣が入金受入可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別された場合、紙幣入出金機10は、当該正常紙幣を鑑別部15から一時保留部16へ搬送し収納する。このとき紙幣入出金機10は、鑑別部15によって鑑別された紙幣の金種をもとに、一時保留部16内に収納した紙幣の計数を行う。
一方、鑑別部15によって紙幣が入金受入不可能な紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)と判別された場合、紙幣入出金機10は、当該入金リジェクト紙幣を鑑別部15から紙幣入出金部13へ搬送して集積する。続いて紙幣入出金機10は、プール部30を顧客ポジションへ回動させて入出金口5のシャッタを開き入金リジェクト紙幣を顧客が受け取り可能な状態とする。
その後、顧客により紙幣入出金部13から入金リジェクト紙幣が抜き取られると、センサにより紙幣の受け取りが検知され、紙幣入出金機10は入出金口5のシャッタを閉じる。そして紙幣入出金機10は再度入出金口5のシャッタを開き、紙幣の投入が可能な状態とする。
ここで、顧客により再度紙幣入出金部13に紙幣が投入されると、センサにより紙幣の投入が検知され、紙幣入出金機10は入出金口5のシャッタを閉じる。紙幣入出金機10は、再度投入された紙幣の計数を上述した手順で行う。
この入金処理が完了すると、現金自動取引装置1は、操作表示部6に入金計数結果を表示して、顧客に対して入金計数結果の確認を行う。ここで、顧客により操作表示部6を介して入金取引の確定が指示入力されると、紙幣入出金機10は、後述する収納処理を行う。
[1−6−2.収納処理時の紙幣の流れ]
次に、紙幣入出金機10における収納処理の動作について図12を用いて説明する。この収納処理は、顧客により入金取引の確定が指示入力された後に行われる。
次に、紙幣入出金機10における収納処理の動作について図12を用いて説明する。この収納処理は、顧客により入金取引の確定が指示入力された後に行われる。
紙幣入出金機10は、上述した入金処理で一時保留部16に収納された紙幣を1枚ずつ分離して繰り出し鑑別部15に搬送する。
鑑別部15によって紙幣が収納可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別された場合、紙幣入出金機10は、当該正常紙幣を鑑別部15からその金種に応じた収納カセット19へと搬送し集積する。
一方、鑑別部15によって紙幣が収納不適合な紙幣(すなわち収納リジェクト紙幣)と判別された場合、紙幣入出金機10は、当該収納リジェクト紙幣を鑑別部15からリジェクト庫17へ搬送し集積する。
[1−6−3.出金処理時の紙幣の流れ]
次に、紙幣入出金機10における出金処理の動作について図13を用いて説明する。
次に、紙幣入出金機10における出金処理の動作について図13を用いて説明する。
紙幣入出金機10は、顧客により現金自動取引装置1にキャッシュカード等が挿入され、操作表示部6を介して出金取引が選択されて暗証番号及び出金金額等が入力されると、プール部30を分離集積ポジションへ回動させると共に要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて収納カセット19(19a〜19d)から紙幣を1枚ずつ繰り出して鑑別部15に搬送する。
鑑別部15によって紙幣が出金可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別されると、紙幣入出金機10は、当該正常紙幣を鑑別部15から紙幣入出金部13へ搬送して集積する。続いて紙幣入出金機10は、プール部30を顧客ポジションへ回動させ入出金口5のシャッタを開き紙幣を顧客へ出金する。
一方、鑑別部15によって紙幣が出金不可能な紙幣(すなわち出金リジェクト紙幣)と判別されると、紙幣入出金機10は、当該出金リジェクト紙幣を鑑別部15からリジェクト庫17へ搬送し集積する。
[1−7.動作及び効果]
以上の構成において紙幣入出金部13は、紙幣BLを1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出機構32よりも紙幣BLの繰出方向の下流側に、ベルト摩擦係数μ1を有し紙幣BLを繰出方向に沿って搬送する搬送ベルト56を設け、繰出搬送路62を挟んで搬送ベルト56と対向する位置に、搬送ベルト56のベルト摩擦係数μ1が低く且つ複数の紙幣BL同士の紙幣摩擦係数μ3よりも高いリブ摩擦係数μ2を有するリブ60を設けるようにした。
以上の構成において紙幣入出金部13は、紙幣BLを1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出機構32よりも紙幣BLの繰出方向の下流側に、ベルト摩擦係数μ1を有し紙幣BLを繰出方向に沿って搬送する搬送ベルト56を設け、繰出搬送路62を挟んで搬送ベルト56と対向する位置に、搬送ベルト56のベルト摩擦係数μ1が低く且つ複数の紙幣BL同士の紙幣摩擦係数μ3よりも高いリブ摩擦係数μ2を有するリブ60を設けるようにした。
これにより紙幣入出金機10は、分離繰出機構32において紙幣BLを1枚ずつ分離することに失敗し紙幣BLが重なった状態で繰り出された場合であっても、分離搬送機構34により紙幣BLを1枚ずつ分離し、紙幣BLの重送を解消した状態で搬送部14に繰り出すことができる。
ここで、紙幣BLが2枚以上重なった状態で搬送部14へ繰り出された場合、紙幣入出金機10は、紙幣BLを鑑別部15において正常に判別できず入金リジェクト紙幣として取り扱う必要があるため、入金処理時においては顧客へ紙幣BLを一旦再投入してもらう必要があり顧客に対し煩雑な作業を強いることになると共に、収納処理時及び出金処理時においては、それぞれ収納リジェクト紙幣及び出金リジェクト紙幣として紙幣BLをリジェクト庫17へ収納するため、当該紙幣BLが再利用不可能な死蔵紙幣になってしまう。
これに対し紙幣入出金機10は、分離搬送機構34によって紙幣を確実に1枚ずつ分離して鑑別部15へ搬送するようにしたため、鑑別部15において正常に判別を行うことができ、顧客に対し煩雑な作業を強いることなく、また紙幣を死蔵紙幣としてしまうことなく有効利用することができる。
また紙幣入出金機10は、能動的に回転する搬送ローラ54に張架され紙幣を搬送する搬送ベルト56を、紙幣収容部38に収容された紙幣束から繰り出された最下段の紙幣BLの下側に当接させ、搬送力を有さないリブ60を、紙幣BLの上側に当接させるようにした。
これにより紙幣入出金機10は、紙幣が重なって分離繰出機構32から分離搬送機構34に繰り出された際、紙幣BL1と紙幣BL2との順序を逆転させることなく、最下段の紙幣BL1を、紙幣BL1の上側に位置する紙幣BL2よりも確実に先行させて繰り出すことができる。
ところで実際上分離搬送機構34は、第2ゲート部61において紙幣BL2を紙幣BL1に対し滑らせつつある程度連れ出しながら、紙幣BL2から紙幣BL1を分離する。これに対し紙幣入出金機10は、搬送ベルト56がリブ60bとオーバーラップする長さである搬送領域長さL1を紙幣BLの繰出方向に沿った長さ以上に設定するようにしたため、紙幣BL1と共に繰出方向に若干移動する紙幣BL2から紙幣BL1を滑らせつつ、確実に当該紙幣BL1を紙幣BL2から分離して繰り出すことができる。
以上の構成によれば、紙幣入出金機10は、媒体収容部としての紙幣収容部38に収容された紙葉状の媒体としての紙幣BLを1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出機構32と、分離繰出機構32よりも紙幣BLの繰出方向の下流側に設けられ紙幣BLに当接し、複数の紙幣BL同士の摩擦力Fμ3よりも高く設定され紙幣BLを繰出方向に搬送する搬送力Fμ1を紙幣BLに加える繰出搬送部51と、紙幣BLが搬送される繰出搬送路62を挟んで分離搬送機構34と対向して設けられ紙幣BLに当接し、複数の紙幣BL同士の摩擦力Fμ3よりも高く且つ搬送力Fμ1よりも低く設定され紙幣BLの位置を留める抵抗力Fμ2を紙幣BLに加える摩擦部55とを設けるようにした。
これにより現金自動取引装置1は、分離繰出機構32において紙幣BLを1枚ずつ分離することに失敗し紙幣BLが重なった状態で繰り出された場合であっても、繰出搬送部51及び摩擦部55により紙幣BLを1枚ずつ分離し、紙幣BLの重送を解消した状態で搬送部14に繰り出すことができる。
[2.第2の実施の形態]
図1に示す第2の実施の形態による現金自動取引装置101は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、図2に示す紙幣入出金機110における紙幣入出金部113が、紙幣入出金機10における紙幣入出金部13と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
図1に示す第2の実施の形態による現金自動取引装置101は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、図2に示す紙幣入出金機110における紙幣入出金部113が、紙幣入出金機10における紙幣入出金部13と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また第2の実施の形態による紙幣入出金部113は、図4との対応部分に同一符号を付した図14に示すように、分離搬送機構134における摩擦部155が分離搬送機構34における摩擦部55と異なっている。
[2−1.分離搬送機構の構成]
分離搬送機構134は、搬送ローラ54(54F及び54B)及び搬送ベルト56からなる繰出搬送部51と、ピンチローラ68(68F及び68B)及びスプリング70(70F及び70B)からなる摩擦部155とにより構成されている。
分離搬送機構134は、搬送ローラ54(54F及び54B)及び搬送ベルト56からなる繰出搬送部51と、ピンチローラ68(68F及び68B)及びスプリング70(70F及び70B)からなる摩擦部155とにより構成されている。
繰出搬送路62における上側(ゲートローラ50側)には、平板状の上側搬送ガイド64が設けられ、繰出搬送路62における下側(フィードローラ48及びピックアップローラ46側)には、平板状の下側搬送ガイド66が設けられている。
上側搬送ガイド64及び下側搬送ガイド66は、紙幣BLの紙面と対向する平面状の上側ガイド面64A及び下側ガイド面66Aをそれぞれ有しており、互いの搬送面の間に繰出搬送路62を形成している。
下側搬送ガイド66には、繰出方向に沿って搬送領域長さL11の間隔を空けて搬送ローラシャフト53F及び53Bが左右方向に沿って取り付けられており、当該搬送ローラシャフト53F及び53Bには、搬送ローラ54F及び54Bがそれぞれ左右に所定の間隔を空けて能動的に回転可能に支持されている。この搬送領域長さL11は、紙幣BLの繰出方向に沿った長さ以上に設定されている。
搬送ベルト56は、搬送ローラ54F及び54Bにより張架され、搬送ローラ54Bの回転駆動によってベルト回転方向に沿って回転する。この搬送ベルト56は、全周がゴム部材により形成され、現金自動取引装置101において取り扱われる紙幣BLに対する摩擦係数としてベルト摩擦係数μ1を有している。
また搬送ローラ54F及び54Bと搬送ベルト56とは、下側搬送ガイド66に対し下側ガイド面66Aに穿設された孔部からその周側面の一部を繰出搬送路62側に露出させている。
一方、上側搬送ガイド64における搬送ローラシャフト53F及び53Bと対抗する箇所には、ピンチローラシャフト67F及び67Bが左右方向に沿って取り付けられており、当該ピンチローラシャフト67F及び67Bには、搬送ローラ54F及び54Bと対向する箇所にピンチローラ68F及び68Bが回転可能に支持されている。
ピンチローラシャフト67Fには、図示しないトルクリミッタが設けられており、ピンチローラ68Fの外周に一定値以上の滑りトルクFrが加わると当該トルクリミッタが滑ることにより、ピンチローラ68Fが回転するよう構成されている。因みに滑りトルクFrは、ピンチローラの半径rにより変化し、半径rが大きいほど滑りトルクFrは小さくなる。
ピンチローラ68F及び68Bは、全周がゴム部材により形成されており、紙幣BLに対する摩擦係数としてピンチローラ摩擦係数μ12を有している。
またピンチローラ68F及び68Bは、上側搬送ガイド64に対し上側ガイド面64Aに穿設された孔部からその周側面の一部を繰出搬送路62側に露出させている。
またピンチローラ68F及び68Bは、圧縮ばねであるスプリング70F及び70Bによりそれぞれ搬送ローラ54F及び54Bに押し付けられている。特にピンチローラ68Fは、スプリング70Fにより搬送ローラ54Fに向かって押圧力Pが加えられている。このためピンチローラ68F及び68Bは、繰出搬送路62に沿って紙幣BLが搬送されてきた場合、当該紙幣BLをそれぞれ搬送ローラ54F及び54Bに押し付ける。搬送ローラ54F及び54Bは、回転力を紙幣BLに伝達することにより、ピンチローラ68F及び68Bを連れ回しつつ当該紙幣BLを繰出搬送路62に沿って後方へ搬送する。
以下では搬送ベルト56とピンチローラ68Fとの接点周辺部分を第2ゲート部161とも呼ぶ。押圧力Pは、搬送ベルト56とピンチローラ68Fとの間を1枚のみの紙幣BLが通過可能であり2枚以上の紙幣BLは通過が困難な強さに設定されている。
ここで、図15乃至図17に示すように搬送ベルト56とピンチローラ68Fとの間の摩擦係数をベルトローラ摩擦係数μ4とすると、現金自動取引装置101において取り扱われる紙幣BLに対する搬送ベルト56の摩擦係数であるベルト摩擦係数μ11、ピンチローラ68Fのピンチローラ摩擦係数μ12、当該紙幣BL同士の摩擦係数である紙幣摩擦係数μ3及びベルトローラ摩擦係数μ4は、紙幣摩擦係数μ3<ベルト摩擦係数μ11<ベルトローラ摩擦係数μ4であり、且つ紙幣摩擦係数μ3<ピンチローラ摩擦係数μ12<ベルトローラ摩擦係数μ4の関係に設定されている。
また、紙幣BLを繰出方向に向かって搬送する搬送力Pμ11を押圧力P×ベルト摩擦係数μ11とし、搬送力Pμ11の抵抗となり紙幣BLをその場に留める抵抗力Pμ12を押圧力P×ピンチローラ摩擦係数μ12とし、搬送ベルト56がピンチローラ68Fを回転させる駆動力Pμ4を押圧力P×ベルトローラ摩擦係数μ4とし、紙幣BL1及びBL2の間の摩擦力Pμ3を押圧力P×紙幣摩擦係数μ3としたとき、滑りトルクFr、搬送力Pμ11、抵抗力Pμ12、駆動力Pμ4及び摩擦力Pμ3は、滑りトルクFr<搬送力Pμ11であり、且つ滑りトルクFr<抵抗力Pμ12であり、且つ滑りトルクFr<駆動力Pμ4であり、且つ滑りトルクFr<摩擦力Pμ3の関係に設定されている。
[2−2.分離繰出動作]
かかる構成において紙幣入出金部113は、紙幣BLが紙幣収容部38に投入されるとプール部30を分離集積ポジションとし、ビルプレス42によりピックアップローラ46に当該紙幣BLを押し付ける。
かかる構成において紙幣入出金部113は、紙幣BLが紙幣収容部38に投入されるとプール部30を分離集積ポジションとし、ビルプレス42によりピックアップローラ46に当該紙幣BLを押し付ける。
続いて紙幣入出金部113は、ピックアップローラ46及びフィードローラ48を反時計回りに回転させることにより、紙幣束のうち最下段の紙幣BLを繰り出して第1ゲート部52へ移動させる。第1ゲート部52に到達した紙幣BLは、最下段の紙幣である1枚目の紙幣BLがピックアップローラ46の摩擦部材46aとフィードローラ48の摩擦部材48aとの搬送力により分離搬送機構234に繰り出される一方、2枚目以降の紙幣BLは回転しないゲートローラ50の摩擦の抵抗力により第1ゲート部52に留まるため、正常に分離された場合は1枚ずつ分離搬送機構134に紙幣BLが順次繰り出される。
ここで、分離繰出機構32により正常に分離された1枚のみの紙幣BLが分離搬送機構134に搬送された場合、当該紙幣BLは図16に示すように搬送ベルト56とピンチローラ68Fとにより挟持される。このとき、滑りトルクFr<搬送力Pμ11であり、且つ滑りトルクFr<抵抗力Pμ12と設定されているため、ピンチローラシャフト67Fのトルクリミッタに滑りが発生しピンチローラ68Fが搬送ベルト56と共に連れ回る。これにより紙幣BLは、繰出搬送部51により繰出方向に搬送され搬送部14へ放出される。
一方図17に示すように、紙幣BLが分離繰出機構32により正常に分離されず、2枚の紙幣BL1及びBL2が重なって分離搬送機構134に搬送された場合、紙幣摩擦係数μ3<ベルト摩擦係数μ11であり、且つ紙幣摩擦係数μ3<ピンチローラ摩擦係数μ12と設定されているため、摩擦力Pμ3<搬送力Pμ11であり、且つ摩擦力Pμ3<抵抗力Pμ12となる。また上述したように滑りトルクFr<摩擦力Pμ3と設定されている。
これによりピンチローラシャフト67Fのトルクリミッタには滑りが発生せず、紙幣BL1は繰出搬送部51により繰出方向に搬送されると共に、紙幣BL1及びBL2の間に滑りが発生して、紙幣BL2は第2ゲート部161に留まる。
その後紙幣BL1が繰出搬送路62から搬送部14へ搬送されると、第2ゲート部161に残留した紙幣BL2は、上述した1枚の紙幣BLが分離搬送機構134に搬送された場合と同様に、搬送部14へ搬送される。
このように分離搬送機構134は、2枚重なった紙幣BL1及びBL2を1枚ずつに分離して、紙幣BL1、紙幣BL2の順序で搬送部14へ繰り出す。
その後紙幣入出金機110は、図11乃至図13に示した紙幣入出金機10と同様の手順により入金処理、収納処理及び出金処理を行う。
[2−3.動作及び効果]
第1の実施の形態による紙幣入出金部13は、紙幣BLが搬送ベルト56及びリブ60bにより撓んで元の形状に戻ろうとする反力F1を利用するため、繰出搬送路62の片面側をガイド58で構成でき低コストとなるが、搬送力Fμ1、抵抗力Fμ2及び摩擦力Fμ3を制御しにくかった。これに対し紙幣入出金部113は、スプリング70Fからピンチローラ68Fに加える押圧力Pを利用するため、搬送力Pμ11、抵抗力Pμ12及び摩擦力Pμ3を制御し易くでき、より確実に紙幣BLを1枚ずつ分離できる。
第1の実施の形態による紙幣入出金部13は、紙幣BLが搬送ベルト56及びリブ60bにより撓んで元の形状に戻ろうとする反力F1を利用するため、繰出搬送路62の片面側をガイド58で構成でき低コストとなるが、搬送力Fμ1、抵抗力Fμ2及び摩擦力Fμ3を制御しにくかった。これに対し紙幣入出金部113は、スプリング70Fからピンチローラ68Fに加える押圧力Pを利用するため、搬送力Pμ11、抵抗力Pμ12及び摩擦力Pμ3を制御し易くでき、より確実に紙幣BLを1枚ずつ分離できる。
また紙幣入出金部113は、ピンチローラ68Bと搬送ベルト56との接触点から第2ゲート部161までの搬送領域長さL11を紙幣BLの繰出方向に沿った長さ以上に設定するようにした。
これにより紙幣入出金部113は、2枚目の紙幣BL2の繰出方向先端部分が第2ゲート部161よりも繰出方向側に搬送されてしまっても、当該紙幣BL2が搬送ベルト56とピンチローラ68Bとに挟持され1枚目の紙幣BL1と共に繰り出されてしまうことを防止できる。
その他第2の実施の形態による紙幣入出金部113は、第1の実施の形態による紙幣入出金部13とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
[3.第3の実施の形態]
図1に示す第3の実施の形態による現金自動取引装置201は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、図2に示す紙幣入出金機210における紙幣入出金部213が、紙幣入出金機10における紙幣入出金部13と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
図1に示す第3の実施の形態による現金自動取引装置201は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、図2に示す紙幣入出金機210における紙幣入出金部213が、紙幣入出金機10における紙幣入出金部13と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また第3の実施の形態による紙幣入出金部213は、図14との対応部分に同一符号を付した図18に示すように、分離搬送機構234が分離搬送機構134と異なっている。
[3−1.分離搬送機構の構成]
分離搬送機構234は、フィードローラ72からなる繰出搬送部251と、ゲートローラ74からなる摩擦部255とにより構成されている。また分離搬送機構234のフィードローラ72及びゲートローラ74は、分離繰出機構32のフィードローラ48及びゲートローラ50と同様に構成されている。
分離搬送機構234は、フィードローラ72からなる繰出搬送部251と、ゲートローラ74からなる摩擦部255とにより構成されている。また分離搬送機構234のフィードローラ72及びゲートローラ74は、分離繰出機構32のフィードローラ48及びゲートローラ50と同様に構成されている。
フィードローラ72は、フィードローラ48よりも紙幣の繰出方向下流側において左右方向に沿ったフィードシャフト71により、左右に所定の間隔を空けて回転可能に支持されている。フィードローラ72の外周部分の一部には、紙幣に対する摩擦係数が高い材料であるゴム等により構成された摩擦部材72aが形成されている。図19に示すようにフィードローラ72の周側面は、周方向に沿った2本の溝部72sが形成されており、残された部分が3本の稜部72bとなっている。
フィードローラ72は、下側搬送ガイド66に対し下側ガイド面66Aに穿設された孔部からその周側面の一部を繰出搬送路62側に露出させている。
ゲートローラ74は、繰出搬送路62を挟んでフィードシャフト71に対向して左右方向に沿ったゲートシャフト73により、フィードローラ72に対向して回転しないよう支持されている。ゲートローラ74の周側面は、周方向に沿った1本の溝部74sが形成されており、残された部分が2本の稜部74bとなっている。
ゲートローラ74は、上側搬送ガイド64に対し上側ガイド面64Aに穿設された孔部からその周側面の一部を繰出搬送路62側に露出させている。
ゲートローラ74は、全周がゴム部材により形成され、当該ゴム部材は、図19及び図20に示すように紙幣BLに対するゲートローラ74の摩擦係数であるゲートローラ摩擦係数μ22が、紙幣BLに対するフィードローラ72の摩擦部材72aの摩擦係数であるフィードローラ摩擦係数μ21よりも低く構成されている。またゲートローラ摩擦係数μ22は、紙幣摩擦係数μ3よりも高く、且つフィードローラ摩擦係数μ21よりも低く構成されている。すなわち、フィードローラ摩擦係数μ21、ゲートローラ摩擦係数μ22及び紙幣摩擦係数μ3は、紙幣摩擦係数μ3<ゲートローラ摩擦係数μ22<フィードローラ摩擦係数μ21の関係に設定されている。因みにゲートローラ摩擦係数μ22は、ゲートローラ50の摩擦係数よりもやや低く設定されている。
フィードローラ72とゲートローラ74との間には、左右方向に沿ってフィードローラ72側及びゲートローラ74側に交互に蛇行するような隙間が形成される。以下ではフィードローラ72及びゲートローラ74のうちこの隙間の周辺部分を第2ゲート部261とも呼ぶ。この隙間は、1枚の紙幣BLのみが通過可能であり2枚以上の紙幣BLは通過が困難な寸法に設定されている。またピンチローラ68Bと搬送ローラ54Bとの接触点から第2ゲート部261までの搬送領域長さL21は、紙幣BLの繰出方向に沿った長さ以上に設定されている。
[3−2.分離繰出動作]
かかる構成において紙幣入出金部213は、紙幣BLが紙幣収容部38に投入されるとプール部30を分離集積ポジションとし、ビルプレス42によりピックアップローラ46に当該紙幣BLを押し付ける。
かかる構成において紙幣入出金部213は、紙幣BLが紙幣収容部38に投入されるとプール部30を分離集積ポジションとし、ビルプレス42によりピックアップローラ46に当該紙幣BLを押し付ける。
続いて紙幣入出金部213は、ピックアップローラ46及びフィードローラ48を反時計回りに回転させることにより、紙幣束のうち最下段の紙幣BLを繰り出して第1ゲート部52へ移動させる。第1ゲート部52に到達した紙幣BLは、最下段の紙幣である1枚目の紙幣BLがピックアップローラ46の摩擦部材46aとフィードローラ48の摩擦部材48aとの搬送力により分離搬送機構34に繰り出される一方、2枚目以降の紙幣BLは回転しないゲートローラ50の摩擦の抵抗力により第1ゲート部52に留まるため、正常に分離された場合は1枚ずつ分離搬送機構34に紙幣BLが順次繰り出される。
ここで、分離繰出機構32により正常に分離された1枚のみの紙幣BLが分離搬送機構234に搬送された場合、図19に示すように、紙幣BLは左右方向に沿って湾曲した形状に変形する。紙幣BLは、変形していない平坦な形状に戻ろうとするため、フィードローラ72に向かって反力F21(すなわち(反力F21/3)×3)を、ゲートローラ74に向かって反力F21(すなわち(反力F21/2)×2)をそれぞれ発生させる。これにより、紙幣BLを繰出方向に向かって搬送する搬送力Fμ21として反力F21×フィードローラ摩擦係数μ21が、搬送力Fμ21の抵抗となり紙幣BLをその場に留める抵抗力Fμ22として反力F21×ゲートローラ摩擦係数μ22がそれぞれ発生する。
このとき、ゲートローラ摩擦係数μ22<フィードローラ摩擦係数μ21と設定されているため、抵抗力Fμ22<搬送力Fμ21となる。これにより紙幣BLは、繰出搬送部251により繰出方向に搬送され搬送部14へ放出される。
一方紙幣BLが分離繰出機構32により正常に分離されず、2枚の紙幣BL1及びBL2が重なって分離搬送機構234に搬送された場合、図20及び図21に示すように、フィードローラ72側の紙幣BL1を繰出方向に向かって搬送する搬送力Fμ21として反力F21×フィードローラ摩擦係数μ21が、搬送力Fμ21の抵抗となりゲートローラ74側の紙幣BL2をその場に留める抵抗力Fμ22として反力F21×ゲートローラ摩擦係数μ22が、紙幣BL1及びBL2の間の摩擦力Fμ3として反力F21×紙幣摩擦係数μ3がそれぞれ発生する。
このとき、紙幣摩擦係数μ3<ゲートローラ摩擦係数μ22<フィードローラ摩擦係数μ21と設定されているため、摩擦力Fμ3<抵抗力Fμ22<搬送力Fμ21となる。これにより紙幣BL1は繰出搬送部251により繰出方向に搬送されると共に、紙幣BL1及びBL2の間に滑りが発生して、紙幣BL2は第2ゲート部261に留まる。
その後紙幣BL1が繰出搬送路62から搬送部14へ搬送されると、第2ゲート部261に残留した紙幣BL1は、上述した1枚の紙幣BLが分離搬送機構234に搬送された場合と同様に、搬送部14へ搬送される。
このように分離搬送機構34は、2枚重なった紙幣BL1及びBL2を1枚ずつに分離して、紙幣BL1、紙幣BL2の順序で搬送部14へ繰り出す。
その後紙幣入出金機210は、図11乃至図13に示した紙幣入出金機10と同様の手順により入金処理、収納処理及び出金処理を行う。
[3−3.動作及び効果]
以上のように紙幣入出金部213は、フィードローラ72とゲートローラ74とにより分離搬送機構234を構成するようにした。これにより紙幣入出金部213は、分離繰出機構32のフィードローラ48及びゲートローラ50と同様の構成であるフィードローラ72及びゲートローラ74を、分離繰出機構32の繰出方向下流側に設けるだけで良いため、紙幣入出金部13及び113と比べて構成を簡素化し、低コスト化できる。
以上のように紙幣入出金部213は、フィードローラ72とゲートローラ74とにより分離搬送機構234を構成するようにした。これにより紙幣入出金部213は、分離繰出機構32のフィードローラ48及びゲートローラ50と同様の構成であるフィードローラ72及びゲートローラ74を、分離繰出機構32の繰出方向下流側に設けるだけで良いため、紙幣入出金部13及び113と比べて構成を簡素化し、低コスト化できる。
また紙幣入出金部213は、ピンチローラ68Bと搬送ローラ54Bとの接触点から第2ゲート部261までの搬送領域長さL21を紙幣の繰出方向に沿った長さ以上に設定するようにした。
これにより紙幣入出金部213は、2枚目の紙幣BL2の繰出方向先端部分が第2ゲート部261よりも繰出方向側に搬送されてしまっても、当該紙幣BL2が搬送ベルト56と搬送ローラ54Bとに挟持され1枚目の紙幣BL1と共に繰り出されてしまうことを防止できる。
また、分離繰出機構32においては、ピックアップローラ46及びフィードローラ48により紙幣BLを繰り出すが、分離搬送機構234においては、フィードローラ72のみにより紙幣BLを繰り出すため、分離繰出機構32における搬送力よりも、分離搬送機構234における搬送力Fμ21の方が小さくなる。
これに対し紙幣入出金部213は、ゲートローラ摩擦係数μ22を、ゲートローラ50の摩擦係数よりもやや低く設定するようにしたことにより、分離搬送機構234において紙幣BLを確実に繰り出すことができる。
その他第3の実施の形態による紙幣入出金部213は、第1の実施の形態による紙幣入出金部13とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
[4.他の実施の形態]
なお上述した第2の実施の形態においては、搬送ローラ54F及び54Bに搬送ベルト56を張架する場合について述べた。本発明はこれに限らず、図22に示す紙幣入出金部313のように、搬送ベルト56を設けず省略しても良い。
なお上述した第2の実施の形態においては、搬送ローラ54F及び54Bに搬送ベルト56を張架する場合について述べた。本発明はこれに限らず、図22に示す紙幣入出金部313のように、搬送ベルト56を設けず省略しても良い。
この場合、搬送ローラ54Fを全周に亘ってゴム部材で構成し、紙幣に対する搬送ローラ54Fの摩擦係数である搬送ローラ摩擦係数μ31と、ピンチローラ摩擦係数μ12と、紙幣摩擦係数μ3とが、紙幣摩擦係数μ3<ピンチローラ摩擦係数μ12<搬送ローラ摩擦係数μ31であれば、搬送ローラ54Fとピンチローラ68Fとにより1枚ずつ分離された紙幣BLは、上側搬送ガイド64及び下側搬送ガイド66により案内されて搬送される。
また上述した第1の実施の形態においては、リブ60の下端面が紙幣BLの繰出方向に沿って平行に形成される場合について述べた。本発明はこれに限らず、図23に示す紙幣入出金部413のように、リブ460の下端面を搬送ローラ54Fと搬送ローラ54Bとの間における中央部分が湾曲して突出するようにしても良い。
図23に示すように一般的に搬送ベルト56は撓むため、リブ460の下端面の形状を搬送ベルト56の撓み形状に合わせ、リブ460の前端から後端に亘って搬送ベルト56とリブ60の下端面とが平行を保つようにすれば、リブ460の前端から後端に亘って搬送力Fμ1、抵抗力Fμ2及び摩擦力Fμ3の関係を確実に保つことができる。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、搬送ローラ54F及び54Bの2個の搬送ローラにより搬送ベルト56を張架する場合について述べた。本発明はこれに限らず、3個以上の搬送ローラにより搬送ベルト56を張架しても良い。この場合、搬送ベルト56の撓みを軽減することができる。
さらに上述した実施の形態においては、分離繰出機構32よりも繰出方向下流側に、1つの分離搬送機構34、134、234、334又は434を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、分離繰出機構32よりも繰出方向下流側に、2つ以上の分離搬送機構34、134、234、334又は434を設けても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、ピンチローラ68Fのみに押圧力Pを加える場合について述べた。本発明はこれに限らず、ピンチローラ68Fに加えてピンチローラ68Bにも押圧力Pを加えるようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、ピンチローラ68Fの外周面と搬送ローラ54Fの外周面とがオーバーラップしていても良い。図22においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、リブ60をゴム部材により形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、リブ60を例えば樹脂により形成し、表面に凹凸を設けたり、摩擦係数を高める表面処理を行ったりすることにより、リブ摩擦係数μ2を紙幣摩擦係数μ3よりも高めるようにしても良い。要は、紙幣摩擦係数μ3<リブ摩擦係数μ2<ベルト摩擦係数μ1の関係を保てていれば良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、搬送領域長さL1、L11及びL21を紙幣の繰出方向に沿った長さ以上に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、搬送領域長さL1、L11及びL21を紙幣の繰出方向に沿った長さ以下に設定しても良い。要は紙幣BL1と共に移動する紙幣BL2を第2ゲート部61、161及び261に留め、当該紙幣BL2から当該紙幣BL1を分離できれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、2枚の紙幣BLが重送して繰り出される場合について述べた。本発明はこれに限らず、3枚以上の紙幣BLが重送して繰り出される場合にも本発明を適用できる。この場合、搬送領域長さを3枚以上の紙幣BLを分離するために十分な長さに設定し、3枚以上の紙幣BL同士の摩擦係数を考慮して搬送力及び抵抗力を設定すれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、ゲートローラ50及び74を、紙幣BLを繰り出す繰出方向には回転しないよう設ける場合について述べたが、繰出方向の反対方向には回転するように設けても良い。
さらに本発明は、上述した第1乃至第3の実施の形態と、上述した他の実施の形態とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1乃至第3の実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、媒体として紙幣について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体であれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、分離繰出部としての分離繰出機構32と、繰出搬送部としての繰出搬送部51、251、351又は451と、摩擦部としての摩擦部55、155、255、355又は455とによって、媒体繰出装置としての紙幣入出金部13、113、213、313又は413を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる分離繰出部と、繰出搬送部と、摩擦部とによって媒体繰出装置を構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、接客部としての接客部3と、媒体収容部としての紙幣収容部38と、分離繰出部としての分離繰出機構32と、繰出搬送部としての繰出搬送部51、251、351又は451と、摩擦部としての摩擦部55、155、255、355又は455とによって、媒体取引装置としての現金自動取引装置1、101又は201を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる接客部と、媒体収容部と、分離繰出部と、繰出搬送部と、摩擦部とによって、媒体取引装置を構成するようにしても良い。
本発明は、紙幣等の紙葉類を搬送する種々の装置でも利用できる。
1、101、201……現金自動取引装置、2……筐体、3……接客部、4……カード入出口、5……入出金口、6……操作表示部、7……テンキー、8……レシート発行口、9……主制御部、10、110、210……紙幣入出金機、11……紙幣入出金機筐体、12……制御部、13、113、213、313、413……紙幣入出金部、14……搬送部、15……鑑別部、16……一時保留部、17……リジェクト庫、18……紙幣収納ユニット、19……収納カセット、30……プール部、32……分離繰出機構、34、134、234、334、434……分離搬送機構、36……集積機構、38……紙幣収容部、40……開口部、42……ビルプレス、44……集積ローラ、45……ピッカシャフト、46……ピックアップローラ、46a……摩擦部材、47……フィードシャフト、48……フィードローラ、48a……摩擦部材、48b……稜部、48s……溝部、49……ゲートシャフト、50、74……ゲートローラ、50b……稜部、50s……溝部、51、251、351、451……繰出搬送部、52……第1ゲート部、53……搬送ローラシャフト、54……搬送ローラ、55、155、255、355、455……摩擦部、56……搬送ベルト、58……ガイド、60、460……リブ、61、161、261……第2ゲート部、62……繰出搬送路、64……上側搬送ガイド、64A……上側ガイド面66……下側搬送ガイド、66A……下側ガイド面67……ピンチローラシャフト、68……ピンチローラ、70……スプリング、71……フィードシャフト、72……フィードローラ、72a……摩擦部材、72b……稜部、72s……溝部、73……ゲートシャフト、74……ゲートローラ、74b……稜部、74s……溝部、L1、L11、L21……搬送領域長さ、μ1、μ11、μ21、μ31、μ2、μ12、μ22、μ3……摩擦係数、μ1……ベルト摩擦係数、μ2……リブ摩擦係数、μ3……紙幣摩擦係数、μ11……ベルト摩擦係数、μ12……ピンチローラ摩擦係数、μ21……フィードローラ摩擦係数、μ22……ゲートローラ摩擦係数、μ31……搬送ローラ摩擦係数、μ4……ベルトローラ摩擦係数、F1、F21……反力、P……押圧力、BL……紙幣。
Claims (8)
- 媒体収容部に収容された紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出部と、
前記分離繰出部よりも前記媒体の繰出方向の下流側に設けられ前記媒体に当接し、複数の前記媒体同士の摩擦力よりも高く設定され前記媒体を前記繰出方向に搬送する搬送力を前記媒体に加える繰出搬送部と、
前記媒体が搬送される媒体搬送路を挟んで前記繰出搬送部と対向して設けられ前記媒体に当接し、複数の前記媒体同士の摩擦力よりも高く且つ前記搬送力よりも低く設定され前記媒体の位置を留める抵抗力を前記媒体に加える摩擦部と
を有する媒体繰出装置。 - 前記繰出搬送部は、複数の前記媒体同士の摩擦係数よりも高い摩擦係数を有し、
前記摩擦部は、複数の前記媒体同士の摩擦係数よりも高く且つ前記媒体に対する前記繰出搬送部の前記摩擦係数よりも低い摩擦係数を有する
請求項1に記載の媒体繰出装置。 - 前記摩擦部は、前記媒体搬送路に向かって突出するリブである
請求項2に記載の媒体繰出装置。 - 前記リブの先端は、前記繰出搬送部とオーバーラップしている
請求項3に記載の媒体繰出装置。 - 前記繰出搬送部は、回転するベルトにより構成され、当該ベルトが前記リブとオーバーラップする長さは、前記媒体の繰出方向の長さ以上である
請求項4に記載の媒体繰出装置。 - 前記繰出搬送部は、回転するローラであり、
前記摩擦部は、繰出方向に回転しないゲートローラである
請求項2に記載の媒体繰出装置。 - 前記摩擦部は、トルクリミッタが内蔵されたローラにより構成されており、当該トルクリミッタの滑りトルクは、複数の前記媒体同士の摩擦力よりも高く且つ前記搬送力及び前記抵抗力よりも低く設定されている
請求項1に記載の媒体繰出装置。 - 紙葉状の媒体に関する取引を受け付ける接客部と、
前記接客部により受け付けた前記媒体を収容する媒体収容部と、
前記媒体収容部に収容された紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して繰り出す分離繰出部と、
前記分離繰出部よりも前記媒体の繰出方向の下流側に設けられ前記媒体に当接し、複数の前記媒体同士の摩擦力よりも高く設定され前記媒体を前記繰出方向に搬送する搬送力を前記媒体に加える繰出搬送部と、
前記媒体が搬送される媒体搬送路を挟んで前記繰出搬送部と対向して設けられ前記媒体に当接し、複数の前記媒体同士の摩擦力よりも高く且つ前記搬送力よりも低く設定され前記媒体の位置を留める抵抗力を前記媒体に加える摩擦部と
を有する媒体取引装置。
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