本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2は本発明に係る表面実装機の一例を示しており、図1は表面実装機(以下、実装機と略す)を平面図で、図2は実装機を側面図で概略的に示している。
これらの図において、実装機本体の基台1上には基板搬送用のコンベア2が配置されており、このコンベア2上をプリント基板Pが搬送されて所定の実装作業用位置で停止され、図外のプッシュアップピン等の基板保持手段により保持されるようになっている。なお、以下の説明では、コンベア2の方向をX軸方向、水平面上でX軸と直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸と直交する垂直方向をZ軸方向として説明を進めることにする。
コンベア2のY軸方向両側には、プリント基板Pに実装する電子部品を供給するための部品供給部3,4が設けられており、コンベア2に対してフロント側(図1では下側)の部品供給部3に、比較的小形のチップ部品の供給に適した多数列のテープフィーダー3aがX軸方向に並べて配置される一方、リア側の部品供給部4に、QFP(Quad Flatpack Package )等の比較的大形の電子部品の供給に適したパレット引出し型の部品供給装置4aが配置されている。なお、リア側の部品供給部4には、同じ構成の2つの部品供給装置4aがX軸方向に並べて配置されている。
フロント側の部品供給部3に配置される各テープフィーダー3aには、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を所定間隔毎に収納保持したテープが巻回されたリールが着脱可能に装着されており、このリールからフィーダー先端の部品取出部に前記テープを間欠的に繰り出すことにより、テープに収納されたチップ部品を、後述するヘッドユニット5によりピックアップさせるように構成されている。なお、リア側の部品供給部4に配置される部品供給装置4aの構成については、後に詳述することにする。
前記基台1の上方には、さらに部品実装用のヘッドユニット5が設けられている。
このヘッドユニット5は、部品供給部3,4から部品を吸着してプリント基板P上に実装し得るように、図1中に一点鎖線で示す一定の領域M(可動領域Mという)内でX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動可能とされている。すなわち、前記基台1には、ヘッドユニット5の支持部材7がY軸方向の固定レール6に移動可能に配置され、この支持部材7上にヘッドユニット5がX軸方向のガイド部材(図示せず)に沿って移動可能に支持されている。そして、Y軸サーボモータ10により駆動されるボールねじ9に支持部材7が装着されることにより、支持部材7のY軸方向の移動が行われる一方、X軸サーボモータ13により駆動されるボールねじ11にヘッドユニット5が装着されることにより、ヘッドユニット5のX軸方向の移動が行われるようになっている。
前記ヘッドユニット5には部品を吸着してプリント基板Pに実装するための複数の実装用ヘッド15がX軸方向に一列に並べられた状態で搭載されている。これらの実装用ヘッド15は、Z軸サーボモータ(図示省略)を駆動源とする昇降機構により上下方向(Z軸方向)に駆動されるとともに、R軸サーボモータ(図示省略)を駆動源とする回転駆動機構により回転方向(R軸方向)に駆動されるようになっている。
また、各実装用ヘッド15の先端には部品吸着用のノズルが設けられており、部品吸着時には、図外の負圧供給手段からこれらこのノズル先端に負圧が供給され、この負圧により部品が吸着されるようになっている。
次に、リア側の部品供給部4に配置される部品供給装置4aについて、図1、図2に加えて図3〜図11を参照しつつ詳細に説明する。
この部品供給装置4aは、収納部20と、この収納部20から後記パレット21を引出すパレット引出し機構40(以下、引出し機構40と略す)と、収納部20と引出し機構40とを相対的にZ軸方向に移動させる昇降機構80とを有しており、収納部20内に収納されるパレット21を引出し機構40により部品取出し領域、つまりヘッドユニット5の可動領域M内に引出すことにより、パレット21上に載置されたトレイ30内の電子部品を前記ヘッドユニット5によりピックアップさせるように構成されている。
前記収納部20には、図4に示すように、上下複数段にパレット支持部20aが形成され、各パレット支持部20aにパレット21が水平状態で、かつその水平状態を保った状態で引出し可能に支持されている。これにより収納部20内に複数のパレット21が上下複数段に収納されている。なお、収納部20は、そのフロント側(図4では左側)が開放されており、各パレット支持部20aに支持されたパレット21が、フロント側の開放部から引出し機構40によって引出されるようになっている。
ここで前記トレイ30およびパレット21について説明する。図5は、トレイ30を載したパレット21を平面図で概略的に示している。
トレイ30は、QFP等の部品Qを複数個収容して保持するものであり、この図に示すように平面視で長方形の輪郭を有しその上面には複数の部品収納部31がマトリックス状に設けられ、これら部品収納部31にそれぞれ部品Qが収納されている。
パレット21は、同図に示すように四方が側壁22に囲まれた平面視長方形の浅皿であって、一又は複数のトレイ30を位置決めした状態で載置できるように構成されている。具体的には、同図に示すようにトレイ30をパレット21のコーナー部分(側壁22)に押付け、その周りに磁石からなる固定用部材32を沿わせてパレット21の内底面、すなわちトレイ30の載置面に磁力固定することにより、パレット21上にトレイ30を位置きめした状態で固定できるようになっている。
パレット21には、さらにその引出側(図5では上側)に平面視T字型の把持部25が設けられるとともに、側壁22のうち引出方向と直交する方向に対向する一対の側壁22には案内用フランジ23が設けられ、引出し機構40によるパレット21の引出しの際には、把持部25が後記クランプ64により把持されるとともに、案内用フランジ23を介してパレット21が後記レール43a,43bに沿って案内されるようになっている。
パレット21のより具体的な構成について説明すると、図6に示すように、このパレット21は、浅皿型のベース部材21aとプレート部材21bとを重ねて固着した積層構造を有しており、ベース部材21aの内底面に、接着シート21cを介してプレート部材21bが固着されることによりこのプレート部材21bによりトレイ30の載置面が構成されている。
プレート部材21bは、ベース部材21aの内底面と形状および大きさが等しく、かつ強磁性を有する金属プレートから構成されており、これによって上述の通り固定用部材32をパレット21のトレイ載置面に磁力で固定できるようになっている。なお、当実施形態では、プレート部材21bは厚さ0.2mmのステンレス(SUS420)から構成されており、不織布の表裏両面にアクリル系の接着層を備えた上記接着シート21cによりベース部材21aに貼付け固定されている。
一方、ベース部材21aは、プレート部材21bよりも単位重量が軽い金属材料から構成されており、当実施形態では側壁22、案内用フランジ23および前記把持部25の取付片24等を一体に備えたアルミダイカストにより構成されている。すなわち、このパレット21は、上記のようにトレイ30の載置面だけがマルテンサイト系の磁性を有するステンレスで構成され、それ以外の部分がステンレスよりも軽量のアルミニウムから構成されており、これによって、全体がステンレスから構成されているこの種の一般的なパレットに比して軽量化が図られている。
なお、パレット21のうち前記把持部25は樹脂材料から構成されており、図6に示すようにベース部材21aの前記取付部24にビス26によって固定されている。
上記引出し機構40は、図2および図3に示すように、パレット受けプレート41(以下、受けプレート41と略す)を有しており、このプレート41を介して前記基台1上に固定されている。受けプレート41の上面には、X軸方向に所定間隔を隔て互いに平行な一対のレール支持板42が立設されており、これらレール支持板42の上端面にY軸方向に延びるレール43a,43bが設けられている。
両レール43a,43bのうち一方側のレール43a(図3では下側のレール)はパレット21を引出す際に基準となる基準レール(以下、基準レール43aという)とされている。
一方、他方側のレール43bには、パレット21を基準レール43aに押圧するサイドプッシュ部材45(押付部材)が、その長手方向に所定の間隔おきに設けられている。
サイドプッシュ部材45は、図7に分解図で、図8に完成図でそれぞれ示すように、ホルダ本体46aと、このホルダ本体46aにビス50により固定される蓋体46bとからなるホルダ46内に、市販標準品の転がり軸受け(ベアリング)からなるローラ49(回転体)を回転自在に、かつ弾性的に出没可能に収納したものである。
詳しくは、ホルダ本体46aには、収納用凹部47が形成されておりこの凹部47にローラ49が収納されている。この凹部47は、ローラ49の回転軸と直交する方向(図8では左右方向)に細長で、かつこの方向の側面が一部開口しており(開口部48という)、これによってローラ49が、ホルダ46に対して前記収納用凹部47内でその長手方向に変位可能で、かつその一部(ローラ49の外周面の一部)を開口部48を介して外部に出没させ得るようになっている。なお、開口部48の幅はローラ49の直径よりも狭幅に形成されており、これによりホルダ46からローラ49が脱落することがないように構成されている。
そして、ホルダ46の前記ホルダ本体46aに対して前記開口部48とは反対側からプランジャボルト51(付勢手段)が挿着されている。プランジャボルト51は、図8に示すように、軸状のプランジャ本体51aをその先端が突出する状態でボルト本体51c内に進退可能に支持し、かつこのボルト本体51c内に収容したコイルスプリング51bの付勢力により前記プランジャ本体51aをその後端側から先端側に向って付勢するように構成されたもので、同図に示すように前記ケース本体46aにボルト本体51cが螺合挿入され、さらにこのボルト本体51cの外側にナット51dが装着されることにより前記ホルダ46に対して固定されている。そして、このようにプランジャボルト51がホルダ46に固定された状態で、プランジャ本体51aの先端が前記凹部47内に突出してローラ49を押圧し、その結果、ローラ49が、その一部を前記開口部48から外部に露出させた状態で、かつ前記コイルスプリング51bの弾発力を受けることによりホルダ46に対して弾性的に出没可能となっている。
サイドプッシュ部材45は、図3,図9に示すように、ローラ49が垂直軸(Z軸)回りに回転し、かつレール内側(基準レール43a側)に向って出没するように前記レール支持板42に固定されている。そして、この固定状態で前記ホルダ46によりレール43bの一部を構成している。
なお、各サイドプッシュ部材45は、ローラ49の突出状態、つまり図7(b),図8に示す状態で、ローラ49の突出先端から基準レール43aの内側面までの距離がパレット21の幅寸法よりも短く、かつローラ49がホルダ46内に没入した状態でホルダ46の端面から基準レール43aの前記内側面までの距離がパレット21の幅寸法よりも長くなるように前記レール支持板42に固定されている。
このようなレール43a,43bの構成により、前記収納部20からパレット21が引出される際には、図10に示すように、両側の案内用フランジ23を介してパレット21がレール43a,43bの上面部分で支持され、かつサイドプッシュ部材45のローラ49が弾性的にパレット21の側面に当接することによりパレット21の反対側の側面が基準レール43aの内側面に押付けられる。これによりパレット21がその幅方向(X軸方向)に位置決めされた状態で、振動等を伴うことなく両レール43a,43bに沿って案内されるようになっている。つまり、当実施形態では、基準レール43aの内側面がパレット21をその幅方向に位置決めする位置決め部に相当する。
なお、レール43a,43bのうちパレット21の摺接部分には、摩擦係数を低減させるための例えば超潤滑硬質アルマイト処理等の表面処理が施されており、また、サイドプッシュ部材45の前記ローラ49がパレット引出しに伴い回転することにより、パレット21はレール43a,43bに沿ってスムーズに移動することとなる。特に、ホルダ46の前記収納用凹部47のうち開口部48が設けられる側の内側面は、図7(a),(b)に示すようにローラ49の外形に対応した円弧状に形成されており、また、プランジャボルト51のプランジャ本体51aの先端は球状に形成されており、これによってパレット21が進行してローラ49に当接すると、ローラ49がスムーズに回転しつつプランジャ本体51aを押し戻してホルダ46内に没入し、パレット21の移動がスムーズに行われるようになっている。また、レール43bに設けられる各サイドプッシュ部材45の間隔は、引出し方向におけるパレット21の全長よりも短く設定されており、これによってパレット21の引出し位置に拘わらずパレット21を確実に基準レール43aに押し当てて位置決めを行うことができるようになっている。
前記受けプレート41における両レール43a,43b間には、図3に示すように、パレット21の引出し方向(Y軸方向)に延びるガイド55が設けられ、このガイド55にクランプ機構60(移動手段)が移動可能に設けられている。
クランプ機構60は、同図および図11(a)に示すようにX軸方向に間隔を隔てて並ぶ一対の突出部分62を備えた平面視コ字型のフレーム61を有しており、このフレーム61にエア駆動式のクランプ64を備えている。
クランプ64は、前記フレーム61の両突出部分62の間の部分に設けられており、パレット21の前記把持部25を把持するための一対のアーム65を有している。これらアーム65は、エアの給排に応じてX軸方向に互いに離間した開放状態と、互いに接近したクランプ状態とに切換え可能に構成されている。そして、クランプ64の開放状態のときには両アーム65が把持部25よりも大きく離間することにより両アーム65間への把持部25の進入が可能となる一方(図11(a)参照)、両アーム65間への把持部25の進入状態でクランプ64がクランプ状態に切換えられると、図11(b)に示すように両アーム65と把持部25とがY軸方向に係合するように構成されている。
クランプ64は、さらにクランプ機構60に対してパレット21をY軸方向に位置決めするための一対の位置決めシリンダ66を有している。これらのシリンダ66は、エアの給排に応じて進退ロッド67を進退駆動するエア駆動式のシリンダで、フレーム61の前記突出部分62にそれぞれ収納部20に向いた状態、つまり進退ロッド67が収納部20に向って進退する状態で固定されている。そして、図11(b)に示すように、パレット21の把持部25をクランプ64によりクランプした状態で各位置決めシリンダ66がロッド突出駆動状態とされると、進退ロッド67の先端がパレット21の端面に突き当って該パレット21を収納部20側に押し戻し、この押し戻しによりアーム65の係止面65aと把持部25の係止面25aとがY軸方向に密接してパレット21がクランプ機構60に対してY軸方向に変位不能に拘束されるようになっている。つまり、これによりアーム65の前記係止面65aを基準としてパレット21をクランプ機構60に対してY軸方向に位置決め固定するように構成されている。
なお、当実施形態では、アーム65の前記係止面65aがパレット21を押し当てることにより該パレット21を引出し方向に位置決めする本発明の位置決め部に相当し、位置決めシリンダ66等が、パレット21を位置決め部(係止面65a)に押付けた状態に拘束する拘束手段に相当する。従って、当実施形態では、クランプ64が本発明の可動部材とクランプ手段とを兼ねた構成となっている。
前記プレート41における両レール43a,43b間には、さらにクランプ機構60をガイド55に沿って移動させるための機構が設けられている。具体的には、駆動モータ70と、この駆動モータ71により伝動ベルト71を介して回転駆動される第1駆動プーリ72と、この第1駆動プーリ72と同軸に固定される第2駆動プーリ(図示省略)と、ガイド55の長手方向両端部分に回転自在に支持される一対の従動プーリ74,75と、テンションプーリ76と、第2駆動プーリおよびプーリ74〜76に亘って掛け渡される駆動ベルト78とが設けられている。そして、この駆動ベルト78に前記クランプ機構60が固定され、前記駆動モータ70の作動により記駆動ベルト78が周回移動することにより、この移動に伴いクランプ機構60がガイド55に沿ってY軸方向に移動するように構成されている。
上記昇降機構80は、当実施形態では、基台1に固定される前記引出し機構40に対して収納部20を昇降させるように構成されている。
具体的には、図2に示すように、前記基台1に支持枠83が設けられており、この支持枠83に収納部20が昇降可能に支持されている。そして、この支持枠83に、駆動モータ81により回転駆動されるZ軸方向のボールねじ82が設けられ、収納部20がこのボールねじ82に螺合挿着されている。これにより駆動モータ81によるボールねじ82の回転駆動に応じて収納部20が引出し機構40に対して昇降するように構成されている。
次ぎに、上記のように構成された実装機による部品の実装動作について説明する。なお、以下の説明では、リア側の部品供給部4(部品供給装置4a)から部品を取出してプリント基板Pに実装する場合の動作を中心に説明を行うこととする。
実装動作が開始されると、まず、部品供給装置4aにおいて昇降機構80が作動し、これにより収納部20が昇降駆動されて実装対象となる部品を収納したパレット21が引出し機構40による引出し位置、具体的にはパレット21が前記レール43a,43bの先端に対向する位置に配置される。
次いで、引出し機構40のクランプ機構60がガイド55に沿って収納部20側に移動し、クランプ64によりパレット21の把持部25が把持(クランプ)されることにより引出し準備が行われる。具体的には、図11(a)に示すようにクランプ64が開放状態とされ、かつ位置決めシリンダ66がロッド引込駆動状態とされた状態でクランプ機構60がガイド55に沿ってパレット21に接近し、これによりクランプ64の両アーム65の間にパレット21の把持部25が進入する。その後、クランプ64がクランプ状態に切換えられることにより、図11(b)に示すように、両アーム65と把持部25とが係合状態とされ、さらに位置決めシリンダ66がロッド突出駆動状態に切換えられることによりクランプ機構60に対してパレット21がY軸方向に位置決め固定される。
この引出し準備が完了すると、クランプ機構60がガイド55に沿って収納部20から離間する方向に移動することにより、パレット21が収納部20から両レール43a,43b上に引出される。この際、パレット21が引出されると、上述したようにサイドプッシュ部材45によりパレット21がX軸方向に押圧され、これによりパレット21が基準レール43aの内側面に当接して同パレット21がレール43a,43b上でX軸方向に位置決めされる。そして、このようにX軸方向に位置決めされた状態で、サイドプッシュ部材45のローラ49の回転を伴いながらパレット21が基準レール43aに沿って移動することとなる。
こうしてパレット21がヘッドユニット5の可動領域M(図1参照)内まで引出されるとともに、このパレット21上の部品を直接ピックアップするべくこの引出し動作と並行してヘッドユニット5が駆動される。そして、パレット21上の対象部品の上方に実装用ヘッド15が位置するようにヘッドユニット5が配置された後、実装用ヘッド15の昇降動作が行われることによりパレット21から部品がピックアップされる。
なお、パレット21上に置かれた対象部品に対するヘッドユニット5のアプローチは、ヘッドユニット5の移動とパレット21のY軸方向の移動とが併用されることにより効率的に行われる。例えば、パレット21から複数の部品を吸着する場合には、ヘッドユニット5がX軸方向に移動する一方で、必要に応じてパレット21のY軸方向の移動が行われることにより実装用ヘッド15と対象部品との位置決めが速やかに行われる。この際、パレット21は、上述したようにクランプ機構60に対してY軸方向に位置決めされた状態でクランプされ、また基準レール43aに押付けられることによりX軸方向に位置決めされているため、ヘッドユニット5に対してパレット21がX−Y座標平面上で精度良く配置される。従って、パレット21上に置かれた対象部品に対するヘッドユニット5(実装用ヘッド15)のアプローチが精度良く行われ、その結果、実装用ヘッド15による部品の吸着が確実、かつ正確に行われることとなる。
ヘッドユニット5によりパレット21から部品がピックアップされると、プリント基板P上にヘッドユニット5が移動した後、実装用ヘッド15の昇降動作が行われることにより各実装用ヘッド15に吸着された部品が順次プリント基板P上に実装される。そして、以後、ヘッドユニット5がパレット21とプリント基板Pとの間を往復移動しながら同様に部品の実装が行われることとなる。
以上は、リア側の部品供給部4から部品をピックアップする場合であるが、フロント側の部品供給部3から部品を取出して実装する場合には、対象部品を供給するテープフィーダー3aの上方にヘッドユニット5が移動した後、実装用ヘッド15が昇降することにより、同様にして部品の取出しが行われる。
なお、部品供給装置4aにおいて、引出されたパレット21から全ての部品がピックアップされると、上述した引出し動作とは逆方向にクランプ機構60が移動することによりパレット21が収納部20の元の位置に押し戻され、その後、クランプ64による把持部25のクランプ状態が解除されることにより当該パレット21が収納部20内に収納される。そして、昇降機構80の作動により収納部20が昇降駆動されることにより、部品が収納された新たなパレット21がヘッドユニット5の可動領域Mに引出されることとなる。
以上のような実装機によると、フロント側の部品供給部3に複数のテープフィーダー3aが並べて設けられる一方、リア側の部品供給部4に、部品を載せたパレット21を引出し可能に収納した部品供給装置4aが設けられているため、IC、コンデンサ等のチップ部品からQFP(Quad Flatpack Package)等の大型のパッケージ部品まで幅広い種類、およびサイズの部品を自動供給しつつプリント基板Pに実装することができる。
特に、リア側の部品供給装置4aからの部品の取出しに際しては、上述したようにヘッドユニット5の移動とパレット21のY軸方向の移動とが併用されることによりパレット21上の部品に対して実装用ヘッド15が位置決めされるため、引出し位置においてパレットが固定的に配置された状態でヘッドによる部品の取出しが行われる従来の実装機と比較すると、部品に対する実装用ヘッド15のアプローチを速やかに行うことができる。
すなわち、パレット21上の部品を吸着すべくヘッドユニット5(実装用ヘッド15)をパレット21上に移動させる場合、ヘッドユニット5をY軸方向にのみ移動させる場合はもとよりY軸方向に対して斜行して移動させる場合にも、Y軸方向についてはヘッドユニット5とパレット21とが相対的に同時に移動することとなる。そのため、パレットを固定的に配置してヘッドユニットのみを移動させる従来のこの種の装置と比べると、部品に対する実装用ヘッド15のY軸方向の位置決めを速やかかに行うことができる。また、ヘッドユニット5をY軸方向に移動させない場合でも、例えば上述したようにパレット21から複数の部品を吸着する場合には、ヘッドユニット5をX軸方向(実装用ヘッド15の並び方向)に移動させると同時にパレット21を必要に応じてY軸方向に移動させることにより対象部品に対する各実装用ヘッド15の位置決めを速やかに行うことができる。従って、上記実施形態の実装機によると、従来のこの種の実装機と比較して部品の実装をより効率的に行うことができるという利点がある。
しかも、パレット21の引出しの際には、サイドプッシュ部材45によりパレット21を基準レール43aに押付けるとともに、クランプ機構60に対してパレット21をその引出し方向、つまりY軸方向に位置決めした状態で該パレット21を引出すように構成されているので、部品取出し領域においてパレット21を精度良く、つまり正確、かつ再現性良く配置することができる。従って、パレット21上に置かれた対象部品に対するヘッドユニット5(実装用ヘッド15)のアプローチを精度良く行うことができ、その結果、実装用ヘッド15による部品の吸着誤差や吸着ミスを軽減して、プリント基板P上への部品の実装精度を高めることができる。
加えて、上記の引出し機構40では、レール43a,43bにおけるパレット21の摺動部分には超潤滑硬質アルマイト処理等の摩擦係数を軽減させるための表面処理が施され、また、サイドプッシュ部材45については、パレット21への接触部分がローラ49から構成されてパレット21の引出しに伴い該ローラ49が回転するように構成されているので、上記のようにサイドプッシュ部材45によりパレット21を基準レール43aに対して押圧しながら引出しながらも、その際の引出し抵抗を軽減してパレット21をスムーズに引出すことができる。
また、サイドプッシュ部材45の間隔は、パレット21の引出し方向の長さよりも短く設定されているので、パレット21の引出し位置に拘わらずパレット21を確実に基準レール43aに押し当ててX軸方向の位置決めを行うことができる。従って、パレット21の引出し位置に拘わらず実装用ヘッド15による部品の吸着誤差や吸着ミスを軽減して、プリント基板P上への部品の実装精度を高めることができる。
ところで、以上説明した実装機は、本発明に係る表面実装機(本発明に係る部品供給装置が適用される表面実装機、本発明に係るパレット引出し機構を備えた部品供給装置を有する表面実装機)の一実施形態であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態の部品供給装置4aの引出し機構40では、押付部材として、ホルダ46内にローラ49を出没可能に収納したサイドプッシュ部材45を構成し、これをレール支持板42に組付けるようにしているが、勿論、ホルダ46を設けることなく直接ローラ49やプランジャボルト51をレール支持板42に組込んで上記押付部材を構成してもよい。但し、上記実施形態のような構成によると、サイドプッシュ部材45を部品としてサブアッセンすることが可能となるため引出し機構40の組立性が良くなり、また、ローラ49の破損等の際にはサイドプッシュ部材45を交換するだけで簡単、かつ速やかに対応できるため、メンテナンス性も向上するという利点がある。
また、押付部材としては、実施形態のようにローラ49を介してパレット21を押圧するもの以外に、球体を介して押圧するもの、あるいは板ばねによりパレット21を押圧するものであってもよい。また、パレット21のX軸方向の位置決め基準となる基準レール43aの内側面(つまり位置決め部)は必ずしも平坦である必要はなく、位置決め部としてY軸方向に一定間隔で凸部(例えば円弧状の凸部)が並ぶものであってもよい。これによればパレット21をX軸方向に位置決めしながらもパレット21の引出し抵抗をより一層軽減することが可能となる。
なお、図1,図2等に示す部品供給装置4aや図12に示す部品供給装置A2では、引出し機構40を固定的に配置し、これに対して収納部20を昇降させることにより収納部20の任意のパレット21を引出し得るように昇降機構80を構成しているが、勿論、その逆、つまり収納部20を固定的に設けておき、これに対して引出し機構40側を昇降させるように昇降機構80を構成するようにしてもよい。