JP2013057401A - タンク - Google Patents

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Abstract

【課題】口金部にかかる応力を低減して、タンクの耐久性及び強度を向上する。
【解決手段】口金部11と、当該口金部11に接触したタンク本体10の壁層を有するタンク2において、口金部11とタンク本体10の壁層との接触部の摩擦を低減する摩擦低減手段を有する。当該摩擦低減手段は、例えば表面粗度が他の部分よりも低く設定された口金部11の接触部の表面である。
【選択図】図5

Description

本発明は、口金部と、当該口金部に接触したタンク本体の壁層を有するタンクに関する。
例えば自動車等の車両に搭載される燃料電池システムには、燃料ガスの供給源として高圧タンクが用いられる。この種のタンクとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このタンクは、例えばライナー層(内壁層)の外周面を、FRP(Fiber Reinforced Plastics)層(外壁層)で補強したタンク本体と、そのタンク本体の長手方向の開口端部に取り付けられた合金からなる口金部を有している。
口金部は、例えばタンク本体の開口端部に嵌入された状態で取り付けられており、当該開口端部を構成するタンク本体の壁層は、口金部の外周面に気密に接触している。
特開2007−155116号公報
ところで、上述のようなタンクの使用時には、口金部に過度の応力がかかることがある。このような口金部の過度の応力は、タンクの耐久性を低下させる原因となり得る。このため、口金部にかかる応力を低減することが求められているが、その具体的な方法は、未だ提案されていない。
また、タンクを長期間使用した場合には、タンク本体の壁層が劣化し、それによっても口金部に過度の応力がかかって、タンクの耐久性が低下する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、口金部にかかる応力を低減して、高い耐久性を有するタンクを提供することをその目的とする。
上記目的を達成するための技術としては、口金部と、当該口金部に接触したタンク本体の壁層を有するタンクであって、前記口金部とタンク本体の壁層との接触部の摩擦を低減する摩擦低減手段を有し、前記摩擦低減手段は、タンク本体の壁層の接触部の表面のみ、前記口金部とタンク本体の壁層の間、又は前記口金部の接触部の表面の少なくともいずれかに設けられているものが提案できる。
本技術によれば、口金部とタンク本体の壁層との接触部の摩擦を低減して、口金部にかかる応力を低減できる。この結果、タンクの耐久性及び強度を向上できる。
上記タンクにおいて、前記摩擦低減手段は、前記口金部の接触部の表面に施された固体潤滑コーティングであってもよい。かかる場合、口金部の応力を低減すると共に、タンク本体の壁層の接触部の摩耗も抑制できるので、タンク本体の耐久性も向上できる。
また、本発明は、口金部と、当該口金部に接触したタンク本体の壁層を有するタンクであって、前記口金部とタンク本体の壁層との接触部の摩擦を低減する摩擦低減手段を有し、前記摩擦低減手段は、表面粗度が他の部分よりも低く設定された前記口金部の接触部の表面である。
前記口金部は、前記タンクの長手方向の端部に設けられ、前記摩擦低減手段は、前記口金部の接触部にタンクの長手方向に向けて形成された溝であってもよい。
前記摩擦低減手段は、前記口金部とタンク本体の壁層との間に介在された潤滑剤であってもよい。かかる場合、口金部の応力を低減すると共に、タンク本体の壁層の接触部の摩耗も抑制できるので、タンク本体の耐久性も向上できる。
前記タンク本体は、内壁層と、その内壁層を覆う外壁層とを有し、前記接触部は、前記口金部と前記タンク本体の外壁層との接触部であってもよい。
前記タンク本体の外壁層は、樹脂繊維層であってもよい。
前記樹脂繊維層は、高結晶性の炭素繊維により構成されていてもよい。
別の観点による技術は、外周面に軸側に凹んだ凹部を有する口金部と、当該口金部の凹部に接触したタンク本体の外壁層とを有するタンクであって、前記タンク本体の外壁層は、樹脂繊維層であって、高結晶性の炭素繊維により構成されていることを特徴とする。
本技術によれば、長期使用により口金部の凹部とタンク本体の外壁層との接触部の摩擦係数が増加することを抑制できる。この結果、口金部にかかる応力を低減でき、タンクの耐久性を向上できる。
本発明によれば、口金部にかかる応力を低減できるので、タンクの耐久性及び強度を向上できる。
タンクを搭載した燃料電池自動車の模式図である。 高圧タンクの要部の縦断面図である。 口金部とFRP層の間の摩擦係数と、口金部の応力のとの関係を示すグラフである。 本発明のタンクと従来のタンクの口金部の発生応力を比較したグラフである。 口金部の凹み部の表面の表面粗度を低くした場合の高圧タンクの要部の拡大図である。 口金部の凹み部に溝を形成した場合の高圧タンクの要部の拡大図である。 溝を形成した口金部の側面図である。 口金部の凹み部とFRP層との間に潤滑剤を介在した場合の高圧タンクの要部の拡大図である。 FRP層を高結晶性の炭素繊維で構成した場合の高圧タンクの要部の縦断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るタンクを搭載した燃料電池自動車1の模式図である。
燃料電池自動車1には、例えば3つの高圧タンク2が車体のリア部に搭載されている。高圧タンク2は、燃料電池システム3の一部を構成し、ガス供給ライン4を通じて各高圧タンク2から燃料電池5に燃料ガスが供給可能になっている。高圧タンク2に貯留される燃料ガスは、可燃性の高圧ガスであり、例えば圧縮天然ガス又は水素ガスである。なお、高圧タンク2は、燃料電池自動車1のみならず、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車両のほか、各種移動体(例えば、船舶や飛行機、ロボットなど)や定置設備(住宅、ビル)にも適用できる。
図2は、高圧タンク2の要部を示す断面図である。高圧タンク2は、例えば略楕円体のタンク本体10と、当該タンク本体10の長手方向の一端部に取り付けられた口金部11を有する。
タンク本体10は、例えば二層構造の壁層を有し、内壁層であるライナー20とその外側の外壁層である樹脂繊維層としてのFRP層21を有している。
ライナー20は、タンク本体10とほぼ同じ略楕円体形状を有する。ライナー20は、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはその他の硬質樹脂などにより形成されている。
ライナー20の口金部11のある先端側には、内側に屈曲した折返し部30が形成されている。折返し部30は、外側のFRP層21から離間するようにタンク本体10の内側に向けて折り返されている。折返し部30は、例えば折り返しの先端に近づくにつれて次第に径が小さくなる縮径部30aと、当該縮径部30aの先端に接続され径が一定の円筒部30bとを有している。この円筒部30bによりライナー20の開口部が形成されている。
口金部11は、略円筒形状を有し、ライナー20の開口部に嵌入されている。口金部11は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、例えばダイキャスト法等により所定の形状に製造されている。口金部11は、例えばインサート成形によりライナー20に取り付けられている。
口金部11は、例えば先端側(タンク2の軸方向の外側)に鍔部11aが形成され、例えばその鍔部11aの後方側(タンク2の軸方向の内側)に、タンク2の軸に対して環状の凹み部11bが形成されている。凹み部11bは、軸側に凸に湾曲しR形状になっている。この凹み部11bには、同じくR形状のFRP層21の先端部付近が気密に接触している。
例えばFRP層21と接触する凹み部11bの表面には、例えばフッ素系の樹脂などの固体潤滑コーティングAが施されている。これにより、FRP層21と凹み部11bとの間の摩擦係数が低減されている。
口金部11の凹み部11bのさらに後方側は、例えばライナー20の折返し部30の形状に適合するように形成され、例えば凹み部11bに連続して径の大きい突出部11cが形成され、その突出部11cから後方に一定径の口金円筒部11dが形成されている。上記ライナー20の折返し部30の縮径部30aは、突出部11cの表面に密着し、円筒部30bは、口金円筒部11dの表面に密着している。円筒部30bと口金円筒部11dとの間には、シール部材40、41が介在されている。
口金部11の内周面には、バルブアッセンブリ50をねじ込み接続するためのねじ42が形成されている。バルブアッセンブリ50は、外部のガス供給ラインと高圧タンク2の内部との間で燃料ガスの給排を制御するものである。バブルアッセンブリ50の外周面と口金部11の内周面との間には、シール部材60、61が介在されている。
FRP層21は、例えばフィラメントワインディング法により、ライナー20の外周面と口金部11の凹み部11bに、樹脂の含浸した補強繊維を巻き付け、当該樹脂を硬化させることにより形成されている。FRP層21の樹脂には、例えばエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が用いられる。また、補強繊維としては、炭素繊維、金属繊維などが用いられる。
かかる構成の高圧タンク2によれば、口金部11の凹み部11bの表面に、固体潤滑コーティングAが施され、タンク本体10のFRP層21と凹み部11bとの接触部の摩擦係数が低減されている。このため、例えば高圧タンク2内に高圧のガスが封入され、タンク本体10に内圧がかかってFRP層21が撓んだときに、FRP層21が口金部11に対し低摩擦で動く。この結果、口金部11に大きな応力がかからず、口金部11への負荷が低減される。これによって、高圧タンク2の耐久性及び強度を向上できる。また、FRP層21の摩耗も防止できるので、タンク本体10の耐久性も向上できる。
図3は、口金部11とタンク本体10のFRP層21の接触部の摩擦係数μと、口金部11にかかる応力との関係を示すものである。このデータは、有限要素法(FEM)解析を用いて、口金部11とFRP層21との摩擦係数μを変化させた場合の口金部11の応力の最大値を算出したものである。このシュミュレーションによれば、摩擦係数μを小さくすることにより、口金部11の応力が減少することが確認できる。
また、図4は、上記実施の形態のように口金部11の表面に固体潤滑コーティングAを施した場合のタンク(本発明のタンク)と、固体潤滑コーティングAを施さない場合のタンク(従来のタンク)の口金部11にかかる応力を比較したものである。図4に示すように、本発明の高圧タンク2は、口金部11にかかる応力を従来のタンクの40%程度に低減できる。
以上のデータから、口金部11の凹み部11bの表面に固体潤滑コーティングAを施すことにより、口金部11にかかる応力を大幅に低減できることが確認できる。
なお、上記実施の形態では、口金部11の凹み部11bの全面に固体潤滑コーティングを施していたが、その一部に施してもよい。また、固体潤滑コーティングAは、凹み部11bと接触する部分のFRP層21の表面(表面のみ)に施してもよい。なお、この例では、固体潤滑コーティングAが施されたFRP層21の表面は、FRP層21の他の部分に比べて摩擦係数が小さくなる。
前記実施の形態では、口金部11とタンク本体10のFRP層21との接触部の摩擦を低減する摩擦低減手段として、固体潤滑コーティングAを用いていたが、例えば図5に示すように、口金部11の凹み部11bの表面Bの表面粗度を他の部分よりも低く設定してもよい。かかる場合も、口金部11とFRP層21との摩擦が低減するので、口金部11にかかる応力が低減され、高圧タンク2の耐久性及び強度を向上できる。なお、かかる場合も、凹み部11bの表面Bの一部の表面粗度を低くしてもよい。
さらに、上記実施の形態における摩擦低減手段が、口金部11の接触部に高圧タンク2の長手方向に向かって形成された溝であってもよい。かかる場合、例えば図6に示すように口金部11の凹み部11bの表面に、軸方向に沿った溝70が形成される。この溝70は、例えば図7に示すように口金部11の外周面の周方向に沿って複数本並べて形成される。かかる場合、口金部11とFRP層21との接触面積が減るので、その間の摩擦が低減される。また、タンク本体10に内圧がかかった場合に、FRP層21の先端部は、軸方向に動こうとするので、溝70を軸方向に向けて形成することにより、FRP層21の動きを妨げずに低摩擦でFRP層21を動かすことができる。
また、上記実施の形態における摩擦低減手段は、図8に示すように口金部11とFRP層21との間に介在された潤滑油などの潤滑剤Cであってもよい。かかる場合も、口金部11とFRP層21との摩擦が低減されるので、口金部11にかかる応力が低減され、高圧タンク2の耐久性及び強度を向上できる。また、FRP層21の摩耗も防止できるので、タンク本体10の耐久性も向上できる。
ここで、本発明の別の実施の形態について説明する。本実施の形態における高圧タンク2は、例えば図9に示すように口金部11の突出部11cの後方側に、高圧タンク2の中心軸に対して環状の凹み部11eが形成されている。凹み部11eは、中心軸側に凸に湾曲した(凹んだ)R形状になっている。ライナー20の折返し部30は、口金部11側の突出部11c、凹み部11eの外周面に沿って形成されている。
FRP層21は、口金部11側の先端が口金部11の凹み部11bに入り込んで接触している。FRP層21は、全体が樹脂繊維層であって、高結晶性の炭素繊維により構成されている。なお、高圧タンク2の他の部分の構成は、上記実施の形態と同様であり、説明を省略する。
本実施の形態によれば、FRP層21が、強度特性、摺動性等に優れた高結晶性の炭素繊維により構成されているので、高圧タンク2を長期間使用しても、FRP層21の劣化が抑えられ口金部11とFRP層21との間の接触部の摩擦係数の増加を抑制できる。この結果、長時間使用による口金部11にかかる応力の増加が抑えられ、口金部11に過度の応力がかからないので、高圧タンク2の耐久性を向上できる。
なお、本実施の形態における高圧タンク2に、上述の実施の形態の摩擦低減手段(固体潤滑コーティングA、溝70及び潤滑剤C)を設けてもよい。かかる場合、摩擦低減手段により口金部11にかかる応力を低減できるうえ、長期使用によるその応力の増加も防止できる。したがって、高圧タンク2の耐久性をさらに上げることができる。
また、本実施の形態では、口金部11に2つの凹み部11b、11eが形成されている。この口金部11の形状は、各種摩擦低減手段を備えた上述の実施の形態の口金部11に適用してもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に相到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上の実施の形態では、口金部11とタンク本体10のFRP層21との接触部の摩擦を低減していたが、口金部11とタンク本体10のライナー20との接触部の摩擦を低減してもよい。かかる場合も、FRP層21の場合と同様に口金部11にかかる応力を低減できるので、高圧タンク2の耐久性及び強度を向上できる。また、以上の実施の形態で記載したタンク本体10の壁層の構造は、ライナー20とFRP層21の二重構造に限られず、他の構造であってもよい。
2 タンク
10 タンク本体
11 口金部
11b 凹み部
20 ライナー
21 FRP層
A 固体潤滑コーティング

Claims (6)

  1. 口金部と、当該口金部に接触したタンク本体の壁層を有するタンクであって、
    前記口金部とタンク本体の壁層との接触部の摩擦を低減する摩擦低減手段を有し、
    前記摩擦低減手段は、表面粗度が他の部分よりも低く設定された前記口金部の接触部の表面であることを特徴とする、タンク。
  2. 口金部と、当該口金部に接触したタンク本体の壁層を有するタンクであって、
    前記口金部とタンク本体の壁層との接触部の摩擦を低減する摩擦低減手段を有し、
    前記口金部は、前記タンクの長手方向の端部に設けられ、
    前記摩擦低減手段は、前記口金部の接触部にタンクの長手方向に向けて形成された溝であることを特徴とする、タンク。
  3. 口金部と、当該口金部に接触したタンク本体の壁層を有するタンクであって、
    前記口金部とタンク本体の壁層との接触部の摩擦を低減する摩擦低減手段を有し、
    前記摩擦低減手段は、前記口金部とタンク本体の壁層との間に介在された潤滑剤であることを特徴とする、タンク。
  4. 前記タンク本体は、内壁層と、その内壁層を覆う外壁層とを有し、
    前記接触部は、前記口金部と前記タンク本体の外壁層との接触部であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のタンク。
  5. 前記タンク本体の外壁層は、樹脂繊維層であることを特徴とする、請求項4に記載のタンク。
  6. 前記樹脂繊維層は、高結晶性の炭素繊維により構成されていることを特徴とする、請求項5に記載のタンク。
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