JP2014185710A - 高圧ガスタンク - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料ガスの高圧充填の過程における異音の発生を抑制する。
【解決手段】高圧ガスタンク100は、ライナー10のドーム部12の頂上に口金20と口金30を装着して備え、繊維強化樹脂層16にて、ライナー10の外表全域を被覆すると共に、口金20の口金フランジ21および口金30の口金フランジ31についても、繊維強化樹脂層16の口金側部位16cで被覆する。口金フランジ21および口金フランジ31は、口金側部位16cにより被覆される領域にグリス塗布層40を介在させて被覆され、フランジ部と口金側部位16cとの間の摩擦係数は、0.17以下とされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、高圧ガスタンクに関する。
高圧ガスタンクは、両端にドーム部を有するライナーをコア材とし、カーボン繊維強化プラスチックや、ガラス繊維強化プラスチック(以下、これらを総称して、繊維強化樹脂層と呼ぶ)で被覆される。また、タンク内のガスの供給或いはタンク内へのガス充填のため、ライナーはドーム部頂上に口金を装着している。通常、ライナーは、軽量化の観点から、ガスバリア性を有する樹脂製の中空容器とされ、口金は、金属成形品、例えば軽量なアルミニウムまたはその合金とされている。こうした構成の高圧ガスタンクは、燃料ガスの高圧充填の過程において、或いは高圧でガスを貯留している過程において、タンク内のガス圧により拡張力を受ける。この拡張力は、タンク各部位に応力を掛け、異なる部材が接合された箇所である口金装着部位において、口金に過度の応力が掛かることが有り得る。このため、口金に掛かる応力緩和を図って耐久性を高めるべく、口金装着箇所での摩擦を低減することが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2009−192078号公報
摩擦低減によりタンク耐久性は高まるものの、燃料ガスの高圧充填の過程において、場合によっては、異音が発生することがあった。こうした異音は、例えば高圧ガスタンクを搭載した車両の乗員に違和感を与えかねない。この他、異音抑制を図る上での簡便化やコスト低下も要請されている。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、高圧ガスタンクが提供される。この高圧ガスタンクは、両端にドーム部を有するライナーと、フランジ部と該フランジ部から突出した突出部とを有し、前記フランジが前記ドーム部で支えられた状態で前記突出部をタンク外側まで延ばす口金と、前記ライナーの外表全域を被覆すると共に、前記口金の前記フランジ部についても被覆する被覆部とを備え、前記フランジ部と前記被覆部との間の摩擦係数は、0.17以下とされている。上記形態の高圧ガスタンクでは、フランジ部とこれを被覆する被覆部との間の摩擦係数を0.17以下と極小さくすることで、フランジ部とこれを被覆する被覆部との間において、フランジ部と被覆部とが滑りとその停止を繰り返さないようにでき、スティックスリップ現象の発生を抑制できる。この結果、燃料ガスの高圧充填の過程における異音の発生についても、これを抑制できる。
(2)上記した形態の高圧ガスタンクにおいて、前記フランジ部は、前記被覆部により被覆される領域にグリスを介在させて前記被覆部にて被覆されることで、前記摩擦係数を0.17以下とするようにできる。こうすれば、グリス介在という簡便な手法で、異音発生を抑制でき、コスト的に有益となる。この場合、摩擦係数の下限は、グリス介在の状況によって規定され、実現可能な下限値であればよい。
(3)上記した形態の高圧ガスタンクにおいて、前記グリスは、0.6mg/cm2以上の塗布量で塗布されて、前記フランジ部が前記被覆部で被覆される領域に介在するようにできる。こうすれば、グリス塗布の際の塗布量管理により、上記の摩擦係数を0.17以下とできるので、燃料ガスの高圧充填の過程における異音の発生を簡便に抑制できる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、高圧ガスタンクの製造方法や、高圧ガスタンクをガス消費機器としての燃料電池と共に搭載した車両等の態様で実現することができる。
本発明の実施形態としての高圧ガスタンク100の構成を断面図および要部拡大断面図にて示す説明図である。 高圧ガスタンク100の製造工程の前半を示す説明図である。 高圧ガスタンク100の製造工程の後半を示す説明図である。 静寂性能の測定の概要を示す説明図である。 グリス塗布層40におけるグリス塗布量を変えた場合の各グリス塗布量を示す説明図である。 グリス塗布層40に代わるアルマイト処理層の静摩擦係数が相違する模擬タンクMT1〜Mt5ごとの静寂性の試験結果を静摩擦係数と対応付けて示すグラフである。 口金当たりのグリス塗布量を単位面積当たりの塗布量に変換した上で塗布量と静摩擦係数との関係を示す説明図である。 想定繰り返し回数まで高圧満充填を繰り返す耐久試験後の単位面積当たりの塗布量と静摩擦係数との関係を示す説明図である。 図8で得られたサンプル1〜3についての初期状態と耐久試験後の静摩擦係数を図6に示した静摩擦係数と騒音との関係に展開したグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態としての高圧ガスタンク100の構成を断面図および要部拡大断面図にて示す説明図である。
図示するように、高圧ガスタンク100は、ライナー10を繊維強化樹脂層16で被覆して構成され、ライナー両端から口金20と口金30とを突出させている。ライナー10は、中空のタンク容器であり、タンク長手方向の中央で2分割された一対のライナーパーツの接合品である。2分割のライナーパーツは、それぞれナイロン系樹脂等の適宜な樹脂にて型成型され、その型成型品のライナーパーツを接合してその接合箇所をレーザー融着することで、ライナー10が形成される。このパーツ接合を経て、ライナー10は、円筒状のシリンダー部11の両側に球面形状のドーム部12を備えることになる。このライナー10は、ドーム部12の頂上箇所、即ちライナー10の軸線に沿った長手方向端部に、口金20或いは口金30の装着用の陥没台座部12aを備え、その中央に貫通孔12bを有する。この貫通孔12bは、ライナー軸線CXと一致して形成され、口金20および口金30の位置決め孔として機能する。
口金20は、アルミニウムまたはその合金といった軽量金属で形成され、陥没台座部12aに入り込む口金フランジ21と、当該フランジからドーム部頂上側に突出してタンク外部まで延びる口金本体22と、口金フランジ21からライナー中央に突出した凸部23と、バルブ接続孔24を備える。口金20は、陥没台座部12aに口金フランジ21を入り込ませた状態で、凸部23を貫通孔12bに嵌合させ、ライナー10に対して位置決めされた上で装着される。バルブ接続孔24は、口金20の中央を貫通し、その開口側に配管接続用の高圧シール仕様のテーパネジ部を有する。口金30にあっても、口金20と同様、口金フランジ31と、口金本体32と、凸部33と、バルブ接続孔34を備え、陥没台座部12aに口金フランジ31を入り込ませた状態で、凸部33と貫通孔12bとで位置決めされてライナー10に装着される。バルブ接続孔34は、口金本体32の側のバルブ接続孔34を閉塞した有底孔として備え、ライナー中央側では、軽量化等のための有底孔が空けられている。上記した口金20と口金30とは、繊維強化樹脂層16等の形成のための繊維巻回の際の回転軸装着にも用いられる。
繊維強化樹脂層16は、熱硬化性樹脂を含浸した繊維強化樹脂層をフィラメントワインディング方法(以下、FW法)によりライナー外周に巻回させることで形成され、後述するように、繊維巻回の際には、フープ巻きによる繊維巻回と低角度・高角度のヘリカル巻きによる繊維巻回とが使い分けられる。こうした繊維巻回の使い分けにより、繊維強化樹脂層16は、ライナー10におけるシリンダー部11およびドーム部12の外表全域を被覆すると共に、ドーム部12を覆うよう形成された口金側部位16cにて、口金20の口金フランジ21の外表から口金本体22の外表に掛けての口金被覆領域Gr(図2参照)、および口金30の口金フランジ31の外表から口金本体32の外表に掛けての口金被覆領域Gr(図2参照)についても被覆する。繊維強化樹脂層16の形成には、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いることが一般的であるが、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、FW法によりライナー外周に巻回させる補強用の繊維(スライバー繊維)としては、ガラス繊維やカーボン繊維、アラミド繊維等が用いられる他、複数種類(例えば、ガラス繊維とカーボン繊維)のFW法による巻回を順次行うことで、繊維強化樹脂層16を異なる繊維からなる樹脂層を積層させて形成することもできる。
この他、高圧ガスタンク100は、繊維強化樹脂層16の口金側部位16cにて被覆された上記の口金被覆領域Grに、グリス塗布層40を備え、このグリス塗布層40を、口金20の口金フランジ21と繊維強化樹脂層16の口金側部位16cとの間、および口金30の口金フランジ31と繊維強化樹脂層16の口金側部位16cとの間に介在させる。グリス塗布層40の形成については、後述する。
次に、上記した高圧ガスタンク100の製造手法について説明する。図2は高圧ガスタンク100の製造工程の前半を示す説明図、図3は高圧ガスタンク100の製造工程の後半を示す説明図である。まず、ライナー10を準備する(ステップS10)。ライナー10の準備に当たっては、口金20と口金30とをドーム部12に組み付ける。具体的には、図1の拡大断面図に示すように、ドーム部12の陥没台座部12aに、口金20の口金フランジ21、口金30の口金フランジ31を入り込ませた上で、ドーム部12の貫通孔12bに各口金の凸部23、凸部33を嵌合させる。これにより、各口金は、ドーム部12に位置決めされてドーム部12に装着され、口金20と口金30とを両端のドーム部頂上に有するライナー10が得られる。
次いで、ライナー10を、その両端の口金20と口金30で支えながら低速で回転させ、グリスを図示しない塗布機器にて塗布する(ステップS20)。このグリス塗布は、口金20の口金フランジ21の外表から口金本体22の外表に掛けての口金被覆領域Grにおいてなされ、グリスは、この口金被覆領域Grに0.6mg/cm2以上の塗布量で塗布される。こうしたグリス塗布により、グリス塗布層40が形成され、このグリス塗布層40は、ライナー10のドーム部12の頂上部において、口金フランジ21から口金本体22に掛けての口金被覆領域Grに亘って露出する。繊維強化樹脂層16の形成後には、グリス塗布層40は、口金20の口金フランジ21と後述の口金側部位16cとの間に介在する。そして、口金フランジ21と口金側部位16cとの間の摩擦係数は、0.17以下とされる。口金30の側にあっても同様である。グリス塗布量と摩擦係数との関係については、後述する。
こうしてライナー10が得られると、図3に示すように、ライナー10の外周に、FW法によって、繊維強化樹脂層16を形成する(ステップS30)。具体的には、得られたライナー10を、その両端の口金20と口金30を用いて回転させつつ、エポキシ樹脂EPを含浸させたカーボン繊維ECFを、ライナー10の周囲に繰り返し巻回する。このカーボン繊維ECFの巻回に際しては、ライナー10におけるシリンダー部11の外周範囲に亘るフープ巻きによる繊維巻回と、ドーム部12の外周範囲に亘る低角度・高角度のヘリカル巻きによる繊維巻回とが使い分けられ、ライナー10の回転速度や繊維送り出し速度についても調整される。その後、エポキシ樹脂を含浸させたカーボン繊維ECFを、ライナー10の周囲に巻き付けたものを、加熱炉にて加熱して、エポキシ樹脂を硬化させる(ステップS40)。エポキシ樹脂が硬化すると、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:カーボン繊維強化プラスチック)から成る繊維強化樹脂層16が形成され、高圧ガスタンク100が完成する。この場合、ライナー10の両端のドーム部12では、ドーム部12の外周範囲に亘る低角度・高角度のヘリカル巻きによる繊維巻回により口金側部位16c(図1参照)が形成され、繊維強化樹脂層16は、この口金側部位16cにて口金20の口金フランジ21および口金30の口金フランジ31を、口金被覆領域Grに亘ってグリス塗布層40を介在させて被覆する。なお、繊維強化樹脂層16を形成する場合に、加熱炉に代わり、高周波誘導加熱を誘起する誘導加熱コイルを用いて誘導加熱手法を用いることができる。この高周波誘導加熱では、速やかな熱硬化性樹脂の昇温を図ることができる。
次に、本実施形態の高圧ガスタンク100についての性能評価について説明する。図4は静寂性能の測定の概要を示す説明図である。図4に示すように、水素ガス高圧充填装置GSからの水素ガス充填の過程で口金20と口金30の周辺で発生する音をマイクロホンMで集音して、騒音測定装置NSにて測定した。こうすることで、水素ガスの高圧充填の過程での異音の有無と、騒音程度が判明する。図5はグリス塗布層40におけるグリス塗布量を変えた場合の各グリス塗布量を示す説明図である。図5に示すサンプル1〜3は、高圧ガスタンク100の製造工程において、グリス塗布層40を形成する際のグリス塗布量が相違し、既述した製造工程を経て作成した。このサンプル1〜3での、グリス塗布量は、口金20と口金30の金具1個当たりの塗布量である。こうして製造されたサンプル1〜3を図4に示す静寂性能測定に処すことで、グリス塗布量と静寂性との関係が判明する。ところで、高圧ガスタンク100への水素ガスの高圧満充填は、タンク耐用期間において数十回以上は、繰り返され、その都度に起きる口金側部位16cと口金フランジ21或いは口金フランジ31との滑りにより、グリス塗布層40は、少しずつ剥がされて、摩擦係数にあっても大きくなることが予想される。よって、サンプル1〜3を図4に示す静寂性能測定に処すことに代え、図4の静寂性能の測定を、高圧ガスタンク100の耐久期間に繰り返し実行されると想定される回数(想定繰り返し回数)の高圧満充填を実行しても摩擦係数がほぼ変動しない模擬的テスト用ガスタンク(以下、模擬タンクと称する)について行った。この模擬タンクは、口金20と口金30をアルマイト処理に処して、本実施形態におけるグリス塗布層40の口金被覆領域Gr(図2参照)に亘るアルマイト処理層をグリス塗布層40に代えて形成した高圧ガスタンクである。表1は、想定繰り返し回数の高圧満充填においてもアルマイト層の実質的な剥離は起きないと想定される高い表面硬度を有する模擬タンクMT1〜MT5についての静摩擦係数を示している。図6はグリス塗布層40に代わるアルマイト処理層の静摩擦係数が相違する模擬タンクMT1〜Mt5ごとの静寂性の試験結果を静摩擦係数と対応付けて示すグラフである。
Figure 2014185710
図6に示すように、静摩擦係数が1.7を超える模擬タンクMT3〜MT5では、静寂性が不良とされる騒音レベル(40db)を大きく超えた80db以上の騒音を発生させた。この騒音は、アルマイト処理層或いはグリス塗布層40を形成することなく製造した高圧ガスタンクが発する100db以上の甲高い金属衝撃音に比べると小さいものの、例えばタンク搭載車両の乗員に違和感を与えかねない騒音レベルとなる。
高圧満充填に伴う異音は、以下に記す、スティックスリップ現象に起因して発生すると言える。高圧ガスタンク100への高圧充填の過程において、ガス圧による拡張力は、口金20と口金30をタンク軸方向に沿って移動するよう作用し、これら口金を被覆する繊維強化樹脂層16については、これをタンク軸から遠ざかるよう拡張させる。このため、口金装着箇所での摩擦低減が不足していると、上記のように口金に作用する力と繊維強化樹脂層16を拡張させる力が口金装着箇所での摩擦力に勝った際に、口金と繊維強化樹脂層16との間で滑りが起きる。繊維強化樹脂層16それ自体は、樹脂にて補強されている故に、その形状を維持しようとするので、上記の滑りはごく僅かで治まるものの、ガス圧の上昇に伴い拡張力が大きくなると、再び滑りとその停止とが繰り返される。よって、滑りとその停止の繰り返しにより、口金と繊維強化樹脂層16との間でスティックスリップ現象が起き得る。そして、このスティックスリップ現象により、水素ガスの高圧充填の過程で異音が発生する。つまり、グリス塗布層40に代わるアルマイト処理層の静摩擦係数が1.7を超える模擬タンクMT3〜MT5では、摩擦係数が十分に小さくないので、水素ガスの高圧充填の過程でスティックスリップ現象が起きて異音が発生する。
これに対し、静摩擦係数が1.7以下の模擬タンクMT1〜MT3では、異音の発生は観察されなかった。よって、高圧満充填の過程においてタンク内のガス圧の上昇に伴う拡張力が働いても、グリス塗布層40或いはこれに代わるアルマイト処理層が低摩擦化されていれば、繊維強化樹脂層16の口金側部位16cと口金20の口金フランジ21或いは口金30の口金フランジ31との間の摩擦係数が小さくなって、口金側部位16cと口金フランジ21或いは口金フランジ31との間で円滑に滑りが起こり、スティックスリップ現象が発生しなかったと推考される。これらのことから、図5に示すように、口金フランジ21或いは口金フランジ31を被覆する口金側部位16cとの間の摩擦係数を、本実施形態におけるグリス塗布層40にて0.17以下と極小さくすることで、口金フランジ21或いは口金フランジ31とこれを被覆する口金側部位16cとの間において、スティックスリップ現象の発生を抑制できる。そして、本実施形態におけるグリス塗布層40が、既述した想定繰り返し回数の高圧満充填を経ても0.17以下の低摩擦係数を確保していれば、水素ガスの高圧充填の過程における異音の発生を抑制できることになる。よって、本実施形態のグリス塗布層40における最適なグリス塗布量を、摩擦係数と関連付けて求めた。以下、この点について説明する。
図7は口金当たりのグリス塗布量を単位面積当たりの塗布量に変換した上で塗布量と静摩擦係数との関係を示す説明図である。図7の横軸は、単位面積当たりのグリス塗布量であり、これは、口金20と口金30におけるグリスの塗布領域である口金被覆領域Gr(図2参照)の表面積で、口金1個当たりのグリス塗布量を除算した値である。縦軸の静摩擦係数は、口金側部位16cと両口金との間にグリス塗布層40を介在させた状況を再現した模擬試験片に引っ張り荷重を掛けた際に得られた摩擦係数である。この模擬試験片は、グリス塗布量が異なる図5のサンプル1〜3に対応する。図7から、いずれのサンプル1〜3にあっても、製造後からさほど高圧満充填がなされていない初期状況では、0.1を下回る小さな静摩擦係数であった。このため、図7に示した静摩擦係数と騒音との関係から、いずれのサンプル1〜3にあっても、異音の発生はその初期状況において抑制されていることになる。
図8は想定繰り返し回数まで高圧満充填を繰り返す耐久試験後の単位面積当たりの塗布量と静摩擦係数との関係を示す説明図である。図示するように、耐久試験後では、いずれのサンプル1〜3にあっても、静摩擦係数の増大が見られ、0.55mg/cm2のグリス塗布量のサンプル1は、静摩擦係数が0.18まで増大した。1.0mg/cm2、1.8mg/cm2のグリス塗布量のサンプル2とサンプル3は、グリス塗布量が多い分、静摩擦係数の増大は小さくなり、0.15を下回った。なお、耐久試験後の静摩擦係数にあっても、上記した模擬試験片に耐久試験に相当する滑り状況を再現して求めた。
図9は図8で得られたサンプル1〜3についての初期状態と耐久試験後の静摩擦係数を図6に示した静摩擦係数と騒音との関係に展開したグラフである。このグラフによれば、0.55mg/cm2のグリス塗布量のサンプル1は、耐久試験後では、静寂性が不良とされる騒音レベル(40db)を大きく超えた80db以上の騒音を発生させると想定される。この騒音は、グリス塗布を行うことなく製造した高圧ガスタンクが発する100db以上の甲高い金属衝撃音に比べると小さいものの、例えばタンク搭載車両の乗員に違和感を与えかねない騒音レベルとなる。これに対し、1.0mg/cm2、1.8mg/cm2のグリス塗布量のサンプル2とサンプル3は、耐久試験後においても、異音の発生は観察されないと想定される。これは、サンプル2とサンプル3は、耐久試験後においても、図8に示すように、依然として0.15を下回る小さな静摩擦係数である故にスティックスリップ現象が発生しないと推考されるからである。よって、静摩擦係数を0.17以下とすれば、高圧ガスタンク100の初期状況は勿論、高圧満充填がタンク耐久期間の想定繰り返し回数繰り返されても、スティックスリップ現象の発生の抑制を通して、水素ガスの高圧充填の過程における異音の発生を抑制できる、と言える。換言すれば、本実施形態の高圧ガスタンク100は、口金20の口金フランジ21および口金30の口金フランジ31を繊維強化樹脂層16の口金側部位16cで被覆するに当たって、グリス塗布層40を介在させて静摩擦係数を0.17以下としたので、水素ガスの高圧充填の過程における異音の発生を抑制できることになる。
本実施形態の高圧ガスタンク100では、口金被覆領域Grへのグリス塗布を経たグリス塗布層40の形成という簡便な手法で異音発生を抑制できるので、低コスト化を図ることができる。
本実施形態の高圧ガスタンク100では、繊維強化樹脂層16の口金側部位16cと口金20の口金フランジ21との間、および口金側部位16cと口金30の口金フランジ31との間の摩擦係数を0.17以下とするに当たり、グリス塗布の際の塗布量を0.6mg/cm2以上とするだけで、タンク耐久期間における高圧満充填の際の異音発生を抑制できる。よって、グリス塗布量管理という簡便な手法で、水素ガスの高圧充填の過程における異音の発生を簡便に抑制できる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記の実施形態では、口金20の口金フランジ21の外表から口金本体22の外表に掛けての口金被覆領域Grに亘ってグリスを塗布してグリス塗布層40を形成したが、次のようにしてもよい。水素ガスの高圧満充填に伴う拡張力は、繊維強化樹脂層16の口金側部位16cについては、当該部位をライナー軸線CXから遠ざかるよう作用する。よって、口金被覆領域Grのうちで、と口金フランジ21或いは口金フランジ31との間で円滑に滑りが起こり、口金本体22の外表では、口金側部位16cの口金側の先端部位が本体外表から離れようとする。このため、口金本体22の外表の範囲では、当該外表に沿った口金側部位16cの滑りという現象は、口金フランジ21の外表に比べればさほど起きない。こうしたことから、グリス塗布層40については、口金20の口金フランジ21の外表から口金本体22の外表に掛けての口金被覆領域Grのうち、少なくとも口金フランジ21の外表領域に形成されればよい。
10…ライナー
11…シリンダー部
12…ドーム部
12a…陥没台座部
12b…貫通孔
16…繊維強化樹脂層
16c…口金側部位
20…口金
21…口金フランジ
22…口金本体
23…凸部
24…バルブ接続孔
30…口金
31…口金フランジ
32…口金本体
33…凸部
34…バルブ接続孔
40…グリス塗布層
100…高圧ガスタンク
Gr…口金被覆領域
CX…ライナー軸線
EP…エポキシ樹脂
ECF…カーボン繊維
GS…水素ガス高圧充填装置
NS…騒音測定装置
M…マイクロホン

Claims (3)

  1. 高圧ガスタンクであって、
    両端にドーム部を有するライナーと、
    フランジ部と該フランジ部から突出した突出部とを有し、前記フランジが前記ドーム部で支えられた状態で前記突出部をタンク外側まで延ばす口金と、
    前記ライナーの外表全域を被覆すると共に、前記口金の前記フランジ部についても被覆する被覆部とを備え、
    前記フランジ部と前記被覆部との間の摩擦係数は、0.17以下とされている
    高圧ガスタンク。
  2. 前記フランジ部は、前記被覆部により被覆される領域にグリスを介在させて前記被覆部にて被覆されることで、前記摩擦係数を0.17以下とする請求項1に記載の高圧ガスタンク。
  3. 前記グリスは、0.6mg/cm2以上の塗布量で塗布されて、前記フランジ部が前記被覆部で被覆される領域に介在する請求項2に記載の高圧ガスタンク。
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