以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、第1の実施の形態の現金自動取引装置1は、箱状の装置筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関等の顧客)との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになっている。以下では、現金自動取引装置1における顧客が対峙する側を前側、その反対側を後側と定義するとともに、現金自動取引装置1の前側に対峙した顧客から見て左側及び右側をそれぞれ現金自動取引装置1における左側及び右側と定義する。
装置筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の筐体内側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客により入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
装置筐体2の内部には、現金自動取引装置1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどの記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、現金自動取引装置1の各部を制御して入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行う。
紙幣入出金機10は、紙幣入出金機10全体を統括制御する制御部11を有している。制御部11は、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどの記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣入出金機10の各部を制御して入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行う。
この紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、後側が開放された直方体形状の入出金機筐体20を中心に構成されている。尚、この図2は、制御部11を省略した図となっている。現金自動取引装置1は、装置筐体2の後側が開閉可能な扉となっており、この扉を開放することで、外部から紙幣入出金機10へアクセスできるようになっている。
この紙幣入出金機10は、大きく分けて、入出金機筐体20における上下方向の中央より上側の部分を占める上部ユニット21と、中央より下側の部分を占める下部ユニット22とにより構成されている。
上部ユニット21には、顧客との間で紙幣を授受する入出金部23、図中太線で示す搬送路24Rを介して紙幣を各部へ搬送する為の図示しないローラやガイドなどで構成される搬送部24、紙幣を鑑別する鑑別部25、紙幣を一時的に収納する一時保留部26が設けられている。この上部ユニット21は、前後方向に延びるスライドレール(図示せず)を介して入出金機筐体20に取り付けられている。この為、紙幣入出金機10は、装置筐体2の後側の扉が開放された状態で、スライドレールを介して上部ユニット21を前後方向(すなわち収納方向及び引出方向)へスライドさせることで、上部ユニット21を入出金機筐体20の外側に引き出したり、引き出した上部ユニット21を入出金機筐体20の内部に収納したりできるようになっている。
一方、下部ユニット22は、直方体形状の金庫筐体27により覆われていて、この金庫筐体27の内部に、前後方向に延びるスライドレール(図示せず)を介して下部ユニット22が取り付けられている。金庫筐体27は、後側が開閉可能な扉となっている。この下部ユニット22は、複数(例えば5個)の紙幣収納庫28(28A〜28E)及び1つのリジェクト庫29を、後側から前側へ向けて順次整列させるようにして着脱可能に保持する。この為、紙幣入出金機10は、装置筐体2の後側の扉と金庫筐体27の後側の扉が開放された状態で、スライドレールを介して下部ユニット22を前後方向(すなわち収納方向及び引出方向)へスライドさせることで、紙幣収納庫28(28A〜28E)及びリジェクト庫29を下部ユニット22とともに入出金機筐体20及び金庫筐体27の外側に引き出したり、引き出した下部ユニット22を入出金機筐体20及び金庫筐体27の内部に収納したりできるようになっている。
さらに、金庫筐体27の上面には、金庫筐体27内部に収納された紙幣収納庫28(28A〜28E)及びリジェクト庫29のそれぞれの上面と対向する位置に上下方向に貫通する孔(図示せず)が設けられ、各孔の内側に受渡搬送部30(30A〜30F)が配置されている。また上部ユニット21の下端部には、受渡搬送部30A〜30Fのそれぞれに向かって延びる搬送路24Ra〜24Rfが形成されている。受渡搬送部30A〜30Fは、それぞれ上部ユニット21の搬送路24Ra〜24Rfと紙幣収納庫28A〜28E及びリジェクト庫29との間を接続する搬送路を形成する。紙幣入出金機10は、この受渡搬送部30A〜30Fを介して、上部ユニット21の搬送路24Ra〜24Rfと、下部ユニット22の紙幣収納庫28A〜28F及びリジェクト庫29との間で紙幣を受け渡すようになっている。
[1−2.入金処理及び出金処理]
ここで、現金自動取引装置1により利用者(金融機関の顧客)との間で入金取引及び出金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での入金処理及び出金処理について簡単に説明する。
まず入金処理について説明する。紙幣入出金機10は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して入金取引を行う旨の操作入力を受け付けると、入出金口5のシャッタを開く。そして、入出金口5から入出金部23に紙幣が投入されると、シャッタを閉じて、投入された紙幣を1枚ずつ鑑別部25へ搬送する。
ここで、紙幣入出金機10は、鑑別部25により正常紙幣と判定された紙幣については一時保留部26に搬送して一時的に収納する。一方で、入金に適さない入金リジェクト紙幣と判定された紙幣については入出金部23へ戻して、シャッタを開くことで顧客に返却する。その後、顧客により入金金額が確定されると、紙幣入出金機10は、一時保留部26に収納している紙幣を鑑別部25に搬送して金種を鑑別し、その金種に応じて、各紙幣収納庫28A〜28Eへ搬送して保管する。このとき、紙幣は、上部ユニット21の搬送路24Ra〜24Reから、受渡搬送部30A〜30Eを通って、下部ユニット22の各紙幣収納庫28A〜28Eへと搬送される。
次に出金処理について説明する。紙幣入出金機10は、顧客から操作表示部6(図1)を介して出金取引を行う旨の操作入力を受け付けると、顧客に指定された出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。そして、紙幣入出金機10は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫28A〜28Eから紙幣を1枚ずつ繰り出して、鑑別部25に搬送する。このとき、紙幣は、下部ユニット22の各紙幣収納庫28A〜28Eから、受渡搬送部30A〜30Eを通って、上部ユニット21の搬送路24Ra〜24Reへと搬送される。
ここで、紙幣入出金機10は、鑑別部25により正常紙幣と判定された紙幣については入出金部23に搬送する一方で、出金に適さない出金リジェクト紙幣と判定された紙幣については一時保留部26に搬送して一時的に収納する。そして、顧客に指定された出金額分の紙幣が入出金部23へ集積されると、紙幣入出金機10は、入出金口5のシャッタを開ける。これにより入出金部23内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、顧客がこの紙幣を受け取る。
その後、紙幣入出金機10は、一時保留部26に収納している出金リジェクト紙幣を、リジェクト庫29へと搬送して保管する。このとき、紙幣は、上部ユニット21の搬送路24Rfから、受渡搬送部30Fを通って、下部ユニット22のリジェクト庫29へと搬送される。以上が、紙幣入出金機10内での入金処理及び出金処理である。
[1−3.受渡搬送部及びその周辺部の構成]
次に、受渡搬送部30(30A〜30F)と、その周辺部の構成について説明する。具体的に、受渡搬送部30(30A〜30F)の周辺部とは、受渡搬送部30(30A〜30F)の上方に位置する搬送部24の下端部(搬送路24Ra〜24Rfが形成されている部分)、及び受渡搬送部30(30A〜30F)の下方に位置する紙幣収納庫28(28A〜28E)及びリジェクト庫29の上端部のことである。尚、受渡搬送部30A〜30Fの基本的な構成は同一であり、また受渡搬送部30A〜30Fの周辺部の基本的な構成についても同一である為、ここでは、一例として、受渡搬送部30Aと、受渡搬送部30Aの上方に位置する、搬送部24の下端部(搬送路24Raが形成されている部分)と、受渡搬送部30Aの下方に位置する紙幣収納庫28Aの上端部の構成について説明することにする。
まず、受渡搬送部30Aの下方に位置する紙幣収納庫28Aの上端部の構成について説明する。図3に、紙幣収納庫28Aの上部を上から見た上面図、前から見た前面図、左から見た側面図からなる三面図を示す。紙幣収納庫28Aの上端部は、左右方向(すなわち幅方向)の両端部40L、40Rを除く中央部40Cが両端部40L、40Rよりも一段低く形成されていて、この中央部40Cの後寄りに、受渡搬送部30Aとの間で搬送される紙幣をガイドする収納庫側ガイド部41が設けられている。
収納庫側ガイド部41は、前側に配置された前側搬送ガイド42と、後側に配置された後側搬送ガイド43とを有している。前側搬送ガイド42と後側搬送ガイド43は、所定の間隔(例えば5[mm])を空けて配置されていて、前側搬送ガイド42と後側搬送ガイド43との間に隙間を形成している。この隙間が、紙幣の紙面を前後方向に向けて、上下方向に搬送する収納庫側搬送路44となっている。つまり、この収納庫側搬送路44は、上下方向が搬送方向、左右方向が幅方向となっている。
後側搬送ガイド43は、前面が平坦に形成された本体部45の上端に、左右方向(収納庫側搬送路44の幅方向)に沿って複数のリブ46が離散的に、すなわち左右方向に隙間47を空けて配置されている。因みに本体部45には、左右方向の長さ(つまり幅)が異なる複数種類のリブ46が所定の順序で配置されている。また、各リブ46は、それぞれ直方体状に形成されており、それぞれの前面及び上面の位置が揃えられている。さらに、各リブ46の前面は、本体部45の前面と連続していて、さらにリブ46の前側上端部は、角を切り落としたような傾斜面となっている。
一方、前側搬送ガイド42は、後側搬送ガイド43と前後対称の構成となっている。つまり、前側搬送ガイド42も、左右方向に沿って所定の間隔でなる隙間47を空けて配置された複数のリブ46を有している。そして、前側搬送ガイド42と後側搬送ガイド43は、対向する後面と前面とが平行で、且つ左右方向及び上下方向に各リブ46の位置が揃うようにして配置されている。尚、対向する前側搬送ガイド42の後面及び後側搬送ガイド43の前面は、それぞれ紙幣をガイドするガイド面となっている。また、各隙間47の底面は、紙幣収納庫28Aの中央部40Cの上面と同一面となっている。
さらに、紙幣収納庫28Aの中央部40Cの上面には、前側搬送ガイド42の左右両端の隙間47のそれぞれの前方近傍に、後述する受渡搬送部30Aの下側ローラ100Lが嵌合する前後方向に延びる溝(これを下側溝と呼ぶ)48が形成されている。この下側溝48は、左右方向から見た断面が台形状となっている。収納庫側ガイド部41は、前側搬送ガイド42及び後側搬送ガイド43とこの下側溝48とで構成される。紙幣収納庫28Aの上端部の構成は、以上のようになっている。他の紙幣収納庫28B〜28E、及びリジェクト庫29の上端部の構成も、基本的に同様の構成となっている。尚、紙幣収納庫28A〜28E及びリジェクト庫29のそれぞれの上端部に設けられた収納庫側ガイド部41は、前後方向の位置は異なるが、左右方向の位置、及び上下方向の位置は等しくなっている。
次に、受渡搬送部30Aの上方に位置する搬送部24の下端部(搬送路24Raが形成されている部分)の構成について説明する。図4の三面図に示すように、受渡搬送部30Aの上方に位置する搬送部24の下端部は、左右方向(すなわち幅方向)の両端部60L、60Rを除く中央部60Cが両端部60L、60Rよりも一段高く形成されている。そして、この中央部60Cの後寄りに、受渡搬送部30Aとの間で搬送される紙幣をガイドする搬送部側ガイド部61が設けられている。
搬送部側ガイド部61は、収納庫側ガイド部41と同様、前側に配置された前側搬送ガイド62と、後側に配置された後側搬送ガイド63とを有している。前側搬送ガイド62と後側搬送ガイド63は、所定の間隔(例えば5[mm])を空けて配置されていて、前側搬送ガイド62と後側搬送ガイド63との間の隙間が、紙幣の紙面を前後方向に向けて上下方向に搬送する搬送部側搬送路64となっている。つまり、この搬送部側搬送路64は、上下方向が搬送方向、左右方向が幅方向となっている。尚、この搬送部側搬送路64が、図2に示した搬送路24Raである。
後側搬送ガイド63は、前面が平坦に形成された本体部65の下端に、左右方向(搬送部側搬送路64の幅方向)に沿って複数のリブ66が左右方向に隙間67を空けて離散的に配置されている。因みに本体部65には、左右方向の長さ(つまり幅)が異なる複数種類のリブ66が所定の順序で配置されている。また、各リブ66は、それぞれ直方体状に形成されており、それぞれの前面及び下面の位置が揃えられている。さらに、各リブ66の前面は、本体部65の前面と連続していて、さらにリブ66の前側下端部は、角を切り落としたような傾斜面となっている。
一方、前側搬送ガイド62は、後側搬送ガイド63と前後対称の構成となっている。つまり、前側搬送ガイド62も、左右方向に沿って所定の間隔でなる隙間67を空けて配置された複数のリブ66を有している。そして、前側搬送ガイド62と後側搬送ガイド63は、対向する後面と前面とが平行で、且つ左右方向及び上下方向に各リブ66の位置が揃うようにして配置されている。尚、対向する前側搬送ガイド62の後面及び後側搬送ガイド63の前面は、それぞれ紙幣をガイドするガイド面となっている。また、各隙間67の天井面は、搬送部24の中央部60Cの下面と同一面となっている。
さらに、中央部60Cの下面には、搬送部側ガイド部61の前側搬送ガイド62の左右両端の隙間67のそれぞれの前方近傍に、後述する受渡搬送部30Aの上側ローラ100Uが嵌合する前後方向に延びる溝(これを上側溝と呼ぶ)68が形成されている。この上側溝68は、左右方向から見た断面が台形状となっている。搬送部側ガイド部61は、前側搬送ガイド62及び後側搬送ガイド63とこの上側溝68とで構成される。受渡搬送部30Aの上方に位置する搬送部24の下端部(搬送路24Raが形成されている部分)の構成は、以上のようになっている。他の受渡搬送部30B〜30Fの上方に位置する搬送部24の下端部(搬送路24Rb〜24Rfが形成されている部分)の構成も、基本的に同様の構成となっている。尚、受渡搬送部30A〜30Fのそれぞれの上方に設けられた搬送部側ガイド部61は、前後方向の位置は異なるが、左右方向の位置及び上下方向の位置は等しくなっている。
次に、受渡搬送部30Aの構成について説明する。図5(A)、(B)に受渡搬送部30Aの斜視図、図6(A)に受渡搬送部30Aを前から見た前面図、図6(B)に受渡搬送部30Aを左から見た側面図を示す。尚、図6(B)は、後述する受渡フレーム80を省略した図となっている。
これら図5、図6に示すように、受渡搬送部30Aは、薄板状の受渡フレーム80に各部品が取り付けられた構成となっていて、この受渡フレーム80が、金庫筐体27の上面に設けられた孔の内側に取り付けられている。受渡フレーム80の中央には、左右方向に長く上下方向に貫通する孔80Hが形成されている。この孔80Hの内側に、受渡ガイド部81が取り付けられている。
受渡ガイド部81は、孔80Hの前寄りに位置する前側搬送ガイド82と、孔80Hの後寄りに位置する後側搬送ガイド83とを有している。前側搬送ガイド82は、後側搬送ガイド83との間に所定の間隔(例えば5[mm])でなる隙間を空けるようにして、後側搬送ガイド83に取り付けられている。この隙間が、紙幣の紙面を前後方向に向け、上下方向に沿って搬送する受渡搬送路84となっている。つまり、この受渡搬送路84は、上下方向が搬送方向、左右方向が幅方向となっている。
後側搬送ガイド83は、前後方向の長さが、孔80Hの前後方向の長さの3分の1程度で且つ前側搬送ガイド82の前後方向の長さの2分の1程度であり、上下方向の長さが孔80Hの上下方向の長さよりわずかに長く、左右方向の長さ(幅)が孔80Hの左右方向の長さ(幅)よりわずかに短い直方体状の本体部85を中心に構成されている。本体部85は、左右両端部の側面に、前後方向に延びる溝85G(図6(B))が形成されていて、この溝85Gに、受渡フレーム80に固定された円柱状の回動軸80Pが挿入されている。この為、後側搬送ガイド83は、前側搬送ガイド82との間に受渡搬送路84を形成した状態のまま前側搬送ガイド82とともに、受渡フレーム80に対して、図6(B)に示す基準位置から前後方向にスライドでき、且つ回動軸80Pを中心に図6(B)中時計回り方向及び反時計回り方向に回転して(すなわち回動して)前後方向に傾くことができるようになっている。尚、一方向及び他方向への回転を回動と呼んでいる。
これにより、受渡ガイド部81は、受渡搬送路84を基準位置から前後方向にスライドさせたり、前後方向に傾けたりすることができる。尚、対向する前側搬送ガイド82の後面と後側搬送ガイド83の前面は、常に平行であり、それぞれ紙幣をガイドするガイド面となっている。
さらに、後側搬送ガイド83の本体部85は、下端に、左右方向(受渡搬送路84の幅方向)に沿って複数のリブ86Lが隙間87Lを空けて離散的に配置されている。各リブ86Lは、小さな直方体状に形成されており、それぞれの前面及び下面の位置を互いに揃えている。各リブ86Lの左右方向の位置及び長さは、受渡搬送部30Aの下方に位置する収納庫側ガイド部41に形成された各リブ46と相補的に定められている。すなわち、本体部85の下端に設けられた各リブ86Lの左右方向の位置及び長さは、収納庫側ガイド部41の各隙間47とそれぞれ対応していて、本体部85の下端に設けられた各隙間87Lの左右方向の位置及び長さは、収納庫側ガイド部41の各リブ46とそれぞれ対応している。また、各リブ86Lの前後方向の長さは、収納庫側ガイド部41の各リブ46とほぼ等しくなっている。
また、後側搬送ガイド83の本体部85は、上端に、左右方向(受渡搬送路84の幅方向)に沿って複数のリブ86Uが左右方向に隙間87Uを空けて離散的に配置されている。各リブ86Uは、小さな直方体状に形成されており、それぞれの前面及び下面の位置を互いに揃えている。各リブ86Uの左右方向の位置及び長さは、受渡搬送部30Aの上方に位置する搬送部側ガイド部61に形成された各リブ66と相補的に定められている。すなわち、本体部85の上端に設けられた各リブ86Uの左右方向の位置及び長さは、搬送部側ガイド部61の各隙間67とそれぞれ対応していて、本体部85の上端に形成された各隙間87Uの左右方向の位置及び長さは、搬送部側ガイド部61の各リブ66とそれぞれ対応している。また、各リブ86Uの前後方向の長さは、搬送部側ガイド部61の各リブ66とほぼ等しくなっている。
一方、前側搬送ガイド82は、前後方向の長さが後側搬送ガイド83の2倍程度(孔80Hの前後方向の長さの3分の2程度)である点などを除き、後側搬送ガイド83とほぼ前後対称に構成されている。すなわち、前側搬送ガイド82は、後側搬送ガイド83と同様、本体部95の下端に複数のリブ96Lが隙間97Lを空けて離散的に配置されているとともに、本体部95の上端に複数のリブ96Uが隙間97Uを空けて離散的に配置されている。下側の各リブ96Lの左右方向の位置及び長さは、受渡搬送部30Aの下方に位置する収納庫側ガイド部41に形成された各リブ46と相補的に定められている。また、下側の各リブ96Lの前後方向の長さは、収納庫側ガイド部41の各リブ46より長くなっている。一方、上側の各リブ96Uの左右方向の位置及び長さは、受渡搬送部30Aの上方に位置する搬送部側ガイド部61に形成された各リブ66と相補的に定められている。また、上側の各リブ96Uの前後方向の長さは、搬送部側ガイド部61の各リブ66より長くなっている。
このような構成により、受渡搬送部30Aは、下部ユニット22が入出金機筐体20の内部に収納されたときには、図6(A)に示すように、下側の各リブ86L、96Lが、紙幣収納庫28Aの収納庫側ガイド部41に形成された各隙間47に入り込むとともに、下側の各隙間87L、97Lに、収納庫側ガイド部41に形成された各リブ46が入り込むようになっている。このようにして受渡ガイド部81と収納庫側ガイド部41が連結される。
さらに、受渡搬送部30Aは、上部ユニット21が入出金機筐体20の内部に収納されたときには、上側の各リブ86U、96Uが、搬送部24の搬送部側ガイド部61に形成された各隙間67に入り込むとともに、上側の各隙間87U、97Uに、搬送部側ガイド部61に形成された各リブ66が入り込むようになっている。このようにして受渡ガイド部81と搬送部側ガイド部61が連結される。
このように、受渡ガイド部81と収納庫側ガイド部41及び搬送部側ガイド部61とが連結されることにより、受渡搬送部30Aの受渡搬送路84の上端が上部ユニット21側の搬送部側搬送路64(すなわち搬送路24Ra)の下端と接続され、受渡搬送路84の下端が紙幣収納庫28A側の収納庫側搬送路44の上端と接続される。
このような構成にくわえて、受渡搬送部30Aは、前側搬送ガイド82に設けられた上側のリブ96Uのうち、左右両端のリブ96Uの内部の前側(すなわちガイド面とは反対側)に、リブ96Uより薄い円盤状のローラ(これを上側ローラと呼ぶ)100Uが、リブ96Uの上面(すなわち搬送部側ガイド部61と対向する面)の前側に設けられた孔から一部が上方に(すなわち搬送部側ガイド部61側に)突出するようにして取り付けられている。尚、左右両端のリブ96Uは同一構造であり、左右の上側ローラ100Uも同一構造となっている。
ここで、図7(A)に、前側搬送ガイド82を左から見た側面図を示す。尚、この側面図は、前側搬送ガイド82の内部構成を分かり易くする為、内部を露出させた図となっている。また、図8(A)に、上側ローラ100Uが取り付けられているリブ96Uを左から見た側面図、及び後から見たJ−J断面図を示す。これら図7(A)、図8(A)に示すように、上側ローラ100Uが取り付けられているリブ96U内部の左右両側面には、上下方向に延びる摺動溝101Uが形成されている。一方、上側ローラ100Uは、棒状部材をコの字に折り曲げたようなコの字型の摺動部材102に組み付けられている。具体的に、上側ローラ100Uは、回転中心を貫く孔に、摺動部材102の対向する2本の軸102A、102Bの一方(軸102A)が挿入されることで、摺動部材102に組み付けられている。
そして、上側ローラ100Uが組み付けられた摺動部材102が、上側ローラ100Uに挿入されている一方の軸102Aを上側、他方の軸102Bを下側とする向きで、リブ96U内部の左右両側面に設けられた摺動溝101Uに挿入されている。尚、この摺動溝101Uは、上端側がリブ96Uの上面まで延びていて、下端側が本体部95まで延びている。摺動部材102は、2本の軸102A、102Bの先端部分が、左右両側面に設けられた摺動溝101Uのうちの一方に挿入され、2本の軸102A、102Bをつなぐ中間部分102Cが、他方の摺動溝101Uに挿入されている。このようにして、上側ローラ100Uは、上下方向に摺動可能で、且つ受渡搬送部30Aの幅方向に平行な回動軸(軸102A)を中心に回動可能な状態で、リブ96Uに保持されている。
また、受渡搬送部30Aは、前側搬送ガイド82に設けられた下側の左右両端のリブ96Lの内部の前側(すなわちガイド面とは反対側)にも、上側ローラ100Uと同様の下側ローラ100Lが取り付けられている。尚、左右両端のリブ96Lは同一構造であり、左右の下側ローラ100Lも同一構造となっている。また、左右両端の下側のリブ96Lは、左右両端の上側のリブ96Uと上下対称の構造となっている。すなわち、この下側ローラ100Lも、上側ローラ100Uと同様、摺動部材102に組み付けられていて、この摺動部材102が、リブ96L内部の左右両側面に設けられた上下方向に延びる摺動溝101Lに挿入されていることで、上下方向に摺動可能で、且つ受渡搬送部30Aの幅方向に平行な回動軸(軸102A)を中心に回動可能な状態で、リブ96Lに保持されている。
さらに、前側搬送ガイド82は、左右両端内部に、それぞれトーションスプリング103が組み込まれている。図7にくわえて図6にも示すように、トーションスプリング103は、巻回部103Aが、本体部95内部に中心軸方向が受渡搬送部30Aの幅方向と平行になる向きで取り付けられていて、上側のアーム(これを上側アームと呼ぶ)103Uが、本体部95から、上側ローラ100Uが取り付けられているリブ96U内へと延び、下側のアーム(これを下側アームと呼ぶ)103Lが、本体部95から、下側ローラ100Lが取り付けられているリブ96L内へと延びている。
このトーションスプリング103は、巻回部103Aの前側と後側とがスプリング保持部材104に挟持されることで本体部95に固定されている。そして、トーションスプリング103は、図8(A)に示すように、上側アーム103Uの先端部分が、上側ローラ100Uの下端と、上側ローラ100Uを支持する摺動部材102の下側の軸102Bとの間に挿入され、同様に、下側アーム103Lの先端部分が、下側ローラ100Lの下端と、下側ローラ100Lを支持する摺動部材102の上側の軸102Bとの間に挿入されている。このようにして、前側搬送ガイド82に組み込まれたトーションスプリング103は、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lを開く方向に付勢力を発生する。よって、上側ローラ100Uは、上側アーム103Uにより上方(すなわち搬送部側ガイド部61側)に付勢され、下側ローラ100Lは、下側アーム103Lにより下方(すなわち収納庫側ガイド部41側)に付勢される。尚、トーションスプリング103の上側アーム103U及び下側アーム103Lのそれぞれの径は、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの軸方向の長さ(つまり幅)より十分狭くなっている。
さらに、上側ローラ100Uが取り付けられているリブ96Uの内部には、図7(A)に示すように、上側アーム103Uの位置を規定する上側ストッパ105Uが設けられ、下側ローラ100Lが取り付けられているリブ96Lの内部には、下側アーム103Lの位置を規定する下側ストッパ105Lが設けられている。これら上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lは、上側アーム103Uと下側アーム103Lとの開き量を規制するストッパであり、例えば、リブ96U及びリブ96Lと一体成型されている。
そして、図7(A)及び図8(A)に示すように、トーションスプリング103は、上側アーム103Uが上側ストッパ105Uに当接するとともに、下側アーム103Lが下側ストッパ105Lに当接するときに、上側アーム103Uと下側アーム103Lとの上下方向の間隔が最も開いた状態(つまり開き量が最大となった状態)となる。このとき、受渡搬送部30Aは、上側ローラ100Uの上方への突出量が最大となり、下側ローラ100Lの下方への突出量が最大となる。またこのとき、上側ローラ100Uと摺動部材102との間に入り込んだ上側アーム103Uが摺動部材102の軸102Bに当接することで、この摺動部材102の上方(突出方向)への摺動が規制され、同様にして、下側アーム103Lにより下側ローラ100Lの摺動部材102の下方(突出方向)への摺動が規制される。これにより、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lは、それ以上、突出しないようになっている。
つまり、このとき、上側ストッパ105U、下側ストッパ105L、上側アーム103U及び下側アーム103Lにより、摺動部材102の突出方向への摺動が規制され、これにより上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの突出量が規制される。
また、図7(A)に示すように、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lにおける、上側アーム103U及び下側アーム103Lと当接する当接面の角度は、当接面に当接するときの上側アーム103U及び下側アーム103Lの角度とほぼ一致するようになっている。これにより、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lと上側アーム103U及び下側アーム103Lとの当接面積が大きくなり、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lと上側アーム103U及び下側アーム103Lとが当接したときに、上側アーム103U及び下側アーム103Lに対して局所的に大きな力がくわわって変形してしまうことなどを防ぐことができる。
また一方で、図7(B)、図8(B)に示すように、上側ローラ100Uは、上側ローラ100Uを支持する摺動部材102の下側の軸102Bが、リブ96U内部に形成されている摺動溝101Uの下端に当接したとき、上方への突出量が最小となる。同様に、下側ローラ100Lは、下側ローラ100Lを支持する摺動部材102の上側の軸102Bが、リブ96L内部に形成されている摺動溝101Lの上端に当接したとき、下方への突出量が最小となる。このとき、トーションスプリング103は、上側アーム103Uと下側アーム103Lとの上下方向の間隔が最も閉じた状態となる。このように、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lは、所定の範囲内で、上下方向に摺動可能となっている。
ところで、トーションスプリング103は、上側アーム103Uと下側アーム103Lが、巻回部103Aの中心軸方向(これを巻回軸方向と呼ぶ)にオフセットしている(つまりずれている)。この為、上側アーム103Uにより上側ローラ100Uを付勢し、下側アーム103Lにより下側ローラ100Lを付勢する為には、図6(A)に示すように、前側搬送ガイド82の左端に設けられた上側ローラ100Uと下側ローラ100Lの位置、及び右端に設けられた上側ローラ100Uと下側ローラ100Lの位置を、それぞれ上側アーム103Uと下側アーム103Lのオフセット方向(前側搬送ガイド82の幅方向)にずらさなくてはならない。そこで、受渡搬送部30Aでは、前側搬送ガイド82の上側の左右両端のリブ96Uと下側の左右両端のリブ96Lを、上側アーム103Uと下側アーム103Lのオフセットに合わせて幅方向にずれた位置に配置することで、左右両端の上側ローラ100Uと下側ローラ100Lの位置をオフセット方向にずらしている。
また、受渡搬送部30Aは、後側搬送ガイド83についても、前側搬送ガイド82と前後対称となるよう、上側の左右両端のリブ86Uと下側の左右両端のリブ86Lが、幅方向にずれた位置に配置されている。
受渡搬送部30Aの構成は、以上のようになっている。この受渡搬送部30Aは、受渡ガイド部81の下側の左右両端に位置する下側ローラ100Lが、収納庫側ガイド部41の左右両端の下側溝48に嵌合することで、受渡ガイド部81と収納庫側ガイド部41との間の前後方向の位置を規定する。また、受渡搬送部30Aは、受渡ガイド部81の上側の左右両端に位置する上側ローラ100Uが、搬送部側ガイド部61の左右両端の上側溝68に嵌合することで、受渡ガイド部81と搬送部側ガイド部61との間の前後方向の位置を規定する。他の受渡搬送部30B〜30Fの構成も、基本的に同様の構成となっている。尚、受渡搬送部30A〜30Fがそれぞれ有する受渡ガイド部81は、前後方向の位置は異なるが、左右方向の位置及び上下方向の位置は等しくなっている。
[1−4.受渡搬送部の動作]
次に、入出金機筐体20内に上部ユニット21を収納するとき、及び入出金機筐体20内に下部ユニット22を収納するときの受渡搬送部30(30A〜30F)の動作について説明する。
入出金機筐体20から上部ユニット21が後方(すなわち受渡搬送路84の搬送方向及び幅方向と直交する方向)に引き出され、且つ入出金機筐体20から下部ユニット22が後方に引き出されたとき、受渡搬送部30(30A〜30F)は、それぞれ金庫筐体27に対して、前後方向(すなわち引出方向及び収納方向)にスライド可能で、且つ左右方向に平行な回動軸80Pを中心に回動可能な状態となっている。さらに、受渡搬送部30(30A〜30F)は、左右2個の上側ローラ100Uの上方への突出量、及び左右2個の下側ローラ100Lの下方への突出量が最大となっている。
ここで、例えば、入出金機筐体20内部に上部ユニット21を収納する為に、入出金機筐体20の後方から上部ユニット21が入出金機筐体20内部へと向かう前方に押し込まれていくとする。すると、6個の受渡搬送部30(30A〜30F)は、それぞれ左右2個の上側ローラ100Uが、6個の搬送部側ガイド部61のそれぞれの左右2個の上側溝68に対する嵌合と離脱を繰り返していく(一番前の受渡搬送部30Fの上側ローラ100Uは嵌合のみ)。そして、最終的に、6個の受渡搬送部30A〜30Fは、それぞれ左右2個の上側ローラ100Uが、6個の搬送部側ガイド部61のそれぞれの左右2個の上側溝68に入り込んで嵌合する。
この時点で、上部ユニット21の下端に設けられた6個の搬送部側ガイド部61が、6個の受渡搬送部30A〜30Fのそれぞれの上方に位置した状態で、受渡搬送部30A〜30Fの前後方向の位置が規定される。かくして、上部ユニット21の下端に設けられた6個の搬送部側ガイド部61が、6個の受渡搬送部30A〜30Fのそれぞれと連結される。
一方で、入出金機筐体20内部に下部ユニット22を収納する為に、入出金機筐体20の後方から下部ユニット22が入出金機筐体20内部へと前方に押し込まれていくとする。すると、6個の受渡搬送部30A〜30Fは、上部ユニット21が収納されるときと同様、それぞれ左右2個の下側ローラ100Lが、6個の収納庫側ガイド部41のそれぞれの左右2個の下側溝48に対する嵌合と離脱を繰り返していく(一番前の受渡搬送部30Fの下側ローラ100Lは嵌合のみ)。そして、最終的に、6個の受渡搬送部30A〜30Fは、それぞれ左右2個の下側ローラ100Lが、6個の収納庫側ガイド部41のそれぞれの左右2個の下側溝48に入り込んで嵌合する。
この時点で、紙幣収納庫28(28A〜28E)及びリジェクト庫29のそれぞれの上部に設けられた6個の収納庫側ガイド部41が、6個の受渡搬送部30A〜30Fのそれぞれの下方に位置した状態で、受渡搬送部30A〜30Fの前後方向の位置が規定される。かくして、紙幣収納庫28(28A〜28E)及びリジェクト庫29のそれぞれの上部に設けられた6個の収納庫側ガイド部41が、6個の受渡搬送部30A〜30Fのそれぞれと連結される。
また、現金自動取引装置1では、入出金機筐体20に上部ユニット21を収納した際に、6個の搬送部側ガイド部61の位置が、6個の受渡搬送部30A〜30Fのそれぞれの基準位置にある受渡ガイド部81の真上から前後方向にずれる場合がある。また、現金自動取引装置1では、入出金機筐体20に下部ユニット22を収納した際に、6個の収納庫側ガイド部41の位置が、6個の受渡搬送部30A〜30Fのそれぞれの基準位置にある受渡ガイド部81の真下から前後方向にずれる場合がある。この為、受渡搬送部30(30A〜30F)は、搬送部側ガイド部61の位置及び収納庫側ガイド部41の位置がそれぞれ前後方向にずれても、受渡搬送部30(30A〜30F)の受渡搬送路84を、搬送部側ガイド部61の搬送部側搬送路64及び収納庫側ガイド部41の収納庫側搬送路44に接続できるようになっている。
すなわち、受渡搬送部30(30A〜30F)は、上述したように、受渡ガイド部81を図6(B)に示す基準位置から前後方向にスライド可能で且つ回動軸80Pを中心に回動して前後方向に傾けることが可能であり、これにより、上下方向に延びる受渡搬送路84を前後方向にスライドさせたり、前後方向に傾けたりすることができるようになっている。
この為、例えば、受渡搬送部30Aは、上方の搬送部側ガイド部61の位置が、基準位置にある受渡ガイド部81の真上から前方にずれている場合、この搬送部側ガイド部61の上側溝68に入り込んだ上側ローラ100Uが前方へ引っ張られることにより、受渡ガイド部81が搬送部側ガイド部61に追従して前方にスライドする、又は前方に傾く、もしくは前方にスライドして且つ前方に傾く。これにより、受渡搬送部30Aの受渡搬送路84が搬送部側ガイド部61の搬送部側搬送路64に接続される。
また、例えば、受渡搬送部30Aは、下方の収納庫側ガイド部41の位置が、基準位置にある受渡ガイド部81の真下から後方にずれている場合、この収納庫側ガイド部41の下側溝48に下側ローラ100Lが入り込む際に、後方へ引っ張られることにより、受渡ガイド部81が収納庫側ガイド部41に追従して後方にスライドする、又は後方に傾く、もしくは後方にスライドして且つ後方に傾く。これにより、受渡搬送部30Aの受渡搬送路84が収納庫側ガイド部41の収納庫側搬送路44に接続される。
[1−5.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態による現金自動取引装置1の紙幣入出金機10は、金庫筐体27の上面に、金庫筐体27の上方に配置された搬送部24と、金庫筐体27の内部に前後方向に並べて配置された紙幣収納庫28(28A〜28E)及びリジェクト庫29との間で紙幣を受け渡す受渡搬送部30(30A〜30F)を、前後方向に間隔を空けて複数個設けた。
さらに、受渡搬送部30(30A〜30F)に、前後方向にスライド可能で且つ前後方向に傾くように回動可能な受渡ガイド部81を設けた。さらに、この受渡ガイド部81を構成する前側搬送ガイド82の上側の左右両端に位置する2個のリブ96Uのそれぞれの内部に、リブ96Uの上面から上方に突出するように付勢された上側ローラ100Uを設け、前側搬送ガイド82の下側の左右両端に位置する2個のリブ96Lのそれぞれの内部に、リブ96Lの下面から下方に突出するように付勢された下側ローラ100Lを設けた。
一方、受渡搬送部30(30A〜30F)の上方(すなわち受渡搬送路84の上端側)に位置する搬送部24の下端部には、受渡搬送部30(30A〜30F)の受渡ガイド部81と連結する搬送部側ガイド部61を前後方向に間隔を空けて複数個設けた。さらにこの複数の搬送部側ガイド部61のそれぞれに、受渡搬送部30(30A〜30F)のそれぞれに設けられた左右2個の上側ローラ100Uが嵌合する左右2個の上側溝68を設けた。
さらに、受渡搬送部30(30A〜30F)の下方(すなわち受渡搬送路84の下端側)に位置する紙幣収納庫28(28A〜28E)及びリジェクト庫29のそれぞれの上端部には、受渡搬送部30(30A〜30F)の受渡ガイド部81と連結する収納庫側ガイド部41を設けた。さらに収納庫側ガイド部41に、受渡搬送部30(30A〜30F)のそれぞれに設けられた左右2個の下側ローラ100Lが嵌合する左右2個の下側溝48を設けた。
これにより、紙幣入出金機10は、入出金機筐体20に上部ユニット21又は下部ユニット22を収納した際に、搬送部側ガイド部61や収納庫側ガイド部41の位置が、受渡ガイド部81の真上から前後方向にずれていても、受渡ガイド部81の上側ローラ100Uと下側ローラ100Lが、それぞれ搬送部側ガイド部61側の上側溝68と、収納庫側ガイド部41側の下側溝48とに嵌合することにともなって、受渡ガイド部81が前後方向にスライドしたり前後方向に傾くことで、受渡ガイド部81を搬送部側ガイド部61及び収納庫側ガイド部41に追従させてこれらと連結させることができる。
かくして、紙幣入出金機10は、受渡ガイド部81に対して搬送部側ガイド部61や収納庫側ガイド部41が前後方向にずれていても、受渡ガイド部81により形成される受渡搬送路84を、搬送部側ガイド部61により形成される搬送部側搬送路64及び収納庫側ガイド部41により形成される収納庫側搬送路44に確実に接続することができる。
また、紙幣入出金機10は、受渡ガイド部81に設けた2個の上側ローラ100U及び2個の下側ローラ100Lと、搬送部側ガイド部61に設けた2個の上側溝68、及び収納庫側ガイド部41に設けた2個の下側溝48が、全て受渡ガイド部81の左右方向(すなわち幅方向)の両端より内側に配置されている。この為、紙幣入出金機10は、従来のように、受渡ガイド部81の幅方向の外側に、受渡ガイド部81を搬送部側ガイド部61及び収納庫側ガイド部41に追従させる機構を別途設ける必要がなく、従来と比べて、入出金機筐体20の幅方向のサイズを小さくすることができる。かくして、紙幣入出金機10は、従来と比べて、入出金機筐体20を小型化することができ、これにともなって、現金自動取引装置1の装置筐体2についても小型化することができる。
さらに、受渡搬送部30は、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lを付勢する付勢部材としてトーションスプリング103を用いるようにした。ここで、トーションスプリング103と他の付勢部材(例えばコイルバネ)とを比較すると、トーションスプリング103は、同等の付勢力を発生するコイルバネと比べて、圧縮されたときの端点の間隔(つまり上側ローラ100Uに接する部分と下側ローラ100Lに接する部分との間隔)を狭くできる。つまり、受渡搬送部30は、トーションスプリング103を用いることで、他の付勢部材を用いる場合と比べて、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lとが最も近づいたとき(図7(B)のとき)の上下方向の間隔を狭くできる。
これにより、受渡搬送部30は、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lのストロークを確保しつつ、上側のリブ96Lの上端と下側のリブ96Uの上端との間隔(すなわち受渡搬送路84の長さ)を短くすることができる。尚、受渡搬送部30は、ローラなどの搬送機構を有していない為、受渡搬送路84の長さに制限がある。ゆえに、受渡搬送部30では、トーションスプリング103を用いて受渡搬送路84の長さを短くすることで、受渡搬送路84の長さが制限を超えないようにもなっている。
さらに、トーションスプリング103は、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lに当接する部分(つまり上側アーム103U及び下側アーム103L)が棒状の為、その径を上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの幅より容易に狭くすることができる。これに対して、付勢部材として例えばコイルバネを用いる場合、コイルバネは、全体的に円柱状の為、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lに当接する部分の径を、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの幅より狭くすることが難しい。
この為、コイルバネを用いる場合、トーションスプリング103を用いる場合と比べて、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lを取り付けるリブ96U及びリブ96Lの幅が大きくなってしまう。リブ96U及びリブ96Lの幅が大きなると、当然のことながら、このリブ96U及びリブ96Lと対向する搬送部側ガイド部61の隙間67及び収納庫側ガイド部41の隙間47の幅も大きくしなければならない。そして、隙間67及び隙間47の幅が大きくなると、その分、紙幣の切れ目や角などが隙間67及び隙間47に入り込み易くなり、この結果、受渡搬送路84内でのジャム(紙幣詰まり)発生確率が上がってしまう。
換言すると、受渡搬送部30は、トーションスプリング103を用いることで、他の付勢部材を用いる場合と比べて、リブ96L及びリブ96Uの幅を容易に狭くすることができ、これにより、受渡搬送路84内でのジャムの発生を防ぐことができるようにもなっている。
このように、受渡搬送部30は、トーションスプリング103を用いることで、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lのストロークを確保しつつ、受渡搬送路84の長さを短くでき、且つ受渡搬送路84内でのジャムの発生を防ぐことができる。
[1−6.第1の実施の形態の変形例]
[1−6−1.変形例1]
尚、上述した第1の実施の形態では、トーションスプリング103の上側アーム103Uが上側ローラ100Uの下端に当接して上側ローラ100Uを上方に付勢し、下側アーム103Lが下側ローラ100Lの上端に当接して下側ローラ100Lを下方に付勢するようにした。ここで、図9に示すように、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lの外周面に、それぞれ周方向に沿う溝110を形成して、この溝110の内側に、上側アーム103Uと下側アーム103Lを入れるようにしてもよい。
この構成の場合、上側アーム103Uは、上側ローラ100Uの溝110の底に当接して、上側ローラ100Uを上方に付勢する。尚、上側ローラ100Uの溝110は、幅が上側アーム103Uの径よりわずかに大きく形成されている。この為、上側アーム103Uは、上側ローラ100Uの回転を妨げることなく、上側ローラ100Uを上方に付勢することができる。
一方、下側アーム103Lは、下側ローラ100Lの溝110の底に当接して、下側ローラ100Lを下方に付勢する。尚、下側ローラ100Lの溝110も、幅が下側アーム103Lの径よりわずかに大きく形成されている。この為、下側アーム103Lも、下側ローラ100Lの回転を妨げることなく、下側ローラ100Lを下方に付勢することができる。また、この構成の場合、上側アーム103U及び下側アーム103Lが、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lのそれぞれの溝110に入る為、上側アーム103U及び下側アーム103Lが、上側ローラ100Uの下端及び下側ローラ100Lの上端から横にずれて外れてしまうことを防ぐことができる。
[1−6−2.変形例2]
また、上述した第1の実施の形態では、前側搬送ガイド82の左右両端内部にトーションスプリング103を設けるようにした。ここで、図10(A)、(B)に示すように、前側搬送ガイド82の左右両端部を、ガイド面側(後側)のガイド面形成部品82Aと、ガイド面とは反対側(前側)のローラ保持部品82Bとに分割して、このガイド面形成部品82Aと、ローラ保持部品82Bとの間に、トーションスプリング103の巻回部103Aを挟み混んで固定するようにしてもよい。
ガイド面形成部品82Aは、受渡搬送路84のガイド面を形成する部品であり、上側ローラ100Uが取り付けられているリブ96Uの後部、下側ローラ100Lが取り付けられているリブ96Lの後部、及びこれらの間に位置する本体部95の後部を一体成型したものである。このガイド面形成部品82Aは、ガイド面の裏側(つまりローラ保持部品82Bと対向する側)の上下方向の中央部分(本体部95に相当する部分)に、トーションスプリング103の巻回部103Aの後部を保持する後側スプリング保持部材120が形成されている。
一方、ローラ保持部品82Bは、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lを保持する部品であり、上側ローラ100Uが取り付けられているリブ96Uの前部、下側ローラ100Lが取り付けられているリブ96Lの前部、及びこれらの間に位置する本体部95の前部を一体成型したものである。このローラ保持部品82Bは、後側(つまりガイド面形成部品82Aと対向する側)の上下方向の中央部分(本体部95に相当する部分)に、トーションスプリング103の巻回部103Aの前部を保持する前側スプリング保持部材121が形成されている。また、ローラ保持部品82Bは、前側スプリング保持部材121の上側と下側に、それぞれ上側アーム103U及び下側アーム103Lを挿入する孔122が形成されている。
ローラ保持部品82Bは、上下の孔122に、トーションスプリング103の上側アーム103Uと下側アーム103Lを挿入して巻回部103Aを前側スプリング保持部材121に保持させることで、トーションスプリング103が組み付けられる。このとき、上側アーム103Uは、上側ローラ100Uと摺動部材102の間に挿入され、下側アーム103Lは、下側ローラ100Lと摺動部材102の間に挿入される。このようにしてトーションスプリング103が組み付けられたローラ保持部品82Bを、ガイド面形成部品82Aに取り付ける。このとき、トーションスプリング103は、巻回部103Aが、ガイド面形成部品82Aの後側スプリング保持部材120と、ローラ保持部品82Bの前側スプリング保持部材121との間に挟持される。
ここで、後側スプリング保持部材120と前側スプリング保持部材121との間に挟持されたトーションスプリング103は、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lをそれぞれ上方及び下方に突出させようと、上側アーム103Uと下側アーム103Lが開くときに、これら上側アーム103U及び下側アーム103Lの反発力により、巻回部103Aが前方へ動こうとするが、巻回部103Aの前側に前側スプリング保持部材121が位置する為、前方へ動くことはない。
一方で、トーションスプリング103は、上側アーム103Uと下側アーム103Lとが押し込まれて、上側アーム103Uと下側アーム103Lが閉じるときに、これら上側アーム103U及び下側アーム103Lの反発力により、巻回部103Aが後方へ動こうとするが、巻回部103Aの後側に後側スプリング保持部材120が位置する為、後方へ動くことはない。
尚、図では省略しているが、ガイド面形成部品82A及びローラ保持部品82Bの少なくともどちらか一方には、内部に、トーションスプリング103の巻回部103Aの左右両端部を保持するスプリング保持部材も設けられている。ゆえに、トーションスプリング103は、ガイド面形成部品82Aと、ローラ保持部品82Bとの間に挟持されることで、前後方向にくわえて左右方向の位置も固定される。
この構成によれば、トーションスプリング103を組み付けたローラ保持部品82Bをガイド面形成部品82Aに取り付けるだけで、前側搬送ガイド82を組み立てることができるので、組み立てが容易となる。また、トーションスプリング103の巻回部103Aを前後に挟持する構成の為、上側アーム103Uと下側アーム103Lが開閉しても、巻回部103Aの位置がずれることがない。この為、例えば、上側アーム103U上の上側ローラ100Uと当接する箇所が前後方向にずれて付勢力が変化したり、上側アーム103Uが上側ローラ100Uから外れたりしてしまう状況を防ぐことができる。
尚、この構成の場合も、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lの外周面に、それぞれ周方向に沿う溝110を形成して、この溝110の内側に、上側アーム103Uと下側アーム103Lを入れるようにしてもよい。
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、前側搬送ガイドの構成が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。ゆえに、ここでは、主に、前側搬送ガイドの構成について説明することとして、前側搬送ガイド以外の構成などについては適宜省略する。
[2−1.前側搬送ガイドの構成]
図11(A)、(B)に、第2の実施の形態の前側搬送ガイド200の前面図及び側面図を示す。この前側搬送ガイド200は、第1の実施の形態の前側搬送ガイド82と同様、本体部95の下端に複数のリブ96Lが隙間97Lを空けて離散的に配置されているとともに、本体部95の上端に複数のリブ96Uが隙間97Uを空けて離散的に配置されている。さらに、前側搬送ガイド200は、第1の実施の形態の前側搬送ガイド82と同様、左右両端の上側のリブ96Uに上側ローラ100Uが取り付けられ、左右両端の下側のリブ96Lに下側ローラ100Lが取り付けられている。
ここで、上側ローラ100Uは、第1の実施の形態とは異なり、図11にくわえて図12の斜視図に示すように、左右両側面のそれぞれの中心に回動軸201が設けられ、この回動軸201が、上側のリブ96U内部の左右両側面に設けられた上下方向に延びる摺動溝202Uに挿入されている。尚、この摺動溝202Uは、上端側がリブ96Uの上面近傍まで延びていて、下端側が本体部95まで延びている。この場合、摺動溝202Uの上端が、前側搬送ガイド82の上側ストッパ105U(図7)と同様に機能する。つまり、上側ローラ100Uは、回動軸201が摺動溝202Uの上端に当接するとき、リブ96U上面からの突出量が最大となり、摺動溝202Uの下端に当接するとき突出量が最小となる。このように、上側ローラ100Uは、所定の範囲内で上下方向に摺動可能で、且つ受渡搬送部30Aの幅方向に平行な回動軸201を中心に回動可能な状態で、リブ96Uに保持されている。
下側ローラ100Lも、上側ローラ100Uと同様、回動軸201が設けられ、この回動軸201が、下側のリブ96L内部の左右両側面に設けられた摺動溝202Lに挿入されていることで、所定の範囲内で上下方向に摺動可能で、且つ受渡搬送部30Aの幅方向に平行な回動軸201を中心に回動可能な状態で、リブ96Lに保持されている。
尚、前側搬送ガイド200は、第1の実施の形態の変形例2と同様、ガイド面形成部品200Aとローラ保持部品200Bとで構成されていて、ローラ保持部品200B側に、上側ローラ100U、下側ローラ100L、摺動溝202U、202Lが設けられている。また、図13に示すように、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lの外周面には、それぞれトーションスプリング203の上側アーム203U及び下側アーム203Lの先端部分が入る溝110が形成されている。
そして、前側搬送ガイド200は、ガイド面形成部品200Aと、ローラ保持部品200Bとの間に、トーションスプリング203の巻回部203Aを挟み混んで固定するようになっている。
このトーションスプリング203は、図14に示すように、第1の実施の形態のトーションスプリング103とは異なり、上側アーム203Uの先端部分(上側ローラ100Uと当接する部分)203Uaが根本部分203Ubに対して巻回部203Aの巻回軸方向の中心側へオフセットするとともに、下側アーム203Lの先端部分(下側ローラ100Lと当接する部分)203Laが根本部分203Lbに対して巻回部203Aの巻回軸方向の中心側へオフセットした形状となっている。
具体的に、上側アーム203Uは、巻回部203Aの巻回軸方向の一端から巻回軸方向と直交する方向に延びる根本部分203Ubと、根本部分203Ubと平行で且つ巻回部203Aの巻回軸方向の中心を通る仮想の中心線Sに沿って延びる先端部分203Uaと、これら根本部分203Ubと先端部分203Uaとの間に位置する中間部分203Ucとによって略クランク状に形成されている。下側アーム203Lも同様に、巻回部203Aの巻回軸方向の他端から巻回軸方向と直交する方向に延びる根本部分203Lbと、仮想の中心線Sに沿って延びる先端部分203Laと、これらの間に位置する中間部分203Lcとによって略クランク状に形成されている。つまり、上側アーム203Uと下側アーム203Lは、それぞれの先端部分203Ua、203Laの巻回軸方向の位置が、巻回部203Aの巻回軸方向の中心と一致(もしくはほぼ一致)するようにオフセットされている。この場合、上側アーム203Uのオフセット量と下側アーム203Lのオフセット量は、ともに巻回部203Aの巻回軸方向の長さの半分程度となる。
また、図12に示すように、ガイド面形成部品200Aは、ガイド面の裏側(つまりローラ保持部品200Bと対向する側)の上下方向の中央部分(本体部95に相当する部分)に、後側スプリング保持部材204が形成されている。一方、ローラ保持部品200Bは、後側(つまりガイド面形成部品200Aと対向する側)の上下方向の中央部分(本体部95に相当する部分)に、前側スプリング保持部材205が形成されている。また、ローラ保持部品200Bは、前側スプリング保持部材205の上側と下側に、それぞれ上側アーム203Uを挿入する上側孔206Uと、下側アーム203Lを挿入する下側孔206Lとが形成されている。
尚、上側孔206Uは、四角形状であり、上側アーム203Uが巻回軸方向(すなわち左右方向)にオフセットしている為、左右方向の長さが、少なくとも上側アーム203Uの先端部分203Uaと根本部分203Ubのオフセット量より大きくなっている。またこの上側孔206Uの上下方向の長さは、上側アーム203Uの上下方向の可動範囲に応じた長さとなっている。下側孔206Lも、上側孔206Uと同一形状同一サイズとなっている。
ローラ保持部品200Bは、上側孔206Uと下側孔206Lに、トーションスプリング203の上側アーム203Uと下側アーム203Lを挿入して巻回部203Aを前側スプリング保持部材205に保持させることで、トーションスプリング203が組み付けられる。このとき、上側アーム203Uは、上側ローラ100Uの溝110に入れられ、下側アーム203Lは、下側ローラ100Lの溝110に入れられる。このようにしてトーションスプリング203が組み付けられたローラ保持部品200Bを、ガイド面形成部品200Aに取り付ける。このとき、トーションスプリング203は、巻回部203Aが、ガイド面形成部品200Aの後側スプリング保持部材204と、ローラ保持部品200Bの前側スプリング保持部材205との間に挟持されて、前後左右方向の位置が固定される。
ところで、上述したように、トーションスプリング203は、上側アーム203Uと下側アーム203Lの先端部分203Ua、203Laが、根本部分203Ub、203Lbに対して巻回部203Aの巻回軸方向の中心側へオフセットしている。この為、前側搬送ガイド200は、第1の実施の形態とは異なり、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lの位置を、左右方向(前側搬送ガイド82の幅方向)にずらすことなく、一致させることができるようになっている。
この為、図11(A)に示すように、前側搬送ガイド200は、上側の左右両端のリブ96Uと下側の左右両端のリブ96Lの左右方向の位置が一致していて、上下対称の形状となっている。前側搬送ガイド200の構成は、以上のようになっている。尚、後側搬送ガイド83についても、前側搬送ガイド82と前後対称となるよう、上側の左右両端のリブ86Uと下側の左右両端のリブ86Lの左右方向の位置が一致している。このような前側搬送ガイド200及び後側搬送ガイド83を有する受渡搬送部30Aの動作などについては、第1の実施の形態と基本的に同一の為、説明は省略する。
[2−2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態では、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lを付勢する付勢部材として、上側アーム203Uと下側アーム203Lの先端部分203Ua、203Laが根本部分203Ub、203Lbに対して巻回部203Aの巻回軸方向の中心側へオフセットしたトーションスプリング203を用いるようにした。
こうすることで、上側アーム203Uの先端部分203Uaにより上方に付勢される上側ローラ100Uと、下側アーム203Lの先端部分203Laにより下方に付勢される下側ローラ100Lの左右方向(受渡搬送路84の幅方向)の位置を一致させることができる。
ところで、図15に示すように、第1の実施の形態で用いたトーションスプリング103の場合、上側アーム103Uと下側アーム103Lが巻回軸方向にオフセットしている為、上側アーム103Uと下側アーム103Lが開閉(つまり開放及び圧縮)するときに、上側アーム103Uと下側アーム103Lのそれぞれに、上下方向だけでなく左右方向(巻回軸方向)への力がくわわり、トーションスプリング103全体に矢印Rで示す方向又はこの逆方向へ回転しようとする回転モーメントが生じる。そして、この回転モーメントによってトーションスプリング103が回転してしまうと、上側アーム103Uと下側アーム103Lが上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの溝110から外れて、前側搬送ガイド82が故障してしまう。一方で、回転しないよう巻回部103Aを確実に固定する為には、巻回部103Aを保持する後側スプリング保持部材120、前側スプリング保持部材121などを高精度に成形する必要があり、製造コストのアップにつながる。
これに対して、第2の実施の形態で用いたトーションスプリング203の場合、上側アーム203Uの先端部分203Uaと下側アーム203Lの先端部分203Laの巻回軸方向のオフセットをなくすことで、上側アーム203Uと下側アーム203Lが開閉(つまり開放及び圧縮)しても、回転モーメントが生じない。
これにより、第2の実施の形態の前側搬送ガイド200は、第1の実施の形態の前側搬送ガイド82と比較して、故障確率を低減できるとともに、製造コストを抑えることができる。つまり、この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果にくわえて、前側搬送ガイド200の故障確率を低減でき、且つ製造コストを抑えることができるという効果を得ることができる。
[2−3.第2の実施の形態の変形例]
[2−3−1.変形例1]
尚、上述した第2の実施の形態では、ローラ保持部品200Bに、上側アーム203U及び下側アーム203Lのそれぞれを挿入する四角形の上側孔206U及び下側孔206Lを設けたが、これに限らず、図16(A)、(B)に示すように、ローラ保持部品200Bに、四角形の上側孔205U及び下側孔205Lに変えて、L字型の上側孔210U及び下側孔210Lを設けるようにしてもよい。尚、図16(A)は、ローラ保持部品200Bの斜視図、図16(B)は、ローラ保持部品200Bを後ろから見た後面図である。
上側アーム203Uを挿入する上側孔210Uは、前側スプリング保持部材205の上側に形成されていて、前側スプリング保持部材205の左右方向の一端側(つまり前側スプリング保持部材205に保持される巻回部203Aの上側アーム203U側)から上方へ延びる部分(これを垂直部分と呼ぶ)210Uaと、前側スプリング保持部材205の左右方向の一端側から他端側へ延びる部分(これを水平部分と呼ぶ)210Ubとで、全体としてL字型に形成されている。
上側孔210Uの水平部分210Ubは、左右方向の長さが、少なくとも上側アーム203Uの先端部分203Uaと根本部分203Ubのオフセット量より大きくなっている。また、上側孔210Uの垂直部分210Uaは、左右方向の長さが、上側アーム203Uの径よりわずかに大きく、上下方向の長さが、上側アーム203Uの上下方向の可動範囲に応じた長さとなっている。
一方、下側アーム203Lを挿入する下側孔210Lは、前側スプリング保持部材205の下側に形成されていて、前側スプリング保持部材205の左右方向の他端側(つまり前側スプリング保持部材205に保持された巻回部203Aの下側アーム203L側)から下方へ延びる垂直部分210Laと、前側スプリング保持部材205の左右方向の他端側から一端側へ延びる水平部分210Lbとで、全体としてL字型に形成されている。
下側孔210Lの水平部分210Lbは、左右方向の長さが、少なくとも下側アーム203Lの先端部分203Laと根本部分203Lbのオフセット量より大きくなっている。また、下側孔210Lの垂直部分210Laは、左右方向の長さが、下側アーム203Lの径よりわずかに大きく、上下方向の長さが、下側アーム203Lの上下方向の可動範囲に応じた長さとなっている。
このような、L字型の上側孔210U及び下側孔210Lを有するローラ保持部品200Bに、トーションスプリング203を取り付ける場合、まず、上側アーム203Uと下側アーム203Lを、ほぼ平行になるように閉じる。これにより、上側アーム203Uと下側アーム203Lが、それぞれ上側孔210U及び下側孔210Lの水平部分210Ub、210Lbに挿入できる状態となる。
この状態のまま、上側アーム203Uと下側アーム203Lを、それぞれ上側孔210U及び下側孔210Lの水平部分210Ub、210Lbに挿入していく。そして、上側孔210U及び下側孔210Lの水平部分210Ub、210Lbに、上側アーム203U及び下側アーム203Lの根本部分203Ub、203Lbまでが挿入されたら、上側アーム203U及び下側アーム203Lを開く。すると、上側アーム203U及び下側アーム203Lの根本部分203Ub、203Lbが、上側孔210U及び下側孔210Lの垂直部分210Ua、210Laに入り込み、上側アーム203U及び下側アーム203Lの先端部分203Ua、203Laが、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lに当接する。
トーションスプリング203は、このようにローラ保持部品200Bに取り付けられることで、上側ローラ100Uと下側ローラ100Lの左右方向の位置が、上側孔210U及び下側孔210Lの垂直部分210Ua、210Laによって規制される。これにより、ローラ保持部品200Bは、トーションスプリング203の上側アーム203U及び下側アーム203Lが上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの溝110から左右方向に外れてしまうことを防止できる。
また、ローラ保持部品200Bは、一旦トーションスプリング203を取り付けると、上側アーム203Uと下側アーム203Lをほぼ平行になるまで閉じないと、取り外すことができない。この為、ローラ保持部品200Bは、例えば、ガイド面形成部品200Aへの取り付け時に、トーションスプリング203が抜け落ちてしまうことを回避でき、ガイド面形成部品200Aへの取り付けが容易になるという効果を得ることができる。
[2−3−2.変形例2]
また、上述した第2の実施の形態では、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lに、それぞれ回動軸201を設け、この回動軸201を、ローラ保持部品200B内部の左右両側面に形成された摺動溝202U、202Lに挿入するようにした。これに限らず、第1の実施の形態と同様、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lを摺動部材102に組み付け、この摺動部材102を、ローラ保持部品200B内部の左右両側面に形成された摺動溝101U、101Lに挿入するようにしてもよい。
またこれとは逆に、第1の実施の形態の前側搬送ガイド82に、トーションスプリング103に変えて、第2の実施の形態のトーションスプリング203を設けるようにしてもよい。この場合、上側ローラ100Uの真下に下側ローラ100Lが位置することになる為、図17に示すように、上側ローラ100Uが摺動する左右上側の摺動溝101Uと、下側ローラ100Lが摺動する左右下側の摺動溝101Lを上下方向に繋げて、左右1本ずつの摺動溝101としてもよい。これにより、上側ローラ100Uの摺動部材102と、下側ローラ100Lの摺動部材102は、同じ摺動溝101に挿入されることになる。この為、上側ローラ100Uの摺動部材102の下端と、下側ローラ100Lの摺動部材102の上端とが、左右の摺動溝101の上下方向の中央で当接することになり、このとき、上側ローラ100Uの上方への突出量と、下側ローラ100Lの下方への突出量が最小となる。
[3.第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、ローラ保持部品の構成が、第2の実施の形態とは異なる実施の形態である。ゆえに、ここでは、主に、ローラ保持部品の構成について説明することとして、ローラ保持部品以外の構成などについては適宜省略する。
[3−1.ローラ保持部品の構成]
図18に、第3の実施の形態のローラ保持部品300Bを左から見た側面図、及び後ろから見たK−K断面図を示す。また、図19に、ローラ保持部品300Bの斜視図を示す。尚、これら図18、図19には、第2の実施の形態と同様のガイド面形成部品200Aに取り付けられたローラ保持部品300Bを示していて、これらガイド面形成部品200Aとローラ保持部品300Bにより、前側搬送ガイド300が構成されている。
これら図18、図19に示すように、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lを保持するローラ保持部品300Bは、内部の左右両側面に、それぞれ上下方向に延びる摺動溝301が1本ずつ設けられている。この摺動溝301は、上側のリブ96Uの上端から下側のリブ96Lの下端まで延びている。
上側ローラ100Uは、コの字型の摺動部材302に組み付けられている。この摺動部材302は、第1の実施の形態の摺動部材102とは一部異なる形状となっている。すなわち、この摺動部材302は、上側ローラ100Uに挿入されない方の軸302Bの長さが、挿入される方の軸302Aの長さ(つまり摺動部材102の軸102A、102Bの長さ)より長くなっている。同様に、下側ローラ100Lも、コの字型の摺動部材302に組み付けられている。この摺動部材302も、下側ローラ100Lに挿入されない方の軸302Bの長さが、挿入される方の軸302Aより長くなっている。
さらに、ローラ保持部品300Bは、左右の摺動溝301のうちの一方における、上下方向の中心から上下所定範囲の中央部分の深さ方向の外側に、ローラ保持部品300Bの外側面まで貫通する貫通孔303が形成されている。この貫通孔303の上下方向の長さは、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの上下方向の可動範囲に応じた長さとなっている。
そして、上側ローラ100Uが組み付けられた摺動部材302が、上側ローラ100Uに挿入されている一方の軸302Aを上側、他方の軸302Bを下側、これらを繋ぐ中間部分302Cを、貫通孔303が設けられていない方の摺動溝301側とする向きで、ローラ保持部品300Bの左右の摺動溝301に挿入されている。同様に、下側ローラ100Lが組み付けられた摺動部材302が、下側ローラ100Lに挿入されている一方の軸302Aを下側、他方の軸302Bを上側、これらを繋ぐ中間部分302Cを、貫通孔303が設けられていない方の摺動溝301側とする向きで、左右の摺動溝301に挿入されている。
このとき、上側ローラ100Uの摺動部材302及び下側ローラ100Lの摺動部材302は、それぞれ軸302Bの先端が、摺動溝301の中央部分の深さ方向の外側に形成された貫通孔303に挿入されている。
この為、上側ローラ100Uは、摺動部材302の軸302Bが、貫通孔303の上端303Uに当接するときに上方への突出量が最大となり、一方、下側ローラ100Lは、摺動部材302の軸302Bが、貫通孔303の下端303Lに当接するときに、下方への突出量が最大となる。つまり、貫通孔303の上端303Uと下端303Lが、第1の実施の形態の上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lと同様に機能する。さらに、これら上側ローラ100Uと下側ローラ100Lは、それぞれの摺動部材302の軸302Bが摺動溝301の上下方向の中央で当接するとき、それぞれ突出量が最小となる。ローラ保持部品300Bの構成は、以上のようになっている。
[3−2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第3の実施の形態では、上側ローラ100Uの摺動部材302における、上側ローラ100Uに挿入されない方の軸302Bの長さを、挿入される方の軸302Aより長くした。同様に、下側ローラ100Lの摺動部材302についても、下側ローラ100Lに挿入されない方の軸302Bの長さを、下側ローラ100Lに挿入される方の軸302Aより長くした。
さらに、ローラ保持部品300B内部に形成された左右の摺動溝301のうちの一方における、中央部分の深さ方向の外側に、ローラ保持部品300Bの外側面まで貫通する貫通孔303を形成した。そして、この貫通孔303に、摺動部材302の軸302Bの先端が入るようにして、上側ローラ100Uの摺動部材302及び下側ローラ100Lの摺動部材302を、摺動溝301に挿入するようにした。
これにより、第3の実施の形態の前側搬送ガイド300は、上側ローラ100Uの摺動部材302の軸302Bが貫通孔303の上端に当接するとともに、下側ローラ100Lの摺動部材302の軸302Bが貫通孔303の下端に当接したときに、上側ローラ100Uの上方への突出量及び下側ローラ100Lの下方への突出量が最大となる。つまり、前側搬送ガイド300は、摺動溝301の中央部分の深さ方向の外側に形成された貫通孔303の上端303U及び下端303Lを、第1の実施の形態の上側ストッパ105U及び下側ストッパ105L(つまり上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの最大突出量を規制するストッパ)と同様に機能させるようにした。
このように、摺動溝301の深さ方向の外側に形成された貫通孔303の上端303U及び下端303Lを上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lの代わりとして用いると、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lを省略することができるとともに、これら上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lを用いる場合と比べて、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの上下方向の突出量のばらつきを小さくすることができる。
例えば、図20に示すように、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lを有する前側搬送ガイド82において、上側アーム103Uの付け根から、上側ローラ100Uが摺動する摺動溝101までの前後方向の長さを長さA、上側アーム103Uの付け根から上側ストッパ105Uまでの前後方向の長さを長さB、上側ストッパ105Uの上下方向の製造ばらつきを長さD、上側ローラ100Uの突出量の基準値からの上下方向のズレ量を長さCとする。ここで、長さDは、前側搬送ガイド82を製造する際に必ず発生するばらつきである。これら、長さA、長さB及び長さDと、長さCとの関係を、図21のグラフに示す。このグラフからも明らかなように、長さCは、長さAと長さBの差が大きくなるほど、長さDより大きなばらつきとなる。
つまり、この前側搬送ガイド82では、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lの上下方向の製造ばらつきより大きなばらつきが、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの上下方向の突出量のばらつきとして現れることになる。
これに対して、第3の実施の形態の前側搬送ガイド300は、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lを設けず、摺動溝301の外側に貫通孔303を設けて、この貫通孔303の上端303U及び下端303Lを、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lと同様に機能させるようにした。この前側搬送ガイド300の場合、図18に示すように、長さAは前側搬送ガイド82と等しいが、長さBが存在せず、貫通孔303の上下方向の製造ばらつきが長さDとなる。この場合、図22のグラフに示すように、長さD(貫通孔303の上下方向の製造ばらつき)が、そのまま長さC(上側ローラ100Uの上下方向の突出量のばらつき)となる。
ゆえに、前側搬送ガイド300は、前側搬送ガイド82と比べて、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの上下方向の突出量のばらつきを小さくすることができる。また、前側搬送ガイド300は、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの上下方向の突出量のばらつきを小さくすることで、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの突出量が閾値を超えて(図22に示すNGエリアに到達して)、不良品となる確率を大幅に減らすことができ、製造コストを抑えることができるという効果を得ることができる。
[3−3.第3の実施の形態の変形例]
尚、上述した第3の実施の形態では、摺動溝301の深さ方向の外側に設けた貫通孔303の上端303U及び下端303Lを、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの上下方向の突出量を規制するストッパとして用いるようにした。これに限らず、例えば、図23に示す前側搬送ガイド310のように、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lを、図20に示した構成と比べて、摺動溝101により近い位置に設けるようにしてもよい。
上述したように、上側ローラ100Uの突出量のばらつきである長さCは、長さAと長さBの差が大きくなるほど、つまり摺動溝101と上側ストッパ105Uとの前後方向の距離が長くなるほど大きくなる。よって、上側ストッパ105Uを、摺動溝101に近づけると、図24のグラフに示すように、その分、長さCは小さくなる。ゆえに、前側搬送ガイド310では、第3の実施の形態の前側搬送ガイド300ほどではないにしろ、図20に示す前側搬送ガイド82と比べれば、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの上下方向の突出量のばらつきを小さくすることができる。
尚、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lの前後方向の位置は、摺動溝101の前後方向の位置と一致させることが望ましいが、摺動溝101に沿って上側ローラ100U及び下側ローラ100Lが摺動する為、これら上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの摺動領域内(図23に2点鎖線で示す領域の内側)に設けることはできない。ゆえに、上側ストッパ105U及び下側ストッパ105Lの前後方向の位置は、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの摺動領域外で、できる限り摺動溝101に近い位置とすればよい。
[4.他の実施の形態]
[4−1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、受渡ガイド部81を構成する前側搬送ガイド82の上側の左右両端に位置する2個のリブ96Uのそれぞれに上側ローラ100Uを設け、前側搬送ガイド82の下側の左右両端に位置する2個のリブ96Lのそれぞれに下側ローラ100Lを設けた。これに限らず、上側ローラ100Uを、左右両端のリブ96U以外のリブ96Uに設けるようにしてもよく、同様に下側ローラ100Lを、左右両端のリブ96L以外のリブ96Lに設けるようにしてもよい。
さらに、これに限らず、上側ローラ100Uを、前側搬送ガイド82ではなく後側搬送ガイド83に設けてもよいし、前側搬送ガイド82と後側搬送ガイド83の両方に設けてもよい。同様に下側ローラ100Lを、前側搬送ガイド82ではなく後側搬送ガイド83に設けてもよいし、前側搬送ガイド82と後側搬送ガイド83の両方に設けてもよい。第1の実施の形態以外の実施の形態についても同様である。
[4−2.他の実施の形態2]
また、上述した各実施の形態では、受渡搬送部30(30A〜30F)の上方に位置する上部ユニット21と、下方に位置する下部ユニット22が、それぞれ装置筐体2内部から引き出し可能となっている現金自動取引装置1に本発明を適用した。これに限らず、本発明は、上部ユニット21と下部ユニット22のどちらか一方のみが装置筐体2内部から引き出し可能な現金自動取引装置1にも適用することができる。
[4−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した各実施の形態では、受渡搬送部30に、第1の位置決め手段及び第2の位置決め手段の具体例として上側ローラ100U及び下側ローラ100Lを設けた。これに限らず、例えば図25に示すように、前側搬送ガイド82に、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lに代えて、断面略蒲鉾型で板状の上側突起部400U及び下側突起部400Lを設けてもよい。
上側突起部400Uは、リブ96Uより薄く、リブ96Uの上面に設けられた孔から半円形部分401Uが突出するようにしてリブ96Uに取り付けられている。上側突起部400Uは、半円形部分401Uの後端に、下方へと延びる下延部分402Uが設けられていて、この下延部分402Uの左右両側面に、それぞれ上下方向に間隔を空けて2本ずつ円柱状の摺動軸403が設けられている。そして、上側突起部400Uは、左右2本ずつの摺動軸403が、リブ96U内部の左右両側面に形成された上下方向に延びる摺動溝404Uに挿入されていて、これによりリブ96Uに対して上下方向に摺動できるようになっている。
一方、下側突起部400Lは、リブ96Lより薄く、リブ96Lの下面に設けられた孔から半円形部分401Lが突出するようにしてリブ96Lに取り付けられている。下側突起部400Lは、半円形部分401Lの前端に、上方へと延びる上延部分402Lが設けられていて、この上延部分402Lの左右両側面に、それぞれ上下方向に間隔を空けて2本ずつ円柱状の摺動軸403が設けられている。そして、下側突起部400Lは、左右2本ずつの摺動軸403が、リブ96L内部の左右両側面に形成された上下方向に延びる摺動溝404Lに挿入されていて、これによりリブ96Lに対して上下方向に摺動できるようになっている。さらに、上側突起部400U及び下側突起部400Lは、コイルバネ405により、それぞれ上方及び下方に付勢されている。
このような構成でなる受渡搬送部30は、上側突起部400Uが、上側ローラ100Uの代わりに上側溝68に嵌合し、下側突起部400Lが、下側ローラ100Lの代わりに下側溝48に嵌合することで、これら上側突起部400U及び下側突起部400Lが、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lと同様に機能する。尚、上側突起部400Uの左右両側面に、それぞれ2本ずつ設けられた円柱状の摺動軸403の代わりに、上下方向に延びる板状の摺動軸を1本ずつ設けるようにしてもよい。下側突起部400Lについても同様である。
また、これに限らず、上側ローラ100U及び下側ローラ100L、上側突起部400U及び下側突起部400Lと同様に機能するものであれば、これらとは構成の異なる第1の位置決め手段及び第2の位置決め手段を、受渡搬送部30に設けてもよい。
[4−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した第3の実施の形態では、ローラ保持部品300B内部に形成された左右の摺動溝301のうちの一方における、中央部分の深さ方向の外側に、ローラ保持部品300Bの外側面まで貫通する貫通孔303を設けるようにした。これに限らず、摺動溝301のうちの一方における、中央部分の深さ方向の外側に、貫通孔303の代わりに、ローラ保持部品300Bの外側面近傍まで達する溝を形成するようにしてもよい。つまり、摺動溝301の中央部分を他の部分より一段深くするようにしてもよい。この場合、摺動溝301の中央部分の深さ方向の外側に形成された溝の上端と下端が、上側ローラ100U及び下側ローラ100Lの突出量を規制するストッパとして機能する。
[4−5.他の実施の形態5]
また、上述した各実施の形態では、本発明を、媒体処理装置の具体例としての紙幣入出金機10に適用したが、これに限らず、3つのガイド部を連結して搬送路を接続する機構を有する媒体処理装置であれば、紙幣入出金機10とは異なる構成の媒体処理装置にも適用できる。さらに、上述した各実施の形態では、媒体取引装置の具体例としての現金自動取引装置1に本発明を適用したが、これに限らず、3つのガイド部を連結して搬送路を接続する機構を有する媒体処理装置を備えた媒体取引装置であれば、現金自動取引装置1とは異なる構成の媒体取引装置にも適用できる。例えば、紙幣以外の媒体(切符、チケットなど)を搬送する媒体処理装置を備えた媒体取引装置にも適用できる。
[4−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した各実施の形態では、紙幣入出金機10に、第1搬送路としての受渡搬送路84を形成する搬送ガイド部の具体例として受渡ガイド部81を設けたが、これに限らず、受渡ガイド部81と同様に機能するものであれば、受渡ガイド部81とは異なる構成の搬送ガイド部を設けてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、紙幣入出金機10に、第2搬送路としての収納庫側搬送路44を形成する第1の接続側搬送ガイド部の具体例として収納庫側ガイド部41を設けた。これに限らず、収納庫側ガイド部41と同様に機能するものであれば、収納庫側ガイド部41とは異なる構成の接続側搬送ガイド部を設けてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、紙幣入出金機10に、第3搬送路としての搬送部側搬送路64を形成する第2の接続側搬送ガイド部の具体例として搬送部側ガイド部61を設けた。これに限らず、搬送部側ガイド部61と同様に機能するものであれば、搬送部側ガイド部61とは異なる構成の接続側搬送ガイド部を設けてもよい。
さらに、上述した各実施の形態では、付勢手段の具体例として、第1のアームとしての上側アーム103U、203U、及び第2のアームとしての下側アーム103L、203Lを有するトーションスプリング103、203、及びコイルバネ405を用いたが、これらと同様に機能するものであれば、これらとは異なる付勢手段を用いてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、規制手段の具体例として、上側ストッパ105U、下側ストッパ105L、上側アーム103U、203U、下側アーム103L、203L、貫通孔303を用いたが、これに限らず、これらと同様に機能するものであれば、これらとは異なる規制手段を用いてもよい。
[4−7.他の実施の形態7]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。