JP2013082968A - 銅合金板条およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度と良好な曲げ加工性をあわせ持つコルソン系銅合金を提供する。
【解決手段】質量%で、Ni:1.00〜5.00%、Si:0.25〜1.20%、さらに、Sn、Ag、Mn、Fe、Cr、Co、Zn、Mg、Zr、P、B、及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金であり、下記式(1)を満たすことを特徴とする銅合金板条。(Brass方位:{011}<2−11>方位の方位密度)+(S方位:{123}<634>方位の方位密度)+(Copper方位:{112}<111>方位の方位密度)≦23式(1)
【選択図】図2

Description

本発明は端子・コネクタ等の電気・電子部品用に用いられる高強度および良好な曲げ加工性を兼ね備えたコルソン銅合金条材料とその製造方法、さらにそれらを用いた端子・コネクタに関するものである。
Cu―Ni―Si系銅合金条の曲げ加工性を改善する方策として、結晶方位を制御する方法が特許文献1〜3で提案されている。特許文献1〜3記載の内容によると、溶体化処理前の冷間圧延の加工率を高くすることにより、その後の溶体化処理で目的の集合組織を形成させるとされている。更に、溶体化処理以降の冷間圧延については、圧延集合組織の集積度が高くならないように、圧延加工度を低くさせることが記載されているが、更なる高強度を維持しながらの曲げ加工性向上は難しい。
特開2006−9108号公報 特開2006−16629号公報 特開2008−223136号公報
本発明は、高強度と良好な曲げ加工性をあわせ持つコルソン銅合金を提供することを課題とする。また本発明は上記の特性を持つコルソン銅合金の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は非対称圧延法を用いた圧延でBrass方位、S方位、Copper方位の方位密度を規定して高強度および良好な曲げ加工性を兼ね備えた銅合金板を提供しようとするものである。
製造プロセスにより、コルソン銅合金の強度を高くするにつれて曲げ加工性が低下する。また、コルソン銅合金の曲げ加工性は、曲げ方向によって異なることがある。
そこで本発明は特に検討を重ねた結果、非対称圧延を用いて材料のせん断変形を積極的に導入し、集合組織を適切に制御することで良好な曲げ加工性を得ることができることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至った。
本発明の課題は以下の手段により達成される。
(1)質量%で、Ni:1.00〜5.00%、Si:0.25〜1.20%、さらに、Sn、Ag、Mn、Fe、Cr、Co、Zn、Mg、Zr、P、B、及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金であり、下記式(1)を満たすことを特徴とする銅合金板条。
(Brass方位:{0 1 1}<2 −1 1>方位の方位密度)+(S方位:{1 2 3}<6 3 4>方位の方位密度)+(Copper方位:{1 1 2}<1 1 1>方位の方位密度)≦23 式(1)
(2)質量%で、Ni:1.00〜5.00%、Si:0.25〜1.20%、さらに、Sn、Ag、Mn、Fe、Cr、Co、Zn、Mg、Zr、P、B、及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金板条の圧延集合組織において、ODF(方位分布関数)解析から得られた方位密度の最大値がΦ=0°〜90°、φ1=0°〜90°、φ2=0°〜90°の範囲内で7.5以下であることを満たす銅合金条。
(3)Brass方位:{0 1 1}<2 −1 1>の方位密度が7.5以下である(1)に記載の銅合金条。
(4)Copper方位:{1 1 2}<1 1 1>の方位密度が7.5以下である(1)に記載の銅合金条。
(5)(1)〜(4)に記載の銅合金板条を製造する方法であって、400℃以下の非再結晶温度範囲で非対称圧延を行い、かつ非対称圧延のロール周速比が1.2以上で行なうことを特徴とする銅合金板条の製造方法。
(6)1パスあたりの圧下率が45%以上である圧延を1パス以上含み、合計圧下率45%以上を満たすことを特徴とする(5)に記載の銅合金板条の製造方法。
本発明のコルソン銅合金よりなる条材は優れた曲げ加工性と高強度および高導電率のいずれも併せ持ち、端子、コネクタ用として好適である。また本発明の製造方法によればこのような物性の優れたコルソン銅合金条材を、圧延加工などにより方位密度を制御することで提供できる。
本発明の銅合金板条を製造するのに好ましい非対称圧延のロール構成の一例を示した概略構成図である。 X線極点図法による(111)正極点図であり、(a)は対称圧延材の正極点図であり、(b)は非対称圧延材の正極点図(pole figure)である。 対称圧延材と非対称圧延材のODF解析から得られたBrass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度を示したグラフである。
本発明の詳細を以下に説明する。
本発明において板条とはその幅と厚さの比を特に制限するものではない。板状に近いものも包含する。
まず、合金成分について説明する。%は特に断らない限り、質量%である。
(Ni、Si)
NiおよびSiは、時効処理でNiSi化合物を微細析出させることで、強度の上昇および導電率や熱伝導度が向上する。ただし、Ni濃度が1.00%未満の場合、またはSi濃度が0.25%未満の場合、上記の効果を得ることは難しくなる。また、Ni濃度が5.00%以上、もしくはSi濃度が1.20%以上の場合、強度は上昇するが、粗大なNi−Si晶出物及び析出物が母相中に生成され、曲げ加工性、エッチング性、めっき性、導電率が低下する。本発明の銅合金板条の合金組成において、Ni濃度が1.00〜5.00質量%、好ましくは2.00〜4.00質量%である。また、Si濃度が0.25〜1.20質量%、好ましくは0.40〜1.00質量%(以下特に断らないときは質量%を%という)である。
本発明の銅合金条は、さらにSn、Ag、Mn、Fe、Cr、Co、Zn、Mg、Zr、P、B、及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0%、好ましくは0.1〜1.5%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる。
(Sn)
Snは、固溶強化により強度を向上させる作用がある。しかし、その量が少なすぎるとその効果が十分ではなく、多すぎるとその効果が飽和するとともに、熱間および冷間加工性が劣化し、さらに導電率が低下する。従って、Snは0.01〜4.00質量%とするのが好ましく、0.10〜0.50質量%の範囲に調整することが一層好ましい。
(Zn)
Znは、はんだ付け性の向上、強度の向上、および鋳造性を改善する効果がある。しかし、Znの含有量が少なすぎるとその効果が十分ではなく、多すぎると導電性や耐応力腐食割れ性が低下する。従って、Znは0.10〜2.00質量%の範囲に調整することが好ましく、0.15〜1.00質量%の範囲に調整することが一層好ましい。
(Mg)
Mgは、耐応力緩和特性の向上、脱S作用を有する。しかし、Mgの含有量が少なすぎるとその効果が十分ではなく、多すぎると鋳造性や熱間加工性が低下する。従って、Mgは0.01〜0.30質量%とするのが好ましい。
(Cr)
Crは、結晶粒を微細化させ、強度や曲げ加工性および疲労特性を向上させる効果がある。しかし、Crの含有量が少なすぎるとその効果が十分ではなく、多すぎるとCrが粗大に析出して、曲げ特性、疲労特性等に悪影響を及ぼす.従って、Crは0.01〜1.00質量%とするのが好ましい。
(Co)
Coは、結晶粒を微細化させ、強度や曲げ加工性を向上させる。従って、強度や曲げ加工性を向上させる場合、選択的に含有させる。しかし、Coの含有量が少なすぎるとその効果が十分ではなく、多すぎると化合物を形成し、圧延加工性が低下する。従って、Coを含有させる場合には、0.01〜0.30質量%とするのが好ましい。
(Zr)
Zrは、結晶粒を微細化させ、強度や曲げ加工性を向上させる。従って、強度や曲げ加工性を向上させる場合、選択的に含有させる。しかし、Zrの含有量が少なすぎるとその効果が十分ではなく、多すぎると化合物を形成し、圧延加工性が低下する。従って、Zrを含有させる場合には、0.01〜0.30質量%とするのが好ましい。
(P)
Pは、湯流れ性を向上させる効果がある。従って、湯流れ性を向上させる場合、選択的して含有させる。しかし、Pの含有量が少なすぎるとその効果が十分ではなく、多すぎると化合物を形成し、圧延加工性が低下する。従って、Pを含有させる場合には、0.01〜0.10質量%とするのが好ましい。
(その他の元素)
その他の元素として必要に応じて、Ag、Mn、B、Ti、Feから選ばれる元素を含有することができる。Agは導電率の向上、Mn、B、TiおよびFeは熱間圧延性の改善、組織の微細化により合金強度を向上させる効果を有する。これらの元素を1種または2種以上含有させる場合は圧延加工性およびコストを考慮し、総量が0.01〜0.50質量%とするのが好ましい。
(不可避不純物)
本発明において不可避不純物はおおむね金属製品において、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入するもので、本来は不要なものであるが、微量であり、金属製品の特性に影響を及ぼさないため、許容されている。不可避不純物の含有量は0.001質量%以下であることが好ましい。
本発明の銅合金板条ではBrass方位密度、Copper方位密度を所定範囲に制御する。
本発明でいう集合組織の方位密度とは、ランダムな方位に対して各方位の強度を比率で表したものである。ここでいうランダムとは、結晶方位が均一に分散して集積がない集合組織を意味しており、ODF図上の方位密度(集積強度)の大きさが1に等しい。ランダムな方位の定義については、特開2008−303455号公報にも同様の記載がある。また、方位密度が1以下の値については、方位が非常に低い確率で現れることを意味している。
ODF解析は方位分布関数:Orientation Distribution Functionの略である。ODFはオイラー角の3変数(φ1,Φ,φ2)を直角座標軸にとった3次元方位空間に表示する。表示すべき角度範囲は、結晶の対称性および極点図の対称性に依存し、φ1は0°〜360°の値をとり得るが、圧延板のように極点図が上下左右に対称性をもち、1/4の極点図で表示できる場合にはφ1は0°〜90°の範囲となり、Φも同様に0°〜90°となる。φ2の範囲は結晶系に依存し、立方晶系では4回対称軸を持つため、一般に0°〜90°の範囲を表示する。ODFは本来3次元表示すべきであるが、等密度曲面で正確に表示することは難しいので、φ2またはφ1が一定である二次元断面を適当な間隔(通常5°間隔)で表示することが多い。1組のオイラー角(φ1,Φ,φ2)で与えられる点は1つの方位を表すので、ODFが極大値を示す位置のオイラー角を読み取れば、優先方位が正確に決定できる。このようにODF解析により集合組織を定量的に議論するため、方位分布関数を用いて複数の極点図(2次元情報)から3次元情報を取り出す解析をし、各結晶方位の方位密度を求めることで集合組織を定量できる。ODF解析はBungeの提唱した級数展開法を用い、偶数項の展開次数は22次、奇数項の展開次数は19次として計算した。級数展開法で使用する展開次数は大きいほど解析精度が向上するため、18次以上が好ましい。
ODF解析を行うための極点図を求める方法として、X線極点図法および電子後方散乱回折像法(EBSD法)がある。EBSD法はElectron Back Scatter Diffractionの略である。X線極点図法は試料に対するX線の入射角を特定のブラッグ角(例えば111回折角)に固定し、試料を直行する2軸の回りに系統的に回転させることにより、極点図を得る。
EBSD法とは、走査電子顕微鏡(SEM)内で試料表面の1点に電子線を入射させ、生じる反射電子回折模様(electron back−scattering pattern)を用いて局所領域の結晶方位や結晶構造を解析する方法をいう。
以下、より具体的に測定方法を説明する。
本発明における方位密度の測定は、上記X線極点図法において、X線回折装置として(株)リガク製RINT2500を用い、管電圧:50kV、管電流:100mA、発散スリット:0.5°、散乱スリット:7mm、受光スリット:7mm、発散縦制限スリット:1.2mm、走査速度:360°/min、ステップ幅:5°の条件で行なった。各面において回折強度を測定した2θの範囲(θは回折角度)は、(111):38.0〜48.0°、(200):45.0〜55.0°、(220):69.0〜79.0°である。
一方、EBSD法において、上記試料に電子線を照射し、試料の表面近傍で非弾性散乱した電子線のうち、特定の結晶格子面に対してBragg反射の条件を満たすものは一対の回折線を形成する。この回折線の一部をスクリーン上に投影したものがEBSDパターンである。EBSD解析装置として(株)TSLソリューションズ製OIM−A5を用いた。
本発明の第一の態様においてBrass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計((Brass方位:{0 1 1}<2 −1 1>方位の方位密度)+(S方位:{1 2 3}<6 3 4>方位の方位密度)+(Copper方位:{1 1 2}<1 1 1>方位の方位密度))が23以下、好ましくは12以下、更に好ましくは9以下であれば曲げ加工性が良好な特性を得ることができ、好適である。また、合計値は1以下であってもよい。
加えて、Brass方位密度が7.5以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。また、Copper方位密度が7.5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。
一方、本発明の第二の態様において、ODF解析から得られた方位密度の最大値がΦ=0〜90°、φ1=0〜90°、φ2=0〜90°の範囲内で7.5以下であり、5以下であることがより好ましい。
第一の態様、第二の態様のいずれも、方位密度の下限値は特に制限はないが、0.5以上であることが実際的である。
方位密度は曲げ加工性に影響を与え、例えば、Brass方位など特定の方位が突出していない状態、つまり、方位密度が小さい状態では曲げ加工性の改善に作用する。本発明においては、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度が上記の範囲内にあるため、良好な曲げ加工性が得られる。
本発明においてはBrass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度は非対称圧延法によって圧延することにより目的の値に設定することができる。図1に示すように、非対称圧延は上下ワークロール11,21の周速度V、V、ロール径D=2r、D=2r(r、rはそれぞれのロール半径を表す。)又は摩擦係数のいずれかに差を与えて圧延材料1を圧延することができる。中立点(11a、21a)の位置が両ワークロール11,21で異なり、板厚方向全体にせん断ひずみが生じ、{1 1 2}<1 1 1>方位などが発達するのが特徴である。
この方位密度の制御は例えば以下のように非対称圧延方法を行って実施できる。
非対称圧延は、上下のワークロール径を同じとした場合、上下のワークロールの回転数を変更して異なる上下のワークロール周速(ワークロールの回転方向の表面速度)を与えることで実現できる。また上下のワークロールの回転数を同じとした場合は上下のワークロール径を変更して上下ワークロール周速を異なる速度とすることで実現できる。更にこれら異なる上下ワークロール径と異なるワークロール回転数を同時に変更して上下ワークロール周速を変更することでも可能である。そして更に上下ワークロール表面の粗度を変更して摩擦状態を変化させて上下ワークロールで圧延される材料の先進率を変更して板厚方向全体にせん断ひずみが生じさせることでも非対称圧延の効果を実現できる。非対称圧延はこれら上下ワークロールの異速、異径、異摩擦のいずれか1つでも実現できるし、これらの内、2つ以上組み合わせて実施しても可能である。
非対称圧延を行うことで材料の板厚方向全体にせん断変形を付与することができ、対称圧延とは異なる結晶方位を得ることができる。
非対称圧延は溶解鋳造後の鋳塊を均質化熱処理、熱間圧延を行ってから冷間圧延を行った後の板厚0.09mm〜6mmから行うことができる。
非対称圧延は温間圧延で行うのが好ましい。温間非対称圧延とは、400℃以下の非再結晶温度域(好ましくは300〜400℃)での非対称圧延(本明細書では、このような300〜400℃の非再結晶温度域での非対称圧延を、“温間非対称圧延”と記載する)のことを指す。温間圧延を行うメリットは摩擦係数を上げられることと、変形抵抗を若干下げられることであり、低荷重で圧下率を大きく取れるが、圧延機の能力に余裕があれば特に温間圧延でなくてもよい。さらに、非対称圧延は、熱間圧延で行っても良いし、冷間圧延で行っても良い。
非対称圧延は、具体的にはロール周速比(上下ワークロールの圧延速度の比)で示せる。Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計を23以下にするには、ロール周速比は好ましくは1.2以上2.0未満である(非対称圧延法でない対称圧延法の場合、ロール周速比は1.0となる。)。
本発明において、非対称圧延の圧下率は、1パスあたり好ましくは45%以上である。非対称圧延の回数は好ましくは1パス以上である。最終の板条までの合計圧下率(以下、トータル圧下率ともいう)は好ましくは45%以上である。
冷間圧延後に、時効処理を行うのが好ましいが、その場合は400℃〜550℃の温度で行う必要がある。この温度範囲を外れると目的の曲げ加工性及び引張強さを損なうことがある。さらに、時効処理後に必要に応じて仕上圧延および低温焼鈍を行っても良い。
また、本発明において非対称圧延は熱間圧延後の冷間圧延に使用しても良い。例えば均質化熱処理、熱間圧延を行った後、冷間圧延として非対称圧延を実施し、更に溶体化処理を施し、その後、冷間圧延として再び非対称圧延を実施し、その後に時効処理の工程を行っても良い。この場合、溶体化処理前の板厚、溶体化処理後の冷間圧延の圧下率、時効処理の温度等の各条件については、上述の範囲にあることが好ましい。
図2は、X線極点図法による(111)正極点図であり、(a)は対称圧延材の正極点図であり、(b)は非対称圧延材の正極点図(pole figure)である。図2の極点図のパターンを形成する線は極密度を示している。極密度とは、極点図の強度を表しており、X線強度測定時の強度補正時に基準として使用する粉末を固めた無配向性試料に対する強度比のことを指す。対称圧延材の極密度の最大値は10.9、最小値は0.8、非対称圧延材の極密度の最大値は6.8、最小値は0.4であり、対称圧延材、非対称圧延材それぞれ極密度の最大値と最小値間を均等に15分割して表示している。その結果、図2に示すように、対称圧延材は、極密度の最大値の位置がTD軸に対してほぼ対称なパターンとなり、銅合金で見られる圧延集合組織が発達していることを確認した。一方、非対称圧延材は、極密度の最大値の位置がTD軸周りに若干回転し、TD軸に対して非対称になっており、非対称圧延材特有のパターンが発達していることを確認した。
(実施例1)
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記の例中の評価試験法は次のとおりである。
(曲げ加工性の評価試験)
ここで、曲げ加工性の評価は、日本伸銅協会技術標準“銅および銅合金薄板の曲げ加工性評価方法”(JBMA、T307(1999))に準じ、厚み(t)が0.05〜0.5mm、幅が10mm、長さが30mmの試料を圧延方向に対して平行方向および直角方向に採取して、各種曲げ半径にて90°W曲げ試験を行い、試料表面に割れが発生しない最小曲げ半径(r)を求め、r/tの値を算出した。r/tの値が小さいほど曲げ加工性が優れていることを意味する。
(引張試験)
引張試験片はJIS Z2201に規定されているJIS5号試験片を使用し、Z2241「金属材料引張試験方法」に記載される試験方法を実施する。
本発明例を表1に示す合金組成で銅合金薄板(合金A〜L)を作製した。(表1の残部は不可避不純物とCuである。)
本実施例の場合、合金AについてNi濃度2.00〜2.70質量%、Si濃度0.45〜0.60質量%、Zn濃度0.40〜0.55質量%、Sn濃度0.10〜0.25質量%、Mg濃度0.05〜0.20質量%、残部不可避不純物とCuからなるコルソン銅合金材を用いて表2に示す合金組成で溶解鋳造後に熱間圧延を890℃で板厚10mmまで行い、更に冷間圧延(以降は中間圧延1と呼ぶ)を行い、板厚0.09mm〜6.00mmにした材料を使用した。材料は板厚0.09mm〜6.00mm×板幅30mm×長さ150mmに切断し、溶体化処理のため、ソルトバスを用いて温度800℃で30秒間溶体化処理した後、すぐに水冷を行った。前記板厚の材料を用い、表2に示す製造条件で冷間圧延(以降は中間圧延2と呼ぶ)を行い、圧延後の板厚を0.3mmで統一した。なお、中間圧延2は冷間圧延でも良いし、温間圧延でも良い。中間圧延2のトータル圧下率の違いは圧延前の板厚を変えることで調整した。中間圧延2では異径ロールを用いて、400℃以下で温間(もしくは冷間)での非対称圧延を行い、温間圧延はヒーターを内蔵したロールを使用し、温度調節を行った。非対称圧延のワークロールの周速比は1.2〜2.0で圧延を行った。圧延材の引張強さ:TSはTS>600MPaであることが好ましい。ワークロール表面粗度は対称圧延には0.8Sを用い、非対称圧延にはせん断ひずみを大きくするために6.3Sのダルロールを用いた。圧延プロセスは、板厚0.3mmまで複数パスで圧延した後、時効処理を400〜550℃の範囲で30分〜1時間行ってから、Brass方位密度、S方位密度、Copper方位密度の測定および曲げ軸が圧延方向に対して直角方向(Good Way)、平行方向(Bad Way)の90°W曲げ試験を行い、曲げ加工性について調査を行った。
方位密度は前記のX線極点図法とEBSD法を用いて測定した。
Brass方位密度は{0 1 1}<2 −1 1>方位に対応するODFの(Φ=45°φ1=35°φ2=0°)から15°回転範囲内にある部分をBrass方位密度とする。S方位密度は{1 2 3}<6 3 4>方位に対応するODFの(Φ=37°φ1=59°φ2=27°)から15°回転範囲内にある部分をS方位密度とする。Copper方位密度は{1 1 2}<1 1 1>方位に対応するODFの(Φ=35°φ1=90°φ2=45°)から15°回転範囲内にある部分をCopper方位密度とする。
曲げ加工性は曲げ表面に亀裂が発生しない最小曲げ半径を良好であると判断し、このときの曲げ半径と板厚の比(r/t)を求めた。r/tの評価は、亀裂が発生せず、小さなシワが発生した場合を◎、亀裂が発生せず、大きなシワが発生した場合を○、小さい亀裂が発生した場合を△、大きい亀裂が発生した場合を×とした。一般的に同じ材料であれば、引張強さが大きいほど、r/tの値は大きくなる(曲げ加工性が悪くなる)傾向にある。
発明例1〜発明例10は非対称圧延を施すことで、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
発明例1と発明例4を比較すると、Brass方位密度およびS方位密度の値は発明例1の方が小さいため、r/t値が良く、Brass方位密度およびS方位密度は小さい値ほどより好ましいことがわかる。
発明例8、発明例9、発明例10はNi濃度が異なっており、Ni濃度が高いほど導電率が低くなる傾向になったが、曲げ加工性に大きな変化は見られなかった。
比較例1は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例2は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例3は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例4は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例5〜比較例10は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
対称圧延を行った比較例1と、非対称圧延を行った発明例1とについて、ODF解析から得られた各方位の方位密度のグラフを図3に示した。非対称圧延を行った発明例1ではCupper方位、S方位、Brass方位のいずれにおいても方位密度が低く抑えられている。
次に、合金Bについて、表3に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例11〜20については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例11は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例12は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例13は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例14は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例15〜比較例21は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Cについて、表4に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例21〜30については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例22は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例23は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例24は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例25は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例26〜比較例32は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Dについて、表5に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例31〜40については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例33は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例34は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例35は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例36は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例37〜比較例41は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Eについて、表6に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例41〜50については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例42は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例43は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例44は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例45は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例46〜比較例50は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Fについて、表7に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例51〜60については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例51は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例52は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例53は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例54は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例55〜比較例59は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Gについて、表8に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例61〜70については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例60は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例61は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例62は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例63は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例64〜比較例68は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Hについて、表9に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例71〜80については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例69は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例70は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例71は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例72は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例73〜比較例76は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Iについて、表10に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例81〜90については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例77は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例78は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例79は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例80は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例81〜比較例85は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Jについて、表11に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例91〜100については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例86は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例87は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例88は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例89は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例90〜比較例94は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Kについて、表12に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例101〜110については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例95は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例96は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例97は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例98は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例99〜比較例103は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Lについて、表13に示す合金組成で溶解鋳造を行い、合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例111〜120については、非対称圧延を行い、Brass方位密度、S方位密度およびCopper方位密度の合計が23以下になっており、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例104は対称圧延であり、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例105は非対称圧延であるが、ロール周速比が1.1であり、1.2を下回っているため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例106は非対称圧延の1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例107は非対称圧延のトータル圧下率が45%を下回っており、また、1パスあたりの圧下率の最大値が45%以下であるため、時効処理後のBrass、S、Copper方位の方位密度の合計が23を超えており、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例108〜比較例111は各合金成分の含有量が多いため、引張強さがやや高くなるが、導電率が大きく低下することがわかる。
次に、合金Aについて、表14に示す合金組成で溶解鋳造を行い、表1の合金Aと同じサイズのサンプルを作製し、曲げ加工性の評価を行った。発明例121〜123については、非対称圧延を行い、ODF解析から得られた方位密度の最大値はΦ=0°〜90°、φ1=0°〜90°、φ2=0°〜90°範囲内で7.5以下であり、Good Way、Bad Wayの曲げ加工性が共に優れていることがわかる。
比較例112は非対称圧延であるが、ODF解析から得られた方位密度の最大値はΦ=0°〜90°、φ1=0°〜90°、φ2=0°〜90°範囲内で7.5以上であり、発明例に比べて曲げ加工性が悪いことがわかる。
1 圧延材料
11、21 ワークロール
11a、21a 中立点

Claims (6)

  1. 質量%で、Ni:1.00〜5.00%、Si:0.25〜1.20%、さらに、Sn、Ag、Mn、Fe、Cr、Co、Zn、Mg、Zr、P、B、及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金であり、下記式(1)を満たすことを特徴とする銅合金板条。
    (Brass方位:{0 1 1}<2 −1 1>方位の方位密度)+(S方位:{1 2 3}<6 3 4>方位の方位密度)+(Copper方位:{1 1 2}<1 1 1>方位の方位密度)≦23 式(1)
  2. 質量%で、Ni:1.00〜5.00%、Si:0.25〜1.20%、さらに、Sn、Ag、Mn、Fe、Cr、Co、Zn、Mg、Zr、P、B、及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金板条の圧延集合組織において、ODF(方位分布関数)解析から得られた方位密度の最大値がΦ=0°〜90°、φ1=0°〜90°、φ2=0°〜90°の範囲内で7.5以下であることを満たす銅合金条。
  3. Brass方位:{0 1 1}<2 −1 1>の方位密度が7.5以下である請求項1に記載の銅合金条。
  4. Copper方位:{1 1 2}<1 1 1>の方位密度が7.5以下である請求項1に記載の銅合金条。
  5. 請求項1〜4に記載の銅合金板条を製造する方法であって、400℃以下の非再結晶温度範囲で非対称圧延を行い、かつ非対称圧延のロール周速比が1.2以上で行なうことを特徴とする銅合金板条の製造方法。
  6. 1パスあたりの圧下率が45%以上である圧延を1パス以上含み、合計圧下率45%以上を満たすことを特徴とする請求項5に記載の銅合金板条の製造方法。
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