JP6098270B2 - 高圧ガスタンク - Google Patents

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Description

本発明は、高圧ガスタンクに関する。
高圧ガスタンクは、両端にドーム部を有するライナーをコア材とし、カーボン繊維強化プラスチックや、ガラス繊維強化プラスチック(以下、これらを総称して、繊維強化樹脂層と呼ぶ)で被覆される。また、タンク内のガスの供給或いはタンク内へのガス充填のため、ライナーはドーム部頂上に口金を装着している。通常、ライナーは、軽量化の観点から、ガスバリア性を有する樹脂製の中空容器とされ、口金は、金属成形品、例えば軽量なアルミニウムまたはその合金とされている。こうした構成の高圧ガスタンクでは、繊維強化樹脂層と口金とで電極電位が相違することにより、腐食が起きえ、こうした腐食により口金が固着することも危惧される。このため、腐食防止や固着防止を図るべく、口金にアルマイト処理を施して金属酸化皮膜層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2008−144943号公報
金属酸化皮膜層により腐食が防止され、口金の潤滑性をもたらして固着防止を図ることができるものの、燃料ガスの高圧充填の過程において、場合によっては、異音が発生することがあった。こうした異音は、例えば高圧ガスタンクを搭載した車両の乗員に違和感を与えかねない。この他、異音抑制を図る上での簡便化やコスト低下も要請されている。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、高圧ガスタンクが提供される。この高圧ガスタンクは、両端にドーム部を有するライナーと、フランジ部と該フランジ部から突出した突出部とを有し、前記フランジ部が前記ドーム部で支えられた状態で前記突出部をタンク外側まで延ばす口金と、前記ライナーの外表全域を被覆すると共に、前記口金の前記フランジ部についても被覆する被覆部とを備え、前記口金は、前記被覆部にて被覆される前記フランジ部の表面にアルマイト処理を経て形成された金属酸化皮膜層を備え、該金属酸化皮膜層を介在させた前記フランジ部と前記被覆部との間の摩擦係数は、0.17以下とされている。上記形態の高圧ガスタンクでは、フランジ部とこれを被覆する被覆部との間の摩擦係数を、アルマイト処理を経て形成された金属酸化皮膜層により0.17以下と極小さくすることで、フランジ部とこれを被覆する被覆部との間において、フランジ部と被覆部とが滑りとその停止を繰り返さないようにでき、スティックスリップ現象の発生を抑制できる。この結果、燃料ガスの高圧充填の過程における異音の発生についても、これを抑制できる。また、アルマイト処理を経た金属酸化皮膜層の形成という簡便な手法で、異音発生を抑制でき、コスト的に有益となる。この場合、摩擦係数の下限は、アルマイト処理を経て形成された金属酸化皮膜層の状況によって規定され、実現可能な下限値であればよい。
(2)上記した形態の高圧ガスタンクにおいて、前記金属酸化皮膜層は、その皮膜硬さHvがヴィッカース硬度で270以上となるように前記アルマイト処理にて形成され、前記金属酸化皮膜層の皮膜表面粗さRzは0<Rz<0.02Hv−5.4を満たす粗さとされているようにできる。こうすれば、金属酸化皮膜層の皮膜硬さHvと皮膜表面粗さRzの調整により、上記の摩擦係数を0.17以下とできるので、燃料ガスの高圧充填の過程における異音の発生を簡便に抑制できる。
(3)上記した形態の高圧ガスタンクにおいて、前記皮膜硬さHvがヴィッカース硬度で340〜380の範囲とされているようにできる。こうすれば、金属酸化皮膜層の皮膜表面粗さRzを細かい側の粗さとすることで、摩擦係数についても小さくなる。よって、口金の被覆領域の部位と被覆部との間において摩擦力が局所的に高まることが防止でき、これを通して、燃料ガスの高圧充填の過程における異音の発生抑制の実効性が高まる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、高圧ガスタンクの製造方法や、高圧ガスタンクをガス消費機器としての燃料電池と共に搭載した車両等の態様で実現することができる。
本発明の実施形態としての高圧ガスタンク100の構成を断面図および要部拡大断面図にて示す説明図である。 高圧ガスタンク100の製造工程の前半を示す説明図である。 高圧ガスタンク100の製造工程の後半を示す説明図である。 静寂性能の測定の概要と測定サンプルごとのアルマイト処理層40の性状を示す説明図である。 アルマイト処理層40の性状が相違するサンプルS1〜S7ごとの静寂性の試験結果を静摩擦係数と対応付けて示すグラフである。 サンプルS1〜S7ごとのアルマイト処理層40における硬度と表面粗さとの関係を静寂性の試験結果を合わせて示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態としての高圧ガスタンク100の構成を断面図および要部拡大断面図にて示す説明図である。
図示するように、高圧ガスタンク100は、ライナー10を繊維強化樹脂層16で被覆して構成され、ライナー両端から口金20と口金30とを突出させている。ライナー10は、中空のタンク容器であり、タンク長手方向の中央で2分割された一対のライナーパーツの接合品である。2分割のライナーパーツは、それぞれナイロン系樹脂等の適宜な樹脂にて型成型され、その型成型品のライナーパーツを接合してその接合箇所をレーザー融着することで、ライナー10が形成される。このパーツ接合を経て、ライナー10は、円筒状のシリンダー部11の両側に球面形状のドーム部12を備えることになる。このライナー10は、ドーム部12の頂上箇所、即ちライナー10の軸線に沿った長手方向端部に、口金20或いは口金30の装着用の陥没台座部12aを備え、その中央に貫通孔12bを有する。この貫通孔12bは、ライナー軸線CXと一致して形成され、口金20および口金30の位置決め孔として機能する。
口金20は、アルミニウムまたはその合金といった軽量金属で形成され、陥没台座部12aに入り込む口金フランジ21と、当該フランジからドーム部頂上側に突出してタンク外部まで延びる口金本体22と、口金フランジ21からライナー中央に突出した凸部23と、バルブ接続孔24と、シール用のOリング26とを備える。口金20は、陥没台座部12aに口金フランジ21を入り込ませた状態で、凸部23を貫通孔12bに嵌合させ、ライナー10に対して位置決めされた上で装着される。バルブ接続孔24は、口金20の中央を貫通し、その開口側に配管接続用の高圧シール仕様のテーパネジ部を有する。口金30にあっても、口金20と同様、口金フランジ31と、口金本体32と、凸部33と、バルブ接続孔34と、Oリング36とを備え、陥没台座部12aに口金フランジ31を入り込ませた状態で、凸部33と貫通孔12bとで位置決めされてライナー10に装着される。バルブ接続孔34は、口金本体32の側のバルブ接続孔34を閉塞した有底孔として備え、ライナー中央側では、軽量化等のための有底孔が空けられている。上記した口金20と口金30とは、繊維強化樹脂層16等の形成のための繊維巻回の際の回転軸装着にも用いられる。
繊維強化樹脂層16は、熱硬化性樹脂を含浸した繊維強化樹脂層をフィラメントワインディング方法(以下、FW法)によりライナー外周に巻回させることで形成され、後述するように、繊維巻回の際には、フープ巻きによる繊維巻回と低角度・高角度のヘリカル巻きによる繊維巻回とが使い分けられる。こうした繊維巻回の使い分けにより、繊維強化樹脂層16は、ライナー10におけるシリンダー部11およびドーム部12の外表全域を被覆すると共に、ドーム部12を覆うよう形成された口金側部位16cにて、口金20の口金フランジ21の外表から口金本体22の外表に掛けての口金被覆領域Gr(図2参照)、および口金30の口金フランジ31の外表から口金本体32の外表に掛けての口金被覆領域Gr(図2参照)についても被覆する。繊維強化樹脂層16の形成には、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いることが一般的であるが、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、FW法によりライナー外周に巻回させる補強用の繊維(スライバー繊維)としては、ガラス繊維やカーボン繊維、アラミド繊維等が用いられる他、複数種類(例えば、ガラス繊維とカーボン繊維)のFW法による巻回を順次行うことで、繊維強化樹脂層16を異なる繊維からなる樹脂層を積層させて形成することもできる。
この他、高圧ガスタンク100は、繊維強化樹脂層16の口金側部位16cにて被覆された上記の口金被覆領域Grに、アルマイト処理層40を備え、このアルマイト処理層40を、口金20の口金フランジ21と繊維強化樹脂層16の口金側部位16cとの間、および口金30の口金フランジ31と繊維強化樹脂層16の口金側部位16cとの間に介在させる。アルマイト処理層40の形成およびその性状については、後述する。
次に、上記した高圧ガスタンク100の製造手法について説明する。図2は高圧ガスタンク100の製造工程の前半を示す説明図、図3は高圧ガスタンク100の製造工程の後半を示す説明図である。まず、口金20と口金30とをアルマイト処理に処する(ステップS10)。例えば、硫酸アルマイト処理機器、しゅう酸アルマイト処理機器、クロム酸アルマイト処理機器等の適宜な処理機器を用いて、口金20と口金30とをアルマイト処理し、アルマイト処理層40を形成する。本実施形態では、口金20へのアルマイト処理層40の形成は、口金20の口金フランジ21の外表から口金本体22の外表に掛けての口金被覆領域Grにおいてなされる。つまり、この口金被覆領域Grに含まれない口金20の表面、例えば、ドーム部12の陥没台座部12aの底面と接合する口金フランジ21の裏面領域や、凸部23の外表面領域、バルブ接続孔24の内周壁面領域においても、アルマイト処理層40を形成しても良い。この場合であっても、図2において二点鎖線で取り囲んだOリング26の装着溝と、バルブ接続孔24におけるバルブシール用の周壁面とについては、アルマイト処理の際にマスキングを施し、Oリング装着溝とバルブ接続孔24におけるバルブシール用の周壁面とには、アルマイト処理層40を形成しないことが望ましい。
こうして形成されたアルマイト処理層40は、口金フランジ21から口金本体22に掛けての口金被覆領域Grにおいて、後述の繊維強化樹脂層16の口金側部位16cとの間に介在する。そして、このアルマイト処理層40は、口金フランジ21と口金側部位16cとの間の摩擦係数を0.17以下とする。口金30の側にあっても同様である。摩擦係数とアルマイト処理層40の性状との関係については、後述する。
口金のアルマイト処理に続いては、ライナー10を準備する(ステップS20)。つまり、アルマイト処理済みの口金20と口金30とをドーム部12に組み付ける。具体的には、図示するように、ドーム部12の陥没台座部12aに、口金20の口金フランジ21、口金30の口金フランジ31を入り込ませた上で、ドーム部12の貫通孔12bに各口金の凸部23、凸部33を嵌合させる。これにより、各口金は、ドーム部12に位置決めされてドーム部12に装着され、口金20と口金30とを両端のドーム部頂上に有するライナー10が得られる。こうして得られたライナー10では、そのドーム部12において、上記の口金被覆領域Grに亘ってアルマイト処理層40が露出する。
こうしてライナー10が得られると、図3に示すように、ライナー10の外周に、FW法によって、繊維強化樹脂層16を形成する(ステップS30)。具体的には、得られたライナー10を、その両端の口金20と口金30とを用いて回転させつつ、エポキシ樹脂EPを含浸させたカーボン繊維ECFを、ライナー10の周囲に繰り返し巻回する。このカーボン繊維ECFの巻回に際しては、ライナー10におけるシリンダー部11の外周範囲に亘るフープ巻きによる繊維巻回と、ドーム部12の外周範囲に亘る低角度・高角度のヘリカル巻きによる繊維巻回とが使い分けられ、ライナー10の回転速度や繊維送り出し速度についても調整される。その後、エポキシ樹脂を含浸させたカーボン繊維ECFを、ライナー10の周囲に巻き付けたものを、加熱炉にて加熱して、エポキシ樹脂を硬化させる(ステップS40)。エポキシ樹脂が硬化すると、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:カーボン繊維強化プラスチック)から成る繊維強化樹脂層16が形成され、高圧ガスタンク100が完成する。この場合、ライナー10の両端のドーム部12では、ドーム部12の外周範囲に亘る低角度・高角度のヘリカル巻きによる繊維巻回により口金側部位16c(図1参照)が形成され、繊維強化樹脂層16は、この口金側部位16cにて口金20の口金フランジ21および口金30の口金フランジ31を、口金被覆領域Grに亘ってアルマイト処理層40を介在させて被覆する。なお、繊維強化樹脂層16を形成する場合に、加熱炉に代わり、高周波誘導加熱を誘起する誘導加熱コイルを用いて誘導加熱手法を用いることができる。この高周波誘導加熱では、速やかな熱硬化性樹脂の昇温を図ることができる。
次に、本実施形態の高圧ガスタンク100についての性能評価について説明する。図4は静寂性能の測定の概要と測定サンプルごとのアルマイト処理層40の性状を示す説明図である。図示するように、サンプルS1〜S7は、高圧ガスタンク100の製造工程において、口金20と口金30とにアルマイト処理を経て形成したアルマイト処理層40の性状が相違する。アルマイト処理層40の性状を示す硬度(ビッカース硬度)や表面粗さは、アルマイト処理機器での処理温度や時間、処理溶液濃度、圧力等を調整することで、種々の値として得られる。つまり、ステップS10での処理条件を変えつつ、その性状が図4のように相違した高圧ガスタンク100のサンプルS1〜S7を作成した。そして、作成した各サンプルS1〜S7について、静摩擦係数を次のように求めた。各サンプルごとの硬度と表面粗さとを有するアルマイト処理層40を口金側部位16cと両口金との間に介在させた状況を再現した模擬試験片を準備し、この模擬試験片に引っ張り荷重を掛けた際に得られた静摩擦係数を求めた。この模擬試験片は、アルマイト処理層40の性状が図4のように異なる上記のサンプルS1〜S7に対応する。サンプルS1〜S7のタンクに、水素ガス高圧充填装置GSから水素ガスを高圧充填する。この際の充填は、いわゆる水素ガスステーションにおいて、タンク残圧がほぼゼロの状態から高圧満充填までなされるガス充填を再現した。そして、水素ガス高圧充填装置GSからの水素ガス充填の過程で口金20と口金30の周辺で発生する音をマイクロホンMで集音して、騒音測定装置NSにて測定した。図5はアルマイト処理層40の性状が相違するサンプルS1〜S7ごとの静寂性の試験結果を静摩擦係数と対応付けて示すグラフである。
図5に示す測定結果は、高圧ガスタンク100として製造した後のサンプルS1〜S7のそれぞれに対して数回程度の水素ガスの高圧満充填を繰り返した際の騒音結果であり、静摩擦係数が0.17を超えるサンプルS3〜S7では、静寂性が不良とされる騒音レベル(40db)を大きく超えた80db以上の騒音を発生させた。この騒音は、アルマイト処理層40を形成することなく製造した高圧ガスタンクが発する100db以上の甲高い金属衝撃音に比べると小さいものの、例えばタンク搭載車両の乗員に違和感を与えかねない騒音レベルとなる。
高圧満充填に伴う異音は、以下に記す、スティックスリップ現象に起因して発生すると言える。高圧ガスタンク100への高圧充填の過程において、ガス圧による拡張力は、口金20と口金30をタンク軸方向に沿って移動するよう作用し、これら口金を被覆する繊維強化樹脂層16については、これをタンク軸から遠ざかるよう拡張させる。このため、口金装着箇所での摩擦低減が不足していると、上記のように口金に作用する力と繊維強化樹脂層16を拡張させる力が口金装着箇所での摩擦力に勝った際に、口金と繊維強化樹脂層16との間で滑りが起きる。繊維強化樹脂層16それ自体は、樹脂にて補強されている故に、その形状を維持しようとするので、上記の滑りはごく僅かで治まるものの、ガス圧の上昇に伴い拡張力が大きくなると、再び滑りとその停止とが繰り返される。よって、滑りとその停止の繰り返しにより、口金と繊維強化樹脂層16との間でスティックスリップ現象が起き得る。そして、このスティックスリップ現象により、水素ガスの高圧充填の過程で異音が発生する。つまり、アルマイト処理層40の硬度と表面粗さとで規定される静摩擦係数が0.17を超えるサンプルS3〜S7では、摩擦係数が十分に小さくないので、水素ガスの高圧充填の過程でスティックスリップ現象が起きて異音が発生する。
これに対し、静摩擦係数が0.17以下のサンプルS1〜S2では、異音の発生は観察されなかった。よって、高圧満充填の過程においてタンク内のガス圧の上昇に伴う拡張力が働いても、低摩擦化をもたらすアルマイト処理層40の存在により、繊維強化樹脂層16の口金側部位16cと口金20の口金フランジ21或いは口金30の口金フランジ31との間の摩擦係数が小さくなって、口金側部位16cと口金フランジ21或いは口金フランジ31との間で円滑に滑りが起こり、スティックスリップ現象が発生しなかったと推考される。これらのことから、図5に示すように、口金フランジ21或いは口金フランジ31を被覆する口金側部位16cとの間の摩擦係数を、アルマイト処理層40にて0.17以下と極小さくすることで、口金フランジ21或いは口金フランジ31とこれを被覆する口金側部位16cとの間において、スティックスリップ現象の発生を抑制できる。この結果、本実施形態の高圧ガスタンク100によれば、水素ガスの高圧充填の過程における異音の発生を抑制できる。また、アルマイト処理を経たアルマイト処理層40の形成という簡便な手法で、異音発生を抑制でき、低コスト化を図ることができる。
高圧ガスタンク100への水素ガスの高圧満充填は、タンク耐用期間において数十回以上は、繰り返され、その都度に起きる口金側部位16cと口金フランジ21或いは口金フランジ31との滑りが起きてアルマイト処理層40の剥離が想定される。ところが、こうした剥離は、アルマイト処理層40の硬度を高めること、具体的にはアルマイト処理条件の調整により抑制できる。つまり、アルマイト処理層40の硬度を高めることで、タンク耐用期間における高圧満充填が繰り返されても、摩擦係数の増大を抑制して、異音の発生を継続的に抑制できる。
次に、静摩擦係数が0.17以下となるアルマイト処理層40を口金20と口金30に形成する際の制御手法について説明する。図6はサンプルS1〜S7ごとのアルマイト処理層40における硬度と表面粗さとの関係を静寂性の試験結果を合わせて示す説明図である。図示するように、静寂性不良(NG)とされたサンプルS3〜S7と、静寂性良好(OK)とされたサンプルS1〜S2とを、硬度を変数とする表面粗さの1次の関数fにて区画できる。表面粗さを硬度(Hv)で規定するこの関数fは、図5の縦横数値から、その傾きkは、0.02(=(2.75−0.75)/(420−320))となり、f=0.02・Hv+bと表される。この関数式に、図5において対となる表面粗さと硬度を代入すると、b=−5.4となる。関数fで得られた表面粗さは、アルマイト処理層40のものであることから、当然に自然数となる。よって、アルマイト処理層40の形成に当たり、その硬度(Hv)が270以上となるように、アルマイト処理を制御すればよい。つまり、アルマイト処理層40の硬度Hvと表面粗さRzが上記の関数fの軌跡より下方領域に収まるようにアルマイト処理条件を調整することで、アルマイト処理層40の摩擦係数を0.17以下とできる。このことから、本実施形態の高圧ガスタンク100によれば、水素ガスの高圧充填の過程における異音の発生を簡便に抑制できる。
この場合、口金20と口金30とについて形成済みのアルマイト処理層40において、表面粗さが関数fの軌跡より上方領域にあれば、砥石や研磨材等にてアルマイト処理層40の表面粗さを小さくし、関数fの軌跡より下方領域に収まるようにしてもよい。
また、図6に示すように、アルマイト処理層40の硬度(ヴィッカース硬度)Hvが340〜380の範囲であると、当該範囲には、異音の発生を起こさないサンプルS1〜S2が含まれる。そして、アルマイト処理層40の硬度Hvが340〜380の範囲であれば、表面粗さは、上記の関数fの軌跡より下方領域に収まる細かい側の粗さとなり、摩擦係数についても小さくできる。このため、口金20或いは口金30が口金側部位16cで被覆されるフランジ21、口金フランジ31と口金側部位16cとの間において摩擦力が局所的に高まることが防止でき、これを通して、水素ガスの高圧充填の過程における異音の発生をより確実に抑制できる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記の実施形態では、口金20の口金フランジ21の外表から口金本体22の外表に掛けての口金被覆領域Grに亘ってアルマイト処理層40を形成したが、次のようにしてもよい。水素ガスの高圧満充填に伴う拡張力は、繊維強化樹脂層16の口金側部位16cについては、当該部位をライナー軸線CXから遠ざかるよう作用する。よって、口金被覆領域Grのうちで、と口金フランジ21或いは口金フランジ31との間で円滑に滑りが起こり、口金本体22の外表では、口金側部位16cの口金側の先端部位が本体外表から離れようとする。このため、口金本体22の外表の範囲では、当該外表に沿った口金側部位16cの滑りという現象は、口金フランジ21の外表に比べればさほど起きない。こうしたことから、アルマイト処理層40については、口金20の口金フランジ21の外表から口金本体22の外表に掛けての口金被覆領域Grのうち、少なくとも口金フランジ21の外表領域に形成されればよい。
また、アルマイト処理により形成したアルマイト処理層40の表面に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene, )や、MoS2(二酸化モリブデン)といた皮膜を形成して、表面粗さを調整しても良い。
10…ライナー
11…シリンダー部
12…ドーム部
12a…陥没台座部
12b…貫通孔
16…繊維強化樹脂層
16c…口金側部位
20…口金
21…口金フランジ
22…口金本体
23…凸部
24…バルブ接続孔
26…Oリング
30…口金
31…口金フランジ
32…口金本体
33…凸部
34…バルブ接続孔
36…Oリング
40…アルマイト処理層
100…高圧ガスタンク
CX…ライナー軸線
Gr…口金被覆領域
f…関数
ECF…カーボン繊維
EP…エポキシ樹脂
GS…水素ガス高圧充填装置
NS…騒音測定装置
M…マイクロホン

Claims (2)

  1. 高圧ガスタンクであって、
    両端にドーム部を有するライナーと、
    フランジ部と該フランジ部から突出した突出部とを有し、前記フランジ部が前記ドーム部で支えられた状態で前記突出部をタンク外側まで延ばす口金と、
    前記ライナーの外表全域を被覆すると共に、前記口金の前記フランジ部についても被覆する被覆部とを備え、
    前記口金は、前記被覆部にて被覆される前記フランジ部の表面にアルマイト処理を経て形成された金属酸化皮膜層を備え、
    該金属酸化皮膜層を介在させた前記フランジ部と前記被覆部との間の摩擦係数は、0.17以下とされ、
    前記金属酸化皮膜層は、その皮膜硬さHvがヴィッカース硬度で270以上となるように前記アルマイト処理にて形成され、前記金属酸化皮膜層の皮膜表面粗さRzは0<Rz<0.02Hv−5.4を満たす粗さとされている
    高圧ガスタンク。
  2. 前記皮膜硬さHvがヴィッカース硬度で340〜380の範囲とされている請求項1に記載の高圧ガスタンク。
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